パウチ容器
【課題】良好な擦り切り操作を可能とするパウチ容器を提供する。
【解決手段】パウチ容器は、表面シート11、裏面シート12、及び底ガゼットシート13を備え、充填部15に粉体40が充填され、容器上部に粉体40の取り出し口18が形成される容器である。パウチ容器は、計量スプーンによる粉体40の摺り切り計量を可能とすべく、擦り切り部として、取り出し口18よりも下方に位置する表面シート11及び裏面シート12に展開可能に接合された上向きガゼットシートを備える。上向きガゼットシートは、容器幅方向に沿って充填部の一部を覆うように設けられている。
【解決手段】パウチ容器は、表面シート11、裏面シート12、及び底ガゼットシート13を備え、充填部15に粉体40が充填され、容器上部に粉体40の取り出し口18が形成される容器である。パウチ容器は、計量スプーンによる粉体40の摺り切り計量を可能とすべく、擦り切り部として、取り出し口18よりも下方に位置する表面シート11及び裏面シート12に展開可能に接合された上向きガゼットシートを備える。上向きガゼットシートは、容器幅方向に沿って充填部の一部を覆うように設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチ容器に関し、より詳しくは、粉体乃至粒体(以下、粉体等という)が充填されるパウチ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、粉ミルクやプロテイン粉末などは、金属製の缶やパウチ容器に充填された状態で販売されている。図21に例示するように、粉ミルク等の粉体40を充填する缶100には、計量スプーン41で掬った粉体40を擦り切るための擦り切り部101が設けられている。擦り切り部101は、開口部102の一部を覆うように、缶100の径方向に張り出した板形状を有する。これにより、計量スプーン41の1杯あたりの粉体40の量を一定にでき、簡便な計量が可能になる。近年、粉ミルク等の粉体を充填するパウチ容器にも、当該擦り切り機能が求められている。
【0003】
このような状況に鑑みて、擦り切りバーを備えたパウチ容器が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1には、チャックテープの下方に、折り畳み可能な摺り切りバーが折り畳まれた状態で接合され、容器を開口させることにより摺り切りバーが直線状に開くパウチ容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−155081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、粉体を擦り切るときには、擦り切りバーの端部に計量スプーンを押し当てるが、当該端部と計量スプーンとがなす角度が小さすぎる又は大きすぎると、うまく擦り切れない場合がある。特許文献1の擦り切りバーでは、計量スプーンが当接可能なバーの端部が容器の鉛直方向に向いているため、計量スプーンの角度が大幅に制限されて使い難いという問題がある。また、擦り切りバーが比較的細いことから、バーの材質がパウチ容器を構成するシート材と同様のプラスチックシートを用いた場合には、剛性に乏しく撓み易いことも操作性不良につながる。なお、この擦り切りバーには、撓みを抑制するための固定部が設けられているが、固定部の折り曲げ操作が別途必要となり不便である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るパウチ容器は、少なくとも表面部及び裏面部を構成するシート材を備え、シート材で囲まれた充填部に粉体等が充填され、容器上部に粉体等の取り出し部が形成されるパウチ容器において、計量スプーンによる粉体等の摺り切り計量を可能とすべく、取り出し部よりも下方に位置する表面部及び裏面部に展開可能に接合された摺り切り部を備え、前記摺り切り部が、容器幅方向に沿って充填部の一部を覆うように設けられたガゼットシートにより形成されていることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、取り出し部の開口時に展開するガゼットシートを用いて、計量スプーンで掬った粉体等を擦り切ることができる。粉体等を擦り切るときには、ガゼットシートの幅方向端部に計量スプーンを押し当てるが、当該端部は、容器幅方向を向くため、当該端部と取り出し部から挿入される計量スプーンとがなす角度を擦り切りに好適な角度(例えば、90°±45°)に調整し易く、金属製の缶に設けられた摺り切り部と同様の使用感を得ることができる。
【0008】
本発明に係るパウチ容器において、容器幅方向両端部に表面部と裏面部とを接合するサイドシール部が設けられ、ガゼットシートは、その幅方向一端部が一方のサイドシール部により表面部及び裏面部に接合されることが好適である。
当該構成によれば、ガゼットシートの幅方向一端部がサイドシール部により固定されるため、擦り切り時にガゼットシートが撓み難くなり、操作性がさらに向上する。この場合、ガゼットシートの幅方向他端部に計量スプーンが押し当てられる。
【0009】
また、ガゼットシートの幅方向一端部を固定した構成において、ガゼットシートは、上方に向かって山折りされた上向きガゼットシートとすることができる。
当該構成によれば、ガゼットシートの展開時に、ガゼットシート上面が、計量スプーンが当接可能な幅方向他端部を下方に位置した斜面を形成するため、摺り切り後にガゼットシート上面に残存した粉体等が自然と充填部内に滑落し易く、ガゼットシート上面を衛生的に保つことができる。加えて、当該端部と取り出し部から挿入される計量スプーンとがなす角度をより好適な角度(例えば、90°近傍)に調整し易くなる。
【0010】
また、ガゼットシートの幅方向一端部を固定した構成において、ガゼットシートは、下方に向かって山折りされた下向きガゼットシートとすることができる。
当該構成によれば、ガゼットシートの展開時に、ガゼットシート上面が、上記幅方向他端部を上方に位置した斜面を形成するため、より取り出し部に近い位置に上記幅方向他端部が形成されることから、計量スプーンをより操作し易くなる。
【0011】
また、本発明に係るパウチ容器には、ガゼットシート上に存在する粉体等を充填部に戻すための回収部が設けられていることが好適である。
当該構成によれば、ガゼットシート上に粉体等が溜まった場合に、その粉体等を回収部から充填部に戻すことができ、ガゼットシート上面を衛生的に保つことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るパウチ容器によれば、良好な擦り切り操作が可能になる。特に、ガゼットシートの幅方向一端部を一方のサイドシール部により表面部及び裏面部に接合することで、ガゼットシートの撓みが大幅に抑制され、操作性がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態であるパウチ容器の正面図であって、粉体を充填する前の形態を示す図である。
【図2】図1のA‐A断面を模式的に示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態であるパウチ容器の正面図であって、粉体を充填した形態を示す図である。
【図4】図3のB‐B断面を模式的に示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態であるパウチ容器の斜視図であって、取り出し口を開口した状態を示す図である。
【図6】図5に示す上向きガゼットシートを右側上方から見た図である。
【図7】本発明の第1の実施形態であるパウチ容器の製造工程の一部を模式的に示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態であるパウチ容器の正面図であって、粉体を擦り切る様子を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態であるパウチ容器の上面図であって、粉体を擦り切る様子を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態であるパウチ容器の正面図であって、粉体を充填する前の形態を示す図である。
【図11】図10のC‐C断面を模式的に示す図である。
【図12】本発明の第2の実施形態であるパウチ容器の斜視図であって、取り出し口を開口した状態を示す図である。
【図13】図12に示す下向きガゼットシートを右側上方から見た図である。
【図14】本発明の第2の実施形態であるパウチ容器の正面図であって、粉体を擦り切る様子を示す図である。
【図15】本発明の第2の実施形態であるパウチ容器の上面図であって、粉体を擦り切る様子を示す図である。
【図16】本発明の第1の実施形態であるパウチ容器の変形例を示す正面図である。
【図17】本発明の第1の実施形態であるパウチ容器の他の変形例を示す正面図である。
【図18A】本発明の第1の実施形態であるパウチ容器の他の変形例を示す図である。
【図18B】本発明の第1の実施形態であるパウチ容器の他の変形例を示す図である。
【図19】本発明の第1の実施形態であるパウチ容器の他の変形例を示す図である。
【図20】本発明の第1の実施形態であるパウチ容器の他の変形例を示す図である。
【図21】擦り切り部を備えた缶において、粉体を擦り切る様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1〜図9は、第1の実施形態を示し、図10〜図15は、第2の実施形態を示す。
【0015】
なお、本明細書において、「取り出し部」の用語は、容器外部と容器内部空間である充填部とを連通させる開口部だけでなく、シート材が切断される等して当該開口部が形成される部分(即ち、開口部形成予定部)も含むことを意図する。実施形態では、前者を取り出し口18、後者を取り出し口形成予定部18zと称して説明する。
【0016】
実施形態では、パウチ容器に充填される「粉体乃至粒体」を、粉ミルクやプロテイン粉末などを意図する粉体40として説明する。但し、「粉体乃至粒体」は、計量スプーン41で掬って擦り切ることができるものであれば、特に限定されず、砂糖、塩等の調味料や小麦粉など、又は粒径がより大きなコーヒー豆や茶葉なども含まれる。
【0017】
実施形態では、取り出し口18が設けられる部分を容器の「上部」とし、上部に対向する部分を容器の「下部」とする。また、各シート材が積層される方向を容器の「表裏方向」とし、上下方向及び表裏方向に直交する方向を容器の「幅方向又は左右方向」とする。以下では、単に、上下方向、表裏方向、幅方向という場合がある。
【0018】
<第1の実施形態>
図1〜図6を参照して、第1の実施形態であるパウチ容器10の構成を説明する。
