パケット転送装置及び無線通信システム
【課題】無線通信規格を変更することなく無線通信ネットワーク間におけるパケット転送を実現することができるパケット転送装置等を提供する。
【解決手段】パケット転送装置12は、ターゲットネットワークN1とプロビジョニングネットワークN2の間に介在する仮想ネットワークインターフェイス部N3と、ターゲットネットワークN1に接続され、ターゲットネットワークN1と仮想ネットワークインターフェイス部N3とがパケットの出力先として規定された経路表T1を用いて経路制御を行うターゲットネットワーク側処理部20aと、プロビジョニングネットワークN2に接続され、プロビジョニングネットワークN2と仮想ネットワークインターフェイス部N3とがパケットの出力先として規定された経路表T2を用いて経路制御を行うプロビジョニングネットワーク側処理部20bとを備える。
【解決手段】パケット転送装置12は、ターゲットネットワークN1とプロビジョニングネットワークN2の間に介在する仮想ネットワークインターフェイス部N3と、ターゲットネットワークN1に接続され、ターゲットネットワークN1と仮想ネットワークインターフェイス部N3とがパケットの出力先として規定された経路表T1を用いて経路制御を行うターゲットネットワーク側処理部20aと、プロビジョニングネットワークN2に接続され、プロビジョニングネットワークN2と仮想ネットワークインターフェイス部N3とがパケットの出力先として規定された経路表T2を用いて経路制御を行うプロビジョニングネットワーク側処理部20bとを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信ネットワーク間におけるパケットの転送が可能なパケット転送装置、及び当該装置を備える無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラントや工場等においては、無線フィールド機器と呼ばれる無線通信が可能な現場機器(測定器、操作器)を設置し、無線フィールド機器を制御するための制御信号や無線フィールド機器で得られた測定信号等を、無線通信ネットワークを介して通信する無線通信システムが実現されている。このような無線通信システムで用いられる通信規格としては、例えば国際計測制御学会(ISA:International Society of Automation)で策定されたインダストリアル・オートメーション用無線通信規格であるISA100.11aが挙げられる。
【0003】
上記の無線通信規格ISA100.11aに準拠した無線通信システムは、おおよそ上記のフィールド機器と、フィールド機器との間で無線通信ネットワークを形成するバックボーンルータと、無線通信ネットワークを介して行われる無線通信を統括して制御するシステムマネージャとから構成される。そして、システムマネージャの制御の下で、複数の通信チャネル(例えば、16チャネル)を用いたTDMA(Time Division Multiple Access:時分割多元接続)による無線通信が行われる。
【0004】
ここで、上記の無線フィールド機器を無線通信ネットワークに参入させるには、無線フィールド機器に対して「プロビジョニング(Provisioning)」と呼ばれる機器情報(ネットワークパラメータ及びセキュリティパラメータ)の設定作業を行う必要がある。この「プロビジョニング」を行う手法としては、上記の無線通信規格ISA100.11aに準拠した無線通信を行って機器情報の設定を行うOTA(Over The Air)プロビジョニングと、この無線通信とは異なる通信手段(例えば、赤外線通信等)による通信を行って機器情報の設定を行うOOB(Out-Of-Band)プロビジョニングとに大別される。
【0005】
以下の非特許文献1には、上記のOTAプロビジョニングを行う方法として、プロビジョニングのための専用のツール(プロビジョニングデバイス)を用いて行う方法と、このようなツールを用いずに行う方法とが規定されている。具体的に、前者の方法は、参入すべき無線通信ネットワーク(ターゲットネットワーク)とは物理的に分離された別の無線通信ネットワーク(プロビジョニングネットワーク)を設け、このプロビジョニングネットワークを介してツールと無線フィールド機器との間で無線通信を行って機器情報の設定を行う方法である。これに対し、後者の方法は、ターゲットネットワーク上に論理的に分離されたプロビジョニングネットワークを構築し、ターゲットネットワークからプロビジョニングネットワークを介してフィールド機器に機器情報を設定する方法である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】“ISA-100.11a-2009 Wireless systems for industrial automation: Process control and related applications”,14 Provisioning,pp.666-693
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、無線通信システムにおいては、通信資源の分配や管理を効率的に行う観点から、無線通信ネットワークを複数の小さな無線通信ネットワーク(無線サブネット)に分割して管理する管理手法が一般的に用いられる。分割された無線サブネットは、それぞれ異なる識別子(サブネットID)を付して管理される。このため、上述したターゲットネットワーク及びプロビジョニングネットワークも、それぞれ異なるサブネットIDが付されて管理されることになる。
【0008】
上述した無線通信規格ISA100.11aは、サブネットIDが同じである1つの無線サブネット内におけるパケットを転送する仕組み(具体的には、OSI参照モデルのデータリンク層による転送)の詳細を規定はしているが、互いに異なるサブネットIDが付された無線サブネット間においてパケットを転送する仕組みの詳細を何ら規定していない。このため、互いに異なるサブネットIDが付されたターゲットネットワークとプロビジョニングネットワークとの間においてはパケットの転送を行うことができず、結局のところ前述したプロビジョニングデバイスを用いないOTAプロビジョニングを実現することができないという問題がある。
【0009】
ここで、OSI参照モデルのデータリンク層よりも上位に位置するネットワーク層で経路制御を行えば、サブネットIDが異なる無線サブネット間におけるパケットの転送を行うことができるとも考えられる。しかしながら、上述した無線通信規格ISA100.11aにおいて、ネットワーク層の経路制御で用いられる経路表では、無線通信ネットワークと「バックボーンネットワーク」と呼ばれる主ネットワークとを区別できるに過ぎない。このため、無線通信ネットワークを構成する個々の無線サブネットを区別するには、ネットワーク層の経路制御で用いられる経路表を大幅に変更する必要があるという問題が生ずる。
【0010】
上述した通り、無線通信規格ISA100.11aでは、無線通信ネットワークを介して行われる無線通信をシステムマネージャが統括して制御しているため、上述した経路表は、システムマネージャによって作成されてフィールド機器に割り当てられる。従って、上述した経路表が変更されてしまうと、経路表で規定される無線通信リソースの割り当てを行うための通信プロトコルも変更する必要が生じ、無線通信規格ISA100.11aを変更しなければならなくなるという問題が生ずる。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、無線通信規格を変更することなく無線通信ネットワーク間におけるパケット転送を実現することができるパケット転送装置、及び当該装置を備える無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明のパケット転送装置は、互いに異なる識別子が付された第1,第2無線通信ネットワーク(N1、N2、N1a、N1b)間におけるパケットの転送を行うパケット転送装置(12、30)であって、前記第1,第2無線通信ネットワーク間に介在する中継ネットワーク(N3、N10)と、前記第1無線通信ネットワークに接続され、前記第1無線通信ネットワークと前記中継ネットワークとがパケットの出力先として規定された第1経路表(T1)を用いて経路制御を行う第1処理部(20a、31)と、前記第2無線通信ネットワークに接続され、前記第2無線通信ネットワークと前記中継ネットワークとがパケットの出力先として規定された第2経路表(T2)を用いて経路制御を行う第2処理部(20b、32)とを備えることを特徴としている。
この発明によると、パケットの出力先を第1無線通信ネットワークと中継ネットワークとの何れにするかの経路制御が第1経路表を用いて第1処理部によって行われるとともに、パケットの出力先を第2無線通信ネットワークと中継ネットワークとの何れにするかの経路制御が第2経路表を用いて第2処理部によって行われる。
また、本発明のパケット転送装置は、前記中継ネットワークが、前記第1処理部と前記第2処理部とを仮想的に接続する仮想ネットワークであることを特徴としている。
或いは、本発明のパケット転送装置は、前記中継ネットワークが、前記第1処理部と前記第2処理部とを物理的に接続する実ネットワークであることを特徴としている。
ここで、本発明のパケット転送装置は、前記第1,第2処理部が、前記中継ネットワークに接続された状態で別個の装置として設けられていることを特徴としている。
本発明の無線通信システムは、互いに異なる識別子が付された第1,第2無線通信ネットワーク(N1、N2、N1a、N1b)を介して無線通信を行う無線通信システム(1〜4)であって、前記第1,第2無線通信ネットワークを介して行われる無線通信の制御を行う制御装置(14)と、前記第1,第2無線通信ネットワーク間におけるパケットの転送を行う上記の何れかに記載のパケット転送装置(12、30)とを備えることを特徴としている。
また、本発明の無線通信システムは、前記制御装置が、前記第1,第2無線通信ネットワークと、前記パケット転送装置の前記中継ネットワーク及び前記第1,第2処理部との接続関係を示す情報に基づいて、前記第1,第2処理部で用いられる前記第1,第2経路表を生成することを特徴としている。
また、本発明の無線通信システムは、前記制御装置が接続される主ネットワーク(N)及び前記第1無線通信ネットワークに接続される第1ルータ装置(13、13a)を備えることを特徴としている。
また、本発明の無線通信システムは、前記主ネットワーク及び前記第2無線通信ネットワークに接続される第2ルータ装置(13b)を備えることを特徴としている。
また、本発明の無線通信システムは、前記第1無線通信ネットワークが、前記制御装置の制御の下で、参入している無線デバイスによる無線通信が行われる現用の無線通信ネットワークであり、前記第2無線通信ネットワークが、前記第1無線通信ネットワークに無線デバイスを参入させるために必要となる参入情報を、前記第1無線通信ネットワークに参入させるべき無線デバイスに設定するための補助的な無線通信ネットワークであることを特徴としている。
ここで、前記制御装置は、無線デバイスを前記第1,第2無線通信ネットワークに参入させる参入処理と、前記第2無線通信ネットワークに参入している無線デバイスに対して前記参入情報を設定する設定処理とを行うことを特徴としている。
或いは、本発明の無線通信システムは、前記第1,第2無線通信ネットワークが何れも、前記制御装置の制御の下で、参入している無線デバイスによる無線通信が行われる現用の無線通信ネットワークであることを特徴としている。
また、本発明の無線通信システムは、前記パケット転送装置の前記第1処理部が、前記制御装置の制御の下で、無線デバイスを前記1無線通信ネットワークに接続させるための情報を第1広告として前記第1無線通信ネットワークに向けて送信し、前記パケット転送装置の前記第2処理部が、前記制御装置の制御の下で、無線デバイスを前記2無線通信ネットワークに接続させるための情報を第2広告として前記第2無線通信ネットワークに向けて送信することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1無線通信ネットワークと中継ネットワークとがパケットの出力先として規定された第1経路表を用いて第1処理部が経路制御を行うとともに、第2無線通信ネットワークと中継ネットワークとがパケットの出力先として規定された第2経路表を用いて第2処理部が経路制御を行っているため、経路制御に用いられる経路表を大幅に変更することなく無線通信ネットワーク間におけるパケット転送を実現することができる。従って、無線通信規格を変更することなく無線通信ネットワーク間におけるパケット転送を実現することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態による無線通信システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態によるパケット転送装置の要部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態よるパケット転送装置で用いられる経路表T1の内容を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態よるパケット転送装置で用いられる経路表T2の内容を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態による無線通信システムのパケット転送動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態による無線通信システムのパケット転送動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1実施形態による無線通信システムへの参入動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図8】本発明の一実施形態において割り当てられる広告についての無線通信リソースを説明するための図である。
【図9】本発明の第1実施形態で行われる経路表の作成動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第1実施形態による無線通信システムのトポロジ情報を説明するための図である。
【図11】本発明の第1実施形態における経路表作成動作で作成される経路情報を説明するための図である。
【図12】本発明の第2実施形態による無線通信システムの全体構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第3実施形態による無線通信システムの全体構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の第4実施形態による無線通信システムの全体構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態によるパケット転送装置及び無線通信システムについて詳細に説明する。
【0016】
〔第1実施形態〕
〈無線通信システム〉
図1は、本発明の第1実施形態による無線通信システムの全体構成を示すブロック図である。図1に示す通り、本実施形態の無線通信システム1は、無線デバイス11、パケット転送装置12、バックボーンルータ13(第1ルータ装置)、及びシステムマネージャ14(制御装置)を備えており、システムマネージャ14の制御の下で、ターゲットネットワークN1(更には、プロビジョニングネットワークN2)を介した無線通信(例えば、無線デバイス11とバックボーンルータ13との間の無線通信)が可能である。尚、図1では1つの無線デバイス11のみを示しているが、無線デバイスの数は任意である。
【0017】
ここで、ターゲットネットワークN1(第1無線通信ネットワーク)は、無線通信システム1に形成される本来の無線通信ネットワークである。つまり、ターゲットネットワークN1は、参入している無線デバイスによる無線通信が行われる現用の無線通信ネットワークということもできる。また、プロビジョニングネットワークN2(第2無線通信ネットワーク)は、無線デバイス11をターゲットネットワークN1に参入させるOTA(Over The Air)プロビジョニングを行うために設けられる補助的な無線通信ネットワークである。つまり、プロビジョニングネットワークN2は、ターゲットネットワークN1に無線デバイス11を参入させるために必要となるプロビジョニング情報(参入情報)を、ターゲットネットワークN1に参入させるべき無線デバイス11に設定するための補助的な無線通信ネットワークということもできる。尚、システムマネージャ14が接続されるバックボーンネットワークN(主ネットワーク)は、無線通信システム1の基幹となるネットワークである。
【0018】
上記のターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークN2は何れも、無線通信システム1に設けられる無線通信ネットワークを構成する無線サブネットであり、互いに異なるサブネットID(識別子)が付されている。例えば、プロビジョニングネットワークN2には値が「1」のサブネットIDが付されており、ターゲットネットワークN1には値が「2」〜「65535(0xFFFF)」のうちの何れか1つのサブネットIDが付されている。
【0019】
無線デバイス11は、例えば流量計や温度センサ等のセンサ機器、流量制御弁や開閉弁等のバルブ機器、ファンやモータ等のアクチュエータ機器、その他のプラントや工場に設置される無線フィールドデバイスであり、インダストリアル・オートメーション用無線通信規格であるISA100.11aに準拠した無線通信を行う。尚、無線デバイス11は、OTAプロビジョニングが行われるときにはプロビジョニングネットワークN2に参入し、OTAプロビジョニングが行われた後はシステムマネージャ14の制御の下でターゲットネットワークN1に参入する。
【0020】
パケット転送装置12は、上記の無線通信規格ISA100.11aに準拠した無線通信が可能であり、ターゲットネットワークN1とプロビジョニングネットワークN2とに接続されてパケットの転送を行う。具体的に、パケット転送装置12は、ターゲットネットワークN1内におけるパケット転送、プロビジョニングネットワークN2内におけるパケット転送、及びターゲットネットワークN1とプロビジョニングネットワークN2との間におけるパケットの転送を行う。
【0021】
また、パケット転送装置12は、システムマネージャ14の制御の下で、ターゲットネットワークN1に向けて広告(第1広告)送信するとともに、プロビジョニングネットワークN2に向けて広告(第2広告)を送信する。ここで、ターゲットネットワークN1に向けて送信される広告は、無線デバイス11をターゲットネットワークN1に接続させるための情報であり、プロビジョニングネットワークN2に向けて送信される広告は、無線デバイス11をプロビジョニングネットワークN2に接続させるための情報である。尚、パケット転送装置12の詳細は後述する。
【0022】
