パケット誤配信対処方法、サーバ装置及び端末装置
【課題】パケット誤配信が発生した場合に、短期間、かつ低コストで復旧させることができ、これによりユーザへの悪影響を短期間に抑えることを可能とする。
【解決手段】複数のIP電話端末それぞれに自動的にパケットの誤受信を検出するパケット誤受信検出部を備えるようにし、IP電話端末でパケットの誤受信が検出された時点で、その検出結果を交換サーバに通知するようにしている。そして、この通知を受けて交換サーバによりIP端末呼状態テーブルを参照して、通知元のIP電話端末の呼接続状態を判定し、呼接続状態に応じたアラームメッセージを通知元または保守端末に通知するようにしている。
【解決手段】複数のIP電話端末それぞれに自動的にパケットの誤受信を検出するパケット誤受信検出部を備えるようにし、IP電話端末でパケットの誤受信が検出された時点で、その検出結果を交換サーバに通知するようにしている。そして、この通知を受けて交換サーバによりIP端末呼状態テーブルを参照して、通知元のIP電話端末の呼接続状態を判定し、呼接続状態に応じたアラームメッセージを通知元または保守端末に通知するようにしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばIP(Internet Protocol)電話システムのように、IP網を介して端末間で音声通信を行なう通信システムに係わり、特に端末に対し不要なパケットの配信を防止するためのパケット誤配信対処方法と、この通信システムで使用されるサーバ装置及び端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IP網を介して双方向に画像や音声をパケットデータとして、リアルタイムに送受信するIP電話システムが普及している。このIP電話システムでは、IP網に交換サーバ及び複数のIP端末が接続されると共に、交換サーバごとにIP端末間の通信やIP端末と外線との通信を行うことができる。
【0003】
ところで、上記IP電話システムでは、パケット誤配信が発生した場合には交換サーバで自動的に検出できないため、ユーザの申告を元に問題発生を認識し、さらに保守者が問題の発生部位と疑われる区間のパケットを収集し解析している。例えば何らかの原因でRTP(Real-time Transport Protocol)パケットが誤配信された場合、ユーザから不要な音声が聞こえる、あるいは音声が片方向にしか聞こえない、全く聞こえないなどの申告を元に問題発生を認識した上で、さらに原因究明するための解析作業を人手に頼っている。
【0004】
なお、関連する技術として、Dos/DDos攻撃を防ぐ加入者端末装置で、Dos/DDos攻撃を検出し、CPUの負荷がある閾値を超えたときに上位通信装置の集合側装置に対してIPアドレス再取得を行い、自身のIPアドレスを変更する手法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−254269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記手法は、外部ネットワークからのパケット攻撃にのみ対応しており、パケット攻撃以外のパケット誤配信による対策を講じるものではない。
【0007】
また、パケット誤配信が発生すると以下のような現象が生じる。
(1)パケット誤配信により無駄な処理が発生するため、送受信側共に処理能力への負荷が増大し、システム内の機器に処理能力が低いCPUを使用している場合は、配信側または受信側は機能が提供できなくなる。
【0008】
(2)受信側が誤配信されたパケットを受信すると意図しないデータが漏れる場合もある。例えば音声通話の場合、意図しない他人の通話が聞こえてしまう。これはセキュリティ上好ましくない。
【0009】
(3)IP網に不必要なパケットが流れて帯域を圧迫し、IP網の帯域が狭い場合、パケット送受信の遅延が発生する。最悪の場合、輻輳が起こり、対応のためにシステムを停止する必要が出てくる。
【0010】
上記のような現象をすぐに解決できないため、システムの正常な運用ができず、ユーザの業務を停滞させ業績に悪影響を及ぼしたり、問題解決までの余分なコストがかかったりするなどの不利益をユーザが被っている。また、パケット誤配信の問題を解析している間は、担当の保守者が他の作業ができないため、保守作業に支障を起したり、余分な保守費用が必要になることもある。
【0011】
そこで、この発明の目的は、パケット誤配信が発生した場合に、短期間、かつ低コストで復旧させることができ、これによりユーザへの悪影響を短期間に抑えることが可能なパケット誤配信対処方法、サーバ装置及び端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、この発明に係るパケット誤配信対処方法は、パケット通信用の通信ネットワークに接続される複数の端末と、通信ネットワークに接続される複数の端末間の通信接続を実行するサーバ装置とを備えた通信システムで使用されるパケット誤配信対処方法において、複数の端末それぞれにて、不要なパケットの誤受信を検出し、誤受信を検出した場合に、誤受信を検出した旨のメッセージをサーバ装置に通知し、サーバ装置にて、端末から誤受信を検出した旨のメッセージが通知されたとき、通知元の端末の通信接続状態を判定し、判定された通信接続状態に応じたパケット誤配信の防止処理を実行するようにしたものである。この防止処理として、通信接続状態に応じたアラームメッセージを、誤受信の通知元または通信ネットワーク上の保守端末に通知するようにしている。
【0013】
この構成によれば、複数の端末それぞれに自動的にパケットの誤受信を検出する機能を持たせるようにし、端末でパケットの誤受信が発生すると、その検出結果がサーバ装置に通知される。そして、この通知を受けてサーバ装置により通知元の端末の通信接続状態が判定され、通信接続状態に応じたアラームメッセージが通知元または通信ネットワーク上の保守端末に通知される。
【0014】
従って、通知元の端末のユーザまたは保守端末のユーザは端末でパケット誤配信が発生したことを即時知ることができ、これにより該当する端末の通信接続状態に応じた復旧操作などの対応処置を迅速に講じることが可能となり、短期間、かつ低コストで復旧させることができる。
【0015】
この発明に係るサーバ装置において、端末により不要なパケットの誤受信を検出した旨のメッセージが通知された場合に、通知元の端末の通信接続状態を判定する判定手段と、この判定手段により判定された通信接続状態に応じたパケット誤配信の防止処理を実行する制御手段とを備えるようにし、制御手段は、判定手段により判定された通信接続状態に応じた復旧処理を実行するようにしたものである。
【0016】
この構成によれば、パケット誤受信の通知を受けたサーバ装置にて、パケット誤受信の通知元の端末が着信中であると判定したとき、通知元の端末に対し接続要求を送信し、通信中であると判定したとき、通知元の端末に対しパケット送信元の端末への再接続要求を送信し、空きであると判定されたとき、DOS攻撃等から守るために通知元の端末に割り当てたIPアドレスと異なるIPアドレスをDHCPサーバから取得して、当該通知元の端末に割り当てたIPアドレスの設定変更を行うというように、保守員の復旧操作を待たずに迅速に復旧させることができる。
【0017】
また、この発明に係るサーバ装置において、制御手段は、通信接続に係わる処理負荷を監視し、処理負荷が所定の値以下の場合のみ通信接続状態に応じた復旧処理を実行するようにしたものである。
【0018】
この構成によれば、他の通信処理に影響を及ぼすことなく、復旧処理を実行できる。
【0019】
さらに、この発明に係る端末装置は、パケット通信用の通信ネットワークに接続され、前記通信ネットワークのサーバ装置により通信ネットワーク上の端末と通信接続される端末装置において、不要なパケットの誤受信を検出する検出手段と、この検出手段により誤受信を検出した場合に、誤受信を検出した旨のメッセージをサーバ装置に通知する通知手段とを備えるようにし、検出手段は、予め設定された時間内で破棄したパケットをカウントし、カウント数が閾値以上である場合に、パケットの誤受信と判定するようにしたものである。
【0020】
この構成によれば、例えば破棄したパケットが一時的なものである場合には、パケットの誤受信と判定しないようにし、破棄したパケットが連続して続く場合にパケットの誤受信と判定するようにしているので、端末のコストを低コストに抑えた上で、パケットの誤受信の判定上の信頼性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
上記発明によれば、パケット誤配信が発生した場合に、短期間、かつ低コストで復旧させることができ、これによりユーザへの悪影響を短期間に抑えることが可能なパケット誤配信対処方法、サーバ装置及び端末装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の第1の実施形態に係わるIP電話システムを示す概略構成図。
