説明

パウチ容器

【課題】形成した注出口を開口状態に保持することができるパウチ容器を提供する。
【解決手段】正面部FS、背面部BS及びトップガセット部TGを形成する1枚の外装シート11と、正面部FS及び背面部BSの間に、下部から内側に折り込まれてボトムガセット部を形成するボトムガセットシート12とから構成されており、ボトムガセットシート12の周縁部が外装シート11の下部周縁にヒートシールされると共に、外装シート11におけるボトムガセットシート12にヒートシールされない両側縁部同士が相互にヒートシールされることで袋状に形成されている。上端部において一方の側縁側に突出した注出口形成部13を有しており、この注出口形成部13は、外装シート11の正面部FS及び背面部BSを下方側から破断して注出口を形成するための摘み部14を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、ボトル容器に詰め替えるためのシャンプーやリンス等の液体商品を充填するパウチ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
シャンプーや洗剤等の液体商品は、ボトル容器等に充填された状態で販売されていたが、ボトル容器等の有効利用を図るために、近年では、シャンプー等の液体商品を簡易なパウチ容器に充填した詰替用の液体商品が販売されている。
【0003】
従って、消費者は、最初はボトル容器等に充填された液体商品を購入することになるが、この液体商品を使い切った場合は、ボトル容器等に充填された液体商品を新たに購入するのではなく、簡易なパウチ容器に充填された同じ商品である詰替用の液体商品を購入し、空になったボトル容器等に液体商品だけを詰め替えるようになってきている。
【0004】
例えば、液体商品を充填するパウチ容器としては、図9に示すようなものがある。このパウチ容器50は、図9及び図10に示すように、注出口部TMPを形成する突出片51aが上方に延設された表裏一対の外装シート51、51と、表裏一対の外装シート51、51における突出片51a部分の間に、上部から内側に折り込まれてトップガセット部を形成するトップガセットシート52と、表裏一対の外装シート51、51の間に、下部から内側に折り込まれてボトムガセット部を形成するボトムガセットシート53とから構成されており、そのトップガセットシート52及びボトムガセットシート53の周縁部が外装シート51、51にヒートシールされると共に、トップガセットシート52及びボトムガセットシート53に重なっていない外装シート51、51の周縁部同士がヒートシールされることによって袋状に形成されている。
【0005】
こういったパウチ容器50に充填された液体商品をボトル容器に移し替えるには、図11に示すように、注出口部TMPの先端部を切除することによって注出口TMを形成し、その注出口TMをボトル容器等の口部に沿わせて、充填された液体商品を注出口からボトル容器の口部に自然に注ぎ入れることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4152157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したようなパウチ容器50では、外装シート51、51の突出片51a、51aとトップガセットシート52とによって形成される注出口部TMPの先端部を切除することによって形成された注出口TMは、図12に示すように、外装シート51、51とトップガセットシート52とが重なり合うと共に、外装シート51、51同士が重なり合ったY字状となり、注出口TMを開口した状態に保持することはできないので、充填された粘性の高い液体商品を絞り出すようにして使用する容器としては適しているが、注出口をボトル容器等の口部に沿わせて、比較的粘性の低い液体商品を注出口からボトル容器の口部に自然に注ぎ入れるようにして使用する詰替用の液体商品を充填する容器としては、適しているとはいえない。
【0008】
そこで、この発明の課題は、形成した注出口を開口状態に保持することができるパウチ容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、襞折りすることによって、正面部、背面部及びトップガセット部を形成する1枚の外装シートを備え、前記外装シートの両側縁部同士がヒートシールされることで、前記トップガセット部と前記正面部及び前記背面部との境界部分がそれぞれ未シール状態で袋状に形成されており、前記外装シートにおける一方の側縁を内側に窪ませることによって、その上端部に横方向に突出した注出口形成部が形成されており、前記注出口形成部は、前記外装シートにおける前記正面部及び前記背面部を下方側から破断して注出口を形成するための摘み部を有していることを特徴とするパウチ容器を提供するものである。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明のパウチ容器において、前記注出口形成部を残して、上端部における他方の側縁側を切除することで、内容物の充填口が形成されていることを特徴としている。
