説明

パイプ継手

【課題】目視による結合確認が不可能又は困難な状況でも結合確認を確実に行うことが可能なパイプ継手を提供する。
【解決手段】パイプ継手10は、パイプ結合スリーブ21の外周面に装着された環状シール部材31A,31Bと、その環状シール部材31A,31Bの外側に嵌合した状態に係止されて環状シール部材31A,31Bの拡張変形を規制し、パイプ挿入領域に挿入されるパイプP1に押されてパイプ挿入領域P1の奥側に移動する矯正筒体40とを備えている。そして、外筒壁27の基端部には、パイプ挿入領域を外筒壁27の外側に開放した検知窓29が形成され、矯正筒体40には、矯正筒体40がパイプ挿入領域の奥側に移動したときに検知窓29から外側に突出する検知片43,43が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプ結合スリーブとその外側を包囲する外筒壁との間のパイプ挿入領域に、パイプを挿入して結合可能なパイプ継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のパイプ継手としては、パイプ挿入領域へのパイプの挿入時に、パイプ結合スリーブに装着されたOリングがOリング溝から離脱することを防止するための矯正筒体をパイプ挿入領域内に備え、その矯正筒体がパイプに押されてパイプ挿入領域の奥側に向かって移動するようにしたものが知られている。このパイプ継手は、外筒壁に結合確認用の窓を備えており、この窓から矯正筒体又はパイプ自身が見えるか否かで、パイプの結合状態を目視確認できるようになっていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−81587号公報(段落[0022]、第6図〜第8図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上述した従来のパイプ継手では、例えば、床下や屋根裏等の暗所或いは、作業者が入れない狭小な場所等で結合作業を行う場合に、結合確認が不可能又は困難となるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、目視による結合確認が不可能又は困難な状況でも結合確認を確実に行うことが可能なパイプ継手の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係るパイプ継手は、基部より延出したパイプ結合スリーブと、パイプ結合スリーブを囲む筒状の外筒壁と、パイプ結合スリーブと外筒壁との間の筒状のパイプ挿入領域に挿入されるパイプに係止して抜け止めするパイプ抜止部と、パイプ結合スリーブの外周面に備えた環状溝に装着された環状シール部材と、環状シール部材の外側を、パイプ挿入領域に挿入されるパイプに押されて移動する矯正筒体とを備えたパイプ継手において、パイプ結合スリーブ又は外筒壁の何れかに形成された検知窓と、矯正筒体に設けられて、矯正筒体がパイプ挿入領域の奥側に移動したときに検知窓から外側に突出する検知片とを備えたところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のパイプ継手において、矯正筒体は弾性体からなり、矯正筒体における軸方向の一端部から中間部まで延びた複数の切り込みを設け、矯正筒体のうち隣り合った切り込みに挟まれた部分を検知片としたところに特徴と有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載のパイプ継手において、複数の切り込みを矯正筒体の全周に亘って所定間隔で設けて、矯正筒体の全周に複数の検知片を形成したところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載のパイプ継手において、検知窓をパイプ継手の周方向に複数分散配置すると共に、それら複数の検知窓から外側に突出可能な検知片を複数設けたところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載のパイプ継手において、検知窓は、パイプ継手の側方に向かって開放され、パイプ挿入領域の奥部には、パイプの挿入方向の前方に向かうに従って徐々に検知窓側に接近するように傾斜したガイド傾斜部が備えられたところに特徴を有する。
【0011】
請求項6の発明は、請求項3に記載のパイプ継手において、パイプ結合スリーブの基部側の外径を、パイプ結合スリーブの中間部の外径より段付き状に大きくすると共に、パイプ結合スリーブの基部側と中間部との段差面をテーパー面とし、外筒壁を均一径の筒状にして、その外筒壁の基部側に、パイプ結合スリーブの基部側に固定された固定部と、外筒壁の径方向でパイプ結合スリーブのテーパー面に対向し、外筒壁の周方向に分散配置された複数の検知窓とを備えたところに特徴を有する。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れか1の請求項に記載のパイプ継手において、環状溝は、パイプ結合スリーブの外周面に複数設けられかつ、それら環状溝にそれぞれ環状シール部材が装着され、矯正筒体は、全ての環状シール部材の外側に嵌合した状態に係止されているところに特徴を有する。