【図2】上記図1に示した交換サーバの構成を示すブロック図。
【図3】上記図2に示したIP端末呼状態データテーブルの記憶内容の一例を示す図。
【図4】上記図2に示したIP端末設定テーブルの記憶内容の一例を示す図。
【図5】同第1の実施形態におけるIP電話端末の構成を示すブロック図。
【図6】同第1の実施形態において、不要パケットの誤検出を行うIP電話端末の制御処理手順を示すフローチャート。
【図7】同第1の実施形態において、不要パケットの誤検出に対応する交換サーバの制御処理手順を示すフローチャート。
【図8】この発明の第2の実施形態とする交換サーバの構成を示すブロック図。
【図9】同第2の実施形態において、不要パケットの誤検出に対応する交換サーバの制御処理手順を示すフローチャート。
【図10】同第2の実施形態において、パケット誤配信の復旧処理「0」を実行する制御処理手順を示すフローチャート。
【図11】同第2の実施形態において、パケット誤配信の復旧処理「1」を実行する制御処理手順を示すフローチャート。
【図12】同第2の実施形態において、パケット誤配信の復旧処理「2」を実行する制御処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
この発明の第1の実施形態は、パケットの誤受信に対して、通知元のIP電話端末の呼接続状態に応じたアラーム通知処理を実行するようにしたものである。
【0024】
図1は、この発明の第1の実施形態に係わるIP電話システムを示す概略構成図である。
このシステムは、パケット通信用の通信ネットワークとしてLAN(Local Area Network)やインターネット等を含むIP網1を有する。IP網1には、複数のIP電話端末T11〜T1i(iは自然数)が接続されている。なお、IP電話端末T11〜T1iは、通話処理機能とメディア情報処理機能とを備えている。また、IP網1には、複数のメディアチャネルとこのメディアチャネルを決定するために必要な制御信号を伝送する制御チャネルを有している。
【0025】
また、IP網1には、ゲートウェイGWが接続されている。このゲートウェイGWは、IP網1とアナログ電話網等の公衆網NWとの間を接続するもので、IP網1と公衆網NWとの間における通信プロトコル及び信号フォーマットの変換機能とを備えている。公衆網NWには、標準電話機等の電話端末T21が接続される。
【0026】
さらに、IP網1には、サーバ装置としての交換サーバBTAと、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバSVと、保守端末MTとが接続されている。交換サーバBTAは、IP電話端末T11〜T1i及びゲートウェイGWに対する交換制御機能と、各IP電話端末T11〜T1i及びゲートウェイGWに対するIPアドレスの割り当て機能と、各IP電話端末T11〜T1i及びゲートウェイGWに割り当てたアドレス管理機能とを有している。
【0027】
IPアドレスの割り当て機能は、各IP電話端末T11〜T1i及びゲートウェイGWの立ち上がり時に、DHCPサーバSVが保持するIPアドレスの中から空いているIPアドレスを割り当てる。
【0028】
アドレス管理機能は、例えばIP電話端末T11〜T1i及びゲートウェイGWに予め割り当ててある端末IDとしての電話番号と、固定ネットワークアドレスとしてのMAC(Media Access Control)アドレスと、各IP電話端末T11〜T1i及びゲートウェイGWに割り当てたIPアドレスの管理をそれぞれ行う。
【0029】
ところで、上記交換サーバBTAは、この発明に係わる機能として次のような機能を有している。図2はその構成を示すブロック図である。
【0030】
すなわち、交換サーバBTAは、IP網インタフェース部11と、パケット処理部12と、制御部13Aと、記憶部14とを備えている。これらIP網インタフェース部11、パケット処理部12、制御部13A及び記憶部14は、データハイウェイ15を介して互いに接続されている。
【0031】
IP網インタフェース部11には、IP網1が必要に応じて接続される。IP網インタフェース部11は、接続されたIP網1との間でインタフェース処理を行なう。また、IP網インタフェース部11は、上記インタフェース処理に係わる種々の制御情報の授受を、データハイウェイ15を介して制御部13Aとの間で行う。
【0032】
パケット処理部12は、IP網1から受信した制御パケット及びRTPパケット(または音声パケット)を処理する。
制御部13Aは、CPU、ROM、RAMを有して構成され、ソフトウェア処理により交換サーバBTAの各部の制御を行う。
記憶部14は、制御部13Aの接続制御に必要なルーティング情報等を格納している。さらに、記憶部14には、IP端末呼状態データテーブル141と、IP端末設定テーブル142とが設けられる。
【0033】
IP端末呼状態データテーブル141には、図3に示すように、IP電話端末T11〜T1i及びゲートウェイGWのIP端末番号(電話番号)と、呼状態と、使用中ポート番号と、相手IP端末番号(電話番号)との対応関係を表すデータが記憶されている。
【0034】
IP端末設定テーブル142には、図4に示すように、IP電話端末T11〜T1i及びゲートウェイGWのIP端末番号(電話番号)と、IPアドレスと、接続状態と、エラー発生回数との対応関係を表すデータが記憶されている。
【0035】
一方、制御部13Aは、IP電話端末T11〜T1i及びゲートウェイGWの交換制御機能やアドレス管理機能に加え、この発明に係わる新たな機能として、接続情報登録部131と、接続状態判定部132と、アラーム通知制御部133とを備えている。
【0036】
接続情報登録部131は、例えばIP電話端末T12とIP電話端末T18が通話中になったことを判断し、IP端末呼状態データテーブル141及びIP端末設定テーブル142のIP電話端末T12についての情報を追加更新する。
【0037】
接続状態判定部132は、IP電話端末T11により不要なパケットの誤受信を検出した旨のメッセージが通知された場合に、メッセージに含まれるIP端末番号をもとにIP端末呼状態データテーブル141及びIP端末設定テーブル142を参照し、この参照結果をもとに通知元のIP電話端末T11の通信接続状態を判定する。
【0038】
アラーム通知制御部133は、上記接続状態判定部132により判定された通信接続状態に応じたアラームメッセージを、通知元のIP電話端末T11及びIP網1上の保守端末MTに通知する。
【0039】
図5は、上記IP電話端末T11〜T1iの構成を示すブロック図である。ここでは、IP電話端末T11を代表して説明する。
【0040】
図5において、IP電話端末T11は、IP網インタフェース部21、通話処理部22、ハンドセット23、制御部24及び操作パネル部25を有している。
【0041】
IP網インタフェース部21は、IP網1との間で伝送により種々のデータの授受を行なう。また、IP網インタフェース部21は、IP網1から送られてきたRTPパケット中から通話信号や制御信号を抽出し、通話信号を通話処理部22へ、制御信号を制御部24へとそれぞれ与える。さらにIP網インタフェース部21は、通話処理部22や制御部24から与えられるシリアルデータ信号を時分割多重して伝送信号を生成し、RTPパケットとしてIP網1へ送信する。
【0042】
通話処理部22は、IP網インタフェース部21から与えられる通話信号に含まれる通話データを取り出して、この通話データからアナログの受話音声信号を再生する。そして、通話処理部22は、この再生した受話音声信号によりハンドセット23の受話器を駆動し、受話音声の出力を行なわせる。また、通話処理部22には、ハンドセット23の送話器で生成されたアナログの送話音声信号が入力される。通話処理部22は、この送話音声信号を所定形態の通話信号に変換して、IP網インタフェース部21へと与える。
【0043】
制御部24は、CPU、ROM、RAMなどを有して構成され、ソフトウェア処理によりIP電話端末T11の各部の制御を行なう。
【0044】
操作パネル部25は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示部251と、キー入力部252とを備えている。表示部251には、制御部24から出力された自装置の動作状態を表す種々情報、例えば電話帳なども表示される。
【0045】
ところで、上記制御部24には、パケット誤受信検出部241と、パケット誤受信通知部242とを備えている。パケット誤受信検出部241は、使用していないポートからの予期しない不要なパケットの誤受信を検出する。
【0046】
パケット誤受信通知部242は、上記パケット誤受信検出部241により不要なパケットの誤受信を検出した場合に、誤受信を検出した旨のメッセージを交換サーバBTに通知する。
【0047】
次に、上記構成による動作について説明する。
図6は、不要パケットの誤検出を行うIP電話端末T11〜T1iの制御処理手順を示すフローチャートである。
