説明

パケットエミュレーション装置

【課題】増減設後のTDM回線情報をあらかじめ記憶することなくTDM回線を増減設し得る装置を提供する。
【解決手段】本発明のパケットエミュレーション装置は送信装置と受信装置とを含み、両装置がTDMデータとUDPポート番号および回線速度との対応関係を記憶し、送信装置がUDPポート番号および前記回線速度を受信装置に送信し、受信装置は当該対応関係を基に、受信したUDPポート番号および回線速度に対応するTDMデータを判別し、判別した結果を基にTDM回線登録情報を更新し、更新したTDM回線登録情報に基づいてTDMデータを時分割多重信号として送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時分割多重伝送をパケット交換網上で擬似的に実現するパケットエミュレーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通信ネットワークにおいて、時分割多重伝送をパケット交換網上で擬似的に実現するパケットエミュレーション技術が知られている。パケットエミュレーション技術は、時分割多重(TDM Time Division Multiplex)信号に多重化されるTDMデータの各々を個別にパケット信号化することによって実現可能である。しかし、通常、パケット信号にはヘッダやトレイラなどの情報が付加されるため、TDMデータ毎にパケット信号化すると、ヘッダやトレイラなどの情報量が大きくなり、通信ネットワークにおける伝送効率が悪い。送信先が同一である複数のTDMデータをまとめてパケット信号化すると、TDMデータ毎にパケット信号化するのに比較して、ヘッダやトレイラなどの情報量が減り、伝送効率が向上する。例えば、パケットエミュレーション技術に関する発明が特許文献1に開示されている。ここでは、送信先が同一である複数のTDMデータをまとめてパケット信号化する装置について開示されている。
【特許文献1】特開2005−244470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
パケット信号を送信する側のパケットエミュレーション装置とパケット信号を受信する側のパケットエミュレーション装置との間でパケットエミュレーション技術によりパケット交換網上で擬似的に時分割多重信号を伝送する回線をパケットエミュレーションされたTDM回線と呼ぶ(以降、これを単にTDM回線と呼ぶ)。通信サービスの運用上、TDM回線の回線数を増減することがある。複数のTDMデータをまとめて収容するパケット信号を送受信するときにTDM回線を増減設した場合、パケット信号に収容されるTDMデータの数とサイズ、およびパケット信号内におけるTDMデータの配列順が変更される。パケット信号を受信する側のパケットエミュレーション装置においては、装置内に記憶してあるTDM回線情報を基にパケット信号内に収容されるTDMデータを読み出すため、TDM回線を増減設する場合、パケット信号を受信する側のパケットエミュレーション装置内に増減設後のTDM回線情報をあらかじめ記憶しておかなければならないという問題点があった。また、増減設後のTDM回線情報をあらかじめ記憶せずに、TDM回線を増減設すると、パケット信号内に収容されるTDMデータを正常に読み出すことができないという問題点があった。
【0004】
本発明は、上記した如き問題点に鑑みてなされたものであって、増減設後のTDM回線情報をあらかじめ記憶することなくTDM回線を増減設できる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるパケットエミュレーション装置は、TDM回線を介して伝送された複数のTDMデータが多重化された時分割多重信号をパケット信号に変換し、これをパケット交換網に送信する送信装置と、前記パケット信号を前記パケット交換網から受信し、これを時分割多重信号に変換してTDM回線に送信する受信装置とを含み、前記送信装置と前記受信装置とが協働して、相互のTDM回線登録情報を基に、前記パケット交換網上で時分割多重信号のパケットエミュレーションを行うパケットエミュレーション装置であって、前記TDMデータと前記パケット信号に付与されるUDPポート番号および前記TDM回線の回線速度との対応関係を記憶するポート番号記憶部を含み、前記送信装置は前記UDPポート番号および前記回線速度を前記受信装置に送信し、前記受信装置は前記ポート番号記憶部に記憶される対応関係を基に、受信したUDPポート番号および回線速度に対応するTDMデータを判別し、判別した結果に基づいて前記TDM回線登録情報を更新し、更新したTDM回線登録情報に基づいて前記TDMデータを時分割多重信号として前記TDM回線に割り当てることを特徴とするパケットエミュレーション装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明に係る実施例について説明する。
【実施例】
【0007】
図1は、本発明であるパケットエミュレーション装置をパケット交換網及びTDM回線と共に表すブロック図である。
