パターン寸法計測方法及び走査型透過荷電粒子顕微鏡
【課題】STEM等の走査型荷電粒子顕微鏡を用いた断面形状計測を1回のサンプル作成で複数の断面について行うことができるようにしたパターン寸法計測方法及びそのシステムを提供することにある。
【解決手段】走査型荷電粒子線顕微鏡を用いて、計測対象パターンの3次元断面形状計測を行うパターンの計測方法であって、収束荷電粒子線の焦点位置を前記計測対象パターンの所望の断面に合せてz方向に対して順次変化させ、それぞれの焦点位置での前記計測対象パターンの透過電子画像若しくは散乱電子画像を取得し、それぞれの焦点位置で取得した透過電子画像若しくは散乱電子画像を処理して、該それぞれの焦点位置での電子画像内での計測対象パターンのエッジ位置を算出し、該算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置とそれぞれの焦点位置との組み合わせに基づいて、計測対象パターンの3次元断面形状計測を行うことを特徴とする。
【解決手段】走査型荷電粒子線顕微鏡を用いて、計測対象パターンの3次元断面形状計測を行うパターンの計測方法であって、収束荷電粒子線の焦点位置を前記計測対象パターンの所望の断面に合せてz方向に対して順次変化させ、それぞれの焦点位置での前記計測対象パターンの透過電子画像若しくは散乱電子画像を取得し、それぞれの焦点位置で取得した透過電子画像若しくは散乱電子画像を処理して、該それぞれの焦点位置での電子画像内での計測対象パターンのエッジ位置を算出し、該算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置とそれぞれの焦点位置との組み合わせに基づいて、計測対象パターンの3次元断面形状計測を行うことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の製造工程においてウェハ上に形成された回路パターンの加工形状の寸法を、回路パターンの透過若しくは散乱荷電粒子顕微鏡画像を用いて計測するパターン寸法計測方法及び走査型透過荷電粒子顕微鏡並びにそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハの製造工程において、ウェハ上に多層に形成されるパターンの寸法および形状は、その半導体デバイスの性能を決める重要な要因のひとつである。中でもトランジスタゲート配線をはじめとする配線パターンは、その配線幅および形状とデバイス動作特性に強い関連があり、所望の配線形状を実現する製造プロセスを構築することが非常に重要である。
【0003】
数十ナノメートルオーダの微細配線の線幅を測定する測長ツールとしては、それらの配線を10万から20万倍の拡大倍率で撮像可能な線幅測定用の走査型電子顕微鏡(測長SEM(Scanning Electron Microscope)またはCD(Critical dimension)SEM)が従来から用いられている。しかしながら、測長SEMではパターン断面の形状を確認するのは困難であるため、製造プロセス立ち上げ初期の段階では、パターンのあるウェハを劈開したり、収束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)加工装置を用いてパターンを加工したりして、SEMや透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)あるいは走査型透過電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope:STEM)などを用いてその断面形状を確認する作業が一般的に行われている。なお、測長SEMについては、例えば特開2005−265424号公報(特許文献2)に記載されている。
【0004】
この断面形状評価は、従来、形状の見た目により観察者がその良否を確認していたが、近年の半導体デバイスの微細化に伴い、断面形状についても高精度な寸法計測への要求が高まっている。しかしながら、断面計測はその試料準備に数十分〜数時間という多くの時間を要するという問題がある。通常の半導体回路パターンには、ラインエッジラフネス(Line edge roughness:LER)や線幅ラフネス(Line width roughness:LWR)とよばれるパターンエッジ位置および寸法の変動がある。断面観察では、通常加工したある一箇所での観察のみが可能であるため、ラフネスの大きなパターンに対して、プロセス全体の状態を評価するためには、多くの点でのパターン寸法観察を行う必要がある。パターン断面の形状を計測するほかの装置としては、原子間力顕微鏡(Atomic force microscope、 AFM)などもあるが、非特許文献1に示されているように、探針の太さや形状によってうまく測れないこともある。特に逆テーパやノッチとよばれる、配線の底部が上部よりも細い形状については計測が困難であり、今後のパターンの微細化に十分に対応できているとは言い難い。
【0005】
【特許文献1】US6、548、810 B2 明細書
【特許文献2】特開2005−265424号公報
【非特許文献1】B.Banke、 C.Archie、 M.Sendelbach et al、 “Reducing measurement uncertainty drives the use of multiple technologies for supporting metrology” Proc. SPIE 2375、 pp.133-150 (2006)
【非特許文献2】A.Yamaguchi、 H.Fukuda、 H.Kawada and T.Iizumi、 “Impact of Long-Period Line-Edge Roughness (LER) on Accuracy in CD Measurement” Proc. SPIE 5752、 pp.1362-1370 (2005)
【非特許文献3】H. Okushima、 T. Onozuka et al、 “ArF photo resist pattern sample preparation method using FIB without protective coating” Proc. SPIE 6152-165 (2006)
【非特許文献4】日本電子顕微鏡学会関東支部編、走査電子顕微鏡、 pp83-86
【非特許文献5】K. van Benthem、 S.N.Rashkeev and S.J.Pennycook、 “Atomic and Electronic Structure Investigations of HfO2/SiO2/Si Gate Stacks Using Aberration-Corrected STEM” Characterization and Metrology for ULSI Technology 2005、 pp79-84
【非特許文献6】J.Notte and B.Ward、 “Sample interaction and contrast mechanisms of the helium ion microscope” SCANNING、 pp.63-64、 2006
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
背景技術に示されているように、SEMやTEM、STEMにより断面計測を行う場合には、サンプル作成に多くの時間を要するため、多くの断面を計測することが難しい。
【0007】
本発明の目的は、STEM(Scanning Transmission Electron Microscope)等の走査型透過荷電粒子顕微鏡を用いた断面形状計測を1回のサンプル作成で複数の断面について行うことができるようにしたパターン寸法計測方法及びSTEM等の走査型透過荷電粒子顕微鏡並びにそのシステムを提供することにある。即ち、本発明の目的は、多くの時間を必要とするサンプル作成を一回で済ませて、STEM等の走査型荷電粒子顕微鏡を用いた断面形状計測の実質的なスループットを大幅に短縮することができるパターン寸法計測方法及びSTEM等の走査型透過荷電粒子顕微鏡並びにそのシステムを提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、STEM等の走査型透過荷電粒子顕微鏡を用いることによって通常の断面形状計測と同じ所要時間で多くの断面形状計測を可能にして、ラフネスのあるパターンに対しても平均的な断面寸法を容易に推定することが可能となり、プロセスの評価や、他の計測装置(例えば測長SEM)との比較などに役立つパターン寸法計測方法及びそのシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、走査型荷電粒子線顕微鏡を用いて、z方向に2μm以上の比較的長さが厚い計測対象パターンの3次元断面形状計測を行うパターンの計測方法であって、収束荷電粒子線の走査照射位置を前記計測対象パターンの所望のx−y断面計測位置に合せて収束荷電粒子線の焦点位置を前記計測対象パターンのz方向に対して順次変化させ、それぞれの焦点位置での前記計測対象パターンの透過電子画像若しくは散乱電子画像を取得する電子画像取得過程と、該電子画像取得過程において前記所望のx−y断面計測位置に合せたそれぞれの焦点位置で取得した透過電子画像若しくは散乱電子画像を処理して、該それぞれの焦点位置での電子画像内での計測対象パターンのエッジ位置を算出するエッジ位置算出過程と、該エッジ位置算出過程で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置と前記電子画像取得過程において電子画像を取得したそれぞれの焦点位置との組み合わせに基づいて、前記計測対象パターンの3次元断面形状計測を行う断面形状計測過程とを有することを特徴とするパターン計測方法である。
