説明

パエニバチルス属種から得られた抗菌剤およびその使用

【課題】本発明は、被験者・物である人間または農業用動物、例えば牛、馬、豚、羊、山羊、鶏、七面鳥、アヒル、ガチョウ、魚、或いは甲殻類、被験物質である化粧品、衛生用品、飼料製品、食品、例えば、酪農または肉類或いはそれらの包装材に有効な抗菌剤に関する。
【解決手段】本発明は、一つにはパエニバチルス属種単離物、指定されたパエニバチルス・ポリミクサJB05-01-1、並びに細菌またはその細胞培養上澄みから得られた抗菌剤を提供する。組成物、方法および使用がまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌剤分野に関し、より詳しくは、パエニバチルス属から派生された抗菌剤に関する。
【背景技術】
【0002】
病原菌の抗生物質耐性の増加する流行に対応して、多くの新規抗菌性ペプチドの薬物動態性および安全性のプロファイルが調査されてきた。バクテリオシンは、細菌によって産生された天然のたんぱく質性抗菌性化合物で、分類学的に関係する細菌に対して活性である(クレンハマー,1993年)。バクテリオシンを産出する種類は、特に食物における病原菌の成長を抑制する安全性及び効率的意味を発見する希望を持って、拡大的に検討されてきた(クレブランドら、2001年)。乳酸細菌のようなグラム陽性の染色細菌によって産生されたバクテリオシンは、従来の抗菌剤の代替として興味の的になっていた(ネスら、1996年)。最初に単離されたバクテリオシンで、今や食品添加物として広く用いられているナイシンは、1973年に食物防腐剤としての使用が世界保健機構によって承認された。このペプチドは、一般的にグラム陰性の染色細菌に対して不活性で、大腸菌、サルモネラ菌、およびエルシニア属の如き主たる食物性の病原菌が関与するときに、その効果に限界を課する(デュおよびシェン,1999年;ゼーンら,1999年)。デイヴイスら(1998年)は、乳酸菌連鎖球菌によって産出されたナイシンは、熱的に安定で、pH3において、121℃で15分間処理された後でも活性を保持していた。ナイシンは、分子量が約4.4キロダルトン(kDa)で、ジスルフィド結合によって安定化される。
【0003】
ポリミキシンは、抗菌剤のクラスで、非リボソームプロセスによって合成される。ペプチド−合成酵素に関与する縮合反応は、それによってポリミクシンが細胞質内で形成され、再調査され(マラヒールら,1997年)、それらの細胞のない酵母系における整合性が報告された(小村ら,1985年)。
【0004】
パエニバチルス属内の多くの種は、ポリミクシンの変形体を産出し、それらは、末端が脂肪酸基の環状デカペプチドから一般的に構成される(マーティンら,2003年)。5つの化学的に異なる化合物、ポリミクシンAからEは、アミノ酸と脂肪酸組成において異なり、今日に至って同定された。マーティンらは2003年に、PコベンシスMによって産出されたマッタシン活性(800AU/ml)が、12時間発酵で最高であったと報告された。マーティンらは、マッタシンとポリミクシンBが大腸菌 O157:H7,サルモネラ菌血清型ラビスローおよび腸炎ビブリオ菌を含む試験された全てのグラム陰性の染色種を抑制することを報告したが、何れもリステリア属と桿菌の株を抑制し得なかった。
【0005】
デュクレッセンゾらは、2007年に新しいパエニバチルス種を単離し(P.アミロース分解性C27)、それはポリミクシンE1およびE2(コリスチンAおよびB)を産出する。新しい抗菌剤ペプチドが、大腸菌,シュードモナス属、サルモネラおよび赤痢菌の如きグラム陰性染色細菌に対して効果的であると報告された。デュ・クレソンゾらは、2007年にまた、P.アミロース分解性C27によって作られたポリミクシンEが、黄色ブドウ球菌ATCC 6538、エンテロコッカス フェカーリスATCC 19433および化膿性連鎖球菌ATCC 19165の如きグラム陽性染色菌を抑制することを報告した。
【0006】
ゼングオらは、2007年にパエニバチルス・ポリミクシンの自然単離によってポリミクシンとランチバイオティックの共産生を報告した。2つの抗菌性ペプチドは、大腸菌,緑膿菌およびアシネトバクター・バウマンニを含む、多くのグラム陰性の染色細菌に対して、およびグラム陽性食物性病原菌に対して強力な活性を呈すると報告された。ゼングオらは、2007年にまたP.ポリミクサOSY-DFによって作られたポリミクシンはpH2.0〜9.0において安定で、短時間の高圧蒸気殺菌した後でもその活性を維持した。
【0007】
スベトッホらは、2005年に、家禽状態のカンピロバクターの制御に使用されていたP.ポリミクサ(=パエニバチルス・ポリミクサ)NRRL-B-30509から新しいクラスのIIaバクテリオシンの単離を報告した。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、1つにはSEQ ID NO:1からなる単離されたパエニバチルス種の細菌を提供する。
【0009】
別の態様において、本発明は、ブタペスト条約および受入番号PTA-10436の下にATCCRで析出された、単離したパエニバチルス・ポリミクサ(細菌株JB05-01-1)細菌、またはその同定する特徴からなる株を提供する。細菌は、直接餌を与える抗菌性製品、例えばRE3TMから単離され得る。
【0010】
細菌は、抗細菌活性の如き抗菌剤活性を含む。抗細菌活性は、大腸菌属(例えば、大腸菌RR1、大腸菌TB1または大腸菌O157:H7の如き大腸菌)、パンテア属(例えばパンテアBC-1)、シュードモナス属(シュードモナス蛍光体R73)、ブチリビブリオ種(例えばブチリビブリオ-フィブリソルベンスOR85)、フィブロバクター種(例えば、フィブロバクター・サクシノジーンス)、サルモネラ種(例えば、ゲルトネル菌、腸チフス菌)、赤痢菌種(例えば、志賀赤痢菌)、ヘリコバクター属種(例えば、ヘリコバクターピロリ)、またはカンピロバクター(例えば、カンピロバクター・ジェジュニ)の何れか1種またはそれ以上の如きグラム陰性染色細菌の成長を抑制し得る。代替する態様においては、抗細菌活性は、リステリア・イノキュアの如きリステリア種の1種かそれ以上のようなグラム陽性染色菌の成長を抑制することを含み得る。
【0011】
別の態様において、細菌はリステリア種またはリステリア・イノキュア以外のグラム陽性染色菌の成長を抑制しない。グラム陽性染色菌は、1種またはそれ以上のペディオコッカス・アシディラクティシ、パエニバチルス・ポリミクサ、パエニバチルス・マセランス、桿菌レチェニフォルミス、桿菌サブチリス、桿菌サーキュランス9E2、ストレプトコッカス・ボビスまたは腸球菌ムンドティーを含む。
【0012】
別の態様において、抗菌剤活性は、1種またはそれ以上の蛋白質分解酵素K、トリプシン、キモトリプシンまたはリパーゼからなる群から選択された酵素に対して敏感で;またはナトリウムドデシルサルフェート(SDS)または尿素に対して敏感であり;或いは約90℃超の温度で約30分間曝露に対して敏感であり;或いは約100℃の温度、約10分間曝露に対して敏感で;約80℃まで約30分間は敏感でなく;アセトニトリルおよびヘキサンに対して敏感であり;クロロホルム、プロパノール、メタノール、エタノールおよびトルエンからなる群から選ばれた有機溶剤に対して敏感でなく;pH、例えばpH範囲約2〜約9に敏感でない。
【0013】
別の態様においては、本発明は、ここに記載されるように細菌を含む細胞培養を提供する。細胞培養は、種培養であり得る。
【0014】
別の態様では、本発明は、細胞培養媒体においてここに記載されるように菌の成長から派生した細胞培養上澄みを提供する。上澄みは、抗菌活性の如き抗菌剤活性を含み得る。
【0015】
また別の態様では、本発明は、ここに記載されるような細菌、細胞培養、或いは細胞培養上澄みから単離された抗菌剤を提供する。抗菌剤は、リポペプチドの如きペプチドを含む。抗菌剤は、約1000ダルトン〜約2500ダルトンの分子量を有する。抗菌剤は、ポリミクシンであり得る。
【0016】
別の態様では、本発明は、ここに記載するように、細菌、細胞培養、細胞培養上澄み、または抗菌剤を提供する。
【0017】
別の態様では、本発明は、ここに記載するような細菌、細胞培養、細胞培養上澄み、或いは抗菌剤を含む、医薬品、獣医薬、化粧品または衛生組成物及び適する担体を提供する。
【0018】
別の態様では、本発明は、ここに記載するような細菌、細胞培養、細胞培養上澄み、或いは抗菌剤を含む食物或いは飼料添加物を提供する。
【0019】
別の態様では、ここに記載するような細菌、細胞培養、細胞培養上澄み、或いは抗菌剤を含む包材を提供する。
【0020】
別の態様では、本発明は、ここに記載するような細菌、細胞培養、細胞培養上澄み、或いは抗菌剤からなるキットを微生物の成長を抑制する使用のための指示書と共に提供する。
【0021】
別の態様では、本発明は、SEQ ID NO:1からなる生きたパエニバチルス種細菌を提供し、抗菌剤の産生に適した条件の下に細胞培養媒体中に生きたパエニバチルス種細菌を培養することによって、抗菌剤を産生する方法を提供する。
【0022】
別の態様では、本発明は、生きたパエニバチルス・ポリミクサ(株JB05-01-1)菌またはその特徴を同定することからなる株を提供し、生きたパエニバチルス・ポリミクサ(株JB05-01-1)菌またはその特徴を同定することからなる株を抗菌剤の産生に適した条件の下に細胞培養媒体中に生きたパエニバチルス種細菌を培養することによって、抗菌剤を産生する方法を提供する。
【0023】
前記方法は、さらに細菌から抗菌剤を単離することを含み得る。培養は、細胞培養媒体中へ抗菌剤の分泌に適した条件下で行なわれる。前記方法は更に、抗菌剤からなる細胞培養上澄み液を提供するための細胞培養媒体からの細菌の分離を含む。当該方法はまた、細胞培養上澄みから抗菌剤を単離することを含む。
【0024】
別の態様では、本発明は、ここに記載されたような方法によって作られた抗菌剤を提供する。当該抗菌剤は、リポペプチドの如きペプチドを含み得る。当該抗菌剤は、約1000ダルトン〜2500ダルトンの分子量を含み得る。当該抗菌剤は、ポリミクシンであり得る。
【0025】
抗菌剤は、1つまたは2つ以上の:蛋白質分解酵素K、トリプシン、キモトリプシンおよびリパーゼ、ナトリウムドデシル硫酸、尿素、アセトニトリル、或いはヘキサンに対する感度;クロロホルム、プロパノール、メタノール、エタノールまたはトルエンに対する鈍感性;pHに対する鈍感性;約90℃超の温度、30分間の曝露に対する敏感性;約100℃約10分間の曝露に対する敏感性;約80℃約30分間までの曝露に対する鈍感性;グラム陰性染色菌の成長抑制;リステリア種或いはリステリア・イノキュアの成長抑制;或いはリステリア種或いはリステリア・イノキュア以外のグラム陽性染色菌の成長抑制から選択された抗菌剤活性を含む。
