説明

パスタ用ブレンド粉とそれを用いたパスタ類

【課題】本発明は超強力小麦粉に適当量の特徴的馬鈴薯澱粉を混合したブレンド粉を用いて食感良好なパスタ類を提供する。
【解決手段】超強力小麦から調製された超強力小麦粉で、その小麦粉の澱粉のアミロース含量が26%以上であるパン用小麦に特徴的な馬鈴薯澱粉を適当量混合したブレンド粉を用いてパスタ類を製造することによって品質良好なパスタ類を製造できる。本法によって得られるパスタ類は適度な硬さ、粘弾性を有し、食感に優れた特性を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超強力小麦から調製された小麦粉(以下、超強力粉)に適当量の馬鈴薯澱粉を含有した製麺性に優れたパスタ用ブレンド粉に関し、更に詳しくは特定の特性を持つ超強力粉に適当量の特徴的特性を持つ馬鈴薯澱粉を混合したパスタ用ブレンド粉とそれを用いて製造された品質良好なパスタ類に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パスタ類は、硬質小麦粉、好ましくはデュラム小麦粉、デュラムセモリナ等を用いて製造され、製造方法、流通形態等により、生パスタ類、乾燥パスタ類等に分類される。パスタ類は他の麺類に比べパスタ特有の硬さと粘弾性を有することが特徴であり、この特有の食感により、近年若年層を中心にその消費が飛躍的に伸びている。
【0003】
しかしながら、国内で製造されているパスタ類のほとんどは、上記の外国産デュラム小麦粉、デュラムセモリナ等を用いて製造されたものであり、国産デュラム小麦の生産が行われていないことから、国産原料を用いたものではない。また、極一部では国産の普通小麦を用いたパスタ類の生産も行われているが、その食感は理想的なパスタ類の食感にはほど遠く、国産の普通小麦を用いたパスタらしい食感を持ったパスタ類の開発が強く求められていた。
【0004】
これらの問題の解決に関係するこれまでの方法としては、特許文献1〜3等が開示されているが、これらの公開公報では、いずれも各種の副原料添加や特殊なパスタ製法による方法を提示しているにすぎず、本発明の超強力粉とリン含量の高い馬鈴薯澱粉を用いる方法とは本質的に異なるものであり、それらの効果は限定されたものである。そのため、十分な食感、食味を有した国産普通小麦を用いた高品質パスタ類の開発は確立されていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2003−514559号公報
【特許文献2】特開平11−266811号公報
【特許文献3】特開平10−295299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
即ち、本発明は超強力粉に適当量の特徴的馬鈴薯澱粉を混合したブレンド粉を用いて食感の良好な高品質パスタ類を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者らは、上記の問題を解決するため鋭意研究を行った結果、超強力小麦から調製された超強力粉で、その小麦粉の澱粉のアミロース含量が26%以上である小麦粉に特徴的な馬鈴薯澱粉を適当量混合したブレンド粉を用いてパスタ類を製造することによって、上記の問題が解決され、国産原料を用いて食感良好で高品質のパスタ類が製造できることを発見し、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明は国産超強力小麦から調製された超強力粉に適当量の特徴的馬鈴薯澱粉を混合したブレンド粉を用いてパスタらしい食感のパスタ類を提供する。
【0009】
本発明は以下の通りである。
[1]
質量%で表示して、90〜70%の超強力小麦粉および10〜30%の馬鈴薯澱粉を含有し、前記超強力小麦粉は小麦粉中の澱粉のアミロース含量が26%以上である、パスタ用ブレンド粉。
[2]
前記超強力小麦粉は、正常なWx−A1、Wx−B1、Wx−D1タンパク質をすべて持っているWx遺伝子に関してワイルドタイプの小麦品種・系統である超強力小麦から調製された超強力小麦粉である、[1]に記載のパスタ用ブレンド粉。
[3]
前記馬鈴薯澱粉は、リン含量が700ppm以上であり、平均粒径が35μm以上であり、且つRVAの最高粘度が260RVU以上である[1]または[2]に記載のパスタ用ブレンド粉。
[4]