図1は、粉体40が充填される前のパウチ容器10を、図3は、粉体40が充填されたパウチ容器10をそれぞれ示す。図2及び図4は、図1及び図3にそれぞれ示すパウチ容器10において、上向きガゼットシート30及びその近傍を上下方向に切断した断面を示す。図5は、パウチ容器10の斜視図であって、取り出し口18を開口した様子を示す。図6は、図5に示す上向きガゼットシート30を右側上方から見た図である。なお、図5では、図面の明瞭化のため、チャック16を省略し、一部のシール部のみにハッチングを付する。
【0019】
パウチ容器10は、表面シート11と、裏面シート12と、底ガゼットシート13と、を備え、内容物の充填により自立可能なスタンディングパウチである。表面シート11及び裏面シート12は、容器の表面部及び裏面部をそれぞれ構成するシート材であり、底ガゼットシート13は、表面部と裏面部との間に折り込まれて挿入され、粉体40の充填により展開する底ガゼット部を構成するシート材である。底ガゼットシート13は、上方に向かって山折りされている(図1参照)。
【0020】
パウチ容器10は、互いに重ね合わされた表面シート11と裏面シート12との間に、底ガゼットシート13を容器下端側から挿入した状態で各シート材の端縁同士を接合するシール部を形成し、シート材で囲まれた容器内部空間を密閉した構造である。この容器内部空間が、粉体40が充填される充填部15となる。表面シート11及び裏面シート12は、いずれも上下方向にやや長く延びた略矩形状を呈する。底ガゼットシート13も略矩形状を呈し、例えば、表面シート11及び裏面シート12の下端から1/4程度の範囲に設けられる。
【0021】
さらに、パウチ容器10は、計量スプーン41による粉体40の擦り切り計量を可能とする擦り切り部として、上向きガゼットシート30を備える。上向きガゼットシート30は、表面部及び裏面部に展開可能に接合され、幅方向に沿って充填部15の一部を覆うように設けられたガゼットシートであって、底ガゼットシート13と同様に、上方に向かって山折りされている(図1,2参照)。なお、本実施形態では、上向きガゼットシート30にかからない範囲で粉体40が充填される(図3参照)。以下、上向きガゼットシート30よりも下方を充填部15と称する。
【0022】
パウチ容器10を構成する各シート材は、通常、樹脂フィルムから構成される。シート材を構成する樹脂フィルムには、耐衝撃性、耐磨耗性、及び耐熱性など、包装体としての基本的な性能を備えることが要求される。また、上記シール部は、通常、ヒートシールにより形成されるので、シート材には、ヒートシール性も要求される。シート材としては、ベースフィルム層と、ヒートシール性を付与するシーラント層とを有する複層シート材が好適であり、高いガスバリア性が要求される場合には、ベースフィルム層とシーラント層との間にガスバリア層を設けることが好適である。
【0023】
ここで、ベースフィルム層、シーラント層、及びガスバリア層の構成材料を例示する。なお、これら各層の積層は、慣用のラミネート法、例えば、接着剤によるドライラミネーション、熱接着性層を挟んで熱により接着させる熱ラミネーションなどにより行うことができる。
【0024】
ベースフィルム層を構成するフィルムとしては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)など)、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−66など)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルスルフォン(PES)及びエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等から構成される一層又は二層以上の延伸又未延伸フィルムが例示できる。
【0025】
シーラント層を構成するフィルムとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−プロピレン共重合体(EP)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、二軸延伸ナイロン(ON)、エチレン−オレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)及びエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等から構成される一層又は二層以上の延伸又未延伸フィルムが例示できる。
【0026】
ガスバリア層としては、アルミニウム等の金属薄膜、又は塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)などの樹脂フィルム、或いは任意の合成樹脂フィルム(例えば、ベースフィルム層であってもよい)に、アルミニウム、酸化アルミニウムやシリカ等の無機酸化物などを蒸着(又はスパッタリング)したフィルムが例示できる。
【0027】
シート材には、内容物の商品名や原材料・使用上の注意事項等の商品説明、その他各種デザインなどを表示するための印刷層(図示せず)を設けることができる。例えば、印刷層は、グラビア印刷等の公知の方法により、ベースフィルム層の内側の面に形成できる。
【0028】
上記シール部は、ヒートシールにより形成されることが好適である。ヒートシールによるシール部は、各シート材のシーラント層が容器の内側となるように重ね合わせて熱圧着することで形成できる。
【0029】
パウチ容器10は、上記シール部として、上縁シール部20(図3参照)と、下縁シール部21と、サイドシール部22とを有する。上縁シール部20は、粉体40の充填後に形成されるシール部であって、表面シート11及び裏面シート12の上縁同士を接合して形成される。下縁シール部21は、底ガゼットシート13の端縁に形成されるシール部であり、底ガゼットシート13と表面シート11及び裏面シート12とが接合されて形成される。また、底ガゼットシート13には、幅方向両端に切欠き14が形成されており、切欠き14を通して表面シート11と裏面シート12とが直接接合されている。サイドシール部22は、容器幅方向両端部において、表面シート11と裏面シート12とを直接接合して形成される。
【0030】
パウチ容器10に粉体40を充填すると、表面シート11及び裏面シート12が互いに離間し、底ガゼットシート13が展開して、特に容器下部が膨らんだ形態となる。こうして、パウチ容器10の自立性が発現する。なお、上向きガゼットシート30も、通常、少し展開する(図3,4参照)。粉体40は、例えば、容器上端から充填し、充填後に上縁シール部20を形成することで充填部15を密閉する。
【0031】
また、パウチ容器10には、上縁シール部20の近傍に、チャック16と、ノッチ17とが設けられている。チャック16は、上向きガゼットシート30よりも上方に設けられ、ノッチ17は、チャック16よりも上方に設けられる。
【0032】
チャック16は、例えば、凸条部付きの第1のシートと、凸条部に嵌合する凹条部付きの第2のシートとを対向配置して構成される。例えば、第1のシートが表面シート11の内面に接合され、第2のシートが裏面シート12の内面に接合される。
【0033】
ノッチ17は、表面シート11及び裏面シート12を切断して開封するための切断起点となる切り込みであり、左右のサイドシール部22にそれぞれ設けることができる。ノッチ17からシート材を幅方向に沿って切断すると、上縁シール部20が除去されて、容器外部と充填部15とを連通させる取り出し口18(図5参照)が形成される。なお、図1及び図3のノッチ17から延びる二点鎖線は、開封時に切断されて取り出し口18となる取り出し口形成予定部18zを示す。以下、シート材を切断して取り出し口形成予定部18zに取り出し口18を形成することを開封という。開封後はチャック16により取り出し口18を開閉できる。
【0034】
以下、パウチ容器10の上記各構成要素、特に上向きガゼットシート30の構成について、さらに詳説する。
【0035】
上向きガゼットシート30は、折り目線31が形成されたガゼットシートである。上向きガゼットシート30は、取り出し口18が閉じられているときには折り畳まれており、チャック16をあけて取り出し口18を開口したときには展開して擦り切り機能を発現する。本実施形態では、上向きガゼットシート30の上端に幅方向に沿って折り目線31が設けられる。なお、折り目線31よりも表面シート11側に位置する部分(以下、表側半部30aとする)と、折り目線31よりも裏面シート12側に位置する部分(以下、裏側半部30bとする)との上下方向長さが略等しいことが好適である。
【0036】
上向きガゼットシート30は、取り出し口形成予定部18zよりも下方に設けられる。さらに、上向きガゼットシート30は、チャック16よりも下方に設けられる。チャック16及び上向きガゼットシート30は、いずれも容器幅方向に沿って、互いに略平行に設けられることが好適である。本実施形態では、チャック16、及び上向きガゼットシート30の一部(後述の接合部33)がパウチ容器10の全幅に亘って設けられる。また、上向きガゼットシート30は、充填部15の大容量化等の観点から、チャック16に接触しない範囲で、チャック16に近接して設けられることが好ましい。チャック16の下端と折り目線31との間隔は、例えば、0.5mm〜10mm程度が好適である。
【0037】
上向きガゼットシート30は、充填部15の一部を覆うように設けられる。充填部15上を覆う部分である本体部32の幅方向長さW2は、擦り切り性や粉体40の取り出し性等の観点から、パウチ容器10の幅方向長さW1の10%〜70%程度が好ましく、W1の20%〜60%程度がより好ましく、W1の30%〜50%程度が特に好ましい。パウチ容器10では、本体部32が存在しない上向きガゼットシート30の開口部(後述のカット部37が形成された部分)から充填部15の粉体40を取り出すことができる。
【0038】
上向きガゼットシート30は、W2の長さのものを個々に単独で設けてもよいが、本実施形態では、生産性の観点から、後述するように、表裏面シートそれぞれに接合する部分を残存して一部切り欠いたカット部37を有する上向きガゼットシート30の長尺体30zを用いて設けることが好ましい(図7参照)。このため、上向きガゼットシート30は、上方に向かって山折りされた本体部32と、本体部32から延びたライン状(帯状)の連結部38とを有する。
【0039】
上向きガゼットシート30は、チャック16よりも下方に位置する表面シート11の内面及び裏面シート12の内面にそれぞれ接合される。具体的には、表側半部30aの下端部が表面シート11にヒートシールされ、裏側半部30bの下端部が裏面シート12にヒートシールされて、2本のライン状の接合部33が形成される。
【0040】
