説明

バーコード対を利用した商品の真偽判別方法およびシステム

【課題】バーコードを利用して、商品が正規のものであるか否かを簡単に確認することのできる商品の真偽判別方法を提案すること。
【解決手段】商品1には可視状態(公開状態)の未開封確認用バーコード2aと、シール状態(秘密状態)の開封登録用バーコード2bが添付される。店舗8などにおいて、可視状態の未開封確認用バーコード2aを読み取って、その情報を真偽判別サーバ5のデータベース6の登録内容と照合することにより、当該バーコード2aが添付された商品が既に開封済みか否かを確認できる。既に開封済みの場合には、その商品は模倣品であり、添付のバーコード2a、2bが不正コピーされたものであると判断でき、一般市場に出回る前に排除できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品に添付されているバーコードを用いて当該商品が正規の商品であるか否かを判別することのできる商品の真偽判別方法およびシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の商品、たとえばボトル詰めの飲料などにおいては、販売促進などを目的として、購買者に対して抽選により景品が提供される場合がある。この場合、ボトルの表面に圧着シールで覆われたQRコードなどの二次元バーコードの形態でアクセスコードを添付しておき、購買者に、剥離シールを剥がしてアクセスコードを用いてインターネットサイトにアクセスして登録させて、景品などを提供する方法を採用できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、バーコードが添付されている正規の商品を購入して、そこに添付されているバーコードを不正にコピーして模倣品に添付して市場に流通させる違法行為が行われる危険性がある。このような模倣品は、小売店などにおいて販売される前の時点で見つけることができない。模倣品を購入した購入客がバーコードを開封してインターネットサイトにアクセスして初めて分かる。すなわち、バーコードを開封しないと不正を見つけることができない。
【0004】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、商品に添付されているバーコードを開封することなく、当該商品が正規のものであるか否かを確認できるようにし、バーコードの不正コピーによる弊害を防止することのできる商品の真偽判別方法およびシステムを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明のバーコード対を利用した商品の真偽判別方法は、
可視状態の未開封確認用バーコード、および、開封可能な状態でシールされている開封登録用バーコードからなるバーコード対にエンコードされているバーコード情報が、当該バーコード対が付与される商品に対応付けした形態で登録されたデータベースを作成し、
商品に付与されているバーコードの読取情報が提供されると、当該読取情報が前記開封登録用バーコードおよび前記未開封確認用バーコードのいずれのものであるのかを判別し、
前記開封登録用バーコードの場合には、前記データベースに登録されている当該開封登録用バーコード情報の属性を、未開封から開封済みに更新し、
前記未開封確認用バーコードの場合には、前記データベースに登録されている当該未開封確認用バーコード情報と対となっている前記開封登録用バーコード情報の属性を調べ、
当該属性が未開封の場合には、前記未開封確認用バーコードが付与されている商品を正規の商品であると判定し、
当該属性が開封済みの場合には、前記商品を模倣品であると判定することを特徴としている。
【0006】
本発明では、商品に一対のバーコードが添付されており、一方は可視状態(公開状態)とされ、他方はシール状態(秘密状態)とされている。小売店などにおいて、可視状態の未開封確認用バーコードを読み取って、その情報をデータベースの登録内容と照合することにより、当該バーコードが添付された商品が既に開封済みか否かを確認できる。換言すると、当該商品が既に販売されてシール状態(秘密状態)の登録用バーコードが開封されて登録手続が行われたか否かを確認できる。既に開封済みの場合には、その商品は模倣品であり、添付のバーコードが不正コピーされたものであると判断でき、一般消費者に購入される前などにおいて排除できる。
【0007】
ここで、前記開封登録用バーコードおよび未開封確認用バーコードとしては、情報記憶容量の多いQRコードなどの二次元バーコードを用いることができる。
【0008】
また、商品の管理を一箇所あるいは複数箇所において集中管理する場合には、インターネットなどの通信網を介して、小売店などから、商品に付与されているバーコードの読取情報の提供を受けるようにすればよい。
【0009】
