説明

バーコード・スキャナ

【課題】広い範囲のバーコード・タイプの読取り能力を強化する構成可能な映像モードを備えるバーコード・スキャナを提供する。
【解決手段】このバーコード・スキャナは、映像回路および複数の異なるタイプのバーコードを読み取るための走査動作中、映像回路の動作特性を変更するための構成回路を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品等に貼られたバーコードを光学的に読み取る(スキャニング)バーコード・スキャナに関し、特に、映像回路の動作モードを変更可能なバーコード・スキャナに関する。
【背景技術】
【0002】
バーコード・スキャナの映像フロント・エンド回路は、バーコード・ラベルを横切るレーザ・スポットからの不完全な信号に応答するように調整される。バーコード・ラベルの特徴は変化することができる。例えば、バーコードの密度または頻度および印刷品質は変化することができる。印刷品質は、上刷りまたは下刷り、ノイズを発生する遷移間の小さな斑点、印刷の濃度またはコントラストにより影響を受ける。
【0003】
バーコード・スキャナは、各チャネルの映像回路が、上記変数のうちの任意のものに関する読取りを最適化するように調整されているいくつかのチャネルを有することができる。いくつかのまたは1つだけの映像チャネルしか持たない安価なバーコード・スキャナは、異なるタイプのバーコードを読み取るように容易に最適化することができない。1つの映像チャネルしか持たないバーコード・スキャナは、種々様々に変化するすべてのバーコードを読み取るように最適化することができないスタティック回路を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バーコード・スキャナに構成可能な映像モードを備えるバーコード・スキャナを提供することは望ましいことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、映像回路、および複数の異なるタイプのバーコードを読み取るために、走査動作中映像回路の動作特性を変更するための構成回路を含むバーコード・スキャナを提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1を参照すると、例示としての光学スキャナ10は、レーザ12と、ミラー付きスピナ16と、パターン・ミラー18と、集光装置20と、検出装置22と、映像回路28と、制御回路32とを含む。
【0007】
レーザ12は、レーザ・ビームを発生する。
【0008】
ミラー付きスピナ16は、レーザ・ビームをパターン・ミラー18に向け、バーコード・ラベル42から反射した光を集光装置20に向ける。
【0009】
モータ26は、ミラー付きスピナ16を回転する。
【0010】
センサ24は、その回転経路上のミラー付きスピナ16の位置を入手するための信号を発生する。センサ24は、モータ26が1回転する度に一定の数のパルスを発生するホール効果装置を含むことができる。センサ24は、制御回路32にパルスを送る。
【0011】
パターン・ミラー18は、レーザ・ビームをバーコード・ラベル42の方向に向け、反射光をミラー付きスピナ16に向ける。
【0012】
集光装置20は、反射光を集光し、それを検出装置22の方向に向ける。
【0013】
検出装置22は、反射光を電気信号に変換する。
【0014】
映像回路28は、電気信号からバーコード・データを抽出する。映像回路28は、アナログ映像前処理回路34と、デジタル映像処理回路36とを含む。例示としての光学スキャナ10は、1つの映像チャネルしか含んでいないが、本明細書に記載するコンセプトは、2つ以上の映像チャネルを備えるスキャナにも適用することができる。
【0015】
アナログ映像前処理回路34は、アナログ映像信号を発生し、この信号をデジタル映像処理回路36に送る。
【0016】
デジタル映像処理回路36は、前処理した信号からバーコード・データを抽出する。
【0017】
制御回路32は、スキャナ10の動作を制御し、映像回路28からのバーコード・データを復号し、復号したバーコード・データをコンピュータ50に送る。制御回路32は、ミラー付きスピナ16の位置およびメモリ72(図2)内の構成設定70に基づいて、アナログ映像前処理回路34の動作特性をさらに変更する。
【0018】
図2を参照すると、この図は、アナログ映像前処理回路34の詳細図である。
【0019】
アナログ映像前処理回路34は、プリアンプ60と、帯域フィルタ62と、閾値発生器64と、アナログ−デジタル(A/D)変換器66と、構成回路68とを含む。