また、上向きガゼットシート30では、表側半部30a及び裏側半部30bからそれぞれ延びる連結部38の略全体に接合部33が形成されている。これにより、パウチ容器10の全幅に亘って、チャック16と略平行に接合部33が形成され、該接合部33の幅は、例えば、1〜10mm程度が好適である。なお、連結部38の幅(上下方向長さ)は、接合部33の幅よりも太くすることができ(後述の変形例参照)、例えば、接合部33の幅に対して、通常1.1〜20倍、好ましくは1.5〜10倍とすることができる。連結部38の幅を太くすることで連結部38の剛性を高め、製造時における長尺体30zの搬送性を向上させることができる。
【0041】
本実施形態では、上向きガゼットシート30の直上を含むパウチ容器10の全幅に亘って取り出し口18(取り出し口形成予定部18z)が設けられている。一方、取り出し口18を容器幅方向に沿って、その一部に設けてもよい。但し、この場合、擦り切り性等の観点から、少なくとも上向きガゼットシート30の直上からずれた位置に取り出し口18を形成することが好適である。つまり、取り出し口18は、上向きガゼットシート30により覆われない充填部15上に少なくとも形成される。
【0042】
さらに、上向きガゼットシート30は、該ガゼットシート30の剛的安定性を担保して擦り切り性を向上する観点から、その幅方向一端部が一方のサイドシール部22により表面シート11及び裏面シート12に接合されることが好適である。当該幅方向一端部は、本体部32の第1端部34であり、その全体がサイドシール部22により固定されている。そして、本体部32の幅方向他端部である第2端部35が擦り切りに利用される。即ち、第2端部35に計量スプーン41が押し当てられる。
【0043】
上記接合形態により、上向きガゼットシート30の本体部32は、第2端部35側において、最大で表側半部30aと裏側半部30bとが略平行になるまで展開する(図5,6参照)。大きく展開した本体部32では、略三角形状を呈する上面36が形成される。上面36の三角形は、サイドシール部22に接する頂点P1を上端とし、接合部33に接する頂点P2,P3を下端とする傾斜した二等辺三角形であり、第2端部35が下辺となる。このように、展開した本体部32は、上面36の各頂点P1〜P3に対応する部分で安定に支持されている。
【0044】
次に、図7を参照しながら、上記構成を備えるパウチ容器10の製造方法の一例について説明する。
図7は、パウチ容器10の製造工程のうち、各シート材の長尺体を積層し、各シール部を形成する工程を模式的に示す。ここでは、長尺体の長手方向をMD方向とし、長尺体の幅方向をTD方向とする。
【0045】
図7に示すように、まず、表面シート11、裏面シート12、底ガゼットシート13、チャック16を構成するシート(例えば、凸条部付きの第1のシート及び凹条部付きの第2のシート)、及び上向きガゼットシート30の長尺体(以下、長尺体11z,12z,13z,16z,30zとする)をそれぞれ準備して互いに積層する。長尺体13z,30zは、積層前において、いずれもMD方向に沿った一端側に向かって山折りされる。また、長尺体30zには、ダイカットロール等により連結部38を残してカット部37が形成され、連結部38(その全部又は一部が接合部33となる部分)により複数の本体部32が繋がった形状に加工される。長尺体16zは、第1のシートの凸条部と第2のシートの凹条部とが嵌合した状態で積層される。
【0046】
なお、長尺体30zのカット部37のサイズを小さくして、例えば、カット部37を正面視略V字状の切り込み等とすることもできる。この場合、長尺体30zの剛性が高くなり搬送性は向上するが、粉体40を取り出し可能な開口部が小さくなるため、例えば、ガゼットシート30に、カット部37と連続したカット線を一部に形成して、開口部を拡大できるようにしてもよい。
【0047】
各長尺体の積層工程では、まず、長尺体11zと長尺体12zとを重ね合わせ、長尺体11z及び長尺体12zの下端に長尺体13zを挿入し、長尺体11z及び長尺体12zの上部に長尺体16z,30zをそれぞれ挿入する。このとき、長尺体30zを長尺体16zよりも下端側に挿入する。なお、長尺体16zよりも上端側の部分には、後の工程でノッチ17等が形成される。
【0048】
積層工程を経た上記長尺体には、ヒートシール工程で各シール部が形成される。ヒートシール工程では、上記長尺体の下縁、TD方向に沿って所定部位をヒートシールする。ここで、長尺体の下縁は、パウチ容器10の下縁となる部分であり、所定部位は、パウチ容器10の側端縁となる部分である。即ち、このヒートシール工程により、下縁シール部21及びサイドシール部22(2つの容器分の幅広シール部)を形成する。
【0049】
ヒートシール工程では、さらに、長尺体16z,30zを長尺体11z及び長尺体12zにそれぞれ接合する。長尺体30zの下端部には、MD方向に沿った接合部33が形成される。また、パウチ容器10の側端縁となる部分に本体部32の第1端部34を配置した状態で上記サイドシール部22を形成する。これにより、第1端部34が表面シート11及び裏面シート12に固定される。
【0050】
続いて、ダイカットロール等を用いて、例えば、サイドシール部22の仮想線Xに沿って上記長尺体をカットし、個々の容器サイズに分割する。このとき、サイドシール部22にノッチ17を形成できる。こうして、図1に示すパウチ容器10が得られる。そして、容器上端から粉体40を充填した後、上縁シール部20を形成することにより、図3に示す粉体40が充填されたパウチ容器10が得られる。
【0051】
次に、図8及び図9を参照し、上向きガゼットシート30を用いて粉体40を擦り切る様子を例示しながら、上記構成を備えるパウチ容器10の作用効果について詳説する。なお、図5及び図6を適宜参照する。
図8は、パウチ容器10の正面図、図9は、パウチ容器10の上面図であって、いずれも粉体40を擦り切る様子を示す。
【0052】
図5等に示すように、充填部15から粉体40を取り出すときには、ノッチ17を用いて取り出し口18を形成した後、チャック16を開放することにより取り出し口18を開口する。そして、取り出し口18を大きく開口することで、容器上部において、表面シート11及び裏面シート12が互いに離間し、上向きガゼットシート30が展開する。本体部32の第1端部34は展開しないが、第2端部35側では、例えば、表面シート11に接合された表側半部30aと、裏面シート12に接合された裏側半部30bとが互いに略平行な板状となるように展開する。そして、サイドシール部22に接する頂点P1を上端、接合部33に接する頂点P2,P3を下端とする傾斜した略三角形状の上面36が形成される(図6参照)。
【0053】
上向きガゼットシート30の本体部32が展開すると、図8及び図9に示すように、本体部32の第2端部35に粉体40を掬った計量スプーン41の皿部を押し当てることができる。そして、第2端部35に皿部を押し当てながら計量スプーン41を上方に引くことにより余分な粉体40を擦り切ることができる。こうして、計量スプーン41の1杯あたりの粉体40の量を一定にでき、簡便な計量が可能になる。
【0054】
パウチ容器10では、本体部32の第1端部34がサイドシール部22により固定され、展開した本体部32が上面36の各頂点P1〜P3に対応する部分で安定に支持されているため、計量スプーン41を押し当てたときに本体部32が撓み難く、操作性がさらに向上する。さらに、本体部32の上面36は、第2端部35が下方に位置する略三角形状の斜面であるため、擦り切り後に上面36に残存した粉体40が自然と充填部15内に滑落し、上面36を衛生的に保つことができる。
【0055】
また、パウチ容器10では、上記のように、擦り切りに使用される第2端部35が、容器幅方向よりもやや下方に向くため、掬った粉体40が皿部からこぼれ落ちない状態で、第2端部35と取り出し口18から挿入される計量スプーン41とがなす角度を、擦り切り易い角度、例えば、90°近傍に調整し易い。
【0056】
つまり、パウチ容器10によれば、折り畳み可能で柔軟な容器において、良好な擦り切り操作を可能とする擦り切り部を提供できる。
【0057】
<第2の実施形態>
図10〜図13を参照して、第2の実施形態であるパウチ容器50の構成を説明する。ここでは、第1の実施形態と同じ構成には同じ符号を付して重複する説明を省略する。
図10は、粉体40が充填される前のパウチ容器50を示す。図11は、図10に示すパウチ容器50において、下向きガゼットシート60及びその近傍を上下方向に切断した断面を示す。図12は、パウチ容器50の斜視図であって、取り出し口18を開口した様子を示す。図13は、図12に示す下向きガゼットシート60を右側上方から見た図である。なお、図12では、図面の明瞭化のため、チャック16を省略し、一部のシール部のみにハッチングを付する。
【0058】
パウチ容器50は、擦り切り部として、下向きガゼットシート60を備える。下向きガゼットシート60は、上向きガゼットシート30と同様に、表面部及び裏面部に展開可能に接合され、幅方向に沿って充填部15の一部を覆うように設けられたガゼットシートであって、下方に向かって山折りされている(図10,11参照)。なお、本実施形態で示す下向きガゼットシート60も第1の実施形態(上向きガゼットシート30)と同様にカット部を有する長尺体により設けられているため、下方に向かって山折りされた本体部62と、本体部62から延びたライン状(帯状)の連結部68とを有する。そして、接合部63は、パウチ容器10の全幅に亘って、チャック16と略平行に形成される。また、下向きガゼットシート60にかからない範囲で粉体40が充填される(図12参照)。以下、下向きガゼットシート60よりも下方を充填部15と称する。
【0059】
下向きガゼットシート60では、その下端に幅方向に沿って折り目線61が形成される。その他、下向きガゼットシート60(表側半部60a、裏側半部60b、本体部62等)の配置やサイズは、上向きガゼットシート30と同様である。また、本体部62の第1端部64が一方のサイドシール部22により表面シート11及び裏面シート12に接合されており、第2端部65が擦り切りに利用される。なお、本実施形態においても、下向きガゼットシート60の直上を含むパウチ容器50の全幅に亘って取り出し口18(取り出し口形成予定部18z)が設けられている。
【0060】
下向きガゼットシート60は、粉体回収部70を有することが好適である。粉体回収部70は、本体部62の折り目線61にかかる部分に形成された貫通孔であって、下向きガゼットシート60上に存在する粉体40を充填部15に戻す機能を有する。粉体回収部70は、本体部62の第1端部64側であって、上記一方のサイドシール部22と接する部分に形成されることが特に好適である。本実施形態では、第1端部64の上下方向中間部から折り目線61(例えば、サイドシール部22の近傍に位置する折り目線61部分)に亘って正面視直線状にカットすることにより粉体回収部70が形成されている。なお、粉体回収部70の孔形状や孔寸法、個数等は、図示する形状に限定されず、粉体40の粒径等に応じて適宜設定できる。
