説明

パターン化及び非パターン化物体を光学的に検査する方法及びシステム

パターン化及び非パターン化物体を光学的に検査するためのシステム及び方法。この方法は、物体から反射された光の偏光状態を決定するステップと、入射光の偏光状態を確立するステップと、反射光を偏光によりフィルタして、検出器により検出される光学信号を与えるステップとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
[0001]本出願は、2002年12月30日に出願された「Optical configurationfor detecting phase anomalies in birefringent substrates with normalillumination」と題する米国プロビジョナル特許出願第60/437,545号の利益を請求する。
【発明の分野】
【0002】
[0002]光学的検査方法及びシステム、特に、サブ波長欠陥又はプロセス変動を検出するための光学的検査。
【発明の背景】
【0003】
[0003]半導体製造プロセスにおいて品質保証プロセスの一部分としてウェハ表面上の欠陥、粒子及び/又はパターンを検出するために半導体ウェハを自動的に検査する種々のシステムが使用されている。現在の検査システムの目標は、欠陥を検出することである。
【0004】
[0004]光波の電界成分を使用して、それらの波の偏光状態が定義される。偏光された光波は、一般に、楕円偏光であると言われ、即ち2つの垂直な電界成分E及びEの間には、ある位相差があり、これらE及びEは、各々、x方向及びy方向に沿って向けられた電界の成分であり、伝播の方向はz方向である。偏光状態は、電界成分により発生された楕円に関連した2つのパラメータε(楕円率の程度)及びα(主軸の配向角度)によってしばしば説明される。2つの電界成分間の位相シフトがk*πラジアン(kは整数)であるときには、光波が直線的に偏光され、即ちε=0及びα=arctan(cos(kπ)・E/E)となる。両成分が同じ振幅を有するが、(k+1/2)*πラジアンだけ互いに位相シフトされているときには、光波が円偏光されると言われ、ε=1である(この場合、αは意味をもたない)。中間の偏光状態については、εが0と1との間であり、αが0とπとの間の範囲である。
【0005】
[0005]非等方性材料の光学特性は、光波の偏光及び伝播方向に依存する。非等方性材料を通る電磁波の伝播は、この分野で知られており、A.ヤリフ、P.ヨー著の「Optical Waves in Crystals」、1984年、ジョン・ウイリー&ソンズ・インク、第69−120ページに説明されている。
【0006】
[0006]複屈折は、異なる方向(これら方向は、通常軸及び異常軸として知られている)に偏光される光に対して2つの異なる屈折率を有していて、各軸に沿った入射電界の成分に対応する通常成分及び異常成分に光波を分割する非等方性材料の特性である。従って、複屈折材料は、光波の2つの偏光成分間に位相シフトを生じ得ると共に、相対的な振幅シフトも導入し、従って、光波の偏光状態を変化することもある。通常成分と異常成分との間の位相差は、位相遅れと称される。入射光と反射又は透過光との間でε又はαのいずれかが変化することは、偏光シフトと称される。
【0007】
[0007]半波プレートは、通常軸と異常軸との間にπラジアンの位相遅れを生じさせる光学エレメントである。前記軸の一方が直線偏光光波の偏光方向に対して角度θにセットされるように半波プレートを回転すると、光学エレメントを通過する際に、入射ビームが半波プレートの平面に垂直であれば、光波の偏光方向を2θ回転することになる。従って、入射偏光方向に対してπ/4ラジアン回転される半波プレートは、垂直偏光の光波を水平偏光の光波に変換することができる。
【0008】
[0008]1/4波プレートは、通常軸と異常軸との間にπ/2ラジアンの位相遅れを発生する光学エレメントである。前記軸の一方が直線偏光光波の偏光方向に対してπ/4ラジアンの角度を形成するように配向された1/4波プレートは、光学エレメントを通過する際に、直線偏光を円偏光に変換し、逆に、1/4波プレートに垂直に入射する円偏光は、通常軸に対しπ/4ラジアンの角度に沿って偏光ベクトルをもつ直線偏光に変換される。
【0009】
[0009]直線偏光フィルタは、入射光ビームの特定の直線偏光成分を透過すると共に、前記入射ビームの前記直線偏光に対する直交偏光成分を阻止する光学エレメントである。
【0010】
[00010]偏光フィルタ、半波プレート及び1/4波プレートを適当に適用することにより光ビームの任意の楕円偏光状態を確立することができる。第1に、直線偏光フィルタを入射ビームに適用して、良好に画成された直線偏光を確立し、次いで、半波プレート及び1/4波プレートを光ビームに適用して、前記直線偏光を希望の楕円偏光に変換する。このプロセスは、光ビームの偏光状態を確立するものと称される。
【0011】
