説明

パウチ容器

【課題】内容物のスムーズな注出が可能なパウチ容器を提供することである。
【解決手段】パウチ容器10は、容器の上方に向かって山折りに折り返された底ガゼットシート11cが、互いに重ね合わされた表面シート11a及び裏面シート11bの下部に挿入された状態で各シート材の端縁同士を接合する端縁シール部12が形成され、内容物が充填される容器内部空間である充填部13が形成された構造である。そして、パウチ容器10は、ノズル部16に設けられた注出口19a,19bと、注出口19a,19bをそれぞれ覆うタックシート20a,20bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチ容器に関し、より詳しくは、詰め替えパウチに好適なパウチ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
パウチ容器は、密封性や取り扱い性に優れることから、各種食料品やトイレタリー製品の容器として広く用いられており、例えば、シャンプーや洗剤等の泡立ち性のある内容物が充填された詰め替え用途にも適用されている。これらパウチ容器は、容器の表面部及び裏面部を構成する一対のシート材を備え、各シート材の端縁が互いにヒートシールされて内容物が充填される容器内部空間が形成された構造を有する。内容物の注出口は、例えば、容器の上端角部を切断して形成される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−213334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記構造のパウチ容器から内容物を別の容器(例えば、ボトル)に詰め替えるときには、注出口を鉛直下方側に傾けてボトルの口部に挿入する。しかし、内容物が泡立ち性のあるシャンプーや洗剤等である場合、内容物がボトルの底面に当たるように注がれると、ボトル内での泡立ちが問題となることがある。ボトル内で泡立ちが発生すれば、泡が口部から溢れ出ないように泡が消えてから残りの内容物を注ぐ必要がある等、不便な詰め替え作業を余儀なくされる。
【0005】
即ち、本発明の目的は、内容物のスムーズな注出が可能なパウチ容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るパウチ容器は、少なくとも容器の表面部及び裏面部を構成する一対のシート材を備え、シート材の端縁同士が接合されて内容物が充填される容器内部空間が形成されたパウチ容器において、容器の一端の一部に設けられたノズル部と、ノズル部の表面部及び裏面部の少なくともいずれか一方に設けられた注出口とを備えることを特徴とする。
【0007】
当該構成によれば、注出口がノズル部の表面部及び裏面部の少なくともいずれか一方に設けられているため、内容物を注出すべく、ノズル部を別の容器に挿入して注出口を鉛直下方側に傾けたときに、内容物が鉛直方向に向かって流出せず、水平方向に向かって流出する。このため、内容物が別の容器の側面に当たり、側面に沿って下方に流れるから、例えば、泡立ち性のある内容物であっても泡立ちを十分に抑制することができる。
【0008】
また、本発明に係るパウチ容器において、ノズル部の注出口が設けられた部分と、内容物が充填された容器内部空間とを隔離する弱シール部を有することが好ましい。当該構成によれば、流通過程等において、注出口が設けられたノズル部に内容物が流入することを防止できるため、密閉性が向上する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るパウチ容器によれば、内容物のスムーズな注出が可能である。本発明に係るパウチ容器は、泡立ち性のある内容物であっても、泡立ちを抑制して素早く詰め替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態であるパウチ容器の正面図である。
【図2】図1のA‐A線断面を模式的に示す図である。
【図3】本発明の実施形態であるパウチ容器から内容物をボトルに移す様子を示す図である。
【図4】本発明の実施形態であるパウチ容器の第1の変形例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態であるパウチ容器の第2の変形例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態であるパウチ容器の第3の変形例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態であるパウチ容器の第4の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