【0008】
パケットエミュレーション装置は送信装置100と受信装置200とを含む。送信装置100と受信装置200はパケットエミュレーションにより、パケット交換網300上で時分割多重伝送を擬似的に実現する。送信装置100と受信装置200はパケット交換網300を介してパケット信号を交換する。送信装置100は、TDMフレーム送受信部120がTDM回線500から受信したTDM信号をパケット信号に変換し、これをTDM回線登録情報に基づいてパケット送受信部110からパケット交換網300に送信する。受信装置200においては、パケット送受信部210が送信装置100から送信されたパケット信号をTDM回線登録情報に基づいて受信する。更に、受信装置200は受信したパケット信号をTDM信号に変換し、これをTDM回線登録情報に基づいてTDMフレーム送受信部220からTDM回線600へTDM信号として送信する。反対に、受信装置200はTDMフレーム送受信部220がTDM回線600から受信したTDM信号をパケット信号に変換し、これをTDM回線登録情報に基づいてパケット送受信部210からパケット交換網300に送信する。送信装置100においては、パケット送受信部110が受信装置200から送信されたパケット信号をTDM回線登録情報に基づいて受信する。更に、送信装置100は受信したパケット信号をTDM信号に変換し、これをTDM回線登録情報に基づいてTDMフレーム送受信部120からTDM回線500へTDM信号として送信する。
【0009】
送信装置100は、パケット送受信部110と、TDMフレーム送受信部120と、ポート番号送受信部130と、ポート番号記憶部140と、回線設定部150とを含む。受信装置200は、パケット送受信部210と、TDMフレーム送受信部220と、ポート番号送受信部230と、ポート番号記憶部240と、回線設定部250とを含む。パケット送受信部110およびパケット送受信部210は、TDM回線登録情報に基づいてパケット信号をパケット交換網300から受信する。また、パケット送受信部110およびパケット送受信部210は、TDM回線登録情報に基づいてパケット信号をパケット交換網300に送信する。TDMフレーム送受信部120はTDM回線登録情報に基づいてTDM回線500からTDM信号を受信する。また、TDMフレーム送受信部120はTDM回線登録情報に基づいてTDM回線500へTDM信号を送信する。同様に、TDMフレーム送受信部220は、TDM回線登録情報に基づいてTDM回線600からTDM信号を受信する。また、TDMフレーム送受信部220はTDM回線登録情報に基づいてTDM回線600へTDM信号を送信する。ポート番号送受信部130およびポート番号送受信部230は、パケット送受信部110およびパケット送受信部210を介してパケット交換網300へUDPポート番号およびTDM回線の速度情報を送信する。また、ポート番号送受信部130およびポート番号送受信部230は、パケット交換網300からパケット送受信部110及びパケット送受信部210を介してUDPポート番号およびTDM回線の速度情報を受信する。ポート番号記憶部240は、UDPポート番号とTDMデータの種類との対応関係を記憶する。回線設定部150は、TDM回線登録情報およびTDM回線の回線速度を記憶し、ポート番号送受信部130から与えられたUDPポート番号およびTDM回線の速度情報とポート番号記憶部140に記憶される対応関係とを基にTDM回線登録情報およびTDM回線の回線速度を更新する。同様に、回線設定部250は、TDM回線登録情報およびTDM回線の回線速度を記憶し、ポート番号送受信部230から与えられたUDPポート番号およびTDM回線の速度情報とポート番号記憶部240に記憶される対応関係とを基にTDM回線登録情報およびTDM回線の回線速度を更新する。
【0010】
表1〜表3は、SDH(Synchronous Digital Hierarchy)やSONET(Synchronous Optical Network)の規格に準拠したバーチャルコンテナとトランスポート層のプロトコルであるUDP(User Datagram Protocol)のポート番号との対応関係の例を表す表である。表中の「VC」がバーチャルコンテナを、「ポート番号」がポート番号を表す。STM(Synchronous Transport Module)のSTM−1にマッピング可能なVC−3のバーチャルコンテナをVC32#1、VC32#2、VC32#3としたときの例が表1に示される。ここでは、例えば、VC32#1がポート番号1032に対応している。STM−1にマッピング可能なVC−2のバーチャルコンテナをVC21#111〜VC21#171、VC21#211〜VC21#271、VC21#311〜VC21#371としたときの例が表2に示される。STM−1にマッピング可能なVC−11のバーチャルコンテナをVC11#111〜VC11#174、VC11#211〜VC11#274、VC11#311〜VC11#374としたときのVC11#111〜VC11#174の例が表3に示される。
【0011】