【0013】
請求項8の発明は、請求項1乃至7の何れか1の請求項に記載のパイプ継手において、矯正筒体における軸方向の一端側には、他端側より外径が小さく肉厚も小さい薄肉筒部が設けられる一方、矯正筒体における軸方向の他端側には、一端側より外径が大きく肉厚も大きい厚肉筒部が設けられ、薄肉筒部に軸方向に延びた複数の切り込みを形成し、矯正筒体のうち隣り合った切り込みに挟まれた部分を検知片としたところに特徴を有する。
【0014】
請求項9の発明は、請求項8に記載のパイプ継手において、環状溝は、パイプ結合スリーブの外周面に複数設けられかつ、それら環状溝にそれぞれ環状シール部材としてのOリングが装着され、厚肉筒部は、複数のOリングよりもパイプ挿入領域の開口端側の位置から、最もパイプ挿入領域の奥側に配置されたOリングの最大外径部までの範囲を少なくとも包囲するように構成されたところに特徴を有する。
【0015】
請求項10の発明は、請求項1乃至9の何れか1の請求項に記載のパイプ継手において、矯正筒体は、絶縁体であるところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0016】
[請求項1の発明]
請求項1の発明によれば、パイプ挿入領域の開口端から連結対象のパイプを挿入すると、そのパイプに押されて矯正筒体がパイプ挿入領域の奥側に移動する。矯正筒体は、パイプに先行して環状シール部材を通過し、その通過の際に環状シール部材を環状溝内に押し込める。これにより、パイプの挿入先端部が環状シール部材に当たって傷付けけたり、環状シール部材がめくれる(環状溝から外れる)ことを防ぐことができ、パイプとパイプ結合スリーブとの結合作業を円滑に行うことができる。
【0017】
そして、パイプ挿入領域に対して所定の挿入深さまでパイプが挿入されると、矯正筒体に設けられた検知片が検知窓から外筒壁の外側に突出する。これにより、目視による結合確認が不可能又は困難な状況であっても、検知片が突出したか否かを手触りで確認することで、パイプの結合確認を行うことができる。
【0018】
[請求項2の発明]
請求項2の発明によれば、弾性体で構成された矯正筒体に複数の切り込みを設けるだけで、部品点数を増やすことなく比較的容易に検知片を形成することができる。また、斜めにカットされたパイプがパイプ挿入領域に挿入された場合に、その斜めのカット面に応じて矯正筒体を柔軟に弾性変形させることができる。
【0019】
[請求項3の発明]
請求項3の発明によれば、矯正筒体の全周に亘って複数の検知片が設けられているので、矯正筒体を組み付ける際に、検知片と検知窓とを予め位置決めしておく手間が省け、組み付け作業性が向上する。
【0020】
[請求項4の発明]
請求項4の発明によれば、複数の検知窓から検知片が突出するので、手触りによる結合確認を一層容易かつ確実に行うことが可能になる。
【0021】
[請求項5の発明]
請求項5の発明によれば、パイプ挿入領域の奥部のガイド傾斜部によって検知片が検知窓まで案内されるから、検知片をスムーズに検知窓から突出させることができる。
【0022】
[請求項6の発明]
請求項6の発明によれば、パイプ挿入領域の奥部のテーパー面に当接した複数の検知片は、それぞれテーパー面に沿って拡開するように弾性変形し、そのうちの何れかは、複数の検知窓から突出する。このテーパー面を設けたことで、検知片をスムーズに弾性変形させて検知窓から突出させることができる。
【0023】
[請求項7の発明]
請求項7の発明によれば、複数の環状シール部材に対する異物の付着を防止することが可能になる。
【0024】
[請求項8及び9の発明]
請求項8の発明によれば、厚肉筒部によって環状シール部材の拡張変形(めくれ)を確実に防止することができる。また、薄肉筒部に検知片を形成したことで、検知片を柔軟に変形させることが可能になる。ここで、環状シール部材がOリングであって、そのOリングが複数設けられた場合には、厚肉筒部が、複数のOリングよりもパイプ挿入領域の開口端側の位置から、最もパイプ挿入領域の奥側に配置されたOリングの最大外径部までの範囲を少なくとも包囲するように構成することが好ましい(請求項9の発明)。このようにすることで、全てのOリングの拡張変形をより確実に防止することが可能になる。
【0025】
[請求項10の発明]
請求項10の発明によれば、例えば、中間層が金属で構成され、最内層及び最外層が絶縁樹脂で構成された多層パイプが連結対象のパイプである場合に、多層パイプの端面から露出した金属層とパイプ継手との間を矯正筒体によって絶縁することができ、通電腐食の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係るパイプ継手の片側断面図
【図2】パイプ継手の拡大断面図
【図3】矯正筒体の片側断面図