この場合には、商品が正規の商品であるか否かの判定結果を、インターネットなどの通信網を介して、前記バーコードの読取情報の提供元である小売店などに通知するようにすればよい。
【0010】
さらに、商品に添付されている開封登録用バーコードが開封済みであることの登録を促進するためには、登録手続に対して景品などを提供するか、あるいは、登録手続が行われると抽選あるいはくじ引きを行ってプレゼントを提供するなどのサービスを行うようにすればよい。
【0011】
次に、本発明はバーコード対を利用した商品の真偽判別用プログラムであって、コンピュータに上記の方法を実行させることを特徴としている。
【0012】
一方、本発明のバーコード対を利用した商品の真偽判別システムは、
商品に取り付けるための、開封可能な状態でシールされている開封登録用バーコードおよび、可視状態の未開封確認用バーコードからなるバーコード対と、
前記バーコード対にエンコードされたバーコード情報、および、当該バーコード対が付与された商品が対応付けした形態で登録されているデータベースと、
前記データベースの登録内容に基づき、商品の真偽を判別するための真偽判別サーバと、
インターネットなどの通信網を介して前記真偽判別サーバとの間で情報の送受を行うことのできる通信端末と、
前記通信端末に内蔵あるいは接続されているバーコードリーダーとを有し、
前記真偽判別サーバは、
商品に付与されているバーコードの読取情報を受信すると、前記読取情報が前記開封登録用バーコードおよび前記未開封確認用バーコードのいずれであるのかを判別するバーコード判別部と、
前記読取情報が前記開封登録用バーコードの場合には、前記データベースに登録されている当該開封登録用バーコードの属性を未開封から開封済みに更新する更新部と、
前記読取情報が前記未開封確認用バーコードの場合には、前記データベースに登録されている当該未開封確認用バーコードと対となっている前記開封登録用バーコードの属性を調べ、当該属性が未開封の場合には、前記未開封確認用バーコードが付与されている商品を正規の商品であると判定し、当該属性が開封済みの場合には、前記商品を模倣品であると判定する商品判別部とを備えていることを特徴としている。
【0013】
ここで、前記登録用バーコードおよび開封確認用バーコードとしては、QRコードなどの二次元バーコードを用いることができる。
【0014】
また、前記登録用バーコードは、再貼着不能な剥離シールによってシールされた状態で商品に取り付けておくことができる。
【0015】
さらに、前記バーコード対は次の(1)〜(3)のいずれかの形態で商品に取り付けておくことができる。
(1)前記バーコード対を商品に直接に取り付ける形態
(2)前記バーコード対を商品の包装箱などの包装に取り付ける形態
(3)一方のバーコードを商品に直接に取り付け、他方のバーコードを商品の包装に取り付ける形態
【0016】
また、前記真偽判別サーバは、前記開封登録用バーコードの読取情報を受信すると、前記通信端末に対して、予め定められている景品を提供する旨を送信するか、あるいは、予め定められている抽選などの処理を実行して得られる処理結果を送信する通知部を備えた構成とすることができる。
【0017】
次に、本発明は、上記の商品の真偽判別方法に用いる商品に添付されるバーコード対であって、可視状態の未開封確認用バーコードと、開封可能な状態でシールされている開封登録用バーコードとを有し、前記未開封確認用バーコードには、ID用文字列、確認用通信であることを示す情報、および通信先を表す情報がエンコードされており、前記開封登録用バーコードには、ID用文字列、登録用通信であることを示す情報、および通信先を表す情報がエンコードされていることを特徴としている。
【0018】
また、本発明は、上記の商品の真偽判別方法に用いるバーコード対が添付された商品であって、前記バーコード対は、可視状態の未開封確認用バーコードと、開封可能な状態でシールされている開封登録用バーコードとを有し、前記未開封確認用バーコードには、ID用文字列、確認用通信であることを示す情報、および通信先を表す情報がエンコードされており、前記開封登録用バーコードには、ID用文字列、登録用通信であることを示す情報、および通信先を表す情報がエンコードされていることを特徴としている。
【0019】
この場合においても、上記の(1)〜(3)のいずれかの形態でバーコード対を商品に添付しておけばよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明のバーコード対を利用した商品の真偽判別方法およびシステムにおいては、商品に、可視状態で未開封確認用バーコードを添付すると共にシール状態で開封登録用バーコードを添付し、このバーコード対と商品の対応関係を予めデータベースに登録しておき、開封登録用バーコードの読取情報を受け取ると、それが添付されている商品の属性情報を未開封から開封済みに変えてデータベースに登録し、未開封確認用バーコードの読取情報を受け取ると、それが添付されている商品の属性が未開封の場合には当該商品が正規の商品であると判定し、開封済みの場合には当該商品が模倣品であると判定している。