【表1】

【0012】
【表2】

【0013】
【表3】

【0014】
表4は、VC11#111のバーチャルコンテナに収容可能なTDMデータをCH1#111〜CH24#111としたときのTDMデータとUDPポート番号との対応関係の例を表す表である。ポート番号記憶部140およびポート番号記憶部240は、それぞれ、表1〜表4に示される対応関係をあらかじめ記憶している。
【0015】
【表4】

【0016】
本実施例においては、ポート番号送受信部130およびポート番号送受信部230はTDM回線の速度情報を長さの情報として送信する。ここでは、回線速度64Kbpsを長さ「1」とし、以降、回線速度128Kbpsを長さ「2」、回線速度192Kbpsを長さ「3」、・・・回線速度384Kbpsを長さ「6」とする。
【0017】
図2は、TDM回線を増設するときの送信装置100および受信装置200の処理とポート番号、回線速度およびパケット信号の送受信とを表すシーケンス図である。ここでは、増設されるTDM回線に伝送されるTDMデータがCH1#VC111であるとする。また、CH1#VC111の回線速度が64Kbpsであるとする。以降、図2を参照しつつ、TDM回線増設時における送信装置100および受信装置200の処理とポート番号、回線速度およびパケット信号の送受信について説明する。
【0018】
先ず、送信装置100において、回線設定部150がCH1#VC111を登録する(S201)。次に、ポート番号送受信部130が、ポート番号記憶部140に記憶されるTDMデータとUDPポート番号との対応関係を基に、CH1#VC111に対応するポート番号1160および回線速度64Kbpsに対応する長さ情報「1」としてパケット送受信部110に送信し、パケット送受信部110は、これをパケット交換網300を介して受信装置200に送信する(S202)。
【0019】
ポート番号送受信部230は、パケット送受信部210を介して送信装置100から送信されたポート番号1160および長さ情報「1」を受信し、これを回線設定部250に与える。回線設定部250は与えられたポート番号1160および長さ情報「1」とポート番号記憶部240に記憶されるTDMデータとUDPポート番号との対応関係を基に、CH1#VC111と回線速度64Kbpsを登録する(S203)。続いて、ポート番号送受信部230は、登録したTDMデータとUDPポート番号との対応関係を基に、ポート番号1160および長さ情報「1」としてパケット送受信部210に送信し、パケット送受信部210は、これをパケット交換網300を介して送信装置100に送信する(S204)。送信装置100および受信装置200は、両装置間で、パケット信号を正常に交換できれば(S205)、TDM回線の増設設定を完了する。TDMフレーム送受信部220は、増設設定後のTDM回線登録情報に基づいてTDM回線600へTDM信号を送信する。
【0020】
図3は、TDM回線増設後にTDM回線をパケット信号に多重化するときの送信装置100および受信装置200の処理とポート番号、回線速度およびパケット信号の送受信とを表すシーケンス図である。ここでは、送信装置100および受信装置200が、両装置間で、CH1#VC111を収容したパケット信号およびCH2#VC111を収容したパケット信号を正常に交換できる状態にあるとする(S301、S302)。また、CH1#VC111の回線速度が64Kbps、CH2#VC111の回線速度が128Kbpsであるとする。以降、図3を参照しつつ、TDM回線増設後にTDM回線をパケット信号に多重化するときの送信装置100および受信装置200の処理とポート番号、回線速度、パケット信号の送受信について説明する。
【0021】
先ず、送信装置100において、回線設定部150がCH1#VC111とCH2#VC111とを同一のパケット信号に収容する設定、すなわち、多重化設定を行う(S303)。このときのポート番号はCH1#VC111とCH2#VC111とを収容可能なVC11#111に対応するポート番号1064である。また、このときの回線速度を表す長さ情報は、CH1#VC111の回線速度64KbpsとCH2#VC111の回線速度128Kbpsとを加算した回線速度192Kbpsに対応する長さ情報「3」となる。次に、ポート番号送受信部130が、ポート番号記憶部140に記憶されるTDMデータとUDPポート番号との対応関係を基に、VC11#111に対応するポート番号1064および回線速度192Kbpsに対応する長さ情報「3」としてパケット送受信部110に送信し、パケット送受信部110は、これをパケット交換網300を介して受信装置200に送信する(S304)。
【0022】