【0026】
別の態様では、本発明は、被験者または物質にここに記載したような効果的量の細菌、細胞培養、細胞培養上澄み、或いは抗菌剤を投与或いは塗布することによって、その必要に従って、被験者または物質内の微生物の成長を抑制する方法を提供する。成長の抑制は選択的であり得る。
【0027】
微生物は、リステリア種−例えばリステリア・イノキュアのような―グラム陽性の染色細菌、または1またはそれ以上の大腸菌(例えば、大腸菌RR1、大腸菌TB1、大腸菌O157:H7の如き大腸菌)、パンテア属(例えば、パンテア・アグロメランスBC1)、シュードモナス属(例えば、シュードモナス・フルオレセンスR73)、ブチリヴィブリオ種(例えば、ブチリビブリオ・フィブリソルベンスOR85)、フィブロバクター種(例えば、フィブロバクター・サクシノジーンス)、サルモネラ種(例えば、サルモネラ・エンテリティディスまたはサルモネラ・タイフィ)、赤痢菌種(例えば、志賀赤痢菌)、ヘリコバクター種(例えば、ヘリコバクター・ピロリ)或いはキャンピロバクター種(例えば、キャンピロバクター・ジェジュニ)の如きグラム陰性染色細菌のような細菌であり得る。
【0028】
細菌は、食物性病原菌の如き病原性細菌であり得る。微生物は、食物性微生物または食物腐敗性微生物であり得る。
【0029】
被験物または被験者は、人間または農業用動物(例えば牛、馬、豚、羊、山羊、鶏、七面鳥、アヒル、ガチョウ、魚、或いは甲殻類)であり得る。物質は、化粧品、衛生用具、飼料、食物品(例えば、酪農または肉類)或いはその包装材であり得る。
【0030】
別の態様では、本発明は、SEQ ID NO: 1を含む単離核酸分子を提供する。
【0031】
別の態様では、本発明は、ここに記載したような効果的量の細菌、細胞培養、細胞培養上澄み液、或いは抗菌剤の使用を、物質または被験者内の、その必要に従って微生物の成長抑制のために提供する。
【0032】
本発明の概要は、本発明の全ての特徴を必ずしも記載していない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明のこれら及びその他の特徴は、以下の図面で参照される以下の記載からより明らかになるであろう。
【図1】30℃のルリア-ベルタニ培地におけるパエニバチルス ポリミクシアJB05-01-1の撹拌バッチ培養中の抗菌剤化合物の製造の反応速度論を示すグラフである。パエニバチルス・ポリミクシアJB05-01-1の光学密度(OD600nm)は(◆)で表され、抗菌剤化合物の濃度はAUml-1(△)で表される。
【図2】30℃、トリプシン大豆培地中、抗菌剤化合物の16 (□), 32 (Δ) and 96 (◆) AU ml-1存在下、パエニバチルス・ポリミクシアJB05-01-1の培養浮遊物(上澄み)からの大腸菌属RR1の成長を示すグラフであり、コントロール(0 AUml-1)媒体が(◇)である。
【図3】パエニバチルス・ポリミクシアJB05-01-1の培養浮遊物がトリプシン大豆の大腸菌RR1で種付けし、30℃で24時間培養された(Gel 2)寒天に重ねられたドデシルスルホン酸ナトリウム(SDS)-ポリアクリルアミド・ゲル電気泳動(PAGE)の写真を示す。Gel 1;分子量マーカー
【図4】P. ポリミクシアJB05-01-1 16S rRNA遺伝子の部分配列(遺伝子銀行受入番号GQ184435; SEQ ID NO: 1)
【0034】
[発明の詳細な説明]
本発明は、部分的に、パエニバチラス種が、動物用飼料添加物から得られた指定されたパエニバチラス・ポリミクサJB05-01-1(2009年10月21日に、プダペスト条約の規約の下、米国タイプ培養コレクション(ATCCR)に受入番号PTA-10436にて寄託された。)を単離し、それは、16S rRNA遺伝子の増幅およびシークエンシング(配列決定)によって同定されたことを提供した。パエニバチラス・ポリミシアJB05-01-1細胞培養の培養浮遊物(上澄み)に分泌された物質の物性の特徴化および抗菌剤活性は、少なくとも1つの抗菌剤の同定をもたらした。
【0035】
抗菌剤
ここで使用された「抗菌剤」は、1つかそれ以上の「抗菌活性」を発揮する薬剤を云い、すなわち、微生物の成長を抑制する如何なる活動をも含む。「抑制する」「抑制」「抑制した」は、破壊する、防止する、コントロールする、低下する、遅くする、或いはそうでなければ少なくとも約10%〜約100%微生物の成長または生存を邪魔すること、或いは抗菌剤のない状態で微生物の成長や生存に比べたときに、その間の如何なる数値、例えば、10%, 15%, 20%, 25%, 30%, 35%, 40%, 45%, 50%, 55%, 60%, 65%, 70%, 75%, 80%, 85%, 90%, 95%, 99%, または100%であることを意味する。別の態様においては、「抑制する」「抑制」「抑制した」は、破壊する、防止する、コントロールする、低下する、遅くする、或いはそうでなければ少なくとも1倍以上、例えば約1.5倍〜約100倍、或いはその間の数値、例えば、約微生物の成長または生存を邪魔すること、或いは抗菌剤のない状態で微生物の成長や生存に比べたときに、その間の如何なる数値、例えば、約2.0, 2.5, 3.0, 3.5, 4.0, 4.5, 5.0, 5.5, 6.0, 6.5, 7.0, 7.5, 8.0, 8.5, 9.0, 9.5, 10, 15, 20, 25, 30, 35, 40, 45, 50, 55, 60, 65, 70, 75, 80, 85, 90, 95倍だけ成長や生存を邪魔することを意味する。別の態様においては、「抑制」は100倍より大であり得る。また別の態様では、「抑制」は実質的に完全に成長を抑制することであり、すなわち、抗菌剤の不存在のときと成長や生存を比べたときに、抗菌剤の存在下では成長率が約0になり、抗菌剤が微生物の死をもたらすことを云う。このように、抗菌剤は殺菌性、或いは菌静的であり得る。
【0036】
更に別の態様では、抗菌剤は、抗細菌剤、すなわち、1つまたはそれ以上の抗細菌活性、すなわち、最近の成長を抑制する如何なる活性を発揮する薬剤である。別の態様では、抗細菌剤は、殺菌性または静菌性であり得る。
【0037】
ある態様では、本発明による抗細菌剤は、グラム陰性染色細菌の成長を選択的に抑制する。
【0038】
別の態様では、本発明による抗細菌剤は、特定のグラム陽性染色細菌、例えばリステリア・イノキュアの如きリステリア種の成長を選択的に抑制する。
【0039】
「選択的に抑制する」「選択的抑制」または「選択的に抑制した」は、破壊する、防止する、コントロールする、低下する、遅くする、或いはそうでなければ少なくとも約10%〜約100%、グラム陰性染色細菌の成長または生存を邪魔すること、或いはリステリア種、またはリステリア・イノキュア以外のグラム陽性染色細菌の成長や生存に比べたときに、その間の如何なる数値、例えば、10%, 15%, 20%, 25%, 30%, 35%, 40%, 45%, 50%, 55%, 60%, 65%, 70%, 75%, 80%, 85%, 90%, 95%, 99%,または100%のグラム陰性染色細菌の成長または生存を邪魔することを意味する。別の態様では、「選択的に抑制する」「選択的抑制」または「選択的に抑制した」は、破壊する、防止する、コントロールする、低下する、遅くする、或いはそうでなければ少なくとも約1.5倍〜約100倍グラム陰性染色細菌の成長または生存を邪魔すること、或いはリステリア種、またはリステリア・イノキュア以外のグラム陽性染色細菌の成長や生存に比べたときに、その間の如何なる数値、例えば、約2.0, 2.5, 3.0, 3.5, 4.0, 4.5, 5.0, 5.5, 6.0, 6.5, 7.0, 7.5, 8.0, 8.5, 9.0, 9.5, 10, 15, 20, 25, 30, 35, 40, 45, 50, 55, 60, 65, 70, 75, 80, 85, 90, 95倍だけ成長や生存を邪魔することを意味する。別の態様では、「選択的に抑制する」「選択的抑制」または「選択的に抑制した」は、100倍より大である。また別の態様では、「選択的抑制」とは、グラム陰性染色細菌の実質的に完全な成長の抑制であり得、すなわち、リステリア種またはリステリア・イノキュア以外のグラム陰性染色細菌の成長または生存に比べたとき、成長率が約0に低下し、抗細菌剤がグラム陰性染色細菌の死をもたらすことを意味する。
【0040】
特定の態様では、「抑制する」「抑制」「抑制した」は、破壊する、防止する、コントロールする、低下する、遅くする、或いはそうでなければ少なくとも約10%〜約100%リステリア種またはリステリア・イノキュアの如き特定のグラム陽性染色細菌の成長または生存を邪魔すること、或いはリステリア種またはリステリア・イノキュア以外のグラム陰性染色細菌の成長や生存に比べたときに、その間の如何なる数値、例えば、約10%, 15%, 20%, 25%, 30%, 35%, 40%, 45%, 50%, 55%, 60%, 65%, 70%, 75%, 80%, 85%, 90%, 95%, 99%, または100%特定のグラム陽性染色細菌の成長または生存を邪魔することを意味する。別の態様では、「選択的に抑制する」「選択的抑制」または「選択的に抑制した」は、破壊する、防止する、コントロールする、低下する、遅くする、或いはそうでなければ少なくとも約1倍以上、例えば約1.5倍〜約100倍、グラム陰性染色細菌の成長または生存を邪魔すること、或いはリステリア種、またはリステリア・イノキュア以外のグラム陽性染色細菌の成長や生存に比べたときに、その間の如何なる数値、例えば、約2.0, 2.5, 3.0, 3.5, 4.0, 4.5, 5.0, 5.5, 6.0, 6.5, 7.0, 7.5, 8.0, 8.5, 9.0, 9.5, 10, 15, 20, 25, 30, 35, 40, 45, 50, 55, 60, 65, 70, 75, 80, 85, 90, 95倍だけグラム陰性染色細菌の成長や生存を邪魔することを意味する。別の態様では、「選択的に抑制する」「選択的抑制」または「選択的に抑制した」は、100倍より大である。また別の態様では、「選択的抑制」とは、グラム陰性染色細菌の実質的に完全な成長の抑制であり得、すなわち、リステリア種またはリステリア・イノキュア以外のグラム陰性染色細菌の成長または生存に比べたとき、成長率が約0に低下し、抗細菌剤がグラム陰性染色細菌の死をもたらすことを意味する。
