説明

バーナ

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は石炭などの有機燃料をガス化する装置に、燃料とガス化剤(酸素、水素、水蒸気の少なくとも一種を含むガス)を吹き込むバーナに関する。
【0002】
【従来の技術】図15はガス化炉とその周辺機器の配置を示す系統図である。ミル46で破砕され、混合器47でN2 ガスと混合された後、同N2 ガスで搬送されてガス化炉41の石炭用バーナ011に投入された石炭は、ガス化剤と反応してガス化し、チャー回収装置42でチャーを分離された後、生成ガスとして取出される。分離されたチャーは混合器45に入り、搬送用N2 によりガス化炉41のチャー用バーナ011に戻され、ガス化剤によって燃焼する。
【0003】図16はガス化炉に燃料とガス化剤を投入する従来のバーナの一例を示す縦断面図である。内筒032の中央に形成されたガス化剤が流れる中央流路012と、前記内筒032と外筒031との間に形成された燃料(微粉炭)と搬送用N2との混合気が流れる環状断面流路013とが同軸になっており、バーナ外部で燃料噴流01、03に対しガス化剤噴流02、04を衝突させることにより、燃料とガス化剤の混合を促進している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】燃料噴流とガス化剤噴流をバーナ外部で衝突させる前記従来のバーナでは、ガス化剤の酸素分圧が低い場合には、バーナの噴出口近傍で燃料とチャーの燃焼速度が噴出速度よりも小さくなるため、着火点がバーナの噴出口から離れる。石炭ガス化炉のコンバスタ部では、着火点が離れることによる燃焼性の悪化ならびに、バーナ部で溶融した灰が固化することによる不具合が生じる。
【0005】また、窒素で搬送する場合は、ガス化炉の性能上、ガス化炉内への窒素の投入量をなるべく小さくすることが好ましい。しかしながらバーナを同軸形式にする場合は、窒素の投入量を小さくすると幾何学的関係から燃料が流れる環状断面流路の隙間の寸法が小さくなり過ぎて、閉塞する可能性がある。
【0006】燃料の着火を良好にするためには、燃料の発熱量、反応速度に対して燃料およびチャーと予混合ガスの流量を調整し、着火に最適な条件を設定することが必要である。従来、燃料とチャーを窒素等の不活性ガスで搬送する場合は、ガス化炉内(バーナ外部)においてガス化剤と混合させることにより着火の条件を満たしていた。しかしながらガス化剤中の酸素分圧が低い場合は、バーナ噴口部近傍の混合部での燃料及びチャーの反応量が少なく、安定着火の条件を満たすことが困難であった。
【0007】本発明は、従来の装置におけるこのような問題点を解消し、正確、確実そして安定した作動で、着火および燃焼性能を向上するようにしたものを提供することを課題とするものである。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決すべくなされたもので、その第1の手段として、噴流床ガス化装置用のバーナにおいて、二重の筒状部材と、外側の筒状部材の上流側に設けられたガス化剤投入口と、内側の筒状部材の上流側に設けられた燃料用の投入口およびガス化剤用の投入口とを具えるとともに、内側の筒状部材の上流側に設けられた燃料用の投入口とガス化剤用の投入口の少なくともいずれか一方の投入口を、バーナ軸心に垂直な面またはこの面への投影面内でバーナ軸心を中心とする円の接線方向に向けて開口したバーナを提供し、二重の筒状部材のうち内側の筒状部材では、その上流側に設けられた燃料用の投入口とガス化剤用の投入口の少なくともいずれか一方から、燃料、または/およびガス化剤を、バーナ軸方向に対して旋回方向の速度成分を与えてバーナ内に投入し、バーナ軸方向に対し旋回方向の速度成分を持たせることにより、バーナの噴出口近傍に再循環渦を形成させるようにしたものである。