【0011】
また、請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明のパウチ容器において、前記注出口形成部には、前記トップガセット部を除くように、前記摘み部から前記正面部及び前記背面部の上縁に至る破断線が形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、請求項1に係る発明のパウチ容器は、トップガセット部と正面部及び背面部との境界部分がそれぞれ未シール状態であるので、摘み部を摘んで、注出口形成部の先端を下方側から破断することによって注出口を形成した後、破断された注出口形成部の先端部分をトップガセット部分で上方側に折り返すことができる。これによって、注出口が略三角形に開口された状態に保持されるので、外装シートが密着して注出口が閉塞されることがなく、充填された液体内容物を絞り出すようにしなくても、円滑かつ確実に注出することができると共に、従来のパウチ容器とは異なり、破断された注出口形成部の先端部分がパウチ容器から完全に切り離されることがないので、液体内容物をボトル容器に移し替えた後のパウチ容器をゴミとして廃棄する際の取扱性がよいという利点がある。
【0013】
また、請求項2に係る発明のパウチ容器では、上端部に内容物の充填口が形成されているので、従来のパウチ容器に内容物を充填する既設の充填装置を利用して内容物の充填を行うことができるという効果が得られる。
【0014】
また、請求項3に係る発明のパウチ容器では、製袋時に正面部及び背面部の間に折り込まれるトップガセット部に破断線を形成する必要がなく、外側に露出している正面部及び背面部だけに破断線を形成すればよいので、製造し易いという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明に係るパウチ容器の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】同上のパウチ容器を示す正面図である。
【図3】同上のパウチ容器における充填前の状態を示す正面図である。
【図4】同上のパウチ容器における密封前の状態を示す斜視図である。
【図5】同上のパウチ容器における注出口を形成した状態を示す斜視図である。
【図6】同上のパウチ容器の変形例を示す部分正面図である。
【図7】同上のパウチ容器の変形例を示す部分正面図である。
【図8】同上のパウチ容器の変形例を示す正面図である。
【図9】従来のパウチ容器を示す正面図である。
【図10】同上のパウチ容器を示す分解斜視図である。
【図11】同上のパウチ容器における注出口を形成した状態を示す正面図である。
【図12】同上のパウチ容器に形成された注出口を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1及び図2に示すパウチ容器1は、ボトル容器に詰め替えるためのシャンプーやリンス等の液体商品を充填するものであり、ポリエチレンやポリプロピレン等からなる熱接着性を有するシーラントフィルムの外面に、アルミホイル等のガスバリア性シート等を積層した二軸延伸ポリエステルフィルム等をラミネートした厚さ60〜200μm程度の柔軟性シートによって扁平状態に折り畳み可能に形成されている。
【0017】
このパウチ容器1は、図1及び図2に示すように、上端部をM字状に襞折りすることによって、正面部FS、背面部BS及びトップガセット部TGを形成する1枚の外装シート11と、この外装シート11によって形成される正面部FS及び背面部BSの間に、下部から内側に折り込まれてボトムガセット部を形成するボトムガセットシート12とから構成されており、折り込まれたボトムガセットシート12の周縁部が外装シート11の下部周縁にヒートシールされると共に、外装シート11におけるガセットシート12にヒートシールされない両側縁部同士が相互にヒートシールされることで袋状に形成されている。なお、外装シート11を襞折りすることによって形成された、正面部FS及び背面部BSとトップガセット部TGとは、単に、折目線を介して繋がっているだけで、それぞれの連設縁同士がヒートシールされているわけではない。
【0018】
また、ボトムガセットシート12の両側縁には、二つ折りした状態で相互に一致する切欠部12aがそれぞれ形成されており、この切欠部12aを介して、外装シート11の両側縁における下端部同士が部分的にヒートシールされている。なお、図1〜図8における網掛け表示部分が、ヒートシール部分を示している。
