説明

バーコード読取装置

【課題】オペレータの煩雑な作業の発生が抑制されて、利便性が向上する。
【解決手段】バーコード読取装置1では、異なる波長の光をそれぞれ出射する複数の光源4a,4bを備え、発光手段4からの応答に応じて、光走査手段2に出射している光を別の波長の光に変更するようにした。これにより、光源4aから出射される光の波長とバーコードBの着色の波長とが略等しいために、読み取ることができなかった当該バーコードBを読み取ることができるようになる。したがって、オペレータがバーコードBの番号(数字)をPOSレジ端末に直接手入力する必要が無く煩雑な作業の発生が防止され、バーコード読取装置1の利便性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
バーコード読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小売業等では商品に付加されたバーコードに基づいて、商品の管理情報(価格等)を管理するPOS(Point Of Sales)システムが用いられている。POSシステムでは、例えば、バーコード読取装置とキャッシュレジスター端末(POSレジ端末)とが通信可能に接続される。そして、POSレジ端末と管理装置(例えば、店舗サーバ)とがネットワークで接続される。バーコード読取装置は、バーコードを読み取り、商品の識別情報を取得する。管理装置は、商品の識別情報に対応付けて管理情報を記録・管理する。
【0003】
例えば、バーコード読取装置は、顧客が商品の代金を支払う際に、各商品に付与されたバーコードを読み取って商品の識別情報を取得する。そして、取得した識別情報をPOSレジ端末を介して管理装置に送信する。管理装置は、商品の識別情報に対応する価格をPOSレジ端末に応答する。更に、商品の価格はPOSレジ端末に接続された表示装置に出力されて、顧客に代金が通知される。
【0004】
また、このようなバーコード読取装置では商品に付加されたバーコードに対して光を照射すると、縞模様状のバーコードの白色・黒色の線から光が反射されて、当該反射光からバーコードが表す情報を読み取ることができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−203397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、バーコードの縞模様は、付加対象となる商品のパッケージデザイン等に応じて、黒色だけではなく、赤色、緑色等に着色されるようになっている。しかし、バーコードの着色と、当該バーコードに照射する光の色とが同じ、または、近い場合には、バーコードからの反射光が得られず、または、反射光の強度が弱くなり、バーコードを読み取ることができなくなってしまう。
【0007】
このような場合には、オペレータがPOSレジ端末にバーコードに記載されている番号(数字)を直接手入力するといった煩雑な作業が発生してしまい、バーコード読取装置の利便性が低下してしまうという問題点があった。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、オペレータの煩雑な作業の発生が抑制されて、利便性が向上したバーコード読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、バーコードを読み取るバーコード読取装置において、受け付けた光を走査させて前記バーコードに照射する光走査手段と、前記光走査手段から照射された前記バーコードからの反射光を受け付ける受光手段と、異なる波長の光をそれぞれ出射する複数の光源を備え、前記受光手段からの応答に応じて、前記光走査手段に出射する光を別の波長の光に変更する発光手段と、を有するバーコード読取装置が提供される。
【0010】
また、上記目的を達成するために、バーコードを読み取るバーコード読取装置において、受け付けた光を走査させて前記バーコードに照射する光走査手段と、異なる波長の光をそれぞれ出射する複数の光源を備え、前記光走査手段に前記複数の光源から順に光を出射する発光手段と、を有するバーコード読取装置が提供される。
【0011】
さらに、上記目的を達成するために、バーコードを読み取るバーコード読取装置において、受け付けた光を走査させて前記バーコードに照射する光走査手段と、前記光走査手段から照射された前記バーコードからの反射光を受け付ける受光手段と、光を出射する複数の光源を備え、前記受光手段が受け付けた前記反射光の強度に応じて、前記光走査手段に出射する光を別の光に変更する発光手段と、を有するバーコード読取装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
このようなバーコード読取装置により、利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施の形態に係るバーコード読取装置の概念図である。
【図2】第2の実施の形態に係るバーコード読取システムを説明するための模式図である。
【図3】第2の実施の形態に係るバーコード読取装置を説明するための模式図である。
【図4】第2の実施の形態に係るPOSシステムのハードウェア構成例の図である。
【図5】第2の実施の形態に係る主制御部の機能構成を示すブロック図である。
【図6】第2の実施の形態に係るバーコード読取装置による読み取り処理を実行するためのフローチャートである。
【図7】第2の実施の形態に係るバーコード読取装置によるレーザダイオードの光の照射に関するタイミングチャートである。
【図8】第3の実施の形態に係るバーコード読取装置による読み取り処理を実行するためのフローチャートである。
【図9】第3の実施の形態に係るバーコード読取装置によるレーザダイオードの光の照射に関するタイミングチャートである。
【図10】第4の実施の形態に係る主制御部の機能構成を示すブロック図である。
【図11】第4の実施の形態に係るバーコード読取装置による受光履歴を表す表である。
【図12】第4の実施の形態に係るバーコード読取装置による読み取り処理を実行するためのフローチャート(その1)である。
【図13】第4の実施の形態に係るバーコード読取装置による読み取り処理を実行するためのフローチャート(その2)である。
【図14】第4の実施の形態に係るバーコード読取装置による読み取り処理を実行するためのフローチャート(その3)である。
【図15】第4の実施の形態に係るバーコード読取装置による劣化判定処理を実行するためのフローチャートである。
【図16】第4の実施の形態に係るバーコード読取装置によるレーザダイオードの光の照射に関するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係るバーコード読取装置の概念図である。
【0015】
バーコードの縞模様の色彩に対応する波長が、バーコードを読み取るための光の波長と略等しい場合には、当該バーコードからの反射光が弱くなり、当該バーコードを正しく読み取ることができない。そこで、バーコード読取装置1は、このような場合でもバーコードを読み取ることができるものである。
【0016】
このようなバーコード読取装置1は、光走査手段2、受光手段3、発光手段4及び制御手段5を備える。
光走査手段2は、受け付けた光を走査させてバーコードBに照射する。光走査手段2は、例えば、ポリゴンミラーと、ポリゴンミラーを回転させるモータとを備えている。この場合、回転するポリゴンミラーは、後述する発光手段4により出射された光Liから回転によって走査光Lsを形成し、当該走査光LsをバーコードBに照射する。