【0012】 また、本発明は第2の手段として、噴流床ガス化装置用のバーナにおいて、三重の筒状部材と、外側の筒状部材の上流側に設けられたガス化剤投入口と、中間の筒状部材の上流側に設けられた燃料用の投入口およびガス化剤用の投入口と、内側の筒状部材の上流側に設けられた燃料用の投入口およびガス化剤用の投入口とを具えるとともに、中間の筒状部材および内側の筒状部材の上流側に設けられた燃料用の投入口とガス化剤用の投入口の少なくともいずれか一方の投入口を、バーナ軸心に垂直な面またはこの面への投影面内でバーナ軸心を中心とする円の接線方向に向けて開口したバーナを提供し、三重の筒状部材のうち中間の筒状部材および内側の筒状部材の上流側に設けられた燃料用の投入口とガス化剤用の投入口の少なくともいずれか一方から、燃料、または/およびガス化剤を、バーナ軸方向に対して旋回方向の速度成分を与えてバーナ内に投入し、バーナ軸方向に対し旋回方向の速度成分を持たせることにより、バーナの噴出口近傍に再循環渦を形成させるようにしたものである。
【0013】 また、本発明は第3の手段として、噴流床ガス化装置用のバーナにおいて、三重の筒状部材と、外側の筒状部材の上流側に設けられたガス化剤投入口と、中間の筒状部材の上流側に設けられた燃料用の投入口およびガス化剤用の投入口と、内側の筒状部材の上流側に設けられた燃料用の投入口およびガス化剤用の投入口と、内側の筒状部材の中央に設けられた起動用バーナと、起動用バーナの外周に設けられたシールガス流路とを具えるとともに、中間の筒状部材および内側の筒状部材の上流側に設けられた燃料用の投入口とガス化剤用の投入口との少なくともいずれか一方の投入口を、バーナ軸心に垂直な面またはこの面への投影面内でバーナ軸心を中心とする円の接線方向に向けて開口したバーナを提供し、三重の筒状部材のうち中間の筒状部材および内側の筒状部材の上流側に設けられた燃料用の投入口とガス化剤用の投入口の少なくともいずれか一方から、燃料、または/およびガス化剤を、バーナ軸方向に対して旋回方向の速度成分を与えてバーナ内に投入し、バーナ軸方向に対し旋回方向の速度成分を持たせることにより、バーナの噴出口近傍に再循環渦を形成させるようにするとともに、内側の筒状部材の中央に設けられその外周にシールガス流路を具えた起動用バーナにより、確実な起動を行うようにしたものである。
【0014】 また、本発明は第4の手段として、上記第1ないし第3の何れかの手段において、上記外側の筒状部材の下流側内面に旋回羽根を設けたバーナを提供し、同旋回羽根により、前記バーナ軸方向に対しする旋回方向の速度成分を助長するようにしたものである。
【0015】 また、本発明は第5の手段として、上記第1ないし第4の何れかの手段において、上記外側の筒状部材の下流側付近に保炎用ブロックを設けたバーナを提供し、同保炎用ブロックにより火炎を確保し、燃焼性を向上させるようにしたものである。
【0016】 また、本発明は第6の手段として、上記第1ないし第5の何れかの手段において、ガス化剤中の酸素と燃料との混合比を重量比で0.19ないし0.46とするバーナを提供し、着火距離(バーナの噴出口から着火点までの距離)を縮めて、良好な燃焼状態を設定するようにしたものである。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【発明の実施の形態】図1ないし図7に基づいて本発明の第1の実施の形態を説明する。11aはバーナで、片方の端部に噴出口を持つ内筒33、中間筒32、外筒31を同軸上に配置した三重の円筒で構成されている。内筒33の上流側には、その周面の接線方向に燃料及び搬送ガス導入口21、予混合用ガス化剤導入口22が各2個、同一のものが互いに180°離れて配設されており、燃料及び搬送ガス導入口21からはチャー及び搬送ガス(N2)1,また、予混合用ガス化剤導入口22からはガス化剤2が中央通路12中へ旋回方向に投入される。
【0021】また、中間筒32の上流側には、その周面の接線方向に燃料及び搬送ガス導入口23、予混合用ガス化剤導入口24が各2個、同一のものが互いに180°離れて配設されており、燃料及び搬送ガス導入口23からは石炭及び搬送ガス(N2)3,また、予混合用ガス化剤導入口24からはガス化剤4が環状断面通路14中へ旋回方向に投入される。
【0022】さらにまた、外筒31の上流側には、その周面の接線方向にガス化剤導入口25が互いに90°離れて4個配設されており、ガス化剤5が環状断面通路13中へ旋回方向に投入される。