【0020】
プリアンプ60は、検出装置22からの出力信号を増幅する。
【0021】
帯域フィルタ62は、周波数の極値を濾波する。
【0022】
閾値発生器64は、濾波したアナログ信号に対する比較閾値レベルを確立する。
【0023】
帯域フィルタ62および閾値発生器64の両方は、受動電子部品を含む。プリアンプ60からのノイズは、帯域フィルタ62の設計中に考慮の対象にしなければならない。帯域フィルタ62および閾値発生器64の特徴を示すいくつかの異なる個別部品の値は、経験的に決定することができる。
【0024】
A/D変換器66は、濾波した閾値を超えたアナログ信号を、デジタル映像処理回路36によりさらに処理され、最終的に制御回路32により復号されるデジタル信号に変換する。
【0025】
構成回路68は、制御回路32からの制御信号に応じて、アナログ映像前処理回路34の動作特性を変更する。制御信号は、位置センサ24からのスピナの位置情報に基づくものである。ある例示としての動作モードの場合には、構成回路68は、ミラー付きスピナ16の各回転のたびに動作特性を変更する。
【0026】
構成回路68は、バーコードの密度、コントラストおよび印刷品質の所定の範囲に基づいて、帯域フィルタ62の動作特性および閾値発生器64からの閾値を変更することができる。異なるバーコード・シナリオに対する構成の設定70は、メモリ72に格納される。
【0027】
構成回路68は、制御回路32からの制御信号に応じて、ミラー付きスピナ16の各回転中、すべての構成設定70を通して自動的に循環することができる。それ故、スキャナ10は、1回の走査動作中広い範囲のバーコード・ラベルを読み取ることができる。追加のオプションとして、各サイクル中、より一般的なバーコード密度および印刷品質に対する構成設定を強調するために、スクリプトまたは他の方法で構成回路68をプログラムすることができる。例えば、構成回路68は、より一般的なバーコード密度および印刷品質のための構成設定を、より一般的でないバーコード密度および印刷品質の2倍適用することができる。
【0028】
図3を参照すると、この図は、開始ステップ80から開始するこの例示としての実施形態の詳細図である。
【0029】
ステップ82において、構成回路68は、スクリプトがメモリ72内にまだ格納されていない場合には、ブートアップ時にスクリプトをメモリ72内にロードする。構成回路68は、制御回路24を通して、POS端末のような付属のコンピュータからスクリプトを入手することができる。
【0030】
ステップ84において、制御回路24は、走査動作を受信するために待機する。走査動作が開始した場合には、動作はステップ86に進む。
【0031】
ステップ86において、制御回路24は、まだ作動していない場合には、レーザ12およびモータ26を作動する。制御回路24は、走査経路内のセンサからの信号に応じて、レーザ12およびモータ26を作動することができる。
【0032】
ステップ88において、制御回路24は、スピナ位置センサ24からの信号を受信するために待機する。信号を受信した後で、動作はステップ90に進む。
【0033】
ステップ90において、制御回路24は、イネーブル信号を構成回路68に送る。
【0034】
ステップ92において、構成回路68は、メモリ72から構成設定70を読み取り、構成設定70に従ってアナログ映像前処理回路34の動作特性を変更する。スクリプトが異なる構成設定70を要求すると、構成回路68は、メモリ72から異なる構成設定を読み取り、それを実行する。
【0035】
ステップ94において、制御回路24は、すべての走査動作が終了したか否かを判定する。終了した場合には、動作はステップ84に戻る。終了していない場合には、動作はステップ88に進む。
【0036】
この解決方法は、バーコード・スキャナ10において、複数の映像フロント・エンドを提供するためのコスト・パフォーマンスのよいアプローチを提供する。性能の観点から見ると、バーコード・スキャナ10は、広い範囲のバーコード密度および印刷コントラスト・レベルで動作することができる。
【0037】
いくつかの実施形態について特に詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなしに、種々の変更および修正を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】例示としての光学バーコード・スキャナのブロック図である。
【図2】光学バーコード・スキャナのアナログ映像前処理回路のブロック図である。