90〜70%の超強力小麦粉および10〜30%の馬鈴薯澱粉を含有する、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のパスタ用ブレンド粉。
[5]
前記超強力小麦粉は小麦粉中の澱粉のアミロース含量が28%以上である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載のパスタ用ブレンド粉。
[6]
[1]〜[5]のいずれか1項に記載のパスタ用ブレンド粉を用いて製造された乾燥パスタ。
[7]
[1]〜[5]のいずれか1項に記載のパスタ用ブレンド粉を用いて製造された生パスタ類。
【発明の効果】
【0010】
本発明の方法により特定の特性を持つ超強力粉に適当量の特徴的特性を持つ馬鈴薯澱粉を混合したパスタ用ブレンド粉から製造されるパスタ類は、従来の普通小麦粉のパスタに比べ格段に食感が良好であり、従来製造が不可能であった普通小麦粉からのパスタらしい食感の本格的パスタ類の製造を可能にするものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<パスタ用ブレンド粉>
本発明のパスタ用ブレンド粉は、質量%で表示して、95〜65%の超強力小麦粉および5〜35%の馬鈴薯澱粉を含有し、前記超強力小麦粉は小麦粉中の澱粉のアミロース含量が26%以上である。
【0012】
本発明で用いる超強力小麦粉とは、American Association of Cereal Chemists 法(AACC法)のミキソグラフ試験法(Approved Methods of the AACC, Method 54-40A, The Association, St.Paul, MN(1991))により測定されるミキシングピークタイムの3回の測定の平均値が、日清製粉製市販強力粉(商品名:カメリヤ)の同様の測定値の3回の平均値の1.2倍以上を示す小麦粉であって、且つ、高分子グルテニンサブユニット5+10とGlu-B3g、Glu-B3bのいずれかの遺伝子由来の低分子グルテニンサブユニットを持ち、且つ、高分子グルテニンサブユニット20を持たない小麦粉のことである。前記ミキシングピークタイムの3回の測定の平均値は、好ましくは1.4倍以上である。
【0013】
上記のサブユニットの検出は、中村ら(中村ら,育種学雑誌,40,485−494(1990))、高田ら(Takata te al., Breeding Science, 50, 303-308(2000))、池田ら(Ikeda et al., Theor.Appl.Genet., 112,327-334(2006))の1次元、2次元電気泳動法によって簡単に検出することができる。
【0014】
この超強力小麦粉の調製に好適な超強力小麦品種・系統としては、例えば、北海259号、ゆめちから、北海262号、北海260号、Bluesky、Wildcat等を挙げることができる。但し、品種・系統に特に限定はないが、より良好な食感のパスタ類を製造する上では、3つの正常なWxタンパク質を持っているワイルドタイプの品種・系統の超強力小麦品種・系統の方が好ましい。そのような品種としては、北海259号、北海260号等を挙げることができる。これらのWxタンパク質をすべて持ったワイルドタイプの品種・系統の検出は、PCRマーカーを用いる方法( Saito et al., Theor. Appl. Genet., 108, 1205-1211 (2004)) 等によって簡易に検出することができる。
【0015】
本発明のパスタ用ブレンド粉に用いられる超強力小麦粉は、小麦粉中の澱粉のアミロース含量が26%以上であることが特徴である。更に好ましくは、アミロース含量が28%以上である。小麦粉中の澱粉のアミロース含量が26%以上である超強力小麦粉を用いることで、弾力性が優れ、粘りや硬さも良好であり、その結果、食感総合の評価に優れたパスタ類を調製することができる。小麦粉中の澱粉のアミロース含量は28%以上である超強力小麦粉を用いることが好ましく、この場合、弾力性および粘りや硬さはさらに良好になり、その結果、食感総合の評価もさらに優れたパスタ類を調製することができる。小麦粉中の澱粉のアミロース含量の上限は、例えば、32%程度である。
【0016】