【0019】
また、外装シート11によって形成される正面部FS及び背面部BSの一方の上部側縁を部分的に窪ませることによって、上端部において一方の側縁側に突出した注出口形成部13が形成されており、外装シート11における襞折りされた上端部における他方の側縁側を全幅の略半分程度切除することによって、注出口形成部13よりも一段低い位置で上方側に開口する内容物の充填口16(図3及び図4参照)を形成し、この充填口16から内容物を充填した後、充填口16を形成している正面部FS及び背面部BSの上縁同士をヒートシールすることによって、充填口16が閉塞されている。
【0020】
前記注出口形成部13は、M字状に襞折りされた上端部における切除されずに残ったトップガセット部TGと、このトップガセット部TGに折目線を介して繋がった正面部FS及び背面部BSの上端部とから構成されており、トップガセット部TGの両側縁と正面部FS及び背面部BSの両側縁とが所定幅でヒートシールされている。
【0021】
前記注出口形成部13は、トップガセット部TGの一方の側縁と、正面部FS及び背面部BSの一方の側縁とがヒートシールされたヒートシール縁の内側を、外装シート11の正面部FS及び背面部BSを下方側から破断して注出口を形成するための摘み部14を有しており、この摘み部14を摘んで、外装シート11における正面部FS及び背面部BSを破断する際、破断性を向上させるために、図1及び図2に一点鎖線で示す位置に、外装シート11の正面部FS及び背面部BSだけに、破断性を向上させるハーフカットからなる破断線15がそれぞれ形成されている。なお、注出口を形成する際は、後述するように、トップガセット部TGを破断して、注出口形成部13の先端部を完全に切り離す必要はないので、トップガセット部TGには、ハーフカットからなる破断線は形成されていない。
【0022】
また、注出口形成部13を形成している外装シート11の正面部FS及び背面部BSには、トップガセット部TGの折込縁に対応する位置に折目線Fがそれぞれ形成されており、その折目線Fで注出口形成部13における正面部FS及び背面部BSの上端部を外側に折り曲げることで、トップガセット部TGを略フラットな状態に開くことができるようになっている。
【0023】
以上のように構成されたパウチ容器1は、図3及び図4に示すように、外装シート11における襞折りされた上端部における他方の側縁側を全幅の略半分程度切除することによって、未シールの充填口16が形成された状態で、その充填口16から液体内容物を充填した後、充填口16を形成している正面部FS及び背面部BSの上縁同士をヒートシールすることで密封する(図1及び図2参照)。
【0024】
このパウチ容器1に充填・密封された液体内容物をボトル容器に詰め替える際は、図2に示す陳列状態から、摘み部14を摘んで、注出口形成部13の先端部を破断線15に沿って破断することによって注出口を形成した後、注出口形成部13を形成している外装シート11の正面部FS及び背面部BSの上端部を折目線F、Fで外側に折り曲げることによってトップガセット部TGを開いて、破断された注出口形成部13の先端部分をトップガセット部TGで上方側に折り返すと、図5に示すように、注出口17が略三角形に開口された状態に保持されるので、パウチ容器1の胴部を掴んで注出口17をボトル容器の口部に沿わせて液体内容物を注出する。
【0025】
以上のように、このパウチ容器1は、正面部FS及び背面部BSとトップガセット部TGとが、単に、折目線を介して繋がっているだけで、それぞれの連設縁同士がヒートシールされているわけではないので、摘み部14を摘んで、注出口形成部13の先端部を下方側から破断した後、破断された注出口形成部13の先端部分をトップガセット部TG部分で上方側に折り返すことができ、これによって、注出口17が略三角形に開口された状態に保持されるので、外装シート11の正面部FS及び背面部BSが密着して注出口が閉塞されることがなく、充填された液体内容物を絞り出すようにしなくても、円滑かつ確実に注出することができると共に、破断された注出口形成部13の先端部分がパウチ容器1から完全に切り離されることがないので、液体内容物をボトル容器に移し替えた後のパウチ容器1をゴミとして廃棄する際の取扱性がよいという利点がある。
【0026】
また、注出口形成部13の先端部を完全に切り離す場合は、トップガセット部TGにも破断線を形成することになるが、その場合は、トップガセット部TGを折り畳んだ状態で、外側に露出している正面部FS及び背面部BSだけに破断線15を一旦形成した後、トップガセット部TGを開いて露出させた状態で、トップガセット部TGに破断線を形成するといった具合に、2工程で破断線を形成しなければならない。
