説明

バンプ及びバンプ形成方法

【課題】金めっき皮膜からなるバンプと同等の硬度、表面粗さを有し、安価な材料で形成されるバンプとその形成方法を提供する。
【解決手段】下地めっき層10と表面めっき層12とからなる高さ15〜22μmのバンプであって、下地めっき層が、ニッケル、パラジウム、銀、錫又はこれらの合金からなる1層または2層以上のめっき皮膜からなり、表面めっき層がバンプ高さの30%以上の膜厚の金めっき皮膜からなるバンプ。このバンプは、パターンニングされた半導体ウエハー1上に、ニッケル、パラジウム、銀、錫又はこれらの合金からなる1層又は2層以上の下地めっき層10を電解または無電解めっきにより形成した後、電解金めっきにより表面めっき層12を形成することにより形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハー上に形成される集積回路(IC)の端子としてのバンプとバンプ形成方法に関する。詳細には、金めっき皮膜で形成された表面めっき層と、ニッケル、パラジウム等の金以外の金属で形成された下地めっき層とからなるバンプ及びバンプ形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハー上に形成された集積回路には端子としてバンプが形成されている。前記集積回路とプリント配線基板の回路とは、前記バンプを利用して電気的に接続される。バンプは金の単一層で形成され、形成方法には電解金めっきが使用される(特許文献1、2参照)。
【0003】
めっきにより形成されるバンプには、以下の3つの特性が要求される。
1) 未熱処理の硬度が80〜120Hvであり、250℃前後でのアニール後の硬度が40〜80Hvであること。
2) 適度な粗さの表面を有する半光沢外観であること。
3) 電気伝導性が良好であること。
4) バンプ全体の高さが15〜22μmであること。
【0004】
金バンプが形成された半導体チップをプリント配線基板に取り付ける際には、基板のインナーリードとバンプとが接続される。接続方法としては、ワイヤを用いて接続するワイヤボンディングと、基板上に半導体チップを載せて接合するフリップチップボンディングとがある。
【0005】
半導体チップと基板とのフリップチップボンディングでは、バンプとインナーリードとを熱圧着により、または異方性導電接着剤に含まれる導電粒子を介して圧着することにより接合する方法が主流である。バンプの高さが15μmより低いと、半導体ウエハーと基板とが圧着時に接触し、圧着時の圧力により半導体ウエハーが破損し易くなり、製品の歩留まりが低下する。半導体ウエハーの破損を避けるため、圧着時の圧力を低くすると、バンプとインナーリードとの接合強度が不十分になり易く、電気抵抗が高くなる。
【0006】
金以外の金属を使用して形成しためっき皮膜はアニール後の皮膜硬度が高くなる場合が多い。アニール後の皮膜硬度が高いと、基板のインナーリードとバンプとの接合が悪くなったり、基板との接着に汎用される異方性導電接着剤に含まれる導電粒子とバンプとの接合強度が低くなる。
【0007】
また、半導体チップの実装工程においては、バンプの位置決めを光学的に認識することにより行うので、表面が平滑なめっき皮膜ではバンプの位置を認識することができない。めっき皮膜の表面が粗すぎると、基板のインナーリードとの接合性が低下し、最終製品に断線、接合不良による電気的欠陥が生じやすくなる。
【特許文献1】特願2005−286147 (特許請求の範囲)
【特許文献2】特願2005−145767 (特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
バンプ材料として従来使用されている金は価格が高いため、代替材料の開発が望まれている。しかしながら、上記の特性を全て満足する材料は金以外に見あたらないのが実情であり、バンプの材質を金から他の金属へ代替するのは困難であるとされる。
【0009】
本発明の目的は、半導体ウエハー上に電解または無電解めっきにより形成されるバンプであって、所定のバンプ特性を満足し、従来の金めっき皮膜からなるバンプと代替可能な安価なバンプとその形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、パターンニングされた半導体ウエハー上に、金以外の金属めっき皮膜と金めっき皮膜とを積層することにより、従来のバンプ高さを維持しながら金の使用量が低減され、かつ、金バンプの優れた特性が保持されたバンプが得られることを見出した。
【0011】
上記目的を達成する本発明は、以下に記載するものである。
【0012】