【0023】36、37、及び38はそれぞれ背面板で、背面板36は内筒33、背面板37は中間筒32、背面板38は外筒31の端部をプラグしている。中間筒32と外筒31ので区画する環状断面通路13の他方の端部には旋回羽根(スワラ)17及び保炎用ブロック18が配置されている。また、41は前記バーナ11aを設置したガス化炉を示している。
【0024】このように構成された本実施の形態において、中央通路12には窒素で搬送されてきたチャー及び搬送ガス(N2)1とガス化剤2をそれぞれ内筒33の接線方向、即ち旋回方向(図1参照)に投入する。
【0025】前記中央通路12の次の環状断面流路14には、石炭及び搬送ガス(N2)3とガス化剤4をそれぞれ中間筒32の接線方向、即ち旋回方向に投入する。
【0026】ここで、石炭およびチャーとガス化剤の投入点からバーナ噴出口までの長さは少なくとも、中央流通路12においては内径、環状断面通路14においては同環状断面通路を構成する2つの円管の隙間の5倍ないし10倍以上の距離とする。これは石炭やチャーとガス化剤とがバーナ噴出口までに十分混合するための適正な距離である。
【0027】また隙間の寸法は、搬送する粒子による閉塞を防止するため、粒子の最大粒径の10倍以上とることが望ましい。最も外側にある環状断面通路13には、必要なガス化剤量から予混合に使用したガス化剤量を引いた量のガス化剤5を旋回方向に投入する。
【0028】なお、このバーナ11aに至る前記チャー及び搬送ガス(N2)1、ガス化剤2、石炭及び搬送ガス(N2)3,ガス化剤4、及びガス化剤5の流れは図3に示すようになっている。
【0029】即ち、ガス化炉41でガス化され、チャー回収装置42で生成ガスと分けられたチャーは、混合器45において搬送ガス調整弁53を経て供給される搬送ガス(N2)と混合され、チャー及び搬送ガス(N2)1として前記バーナ11aに供給される。
【0030】一方、このチャー及び搬送ガス(N2)1に対応するガス化剤2について見ると、送風機48から空気調整弁52を経て窒素分離器43に供給された大気中から同窒素分離器43で搬送ガスとなるN2 と分離されたO2 が、空気調整弁51を経て前記窒素分離器43をバイパスした空気とガス化剤混合器44で混合されていわゆるガス化剤2となり、ガス化剤調整弁57を経て前記バーナ11aに供給される。
【0031】また、石炭については、ミル46で粉砕され、次いで混合器47において搬送ガス調整弁54を経て供給される搬送ガス(N2)と混合され、石炭及び搬送ガス(N2)2として前記バーナ11aに供給される。
【0032】この石炭及び搬送ガス(N2)2に対応するガス化剤4について見ると、前記したガス化剤2と一緒にガス化剤混合器44で作成されガス化剤調整弁56を経て前記バーナ11aに供給される。
【0033】そしてまた、バーナ11aに供給されるガス化剤5は、前記した他のガス化剤2、4とガス化剤混合器44の出口から分かれてガス化剤調整弁55を経て前記バーナ11aに供給されるようになっている。
【0034】従って、空気調整弁51を経た空気重量A1と窒素分離器43からの酸素分O2 で合成されるガス化剤総量GOは、ガス化剤2、4、5それぞれのガス化剤重量G2,G4,G5の和となり、また、搬送ガス(N2)総重量VNOは搬送ガス調整弁54を経て供給され石炭を搬送する搬送ガス(N2)重量VN1と、搬送ガス調整弁53を経て供給されチャーを搬送する搬送ガス(N2)重量VN2の和となる。
【0035】また本実施の形態において採用した旋回羽根(スワラ)17の詳細を図5に示す。図5aにその正面を、また、図5bにその縦断面を示すように、このような形状とすることにより、空気と石炭の混合を均一にする作用を有し、これにより着火性のみならず、燃焼も良好になる。
【0036】図4は燃料噴出流速と着火距離の関係を示す図であるが、燃料噴出流速が5m/sないし100m/sの範囲において、スワラの設置により着火距離は1/10程度に短縮され、良好な着火状況となることがわかる。
【0037】また、場合によってはそれぞれの環状断面通路の噴出口に保炎用のブロック(17)を設置してもよい。これは、図7に示すように流れ内に設置され、その後流に生じる渦流により高温ガスを再循環させて、着火を助けるものである。