【0048】
(IP電話端末T12からIP電話端末T18への発信動作)
IP電話端末T12においてユーザが、IP電話端末T18のユーザと通話を行なうべく「401」のダイヤル操作を行なったとする。そうするとIP電話端末T12からその通信確立要求信号が交換サーバBTAに送られる。この通信確立要求信号を受け取ると交換サーバBTAは、着信先のIP電話端末T18を呼び出す。そして、これに対しIP電話端末T18が応答すると、IP電話端末T12とIP電話端末T18との間に通信リンクを形成する。
【0049】
かくして、IP電話端末T12のユーザはIP電話端末T18のユーザとの間で通話を行なうことが可能となる。
【0050】
そして、交換サーバBTAは、IP電話端末T12のIP端末番号と、呼状態「通話中」と、通信リンクを特定するためのポート番号「16384」と、相手側のIP電話端末T18のIP端末番号とを対応付けてIP端末呼状態データテーブル141中に記憶する。
【0051】
IP電話端末T12とIP電話端末T18との通話が終了すると、交換サーバBTはIP端末呼状態データテーブル141のIP電話端末T12について、呼状態を「通話中」から「空き」に更新し、ポート番号を削除する。
【0052】
IP電話端末T12は通話終了時点から予め設定された時間を計時し、この時間内に破棄したパケットがあるか否か、または前回の不要パケット受信検出から閾値以上の時間が経過しているか否かの判断を行う(ステップST6a)。ここで、破棄したパケットが無く、設定された時間を経過し、または前回の不要パケット受信検出から経過した時間が閾値未満である場合(NO)、IP電話端末T12は処理を終了する。
【0053】
一方、設定された時間内にパケットが破棄され、または前回の不要パケット受信検出から経過した時間が閾値以上である場合(YES)、IP電話端末T12は破棄したパケットをカウントし(ステップST6b)、破棄したパケット数が閾値以上であるか否かの判断を行う(ステップST6c)。
【0054】
ここで、破棄したパケット数が閾値以上であれば(YES)、IP電話端末T12は不要なパケット受信を検出した旨のメッセージを交換サーバBTへ通知し(ステップST6d)、検出経過時間を初期化して(ステップST6e)、処理を終了する。
【0055】
一方、破棄したパケット数が閾値未満であれば(NO)、IP電話端末T12はステップST6eに移行する。
【0056】
図7は、上記交換サーバBTAの制御処理手順を示すフローチャートである。
【0057】
交換サーバBTAは、該当IP電話端末T12からの不要なパケット受信通知のメッセージを受信した場合、IP端末呼状態テーブル141から該当IP電話端末T12のデータを読み出す(ステップST7a)。
【0058】
続いて、交換サーバBTAは、読み出した値を使用し、交換サーバBTより該当IP電話端末T12へパケット送信中か否かを判定する(ステップST7b)。ここで、該当IP電話端末T12へパケット送信中であれば(YES)、交換サーバBTAは「着信中の端末」への誤受信を示すアラームを該当IP電話端末T12または保守端末MTに通知する(ステップST7c)。
【0059】
一方、交換サーバBTAより該当IP電話端末T12へパケット送信中でなければ(NO)、交換サーバBTAは読み出した値を使用し、交換サーバBTA管理下のIP電話端末T18から該当IP電話端末T12へパケット送信中か否かを判定する(ステップST7d)。
【0060】
交換サーバBTA管理下のIP電話端末T18から該当IP電話端末T12へパケット送信中であれば(YES)、交換サーバBTAは「通信中の端末」への誤受信を示すアラームを該当IP電話端末T12または保守端末MTに通知する(ステップST7e)。
【0061】
一方、交換サーバBTA管理下のIP電話端末T18から該当IP電話端末T12へパケット送信中でなければ(NO)、交換サーバBTAは「空きの端末」への誤受信を示すアラームを該当IP電話端末T12または保守端末MTに通知する(ステップST7f)。
【0062】
以上のように上記第1の実施形態では、複数のIP電話端末T11〜T1iそれぞれに自動的にパケットの誤受信を検出するパケット誤受信検出部241を備えるようにし、IP電話端末T11〜T1iでパケットの誤受信が検出された時点で、その検出結果を交換サーバBTAに通知するようにしている。そして、この通知を受けて交換サーバBTAによりIP端末呼状態テーブル141を参照して、通知元のIP電話端末T11〜T1iの呼接続状態を判定し、呼接続状態に応じたアラームメッセージを通知元または保守端末MTに通知するようにしている。また、アラームメッセージにパケット誤受信の復旧操作のガイダンス情報も含めるようにしてもよい。
【0063】
従って、例えば通知元のIP電話端末T11のユーザまたは保守端末MTのユーザは、IP電話端末T11でパケット誤配信が発生したことを即時知ることができ、これにより該当するIP電話端末T11の呼接続状態に応じた復旧操作などの対応処置を迅速に講じることが可能となり、短期間、かつ低コストで復旧させることができる。
【0064】
また、上記第1の実施形態では、IP電話端末T11〜T1iにおいて、予め設定された時間内で破棄したパケットをカウントし、カウント数が閾値以上である場合に、パケットの誤受信と判定するようにしているので、例えば破棄したパケットが一時的なものである場合には、パケットの誤受信と判定しないようにし、破棄したパケットが連続して続く場合にパケットの誤受信と判定するようにして、IP電話端末T11〜T1iを低コストに抑えた上で、パケットの誤受信の判定上の信頼性を向上させることができる。
【0065】
(第2の実施形態)
この発明の第2の実施形態は、パケットの誤受信に対して、通知元のIP電話端末の呼接続状態に応じた復旧処理を実行するようにしたものである。
【0066】
図8は、この発明の第2の実施形態とする交換サーバBTの構成を示すブロック図である。図8において、上記図2と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0067】
交換サーバBTBの制御部13Bには、復旧制御部134が設けられる。復旧制御部134は、例えば通知元のIP電話端末T11に対し上記接続状態判定部132により判定された通信接続状態に応じた復旧処理を起動し、またエラー情報をIP網1上の保守端末MTに通知する。
【0068】
次に、上記構成による動作について説明する。
図9は、上記交換サーバBTの制御処理手順を示すフローチャートである。
【0069】
交換サーバBTは、該当IP電話端末T12からの不要なパケット受信通知のメッセージを受信した場合、IP端末呼状態テーブル141から該当IP電話端末T12のデータを読み出す(ステップST9a)。
【0070】
続いて、交換サーバBTは、読み出した値を使用し、交換サーバBTより該当IP電話端末T12へパケット送信中か否かを判定する(ステップST9b)。ここで、該当IP電話端末T12へパケット送信中であれば(YES)、交換サーバBTは復旧処理「1」を起動する(ステップST9c)。
【0071】
一方、交換サーバBTより該当IP電話端末T12へパケット送信中でなければ(NO)、交換サーバBTは読み出した値を使用し、交換サーバBT管理下のIP電話端末T18から該当IP電話端末T12へパケット送信中か否かを判定する(ステップST9d)。
【0072】
交換サーバBT管理下のIP電話端末T18から該当IP電話端末T12へパケット送信中であれば(YES)、交換サーバBTは復旧処理「2」を起動する(ステップST9e)。
【0073】
一方、交換サーバBT管理下のIP電話端末T18から該当IP電話端末T12へパケット送信中でなければ(NO)、交換サーバBTは復旧処理「0」を起動する(ステップST9f)。
【0074】
図10は、交換サーバBTBにおけるパケット誤配信の復旧処理「0」を実行する制御処理手順を示すフローチャートである。
【0075】
交換サーバBTBは、復旧制御部134より復旧処理「0」を起動されると、記憶部14内のIP端末設定テーブル142より該当IP電話端末T12のIPアドレスを取得する(ステップST10a)。
【0076】
続いて、交換サーバBTBは、DHCPサーバSVより該当IP電話端末T12のIPアドレスを再取得し(ステップST10b)、DHCPサーバSVより再取得したIPアドレスがIP端末設定テーブル142から取得したIPアドレスと異なるか否かを判定する(ステップST10c)。
【0077】
ここで、再取得したIPアドレスがIP端末設定テーブル142中の該当IP電話端末T12のIPアドレスと異なっていなければ(NO)、交換サーバBTBは上記ステップST10bの処理に移行する。
【0078】
一方、再取得したIPアドレスがIP端末設定テーブル142中の該当IP電話端末T12のIPアドレスと異なっていれば(YES)、交換サーバBTBはIP端末設定テーブル142へ再取得した該当IP電話端末T12のIPアドレスを設定し(ステップST10d)、該当IP電話端末T12へ新しく取得したIPアドレスを自IPアドレスとして設定し、交換サーバBTBへ再認証を行うよう通知する(ステップST10e)。