【0021】
したがって、本発明によれば、開封登録用バーコードを開封することなく、不正コピーされたバーコード対が添付された商品(模倣品)であるか否かを確認できる。よって、消費者の手に、かかる模倣品が販売されてしまうことを事前に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、図面を参照して本発明を適用したバーコード対を利用した商品の真偽判別方法の実施の形態を説明する。
【0023】
[商品の真偽判別の原理]
まず、図1を参照して、本発明による商品の真偽判別方法の原理を説明する。本発明によるシステムは、インターネットおよび通信技術、2次元または一次元バーコード技術、および、サーバ技術を利用して構築することができる。販売される商品1には、可視状態の未開封確認用バーコード2aおよび遮蔽状態の開封登録用バーコード2bからなる一対の二次元または一次元バーコード2が添付される。一般的には、バーコード2a、2bが印刷されたバーコードラベル3が商品1に貼り付けられ、バーコードラベル3における登録用バーコード2bが印刷されている部分には、剥離可能で、かつ、再添付不能なカバーシール、例えば圧着シール4が貼り付けられ、登録用バーコード2bがシールされた状態にされる。
【0024】
未開封確認用バーコード2aおよび開封登録用バーコード2bには、それぞれについて唯一固有のID文字列がエンコードされ、当該文字列の組み合わせを含むバーコード情報が、文字列発行時に真偽判別サーバ5のデータベース6に登録される。また、当該文字列の組み合わせに対して未開封を示す標識が付けられる。
【0025】
商品製造元7からバーコード対2が添付された商品1が店舗8に出荷される。店舗8においては、可視状態の未開封確認用バーコード2aを、POSシステムなどに付帯のバーコードリーダーなどで読み取り、読み取った情報をインターネットなどの通信回線網を経由して真偽判別サーバ5に送信する。真偽判別サーバ5では、受信した未開封確認用バーコード2aによって表される文字列が含まれている文字列対をデータベース6から検索し、当該文字列対に付与されている指標が「未開封」であるのか「開封済み」であるのかを確認する。初期状態では未開封となっており、これを確認して、真偽判別サーバ5は当該商品が正規の商品であると判断して、その旨を、店舗8に送信する。
【0026】
店舗8において商品1を購入した購入者9は、圧着シール4を剥がして開封登録用バーコード2bを開封し、開封登録用バーコード2bの内容を携帯電話内蔵読み取りシステムまたはパソコンに付帯のバーコードリーダーにより読み取ってインターネットなどの通信回線網を経由して、真偽判別サーバ5に送信する。真偽判別サーバ5は、開封登録用バーコード2bの情報を受信すると、これに付与された文字列が含まれる文字列対に付与されている指標を「未開封」から「開封済み」に更新する。これにより、商品の開封登録手続が完了する。
【0027】
上記のように、小売店・一般消費者・メーカー・流通関係者は、未開封確認用バーコード2aをサーバ5に送信してデータベース6を検索しその商品が「開封済み」かまたは「未開封」かの確認を行うことができる。開封登録以降の未開封確認用バーコード2aによる確認結果は、「開封済み」となるので、仮に未開封確認用コード2aが同じで、開封登録用バーコード2bが未開封の商品が入荷された場合には、当該商品が模倣品であると判別できる。
【0028】
例えば、図1に示すように、正規の商品1(1)、1(2)、1(3)・・・に添付のバーコード対3にエンコードされた文字列対が(A100/a100)、(A101/a101)、(A102/a102)・・・であり、偽物製造者10が、一つの正規商品1(1)を購入して、そこに添付されているバーコード対3の不正コピーを製作して多数本の模倣品1Aに添付して市場に流通させたとする。この場合には、同一内容のバーコード対3が添付された商品のうちの最初の一つについては開封登録できるが、それ以後には、同一のバーコード対3が添付されている商品は偽物であるとして排除できる。
【0029】
このように、本発明では、ネットワーク化技術、バーコード自動認識技術を基礎に、真偽判定用のバーコード対の一方をシール遮蔽したことで、公開鍵と秘密鍵の関係を形成している。これにより、開封確認と開封登録を1つのバーコードにより行う方式で発生する悪戯による不正開封登録を防ぐことができると共に、シールされている登録用バーコード(秘密鍵)の開封行為を行うことなく商品の真偽判定ができる。さらには、特定のネットワークやIPアドレスおよび端末装置IDなどの装置環境に拘束されることなく、インターネットなどの通信回線網を利用できるところなら、どこからでも真偽判定ができる簡素で確実な全自動の模倣品判別システムを構築できる。
