説明

バーコード検証システムおよびプリンタドライバ

【課題】汎用のアプリケーションプログラムを使用してバーコードを印刷しても、バーコード検証機を搭載したプリンタでバーコード検証機を制御可能とする。
【解決手段】ホストコンピュータ10(プリンタドライバ)は、文字として認識したバーコードのフォント情報を取得する。このフォント情報からフォント名を取り出し、関連付けられているバーコードの種類を確認する。また、ホストコンピュータ10は、フォントデータからバーコードをビットマップ化する。さらにプリンタ20に対して、バーコードのビットマップデータとともに、バーコード検証機18を制御するときに使用するバーコードの種類やコード、大きさ、位置などのバーコード情報を送信する。プリンタ20は、受信したバーコードを印刷後、バーコード情報に基づいてバーコード検証機18を制御し、印刷結果に対するバーコード検証結果を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホストコンピュータ上の汎用アプリケーションプログラムで、バーコードフォントを使用して作成したバーコードを、バーコード検証機を搭載したプリンタで印刷するバーコード検証システムおよびプリンタドライバに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタで印刷したバーコードが正しく印刷できているか否かを検証する方法として、バーコード検証機をプリンタの用紙の排出口に設置して、ホストコンピュータでそのバーコード検証機を制御する方法が知られている。
【0003】
この方法の場合、図7に示すように、ホストコンピュータ10からバーコードの種類、コード、印刷場所、大きさ等を指定して、プリンタ20で、当該指定された情報を基にバーコードを作成し、印刷する。プリンタ20が印刷したバーコードが正しく印刷できたか否かがバーコード検証機18によって判断され、逐次ホストコンピュータ10に通知される。これにより、ホストコンピュータ10は、その結果により、次のバーコードを印刷したり、もう一度、同じバーコードを印刷したりすることにより、制御を変えることができる。
【0004】
また、図1に示すように、プリンタ20が、バーコード生成部22およびバーコード検証機18を搭載している場合は、ホストコンピュータ10から、印刷したいバーコードの種類とコードをプリンタ20に送信する。これに応じて、プリンタ20は、バーコード生成部22により当該指定されたバーコードを生成し、印刷部23で印刷する。印刷されたバーコードが正しく印刷できているか否かは、プリンタ20がバーコード検証機18を制御して判断することができる。これらの各部の制御は制御部21により行われる。
【0005】
この場合、印刷したバーコードが正しく印刷できたか否かが、逐次プリンタ20に通知されるので、プリンタ20は、その結果により、次のバーコードを印刷したり、もう一度、同じバーコードを印刷したりすることにより、制御を変えることができる。
【特許文献1】特開平08−332758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで近年、図2に示すように、ホストコンピュータ用にバーコードフォントが市販されるようになり、専用のバーコードシステムがなくても、汎用のアプリケーションプログラムを使用して、あたかも文字を印刷するようにして、バーコードの印刷ができるようになってきた。
【0007】
これによりバーコードの作成が便利になった反面、プリンタではバーコードを印刷している認識がない状態で、バーコードを印刷することになる。その結果、バーコード検証機18を搭載したプリンタ20でバーコードを印刷しても、プリンタ20では、バーコードを印刷している認識がないため、バーコード検証機18を制御することができない。
【0008】
このシステムでバーコードの検証を行いたい場合は、バーコード検証機を搭載したプリンタであっても、図7に示したようにプリンタの用紙排出口にバーコード検証機を配置し、それを、ホストコンピュータに接続して、バーコードを印刷しながら、専用のバーコード検証機の制御ソフトを使用して、検証を実施せざるを得ない。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、汎用のアプリケーションプログラムを使用してバーコードを印刷しても、バーコード検証機を搭載したプリンタでバーコード検証機を制御することができる、バーコード検証システムおよびプリンタドライバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるバーコード検証システムは、バーコード検証機能を搭載したプリンタと、このプリンタが接続されるホストコンピュータとにより構成されるバーコード検証システムであって、ホストコンピュータは、バーコードフォントを用いてバーコードのビットマップイメージを作成するとともに、そのバーコードの少なくともバーコードの種類とコードの情報を取得し、これらのバーコード情報を前記ビットマップイメージとともにプリンタへ送信し、プリンタは、ホストコンピュータから受信したバーコードのビットマップイメージの印刷を行い、前記バーコードの情報に基づいてその印刷結果をバーコード検証機能により検証する。