【0041】
グラム陰性染色細菌は、制限なしに大腸菌種、パンテア属種、シュードモナス種、サルモネラ種、赤痢菌属種、シュードモナス種、ヘリコバクター種、ブチリヴィブリオ種、フィブロバクター種、或いはカンピロバクター種を含む。グラム陰性染色細菌種の例は、制限なしに、大腸菌(大腸菌RR1、大腸菌TB1、大腸菌O157:H7)、パンテア・アグロメランス、シュードモナス・フルオレッセンス、サルモネラ・エンテリティディス、腸チフス菌、志賀赤痢菌、ヘリコバクター・ピロリ菌、ブチリヴィブリオ・フィブリソルベンス菌、フィブロバクター・サクシノジーンズ菌、カンピロバクター・ジェジュニ菌を含む。
【0042】
別の態様では、本発明に係る抗菌剤は、実質的にグラム陽性染色細菌、例えば、ペディオコッカス・アシディオァクティシ菌、パエニバチルス・ポリミシア菌、パエニバチルス・マセランス菌、リケニホルミス菌、枯草菌、バシラス・サーキュランス菌 9E2、ストレプトコッカス・ボビス菌、エンテロコッカス・ムンドティイ菌の成長を抑制しない。
【0043】
別の態様では、本発明の抗菌剤は、種々の処理に敏感或いは鈍感であり得る。「敏感」または「敏感性」は、抗菌剤が特定の処理に付されたとき、その処理がない場合の抗菌剤活性に比べて、抗菌剤の活性が少なくとも約10%〜約100%、その間の如何なる数値、例えば約10%, 15%, 20%, 25%, 30%, 35%, 40%, 45%, 50%, 55%, 60%, 65%, 70%, 75%, 80%, 85%, 90%, 95%, 99%, または100%だけ喪失または低下することを意味する。別の態様では、「敏感」または「敏感性」によって、抗菌剤が特定の処理に付されたとき、その処理がない場合の抗菌剤活性に比べて、抗菌剤活性の損失或いは減少が少なくとも約1.5倍〜約100倍、或いはその間の如何なる数値、例えば約2.0, 2.5, 3.0, 3.5, 4.0, 4.5, 5.0, 5.5, 6.0, 6.5, 7.0, 7.5, 8.0, 8.5, 9.0, 9.5, 10, 15, 20, 25, 30, 35, 40, 45, 50, 55, 60, 65, 70, 75, 80, 85, 90, 95倍であることを意味する。別の態様では、「敏感性」は100倍以上の抗菌剤活性の損失または減少を含み得る。
【0044】
敏感性は処理時間によって変化し得ると理解される。別の態様では、処理時間は、数分間から多くの時間に渡って及ぶ。例えば、処理時間は約5分間から25時間を上回り、5, 10, 15, 20, 25, 30, 35, 40, 45, 50, または55分間、またはその間の如何なる数値、或いは1.0, 1.5, 2.0, 2.5, 3.0, 3.5, 4.0, 4.5, 5.0, 5.5, 6.0, 6.5, 7.0, 7.5, 8.0, 8.5, 9.0, 9.5, 10.0, 10.5, 11.0, 11.5, 12.0, 12.5, 13.0, 13.5, 14.0, 14.5, 15.0, 15.5, 16.0, 16.5, 17.0, 17.5, 18.0, 18.5, 19.0, 19.5, 20.0, 20.5, 21.0, 21.5, 22.0, 22.5, 23.0, 23.5, 24.0時間、またはその間の数値の如くである。抗菌活性は、ここに記載された寒天拡散およびミクロ希釈試験の如き、標準試験によってテストされ、或いはディスク拡散、寒天希釈、または自動実験試験システム(例えば、臨床生物学マニュアル、1995年、P.M.マレイ編集、ASM出版,ワシントンD.C.)の使用を通してテストされる。
【0045】
「鈍感」または「鈍感性」によって、処理なしの抗菌活性に比べて抗菌剤が特定の処理に付されたときに、実質的な観察効果或いは感度のないことを意味する。別の態様では、「鈍感」または「鈍感性」によって、処理なしの抗菌活性に比べて抗菌剤が特定の処理に付されたときに、約10%未満、例えば、約0%, 1%, 2%, 3%, 4%, 5%, 6%, 7%, 8%, または 9%であることを意味する。
【0046】
別の態様では、本発明に係る抗菌剤は、プロテイナーゼK、トリプシン、キモトリプシンの如きプロテアーゼ或いはリパーゼとの処理に敏感であり得る。
【0047】
別の態様では、本発明に係る抗菌剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)のような界面活性剤、尿素のようなカオトロピック、或いはアセトニトリル、ヘキサンのような溶剤との処理に敏感である。
【0048】
別の態様では、本発明に係る抗菌剤は、クロロホルム、プロパノール、メタノール、エタノール、またはトルエンのような有機溶剤に不感である。
【0049】
別の態様では、本発明に係る抗菌剤は、pH、例えば、pH約2〜約9に鈍感である。
【0050】
別の態様では、本発明に係る抗菌剤は、約80℃を超える温度に敏感である。別の態様では、本発明に係る抗菌剤は、約90℃を超える温度に敏感である。このように、別の態様では、本発明に係る抗菌剤は、少なくとも約30分間曝露したときに約90℃を超える温度に敏感である。別の態様では、本発明に係る抗菌剤は、約100℃を超える温度に少なくとも約10分間曝露したときに敏感である。
【0051】
別の態様では、本発明に係る抗菌剤は、約80℃までの温度に約30分間曝したときに鈍感である。
【0052】
別の態様では、本発明に係る抗菌剤は、抗菌剤を含む組成物のプロテイナーゼKと100℃で10分間処理した後、抗菌剤活性の損失(約100%)を含み、抗菌剤活性の減少はトリプシン、およびキモトリプシンによって約83%または約75%で、リパーゼによって約62%であり、SDS処理によって抗菌剤活性減少は約66%、尿素処理によって約58%である。
【0053】
別の態様では、本発明に係る抗菌剤の分子量は、約1,000Da〜約2,500Daである。幾つかの態様においては、本発明の抗菌剤は約1000〜2500Daの範囲の分子量を有する1つ以上の分子を含む。当該薬剤は、ペプチド(蛋白質)、例えばリポペプチドであり得る。
【0054】
別の態様では本発明に係る抗菌剤は、例えばD-アミノ酸またはヒドロキシ酸の如き非蛋白質性アミノ酸を含むペプチド化合物であり得、および/または例えばN-メチル化、アシル化、グリコシル化、或いは複素環形成によって変性し得る。
【0055】
別の態様では、本発明に係る抗菌剤は、ポリミクシンであり得る。「ポリミクシン」によって、抗菌剤活性を有するペプチドを意味する。一般に、ポリミクシンの構造は、環状デカペプチドの如き環状ペプチドを含み、グラム陰性染色細菌のような微生物の成長を抑制する能のある脂肪酸末端基を有する。
【0056】
本発明に係る抗菌剤は、パエニバチルス・ポリミクシア JB05-01-1, ATCCRの受入番号PTA-10436、またはSEQ IDNO:1の16S rRNA シーケンス(配列)を含む天然細菌によって作られる抗菌剤を含む。
【0057】
別の態様では、抗菌剤は1つまたはそれ以上の化合物を含み得る。
【0058】
抗菌剤は、細胞または粗抽出物、細胞培養またはその細胞培養の上清み中に存在する。細胞は、パエニバチルス・ポリミクシア JB05-01-1細胞、またはSEQ IDNO:1の16S rRNA シーケンスを含む天然細菌であり得る。
【0059】
抗菌剤を捕獲及び産生する方法
抗菌剤は、パエニバチルス・ポリミクシア JB05-01-1、またはその他のソースから捕獲し得る。例えば、RE3(基礎環境システム・技術インク社製、エドモントン、カナダ)は、穀物または貯蔵牧草系食物の生体外第一胃発酵を改善するのに用いられる、直接餌付け抗菌剤製品であり、L.パラカセイ、およびL.ラクティス培養およびその培養製品を含む非殺菌性液体処方を含む。パエニバチルス・ポリミクシア JB05-01-1は、RE3TMのサンプルを培養することによって得られた。その他の抗菌剤は、ここに記載するような或いは公知技術に知られるようなSEQ IDNO:1の16S rRNA シーケンスを含む単離物のためのルーチンのスクリーニングによって同様に発見され得る。
【0060】
抗菌剤は、パエニバチルス・ポリミクシア JB05-01-1またはSEQ IDNO:1の16S rRNA シーケンスを含む細菌をここに記載されるように、或いは公知技術に知られるように抗菌剤の生産に適する条件下、適当な細胞培養媒体中で飼育し、培養することによって生産される。代替する態様においては、パエニバチルス・ポリミクシア JB05-01-1或いはSEQ IDNO:1の16S rRNA シーケンスを含む細菌は、ここに記載するように、或いは公知技術に知られるように細胞培養の上澄み中への抗菌剤の分泌に適する条件下、適当な細胞培養媒体中で飼育される。
【0061】
細胞培養媒体は、最少媒体または完全媒体であり得る。幾つかの態様においては、細胞培養媒体は、LB媒体(ルリア-ベルターニ媒体)であり得る。当該媒体は、液媒、または固体あるいは半固体媒体の、例えば普通ブイヨンまたは培地、或いはトリプシン性大豆ブイヨンまたは培地であり得る。一般に、細胞培養媒体は炭素/エネルギー源、NH4-N並びにビオチンを含む。
【0062】
細胞培養条件、例えば温度、時間等は、1種または複数種の抗菌剤の飼育または産生を最適化するに適当なように変化させる。
【0063】
幾つかの態様においては、温度は約5℃〜約40℃の範囲で、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、または35℃、或いはその間の如何なる数値であっても良い。代替する態様においては、その温度は約30℃であり得る。
【0064】
幾つかの態様においては、時間は約5分間から約48時間の範囲で、その間の如何なる数値でもよい。代替する態様においては、時間は48時間より大きく、その間の如何なる数値でもよい。代替する態様においては、その時間は、48時間より長く、幾つかの態様においては、約20時間であり得る。
【0065】
細胞培養条件は、好気性または嫌気性であり得る。
【0066】