【0010】
また、本発明は、前記計測対象パターンは、z方向にラインパターンで形成されていることを特徴とする。また、本発明は、前記計測対象パターンは、z方向に長さ2μm程度以上のラインパターンで形成され、前記断面形状計測過程において、前記計測対象パターンの3次元断面形状計測として所定のz断面における前記ラインパターンの平均寸法、ライン幅ラフネス又はラインエッジラフネスを計測することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記計測対象パターンの周囲には保護膜などの固体が付着していないことを特徴とする。また、本発明は、前記電子画像取得過程において、前記走査型荷電粒子線顕微鏡における前記荷電粒子線の加速電圧が200keV以上であることを特徴とする。また、本発明は、前記電子画像取得過程において、さらに、前記走査型荷電粒子線顕微鏡における前記荷電粒子線のビーム開き角を、前記計測対象パターンの寸法変化量に基づいて決めるビーム開き角決定過程を含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記エッジ位置算出過程において、前記それぞれの焦点位置での電子画像内から得られた信号波形において、その傾きが最大となる座標を前記計測対象パターンのエッジ座標とすることを特徴とする。また、本発明は、前記エッジ位置算出過程において、前記それぞれの焦点位置での電子画像内から得られた信号波形において、該信号波形が画像取得条件に応じて設定したしきい値と一致する点を計測対象パターンのエッジ座標とすることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記断面形状計測過程において、前記エッジ位置算出過程で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置の算出結果と前記それぞれの焦点位置との関係を1次式で近似し、該近似式の傾きにより前記それぞれの焦点位置での計測対象パターンのエッジ位置の算出結果を補正する傾き補正過程を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記断面形状計測過程において、前記エッジ位置算出過程で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置の算出結果の平均値からの差分が、予め指定した許容値よりも大きいときには前記計測対象パターンの3次元断面形状計測結果を排除する排除過程を含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、走査型荷電粒子線顕微鏡を用いて、計測対象パターンの3次元断面形状計測を行うパターンの計測方法であって、収束荷電粒子線の走査照射位置を前記計測対象パターンの所望のx−y断面計測位置に合せて前記収束荷電粒子線の焦点位置を前記計測対象パターンに対してz方向に順次変化させ、それぞれの焦点位置での前記計測対象パターンの第1の透過電子画像若しくは散乱電子画像を取得する第1の電子画像取得過程と、該第1の電子画像取得過程において前記所望のx−y断面計測位置に合せたそれぞれの焦点位置で取得した第1の透過電子画像若しくは散乱電子画像を処理して、該それぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置を算出する第1のエッジ位置算出過程と、前記計測対象パターンを反転させ、収束荷電粒子線の走査照射位置を前記反転した計測対象パターンの所望のx−y断面計測位置に合せて前記収束荷電粒子線の焦点位置を前記反転した計測対象パターンに対してz方向に順次変化させ、それぞれの焦点位置での前記反転した計測対象パターンの第2の透過電子画像若しくは散乱電子画像を取得する第2の電子画像取得過程と、該第2の電子画像取得過程において前記所望のx−y断面計測位置に合せたそれぞれの焦点位置で取得した第2の透過電子画像若しくは散乱電子画像を処理して、該それぞれの焦点位置での電子画像内の反転した計測対象パターンのエッジ位置を算出する第2のエッジ位置算出過程と、前記第1のエッジ位置算出過程で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置と前記第1の電子画像取得過程において電子画像を取得したそれぞれの焦点位置との組み合わせ及び前記第2のエッジ位置算出過程で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の反転した計測対象パターンのエッジ位置と前記第2の電子画像取得過程において電子画像を取得したそれぞれの焦点位置との組み合わせに基づいて、前記計測対象パターンの3次元断面形状計測を行う断面形状計測過程とを有することを特徴とするパターン計測方法である。
【0016】
また、本発明は、前記断面形状計測過程において、前記第1のエッジ位置算出過程で算出された計測対象パターンのエッジ位置の算出結果と前記第2のエッジ位置算出過程で算出された反転した計測対象パターンのエッジ位置の算出結果とに計測対象パターンの表面からの深さに応じた重みをかけた加重平均により、前記計測対象パターンの3次元断面形状計測を行うことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、走査型荷電粒子線顕微鏡において、電子画像取得部において計測対象パターンの透過電子画像若しくは散乱電子画像を取得するための計測対象パターンの長手方向の寸法及び順次変化させる焦点位置の間隔を含む画像取得条件と、画像処理部において計測対象パターンのエッジ位置を算出するための画像処理条件を入力して設定するグラフィカルユーザインターフェースを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、一度の試料作成で、多くの断面形状および寸法の計測が可能なパターン計測を実現する。
【0019】
また、本発明によれば、比較的短時間に多くの断面形状計測を行うことができるようになる。これにより、計測対象である半導体回路パターンについて、これまで困難であった断面形状の製造ばらつきの評価が可能となる。特に逆テーパやノッチなど、非破壊の計測手法では状況の把握が困難であった形状変化についても、分解能のよいSTEM像を用いることで高精度な計測が可能となる。
【0020】
また、本発明によれば、このような評価を可能とした結果、半導体プロセスの状態、特にプロセス立ち上げ期の状態を、定量的に短期間で評価できるようになり、立ち上げ期間の短縮が可能となる。
【0021】
また、本発明によれば、断面形状および寸法の、ばらつきを考慮した統計的な評価が可能となるため、半導体ラインで使われる様々な計測装置のキャリブレーションなどにも応用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に係る半導体の製造工程においてウェハ上に形成された回路パターンの加工形状の寸法を、回路パターンの電子顕微鏡画像を用いて計測するパターン寸法計測方法及びそのシステムの実施の形態について図面を用いて説明する。
【0023】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態として、本発明に係るパターン計測方法の基本的な手順とシステム構成を図1から図12を用いて説明する。
【0024】
図1に基本手順を示す。はじめに断面観察ができるように例えば収束イオンビーム(FIB)加工装置を用いて周囲を除去加工してサンプルを準備する(S01)。本発明では、通常の断面観察に用いられるよりも、寸法が変化するラインの長手方向の寸法が大きい(厚い)サンプルを用いて寸法計測を行う。図2に断面観察用のサンプルの切り出しの例を示す。断面形状計測のために、サンプルを切り出す際に、図2に示す計測対象のパターンの長さLを記録しておく。