【0079】
続いて、交換サーバBTBは、記憶部14内のIP端末設定テーブル142における該当IP電話端末T12のエラー発生回数をインクリメントし、保守端末MTへエラー情報を送信し(ステップST10f)、処理終了となる。
【0080】
図11は、交換サーバBTBにおけるパケット誤配信の復旧処理「1」を実行する制御処理手順を示すフローチャートである。
【0081】
交換サーバBTBは、復旧制御部134より復旧処理「1」を起動されると、該当IP電話端末T12へパケット接続要求を送信する(ステップST11a)。
【0082】
続いて、交換サーバBTBは、記憶部14内のIP端末設定テーブル142における該当IP電話端末T12のエラー発生回数をインクリメントし、保守端末MTへエラー情報を送信し(ステップST11b)、処理終了となる。
【0083】
図12は、交換サーバBTBにおけるパケット誤配信の復旧処理「2」を実行する制御処理手順を示すフローチャートである。
【0084】
交換サーバBTBは、復旧制御部134より復旧処理「2」を起動されると、通知元のIP電話端末T12に対しパケット送信元のIP電話端末T18へのパケット再接続要求を送信する(ステップST12a)。
【0085】
続いて、交換サーバBTBは、記憶部14内のIP端末設定テーブル142における該当IP電話端末T12のエラー発生回数をインクリメントし、保守端末MTへエラー情報を送信し(ステップST12b)、処理終了となる。
【0086】
以上のように上記第2の実施形態では、パケット誤受信の通知を受けた交換サーバBTにおいて、例えばパケット誤受信の通知元のIP電話端末T13が着信中であると判定したとき、通知元のIP電話端末T13に対し接続要求を送信し、通知元のIP電話端末T12が通信中であると判定したとき、通知元のIP電話端末T12に対しパケット送信元のIP電話端末T18への再接続要求を送信し、通知元のIP電話端末T11が空きであると判定されたとき、DOS攻撃等から守るために通知元のIP電話端末T11に割り当てたIPアドレスと異なるIPアドレスをDHCPサーバSVから取得して、当該通知元のIP電話端末T11に割り当てたIPアドレスの設定変更を行うというように、保守員の復旧操作を待たずに迅速に復旧させることができる。
【0087】
なお、上記第2の実施形態において、制御部12の通信接続に係わる処理負荷を監視し、処理負荷が所定の値以下の場合のみ復旧処理を起動するようにしてもよい。このようにすれば、他の通信処理に影響を及ぼすことなく、復旧処理を実行できる。
【0088】
(その他の実施形態)
この発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。例えば、通話終了時のタイミングでパケットの誤受信の検出を開始する例について説明したが、待機状態でパケットの誤受信の検出を開始するようにしてもよい。誤受信の検出を開始するタイミングとしては、「予め検出開始時刻を設定しておく」、「交換システムが接続されているネットワークを定期的に診断する際に、ネットワーク異常と判断された場合に、自動的に検出を開始する」、「交換サーバ側で各IP電話端末の使用時間をカウントしておき、一定時間に達したIP電話端末に対して検出開始要求を送信する」などが考えられる。
【0089】
また、各実施形態では、交換サーバとゲートウェイとを別々に設ける例について説明したが、ゲートウェイを交換サーバに内蔵するようにしてもよい。
【0090】
また、各実施形態では、交換サーバとDHCPサーバとを別々に設ける例について説明したが、交換サーバにDHCP機能を持たせるようにしてもよい。
【0091】
その他、IP電話システムの構成、交換サーバの機能構成、IP電話端末の機能構成、テーブルの記憶内容、アラーム通知制御や復旧処理制御の制御手順とその内容等についてもこの発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
【符号の説明】
【0092】
1…IP網、11…IP網インタフェース部、12…パケット処理部、13A,13B…制御部、14…記憶部、15…データハイウェイ、21…LANインタフェース部、22…通話処理部、23…ハンドセット、24…制御部、25…操作パネル部、251…表示部、252…キー入力部、131…接続情報登録部、132…接続状態判定部、133…アラーム通知制御部、134…復旧制御部、141…IP端末呼状態テーブル、142…IP端末設定テーブル、241…パケット誤受信検出部、242…パケット誤受信通知部、T11〜T1i,T21…IP電話端末、GW…ゲートウェイ、NW…IP網、SV…DHCPサーバ、MT…保守端末。
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばIP(Internet Protocol)電話システムのように、IP網を介して端末間で音声通信を行なう通信システムに係わり、特に端末に対し不要なパケットの配信を防止するためのパケット誤配信対処方法と、この通信システムで使用されるサーバ装置及び端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IP網を介して双方向に画像や音声をパケットデータとして、リアルタイムに送受信するIP電話システムが普及している。このIP電話システムでは、IP網に交換サーバ及び複数のIP端末が接続されると共に、交換サーバごとにIP端末間の通信やIP端末と外線との通信を行うことができる。
【0003】
ところで、上記IP電話システムでは、パケット誤配信が発生した場合には交換サーバで自動的に検出できないため、ユーザの申告を元に問題発生を認識し、さらに保守者が問題の発生部位と疑われる区間のパケットを収集し解析している。例えば何らかの原因でRTP(Real-time Transport Protocol)パケットが誤配信された場合、ユーザから不要な音声が聞こえる、あるいは音声が片方向にしか聞こえない、全く聞こえないなどの申告を元に問題発生を認識した上で、さらに原因究明するための解析作業を人手に頼っている。
【0004】
なお、関連する技術として、Dos/DDos攻撃を防ぐ加入者端末装置で、Dos/DDos攻撃を検出し、CPUの負荷がある閾値を超えたときに上位通信装置の集合側装置に対してIPアドレス再取得を行い、自身のIPアドレスを変更する手法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−254269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記手法は、外部ネットワークからのパケット攻撃にのみ対応しており、パケット攻撃以外のパケット誤配信による対策を講じるものではない。
【0007】
また、パケット誤配信が発生すると以下のような現象が生じる。
(1)パケット誤配信により無駄な処理が発生するため、送受信側共に処理能力への負荷が増大し、システム内の機器に処理能力が低いCPUを使用している場合は、配信側または受信側は機能が提供できなくなる。
【0008】
(2)受信側が誤配信されたパケットを受信すると意図しないデータが漏れる場合もある。例えば音声通話の場合、意図しない他人の通話が聞こえてしまう。これはセキュリティ上好ましくない。
【0009】
(3)IP網に不必要なパケットが流れて帯域を圧迫し、IP網の帯域が狭い場合、パケット送受信の遅延が発生する。最悪の場合、輻輳が起こり、対応のためにシステムを停止する必要が出てくる。
【0010】
上記のような現象をすぐに解決できないため、システムの正常な運用ができず、ユーザの業務を停滞させ業績に悪影響を及ぼしたり、問題解決までの余分なコストがかかったりするなどの不利益をユーザが被っている。また、パケット誤配信の問題を解析している間は、担当の保守者が他の作業ができないため、保守作業に支障を起したり、余分な保守費用が必要になることもある。
【0011】
そこで、この発明の目的は、パケット誤配信が発生した場合に、短期間、かつ低コストで復旧させることができ、これによりユーザへの悪影響を短期間に抑えることが可能なパケット誤配信対処方法、サーバ装置及び端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、この発明に係るパケット誤配信対処方法は、パケット通信用の通信ネットワークに接続される複数の端末と、通信ネットワークに接続される複数の端末間の通信接続を実行するサーバ装置とを備えた通信システムで使用されるパケット誤配信対処方法において、複数の端末それぞれにて、不要なパケットの誤受信を検出し、誤受信を検出した場合に、誤受信を検出した旨のメッセージをサーバ装置に通知し、サーバ装置にて、端末から誤受信を検出した旨のメッセージが通知されたとき、通知元の端末の通信接続状態を判定し、判定された通信接続状態に応じたパケット誤配信の防止処理を実行するようにしたものである。この防止処理として、通信接続状態に応じたアラームメッセージを、誤受信の通知元または通信ネットワーク上の保守端末に通知するようにしている。