〔1〕 半導体ウエハー上に形成された、下地めっき層と表面めっき層とからなる高さ15〜22μmのバンプであって、下地めっき層が、ニッケル、パラジウム、銀、錫又はこれらの合金からなる1層または2層以上のめっき皮膜からなり、表面めっき層がバンプ高さの30%以上の膜厚の金めっき皮膜からなるバンプ。
【0013】
〔2〕 表面めっき層の膜厚がバンプ高さの30〜50%である〔1〕に記載のバンプ。
【0014】
〔3〕 パターンニングされた半導体ウエハー上に、ニッケル、パラジウム、銀、錫又はこれらの合金からなる1層又は2層以上のめっき皮膜を電解または無電解めっきにより形成した後、前記めっき皮膜上に電解金めっきにより金めっき皮膜を形成する〔1〕に記載のバンプ形成方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明においては、金以外の所定の金属からなるめっき皮膜と、金めっき皮膜とを積層させることによりバンプを形成する。
【0016】
本発明のバンプは、従来のバンプと同じ高さに形成され、その表面が所定の膜厚を有する金めっき皮膜で被覆されている。そのため、純金単一バンプと同等の皮膜硬度および表面粗さを有しており、電気伝導度も良好である。また、金の使用量が低減されるためにコスト的に優位である。
【0017】
本発明のバンプは従来の金バンプの形状と高さを維持しているため、基板と接合する際には、従来のアッセンブリ装置をそのまま使用することができる。その後の半導体製造工程においても、設備の変更や増設が不要である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、半導体ウエハー上に形成された本発明の金バンプの一例を示す断面図である。
【0019】
図1中、1は半導体ウエハーである。半導体ウエハー1の表面には、集積回路を含む回路層1’が形成されている。回路層1’上には、短軸柱状のアルミニウム(Al)電極2が形成されている。電極2が形成された半導体ウエハー1の表面は、パッシベーション膜3にてパターニングされている。パッシベーション膜3には、Al電極2の上方に開口部3aが形成されている。パッシベーション膜3上には、チタン−タングステン(TiW)スパッタ膜4と、金スパッタ膜5とが重ねて形成されている。これらのスパッタ膜は、アンダーバンプメタル(UBM)層6を形成する。UBM層6は、パッシベーション膜3と、その開口部3aに露出しているAl電極2を被覆する。UBM層6の表面は、レジスト膜8にてマスキングされている。レジスト膜8には、Al電極2の上方に開口部8aが形成されている。レジスト膜8の開口部8a内には、バンプ7が形成されている。バンプ7は、金以外の金属めっき皮膜からなる下地めっき層10と、金めっき皮膜からなる表面めっき層12とからなる。
【0020】
半導体ウエハー1には、シリコンウエハー又はGaAs等の化合物ウエハーが使用できる。
【0021】
下地めっき層10を形成する金属としては、ニッケル、コバルト、銅、パラジウム、銀、錫又はこれらの合金を用いることができる。合金としては、例えば、錫−銀合金、錫−銅合金、ニッケル−コバルト合金、ニッケル−銅合金、パラジウム−ニッケル合金、パラジウム−コバルト合金等を挙げることができる。
【0022】
バンプ7の高さは、下地めっき層10と表面めっき層12とを合わせた全体の高さで15〜22μmであるが、好ましくは18〜20μmである。15μm未満の場合あるいは22μmを超える場合には、基板との接合が不良となる。また、従来の接合技術・接合装置が使用できなくなるため、経済的ではない。なお、バンプ全体の高さは、半導体ウエハー1に対するバンプ7の最高点Aと最低点Bの高さの差Lで定義される値である。後述する下地めっき層又は表面めっき層のめっき皮膜の膜厚もバンプの高さと同様に定義される。
【0023】
表面めっき層12の膜厚は、バンプ全体の高さの30%以上とするが、30〜50%とすることが好ましく、35〜45%とすることがより好ましい。表面めっき層12の膜厚がバンプ全体の高さの30%未満であると、皮膜硬度が高くなったり表面粗さが平滑になる等の問題が生じ、バンプとしての良好な特性を維持することができない。バンプ全体の高さに対する表面めっき層12の膜厚の上限値は特に限定されるものではないが、膜厚が厚いと金の使用量が増加するため、製造コストの削減効果が低くなる。そのため、50%以下とすることが好ましい。
【0024】
図1においては、下地めっき層10が1層の場合を示したが、下地めっき層10は2層以上のめっき皮膜で形成されていてもよい。この場合に下地めっき層10を形成する金属の種類、下地めっき層の膜厚は、1層のみの場合と同様である。
【0025】