【0017】
受光手段3は、光走査手段2から照射されたバーコードBからの反射光Lrを受け付ける。受光手段3は、例えば、集光レンズと集光レンズで集光した光を受光するフォトダイオードとを備えて、バーコードBから反射された反射光Lrを受光する。なお、フォトダイオードで受光された反射光Lrは、デジタル化され復調されると、後述する制御手段5に出力される。また、冒頭で触れたように、バーコードBの色彩に対応する波長が光走査手段2からの走査光Lsの波長と略等しい場合には、受光手段3が受光する反射光Lrの強度は低く、あるいは、受光手段3は殆ど反射光Lrを受光できない。
【0018】
発光手段4は、異なる波長の光をそれぞれ出射する複数の光源4a,4bを備え、受光手段3からの応答に応じて、光走査手段2に出射している光を別の波長の光に変更する。発光手段4の光源4a,4bは、例えば、受光手段3から応答を入力された制御手段5により選択されて、光を出射する。また、制御手段5は、光走査手段2がポリゴンミラーとモータとを有する場合には、モータの回転速度、回転数等を制御する。なお、図1に示す光源4a,4bは2つの場合であって、2つに限らず、2つ以上であれば構わない。
【0019】
このような構成を備えるバーコード読取装置1における、バーコード読取方法について説明する。
例えば、バーコードBが赤色と白色との縞模様状であって、光源4a,4bは赤色及び青色の光Liをそれぞれ照射するものとする。また、初期状態として、光源4aから光走査手段2に赤色の光Liが照射されているものとする。
【0020】
まず、黒色と白色との縞模様状のバーコードBを読み取る場合について説明する。
制御手段5からの出射要求に基づいて光源4aから赤色の光Liが光走査手段2に対して出射される。光走査手段2は、赤色の光Liから走査光Lsを形成して、当該走査光LsをバーコードBに照射して、バーコードBの縞模様を走査する。
【0021】
走査光Lsに対するバーコードBからの反射光Lrは、受光手段3に受光されて、デジタル化されると復調されてバーコードBの情報が読み取られる。
受光手段3はバーコードBからの反射光Lrを受光することができたため、制御手段5には引き続き光源4aからの出射要求を出力する。制御手段5は、入力した出力要求に基づき再び光源4aから赤色の光Liを出射させる。
【0022】
次に、赤色と白色との縞模様状のバーコードBを読み取る場合について説明する。
上記のようにして光源4aから赤色の光Liが出射された光走査手段2が、赤色の光Liから走査光Lsを形成して、当該走査光LsをバーコードBに照射して、バーコードBの縞模様を走査する。
【0023】
この時、赤色の走査光Lsの多くはバーコードBの縞模様を構成する赤色部に吸収されてしまい、バーコードBからの反射光Lrの強度は非常に小さくなってしまう。したがって、受光手段3は、反射光Lrをほとんど受光することができなくなってしまう。
【0024】
そこで、受光手段3は、例えば、一定時間の間、バーコードBからバーコードBの情報を復調するのに十分な強度の反射光Lrを受光しない場合には、光源4aからの光Liの波長と、バーコードBの色の波長とが略等しいものと認識し、制御手段5に別の光源の出射要求を出力する。
【0025】
制御手段5はこのような要求が入力されると光源4aからの光Liの出射を停止させ、光源4bから青色の光Liを出射させる。光走査手段2は、青色の光Liから走査光Lsを形成し、当該走査光LsをバーコードBに照射して、バーコードBの縞模様を走査する。
【0026】
この時、青色の走査光LsはバーコードBの赤色部で反射されるため、受光手段3はバーコードBの縞模様のパターンに対応した反射光Lrを受光し、当該反射光Lrをデジタル化し復調してバーコードBの情報を読み取ることができる。
【0027】
このようにバーコード読取装置1では、異なる波長の光をそれぞれ出射する複数の光源4a,4bを備え、発光手段4からの応答に応じて、光走査手段2に出射している光を別の波長の光に変更するようにした。
【0028】
これにより、光源から出射される光の波長とバーコードの着色の波長とが略等しいために、読み取ることができなかった当該バーコードを読み取ることができるようになる。したがって、オペレータが当該バーコードの番号(数字)をPOSレジ端末に直接手入力する必要が無く煩雑な作業の発生が防止され、バーコード読取装置1の利便性が向上するようになる。
【0029】
ところで、このように複数の光源4a,4bを備えることで以下の方法によりバーコード読取装置1の利便性を向上させることができる。
例えば、黒色と白色との縞模様状であるバーコードBを読み取るために光走査手段2に光Liを照射する光源4aが故障、消耗等により劣化してくると、受光手段3が受光する反射光Lrの強度も低下していく。受光手段3は、バーコードBの情報を復調するのに十分な強度ではない反射光Lrを受光するようになると光源4aが劣化したものと認識して、制御手段5に別の光源4bの出射要求を出力する。
【0030】
制御手段5はこのような要求を入力すると光源4aからの出射を停止して、光源4bから光Liを出射させる。これにより、バーコードBの読み取りを継続して行うことができるようになる。
【0031】
このようにバーコード読取装置1では、光Liをそれぞれ出射する複数の光源4a,4bを備え、受光手段3からの応答に応じて、光走査手段2に出射している光を別の光に変更するようにした。
【0032】
これにより、光源4aが劣化により十分な光Liを出射できなくなっても、光源4bから光Liを出射させることで、バーコードBに対して光走査手段2から継続して走査光Lsを照射できるようになる。したがって、オペレータが当該バーコードの番号(数字)をPOSレジ端末に直接手入力する必要が無く煩雑な作業の発生が防止され、バーコード読取装置1の利便性が向上する。
【0033】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、着色されたバーコードを読み取るためのバーコード読取装置についてより具体的に説明する。
【0034】
図2は、第2の実施の形態に係るバーコード読取システムを説明するための模式図である。
バーコード読取システム11は、図2に示されるように、表示入力装置11aと、バーコード読取装置20とを備えている。
【0035】
表示入力装置11aは、表示部11a1と、操作部11a2とを備える。表示部11a1は、後述するバーコード読取装置20が読み取ったバーコードに対応する商品情報及び当該商品の価格を表示する。また、操作部11a2は、オペレータによる操作入力を受け付ける。オペレータは表示部11a1に表示される商品情報及び商品価格を視認して、顧客から支払われた現金に対する商品価格のおつりの計算等を、操作部11a2を用いて実行することができる。
【0036】
バーコード読取装置20は、読取窓20aを備えており、当該読取窓20aから多方向に走査光を出射することができる。したがって、バーコード読取装置20は、オペレータにより当該読取窓20aに形状が、例えば、直方体(または立方体)状の商品がかざされると、商品の5面のいずれにバーコードが付加された場合にもバーコードを読み取ることができる。
【0037】
このようなバーコード読取装置20の詳細について以下に説明する。