標準分離プロセスは、抗菌剤の実質的に純粋な調製を獲得するのに用いられ得る。薬剤または化合物は、それを自然に同伴する成分から単離されたとき、「実質的に純粋な」または「単離された」状態である。一般的に、抗菌剤または抗菌性化合物は、それが総サンプル中の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、または60%のとき、より一般的には70%、75%、80%、または85%、或いは90%、95%、或いは99重量%のとき実質純粋である。こうして、例えばパエニバチルス・ポリミクシア JB05-01-1またはSEQ IDNO:1の16S rRNA シーケンスを含む天然細菌の如き抗菌剤を抽出する細胞の実質的調製または培養は、細胞の調製、またはパエニバチルス・ポリミクシア JB05-01-1細胞でない、または所望のSEQ IDNO:1の16S rRNA シーケンスを持たない、或いはここに記載されたような抗菌剤を抽出しない、汚染細胞が調製物中の総細胞数の1%, 5%, 10%, 20%, 30%, 40%または50%未満を構成する細胞または「細胞培養」の調製である。幾つかの態様においては、実質的に純粋なパエニバチルス・ポリミクシア JB05-01-1細胞、または実質的に純粋なSEQ IDNO:1の16S rRNA シーケンスを含む天然細菌は、100%の細菌を有する細胞または「細胞培養」の調製である。
【0067】
幾つかの態様においては、既知の純化技術によって、或いはここに記載されたように単離された抗菌剤は、一般的にその自然に結び付けられた成分の実質的にないであろう。実質的に純粋な抗菌剤は、例えば、パエニバチルス・ポリミクシア JB05-01-1細胞やSEQ IDNO:1の16S rRNA シーケンスを含む天然細菌の如き天然源から抽出によって得られる。
【0068】
幾つかの例において、本発明の抗菌剤は、組成物、例えば他の物質を含む粗抽出物の一部を形成する。例えば、抗菌剤は、細胞中に発見されるその他の自然発生成分をも含み得るパエニバチルス・ポリミクシア JB05-01-1細菌、またはSEQ IDNO:1の16S rRNA シーケンスを含む天然細菌の粗抽出物中に存在し得る。パエニバチルス・ポリミクシア JB05-01-1細菌またはSEQ IDNO:1の16S rRNAシーケンスを含む天然細菌の粗抽出物は、通常の方法、例えば、冷凍のこぎり技術、浸透圧衝撃、リゾチームの如き酵素処理、超音波処理、液体押出しなどの標準的機械的或いは非機械的技術で調製され、例えば遠心分離法によって細胞破壊片の除去を伴なう。
【0069】
代替する態様においては、抗菌剤は、細胞培養上清み中に存在し、パエニバチルス・ポリミクシア JB05-01-1細菌またはSEQ IDNO:1の16S rRNA シーケンスを含む天然細菌を抗菌剤の上清みへの分泌に適した条件下、適当な細菌培養媒体の中で、培養して得られた上清みの如きである。“培養上澄み”の用語は、媒体中で培養された細胞が例えば、遠心分離法、ろ過、沈降法、またはその他の公知技術に知られた手段によって培養媒体から分離されたときに残った液体培地のことである。例として、抗菌剤が細胞培養上澄みから単離されるとすれば、硫酸アンモニウムの如き塩が初期は種々の濃度で使用され得る。残渣の硫酸アンモニウムは、水に対して透析によって除去される。1種またはそれ以上の抗菌剤を含む懸濁沈殿は、イオン交換器のようなカラム上にクロマトグラフに掛けられ、培養上清み中の種々の抗菌性化合物は、280nmにおいて吸収帯をモニターし、分離され得る。活性画分はこのように分離された化合物の中から決定され、その一定分量が細菌細胞−抗菌剤に感度が高いとして知られる指示菌−の如き微生物の培養を殺りくまたは抑制する効率を基に選択される。そして活性画分は、プールされる(溜め込まれる)。さらに、純粋化が当該化合物の仕込み量に基づき高速液体クロマトグラフィ(HPLC)によって行われる。280nmにおいて吸収帯をモニターして得られた種々のピークが分離され、指示菌に対する活性が再度調べられる。純度は、カラムクロマトグラフィ、ゲル電気泳動法、HPLCなどの如き適当な方法を用いて測定される。
【0070】
当業者はその他の従来の濃度法、純粋化法、または分別法が、1つまたはそれ以上の単離された、または実質的に精製された抗菌剤、または全ての或いは溶解された細胞から、または細胞培養上清みから抗菌活性を発揮する部分精製画分を得るために用いられ得る。一般的方法は、限定なく、寸法排除法、イオン交換クロマトグラフィ、硫酸アンモニウム、アルコールまたはクロロホルム抽出法、或いは寸法濾過器を有する遠心分離法が挙げられる。
【0071】
抗菌剤の抗菌活性は、通常の方法、またはここに記載の方法によって決定される。例えば、抗菌活性は、寒天拡散試験またはマイクロ希釈分析によって検出される。
【0072】
医薬品、獣医学的、栄養学的、化粧品並びにその他の使用
本発明による抗菌剤は、細菌の如き微生物の成長を抑制することが所望される、種々の用途に使用され得る。そのような用途は、限定なしに、医薬、獣医学用途(例えば、抗菌剤の感染処理のため)、栄養補助剤(サプリメント)および動物の餌付け、パーソナルケア(化粧品または衛生用品)用途などである。代替的態様として、本発明による抗菌剤は、食品またはその他の製品の腐敗に係わる微生物(例えば、細菌)の成長を抑制するのに用いられ得る。
【0073】
食物腐敗微生物は、制限なしに、クロストリジウム、シュードモナス、プロテウス、クロモバクテリウム、乳酸桿菌、ペニシリウム、アスペルギルス、クモノスカビ、マイクロコッカス、桿菌、ストレプトコッカス、ペディオコッカス、ロイコノストック、クロモバクテリウム、ハロバクテリウム、アルカリゲネス、ザントモナス、ボトリチス、アエロバクター(好気菌)、コリネバクテリウム、アルスロバクター、ミクロバクテリウム、セラチアの各属の1種または1種以上の種を含む。
【0074】
当該微生物は、病原性微生物であり得る。細菌は、食物由来の病原性細菌の如き病原性細菌であり得る。食物由来の病原性細菌は、限定なしに、1種またはそれ以上のブドウ球菌、ビブリオ、大腸菌属、リステリア菌、サルモネラ菌、ストレプトコッカス、ビブリオ、カンピロバクター、エンテロバクター、赤痢菌の各属を含む。
【0075】
細菌は、グラム陰性染色細菌またはグラム陽性染色細菌を含む。グラム陽性染色細菌は、限定なしに、1つまたはそれ以上のリステリア菌、またはリステリア・イノキュア属種を含む。グラム陰性染色細菌は、限定なしに、1つまたはそれ以上の大腸菌属、パンテア属、シュードモナス属、サルモネラ属、赤痢菌属、ヘリコバクター属、カンピロバクター属、ブチリビブリオ属、並びにフィブロバクター属を含む。グラム陰性細菌種の例は、限定なしに、大腸菌(例えば、大腸菌RR1,大腸菌TB1,大腸菌O157:H7)、パンテア属、蛍光菌、腸炎菌、腸チフス菌、志賀赤痢菌、ヘリコバクタ・ピロリ、カンピロバクタ・ジェジュニ、ブチリビブリオ・フィブリソルベンスまたはフィブリオバクタ属サクシノジーンズを含む。
【0076】
細菌の他の例は、限定なしに、グラム陰性染色ロッド、曲線グラム陰性染色ロッド、パルボ細菌およびヘモフィラス属の如きグラム陰性ロッド、ナイセリア、非胞子放出性嫌気性細菌の如きグラム陰性染色球菌、およびスピロカテス、リケッチア並びにクラミジアの如き細菌を含む。
【0077】
細菌感染の如き抗菌性感染の例は、限定なしに、クラミジア、淋病、サルモネラ症、細菌性赤痢、結核症、梅毒、細菌性肺炎、細菌性敗血症(菌血症)、細菌性尿路感染症、膣症、細菌性上気道感染症、細菌性髄膜炎、細菌性腸炎、ジフテリア症、レジオネラ症、百日咳、猩紅(しょうこう)熱、毒物ショック症候群、オウム病、中耳炎、ライム病などを含む。
【0078】
医薬品、獣医学的、栄養学的及びその他の組成物、処方、並びに投薬
本発明の抗菌剤は、調剤的に、獣医学的に、または化粧品として容認される、動物、例えば人間、畜牛、家禽等に投薬するために適当な形態で担体、希釈剤、および/または賦形剤の存在下、他の化合物と組合せるか単独で投与される。所望される場合は、本発明の抗菌剤の投薬または塗布は、従来の、既存の治療、処置、補助剤または添加物、或いはその他の所望の治療、処置、補助剤または添加物と組合せて行われ得る。
【0079】
本発明の抗菌剤は、慢性的或いは断続的に提供され得る。「慢性的」投与は、急性モードと反対の連続モードの投与が参照され、初期治療効果(化精)が長期に渡って維持されるようにされる。「断続的」投与は、中断なしに連続的に行なわれないが、事実上むしろ周期的な治療である。
【0080】
従来の調剤的または獣医学的慣習が、抗菌性感染を受けるか予備的症候性の対象に対して抗菌剤を投与するのに適した処方または組成物を提供するために採用され得る。如何なる適当な投与経路も採用し得、例えば、非経口、静脈内、皮下、筋肉内、頭蓋内、眼窩内、眼科、脳室内、嚢内、髄腔内、くも膜下、嚢内、腹腔内、鼻腔内、肛門内、膣内、エアロゾール、局所、経口投与である。治療処方は、液体溶液、シロップ、または懸濁液の形体で存在し;経口投与のために、処方は、錠剤またはカプセルの形体であり得;鼻腔内処方には、粉末、鼻腔ドロップ、またはエアロゾル;並びに局所処方は、軟膏、クリーム、及びローションの形体で行なわれ得る。
【0081】
処方を作るための公知技術に係る方法は、例えば、“Remington’s Pharmaceutical Sciences” (19版), ed. A. Gennaro, 1995年, Mack出版、Easton,Pa.“非経口投与のための処方”が例えば、賦形剤、殺菌水、生理食塩水、ポリエチレングリコールの如きポリアルキレングリコール、植物油または水素化ナフタレンを含む。生体相溶性、生体崩壊性ラクチドポリマー、ラクチド/グリコリド共重合体またはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体は、化合物の放出をコントロールするために使用し得る。その他の有用な非経口デリバリシステムは、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体粒子、浸透圧ポンプ、埋め込み型注入システム、並びにリポソームを含む。吸入用処方は、例えばラクトースのような賦形剤を含み得、或いは例えば、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、グリココール酸塩及びデオキシコール酸塩を含む水溶液であり、鼻腔ドロップの形体またはゲル状の投与のための油性溶液である。治療用または予防用組成物用に、抗菌剤は微生物の成長を抑制するに十分な量だけ、対象に投与される。
【0082】