[00011]半波プレート、1/4波プレート及び偏光フィルタを適当に適用することにより任意の楕円偏光成分を光ビームから除去することができる。第1に、半波プレート及び1/4波プレートを光ビームに適用して、希望の楕円偏光成分を直線偏光に変換し、次いで、偏光フィルタを光ビームに適用して、前記直線偏光を阻止する。このプロセスは、偏光により光ビームをフィルタするものと称される。
【0012】
[00012]フィナロフ氏の米国特許第5,333,052号は、斜めに照射される直線偏光の光ビームを使用してコントラスト像を与える一方、検査される物体のある材料の複屈折に応答して反射光を偏光によりフィルタするシステム及び方法を説明している。このシステム及び方法は、透明な膜の存在又はその厚み変動の検出に使用される。
【発明の概要】
【0013】
[00013]本発明は、基板に存在する特徴部及びパターンが入射光の偏光シフトを生じさせ、従って、入射光の偏光の状態が反射(又は透過)光の偏光の状態と異なるという仮定に基づいている。一般に、これは、異なる材料間の横方向の境界及び/又は高さの異なる特徴部の横方向の境界において任意のパターンで発生する。注意すべきことに、これは、通常、反復パターンで発生すると共に、入射光ビームの波長より小さいピッチにより特徴付けられる繰り返しパターンにおいて均一に発生する。
【0014】
[00014]本発明者は、ナル偏光解析法(null ellipsometric method)を適用することにより、光学的検査システム及び方法が高い感度をもち、入射光の波長より小さいパターンで欠陥を検出できる一方、波長を600ナノメータより小さくできることが分かった。このようなナル偏光解析法では、反射(又は透過)光が偏光によりフィルタされて、非欠陥パターンからの光学信号を阻止する一方、欠陥パターンを横断する光は、異なる偏光シフトを受け、従って、光学信号のある部分はフィルタされず、検出器に到達する。
【0015】
[00015]本発明は、パターン化された物体を光学的に検査する方法であって、パターンにより導入される偏光シフト及びパターンにより偏光シフトされる入射光ビームの偏光を決定するステップと、この決定に応答して、光ビームの偏光状態を確立して、パターン化された物体に当たる入射光ビームを与えるステップと、上記決定に応答して、偏光により反射光ビームをフィルタするステップと、そのフィルタされた反射光ビームの検出に応答して検出信号を発生するステップと、を備えた方法を提供する。
【0016】
[00016]本発明は、パターン化された物体を光学的に検査する方法であって、パターンから反射された反射光ビームの偏光の状態を決定するステップと、パターン化された物体に入射光ビームを向ける一方、その入射光ビームを偏光の状態により特徴付けるステップと、上記決定された偏光状態に応答して上記パターン化された物体から反射される反射光ビームを偏光によりフィルタすると共に、そのフィルタされた反射光を検出器に向けるステップと、上記フィルタされた反射光の検出に応答して検出信号を発生するステップと、を備えた方法を提供する。
【0017】
[00017]本発明は、非パターン化物体を光学的に検査する方法であって、欠陥により偏光シフトされる入射光ビームの偏光を決定するステップと、この決定に応答して、光ビームの偏光状態を確立して、物体に当たる入射光ビームを与えるステップと、非パターン化物体から反射された反射光ビームを偏光によりフィルタして、欠陥の不存在中に反射された光を阻止するステップと、そのフィルタされた反射光ビームの検出に応答して検出信号を発生するステップと、を備えた方法を提供する。
【0018】
[00018]本発明は、物体を光学的に検査するシステムであって、入射光ビームを物体により偏光シフトしなければならないように、物体に向けられた光ビームの偏光状態を確立するための入射光光学系と、物体により導入される推定偏光シフトに応答して、反射光ビームを偏光によりフィルタするための反射光光学系と、コントローラに結合されて、フィルタされた反射光ビームの検出に応答して検出信号を発生するための検出器と、を備えたシステムを提供する。
【0019】
[00019]本発明は、添付図面を参照したその実施形態の以下の詳細な説明からより完全に理解されよう。
【実施形態の詳細な説明】
【0020】
[00023]例えば、集積回路のようなある物体の製造中には、あるパターンが形成される。これらのパターンの光学的特性は、パターンが形成される材料の光学的特性とは異なることがある。従って、パターンは、入射光ビームの電界の成分間に偏光シフトを導入することがある。従って、反射光ビームの偏光の状態は、入射光ビームの偏光の状態と相違する。
【0021】
[00024]従って、パターンは、入射光ビームの偏光の状態を、そのパターンを形成する材料により導入される偏光シフトとは異なるやり方でシフトすることがある。パターンが別の材料を含む(空気や真空もこの目的のための材料と考えてもよい)ときには、繰返し周期が入射光ビームの波長より小さい場合に、全パターンにわたり均一な仕方で偏光シフトが発生する。パターンが前記条件を満足しないときには、パターン内の位置に基づいて偏光シフトを発生する。