図3は、第2の実施の形態に係るバーコード読取装置を説明するための模式図である。なお、図3(A)はバーコード読取装置20の側面図、図3(B)はバーコード読取装置20の正面図をそれぞれ示している。また、図3以降、場合によっては「レーザダイオード」を「LD(laser diode)」と記載することがある。
【0038】
バーコード読取装置20は、3種のレーザダイオード(レーザダイオードR27a、レーザダイオードG27b、レーザダイオードB27c)、ポリゴンミラー21、モータ22及び受光部24を備える。
【0039】
レーザダイオードR27a、レーザダイオードG27b及びレーザダイオードB27cは、それぞれ、赤色、緑色及び青色のレーザ光Laをそれぞれ出射する光源であり、レーザ光Laを、反射ミラー20bに反射させて、ポリゴンミラー21に出射する。
【0040】
ポリゴンミラー21は、多角形の各面、例えば、4面がミラーである直方体であって、レーザダイオードR27a、レーザダイオードG27b及びレーザダイオードB27cからそれぞれ出射されたレーザ光Laから回転して反射させることにより走査光Lsを形成する。また、後述するモータ22により回転されて3種のレーザダイオードから出射されたレーザ光Laの反射方向を変化させることにより、複数の走査パターンを形成する。なお、ポリゴンミラー21は、ミラーを4面にすると、走査光Lsを反射する角度と走査光Lsの数との関係を適切なものとすることができる。
【0041】
モータ22は、ポリゴンミラー21と接続されており、回転することによりポリゴンミラー21を回転させる。
受光部24は、バーコードから反射した反射光Lrを読取窓20aを介して集光する集光レンズと、集光レンズにより集光された反射光Lrを受光して電気信号に変換するフォトダイオードとを備える。
【0042】
なお、バーコードは、商品に付与され、各商品の商品識別コードを含んでいる。商品識別コードは、GTIN(Global Trade Item Number)とも呼ばれる。バーコードのコード体系としては、従来用いられているGTIN−13(JAN(Japanese Article Number)−13またはEAN(European Article Number)−13)並びにGTIN−8(JAN−8またはEAN−8)等がある。なお、GTIN−13及びGTIN−8は、商品識別コードのみをそれぞれ13桁、8桁の数値情報により示すものである。
【0043】
また、バーコードで利用可能なコード体系のバーコードとして、例えば、GS1データバーがある。GS1データバーは、商品識別コードの他にも拡張情報を付与することが可能な拡張バーコードである。
【0044】
バーコード読取装置20は、これら複数のコード体系を判別してバーコードに含まれる情報を読み取ることができる。
バーコード読取装置20は、上記の構成と共に、さらに、以下の構成を内部に備え、POSシステムの一部を構成する。
【0045】
図4は、第2の実施の形態に係るPOSシステムのハードウェア構成例の図である。
POSシステム10は、図2で説明した表示入力装置11a及びバーコード読取装置20と、当該バーコード読取装置20と通信可能に接続されている上位装置30とを含む。
【0046】
表示入力装置11aは、既述の通り、表示部11a1と、操作部11a2とを備える。
表示部11a1は、後述する主制御部29aにより制御される。表示部11a1は、例えば、通知情報やエラー等の出力に用いられる。
【0047】
操作部11a2は、POSレジ端末を操作するオペレータが、バーコードBの読み取りの開始・停止等を主制御部29aに通知するためのインターフェースである。主制御部29aは、操作部11a2からの通知に基づいて、後述するレーザ制御部28及びモータ制御部23の動作を制御する。
【0048】
上位装置30は、バーコード読取装置20から取得する商品識別コードに基づいて、販売情報を採取するPOSレジ端末並びに商品の管理情報を提供する。また、このようにして提供する商品の管理情報を表示入力装置11aに通知して、表示部11a1に表示させる。
【0049】
バーコード読取装置20は、店舗で顧客が商品の代金を支払う際に商品に付与されたバーコードBの読み取りに利用される。バーコード読取装置20は、既述の通り、ポリゴンミラー21、モータ22、レーザダイオードR27a、レーザダイオードG27b、レーザダイオードB27c及び受光部24を備えて、バーコードBに含まれるバーコード情報を読み取る。
【0050】
バーコード読取装置20は、さらに、モータ制御部23、A/D(Analog to Digital)変換部25、復調部26、レーザ制御部28、主制御部29a、メモリ29b及び送信部29cを有する。
【0051】
モータ制御部23は、モータ22の駆動を制御して、モータ22を駆動することでポリゴンミラー21を回転させる。
A/D変換部25は、受光部24から取得するバーコードBの反射光Lrに対応する電気信号をデジタルサンプリングして、デジタル信号に変換し、復調部26に出力する。
【0052】
復調部26は、A/D変換部25から取得するデジタル信号から、バーコードBのシンボルパターンを復元し、そのコード体系を特定する。そして、復調部26は、特定したコード体系に基づいて取得したデジタル信号に含まれるバーコード情報を抽出する。
【0053】
また、復調部26は、抽出したバーコード情報を、そのコード体系の情報と共に主制御部29aに出力する。主制御部29aは、復調部26から取得したバーコード情報を所定の送信フォーマットに加工した送信情報を、必要に応じて送信部29cに出力する。
【0054】
主制御部29aは、バーコード読取装置20全体を制御する。また、主制御部29aは、バーコード読取装置20の各種機能を実現するファームウェア(Firmware)を実行する。
【0055】
メモリ29bは、主制御部29aが実行するファームウェアのプログラムを記憶する。また、メモリ29bは、主制御部29aの処理に必要な各種データを記憶する。
送信部29cは、主制御部29aから取得する送信情報を上位装置30に送信する。
【0056】
以下、さらに、バーコード読取装置20の主制御部29aが備える機能について説明する。
図5は、第2の実施の形態に係る主制御部の機能構成を示すブロック図である。
【0057】
バーコード読取装置20の主制御部29aは、バーコードBから反射された反射光Lrに応じて、ポリゴンミラー21を回転するモータ22を制御し、レーザダイオードR27a、レーザダイオードG27b及びレーザダイオードB27cから出射されるレーザ光を選択することができるものである。
【0058】
このような主制御部29aは、回転計数判定部29a1、照射選択部29a2、時間計測部29a3及び読取判定部29a4を備える。
回転計数判定部29a1は、モータ制御部23から取得したモータの回転に関する信号に応じて、モータの回転の異常の有無を判定する。異常がある場合にはその旨の出力要求を送信部29c1及び上位装置30を経由し、表示入力装置11aに通知して、表示部11a1に表示して、オペレータに通知する。異常が無い場合には照射選択部29a2にレーザダイオードの選択要求を通知する。また、回転計数判定部29a1は、モータ制御部23から取得したモータの回転に関する信号に基づいて、モータの回転数をカウントして、所定の回転数をカウントするとレーザダイオードの選択要求を照射選択部29a2に通知する。
【0059】
照射選択部29a2は、回転計数判定部29a1及び時間計測部29a3からレーザダイオードの選択要求を取得する。そして、照射選択部29a2は、当該選択要求に基づいて、レーザダイオードからのレーザ光の出射要求をレーザ制御部28に通知する。