【0038】なお本実施の形態では、予混合用ガスの投入流速を5m/sないし100m/sの範囲に調整する。投入流速が5m/s未満では粒子沈降によるバーナ焼損の可能性があり、100m/sを超えると摩耗によるバーナの破損が有るので、前記した5m/sないし100m/sが最も好ましい範囲ということになる。
【0039】また、本実施の形態では、燃料と予混合用ガスの混合割合を0.8ないし2.0の範囲とする。図6R>6に示すように、燃料と予混合用ガスの混合割合がこの範囲の時に着火距離(バーナの噴出口から着火点までの距離)が短く、良好な燃焼状態を設定することができるからである。ガス化剤全体からいえば、予混合用ガスはガス化剤全体の0〜50%、好ましくは10〜30%を石炭またはチャーに混合する。石炭とチャーに適当な割合で混合しても良いし、どちらか一方のみに混合しても良い。
【0040】なおまた、上記各説明で理解されるように、本実施の形態におけるガス化剤2、4、5は、酸素に富んだ空気であり、このガス化剤が供給される内筒33、中間筒32、外筒31は同心状に配置された断面形状円形のものとして示したが、この形状は円形が好ましいものの、これに限定されることなくその断面形状は、楕円、または角状であってもよい。
【0041】そして、内筒33、中間筒32、外筒31のそれぞれに接線方向に開口して取付けたガス化剤または搬送ガス等の各導入口の数または取付け位置も上記説明に限定されるものではなく、装置の規模等に応じて適宜選択しうることは勿論である。
【0042】また、内筒33、中間筒32、外筒31の全てが同一方向に旋回流を起こすようにガス化剤または搬送ガス等の各導入口を取り付けているが、旋回流の方向は各筒毎に任意に決めることもできる。
【0043】さらにまた、内筒33、中間筒32、外筒31のそれぞれにおいて、ガス化剤または搬送ガス等の各導入口は同一円周面の接線方向に開口しているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、その一部に法線方向に開口するものを含むこともできる。
【0044】本発明の第2の実施の形態について、図8および図9に基づいて説明する。本実施の形態では、前記第1の実施の形態のものが、ガス化剤または搬送ガス等の各導入口をそれぞれ内筒33、中間筒32、外筒31の周面に取付けていたのに対し、これらのうち内筒33、及び中間筒32のものを対応する各背面板36、37に取付けたものであり、その他の構成、作用等は前記第1の実施の形態のものと実質的に同一であるので、図中共通部分に同一の符号を付して示し、重複する説明は省略する。
【0045】即ち、本実施の形態では、背面板36には燃料(チャー)及び搬送ガス導入口21、及び予混合用ガス化剤導入口22が各2個、同一のものが軸心を挟んで互いに向き合って取付けられ、同様に背面板37には、燃料(石炭)及び搬送ガス導入口23、及び予混合用ガス化剤導入口24が各2個、同一のものが軸心を挟んで互いに向き合って取付けられており、そして外筒31にはガス化剤導入口25が一個軸方向に開口して取り付けられている。
【0046】そして、背面板36、37に取付けられた各導入口は、図に示すように軸心に垂直な面ではなく、この面と交叉する面内で開口し、この軸心に垂直な面への投影面で見たとき、軸心を中心とする円の接線方向に向けて開口している。
【0047】なお、本実施の形態では、前記したように投影面上で軸心を中心とする円の接線方向に向けて開口させて、内筒33、及び中間筒32内に旋回流を発生させるようにしているが、図示省略したが、環状断面通路13にはその内端部に旋回羽根17を設けているので、各導入口は必ずしも全てが旋回流を発生するように接線方向へ開口させなくてもよい。
【0048】そしてまた、旋回流を発生させる導入口については、要は旋回流が発生すればよいのであって、その開口方向は種々の方向を選び得るものである。
【0049】次に本発明の第3の実施の形態について、図10および図11に基づいて説明する。本実施の形態は、前記第1の実施の形態に比べ、起動用のバーナを組み入れた点が相違する他、両者は同一であるので、共通部分については図中同一の符号を付して示し、重複する説明は極力省略して相違点について説明する。