【0061】
なお、下向きガゼットシート60の本体部62は、第2端部65側において、最大で表側半部60aと裏側半部60bとが略平行になるまで展開する(図12,13参照)。大きく展開した本体部62では、略三角形状を呈する上面66が形成される。上面66の三角形は、粉体回収部70が存在しない場合にサイドシール部22に接する仮想頂点P4を下端とし、接合部63に接する頂点P5,P6を上端とする傾斜した二等辺三角形であり、第2端部65が上辺となる。展開した本体部62は、上面66の各頂点P4〜P6の近傍で安定に支持されている。
【0062】
次に、図14及び図15を参照し、下向きガゼットシート60を用いて粉体40を擦り切る様子を例示しながら、上記構成を備えるパウチ容器50の作用効果について詳説する。なお、図12及び図13を適宜参照する。
図14は、パウチ容器50の正面図、図15は、パウチ容器50の上面図であって、いずれも粉体40を擦り切る様子を示す。
【0063】
図12等に示すように、取り出し口18を大きく開口することで、下向きガゼットシート60が展開する。本体部62の第2端部65側では、例えば、表面シート11に接合された表側半部60aと、裏面シート12に接合された裏側半部60bとが互いに略平行な板状となるように展開する。そして、サイドシール部22に接する仮想頂点P4を下端、接合部63に接する頂点P5,P6を上端とする傾斜した略三角形状の上面66が形成される(図13参照)。本体部62が展開すると、図14及び図15に示すように、本体部62の第2端部65に粉体40を掬った計量スプーン41の皿部を押し当てることができる。そして、パウチ容器50においても、第2端部65に皿部を押し当てながら計量スプーン41を上方に引くことにより余分な粉体40を擦り切ることができる。
【0064】
パウチ容器50では、擦り切りに使用される第2端部65が、容器幅方向よりもやや上方に向き、上向きガゼットシート30と比較して、第2端部65が容器上方に位置する。このため、第2端部65と取り出し口18との距離が近くなるから、計量スプーン41をより操作し易くなる。例えば、計量スプーン41の操作幅を広げても、計量スプーン41が容器端部等に引っ掛かり難く、良好な操作性が得られる。
【0065】
また、パウチ容器50では、本体部62の第1端部64がサイドシール部22により固定され、展開した本体部62が上面66の各頂点P4〜P6の近傍で安定に支持されているため、計量スプーン41を押し当てたときに本体部62が撓み難く、操作性がさらに向上する。さらに、本体部62の上面66は、第2端部65が上方に位置する略三角形状の斜面であるため、擦り切りにより上面66に粉体40が溜まり易いが、その粉体を粉体回収部70から充填部15に戻すことができる。このため、上向きガゼットシート30の場合と同様に、上面66を衛生的に保つことができる。
【0066】
上記実施形態は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜設計変更できる。
例えば、上記各実施形態では、スタンディングパウチを例示したが、自立性を有さない平パウチなど、他のパウチ形態に本発明の構成を適用してもよい。
【0067】
また、上記第1の実施形態では、本体部32の第1端部34がサイドシール部22により表面部及び裏面部に接合された形態を例示したが、図16(パウチ容器10fの正面図であって粉体40を充填する前の形態を示す図)に示すように、上向きガゼットシート30fの本体部32fが容器幅方向中央部に設けられた形態としてもよい。図16に例示するパウチ容器10fでは、本体部32fの幅方向両端部(第1端部34f、第2端部35f)が、サイドシール部22から離れている。そして、第1端部34f及び第2端部35fのいずれかに計量スプーン41を押し当てて粉体40を擦り切ることができる。
【0068】
また、上記第1の実施形態では、1つの本体部32を有する形態を例示したが、図17(パウチ容器10gの正面図であって粉体40を充填する前の形態を示す図)に示すように、複数の本体部32gを有する形態としてもよい。図17に例示するパウチ容器10gは、例えば、容器の左右側端縁となる部分に本体部32gの中間部を配置した状態で左右のサイドシール部22を形成することにより得られる。
【0069】
図18A〜図20に上記第1の実施形態の変形例をさらに示す。
各図の(a)は、各パウチ容器の正面図であって粉体40を充填する前の形態を示す図であり、各図の(b)は、各パウチ容器の上面図であって取り出し口18を開口した状態を示す図である。
【0070】
図18Aに例示するパウチ容器10uには、表面シート11及び裏面シート12と上向きガゼットシート30uとの間に粉体回収部45uが設けられている。粉体回収部45uは、粉体回収部70と同様に、上向きガゼットシート30u上に存在する粉体40を充填部15に戻す機能を有する。粉体回収部45uは、本体部32uの下端部の一部に接合部33uを形成しないことにより設けられる。パウチ容器10uでは、本体部32uの第2端部35u近傍に位置する下端部のみに接合部33uが形成されている。そして、その他の部分では表裏面シートと本体部32uとが接合されておらず、表裏面シートと本体部32uの間に粉体40を充填部15に落とすことが可能な開口部(隙間)である粉体回収部45uが設けられている。
【0071】
パウチ容器10では、本体部32の全幅に亘って下端部が表裏面シートに接合されているため、本体部32と表裏面シートとの間に粉体40が溜まり易いが、パウチ容器10uによれば、粉体回収部45uを設けたことによりこの問題を改善できる。これにより、パウチ容器10uは、例えば、見栄えが良く、上向きガゼットシート30uの衛生面が向上した容器となる。
【0072】
また、パウチ容器10uでは、連結部38uの略全体に接合部33uが形成されず、連結部38uの上端部及び下端部を残して接合部33uが形成されている。即ち、接合部33uの幅よりも連結部38uの幅が太くなっている。この形態によれば、上記のように、製造時におけるガゼットシート長尺体の搬送性を向上させることができ、また接合部33uを形成するときのヒートシールが容易になる。
【0073】
なお、図18Bに示すように、ガゼットシート長尺体の搬送性を損なわない範囲で、第2端部35uの近傍だけを残して本体部32uの下端部をカットしてもよい。この形態によれば、粉体回収部45uの孔寸法を拡大することができる。かかるカット形状は、図18Bに例示する正面視L字状に限定されず、コの字状や粉体回収部70の場合と同様の直線状など種々の形状が適用できる。
【0074】
図19に例示するパウチ容器10vは、パウチ容器10gと同様に連結部38vで繋がった2つの本体部32vを有する。パウチ容器10vの幅方向両側に設けられた本体部32vは、互いに略同等の形状、サイズを有する。そして、パウチ容器10vでは、いずれの本体部32vの第2端部35vによっても粉体40を良好に摺り切ることができる。
【0075】
また、パウチ容器10vには、パウチ容器10uの粉体回収部45uと同様の形態を有する粉体回収部45vが設けられている。さらに、パウチ容器10vには、折り目線31vにかかる部分がカットされて粉体回収部46vが設けられている。粉体回収部46vは、第1端部34vから折り目線31vに亘って正面視直線状にカットすることにより形成されている。なお、連結部38vの幅は、パウチ容器10uと同様に、接合部33vの幅よりも太くなっている。
【0076】
図20に例示するパウチ容器10wは、パウチ容器10vの2つの本体部32vの間に粉体回収部47wをさらに設けた形態である。パウチ容器10wでは、各本体部32vの第2端部35vの近傍に位置する下端部だけに接合部33wがそれぞれ形成され、連結部38に接合部33wが形成されていない。これにより、各本体部32vを繋ぐ連結部38と表裏面シートとの間に粉体回収部47wが設けられる。
【0077】
パウチ容器10u,10vでは、連結部38u,38vが表裏面シートに接合されているため、連結部38u,38v(接合部の上方に位置する部分)と表裏面シートとの間に粉体40が溜まり易いが、パウチ容器10wによれば、この問題を改善できる。これにより、パウチ容器10uは、見栄えがさらに良好となり、上向きガゼットシート30uの衛生面がさらに向上した容器となる。
【符号の説明】
【0078】
<第1の実施形態>
10 パウチ容器、11 表面シート、12 裏面シート、13 底ガゼットシート、14 切欠き、15 充填部、16 チャック、17 ノッチ、18 取り出し口、18z 取り出し口形成予定部、20 上縁シール部、21 下縁シール部、22 サイドシール部、30 上向きガゼットシート、30a 表側半部、30b 裏側半部、31 折り目線、32 本体部、33 接合部、34 第1端部、35 第2端部、36 上面、37 カット部、38 連結部、40 粉体、41 計量スプーン、P1,P2,P3 頂点。
【0079】
<第2の実施形態>
50 パウチ容器、60 下向きガゼットシート、60a 表側半部、60b 裏側半部、61 折り目線、62 本体部、63 接合部、64 第1端部、65 第2端部、66 上面、68 連結部、70 粉体回収部、P4 仮想頂点、P5,P6 頂点。
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチ容器に関し、より詳しくは、粉体乃至粒体(以下、粉体等という)が充填されるパウチ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、粉ミルクやプロテイン粉末などは、金属製の缶やパウチ容器に充填された状態で販売されている。図21に例示するように、粉ミルク等の粉体40を充填する缶100には、計量スプーン41で掬った粉体40を擦り切るための擦り切り部101が設けられている。擦り切り部101は、開口部102の一部を覆うように、缶100の径方向に張り出した板形状を有する。これにより、計量スプーン41の1杯あたりの粉体40の量を一定にでき、簡便な計量が可能になる。近年、粉ミルク等の粉体を充填するパウチ容器にも、当該擦り切り機能が求められている。
【0003】