バックボーンルータ13は、ターゲットネットワークN1と、システムマネージャ14が接続されるバックボーンネットワークNとを接続し、例えば無線デバイス11とシステムマネージャ14との間で送受信される各種データの中継を行う装置である。尚、バックボーンルータ13も上記の無線通信規格ISA100.11aに準拠した無線通信を行う。
【0023】
システムマネージャ14は、無線通信システム1の管理制御を統括して行う。例えば、システムマネージャ14は、バックボーンルータ13が接続されるターゲットネットワークN1(更には、パケット転送装置12が接続されるプロビジョニングネットワークN2)を介して行われる無線通信の制御を行う。具体的には、無線デバイス11、パケット転送装置12、及びバックボーンルータ13に対する無線通信リソース(タイムスロット及び通信チャネル)の割り当て制御を行って、ターゲットネットワークN1(更には、プロビジョニングネットワークN2)を介したTDMAによる無線通信を実現する。
【0024】
また、システムマネージャ14は、無線デバイス11をターゲットネットワークN1又はプロビジョニングネットワークN2に参入させるか否かの処理(参入処理)、及び無線デバイス11に対してプロビジョニング情報(無線デバイス11をターゲットネットワークN1に参入させるために必要となる情報)を設定する処理(OTAプロビジョニング(プロビジョニングネットワークN2を介したプロビジョニング):設定処理)を行う。加えて、システムマネージャ14は、パケット転送装置12をターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークN2に参入させる処理を行う。
【0025】
また、システムマネージャ14は、パケット転送装置12に対して前述した広告に関する無線通信リソースの割り当てを行う。具体的には、パケット転送装置12がターゲットネットワークN1に向けた広告及びプロビジョニングネットワークN2に向けた広告の各々を送信するための無線通信リソースと、各広告を受信した無線デバイス11からの接続要求をパケット転送装置12が受信するための無線通信リソースとの割り当てを行う。尚、広告に関する無線通信リソースの割り当ての詳細については後述する。
【0026】
また、システムマネージャ14は、無線通信システム1を構成する各機器(無線デバイス11〜システムマネージャ14)と、無線通信システム1に設けられるネットワーク(ターゲットネットワークN1、プロビジョニングネットワークN2、バックボーンネットワークN)との接続関係を把握し、この接続関係を示す情報に基づいて、パケット転送装置12で用いられる経路表を生成する。尚、パケット転送装置12で用いられる経路表及びその作成方法の詳細については後述する。
【0027】
〈パケット転送装置〉
図2は、本発明の第1実施形態によるパケット転送装置の要部構成を示すブロック図である。図2に示す通り、本実施形態のパケット転送装置12は、ターゲットネットワーク側処理部20a(第1処理部)、プロビジョニングネットワーク側処理部20b(第2処理部)、及び仮想ネットワークインターフェイス部N3(中継ネットワーク)を備えており、ターゲットネットワーク側処理部20aとプロビジョニングネットワーク側処理部20bとが仮想ネットワークインターフェイス部N3を介して相互に接続された構成である。
【0028】
また、ターゲットネットワーク側処理部20a及びプロビジョニングネットワーク側処理部20bは、無線通信部Cを介してターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークN2にそれぞれ接続される。無線通信部Cは、ターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークN2からの無線信号を受信し、その受信信号をターゲットネットワーク側処理部20a及びプロビジョニングネットワーク側処理部20bにそれぞれ出力する。また、ターゲットネットワーク側処理部20a及びプロビジョニングネットワーク側処理部20bからの信号を無線信号にしてターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークN2にそれぞれ送出する。尚、図2では、ターゲットネットワーク側処理部20a及びプロビジョニングネットワーク側処理部20bで共有される1つの無線通信部Cがパケット転送装置12に設けられた構成を図示しているが、パケット転送装置12には、ターゲットネットワーク側処理部20a及びプロビジョニングネットワーク側処理部20bの各々に対応した複数の無線通信部が設けられていても良い。
【0029】
ここで、仮想ネットワークインターフェイス部N3は、ターゲットネットワーク側処理部20aとプロビジョニングネットワーク側処理部20bとを接続する仮想的なネットワーク(仮想ネットワーク)に対するインターフェイスを示している。この仮想ネットワークインターフェイス部N3は、例えばターゲットネットワーク側処理部20aとプロビジョニングネットワーク側処理部20bとを接続する接続線によって実現される。尚、ターゲットネットワーク側処理部20a及びプロビジョニングネットワーク側処理部20bがソフトウェアによって実現される場合には、仮想ネットワークインターフェイス部N3は、これらの間の通信を司る通信手段(例えば、プロセス間通信)によって実現される。
【0030】
ターゲットネットワーク側処理部20aは、ネットワークインターフェイス部21a、プロトコル処理部22a、経路制御部23a、及びメモリ24aを備えており、無線通信部Cを介してターゲットネットワークN1に接続されて、ターゲットネットワークN1を介して入出力されるパケットの処理を行う。具体的には、ターゲットネットワークN1と仮想ネットワークインターフェイス部N3とがパケットの出力先として規定された経路表T1(第1経路表)を用いて経路制御を行う。また、ターゲットネットワーク側処理部20aは、ターゲットネットワークN1に向けた広告の送信処理も行う。
【0031】
ネットワークインターフェイス部21aは、無線通信部Cを介してターゲットネットワークN1に接続されて、ターゲットネットワークN1を介してパケット転送装置12に送信されてくるパケット、及び、パケット転送装置12からターゲットネットワークN1を介して送信すべきパケットの入出力を行う。プロトコル処理部22aは、無線通信規格ISA100.11aで規定されるプロトコルに準拠して送受信されるパケットの処理を行う。例えば、ターゲットネットワーク側処理部20aが始点となるパケットの生成処理、ターゲットネットワーク側処理部20aが終点となるパケットの受信処理等を行う。また、プロトコル処理部22aは、上述したターゲットネットワークN1に向けた広告の送信処理を行う。
【0032】
経路制御部23aは、メモリ24aに記憶された経路表T1から次中継点を検索して転送すべきパケットの経路制御を行う。具体的には、経路表T1の内容に従って、ネットワークインターフェイス部21aにパケットを出力するか、或いは、仮想ネットワークインターフェイス部N3にパケットを出力するかを制御する。メモリ24aは、例えばRAM(Random Access Memory)等の揮発性の記憶素子によって実現され、上記の経路表T1を記憶する。
【0033】
図3は、本発明の第1実施形態よるパケット転送装置で用いられる経路表T1の内容を示す図である。図3に示す通り、経路表T1は、終点アドレス(パケットの転送先を示す機器)毎に、次中継点、中継限界数、及び出力ネットワークインターフェイスが規定されたテーブルである。尚、本実施形態では、説明を簡単にするために、経路表T1がテーブル形式のものである場合を例に挙げて説明するが、必ずしもテーブル形式のものである必要はない。
【0034】
経路表T1において、終点アドレスが「システムマネージャ」や「バックボーンルータ」である場合には、次中継点として「バックボーンルータ」が規定され、出力ネットワークインターフェイスとして「無線サブネット(ターゲットネットワーク)」が規定されている。これに対し、終点アドレスが「パケット転送装置(ネットワークインターフェイス部21b)」や「無線デバイス」である場合には、次中継点として「パケット転送装置(ネットワークインターフェイス部21b)」が規定され、出力ネットワークインターフェイスとして「バックボーンネットワーク(仮想ネットワーク)」が規定されている。
【0035】
つまり、経路表T1は、終点アドレスがターゲットネットワークN1側に存在する場合には、パケットの出力先を「無線サブネット(ターゲットネットワーク)」にするものである。これに対し、終点アドレスが仮想ネットワークインターフェイス部N3側に存在する場合には、パケットの出力先を「バックボーンネットワーク(仮想ネットワーク)」にするものである。
【0036】
ここで、上述した無線通信規格ISA100.11aにおいて、ネットワーク層の経路制御で用いられる経路表は、基本的に「無線通信ネットワーク」と「バックボーンネットワーク」とを区別できるに過ぎず、サブネットIDが異なる無線サブネットを区別することはできない。本実施形態では、経路表T1を大幅に変更することなく、サブネットIDが異なるターゲットネットワークN1とプロビジョニングネットワークN2との間のパケット転送を実現するために、経路制御部23aが、経路表T1で規定される「無線サブネット(無線通信ネットワーク)」を無線サブネットの1つであるターゲットネットワークN1と解釈し、「バックボーンネットワーク」を仮想ネットワークと解釈することとしている。
【0037】
プロビジョニングネットワーク側処理部20bは、ネットワークインターフェイス部21b、プロトコル処理部22b、経路制御部23b、及びメモリ24bを備えており、無線通信部Cを介してプロビジョニングネットワークN2に接続されて、プロビジョニングネットワークN2を介して入出力されるパケットの処理を行う。具体的には、プロビジョニングネットワークN2と仮想ネットワークインターフェイス部N3とがパケットの出力先として規定された経路表T2(第2経路表)を用いて経路制御を行う。また、プロビジョニングネットワーク側処理部20bは、プロビジョニングネットワークN2に向けた広告の送信処理も行う。
【0038】
ネットワークインターフェイス部21bは、無線通信部Cを介してプロビジョニングネットワークN2に接続されて、プロビジョニングネットワークN2を介してパケット転送装置12に送信されてくるパケット、及び、パケット転送装置12からプロビジョニングネットワークN2を介して送信すべきパケットの入出力を行う。プロトコル処理部22bは、無線通信規格ISA100.11aで規定されるプロトコルに準拠して送受信されるパケットの処理を行う。例えば、プロビジョニングネットワーク側処理部20bが始点となるパケットの生成処理、プロビジョニングネットワーク側処理部20bが終点となるパケットの受信処理等を行う。また、プロトコル処理部22bは、上述したプロビジョニングネットワークN2に向けた広告の送信処理を行う。
【0039】
経路制御部23bは、メモリ24bに記憶された経路表T2から次中継点を検索して転送すべきパケットの経路制御を行う。具体的には、経路表T2の内容に従って、ネットワークインターフェイス部21bにパケットを出力するか、或いは、仮想ネットワークインターフェイス部N3にパケットを出力するかを制御する。メモリ24bは、例えばRAM等の揮発性の記憶素子によって実現され、上記の経路表T2を記憶する。
【0040】
図4は、本発明の第1実施形態よるパケット転送装置で用いられる経路表T2の内容を示す図である。図4に示す通り、経路表T2は、経路表T1と同様に、終点アドレス毎に、次中継点、中継限界数、及び出力ネットワークインターフェイスが規定されたテーブルである。尚、経路表T2も経路表T1と同様に、必ずしもテーブル形式のものである必要はない。
【0041】
経路表T2において、終点アドレスが「システムマネージャ」、「バックボーンルータ」、「パケット転送装置(ネットワークインターフェイス部21a)」である場合には、次中継点として「パケット転送装置(ネットワークインターフェイス部21a)」が規定され、出力ネットワークインターフェイスとして「バックボーンネットワーク(仮想ネットワーク)」が規定されている。これに対し、終点アドレスが「無線デバイス」である場合には、次中継点として「無線デバイス」が規定され、出力ネットワークインターフェイスとして「無線サブネット(プロビジョニングネットワーク)」が規定されている。
【0042】
つまり、経路表T2は、終点アドレスが仮想ネットワークインターフェイス部N3側に存在する場合には、パケットの出力先を「バックボーンネットワーク(仮想ネットワーク)」にするものである。これに対し、終点アドレスがプロビジョニングネットワークN2側に存在する場合には、パケットの出力先を「無線サブネット(プロビジョニングネットワーク)」にするものである。つまり、本実施形態では、経路表T2を大幅に変更することなく、サブネットIDが異なるターゲットネットワークN1とプロビジョニングネットワークN2との間のパケット転送を実現するために、経路制御部23bが、経路表T2で規定される「無線サブネット(無線通信ネットワーク)」を無線サブネットの1つであるプロビジョニングネットワークN2と解釈し、「バックボーンネットワーク」を仮想ネットワークと解釈することとしている。
【0043】
尚、本実施形態では、理解を容易にするために、ターゲットネットワーク側処理部20a及びプロビジョニングネットワーク側処理部20bにメモリ24a,24bをそれぞれ設け、これらメモリ24a,24bに経路表T1,T2をそれぞれ記憶させる例について説明する。しかしながら、ターゲットネットワーク側処理部20a及びプロビジョニングネットワーク側処理部20bで共用される1つのメモリに経路表T1,T2を記憶させても良い。
【0044】
〈無線通信システムのパケット転送動作〉
図5,図6は、本発明の第1実施形態による無線通信システムのパケット転送動作を示すフローチャートである。尚、図5に示す処理は、パケット転送装置12に設けられた仮想ネットワークインターフェイス部N3からターゲットネットワークN1側で行われる処理である。これに対し、図6に示す処理は、パケット転送装置12に設けられた仮想ネットワークインターフェイス部N3からプロビジョニングネットワークN2側で行われる処理を示している。
【0045】
また、図5,図6中に示す「始点」は通信の始点を意味し、「終点」は通信の終点を意味する。具体的に、図5中における始点SP11及び終点EP11は、ターゲットネットワークN1に参入している無線デバイス或いはバックボーンネットワークNに接続されたデバイスが通信の始点及び終点であることをそれぞれ示しており、始点SP12及び終点EP12は、パケット転送装置12のプロトコル処理部22aが通信の始点及び終点であることをそれぞれ示している。また、図6中における始点SP21及び終点EP21は、プロビジョニングネットワークN2に参入している無線デバイスが通信の始点及び終点であることをそれぞれ示しており、始点SP22及び終点EP22は、パケット転送装置12のプロトコル処理部22bが通信の始点及び終点であることをそれぞれ示している。
【0046】
無線通信システム1においては、図5,図6中に示す4つの始点SP11,SP12,SP21,SP22の何れか1つを始点とし、図5,図6中に示す4つの終点EP11,EP12,EP21,EP22の何れか1つを終点とする通信が、図5,図6に示すフローチャートに従って行われる。以下では、プロビジョニングネットワークN2に参入している無線デバイス11がシステムマネージャ14宛てにパケットを送信する場合の動作を例に挙げて説明する。かかる場合には、図6中の始点SP21が通信の始点となり、図5中の終点EP11が通信の終点となる。
【0047】
始点SP21としての無線デバイス11から送信されたパケットは、プロビジョニングネットワークN2を介してパケット転送装置12に入力され、パケット転送装置12に設けられたプロビジョニングネットワーク側処理部20bのネットワークインターフェイス部21bで受信される(ステップS21)。受信されたパケットは、経路制御部23bにおいて、パケットの宛先が自装置(パケット転送装置12)であるか否かが判断される(ステップS22)。ここでは、無線デバイス11からシステムマネージャ14宛にパケットを送信する場合を考えているため、ステップS22の判断結果は「NO」になる。
【0048】
ステップS22の判断結果が「NO」の場合には、メモリ24bに記憶された経路表T2を検索して次中継点と出力ネットワークインターフェイスとを得る処理が経路制御部23bによって行われる(ステップS24)。ここでは、無線デバイス11からシステムマネージャ14宛にパケットを送信する場合を考えており、図4に示す経路表T2から、終点アドレスが「システムマネージャ」のときには、次中継点として「パケット転送装置(ネットワークインターフェイス部21a)」が得られ、出力ネットワークインターフェイスとして「バックボーンネットワーク」が得られる。
【0049】
以上の検索が終了すると、得られた出力ネットワークインターフェイスが「無線サブネット」であるか否かが経路制御部23bによって判断される(ステップS25)。ここでは、ステップS24の処理において、出力ネットワークインターフェイスとして「バックボーンネットワーク」が得られているため、ステップS25の判断結果は「NO」になる。すると、経路制御部23bは、出力ネットワークインターフェイスとして得られた「バックボーンネットワーク」を仮想ネットワークと解釈し、仮想ネットワークインターフェイス部N3にパケットを出力(送信)する(ステップS27)。
【0050】
プロビジョニングネットワーク側処理部20bの経路制御部23bから仮想ネットワークインターフェイス部N3に出力されたパケットは、ターゲットネットワーク側処理部20aに入力され、ターゲットネットワーク側処理部20aに設けられた経路制御部23aで受信される(ステップS18)。受信されたパケットは、経路制御部23aにおいて、パケットの宛先が自装置(パケット転送装置12)であるか否かが判断される(ステップS12)。ここでは、無線デバイス11からシステムマネージャ14宛にパケットを送信する場合を考えているため、ステップS12の判断結果は「NO」になる。
【0051】
ステップS12の判断結果が「NO」の場合には、メモリ24aに記憶された経路表T1を検索して次中継点と出力ネットワークインターフェイスとを得る処理が経路制御部23aによって行われる(ステップS14)。ここでは、無線デバイス11からシステムマネージャ14宛にパケットを送信する場合を考えており、図3に示す経路表T1から、終点アドレスが「システムマネージャ」のときには、次中継点として「バックボーンルータ」が得られ、出力ネットワークインターフェイスとして「無線サブネット」が得られる。
【0052】