【図4】パイプがパイプ挿入領域の途中まで挿入された状態のパイプ継手の片側断面図
【図5】パイプが規定の挿入深さまで挿入された状態のパイプ継手の片側断面図
【図6】第2実施形態に係るパイプ継手の拡大断面図
【図7】変形例に係るパイプ継手の拡大断面図
【図8】変形例に係るパイプ継手の片側断面図
【図9】変形例に係るパイプ継手の拡大断面図
【図10】変形例に係るパイプ継手の拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1実施形態]
以下、本発明に係るパイプ継手10の第1実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。図1に示すようにパイプ継手10は、その軸方向の中間部に基部となる角柱体11(六角ナット部)を備え、その角柱体11から相反する方向に螺合結合部12と挿入結合部20とが突出している。螺合結合部12は円筒体の外周面にねじ溝を形成してなり、図示しないパイプ又は機器と螺合接続可能となっている。
【0028】
挿入結合部20は、角柱体11の端面から突出したパイプ結合スリーブ21と、そのパイプ結合スリーブ21を包囲した外筒壁27とを有した二重筒構造となっている。本実施形態では、パイプ結合スリーブ21と螺合結合部12と角柱体11とが継手本体10Aを構成しており、その継手本体10Aの軸心部を内部流路10Bが貫通している。なお、継手本体10Aと外筒壁27とは別部品であり、継手本体10A及び外筒壁27は共に金属製(例えば、継手本体10Aは真鍮製、外筒壁27はアルミニウム製)である。
【0029】
パイプ結合スリーブ21は円筒形をなし、角柱体11の端面から突出した大径筒部22と、その大径筒部22に対して段付き状に小径な小径筒部23とから構成されている。なお、大径筒部22は本発明における「パイプ結合スリーブの基部側」の部位に相当し、小径筒部23は本発明における「パイプ結合スリーブの中間部」に相当する。
【0030】
外筒壁27はパイプ結合スリーブ21と同心かつ均一径の円筒体であり、その基端部(本発明の「固定部」に相当する)が大径筒部22の外周面に所定の固定手段(螺合、圧入、溶接又は接着剤)により固定されている。そして、外筒壁27とパイプ結合スリーブ21の小径筒部23との間には、有底円筒状のパイプ挿入領域30が形成され、そのパイプ挿入領域30の開口端から連結対象のパイプP1(図4参照)が挿入可能となっている。
【0031】
外筒壁27には、パイプ結合スリーブ21とパイプP1との結合状態を目視確認するための視認窓28が形成されている。視認窓28は、外筒壁27を貫通した円形孔で構成され、外筒壁27の周方向に複数(例えば、3つ)設けられている。
【0032】
パイプ挿入領域30の径方向の幅(内外径差)は周方向で一定となっている。また、パイプ挿入領域30の径方向の幅は、パイプ挿入領域30の開口端の近傍において若干拡がっている。詳細には、パイプ結合スリーブ21の先端部外周面及び外筒壁27の先端部内周面には、パイプ挿入領域30の開口端に向かって互いに離れるように傾斜したテーパ部21A,27Aが形成されている。この構成により、パイプ挿入領域30へのパイプP1の挿入をスムーズに開始することができる。また、パイプP1の挿入先端部が若干楕円形に変形していてもそのまま挿入することが可能となる。
【0033】
パイプ結合スリーブ21のうち、小径筒部23の中間部には、複数(例えば2つ)の環状溝24,24が軸方向に間隔を空けて陥没形成されている。これら環状溝24,24は同一形状をなし、それぞれに環状シール部材31A,31B(本実施形態では、Oリング)が装着されている。環状シール部材31A,31Bは、小径筒部23の外周面からパイプ挿入領域30内に突出した状態で装着されている。そして、パイプ挿入領域30に挿入された(パイプ結合スリーブ21に結合した)パイプP1の内周面に、これら環状シール部材31A,31Bが密着することで、パイプP1とパイプ結合スリーブ21との間のシールが行われる(図5参照)。なお、前記した視認窓28は、パイプ挿入領域30の奥側に装着された環状シール部材31Bよりも、さらにパイプ挿入領域30の奥側に形成されている。以下、2つの環状シール部材31A,31Bを区別する場合には、パイプ挿入領域30の開口端側の方を「第1の環状シール部材31A」といい、パイプ挿入領域30の奥側の方を「第2の環状シール部材31B」という。
【0034】
パイプ結合スリーブ21のうち、複数の環状シール部材31A,31Bを軸方向から挟んだ両側位置には、環状溝24,24とは別の周回溝25,25が形成されている。これら両周回溝25,25は同一形状をなしており、それぞれに抜止リング32A,32B(本発明の「パイプ抜止部」に相当する)が嵌め込まれている。各周回溝25,25は、パイプ挿入領域30の奥側に向かうに従って溝が深まるように形成されており、その最も深まった深溝部25A,25Aに抜止リング32A,32Bが嵌め込まれている(図2参照)。
【0035】
