説明

パイプコンベヤのベルト捩れ防止装置

【課題】 パイプコンベヤの捩れ走行を防止して、捩れによる各種不都合をなくする。
【解決手段】 テールプーリとヘッドプーリとの間に無端状のベルト1をかけ渡すと共に、前後に所定の間隔を存して並ぶそれぞれの支持枠内の円周上に配置して軸承した複数個のローラ3により上記ベルトのキャリア側及びリターン側をパイプ状に丸めたパイプコンベヤAにおいて、上記パイプ状に丸めた上記ベルトの所要位置の表面にフリーの捩れ防止ベルトコンベヤBのベルト4表面を接触させると共に、この捩れ防止ベルトコンベヤの直進走行を保障する蛇行防止手段を設けた構成を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ベルトをパイプ状に丸めたパイプコンベヤのベルト捩れ防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パイプコンベヤは、輸送側ベルト及び帰り側ベルトを共に平ベルトを円筒状に丸め、かつ両側縁部をオーバーラップさせて重ねてパイプ状にし、そして運転するもので、輸送物は、パイプ状の内側にあるため輸送物のこぼれや発塵を防止し、また帰り側は、ベルトの輸送面を内側にしてパイプ状に丸めるため、ベルトに付着した輸送物の落ちを防止するようにしている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開平7−277440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の構造によると、パイプ状に丸めたベルトは、その外周の六等分位置に配置した六本のローラで支持されている。
【0005】
然しながら、ローラ支持金具の製作誤差や支持金物に対するローラの取付誤差によりローラの中心線がベルト走行方向線と直角でないと、ベルト走行時にパイプ状に丸めたベルトを回転させる分力が発生し、その結果、パイプ状に丸めたベルトが時計又は反時計方向に徐々に回転することがしばしは発生する。
【0006】
すると、長機長のパイプコンベヤでは、前述の回転現象で捩れが大きくなり、この捩れにともない輸送側ベルトでは、ベルトの重なり部分が側面や下側にまで回転し、パイプ内の輸送物がこぼれることがある。
【0007】
また、最悪な場合は、この捩れがヘッドプーリに到る前までに戻らず、ベルトの重なり部分が側面や下部になった位置でプーリに達した場合、ベルトがプーリの外周面で広がらず(フラットに)、二つ折れで重なった状態のままプーリに巻き付いたり、輸送物が排出されずにヘッドプーリに巻き付いてコンベヤの運転不能となることが発生し、大事故になる問題があった。
【0008】
なお、短機長のパイプコンベヤの場合は、テールプーリでベルトがフラット位置にあり、積込み後パイプ状に丸めたベルトに捩れを発生しても、ヘッドプーリに到達してフラットになるため、機長とパイプ径、すなわち、ベルト幅に見合った捩れ角度範囲内で捩れは自動的に修復される。
【0009】
このときの捩れ角度は、機長が長い程、又パイプ径が小さい程大きくなる。
【0010】
そこで、この発明は、パイプコンベヤのベルトの捩れを有効に防止するようにしたことにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、この発明は、テールプーリとヘッドプーリとの間に無端状のベルトをかけ渡すと共に、前後に所定の間隔を存して並ぶそれぞれの支持枠内の円周上に配置して軸承した複数個のローラにより上記ベルトのキャリア側及びリターン側をパイプ状に丸めたパイプコンベヤにおいて、上記パイプ状に丸めた上記ベルトの所要位置の表面にフリーの捩れ防止ベルトコンベヤのベルト表面を接触させると共に、この捩れ防止ベルトコンベヤの直進走行を保障する蛇行防止手段を設けた構成を採用する。
【0012】
すると、運転中のパイプコンベヤのベルトに捩れが発生しようとする現象が生じても、パイプコンベヤの表面に表面が接触して共に走行する捩れ防止ベルトコンベヤの摩擦抵抗により防止する。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、この発明のパイプコンベヤのベルト捩れ防止装置によれば、パイプコンベヤの運転にともないパイプコンベヤのベルトに捩れ現象が発生しようとしても、パイプコンベヤのベルト表面と捩れ防止ベルトコンベヤのベルト表面との接触にともなう摩擦抵抗によって防止する。
【0014】
すると、捩れ防止ベルトコンベヤの設置間では、パイプコンベヤのベルトが一定値以上捩れず、パイプコンベヤの全長において丸めたベルトの捩れが一定値以内で運転することができるので、パイプ状に丸めたベルトの重なり部分が側面や下側まで回転せず、パイプ内の輸送物がこぼれることがない。
【0015】
また、蛇行防止手段により捩れ防止ベルトコンベヤの直行走行を保障するので、丸めたベルトの捩れが極力なくなって、安定した運転(走行)ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