【0060】
時間計測部29a3は、受光部24が受光したバーコードBからの反射光Lrがデジタル化されて復調されたデジタル信号が復調部26から入力されると、時間の計測を開始する。そして、時間計測部29a3は、計測する時間が所定の時間に達すると、照射選択部29a2にレーザダイオードの選択要求を、読取判定部29a4に当該デジタル信号の読み取り判定要求をそれぞれ通知する。
【0061】
読取判定部29a4は、復調部26から入力された受光部24が受光したバーコードBからの反射光Lrに対応するデジタル信号からバーコードBのバーコード情報を読み取ることができるか否かを判定する。なお、読取判定部29a4は、読み取り可能であることを判定する場合には、送信部29cから読み取ったバーコード情報を上位装置30に通知させる。
【0062】
次に、以上のような構成を備えるバーコード読取装置20において実行される読み取り処理について説明する。
図6は、第2の実施の形態に係るバーコード読取装置による読み取り処理を実行するためのフローチャートである。
【0063】
なお、レーザダイオードR27a、レーザダイオードG27b及びレーザダイオードB27cはそれぞれi=1、2、3(i<4)に対応するものとする。
まず、バーコード読取装置20に電源が投入されると、モータ制御部23はモータ22を所定の回転速度で回転させて、モータ22に接続されているポリゴンミラー21を回転させる。
【0064】
[ステップS10] 回転計数判定部29a1は、モータ制御部23からモータ22の回転数に対応する信号が入力されて、回転数に対応する信号によりモータ22が正常に回転しているか否かを確認する。
【0065】
[ステップS11] 確認の結果、モータ22が正常に回転しておらず異常がある場合にはステップS12に進められ、異常が無い場合にはステップS13に進められる。
[ステップS12] 表示部11a1は、回転計数判定部29a1から異常がある旨の表示要求が通知される。モータ22の回転に異常があることを表示して、オペレータに通知する。
【0066】
[ステップS13] 照射選択部29a2は、レーザダイオードについてi=1をセットして、i=1に対応するレーザダイオードR27aからレーザ光Laを出射させる。
[ステップS14] 時間計測部29a3は、ステップS13でレーザ光Laを出射させた照射選択部29a2から時間計測要求が入力されると、時間の計測を開始する。
【0067】
[ステップS15] 受光部24がレーザダイオードから出射されたレーザ光LaのバーコードBからの反射光Lrを受光すると、A/D変換部25で反射光Lrに対応する電気信号をデジタル信号に変換して、復調部26に出力する。
【0068】
復調部26は、入力されたデジタル信号を復調して、復調したデジタル信号からバーコード情報を抽出する。
時間計測部29a3は当該バーコード情報を取得するとステップS17に進められる。また、時間計測部29a3がバーコード情報を取得するまではステップS16に進められる。
【0069】
[ステップS16] 時間計測部29a3は、計測する時間がタイムオーバになるまで時間の計測を行い(ステップS14へ)、タイムオーバになるとステップS18に進められる。
【0070】
[ステップS17] 読取判定部29a4は、ステップS15で時間計測部29a3が復調部26から取得したバーコード情報を読み取り可能か否かを判別する。
判定の結果、読み取り可能である場合にはステップS13に再度進められて引き続きレーザダイオードR27aからレーザ光Laが出射される。また、読み取ることができない場合には、ステップS18に進められる。
【0071】
[ステップS18] 照射選択部29a2は、現在選択しているレーザダイオードに対応するiに1を追加して、iにi+1をセットする。
[ステップS19] 照射選択部29a2は、ステップS18でセットしたiが4未満であるか否かを判定する。
【0072】
判定の結果、iが4未満である場合にはステップS20に進められ、4以上である場合にはステップS21に進められる。
[ステップS20] 照射選択部29a2は、ステップS18でセットしたiに対応するレーザダイオードを選択して、選択したレーザダイオードからのレーザ光Laの出射要求と、i−1に対応するレーザダイオードからのレーザ光Laの出射の停止要求をレーザ制御部28に通知する。なお、i=0の場合は、i=3に対応する。
【0073】
レーザ制御部28は、これらの要求に応じたレーザダイオードからのレーザ光Laの出射及び出射の停止を行う。
[ステップS21] 表示部11a1は、送信部29c及び上位装置30を経由し、照射選択部29a2から表示要求が通知されると、バーコードBのバーコード情報をPOSレジ端末に対して手入力することを表示して、オペレータに通知する。
【0074】
次に、このようなバーコード読取装置20で行われる読み取り処理の具体例を説明する。
図7は、第2の実施の形態に係るバーコード読取装置によるレーザダイオードの光の照射に関するタイミングチャートである。
【0075】
なお、当該タイミングチャートでは、照射選択部29a2の出射要求に対応するレーザダイオードはONを、出射の停止要求に対応するレーザダイオードはOFFをそれぞれ表している。
【0076】
まず、回転計数判定部29a1がポリゴンミラー21はモータ22により正常に回転していることを判定し、照射選択部29a2にレーザダイオードR27aの選択要求を通知する。照射選択部29a2は、通知された選択要求に基づき、レーザダイオードR27aからレーザ光Laの出射要求をレーザ制御部28に通知する。これにより、レーザダイオードR27aからレーザ光Laが出射され、バーコード読取装置20の読取窓20aからは赤色の走査光Lsが出力される(ステップS10,S11,S13)。
【0077】
この時、タイミングチャートは、図7に示されるように、レーザダイオードR27aがONとなる(R1)。
そして、時間計測部29a3が時間の計測を開始し(ステップS14)、オペレータは、時間計測部29a3が時間計測をしている間に、読取窓20aに黒色のバーコードBをかざすと赤色の走査光LsがバーコードBに反射して受光部24は反射光Lrを受光する。A/D変換部25は受光部24が受光した反射光Lrに対応する電気信号をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号を復調部26に出力する。復調部26は、A/D変換部25から入力されたデジタル信号からバーコード情報を抽出し、主制御部29aに出力する。
【0078】
主制御部29aでは、読取判定部29a4が、復調部26から入力されたバーコードBに対応するバーコード情報を取得することでバーコードBから反射光Lrを受光したこと、バーコードBに対応するバーコード情報を読み取り可能であることをそれぞれ判定する(ステップS15,S17)。
【0079】
照射選択部29a2は、バーコード情報が読み取り可能であることから、レーザダイオードR27aからのレーザ光Laの出射要求をレーザ制御部28に通知する(ステップS13)。
【0080】
これにより、上記と同様に、引き続き、読取窓20aから赤色の走査光Lsが出力され、時間計測部29a3が時間の計測を開始して、反射光Lrの受光を待ち受ける(ステップS14)。
【0081】
この時、タイミングチャートは、図7に示されるように、レーザダイオードR27aではON状態が継続する。