半導体ウエハー上へ本発明のバンプを形成する方法としては、以下の方法が例示される。
【0026】
集積回路を含む回路層1’が形成された半導体ウエハー上に、Al電極2をスパッタリング等により形成する。次いで、パッシベーション膜3にてパターニングを行う。パッシベーション膜3には、Al電極2の上方に開口部3aを形成する。パッシベーション膜3の開口部内に露出するAl電極2及びパッシベーション膜3上にTi-Wスパッタ膜4、Auスパッタ膜5をスパッタリングにより順次形成する。その後、Auスパッタ膜5上にマスク材を使用してマスキングを行うことによりレジスト膜8を形成した後、マスキングされた半導体ウエハーを被めっき物として電解または無電解めっきを行い、バンプ7を形成する。
【0027】
電解または無電解めっきによるバンプ7の形成は、レジスト膜8によるマスクパターンを形成した半導体ウエハー上に、ニッケル、コバルト、銅、パラジウム、銀、錫またはそれらの合金を電解または無電解めっきして所定の膜厚になった後、電解金めっきすることにより行うことが好ましい。
【0028】
電解または無電解めっきによりバンプ7を形成した後、レジスト膜8を溶剤に溶解させて除去する。その後、UBM層6のバンプ7に被覆されていない部分をエッチング等により除去する。これにより、パッシベーション膜3が露出し、バンプ7が形成されたウエハーを得る。最後に、バンプ7が形成された半導体ウエハーの熱処理を行う。
【0029】
レジスト膜8の形成に使用するマスク剤としては、ノボラック系ポジ型フォトレジストを使用することができる。市販品としては、例えばLA-900、HA-900(以上、東京応化工業株式会社製)等を挙げることができる。
【0030】
半導体ウエハーの熱処理温度は、200〜400℃、好ましくは200〜300℃とする。熱処理時間は5分以上とするが、好ましくは30〜60分である。熱処理はチャンバー内部を設定温度に一定時間保持できるファインオーブン等を用いて行う。これにより、バンプ7の表面めっき層12の硬度は、40〜80Hvになる。
【0031】
下地めっき層形成用の電解または無電解めっき液は、以下の公知のめっき液または市販品として入手することが可能である。
【0032】
<ニッケルめっき液>
電解ニッケルめっき液:公知のワット浴またはスルファミン酸浴
無電解ニッケルめっき液:エヌ・イー ケムキャット社製 スーパーオーロ
<コバルトめっき液>
公知の硫酸浴またはスルファミン酸浴
<銅めっき液>
公知の硫酸浴
<パラジウムめっき液>
電解パラジウムめっき液:エヌ・イー ケムキャット社製 PD-LF-800
無電解パラジウムめっき液:エヌ・イー ケムキャット社製 Pallamex
<銀めっき液>
エヌ・イー ケムキャット社製 S-900
<錫めっき液>
エヌ・イー ケムキャット社製 CN494
<合金めっき液>
Pd−Ni合金めっき液:エヌ・イー ケムキャット社製 パルニック
【0033】
金めっき液としては、レジスト膜8の溶解を防止する観点から、非シアン系の電解金めっき液を使用することが望ましい。
【0034】
非シアン系の金めっき液は、金源として亜硫酸金アルカリ塩または亜硫酸金アンモニウムを含有するめっき液であり、以下の成分(1)〜(5)を含むものが例示される。
【0035】
(1)亜硫酸金アルカリ塩、亜硫酸金アンモニウム(金源)
亜硫酸金アルカリ塩としては、公知の亜硫酸金アルカリ塩を制限することなく使用できる。亜硫酸金アルカリ塩としては、例えば亜硫酸金(I)ナトリウム、亜硫酸金(I)カリウム等を挙げることができる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を併用しても良い。
【0036】
金源として使用する亜硫酸金アルカリ塩又は亜硫酸金アンモニウムの配合量は、金量として通常1〜20g/L、好ましくは8〜15g/Lである。亜硫酸金アルカリ塩又は亜硫酸金アンモニウムの配合量が1g/L未満であると、めっき皮膜厚が不均一になる場合がある。20g/Lを超えると、めっき皮膜の特性等は問題はないが、製造コストが高くなり経済的に負担となる。
【0037】
(2)水溶性アミン(安定化剤)
水溶性アミンとしては、炭素数2以上、好ましくは炭素数2〜6のジアミンが好ましく、例えば1, 2-ジアミノエタン、1,2-ジアミノプロパン、1, 6-ジアミノヘキサン等を挙げることができる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用しても良い。
【0038】
水溶性アミンの配合量は通常0.1〜30g/L、好ましくは1〜12g/Lである。水溶性アミンの配合量が30g/Lを超えると金錯塩の安定性は増大するが、一方でめっき皮膜が緻密化しすぎ接合性に関して不具合が生じる場合がある。0.1g/L未満では、限界電流密度が低下してヤケめっきになる場合がある。