このような状況に鑑みて、擦り切りバーを備えたパウチ容器が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1には、チャックテープの下方に、折り畳み可能な摺り切りバーが折り畳まれた状態で接合され、容器を開口させることにより摺り切りバーが直線状に開くパウチ容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−155081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、粉体を擦り切るときには、擦り切りバーの端部に計量スプーンを押し当てるが、当該端部と計量スプーンとがなす角度が小さすぎる又は大きすぎると、うまく擦り切れない場合がある。特許文献1の擦り切りバーでは、計量スプーンが当接可能なバーの端部が容器の鉛直方向に向いているため、計量スプーンの角度が大幅に制限されて使い難いという問題がある。また、擦り切りバーが比較的細いことから、バーの材質がパウチ容器を構成するシート材と同様のプラスチックシートを用いた場合には、剛性に乏しく撓み易いことも操作性不良につながる。なお、この擦り切りバーには、撓みを抑制するための固定部が設けられているが、固定部の折り曲げ操作が別途必要となり不便である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るパウチ容器は、少なくとも表面部及び裏面部を構成するシート材を備え、シート材で囲まれた充填部に粉体等が充填され、容器上部に粉体等の取り出し部が形成されるパウチ容器において、計量スプーンによる粉体等の摺り切り計量を可能とすべく、取り出し部よりも下方に位置する表面部及び裏面部に展開可能に接合された摺り切り部を備え、前記摺り切り部が、容器幅方向に沿って充填部の一部を覆うように設けられたガゼットシートにより形成されていることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、取り出し部の開口時に展開するガゼットシートを用いて、計量スプーンで掬った粉体等を擦り切ることができる。粉体等を擦り切るときには、ガゼットシートの幅方向端部に計量スプーンを押し当てるが、当該端部は、容器幅方向を向くため、当該端部と取り出し部から挿入される計量スプーンとがなす角度を擦り切りに好適な角度(例えば、90°±45°)に調整し易く、金属製の缶に設けられた摺り切り部と同様の使用感を得ることができる。
【0008】
本発明に係るパウチ容器において、容器幅方向両端部に表面部と裏面部とを接合するサイドシール部が設けられ、ガゼットシートは、その幅方向一端部が一方のサイドシール部により表面部及び裏面部に接合されることが好適である。
当該構成によれば、ガゼットシートの幅方向一端部がサイドシール部により固定されるため、擦り切り時にガゼットシートが撓み難くなり、操作性がさらに向上する。この場合、ガゼットシートの幅方向他端部に計量スプーンが押し当てられる。
【0009】
また、ガゼットシートの幅方向一端部を固定した構成において、ガゼットシートは、上方に向かって山折りされた上向きガゼットシートとすることができる。
当該構成によれば、ガゼットシートの展開時に、ガゼットシート上面が、計量スプーンが当接可能な幅方向他端部を下方に位置した斜面を形成するため、摺り切り後にガゼットシート上面に残存した粉体等が自然と充填部内に滑落し易く、ガゼットシート上面を衛生的に保つことができる。加えて、当該端部と取り出し部から挿入される計量スプーンとがなす角度をより好適な角度(例えば、90°近傍)に調整し易くなる。
【0010】
また、ガゼットシートの幅方向一端部を固定した構成において、ガゼットシートは、下方に向かって山折りされた下向きガゼットシートとすることができる。
当該構成によれば、ガゼットシートの展開時に、ガゼットシート上面が、上記幅方向他端部を上方に位置した斜面を形成するため、より取り出し部に近い位置に上記幅方向他端部が形成されることから、計量スプーンをより操作し易くなる。
【0011】
また、本発明に係るパウチ容器には、ガゼットシート上に存在する粉体等を充填部に戻すための回収部が設けられていることが好適である。
当該構成によれば、ガゼットシート上に粉体等が溜まった場合に、その粉体等を回収部から充填部に戻すことができ、ガゼットシート上面を衛生的に保つことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るパウチ容器によれば、良好な擦り切り操作が可能になる。特に、ガゼットシートの幅方向一端部を一方のサイドシール部により表面部及び裏面部に接合することで、ガゼットシートの撓みが大幅に抑制され、操作性がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態であるパウチ容器の正面図であって、粉体を充填する前の形態を示す図である。
【図2】図1のA‐A断面を模式的に示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態であるパウチ容器の正面図であって、粉体を充填した形態を示す図である。
【図4】図3のB‐B断面を模式的に示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態であるパウチ容器の斜視図であって、取り出し口を開口した状態を示す図である。
【図6】図5に示す上向きガゼットシートを右側上方から見た図である。
【図7】本発明の第1の実施形態であるパウチ容器の製造工程の一部を模式的に示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態であるパウチ容器の正面図であって、粉体を擦り切る様子を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態であるパウチ容器の上面図であって、粉体を擦り切る様子を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態であるパウチ容器の正面図であって、粉体を充填する前の形態を示す図である。
【図11】図10のC‐C断面を模式的に示す図である。
【図12】本発明の第2の実施形態であるパウチ容器の斜視図であって、取り出し口を開口した状態を示す図である。
【図13】図12に示す下向きガゼットシートを右側上方から見た図である。
【図14】本発明の第2の実施形態であるパウチ容器の正面図であって、粉体を擦り切る様子を示す図である。
【図15】本発明の第2の実施形態であるパウチ容器の上面図であって、粉体を擦り切る様子を示す図である。
【図16】本発明の第1の実施形態であるパウチ容器の変形例を示す正面図である。
【図17】本発明の第1の実施形態であるパウチ容器の他の変形例を示す正面図である。
【図18A】本発明の第1の実施形態であるパウチ容器の他の変形例を示す図である。
【図18B】本発明の第1の実施形態であるパウチ容器の他の変形例を示す図である。
【図19】本発明の第1の実施形態であるパウチ容器の他の変形例を示す図である。
【図20】本発明の第1の実施形態であるパウチ容器の他の変形例を示す図である。
【図21】擦り切り部を備えた缶において、粉体を擦り切る様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1〜図9は、第1の実施形態を示し、図10〜図15は、第2の実施形態を示す。
【0015】
なお、本明細書において、「取り出し部」の用語は、容器外部と容器内部空間である充填部とを連通させる開口部だけでなく、シート材が切断される等して当該開口部が形成される部分(即ち、開口部形成予定部)も含むことを意図する。実施形態では、前者を取り出し口18、後者を取り出し口形成予定部18zと称して説明する。
【0016】
実施形態では、パウチ容器に充填される「粉体乃至粒体」を、粉ミルクやプロテイン粉末などを意図する粉体40として説明する。但し、「粉体乃至粒体」は、計量スプーン41で掬って擦り切ることができるものであれば、特に限定されず、砂糖、塩等の調味料や小麦粉など、又は粒径がより大きなコーヒー豆や茶葉なども含まれる。
【0017】
実施形態では、取り出し口18が設けられる部分を容器の「上部」とし、上部に対向する部分を容器の「下部」とする。また、各シート材が積層される方向を容器の「表裏方向」とし、上下方向及び表裏方向に直交する方向を容器の「幅方向又は左右方向」とする。以下では、単に、上下方向、表裏方向、幅方向という場合がある。
【0018】
<第1の実施形態>
図1〜図6を参照して、第1の実施形態であるパウチ容器10の構成を説明する。
図1は、粉体40が充填される前のパウチ容器10を、図3は、粉体40が充填されたパウチ容器10をそれぞれ示す。図2及び図4は、図1及び図3にそれぞれ示すパウチ容器10において、上向きガゼットシート30及びその近傍を上下方向に切断した断面を示す。図5は、パウチ容器10の斜視図であって、取り出し口18を開口した様子を示す。図6は、図5に示す上向きガゼットシート30を右側上方から見た図である。なお、図5では、図面の明瞭化のため、チャック16を省略し、一部のシール部のみにハッチングを付する。
【0019】
パウチ容器10は、表面シート11と、裏面シート12と、底ガゼットシート13と、を備え、内容物の充填により自立可能なスタンディングパウチである。表面シート11及び裏面シート12は、容器の表面部及び裏面部をそれぞれ構成するシート材であり、底ガゼットシート13は、表面部と裏面部との間に折り込まれて挿入され、粉体40の充填により展開する底ガゼット部を構成するシート材である。底ガゼットシート13は、上方に向かって山折りされている(図1参照)。
【0020】
パウチ容器10は、互いに重ね合わされた表面シート11と裏面シート12との間に、底ガゼットシート13を容器下端側から挿入した状態で各シート材の端縁同士を接合するシール部を形成し、シート材で囲まれた容器内部空間を密閉した構造である。この容器内部空間が、粉体40が充填される充填部15となる。表面シート11及び裏面シート12は、いずれも上下方向にやや長く延びた略矩形状を呈する。底ガゼットシート13も略矩形状を呈し、例えば、表面シート11及び裏面シート12の下端から1/4程度の範囲に設けられる。
【0021】
さらに、パウチ容器10は、計量スプーン41による粉体40の擦り切り計量を可能とする擦り切り部として、上向きガゼットシート30を備える。上向きガゼットシート30は、表面部及び裏面部に展開可能に接合され、幅方向に沿って充填部15の一部を覆うように設けられたガゼットシートであって、底ガゼットシート13と同様に、上方に向かって山折りされている(図1,2参照)。なお、本実施形態では、上向きガゼットシート30にかからない範囲で粉体40が充填される(図3参照)。以下、上向きガゼットシート30よりも下方を充填部15と称する。
【0022】