【0025】
図2(a)は計測対象の配線回路パターンを上部から見た図を示しており、白い部分がライン11、灰色の部分が下地12である。図2では簡単のためライン11は直線で示されているが、実際の下地12上の半導体ラインパターン11aは図3に示すようにラフネスにより線幅が変動する。このようなラインパターンのラフネスは、半導体製造プロセスの露光工程が原因で発生するものが多い。この、ラフネスは半導体デバイスの性能ばらつき主要因のひとつであり、これを計測することは非常に重要である。本発明は、STEM等の走査型透過荷電粒子顕微鏡を用いて、このラフネスを断面観察と同時に断面形状を計測する手段を提供する。
【0026】
矩形で示した領域を、例えばFIBで加工して切り出したサンプルの例が図2(b)である。通常、断面形状の計測が行われるのは図2(b)にハッチングで示した面であり、本発明のSTEMによる計測方法では、この面に垂直に電子ビームを照射して、このハッチング面と平行な複数の断面で寸法計測を実施する。通常STEMやTEMを用いた断面計測の際は、パターンの長さ(図2(b)に矢印で示す部分)を数十ナノメートルからせいぜい数百ナノメートルまでと、比較的薄くするのが一般的である。しかし、本発明では、計測対象である複数の断面を含む数マイクロメートル程度(2μm程度以上)の、比較的長いサンプルを作成し、作成したサンプル内での寸法およびラフネスを計測する。非特許文献2に記載されているように、半導体デバイスへの影響を考えるとき、ラフネス計測は2マイクロメートル以上の範囲で測ることが推奨されている。
【0027】
本発明では、この2マイクロメートルでのラフネス計測を可能にする方法を開示する。
【0028】
図2では簡単のため、一つのサンプルに4本のラインしか含まれていない図を示しているが、もっと多くのラインを一度に切り出してももちろんよい。パターンの密度によるが、例えば数10本のラインを含む領域を一度に切り出す。この場合には、一度のサンプル作成で、画像取得位置を変更するだけで多くの断面を計測できるメリットがある。また、FIB加工におけるダメージを低減するために保護膜が生成されていてももちろん構わない。後で述べるように、本発明の計測手法は計測対象パターンの周辺に保護膜が無い方がより高精度な結果が得られるが、保護膜があっても適用可能である。透過電子像を用いる場合は、電子が透過しやすいように、対象パターンに比べてできるだけ原子番号の小さい膜を用いる方が望ましい。なお、FIB加工による保護膜を使わないサンプルの作成方法については非特許文献3に開示されている。この後の説明は保護膜の無い場合について行うが、保護膜があっても同様の手順で断面寸法計測が可能である。
【0029】
次に、例えば図4に示すSTEM(Scanning Transmission Electron Microscope)において、準備したサンプルを計測用のホルダ(図示せず)にセットし、軸調整やサンプルの傾き調整、倍率調整などを行い、通常の断面計測が行える状態にSTEMを調整する(図1、S02)。
【0030】
図4に本発明で用いるSTEMの構成の一実施例を示す。STEMでは、電子源301から放出された電子を加速し、複数段の電子レンズ302、対物レンズ304を通してビーム308を細く収束させる。この電子ビーム308を、試料(サンプル)305に照射しながら走査コイル303を用いて矩形に走査させることで、各点における画像信号を検出する。透過電子を得るため、加速電圧設定部300bで設定される試料に照射される電子の加速電圧は200keV以上である数百keVのものを使う。試料305に照射された電子はサンプル内を透過・散乱して、下方の検出器により検出される。検出器の形態は目的により異なるが、図5では一般的な明視野検出器307及び暗視野検出器306と2次電子検出器310がある場合を示す。暗視野検出器306は図5に示すようにアニュラ型のものを用いて、より散乱角の大きい電子のみを検出する。暗視野像は原子番号の違いをよく表わすため、Zコントラストともよばれる。明視野検出器307は暗視野検出器306の下方に配置されている、明視野検出器307では、あまり散乱を受けず、試料305の下方に透過する電子を中心に検出する。また図4のように、2次電子の検出が可能なように試料上方に2次電子検出器310を設けている装置もある。これらの検出により検出された電子はA/D変換機309によりデジタル信号に変換され、画像メモリと画像処理用のCPUを持つ画像処理ユニット314に転送、画像データとして記憶装置311に記録される。記録された画像データは画像処理部314で処理される。あるいは外部インターフェース312を通じて外部での処理を行うことも可能である。装置の走査や結果表示は表示装置313を通じて行われる。なお、STEMの電子光学系は、制御装置300によって制御される。制御装置300は、z方向の分解能に応じた焦点深度モード(電子ビームの開き角α)を調整する電子ビーム開き角調整部300aと、加速電圧設定部300bと、2次電子検出器310で観察される試料(サンプル)の表面の例えば2次電子像を基準にして図5に示すように計測間隔p及びサンプルの長さLに応じたフォーカス調整位置に対物レンズ304等を制御するフォーカス調整位置制御部300cと、偏向器303等を制御するビーム走査照射位置制御部300dとを備えて構成される。ビーム走査照射位置制御部300dには、取得する画像の倍率を制御する部分も含むことになる。
【0031】
また、特許文献1には本発明に類似したシステムとして共焦点顕微鏡の例が開示されている。特許文献1では、電子源と試料と検出器を光学的に共役な位置に配置して、対象内部の画像を形成、観察に用いている。
【0032】
本発明では、パターンによる透過及び散乱の程度の違いを用いてパターンのエッジ位置を検出するため、電子線像を検出器上に結像する必要はない。
【0033】
次に、図4に示したシステムを用いて所望の断面計測位置における断面計測用の画像を取得する。本発明では、所望の断面計測位置での主に透過電子像(明視野像)を用いて計測を行う実施例を示す。断面計測対象であるラインパターンの長手方向(図2(b)に示すz方向)にフォーカスを変化させた画像を取得して、それぞれの画像内でパターンのエッジ位置を算出する。詳細は後述するが、本方式ではフォーカスの合った位置におけるパターン断面形状およびその寸法を推定することができる。フォーカスを変化させた画像を取得するために、フォーカス位置の調整を行う(図1、S03)。ここでは、2次電子画像の検出が可能なSTEMの実施例を示す。ここでは、はじめに2次電子画像を用いて、2次電子像が最もよく見えるフォーカス条件を設定する。2次電子像は、サンプル表面の情報を多く含むため、2次電子画像を用いて決定した条件では、電子ビームはサンプルの最表面にフォーカスすることになる。なお、2次電子像の検出が出来ない場合には、2次電子ほど明確ではないが、透過電子像でも同様の調整が可能である。
【0034】
次に、このサンプル表面と下面を十分に含む範囲でフォーカスを順番に変化させて、各フォーカス位置で画像を取得する手順(図1、S04)について図5を用いて説明する。図5は、図2(a)と同じ方向から切り出されたサンプルと電子ビーム308との位置関係を表わしたものである。
【0035】
即ち、S03で設定した電子ビームの条件(2次電子画像によりパターンの表面にフォーカスを合せる)を用いて、制御装置300のフォーカス調整位置制御部300cにより対物レンズ304を制御して念のためサンプルパターン表面少し上から一定間隔でフォーカスを変化させて、透過電子像(明視野像)307を取得する(図1、S04)。図5はサンプル表面z0にフォーカスが合っている場合のビーム位置と、画像取得を行うフォーカス位置との実施例を示している。フォーカス変更の間隔p(15)は、計測したい断面の間隔に合せて設定すればよい。図5に示すようにパターン長さL、フォーカス変更間隔pとすると、対象パターン内で(L/p)+1枚の画像が撮像されることとなる。実際の画像取得時には、サンプル作成時に記録しておいたサンプル長さよりも下側まで十分に含むようにフォーカスを変化させて画像を取得しておく。フォーカス調整位置制御部300cでのフォーカスの制御は、対物レンズ304の制御電流量と実際のフォーカス変化量との関係を予め調べておくことで容易に行える。通常、対物レンズ304の制御電流量と実際のフォーカス変化量との関係は、STEM装置の設計情報やそれに基づいたシミュレーションにより求めて例えば記憶装置311に格納しておくことが可能である。あるいは、予め高さの分かっているサンプルをホルダにセットして対物レンズ304の制御電流量と実際のフォーカス変化量との関係を予め調べておくこともできる。そして、各フォーカス高さにおいて、電子ビーム走査照射位置制御部300dにより偏向器303を制御して電子ビーム308をx−y平面内でスキャンし、例えば明視野検出器307により透過電子画像を取得する。勿論、暗視野検出器306からは散乱電子画像が取得されることになる。図5ではy軸を図示していないが、紙面奥行き方向をy軸とする。