以上の検索が終了すると、得られた出力ネットワークインターフェイスが「無線サブネット」であるか否かが経路制御部23aによって判断される(ステップS15)。ここでは、ステップS14の処理において、出力ネットワークインターフェイスとして「無線サブネット」が得られているため、ステップS15の判断結果は「YES」になる。すると、経路制御部23aは、出力ネットワークインターフェイスとして得られた「無線サブネット」をターゲットネットワークN1と解釈し、ネットワークインターフェイス部21aにパケットを出力する。これにより、ネットワークインターフェイス部21aからターゲットネットワークN1に向けてパケットが送信される(ステップS16)。
【0053】
ネットワークインターフェイス部21aから送信されたパケットは、ターゲットネットワークN1、バックボーンルータ13、及びバックボーンネットワークNを順に介して終点EP11としてのシステムマネージャ14に受信される。このようにして、プロビジョニングネットワークN2に参入している無線デバイス11から送信されたパケットが、プロビジョニングネットワークN2とは異なるサブネットIDが付されたターゲットネットワークN1を介してシステムマネージャ14に受信される。
【0054】
また、システムマネージャ14からプロビジョニングネットワークN2に参入している無線デバイス11宛のパケット送信は、図5中の始点SP11が通信の始点となり、図6中の終点EP21が通信の終点となる。つまり、図5中のステップS11,S12,S14,S15,S17の処理及び図6中のステップS28,S22,S24,S25,S26の処理が順に行われることにより、システムマネージャ14から送信されたパケットが、互いに異なるサブネットIDが付されたターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークN2を順に介してプロビジョニングネットワークN2に参入している無線デバイス11に受信される。
【0055】
〈無線通信システムへの参入動作〉
次に、以上説明した無線通信システム1に対して無線デバイス11やパケット転送装置12を参入させる場合の動作について説明する。無線通信システム1への参入動作は、(1)パケット転送装置12をターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークN2へ参入させる動作、(2)無線デバイス11をプロビジョニングネットワークN2へ参入させる動作、(3)無線デバイス11をターゲットネットワークN1へ参入させる動作に大別される。以下では、上記(1),(2)の参入動作について説明する。
【0056】
図7は、本発明の第1実施形態による無線通信システムへの参入動作を説明するためのタイミングチャートである。図7に示す通り、初期状態においては、システムマネージャ14の制御の下で、バックボーンルータ13からターゲットネットワークN1に対して広告(無線デバイス11やパケット転送装置12をターゲットネットワークN1に接続させるための情報)が定期的に送信されているものとする(ステップST0)。尚、パケット転送装置12は、バックボーンルータ13から送信されてくる広告を受信可能な位置に設置されているものとする。
【0057】
パケット転送装置12の電源が投入されると、まずパケット転送装置12のターゲットネットワーク側処理部20aをターゲットネットワークN1へ参入させる動作が行われる。具体的には、バックボーンルータ13からの広告がパケット転送装置12のターゲットネットワーク側処理部20aで受信されると、ターゲットネットワーク側処理部20aからバックボーンルータ13に対してジョイン要求(ターゲットネットワークN1に対する参入の要求)が送信される(ステップST11)。
【0058】
ターゲットネットワーク側処理部20aからのジョイン要求を受信すると、バックボーンルータ13は、バックボーンネットワークNを介して、ターゲットネットワーク側処理部20aからのジョイン要求をシステムマネージャ14に代理転送する(ステップST12)。尚、このジョイン要求の送信は、図5中の始点SP12が通信の始点となり、図5中の終点EP11が通信の終点となる。
【0059】
バックボーンネットワークNを介して代理転送されてきたジョイン要求を受信すると、システムマネージャ14は、ターゲットネットワーク側処理部20aに対する参入の認証を行って、認証結果に応じた応答(ジョイン要求に対する応答)を行う。システムマネージャ14からの応答は、バックボーンネットワークNを介してバックボーンルータ13に送信され(ステップST13)、バックボーンルータ13によってターゲットネットワーク側処理部20aに代理転送される(ステップST14)。尚、この応答の送信は、図5中の始点SP11が通信の始点となり、図5中の終点EP12が通信の終点となる。
【0060】
システムマネージャ14からの応答が、ターゲットネットワークN1に対する参入を許可する旨(ジョイン成功)を示すものである場合には、ターゲットネットワーク側処理部20aとシステムマネージャ14との間の通信経路が確立される(ステップST15)。すると、その通信経路上に位置するバックボーンルータ13の無線通信リソースがシステムマネージャ14によって更新され、システムマネージャ14からターゲットネットワーク側処理部20aに対する無線通信リソースの設定等が行われる。尚、上記の通信経路を介した通信は、図5中の始点SP11が始点となり図5中の終点EP12が終点となる通信と、図5中の始点SP12が始点となり図5中の終点EP11が終点となる通信とからなる。
【0061】
以上の処理が終了すると、システムマネージャ14の制御によって、ターゲットネットワーク側処理部20aからターゲットネットワークN1に対する広告(無線デバイス11をターゲットネットワークN1に接続させるための情報:第1広告)の送信が開始される(ステップST16)。これにより、パケット転送装置12を介したターゲットネットワークN1への参入が可能になる。以上により、パケット転送装置12のターゲットネットワーク側処理部20aをターゲットネットワークN1へ参入させる動作が終了する。
【0062】
次に、パケット転送装置12のプロビジョニングネットワーク側処理部20bをプロビジョニングネットワークN2へ参入させる動作が行われる。尚、この時点では、プロビジョニングネットワーク側処理部20bが参入すべきプロビジョニングネットワークN2が形成されておらず、プロビジョニングネットワークN2に対する広告(無線デバイス11やパケット転送装置12をプロビジョニングネットワークN2に接続させるための情報)が無い。このため、プロビジョニングネットワーク側処理部20bは、ターゲットネットワーク側処理部20aに対してジョイン要求(プロビジョニングネットワークN2に対する参入の要求)を送信する(ステップST21)。尚、このジョイン要求の送信は、図6中の始点SP22が通信の始点となり、図5中の終点EP12が通信の終点となる。
【0063】
プロビジョニングネットワーク側処理部20bからのジョイン要求を受信すると、ターゲットネットワーク側処理部20aは、ステップST15で確立された通信経路を介して、プロビジョニングネットワーク側処理部20bからのジョイン要求をシステムマネージャ14に代理転送する(ステップST22)。尚、このジョイン要求の送信は、図5中の始点SP12が通信の始点となり、図5中の終点EP11が通信の終点となる。
【0064】
代理転送されてきたジョイン要求を受信すると、システムマネージャ14は、プロビジョニングネットワーク側処理部20bに対する参入の認証を行って、認証結果に応じた応答(ジョイン要求に対する応答)を行う。システムマネージャ14からの応答は、上記の通信経路を介してターゲットネットワーク側処理部20aに送信される(ステップST23)。尚、この応答の送信は、図5中の始点SP11が通信の始点となり、図5中の終点EP12が通信の終点となる。
【0065】
システムマネージャ14からの応答がターゲットネットワーク側処理部20aで受信されると、その応答は、ターゲットネットワーク側処理部20aによって、プロビジョニングネットワーク側処理部20bに代理転送される(ステップST24)。尚、この応答の代理転送は、図5中の始点SP12が通信の始点となり、図6中の終点EP22が通信の終点となる。
【0066】
システムマネージャ14からの応答が、プロビジョニングネットワークN2に対する参入を許可する旨(ジョイン成功)を示すものである場合には、プロビジョニングネットワーク側処理部20bとシステムマネージャ14との間の通信経路が確立される(ステップST25)。すると、その通信経路上に位置するバックボーンルータ13及びターゲットネットワーク側処理部20aの無線通信リソースがシステムマネージャ14によって更新され、システムマネージャ14からプロビジョニングネットワーク側処理部20bに対する無線通信リソースの設定等が行われる。尚、上記の通信経路を介した通信は、図5中の始点SP11が始点となり図6中の終点EP22が終点となる通信と、図6中の始点SP22が始点となり図5中の終点EP11が終点となる通信とからなる。
【0067】
以上の処理が終了すると、システムマネージャ14の制御によって、プロビジョニングネットワーク側処理部20bからプロビジョニングネットワークN2に対する広告(無線デバイス11をプロビジョニングネットワークN2に接続させるための情報:第2広告)の送信が開始される(ステップST26)。これにより、プロビジョニングネットワークN2が形成されて、パケット転送装置12を介したプロビジョニングネットワークN2への参入が可能になる。以上により、プロビジョニングネットワーク側処理部20bをプロビジョニングネットワークN2へ参入させる動作が終了する。
【0068】
以上の動作が終了し、無線デバイス11をプロビジョニングネットワークN2へ参入させる場合には、パケット転送装置12のプロビジョニングネットワーク側処理部20bから送信されてくる広告を受信可能な位置に無線デバイス11を配置する。この無線デバイス11が上記の広告を受信すると、無線デバイス11からプロビジョニングネットワーク側処理部20bに対してジョイン要求(プロビジョニングネットワークN2に対する参入の要求)が送信される(ステップST31)。尚、このジョイン要求の送信は、図6中の始点SP21が通信の始点となり、図6中の終点EP22が通信の終点となる。
【0069】
無線デバイス11からのジョイン要求を受信すると、プロビジョニングネットワーク側処理部20bは、ステップST25で確立された通信経路を介して、無線デバイス11からのジョイン要求をシステムマネージャ14に代理転送する(ステップST32)。尚、このジョイン要求の代理転送は、図6中の始点SP22が通信の始点となり、図5中の終点EP11が通信の終点となる。
【0070】
代理転送されてきたジョイン要求を受信すると、システムマネージャ14は、無線デバイス11に対する参入の認証を行って、認証結果に応じた応答(ジョイン要求に対する応答)を行う。システムマネージャ14からの応答は、上記の通信経路を介してプロビジョニングネットワーク側処理部20bに送信され(ステップST33)、プロビジョニングネットワーク側処理部20bによって無線デバイス11に代理転送される(ステップST34)。尚、この応答の送信は、図5中の始点SP11が始点となり図6中の終点EP22が終点となる通信と、図6中の始点SP22が始点となり図6中の終点EP21が終点となる通信とからなる。
【0071】
システムマネージャ14からの応答が、プロビジョニングネットワークN2に対する参入を許可する旨(ジョイン成功)を示すものである場合には、無線デバイス11とシステムマネージャ14との間の通信経路が確立される(ステップST35)。すると、その通信経路上に位置するバックボーンルータ13、ターゲットネットワーク側処理部20a、及びプロビジョニングネットワーク側処理部20bの無線通信リソースがシステムマネージャ14によって更新され、システムマネージャ14から無線デバイス11に対する無線通信リソースの設定が行われる。尚、上記の通信経路を介した通信は、図5中の始点SP11が始点となり図6中の終点EP21が終点となる通信と、図6中の始点SP21が始点となり図5中の終点EP11が終点となる通信とからなる。
【0072】
以上の動作によって、ターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークN2の双方に参入したパケット転送装置12によって、プロビジョニングネットワークN2に参入した無線デバイス11とシステムマネージャ14との間の通信経路が確立された状態になる。このため、システムマネージャ14が、無線デバイス11に対するOTAプロビジョニングを行うことが可能になる。
【0073】
ここで、パケット転送装置12から送信される広告について説明する。前述の通り、パケット転送装置12からは、システムマネージャ14の制御の下で、ターゲットネットワークN1に対する広告と、プロビジョニングネットワークN2に対する広告とが送信される。これらの広告には、ネットワークに接続させるための情報として、TDMAによる無線通信を行うために必要な時刻同期情報と、ジョイン要求を送信するために必要となる情報とが含まれている。
【0074】
ターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークN2は、互いに異なるサブネットIDで論理的に分離されているだけであって物理的に分離されている訳ではない。このため、パケット転送装置12が、同時刻に同じ通信チャネルを用いて各々のネットワークに対する広告を送信することはできない。同様に、ターゲットネットワークN1に参入しようとしている無線デバイスと、プロビジョニングネットワークN2に参入しようとしている無線デバイスとが、同時刻に同じ通信チャネルを用いて各々のネットワークに対するジョイン要求を送信することはできない。
【0075】
このため、システムマネージャ14は、ターゲットネットワークN1に対する広告についての無線通信リソースと、プロビジョニングネットワークN2に対する広告についての無線通信リソースとが重複しないように、無線通信リソースの割り当てを行う。図8は、本発明の一実施形態において割り当てられる広告についての無線通信リソースを説明するための図である。尚、図8に示す図は、横軸に時間をとり、縦軸に通信チャネルをとっている。図8において、横軸方向の1マスは1つのタイムスロットを示しており、縦軸方向の1ますは1つの通信チャネルを示している。但し、図示の簡単化のために、図8においては通信チャネルを10チャネルのみ図示している。
【0076】
図8において、符号Q11,Q12を付したマス(斜線及び黒字の文字が付されたマス)は、ターゲットネットワークN1に対する広告に基づいて割り当てられる無線通信リソースを示しており、符号Q21,Q22を付したマス(斜線及び白字の文字が付されたマス)は、プロビジョニングネットワークN2に対する広告に基づいて割り当てられる無線通信リソースを示している。尚、符号Q11,Q21を付したマス中の文字「T」は、送信用の無線通信リソースを示しており、符号Q12,Q22を付したマス中の文字「R」は、受信用の無線通信リソースを示している。
【0077】
図8を参照すると、符号Q11が付されたマス、符号Q12が付されたマス、符号Q21が付されたマス、及び符号Q22が付されたマスの全てが重ならないようにされている。これにより、ターゲットネットワークN1に対する広告に基づいて割り当てられる無線通信リソースと、プロビジョニングネットワークN2に対する広告に基づいて割り当てられる無線通信リソースとが重複しないように、無線通信リソースの割り当てが行われていることが分かる。
【0078】
尚、パケット転送装置12のターゲットネットワーク側処理部20aは、ターゲットネットワークN1に接続されたバックボーンルータ13からの広告を受信することで時刻同期をすることができるものの、パケット転送装置12のプロビジョニングネットワーク側処理部20bは、このような時刻同期を行うことができない。これは、プロビジョニングネットワークN2に対して広告を送信する機器がパケット転送装置12以外には接続されてないからである。
【0079】
そこで、ターゲットネットワーク側処理部20aとプロビジョニングネットワーク側処理部20bとが、仮想ネットワークインターフェイス部N3を介して時刻同期情報を交換すれば、ターゲットネットワーク側処理部20aとプロビジョニングネットワーク側処理部20bとの間で時刻同期を行うことが可能になる。時刻同期情報の交換は、例えばNTP(Network Time Protocol)の様な汎用の通信プロトコルを用いても良いし、専用の通信プロトコルを用いても良い。尚、ターゲットネットワーク側処理部20aとプロビジョニングネットワーク側処理部20bとが同一のハードウェアで構成される場合には、パケット転送装置12で用いられる内部クロックを基準として時刻同期を行っても良い。
【0080】
〈システムマネージャの経路表作成動作〉
次に、システムマネージャ14で行われる経路表(パケット転送装置12で用いられる経路表T1,T2等)の作成動作について説明する。図9は、本発明の第1実施形態で行われる経路表の作成動作を示すフローチャートである。尚、図9に示すフローチャートの処理は、例えば無線通信システム1が構築されて動作を開始したとき、無線デバイス11等からのジョイン要求があったとき、或いはターゲットネットワークN1に参入した無線デバイス11が通信要求を行ったとき等に開始される。
【0081】
処理が開始されると、まずシステムマネージャ14は、経路表を用いる機器を特定する処理を行う(ステップS31)。具体的に、システムマネージャ14は、無線通信システム1のトポロジ情報に基づいて、経路表を用いる機器を特定する。尚、ここでは、理解を容易にするために、システムマネージャ14によって、パケット転送装置12のターゲットネットワーク側処理部20a(ネットワークインターフェイス部21a)が特定されたとする。
【0082】
ここで、上記のトポロジ情報とは、無線通信システム1を構成する各機器と、無線通信システム1に設けられるネットワークとの接続関係を示す情報であって、システムマネージャ14に管理される情報である。図10は、本発明の第1実施形態による無線通信システムのトポロジ情報を説明するための図である。図10に示す通り、無線通信システム1のトポロジ情報は、システムマネージャ14が最上位に配置されており、このシステムマネージャ14に対し、バックボーンルータ13、パケット転送装置12のターゲットネットワーク側処理部20a(ネットワークインターフェイス部21a)、パケット転送装置12のプロビジョニングネットワーク側処理部20b(ネットワークインターフェイス部21b)、及び無線デバイス11がネットワークによってどのように接続されているかを示す情報である。
【0083】
次に、システムマネージャ14は、上記のトポロジ情報を用いて、ステップS31で特定した機器を中心とした場合の各機器までの経路を示す経路情報を作成する(ステップS32)。図11は、本発明の第1実施形態における経路表作成動作で作成される経路情報を説明するための図である。尚、図11(a)は、ターゲットネットワーク側処理部20a(ネットワークインターフェイス部21a)を中心とした場合の経路情報を説明するための図であり、図11(b)は、プロビジョニングネットワーク側処理部20b(ネットワークインターフェイス部21b)を中心とした場合の経路情報を説明するための図である。