【0039】
(3)Tl化合物、Pb化合物、As化合物(結晶調整剤)
結晶調整剤としては、例えば蟻酸タリウム、マロン酸タリウム、硫酸タリウム、硝酸タリウム等のTl化合物; クエン酸鉛、硝酸鉛、アルカンスルホン酸鉛等のPb化合物; 三酸化二砒素等のAs化合物を挙げることができる。これらのTl化合物、Pb化合物、As化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0040】
結晶調整剤の配合量は、金属濃度として通常0.1〜100mg/L、好ましくは0.5〜50mg/L、特に好ましくは3〜25mg/Lである。結晶調整剤の配合量が0.1mg/L未満であると、めっき付きまわり、めっき浴安定性および耐久性が悪化し、めっき浴の構成成分が分解する場合がある。100mg/Lを超えると、めっき付きまわりの悪化、およびめっき皮膜の外観ムラが生じる場合がある。
【0041】
(4)伝導塩
伝導塩としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等が使用できる。電解金めっき液におけるこれら伝導塩の配合量は、通常5〜150g/Lとするが、好ましくは50〜100g/L、特に好ましくは60〜90g/Lである。亜硫酸ナトリウムの配合量が5g/L未満であると、付きまわりおよび液安定性が悪化しめっき浴の分解が生じる場合がある。150g/Lを超えると、限界電流密度が低下しヤケめっきになる場合がある。
【0042】
(5)緩衝剤
緩衝剤としては、通常電解金めっき浴に使用されるものであれば特に限定されるものではないが、例えばリン酸塩、ホウ酸塩等の無機酸塩、クエン酸塩、フタル酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩等の有機酸(カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸)塩等を挙げることができる。
【0043】
緩衝剤の配合量としては、通常1〜30g/Lとするが、好ましくは2〜15g/L、特に好ましくは2〜10g/Lである。緩衝剤は配合量が1g/L未満であるとpHが低下することにより液安定性が悪化し、めっき浴成分の分解が生じる場合があり、30g/Lを超えると限界電流密度が低下しヤケめっきになる場合がある。
【0044】
電解金めっき液には、pH調整剤、ポリアルキレングリコール等の他の成分を適宜使用してもよい。特に分子量400〜6000のポリアルキレングリコールを配合した場合には、バンプの膨らみを抑制して、マスクパターンの寸法に近いバンプを得ることができるため、ポリアルキレングリコールを配合することが好ましい。ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等を挙げることができる。ポリアルキレングリコールの配合量としては、通常0.01mg〜10mg/L、好ましくは0.1〜5.0mg/L、特に好ましくは0.5〜1.0mg/Lである。
【0045】
pH調整剤としては、例えば酸として硫酸、亜硫酸水、りん酸等、アルカリとして水酸化ナトリウム、アンモニア水等が挙げられる。
【0046】
金めっき液のめっき条件は、以下のとおりである。
【0047】
めっき温度は通常40〜70℃とするが、好ましくは50〜65℃である。めっき浴温度が40〜70℃の範囲を外れると、めっき皮膜が析出しにくい場合や、めっき浴が不安定となりめっき浴成分の分解が生じる場合がある。
【0048】
めっきに使用する設定電流密度はめっき液の組成、温度等の条件により適切な範囲が異なるので一義的に決定することは難しいが、金濃度が8〜15g/L、60℃のめっき浴温度の条件下において、通常2.0A/dm2以下、好ましくは0.2〜1.2A/dm2である。設定電流密度が上記範囲を外れると、作業性が悪くなる場合や、めっき皮膜外観やめっき皮膜特性に異常が生じる場合、または著しくめっき浴が不安定となり、めっき浴成分の分解が生じる場合がある。
【0049】
金めっき液のpHは、通常7.0以上、好ましくは7.2〜10.0とする。pHが7.0未満であると、著しくめっき浴が不安定となり分解が生じる場合がある。一方pHが10.0以上であるとマスク材が溶解し、所望の金バンプ等が形成できない場合がある。
【実施例】
【0050】
実施例1〜5