このように読取窓20aから出力される赤色の走査光Lsにより、黒色のバーコードBを正常に読み取ることができる。
【0082】
ここで、オペレータが、赤色のバーコードBを読取窓20aにかざす。すると、受光部24は、赤色の走査光Lsが赤色のバーコードBを走査するものの、バーコードBから反射光Lrが反射されずに、反射光Lrを受光しない。
【0083】
このため、主制御部29aは当該反射光Lrに対応するバーコード情報が入力されずに、時間計測部29a3の計測時間がタイムオーバとなる(ステップS15,S16)。
照射選択部29a2は1に1を追加した2をiにセットして、2が4未満であることから、レーザダイオードR27aからのレーザ光Laの出射の停止要求と、レーザダイオードG27bからのレーザ光Laの出射要求とを、レーザ制御部28に通知する。
【0084】
これにより、レーザダイオードR27aからのレーザ光Laの出射が停止され、レーザダイオードG27bからレーザ光Laが出射されて、上記と同様に、読取窓20aから緑色の走査光Lsが出力される(ステップS18〜S20)。
【0085】
この時、タイミングチャートは、図7に示されるように、レーザダイオードR27aではOFFとなり(R2)、レーザダイオードG27bはONになる(G1)。
そして、時間計測部29a3が時間の計測を開始し(ステップS14)、オペレータは、時間計測部29a3が時間計測をしている間に、読取窓20aに赤色のバーコードBをかざすと緑色の走査光LsがバーコードBに反射して受光部24は反射光Lrを受光する。上記と同様に、読取判定部29a4が、復調部26から入力されたバーコードBに対応するバーコード情報を取得することでバーコードBから反射光Lrを受光したこと、バーコードBに対応するバーコード情報を読み取り可能であることをそれぞれ判定する(ステップS15,S17)。なお、赤色のバーコードBのバーコード情報は上位装置30に通知される。
【0086】
照射選択部29a2は、バーコード情報が読み取り可能であることから、レーザダイオードR27aからのレーザ光Laの出射要求をレーザ制御部28に通知する(ステップS13)。
【0087】
再び、読取窓20aから赤色の走査光Lsが出力されるようになる。
この時、タイミングチャートは、図7に示されるように、レーザダイオードG27bはOFFとなり(G2)、レーザダイオードR27aがONとなる(R3)。
【0088】
なお、第2の実施の形態では、バーコードBは黒色に着色されている場合が多いものとして、レーザダイオードを変更して(ステップS18)、正しく読み取ることができた(ステップS17)後、ステップS13に進められるようにして、通常は、読取窓20aから赤色の走査光Lsを出力するようにしている(ステップS13)。しかし、この場合に限らず、変更したレーザダイオードでの照射を継続する場合には、ステップS17後、ステップS14に進めるようにすることも可能である。
【0089】
このようにバーコード読取装置20では、異なる色のレーザ光Laをそれぞれ出射する複数のレーザダイオードを備え、受光部24からの応答に応じて、ポリゴンミラー21に出射しているレーザ光Laを別の色のレーザ光Laに変更するようにした。
【0090】
これにより、着色されたバーコードBを読み取れない場合でも、バーコードBとは別の色のレーザ光LaをバーコードBに出射することで、バーコードBにより反射光Lrが反射されて、着色されたバーコードBが正常に読み取れるようになる。したがって、オペレータが当該バーコードの番号(数字)をPOSレジ端末に直接手入力する必要が無く煩雑な作業の発生が防止され、バーコード読取装置20の利便性が向上するようになる。
【0091】
なお、このようなバーコード読取装置20では、上記とは異なる方法で読み取り処理を実行することができる。以下では、このような場合について説明する。
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態におけるバーコード読取装置20は、図2〜図5に示したハードウェア構成及び機能を備える。このようなバーコード読取装置20では、レーザダイオードR27a、レーザダイオードG27b及びレーザダイオードB27cから順にレーザ光Laを出射させることができるものである。
【0092】
このようなバーコード読取装置20において実行される読み取り処理について説明する。
図8は、第3の実施の形態に係るバーコード読取装置による読み取り処理を実行するためのフローチャートである。
【0093】
なお、図8では、ステップS10〜S12は、図6と同じ処理であるためにそれらの説明については省略する。
[ステップS30] 照射選択部29a2は、レーザダイオードについてi=1をセットする。
【0094】
[ステップS31] 回転計数判定部29a1は、モータ制御部23からモータの回転数に対応した信号が入力されて、当該信号からモータの回転数をカウントする。
[ステップS32] 回転計数判定部29a1はステップS31でモータの所定の回転数、例えば100回転をカウントすると、ステップS33に進められる。
【0095】
[ステップS33] 照射選択部29a2は、ステップS30でセットしたiに対応するレーザダイオードを選択して、選択したレーザダイオードからのレーザ光Laの出射要求と、i−1に対応するレーザダイオードからのレーザ光Laの出射の停止要求をレーザ制御部28に通知する。なお、i=0の場合は、i=3に対応する。
【0096】
レーザ制御部28は、これらの要求に応じたレーザダイオードからのレーザ光Laの出射及び出射の停止を行う。
[ステップS34] 照射選択部29a2は、現在選択しているレーザダイオードに対応するiに1を追加して、iにi+1をセットする。
【0097】
[ステップS35] 照射選択部29a2は、ステップS34でセットしたiが4未満であるか否かを判定する。
判定の結果、iが4未満である場合にはステップS31に進められ、4以上である場合にはステップS30に進められる。
【0098】
次に、このようなバーコード読取装置20で行われる読み取り処理の具体例を説明する。
図9は、第3の実施の形態に係るバーコード読取装置によるレーザダイオードの光の照射に関するタイミングチャートである。
【0099】
なお、当該タイミングチャートでも、照射選択部29a2の出射要求に対応するレーザダイオードはONを、出射の停止要求に対応するレーザダイオードはOFFをそれぞれ表している。
【0100】
まず、回転計数判定部29a1はポリゴンミラー21がモータ22により正常に回転していることを判定する(ステップS10,S11)。
照射選択部29a2が、レーザダイオードについてi=1をセットする(ステップS30)。
【0101】
回転計数判定部29a1は、モータ制御部23からモータの回転数に対応した信号が入力されて、当該信号からモータの回転数をカウントする(ステップS31)。回転計数判定部29a1はモータの回転数が100回転になると、照射選択部29a2にレーザダイオードの選択要求を出力する。照射選択部29a2は、入力された選択要求に応じて、セットしたi=1に対応するレーザダイオードR27aからレーザ光Laの出射要求をレーザ制御部28に通知する(ステップS32,S33)。
【0102】
これにより、レーザ制御部28はレーザダイオードR27aからレーザ光Laを出射させて、読取窓20aから赤色の走査光Lsが出力される。