【0050】即ち、、本実施の形態は、内筒33の中央に、起動バーナ用内筒35を設け、その外部にシールガス用内筒34を設けるとともに、バーナ11bの外端には、シールガス導入口26と起動用燃料導入口27とを設けたものである。
【0051】従って本実施の形態では、前記起動バーナ用内筒35までを数えれば4重の円管、更に前記シールガス用内筒34までを数えれば5重の円管で構成されることになる。そして今ガス化炉を起動する際には、起動用燃料導入口27から起動用燃料を供給して起動バーナ用内筒35を作動する。
【0052】その後定常の稼働状態になると起動バーナ用内筒35は停止され、シールガス導入口26からシールガス用内筒34へ供給されるシールガスにより、起動バーナ用内筒35と内筒33の間は熱伝達を遮蔽されることになる。
【0053】そして中央通路12に旋回方向に投入されたチャー及び搬送ガス(N2)1とこれに対応するガス化剤2、および前記中央通路12の外側の環状断面通路14に旋回方向に投入された石炭及び搬送ガス(N2)3とこれに対応するガス化剤4、さらにその外側の環状断面通路13のガス化剤5等へと反応が移って行く。
【0054】ここでも前記第1の実施形態と同様、石炭およびチャーと予混合用ガスの投入点からバーナ噴出口までの長さは少なくとも、環状流路を構成する2つの円管の隙間の5倍ないし10倍以上の距離し、また隙間の寸法も前記第1の実施の形態同様、搬送する粒子の最大粒径の10倍以上とる事が望ましい。
【0055】なお、最も外側にある環状断面通路13には、必要なガス化剤量から予混合に使用したガス化剤量を引いた量のガス化剤5を旋回方向に投入するが、前記同様この環状断面通路13の噴出口に投入時の旋回方向と同一の方向にガスを旋回させる旋回羽根17を設置してもよいし、また場合によってはそれぞれの環状断面通路14、13の噴出口に保炎用のブロック18を設置してもよい。
【0056】次に本発明の第4の実施の形態について図1212ないし図14に基づいて説明する。本実施の形態は前記各実施の形態を総括した原型ともいうべきものであるので、前記各実施の形態と共通部分には図中同一の符号を付して示し、重複する説明は省略し、相違点について説明する。
【0057】即ち、本実施の形態では、前記各実施の形態における内筒33と中間筒32とを集約して一本の内筒33とし、同内筒33に燃料(チャー)及び搬送ガス導入口21と燃料(石炭)及び搬送ガス導入口23とを一体化して連結し、チャー及び搬送ガス(N2)1と石炭及び搬送ガス(N2)3とが軸方向に供給されるようにするとともに、同内筒33の周面には予混合用ガス化剤導入口22と24を合体して接線方向に開口し、ガス化剤2、4を中心とした旋回流を発生させるようにしたものである。
【0058】従ってこのように構成された本実施の形態によれば、内筒33中において、チャー及び搬送ガス(N2)1、石炭及び搬送ガス(N2)3、ガス化剤2及びガス化剤4を混合し、これを外筒31から旋回羽根17を経て流出するガス化剤5と更に混合してバーナ11c出口で反応させるものである。
【0059】そして前記内筒33の内端部の噴出口には、保炎用のブロック18を設置してもよいことは勿論である。
【0060】なお、このようにしてバーナ11cに至る前記チャー及び搬送ガス(N2)1、ガス化剤2、石炭及び搬送ガス(N2)3,ガス化剤4、及びガス化剤5の流れは図14に示すようになっている。
【0061】同図14においては、中央部に示したガス化炉41の左右にバーナ11cを対峙して示しているために、一見あたかもバーナ11cが複数設けられているかのように見えるが、これは図12、13で説明したように、チャー及び搬送ガス(N2)1とガス化剤2がひとつに統合され、これに対して同様にひとつに統合された石炭及び搬送ガス(N2)3とガス化剤4が旋回流を形成しつつ混合するものであり、それぞれの統合形態を強調するために敢えて左右に対峙して表示したものであり、バーナ11cが複数あるというものではない。
【0062】そしてその他の形態については、前記第1の実施の形態として図3に示したののと実質的に同一であるので、同一部分に図中同一の符号を付して示し重複する説明は省略する。