本発明の抗菌剤の「有効量」は、治療的有効量または予防的有効量を含む。「治療有効量」は、所望の治療結果、例えば微生物の成長を抑制するが如きを達成するために、必要な処方、期間における有効量を参照する。抗菌剤の治療有効量は、症状、年令、性別、主体または個体の重量、及び主体または個体に所望の反応を引き起こすための抗菌剤の能力の如きファクターによって変化し得る。処方投与計画は、最適化な治療または予防反応を付与するために、調整され得る。治療有効量は、また抗菌剤の如何なる毒性または有害作用もが治療的に有益な効果によって上回られる量である。「予防有効量」は、所望の予防結果、例えば微生物の成長を抑制するが如きを達成するために、必要な処方、期間における有効量を参照する。一般的には、予防処方は、病気に先立ちまたは初期段階で主体に使用され、その結果、予防的有効量は、治療有効量よりも少なくなり得る。治療有効量、または予防的有効量の例示範囲は、約0.1nM〜約0.1M、例えば約0.1nM〜約0.05M、または約0.05nM〜約15μMであり得る。
【0083】
処方値は緩和される条件の厳しさによって変化し得ることに留意すべきである。如何なる特定の主体に対しても、特定の処方計画が個別のニーズ及び抗菌剤の投与を管理または監督する人の専門的判断によって、経時的に調整され得る。処方範囲は、ここに例示的にのみ規定され、医療または獣医従事者によって選択され得る処方範囲を限定しない。組成物中の活性抗菌剤の量は、症状の状態、年令、性別、並びに個体の体重の如き要因によって変化し得る。処方計画は、最適な治療またはよぼう反応を付与するように調整される。例えば、単一のボーラスが投与されたり、幾つかに分割した一回分が経時的に投与されるか、一回分は、治療の状況の緊急性によって比例的に減らしたり増やしたりして投与される。投与の簡便性および処方の均一性のために、処方の単位形体において非経口組成物を調剤することは有利である。ここで用いられるように、主体は哺乳類、農業(例えば飼育場)、または家畜、実験動物或いはここに記載されるように抗菌剤から利益を得る動物であり得る。例えば、主体は人間、アヒル、ガチョウ、犬、魚、甲殻類等を含み得る。
【0084】
一般的に、本発明の抗菌剤は、実質的な毒性をもたらさずに用いられる。本発明の抗菌剤の毒性は、標準技術、例えば細胞培養、或いは実験動物において試験することによって決定され、治療指標、すなわちLD50(人口の50%の致死量)およびLD100(人口の100%致死量)の比を決定する。しかし乍、厳しい疾病状態の如き幾つかの環境では、実質的に過剰の抗菌剤を投与する必要がある。
【0085】
代替する態様において、本発明の抗菌剤の「有効量」は、細菌の如き微生物の成長を抑制するために有効な量を含む。そのような量は、抗菌剤の量が細菌の如き微生物の成長を抑制する能力がある限り、食品の損傷等の防止のために、例えば投与されるか適用される程度において、治療的、または予防的量を必要としないものと理解される。
【0086】
代替的態様において、本発明の抗菌剤は、細胞、例えば実質的に純粋のパエニバチルス・ポリミクサJB05-01-1細胞、またはSEQ ID NO:1の16SrRNAシーケンスを含む実質純粋の天然細菌或いはその細胞培養に備えられる。細胞は、液状、または凍結、またはフリーズドライの如き乾燥状態で提供される。細胞培養は、濃縮される。細胞培養は、例えば日用品(ミルク、チーズ等)の、或いはラボの選択的媒体のための「開始剤」培養であり得る。
【0087】
抗菌剤は、治療的、獣医学的、衛生的、化粧品、食品、飲料および飼料に使用される。代替的な態様において、抗菌剤は例えば治療的、獣医学的、衛生的、化粧品、食品、飲料および飼料の包装材に供される。包装材は、限定せずに、プラスチック、フィルム、発泡スチレン等を含む。
【0088】
代替的態様において、本発明の抗菌剤は、追加の抗菌剤または所望の治療薬、処理剤、補助剤、または添加剤をその使用のための指示書と共に任意に含むキットの形体で提供される。
【0089】
代替的態様において、本発明の抗菌剤は、栄養または食品添加剤、或いは飼料補助剤または添加物として提供され得る。
【0090】
「栄養添加物」または「食品添加物」は、腐敗の如き食品の特徴に一般的に影響する食品に添加される物質に関係する。食品添加物は、例えば微生物の成長を抑制する食品に直接添加される点において、「直接的」であり得る。食品添加物は、加工、包装、または貯蔵中に暴露されるが、最終製品に存在しないときに、「間接的」に考慮され得る。用語、「飼料添加物」または「飼料補助剤」は、飼料の品質改善の目的で、飼育材料の消化を促進する、または微生物の成長を抑制するが如き動物の性能および健康を改善するために動物栄養に使用される製品に関する。動物飼料添加物の例は、生存する微生物の、モノまたは混合培養に関する直接飼育された抗菌剤製品であり、それはホストに適用されると、原産の微小植物の性質を改善することによって、そのホストに利益的に影響を与える。直接与えられる微生物製品の非限定的例は、Edmonton, AB, Canada に所在の“Basic Environmental Systems & Technology Inc.”製RE3TMである。幾つかの態様において、RE3TMは、本発明の飼料添加物から特定的に除外され得る。
【0091】
代替的態様において、本発明の抗菌剤は、他の飼料または栄養補助剤或いは添加物と組合せて供され得る。例えば、ここに列挙されたような少なくとも一つの補助剤または添加物は、本発明の抗菌剤と共に消費されるために含まれ、例えば、酸化防止剤的、分散剤的、抗菌剤的または可溶化剤的性質を保有し得る。
【0092】
適当な酸化防止剤は、例えばビタミンC、ビタミンEまたはローズマリー抽出物である。適当な分散剤は、例えばレクチン、アルキルポリグリコシド、ポリソレベート80またはラウリル硫酸ソーダである。適当な抗菌剤は、例えば亜硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウムである。適当な可溶化剤は、例えばサンフラワー油、ココナッツ油などの植物油、或いはモノ、ジ、トリグリセリドである。添加物は、ビタミンA(レチノール、パルミチン酸レチニル、または酢酸レチノール)、ビタミンB1(チアミン、塩酸チアミン、一硝酸チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ニアシン、ニコチン酸またはニアシンアミド)、ビタミンB5(パントテン酸、パントテン酸カルシウム、d-パンテノール、またはd-パントテン酸カルシウム)、ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサル、ピリドキシアミンまたは塩酸ピリドキシン)、ビタミンB12(コバラミン、シアノコバラミン)、葉酸、葉酸塩、ホラシン、ビタミンH(ビオチン)、ビタミンC(アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、パルミチン酸アスコルビル)、ビタミンD(コレカルシフェロール、カルシフェロールまたはエルゴカルシフェロール)、ビタミンE(d-α-トコフェロール、d-β-トコフェロール、d-γ-トコフェロール、d-δ-トコフェロールまたは酢酸d-α-トコフェロール)およびビタミンK(フィロキノン、フィトナジオン)を含む。その他の添加物は、ホウ素(テトラシュウ酸ナトリウム十水和物)、カルシウム(炭酸カルシウム、カゼイン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、二塩基酸性リン酸カルシウムまたは三塩基酸性リン酸カルシウム)、クロム(酵母からのGTFクロム、酢酸クロム、塩化クロム、三塩化クロム、ピコリン酸クロム)、銅(グルコン酸銅、硫酸銅)、フッ素(フッ化物およびフッ化カルシウム)、沃素(沃化カリウム)、鉄(フマル酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、硫酸第一鉄)、マグネシウム(炭酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、塩酸マグネシウムまたは酸化マグネシウム)、マンガン(グルコン酸マンガン、硫酸マンガン)、モリブデン(モリブデン酸ナトリウム)、リン(二塩基性リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム)、カリウム(アスパル酸カリウム、クエン酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム)、セレン(セレン酸ナトリウム、酵母からのセレン)、珪素(メタケイ酸ナトリウム)、ナトリウム(塩化ナトリウム)、ストロンチューム、バナジウム(硫酸バナジウム)、亜鉛(酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛または硫酸亜鉛)を含む。その他の添加物は、アミノ酸、ペプチドおよび関連分子で、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、カルニチン、シトルリン、システイン、シスチン、ジメチルグリシン、γ-アミノブチル酸、グルタミン酸、グルタチオン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、メチオニン、オルニチン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン並びにバリンなどである。その他の添加物は、肝油、海洋脂質、サメ軟骨、牡蠣殻、ミツバチ花粉、d-硫酸グルコサミンの如き動物抽出物である。その他の添加物は、γ-リノール酸、アラキドン酸、およびα-リノール酸の如き不飽和遊離脂肪酸を含み、それらのエステル形(例えばエチルエステル、トリグリセリド)でもよい。その他の添加物は、ハーブおよび植物抽出物を含み、ケルプ、ペクチン、スピルリナ、繊維、レクシン、麦芽油、サフラワー種油、亜麻仁油、イブニング・プリムローズ、ボラージ油、かぼちゃの種油、ブドウ抽出物、ブドウの種抽出物、樹皮抽出物、松の樹皮抽出物、フランスカイガンショウ樹皮抽出物、ボロボロノキ樹皮抽出物、フェンネル種抽出物、ドンカイ抽出物、処女の木ベリー抽出物、アルファルファ、ノコギリヤシベリー抽出物、緑茶抽出物、アンジェリカ、イヌハッカ、トウガラシの実、コンフリー、ニンニク、生姜、朝鮮ニンジン、ゴールデン・シール、ジュニパー・ベリー、リコ米、オリーブ油、パセリ、ペパーミント、ローズマリー抽出物、カノコソウ、白ウイロー、欧州ドック、マテなどである。その他の添加物は、メナキノン、塩素(塩化重酒石酸)、イノシトール、カロチノイド(β-カロチン、α-カロチン、ゼアキサンチン、クリプトキサンチンまたはルテイン)p-アミノ安息香酸、ベタイン塩酸塩、遊離ω-3-脂肪酸およびそのエステル、チオクト酸(α-リポ酸),1,2-ジチオラン-3-ペンタン酸、アルキルポリグリオコシド、ポリソルビン酸塩80、ラウリル硫酸ナトリウム、フラバノイド、フラバノン、フラボン、フラボノール、イソフラボン、プロアントシアニジン、オリゴマー性プロアントシアニジン、ビタミンAアルデヒド、ビタミンA2混合物、ビタミンD(D1,D2,D3,D4)混合物、パルミチン酸アスコルビル、ビタミンK2など種々の物質を含む。