【0036】
最後に、画像処理部314は、取得したそれぞれのフォーカス条件での透過電子画像内でパターンエッジ位置を画像処理により抽出し、各フォーカス位置の断面におけるパターン形状および寸法を算出する(図1、S05)。
【0037】
図6には画像処理部314における取得される画像の実施例と画像処理方法の一部を示す。図6の上に示した図は切り出したサンプルであり、そのうち一部分の透過電子画像(所望の断面計測位置での透過電子画像)16を拡大して取得した透過電子像17の実施例が下側の図である。図6に示すように、計測対象パターンが密集ラインであれば視野をずらして複数の透過電子像の画像16を撮像することで、一度の試料作成で多くのラインを一度に計測することが可能となる。
【0038】
次に、画像処理部314は、この図6中央に示す透過電子像17から、各パターンのエッジ位置を画像処理により検出する。図7は、図6に点線で示した画像内のyi座標=yaの走査ラインにおける、1本のラインパターンの透過電子信号波形18を模式的に示している。透過電子像17では、パターンのある部分は信号が透過しないため暗くなり、パターンの無い部分は電子ビームが散乱されずにそのまま検出されるため明るくなる。この明るい部分と暗い部分の境目を検出することで、画像内でのパターンのエッジ位置を計測する。STEM像におけるエッジ抽出画像処理の詳細は後述する。図6の画像内では、はじめにパターン下地との境界(図6のyi=ys周辺)のエッジを検出する。この場合はyi軸と平行な方向の信号波形の評価を実施して、図7と同様に下地のエッジ位置を検出する。この下地境界の検出結果を用いて、画像が回転している場合は画像に対して回転補正を行うか、あるいは、計測結果の座標データを回転補正すれば回転のない結果が得られる。この下地との境界を基準とした各高さにおけるパターンのエッジ座標を画像処理により算出する。パターンの上面(図6のyi=yt周辺)のエッジについても、下地との境界と同様yi軸と平行な方向の波形を処理してエッジ位置を抽出する。
【0039】
なお、本発明の計測では、図6と同様の画像で、フォーカス条件が異なるものが複数枚ある。これらの画像で全てパターンエッジ位置を算出すれば、対象パターンの3次元構造を得ることができる。図8は3次元構造情報の説明図である。図8(a)左側に示すように、本発明の計測手法ではフォーカス条件(フォーカス調整位置)14を変更した複数の透過電子画像17が得られる、これらを画像処理することで、図8(a)右側に示すようなエッジ位置情報19を得ることができる。図8(a)右側の図において、輪郭線上の各点はxとyの座標情報を持っている。これらのエッジ座標情報20は、パターン長手方向の座標zにおけるパターン外周エッジの値を示していることから、フォーカス位置の相対座標14が画像間のz座標となる。これらの3次元構造データ21を表示した実施例を図8(b)に示した。図8(a)に示した各z座標での画像やエッジ抽出結果、(b)に示すような3次元立体表示21は表示装置313で容易に表示できるようにしておくと良い。3次元表示の観察方向や倍率はマウス操作で簡単に変更可能にしておくと便利である。このような3次元データの表示は一般的なCADツールや3Dアニメーションツールなどを用いても容易に行える。
【0040】
次に、図9を用いて、様々なフォーカス状態で撮像された透過電子画像からパターンのエッジを抽出する方法について説明する。発明者らは、シミュレーションを利用して、電子ビームの走査とパターンエッジ位置との関係により透過電子信号量がどのように変化するのかを調べた。図9は電子ビーム308の走査とパターン305のエッジ位置と透過電子信号量18との関係の概略図を示している。図9(a)から図9(c)は電子ビームと試料側壁の位置関係を、図9の下のグラフは各位置と透過電子の信号量の関係を示している。比較的厚いサンプルを用いる場合、図9(a)のように、電子ビーム308の最も太いところとパターン305がはじめて接触する場所から電子の散乱がはじまるので、信号量が低下しはじめる。ターゲットにあたる電子ビームの量が少ないうちは少しずつ信号量が減少するが、フォーカスしてビームの密度が高い部分が試料に交わると、多くの電子が散乱してしまうため、急激に信号量が低下する(図9(b))。その後、電子ビーム308が、全て試料305の内部に向けて照射され、かつ側壁から散乱した電子が出なくなるまで内部に入ったところで最小値となる。Δx1は(a)の位置により決まり、試料の長さLが厚く(長く)、電子ビーム308の開き角が大きいほど長くなり、フォーカスの位置にも依存して変化する。また、試料の長さLが厚い(長い)ほど、電子ビームが散乱により試料内で拡がるため(c)の位置は右の方へ移動して、Δx2は大きくなる。フォーカスを変化させた画像において、常にフォーカスの合っている高さの寸法を測るため、図9(b)に相当するエッジ位置を正しく検出できればよい。しかしながらパターンのエッジ周辺(a)から(c)、特に(a)から(b)の間で信号量18が大きく変化しているため、この間のどの部分をパターンのエッジとして抽出するかにより計測誤差が大きくなる可能性がある。発明者らの検討では、電子ビーム308の開き角や試料305の厚さLにもよるが、(a)(b)間の距離は10ナノメートルを超える値となりうることがわかっている。本発明が評価対象としている半導体パターンの寸法は数十ナノメートル程度であり、ラフネスにより生じる考慮すべき寸法ばらつきは数ナノメートルであることから、この(a)(b)間の信号低下に影響を受けないエッジ位置の検出が必要である。また、(b)における信号量sbはフォーカスの位置によって変化する。実線18aで示すように、フォーカス位置が試料表面に近いほど(b)の信号量は大きくなるが、フォーカスが下面に近いほど(点線18bで示す場合)、照射された電子が上部で散乱されてしまうため、信号量が低下する。このような物理現象を考慮した画像処理を行わなければ、正しいエッジ位置を決定することはできない。
【0041】
次に、画像処理部314においてこのような画像で正しいエッジ位置を抽出する方法について図10を用いて説明する。図10は図9で示した試料の左側エッジ付近での透過信号波形18とその1次微分波形22を示している。(b)に相当する部分で急激に信号量が低下することから、微分波形22が最小値(右エッジの場合は最大値)となる部分23をエッジとして検出すれば、(b)に近い傾きが最大の点を検出することができる。そこで、本発明では、1次微分の最小値(左エッジの場合)および最大値(右エッジの場合)をとる座標をエッジ位置とすることで、フォーカスの変化によらず安定に精度よくパターンエッジの座標を求めることが可能となる。同様に、3次微分が変曲点でゼロになることを利用して、1次微分ピーク直前の3次微分のゼロクロス点を検出することで、急激に信号量が低下する点を検出することも可能である。
【0042】
次に、別のエッジ位置抽出方法の実施例について図11を用いて説明する。図10では1次微分のピークを用いてエッジ位置を決定したが、微分波形はノイズに弱いという欠点がある。ノイズの良い画像を取得するためには、画像取得に多くの時間を要する。また、照射する電子数が大きくなるため、試料へのダメージなどの問題も起こりうる。そこで、図11の方法では、焦点位置が下になるほど(b)の信号量が低下することを利用して、焦点位置に応じたしきい値を設定し、設定したしきい値と波形の交点をエッジ位置とする方法である。図11の実施例では、例えば焦点位置が比較的高いところにあり、実線で描かれているような波形18aが得られる場合には、透過電子画像の振幅A(下地部分とパターン部分の最も暗い部分の差)24に対して、例えば60%のしきい値との交点E1をエッジ位置26aとし、焦点が下の方にあり、点線のような波形18bが得られる場合には、しきい値を例えば30%として波形との交点E2をエッジ位置26bとする。これらのしきい値25a,25bは焦点位置に応じて適切な値を設定する必要がある。これは予め形状のわかっているサンプルなどで波形を取得し事前に設定しておけばよい。図11の方法は、予めしきい値を決めておく必要はあるが、図10の方法に比べると、ノイズに強いという利点がある。
【0043】