抜止リング32A,32Bは、例えば、平面視C字形をなした金属製の割りリングで構成されている。抜止リング32A,32Bはその内周縁が周回溝25,25に係止されると共に、外周縁がパイプ結合スリーブ21の外周面からパイプ挿入領域30内に突出し、さらにその外周縁には鋭角なエッジ部32E,32Eが形成されている。抜止リング32A,32Bは断面扇形状となっており、パイプ挿入領域30の開口端側に、矯正筒体40及びパイプP1の通過を許容するために円弧面32Rが形成され、パイプ挿入領域30の奥側にパイプP1の抜き取りを禁止するためにエッジ部32Eが形成されている(図2参照)。パイプ挿入領域30に連結対象のパイプP1を挿入すると、抜止リング32A,32Bが縮径するように弾性変形すると共に、その弾発力によりエッジ部32E,32EがパイプP1の内周面に突き当たる(又は食い込む)。以下、2つの抜止リング32A,32Bを区別する場合には、パイプ挿入領域30の開口端側を「第1の抜止リング32A」といい、奥側を「第2の抜止リング32B」という。
【0036】
外筒壁27の内周面のうち、パイプ挿入領域30の開口端側に形成された周回溝25(第1の抜止リング32A)との対向位置には、全周に亘って抜止エッジ部27Eが一体形成されている。抜止エッジ部27Eは、パイプ挿入領域30の内側に極僅かに突き出ており、パイプ挿入領域30に挿入されたパイプP1の外周面に突き当たる(又は食い込む)ようになっている。
【0037】
パイプ挿入領域30には、パイプP1の挿入を補助するための矯正筒体40が組み付けられている。矯正筒体40は、パイプ挿入領域30に挿入されたパイプP1に押されてパイプ挿入領域30内を奥に向かって移動すると共に、パイプP1の挿入先端部に先行して環状シール部材31A,31Bを通過する際に、各環状シール部材31A,31Bを環状溝24,24内に押し込めるように変形させて、パイプP1の挿入先端部と環状シール部材31A,31Bとの当接を防止する。
【0038】
矯正筒体40は、環状シール部材31A,31Bと同等か又はそれより硬い弾性体(本実施形態では、ゴム)で構成されている。これは、上記の如く環状シール部材31A,31Bの拡張変形を防止すると共に、斜めにカットされたパイプP1がパイプ挿入領域30に挿入された場合には、その斜めのカット面に応じて矯正筒体40を柔軟に変形させるためである。なお、矯正筒体40は、熱可塑性エラストマーや弾性発泡体で構成してもよい。
【0039】
図3に示すように、矯正筒体40は、軸方向に対して径方向の寸法が大きい円筒形をなしている。また、図2に示すように、矯正筒体40は、パイプ挿入領域30にパイプP1が挿入される前の未使用状態で、2つの環状シール部材31A,31Bの両方に被さるように装着されている。具体的には、矯正筒体40は、パイプ結合スリーブ21のうち、第1の抜止リング32Aと第1の環状シール部材31Aとの中間位置から、第2の環状シール部材31Bと第2の抜止リング32Bとの中間位置に至るまでの範囲を包囲している。なお、矯正筒体40は、第1の抜止リング32Aによってパイプ挿入領域30からの脱落が防がれている。
【0040】
矯正筒体40の内周面とパイプ結合スリーブ21の外周面との間には、環状の閉空間44が形成され、その閉空間44に2つの環状シール部材31A,31Bが収納されている。詳細には、矯正筒体40の内周面のうち、軸方向の中間部に形成された大径部40Aの内径は、環状溝24,24に装着された環状シール部材31A,31B(Oリング)の最大外径と同一又はこれより若干大きくなっている。これに対し、矯正筒体40の内周面のうち、軸方向の両端部に形成された小径部40B,40Bの内径は、環状シール部材31A,31B(Oリング)の最大外径部よりも小さくなってパイプ結合スリーブ21の外周面に接している。このように、未使用状態では、2つの環状シール部材31A,31Bの全体を覆うように矯正筒体40が被さって環状シール部材31A,31Bが露出しないから、例えば、視認窓28から侵入した異物(埃等)が環状シール部材31A,31Bに付着することを確実に防止することができる。また、未使用状態において、矯正筒体40は各環状シール部材31A,31Bに負荷をかけないから、矯正筒体40を組み付けた状態(図1に示す状態)での長期保管が可能である。なお、矯正筒体40における小径部40B,40Bの内径は、連結対象であるパイプP1の内径と等しいかこれよりも小さくなっている。
【0041】
矯正筒体40のうち、パイプ挿入領域30の開口端側の小径部40Bと大径部40Aとの間には、小径部40Bから大径部40Aに向かって徐々に拡径したテーパ部40Cが設けられている。テーパ部40Cを設けたことで、矯正筒体40が環状シール部材31A,31Bを通過する際に、環状シール部材31A,31Bをめくることなく容易に乗り越えることが可能となる。なお、本実施形態では、第1の環状シール部材31Aと第1の抜止リング32Aとによって、未使用状態における矯正筒体40の軸方向への移動を規制することができる。