本発明の小麦粉デンプンのアミロース含量は、Miura and Taniiらの方法により、Auto Analyzer System II(Bran+Lubbe Co.,Ltd)を用いて比色法で測定した値と定義する(Miura, T.and S.Tanii: Euphytica., 72, 171-175 (1994).)。また、小麦粉の吸水は、AACC法(AACC:Approved Methods of the AACC, Method 08-01(1991))によりファリノグラフにおいて500BUを示す吸水と定義する。
【0017】
本発明のパスタ用ブレンド粉は、質量%で表示して、上記超強力小麦粉を95〜65%および馬鈴薯澱粉を5〜35%含有する。なお、本発明において、小麦粉、馬鈴薯澱粉の質量はすべて13.5%水分ベースの質量であり、ブレンド粉の小麦粉、馬鈴薯澱粉の質量パーセントもすべて13.5%水分ベースの質量に基づく質量%である。超強力小麦粉と馬鈴薯澱粉とを上記範囲でブレンドすることで、良好な食感、食味のパスタ類を調製することができる。超強力小麦粉の含有量が95%を超え、馬鈴薯澱粉の含有量が5%を下回るブレンド粉では、弾力性、粘り、硬さが不良となり、食感総合の評価もさらに優れたパスタ類を調製することができない。また、超強力小麦粉の含有量が65%を下回り、馬鈴薯澱粉の含有量が5%を超えると、弾力性、粘り、硬さが不良となり、食感総合の評価もさらに優れたパスタ類を調製することができない。好ましくは、超強力小麦粉を90〜70%および馬鈴薯澱粉を10〜30%含有する。
【0018】
本発明で用いる馬鈴薯澱粉は、特にその特性に限定はないが、よりパスタらしい好ましい食感のパスタ類を製造するためには、以下に示す方法で測定した馬鈴薯澱粉中のリン含量が700ppm以上で、以下に示す方法で測定した馬鈴薯澱粉の平均粒径が35μm以上で、且つRVAの最高粘度が250RVU以上である馬鈴薯澱粉を用いることがより好ましい。馬鈴薯澱粉中のリン含量は、澱粉を湿式灰化した後、リンバナドモリブデン酸法により測定される(生化学実験法第19巻、澱粉・関連糖質実験法、32頁、1986年、学会出版センター)。また、平均粒径、RVAの最高粘度の測定は以下に示す方法によって測定される。馬鈴薯澱粉中のリン含量の上限は、例えば、1200ppm程度である。平均粒径は、粒子径分布測定装置HELOS&RODOS (Sympatec GmbH社製)を使用して測定する。馬鈴薯澱粉の平均粒径の上限は、例えば、50μm程度である。澱粉粘度特性の測定は、ラピッドビスコアナラーザー(Newport Scientific社製)を使用し測定した。4%(w/w)の澱粉懸濁液25mlをアルミ缶に入れ、50℃で1分間保った後、12.2℃/分の速度で95℃まで昇温し、95℃で2.7分間保持後、11.8℃/分の速度で50℃まで降温し、さらに50℃で2分間保った。このようにして得られた粘度曲線より、最高粘度値を測定する。RVAの最高粘度の上限は、例えば、400RVU程度である。
【0019】
リン含量が700ppm以上である高リン型の馬鈴薯澱粉は、以下に示す高リン型の馬鈴薯澱粉を含有する品種、系統から主に得られるが、どのような品種、系統、方法によって得られた馬鈴薯澱粉でも特に限定はなく上記に示した特徴を示す澱粉であればすべて本発明における澱粉に包含される。高リン型の馬鈴薯澱粉が得られる馬鈴薯品種、系統としては、エニワ、ホッカイコガネ、さやか、インカパープル、インカレッド、北海88号、勝系3号、勝系4号、コナフブキ、アーリースターチ、ツニカ、とうや、ワセシロ、キタアカリなどを挙げることができる。
【0020】
本発明においては、超強力小麦粉、馬鈴薯澱粉の他に、パスタ類の製造に一般的に用いられる副原料や添加剤、例えばグルテン、増粘剤、乳化剤、着色料、防腐剤、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸、卵又は卵製品等を配合することができる。これらの原料の混合方法に特に制限はない。例えば超強力粉に馬鈴薯澱粉を適当量添加したブレンド粉を予め混合した後に、他の原料を加えて混合してもよい。また、全原料を任意の順番で混合してもよい。原料を混合した後、水を加えて練り生地を形成し、さらに脱気、圧縮、押し出し成型、乾燥等することにより、パスタ類を製造することができる。かかる脱気、圧縮、押し出し成型、乾燥等に用いる装置、その運転条件等に特に制限はなく、パスタ類の種類に応じて適宜選択することができる。
【0021】