ポート番号送受信部230は、パケット送受信部210を介して送信装置100から送信されたポート番号1064および長さ情報「3」を受信し、これを回線設定部250に与える。回線設定部250は受信したパケット信号に収容されるTDMデータが多重されたUDPポート番号1064のデータと分離したUDPポート番号1160、1161のデータとを比較して正常に受信できているかを確認する(S305)。正常に受信できていれば、回線設定部250は与えられたポート番号1064および長さ情報「3」とポート番号記憶部240に記憶されるTDMデータとUDPポート番号との対応関係を基に、CH1#VC111とCH2#VC111とを同一のパケット信号に収容する設定、すなわち、多重化設定を行い、VC11#111と回線速度192Kbpsを登録する(S306)。続いて、ポート番号送受信部230は、登録されたTDMデータとUDPポート番号との対応関係を基に、ポート番号1064および長さ情報「3」としてパケット送受信部210に送信し、パケット送受信部210は、これをパケット交換網300を介して送信装置100に送信する(S307)。送信装置100は受信したパケット信号に収容されるTDMデータが多重されたUDPポート番号1064のデータと分離したUDPポート番号1160、1161のデータとを比較して正常に受信できているかを確認する(S308)。正常に受信できていれば、送信装置100および受信装置200は、CH1#VC111を収容したパケット信号およびCH2#VC111を収容したパケット信号の送受信を停止して(S309、S310)、多重化設定を完了する。停止手順としては送信装置100から受信装置200へのパケット信号の送信を停止し、受信装置200は送信装置100からのパケット信号の送信が停止したのを確認してから、受信装置200から送信装置100へのパケット信号の送信を停止する。TDMフレーム送受信部220は、多重化設定後のTDM回線登録情報に基づいてTDM回線600へTDM信号を送信する。
【0023】
図4は、TDM回線を減設するときの送信装置100および受信装置200の処理とポート番号、回線速度およびパケット信号の送受信とを表すシーケンス図である。ここでは、送信装置100と受信装置200が、両装置間で、CH1#VC111を収容したパケット信号、CH2#VC111を収容したパケット信号およびCH4#VC111を収容したパケット信号をそれぞれ正常に交換できる状態にあるとする(S401、S402、S403)。CH1#VC111の回線速度が64Kbps、CH2#VC111の回線速度が128Kbps、CH4#VC111の回線速度が192Kbpsであるとする。また、減設されるTDM回線に伝送されるTDMデータがCH2#VC111であるとする。以降、図4を参照しつつ、TDM回線減設時における送信装置100および受信装置200の処理とポート番号、回線速度およびパケット信号の送受信について説明する。
【0024】
先ず、送信装置100において、回線設定部150がCH2#VC111の登録を抹消する(S404)。次に、パケット送受信部110は、登録を抹消された情報を基に、CH2#VC111を収容したパケット信号の送信を停止する(S406)。なお、この時点においては、CH1#VC111を収容したパケット信号およびCH4#VC111を収容したパケット信号は、送信装置100と受信装置200の間で送受信されている(S405,S407)。また、この時点においては、受信装置200は、CH2#VC111を収容したパケット信号を送信している(S408)。
【0025】
ポート番号送受信部230は、送信装置100から送信されたポート番号1161および長さ情報「2」を受信し、これを回線設定部250に与える。なお、この時点においても、CH1#VC111を収容したパケット信号およびCH4#VC111を収容したパケット信号は、送信装置100と受信装置200の間で送受信されている(S409,S410)。回線設定部250は与えられたポート番号1161および長さ情報「2」とポート番号記憶部240に記憶されるTDMデータとUDPポート番号との対応関係を基に、CH2#VC111の登録を抹消する(S411)。これと同時に、パケット送受信部210は、登録を抹消された情報を基に、CH2#VC111を収容したパケット信号の送信を停止する(S412)。上記した処理で、送信装置100および受信装置200の両装置はCH2#VC111を収容したパケット信号の送信を停止しており、減設設定が完了する。TDMフレーム送受信部220は、減設設定後のTDM回線登録情報に基づいてTDM回線600へTDM信号を送信する。
【0026】
図5は、複数のTDM回線がパケット信号に多重化されている場合にTDM回線を減設するときの送信装置100および受信装置200の処理とポート番号、回線速度およびパケット信号の送受信とを表すシーケンス図である。ここでは、送信装置100および受信装置200が、両装置間で、CH1#VC111とCH2#VC111とCH4#VC111とを収容したパケット信号を正常に交換できる状態にあるとする(S501)。また、CH1#VC111の回線速度が64Kbps、CH2#VC111の回線速度が128Kbps、CH4#VC111の回線速度が192Kbpsであるとする。このときのポート番号はCH1#VC111とCH2#VC111とCH4#VC111とを収容可能なVC11#111に対応するポート番号1064である。また、このときの回線速度を表す長さ情報は、CH1#VC111の回線速度64KbpsとCH2#VC111の回線速度128KbpsとCH4#VC111の回線速度192Kbpsとを加算した回線速度384Kbpsに対応する長さ情報「6」となる。また、減設されるTDM回線に伝送されるTDMデータがCH2#VC111であるとする。