次に、本発明のパターン計測方法を実行するのに適切なビームの開き角を決定する方法について図12を用いて説明する。図9に示したように、本発明のパターン計測方法では、試料305と電子ビーム308のフォーカス点が交わるところで信号量が急激に低下する。しかしながら、フォーカス点より上方で照射された電子ビーム308が試料305と交わってしまうと、試料内で電子が散乱してしまい、実質の分解能が低下してしまう。発明者らの検討では、フォーカス点において、電子ビームの一部でも直接試料に照射されていると計測精度が良好になることがわかっている。そこで、ラフネスのあるサンプルに対して適切なビームの開き角αをラインのラフネスに基づいて決定し、ビーム開き角調整部300aに対して設定しておくとよい。適切な開き角を決定するために、ラインパターンを上方(図2(a)のようにパターン上面が見える状態)から観察する。観察はFIB加工時にSEMを用いて行ってもよいし、予め測長SEMやAFMなどで計測して、例えばI/F312を介して入力して記憶装置311に記憶しておく。次に、画像処理部314は、記憶装置311に記憶されたラインを上部から観察してエッジ位置を検出する。ここでのエッジ位置検出は、相対位置がわかればよい。画像処理部314は、エッジ位置を検出したら、エッジ上の各点に対して、その点を通り、ライン外側でラインに外接する直線を求める。例えば、図12に示す点28について2本の直線29が求まる。さらに、画像処理部314は、ラインの長手方向27を基準とした場合に、これらの傾きθ1、θ2を求めて、大きい方を例えば記憶装置311に記録しておく。さらに、画像処理部314は、これをある程度の長さのラインエッジについて行い、最大角度θmaxを推定する。制御装置300のビーム開き角調整部300aからの指令に基づく複数段の電子レンズ302等の制御によりビームの開き角α(30)は、画像処理部314で推定されたθmaxよりも大きな値にしておけば、ラフネスがあるサンプルでも固体内散乱を受けずに、ビームがある程度の密度を保ったままフォーカス位置で試料11(305)に到達することができる。例えば、図12に矢印で示した方向で電子が入射する場合には、パターンに散乱されることなくフォーカス位置でビームが試料11の表面に到達する。
【0044】
以上、STEMの画像処理部314において、図1から図12により説明した第1の実施の形態の計測手法により、比較的短時間に多くの断面形状計測を行うことができるようになり、図8に示したようなパターンの形状情報20を得ることができる。これらの結果はそのままでもパターンの3次元情報として有用であるし、また、この結果から、画像処理部314はラインパターンの長手方向(図2(b)に示すz方向)や高さ方向(図2(b)に示すy方向)に対して、どのように寸法が変動しているのか詳細な解析が可能となる。例えば、ラインパターンの高さ(z値)ごとにラインエッジラフネス(LER(Line Edge Roughness))や線幅ラフネス(LWR(Line Width Roughness))がどのように変化しているか確認したり、ライン側壁の傾斜角の変化を確認したりすることに使える。即ち、本発明によれば、z方向に長さ2μm以上のラインパターンからなる計測対象パターンに対して、所定の断面(所定のz値)におけるラインパターンの平均寸法、ライン幅ラフネス、ラインエッジラフネスを計測することが可能となる。
【0045】
このように、計測対象である半導体回路パターンについて、画像処理部314は、これまで困難であったz方向の断面形状の製造ばらつきの評価が可能となる。特に逆テーパやノッチなど、非破壊の計測手法では状況の把握が困難であった形状変化についても、分解能のよいSTEM像を用いることで高精度な形状計測が可能となる。このような結果を用いて半導体製造プロセスの管理や、プロセスに異常があった場合に原因調査のための解析ツールとしても活用することができ、半導体プロセスの状態、特にプロセス立ち上げ期の状態を、定量的に短期間で評価できるようになり、立ち上げ期間の短縮が可能となる。また、断面形状および寸法の、ばらつきを考慮した統計的な評価が可能となるため、半導体ラインで使われる様々な計測装置のキャリブレーションなどにも応用することが可能となる。
【0046】
[第2の実施の形態]
本発明に係る第1の実施の形態では、計測対象パターンの周囲に保護膜がない場合について説明した。本発明に係る第2の実施の形態では、計測対象パターンの周囲に保護膜がある場合について説明する。図12の実施例で説明したように、本発明のパターン計測を精度良く実行するためには、できるだけ多くの電子が固体により散乱されることなく計測対象表面に収束して照射されることが望ましい。しかしながら、材料によっては保護膜がなければ断面観察用の加工が困難なケースもある。このような場合には、保護膜の影響による精度低下を低減する必要がある。図13は固体内散乱により収束ビームがどのように拡がってしまうかをシミュレーションした例である。200kevの電子ビームを照射したとき、左の図は試料表面から2ミクロン、右の図は1ミクロンの深さにフォーカスした場合のビームの拡がり31、32を示している。なお、固体内の散乱が無い場合はビーム径は無限小となる条件で計算している。図13からわかるように、試料表面からの深さが深いほど電子ビームの実効的な径は太くなってしまう。特許文献1のFig.3に開示されている図も同様のデータであるが、深さに比例するのではなく、ある程度から急激に分解能が低下する。保護膜がある場合にはこの影響が避けられない。本発明に係る第2の実施の形態ではこのような固体内拡散によるビーム径の増大に対応する方法を開示する。
【0047】
図14は厚いサンプルを測った場合の計測ばらつきについて説明している。厚いサンプルを測る場合、試料表面から離れるほど、電子の固体内拡散や、エッジ位置における信号量とS/Nの低下により計測ばらつきが増大する。同じサンプルを繰り返し計測すると、図14に示す点のように、下に行くほど検出されたエッジ位置26のばらつきが大きくなる。そこで、STEMにおいて、図15に示すように、サンプル11(305)を一度計測したら、サンプル11(305)を180度回転させ、もう一度同様に計測を行う。図15(a)では一回目の計測ではA側のエッジ位置が、二回目の計測ではB側のエッジ位置が精度よく計測できるので、画像処理部314において図15(b)に示すような表面からの距離に応じてS字型の重み関数33を用いて検出エッジ位置について加重平均を行うことで、パターンの厚さ(長さL)によらず安定な断面形状の計測を可能とする。S字カーブは一般的に用いられるシグモイド曲線を用いればよい。図16にSTEMの第2の実施の形態における評価手順を示す。図1に示した第1の実施の形態と同様にサンプルを準備し、サンプルをSTEMのホルダにセットする(S01、S02)。次に2次電子画像によりパターンの表面にフォーカスを合せて調整した後(S03)、フォーカスを変化させた画像セットを取得する(S04)。一通り画像を撮像し、両面画像を取得していない場合には(S06)、サンプルを180度回転させて(S07)、同様に画像処理部314は画像を取得する。画像処理部314は各画像内でエッジ位置を検出した後(S05)、2つの計測結果の位置を組み合わせる(S08)。更に、画像処理部314は、次に説明することを実行することになる。即ち、はじめに下地位置を基準にy方向の座標を合せる。次に、2次電子画像で合せたフォーカス情報を元に大体の位置を合せておき、2つの計測結果の精度が同程度であるz方向中央のパターン計測結果を用いてラフネスが一致するようにxとzの位置を合せこめばよい。合せこみには複数枚の画像内にある複数のエッジ座標の差分自乗和が最小になるようにシフトすればよい。最後に図15(b)に示したような表面からの距離による重み付けを行って、加重平均をすることでパターン寸法を算出する(S09)。なお、計測可能な厚みが十分でない場合は、加速電圧設定部300bにおいて加速電圧を上げることで対応が可能である。以上説明したように、本発明に係る第2の実施の形態における第1の実施の形態と相違する点は、ステップS06、S07、S08及びS09を設けたことにある。
【0048】
本手法は、本方式を保護膜がないサンプルに適用してももちろんよい。図9に示したように、フォーカス位置が下になるほど、エッジ部分の信号量が下がり、エッジ抽出のS/Nも悪くなる。そこで、図15及び図16に示した方式で上下から計測した結果を組み合わせた計測を行うことで、S/N低下による計測値ばらつきを低減し、より高精度な計測が実現可能となる。
【0049】
[第3の実施の形態]