本発明のブレンド粉は、種々のパスタ類の製造に用いることができる。パスタ類には特に制限はなく、例えばマカロニ、スパゲッティ、バーミセリ、ペンネ、リゾニ、プリメリーナ、ツイスト、ネスト、ラビオリ、ヌードル等が挙げられる。
【0022】
パスタ類の茹で条件は、生パスタと乾燥パスタで条件が異なるが、前者の場合熱湯、好ましくは沸騰水中で2〜10分間、特に好ましくは3〜6分間茹でるのが好適であり、後者の場合熱湯、好ましくは沸騰水中で3〜10分間、特に好ましくは5〜15分間茹でるのが好適である。
【0023】
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0024】
以下本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
【0025】
[実施例1]
試験例1〜18及び比較例1〜6
下記に示す生パスタの製造条件で第1表に示す各種配合で製麺を行い生パスタを製造した。次に、得られた麺の茹で麺の品質評価を行った。品質評価は、5人のパネラーにより、弾力性、粘り、硬さについて、市販粉を標準として相対評価で(標準より)かなり良好(弾力性:かなり強い、粘り:かなり強い、硬さ:かなり硬い)、良好(弾力性:強い、粘り:強い、硬さ:硬い)、やや良好(弾力性:やや強い、粘り:やや強い、硬さ:やや硬い)、同等、劣る(弾力性:弱い、粘り:弱い、硬さ:柔らかい)の5段階(1〜5点)の官能評価を行い、これらの3項目の評価を合計したものを食感総合とした。なお、本発明の全ての実施例において、配合は水分13.5%ベースの小麦粉+馬鈴薯澱粉の合計を100とした質量部で示した。下に製麺工程を示す。
【0026】
製麺工程
・配合 :小麦粉または小麦粉と馬鈴薯澱粉のブレンド粉または小麦粉とタピオカ澱粉のブレンド粉100g、卵50g、食塩2g
・ミキシング:フードプロセッサー 1分
・製麺 :パスタ製造機を用いて(生粉打ち名人)を用いてノズル(直径2mm)からの押し出し式で製麺
・切り出し :麺の長さ20cm前後
・ゆで :沸騰水中で8分
【0027】
【表1】

【0028】
使用する超強力小麦粉がアミロース含量のやや低いものの場合(試験例1〜3、7〜9、13〜15)、ブレンドする澱粉が馬鈴薯澱粉である試験例1〜3、13〜15は比較例1〜6の各種国産小麦粉及び市販普通小麦パスタ用粉から製造された生パスタ(茹で麺)に比べ、弾力性が優れ、粘りや硬さも同等かそれ以上であり、その結果、食感総合の評価は優れていた。これらの試験例をブレンドする澱粉がタピオカ澱粉の場合(試験例7〜9)と比較すると、弾力性や粘りでは明らかな優点はみられなかったが、硬さは明らかに優れており、その結果、食感総合の評価も優れていた。また、使用する超強力小麦がアミロース含量の高いものの場合(試験例4〜6、10〜12、16〜18)、ブレンドする澱粉が馬鈴薯澱粉である試験例4〜6、16〜18は比較例の各種国産小麦粉及び市販普通小麦パスタ用粉から製造された生パスタ(茹で麺)に比べ、弾力性が優れ、粘りや硬さも同等かそれ以上であり、その結果、食感総合の評価は優れていた。これらの試験例をブレンドする澱粉がタピオカ澱粉の場合(試験例10〜12)と比較すると、粘りや硬さでは明らかな優点がみられなかったが、明らかに弾力性が優れており、その結果、食感総合の評価も優れていた。
【0029】
これらのことから、超強力小麦粉に適当量の馬鈴薯澱粉を混合したブレンド粉を用いることによって、普通小麦の小麦粉のみから得られた生パスタに比べ食感が良好な生パスタが製造できることが判る。超強力粉と馬鈴薯澱粉のブレンド粉の中では特に、試験例16、17、18のアミロース含量の高い超強力粉に適当量の高リン馬鈴薯澱粉を混合したブレンド粉から製造された生パスタ(茹で麺)の評価は食感、特に弾力性が非常に良好で、比較例の従来の普通小麦粉のみの生パスタ(茹で麺)に比べ明らかに良好な結果を示した。
【0030】
以上の結果から、本発明の効果は非常に大であり、本発明の技術を用いることによって、茹で麺の外観、色相、食感、食味の優れた非常に品質良好な生パスタが得られることが判る。
【0031】
[実施例2]
試験例19〜33及び比較例7〜12
下記に示す乾燥パスタの製造条件で第2表に示す各種配合で製麺を行い乾燥パスタを製造し、得られた麺の茹で麺の品質評価を行った。品質評価は、実施例1と同様の方法で官能評価を行った。その結果を第2表に示す。
【0032】
製麺工程