【0011】
本発明では、ホストコンピュータにおいて、バーコードフォントを用いてバーコードのビットマップイメージを作成する際には、本来、そのバーコードの種類やコードの情報をプリンタに送信する必要はないが、敢えて、それらのバーコード情報を取得し、ビットマップイメージとともにプリンタへ送信する。これにより、バーコード検証機能を搭載したプリンタにおいて、印刷されたバーコードの検証を行うことが可能となる。
【0012】
前記バーコード情報には、バーコードの位置の情報を含んでもよい。これにより、バーコードを印刷する位置が固定でない場合に、プリンタは、バーコード検証時に対象となるバーコードの位置を把握することができる。
【0013】
前記プリンタは、バーコード検証の結果がNGの場合に、後続のバーコードの印刷を中断し、その後、予め定められた所定の処理を実行することができる。
【0014】
前記プリンタは、印刷を中断したことを前記ホストコンピュータに通知し、前記ホストコンピュータは、バーコード検証の結果がNGになり印刷を中断した旨を表示するようにしてもよい。これにより、ユーザは印刷が中断した状況を認識し、適正な対処を選択的に行うことが可能となる。
【0015】
本発明によるプリンタドライバは、バーコード検証機能を搭載したプリンタが接続されるホストコンピュータにおいて動作するプリンタドライバであって、バーコードフォントを用いてバーコードのビットマップイメージを作成するステップと、その際、当該バーコードの少なくともバーコードの種類とコードの情報を取得するステップと、取得されたバーコード情報を前記ビットマップイメージとともにプリンタへ送信するステップとをコンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明のバーコード検証システムおよびプリンタドライバによれば、専用のバーコード作成機能を持たないアプリケーションプログラムを使用しても、バーコード検証機能を搭載したプリンタにおいてバーコード検証を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
図2に、本実施の形態に係る印刷システムの概略構成を示す。この印刷システムは、バーコード検証機能を搭載したプリンタ20と、このプリンタ20がプリンタインタフェース15を介して接続されるホストコンピュータ10とにより構成される。
【0019】
ホストコンピュータ10は、バーコードフォントを使用してビットマップイメージとしてのバーコードを作成する機能を有する。図示しないが、ホストコンピュータ10は、ハードウェア構成として、CPU、メモリ、操作部(キーボード、マウスなど)、表示部(LCD等)、外部記憶装置(HDD等)、プリンタとの通信を行うプリンタインタフェース部、等から構成される。
【0020】
一方、プリンタ20は、CPUやメモリ等を含む制御部21、用紙等の印刷媒体上にインクによるイメージを印刷する印刷部23、印刷されたバーコードを検証してその良否を判断するバーコード検証機18を備える。図示しないがプリンタ20はその他、ホストコンピュータ10との通信を行うホストインタフェース部も含む。
【0021】
上述したように、この印刷システムではホストコンピュータ10がバーコードフォントを使用してバーコードをビットマップイメージとして作成し、プリンタ20へ送信するので、プリンタ20側ではバーコードを印刷した認識がない。したがって、せっかく内蔵しているバーコード検証機18を有効に動作させることができない。
【0022】
図3は、ホストコンピュータ10の内部の概略ソフトウェア構成を示している。この図は、ホストコンピュータにバーコードフォントが搭載されているときに、そのバーコード情報をプリンタドライバが取得することを示す。
【0023】
ホストコンピュータ10は、汎用アプリケーションプログラム12と、プリンタドライバ13とをインストールしている。汎用アプリケーションプログラム12は、例えばワードプロセッサなどのソフトウェアである。
【0024】
ホストコンピュータ10にバーコードフォントが搭載されていると、バーコードを扱うことを前提としていない汎用アプリケーションプログラム12でも、バーコードを扱うことが可能となる。汎用アプリケーションプログラム12で作成したバーコードは、ホストコンピュータ10では、文字として扱われるため、プリンタドライバ13で処理するときは、文字(文字コード)として渡される。
【0025】