【0030】
[商品の真偽判別システム]
次に、図2ないし4を参照して、本発明を適用した商品の真偽判別システムの実施の形態を説明する。図2は商品の真偽判別システムの全体構成を示す概略構成図であり、図3および4は真偽判別システムの動作を示す概略フローチャートである。
【0031】
(全体構成)
まず、図2を参照して説明すると、商品の真偽判別システム11は、真偽判別サーバ12aおよびデータベース12bを含む管理装置12と、各店舗などに設置されているQRコード(バーコード)リーダー装置13が付設されているPOS端末14、商品購入者が所有しているQRコードリーダー内蔵型携帯電話15などの通信端末16とを有しており、通信端末16と管理装置12の間はインターネット17、携帯電話網18などを含む通信網を介して通信可能となっている。また、酒などの商品19に添付されたバーコード対20を備えている。バーコード対20は、バーコードラベル21の表面に印刷された未開封確認用QRコード20aおよび開封登録用QRコード20bからなり、開封登録用QRコード20bは、剥離可能で、再添付不能な圧着シール22によってシールされている。
【0032】
ここで、商品19に添付されているバーコードの開封登録の手順は次のように行われる。商品19に添付されているバーコードラベル21から、開封登録用QRコード20bを隠している圧着シール22を剥がし、通信端末16により、開封登録用QRコード20bに担持されている情報を読み取り、インターネット17などの通信網を経由して、管理装置12に送信する。管理装置12は受信した情報でデータベース12bを検索し、当該データベース12bの該当レコードに開封したことを示す標識およびその日時を記録する。
【0033】
また、商品19に添付されているバーコードの開封確認の手順は次のように行われる。商品19に添付されているバーコードラベル21に印刷されている可視状態の開封登録用QRコード20aを、通信端末16により読み取り、読み取った未開封確認用QRコード20aに担持されている情報をインターネット17などを経由して、管理装置12に送信する。管理装置12は受信した情報でデータベース12bを検索し、データベース12bの該当レコードの開封または未開封の標識情報と開封されていた場合の開封日時をインターネット17を経由して、通信端末16の画面に、開封または未開封の説明文字を伴って表示する。
【0034】
次に、QRコード20a、20bは、マトリクス型の2次元バーコードであり、商品19に添付されたバーコードラベル21には、未開封確認用QRコード20aと開封登録用QRコード20bの2つが印刷されている。これらのQRコード20a、20bには、それぞれ、乱数発生させた唯一固有のID文字列、確認用通信であるのか登録用通信であるのかの種別、およびインターネット17などを経由して接続する管理装置12の通信先情報、たとえばURL情報が、通信端末16から管理装置12に送信可能な形式で担持されている。
【0035】
通信端末16に接続あるいは内蔵されているQRコードリーダーは、現在普及しているQRコードリーダーを利用できる。たとえば、QRコードリーダー装置13は、光学読み取り部13aおよび読み取りスイッチ13bを備え、読み取り部13aからは、読み込み可能位置を示すレーザー光による表示が出力されている。その表示を当該QRコード20a、20bにあわせて、読み取りスイッチ13bを押下することで、自動的にQRコード20aあるいは20bを読み込み、QRコード20aまたは20bに担持されている内容を文字列にデコードして、USB端子により接続されているPOS端末14のキーボード入力と同等の入力として転送する。
【0036】
POS端末14は、QRコードリーダー装置13から入力されたデータをキーボードからの入力と認識し、即座にQRコード20aまたは20bから得られる通信先情報を利用して、唯一固有のID文字列、確認用通信または登録用通信の区別情報を伴って、インターネット17などを経由して管理装置12に接続し、文字列および確認用通信または登録用通信の区別情報を送信する。
【0037】
管理装置12の側では、未開封確認用の場合には判定結果を、開封登録用の場合は登録の成否を生成し、POS端末14に例えばHTML形式のデータを送信し、POS端末14の表示装置14aにインストールされているウェブブラウザを介して表示する。
【0038】