【0084】
図11(a)を参照すると、ネットワークインターフェイス部21aを中心とした場合の経路情報は、ネットワークインターフェイス部21aが最上位に配置されており、「バンクボーンネットワーク」側にネットワークインターフェイス部21b及び無線デバイス11が順に配置され、「無線サブネット」側にバックボーンルータ13及びシステムマネージャ14が順に配置されたものである。また、この経路情報では、ネットワークインターフェイス部21aを中心として、各機器までの中継数(ホップ数)も規定されている。
【0085】
尚、図11(b)を参照すると、ネットワークインターフェイス部21bを中心とした場合の経路情報は、ネットワークインターフェイス部21bが最上位に配置されており、「バンクボーンネットワーク」側にネットワークインターフェイス部21a、バックボーンルータ13、及びシステムマネージャ14が順に配置され、「無線サブネット」側に無線デバイス11が配置されたものである。また、この経路情報では、ネットワークインターフェイス部21bを中心として、各機器までの中継数(ホップ数)も規定されている。
【0086】
次いで、システムマネージャ14は、ステップS32で作成した経路情報に対して終点アドレス(パケットの転送先を示す機器)を設定する処理を行う(ステップS33)。例えば、図11(a)で説明した経路情報に対してシステムマネージャ14を終点アドレスとして設定する。かかる処理によって、図11(a)に示すネットワークインターフェイス部21aが始点アドレス(パケットの転送元を示す機器)に設定され、システムマネージャ14が終点アドレスに設定された経路が特定される。
【0087】
続いて、システムマネージャ14は、経路情報を参照して、経路表を作成するために必要な次中継点、中継限界数、及び出力ネットワークインターフェイスを取得する(ステップS34)。具体的には、図11(a)を参照すると、ネットワークインターフェイス部21aが始点アドレスに設定され、システムマネージャ14が終点アドレスに設定された経路では、次中継点として「バックボーンルータ」を取得し、中継限界数(ホップ数)として「2」を取得し、出力ネットワークインターフェイスとして「無線サブネット」を取得する。
【0088】
以上の処理が終了すると、システムマネージャ14は、設定すべき残りの終点アドレスの有無を判断する(ステップS35)。設定すべき残りの終点アドレスが有ると判断した場合(ステップS35の判断結果が「YES」の場合)には、システムマネージャ14は、新たな終点アドレスを設定して(ステップS33)、経路表を作成するために必要な次中継点、中継限界数、及び出力ネットワークインターフェイスを取得する(ステップS34)。
【0089】
これに対し、設定すべき残りの終点アドレスが無いと判断した場合(ステップS35の判断結果が「NO」の場合)には、システムマネージャ14は、ステップS34で取得した情報を用いて、図3に示す経路表T1を作成する(ステップS36)。作成された経路表T1は、パケット転送装置12に送信されて、ターゲットネットワーク側処理部20aのメモリ24aに記憶される。尚、設定すべき残りの終点アドレスが無いと判断されるのは、例えば図11(a)に示す無線デバイス11、ネットワークインターフェイス部21b、バックボーンルータ13、及びシステムマネージャ14の全てが終点アドレスに設定された場合である。
【0090】
以上、システムマネージャ14で行われる経路表の作成動作について、パケット転送装置12のターゲットネットワーク側処理部20aで用いられる経路表T1を作成する場合を例に挙げて説明したが、プロビジョニングネットワーク側処理部20bで用いられる経路表T2を作成する場合にも同様の動作が行われる。尚、経路表は、パケット転送装置12のみで使用される訳ではなくバックボーンルータ13でも使用される。このバックボーンルータ13で使用される経路表も、基本的には図9に示すフローチャートに従って作成される。
【0091】
以上の通り、本実施形態では、仮想ネットワークインターフェイス部N3、ターゲットネットワーク側処理部20a、及びプロビジョニングネットワーク側処理部20bを備えるパケット転送装置12を、ターゲットネットワークN1とプロビジョニングネットワークN2との間に設けている。このパケット転送装置12では、ターゲットネットワークN1と仮想ネットワークインターフェイス部N3とがパケットの出力先として規定された経路表T1を用いた経路制御がターゲットネットワーク側処理部20aによって行われ、プロビジョニングネットワークN2と仮想ネットワークインターフェイス部N3とがパケットの出力先として規定された経路表T2を用いた経路制御がプロビジョニングネットワーク側処理部20bによって行われる。
【0092】
このため、経路制御に用いられる経路表を大幅に変更することなく、互いに異なるサブネットIDが付されたターゲットネットワークN1とプロビジョニングネットワークN2との間におけるパケット転送を実現することができる。従って、無線通信規格を変更することなく上記のネットワーク間におけるパケット転送を実現することができる。これにより、プロビジョニングネットワークN2に参入している無線デバイス11に対し、ターゲットネットワークN1を介したOTAプロビジョニングを実現することが可能である。
【0093】
〔第2実施形態〕
図12は、本発明の第2実施形態による無線通信システムの全体構成を示すブロック図である。尚、図12において、図1に示した構成と同じ構成については同一の符号を付してある。図12に示す通り、本実施形態の無線通信システム2は、図1に示す無線通信システム1が備えるパケット転送装置12をパケット転送装置30に代えた構成である。
【0094】
パケット転送装置30は、実ネットワークN10(中継ネットワーク)、ターゲットネットワーク側処理装置31(第1処理部)、及びプロビジョニングネットワーク側処理装置32(第2処理部)を備えており、パケット転送装置12と同様の機能を有する。つまり、パケット転送装置30は、ターゲットネットワークN1内におけるパケット転送、プロビジョニングネットワークN2内におけるパケット転送、及びターゲットネットワークN1とプロビジョニングネットワークN2との間におけるパケットの転送を行う。
【0095】
実ネットワークN10は、任意のネットワーク(例えば、イーサネット(登録商標)等)である。ターゲットネットワーク側処理装置31は、ターゲットネットワークN1及び実ネットワークN10に接続されて、図2に示すパケット転送装置12が備えるターゲットネットワーク側処理部20aと同様の処理を行う。プロビジョニングネットワーク側処理装置32は、プロビジョニングネットワークN2及び実ネットワークN10に接続されて、図2に示すパケット転送装置12が備えるプロビジョニングネットワーク側処理部20bと同様の処理を行う。
【0096】
つまり、パケット転送装置30は、図1に示すパケット転送装置12が備える仮想ネットワークインターフェイス部N3を現存する有線ネットワーク等の実ネットワークN10とし、パケット転送装置12が備えるターゲットネットワーク側処理部20a及びプロビジョニングネットワーク側処理部20bをそれぞれ個別の装置(ターゲットネットワーク側処理装置31及びプロビジョニングネットワーク側処理装置32)としたものである。
【0097】
以上の構成のパケット転送装置30では、ターゲットネットワーク側処理装置31において図3に示す経路表T1と同様の経路表を用いて経路制御が行われ、プロビジョニングネットワーク側処理装置32において図4に示す経路表T2と同様の経路表を用いて経路制御が行われる。但し、ターゲットネットワーク側処理装置31及びプロビジョニングネットワーク側処理装置32は、経路表T1,T2で規定される「バックボーンネットワーク」を実ネットワークN10と解釈して経路制御を行う。
【0098】
以上の通り、本実施形態の無線通信システム2は、図1に示す無線通信システム1が備えるパケット転送装置12を、実ネットワークN10並びにターゲットネットワーク側処理装置31及びプロビジョニングネットワーク側処理装置32からなるパケット転送装置30に代えただけである。このため、無線通信システム2は、図1に示す無線通信システム1と同様に動作し、互いに異なるサブネットIDが付されたターゲットネットワークN1とプロビジョニングネットワークN2との間におけるパケット転送を実現することができる。よって、本実施形態においても、プロビジョニングネットワークN2に参入している無線デバイス11に対し、ターゲットネットワークN1を介したOTAプロビジョニングを実現することが可能である。
【0099】
〔第3実施形態〕
図13は、本発明の第3実施形態による無線通信システムの全体構成を示すブロック図である。尚、図13においては、図12と同様に、図1に示した構成と同じ構成については同一の符号を付してある。図13に示す通り、本実施形態の無線通信システム3は、2つのバックボーンルータ13a,13bを設けて2つのターゲットネットワークN1a,N1bを形成するとともに、これらターゲットネットワークN1a,N1bをパケット転送装置12で接続した構成である。尚、本実施形態においては、図1,図12に示すプロビジョニングネットワークN2は省略されている。
【0100】
バックボーンルータ13a(第1ルータ装置)は、ターゲットネットワークN1a(第1無線通信ネットワーク)とバックボーンネットワークNとを接続し、無線通信規格ISA100.11aに準拠した無線通信を行う。バックボーンルータ13b(第2ルータ装置)は、ターゲットネットワークN1b(第2無線通信ネットワーク)とバックボーンネットワークNとを接続し、無線通信規格ISA100.11aに準拠した無線通信を行う。これら、バックボーンルータ13a,13bは、図1,図12に示すバックボーンルータ13と同じものである。尚、ターゲットネットワークN1a,N1bには、互いに異なるサブネットIDが付されている。
【0101】
パケット転送装置12は、2つのターゲットネットワークN1a,N1bを接続する。前述した第1,第2実施形態において、パケット転送装置12は、ターゲットネットワークN1とプロビジョニングネットワークN2とを接続するものであった。ここで、ターゲットネットワークN1とプロビジョニングネットワークN2とはサブネットIDの値によって区別されているだけであって、無線通信規格ISA100.11aに準拠した無線通信ネットワークには変わりないため、2つのターゲットネットワークN1a,N1bは何の問題もなくパケット転送装置12によって接続される。
【0102】
図13に示す通り、本実施形態の無線通信システム3は、バックボーンルータ13a,13bを介してターゲットネットワークN1a,N1bをバックボーンネットワークNに接続するとともに、ターゲットネットワークN1a,N1bをパケット転送装置12によって互いに接続することによって通信経路を冗長化している。このため、仮に、ターゲットネットワークN1aに参入している無線デバイス11とシステムマネージャ14との間でバックボーンルータ13aを介する経路によって通信が行われている最中にバックボーンルータ13aに障害が発生したとしても、パケット転送装置12及びバックボーンルータ13bを介する経路によって通信を継続することが可能である。
〔第4実施形態〕
図14は、本発明の第4実施形態による無線通信システムの全体構成を示すブロック図である。尚、図14においては、図1,図13に示した構成と同じ構成については同一の符号を付してある。図14に示す通り、本実施形態の無線通信システム4は、図1中のターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークN2に代えて、2つのターゲットネットワークN1a,N1bを形成し、これらターゲットネットワークN1a,N1bをパケット転送装置12で接続した構成である。
【0103】
つまり、本実施形態の無線通信システム4は、1つのバックボーンルータ13の配下に2つのターゲットネットワークN1a,N1bを収容したものである。尚、ターゲットネットワークN1a,N1bには、互いに異なるサブネットIDが付されている。また、2つのターゲットネットワークN1a,N1bは、第3実施形態で説明した理由と同様の理由で、何の問題もなくパケット転送装置12によって接続される。
【0104】
前述した第1,第2実施形態では、無線デバイス11に対するOTAプロビジョニングを実現するために、ターゲットネットワークN1とプロビジョニングネットワークN2とをパケット転送装置12で接続していた。これに対し、本実施形態では、プロビジョニングネットワークN2を全く考慮することなく、2つのターゲットネットワークN1a,N1bをパケット転送装置12で接続している。このような接続を行うことで、例えば互いに接続されているターゲットネットワークN1a,N1bの各々に異なるセキュリティポリシを適用するという運用が可能になる。
【0105】
以上、本発明の実施形態によるパケット転送装置及び無線通信システムについて説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上述した第1実施形態では、パケット転送装置12に仮想ネットワークインターフェイス部N3が設けられている例について説明したが、仮想ネットワークインターフェイス部N3に代えて、第2実施形態で説明した実ネットワークN10が設けられていても良い。
【0106】
また、上記第1,第2実施形態において、ターゲットネットワークN1とプロビジョニングネットワークN2との間におけるパケットの転送機能を必要に応じて起動・停止させても良い。例えば、ターゲットネットワークN1を介した無線デバイス11に対するOTAプロビジョニングを行う場合にのみ上記の転送機能を起動し、OTAプロビジョニングを終えた後は上記の転送機能を停止するといった具合である。
【0107】
ターゲットネットワークN1とプロビジョニングネットワークN2との間におけるパケットの転送機能の起動・停止は、例えばシステムマネージャ14からの制御信号に基づいて、図2に示すパケット転送装置12のプロビジョニングネットワーク側処理部20b(或いは、図12に示すプロビジョニングネットワーク側処理装置32)に対する電源の供給・停止によって行う。かかる電源制御を行うことにより、省電力を図ることができる。
【0108】
尚、上記の電源の供給停止が行われた場合であっても、図2に示すパケット転送装置12のターゲットネットワーク側処理部20a(或いは、図12に示すターゲットネットワーク側処理装置31)に対する電源の供給は継続される。このため、パケット転送装置12(或いは、ターゲットネットワーク側処理装置31)は、ターゲットネットワークN1内におけるパケット転送を行う装置(通常の無線ルータ)として動作する。
【符号の説明】
【0109】
1〜4 無線通信システム
11 無線デバイス
12 パケット転送装置
13a,13b バックボーンルータ
14 システムマネージャ
20a ターゲットネットワーク側処理部
20b プロビジョニングネットワーク側処理部
30 パケット転送装置
31 ターゲットネットワーク側処理装置
32 プロビジョニングネットワーク側処理装置
N バックボーンネットワーク
N1 ターゲットネットワーク
N1a,N1b ターゲットネットワーク
N2 プロビジョニングネットワーク
N3 仮想ネットワークインターフェイス部
N10 実ネットワーク
T1,T2 経路表
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信ネットワーク間におけるパケットの転送が可能なパケット転送装置、及び当該装置を備える無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラントや工場等においては、無線フィールド機器と呼ばれる無線通信が可能な現場機器(測定器、操作器)を設置し、無線フィールド機器を制御するための制御信号や無線フィールド機器で得られた測定信号等を、無線通信ネットワークを介して通信する無線通信システムが実現されている。このような無線通信システムで用いられる通信規格としては、例えば国際計測制御学会(ISA:International Society of Automation)で策定されたインダストリアル・オートメーション用無線通信規格であるISA100.11aが挙げられる。
【0003】
上記の無線通信規格ISA100.11aに準拠した無線通信システムは、おおよそ上記のフィールド機器と、フィールド機器との間で無線通信ネットワークを形成するバックボーンルータと、無線通信ネットワークを介して行われる無線通信を統括して制御するシステムマネージャとから構成される。そして、システムマネージャの制御の下で、複数の通信チャネル(例えば、16チャネル)を用いたTDMA(Time Division Multiple Access:時分割多元接続)による無線通信が行われる。
【0004】
ここで、上記の無線フィールド機器を無線通信ネットワークに参入させるには、無線フィールド機器に対して「プロビジョニング(Provisioning)」と呼ばれる機器情報(ネットワークパラメータ及びセキュリティパラメータ)の設定作業を行う必要がある。この「プロビジョニング」を行う手法としては、上記の無線通信規格ISA100.11aに準拠した無線通信を行って機器情報の設定を行うOTA(Over The Air)プロビジョニングと、この無線通信とは異なる通信手段(例えば、赤外線通信等)による通信を行って機器情報の設定を行うOOB(Out-Of-Band)プロビジョニングとに大別される。
【0005】
以下の非特許文献1には、上記のOTAプロビジョニングを行う方法として、プロビジョニングのための専用のツール(プロビジョニングデバイス)を用いて行う方法と、このようなツールを用いずに行う方法とが規定されている。具体的に、前者の方法は、参入すべき無線通信ネットワーク(ターゲットネットワーク)とは物理的に分離された別の無線通信ネットワーク(プロビジョニングネットワーク)を設け、このプロビジョニングネットワークを介してツールと無線フィールド機器との間で無線通信を行って機器情報の設定を行う方法である。これに対し、後者の方法は、ターゲットネットワーク上に論理的に分離されたプロビジョニングネットワークを構築し、ターゲットネットワークからプロビジョニングネットワークを介してフィールド機器に機器情報を設定する方法である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】“ISA-100.11a-2009 Wireless systems for industrial automation: Process control and related applications”,14 Provisioning,pp.666-693