【0013】
この構成によれば、複数の端末それぞれに自動的にパケットの誤受信を検出する機能を持たせるようにし、端末でパケットの誤受信が発生すると、その検出結果がサーバ装置に通知される。そして、この通知を受けてサーバ装置により通知元の端末の通信接続状態が判定され、通信接続状態に応じたアラームメッセージが通知元または通信ネットワーク上の保守端末に通知される。
【0014】
従って、通知元の端末のユーザまたは保守端末のユーザは端末でパケット誤配信が発生したことを即時知ることができ、これにより該当する端末の通信接続状態に応じた復旧操作などの対応処置を迅速に講じることが可能となり、短期間、かつ低コストで復旧させることができる。
【0015】
この発明に係るサーバ装置において、端末により不要なパケットの誤受信を検出した旨のメッセージが通知された場合に、通知元の端末の通信接続状態を判定する判定手段と、この判定手段により判定された通信接続状態に応じたパケット誤配信の防止処理を実行する制御手段とを備えるようにし、制御手段は、判定手段により判定された通信接続状態に応じた復旧処理を実行するようにしたものである。
【0016】
この構成によれば、パケット誤受信の通知を受けたサーバ装置にて、パケット誤受信の通知元の端末が着信中であると判定したとき、通知元の端末に対し接続要求を送信し、通信中であると判定したとき、通知元の端末に対しパケット送信元の端末への再接続要求を送信し、空きであると判定されたとき、DOS攻撃等から守るために通知元の端末に割り当てたIPアドレスと異なるIPアドレスをDHCPサーバから取得して、当該通知元の端末に割り当てたIPアドレスの設定変更を行うというように、保守員の復旧操作を待たずに迅速に復旧させることができる。
【0017】
また、この発明に係るサーバ装置において、制御手段は、通信接続に係わる処理負荷を監視し、処理負荷が所定の値以下の場合のみ通信接続状態に応じた復旧処理を実行するようにしたものである。
【0018】
この構成によれば、他の通信処理に影響を及ぼすことなく、復旧処理を実行できる。
【0019】
さらに、この発明に係る端末装置は、パケット通信用の通信ネットワークに接続され、前記通信ネットワークのサーバ装置により通信ネットワーク上の端末と通信接続される端末装置において、不要なパケットの誤受信を検出する検出手段と、この検出手段により誤受信を検出した場合に、誤受信を検出した旨のメッセージをサーバ装置に通知する通知手段とを備えるようにし、検出手段は、予め設定された時間内で破棄したパケットをカウントし、カウント数が閾値以上である場合に、パケットの誤受信と判定するようにしたものである。
【0020】
この構成によれば、例えば破棄したパケットが一時的なものである場合には、パケットの誤受信と判定しないようにし、破棄したパケットが連続して続く場合にパケットの誤受信と判定するようにしているので、端末のコストを低コストに抑えた上で、パケットの誤受信の判定上の信頼性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
上記発明によれば、パケット誤配信が発生した場合に、短期間、かつ低コストで復旧させることができ、これによりユーザへの悪影響を短期間に抑えることが可能なパケット誤配信対処方法、サーバ装置及び端末装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の第1の実施形態に係わるIP電話システムを示す概略構成図。
【図2】上記図1に示した交換サーバの構成を示すブロック図。
【図3】上記図2に示したIP端末呼状態データテーブルの記憶内容の一例を示す図。
【図4】上記図2に示したIP端末設定テーブルの記憶内容の一例を示す図。
【図5】同第1の実施形態におけるIP電話端末の構成を示すブロック図。
【図6】同第1の実施形態において、不要パケットの誤検出を行うIP電話端末の制御処理手順を示すフローチャート。
【図7】同第1の実施形態において、不要パケットの誤検出に対応する交換サーバの制御処理手順を示すフローチャート。
【図8】この発明の第2の実施形態とする交換サーバの構成を示すブロック図。
【図9】同第2の実施形態において、不要パケットの誤検出に対応する交換サーバの制御処理手順を示すフローチャート。
【図10】同第2の実施形態において、パケット誤配信の復旧処理「0」を実行する制御処理手順を示すフローチャート。
【図11】同第2の実施形態において、パケット誤配信の復旧処理「1」を実行する制御処理手順を示すフローチャート。
【図12】同第2の実施形態において、パケット誤配信の復旧処理「2」を実行する制御処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
この発明の第1の実施形態は、パケットの誤受信に対して、通知元のIP電話端末の呼接続状態に応じたアラーム通知処理を実行するようにしたものである。
【0024】
図1は、この発明の第1の実施形態に係わるIP電話システムを示す概略構成図である。
このシステムは、パケット通信用の通信ネットワークとしてLAN(Local Area Network)やインターネット等を含むIP網1を有する。IP網1には、複数のIP電話端末T11〜T1i(iは自然数)が接続されている。なお、IP電話端末T11〜T1iは、通話処理機能とメディア情報処理機能とを備えている。また、IP網1には、複数のメディアチャネルとこのメディアチャネルを決定するために必要な制御信号を伝送する制御チャネルを有している。
【0025】
また、IP網1には、ゲートウェイGWが接続されている。このゲートウェイGWは、IP網1とアナログ電話網等の公衆網NWとの間を接続するもので、IP網1と公衆網NWとの間における通信プロトコル及び信号フォーマットの変換機能とを備えている。公衆網NWには、標準電話機等の電話端末T21が接続される。
【0026】
さらに、IP網1には、サーバ装置としての交換サーバBTAと、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバSVと、保守端末MTとが接続されている。交換サーバBTAは、IP電話端末T11〜T1i及びゲートウェイGWに対する交換制御機能と、各IP電話端末T11〜T1i及びゲートウェイGWに対するIPアドレスの割り当て機能と、各IP電話端末T11〜T1i及びゲートウェイGWに割り当てたアドレス管理機能とを有している。
【0027】
IPアドレスの割り当て機能は、各IP電話端末T11〜T1i及びゲートウェイGWの立ち上がり時に、DHCPサーバSVが保持するIPアドレスの中から空いているIPアドレスを割り当てる。
【0028】
アドレス管理機能は、例えばIP電話端末T11〜T1i及びゲートウェイGWに予め割り当ててある端末IDとしての電話番号と、固定ネットワークアドレスとしてのMAC(Media Access Control)アドレスと、各IP電話端末T11〜T1i及びゲートウェイGWに割り当てたIPアドレスの管理をそれぞれ行う。
【0029】
ところで、上記交換サーバBTAは、この発明に係わる機能として次のような機能を有している。図2はその構成を示すブロック図である。
【0030】
すなわち、交換サーバBTAは、IP網インタフェース部11と、パケット処理部12と、制御部13Aと、記憶部14とを備えている。これらIP網インタフェース部11、パケット処理部12、制御部13A及び記憶部14は、データハイウェイ15を介して互いに接続されている。
【0031】
IP網インタフェース部11には、IP網1が必要に応じて接続される。IP網インタフェース部11は、接続されたIP網1との間でインタフェース処理を行なう。また、IP網インタフェース部11は、上記インタフェース処理に係わる種々の制御情報の授受を、データハイウェイ15を介して制御部13Aとの間で行う。
【0032】
パケット処理部12は、IP網1から受信した制御パケット及びRTPパケット(または音声パケット)を処理する。
制御部13Aは、CPU、ROM、RAMを有して構成され、ソフトウェア処理により交換サーバBTAの各部の制御を行う。
記憶部14は、制御部13Aの接続制御に必要なルーティング情報等を格納している。さらに、記憶部14には、IP端末呼状態データテーブル141と、IP端末設定テーブル142とが設けられる。
【0033】
IP端末呼状態データテーブル141には、図3に示すように、IP電話端末T11〜T1i及びゲートウェイGWのIP端末番号(電話番号)と、呼状態と、使用中ポート番号と、相手IP端末番号(電話番号)との対応関係を表すデータが記憶されている。
【0034】