【0093】
補助剤或いは添加物は、ソフトゲル、カプセルまたは液状形体で消費のために包装され得る。それは、食用ポリサッカライド・ガムとして、例えば粉末寒天、ローカストビーンガム、グアー、トラガント、セルロースおよびカルボキシメチルセルロース(CMC)として供給され得る。化粧品または衛生品補助剤は、例えばシャンプー、コンディショナー、クリーム、ペイスト、ローション、口紅、リップクリーム等として提供され得る。
【実施例】
【0094】
本願発明は、以下の実施例によってさらに説明される。
【0095】
以下の実施例は、本発明の態様を例示するように意図され、限定して解されるべきものではない。
【0096】
実施例1:種属を産出する抗菌剤の同定
細菌種および成長媒体
用いられた細菌指示薬種属が表1に列挙されている。全てが-80℃で、10%グリセリン(w/v)を含む適当な媒体中に保持された。ポリミクシアおよびブチリビブリオ・フィブリソルベンツおよびフィブロバクター・サクシノジーンズ以外の全ての指示薬種属は、表1に示されたようにそれぞれの培養媒体中で30℃で好気的に繁殖された。使用された媒体は:トリプチック大豆出し(TSB)(ディフロ・ラボラトリーズ,スパークス,MD, USA)、デュマン,ロゴーザ・アンド・シャープブイヨン(MRS)(ローゼル研究所、モントリオール,MD,カナダ)(デュマンら1960年)、およびルーリア-ベルターニ(LB)ブイヨン。炭素源として各0.1重量%のグルコース、マルトース、可溶性澱粉を含む、液体または固体(1.2%w/v寒天)嫌気性L-10媒体は、ブチリビブリオ・フィブリソルベンツおよびフィブロバクター・サクシノジーンズの成長に用いられた(Caldwell & Briant、1966年)。それらの成長は、39℃で、CO2:H2(95:5v/v)雰囲気下で実施された。実験開始前に、全ての種属は1%体積転移を用いて24時間間隔で少なくとも3回副次培養された。
【0097】
抗菌剤化合物産出細菌の単離および同定
抗菌剤産出体、パエニバチルス・ポリミクシアJB05-01-1は、直餌付けされた細菌製品から単離された(RE3, Basic Environmental Systems & Technology Inc. Edmonton, AB, Canada)。RE3は、エシェリキア・コリの成長を、Taggら(1976年)によって記載されたように遅延された拮抗めっき法によって抑制する細菌産生化合物のためにスクリーニングされた。簡単に、L-10またはTSB媒体中RE3の103-104希釈物100μLが、L-10またはTSB皿に伸ばされ、一昼夜39℃及び37℃で培養された。その皿は複製され、元の皿上の細菌のコロニーは、寒天表面から洗浄され、その皿は、254nmのUV光下、20分間表面殺菌された。その皿は、E.コリRR1の一昼夜培養された50μLを含む溶融LB(0.5%寒天)の5mLで覆われた。空き地帯を産生したコロニーは、同定され、大腸菌O157:H7に対する活性試験のためにレプリカの皿から取り出された。
【0098】
グラム染色、運動能およびオキシダーゼ試験が選択されたコロニーのキャラクタリゼーションにおける予備ステップとして行なわれた。暫定的同定が、16SリボソームRNA遺伝子の増幅およびシーケンス処理によって確認された。
【0099】
DNA抽出
パエニバチルス種属(JB05-01-1)は、30℃、一昼夜でTSBの3mL中で成長した。細胞は、5000gを5分間遠心分離にかけて採取された。DNAは、パワー土壌DNAキット(モビオ研究所インク、カールスバート、CA,カナダ)を用いて、メーカーのマニュアルに従って抽出された。DNA濃度は、ピコグリーンdsDNA定量化キット(モレキュラープロブ,インビトロゲン社製,Eugene,OR,米国)を用いて、標準として、子牛の胸線DNA(シグマ-アルドリッチ、セントルイスMO,米国)を用いて多重検出マイクロプレート・リーダー(モデルSIAFRM,バイオテック器具社、ウィヌースキー,VT,米国)で測定された。
【0100】
16SrRNA遺伝子のポリメラーゼ連鎖反応増幅
PCR増幅は、16S rRNA遺伝子の約1500bpを目標にした。PCR反応は、鋳型DNA10ng、10倍希釈緩衝液2.5mL、各プライマー10ピコモル及びTaqポリメラーゼ(宝酒造製)の1Uを最終容量25mL中に含んでいた。使用されたプライマーは、ユニバーサル細菌プライマー8-27 F (5’-AGA GTT TGA TCC TGG CTC AGA-3°) (ルイら, 1997年)及び 1492R (5’-TAC CTT GTT ACG ACT T-3’) (ケインら,1993年)であった。増幅条件は、95℃、1分間の変性に、95℃で30秒、55℃で30秒の25サイクルの変性が続いた。使用されたプライマーの命名法は、Eコリ番号付与システムに基づいて行われた。
【0101】
16S rRNA遺伝子のクローン化及び配列決定(シーケンス化)
PCR反応からの単位複製配列は、1%アガロース・ゲル上に電気泳動され、正しい寸法帯を運動させることによって精製された。DNAは、QIAクイックPCR精製キット(QIAGEN社製、バレンシア、カナダ)を用いて、メーカーの指示書によってそのゲルから抽出された。精製DNAは、TOPOベクター(Invitrogen社製、カールスバード、カナダ)にクローン化され、さらに、電気穿孔法によって電子能力Eコリ(DH5-α細胞)を移転するのに用いられた。細胞は、LB/カナマイシン(50mg/L)寒天プレート上にめっきされ、37℃で一昼夜培養された。3つのクローンが、正しい挿入のために証明され、LB/カナマイシン(100mg/L)中で一昼夜成長させられた。全てのクローンは、カルガリ大学、核DNAサービス、カルガリ、AB、カナダによって配列された。 単離物の16S rRNA配列は、基礎ローカル配列サーチツール(BLAST)(アルトシュールら、1990年)による標準ヌクレオチド対ヌクレオトド・ホモロジー探索を用いて、バイオテクノロジー情報のための国立センター(NCBI)のデータベースからのDNA配列と比較された。
【0102】
結果
大腸菌O157:H7に対する最も高い活性を示す単離物からの16S rRNA PCR製品の配列は、パエニバチルス・ポリミクサと99%同族性を占有した微生物を同定した。これは、パエニバチルス・ポリミクサJB05-01-1として指定された。パエニバチルス・ポリミクサの16S rRNA遺伝子部分配列は、遺伝子バンクに寄託され、受付番号GQ184435が割り当てられた(図4、SEQ ID NO: 1)。
【0103】
【表1】

【0104】
実施例2:抗菌剤の生産
LB媒体1Lが、10mLの新鮮な、一昼夜培養のパエニバチルス・ポリミクサJB05-01-1と一緒に培養され、さらに200rpmで撹拌しながら30℃で培養された。培養光学密度が600nmにおいて2時間毎に多重検出マイクロプレート読取機(バイオテック機器,ウィヌースキ,バーモント,米国)を用いて測定され、1mLの培養物が遠心分離され(8,000rpm、10分間、4℃)、細胞を分離した。マーティンら(2003年)によって公開されたように、上澄みが70℃、10分間加熱され、蛋白質分解酵素活性を不活性化させた。寒天拡散試験およびマイクロ希釈法が使用され、ここに記載されるような抗菌剤活性のために加熱上澄みを試験した。
【0105】
可溶性蛋白質の測定が、フォーリンフェノール試薬法を用いてlowryら(1951年)に記載のように、牛血清アルブミンを標準としてなされた。ポリミクシンE及びナイシンAが、抗菌剤活性のポジティブ・コントロールとして用いられた。ナイシンA貯蔵溶液が、ナイシンAを2.5%(w/w)含む、ニサプリンTMの形体のアプリン及びバッレット(Beaminster社製)から得られた純のナイシンから調製された。ポリミクシンEは、Sigma-Aldrich(オークビル、オンタリオ州、カナダ)社から購入可能である。
【0106】
Luria-Bertaniブロス中で成長させたバッチ培養の上澄みによる大腸菌RR1の抑制は、マイクロ希釈法によって測定され、20時間で最大であり、48時間までその状態が継続した。こうして、寒天拡散及びマイクロ希釈試験に基づき、抗菌剤の分泌が、自然対数相において開始され、初期の定常相において最大値に達したことが示された(図1)。生産はこうして成長関連であるように見られ、活性レベルは、48時間に及んで安定を保った。48時間の抑制ゾーン直径は約8 ±1 mmで、活性は96AU/mLであった。
【0107】
実施例3:活性スペクトル
パエニバチルス・ポリミクサ培養上澄みの定量的抗菌剤スペクトルは、寒天良拡散法を用いて、測定された(Wolf and Gibbons 1996年)。簡単に述べると、25mLの溶融トリプトシン大豆寒天(0.75%寒天w/v)が47℃に冷却され、指示株の1%(v/v)一昼夜TSB培養で種付けされた。種付けされた寒天は、殺菌したペトリー皿に滴下し、室温で固化させた。
7mmの井戸が殺菌した金属製コルクボーラーにて固化寒天中に掘られ、80μLの上澄みが充填された。皿は5℃、2時間放置し、試験一定分量の拡散をさせ、その後30℃で18時間有酸素状態で培養された。抑制ゾーンの存否、それらの直径が記録された。
【0108】
抗菌剤の活性は、Dabaらによって1994年に公開されたマイクロ希釈法によって測定された。活性は任意単位/mLによって式:(1000/125)×(1/D)、ここでDは、指示株の抑制を引き起こす最も高い拡散である。
【0109】