【0042】
図2に示すように、矯正筒体40は、その軸方向の中間部で厚肉筒部41と薄肉筒部42とに分かれている。厚肉筒部41は、比較的外径が大きく肉厚も大きくなっているのに対し、薄肉筒部42は、比較的外径が小さく肉厚も薄くなっている。そして、パイプ挿入領域30の開口端側に厚肉筒部41が配置され、パイプ挿入領域30の奥側に薄肉筒部42が配置されている。
【0043】
厚肉筒部41の外径は、外筒壁27の内径と同じか又はこれより若干小さくなっている。即ち、厚肉筒部41は、外筒壁27の内周面と接するか又は若干の隙間を開けて近接している。このような構成としたことで、厚肉筒部41が環状シール部材31A,31Bを乗り越える際の厚肉筒部41の拡張変形、ひいては環状シール部材31A,31Bの拡張変形を抑制することができる。なお、厚肉筒部41の外径は、連結対象であるパイプP1の外径と略等しくなっている。
【0044】
ここで、図2に示す未使用状態において、厚肉筒部41は、第1の環状シール部材31Aよりもパイプ挿入領域30の開口端側の位置から第1の環状シール部材31Aと第2の環状シール部材31Bとの中間位置までの範囲を包囲している。また、薄肉筒部42は、第1の環状シール部材31Aと第2の環状シール部材31Bとの中間位置から、第2の環状シール部材31Bよりパイプ挿入領域30の奥側の位置までの範囲を包囲している。
【0045】
図3に示すように、薄肉筒部42は厚肉筒部41の一端内周面寄り位置から延設されている。薄肉筒部42には、周方向に複数の検知片43,43が形成されている。即ち、矯正筒体40の軸方向の一端部から中間部まで延びた複数の切り込みを、矯正筒体40の全周に亘って一定間隔で形成して、隣り合った切り込みに挟まれた部分がそれぞれ検知片43,43となっている。これら検知片43,43は、基端部が厚肉筒部41に繋がった同一幅の短冊形状をなしている。
【0046】
図1に示すように、外筒壁27には、視認窓28とは別に検知窓29が貫通形成されている。検知窓29は外筒壁27の基端部(より詳細には、パイプ結合スリーブ21との固定部より若干先端側)に貫通形成されており、パイプ挿入領域30の最奥部を外筒壁27の径方向外側に開放している。また、検知窓29は、例えば横長矩形状をなしており、外筒壁27の周方向に間隔を空けて複数(例えば、3つ)設けられている。
【0047】
パイプ挿入領域30の奥底には、ガイド傾斜部26が形成されている。即ち、パイプ結合スリーブ21の外周面のうち、大径筒部22と小径筒部23との間の段差面が、小径筒部23から大径筒部22に向かうに従って拡径した円錐状のテーパー面とされ、そのテーパー面がガイド傾斜部26となっている。そして、このガイド傾斜部26(テーパー面)と、外筒壁27の径方向で対向する位置に前記複数の検知窓29,29が形成されている。
【0048】
本実施形態のパイプ継手10の構成は以上であって、以下、本実施形態の動作を説明する。パイプP1をパイプ継手10の挿入結合部20に結合する場合には、パイプP1の挿入先端部をパイプ挿入領域30の開口端から挿入する。挿入直後にパイプP1の挿入先端部は第1の抜止リング32Aの円弧面32Rと摺接してその第1の抜止リング32Aを縮径変形させると共に、矯正筒体40に突き当たる。ここから、さらにパイプP1を押し込むと、図1から図4への変化に示すように、パイプP1に押されて矯正筒体40がパイプ挿入領域30の奥側に向かって移動する。矯正筒体40は、その内周面(テーパ部40C及び開口端側の小径部40B)によって第1の環状シール部材31Aを環状溝24内に押し込めながら、パイプP1に先行して第1の環状シール部材31Aを通過し、同様にして第2の環状シール部材31Bを環状溝24内に押し込めながらパイプP1に先行して第2の環状シール部材31Bを通過する。パイプP1の挿入先端部に先行して矯正筒体40が環状シール部材31A,31Bを環状溝24,24内に押し込むので、パイプP1の挿入先端部の内周縁によって環状シール部材31A,31Bを傷付けたり、パイプP1に押されて環状シール部材31A,31Bがめくれる(環状溝24,24から外れる)ことを防止することができ、パイプP1とパイプ結合スリーブ21との結合作業をスムーズに行うことができる。
【0049】
矯正筒体40は、第2の環状シール部材31Bを通過すると、第2の抜止リング32Bの円弧面と摺接してその第2の抜止リング32Bを縮径させ、さらに奥側に向かう。
【0050】
矯正筒体40は、第2の抜止リング32Bを通過した直後に、複数の各検知片43,43がパイプ挿入領域30の奥底に形成された円錐状のガイド傾斜部26に突き当たり、そのガイド傾斜部26の案内により、各検知片43,43は放射状に拡開するように弾性変形する。
【0051】