【0022】
[00025]典型的な繰り返しパターンは、互いに並行な複数の細長い導体を含む。これら導体は、通常、多結晶シリコン、タングステン、アルミニウム、又は銅で作られる。このような場合に、このようなパターンの異常軸は、平行導体に実質的に平行であるが、通常軸は、平行導体に実質的に垂直である。パターンから反射される光の偏光成分の遅れ位相及び振幅変動は、通常、繰返し周期、導体の巾及び高さ、導体の屈折率、並びに基板の屈折率のような種々のファクタに依存する。
【0023】
[00026]本発明者は、欠陥パターンにより導入される偏光シフトが非欠陥パターンの偏光シフトとは異なることが分かった。欠陥パターンは、粒子、汚染物、導体の切断、導体間の短絡、等を含み得る。非欠陥パターンから反射される光の偏光シフトがゼロである場合には、欠陥パターン(スクラッチのような配向欠陥を含むパターンのような)が、ゼロとは異なる偏光シフトを導入することになる。
【0024】
[00027]本発明の態様によれば、パターン内の欠陥を検出するように意図された光学システムの感度は、ナル偏光解析法を実施することにより向上させることができる。従って、反射光の偏光成分は、非欠陥パターンにより導入される位相シフトを打ち消す(又はほぼ抑制する)仕方でシステムの偏光光学エレメントにより互いに位相シフトされ、それにより生じる偏光を阻止するように偏光フィルタがセットされ、従って、偏光シフトされた反射光の残留量だけが検出される。照射されたパターンが欠陥でない場合には、もしあっても僅かな量の光が検出されるだけである。逆に、照射されたパターンが欠陥であって、偏光状態を非欠陥パターンとは異なる仕方でシフトする場合には、偏光フィルタが反射光の著しい部分を透過し、欠陥を表わす検出信号を生じさせる。この方法は、パターンが入射光の波長より小さなピッチで繰り返される条件の下で特に適している。しかしながら、多くの場合、これは、前記条件が満足されないときでも効果的である。
【0025】
[00028]図1を参照すれば、物体100を光学的に検査するためのシステム10が示されている。このシステム10は、光源20と、入射光光学系21とを備えている。光源20は、通常、物体に当たる前に変更し得る予めの偏光状態を有する光ビームを発生する。入射光光学系21は、1/4波プレート40及び半波プレート42のような種々の偏光コンポーネントを含むことができる。入射光ビームは、光学軸に沿って伝播し、スキャナ30、非偏光ビームスプリッタ50、対物レンズ60、等の付加的なコンポーネントを通して伝播することができる。直線偏光ビーム22は、一次スキャン軸に沿ってビーム22をスキャニングするためのスキャナ30によりスキャンされると仮定するが、スキャナ30を偏光コンポーネント40及び42から下流に位置することもできる。スキャナ30は、音響−光学スキャナ、回転ミラー、等を含んでもよい。通常、物体100は、横断スキャン軸に沿って機械的に並進移動される。
【0026】
[00029]直線偏光ビーム22は、直線偏光ビーム22の偏光方向に対してπ/4ラジアンで配向された1/4波プレート40を通過する。この1/4波プレート40は、直線偏光ビーム22を円偏光ビーム24へ変換する。π/4ラジアンの配向は、直線偏光光源20と1/4波プレート40との間に配置された半波プレート42にビームを通過させることが必要になり得ることに注意されたい。或いは又、入射光ビーム22が、ある任意の楕円偏光である場合には、半波プレート42及び1/4波プレート40は、当業者に良く知られたように、円偏光ビーム24を発生するように対応的にセットすることができる。又、円偏光ビーム24は、入射光ビームとも称され、物体100に垂直な第1光学軸7に沿って非偏光ビームスプリッタ50及び対物レンズ60を経て伝播する。非偏光ビームスプリッタ50は、透過されるビームの偏光に変化を誘起しないと仮定し、実際にこの点に関して理想的でない場合には、波プレート40及び42は、当業者に知られたように、ビームスプリッタ50を通過する際に円偏光ビームを発生するように適切にセットすることができる。対物レンズ60は、光ビーム24を、各パターンの各ピッチより便宜上大きな直径を有するスポットに収束する。照射スポットの直径は、入射光がパターンにより均一に偏光シフトされるよう保証するために、2又は3の繰り返しピッチを越えるのが好ましい。
【0027】