・配合 :小麦粉または小麦粉と馬鈴薯澱粉のブレンド粉または小麦粉とタピオカ澱粉のブレンド粉100g、水31ml
・ミキシング:縦型ミキサー、低速3分、中低速7分
・製麺 :パスタ製造機を用いて(生粉打ち名人)を用いてノズル(直径2mm)からの押し出し式で製麺
・切り出し :麺の長さ25cm前後
・湯通し :沸騰水中で1分
・乾燥 :70℃、12時間
・ゆで :沸騰水中で約10分
【0033】
【表2】

【0034】
使用する超強力小麦粉がアミロース含量のやや低いものの場合(試験例19〜21、25〜27、31〜33)、ブレンドする澱粉が馬鈴薯澱粉である試験例19〜21、31〜33は比較例7〜12の各種国産小麦粉及び市販普通小麦パスタ用粉から製造された乾燥パスタ(茹で麺)に比べ、粘りが優れ、弾力性や硬さも同等かそれ以上であり、その結果、食感総合の評価は優れていた。これらの試験例をブレンドする澱粉がタピオカ澱粉の場合(試験例25〜27)と比較すると、弾力性や粘りでは同等かそれ以上であり、硬さは明らかに優れており、その結果、食感総合の評価も優れていた。また、使用する超強力小麦がアミロース含量の高いものの場合(試験例22〜24、28〜30、34〜36)、ブレンドする澱粉が馬鈴薯澱粉である試験例22〜24、34〜36は比較例の各種国産小麦粉及び市販普通小麦パスタ用粉から製造された乾燥パスタ(茹で麺)に比べ、弾力性が優れ、粘りや硬さも同等かそれ以上であり、その結果、食感総合の評価は優れていた。これらの試験例をブレンドする澱粉がタピオカ澱粉の場合(試験例28〜30)と比較すると、明らかに弾力性が優れており、粘りや硬さは同等かそれ以上であり、その結果、食感総合の評価も優れていた。
【0035】
これらのことから、超強力小麦粉に適当量の馬鈴薯澱粉を混合したブレンド粉を用いることによって、普通小麦の小麦粉のみから得られた乾燥パスタに比べ食感が良好な乾燥パスタが製造できることが判る。超強力粉と馬鈴薯澱粉のブレンド粉の中では特に、試験例34、35、36のアミロース含量の高い超強力粉に適当量の高リン馬鈴薯澱粉を混合したブレンド粉から製造された乾燥パスタ(茹で麺)の評価は食感が非常に良好で、比較例の従来の普通小麦粉のみの乾燥パスタ(茹で麺)に比べ明らかに良好な結果を示した。
【0036】
以上の結果から、本発明の効果は非常に大であり、本発明の技術を用いることによって、茹で麺の外観、色相、食感、食味の優れた非常に品質良好な乾燥パスタが得られることが判る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量%で表示して、90〜70%の超強力小麦粉および10〜30%の馬鈴薯澱粉を含有し、前記超強力小麦粉は小麦粉中の澱粉のアミロース含量が26%以上である、パスタ用ブレンド粉。
【請求項2】
前記超強力小麦粉は、正常なWx−A1、Wx−B1、Wx−D1タンパク質をすべて持っているWx遺伝子に関してワイルドタイプの小麦品種・系統である超強力小麦から調製された超強力小麦粉である、請求項1に記載のパスタ用ブレンド粉。
【請求項3】
前記馬鈴薯澱粉は、リン含量が700ppm以上であり、平均粒径が35μm以上であり、且つRVAの最高粘度が260RVU以上である請求項1または2に記載のパスタ用ブレンド粉。
【請求項4】
90〜70%の超強力小麦粉および10〜30%の馬鈴薯澱粉を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパスタ用ブレンド粉。
【請求項5】
前記超強力小麦粉は小麦粉中の澱粉のアミロース含量が28%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のパスタ用ブレンド粉。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のパスタ用ブレンド粉を用いて製造された乾燥パスタ。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のパスタ用ブレンド粉を用いて製造された生パスタ類。

【公開番号】特開2012−157320(P2012−157320A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20656(P2011−20656)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【Fターム(参考)】