本実施形態では、容器の壁面部を構成するシート材として、表面シート11a、裏面シート11b、及び底ガゼットシート11cを備えたスタンディングパウチを例示するが、本発明は、当該パウチ形態に限定されず、所謂平パウチなど、その他の公知形態にも適用できる。
【0013】
本実施形態では、パウチ容器を自立させた形態で正面視鉛直方向に沿った方向を容器の上下方向とし、注出口が形成される側を「上」とする。また、各シート材が積層される方向を容器の表裏方向とし、上下方向及び表裏方向に直交する方向を容器の左右方向又は幅方向とする。また、表面シート11aに関する構成要素の符号に「a」を付し、裏面シート11bに関する構成要素に「b」を付する。
【0014】
まず、図1及び図2を参照して、パウチ容器10の構成を説明する。
【0015】
図1は、内容物が充填されて底ガゼットシート11cが展開した形態を示している。図1では、内容物が充填される前の底ガゼットシート11cの上端位置を点線で示す。図1に示すように、パウチ容器10は、容器の表面部及び裏面部をそれぞれ構成する一対のシート材である表面シート11a及び裏面シート11bと、容器の底面部を構成するシート材である底ガゼットシート11cとを備える。
【0016】
パウチ容器10は、容器の上方に向かって山折りに折り返された底ガゼットシート11cが、互いに重ね合わされた表面シート11a及び裏面シート11bの下部に挿入された状態で各シート材の端縁同士を接合する端縁シール部12が形成され、内容物が充填される容器内部空間である充填部13が形成された構造である。パウチ容器10に内容物を充填すると、表面シート11a及び裏面シート11bが互いに離間し、底ガゼットシート11cが展開して自立性が発現する。底ガゼットシート11cには、容器の下部で表面シート11aと裏面シート11bとの接合を可能とする切欠き14が形成されている。
【0017】
また、パウチ容器10は、パウチ本体部15と、容器の上端に設けられたノズル部16とを有する。ノズル部16とは、内容物を別の容器(例えば、図3に示すボトル100)に詰め替える際に当該容器に差し込まれる部分である。パウチ本体部15とは、ノズル部16以外の部分であり、本実施形態では、内容物が充填される部分である。パウチ容器10では、容器の上端から下端側に向かって略Vの字状に切り込まれた凹状部17が形成されることでノズル部16が形作られている。
【0018】
また、パウチ容器10は、ノズル部16に設けられた注出口19a,19bと、注出口19a,19bをそれぞれ覆うタックシート20a,20bとを有する。
【0019】
以下、パウチ容器10の上記各構成要素について更に詳説する。
【0020】
シート材(表面シート11a、裏面シート11b、底ガゼットシート11c)は、パウチ容器10の壁面部を構成するシート状部材であって、通常、樹脂フィルムから構成される。シート材を構成する樹脂フィルムには、耐衝撃性、耐磨耗性、及び耐熱性など、包装体としての基本的な性能を備えることが要求される。また、端縁シール部12は、通常、ヒートシールにより形成されるので、シート材には、ヒートシール性も要求される。
【0021】
図2(図1のA‐A線断面図)に示すように、パウチ容器10において、表面シート11aは、内面層21aと、外面層22aとを有する複層シート材である。内面層21aと外面層22aとの間には、接着層23aが設けられ、これにより内面層21aと外面層22aとが接合されている。同様に、裏面シート11bは、容器の内側から順に、内面層21bと、接着層23bと、外面層22bとを積層した複層シート材である。外面層22a,22bは、シート材のベースフィルム層であり、内面層21a,21bは、シート材にヒートシール性を付与するシーラント層である。高いガスバリア性が要求される場合には、ベースフィルム層とシーラント層との間にガスバリア層を設けることもできる。
【0022】
ここで、ベースフィルム層、シーラント層、及びガスバリア層の構成材料を例示する。
【0023】