[00030]このシステム及び方法は、入射光ビームが円偏光されることを必ずしも必要としないが、円偏光は、パターン及びほとんどの欠陥により異なる影響を受けるという点でしばしば最適であることに注意されたい。一般に、入射光ビームは、欠陥及び非欠陥パターンに対して異なる偏光シフトを誘起して、好ましくは前記相違を最大にするように偏光されねばならない。例えば、非欠陥パターンが2つの個別の配向に対して偏光に影響する光学特性(通常軸に沿った第1屈折率及び異常軸に沿った別の屈折率のような)により特徴付けられ、且つ欠陥パターンがこれらの一次方向を維持するが各方向に沿った特性の相対値を変化する(図88の上部に示すように)場合には、入射光ビームの偏光は、一次方向の1つに沿って配向されてはならず、さもなければ、欠陥パターン又は非欠陥パターンのいずれについても偏光シフトを受けないことになる。入射光ビームの偏光は、両方の一次方向を受けるように選択されねばならず、即ち欠陥及び非欠陥パターンは、前記光学特性の異なる相対値を有するので、得られる偏光が欠陥及び非欠陥パターンに対して変化し、検出器に異なる信号を発生する。
【0028】
[00031]図8の下部は、一次方向を保持しない欠陥パターンを示し、それ故、入射光を非欠陥パターンの一次方向の1つに沿って偏光することが受け入れられ、即ち非欠陥パターンは反射光の偏光をシフトしないが、欠陥パターンはシフトする。
【0029】
[00032]換言すれば、偏光シフトを導入することが予想されるパターン化された物体を検査するときには、欠陥又は非欠陥パターンにより偏光シフトを誘起する配向に応答して入射光を偏光しなければならない。従って、非欠陥パターンが通常軸及び異常軸を有する場合には、入射光は、通常成分及び異常成分を有するのが好ましい。例えば、パターンの通常軸が垂直で、パターンの異常軸が水平である場合には、入射光は、垂直及び水平の両電界成分を有していなければならない。このようなパターンは、垂直に偏光された入射光ビーム又は水平に偏光された入射光ビームにより照射されてはならないが、他の楕円偏光ビームを使用することができる(垂直及び水平軸に対して配向された偏光方向を有する直線偏光ビームを含む)。
【0030】
[00033]偏光シフトされた反射光ビーム26のような反射光ビームは、非偏光ビームスプリッタ50に向かって垂直に伝播し、反射光光学系55を経て、検出器90により検出される。反射光光学系55は、非欠陥パターンから反射される光を消去するように、非偏光ビームスプリッタ50及び検出器90により画成された光学軸9に周りで回転される位相補償装置及び偏光フィルタを含むことができる。位相補償装置は、通常、1/4波プレート70のような1/4波プレートであり、又、偏光フィルタは、分析器80を含む。又、位相補償装置は、液晶可変遅延装置でもよい。分析器80は、モーター(図示せず)により反射光の光学軸の周りで回転される偏光フィルタを含む。
【0031】
[00034]反射光光学系55は、非欠陥パターンを与え、パターンを照射し、更に、最小信号が検出器に到達するまで第2の偏光光学コンポーネントを回転することを含む予めのステップ中に(幾つかのそのコンポーネントの回転により)構成することができる。信号を最小にすることは、試行錯誤により行われてもよいし、或いは偏光フィルタ80に入射する反射光の偏光状態を測定して、既知のやり方で波プレート70及び偏光フィルタ80を回転し、フィルタ80を通過する際に信号を消去することにより行われてもよい。測定は、次のように行うことができる。1)偏光器80の3つの位置0°、90°及び45°に対する検出信号の値I、I90及びI45を各々測定する。2)これら値のいずれかが0に等しい場合には、光をその方向に垂直に直線偏光する。さもなければ、3)電界の正規化された値E及びEを各々I/(I+I)及びI/(I+I)として計算する。4)電界成分間の位相シフトθをcos(θ)=[I45−(I+I90)/2]/(I90)として計算する。これらの値が計算されると、1/4波プレート70は、直線偏光(θ=0°)を発生するように適当に回転することができると共に、偏光器80は、得られる直線偏光の光を消去するように回転することができる。又、この構成は、同じ構造をモデリングし、その構造に入射する光の電磁伝播を、例えば、限定エレメント方法又は厳密な結合波分析を使用してシミュレーションすることにより、非欠陥パターン及び入射光の偏光状態により導入される位相シフトの計算に基づくものでもよい。本発明の更に別の態様によれば、1組の予め定義された構成が用意され、最良の構成を選択するために評価される。
【0032】
[00035]理想的には、第2の偏光光学系又はそのコンポーネントの少なくとも1つは、スキャンされるビームが固定される平面内に置かれる。このような平面は、対物レンズの出口瞳孔に置かれる。
【0033】
[00036]欠陥は、いずれかの標準検査アルゴリズムに関して、パターン化されたオブジェクトのエリアをスキャンし、次いで、検出器90からの検出信号を、公称基準信号、例えば、公称同一の隣接領域をスキャンした際に発生される信号(ダイ対ダイ)、或いは周囲エリアにおける信号と比較したときに、検出される。
【0034】
[00037]検出器90と、分析器80のような種々の光学コンポーネントを回転するためのモーターとは、コントローラ99に接続されてこれにより制御され、該コントローラは、更に、検出欠陥を処理できると共に、欠陥又はプロセス変動の存在を決定できる。
【0035】