そして、図5に示すように、パイプP1が規定の挿入深さまで挿入されると、複数の検知片43,43のうちの何れかが、外筒壁27の検知窓29,29を貫通して外筒壁27の外側に突出する。ここで、検知片43,43は、矯正筒体40において比較的薄肉な薄肉筒部42に形成されているので、容易に弾性変形させることができる。また、円錐状のガイド傾斜部26を設けたことで、検知片43,43をスムーズに検知窓29,29から突出させることができる。ここで、検知窓29が無い為に検知窓29から突出不可能な他の検知片43,43は、パイプ挿入領域30の最奥部で押し潰されて屈曲変形又は圧縮変形する。
【0052】
また、1対の抜止リング32A,32Bは、パイプP1の内周面に押されて縮径するように弾性変形し、その弾発力でエッジ部32E,32EがパイプP1の内周面に突き当たる(又は食い込む)。また、1対の環状シール部材31A,31Bは、パイプP1の内周面に密着してパイプ結合スリーブ21とパイプP1との嵌合部分をシールする。
【0053】
ここで、図5に示すようにパイプ継手10と結合したパイプP1をパイプ結合スリーブ21から引き抜こうとすると、抜止リング32A,32Bが、周回溝25,25の深溝部25Aから浅溝部25Bへと移動して拡径し、パイプP1の内周面により一層食い込む。これにより、パイプP1の抜け止めを強固に禁止することができる。
【0054】
さて、パイプP1の結合確認は、従来のパイプ継手と同様に目視で行うことが可能である。即ち、本実施形態のパイプ継手10には視認窓28が設けられており、視認窓28がパイプP1の外面で完全に塞がれていれば、適正な結合状態であると判断することができ、視認窓28がパイプP1の外面で完全に塞がれていなければ、不完全な結合であると判断することができる。
【0055】
さらに本実施形態のパイプ継手10は、視認窓28からの目視による結合確認が不可能又は困難な状況であっても、手触りによる結合確認が可能である。即ち、パイプP1が規定の挿入深さまで挿入されていれば、図5に示すように、検知窓29,29から検知片43,43が突出する。従って、パイプ継手10を外側から触ったときに、検知片43,43に触れることができれば適正な結合状態であると判断することができ、検知片43,43に触れることができなければ不完全な結合であると判断することができる。
【0056】
このように、本実施形態によれば、目視による結合確認が不可能又は困難な状況であっても、検知片43,43が検知窓29,29から突出しているか否かを手触りで確認することで、パイプP1の結合確認を行うことができる。
【0057】
また、複数の検知片43,43を矯正筒体40の全周に亘って形成したので、パイプP1が規定の挿入深さまで挿入されたときには、複数の検知片43,43のうちの何れかが必ず検知窓29,29から突出する。よって、矯正筒体40をパイプ挿入領域30へ組み付ける際に、検知片43,43と検知窓29,29とを予め位置決めしておく手間が省け、組み付け作業性が向上する。
【0058】
また、複数の環状シール部材31A,31Bよりもパイプ挿入領域30の開口端側の位置に第1の抜止リング32Aと抜止エッジ部27Eとが備えられているので、例えば、図4に示すように、パイプP1によって矯正筒体40が途中位置まで押し込まれた後で、パイプP1を抜き取ろうとした場合に、これら抜止リング32Aと抜止エッジ部27EとによってパイプP1の抜き取りを禁止することができる。即ち、矯正筒体40が未使用状態の位置から移動した後のパイプP1の挿抜を禁止することができるので、パイプP1の再挿入に伴う環状シール部31A,31Bのめくれを防止することができる。
【0059】
また、適正な結合状態において、検知片43,43の一部は検知窓29,29から突出し、他の検知片43,43はパイプ挿入領域30の最奥部で屈曲変形又は圧縮変形するから、矯正筒体40の軸長を従来品から変更することなく検知片43,43を設けた場合には、パイプ挿入領域30の最奥部における矯正筒体40の占有スペースを縮小することが可能になり、パイプP1の挿入深さを寄り深くしたり、パイプ継手10の軸長を短くすることが可能になる。
【0060】
また、矯正筒体40の軸長を従来品より延長してその延長部分に検知片43,43を形成した場合でも、延長部分が検知窓29,29から外側に外に突出したり、パイプ挿入領域30の最奥部で屈曲変形又は圧縮変形するから、パイプ挿入領域30の最奥部における矯正筒体40の占有スペースの拡大を抑えることができる。
【0061】
さらに、中間層が金属(例えば、アルミニウム)で構成され、最内層と最外層が絶縁樹脂(例えば、架橋ポリエチレン)で構成された多層パイプが連結対象のパイプP1である場合に、矯正筒体40を絶縁体で構成しておけば、パイプP1との結合状態において、パイプP1の端面から露出した金属層とパイプ継手10との間を絶縁することができるので、通電腐食の発生を防止することができる。
【0062】