本発明に係る第3の実施の形態における第1及び第2の実施の形態との相違点は、例えば画像処理部314において傾き補正を行うことにある。次に、本発明に係るSTEMによるパターン形状計測における第3の実施の形態である計測対象パターンの取り付け時に生じる試料の傾きを補正し、該補正した結果を出力する方法について説明する。STEMでの観察、計測時にはFIBで加工した試料をSTEMで観察するが、この試料の取り付け方によっては、ラインの長手方向がz軸と平行にならない場合がある(軸の取り方については、例えば図2(b)参照)。このような場合には、図17(a)に示すように計測結果が傾きを持ってしまう。このように傾きを持ってしまった場合には、画像処理部314において、これらのデータ(検出されたエッジ位置)26を近似する1次直線34を最小自乗法により求めて、計測データの補正を行えばよい。このようにしてデータの補正により傾きをキャンセルすることができれば、傾きに起因した寸法計測誤差を排除することができ、より高精度な計測が可能になる。また、図8(b)に示したように3次元でパターン構造21を表わすときなどに扱いやすいといった利点がある。また、第2の実施の形態のように、観察方向を変更する場合、ステージの精度によって回転前後でz軸に対する傾きが変化してしまう可能性があるが、このような場合にも、予め回転を補正した上で、加重平均などの処理を行えばよい。
【0050】
しかしながら、低周波のラフネスがある場合には、傾きの推定が大きな誤差を持つ場合もありうる。そこで、図17(b)に示すように、必要に応じて、他の計測点、例えば左右のエッジラフネスや異なる高さ(y座標)のデータなどを用いて、多くのデータを使った方が傾きの推定精度が高くなる。高さが異なるだけのデータではラフネスに相関があることが多いため、左右、あるいは隣接ラインの情報を含めるのが望ましい。図17ではx方向の傾きについて示したが、y方向についても同様に行うことができるのは言うまでもない。
【0051】
FIBで加工した試料305を傾きなくSTEMのホルダ(図示せず)に保持することは、一般に非常に困難である。しかしながら、本発明の第3の実施の形態に示した通り、補正を実施すれば、サンプルが傾いて保持されていても、高精度な計測の実現が可能となる。
【0052】
[第4の実施の形態]
本発明に係る第4の実施の形態における第1乃至第3の実施の形態との相違点は、画像処理部314において異常値を除く処理を行うことにある。
【0053】
次に、本発明に係るSTEMによるパターン形状計測における第4の実施の形態である異常値を除いて、さらに計測精度を上げる方法について図18を用いて説明する。本発明のパターン形状計測方法では焦点位置をz方向に順次変化させてそれぞれの焦点位置においてx−y断面形状を計測する。通常計測対象パターンのz方向の断面形状は連続的に変化するため、その連続性を利用すれば計測の安定性を向上することができる。図18に白丸で示しているのはx−y計測の外れ値35である。半導体のラインパターンを計測対象とする場合には、通常測長SEMまたはCD(Critical Dimension)SEM(図示せず)などでラインパターンのラフネスを評価しているため、測長SEMまたはCDSEM(図示せず)から例えばI/F312を介して入力されて記憶装置311に記憶される関係で画像処理部314は大体の変動範囲をわかっていることが多い。そこで、画像処理部314は、得られたz方向の断面計測結果(検出されたエッジ位置)の変動から、ラインそのもののばらつきよりも大きく外れているものを外れ値として取り除くことが可能となる。図18の実施例では、片側のエッジ位置26のz方向の平均値36を算出し、測長SEMまたはCDSEM(図示せず)等において別途評価しておいたラインエッジラフネスの値に相当する許容範囲37を設定し、そこから外れている値を計測結果から取り除く。図18の実施例の他にも、ラインパターンの数点の3次元計測結果の移動平均を出して、そこから大きく外れているものを取り除くといった処理も可能である。外れ値を除いた後は、前後の計測結果(x、y、zどの方向でもよい)から本来のエッジ位置を推定してもよい。
【0054】
このように、本発明に係る第4の実施の形態によれば、z方向にラインパターンで形成されている計測対象パターンを焦点位置を順次変化させて撮像して取得される透過電子画像若しくは散乱電子画像を基にそれぞれの焦点位置でのエッジ位置26で計測される3次元断面形状計測結果において、ラインエッジラフネスの値に相当する許容範囲37から外れている外れ値を取り除くことでさらに安定な3次元断面形状計測が可能となる。
【0055】
[第5の実施の形態]
本発明に係る第5の実施の形態における第1乃至第4の実施の形態との相違点は、画像処理部314におけるGUIである。
【0056】
次に、本発明に係るSTEMによるパターン形状計測における第5の実施の形態である画像取得や処理の条件を入力する条件入力画面と、結果の表示などのGUIの実施例について説明する。図19は入力条件(条件入力画面)315の一実施例を示している。本発明に係る3次元断面形状計測方法では、加速電圧(keV)、取得する画像の倍率(kx)、希望するz方向の分解能に応じた焦点深度モード(電子ビームの開き角α)などの基本的な画像取得条件と、使用する画像の種類(透過電子画像、散乱電子画像、反射電子画像(2次電子画像)等)、フォーカスを振って画像取得を行う範囲((z0-3)〜(z0+(L/p)+2))を決めるためのパターン長さL(μm)、計測ピッチp(nm)、そしてエッジ位置抽出に用いる画像処理条件(フィルタ処理条件及び図10に示す微分処理条件若しくは図11に示すしきい値処理条件)などの入力を行う。ここで、画像取得を行う範囲については、予め測っておいた、計測対象サンプルの寸法よりも小さな値Lを入れる必要がある。一方、図20は計測結果の表示(結果表示画面)316の一実施例である。図20左側に示すような、3次元断面形状計測結果であるインタラクティブに操作可能な3次元表示(3次元グラフ)を行い、マウスを近づけると計測した点が選択できるようにしておく。計測点をクリックすると、インタラクティブにその場所のデータを算出した画像(反射電子像38及び透過電子像17等)を右側に表示する。図20の実施例では、画像上に代表的な信号波形(反射電子信号波形39及び透過電子信号波形18)と計測結果の表示を行っている。
【0057】
このように、表示装置113上に図19や図20に示すようなGUI画面315、316を表示することにより、条件設定や結果確認を容易に行うことが可能となる。
【0058】
[第6の実施の形態]
本発明に係る第6の実施の形態における第1乃至第5の実施の形態との相違点は、STEMの例えば画像処理部314において他の計測ツール(測長SEM又はCDSEM又は測長用のAFM)とキャリブレーションすることである。
【0059】
次に、本発明に係るSTEMによるパターン形状計測における第6の実施の形態である他の計測ツールとキャリブレーションする方法について説明する。従来断面計測では、一度の計測で一断面の寸法しか計測できなかったため、多くの計測データを得ることが難しかった。しかし、本発明の計測方法を用いれば、一度のサンプル作成で多くのデータを得ることができるため、計測対象の形状ばらつきがある場合にも他の計測装置(測長SEM又はCDSEM又は測長用のAFM)と計測結果を比較してキャリブレーションすることが可能となる。
【0060】
図21を用いて、測長SEM又はCDSEMと計測結果を比較する実施例を示す。キャリブレーションをする際には、同じサンプルを異なる方式で計測して比較する必要がある。そこで、はじめに断面サンプルの切り出しの精度を考慮して特開2005−265424号公報に記載されているように測長SEM又はCDSEMにより計測を行う。図21に示すように、ラインパターン11とアライメントパターン40がある場合に、このアライメントパターン40を用いて切り出しが可能なFIB加工精度41を予め調べておく。そして、このFIBの切り出しによりずれる可能性のある領域全てのパターンを測長SEM又はCDSEMで計測しておく(領域42)。次に、FIBで切り出し加工を行って、例えば43の領域の断面形状計測を第1乃至第6の実施の形態で示した方法で行う。43の領域の計測結果を、予め計測した領域42内の測長SEM計測結果と照らし合わせて、一致する領域を確定する。ここでは、寸法ではなく、ラフネスによるエッジ位置の相対的な変化を用いて位置合せを行う。このようにして、STEMによる断面計測位置と一致した部分の測長SEM又はCDSEMの計測結果を用いて、装置間のキャリブレーションを行えば、パターンのばらつきを考慮した高精度なキャリブレーションが可能となる。測長SEM又はCDSEMによりz−x面で計測するz方向のピッチと、本発明のSTEMによる断面計測で計測できるz方向のピッチが異なる場合にも、どちらも同じ母集団の中でのランダムなサンプリングと考えることができるため、統計的な扱いが容易となるといった利点がある。図21の実施例では、測長SEM又はCDSEMの場合について説明したが、測長用のAFM(Atomic Force Microscope)などに対しても同様の処理が可能である。