プリンタドライバ13は、バーコードを文字として認識し(14)、文字フォントと同様にバーコードをビットマップイメージとして描画する(15)。この際、文字のフォント情報からフォント名を取得し、そこから関連付けられているバーコードの種類を取り出す。そのために、バーコードフォントの登録機能を使用して、予め、バーコードフォントのフォント名とバーコードの種類とを対応テーブルとして関連付けておく。また、文字のフォント情報から、文字コードと大きさ、その文字を配置する位置も得られるので、それらの情報をひとまとめにして、バーコード情報として、プリンタに送信する。
【0026】
図8に対応テーブル80の内容例を示す。対応テーブル80は、図示のようにフォント名称(CFT CODE39、CFTCODE128等)とバーコード種類(コード39、コード128等)とを対応付けたデータテーブルである。
【0027】
図4は、本実施の形態におけるプリンタドライバ13で実行される処理のフローチャートである。この処理はホストコンピュータ10の制御部(CPU)により実現される。
【0028】
プリンタドライバ13は、文字を渡されると、まず、その文字として認識したバーコードのフォント情報を取得する(S11)。このフォント情報からフォント名を取り出し、あらかじめ登録してあるフォント名と比較する(S12)。予め登録してあるフォント名と一致すれば、その登録情報から関連付けられているバーコードの種類を確認する(S13)。通常の文字と同様に、フォントデータからバーコードをビットマップ化する(S14)。さらに、プリンタに対して、バーコードのビットマップデータとともに、バーコードの種類やコード、大きさ、位置などのバーコード情報を送信する(S15)。
【0029】
ステップS12において、フォント名が登録情報と一致しない場合は、受信した文字を通常の文字として扱う(S16)。ついで、フォントデータから文字をビットマップ化し(S17)、プリンタに文字のビットマップデータを送信する(S18)。
【0030】
図5は、バーコード検証機18を搭載したプリンタ20にバーコード情報を送信することにより、プリンタがバーコード検証を行い、その結果により、処理を切り替えることを示すブロック図である。
【0031】
バーコードのビットマップデータとバーコード情報を得たホストコンピュータ10は、プリンタ20に対して、印刷の対象となるバーコードのビットマップデータと、バーコード検証機18を制御するときに使用するバーコード情報とを送信する。バーコード情報は、バーコード種類、コード、印刷位置、大きさ(サイズ)等である。プリンタ20は、受信したバーコードを印刷後、バーコード情報に基づいてバーコード検証機18を制御し、印刷結果に対するバーコード検証結果を得る。バーコード検証機18は、印刷位置および大きさに基づいてバーコードを走査し、バーコード種類に基づいてバーコードを解読し、その解読結果が受信したコードと一致しているかどうかを確認する。
【0032】
プリンタ20は、このバーコード検証結果がNGであったときには、予め設定した内容に基づき、後続のバーコードの印刷を中断したり、もう一度同じバーコードを印刷したり、次のバーコードを印刷したりすることにより、バーコード検証結果を内部使用することができる。
【0033】
図6により、図5で示したバーコード検証結果を内部使用した結果をホストコンピュータに送信することを説明する。
【0034】
プリンタ20は、バーコード印刷後、バーコード検証機能を制御し、取得したバーコード検証結果に基づき、印刷を中断したとき、印刷結果に対する検証結果がNGであったことをホストコンピュータ10に送信する。この場合、ホストコンピュータ10は、印刷結果に対する検証結果がNGであり、印刷を中断したことを画面に表示することにより、プリンタ20自身による画一的な対処ではなく、ユーザに次にどのような対処を行うかを選択させることができる。
【0035】
以上説明した構成によれば、専用のバーコードを扱うアプリケーションプログラムを使用しなくても、バーコードを印刷し、印刷したバーコードの検証も行うことができるバーコード検証システムを提供することができる。
【0036】
以上、本発明の好適な実施の形態について具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形、変更が可能である。
【0037】
例えば、バーコード情報として、バーコードの印刷位置をプリンタに伝えると、プリンタは、搭載しているバーコード検証機能を用紙搬送方向と直交する方向に移動させて、バーコードを読み取るのに最適な位置にバーコード検証機能を動作させることもできる。
【0038】
さらに、バーコード検証結果がNGであった場合の処置をプリンタドライバで設定し、コマンドとしてプリンタに伝えることもできる。
【0039】