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、抜止リング32A,32Bがパイプ結合スリーブ21の外周面に装着されていたが、本実施形態では外筒壁27の内周面に装着されている点が、上記第1実施形態とは異なる。即ち、図6に示すように、外筒壁27の内周面のうち環状シール部材31A,31Bを挟んだ両側位置に周回溝25,25が陥没形成され、それら周回溝25,25に抜止リング32A,32Bの外周縁が嵌め込まれている。抜止リング32A,32Bの内周縁にはエッジ部32E,32Eが形成され、そのエッジ部32E,32Eが外筒壁27の内周面からパイプ挿入領域30の内側に突き出ている。パイプ挿入領域30にパイプP1を挿入すると、これら抜止リング32A,32Bが拡径するように弾性変形し、その弾発力でエッジ部32E,32EがパイプP1の外周面に突き当たる(食い込む)。これにより、パイプP1の抜け止めを強固に禁止することができる。本実施形態によっても、上記第1実施形態と同等の効果を奏する。
【0063】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0064】
(1)上記実施形態では、矯正筒体40の薄肉筒部42に軸方向に延びた切り込みを全周に亘って一定間隔で形成して、隣り合った切り込みに挟まれた部分を検知片43としていたが、検知片43は1つ或いは、矯正筒体40の周方向に間隔を開けて複数設けてもよい。
【0065】
(2)上記実施形態では、矯正筒体40が弾性体で構成されて検知片43が弾性変形可能な構成であったが、矯正筒体40を金属製又は樹脂製として検知片43が塑性変形可能な構成としてもよい。
【0066】
(3)上記実施形態では、パイプP1とパイプ継手10との結合状態を目視確認するための視認窓28が形成されていたが、視認窓28は必須ではなく、視認窓28が無い構成としてもよい。
【0067】
(4)上記実施形態では、本発明の「パイプ抜止部」として、パイプ結合スリーブ21とは別部品の抜止リング32A,32Bを備えていたが、例えば、抜止エッジ部27Eのように、パイプ結合スリーブ21の外周面に、パイプ挿入領域30の内側に突出した環状エッジ部を一体形成してもよい。
【0068】
(5)上記実施形態では、未使用状態において、検知片43の先端部が第2の環状シール部材31Bよりパイプ挿入領域30の奥側に位置していたが、少なくとも第2の環状シール部材31Bの最大外径部まで到達していればよい。
【0069】
(6)上記実施形態では、矯正筒体40のうち、パイプ挿入領域30の奥側に配置された先端部が内側に折れ曲がった形状をなしていたが、この先端部の折れ曲がりを無くした構成としてもよい。
【0070】
(7)上記実施形態では、未使用状態において、矯正筒体40の厚肉筒部41が、第1の環状シール部材31Aよりもパイプ挿入領域30の開口端側の位置から、第1の環状シール部材31Aと第2の環状シール部材31Bとの中間位置までの範囲を包囲する構成となっていたが、図7に示すように、第1の環状シール部材31Aよりもパイプ挿入領域30の開口端側の位置から第2の環状シール部材31Bの最大外径部までの範囲を少なくとも包囲する構成としてもよい。このようにすれば、全ての環状シール部材31A,31Bの拡張変形を確実に防止することができる。
【0071】
(8)上記実施形態では、検知窓29から突出不可能な検知片43をパイプ挿入領域30の最奥部で屈曲変形又は圧縮変形させていたが、図8に示すように、検知窓29から突出不可能な検知片43を受容するためのポケット35をパイプ結合スリーブ21の基端部に形成しておいてもよい。
【0072】
(9)上記実施形態では、検知窓29を外筒壁27の基端部に形成して検知片43が側方に突出するように構成していたが、検知窓29をパイプ結合スリーブ21の基端部に形成して検知片43が軸方向に突出するようにしてもよい。例えば、図9に示すように、パイプ結合スリーブ21の基端部に、側方に向かって張り出した固定鍔壁21Hが形成されてその固定鍔壁21Hの外周面に外筒壁27の基端部が一体に固定された構成とした場合に、固定鍔壁21Hをパイプ結合スリーブ21の軸方向に貫通した検知窓29を形成して、その検知窓29から検知片43が突出可能な構成としてもよい。
【0073】
(10)また、検知窓29を形成する部位は、上記第1実施形態や上記変形例(9)のように、パイプ結合スリーブ21又は外筒壁27の基端部の何れかに限定するものではなく、パイプ結合スリーブ21と外筒壁27との基端部同士を連絡する部位に形成してもよい。例えば、図10に示すように、外筒壁27の基端部から内側に固定鍔壁27Hが張り出して、その固定鍔壁27Hとパイプ結合スリーブ21の固定鍔壁21Hとが重ねられてパイプ結合スリーブ21と外筒壁27とが一体に固定された構成とした場合に、両固定鍔壁21H,27Hを貫通した検知窓29から検知片43が突出可能な構成としてもよい。
【0074】
(11)上記実施形態では、外筒壁27がパイプ結合スリーブ21の基端部(基部側部位)である大径筒部22に固定されていたが、パイプ結合スリーブ21が延出した基部(上記実施形態では、角柱体11)に外筒壁27を固定して、その基部に検知窓を形成してもよい。
【符号の説明】
【0075】
10 パイプ継手
11 角柱体(基部)
21 パイプ結合スリーブ