【0027】
以降、図5を参照しつつ、複数のTDM回線がパケット信号に多重化されている場合にTDM回線を減設するときの送信装置100および受信装置200の処理とポート番号、回線速度およびパケット信号の送受信について説明する。先ず、送信装置100において、回線設定部150がCH2#VC111の登録を抹消する(S502)。これと同時に、送信装置100において、回線設定部150が、CH1#VC111とCH2#VC111とCH4#VC111とを収容するパケット信号を、CH1#VC111を収容するパケット信号とCH2#VC111を収容するパケット信号とCH4#VC111を収容するパケット信号とに分離する設定を行う。これと同時に、パケット送受信部110は、分離設定された情報を基に、CH1#VC111を収容したパケット信号にUDPポート番号1160を、CH2#VC111を収容するパケット信号にUDPポート番号1161を、CH4#VC111を収容するパケット信号にUDPポート番号1163をそれぞれ付与し、これらをパケット交換網300を介して受信装置200に送信する(S503、S504、S505)。このとき、多重されたUDPポート番号1064の信号と分離したUDPポート番号1160、1161、1163の信号は両方送受信が行われている。
【0028】
ポート番号送受信部230は、パケット送受信部210を介して送信装置100から送信されたポート番号1160および長さ情報「1」と、ポート番号1161および長さ情報「2」と、ポート番号1163および長さ情報「3」とを受信し、これを回線設定部250に与える。パケット送受信部210は、与えられたポート番号および回線速度の情報を基に、CH1#VC111を収容したパケット信号にUDPポート番号1160を、CH2#VC111を収容するパケット信号にUDPポート番号1161を、CH4#VC111を収容するパケット信号にUDPポート番号1163をそれぞれ付与し、これらをパケット交換網300を介して送信装置100に送信する(S503、S504、S505)。回線設定部250は受信したパケット信号に収容されるTDMデータが多重されたUDPポート番号1064のデータと分離したUDPポート番号1160、1161、1163のデータとを比較して、正常に受信できているかを確認する(S506)。同様に、回線設定部150は受信したパケット信号に収容されるTDMデータが正常に受信できているかを確認する(S507)。正常に受信できていれば、送信装置100は、CH1#VC111とCH2#VC111とCH4#VC111とを収容したパケット信号の送信を停止する(S508)。同様に、受信装置200は、CH1#VC111とCH2#VC111とCH4#VC111とを収容したパケット信号の送信を停止する(S508)。
【0029】
次に、送信装置100は、回線設定部150に登録された情報を基にCH2#VC111を収容したパケット信号の送信を停止する(S510)。なお、この時点においては、送信装置100および受信装置200は、両装置間で、CH1#VC111を収容したパケット信号とCH4#VC111を収容したパケット信号とを交換している(S509、S511)。また、この時点においては、受信装置200はCH2#VC111を収容したパケット信号をパケット交換網300を介して送信装置100に送信している(S512)。
【0030】
続いて、送信装置100において、回線設定部150がCH1#VC111とCH4#VC111とを同一のパケット信号に収容する設定、すなわち、多重化設定を行う(S513)。このときのポート番号はCH1#VC111とCH4#VC111とを収容可能なVC11#111に対応するポート番号1064である。また、このときの回線速度を表す長さ情報は、CH1#VC111の回線速度64KbpsとCH4#VC111の回線速度192Kbpsとを加算した回線速度256Kbpsに対応する長さ情報「4」となる。なお、受信装置200においても同様に回線設定部250が多重化設定を行う。多重化設定後、送信装置100および受信装置200は、両装置間で、CH1#VC111とCH4#VC111とを収容したパケット信号をパケット交換網300を介して交換する(S514)。
【0031】
次に、受信装置200において、回線設定部250がCH2#VC111の登録を抹消する(S516)。これに続いて、受信装置200は、回線設定部250に登録された情報を基にCH2#VC111を収容したパケット信号の送信を停止する(S517)。上記した処理で、送信装置100および受信装置200の両装置がCH2#VC111を収容したパケット信号の送信を停止しており減設設定が完了する。TDMフレーム送受信部220は、減設設定後のTDM回線登録情報に基づいてTDM回線600へTDM信号を送信する。