[00038]本発明の別の態様によれば、検出信号をプロセス変動の監視に使用することもできる。非欠陥パターンにより導入される偏光シフトは、繰り返しパターンの幾何学形状に応答する。従って、導体の配向、導体の巾、又は繰返し周期の変化は、パターンにより導入される偏光シフトを変更することができる。光ビームの直径サイズを充分に越えるエリアからの検出信号を処理することにより、プロセス変動を検出することができる。
【0036】
[00039]又、このシステムは、物体の非パターン化エリアを光学的に検査するようにも操作できる。非パターン化エリアは、偏光シフトを導入すると想定されず、一方、ある欠陥は、偏光シフトを導入することがある。従って、反射光光学系は、非欠陥の非パターン化エリアからの反射光を偏光によりフィルタするように構成される。
【0037】
[00040]本発明者は、透明な上層(又は少なくとも部分的に透明な上層)を含む物体の非パターン化エリアを監視するように本発明を適用すると、オーバーレイ層の厚みの変化に不感な健全な検査方法を提供できることが分かった。換言すれば、本発明は、カラー変化に不感である。
【0038】
[00041]図2は、システム10と同様であるが、1/4波プレート40及び半波プレート42が、直線偏光光源20と非偏光ビームスプリッタ50との間に置かれるのではなく、非偏光ビームスプリッタ50と対物レンズ60との間に置かれるという点で前記システムとは異なるシステム11を示す。このシステム11において、1/4波プレート40及び半波プレート42は、入射光光学系及び反射光光学系の一部分である。
【0039】
[00042]通常入射を使用するときには、システムは、カラー変化の影響をあまり受けずに、非パターン化及びパターン化物体(周期的にパターン化される物体を含む)の光学的な検査を容易にする。
【0040】
[00043](a)円偏光が基板に入射し、且つ(b)基板が偏光シフトを誘起しない場合には、1/4波プレートを出る光ビーム(表面から反射された後に)は、その1/4波プレートに入射する光に垂直な偏光ベクトルで直線偏光されることに注意されたい。更に、(a)直線偏光が基板に入射し、且つ(b)基板が偏光シフトを誘起しない場合には、反射光ビームは、半波プレートに入射する光に平行な偏光ベクトルで直線偏光される(入射偏光角の配向に関わりなく)。
【0041】
[00044]従って、システム11のこれらの特性は、偏光コンポーネント70及び80を設定する手順を簡単化すると共に、実際には、それらの幾つかを不必要なものにする。
【0042】
[00045]例えば、入射光ビームが、偏光シフトを誘起しない基板に入射する直線偏光である場合には、偏光コンポーネント70及び80と、非偏光ビームスプリッタ50を、固定角度において偏光器80の機能を満足する偏光ビームスプリッタに置き換えることができる。従って、ビームスプリッタ50を最初に通過する際に失われる照射ビームの一部分は、当業者に良く知られたように、入射ビーム24が適切な直線偏光である場合には、非偏光ビームスプリッタ50に代わって偏光ビームスプリッタを使用することにより回復される。
【0043】
[00046]本発明の別の実施形態によれば、このシステムは、非パターン化物体における欠陥を検出するのに使用できる。このシステムは、偏光ビームスプリッタ(非偏光ビームスプリッタ50に代わる)、及びこの偏光ビームスプリッタと対物レンズとの間に置かれた任意の半波プレートを含むことができる。
【0044】
[00047]本発明の別の実施形態によれば、このシステムは、非偏光ビームスプリッタ50、対物レンズとこの非偏光ビームスプリッタ50との間に置かれた半波プレート又は1/4波プレート、及び非偏光ビームスプリッタと検出器との間の光学経路に置かれた固定偏光器を含むことができる。
【0045】
[00048]図3は、システム10に類似しているが、通常照射レーザスキャニング光学系に代わって斜め照射のレーザスキャニングを実施するシステム12を示す。従って、非偏光ビームスプリッタ50が除去され、別の対物レンズ95が置かれて、物体からの鏡面反射ビームを収集する。この別の対物レンズ95と検出器90との間に反射光光学系が配置される。
【0046】
[00049]図4は、システム10に類似しているが、像形成光学系110を備えたシステム14を示している。像形成光学系110は、像形成検出器、例えば、CCDエリアアレイ検出器115と、このCCDアレイ検出器115に検査物体の像を形成するように置かれたリレー120とを備えている。システム14は、像形成検出器に像形成されるエリアの少なくとも一部分に対応する物体のエリアを照射する光源を備えている。ピクセルサイズ、特に、像の解像度は、繰り返しパターンの多数の繰返し周期に対応するのが好ましい。スキャニングは、ウェハを並進移動又は回転するか、照射ビームを偏向するか、又はその組合せにより達成することができる。
【0047】