この発明の実施形態の図1から図6に示すAは、パイプコンベヤである。
【0018】
上記のパイプコンベヤAは、周知のように、テールプーリとドライブされるヘッドプーリ(図示省略)との間にかけた無端状のベルト1と、前後に所定の間隔を存して並ぶ支持枠2と、この支持枠2内の円周線上に配置してそれぞれ軸承すると共に、ベルト1のキャリア側及びリターン側をパイプ状に丸める複数個(図示の場合六本)のローラ3とで構成されている。
【0019】
なお、ローラ3を有する支持枠2は、周知のように、テールプーリとヘッドプーリとの間に並べて、テールプーリとヘッドプーリを通過する際のベルト1がフラットになるようにしてある。
【0020】
勿論、輸送物aの積み点とテールプーリとの間や排出点の手前からヘッドプーリ迄の間のベルト1のローラ3による丸めがない。
【0021】
また、パイプ状に丸めたベルト1の所要位置の(所要長さの)表面には、フリーの捩れ防止ベルトコンベヤBのベルト4の表面を接触させると共に、この捩れ防止ベルトコンベヤBには、ベルト4の蛇行防止手段Cが設けてある。
【0022】
上記の捩れ防止ベルトコンベヤBは、図1から図4に示すように、テールプーリ5とドライブ機能のないヘッドプーリ6とに無端状のベルト4をかけ渡すと共に、キャリヤ側ベルト4と丸めるベルト1とをローラ3により抱き込んで、ベルト1、4を重なるようにする以外に、図5から図7に示すように多数本の並列する捩れ防止ベルトコンベヤBを前後の支持枠2間で、かつパイプ状に丸めたベルト1の周囲に点在的に(図示の場合ローラ3と同数の六等分位置)配置してベルト1、4同志を接触させてもよい。
【0023】
この場合、捩れ防止コンベヤBの機長に制約(短機長の)を受けるが、前述のローラ3によって両ベルト1、4を抱き込む方式の場合は、前後の支持枠2間の長さによる制約を受けない。
【0024】
勿論、捩れ防止ベルトコンベヤBの配置も、パイプコンベヤAの機長の所定位置に適宜決定すればよい。
【0025】
上記の蛇行防止手段Cとしては、例えば図3に示すように、テールプーリ5とヘッドプーリ6をクラウン形にする以外に、図4、6、7に示すように、テールプーリ5及びヘッドプーリ6の外周面に設けた環状溝8にベルト4の裏面全長に設けてある突出条9を嵌め込んで構成したが、限定されず、Vベルトを用いることもできる。
【0026】
要するに、ベルト4の直進走行を保障するようにしてある。
【0027】
上記のように構成すると、パイプコンベヤAの運転にともないベルト1とベルト4との重なり合う接触により共に捩れ防止コンベヤBが走行する。
【0028】
運転にともないパイプ状に丸めたベルト1に捩れが発生し、これによってベルト1が回転しようとしても、ベルト1に直進走行を保障してある捩れ防止コンベヤBが重なり合って接触しているため、接触にともなう摩擦抵抗によって防止する。
【0029】
このため、捩れ防止コンベヤBのベルト4の中間に捩れが発生しても両プーリ部分での蛇行防止手段Cでベルト4の位置が固定され、捩れが発生しても一定値以上は捩れないのと同一の状態となり、パイプコンベヤの全長においてベルト1の捩れが一定値以内で運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明のパイプコンベヤを示す側面図
【図2】同上の要部を示す縦断拡大正面図
【図3】蛇行防止手段を示す縦断拡大正面図
【図4】他の蛇行防止手段を示す縦断拡大正面図
【図5】捩れ防止コンベヤの他の例を示す側面図
【図6】同縦断拡大正面図
【図7】同縦断側面図
【符号の説明】
【0031】
A パイプコンベヤ
B 捩れ防止コンベヤ
C 蛇行防止手段
1 ベルト
2 支持枠
3 ローラ
4 ベルト
5 テールプーリ
6 ヘッドプーリ
8 環状溝
9 突出条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テールプーリとヘッドプーリとの間に無端状のベルトをかけ渡すと共に、前後に所定の間隔を存して並ぶそれぞれの支持枠内の円周上に配置して軸承した複数個のローラにより上記ベルトのキャリア側及びリターン側をパイプ状に丸めたパイプコンベヤにおいて、上記パイプ状に丸めた上記ベルトの所要位置の表面にフリーの捩れ防止ベルトコンベヤのベルト表面を接触させると共に、この捩れ防止ベルトコンベヤの直進走行を保障する蛇行防止手段を設けたことを特徴とするパイプコンベヤの捩れ防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−70021(P2007−70021A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−257494(P2005−257494)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(000228707)日本コンベヤ株式会社 (5)
【Fターム(参考)】