ベースフィルム層を構成するフィルムとしては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)など)、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−66など)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルスルフォン(PES)及びエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等から構成される一層又は二層以上の延伸又未延伸フィルムが例示できる。
【0024】
シーラント層を構成するフィルムとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−プロピレン共重合体(EP)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、二軸延伸ナイロン(ON)、エチレン−オレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)及びエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等から構成される一層又は二層以上の延伸又未延伸フィルムが例示できる。
【0025】
ガスバリア層としては、アルミニウム等の金属薄膜、又は塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)などの樹脂フィルム、或いは任意の合成樹脂フィルム(例えば、ベースフィルム層であってもよい)に、アルミニウム、酸化アルミニウムやシリカ等の無機酸化物などを蒸着(又はスパッタリング)したフィルムが例示できる。
【0026】
シート材には、内容物の商品名や原材料・使用上の注意事項等の商品説明、その他各種デザインなどを表示するための印刷層(図示せず)を設けることができる。例えば、印刷層は、グラビア印刷等の公知の方法により、ベースフィルム層の内側の面に形成できる。
【0027】
これら各層の積層は、慣用のラミネート法、例えば、接着剤によるドライラミネーション、熱接着性層を挟んで熱により接着させる熱ラミネーションなどにより行うことができる。接着層23a,23bは、これら慣用のラミネート法に使用される、通常公知の接着剤を用いて形成される。
【0028】
端縁シール部12は、充填部13を密閉する接合部であって、通常、ヒートシールにより形成される。ヒートシールによる端縁シール部12は、各シート材のシーラント層が容器の内側となるように重ね合わせて熱圧着することで形成できる。内容物は、例えば、パウチ本体部15の上端を残して端縁シール部12を形成し、当該上端から充填できる。そして、内容物の充填後、パウチ本体部15の上端縁をヒートシールする。
【0029】
ノズル部16は、上記のように、内容物の詰め替え先となる別の容器に差し込まれる部分であって、容器の上端の一部をカットして形成された凹状部17により、容器の上端角部に設けられることが好ましい。ノズル部16は、表面シート11a及び裏面シート11bから構成され、その端縁には、端縁シール部12が形成されている。そして、ノズル部16の表面シート11aと裏面シート11bとの間には、端縁シール部12及び後述の弱シール部18で囲まれた内容物が流通可能な内部空間が設けられる。
【0030】
ノズル部16のサイズや形状は、詰め替え先となる別の容器の形状等に応じて、凹状部17のサイズ、形状、形成位置を調整することで適宜変更できる。図1に例示する形態では、容器の上端角部から所定幅を残し、幅方向中央よりの上端位置から下端側に向かって略Vの字状にカットされた凹状部17が形成されている。このため、ノズル部16は、先細りの台形形状を有する。また、上記所定幅がノズル部16の幅となり、凹状部17の容器上下方向に沿った長さがノズル部16の長さとなる。
【0031】
注出口19a,19bは、容器内部空間と容器外部とを連通する貫通孔であり、ノズル部16の表面部及び裏面部にそれぞれ設けられている。以下、注出口19aについて述べるが、注出口19bも同様の構成である。注出口19aは、ノズル部16において、表面シート11aを環状にカットして設けられる。ここで、環状とは、円形状に限定されず、楕円形状、半円形状、又は多角形状(例えば、三角形状、四角形状)を含む概念である。つまり、注出口19a,19bの形状は、カット線の形状により決定される。
【0032】