被めっき物としてノボラック系ポジ型フォトレジストでパターンニングされたバンプ開口部を有するシリコンウエハー(素地断面組成は金スパッタ膜/TiW/SiO2)を用いた。フォトレジストの膜厚は22μmとした。電解または無電解めっきにより、金以外の金属皮膜にてバンプ全体の高さの50〜70%に相当するめっき皮膜を形成後、その上にバンプ全体の高さが20μmとなるように金皮膜を形成した。形成した金属皮膜の膜厚を表2に示す。
【0051】
各金属皮膜の形成に使用しためっき液は以下のとおりである。これらのめっき液を使用して表1に示すめっき条件でめっきを行った。
ニッケルめっき皮膜:公知のワット浴ニッケル電解めっき液
パラジウムめっき皮膜:エヌ・イー ケムキャット(株)製 PD-LF-800 電解めっき液
エヌ・イー ケムキャット(株)製 Pallamex800 無電解めっき液
銀めっき皮膜:エヌ・イー ケムキャット(株)製 S-900 電解めっき液
錫めっき皮膜:エヌ・イー ケムキャット(株)製 CN494 電解めっき液
金めっき皮膜:エヌ・イー ケムキャット(株)製 ECF 電解めっき液
【0052】
【表1】

【0053】
比較例1、2
各金属皮膜の膜厚を表2に示す膜厚とした以外は、実施例1〜5と同様にしてバンプを形成した。
【0054】
試験例1
実施例1〜5と同じ金めっき液を用い、表1に示すめっき条件で、厚さ20μmの金皮膜からなるバンプを形成した。
【0055】
実施例1〜5、比較例1、2、試験例1のバンプを形成した後、マスク材を除去し、下記評価方法にてバンプ外観、バンプ硬度の評価を行った。結果を表2に示す。
【0056】
〔バンプ外観〕
被めっき物上に形成されたバンプの表面皮膜外観を観察し、下記基準にて評価した。
× : 光沢外観であり、従来の金皮膜バンプ外観とは異なる。
○ : 色調がレモンイエローで無〜半光沢均一外観である。
【0057】
〔バンプ硬度(ビッカース硬度;Hv)〕
被めっき物上に形成された特定のコーナーバンプ部位を用い、その皮膜硬度(未熱処理および300℃30分熱処理後)を、ビッカース硬度計(アカシ製作所製 微小硬度計 MHV-H3)にて測定した。中硬度用途のバンプにおいて求められる特性としては、アニール後の皮膜硬度が70Hv程度である。なお測定条件は、測定圧子を25gf荷重で10秒保持する条件によった。
【0058】
〔総合評価〕
上記各評価結果から、下記評価基準にて評価した。
× : 形成されたバンプの評価結果に、好ましくない結果が含まれた。
○ : 形成されたバンプの評価結果が、全て良好な結果であった。
【0059】
【表2】

【0060】
実施例1〜5で形成したバンプは、試験例1の金皮膜のみで形成されたバンプと外観、硬度が同等であり、金皮膜のみで形成されたバンプの代替として使用できることが明らかとなった。
【0061】
比較例1、2で形成した金以外の金属の比率が高いバンプは、表面が平滑で、硬度が高いものであった。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明のバンプの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 半導体ウエハー
1’ 回路層
2 Al電極
3 パッシベーション膜
3a パッシベーション膜の開口部
4 TiWスパッタ膜
5 金スパッタ膜
6 UBM層
7 バンプ
8 レジスト膜
8a レジスト膜の開口部
10 下地めっき層
12 表面めっき層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハー上に形成された、下地めっき層と表面めっき層とからなる高さ15〜22μmのバンプであって、下地めっき層が、ニッケル、パラジウム、銀、錫又はこれらの合金からなる1層又は2層以上のめっき皮膜からなり、表面めっき層がバンプ高さの30%以上の膜厚の金めっき皮膜からなるバンプ。
【請求項2】
表面めっき層の膜厚がバンプ高さの30〜50%である請求項1に記載のバンプ。
【請求項3】
パターンニングされた半導体ウエハー上に、ニッケル、パラジウム、銀、錫又はこれらの合金からなる1層又は2層以上のめっき皮膜を電解または無電解めっきにより形成した後、前記めっき皮膜上に電解めっきにより金めっき皮膜を形成する請求項1に記載のバンプ形成方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−71093(P2009−71093A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−238847(P2007−238847)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(000228198)エヌ・イーケムキャット株式会社 (87)
【Fターム(参考)】