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、無線通信システムにおいては、通信資源の分配や管理を効率的に行う観点から、無線通信ネットワークを複数の小さな無線通信ネットワーク(無線サブネット)に分割して管理する管理手法が一般的に用いられる。分割された無線サブネットは、それぞれ異なる識別子(サブネットID)を付して管理される。このため、上述したターゲットネットワーク及びプロビジョニングネットワークも、それぞれ異なるサブネットIDが付されて管理されることになる。
【0008】
上述した無線通信規格ISA100.11aは、サブネットIDが同じである1つの無線サブネット内におけるパケットを転送する仕組み(具体的には、OSI参照モデルのデータリンク層による転送)の詳細を規定はしているが、互いに異なるサブネットIDが付された無線サブネット間においてパケットを転送する仕組みの詳細を何ら規定していない。このため、互いに異なるサブネットIDが付されたターゲットネットワークとプロビジョニングネットワークとの間においてはパケットの転送を行うことができず、結局のところ前述したプロビジョニングデバイスを用いないOTAプロビジョニングを実現することができないという問題がある。
【0009】
ここで、OSI参照モデルのデータリンク層よりも上位に位置するネットワーク層で経路制御を行えば、サブネットIDが異なる無線サブネット間におけるパケットの転送を行うことができるとも考えられる。しかしながら、上述した無線通信規格ISA100.11aにおいて、ネットワーク層の経路制御で用いられる経路表では、無線通信ネットワークと「バックボーンネットワーク」と呼ばれる主ネットワークとを区別できるに過ぎない。このため、無線通信ネットワークを構成する個々の無線サブネットを区別するには、ネットワーク層の経路制御で用いられる経路表を大幅に変更する必要があるという問題が生ずる。
【0010】
上述した通り、無線通信規格ISA100.11aでは、無線通信ネットワークを介して行われる無線通信をシステムマネージャが統括して制御しているため、上述した経路表は、システムマネージャによって作成されてフィールド機器に割り当てられる。従って、上述した経路表が変更されてしまうと、経路表で規定される無線通信リソースの割り当てを行うための通信プロトコルも変更する必要が生じ、無線通信規格ISA100.11aを変更しなければならなくなるという問題が生ずる。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、無線通信規格を変更することなく無線通信ネットワーク間におけるパケット転送を実現することができるパケット転送装置、及び当該装置を備える無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明のパケット転送装置は、互いに異なる識別子が付された第1,第2無線通信ネットワーク(N1、N2、N1a、N1b)間におけるパケットの転送を行うパケット転送装置(12、30)であって、前記第1,第2無線通信ネットワーク間に介在する中継ネットワーク(N3、N10)と、前記第1無線通信ネットワークに接続され、前記第1無線通信ネットワークと前記中継ネットワークとがパケットの出力先として規定された第1経路表(T1)を用いて経路制御を行う第1処理部(20a、31)と、前記第2無線通信ネットワークに接続され、前記第2無線通信ネットワークと前記中継ネットワークとがパケットの出力先として規定された第2経路表(T2)を用いて経路制御を行う第2処理部(20b、32)とを備えることを特徴としている。
この発明によると、パケットの出力先を第1無線通信ネットワークと中継ネットワークとの何れにするかの経路制御が第1経路表を用いて第1処理部によって行われるとともに、パケットの出力先を第2無線通信ネットワークと中継ネットワークとの何れにするかの経路制御が第2経路表を用いて第2処理部によって行われる。
また、本発明のパケット転送装置は、前記中継ネットワークが、前記第1処理部と前記第2処理部とを仮想的に接続する仮想ネットワークであることを特徴としている。
或いは、本発明のパケット転送装置は、前記中継ネットワークが、前記第1処理部と前記第2処理部とを物理的に接続する実ネットワークであることを特徴としている。
ここで、本発明のパケット転送装置は、前記第1,第2処理部が、前記中継ネットワークに接続された状態で別個の装置として設けられていることを特徴としている。
本発明の無線通信システムは、互いに異なる識別子が付された第1,第2無線通信ネットワーク(N1、N2、N1a、N1b)を介して無線通信を行う無線通信システム(1〜4)であって、前記第1,第2無線通信ネットワークを介して行われる無線通信の制御を行う制御装置(14)と、前記第1,第2無線通信ネットワーク間におけるパケットの転送を行う上記の何れかに記載のパケット転送装置(12、30)とを備えることを特徴としている。
また、本発明の無線通信システムは、前記制御装置が、前記第1,第2無線通信ネットワークと、前記パケット転送装置の前記中継ネットワーク及び前記第1,第2処理部との接続関係を示す情報に基づいて、前記第1,第2処理部で用いられる前記第1,第2経路表を生成することを特徴としている。
また、本発明の無線通信システムは、前記制御装置が接続される主ネットワーク(N)及び前記第1無線通信ネットワークに接続される第1ルータ装置(13、13a)を備えることを特徴としている。
また、本発明の無線通信システムは、前記主ネットワーク及び前記第2無線通信ネットワークに接続される第2ルータ装置(13b)を備えることを特徴としている。
また、本発明の無線通信システムは、前記第1無線通信ネットワークが、前記制御装置の制御の下で、参入している無線デバイスによる無線通信が行われる現用の無線通信ネットワークであり、前記第2無線通信ネットワークが、前記第1無線通信ネットワークに無線デバイスを参入させるために必要となる参入情報を、前記第1無線通信ネットワークに参入させるべき無線デバイスに設定するための補助的な無線通信ネットワークであることを特徴としている。
ここで、前記制御装置は、無線デバイスを前記第1,第2無線通信ネットワークに参入させる参入処理と、前記第2無線通信ネットワークに参入している無線デバイスに対して前記参入情報を設定する設定処理とを行うことを特徴としている。
或いは、本発明の無線通信システムは、前記第1,第2無線通信ネットワークが何れも、前記制御装置の制御の下で、参入している無線デバイスによる無線通信が行われる現用の無線通信ネットワークであることを特徴としている。
また、本発明の無線通信システムは、前記パケット転送装置の前記第1処理部が、前記制御装置の制御の下で、無線デバイスを前記1無線通信ネットワークに接続させるための情報を第1広告として前記第1無線通信ネットワークに向けて送信し、前記パケット転送装置の前記第2処理部が、前記制御装置の制御の下で、無線デバイスを前記2無線通信ネットワークに接続させるための情報を第2広告として前記第2無線通信ネットワークに向けて送信することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1無線通信ネットワークと中継ネットワークとがパケットの出力先として規定された第1経路表を用いて第1処理部が経路制御を行うとともに、第2無線通信ネットワークと中継ネットワークとがパケットの出力先として規定された第2経路表を用いて第2処理部が経路制御を行っているため、経路制御に用いられる経路表を大幅に変更することなく無線通信ネットワーク間におけるパケット転送を実現することができる。従って、無線通信規格を変更することなく無線通信ネットワーク間におけるパケット転送を実現することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態による無線通信システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態によるパケット転送装置の要部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態よるパケット転送装置で用いられる経路表T1の内容を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態よるパケット転送装置で用いられる経路表T2の内容を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態による無線通信システムのパケット転送動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態による無線通信システムのパケット転送動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1実施形態による無線通信システムへの参入動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図8】本発明の一実施形態において割り当てられる広告についての無線通信リソースを説明するための図である。
【図9】本発明の第1実施形態で行われる経路表の作成動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第1実施形態による無線通信システムのトポロジ情報を説明するための図である。
【図11】本発明の第1実施形態における経路表作成動作で作成される経路情報を説明するための図である。
【図12】本発明の第2実施形態による無線通信システムの全体構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第3実施形態による無線通信システムの全体構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の第4実施形態による無線通信システムの全体構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態によるパケット転送装置及び無線通信システムについて詳細に説明する。
【0016】
〔第1実施形態〕
〈無線通信システム〉
図1は、本発明の第1実施形態による無線通信システムの全体構成を示すブロック図である。図1に示す通り、本実施形態の無線通信システム1は、無線デバイス11、パケット転送装置12、バックボーンルータ13(第1ルータ装置)、及びシステムマネージャ14(制御装置)を備えており、システムマネージャ14の制御の下で、ターゲットネットワークN1(更には、プロビジョニングネットワークN2)を介した無線通信(例えば、無線デバイス11とバックボーンルータ13との間の無線通信)が可能である。尚、図1では1つの無線デバイス11のみを示しているが、無線デバイスの数は任意である。
【0017】
ここで、ターゲットネットワークN1(第1無線通信ネットワーク)は、無線通信システム1に形成される本来の無線通信ネットワークである。つまり、ターゲットネットワークN1は、参入している無線デバイスによる無線通信が行われる現用の無線通信ネットワークということもできる。また、プロビジョニングネットワークN2(第2無線通信ネットワーク)は、無線デバイス11をターゲットネットワークN1に参入させるOTA(Over The Air)プロビジョニングを行うために設けられる補助的な無線通信ネットワークである。つまり、プロビジョニングネットワークN2は、ターゲットネットワークN1に無線デバイス11を参入させるために必要となるプロビジョニング情報(参入情報)を、ターゲットネットワークN1に参入させるべき無線デバイス11に設定するための補助的な無線通信ネットワークということもできる。尚、システムマネージャ14が接続されるバックボーンネットワークN(主ネットワーク)は、無線通信システム1の基幹となるネットワークである。
【0018】
上記のターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークN2は何れも、無線通信システム1に設けられる無線通信ネットワークを構成する無線サブネットであり、互いに異なるサブネットID(識別子)が付されている。例えば、プロビジョニングネットワークN2には値が「1」のサブネットIDが付されており、ターゲットネットワークN1には値が「2」〜「65535(0xFFFF)」のうちの何れか1つのサブネットIDが付されている。
【0019】
無線デバイス11は、例えば流量計や温度センサ等のセンサ機器、流量制御弁や開閉弁等のバルブ機器、ファンやモータ等のアクチュエータ機器、その他のプラントや工場に設置される無線フィールドデバイスであり、インダストリアル・オートメーション用無線通信規格であるISA100.11aに準拠した無線通信を行う。尚、無線デバイス11は、OTAプロビジョニングが行われるときにはプロビジョニングネットワークN2に参入し、OTAプロビジョニングが行われた後はシステムマネージャ14の制御の下でターゲットネットワークN1に参入する。
【0020】
パケット転送装置12は、上記の無線通信規格ISA100.11aに準拠した無線通信が可能であり、ターゲットネットワークN1とプロビジョニングネットワークN2とに接続されてパケットの転送を行う。具体的に、パケット転送装置12は、ターゲットネットワークN1内におけるパケット転送、プロビジョニングネットワークN2内におけるパケット転送、及びターゲットネットワークN1とプロビジョニングネットワークN2との間におけるパケットの転送を行う。
【0021】
また、パケット転送装置12は、システムマネージャ14の制御の下で、ターゲットネットワークN1に向けて広告(第1広告)送信するとともに、プロビジョニングネットワークN2に向けて広告(第2広告)を送信する。ここで、ターゲットネットワークN1に向けて送信される広告は、無線デバイス11をターゲットネットワークN1に接続させるための情報であり、プロビジョニングネットワークN2に向けて送信される広告は、無線デバイス11をプロビジョニングネットワークN2に接続させるための情報である。尚、パケット転送装置12の詳細は後述する。
【0022】
バックボーンルータ13は、ターゲットネットワークN1と、システムマネージャ14が接続されるバックボーンネットワークNとを接続し、例えば無線デバイス11とシステムマネージャ14との間で送受信される各種データの中継を行う装置である。尚、バックボーンルータ13も上記の無線通信規格ISA100.11aに準拠した無線通信を行う。
【0023】
システムマネージャ14は、無線通信システム1の管理制御を統括して行う。例えば、システムマネージャ14は、バックボーンルータ13が接続されるターゲットネットワークN1(更には、パケット転送装置12が接続されるプロビジョニングネットワークN2)を介して行われる無線通信の制御を行う。具体的には、無線デバイス11、パケット転送装置12、及びバックボーンルータ13に対する無線通信リソース(タイムスロット及び通信チャネル)の割り当て制御を行って、ターゲットネットワークN1(更には、プロビジョニングネットワークN2)を介したTDMAによる無線通信を実現する。
【0024】
また、システムマネージャ14は、無線デバイス11をターゲットネットワークN1又はプロビジョニングネットワークN2に参入させるか否かの処理(参入処理)、及び無線デバイス11に対してプロビジョニング情報(無線デバイス11をターゲットネットワークN1に参入させるために必要となる情報)を設定する処理(OTAプロビジョニング(プロビジョニングネットワークN2を介したプロビジョニング):設定処理)を行う。加えて、システムマネージャ14は、パケット転送装置12をターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークN2に参入させる処理を行う。
【0025】
また、システムマネージャ14は、パケット転送装置12に対して前述した広告に関する無線通信リソースの割り当てを行う。具体的には、パケット転送装置12がターゲットネットワークN1に向けた広告及びプロビジョニングネットワークN2に向けた広告の各々を送信するための無線通信リソースと、各広告を受信した無線デバイス11からの接続要求をパケット転送装置12が受信するための無線通信リソースとの割り当てを行う。尚、広告に関する無線通信リソースの割り当ての詳細については後述する。
【0026】
また、システムマネージャ14は、無線通信システム1を構成する各機器(無線デバイス11〜システムマネージャ14)と、無線通信システム1に設けられるネットワーク(ターゲットネットワークN1、プロビジョニングネットワークN2、バックボーンネットワークN)との接続関係を把握し、この接続関係を示す情報に基づいて、パケット転送装置12で用いられる経路表を生成する。尚、パケット転送装置12で用いられる経路表及びその作成方法の詳細については後述する。
【0027】
〈パケット転送装置〉
図2は、本発明の第1実施形態によるパケット転送装置の要部構成を示すブロック図である。図2に示す通り、本実施形態のパケット転送装置12は、ターゲットネットワーク側処理部20a(第1処理部)、プロビジョニングネットワーク側処理部20b(第2処理部)、及び仮想ネットワークインターフェイス部N3(中継ネットワーク)を備えており、ターゲットネットワーク側処理部20aとプロビジョニングネットワーク側処理部20bとが仮想ネットワークインターフェイス部N3を介して相互に接続された構成である。
【0028】
また、ターゲットネットワーク側処理部20a及びプロビジョニングネットワーク側処理部20bは、無線通信部Cを介してターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークN2にそれぞれ接続される。無線通信部Cは、ターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークN2からの無線信号を受信し、その受信信号をターゲットネットワーク側処理部20a及びプロビジョニングネットワーク側処理部20bにそれぞれ出力する。また、ターゲットネットワーク側処理部20a及びプロビジョニングネットワーク側処理部20bからの信号を無線信号にしてターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークN2にそれぞれ送出する。尚、図2では、ターゲットネットワーク側処理部20a及びプロビジョニングネットワーク側処理部20bで共有される1つの無線通信部Cがパケット転送装置12に設けられた構成を図示しているが、パケット転送装置12には、ターゲットネットワーク側処理部20a及びプロビジョニングネットワーク側処理部20bの各々に対応した複数の無線通信部が設けられていても良い。
【0029】
ここで、仮想ネットワークインターフェイス部N3は、ターゲットネットワーク側処理部20aとプロビジョニングネットワーク側処理部20bとを接続する仮想的なネットワーク(仮想ネットワーク)に対するインターフェイスを示している。この仮想ネットワークインターフェイス部N3は、例えばターゲットネットワーク側処理部20aとプロビジョニングネットワーク側処理部20bとを接続する接続線によって実現される。尚、ターゲットネットワーク側処理部20a及びプロビジョニングネットワーク側処理部20bがソフトウェアによって実現される場合には、仮想ネットワークインターフェイス部N3は、これらの間の通信を司る通信手段(例えば、プロセス間通信)によって実現される。