【0027】
しかしながら、このパウチ容器1では、注出口を形成する際に、トップガセット部TGを破断して注出口形成部13の先端部を完全に切り離す必要はないので、製袋時に外装シート11における正面部FS及び背面部BSの間に折り込まれるトップガセット部TGに破断線を形成する必要がなく、外側に露出している正面部FS及び背面部BSだけに破断線15を形成すればよいので、注出口形成部13の先端部を完全に切り離すために、トップガセット部TGにも破断線を形成する場合に比べて、製造し易いという利点がある。
【0028】
また、このパウチ容器1では、上端部に内容物の充填口16を形成するようにしているので、従来のパウチ容器に内容物を充填する既設の充填装置を利用して内容物の充填を行うことができるという効果もある。
【0029】
なお、上述した実施形態では、注出口形成部13が、下方側に突出した摘み部14を有しているが、外装シート11の正面部FS及び背面部BSを下方側から破断する際に摘むことができるのであれば、摘み部の形状は特に限定されない。例えば、図6に示すように、下縁がフラットな摘み部14Aであってもよく、その場合は、破断するきっかけとなるノッチ18を形成しておくことが望ましい。
【0030】
また、上述した実施形態では、上端部に内容物の充填口16を形成するようにしているが、これに限定されるものではなく、側縁上部に未シールの充填口を部分的に形成することも可能である。
【0031】
また、図7に示すように、注出口形成部13を形成している下側傾斜縁DSEに切欠部19を形成しておくと、液体内容物をボトル容器に移し替える際、ボトル容器の口部に切欠部19を載せることで、パウチ容器1の注出口17をボトル容器の口部に位置決めすることができるので、パウチ容器1の姿勢が安定し、液体内容物の注出作業性がさらに向上する。
【0032】
また、上述した各実施形態では、注出口形成部13が形成されていない側縁は、直線状に形成されているが、これに限定されるものではなく、図8に示すパウチ容器のように、窪み部20を形成しておくと、液体内容物をボトル容器に移し替える際、パウチ容器の胴部を握りやすく、しかも、パウチ容器の胴部を握った状態で、注出口形成部13(注出口17)が前下がりにならず、注出作業性が向上するという効果が得られる。
【0033】
また、上述した実施形態では、ボトムガセットタイプのパウチ容器について説明したが、これに限定されるものではなく、底部がボトムガセット部を有していないパウチ容器についても本発明を適用することができることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0034】
ボトル容器に詰め替えるためのシャンプーやリンス等の液体商品を充填する容器として利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 パウチ容器
11 外装シート
12 ボトムガセットシート
12a 切欠部
13 注出口形成部
14、14A 摘み部
15 破断線
16 充填口
17 注出口
18 ノッチ
19 切欠部
20 窪み部
FS 正面部
BS 背面部
TG トップガセット部
F 折目線
DSE 下側傾斜縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
襞折りすることによって、正面部、背面部及びトップガセット部を形成する1枚の外装シートを備え、
前記外装シートの両側縁部同士がヒートシールされることで、前記トップガセット部と前記正面部及び前記背面部との境界部分がそれぞれ未シール状態で袋状に形成されており、
前記外装シートにおける一方の側縁を内側に窪ませることによって、その上端部に横方向に突出した注出口形成部が形成されており、
前記注出口形成部は、前記外装シートにおける前記正面部及び前記背面部を下方側から破断して注出口を形成するための摘み部を有していることを特徴とするパウチ容器。
【請求項2】
前記注出口形成部を残して、上端部を部分的に切除することで、内容物の充填口が形成されている請求項1に記載のパウチ容器。
【請求項3】
前記注出口形成部には、前記トップガセット部を除くように、前記摘み部から前記正面部及び前記背面部の上縁に至る破断線が形成されている請求項1または2に記載のパウチ容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−176782(P2012−176782A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41186(P2011−41186)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】