[00050]図5は、光学的検査方法200を示す。この方法200は、パターンにより導入される偏光シフト及びパターンによりシフトされる入射光ビームの偏光を決定するステップ(ステップ210)と、この決定に応答して、光ビームの偏光状態を確立し、パターン化された物体に当たる入射光ビームを与えるステップ(ステップ220)と、その決定に応答して、偏光により反射光ビームをフィルタし、そのフィルタされた反射光ビームの検出に応答して、検出信号を発生するステップ(ステップ230)とを備えている。
【0048】
[00051]図6は、光学検査方法300を示す。この方法300は、パターンから反射された反射光ビームの偏光の状態を決定するステップ(ステップ310)と、パターン化された物体に入射光ビームを向ける一方、その入射光ビームを偏光の状態により特徴付けるステップ(ステップ320)と、上記決定された偏光状態に応答して上記パターン化された物体から反射される反射光ビームを偏光によりフィルタすると共に、そのフィルタされた反射光を検出器に向けるステップ(ステップ330)と、上記フィルタされた反射光の検出に応答して検出信号を発生するステップ(ステップ340)とを備えている。
【0049】
[00052]図7は、非パターン化物体を光学的に検査する方法400を示す。この方法400は、欠陥により偏光シフトされる入射光ビームの偏光を決定するステップ(ステップ410)と、この決定に応答して、光ビームの偏光状態を確立して、物体に当たる入射光ビームを与えるステップ(ステップ420)と、非パターン化物体から反射された反射光ビームを偏光によりフィルタして、欠陥の不存在中に反射された光を阻止するステップ(ステップ430)と、反射光ビームの検出に応答して検出信号を発生するステップ(ステップ440)とを備えている。ステップ410は、以前に検出された欠陥に応答して、或いは物体の製造プロセスのある特性に応答して、あり得る欠陥を推定する段階を含むことができる。多くの場合に、円偏光が選択されてもよいし、或いは偏光方向があり得る欠陥の方向に対して配向された直線偏光が選択されてもよい。
【0050】
[00053]ある偏光コンポーネントを、特定のシステム10、11及び14を参照して上述したが、本発明の原理は、当業者に明らかとなる別の偏光機構を使用する他の形式の検査システムにも適用できる。従って、上述した実施形態は一例に過ぎず、本発明は、特に図示して上述されたものに限定されないことが明らかであろう。むしろ、本発明の範囲は、上述した種々の特徴の組合せ及び副次的組合せ、並びに従来技術に開示されておらず、前記説明を読んだときに当業者に明らかになるその変更や修正を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態に基づく光学検査システムを示す図である。
【図2】本発明の実施形態に基づく光学検査システムを示す図である。
【図3】本発明の実施形態に基づく光学検査システムを示す図である。
【図4】本発明の実施形態に基づく光学検査システムを示す図である。
【図5】本発明の実施形態に基づく光学検査方法のフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に基づく光学検査方法のフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に基づく光学検査方法のフローチャートである。
【図8】パターンの欠陥及び非欠陥部分を例示する図である。
【符号の説明】
【0052】
10、11、12、14…システム、20…光源、21…入射光光学系、22…直線偏光ビーム、40…1/4波プレート、42…半波プレート、30…スキャナ、50…非偏光ビームスプリッタ、55…反射光光学系、60…対物レンズ、70…1/4波プレート、80…分析器、90…検出器、100…物体、110…像形成光学系、115…CCDアレイ検出器、120…リレー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン化された物体を光学的に検査する方法において、
上記パターンにより導入される偏光シフト、及び上記パターンにより偏光シフトされる入射光ビームの偏光を決定するステップと、
上記決定に応答して、光ビームの偏光状態を確立して、上記パターン化された物体に当たる入射光ビームを与えるステップと、
上記決定に応答して、偏光により反射光ビームをフィルタするステップと、
上記フィルタされた反射光ビームの検出に応答して検出信号を発生するステップと、
を備えた方法。
【請求項2】
上記決定するステップは、上記パターンの通常軸及び異常軸を決定する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記定義するステップは、異常成分及び通常成分を含むように上記入射光ビームの偏光を定義する段階を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