【0030】
ターゲットネットワーク側処理部20aは、ネットワークインターフェイス部21a、プロトコル処理部22a、経路制御部23a、及びメモリ24aを備えており、無線通信部Cを介してターゲットネットワークN1に接続されて、ターゲットネットワークN1を介して入出力されるパケットの処理を行う。具体的には、ターゲットネットワークN1と仮想ネットワークインターフェイス部N3とがパケットの出力先として規定された経路表T1(第1経路表)を用いて経路制御を行う。また、ターゲットネットワーク側処理部20aは、ターゲットネットワークN1に向けた広告の送信処理も行う。
【0031】
ネットワークインターフェイス部21aは、無線通信部Cを介してターゲットネットワークN1に接続されて、ターゲットネットワークN1を介してパケット転送装置12に送信されてくるパケット、及び、パケット転送装置12からターゲットネットワークN1を介して送信すべきパケットの入出力を行う。プロトコル処理部22aは、無線通信規格ISA100.11aで規定されるプロトコルに準拠して送受信されるパケットの処理を行う。例えば、ターゲットネットワーク側処理部20aが始点となるパケットの生成処理、ターゲットネットワーク側処理部20aが終点となるパケットの受信処理等を行う。また、プロトコル処理部22aは、上述したターゲットネットワークN1に向けた広告の送信処理を行う。
【0032】
経路制御部23aは、メモリ24aに記憶された経路表T1から次中継点を検索して転送すべきパケットの経路制御を行う。具体的には、経路表T1の内容に従って、ネットワークインターフェイス部21aにパケットを出力するか、或いは、仮想ネットワークインターフェイス部N3にパケットを出力するかを制御する。メモリ24aは、例えばRAM(Random Access Memory)等の揮発性の記憶素子によって実現され、上記の経路表T1を記憶する。
【0033】
図3は、本発明の第1実施形態よるパケット転送装置で用いられる経路表T1の内容を示す図である。図3に示す通り、経路表T1は、終点アドレス(パケットの転送先を示す機器)毎に、次中継点、中継限界数、及び出力ネットワークインターフェイスが規定されたテーブルである。尚、本実施形態では、説明を簡単にするために、経路表T1がテーブル形式のものである場合を例に挙げて説明するが、必ずしもテーブル形式のものである必要はない。
【0034】
経路表T1において、終点アドレスが「システムマネージャ」や「バックボーンルータ」である場合には、次中継点として「バックボーンルータ」が規定され、出力ネットワークインターフェイスとして「無線サブネット(ターゲットネットワーク)」が規定されている。これに対し、終点アドレスが「パケット転送装置(ネットワークインターフェイス部21b)」や「無線デバイス」である場合には、次中継点として「パケット転送装置(ネットワークインターフェイス部21b)」が規定され、出力ネットワークインターフェイスとして「バックボーンネットワーク(仮想ネットワーク)」が規定されている。
【0035】
つまり、経路表T1は、終点アドレスがターゲットネットワークN1側に存在する場合には、パケットの出力先を「無線サブネット(ターゲットネットワーク)」にするものである。これに対し、終点アドレスが仮想ネットワークインターフェイス部N3側に存在する場合には、パケットの出力先を「バックボーンネットワーク(仮想ネットワーク)」にするものである。
【0036】
ここで、上述した無線通信規格ISA100.11aにおいて、ネットワーク層の経路制御で用いられる経路表は、基本的に「無線通信ネットワーク」と「バックボーンネットワーク」とを区別できるに過ぎず、サブネットIDが異なる無線サブネットを区別することはできない。本実施形態では、経路表T1を大幅に変更することなく、サブネットIDが異なるターゲットネットワークN1とプロビジョニングネットワークN2との間のパケット転送を実現するために、経路制御部23aが、経路表T1で規定される「無線サブネット(無線通信ネットワーク)」を無線サブネットの1つであるターゲットネットワークN1と解釈し、「バックボーンネットワーク」を仮想ネットワークと解釈することとしている。
【0037】
プロビジョニングネットワーク側処理部20bは、ネットワークインターフェイス部21b、プロトコル処理部22b、経路制御部23b、及びメモリ24bを備えており、無線通信部Cを介してプロビジョニングネットワークN2に接続されて、プロビジョニングネットワークN2を介して入出力されるパケットの処理を行う。具体的には、プロビジョニングネットワークN2と仮想ネットワークインターフェイス部N3とがパケットの出力先として規定された経路表T2(第2経路表)を用いて経路制御を行う。また、プロビジョニングネットワーク側処理部20bは、プロビジョニングネットワークN2に向けた広告の送信処理も行う。
【0038】
ネットワークインターフェイス部21bは、無線通信部Cを介してプロビジョニングネットワークN2に接続されて、プロビジョニングネットワークN2を介してパケット転送装置12に送信されてくるパケット、及び、パケット転送装置12からプロビジョニングネットワークN2を介して送信すべきパケットの入出力を行う。プロトコル処理部22bは、無線通信規格ISA100.11aで規定されるプロトコルに準拠して送受信されるパケットの処理を行う。例えば、プロビジョニングネットワーク側処理部20bが始点となるパケットの生成処理、プロビジョニングネットワーク側処理部20bが終点となるパケットの受信処理等を行う。また、プロトコル処理部22bは、上述したプロビジョニングネットワークN2に向けた広告の送信処理を行う。
【0039】
経路制御部23bは、メモリ24bに記憶された経路表T2から次中継点を検索して転送すべきパケットの経路制御を行う。具体的には、経路表T2の内容に従って、ネットワークインターフェイス部21bにパケットを出力するか、或いは、仮想ネットワークインターフェイス部N3にパケットを出力するかを制御する。メモリ24bは、例えばRAM等の揮発性の記憶素子によって実現され、上記の経路表T2を記憶する。
【0040】
図4は、本発明の第1実施形態よるパケット転送装置で用いられる経路表T2の内容を示す図である。図4に示す通り、経路表T2は、経路表T1と同様に、終点アドレス毎に、次中継点、中継限界数、及び出力ネットワークインターフェイスが規定されたテーブルである。尚、経路表T2も経路表T1と同様に、必ずしもテーブル形式のものである必要はない。
【0041】
経路表T2において、終点アドレスが「システムマネージャ」、「バックボーンルータ」、「パケット転送装置(ネットワークインターフェイス部21a)」である場合には、次中継点として「パケット転送装置(ネットワークインターフェイス部21a)」が規定され、出力ネットワークインターフェイスとして「バックボーンネットワーク(仮想ネットワーク)」が規定されている。これに対し、終点アドレスが「無線デバイス」である場合には、次中継点として「無線デバイス」が規定され、出力ネットワークインターフェイスとして「無線サブネット(プロビジョニングネットワーク)」が規定されている。
【0042】
つまり、経路表T2は、終点アドレスが仮想ネットワークインターフェイス部N3側に存在する場合には、パケットの出力先を「バックボーンネットワーク(仮想ネットワーク)」にするものである。これに対し、終点アドレスがプロビジョニングネットワークN2側に存在する場合には、パケットの出力先を「無線サブネット(プロビジョニングネットワーク)」にするものである。つまり、本実施形態では、経路表T2を大幅に変更することなく、サブネットIDが異なるターゲットネットワークN1とプロビジョニングネットワークN2との間のパケット転送を実現するために、経路制御部23bが、経路表T2で規定される「無線サブネット(無線通信ネットワーク)」を無線サブネットの1つであるプロビジョニングネットワークN2と解釈し、「バックボーンネットワーク」を仮想ネットワークと解釈することとしている。
【0043】
尚、本実施形態では、理解を容易にするために、ターゲットネットワーク側処理部20a及びプロビジョニングネットワーク側処理部20bにメモリ24a,24bをそれぞれ設け、これらメモリ24a,24bに経路表T1,T2をそれぞれ記憶させる例について説明する。しかしながら、ターゲットネットワーク側処理部20a及びプロビジョニングネットワーク側処理部20bで共用される1つのメモリに経路表T1,T2を記憶させても良い。
【0044】
〈無線通信システムのパケット転送動作〉
図5,図6は、本発明の第1実施形態による無線通信システムのパケット転送動作を示すフローチャートである。尚、図5に示す処理は、パケット転送装置12に設けられた仮想ネットワークインターフェイス部N3からターゲットネットワークN1側で行われる処理である。これに対し、図6に示す処理は、パケット転送装置12に設けられた仮想ネットワークインターフェイス部N3からプロビジョニングネットワークN2側で行われる処理を示している。
【0045】
また、図5,図6中に示す「始点」は通信の始点を意味し、「終点」は通信の終点を意味する。具体的に、図5中における始点SP11及び終点EP11は、ターゲットネットワークN1に参入している無線デバイス或いはバックボーンネットワークNに接続されたデバイスが通信の始点及び終点であることをそれぞれ示しており、始点SP12及び終点EP12は、パケット転送装置12のプロトコル処理部22aが通信の始点及び終点であることをそれぞれ示している。また、図6中における始点SP21及び終点EP21は、プロビジョニングネットワークN2に参入している無線デバイスが通信の始点及び終点であることをそれぞれ示しており、始点SP22及び終点EP22は、パケット転送装置12のプロトコル処理部22bが通信の始点及び終点であることをそれぞれ示している。
【0046】
無線通信システム1においては、図5,図6中に示す4つの始点SP11,SP12,SP21,SP22の何れか1つを始点とし、図5,図6中に示す4つの終点EP11,EP12,EP21,EP22の何れか1つを終点とする通信が、図5,図6に示すフローチャートに従って行われる。以下では、プロビジョニングネットワークN2に参入している無線デバイス11がシステムマネージャ14宛てにパケットを送信する場合の動作を例に挙げて説明する。かかる場合には、図6中の始点SP21が通信の始点となり、図5中の終点EP11が通信の終点となる。
【0047】
始点SP21としての無線デバイス11から送信されたパケットは、プロビジョニングネットワークN2を介してパケット転送装置12に入力され、パケット転送装置12に設けられたプロビジョニングネットワーク側処理部20bのネットワークインターフェイス部21bで受信される(ステップS21)。受信されたパケットは、経路制御部23bにおいて、パケットの宛先が自装置(パケット転送装置12)であるか否かが判断される(ステップS22)。ここでは、無線デバイス11からシステムマネージャ14宛にパケットを送信する場合を考えているため、ステップS22の判断結果は「NO」になる。
【0048】
ステップS22の判断結果が「NO」の場合には、メモリ24bに記憶された経路表T2を検索して次中継点と出力ネットワークインターフェイスとを得る処理が経路制御部23bによって行われる(ステップS24)。ここでは、無線デバイス11からシステムマネージャ14宛にパケットを送信する場合を考えており、図4に示す経路表T2から、終点アドレスが「システムマネージャ」のときには、次中継点として「パケット転送装置(ネットワークインターフェイス部21a)」が得られ、出力ネットワークインターフェイスとして「バックボーンネットワーク」が得られる。
【0049】
以上の検索が終了すると、得られた出力ネットワークインターフェイスが「無線サブネット」であるか否かが経路制御部23bによって判断される(ステップS25)。ここでは、ステップS24の処理において、出力ネットワークインターフェイスとして「バックボーンネットワーク」が得られているため、ステップS25の判断結果は「NO」になる。すると、経路制御部23bは、出力ネットワークインターフェイスとして得られた「バックボーンネットワーク」を仮想ネットワークと解釈し、仮想ネットワークインターフェイス部N3にパケットを出力(送信)する(ステップS27)。
【0050】
プロビジョニングネットワーク側処理部20bの経路制御部23bから仮想ネットワークインターフェイス部N3に出力されたパケットは、ターゲットネットワーク側処理部20aに入力され、ターゲットネットワーク側処理部20aに設けられた経路制御部23aで受信される(ステップS18)。受信されたパケットは、経路制御部23aにおいて、パケットの宛先が自装置(パケット転送装置12)であるか否かが判断される(ステップS12)。ここでは、無線デバイス11からシステムマネージャ14宛にパケットを送信する場合を考えているため、ステップS12の判断結果は「NO」になる。
【0051】
ステップS12の判断結果が「NO」の場合には、メモリ24aに記憶された経路表T1を検索して次中継点と出力ネットワークインターフェイスとを得る処理が経路制御部23aによって行われる(ステップS14)。ここでは、無線デバイス11からシステムマネージャ14宛にパケットを送信する場合を考えており、図3に示す経路表T1から、終点アドレスが「システムマネージャ」のときには、次中継点として「バックボーンルータ」が得られ、出力ネットワークインターフェイスとして「無線サブネット」が得られる。
【0052】
以上の検索が終了すると、得られた出力ネットワークインターフェイスが「無線サブネット」であるか否かが経路制御部23aによって判断される(ステップS15)。ここでは、ステップS14の処理において、出力ネットワークインターフェイスとして「無線サブネット」が得られているため、ステップS15の判断結果は「YES」になる。すると、経路制御部23aは、出力ネットワークインターフェイスとして得られた「無線サブネット」をターゲットネットワークN1と解釈し、ネットワークインターフェイス部21aにパケットを出力する。これにより、ネットワークインターフェイス部21aからターゲットネットワークN1に向けてパケットが送信される(ステップS16)。
【0053】
ネットワークインターフェイス部21aから送信されたパケットは、ターゲットネットワークN1、バックボーンルータ13、及びバックボーンネットワークNを順に介して終点EP11としてのシステムマネージャ14に受信される。このようにして、プロビジョニングネットワークN2に参入している無線デバイス11から送信されたパケットが、プロビジョニングネットワークN2とは異なるサブネットIDが付されたターゲットネットワークN1を介してシステムマネージャ14に受信される。
【0054】
また、システムマネージャ14からプロビジョニングネットワークN2に参入している無線デバイス11宛のパケット送信は、図5中の始点SP11が通信の始点となり、図6中の終点EP21が通信の終点となる。つまり、図5中のステップS11,S12,S14,S15,S17の処理及び図6中のステップS28,S22,S24,S25,S26の処理が順に行われることにより、システムマネージャ14から送信されたパケットが、互いに異なるサブネットIDが付されたターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークN2を順に介してプロビジョニングネットワークN2に参入している無線デバイス11に受信される。
【0055】
〈無線通信システムへの参入動作〉
次に、以上説明した無線通信システム1に対して無線デバイス11やパケット転送装置12を参入させる場合の動作について説明する。無線通信システム1への参入動作は、(1)パケット転送装置12をターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークN2へ参入させる動作、(2)無線デバイス11をプロビジョニングネットワークN2へ参入させる動作、(3)無線デバイス11をターゲットネットワークN1へ参入させる動作に大別される。以下では、上記(1),(2)の参入動作について説明する。
【0056】
図7は、本発明の第1実施形態による無線通信システムへの参入動作を説明するためのタイミングチャートである。図7に示す通り、初期状態においては、システムマネージャ14の制御の下で、バックボーンルータ13からターゲットネットワークN1に対して広告(無線デバイス11やパケット転送装置12をターゲットネットワークN1に接続させるための情報)が定期的に送信されているものとする(ステップST0)。尚、パケット転送装置12は、バックボーンルータ13から送信されてくる広告を受信可能な位置に設置されているものとする。
【0057】
パケット転送装置12の電源が投入されると、まずパケット転送装置12のターゲットネットワーク側処理部20aをターゲットネットワークN1へ参入させる動作が行われる。具体的には、バックボーンルータ13からの広告がパケット転送装置12のターゲットネットワーク側処理部20aで受信されると、ターゲットネットワーク側処理部20aからバックボーンルータ13に対してジョイン要求(ターゲットネットワークN1に対する参入の要求)が送信される(ステップST11)。
【0058】
ターゲットネットワーク側処理部20aからのジョイン要求を受信すると、バックボーンルータ13は、バックボーンネットワークNを介して、ターゲットネットワーク側処理部20aからのジョイン要求をシステムマネージャ14に代理転送する(ステップST12)。尚、このジョイン要求の送信は、図5中の始点SP12が通信の始点となり、図5中の終点EP11が通信の終点となる。
【0059】
バックボーンネットワークNを介して代理転送されてきたジョイン要求を受信すると、システムマネージャ14は、ターゲットネットワーク側処理部20aに対する参入の認証を行って、認証結果に応じた応答(ジョイン要求に対する応答)を行う。システムマネージャ14からの応答は、バックボーンネットワークNを介してバックボーンルータ13に送信され(ステップST13)、バックボーンルータ13によってターゲットネットワーク側処理部20aに代理転送される(ステップST14)。尚、この応答の送信は、図5中の始点SP11が通信の始点となり、図5中の終点EP12が通信の終点となる。
【0060】
システムマネージャ14からの応答が、ターゲットネットワークN1に対する参入を許可する旨(ジョイン成功)を示すものである場合には、ターゲットネットワーク側処理部20aとシステムマネージャ14との間の通信経路が確立される(ステップST15)。すると、その通信経路上に位置するバックボーンルータ13の無線通信リソースがシステムマネージャ14によって更新され、システムマネージャ14からターゲットネットワーク側処理部20aに対する無線通信リソースの設定等が行われる。尚、上記の通信経路を介した通信は、図5中の始点SP11が始点となり図5中の終点EP12が終点となる通信と、図5中の始点SP12が始点となり図5中の終点EP11が終点となる通信とからなる。