通信端末16としては、現在普及しつつあるQRコードリーダー内蔵の携帯電話15を利用できる。たとえば、携帯電話15は、光学読み取り部と兼用されたカメラ15aおよび操作部15bを備えている。操作部15bの画面15cにはカメラの撮影内容がモニタされ、モニタ表示を当該QRコード20aまたは20bにあわせて、操作部読み取りスイッチを押下することで、自動的にQRコード20a、20bを読み込みこんで、それらに担持されている内容を文字列にデコードする。そして、QRコード20a、20bから得られる通信先情報を利用し、唯一固有のID文字列、および、確認用通信または登録用通信の区別情報を伴って、携帯電話無線通信網18からインターネット17を経由して管理装置12に接続し、文字列と、確認用通信または登録用通信の区別情報を送信する。
【0039】
管理装置12の側では、確認用の場合には判定結果を、登録用の場合は登録の成否を生成し、携帯電話15にHTML形式または類似の形式でのデータを送信し、携帯電話15の表示装置15cに内蔵のブラウザを介して表示する。
【0040】
管理装置12のデータベース12bには、QRコード20a、20bを大量に発行する段階で、それぞれのバーコードラベル21に印刷されているQRコード20a、20bに担持される唯一固有のID文字列の対が登録される。また、属性情報として、開封済み、および未開封のいずれであるかを示す指標、および、開封済みの場合にはその日時に関する情報が付与される。
【0041】
(動作説明)
次に、図3および4を参照して、本例の商品の真偽判定システム11の動作を説明する。まず、QRコードの読み取り側である通信端末16の側の処理は次の通りである。
【0042】
ST1:
POS端末14に接続されたQRコードリーダー装置13または携帯電話15内蔵のQRコードリーダーを用いた読み取り動作の開始
ST2:
QRコードリーダー装置13あるいは携帯電話内蔵のQRコードリーダーにおいて、読取対象がQRコードであるか否かを判断
ST3:
QRコード20aあるいは20bに担持されている通信先情報、唯一固有のID文字列、および、確認用通信または登録用通信の区別情報の解読
ST4:
QRコード20aあるいは20bに担持されている通信先情報、唯一固有のID文字列、および、確認用通信または登録用通信の区別情報を、QRコード20aあるいは20bに担持された通信先情報により管理装置12に接続し、同装置12に向けてQRコード20aあるいは20bに担持されている情報を送信する。
ST5:
管理装置12から、未開封確認用QRコード20aの場合には確認結果を、開封登録用QRコード20bの場合には登録結果の状況を、受信する。
ST6:
受信した結果データを、POS端末14の表示装置14a、または携帯電話15の操作部15bの表示画面15cに表示する。未開封確認用QRコード20aの場合には確認結果が表示され、開封登録用QRコード20bの場合には登録結果の状況が表示される。
ST7:
所定の通信を完了した段階で、通信を切断する。
【0043】
一方、QRコードを受信する管理装置12の真偽判別サーバ12aの側の処理は次の通りである。
【0044】
ST8:
POS端末14または携帯電話15がQRコード20aあるいは20bに担持されている通信先情報により管理装置の真偽判別サーバ12aに接続し、同サーバ12aはQRコード20aまたは20bに担持されている情報を受信する。
ST9,ST14:
確認用通信または登録用通信の区別情報を使い、未開封確認処理または開封登録処理に分岐する。
ST10:
未開封確認処理においては、担持されている唯一固有IDの文字列でデータベース12bの登録内容をチェックする。チェックプログラムは図4に示すフローチャートに示すように、以下の通りである。まず、SubST1においてチェックプログラムを起動させる。次に、SubST2において未開封確認用QRコード20aに担持されている唯一固有のID文字列をデータベース12bから照会する。この後は、SubST3において同唯一固有のID文字列に該当した行データに「開封済み」の登録の有無を判別する。次に、SubST4において「開封済み」の登録が無い場合には、商品が本物であると判定する。また、SubST5において「開封済み」の登録が有る場合には、開封済みであると判定し、QRコード20bの圧着シール22が剥がされていない商品であれば、未開封商品なのにすでに開封登録があるので、偽物であることを結論に追加する。
ST11:
該当結果評価プログラムを実行する。
ST12:
結果送信プログラムからPOS端末14または携帯電話15に送信する。
ST15:
受信したQRコードが開封登録用のQRコード20bの場合には開封登録用プログラムが起動する。開封登録用プログラムは、データベース12bを検索し、登録プログラムにより当該唯一固有のID文字列を含む行データが登録済みか否かを確認し、未登録ならば開封した標識およびその日時で、その行データを更新する。この登録プログラムの内容は図4のフローチャートに示すように、SubST7において、登録プログラムにより当該唯一固有ID文字列を含む行データが登録済みか否かを確認し、未登録ならば開封した標識および現在日時でその行データを更新する。