【0063】以上、本発明を図示の実施の形態について縷々説明したが、本発明はかかる実施の形態に限定されず、本発明の範囲内でその具体的構造に種々の変更を加えてよいことはいうまでもない。
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【発明の効果】以上本出願の請求項1の発明によれば、噴流床ガス化装置用のバーナにおいて、バーナ軸方向に対して好ましい旋回方向の速度成分を得て、バーナの噴出口近傍に好ましい再循環渦を形成させることができたものである。
【0068】 また、請求項の発明によれば、噴流床ガス化装置用のバーナにおいて、筒状部材を三重に構成したものにおいても、バーナ軸方向に対して好ましい旋回方向の速度成分を得て、バーナの噴出口近傍に好ましい再循環渦を形成させることができたものである。
【0069】 また、請求項の発明によれば、噴流床ガス化装置用のバーナにおいて、筒状部材を三重に構成しかつ中央に起動用バーナを配設したものにおいても、起動用バーナによる確実な起動を確保した上で、バーナ軸方向に対して好ましい旋回方向の速度成分を得て、バーナの噴出口近傍に好ましい再循環渦を形成させることができたものである。
【0070】 また、請求項の発明によれば、請求項1ないし3の何れかの発明の効果に加えて、それぞれ旋回羽根によりバーナ軸方向に対する旋回方向の速度成分を助長することができたものである。
【0071】 また、請求項の発明によれば、請求項1ないし4の何れかの発明の効果に加えて、それぞれ保炎用ブロックにより火炎を確保して燃焼性を向上させることができたものである。
【0072】 また、請求項の発明によれば、請求項1ないし5の何れかの発明の効果に加えて、それぞれガス化剤中の酸素と燃料との適切な混合比を選定し、着火距離を縮めて、良好な燃焼状態を設定することができたものである。
【0073】
【0074】
【0075】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わるバーナを示す背面図。
【図2】図1のバーナを一部断面にして示す側面図。
【図3】図1のバーナを組み込んだガス化炉の燃料等の供給系統図。
【図4】燃料噴出流速と着火距離の関係を示す説明図。
【図5】図2のバーナの内端部に設置した旋回羽根を抜粋して示し、aは正面図、bは縦断面図。
【図6】予混合用ガスと燃料の混合割合と着火距離(バーナの噴出口から着火点までの距離)の関係を示す説明図。
【図7】図2のバーナの内端部に設置した保炎用ブロックの作用を示す説明図。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係わるバーナを示す背面図。
【図9】図8のバーナを先端側を省略して示す側面図。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係わるバーナを示す背面図。
【図11】図10のバーナを一部断面にして示す側面図。
【図12】本発明の第4の実施の形態に係わるバーナを示す背面図。
【図13】図12のバーナを一部断面にして示す側面図。
【図14】図12のバーナを組み込んだガス化炉の燃料等の供給系統図。
【図15】従来のガス化炉とその周辺機器の配置を示す系統図。
【図16】従来のバーナの一例を示す縦断面図。
【符号の説明】
1 チャー及び搬送ガス(N2)
2 ガス化剤
3 石炭及び搬送ガス(N2)
4 ガス化剤
5 ガス化剤
6 シールガス
11a バーナ
11b バーナ
11c バーナ
12 中央通路
13 環状断面通路
14 環状断面通路
15 環状断面通路
16 環状断面通路
17 旋回羽根
18 保炎用ブロック
20 起動用バーナ
21 燃料(チャー)及び搬送ガス(N2)導入口
22 予混合用のガス化剤導入口
23 燃料(石炭)及び搬送ガス(N2)導入口
24 予混合用のガス化剤導入口
25 ガス化剤導入口
26 シールガス導入口
27 起動用燃料導入口
31 外筒
32 中間筒
33 内筒
34 シールガス用内筒
35 起動バーナ用内筒
36 背面板
37 背面板
38 背面板
41 ガス化炉
42 チャー回収装置
43 窒素分離器
44 ガス化剤混合器
45 混合器
46 ミル
47 混合器
48 送風機
51 空気調整弁