パエニバチルス・ポリミシアJB05-01-1培養上澄みの最小抑制濃度(MIC)、および大腸菌RR1に対する純粋ポリミクシンEは、MicrotestTMポリスチレン・マイクロプレート分析(96井戸、Beckton & Dickinson Labware,Lincoln Paerk, NJ)を使用してKheadrらが、2004年に公開したように、測定された。
パエニバチルス・ポリミシアJB05-01-1培養上澄みを測定するために、大腸菌RR1細胞は16AU/mL、32AU/mL、または96AU/mLの存在下で培養され、培養光学密度が600nmにおいて、多重検出マイクロプレート読取機(Bio-Teck機器社製、ウィヌースキ、バーモント、米国)を用いて2時間毎に測定された(ナフマウチら、2007年)。
【0110】
培養上澄みの抑制スペクトルを表1に示した。グラム陰性染色細菌(大腸菌RR1、パンテア・アグロメランスBC1、シュードモナス・フルオレッセンスR73、ブチリヴィブリオ フィブロソルベンスOR85、およびフィブロバクタ・サクシノジーンズS85)が抑制され、一方で、グラム陽性染色細菌に対しては、リステリア・イノキュアを除いて活性は検出されなかった。パエニバチルス・ポリミクサによって産生された抗菌剤の活性スペクトルは、ナイシンAのそれとは異なっていたが、リステリア・イノキュアの抑制を除いて、ポリミクシンEとは類似していた。
【0111】
大腸菌RR1細菌は、16AU/mL(8時間培養上澄み)、32AU/mL(16時間培養上澄み)または96 ± 32AU/mL(20時間培養上澄み)の存在下で培養された(図2)。自然対数フェーズの間、大腸菌RR1の発生時間は、コントロール培養の90分間から96AU/mL存在下150分間まで増加し、初期定常相の培養密度は-15%減少した。ナイシンAは、大腸菌RR1に対して抑制効果を何ら示さなかった。
【0112】
実施例4:抗菌剤のキャラクタリゼーション
抗菌剤またはその他の薬剤の蛋白質分解酵素(プロティアーゼ、全てSigma-Aldrich社製、オークビル、オンタリオ州)に対する感度が、パエニバチルス・ポリミシアJB05-01-1培養上澄みを2mg/mLの最終濃度の蛋白質分解酵素(プロテイナーゼ)K(トリチラチウム・アルバム)、α-キモトリプシン(牛の膵臓)、リパーゼ(Sigma-Aldrich社製、オークビル、オンタリオ州)、トリプシン(豚の膵臓)、尿素(Sigma-Aldrich社製、セントルイス、ミズーリ州)、ドデシルスルホン酸ナトリウム(SDS)(Sigma-Aldrich社製、セントルイス、ミズーリ州)を37℃で1時間処理して試験された(Mottaら,2007年)。抗菌剤の熱安定性が一定分量(1000μl)、20時間培養した上澄みを50-90℃で30分間または100℃で10分間保持して測定された。pHの効果は、パエニバチルス・ポリミシアJB05-01-1培養上澄みのpHを5M塩酸または苛性ソーダ水溶液を用いて2〜9に調整して測定された。各試料の活性は、未処理のパエニバチルス・ポリミシアJB05-01-1培養上澄みをpH6.8で比較された。
【0113】
幾つかの有機溶剤の効果が20時間培養上澄みを、アセトニトリル、ヘキサン、プロパノール、エタノ−ル、トルエン、アセトン、またはメタノール(すべての溶剤はSigma-Aldrich、セントルイス、ミズーリ州)10%(v/v)と2時間撹拌して評価された。残渣抗菌剤の活性は、ここに述べられたように大腸菌RR1に対して、残渣溶剤の効果用のコントロールと共に、寒天拡散分析を用いて試験された。
【0114】
酵素、洗剤、その他の化合物のパエニバチルス・ポリミシアJB05-01-1培養上澄みの抗大腸菌活性に対する効果を表2に示した。
【0115】
【表2】

【0116】
活性は、プロテイナーゼK処理の後で喪失された。リパーゼ、トリプシ、α-キモトリプシン、SDS及び尿素は、未処理活性と比較したとき、抗菌活性をそれぞれ38%、17%、25%、34%、並びに42%減少させた。
【0117】
抗菌活性は、80℃、30分間の加熱後、変化なしであった。約60%の活性の損失が、90℃、30分間の加熱後観察された。100℃、10分間では活性が完全に失われた。
【0118】
クロロホルム、プロパノール、メタノール、エタノール並びにトルエンの如き有機溶剤は、抗菌性ペプチドの活性に影響しなかった。同じ濃度(10%,v/v)においてアセトニトリルまたはヘキサン処理は、抗菌活性をそれぞれ約5%、20%減少させた。pH2〜9において2時間の培養の後でも活性は、安定していた。
【0119】
実施例5:分子量測定
パエニバチルス・ポリミシア培養上澄みは、NuPAGE12%Bis-Trisジェルキット(インヴィトロジェン、バーリントン、オンタリオ州、カナダ)を用いて、メーカー指示書に従って200V(一定)で40分間、二回分析された。分子量標準として、インヴィトロジェンの2.5〜200kDa(キロダルトン)分子量マーカーが用いられた。電気泳動の後、1種のジェルがクーマシー・ブリリャント・ブルーR250(インヴィトロジェン)で染色された。2種のジェルがプレート・オーバーレイ分析のために使用され、ブーニャら(1987年)の記載に従って、抗菌性過誤物の分子量が推定された。簡単に述べると、SDS-PAGEジェルを殺菌水で洗浄後、ペトリ皿に置き、大腸菌RR1の成長細胞を含むトリプチック大豆寒天10mlを、約105CFU/ml(1ml当たりのコロニー形成単位)で塗布した。寒天は、固化され、4℃で60分間保持し、その後30℃で18時間培養した。抑制ゾーンの形成は、ジェル内の活性抗菌性ペプチドの位置とサイズを示した。
【0120】
パエニバチルス・ポリミシアJB05-01-1培養上澄みのSDS-PAGEのクーマシー・ブリリャント・ブルー染色は、異なるたんぱく質帯を示さなかった。しかし、ジェルが大腸菌RR1種付け寒天で塗布された後で、抑制活性は2.5kDa以下の分子質量の相当する領域に明確に画定された抑制ゾーンとして検出された(図3)。SDSジェルがリステリア イノキュアで塗布されたときは、抑制活性ゾーンは検出されなかった。
【0121】
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【0122】
[その他の態様]
本発明は、1またはそれ以上の態様について記載された。しかし乍、当業者にとって、特許請求の範囲に規定された発明の範囲から逸脱しない限り、複数の変更や変性はなし得る。よって、本明細書には本発明の種々の態様が記載されているが、当業界の当業者の一般的常識に従って、本発明の精神や範囲内において適用や変性はなし得る。そのような変性は、同じ結果を実質的に同じ方法で達成するために、本発明の如何なる観点のために既知の等価物への置換をも包含する。数値的範囲は、規定された数値範囲及びそこに包含し得るサブレンジも含む。
本明細書に記載された「からなる」、「を含む」、「有する」または「含有する」は、オープンエンドとして用いられ、実質的に「含む」と等価であるが、それに限定されるものではない。定冠詞、不定冠詞の用語は単数または複数として理解されるべきである。参考文献の引用は、本発明の公知文献である容認として理解してはならない。全ての出版物は、ここに参照として、各個別の出版物が特定に及び個別に参照によって挿入されているが如くにおよびここに規定されるが如くに挿入されている。本発明は、全ての態様および改変を実質的にこれ以前に記載されたように、および実施例および図を参照して包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SEQ ID NO: 1からなる、単離されたパエニバチルス種細菌
【請求項2】
ブダペスト条約の条件の下、ATCCR(American Type Culture Collection)に寄託され、受入番号PTA-10436に指定され、単離されたパエニバチルス・ポリミクサ(株 JB05-01-1)、またはその同定する特徴を備える株。
【請求項3】
細菌が直接与えられた抗菌性製品から単離された請求項1または2の細菌。
【請求項4】
直接飼料が与えられた抗菌性製品がRE3TMである請求項3の細菌。
【請求項5】
細菌が抗菌活性を備える請求項1〜4の何れか1項に記載された細菌。
【請求項6】
前記抗菌活性が抗細菌活性である請求項5の細菌。
【請求項7】
前記抗菌活性が、グラム陰性染色細菌の成長抑制を含む請求項6の細菌。
【請求項8】
前記グラム陰性染色細菌が、大腸菌属種、パンテア属種、シュードモナス属種、フィブロバクター属種、ブチリヴィブリオ属種、サルモネラ属種、赤痢菌属種、ヘリコバクター属種及びカンピロバクター属種の1種またはそれ以上からなる群から選ばれてなる請求項7の細菌。
【請求項9】
前記大腸菌属種が大腸菌である請求項8の細菌。
【請求項10】
前記大腸菌が、大腸菌RR1、大腸菌TB1及び大腸菌O157:H7の1種またはそれ以上からなる群より選ばれてなる請求項9の細菌。
【請求項11】
前記パンテア属種がパンテア・アグロメランスBC1である請求項8の細菌。
【請求項12】
前記シュードモナス属種が、シュードモナス・フルオレッセンスR73である請求項8の細菌。
【請求項13】
前記サルモネラ属種が、サルモネラ・エンタリティディスまたは腸チフス菌である請求項8の細菌。
【請求項14】
前記赤痢菌属種が志賀赤痢菌である請求項8の細菌。
【請求項15】
前記ヘリコバクター属種がヘリコバクターピロリ菌である請求項8の細菌。
【請求項16】
前記カンピロバクター属種がカンピロバクター・ジェジュニである請求項8の細菌。
【請求項17】
前記ブチリヴィブリオ属種がブチリヴィブリオ・フィブリソルヴェンスOR85である請求項8の細菌。
【請求項18】
前記フィブロバクター属種がフィブロバクター・サクシノジーンズである請求項8の細菌。
【請求項19】
前記抗細菌性活性がグラム陽性染色細菌の成長抑制を含み、前記グラム陽性染色細菌がリステリア属種である請求項6の細菌。
【請求項20】
前記リステリア属種がリステリア・イノキュアである請求項19の細菌。
【請求項21】
前記細菌が、リステリア属種またはリステリア・イノキュア以外のグラム陽性染色細菌の成長を抑制しない請求項1〜20の何れか1項の細菌。
【請求項22】
前記グラム陽性染色細菌が、ペディオコッカス・アシッディラクティシ、パエニバチルス・ポリミクサ、パエニバチルス・マセランス、バチルス・レチェニフォーミス、バチルス・サビティリス、バチルス・サーキュランス 9E2、ストレプトコッカス・ボヴィス及びエンテロコッカス・ムンティイからなる群より選択されてなる請求項21の細菌。
【請求項23】
前記抗菌活性が、蛋白質分解酵素K、トリプシン、キモトリプシン及びリパーゼからなる群より選ばれた酵素に対して敏感である請求項5〜22の何れか1項の細菌。