注出口19aは、端縁シール部12にかからない範囲でノズル部16の先端側に形成されることが好ましい。注出口19aは、ノズル部16を詰め替え先となる別の容器に差し込んだ状態で、少なくとも該容器の内部に位置するように形成される。
【0033】
注出口19aのサイズは、特に限定されないが、例えば、内容物の充填量が多い場合や内容物の粘度が高い場合には、液密性に問題がない範囲で注出口19aを拡大することが好ましい。
【0034】
なお、注出口19a,19bは、生産性等の観点から、容器の表裏方向に沿って互いに重なるように形成されることが好適である。
【0035】
タックシート20a,20bは、注出口19a,19bをそれぞれ塞ぐ蓋として機能する。以下、タックシート20aについて述べるが、タックシート20bも同様の構成である。タックシート20aは、小片状のフィルム基材24aと、フィルム基材24aの一方の面に形成された粘着剤層25aとでそれぞれ構成される。タックシート20aは、注出口19aよりも大きなシートであり、注出口19aの全体を覆って、その周縁の表面シート11a上に貼着されている。
【0036】
フィルム基材24aとしては、例えば、上記ベースフィルム層と同様の樹脂フィルムを適用できる。粘着剤層25aとしては、例えば、常温で粘着性を有する一般的な感圧接着剤(合成ゴム系やアクリル樹脂系等の粘着剤)を適用できる。
【0037】
タックシート20aの形状は、図1に例示する円形状に限定されず、注出口19aの形状等に応じて適宜変更できる。また、タックシート20aをめくり易くするために、タックシート20aの端部の粘着力を抑えて摘み部を設けてもよい。
【0038】
なお、パウチ容器10は、ノズル部16の注出口19a,19bが設けられた部分と、内容物が充填された容器内部空間とを隔離する弱シール部18を有する。本実施形態では、ノズル部16の付け根近傍に、容器の幅方向に沿って弱シール部18が形成されている。弱シール部18は、ノズル部16を構成する表面シート11aと裏面シート11bとを剥離可能に接合している。
【0039】
弱シール部18は、表面シート11aと裏面シート11bとをヒートシールすることで形成できる。弱シール部18は、例えば、シーラント層のガラス転移点(Tg)又は軟化点付近の温度でヒートシールすることにより、表面シート11a及び裏面シート11bのシーラント層同士が軟化した程度の状態で接合して形成される。このため、接着強度が弱く剥離可能となる。一方、端縁シール部12は、ヒートシール温度を高く設定した条件、例えば、シーラント層の融点付近の温度でヒートシールすることにより形成される。
【0040】
次に、上記構成を備えるパウチ容器10の製造方法の一例について説明する。
【0041】
まず初めに、ベースフィルム層及びシーラント層を含む複層シート材の長尺体(表面シート11a及び裏面シート11bの長尺体)を、例えば、接着剤を用いたドライラミネートにより作製する。続いて、表面シート11a及び裏面シート11bの長尺体を重ね合わせ、その下部に容器上方に向かって山折りに折り返された底ガゼットシート11cの長尺体を挿入した状態で、長尺体の長手方向に沿った一端(ここでは、下端)と、長手方向に直交するパウチ容器10の左右側端縁となる部分とをヒートシールする。このとき、端縁シール部12と共に弱シール部18を形成できる。
【0042】
続いて、ヒートシールしたシート材の長尺体を、例えば、ダイカットロールを用いて打ち抜き、凹状部17、注出口19a,19bをそれぞれ形成する。ここで、注出口19a,19bは、凹状部17により形作られるノズル部16の先端側に形成される。次に、左右側端縁の端縁シール部12で長尺体を切断し、個々のパウチ容器10のサイズに分割する。そして、注出口19a,19bの周縁にタックシート20a,20bをそれぞれ貼着する。
【0043】
最後に、開放されているパウチ本体部15の上端から容器内部空間に内容物を充填し、パウチ本体部15の上端縁をヒートシールして端縁シール部12を形成する。こうして、内容物が密閉されたパウチ容器10が得られる。
【0044】
次に、図3を参照して、パウチ容器10から内容物70をボトル100に詰め替える様子を例示しながら、上記構成を備えるパウチ容器10の作用効果を詳説する。なお、内容物70は、泡立ち性を有する液状物として説明する。
【0045】