この時、タイミングチャートでは、図9に示されるように、レーザダイオードR27aがONになる。
【0103】
照射選択部29a2は、1に1を追加した2をiにセットして、i=2が4未満であることを判定する(ステップS34,S35)。
再度、回転計数判定部29a1はモータの回転数が100回転になることをカウントすると、照射選択部29a2にレーザダイオードの選択要求を出力する(ステップS31,S32)。
【0104】
照射選択部29a2は、選択要求が入力されると、セットしたi=2に対応するレーザダイオードG27bからレーザ光Laの出射要求と、i=1に対応するレーザダイオードR27aからのレーザ光Laの出射の停止要求とをレーザ制御部28に通知する。これにより、読取窓20aから緑色の走査光Lsが出力される(ステップS33)。
【0105】
この時、タイミングチャートは、図9に示されるように、レーザダイオードR27aはOFFになり、レーザダイオードG27bはONになる。
照射選択部29a2は、2に1を追加した3をiにセットして、i=3が4未満であることを判定する(ステップS34,S35)。
【0106】
再度、回転計数判定部29a1はモータの回転数が100回転になることをカウントすると、照射選択部29a2にレーザダイオードの選択要求を出力する(ステップS31,S32)。
【0107】
照射選択部29a2は、選択要求が入力されると、セットしたi=3に対応するレーザダイオードB27cからレーザ光Laの出射要求と、i=2に対応するレーザダイオードG27bからのレーザ光Laの出射の停止要求とをレーザ制御部28に通知する。これにより、読取窓20aから青色の走査光Lsが出力される(ステップS33)。
【0108】
この時、タイミングチャートは、図9に示されるように、レーザダイオードG27bはOFFになり、レーザダイオードB27cはONになる。
照射選択部29a2は、3に1を追加した4をiにセットして、i=4が4以上であることを判定する(ステップS34,S35)。
【0109】
すると、照射選択部29a2が、レーザダイオードについてi=1をセットする(ステップS30)。
以下、上記の処理が繰り返されて、図9に示されるように、レーザダイオードR27a、レーザダイオードG27b、レーザダイオードB27cから順にレーザ光Laが出射されるようになる。
【0110】
このようにバーコード読取装置20では、レーザ光Laをそれぞれ出射する複数のレーザダイオードを備え、モータの回転数が100回転ごとにレーザ光Laを出射するレーザダイオードを選択するようにした。
【0111】
これにより、バーコード読取装置20が備えるレーザダイオードから出射されるレーザ光のいずれかと同色のバーコードBが読取窓20aにかざされても、正確に読み取ることが可能となる。したがって、オペレータが当該バーコードの番号(数字)をPOSレジ端末に直接手入力する必要が無く煩雑な作業の発生が防止され、バーコード読取装置20の利便性が向上するようになる。
【0112】
なお、第1及び第2の実施の形態のようにバーコード読取装置が複数のレーザダイオードを備えることで、着色されたバーコードを読み取ることが可能になると共に、レーザダイオードが劣化した際に対処することができるようになる。
【0113】
以下では、このような場合を説明する。
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態におけるバーコード読取装置120は、図2〜図4に示したハードウェア構成を備える。但し、第4の実施の形態では、図4のレーザダイオードは、同じ色のレーザ光を出射するようにしても構わない。
【0114】
図10は、第4の実施の形態に係る主制御部の機能構成を示すブロック図である。
なお、図10では、図5と同じ機能には図5と同じ符号を付しており、それらの説明については省略する。
【0115】
バーコード読取装置120は、レーザダイオードが劣化すると、別のレーザダイオードからレーザ光を出射させることができるものである。
このようなバーコード読取装置120の主制御部29aは、回転計数判定部29a1、照射選択部29a2及び劣化判定部29a5を備える。
【0116】
劣化判定部29a5は、受光部24が受光したバーコードBからの反射光Lrに応じたバーコード情報が復調部26から入力されると、当該バーコード情報に基づいて、反射光Lrの強度情報を後述する受光履歴情報保持部29b1に記録する。また、劣化判定部29a5は、受光履歴情報保持部29b1を参照して、反射光Lrに対応するレーザ光Laを出射したレーザダイオードの劣化を判定する。
【0117】
さらに、バーコード読取装置120のメモリ29bは受光履歴情報保持部29b1を備えている。
受光履歴情報保持部29b1は、バーコード読取装置120が備えるレーザダイオードのレーザ光Laを受光部24が受光した際の受光状態の受光履歴を保持する。そこで、以下に、当該受光履歴の具体例について説明する。
【0118】
図11は、第4の実施の形態に係るバーコード読取装置による受光履歴を表す表である。
図11は、受光部24で受光した、LD(レーザダイオード)から出射されたレーザ光LaのバーコードBでの反射光Lrの強度をサイクルごとに示したものである。なお、1サイクルは、レーザダイオードR27a、レーザダイオードG27b及びレーザダイオードB27cがそれぞれレーザ光Laを順に出射して一巡したことを意味している。また、反射光の強度は、10を最大としている。
【0119】
このような受光履歴は、劣化判定部29a5によって、復調部26から受光部24が受光した反射光Lrに対応するバーコード情報に基づいて記録される。
なお、送信部29cは、劣化判定部29a5が受光履歴情報保持部29b1を参照して劣化していると判定されたレーザダイオードについて上位装置30に通知することができる。上位装置30にレーザダイオードの劣化に関する情報が通知されることで、バーコード読取装置120に対して保守管理を迅速に行うことが可能となる。
【0120】
次に、以上のような構成を備えるバーコード読取装置120において実行される読み取り処理について説明する。
図12〜図14は、第4の実施の形態に係るバーコード読取装置による読み取り処理を実行するためのフローチャートである。
【0121】
なお、この場合も、レーザダイオードR27a、レーザダイオードG27b及びレーザダイオードB27cはそれぞれi=1、2、3(i<4)に対応するものとする。また、図12〜図14では、図6及び図8と同じ処理には図6及び図8と同じ処理番号を付しており、それらの説明については省略する。
【0122】
なお、図12のステップS10から処理を実行する際には、サイクル数は「1」である。
[ステップS40] ステップS33での照射選択部29a2による出射要求に応じてレーザダイオードから出射されたレーザ光Laに対応するバーコードBからの反射光Lrを受光部24が受光する。そして、劣化判定部29a5が復調部26から入力した反射光Lrの強度を受光履歴情報保持部29b1に記録する。
【0123】
[ステップS41] 劣化判定部29a5はサイクル数を1つ増加する。
[ステップS42] 照射選択部29a2は受光履歴情報保持部29b1を参照して、各レーザダイオードの劣化を判定する。
【0124】
[ステップS43] ステップS42の劣化判定結果、レーザイオードに劣化がある場合には図13のステップS30に進められ、レーザダイオードに劣化が無い場合には再び図12のステップS30に進められて、改めてレーザダイオードの選択が行われる。