【0061】
以上の処理が終了すると、システムマネージャ14の制御によって、ターゲットネットワーク側処理部20aからターゲットネットワークN1に対する広告(無線デバイス11をターゲットネットワークN1に接続させるための情報:第1広告)の送信が開始される(ステップST16)。これにより、パケット転送装置12を介したターゲットネットワークN1への参入が可能になる。以上により、パケット転送装置12のターゲットネットワーク側処理部20aをターゲットネットワークN1へ参入させる動作が終了する。
【0062】
次に、パケット転送装置12のプロビジョニングネットワーク側処理部20bをプロビジョニングネットワークN2へ参入させる動作が行われる。尚、この時点では、プロビジョニングネットワーク側処理部20bが参入すべきプロビジョニングネットワークN2が形成されておらず、プロビジョニングネットワークN2に対する広告(無線デバイス11やパケット転送装置12をプロビジョニングネットワークN2に接続させるための情報)が無い。このため、プロビジョニングネットワーク側処理部20bは、ターゲットネットワーク側処理部20aに対してジョイン要求(プロビジョニングネットワークN2に対する参入の要求)を送信する(ステップST21)。尚、このジョイン要求の送信は、図6中の始点SP22が通信の始点となり、図5中の終点EP12が通信の終点となる。
【0063】
プロビジョニングネットワーク側処理部20bからのジョイン要求を受信すると、ターゲットネットワーク側処理部20aは、ステップST15で確立された通信経路を介して、プロビジョニングネットワーク側処理部20bからのジョイン要求をシステムマネージャ14に代理転送する(ステップST22)。尚、このジョイン要求の送信は、図5中の始点SP12が通信の始点となり、図5中の終点EP11が通信の終点となる。
【0064】
代理転送されてきたジョイン要求を受信すると、システムマネージャ14は、プロビジョニングネットワーク側処理部20bに対する参入の認証を行って、認証結果に応じた応答(ジョイン要求に対する応答)を行う。システムマネージャ14からの応答は、上記の通信経路を介してターゲットネットワーク側処理部20aに送信される(ステップST23)。尚、この応答の送信は、図5中の始点SP11が通信の始点となり、図5中の終点EP12が通信の終点となる。
【0065】
システムマネージャ14からの応答がターゲットネットワーク側処理部20aで受信されると、その応答は、ターゲットネットワーク側処理部20aによって、プロビジョニングネットワーク側処理部20bに代理転送される(ステップST24)。尚、この応答の代理転送は、図5中の始点SP12が通信の始点となり、図6中の終点EP22が通信の終点となる。
【0066】
システムマネージャ14からの応答が、プロビジョニングネットワークN2に対する参入を許可する旨(ジョイン成功)を示すものである場合には、プロビジョニングネットワーク側処理部20bとシステムマネージャ14との間の通信経路が確立される(ステップST25)。すると、その通信経路上に位置するバックボーンルータ13及びターゲットネットワーク側処理部20aの無線通信リソースがシステムマネージャ14によって更新され、システムマネージャ14からプロビジョニングネットワーク側処理部20bに対する無線通信リソースの設定等が行われる。尚、上記の通信経路を介した通信は、図5中の始点SP11が始点となり図6中の終点EP22が終点となる通信と、図6中の始点SP22が始点となり図5中の終点EP11が終点となる通信とからなる。
【0067】
以上の処理が終了すると、システムマネージャ14の制御によって、プロビジョニングネットワーク側処理部20bからプロビジョニングネットワークN2に対する広告(無線デバイス11をプロビジョニングネットワークN2に接続させるための情報:第2広告)の送信が開始される(ステップST26)。これにより、プロビジョニングネットワークN2が形成されて、パケット転送装置12を介したプロビジョニングネットワークN2への参入が可能になる。以上により、プロビジョニングネットワーク側処理部20bをプロビジョニングネットワークN2へ参入させる動作が終了する。
【0068】
以上の動作が終了し、無線デバイス11をプロビジョニングネットワークN2へ参入させる場合には、パケット転送装置12のプロビジョニングネットワーク側処理部20bから送信されてくる広告を受信可能な位置に無線デバイス11を配置する。この無線デバイス11が上記の広告を受信すると、無線デバイス11からプロビジョニングネットワーク側処理部20bに対してジョイン要求(プロビジョニングネットワークN2に対する参入の要求)が送信される(ステップST31)。尚、このジョイン要求の送信は、図6中の始点SP21が通信の始点となり、図6中の終点EP22が通信の終点となる。
【0069】
無線デバイス11からのジョイン要求を受信すると、プロビジョニングネットワーク側処理部20bは、ステップST25で確立された通信経路を介して、無線デバイス11からのジョイン要求をシステムマネージャ14に代理転送する(ステップST32)。尚、このジョイン要求の代理転送は、図6中の始点SP22が通信の始点となり、図5中の終点EP11が通信の終点となる。
【0070】
代理転送されてきたジョイン要求を受信すると、システムマネージャ14は、無線デバイス11に対する参入の認証を行って、認証結果に応じた応答(ジョイン要求に対する応答)を行う。システムマネージャ14からの応答は、上記の通信経路を介してプロビジョニングネットワーク側処理部20bに送信され(ステップST33)、プロビジョニングネットワーク側処理部20bによって無線デバイス11に代理転送される(ステップST34)。尚、この応答の送信は、図5中の始点SP11が始点となり図6中の終点EP22が終点となる通信と、図6中の始点SP22が始点となり図6中の終点EP21が終点となる通信とからなる。
【0071】
システムマネージャ14からの応答が、プロビジョニングネットワークN2に対する参入を許可する旨(ジョイン成功)を示すものである場合には、無線デバイス11とシステムマネージャ14との間の通信経路が確立される(ステップST35)。すると、その通信経路上に位置するバックボーンルータ13、ターゲットネットワーク側処理部20a、及びプロビジョニングネットワーク側処理部20bの無線通信リソースがシステムマネージャ14によって更新され、システムマネージャ14から無線デバイス11に対する無線通信リソースの設定が行われる。尚、上記の通信経路を介した通信は、図5中の始点SP11が始点となり図6中の終点EP21が終点となる通信と、図6中の始点SP21が始点となり図5中の終点EP11が終点となる通信とからなる。
【0072】
以上の動作によって、ターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークN2の双方に参入したパケット転送装置12によって、プロビジョニングネットワークN2に参入した無線デバイス11とシステムマネージャ14との間の通信経路が確立された状態になる。このため、システムマネージャ14が、無線デバイス11に対するOTAプロビジョニングを行うことが可能になる。
【0073】
ここで、パケット転送装置12から送信される広告について説明する。前述の通り、パケット転送装置12からは、システムマネージャ14の制御の下で、ターゲットネットワークN1に対する広告と、プロビジョニングネットワークN2に対する広告とが送信される。これらの広告には、ネットワークに接続させるための情報として、TDMAによる無線通信を行うために必要な時刻同期情報と、ジョイン要求を送信するために必要となる情報とが含まれている。
【0074】
ターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークN2は、互いに異なるサブネットIDで論理的に分離されているだけであって物理的に分離されている訳ではない。このため、パケット転送装置12が、同時刻に同じ通信チャネルを用いて各々のネットワークに対する広告を送信することはできない。同様に、ターゲットネットワークN1に参入しようとしている無線デバイスと、プロビジョニングネットワークN2に参入しようとしている無線デバイスとが、同時刻に同じ通信チャネルを用いて各々のネットワークに対するジョイン要求を送信することはできない。
【0075】
このため、システムマネージャ14は、ターゲットネットワークN1に対する広告についての無線通信リソースと、プロビジョニングネットワークN2に対する広告についての無線通信リソースとが重複しないように、無線通信リソースの割り当てを行う。図8は、本発明の一実施形態において割り当てられる広告についての無線通信リソースを説明するための図である。尚、図8に示す図は、横軸に時間をとり、縦軸に通信チャネルをとっている。図8において、横軸方向の1マスは1つのタイムスロットを示しており、縦軸方向の1ますは1つの通信チャネルを示している。但し、図示の簡単化のために、図8においては通信チャネルを10チャネルのみ図示している。
【0076】
図8において、符号Q11,Q12を付したマス(斜線及び黒字の文字が付されたマス)は、ターゲットネットワークN1に対する広告に基づいて割り当てられる無線通信リソースを示しており、符号Q21,Q22を付したマス(斜線及び白字の文字が付されたマス)は、プロビジョニングネットワークN2に対する広告に基づいて割り当てられる無線通信リソースを示している。尚、符号Q11,Q21を付したマス中の文字「T」は、送信用の無線通信リソースを示しており、符号Q12,Q22を付したマス中の文字「R」は、受信用の無線通信リソースを示している。
【0077】
図8を参照すると、符号Q11が付されたマス、符号Q12が付されたマス、符号Q21が付されたマス、及び符号Q22が付されたマスの全てが重ならないようにされている。これにより、ターゲットネットワークN1に対する広告に基づいて割り当てられる無線通信リソースと、プロビジョニングネットワークN2に対する広告に基づいて割り当てられる無線通信リソースとが重複しないように、無線通信リソースの割り当てが行われていることが分かる。
【0078】
尚、パケット転送装置12のターゲットネットワーク側処理部20aは、ターゲットネットワークN1に接続されたバックボーンルータ13からの広告を受信することで時刻同期をすることができるものの、パケット転送装置12のプロビジョニングネットワーク側処理部20bは、このような時刻同期を行うことができない。これは、プロビジョニングネットワークN2に対して広告を送信する機器がパケット転送装置12以外には接続されてないからである。
【0079】
そこで、ターゲットネットワーク側処理部20aとプロビジョニングネットワーク側処理部20bとが、仮想ネットワークインターフェイス部N3を介して時刻同期情報を交換すれば、ターゲットネットワーク側処理部20aとプロビジョニングネットワーク側処理部20bとの間で時刻同期を行うことが可能になる。時刻同期情報の交換は、例えばNTP(Network Time Protocol)の様な汎用の通信プロトコルを用いても良いし、専用の通信プロトコルを用いても良い。尚、ターゲットネットワーク側処理部20aとプロビジョニングネットワーク側処理部20bとが同一のハードウェアで構成される場合には、パケット転送装置12で用いられる内部クロックを基準として時刻同期を行っても良い。
【0080】
〈システムマネージャの経路表作成動作〉
次に、システムマネージャ14で行われる経路表(パケット転送装置12で用いられる経路表T1,T2等)の作成動作について説明する。図9は、本発明の第1実施形態で行われる経路表の作成動作を示すフローチャートである。尚、図9に示すフローチャートの処理は、例えば無線通信システム1が構築されて動作を開始したとき、無線デバイス11等からのジョイン要求があったとき、或いはターゲットネットワークN1に参入した無線デバイス11が通信要求を行ったとき等に開始される。
【0081】
処理が開始されると、まずシステムマネージャ14は、経路表を用いる機器を特定する処理を行う(ステップS31)。具体的に、システムマネージャ14は、無線通信システム1のトポロジ情報に基づいて、経路表を用いる機器を特定する。尚、ここでは、理解を容易にするために、システムマネージャ14によって、パケット転送装置12のターゲットネットワーク側処理部20a(ネットワークインターフェイス部21a)が特定されたとする。
【0082】
ここで、上記のトポロジ情報とは、無線通信システム1を構成する各機器と、無線通信システム1に設けられるネットワークとの接続関係を示す情報であって、システムマネージャ14に管理される情報である。図10は、本発明の第1実施形態による無線通信システムのトポロジ情報を説明するための図である。図10に示す通り、無線通信システム1のトポロジ情報は、システムマネージャ14が最上位に配置されており、このシステムマネージャ14に対し、バックボーンルータ13、パケット転送装置12のターゲットネットワーク側処理部20a(ネットワークインターフェイス部21a)、パケット転送装置12のプロビジョニングネットワーク側処理部20b(ネットワークインターフェイス部21b)、及び無線デバイス11がネットワークによってどのように接続されているかを示す情報である。
【0083】
次に、システムマネージャ14は、上記のトポロジ情報を用いて、ステップS31で特定した機器を中心とした場合の各機器までの経路を示す経路情報を作成する(ステップS32)。図11は、本発明の第1実施形態における経路表作成動作で作成される経路情報を説明するための図である。尚、図11(a)は、ターゲットネットワーク側処理部20a(ネットワークインターフェイス部21a)を中心とした場合の経路情報を説明するための図であり、図11(b)は、プロビジョニングネットワーク側処理部20b(ネットワークインターフェイス部21b)を中心とした場合の経路情報を説明するための図である。
【0084】
図11(a)を参照すると、ネットワークインターフェイス部21aを中心とした場合の経路情報は、ネットワークインターフェイス部21aが最上位に配置されており、「バンクボーンネットワーク」側にネットワークインターフェイス部21b及び無線デバイス11が順に配置され、「無線サブネット」側にバックボーンルータ13及びシステムマネージャ14が順に配置されたものである。また、この経路情報では、ネットワークインターフェイス部21aを中心として、各機器までの中継数(ホップ数)も規定されている。
【0085】
尚、図11(b)を参照すると、ネットワークインターフェイス部21bを中心とした場合の経路情報は、ネットワークインターフェイス部21bが最上位に配置されており、「バンクボーンネットワーク」側にネットワークインターフェイス部21a、バックボーンルータ13、及びシステムマネージャ14が順に配置され、「無線サブネット」側に無線デバイス11が配置されたものである。また、この経路情報では、ネットワークインターフェイス部21bを中心として、各機器までの中継数(ホップ数)も規定されている。
【0086】
次いで、システムマネージャ14は、ステップS32で作成した経路情報に対して終点アドレス(パケットの転送先を示す機器)を設定する処理を行う(ステップS33)。例えば、図11(a)で説明した経路情報に対してシステムマネージャ14を終点アドレスとして設定する。かかる処理によって、図11(a)に示すネットワークインターフェイス部21aが始点アドレス(パケットの転送元を示す機器)に設定され、システムマネージャ14が終点アドレスに設定された経路が特定される。
【0087】
続いて、システムマネージャ14は、経路情報を参照して、経路表を作成するために必要な次中継点、中継限界数、及び出力ネットワークインターフェイスを取得する(ステップS34)。具体的には、図11(a)を参照すると、ネットワークインターフェイス部21aが始点アドレスに設定され、システムマネージャ14が終点アドレスに設定された経路では、次中継点として「バックボーンルータ」を取得し、中継限界数(ホップ数)として「2」を取得し、出力ネットワークインターフェイスとして「無線サブネット」を取得する。
【0088】
以上の処理が終了すると、システムマネージャ14は、設定すべき残りの終点アドレスの有無を判断する(ステップS35)。設定すべき残りの終点アドレスが有ると判断した場合(ステップS35の判断結果が「YES」の場合)には、システムマネージャ14は、新たな終点アドレスを設定して(ステップS33)、経路表を作成するために必要な次中継点、中継限界数、及び出力ネットワークインターフェイスを取得する(ステップS34)。
【0089】
これに対し、設定すべき残りの終点アドレスが無いと判断した場合(ステップS35の判断結果が「NO」の場合)には、システムマネージャ14は、ステップS34で取得した情報を用いて、図3に示す経路表T1を作成する(ステップS36)。作成された経路表T1は、パケット転送装置12に送信されて、ターゲットネットワーク側処理部20aのメモリ24aに記憶される。尚、設定すべき残りの終点アドレスが無いと判断されるのは、例えば図11(a)に示す無線デバイス11、ネットワークインターフェイス部21b、バックボーンルータ13、及びシステムマネージャ14の全てが終点アドレスに設定された場合である。
【0090】
以上、システムマネージャ14で行われる経路表の作成動作について、パケット転送装置12のターゲットネットワーク側処理部20aで用いられる経路表T1を作成する場合を例に挙げて説明したが、プロビジョニングネットワーク側処理部20bで用いられる経路表T2を作成する場合にも同様の動作が行われる。尚、経路表は、パケット転送装置12のみで使用される訳ではなくバックボーンルータ13でも使用される。このバックボーンルータ13で使用される経路表も、基本的には図9に示すフローチャートに従って作成される。
【0091】
以上の通り、本実施形態では、仮想ネットワークインターフェイス部N3、ターゲットネットワーク側処理部20a、及びプロビジョニングネットワーク側処理部20bを備えるパケット転送装置12を、ターゲットネットワークN1とプロビジョニングネットワークN2との間に設けている。このパケット転送装置12では、ターゲットネットワークN1と仮想ネットワークインターフェイス部N3とがパケットの出力先として規定された経路表T1を用いた経路制御がターゲットネットワーク側処理部20aによって行われ、プロビジョニングネットワークN2と仮想ネットワークインターフェイス部N3とがパケットの出力先として規定された経路表T2を用いた経路制御がプロビジョニングネットワーク側処理部20bによって行われる。
【0092】
このため、経路制御に用いられる経路表を大幅に変更することなく、互いに異なるサブネットIDが付されたターゲットネットワークN1とプロビジョニングネットワークN2との間におけるパケット転送を実現することができる。従って、無線通信規格を変更することなく上記のネットワーク間におけるパケット転送を実現することができる。これにより、プロビジョニングネットワークN2に参入している無線デバイス11に対し、ターゲットネットワークN1を介したOTAプロビジョニングを実現することが可能である。