上記反射光ビームは、非欠陥パターンから反射された光成分を実質的に減少するように偏光によりフィルタされる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
光ビームの偏光状態を確立する上記ステップは、円偏光入射光ビームを発生する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
上記決定するステップは、偏光シフトを計算する予めの段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
上記決定するステップは、偏光シフトを測定する予めの段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
上記入射光ビームは、上記パターン化された物体に垂直な光学軸に沿って伝播する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
上記入射光ビームは、上記パターン化された物体に対して斜めに配向された光学軸に沿って伝播する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
プロセス変動の存在を指示するように複数の検出信号を処理するステップを更に備えた、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
欠陥の存在を指示するように少なくとも1つの検出信号を処理するステップを更に備えた、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
パターン化された物体を光学的に検査する方法において、
上記パターンから反射された反射光ビームの偏光の状態を決定するステップと、
上記パターン化された物体に入射光ビームを向ける一方、その入射光ビームを偏光の状態により特徴付けるステップであって、上記決定された偏光状態に応答して上記パターン化された物体から反射される反射光ビームを偏光によりフィルタすると共に、そのフィルタされた反射光を検出器に向ける、前記ステップと、
上記フィルタされた反射光の検出に応答して検出信号を発生するステップと、
を備えた方法。
【請求項13】
欠陥の存在を指示するように少なくとも1つの検出信号を処理するステップを更に備えた、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
プロセス変動の存在を指示するように上記パターン化された物体の少なくとも1つのエリアに関連した複数の検出信号を処理するステップを更に備えた、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの検出信号から上記パターン化された物体の像を発生するステップを更に備えた、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
偏光によりフィルタする上記ステップは、非欠陥パターンから反射される光を実質的に減少するようにフィルタリングする段階を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
上記決定するステップは、上記パターンから反射される光の偏光状態を計算する予めの段階を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
上記決定するステップは、上記パターンから反射される光の偏光状態を測定する予めの段階を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
非パターン化物体を光学的に検査する方法において、
欠陥により偏光シフトされる入射光ビームの偏光を決定するステップと、
上記決定に応答して、光ビームの偏光状態を確立して、上記物体に当たる入射光ビームを与えるステップと、
上記非パターン化物体から反射された反射光ビームを偏光によりフィルタして、欠陥の不存在中に反射される光を阻止するステップと、
上記反射光ビームの検出に応答して検出信号を発生するステップと、
を備えた方法。
【請求項20】
上記反射光ビームを偏光によりフィルタするステップを更に備えた、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
上記反射光ビームは、非欠陥物体から反射される光成分を実質的に減少するように偏光によりフィルタされる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
光ビームの偏光状態を確立する上記ステップは、円偏光の入射光ビームを発生する段階を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
上記入射光ビームは、上記パターン化された物体に垂直な光学軸に沿って伝播する、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