【0061】
このように、本発明に係る断面形状計測方法を用いれば、断面形状および寸法のばらつきを考慮した統計的な評価が可能となるため、半導体ラインで使われる様々な計測装置のキャリブレーションなどにも応用することが可能となる。
【0062】
これまでの実施の形態では、一般的なSTEMを用いたパターン断面形状計測方法について開示した。更に精度を向上することが可能なシステムとして、STEMに非特許文献5に開示されている収差補正器を導入することで、焦点深度が浅く、合焦点位置での電子密度が高いビームを実現することができる。このような電子ビームが実現できれば、STEM画像の分解能が上がり、計測精度が向上する。また、焦点深度が浅いため、z方向の分解能も向上して、より細かい間隔での断面計測が可能となる。
【0063】
計測精度向上が可能な別のシステムとしては、電子ビームの代わりに、非特許文献6に開示されている軽イオンを用いたFIBを用いてもよい。FIBを用いると、固体内での散乱角が比較的小さいため、分解能のよい計測が可能となる。
【0064】
また、本発明では透過電子を用いた計測方法について説明したが、散乱電子を用いても同様の形状計測が可能である。また、透過電子と散乱電子でそれぞれ計測を行い、結果を統合することでさらに高い精度での計測も可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明のパターン計測技術は、透過電子顕微鏡で画像取得が行え、かつ矩形などの高さ方向の寸法差が比較的小さい形状の対象であれば、同様に適用が可能である。本発明では半導体パターンの計測について説明を行ったが、MEMSや微細工業部品などに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係るSTEMを用いたパターン計測方法の第1の実施の形態の手順を説明するための図である。
【図2】本発明に係る計測対象パターン構造と座標の定義を説明するための図である。
【図3】本発明に係るラインエッジラフネスがある場合の計測対象ラインパターンの模式図である。
【図4】本発明に係るパターン計測方法を実施するSTEMのシステム説明図である。
【図5】本発明に係るパターン計測方法の焦点位置設定方法を説明するための図である。
【図6】本発明に係るパターン計測方法の画像取得の実施例を示す図である。
【図7】本発明に係る透過電子像とエッジ抽出の説明図である。
【図8】本発明に係る取得される画像と処理結果の説明図である。
【図9】本発明に係るパターン計測方法で用いる透過電子画像の特性を説明する図である。
【図10】本発明に係るパターン計測方法におけるエッジ抽出画像処理の説明図である。
【図11】本発明に係るパターン計測方法におけるエッジ抽出画像処理の説明図である。
【図12】本発明に係る計測対象パターン形状から電子ビームの開き角を設定する手法の説明図である。
【図13】本発明に係るパターン厚さと実効的なビーム径の関係を示す説明図である。
【図14】本発明に係るパターン厚さによる計測ばらつきの変化を説明する図である。
【図15】本発明に係る厚いパターンを精度よく計測する方法の説明図である。
【図16】本発明に係る厚いパターンを精度よく計測する方法の手順を示す説明図である。
【図17】本発明に係るパターンの傾きを補正する方法を説明するための図である。
【図18】本発明に係る外れ値を取り除く方法について説明するための図である。
【図19】本発明に係る画像取得および計測条件を設定するGUIの説明図である。
【図20】本発明に係る計測結果を表示するGUIの説明図である。
【図21】本発明に係る他の計測装置とのキャリブレーションの際のサンプリング方法説明図である。
【符号の説明】
【0067】
11…ラインパターン、11a…ラフネスラインパターン、12、12a…下地、13…サンプル切り出し領域、14…フォーカス調整位置、15…計測間隔p、16…透過電子撮像領域、17…透過電子像、18…透過電子信号波形、19…エッジ抽出結果、20…エッジ座標情報、21…計測結果3次元表示、22…透過電子信号1次微分波形、23…最小値ピーク、24…信号波形振幅A、25…しきい値、26…検出されたエッジ位置、27…ライン長手方向(基準)、28…エッジ位置(Top view、AFM計測結果など)、29…ラフネスの外接線、30…ビーム開き角α、31…合焦点高さでの電子の分布、32…合焦点高さでの電子ビーム強度分布、33…重み関数(シグモイド関数)、34…最小自乗法による近似直線、35…外れ値、36…平均値、37…許容範囲、38…反射電子像、39…反射電子信号波形、40…アライメントマーク、41…断面計測サンプル切り出し位置精度、42…測長SEM(あるいはAFM)計測範囲、43…断面計測領域、
300…制御装置、300a…ビーム開き角調整部、300b…加速電圧設定部、300c…フォーカス調整位置制御部、300d…ビーム走査照射位置制御部、301…電子源、302…電子レンズ、303…偏向器、304…対物レンズ、305…試料(サンプル)、306…暗視野検出器、307…明視野検出器、308…電子ビーム、309…A/D変換器、310…2次電子検出器、311…記憶装置、312…外部インターフェース、313…表示装置、314…画像処理部、315…条件入力画面(GUI)、316…結果表示画面(GUI)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の製造工程においてウェハ上に形成された回路パターンの加工形状の寸法を、回路パターンの透過若しくは散乱荷電粒子顕微鏡画像を用いて計測するパターン寸法計測方法及び走査型透過荷電粒子顕微鏡並びにそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハの製造工程において、ウェハ上に多層に形成されるパターンの寸法および形状は、その半導体デバイスの性能を決める重要な要因のひとつである。中でもトランジスタゲート配線をはじめとする配線パターンは、その配線幅および形状とデバイス動作特性に強い関連があり、所望の配線形状を実現する製造プロセスを構築することが非常に重要である。
【0003】
数十ナノメートルオーダの微細配線の線幅を測定する測長ツールとしては、それらの配線を10万から20万倍の拡大倍率で撮像可能な線幅測定用の走査型電子顕微鏡(測長SEM(Scanning Electron Microscope)またはCD(Critical dimension)SEM)が従来から用いられている。しかしながら、測長SEMではパターン断面の形状を確認するのは困難であるため、製造プロセス立ち上げ初期の段階では、パターンのあるウェハを劈開したり、収束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)加工装置を用いてパターンを加工したりして、SEMや透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)あるいは走査型透過電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope:STEM)などを用いてその断面形状を確認する作業が一般的に行われている。なお、測長SEMについては、例えば特開2005−265424号公報(特許文献2)に記載されている。
【0004】
この断面形状評価は、従来、形状の見た目により観察者がその良否を確認していたが、近年の半導体デバイスの微細化に伴い、断面形状についても高精度な寸法計測への要求が高まっている。しかしながら、断面計測はその試料準備に数十分〜数時間という多くの時間を要するという問題がある。通常の半導体回路パターンには、ラインエッジラフネス(Line edge roughness:LER)や線幅ラフネス(Line width roughness:LWR)とよばれるパターンエッジ位置および寸法の変動がある。断面観察では、通常加工したある一箇所での観察のみが可能であるため、ラフネスの大きなパターンに対して、プロセス全体の状態を評価するためには、多くの点でのパターン寸法観察を行う必要がある。パターン断面の形状を計測するほかの装置としては、原子間力顕微鏡(Atomic force microscope、 AFM)などもあるが、非特許文献1に示されているように、探針の太さや形状によってうまく測れないこともある。特に逆テーパやノッチとよばれる、配線の底部が上部よりも細い形状については計測が困難であり、今後のパターンの微細化に十分に対応できているとは言い難い。
【0005】
【特許文献1】US6、548、810 B2 明細書