IP端末設定テーブル142には、図4に示すように、IP電話端末T11〜T1i及びゲートウェイGWのIP端末番号(電話番号)と、IPアドレスと、接続状態と、エラー発生回数との対応関係を表すデータが記憶されている。
【0035】
一方、制御部13Aは、IP電話端末T11〜T1i及びゲートウェイGWの交換制御機能やアドレス管理機能に加え、この発明に係わる新たな機能として、接続情報登録部131と、接続状態判定部132と、アラーム通知制御部133とを備えている。
【0036】
接続情報登録部131は、例えばIP電話端末T12とIP電話端末T18が通話中になったことを判断し、IP端末呼状態データテーブル141及びIP端末設定テーブル142のIP電話端末T12についての情報を追加更新する。
【0037】
接続状態判定部132は、IP電話端末T11により不要なパケットの誤受信を検出した旨のメッセージが通知された場合に、メッセージに含まれるIP端末番号をもとにIP端末呼状態データテーブル141及びIP端末設定テーブル142を参照し、この参照結果をもとに通知元のIP電話端末T11の通信接続状態を判定する。
【0038】
アラーム通知制御部133は、上記接続状態判定部132により判定された通信接続状態に応じたアラームメッセージを、通知元のIP電話端末T11及びIP網1上の保守端末MTに通知する。
【0039】
図5は、上記IP電話端末T11〜T1iの構成を示すブロック図である。ここでは、IP電話端末T11を代表して説明する。
【0040】
図5において、IP電話端末T11は、IP網インタフェース部21、通話処理部22、ハンドセット23、制御部24及び操作パネル部25を有している。
【0041】
IP網インタフェース部21は、IP網1との間で伝送により種々のデータの授受を行なう。また、IP網インタフェース部21は、IP網1から送られてきたRTPパケット中から通話信号や制御信号を抽出し、通話信号を通話処理部22へ、制御信号を制御部24へとそれぞれ与える。さらにIP網インタフェース部21は、通話処理部22や制御部24から与えられるシリアルデータ信号を時分割多重して伝送信号を生成し、RTPパケットとしてIP網1へ送信する。
【0042】
通話処理部22は、IP網インタフェース部21から与えられる通話信号に含まれる通話データを取り出して、この通話データからアナログの受話音声信号を再生する。そして、通話処理部22は、この再生した受話音声信号によりハンドセット23の受話器を駆動し、受話音声の出力を行なわせる。また、通話処理部22には、ハンドセット23の送話器で生成されたアナログの送話音声信号が入力される。通話処理部22は、この送話音声信号を所定形態の通話信号に変換して、IP網インタフェース部21へと与える。
【0043】
制御部24は、CPU、ROM、RAMなどを有して構成され、ソフトウェア処理によりIP電話端末T11の各部の制御を行なう。
【0044】
操作パネル部25は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示部251と、キー入力部252とを備えている。表示部251には、制御部24から出力された自装置の動作状態を表す種々情報、例えば電話帳なども表示される。
【0045】
ところで、上記制御部24には、パケット誤受信検出部241と、パケット誤受信通知部242とを備えている。パケット誤受信検出部241は、使用していないポートからの予期しない不要なパケットの誤受信を検出する。
【0046】
パケット誤受信通知部242は、上記パケット誤受信検出部241により不要なパケットの誤受信を検出した場合に、誤受信を検出した旨のメッセージを交換サーバBTに通知する。
【0047】
次に、上記構成による動作について説明する。
図6は、不要パケットの誤検出を行うIP電話端末T11〜T1iの制御処理手順を示すフローチャートである。
【0048】
(IP電話端末T12からIP電話端末T18への発信動作)
IP電話端末T12においてユーザが、IP電話端末T18のユーザと通話を行なうべく「401」のダイヤル操作を行なったとする。そうするとIP電話端末T12からその通信確立要求信号が交換サーバBTAに送られる。この通信確立要求信号を受け取ると交換サーバBTAは、着信先のIP電話端末T18を呼び出す。そして、これに対しIP電話端末T18が応答すると、IP電話端末T12とIP電話端末T18との間に通信リンクを形成する。
【0049】
かくして、IP電話端末T12のユーザはIP電話端末T18のユーザとの間で通話を行なうことが可能となる。
【0050】
そして、交換サーバBTAは、IP電話端末T12のIP端末番号と、呼状態「通話中」と、通信リンクを特定するためのポート番号「16384」と、相手側のIP電話端末T18のIP端末番号とを対応付けてIP端末呼状態データテーブル141中に記憶する。
【0051】
IP電話端末T12とIP電話端末T18との通話が終了すると、交換サーバBTはIP端末呼状態データテーブル141のIP電話端末T12について、呼状態を「通話中」から「空き」に更新し、ポート番号を削除する。
【0052】
IP電話端末T12は通話終了時点から予め設定された時間を計時し、この時間内に破棄したパケットがあるか否か、または前回の不要パケット受信検出から閾値以上の時間が経過しているか否かの判断を行う(ステップST6a)。ここで、破棄したパケットが無く、設定された時間を経過し、または前回の不要パケット受信検出から経過した時間が閾値未満である場合(NO)、IP電話端末T12は処理を終了する。
【0053】
一方、設定された時間内にパケットが破棄され、または前回の不要パケット受信検出から経過した時間が閾値以上である場合(YES)、IP電話端末T12は破棄したパケットをカウントし(ステップST6b)、破棄したパケット数が閾値以上であるか否かの判断を行う(ステップST6c)。
【0054】
ここで、破棄したパケット数が閾値以上であれば(YES)、IP電話端末T12は不要なパケット受信を検出した旨のメッセージを交換サーバBTへ通知し(ステップST6d)、検出経過時間を初期化して(ステップST6e)、処理を終了する。
【0055】
一方、破棄したパケット数が閾値未満であれば(NO)、IP電話端末T12はステップST6eに移行する。
【0056】
図7は、上記交換サーバBTAの制御処理手順を示すフローチャートである。
【0057】
交換サーバBTAは、該当IP電話端末T12からの不要なパケット受信通知のメッセージを受信した場合、IP端末呼状態テーブル141から該当IP電話端末T12のデータを読み出す(ステップST7a)。
【0058】
続いて、交換サーバBTAは、読み出した値を使用し、交換サーバBTより該当IP電話端末T12へパケット送信中か否かを判定する(ステップST7b)。ここで、該当IP電話端末T12へパケット送信中であれば(YES)、交換サーバBTAは「着信中の端末」への誤受信を示すアラームを該当IP電話端末T12または保守端末MTに通知する(ステップST7c)。
【0059】
一方、交換サーバBTAより該当IP電話端末T12へパケット送信中でなければ(NO)、交換サーバBTAは読み出した値を使用し、交換サーバBTA管理下のIP電話端末T18から該当IP電話端末T12へパケット送信中か否かを判定する(ステップST7d)。
【0060】
交換サーバBTA管理下のIP電話端末T18から該当IP電話端末T12へパケット送信中であれば(YES)、交換サーバBTAは「通信中の端末」への誤受信を示すアラームを該当IP電話端末T12または保守端末MTに通知する(ステップST7e)。
【0061】
一方、交換サーバBTA管理下のIP電話端末T18から該当IP電話端末T12へパケット送信中でなければ(NO)、交換サーバBTAは「空きの端末」への誤受信を示すアラームを該当IP電話端末T12または保守端末MTに通知する(ステップST7f)。
【0062】
以上のように上記第1の実施形態では、複数のIP電話端末T11〜T1iそれぞれに自動的にパケットの誤受信を検出するパケット誤受信検出部241を備えるようにし、IP電話端末T11〜T1iでパケットの誤受信が検出された時点で、その検出結果を交換サーバBTAに通知するようにしている。そして、この通知を受けて交換サーバBTAによりIP端末呼状態テーブル141を参照して、通知元のIP電話端末T11〜T1iの呼接続状態を判定し、呼接続状態に応じたアラームメッセージを通知元または保守端末MTに通知するようにしている。また、アラームメッセージにパケット誤受信の復旧操作のガイダンス情報も含めるようにしてもよい。
【0063】
従って、例えば通知元のIP電話端末T11のユーザまたは保守端末MTのユーザは、IP電話端末T11でパケット誤配信が発生したことを即時知ることができ、これにより該当するIP電話端末T11の呼接続状態に応じた復旧操作などの対応処置を迅速に講じることが可能となり、短期間、かつ低コストで復旧させることができる。
【0064】