内容物70をボトル100に詰め替えるときには、まず、弱シール部18の周辺を押圧して弱シール部18を剥離する。これにより、内容物70が充填された充填部13とノズル部16の内部空間とが連通する。弱シール部18は、流通過程では剥離することなく内容物がノズル部16に流入することを防止するが、開封時には容易に剥離できる。そして、タックシート20a,20bを剥離して、注出口19a,19bを開放する。
【0046】
続いて、図3に示すように、開放された注出口19a,19bがボトル100の口部101よりも鉛直下方に位置するように、ノズル部16を口部101に差し込む。このとき、ノズル部16の表面部及び裏面部が鉛直方向に沿った状態となり注出口19a,19bが略水平方向を向くため、内容物70が略水平方向に向かって注出される。したがって、内容物70は、胴部102の側面に当たり側面に沿って緩やかに下方に流れるため、内容物70のボトル100内における泡立ちを十分に抑制でき、スムーズな詰め替え作業が可能となる。
【0047】
また、パウチ容器10では、内容物70がボトル100の底部にダイレクトに当たらないため、粘度が液状物であっても、内容物70の飛びはね等を十分に抑制できる。
【0048】
上記実施形態は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜設計変更できる。
以下、設計変更例(変形例)を示す。なお、以下では、上記実施形態と同様の構成要素には、同じ符号を付して重複する説明を省略する。
【0049】
図4は、ノズル部16及びその周辺を拡大して示している。図4に示すパウチ容器10xは、注出口19a,19bの周縁の表面シート11a及び裏面シート11b上に貼着された1つのタックシート20xを備える。タックシート20xは、容器の幅方向に長い帯状を呈し、容器の側端部で折り曲げられて、注出口19a,19bの両方を塞いでいる。パウチ容器10xでは、1つのタックシート20xを剥離することで、2つの注出口19a,19bが開放されるため、開封性が向上する。
【0050】
図5及び図6は、ノズル部16に形成された注出口及びその近傍の断面図であって、表面部のみを示す(「a」省略)。図5(a)及び図6(a)は、いずれも注出口に栓部が設けられた形態を示しており、図5(b)及び図6(b)は、いずれもタックシートの剥離に伴い栓部が剥離除去された様子を示している。
【0051】
図5(a)に示すパウチ容器10yには、注出口19を塞ぐ栓部30が設けられており、栓部30及びその周縁を覆ってタックシート20が貼着されている。栓部30は、例えば、シート材11にタックシート20を貼着した後、容器の内側からシート材11を環状にカットしたカット線31により形成される。なお、パウチ容器10yでは、開封前において、注出口19に栓部30が存在するため、内容物が漏れ出し難く密閉性が向上する。
【0052】
図5(b)に示すように、タックシート20を剥離すると、それに貼着された栓部30がタックシート20と共に除去され、栓部30が除去された部分に注出口19が形成される。上記パウチ容器10では製造過程でシート材をカットして除去するが、パウチ容器10yでは、開封時にタックシート20とまとめてシート材11のカット部分である栓部30を除去するため、製造過程における廃棄物量を低減できる。
【0053】
図6(a)に示すパウチ容器10zには、シート材11zの内側から環状にハーフカットした第1ハーフカット線41と、該第1ハーフカット線41を囲むようにシート材11zの外側から環状にハーフカットした第2ハーフカット線42とにより栓部40が形成されている。また、シート材11zは、内面層21と外面層22との間に中間層43を有し、内面層21と中間層43との間には、第1接着層44が設けられ、外面層22と中間層43との間には、第2接着層45が設けられる。そして、第1ハーフカット線41及び第2ハーフカット線42は、いずれも同じ接着層である第1接着層44に達する。なお、パウチ容器10zは、開封前において、シート材11zの厚み方向に連続するカット部が存在しないため、仮に流通過程において弱シール部18が剥離した場合であっても内容物が漏れ出し難く密閉性に優れている。
【0054】
第1接着層44において、第1ハーフカット線41及び第2ハーフカット線42に囲まれた部分には、少なくともその一部に、栓部40以外の接着層より接着力が弱くなるように形成された接着部46が設けられる。その形成方法としては、接着層を均一に形成した後、剥離性を有するワックス等を部分的に塗布して、接着力を抑えることによりなされる。また、接着剤を間欠的に塗布する、又は接着力の異なる複数の接着剤を使用することによっても形成できる。なお、接着部46は、グラデーション接着部とすることが好ましく、例えば、第2ハーフカット線42に近接する部分が、第1ハーフカット線41に近接する部分よりも接着力が弱くなるように形成される。このようにすれば、パウチ容器10zの内側から圧力が加わっても栓部40は剥離せず、流通過程等における意図しない剥離を防止できる。