【0125】
[ステップS44] 劣化判定部29a5は、受光履歴情報保持部29b1を参照して、セットしたiに対応するレーザダイオードが劣化しているか否かを判定する。
判定の結果、レーザダイオードが劣化していない場合には図13のステップS31に進められ、劣化している場合には図14のステップS45に進められる。
【0126】
[ステップS45] 照射選択部29a2は、現在選択しているレーザダイオードに対応するiに1を追加したi+1をセットする。
[ステップS46] 照射選択部29a2は、ステップS45でセットしたiが4未満であるか否かを判定する。
【0127】
判定の結果、iが4以上である場合にはステップS47に進められ、iが4未満である場合にはステップS48に進められる。
[ステップS47] 表示部11a1は、送信部29c及び上位装置30を経由し、照射選択部29a2から全てのレーザダイオードに異常がある旨の通知を入力されると、異常があることを表示して、オペレータに通知する。
【0128】
[ステップS48] 劣化判定部29a5は、ステップS42の結果を踏まえて、ステップS45でセットしたiに対応するレーザダイオードが劣化しているか否かを判定する。
【0129】
判定の結果、レーザダイオードが劣化している場合にはステップS45に進められ、劣化していない場合にはステップS49に進められる。
[ステップS49] 回転計数判定部29a1は、モータ制御部23からモータの回転数に対応した信号が入力されて、当該信号からモータの回転数をカウントする。
【0130】
[ステップS50] 回転計数判定部29a1はステップS49でモータの所定の回転数、例えば100回転をカウントすると、ステップS51に進められる。
[ステップS51] 照射選択部29a2は、ステップS45でセットしたiに対応するレーザダイオードを選択して、選択したレーザダイオードからのレーザ光Laの出射要求をレーザ制御部28に通知する。
【0131】
レーザ制御部28は、これらの要求に応じたレーザダイオードからのレーザ光Laの出射を行う。
また、このような読み取り処理中に実行されるステップS42のレーザダイオードの劣化判定処理の詳細について説明する。
【0132】
図15は、第4の実施の形態に係るバーコード読取装置による劣化判定処理を実行するためのフローチャートである。
[ステップS41a] 劣化判定部29a5は、i=1をセットする。
【0133】
[ステップS41b] 劣化判定部29a5は、受光履歴情報保持部29b1を参照して、iに対応するレーザダイオードのレーザ光LaのバーコードBから反射した反射光Lrの強度が所定のα回連続して所定の閾値以下となっているか否かを判定する。
【0134】
例えば、反射光Lrの強度が4回連続して閾値3以下である場合には、当該反射光Lrに対応するレーザ光Laを出射するレーザダイオードは劣化していると見なされる。
判定の結果、α回連続して所定の閾値以下である場合にはステップS41cに進められ、α回連続して所定の閾値以下ではない場合にはステップS41dに進められる。
【0135】
[ステップS41c] 劣化判定部29a5は、劣化しているレーザダイオードを特定する。
[ステップS41d] 劣化判定部29a5は、iに1を加えて、i+1をセットする。
【0136】
[ステップS41e] 劣化判定部29a5は、iが4未満であるか否かを判定する。
判定の結果、iが4未満である場合にはステップS41bに進められ、iが4以上である場合には劣化判定処理が終了してステップS43に進められる。
【0137】
次に、このようなバーコード読取装置120で行われる読み取り処理の具体例を説明する。
図16は、第4の実施の形態に係るバーコード読取装置によるレーザダイオードの光の照射に関するタイミングチャートである。
【0138】
なお、図16は、サイクル「N」から「N+5」の各レーザダイオードのON/OFFを示している。
また、バーコード読取装置120ではモータ22は正常に回転しているものとする。
【0139】
回転計数判定部29a1がモータ22の100回転をカウントするごとに、照射選択部29a2がレーザダイオードR27a、レーザダイオードG27b、レーザダイオードB27cからのレーザ光Laの出射要求をレーザ制御部28に通知する。各レーザダイオードからレーザ光Laが順に出射されるごとに、劣化判定部29a5が受光履歴情報保持部29b1に各レーザ光LaのバーコードBからの反射された反射光Lrの強度を記録する(図12:ステップS31〜S33,S40,S34,S35)。
【0140】
この場合の受光履歴情報保持部29b1の受光履歴は、図11に示されるように、サイクル「1」に、受光部24が受光したレーザダイオードR27a、レーザダイオードG27b、レーザダイオードB27cからのレーザ光LaのバーコードBから反射された反射光Lrの強度が「10」、「10」、「10」がそれぞれ記録される。
【0141】
各レーザダイオードからのレーザ光Laの出射が一巡した後、劣化判定部29a5はサイクルを1つ増加すると共に、受光履歴情報保持部29b1を参照して、各レーザダイオードの劣化判定を行う(図12:ステップS41,S42)。
【0142】
劣化判定では、各レーザダイオードのレーザ光Laに対応する反射光Lrの強度が、閾値の4以上であり、サイクル数が少ないため、各レーザダイオードは劣化していないと判定する(図15:ステップS41a〜S41e、及び図13:ステップS43)。
【0143】
このようにして、サイクル「1」からサイクル「N+2」まで、受光履歴情報保持部29b1の受光履歴が記録される。なお、このサイクル「1」からサイクル「N+2」の間では、反射光Lrの強度が4回連続して閾値3以下であることがなく、レーザダイオードは劣化していないと判定されている。
【0144】
また、この時のタイミングチャートは、図16に示されるように、サイクル「N+2」まで、各レーザダイオードから順にレーザ光Laが出射される。
そして、サイクル「N+3」において、上記と同様に、レーザダイオードについて、図12のステップS31〜S33,S40,S34,S35の処理が実行されて、受光履歴情報保持部29b1にサイクル「N+3」におけるレーザダイオードR27a、レーザダイオードG27b、レーザダイオードB27cから出射されたレーザ光Laに対する反射光Lrの強度として、0、8、9が記録される。
【0145】
劣化判定部29a5はサイクルを1つ増加すると共に、受光履歴情報保持部29b1を参照して、各レーザダイオードの劣化判定を行う(図12:ステップS41,S42)。
劣化判定部29a5は、図11に示される受光履歴を参照して、レーザダイオードR27aの反射光Lrの強度が、閾値の3以下が4サイクル連続していることから、レーザダイオードR27aのみが劣化していると特定する(図15:ステップS41a〜S41e)。このように劣化判定部29a5がレーザダイオードR27aに劣化があることを判定する(図13:ステップS43)。
【0146】
照射選択部29a2は、iに1をセットして、i=1に対応するレーザダイオードR27aは劣化していることを判定する(図13:ステップS44,S30,S44)。
すると、照射選択部29a2は、1に1を追加して、i=2(i+1)をセットして、i=2が4未満であり、i=2に対応するレーザダイオードG27bは劣化していないことを判定する(図14:ステップS45,S46,S48)。
【0147】