また、上記第1の実施形態では、IP電話端末T11〜T1iにおいて、予め設定された時間内で破棄したパケットをカウントし、カウント数が閾値以上である場合に、パケットの誤受信と判定するようにしているので、例えば破棄したパケットが一時的なものである場合には、パケットの誤受信と判定しないようにし、破棄したパケットが連続して続く場合にパケットの誤受信と判定するようにして、IP電話端末T11〜T1iを低コストに抑えた上で、パケットの誤受信の判定上の信頼性を向上させることができる。
【0065】
(第2の実施形態)
この発明の第2の実施形態は、パケットの誤受信に対して、通知元のIP電話端末の呼接続状態に応じた復旧処理を実行するようにしたものである。
【0066】
図8は、この発明の第2の実施形態とする交換サーバBTの構成を示すブロック図である。図8において、上記図2と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0067】
交換サーバBTBの制御部13Bには、復旧制御部134が設けられる。復旧制御部134は、例えば通知元のIP電話端末T11に対し上記接続状態判定部132により判定された通信接続状態に応じた復旧処理を起動し、またエラー情報をIP網1上の保守端末MTに通知する。
【0068】
次に、上記構成による動作について説明する。
図9は、上記交換サーバBTの制御処理手順を示すフローチャートである。
【0069】
交換サーバBTは、該当IP電話端末T12からの不要なパケット受信通知のメッセージを受信した場合、IP端末呼状態テーブル141から該当IP電話端末T12のデータを読み出す(ステップST9a)。
【0070】
続いて、交換サーバBTは、読み出した値を使用し、交換サーバBTより該当IP電話端末T12へパケット送信中か否かを判定する(ステップST9b)。ここで、該当IP電話端末T12へパケット送信中であれば(YES)、交換サーバBTは復旧処理「1」を起動する(ステップST9c)。
【0071】
一方、交換サーバBTより該当IP電話端末T12へパケット送信中でなければ(NO)、交換サーバBTは読み出した値を使用し、交換サーバBT管理下のIP電話端末T18から該当IP電話端末T12へパケット送信中か否かを判定する(ステップST9d)。
【0072】
交換サーバBT管理下のIP電話端末T18から該当IP電話端末T12へパケット送信中であれば(YES)、交換サーバBTは復旧処理「2」を起動する(ステップST9e)。
【0073】
一方、交換サーバBT管理下のIP電話端末T18から該当IP電話端末T12へパケット送信中でなければ(NO)、交換サーバBTは復旧処理「0」を起動する(ステップST9f)。
【0074】
図10は、交換サーバBTBにおけるパケット誤配信の復旧処理「0」を実行する制御処理手順を示すフローチャートである。
【0075】
交換サーバBTBは、復旧制御部134より復旧処理「0」を起動されると、記憶部14内のIP端末設定テーブル142より該当IP電話端末T12のIPアドレスを取得する(ステップST10a)。
【0076】
続いて、交換サーバBTBは、DHCPサーバSVより該当IP電話端末T12のIPアドレスを再取得し(ステップST10b)、DHCPサーバSVより再取得したIPアドレスがIP端末設定テーブル142から取得したIPアドレスと異なるか否かを判定する(ステップST10c)。
【0077】
ここで、再取得したIPアドレスがIP端末設定テーブル142中の該当IP電話端末T12のIPアドレスと異なっていなければ(NO)、交換サーバBTBは上記ステップST10bの処理に移行する。
【0078】
一方、再取得したIPアドレスがIP端末設定テーブル142中の該当IP電話端末T12のIPアドレスと異なっていれば(YES)、交換サーバBTBはIP端末設定テーブル142へ再取得した該当IP電話端末T12のIPアドレスを設定し(ステップST10d)、該当IP電話端末T12へ新しく取得したIPアドレスを自IPアドレスとして設定し、交換サーバBTBへ再認証を行うよう通知する(ステップST10e)。
【0079】
続いて、交換サーバBTBは、記憶部14内のIP端末設定テーブル142における該当IP電話端末T12のエラー発生回数をインクリメントし、保守端末MTへエラー情報を送信し(ステップST10f)、処理終了となる。
【0080】
図11は、交換サーバBTBにおけるパケット誤配信の復旧処理「1」を実行する制御処理手順を示すフローチャートである。
【0081】
交換サーバBTBは、復旧制御部134より復旧処理「1」を起動されると、該当IP電話端末T12へパケット接続要求を送信する(ステップST11a)。
【0082】
続いて、交換サーバBTBは、記憶部14内のIP端末設定テーブル142における該当IP電話端末T12のエラー発生回数をインクリメントし、保守端末MTへエラー情報を送信し(ステップST11b)、処理終了となる。
【0083】
図12は、交換サーバBTBにおけるパケット誤配信の復旧処理「2」を実行する制御処理手順を示すフローチャートである。
【0084】
交換サーバBTBは、復旧制御部134より復旧処理「2」を起動されると、通知元のIP電話端末T12に対しパケット送信元のIP電話端末T18へのパケット再接続要求を送信する(ステップST12a)。
【0085】
続いて、交換サーバBTBは、記憶部14内のIP端末設定テーブル142における該当IP電話端末T12のエラー発生回数をインクリメントし、保守端末MTへエラー情報を送信し(ステップST12b)、処理終了となる。
【0086】
以上のように上記第2の実施形態では、パケット誤受信の通知を受けた交換サーバBTにおいて、例えばパケット誤受信の通知元のIP電話端末T13が着信中であると判定したとき、通知元のIP電話端末T13に対し接続要求を送信し、通知元のIP電話端末T12が通信中であると判定したとき、通知元のIP電話端末T12に対しパケット送信元のIP電話端末T18への再接続要求を送信し、通知元のIP電話端末T11が空きであると判定されたとき、DOS攻撃等から守るために通知元のIP電話端末T11に割り当てたIPアドレスと異なるIPアドレスをDHCPサーバSVから取得して、当該通知元のIP電話端末T11に割り当てたIPアドレスの設定変更を行うというように、保守員の復旧操作を待たずに迅速に復旧させることができる。
【0087】
なお、上記第2の実施形態において、制御部12の通信接続に係わる処理負荷を監視し、処理負荷が所定の値以下の場合のみ復旧処理を起動するようにしてもよい。このようにすれば、他の通信処理に影響を及ぼすことなく、復旧処理を実行できる。
【0088】
(その他の実施形態)
この発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。例えば、通話終了時のタイミングでパケットの誤受信の検出を開始する例について説明したが、待機状態でパケットの誤受信の検出を開始するようにしてもよい。誤受信の検出を開始するタイミングとしては、「予め検出開始時刻を設定しておく」、「交換システムが接続されているネットワークを定期的に診断する際に、ネットワーク異常と判断された場合に、自動的に検出を開始する」、「交換サーバ側で各IP電話端末の使用時間をカウントしておき、一定時間に達したIP電話端末に対して検出開始要求を送信する」などが考えられる。
【0089】
また、各実施形態では、交換サーバとゲートウェイとを別々に設ける例について説明したが、ゲートウェイを交換サーバに内蔵するようにしてもよい。
【0090】
また、各実施形態では、交換サーバとDHCPサーバとを別々に設ける例について説明したが、交換サーバにDHCP機能を持たせるようにしてもよい。
【0091】
その他、IP電話システムの構成、交換サーバの機能構成、IP電話端末の機能構成、テーブルの記憶内容、アラーム通知制御や復旧処理制御の制御手順とその内容等についてもこの発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
【符号の説明】
【0092】
1…IP網、11…IP網インタフェース部、12…パケット処理部、13A,13B…制御部、14…記憶部、15…データハイウェイ、21…LANインタフェース部、22…通話処理部、23…ハンドセット、24…制御部、25…操作パネル部、251…表示部、252…キー入力部、131…接続情報登録部、132…接続状態判定部、133…アラーム通知制御部、134…復旧制御部、141…IP端末呼状態テーブル、142…IP端末設定テーブル、241…パケット誤受信検出部、242…パケット誤受信通知部、T11〜T1i,T21…IP電話端末、GW…ゲートウェイ、NW…IP網、SV…DHCPサーバ、MT…保守端末。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パケット通信用の通信ネットワークに接続される複数の端末と、前記通信ネットワークに接続される複数の端末間の通信接続を実行するサーバ装置とを備えた通信システムで使用されるパケット誤配信対処方法において、
前記複数の端末それぞれにて、不要なパケットの誤受信を検出し、