パウチ容器10を構成する各シート材は、通常、樹脂フィルムから構成される。シート材を構成する樹脂フィルムには、耐衝撃性、耐磨耗性、及び耐熱性など、包装体としての基本的な性能を備えることが要求される。また、上記シール部は、通常、ヒートシールにより形成されるので、シート材には、ヒートシール性も要求される。シート材としては、ベースフィルム層と、ヒートシール性を付与するシーラント層とを有する複層シート材が好適であり、高いガスバリア性が要求される場合には、ベースフィルム層とシーラント層との間にガスバリア層を設けることが好適である。
【0023】
ここで、ベースフィルム層、シーラント層、及びガスバリア層の構成材料を例示する。なお、これら各層の積層は、慣用のラミネート法、例えば、接着剤によるドライラミネーション、熱接着性層を挟んで熱により接着させる熱ラミネーションなどにより行うことができる。
【0024】
ベースフィルム層を構成するフィルムとしては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)など)、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−66など)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルスルフォン(PES)及びエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等から構成される一層又は二層以上の延伸又未延伸フィルムが例示できる。
【0025】
シーラント層を構成するフィルムとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−プロピレン共重合体(EP)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、二軸延伸ナイロン(ON)、エチレン−オレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)及びエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等から構成される一層又は二層以上の延伸又未延伸フィルムが例示できる。
【0026】
ガスバリア層としては、アルミニウム等の金属薄膜、又は塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)などの樹脂フィルム、或いは任意の合成樹脂フィルム(例えば、ベースフィルム層であってもよい)に、アルミニウム、酸化アルミニウムやシリカ等の無機酸化物などを蒸着(又はスパッタリング)したフィルムが例示できる。
【0027】
シート材には、内容物の商品名や原材料・使用上の注意事項等の商品説明、その他各種デザインなどを表示するための印刷層(図示せず)を設けることができる。例えば、印刷層は、グラビア印刷等の公知の方法により、ベースフィルム層の内側の面に形成できる。
【0028】
上記シール部は、ヒートシールにより形成されることが好適である。ヒートシールによるシール部は、各シート材のシーラント層が容器の内側となるように重ね合わせて熱圧着することで形成できる。
【0029】
パウチ容器10は、上記シール部として、上縁シール部20(図3参照)と、下縁シール部21と、サイドシール部22とを有する。上縁シール部20は、粉体40の充填後に形成されるシール部であって、表面シート11及び裏面シート12の上縁同士を接合して形成される。下縁シール部21は、底ガゼットシート13の端縁に形成されるシール部であり、底ガゼットシート13と表面シート11及び裏面シート12とが接合されて形成される。また、底ガゼットシート13には、幅方向両端に切欠き14が形成されており、切欠き14を通して表面シート11と裏面シート12とが直接接合されている。サイドシール部22は、容器幅方向両端部において、表面シート11と裏面シート12とを直接接合して形成される。
【0030】
パウチ容器10に粉体40を充填すると、表面シート11及び裏面シート12が互いに離間し、底ガゼットシート13が展開して、特に容器下部が膨らんだ形態となる。こうして、パウチ容器10の自立性が発現する。なお、上向きガゼットシート30も、通常、少し展開する(図3,4参照)。粉体40は、例えば、容器上端から充填し、充填後に上縁シール部20を形成することで充填部15を密閉する。
【0031】
また、パウチ容器10には、上縁シール部20の近傍に、チャック16と、ノッチ17とが設けられている。チャック16は、上向きガゼットシート30よりも上方に設けられ、ノッチ17は、チャック16よりも上方に設けられる。
【0032】
チャック16は、例えば、凸条部付きの第1のシートと、凸条部に嵌合する凹条部付きの第2のシートとを対向配置して構成される。例えば、第1のシートが表面シート11の内面に接合され、第2のシートが裏面シート12の内面に接合される。
【0033】
ノッチ17は、表面シート11及び裏面シート12を切断して開封するための切断起点となる切り込みであり、左右のサイドシール部22にそれぞれ設けることができる。ノッチ17からシート材を幅方向に沿って切断すると、上縁シール部20が除去されて、容器外部と充填部15とを連通させる取り出し口18(図5参照)が形成される。なお、図1及び図3のノッチ17から延びる二点鎖線は、開封時に切断されて取り出し口18となる取り出し口形成予定部18zを示す。以下、シート材を切断して取り出し口形成予定部18zに取り出し口18を形成することを開封という。開封後はチャック16により取り出し口18を開閉できる。
【0034】
以下、パウチ容器10の上記各構成要素、特に上向きガゼットシート30の構成について、さらに詳説する。
【0035】
上向きガゼットシート30は、折り目線31が形成されたガゼットシートである。上向きガゼットシート30は、取り出し口18が閉じられているときには折り畳まれており、チャック16をあけて取り出し口18を開口したときには展開して擦り切り機能を発現する。本実施形態では、上向きガゼットシート30の上端に幅方向に沿って折り目線31が設けられる。なお、折り目線31よりも表面シート11側に位置する部分(以下、表側半部30aとする)と、折り目線31よりも裏面シート12側に位置する部分(以下、裏側半部30bとする)との上下方向長さが略等しいことが好適である。
【0036】
上向きガゼットシート30は、取り出し口形成予定部18zよりも下方に設けられる。さらに、上向きガゼットシート30は、チャック16よりも下方に設けられる。チャック16及び上向きガゼットシート30は、いずれも容器幅方向に沿って、互いに略平行に設けられることが好適である。本実施形態では、チャック16、及び上向きガゼットシート30の一部(後述の接合部33)がパウチ容器10の全幅に亘って設けられる。また、上向きガゼットシート30は、充填部15の大容量化等の観点から、チャック16に接触しない範囲で、チャック16に近接して設けられることが好ましい。チャック16の下端と折り目線31との間隔は、例えば、0.5mm〜10mm程度が好適である。
【0037】
上向きガゼットシート30は、充填部15の一部を覆うように設けられる。充填部15上を覆う部分である本体部32の幅方向長さW2は、擦り切り性や粉体40の取り出し性等の観点から、パウチ容器10の幅方向長さW1の10%〜70%程度が好ましく、W1の20%〜60%程度がより好ましく、W1の30%〜50%程度が特に好ましい。パウチ容器10では、本体部32が存在しない上向きガゼットシート30の開口部(後述のカット部37が形成された部分)から充填部15の粉体40を取り出すことができる。
【0038】
上向きガゼットシート30は、W2の長さのものを個々に単独で設けてもよいが、本実施形態では、生産性の観点から、後述するように、表裏面シートそれぞれに接合する部分を残存して一部切り欠いたカット部37を有する上向きガゼットシート30の長尺体30zを用いて設けることが好ましい(図7参照)。このため、上向きガゼットシート30は、上方に向かって山折りされた本体部32と、本体部32から延びたライン状(帯状)の連結部38とを有する。
【0039】
上向きガゼットシート30は、チャック16よりも下方に位置する表面シート11の内面及び裏面シート12の内面にそれぞれ接合される。具体的には、表側半部30aの下端部が表面シート11にヒートシールされ、裏側半部30bの下端部が裏面シート12にヒートシールされて、2本のライン状の接合部33が形成される。
【0040】
また、上向きガゼットシート30では、表側半部30a及び裏側半部30bからそれぞれ延びる連結部38の略全体に接合部33が形成されている。これにより、パウチ容器10の全幅に亘って、チャック16と略平行に接合部33が形成され、該接合部33の幅は、例えば、1〜10mm程度が好適である。なお、連結部38の幅(上下方向長さ)は、接合部33の幅よりも太くすることができ(後述の変形例参照)、例えば、接合部33の幅に対して、通常1.1〜20倍、好ましくは1.5〜10倍とすることができる。連結部38の幅を太くすることで連結部38の剛性を高め、製造時における長尺体30zの搬送性を向上させることができる。
【0041】
本実施形態では、上向きガゼットシート30の直上を含むパウチ容器10の全幅に亘って取り出し口18(取り出し口形成予定部18z)が設けられている。一方、取り出し口18を容器幅方向に沿って、その一部に設けてもよい。但し、この場合、擦り切り性等の観点から、少なくとも上向きガゼットシート30の直上からずれた位置に取り出し口18を形成することが好適である。つまり、取り出し口18は、上向きガゼットシート30により覆われない充填部15上に少なくとも形成される。
【0042】
さらに、上向きガゼットシート30は、該ガゼットシート30の剛的安定性を担保して擦り切り性を向上する観点から、その幅方向一端部が一方のサイドシール部22により表面シート11及び裏面シート12に接合されることが好適である。当該幅方向一端部は、本体部32の第1端部34であり、その全体がサイドシール部22により固定されている。そして、本体部32の幅方向他端部である第2端部35が擦り切りに利用される。即ち、第2端部35に計量スプーン41が押し当てられる。
【0043】
上記接合形態により、上向きガゼットシート30の本体部32は、第2端部35側において、最大で表側半部30aと裏側半部30bとが略平行になるまで展開する(図5,6参照)。大きく展開した本体部32では、略三角形状を呈する上面36が形成される。上面36の三角形は、サイドシール部22に接する頂点P1を上端とし、接合部33に接する頂点P2,P3を下端とする傾斜した二等辺三角形であり、第2端部35が下辺となる。このように、展開した本体部32は、上面36の各頂点P1〜P3に対応する部分で安定に支持されている。
【0044】
次に、図7を参照しながら、上記構成を備えるパウチ容器10の製造方法の一例について説明する。