ST16:
プレゼントプログラムは、利用者に登録作業を動機付けるための抽選やくじ引きを実施するプレゼントプログラムである。このプレゼントプログラムは、図4に示すように、SubST6において稼動し、抽選など所定のプログラムが実行され、結果をPOS端末14または携帯電話15への送信データに追加する。
ST17:
結果評価プログラムにより登録結果の状況(ST15の実行結果)と抽選結果などの表示(ST16の実行結果)を整形した上で、結果送信プログラム(ST12)からPOS端末14または携帯電話15に送信する。
ST13:
所定の通信を完了した段階で、通信を切断する。
【0045】
(実施の形態の作用効果)
このように、本例の商品の真偽識別システム11においては、通信端末16がQRコード20aまたは20bに担持された通信先情報に従って、読み取った情報を真偽判別サーバ12aに送信して、当該真偽判別サーバ12aがQRコード20aまたは20bに担持されている情報を受信すると(ST8)、確認用通信または登録用通信の区別情報を使い、開封確認用プログラムまたは開封登録用プログラムの一方が起動する(ST9、14)。
【0046】
開封確認用プログラムは、データベース12bを検索するチェックプログラム(ST10)で検索し、該当結果評価プログラム(ST11)を実施した上で、結果送信プログラム(ST12)を起動して通信端末16に送信する。
【0047】
開封登録用プログラムは、データベース12bを検索し、登録プログラム(ST15)により当該唯一固有のID文字列を含む行データが登録済みか否かを確認し、未登録ならば開封した標識およびその日時で、その行データを更新する。プレゼントプログラム(ST16)は、利用者に登録作業を動機付けるための抽選やくじ引きを実施するプレゼントプログラムであり、結果評価プログラム(ST17)により登録結果の状況(ST15の実行結果)と抽選結果などの表示(ST16の実行結果)を整形した上で、結果送信プログラム(ST12)から通信端末16に送信する。
【0048】
したがって、本例のシステム11を用いれば、商品を販売している店舗などにおいて、そこに設置されているPOS端末を用いて、商品に添付されている公開鍵として機能する未開封確認用QRコード20aを読み込み、これを真偽判別サーバ12aに送信して、商品が未開封および開封済みのいずれであるのかを確認できる。開封済みの結果を受信した場合に、当該商品の開封登録用QRコード20bが未開封状態の場合には、当該商品が偽物であると判断することができる。すなわち、不正コピーされたQRコード対が添付された模倣品であることが分かる。したがって、このような模倣品が市場に流れること、あるいは、顧客に販売されてしまうことを未然に防止できる。
【0049】
よって、本例のシステム11を用いれば次のような利点がある。
(1)QRコードを利用することで、顧客自身が簡単な操作をするだけで不正複製品であるか否かを確認できる。
(2)各商品に単一の2種類の商品管理用IDをQRコードの形態で添付することにより、単品毎に真贋を判定することができる。
(3)簡単な方法で偽物の存在を特定できるので、偽物が市場に流通することを抑制あるいは防止できる。
(4)再接着できない圧着方式などのシールによって開封登録用QRコードをシールしてあるので、不正開封のいたずらを排除できる。
(5)ウェブサーバ(真偽判別サーバ)で商品管理用IDであるQRコードを一元管理できるので、国内のみならず海外からも商品の真贋のチェックを行うことができる。
(6)プレゼントやくじ・抽選の応募で動機付けを行うので、顧客は気付かぬうちに、開封登録を行う。このため、手間を掛けずに高い開封登録率を期待できる。
【0050】
[その他の実施の形態]
上記の実施の形態ではバーコードとしてQRコードを採用している。QRコード以外の二次元バーコードを用いることもできる。また、一次元バーコードを用いることも可能である。
【0051】
また、上記の形態では、QRコードを商品に直接添付しているが、商品の包装箱などに添付してもよい。勿論、一方のバーコードを商品に直接添付し、他方のバーコードを包装箱などに添付してもよい。
【0052】
さらに、上記の形態では、バーコードラベルの表面に並べて一対のバーコードを印刷しているが、バーコードラベルの表面に開封登録用バーコードを印刷し、これを、未開封確認用バーコードが表面に印刷されている圧着シールなどによって覆い隠した構成とすることもできる。
【0053】