回転計数判定部29a1がモータ22の回転を計数して、モータ22が100回転すると、照射選択部29a2はレーザダイオードG27bからレーザ光Laの出射要求をレーザ制御部28に通知すると、レーザダイオードG27bからレーザ光Laが出射される。そして、当該レーザ光Laに対応する反射光Lrの強度を受光履歴情報保持部29b1に記録する(図14:ステップS49〜S51,S40)。
【0148】
この時のタイミングチャートは、図16に示されるように、サイクル「N+4」では、レーザダイオードR27aがOFFになる代わりに、レーザダイオードG27bがONになる。
【0149】
再び、回転計数判定部29a1がモータ22の100回転をカウントするごとに、照射選択部29a2がレーザダイオードG27b、レーザダイオードB27cからのレーザ光Laの出射要求をレーザ制御部28に通知する。各レーザダイオードからレーザ光Laが順に出射されるごとに、劣化判定部29a5が受光履歴情報保持部29b1に各レーザ光LaのバーコードBからの反射された反射光Lrの強度を記録する(図13:ステップS31〜S33,S40,S34,S35)。
【0150】
この時のタイミングチャートは、図16に示されるように、サイクル「N+4」では、続けて、レーザダイオードG27bがONになり、その後、レーザダイオードB27cがONになる。
【0151】
以後、同様にして、劣化したレーザダイオードR27aに代わり、レーザダイオードG27bからレーザ光Laが出射されるようになり、レーザダイオードG27b及びレーザダイオードB27cからそれぞれレーザ光Laが出射される。
【0152】
なお、この後、全てのレーザダイオードが劣化した場合には、ステップS45,S46,S48を経て、ステップS47で、表示部11a1にレーザダイオードが劣化していることを表示してオペレータに通知する。
【0153】
このようにバーコード読取装置120では、レーザ光Laをそれぞれ出射する複数のレーザダイオードを備え、モータの所定の回転ごとにレーザ光Laを出射するレーザダイオードを選択するようにした。また、レーザダイオードからのレーザ光Laに対応する反射光Lrの強度が連続して所定回数、閾値よりも小さい場合には、当該レーザダイオードが劣化したものと見なして、別のレーザダイオードからレーザ光を出射するようにした。
【0154】
これにより、劣化したレーザダイオードの交換のために直ちにバーコード読取装置120を停止させる必要がなくなる。また、レーザダイオードが劣化してもバーコード読取装置120の読み取りの停止が防止されることから、オペレータは当該バーコードの番号(数字)をPOSレジ端末に直接手入力する必要が無くなる。したがって、オペレータの煩雑な作業の発生が抑制されて、顧客を待たせることなくバーコードの読み取りが実行されるようになり、バーコード読取装置120の利便性が向上する。
【0155】
さらに、このようなバーコード読取装置120では、レーザダイオードからのレーザ光Laに対応する反射光Lrの受光履歴から劣化したと見なされるレーザダイオードについて、送信部29cから上位装置30に通知するようにした。
【0156】
これによりバーコード読取装置に対して迅速に対応できるため、バーコード読取装置20の利便性が向上するようになる。
なお、第2〜第4の実施の形態では、3種のレーザダイオードの場合を例に挙げたが、この場合に限らず、4種以上のレーザダイオードの場合も同様に実施することが可能である。
【符号の説明】
【0157】
1,20,120 バーコード読取装置
2 光走査手段
3 受光手段
4 発光手段
4a,4b 光源
5 制御手段
10 POSシステム
11 バーコード読取システム
11a 表示入力装置
11a1 表示部
11a2 操作部
20a 読取窓
20b 反射ミラー
21 ポリゴンミラー
22 モータ
23 モータ制御部
24 受光部
25 A/D変換部
26 復調部
27a レーザダイオードR
27b レーザダイオードG
27c レーザダイオードB
28 レーザ制御部
29a 主制御部
29a1 回転計数判定部
29a2 照射選択部
29a3 時間計測部
29a4 読取判定部
29a5 劣化判定部
29b メモリ
29b1 受光履歴情報保持部
29c 送信部
30 上位装置
B バーコード
Ls 走査光
Lr 反射光
Li 光
La レーザ光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーコードを読み取るバーコード読取装置において、
受け付けた光を走査させて前記バーコードに照射する光走査手段と、
前記光走査手段から照射された前記バーコードからの反射光を受け付ける受光手段と、
異なる波長の光をそれぞれ出射する複数の光源を備え、前記受光手段からの応答に応じて、前記光走査手段に出射する光を別の波長の光に変更する発光手段と、
を有することを特徴とするバーコード読取装置。
【請求項2】
前記発光手段からの応答は、前記受光手段が前記反射光から前記バーコードが示すバーコード情報が得られないことを示す、
ことを特徴とする請求項1記載のバーコード読取装置。
【請求項3】
前記光走査手段は、ポリゴンミラーと、前記ポリゴンミラーを回転させるモータと、
を有することを特徴とする請求項1記載のバーコード読取装置。
【請求項4】
バーコードを読み取るバーコード読取装置において、
受け付けた光を走査させて前記バーコードに照射する光走査手段と、
異なる波長の光をそれぞれ出射する複数の光源を備え、前記光走査手段に前記複数の光源から順に光を出射する発光手段と、
を有することを特徴とするバーコード読取装置。
【請求項5】
前記光走査手段は、ポリゴンミラーと、前記ポリゴンミラーを回転させるモータと、
を有することを特徴とする請求項4記載のバーコード読取装置。
【請求項6】
前記発光手段は、前記モータにより回転する前記ポリゴンミラーの回転ごとに前記複数の光源から順に波長の異なる光を出射する、
ことを特徴とする請求項5記載のバーコード読取装置。
【請求項7】
バーコードを読み取るバーコード読取装置において、
受け付けた光を走査させて前記バーコードに照射する光走査手段と、
前記光走査手段から照射された前記バーコードからの反射光を受け付ける受光手段と、
光を出射する複数の光源を備え、前記受光手段が受け付けた前記反射光の強度に応じて、前記光走査手段に出射する光を別の光に変更する発光手段と、
を有することを特徴とするバーコード読取装置。
【請求項8】
前記光走査手段は、ポリゴンミラーと、前記ポリゴンミラーを回転させるモータと、
を有することを特徴とする請求項7記載のバーコード読取装置。
【請求項9】
前記発光手段は、前記受光手段が閾値以下の前記反射光の強度を連続して所定回数受け付けた場合に、前記光走査手段に出射する光を別の光に変更する、
ことを特徴とする請求項8記載のバーコード読取装置。
【請求項10】
前記受光手段が所定回数連続して受け付けた前記閾値以下の強度の前記反射光に対応する前記光を出射した前記光源が劣化していることを上位装置に通知する送信部、
をさらに有することを特徴とする請求項9記載のバーコード読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−208813(P2012−208813A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74938(P2011−74938)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】