【0055】
図6(b)に示すように、タックシート20を剥離すると、それに貼着された栓部40がタックシート20と共に除去され、栓部40が除去された部分に注出口19zが形成される。このとき、栓部40に対して、その外側から内側に向かって剥離力が加わるが、パウチ容器10zには、接着部46が設けられているため、栓部40をスムーズに除去できる。
【0056】
図7(A)は、注出口19akが表面シート11aをU字状にカットして設けられた例を示す(注出口19akについて述べるが、注出口19bkについても同様である)。ここで、U字状とは、カット線の先端同士が接触していない形状をいう概念であり、その形状は、図7(B)の(b1)〜(b5)に示すように種々の形状を含み、特に限定されない。換言すれば、表面シート11aの注出口19akにあたる位置に舌片50aを形成するようにカットすることをいう。
【0057】
このようにU字状にカットして注出口19akを設ける場合、形成される舌片50aの基端が上方に位置するようにそのカット線を凹形とすることが好ましい(図7(A)参照)。このようにすれば、図7(C)に示すように、内容物70が注出される際に、舌片50aが注出方向を規制して、より水平方向に向かって注出され易くなる。したがって、内容物70が胴部102の側面に当たり易くなり、よりスムーズな詰め替え作業が可能となる。
【0058】
なお、上記では、ノズル部16の表面部及び裏面部に注出口19a,19bがそれぞれ形成されるものとして説明したが、注出口19a,19bのいずれか一方のみが形成される形態であってもよい。
【0059】
また、上記では、ノズル部16に弱シール部18が形成されるものとして説明したが、弱シール部18が形成されない形態であってもよい。
【0060】
また、上記では、シート材として、少なくとも一つの接着層を介して積層された複層シート材を例示したが、シート材は、単層構造であってもよい。
【0061】
また、上記では、ハーフカット線により形成された栓部を有する形態において、タックシートが設けられるものとして説明したが、タックシートが設けられない形態であってもよい。この場合、栓部の周辺を押圧する等して、栓部を剥離除去することができる。
【符号の説明】
【0062】
10 パウチ容器、11a 表面シート、11b 裏面シート、11c 底ガゼットシート、12 端縁シール部、13 充填部、14 切欠き、15 パウチ本体部、16 ノズル部、17 凹状部、18 弱シール部、19a,19b 注出口、20a,20b タックシート、21a,21b 内面層、22a,22b 外面層、23a,23b 接着層、24a,24b フィルム基材、25a,25b 粘着剤層、30,40 栓部、31 カット線、41 第1ハーフカット線、42 第2ハーフカット線、43 中間層、44 第1接着層、45 第2接着層、46 接着部、50 舌片、70 内容物、100 ボトル、101 口部、102 胴部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも容器の表面部及び裏面部を構成する一対のシート材を備え、シート材の端縁同士が接合されて内容物が充填される容器内部空間が形成されたパウチ容器において、
容器の一端に設けられたノズル部と、
ノズル部の表面部及び裏面部の少なくともいずれか一方に設けられた注出口と、
を備えることを特徴とするパウチ容器。
【請求項2】
請求項1に記載のパウチ容器において、
ノズル部の注出口が設けられた部分と、内容物が充填された容器内部空間とを隔離する弱シール部を有することを特徴とするパウチ容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−14352(P2013−14352A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147369(P2011−147369)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】