上記実施の形態で説明した機能をコンピュータで実現するためのコンピュータプログラムおよびプログラムをコンピュータ読み取り可能に格納した記録媒体も本願発明に含まれる。プログラムを供給するための「記録媒体」としては、例えば、磁気記憶媒体(フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ等)、光ディスク(MOやPD等の光磁気ディスク、CD、DVD等)、半導体ストレージ、紙テープなどを挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明を適用するバーコード検証機能を搭載したプリンタにバーコード情報を送る構成と機能を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る印刷システムの概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るホストコンピュータの内部の概略ソフトウェア構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるプリンタドライバで実行される処理のフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態において、バーコード検証機能を搭載したプリンタがバーコード検証結果を内部使用することを説明するためのブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態において、バーコード検証結果を内部使用した結果をプリンタからホストコンピュータに送信することを説明するブロック図である
【図7】従来のバーコード検証システムの構成と機能を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態における対応テーブルの内容例を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
10…ホストコンピュータ
12…汎用アプリケーションプログラム
13…プリンタドライバ
15…プリンタインタフェース
18…バーコード検証機
20…プリンタ
21…制御部
22…バーコード生成部
23…印刷部
80…対応テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーコード検証機能を搭載したプリンタと、このプリンタが接続されるホストコンピュータとにより構成されるバーコード検証システムであって、
ホストコンピュータは、バーコードフォントを用いてバーコードのビットマップイメージを作成するとともに、そのバーコードの少なくともバーコードの種類とコードの情報を取得し、これらのバーコード情報を前記ビットマップイメージとともにプリンタへ送信し、
プリンタは、ホストコンピュータから受信したバーコードのビットマップイメージの印刷を行い、前記バーコードの情報に基づいてその印刷結果をバーコード検証機能により検証する
ことを特徴とするバーコード検証システム。
【請求項2】
前記バーコード情報には、バーコードの位置の情報を含む請求項1に記載のバーコード検証システム。
【請求項3】
前記プリンタは、バーコード検証の結果がNGの場合に、後続のバーコードの印刷を中断することを特徴とする請求項1または2に記載のバーコード検証システム。
【請求項4】
前記プリンタは、印刷を中断したことを前記ホストコンピュータに通知し、前記ホストコンピュータは、バーコード検証の結果がNGになり印刷を中断した旨を表示する請求項3に記載のバーコード検証システム。
【請求項5】
バーコード検証機能を搭載したプリンタが接続されるホストコンピュータにおいて動作するプリンタドライバであって、
バーコードフォントを用いてバーコードのビットマップイメージを作成するステップと、
その際、当該バーコードの少なくともバーコードの種類とコードの情報を取得するステップと、
取得されたバーコード情報を前記ビットマップイメージとともにプリンタへ送信するステップと
をコンピュータに実行させるプリンタドライバ。
【請求項6】
前記バーコード情報には、バーコードの位置の情報を含む請求項5に記載のプリンタドライバ。
【請求項7】
前記プリンタから、印刷を中断したことが通知されてきた場合、バーコード検証の結果がNGになり印刷を中断した旨を表示するステップをさらにコンピュータに実行させる請求項5または6に記載のプリンタドライバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−134521(P2010−134521A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−307242(P2008−307242)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】