プロセス変動の存在を指示するように複数の検出信号を処理するステップを更に備えた、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
欠陥の存在を指示するように少なくとも1つの検出信号を処理するステップを更に備えた、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
上記検出信号は、上記パターン化された物体のエリアの像を表わす、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
上記検出信号は、上記パターン化された物体のエリアの像を表わす、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
物体を光学的に検査するシステムにおいて、
入射光ビームを上記物体により偏光シフトしなければならないように、上記物体に向けられた光ビームの偏光状態を確立するための入射光光学系と、
上記物体により導入される推定偏光シフトに応答して、反射光ビームを偏光によりフィルタするための反射光光学系と、
コントローラに結合されて、上記フィルタされた反射光ビームの検出に応答して検出信号を発生するための検出器と、
を備えたシステム。
【請求項29】
上記検出器は像形成検出器であり、更に、上記反射光光学系は、上記物体のエリアの像を上記検出器に与えることができる、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
上記検出器は非像形成検出器であり、更に、上記反射光光学系は、上記検出器における瞳孔を形成する、請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
上記入射光光学系は、上記物体に垂直な光学軸に沿って上記入射光ビームを向ける、請求項28に記載のシステム。
【請求項32】
上記入射光光学系は、上記物体に対して斜めに配向された光学軸に沿って上記入射光ビームを向ける、請求項28に記載のシステム。
【請求項33】
上記入射光光学系は、ウェハ平面内の配向に沿って直線偏光状態を確立することができる、請求項28に記載のシステム。
【請求項34】
上記入射光光学系は、ウェハ平面内に円偏光状態を確立することができる、請求項28に記載のシステム。
【請求項35】
上記入射光光学系は、ウェハ平面内に楕円偏光状態を確立することができる、請求項28に記載のシステム。
【請求項36】
上記反射光光学系は、非欠陥パターンから反射される光成分を実質的に減少するように、反射光ビームを偏光によりフィルタすることができる、請求項28に記載のシステム。
【請求項37】
入射光の偏光状態を確立する役目を果たす同じ遅延装置が反射光ビームの経路にも存在する、請求項28に記載のシステム。
【請求項38】
入射光の偏光状態を確立する役目を果たす遅延装置は、反射光ビームを偏光によりフィルタするのに使用されるものとは個別である、請求項28に記載のシステム。
【請求項39】
偏光ビームスプリッタは、a)上記検査される物体に向けて入射ビームを伝送すると共に、反射ビームを上記検出器に向けて反射し、更に、b)その反射ビームを偏光によりフィルタする、という二重の機能を果たす、請求項28に記載のシステム。
【請求項40】
非偏光ビームスプリッタは、上記検査される物体に向けて入射ビームを伝送すると共に、反射ビームを上記検出器に向けて反射するという機能を果たし、一方、独立した偏光フィルタがその反射ビームを偏光によりフィルタするように働く、請求項28に記載のシステム。
【請求項41】
上記システムは偏光シフトを計算することができる、請求項28に記載のシステム。
【請求項42】
上記システムは偏光シフトを測定することができる、請求項28に記載のシステム。
【請求項43】
上記検出器に結合され、プロセス変動の存在を指示するように複数の検出信号を処理できるプロセッサを更に備えた、請求項28に記載のシステム。
【請求項44】
上記検出器に結合され、欠陥の存在を指示するように少なくとも1つの検出信号を処理できるプロセッサを更に備えた、請求項28に記載のシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−512588(P2006−512588A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508536(P2005−508536)
【出願日】平成15年11月17日(2003.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2003/036837
【国際公開番号】WO2004/061440
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(504273782)アプライド マテリアルズ イスラエル リミテッド (18)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】