52 空気調整弁
53 搬送ガス調整弁
54 搬送ガス調整弁
55 ガス化剤調整弁
56 ガス化剤調整弁
57 ガス化剤調整弁
GA チャー重量
GB 石炭重量
GO ガス化剤総重量
G2 ガス化剤重量
G4 ガス化剤重量
G5 ガス化剤重量
AO 空気総重量
A1 空気重量
A2 空気重量
VNO 搬送ガス(N2)総重量
VN1 搬送ガス(N2)重量
VN2 搬送ガス(N2)重量

【特許請求の範囲】
【請求項1】 噴流床ガス化装置用のバーナにおいて、二重の筒状部材と、外側の筒状部材の上流側に設けられたガス化剤投入口と、内側の筒状部材の上流側に設けられた燃料用の投入口およびガス化剤用の投入口とを具えるとともに、内側の筒状部材の上流側に設けられた燃料用の投入口とガス化剤用の投入口の少なくともいずれか一方の投入口を、バーナ軸心に垂直な面またはこの面への投影面内でバーナ軸心を中心とする円の接線方向に向けて開口したことを特徴とするバーナ。
【請求項2】 噴流床ガス化装置用のバーナにおいて、三重の筒状部材と、外側の筒状部材の上流側に設けられたガス化剤投入口と、中間の筒状部材の上流側に設けられた燃料用の投入口およびガス化剤用の投入口と、内側の筒状部材の上流側に設けられた燃料用の投入口およびガス化剤用の投入口とを具えるとともに、中間の筒状部材および内側の筒状部材の上流側に設けられた燃料用の投入口とガス化剤用の投入口の少なくともいずれか一方の投入口を、バーナ軸心に垂直な面またはこの面への投影面内でバーナ軸心を中心とする円の接線方向に向けて開口したことを特徴とするバーナ。
【請求項3】 噴流床ガス化装置用のバーナにおいて、三重の筒状部材と、外側の筒状部材の上流側に設けられたガス化剤投入口と、中間の筒状部材の上流側に設けられた燃料用の投入口およびガス化剤用の投入口と、内側の筒状部材の上流側に設けられた燃料用の投入口およびガス化剤用の投入口と、内側の筒状部材の中央に設けられた起動用バーナと、起動用バーナの外周に設けられたシールガス流路とを具えるとともに、中間の筒状部材および内側の筒状部材の上流側に設けられた燃料用の投入口とガス化剤用の投入口との少なくともいずれか一方の投入口を、バーナ軸心に垂直な面またはこの面への投影面内でバーナ軸心を中心とする円の接線方向に向けて開口したことを特徴とするバーナ。
【請求項4】 上記外側の筒状部材の下流側内面に旋回羽根を設けたことを特徴とする請求項ないし3の何れに記載のバーナ。
【請求項5】 上記外側の筒状部材の下流側付近に保炎用ブロックを設けたことを特徴とする請求項ないしの何れかに記載のバーナ。
【請求項6】 ガス化剤中の酸素と燃料との混合比を重量比で0.19ないし0.46とすることを特徴とする請求項ないし5の何れかに記載のバーナ。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図3】
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【図4】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図15】
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【図7】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【特許番号】特許第3492099号(P3492099)
【登録日】平成15年11月14日(2003.11.14)
【発行日】平成16年2月3日(2004.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−208332
【出願日】平成8年8月7日(1996.8.7)
【公開番号】特開平9−157664
【公開日】平成9年6月17日(1997.6.17)
【審査請求日】平成12年6月13日(2000.6.13)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【参考文献】
【文献】特開 平3−134093(JP,A)
【文献】実開 平1−144620(JP,U)
【文献】実開 平2−57941(JP,U)