図7は、パウチ容器10の製造工程のうち、各シート材の長尺体を積層し、各シール部を形成する工程を模式的に示す。ここでは、長尺体の長手方向をMD方向とし、長尺体の幅方向をTD方向とする。
【0045】
図7に示すように、まず、表面シート11、裏面シート12、底ガゼットシート13、チャック16を構成するシート(例えば、凸条部付きの第1のシート及び凹条部付きの第2のシート)、及び上向きガゼットシート30の長尺体(以下、長尺体11z,12z,13z,16z,30zとする)をそれぞれ準備して互いに積層する。長尺体13z,30zは、積層前において、いずれもMD方向に沿った一端側に向かって山折りされる。また、長尺体30zには、ダイカットロール等により連結部38を残してカット部37が形成され、連結部38(その全部又は一部が接合部33となる部分)により複数の本体部32が繋がった形状に加工される。長尺体16zは、第1のシートの凸条部と第2のシートの凹条部とが嵌合した状態で積層される。
【0046】
なお、長尺体30zのカット部37のサイズを小さくして、例えば、カット部37を正面視略V字状の切り込み等とすることもできる。この場合、長尺体30zの剛性が高くなり搬送性は向上するが、粉体40を取り出し可能な開口部が小さくなるため、例えば、ガゼットシート30に、カット部37と連続したカット線を一部に形成して、開口部を拡大できるようにしてもよい。
【0047】
各長尺体の積層工程では、まず、長尺体11zと長尺体12zとを重ね合わせ、長尺体11z及び長尺体12zの下端に長尺体13zを挿入し、長尺体11z及び長尺体12zの上部に長尺体16z,30zをそれぞれ挿入する。このとき、長尺体30zを長尺体16zよりも下端側に挿入する。なお、長尺体16zよりも上端側の部分には、後の工程でノッチ17等が形成される。
【0048】
積層工程を経た上記長尺体には、ヒートシール工程で各シール部が形成される。ヒートシール工程では、上記長尺体の下縁、TD方向に沿って所定部位をヒートシールする。ここで、長尺体の下縁は、パウチ容器10の下縁となる部分であり、所定部位は、パウチ容器10の側端縁となる部分である。即ち、このヒートシール工程により、下縁シール部21及びサイドシール部22(2つの容器分の幅広シール部)を形成する。
【0049】
ヒートシール工程では、さらに、長尺体16z,30zを長尺体11z及び長尺体12zにそれぞれ接合する。長尺体30zの下端部には、MD方向に沿った接合部33が形成される。また、パウチ容器10の側端縁となる部分に本体部32の第1端部34を配置した状態で上記サイドシール部22を形成する。これにより、第1端部34が表面シート11及び裏面シート12に固定される。
【0050】
続いて、ダイカットロール等を用いて、例えば、サイドシール部22の仮想線Xに沿って上記長尺体をカットし、個々の容器サイズに分割する。このとき、サイドシール部22にノッチ17を形成できる。こうして、図1に示すパウチ容器10が得られる。そして、容器上端から粉体40を充填した後、上縁シール部20を形成することにより、図3に示す粉体40が充填されたパウチ容器10が得られる。
【0051】
次に、図8及び図9を参照し、上向きガゼットシート30を用いて粉体40を擦り切る様子を例示しながら、上記構成を備えるパウチ容器10の作用効果について詳説する。なお、図5及び図6を適宜参照する。
図8は、パウチ容器10の正面図、図9は、パウチ容器10の上面図であって、いずれも粉体40を擦り切る様子を示す。
【0052】
図5等に示すように、充填部15から粉体40を取り出すときには、ノッチ17を用いて取り出し口18を形成した後、チャック16を開放することにより取り出し口18を開口する。そして、取り出し口18を大きく開口することで、容器上部において、表面シート11及び裏面シート12が互いに離間し、上向きガゼットシート30が展開する。本体部32の第1端部34は展開しないが、第2端部35側では、例えば、表面シート11に接合された表側半部30aと、裏面シート12に接合された裏側半部30bとが互いに略平行な板状となるように展開する。そして、サイドシール部22に接する頂点P1を上端、接合部33に接する頂点P2,P3を下端とする傾斜した略三角形状の上面36が形成される(図6参照)。
【0053】
上向きガゼットシート30の本体部32が展開すると、図8及び図9に示すように、本体部32の第2端部35に粉体40を掬った計量スプーン41の皿部を押し当てることができる。そして、第2端部35に皿部を押し当てながら計量スプーン41を上方に引くことにより余分な粉体40を擦り切ることができる。こうして、計量スプーン41の1杯あたりの粉体40の量を一定にでき、簡便な計量が可能になる。
【0054】
パウチ容器10では、本体部32の第1端部34がサイドシール部22により固定され、展開した本体部32が上面36の各頂点P1〜P3に対応する部分で安定に支持されているため、計量スプーン41を押し当てたときに本体部32が撓み難く、操作性がさらに向上する。さらに、本体部32の上面36は、第2端部35が下方に位置する略三角形状の斜面であるため、擦り切り後に上面36に残存した粉体40が自然と充填部15内に滑落し、上面36を衛生的に保つことができる。
【0055】
また、パウチ容器10では、上記のように、擦り切りに使用される第2端部35が、容器幅方向よりもやや下方に向くため、掬った粉体40が皿部からこぼれ落ちない状態で、第2端部35と取り出し口18から挿入される計量スプーン41とがなす角度を、擦り切り易い角度、例えば、90°近傍に調整し易い。
【0056】
つまり、パウチ容器10によれば、折り畳み可能で柔軟な容器において、良好な擦り切り操作を可能とする擦り切り部を提供できる。
【0057】
<第2の実施形態>
図10〜図13を参照して、第2の実施形態であるパウチ容器50の構成を説明する。ここでは、第1の実施形態と同じ構成には同じ符号を付して重複する説明を省略する。
図10は、粉体40が充填される前のパウチ容器50を示す。図11は、図10に示すパウチ容器50において、下向きガゼットシート60及びその近傍を上下方向に切断した断面を示す。図12は、パウチ容器50の斜視図であって、取り出し口18を開口した様子を示す。図13は、図12に示す下向きガゼットシート60を右側上方から見た図である。なお、図12では、図面の明瞭化のため、チャック16を省略し、一部のシール部のみにハッチングを付する。
【0058】
パウチ容器50は、擦り切り部として、下向きガゼットシート60を備える。下向きガゼットシート60は、上向きガゼットシート30と同様に、表面部及び裏面部に展開可能に接合され、幅方向に沿って充填部15の一部を覆うように設けられたガゼットシートであって、下方に向かって山折りされている(図10,11参照)。なお、本実施形態で示す下向きガゼットシート60も第1の実施形態(上向きガゼットシート30)と同様にカット部を有する長尺体により設けられているため、下方に向かって山折りされた本体部62と、本体部62から延びたライン状(帯状)の連結部68とを有する。そして、接合部63は、パウチ容器10の全幅に亘って、チャック16と略平行に形成される。また、下向きガゼットシート60にかからない範囲で粉体40が充填される(図12参照)。以下、下向きガゼットシート60よりも下方を充填部15と称する。
【0059】
下向きガゼットシート60では、その下端に幅方向に沿って折り目線61が形成される。その他、下向きガゼットシート60(表側半部60a、裏側半部60b、本体部62等)の配置やサイズは、上向きガゼットシート30と同様である。また、本体部62の第1端部64が一方のサイドシール部22により表面シート11及び裏面シート12に接合されており、第2端部65が擦り切りに利用される。なお、本実施形態においても、下向きガゼットシート60の直上を含むパウチ容器50の全幅に亘って取り出し口18(取り出し口形成予定部18z)が設けられている。
【0060】
下向きガゼットシート60は、粉体回収部70を有することが好適である。粉体回収部70は、本体部62の折り目線61にかかる部分に形成された貫通孔であって、下向きガゼットシート60上に存在する粉体40を充填部15に戻す機能を有する。粉体回収部70は、本体部62の第1端部64側であって、上記一方のサイドシール部22と接する部分に形成されることが特に好適である。本実施形態では、第1端部64の上下方向中間部から折り目線61(例えば、サイドシール部22の近傍に位置する折り目線61部分)に亘って正面視直線状にカットすることにより粉体回収部70が形成されている。なお、粉体回収部70の孔形状や孔寸法、個数等は、図示する形状に限定されず、粉体40の粒径等に応じて適宜設定できる。
【0061】
なお、下向きガゼットシート60の本体部62は、第2端部65側において、最大で表側半部60aと裏側半部60bとが略平行になるまで展開する(図12,13参照)。大きく展開した本体部62では、略三角形状を呈する上面66が形成される。上面66の三角形は、粉体回収部70が存在しない場合にサイドシール部22に接する仮想頂点P4を下端とし、接合部63に接する頂点P5,P6を上端とする傾斜した二等辺三角形であり、第2端部65が上辺となる。展開した本体部62は、上面66の各頂点P4〜P6の近傍で安定に支持されている。
【0062】
次に、図14及び図15を参照し、下向きガゼットシート60を用いて粉体40を擦り切る様子を例示しながら、上記構成を備えるパウチ容器50の作用効果について詳説する。なお、図12及び図13を適宜参照する。
図14は、パウチ容器50の正面図、図15は、パウチ容器50の上面図であって、いずれも粉体40を擦り切る様子を示す。
【0063】
図12等に示すように、取り出し口18を大きく開口することで、下向きガゼットシート60が展開する。本体部62の第2端部65側では、例えば、表面シート11に接合された表側半部60aと、裏面シート12に接合された裏側半部60bとが互いに略平行な板状となるように展開する。そして、サイドシール部22に接する仮想頂点P4を下端、接合部63に接する頂点P5,P6を上端とする傾斜した略三角形状の上面66が形成される(図13参照)。本体部62が展開すると、図14及び図15に示すように、本体部62の第2端部65に粉体40を掬った計量スプーン41の皿部を押し当てることができる。そして、パウチ容器50においても、第2端部65に皿部を押し当てながら計量スプーン41を上方に引くことにより余分な粉体40を擦り切ることができる。
【0064】
パウチ容器50では、擦り切りに使用される第2端部65が、容器幅方向よりもやや上方に向き、上向きガゼットシート30と比較して、第2端部65が容器上方に位置する。このため、第2端部65と取り出し口18との距離が近くなるから、計量スプーン41をより操作し易くなる。例えば、計量スプーン41の操作幅を広げても、計量スプーン41が容器端部等に引っ掛かり難く、良好な操作性が得られる。