【0032】
上記した如く、本発明によれば、TDMデータにバーチャルコンテナ単位およびチャネル単位にポート番号を割り振り、ポート番号および回線速度をパケットエミュレーション装置間で送受信することにより、増減設後のTDM回線情報をあらかじめパケットエミュレーション装置に記憶することなく、TDM回線を増減設することができる。
【0033】
なお、本実施例においては、送信装置100が先に増減設の設定を行い、ポート番号および回線速度を受信装置200に送信するが、本発明においては、受信装置200が先に増減設の設定を行い、ポート番号および回線速度を送信装置100に送信しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】パケットエミュレーション装置をパケット交換網及びTDM回線と共に表すブロック図である。
【図2】TDM回線を増設するときのパケットエミュレーション装置の処理とポート番号、回線速度およびパケット信号の送受信とを表すシーケンス図である。
【図3】TDM回線増設後にTDM回線をパケット信号に多重化するときのパケットエミュレーション装置の処理とポート番号、回線速度およびパケット信号の送受信とを表すシーケンス図である。
【図4】TDM回線を減設するときのパケットエミュレーション装置の処理とポート番号、回線速度およびパケット信号の送受信とを表すシーケンス図である。
【図5】複数のTDM回線がパケット信号に多重化されている場合にTDM回線を減設するときのパケットエミュレーション装置の処理とポート番号、回線速度およびパケット信号の送受信とを表すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0035】
100 送信装置
110 パケット送受信部
120 TDMフレーム送受信部
130 ポート番号送受信部
140 ポート番号記憶部
150 回線設定部
200 受信装置
210 パケット送受信部
220 TDMフレーム送受信部
230 ポート番号送受信部
240 ポート番号記憶部
250 回線設定部
300 パケット交換網
500 TDM回線
600 TDM回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
TDM回線を介して伝送された複数のTDMデータが多重化された時分割多重信号をパケット信号に変換し、これをパケット交換網に送信する送信装置と、前記パケット信号を前記パケット交換網から受信し、これを時分割多重信号に変換してTDM回線に送信する受信装置とを含み、前記送信装置と前記受信装置とが協働して、相互のTDM回線登録情報を基に、前記パケット交換網上で時分割多重信号のパケットエミュレーションを行うパケットエミュレーション装置であって、
前記TDMデータと前記パケット信号に付与されるUDPポート番号および前記TDM回線の回線速度との対応関係を記憶するポート番号記憶部を含み、
前記送信装置は前記UDPポート番号および前記回線速度を前記受信装置に送信し、前記受信装置は前記ポート番号記憶部に記憶される対応関係を基に、受信したUDPポート番号および回線速度に対応するTDMデータを判別し、判別した結果に基づいて前記TDM回線登録情報を更新し、更新したTDM回線登録情報に基づいて前記TDMデータを時分割多重信号として前記TDM回線に割り当てることを特徴とするパケットエミュレーション装置。
【請求項2】
前記ポート番号記憶部は、前記時分割多重信号に収容されるバーチャルコンテナの単位毎および前記バーチャルコンテナに収容されるチャネルの単位毎に前記TDMデータとUDPポート番号および回線速度との対応関係を記憶することを特徴とする請求項1記載のパケットエミュレーション装置。
【請求項3】
前記送信装置が、増設されるTDMデータを既設のTDMデータが収容されるパケット信号に収容することを特徴とする請求項1記載のパケットエミュレーション装置。
【請求項4】
前記送信装置が、継続して使用されるTDMデータと減設されるTDMデータとが共に収容されるパケット信号を、前記継続して使用されるTDMデータを収容するパケット信号と前記減設されるTDMデータを収容するパケット信号とに分離することを特徴とする請求項1記載のパケットエミュレーション装置。
【請求項5】
前記送信装置が、複数のチャネルをまとめて前記パケット信号に収容するときに、前記複数のチャネルを収容可能なバーチャルコンテナのUDPポート番号が付与されたパケット信号を送信することを特徴とする請求項1記載のパケットエミュレーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−278426(P2008−278426A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−122672(P2007−122672)
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(593065844)株式会社沖コムテック (127)
【Fターム(参考)】