【請求項24】
前記抗菌活性がドデシルスルホン酸ナトリウムまたは尿素に対して敏感である請求項5〜23の何れか1項の細菌。
【請求項25】
前記抗菌活性が、約30分間の約90℃を超える温度に敏感である請求項5〜24の何れか1項の細菌。
【請求項26】
前記抗菌活性が、約10分間の約100℃の温度に敏感である請求項5〜24の何れか1項の細菌。
【請求項27】
前記抗菌活性が、約30分間の約80℃までの温度に鈍感である請求項5〜24の何れか1項の細菌。
【請求項28】
前記抗菌活性が、アセトニトリルまたはヘキサンに敏感である請求項5〜27の何れか1項の細菌。
【請求項29】
前記抗菌活性が、クロロホルム、プロパノール、メタノール、エタノール及びトルエンからなる群より選ばれてなる有機溶剤に鈍感である請求項5〜28の何れか1項の細菌。
【請求項30】
前記抗菌活性が、pHに対して鈍感である請求項5〜29の何れか1項の細菌。
【請求項31】
前記pHの範囲が、約2〜約9である請求項30の細菌。
【請求項32】
請求項1〜31の何れか1項の細菌を備える細胞培養。
【請求項33】
前記細胞培養が種菌からなる請求項32の細胞培養。
【請求項34】
細胞培養媒体において、請求項1〜31の何れか1項の細菌を成長させることから得られた細胞培養上澄み。
【請求項35】
前記上澄みが抗菌活性を備える請求項34の細胞培養上澄み。
【請求項36】
前記抗菌活性が抗細菌活性である請求項35の細胞培養上澄み。
【請求項37】
請求項1〜31の何れか1項の細菌、請求項32または33の細胞培養または請求項34〜36の何れか1項の細胞培養上澄みから単離された抗菌剤。
【請求項38】
前記抗菌剤が蛋白質からなる請求項37の抗菌剤。
【請求項39】
前記蛋白質が、リポペプチドからなる請求項38の抗菌剤。
【請求項40】
前記抗菌剤が約1000ダルトン〜約2500ダルトンの分子量からなる請求項37〜39の何れか1項の抗菌剤。
【請求項41】
前記抗菌剤がポリミクシンである請求項37〜40の何れか1項の抗菌剤。
【請求項42】
請求項1〜31の何れか1項の細菌、請求項32または34の細胞培養、請求項34〜36の何れか1項の細胞培養上澄み、または請求項37〜41の何れか1項の抗菌剤を含む抗菌組成物。
【請求項43】
請求項1〜31の何れか1項の細菌、請求項32または33の細胞培養、請求項34〜36の何れか1項の細胞培養上澄み、または請求項37〜41の何れか1項の抗菌剤からなる医薬品、獣医用、化粧品または衛生品組成物。
【請求項44】
請求項1〜31の何れか1項の細菌、請求項32または33の細胞培養、請求項34〜36の何れか1項の細胞培養上澄み、または請求項37〜41の何れか1項の抗菌剤からなる食品用または飼料用添加物。
【請求項45】
請求項1〜31の何れか1項の細菌、請求項32または33の細胞培養、請求項34〜36の何れか1項の細胞培養上澄み、または請求項37〜41の何れか1項の抗菌剤からなる包装材料。
【請求項46】
請求項1〜31の何れか1項の細菌、請求項32または33の細胞培養、請求項34〜36の何れか1項の細胞培養上澄み、または請求項37〜41の何れか1項の抗菌剤からなる、微生物の成長を抑制する使用のための指示書を共に備えるキット。
【請求項47】
抗菌剤を産生する方法であって、前記方法は以下からなる:
a)SEQ ID NO: 1からなる生きたパエニバチルス属種細菌を供給するステップ;および
b)抗菌剤の産生に適した条件下で、細胞培養媒体中で生きたパエニバチルス属種細菌を培養するステップ。
【請求項48】
抗菌剤の産生方法であって、前記方法が以下からなる:
a)生きたパエニバチルス・ポリミクサ(株JB05-01-1)細菌、または前記細菌の特徴を備えた株を供給するステップ; および
b)前記抗菌剤の産生に適する条件下で、細胞培養媒体中で、生きたパエニバチルス・ポリミクサ(株JB05-01-1)細菌または前記細菌の識別する特徴を備えた株を培養するステップ。
【請求項49】
さらに細菌から抗菌剤を単離するステップを備える請求項47または48の方法。
【請求項50】
前記抗菌剤を細胞培養媒体中に分泌するのに適した条件下で前記培養を行なう請求項47または48の方法。
【請求項51】
前記抗菌剤を含む細胞培養上澄みを供給するために、細胞培養媒体から細菌を分離するステップをさらに備える請求項50の方法。
【請求項52】
前記細胞培養上澄みから抗菌剤を単離するステップをさらに備える請求項51の方法。
【請求項53】
請求項47〜52の何れか1項に係る方法によって産生された抗菌剤。
【請求項54】
前記抗菌剤が蛋白質からなる請求項53の抗菌剤。
【請求項55】
前記蛋白質がリポペプチドからなる請求項54の抗菌剤。
【請求項56】
前記抗菌剤が1000ダルトン〜2500ダルトンの分子量を有する請求項53〜55の何れか1項の抗菌剤。
【請求項57】
前記抗菌剤がポリミクシンからなる請求項53〜56の何れか1項の抗菌剤。
【請求項58】
前記抗菌剤が以下からなる群の1またはそれ以上から選ばれた抗菌活性を備えた請求項53〜57の何れか1項の抗菌剤:
a)プロテイナーゼK、トリプシン、キモトリプシン及びリパーゼ、ドデシルスルホン酸ナトリウム(SDS)、尿素、アセトニトリルまたはヘキサン;
b)クロロホルム、プロパノール、メタノール、エタノールまたはトルエンに対して鈍感;
c)pHに鈍感;
d)約30分間の約90℃を超える温度に敏感;
e)約10分間の約100℃の温度に敏感;
f)約30分間の約80℃までの温度に鈍感;
g)グラム陰性染色細菌の成長を抑制;
h)リステリア属種またはリステリア・イノキュアの成長を抑制;
i)リステリア属種またはリステリア・イノキュア以外のグラム陽性染色細菌の成長抑制。
【請求項59】
主体または物質の中でその必要によって微生物の成長を抑制する方法であって、前記方法は、請求項1〜31の何れか1項の細菌、請求項32または33の細胞培養、請求項34〜36の何れか1項の細胞培養上澄みまたは請求項37〜41の何れか1項の抗菌剤の有効量を前記主体または物質に投与または塗布するステップからなる。
【請求項60】
前記成長の抑制が選択的である請求項59の方法。
【請求項61】
前記微生物が細菌である請求項60または61の方法。
【請求項62】
前記細胞が、リステリア属種のグラム陽性染色細菌である請求項61の方法。
【請求項63】
前記リステリア属種が、リステリア・イノキュアである、請求項62の方法。
【請求項64】
前記細胞がグラム陰性染色細菌である請求項61の方法。
【請求項65】
前記グラム陰性染色細菌が1種またはそれ以上の大腸菌属種、パンテア属種、シュードモナス属種、サルモネラ属種、赤痢菌属種、ヘリコバクター属種、カンピロバクター属種、ブチリヴィブリオ属種及びフィブロバクター属種からなる群より選ばれてなる請求項64の方法。
【請求項66】
前記大腸菌属種が大腸菌である請求項65の方法。
【請求項67】
前記大腸菌が、大腸菌RR1、大腸菌TB1及び大腸菌O157:H7の1種またはそれ以上からなる群より選ばれてなる請求項65の方法。
【請求項68】
前記パンテア属種がパンテア・アグロメランスBC1である請求項65の方法。
【請求項69】
前記シュードモナス属種が、シュードモナス・フルオレッセンスR73である請求項65の方法。
【請求項70】
前記サルモネラ属種が、サルモネラ・エンタリティディスまたは腸チフス菌である請求項65の方法。
【請求項71】
前記赤痢菌属種が赤痢菌である請求項65の方法。
【請求項72】
前記ヘリコバクター属種がヘリコバクターピロリ菌である請求項65の方法。
【請求項73】
前記カンピロバクター属種がカンピロバクター・ジェジュニである請求項65の方法。
【請求項74】
前記ブチリヴィブリオ属種がブチリヴィブリオ・フィブリソルヴェンスOR85である請求項65の方法。
【請求項75】
前記フィブロバクター属種が、フィブロバクター・サクシノジーンズである請求項65の方法。
【請求項76】
前記細胞が病原菌である請求項61の方法。
【請求項77】
前記病原菌が、食物由来の病原菌である請求項70の方法。
【請求項78】
前記微生物が、食物由来の病原性微生物である請求項59の方法。
【請求項79】
前記微生物が腐敗食品微生物である請求項59の方法。
【請求項80】
前記主体が動物である請求項59〜79の方法。
【請求項81】
前記動物が人間である請求項80の方法。
【請求項82】
前記動物が農業用動物である請求項80の方法。
【請求項83】
前記動物が、牛、馬、豚、羊、山羊、鶏、七面鳥、アヒル、ガチョウ、魚及び甲殻類からなる群から選ばれてなる請求項82の方法。
【請求項84】
前記物質が、化粧品、衛生用品、食品または飼料製品、或いはそれらの包装材料である群から選ばれてなる請求項59の方法。
【請求項85】
前記食品が酪農製品または精肉品である請求項84の方法。
【請求項86】
SEQ ID NO: 1からなる単離核酸分子。
【請求項87】
請求項1〜31の何れか1項の細菌、請求項32または33の細胞培養、請求項34〜36の何れか1項の細胞培養上澄み、請求項37〜41の何れか1項の抗菌剤で、主体または物質中のそれらの必要によって存する微生物の成長を抑制するためのものの有効量の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−512680(P2013−512680A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542319(P2012−542319)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【国際出願番号】PCT/CA2009/001808
【国際公開番号】WO2011/069227
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(512152167)ベスト エンバイロンメンタル テクノロジーズ インコーポレーテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】Best Environmental Technologies Inc.
【住所又は居所原語表記】Suite 203,Lauriston House,Lower Collymore Rock,St. Michael,Barbados (BB)
【Fターム(参考)】