22 大径筒部
23 小径筒部
24 環状溝
26 ガイド傾斜部(テーパー面)
27 外筒壁
27E 抜止エッジ部(パイプ抜止部)
29 検知窓
30 パイプ挿入領域
31A,31B 環状シール部材
32A,32B 抜止リング(パイプ抜止部)
40 矯正筒体
41 厚肉筒部
42 薄肉筒部
43 検知片
P1 パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部より延出したパイプ結合スリーブと、
前記パイプ結合スリーブを囲む筒状の外筒壁と、
前記パイプ結合スリーブと前記外筒壁との間の筒状のパイプ挿入領域に挿入されるパイプに係止して抜け止めするパイプ抜止部と、
前記パイプ結合スリーブの外周面に備えた環状溝に装着された環状シール部材と、
前記環状シール部材の外側を、前記パイプ挿入領域に挿入されるパイプに押されて移動する矯正筒体とを備えたパイプ継手において、
前記パイプ結合スリーブ又は前記外筒壁の何れかに形成された検知窓と、
前記矯正筒体に設けられて、前記矯正筒体が前記パイプ挿入領域の奥側に移動したときに前記検知窓から外側に突出する検知片とを備えたことを特徴とするパイプ継手。
【請求項2】
前記矯正筒体は弾性体からなり、前記矯正筒体における軸方向の一端部から中間部まで延びた複数の切り込みを設け、前記矯正筒体のうち隣り合った前記切り込みに挟まれた部分を前記検知片としたことを特徴とする請求項1に記載のパイプ継手。
【請求項3】
前記複数の切り込みを前記矯正筒体の全周に亘って所定間隔で設けて、前記矯正筒体の全周に複数の前記検知片を形成したことを特徴とする請求項2に記載のパイプ継手。
【請求項4】
前記検知窓を前記パイプ継手の周方向に複数分散配置すると共に、それら複数の検知窓から外側に突出可能な前記検知片を複数設けたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載のパイプ継手。
【請求項5】
前記検知窓は、パイプ継手の側方に向かって開放され、
前記パイプ挿入領域の奥部には、前記パイプの挿入方向の前方に向かうに従って徐々に前記検知窓側に接近するように傾斜したガイド傾斜部が備えられたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載のパイプ継手。
【請求項6】
前記パイプ結合スリーブの前記基部側の外径を、前記パイプ結合スリーブの中間部の外径より段付き状に大きくすると共に、前記パイプ結合スリーブの前記基部側と中間部との段差面をテーパー面とし、
前記外筒壁を均一径の筒状にして、その外筒壁の前記基部側に、前記パイプ結合スリーブの前記基部側に固定された固定部と、前記外筒壁の径方向で前記パイプ結合スリーブの前記テーパー面に対向し、前記外筒壁の周方向に分散配置された複数の前記検知窓とを備えたことを特徴とする請求項3に記載のパイプ継手。
【請求項7】
前記環状溝は、前記パイプ結合スリーブの外周面に複数設けられかつ、それら環状溝にそれぞれ前記環状シール部材が装着され、
前記矯正筒体は、全ての前記環状シール部材の外側に嵌合した状態に係止されている請求項1乃至6の何れか1の請求項に記載のパイプ継手。
【請求項8】
前記矯正筒体における軸方向の一端側には、他端側より外径が小さく肉厚も小さい薄肉筒部が設けられる一方、前記矯正筒体における軸方向の他端側には、一端側より外径が大きくかつ肉厚も大きい厚肉筒部が設けられ、
前記薄肉筒部に軸方向に延びた複数の切れ込みを形成し、前記矯正筒体のうち隣り合った前記切り込みに挟まれた部分を前記検知片としたことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1の請求項に記載のパイプ継手。
【請求項9】
前記環状溝は、前記パイプ結合スリーブの外周面に複数設けられかつ、それら環状溝にそれぞれ前記環状シール部材としてのOリングが装着され、
前記厚肉筒部は、前記複数のOリングよりも前記パイプ挿入領域の開口端側の位置から、最も前記パイプ挿入領域の奥側に配置された前記Oリングの最大外径部までの範囲を少なくとも包囲するように構成したことを特徴とする請求項8に記載のパイプ継手。
【請求項10】
前記矯正筒体は、絶縁体であることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1の請求項に記載のパイプ継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−189147(P2012−189147A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53357(P2011−53357)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(508321823)株式会社イノアック住環境 (22)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】