【0093】
〔第2実施形態〕
図12は、本発明の第2実施形態による無線通信システムの全体構成を示すブロック図である。尚、図12において、図1に示した構成と同じ構成については同一の符号を付してある。図12に示す通り、本実施形態の無線通信システム2は、図1に示す無線通信システム1が備えるパケット転送装置12をパケット転送装置30に代えた構成である。
【0094】
パケット転送装置30は、実ネットワークN10(中継ネットワーク)、ターゲットネットワーク側処理装置31(第1処理部)、及びプロビジョニングネットワーク側処理装置32(第2処理部)を備えており、パケット転送装置12と同様の機能を有する。つまり、パケット転送装置30は、ターゲットネットワークN1内におけるパケット転送、プロビジョニングネットワークN2内におけるパケット転送、及びターゲットネットワークN1とプロビジョニングネットワークN2との間におけるパケットの転送を行う。
【0095】
実ネットワークN10は、任意のネットワーク(例えば、イーサネット(登録商標)等)である。ターゲットネットワーク側処理装置31は、ターゲットネットワークN1及び実ネットワークN10に接続されて、図2に示すパケット転送装置12が備えるターゲットネットワーク側処理部20aと同様の処理を行う。プロビジョニングネットワーク側処理装置32は、プロビジョニングネットワークN2及び実ネットワークN10に接続されて、図2に示すパケット転送装置12が備えるプロビジョニングネットワーク側処理部20bと同様の処理を行う。
【0096】
つまり、パケット転送装置30は、図1に示すパケット転送装置12が備える仮想ネットワークインターフェイス部N3を現存する有線ネットワーク等の実ネットワークN10とし、パケット転送装置12が備えるターゲットネットワーク側処理部20a及びプロビジョニングネットワーク側処理部20bをそれぞれ個別の装置(ターゲットネットワーク側処理装置31及びプロビジョニングネットワーク側処理装置32)としたものである。
【0097】
以上の構成のパケット転送装置30では、ターゲットネットワーク側処理装置31において図3に示す経路表T1と同様の経路表を用いて経路制御が行われ、プロビジョニングネットワーク側処理装置32において図4に示す経路表T2と同様の経路表を用いて経路制御が行われる。但し、ターゲットネットワーク側処理装置31及びプロビジョニングネットワーク側処理装置32は、経路表T1,T2で規定される「バックボーンネットワーク」を実ネットワークN10と解釈して経路制御を行う。
【0098】
以上の通り、本実施形態の無線通信システム2は、図1に示す無線通信システム1が備えるパケット転送装置12を、実ネットワークN10並びにターゲットネットワーク側処理装置31及びプロビジョニングネットワーク側処理装置32からなるパケット転送装置30に代えただけである。このため、無線通信システム2は、図1に示す無線通信システム1と同様に動作し、互いに異なるサブネットIDが付されたターゲットネットワークN1とプロビジョニングネットワークN2との間におけるパケット転送を実現することができる。よって、本実施形態においても、プロビジョニングネットワークN2に参入している無線デバイス11に対し、ターゲットネットワークN1を介したOTAプロビジョニングを実現することが可能である。
【0099】
〔第3実施形態〕
図13は、本発明の第3実施形態による無線通信システムの全体構成を示すブロック図である。尚、図13においては、図12と同様に、図1に示した構成と同じ構成については同一の符号を付してある。図13に示す通り、本実施形態の無線通信システム3は、2つのバックボーンルータ13a,13bを設けて2つのターゲットネットワークN1a,N1bを形成するとともに、これらターゲットネットワークN1a,N1bをパケット転送装置12で接続した構成である。尚、本実施形態においては、図1,図12に示すプロビジョニングネットワークN2は省略されている。
【0100】
バックボーンルータ13a(第1ルータ装置)は、ターゲットネットワークN1a(第1無線通信ネットワーク)とバックボーンネットワークNとを接続し、無線通信規格ISA100.11aに準拠した無線通信を行う。バックボーンルータ13b(第2ルータ装置)は、ターゲットネットワークN1b(第2無線通信ネットワーク)とバックボーンネットワークNとを接続し、無線通信規格ISA100.11aに準拠した無線通信を行う。これら、バックボーンルータ13a,13bは、図1,図12に示すバックボーンルータ13と同じものである。尚、ターゲットネットワークN1a,N1bには、互いに異なるサブネットIDが付されている。
【0101】
パケット転送装置12は、2つのターゲットネットワークN1a,N1bを接続する。前述した第1,第2実施形態において、パケット転送装置12は、ターゲットネットワークN1とプロビジョニングネットワークN2とを接続するものであった。ここで、ターゲットネットワークN1とプロビジョニングネットワークN2とはサブネットIDの値によって区別されているだけであって、無線通信規格ISA100.11aに準拠した無線通信ネットワークには変わりないため、2つのターゲットネットワークN1a,N1bは何の問題もなくパケット転送装置12によって接続される。
【0102】
図13に示す通り、本実施形態の無線通信システム3は、バックボーンルータ13a,13bを介してターゲットネットワークN1a,N1bをバックボーンネットワークNに接続するとともに、ターゲットネットワークN1a,N1bをパケット転送装置12によって互いに接続することによって通信経路を冗長化している。このため、仮に、ターゲットネットワークN1aに参入している無線デバイス11とシステムマネージャ14との間でバックボーンルータ13aを介する経路によって通信が行われている最中にバックボーンルータ13aに障害が発生したとしても、パケット転送装置12及びバックボーンルータ13bを介する経路によって通信を継続することが可能である。
〔第4実施形態〕
図14は、本発明の第4実施形態による無線通信システムの全体構成を示すブロック図である。尚、図14においては、図1,図13に示した構成と同じ構成については同一の符号を付してある。図14に示す通り、本実施形態の無線通信システム4は、図1中のターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークN2に代えて、2つのターゲットネットワークN1a,N1bを形成し、これらターゲットネットワークN1a,N1bをパケット転送装置12で接続した構成である。
【0103】
つまり、本実施形態の無線通信システム4は、1つのバックボーンルータ13の配下に2つのターゲットネットワークN1a,N1bを収容したものである。尚、ターゲットネットワークN1a,N1bには、互いに異なるサブネットIDが付されている。また、2つのターゲットネットワークN1a,N1bは、第3実施形態で説明した理由と同様の理由で、何の問題もなくパケット転送装置12によって接続される。
【0104】
前述した第1,第2実施形態では、無線デバイス11に対するOTAプロビジョニングを実現するために、ターゲットネットワークN1とプロビジョニングネットワークN2とをパケット転送装置12で接続していた。これに対し、本実施形態では、プロビジョニングネットワークN2を全く考慮することなく、2つのターゲットネットワークN1a,N1bをパケット転送装置12で接続している。このような接続を行うことで、例えば互いに接続されているターゲットネットワークN1a,N1bの各々に異なるセキュリティポリシを適用するという運用が可能になる。
【0105】
以上、本発明の実施形態によるパケット転送装置及び無線通信システムについて説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上述した第1実施形態では、パケット転送装置12に仮想ネットワークインターフェイス部N3が設けられている例について説明したが、仮想ネットワークインターフェイス部N3に代えて、第2実施形態で説明した実ネットワークN10が設けられていても良い。
【0106】
また、上記第1,第2実施形態において、ターゲットネットワークN1とプロビジョニングネットワークN2との間におけるパケットの転送機能を必要に応じて起動・停止させても良い。例えば、ターゲットネットワークN1を介した無線デバイス11に対するOTAプロビジョニングを行う場合にのみ上記の転送機能を起動し、OTAプロビジョニングを終えた後は上記の転送機能を停止するといった具合である。
【0107】
ターゲットネットワークN1とプロビジョニングネットワークN2との間におけるパケットの転送機能の起動・停止は、例えばシステムマネージャ14からの制御信号に基づいて、図2に示すパケット転送装置12のプロビジョニングネットワーク側処理部20b(或いは、図12に示すプロビジョニングネットワーク側処理装置32)に対する電源の供給・停止によって行う。かかる電源制御を行うことにより、省電力を図ることができる。
【0108】
尚、上記の電源の供給停止が行われた場合であっても、図2に示すパケット転送装置12のターゲットネットワーク側処理部20a(或いは、図12に示すターゲットネットワーク側処理装置31)に対する電源の供給は継続される。このため、パケット転送装置12(或いは、ターゲットネットワーク側処理装置31)は、ターゲットネットワークN1内におけるパケット転送を行う装置(通常の無線ルータ)として動作する。
【符号の説明】
【0109】
1〜4 無線通信システム
11 無線デバイス
12 パケット転送装置
13a,13b バックボーンルータ
14 システムマネージャ
20a ターゲットネットワーク側処理部
20b プロビジョニングネットワーク側処理部
30 パケット転送装置
31 ターゲットネットワーク側処理装置
32 プロビジョニングネットワーク側処理装置
N バックボーンネットワーク
N1 ターゲットネットワーク
N1a,N1b ターゲットネットワーク
N2 プロビジョニングネットワーク
N3 仮想ネットワークインターフェイス部
N10 実ネットワーク
T1,T2 経路表
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる識別子が付された第1,第2無線通信ネットワーク間におけるパケットの転送を行うパケット転送装置であって、
前記第1,第2無線通信ネットワーク間に介在する中継ネットワークと、
前記第1無線通信ネットワークに接続され、前記第1無線通信ネットワークと前記中継ネットワークとがパケットの出力先として規定された第1経路表を用いて経路制御を行う第1処理部と、
前記第2無線通信ネットワークに接続され、前記第2無線通信ネットワークと前記中継ネットワークとがパケットの出力先として規定された第2経路表を用いて経路制御を行う第2処理部と
を備えることを特徴とするパケット転送装置。
【請求項2】
前記中継ネットワークは、前記第1処理部と前記第2処理部とを仮想的に接続する仮想ネットワークであることを特徴とする請求項1記載のパケット転送装置。
【請求項3】
前記中継ネットワークは、前記第1処理部と前記第2処理部とを物理的に接続する実ネットワークであることを特徴とする請求項1記載のパケット転送装置。
【請求項4】
前記第1,第2処理部は、前記中継ネットワークに接続された状態で別個の装置として設けられていることを特徴とする請求項3記載のパケット転送装置。
【請求項5】
互いに異なる識別子が付された第1,第2無線通信ネットワークを介して無線通信を行う無線通信システムであって、
前記第1,第2無線通信ネットワークを介して行われる無線通信の制御を行う制御装置と、
前記第1,第2無線通信ネットワーク間におけるパケットの転送を行う請求項1から請求項4の何れか一項に記載のパケット転送装置と
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記第1,第2無線通信ネットワークと、前記パケット転送装置の前記中継ネットワーク及び前記第1,第2処理部との接続関係を示す情報に基づいて、前記第1,第2処理部で用いられる前記第1,第2経路表を生成することを特徴とする請求項5記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記制御装置が接続される主ネットワーク及び前記第1無線通信ネットワークに接続される第1ルータ装置を備えることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記主ネットワーク及び前記第2無線通信ネットワークに接続される第2ルータ装置を備えることを特徴とする請求項7記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記第1無線通信ネットワークは、前記制御装置の制御の下で、参入している無線デバイスによる無線通信が行われる現用の無線通信ネットワークであり、
前記第2無線通信ネットワークは、前記第1無線通信ネットワークに無線デバイスを参入させるために必要となる参入情報を、前記第1無線通信ネットワークに参入させるべき無線デバイスに設定するための補助的な無線通信ネットワークである
ことを特徴とする請求項7記載の無線通信システム。
【請求項10】
前記制御装置は、無線デバイスを前記第1,第2無線通信ネットワークに参入させる参入処理と、前記第2無線通信ネットワークに参入している無線デバイスに対して前記参入情報を設定する設定処理とを行うことを特徴とする請求項9記載の無線通信システム。
【請求項11】
前記第1,第2無線通信ネットワークは何れも、前記制御装置の制御の下で、参入している無線デバイスによる無線通信が行われる現用の無線通信ネットワークであることを特徴とする請求項7又は請求項8記載の無線通信システム。
【請求項12】
前記パケット転送装置の前記第1処理部は、前記制御装置の制御の下で、無線デバイスを前記1無線通信ネットワークに接続させるための情報を第1広告として前記第1無線通信ネットワークに向けて送信し、
前記パケット転送装置の前記第2処理部は、前記制御装置の制御の下で、無線デバイスを前記2無線通信ネットワークに接続させるための情報を第2広告として前記第2無線通信ネットワークに向けて送信する
ことを特徴とする請求項5から請求項11の何れか一項に記載の無線通信システム。
【請求項1】
互いに異なる識別子が付された第1,第2無線通信ネットワーク間におけるパケットの転送を行うパケット転送装置であって、
前記第1,第2無線通信ネットワーク間に介在する中継ネットワークと、
前記第1無線通信ネットワークに接続され、前記第1無線通信ネットワークと前記中継ネットワークとがパケットの出力先として規定された第1経路表を用いて経路制御を行う第1処理部と、
前記第2無線通信ネットワークに接続され、前記第2無線通信ネットワークと前記中継ネットワークとがパケットの出力先として規定された第2経路表を用いて経路制御を行う第2処理部と
を備えることを特徴とするパケット転送装置。
【請求項2】
前記中継ネットワークは、前記第1処理部と前記第2処理部とを仮想的に接続する仮想ネットワークであることを特徴とする請求項1記載のパケット転送装置。
【請求項3】
前記中継ネットワークは、前記第1処理部と前記第2処理部とを物理的に接続する実ネットワークであることを特徴とする請求項1記載のパケット転送装置。
【請求項4】
前記第1,第2処理部は、前記中継ネットワークに接続された状態で別個の装置として設けられていることを特徴とする請求項3記載のパケット転送装置。
【請求項5】
互いに異なる識別子が付された第1,第2無線通信ネットワークを介して無線通信を行う無線通信システムであって、
前記第1,第2無線通信ネットワークを介して行われる無線通信の制御を行う制御装置と、
前記第1,第2無線通信ネットワーク間におけるパケットの転送を行う請求項1から請求項4の何れか一項に記載のパケット転送装置と
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記第1,第2無線通信ネットワークと、前記パケット転送装置の前記中継ネットワーク及び前記第1,第2処理部との接続関係を示す情報に基づいて、前記第1,第2処理部で用いられる前記第1,第2経路表を生成することを特徴とする請求項5記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記制御装置が接続される主ネットワーク及び前記第1無線通信ネットワークに接続される第1ルータ装置を備えることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記主ネットワーク及び前記第2無線通信ネットワークに接続される第2ルータ装置を備えることを特徴とする請求項7記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記第1無線通信ネットワークは、前記制御装置の制御の下で、参入している無線デバイスによる無線通信が行われる現用の無線通信ネットワークであり、
前記第2無線通信ネットワークは、前記第1無線通信ネットワークに無線デバイスを参入させるために必要となる参入情報を、前記第1無線通信ネットワークに参入させるべき無線デバイスに設定するための補助的な無線通信ネットワークである
ことを特徴とする請求項7記載の無線通信システム。
【請求項10】
前記制御装置は、無線デバイスを前記第1,第2無線通信ネットワークに参入させる参入処理と、前記第2無線通信ネットワークに参入している無線デバイスに対して前記参入情報を設定する設定処理とを行うことを特徴とする請求項9記載の無線通信システム。
【請求項11】
前記第1,第2無線通信ネットワークは何れも、前記制御装置の制御の下で、参入している無線デバイスによる無線通信が行われる現用の無線通信ネットワークであることを特徴とする請求項7又は請求項8記載の無線通信システム。
【請求項12】
前記パケット転送装置の前記第1処理部は、前記制御装置の制御の下で、無線デバイスを前記1無線通信ネットワークに接続させるための情報を第1広告として前記第1無線通信ネットワークに向けて送信し、
前記パケット転送装置の前記第2処理部は、前記制御装置の制御の下で、無線デバイスを前記2無線通信ネットワークに接続させるための情報を第2広告として前記第2無線通信ネットワークに向けて送信する
ことを特徴とする請求項5から請求項11の何れか一項に記載の無線通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−70360(P2013−70360A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−155650(P2012−155650)
【出願日】平成24年7月11日(2012.7.11)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月11日(2012.7.11)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]