さらに、未開封確認用バーコードおよび開封登録用バードコードを用いたシステムのセキュリティを高めるためには、例えば、RSA技術を用いた公開鍵および秘密鍵により、これらのバーコードの正当性を認証するようにすればよい。この場合には、バーコードにエンコードするIDの生成に当たっては、まず、元になるID用文字列を作成し、これに基づき、RSAにより2つの鍵を使って暗号化した文字列を作成し、これらの文字列をバーコードにエンコードするIDとして使用する。ここで、鍵は公開せずに、暗号化前のID文字列と暗号化後のID文字列を公開する。バーコードの判定時には、バーコードにエンコードされているIDが正規のものか否かを判別するために、バーコードから一連のID文字列を読み取った後に、認証サーバーにID文字列を転送して、ID文字列から、IDの生成時に用いた元になるID用文字列を抽出し、これを鍵により暗号化した結果が、バーコードから読み取ったID文字列内の暗号化後のID文字列と一致するか否かを判断する。一致しなかった場合には不正なIDであると判断する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明による真偽判別の原理を示す説明図である。
【図2】本発明を適用した商品の真偽判別システムの概略構成図である。
【図3】図1のシステムの動作を示す概略フローチャートである。
【図4】図1のシステムの動作を示す概略フローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1 商品
1A 模倣品
2 バーコード対
2a 未開封確認用バーコード
2b 開封登録用バーコード
3 バーコードラベル
4 圧着シール
5 真偽判別サーバ
6 データベース
7 製造元
8 店舗
9 購入者
10 偽物製造者
11 商品の真偽判別システム
12 管理装置
12a 真偽判別サーバ
12b データベース
13 QRコードリーダー装置
14 POS端末
15 携帯電話
16 通信端末
17 インターネット
18 携帯電話無線網
19 商品
20 QRコード対
20a 未開封確認用QRコード
20b 開封登録用QRコード
21 バーコードラベル
22 圧着シール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視状態の未開封確認用バーコード、および、開封可能な状態でシールされている開封登録用バーコードからなるバーコード対にエンコードされているバーコード情報が、当該バーコード対が付与される商品に対応付けした形態で登録されたデータベースを作成し、
商品に付与されているバーコードの読取情報が提供されると、当該読取情報が前記開封登録用バーコードおよび前記未開封確認用バーコードのいずれのものであるのかを判別し、
前記開封登録用バーコードの場合には、前記データベースに登録されている当該開封登録用バーコード情報の属性を、未開封から開封済みに更新し、
前記未開封確認用バーコードの場合には、前記データベースに登録されている当該未開封確認用バーコード情報と対となっている前記開封登録用バーコード情報の属性を調べ、
当該属性が未開封の場合には、前記未開封確認用バーコードが付与されている商品を正規の商品であると判定し、
当該属性が開封済みの場合には、前記商品を模倣品であると判定することを特徴とするバーコード対を利用した商品の真偽判別方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記開封登録用バーコードおよび未開封確認用バーコードとして、QRコードなどの二次元バーコードを用いることを特徴とするバーコード対を利用した商品の真偽判別方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
インターネットなどの通信網を介して、商品に付与されているバーコードの読取情報の提供を受けることを特徴とするバーコード対を利用した商品の真偽判別方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちのいずれかの項において、
商品が正規の商品であるか否かの判定結果を、インターネットなどの通信網を介して、前記バーコードの読取情報の提供元に通知することを特徴とするバーコード対を利用した商品の真偽判別方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちのいずれかの項において、
前記開封登録用バーコードの読取情報が提供されると、当該読取情報の提供元に対して、予め定められている景品を提供する旨を通知するか、あるいは、予め定められている抽選などの処理を実行して得られる処理結果を通知することを特徴とするバーコード対を利用した商品の真偽判別方法。
【請求項6】
コンピュータに、請求項1ないし5のうちのいずれかの項に記載の方法を実行させることを特徴とするバーコード対を利用した商品の真偽判別用プログラム。
【請求項7】
請求項1ないし5に記載の方法に用いる商品に添付されるバーコード対であって、
可視状態の未開封確認用バーコードと、