前記誤受信を検出した場合に、前記誤受信を検出した旨のメッセージを前記サーバ装置に通知し、
前記サーバ装置にて、前記端末から前記誤受信を検出した旨のメッセージが通知されたとき、通知元の端末の通信接続状態を判定し、
判定された通信接続状態に応じたパケット誤配信の防止処理を実行するようにしたことを特徴とするパケット誤配信対処方法。
【請求項2】
パケット通信用の通信ネットワークに接続される複数の端末間の通信接続を実行するサーバ装置において、
前記端末により不要なパケットの誤受信を検出した旨のメッセージが通知された場合に、通知元の端末の通信接続状態を判定する判定手段と、
この判定手段により判定された通信接続状態に応じたパケット誤配信の防止処理を実行する制御手段とを具備したことを特徴とするサーバ装置。
【請求項3】
前記複数の端末間の通信接続が確立されるとき、通信接続が行なわれる複数の端末を特定する端末ID及び接続IDと、前記複数の端末間の通信接続状態を示す状態情報とを対応付けた管理テーブルを記憶する記憶手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記端末により不要なパケットの誤受信を検出した旨のメッセージが通知された場合に、このメッセージに含まれる端末IDに基づいて、前記管理テーブルを参照し、この参照結果に基づいて通知元の端末の通信接続状態を判定することを特徴とする請求項2記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記判定手段により判定された通信接続状態に応じたアラームメッセージを、誤受信の通知元または前記通信ネットワーク上の保守端末に通知することを特徴とする請求項2記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記判定手段により判定された通信接続状態に応じた復旧処理を実行することを特徴とする請求項2記載のサーバ装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記判定手段によりパケット誤受信の通知元の端末が着信中であると判定されたとき、通知元の端末に対し接続要求を送信することを特徴とする請求項5記載のサーバ装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記判定手段によりパケット誤受信の通知元の端末が通信中であると判定されたとき、通知元の端末に対しパケット送信元の端末への再接続要求を送信することを特徴とする請求項5記載のサーバ装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記判定手段によりパケット誤受信の通知元の端末が空きであると判定されたとき、通知元の端末に割り当てた接続IDと異なる接続IDを取得して、当該通知元の端末に割り当てることを特徴とする請求項5記載のサーバ装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記通信接続に係わる処理負荷を監視し、処理負荷が所定の値以下の場合のみ前記通信接続状態に応じた復旧処理を実行することを特徴とする請求項5記載のサーバ装置。
【請求項10】
パケット通信用の通信ネットワークに接続され、前記通信ネットワークのサーバ装置により前記通信ネットワーク上の端末と通信接続される端末装置において、
不要なパケットの誤受信を検出する検出手段と、
この検出手段により前記誤受信を検出した場合に、前記誤受信を検出した旨のメッセージを前記サーバ装置に通知する通知手段とを具備したことを特徴とする端末装置。
【請求項11】
前記検出手段は、予め設定された時間内で破棄したパケットをカウントし、カウント数が閾値以上である場合に、パケットの誤受信と判定することを特徴とする請求項10記載の端末装置。
【請求項12】
前記検出手段は、通信終了時から前記時間内に破棄したパケットをカウントし、カウント数が閾値以上である場合に、パケットの誤受信と判定することを特徴とする請求項11記載の端末装置。
【請求項1】
パケット通信用の通信ネットワークに接続される複数の端末と、前記通信ネットワークに接続される複数の端末間の通信接続を実行するサーバ装置とを備えた通信システムで使用されるパケット誤配信対処方法において、
前記複数の端末それぞれにて、不要なパケットの誤受信を検出し、
前記誤受信を検出した場合に、前記誤受信を検出した旨のメッセージを前記サーバ装置に通知し、
前記サーバ装置にて、前記端末から前記誤受信を検出した旨のメッセージが通知されたとき、通知元の端末の通信接続状態を判定し、
判定された通信接続状態に応じたパケット誤配信の防止処理を実行するようにしたことを特徴とするパケット誤配信対処方法。
【請求項2】
パケット通信用の通信ネットワークに接続される複数の端末間の通信接続を実行するサーバ装置において、
前記端末により不要なパケットの誤受信を検出した旨のメッセージが通知された場合に、通知元の端末の通信接続状態を判定する判定手段と、
この判定手段により判定された通信接続状態に応じたパケット誤配信の防止処理を実行する制御手段とを具備したことを特徴とするサーバ装置。
【請求項3】
前記複数の端末間の通信接続が確立されるとき、通信接続が行なわれる複数の端末を特定する端末ID及び接続IDと、前記複数の端末間の通信接続状態を示す状態情報とを対応付けた管理テーブルを記憶する記憶手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記端末により不要なパケットの誤受信を検出した旨のメッセージが通知された場合に、このメッセージに含まれる端末IDに基づいて、前記管理テーブルを参照し、この参照結果に基づいて通知元の端末の通信接続状態を判定することを特徴とする請求項2記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記判定手段により判定された通信接続状態に応じたアラームメッセージを、誤受信の通知元または前記通信ネットワーク上の保守端末に通知することを特徴とする請求項2記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記判定手段により判定された通信接続状態に応じた復旧処理を実行することを特徴とする請求項2記載のサーバ装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記判定手段によりパケット誤受信の通知元の端末が着信中であると判定されたとき、通知元の端末に対し接続要求を送信することを特徴とする請求項5記載のサーバ装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記判定手段によりパケット誤受信の通知元の端末が通信中であると判定されたとき、通知元の端末に対しパケット送信元の端末への再接続要求を送信することを特徴とする請求項5記載のサーバ装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記判定手段によりパケット誤受信の通知元の端末が空きであると判定されたとき、通知元の端末に割り当てた接続IDと異なる接続IDを取得して、当該通知元の端末に割り当てることを特徴とする請求項5記載のサーバ装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記通信接続に係わる処理負荷を監視し、処理負荷が所定の値以下の場合のみ前記通信接続状態に応じた復旧処理を実行することを特徴とする請求項5記載のサーバ装置。
【請求項10】
パケット通信用の通信ネットワークに接続され、前記通信ネットワークのサーバ装置により前記通信ネットワーク上の端末と通信接続される端末装置において、
不要なパケットの誤受信を検出する検出手段と、
この検出手段により前記誤受信を検出した場合に、前記誤受信を検出した旨のメッセージを前記サーバ装置に通知する通知手段とを具備したことを特徴とする端末装置。
【請求項11】
前記検出手段は、予め設定された時間内で破棄したパケットをカウントし、カウント数が閾値以上である場合に、パケットの誤受信と判定することを特徴とする請求項10記載の端末装置。
【請求項12】
前記検出手段は、通信終了時から前記時間内に破棄したパケットをカウントし、カウント数が閾値以上である場合に、パケットの誤受信と判定することを特徴とする請求項11記載の端末装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−139152(P2011−139152A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296324(P2009−296324)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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