【0065】
また、パウチ容器50では、本体部62の第1端部64がサイドシール部22により固定され、展開した本体部62が上面66の各頂点P4〜P6の近傍で安定に支持されているため、計量スプーン41を押し当てたときに本体部62が撓み難く、操作性がさらに向上する。さらに、本体部62の上面66は、第2端部65が上方に位置する略三角形状の斜面であるため、擦り切りにより上面66に粉体40が溜まり易いが、その粉体を粉体回収部70から充填部15に戻すことができる。このため、上向きガゼットシート30の場合と同様に、上面66を衛生的に保つことができる。
【0066】
上記実施形態は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜設計変更できる。
例えば、上記各実施形態では、スタンディングパウチを例示したが、自立性を有さない平パウチなど、他のパウチ形態に本発明の構成を適用してもよい。
【0067】
また、上記第1の実施形態では、本体部32の第1端部34がサイドシール部22により表面部及び裏面部に接合された形態を例示したが、図16(パウチ容器10fの正面図であって粉体40を充填する前の形態を示す図)に示すように、上向きガゼットシート30fの本体部32fが容器幅方向中央部に設けられた形態としてもよい。図16に例示するパウチ容器10fでは、本体部32fの幅方向両端部(第1端部34f、第2端部35f)が、サイドシール部22から離れている。そして、第1端部34f及び第2端部35fのいずれかに計量スプーン41を押し当てて粉体40を擦り切ることができる。
【0068】
また、上記第1の実施形態では、1つの本体部32を有する形態を例示したが、図17(パウチ容器10gの正面図であって粉体40を充填する前の形態を示す図)に示すように、複数の本体部32gを有する形態としてもよい。図17に例示するパウチ容器10gは、例えば、容器の左右側端縁となる部分に本体部32gの中間部を配置した状態で左右のサイドシール部22を形成することにより得られる。
【0069】
図18A〜図20に上記第1の実施形態の変形例をさらに示す。
各図の(a)は、各パウチ容器の正面図であって粉体40を充填する前の形態を示す図であり、各図の(b)は、各パウチ容器の上面図であって取り出し口18を開口した状態を示す図である。
【0070】
図18Aに例示するパウチ容器10uには、表面シート11及び裏面シート12と上向きガゼットシート30uとの間に粉体回収部45uが設けられている。粉体回収部45uは、粉体回収部70と同様に、上向きガゼットシート30u上に存在する粉体40を充填部15に戻す機能を有する。粉体回収部45uは、本体部32uの下端部の一部に接合部33uを形成しないことにより設けられる。パウチ容器10uでは、本体部32uの第2端部35u近傍に位置する下端部のみに接合部33uが形成されている。そして、その他の部分では表裏面シートと本体部32uとが接合されておらず、表裏面シートと本体部32uの間に粉体40を充填部15に落とすことが可能な開口部(隙間)である粉体回収部45uが設けられている。
【0071】
パウチ容器10では、本体部32の全幅に亘って下端部が表裏面シートに接合されているため、本体部32と表裏面シートとの間に粉体40が溜まり易いが、パウチ容器10uによれば、粉体回収部45uを設けたことによりこの問題を改善できる。これにより、パウチ容器10uは、例えば、見栄えが良く、上向きガゼットシート30uの衛生面が向上した容器となる。
【0072】
また、パウチ容器10uでは、連結部38uの略全体に接合部33uが形成されず、連結部38uの上端部及び下端部を残して接合部33uが形成されている。即ち、接合部33uの幅よりも連結部38uの幅が太くなっている。この形態によれば、上記のように、製造時におけるガゼットシート長尺体の搬送性を向上させることができ、また接合部33uを形成するときのヒートシールが容易になる。
【0073】
なお、図18Bに示すように、ガゼットシート長尺体の搬送性を損なわない範囲で、第2端部35uの近傍だけを残して本体部32uの下端部をカットしてもよい。この形態によれば、粉体回収部45uの孔寸法を拡大することができる。かかるカット形状は、図18Bに例示する正面視L字状に限定されず、コの字状や粉体回収部70の場合と同様の直線状など種々の形状が適用できる。
【0074】
図19に例示するパウチ容器10vは、パウチ容器10gと同様に連結部38vで繋がった2つの本体部32vを有する。パウチ容器10vの幅方向両側に設けられた本体部32vは、互いに略同等の形状、サイズを有する。そして、パウチ容器10vでは、いずれの本体部32vの第2端部35vによっても粉体40を良好に摺り切ることができる。
【0075】
また、パウチ容器10vには、パウチ容器10uの粉体回収部45uと同様の形態を有する粉体回収部45vが設けられている。さらに、パウチ容器10vには、折り目線31vにかかる部分がカットされて粉体回収部46vが設けられている。粉体回収部46vは、第1端部34vから折り目線31vに亘って正面視直線状にカットすることにより形成されている。なお、連結部38vの幅は、パウチ容器10uと同様に、接合部33vの幅よりも太くなっている。
【0076】
図20に例示するパウチ容器10wは、パウチ容器10vの2つの本体部32vの間に粉体回収部47wをさらに設けた形態である。パウチ容器10wでは、各本体部32vの第2端部35vの近傍に位置する下端部だけに接合部33wがそれぞれ形成され、連結部38に接合部33wが形成されていない。これにより、各本体部32vを繋ぐ連結部38と表裏面シートとの間に粉体回収部47wが設けられる。
【0077】
パウチ容器10u,10vでは、連結部38u,38vが表裏面シートに接合されているため、連結部38u,38v(接合部の上方に位置する部分)と表裏面シートとの間に粉体40が溜まり易いが、パウチ容器10wによれば、この問題を改善できる。これにより、パウチ容器10uは、見栄えがさらに良好となり、上向きガゼットシート30uの衛生面がさらに向上した容器となる。
【符号の説明】
【0078】
<第1の実施形態>
10 パウチ容器、11 表面シート、12 裏面シート、13 底ガゼットシート、14 切欠き、15 充填部、16 チャック、17 ノッチ、18 取り出し口、18z 取り出し口形成予定部、20 上縁シール部、21 下縁シール部、22 サイドシール部、30 上向きガゼットシート、30a 表側半部、30b 裏側半部、31 折り目線、32 本体部、33 接合部、34 第1端部、35 第2端部、36 上面、37 カット部、38 連結部、40 粉体、41 計量スプーン、P1,P2,P3 頂点。
【0079】
<第2の実施形態>
50 パウチ容器、60 下向きガゼットシート、60a 表側半部、60b 裏側半部、61 折り目線、62 本体部、63 接合部、64 第1端部、65 第2端部、66 上面、68 連結部、70 粉体回収部、P4 仮想頂点、P5,P6 頂点。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも表面部及び裏面部を構成するシート材を備え、シート材で囲まれた充填部に粉体乃至粒体(以下、粉体等という)が充填され、容器上部に粉体等の取り出し部が形成されるパウチ容器において、
計量スプーンによる粉体等の摺り切り計量を可能とすべく、取り出し部よりも下方に位置する表面部及び裏面部に展開可能に接合された摺り切り部を備え、
前記摺り切り部が、容器幅方向に沿って充填部の一部を覆うように設けられたガゼットシートにより形成されていることを特徴とするパウチ容器。
【請求項2】
請求項1に記載のパウチ容器において、
容器幅方向両端部に表面部と裏面部とを接合するサイドシール部が設けられ、
ガゼットシートは、その幅方向一端部が一方のサイドシール部により表面部及び裏面部に接合されることを特徴とするパウチ容器。
【請求項3】
請求項2に記載のパウチ容器において、
ガゼットシートは、上方に向かって山折りされた上向きガゼットシートであることを特徴とするパウチ容器。
【請求項4】
請求項2に記載のパウチ容器において、
ガゼットシートは、下方に向かって山折りされた下向きガゼットシートであることを特徴とするパウチ容器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のパウチ容器において、
ガゼットシート上に存在する粉体等を充填部に戻すための回収部が設けられていることを特徴とするパウチ容器。
【請求項1】
少なくとも表面部及び裏面部を構成するシート材を備え、シート材で囲まれた充填部に粉体乃至粒体(以下、粉体等という)が充填され、容器上部に粉体等の取り出し部が形成されるパウチ容器において、
計量スプーンによる粉体等の摺り切り計量を可能とすべく、取り出し部よりも下方に位置する表面部及び裏面部に展開可能に接合された摺り切り部を備え、
前記摺り切り部が、容器幅方向に沿って充填部の一部を覆うように設けられたガゼットシートにより形成されていることを特徴とするパウチ容器。
【請求項2】
請求項1に記載のパウチ容器において、
容器幅方向両端部に表面部と裏面部とを接合するサイドシール部が設けられ、
ガゼットシートは、その幅方向一端部が一方のサイドシール部により表面部及び裏面部に接合されることを特徴とするパウチ容器。
【請求項3】
請求項2に記載のパウチ容器において、
ガゼットシートは、上方に向かって山折りされた上向きガゼットシートであることを特徴とするパウチ容器。
【請求項4】
請求項2に記載のパウチ容器において、
ガゼットシートは、下方に向かって山折りされた下向きガゼットシートであることを特徴とするパウチ容器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のパウチ容器において、
ガゼットシート上に存在する粉体等を充填部に戻すための回収部が設けられていることを特徴とするパウチ容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−82499(P2013−82499A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−12860(P2012−12860)
【出願日】平成24年1月25日(2012.1.25)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月25日(2012.1.25)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
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