開封可能な状態でシールされている開封登録用バーコードとを有し、
前記未開封確認用バーコードには、ID用文字列、確認用通信であることを示す情報、および通信先を表す情報がエンコードされており、
前記開封登録用バーコードには、ID用文字列、登録用通信であることを示す情報、および通信先を表す情報がエンコードされていることを特徴とする商品の真偽判別に用いるバーコード対。
【請求項8】
請求項1ないし5に記載の方法に用いるバーコード対が添付された商品であって、
前記バーコード対は、可視状態の未開封確認用バーコードと、開封可能な状態でシールされている開封登録用バーコードとを有し、
前記未開封確認用バーコードには、ID用文字列、確認用通信であることを示す情報、および通信先を表す情報がエンコードされており、
前記開封登録用バーコードには、ID用文字列、登録用通信であることを示す情報、および通信先を表す情報がエンコードされていることを特徴とする真偽判別用のバーコード対が添付された商品。
【請求項9】
請求項8において、
前記バーコード対は次の(1)〜(3)のいずれかの形態で添付されていることを特徴とする真偽判別用のバーコードが添付された商品。
(1)前記バーコード対を商品に直接に取り付ける形態
(2)前記バーコード対を商品の包装箱などの包装に取り付ける形態
(3)一方のバーコードを商品に直接に取り付け、他方のバーコードを商品の包装に取り付ける形態
【請求項10】
商品に取り付けるための、可視状態の未開封確認用バーコードおよび開封可能な状態でシールされている開封登録用バーコードからなるバーコード対と、
前記バーコード対にエンコードされているバーコード情報、および、当該バーコード対が付与された商品が対応付けした形態で登録されているデータベースと、
前記データベースの登録内容に基づき、商品の真偽を判別するための真偽判別サーバと、
インターネットなどの通信網を介して前記真偽判別サーバとの間で情報の送受を行うことのできる通信端末と、
前記通信端末に内蔵あるいは接続されているバーコードリーダーとを有し、
前記真偽判別サーバは、
商品に付与されているバーコードの読取情報を受信すると、前記読取情報が前記開封登録用バーコードおよび前記未開封確認用バーコードのいずれのものであるのかを判別するバーコード判別部と、
前記読取情報が前記開封登録用バーコードの場合には、前記データベースに登録されている当該登録用バーコードの属性を未開封から開封済みに更新する登録部と、
前記読取情報が前記未開封確認用バーコードの場合には、前記データベースに登録されている当該未開封確認用バーコード情報と対となっている前記開封登録用バーコード情報の属性を調べ、当該属性が未開封の場合には、前記未開封確認用バーコードが付与されている商品を正規の商品であると判定し、当該属性が開封済みの場合には、前記商品を模倣品であると判定する商品判別部とを備えていることを特徴とするバーコード対を利用した商品の真偽判別システム。
【請求項11】
請求項10において、
前記開封登録用バーコードおよび未開封確認用バーコードは、QRコードなどの二次元バーコードであることを特徴とするバーコード対を利用した商品の真偽判別システム。
【請求項12】
請求項10または11において、
前記開封登録用バーコードは、再貼着不能な剥離シールによってシールされた状態で商品に取り付けられていることを特徴とするバーコード対を利用した商品の真偽判別システム。
【請求項13】
請求項10ないし12のうちのいずれかの項において、
前記バーコード対は次の(1)〜(3)のいずれかの形態で商品に取り付けられていることを特徴とするバーコード対を利用した商品の真偽判別システム。
(1)前記バーコード対を商品に直接に取り付ける形態
(2)前記バーコード対を商品の包装箱などの包装に取り付ける形態
(3)一方のバーコードを商品に直接に取り付け、他方のバーコードを商品の包装に取り付ける形態
【請求項14】
請求項10ないし13のうちのいずれかの項において、
前記真偽判別サーバは、前記開封登録用バーコードの読取情報を受信すると、前記通信端末に対して、予め定められている景品を提供する旨を送信するか、あるいは、予め定められている抽選などの処理を実行して得られる処理結果を送信する通知部を備えていることを特徴とするバーコード対を利用した商品の真偽判別システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−122469(P2007−122469A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−314596(P2005−314596)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(501262905)情報環境デザイン株式会社 (6)
【Fターム(参考)】