【図3】映像モードの構成方法を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像回路と、
複数の異なるタイプのバーコードを読み取るための走査動作中、前記映像回路の動作特性を変更するための構成回路とを含むバーコード・スキャナ。
【請求項2】
前記映像回路が、1つのチャネル映像回路を備える、請求項1に記載のスキャナ。
【請求項3】
前記構成回路が、前記映像回路の複数の異なる構成設定の中から選択するスクリプトを実行する、請求項1に記載のスキャナ。
【請求項4】
前記映像回路が、
帯域フィルタと、
閾値発生器とを備え、
前記構成回路が、帯域フィルタ動作特性および閾値発生器動作特性を変更する、請求項1に記載のスキャナ。
【請求項5】
前記構成回路が、前記帯域フィルタおよび前記閾値発生器の複数の異なる構成設定の中から選択するスクリプトを実行する、請求項4に記載のスキャナ。
【請求項6】
ミラー付きスピナと、
前記ミラー付きスピナの位置を識別する信号を発生するためのセンサとをさらに備え、
前記構成回路が、前記センサからの信号に応じて前記映像回路の前記動作特性を変更する、請求項1に記載のスキャナ。
【請求項7】
ミラー付きスピナと、
前記ミラー付きスピナを回転するためのモータと、
前記ミラー付きスピナの位置を識別する第1の信号を発生するためのセンサと、
1つのチャネル映像回路であって、
帯域フィルタと、
閾値発生器と、
を含む1つのチャネル映像回路と、
複数の異なるタイプのバーコードを読み取るための走査動作中、前記1つのチャネル映像回路の動作特性を変更するための映像構成回路と、
前記モータの動作を制御し、前記センサからの前記第1の信号を受信した場合に、第2の信号を前記映像構成回路に送るための制御回路とを備え、
前記映像構成回路が、前記第2の信号に応じて、前記帯域フィルタおよび前記閾値発生器の複数の異なる構成設定の中から選択するスクリプトを実行し、前記構成設定に従って、帯域フィルタの動作特性および閾値発生器の動作特性を変更するバーコード・スキャナ。
【請求項8】
走査方法であって、
a)走査動作中、映像回路の動作特性を変更するステップと、
b)前記走査動作中、複数の異なるタイプのバーコードのうちの任意のものを読み取るステップとを含む方法。
【請求項9】
ステップa)が、
a−1)前記映像回路の複数の異なる構成設定を決定するステップと、
a−2)前記走査動作中、前記構成設定の中から選択するステップと、
a−3)前記動作特性を変更するために選択した構成設定を実施するステップとを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップa)が、
a−1)前記映像回路の複数の異なる構成設定を決定するステップと、
a−2)前記異なる構成設定の選択した設定を識別するスクリプトを生成するステップと、
a−3)前記動作特性を変更するために前記選択した設定を実施するために前記スクリプトを実行するステップとを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
ステップa)が、
a−1)走査動作中に前記映像回路の帯域フィルタおよび閾値発生器の動作特性を変更するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
ステップa)が、
a−1)ミラー付きスピナの位置を示す信号を受信した場合に、前記映像回路の動作特性を変更するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
ステップa−2)が、
a−2)ミラー付きスピナの位置を示す信号を受信した場合に、前記構成設定の中から選択するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
ステップa−3)が、
a−3)ミラー付きスピナの位置を示す信号を受信した場合に、前記スクリプトを実行するステップを含む、請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−77653(P2008−77653A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−237424(P2007−237424)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(391007161)エヌ・シー・アール・コーポレイション (85)
【氏名又は名称原語表記】NCR CORPORATION
【Fターム(参考)】