【特許文献2】特開2005−265424号公報
【非特許文献1】B.Banke、 C.Archie、 M.Sendelbach et al、 “Reducing measurement uncertainty drives the use of multiple technologies for supporting metrology” Proc. SPIE 2375、 pp.133-150 (2006)
【非特許文献2】A.Yamaguchi、 H.Fukuda、 H.Kawada and T.Iizumi、 “Impact of Long-Period Line-Edge Roughness (LER) on Accuracy in CD Measurement” Proc. SPIE 5752、 pp.1362-1370 (2005)
【非特許文献3】H. Okushima、 T. Onozuka et al、 “ArF photo resist pattern sample preparation method using FIB without protective coating” Proc. SPIE 6152-165 (2006)
【非特許文献4】日本電子顕微鏡学会関東支部編、走査電子顕微鏡、 pp83-86
【非特許文献5】K. van Benthem、 S.N.Rashkeev and S.J.Pennycook、 “Atomic and Electronic Structure Investigations of HfO2/SiO2/Si Gate Stacks Using Aberration-Corrected STEM” Characterization and Metrology for ULSI Technology 2005、 pp79-84
【非特許文献6】J.Notte and B.Ward、 “Sample interaction and contrast mechanisms of the helium ion microscope” SCANNING、 pp.63-64、 2006
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
背景技術に示されているように、SEMやTEM、STEMにより断面計測を行う場合には、サンプル作成に多くの時間を要するため、多くの断面を計測することが難しい。
【0007】
本発明の目的は、STEM(Scanning Transmission Electron Microscope)等の走査型透過荷電粒子顕微鏡を用いた断面形状計測を1回のサンプル作成で複数の断面について行うことができるようにしたパターン寸法計測方法及びSTEM等の走査型透過荷電粒子顕微鏡並びにそのシステムを提供することにある。即ち、本発明の目的は、多くの時間を必要とするサンプル作成を一回で済ませて、STEM等の走査型荷電粒子顕微鏡を用いた断面形状計測の実質的なスループットを大幅に短縮することができるパターン寸法計測方法及びSTEM等の走査型透過荷電粒子顕微鏡並びにそのシステムを提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、STEM等の走査型透過荷電粒子顕微鏡を用いることによって通常の断面形状計測と同じ所要時間で多くの断面形状計測を可能にして、ラフネスのあるパターンに対しても平均的な断面寸法を容易に推定することが可能となり、プロセスの評価や、他の計測装置(例えば測長SEM)との比較などに役立つパターン寸法計測方法及びそのシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、走査型荷電粒子線顕微鏡を用いて、z方向に2μm以上の比較的長さが厚い計測対象パターンの3次元断面形状計測を行うパターンの計測方法であって、収束荷電粒子線の走査照射位置を前記計測対象パターンの所望のx−y断面計測位置に合せて収束荷電粒子線の焦点位置を前記計測対象パターンのz方向に対して順次変化させ、それぞれの焦点位置での前記計測対象パターンの透過電子画像若しくは散乱電子画像を取得する電子画像取得過程と、該電子画像取得過程において前記所望のx−y断面計測位置に合せたそれぞれの焦点位置で取得した透過電子画像若しくは散乱電子画像を処理して、該それぞれの焦点位置での電子画像内での計測対象パターンのエッジ位置を算出するエッジ位置算出過程と、該エッジ位置算出過程で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置と前記電子画像取得過程において電子画像を取得したそれぞれの焦点位置との組み合わせに基づいて、前記計測対象パターンの3次元断面形状計測を行う断面形状計測過程とを有することを特徴とするパターン計測方法である。
【0010】
また、本発明は、前記計測対象パターンは、z方向にラインパターンで形成されていることを特徴とする。また、本発明は、前記計測対象パターンは、z方向に長さ2μm程度以上のラインパターンで形成され、前記断面形状計測過程において、前記計測対象パターンの3次元断面形状計測として所定のz断面における前記ラインパターンの平均寸法、ライン幅ラフネス又はラインエッジラフネスを計測することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記計測対象パターンの周囲には保護膜などの固体が付着していないことを特徴とする。また、本発明は、前記電子画像取得過程において、前記走査型荷電粒子線顕微鏡における前記荷電粒子線の加速電圧が200keV以上であることを特徴とする。また、本発明は、前記電子画像取得過程において、さらに、前記走査型荷電粒子線顕微鏡における前記荷電粒子線のビーム開き角を、前記計測対象パターンの寸法変化量に基づいて決めるビーム開き角決定過程を含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記エッジ位置算出過程において、前記それぞれの焦点位置での電子画像内から得られた信号波形において、その傾きが最大となる座標を前記計測対象パターンのエッジ座標とすることを特徴とする。また、本発明は、前記エッジ位置算出過程において、前記それぞれの焦点位置での電子画像内から得られた信号波形において、該信号波形が画像取得条件に応じて設定したしきい値と一致する点を計測対象パターンのエッジ座標とすることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記断面形状計測過程において、前記エッジ位置算出過程で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置の算出結果と前記それぞれの焦点位置との関係を1次式で近似し、該近似式の傾きにより前記それぞれの焦点位置での計測対象パターンのエッジ位置の算出結果を補正する傾き補正過程を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記断面形状計測過程において、前記エッジ位置算出過程で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置の算出結果の平均値からの差分が、予め指定した許容値よりも大きいときには前記計測対象パターンの3次元断面形状計測結果を排除する排除過程を含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、走査型荷電粒子線顕微鏡を用いて、計測対象パターンの3次元断面形状計測を行うパターンの計測方法であって、収束荷電粒子線の走査照射位置を前記計測対象パターンの所望のx−y断面計測位置に合せて前記収束荷電粒子線の焦点位置を前記計測対象パターンに対してz方向に順次変化させ、それぞれの焦点位置での前記計測対象パターンの第1の透過電子画像若しくは散乱電子画像を取得する第1の電子画像取得過程と、該第1の電子画像取得過程において前記所望のx−y断面計測位置に合せたそれぞれの焦点位置で取得した第1の透過電子画像若しくは散乱電子画像を処理して、該それぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置を算出する第1のエッジ位置算出過程と、前記計測対象パターンを反転させ、収束荷電粒子線の走査照射位置を前記反転した計測対象パターンの所望のx−y断面計測位置に合せて前記収束荷電粒子線の焦点位置を前記反転した計測対象パターンに対してz方向に順次変化させ、それぞれの焦点位置での前記反転した計測対象パターンの第2の透過電子画像若しくは散乱電子画像を取得する第2の電子画像取得過程と、該第2の電子画像取得過程において前記所望のx−y断面計測位置に合せたそれぞれの焦点位置で取得した第2の透過電子画像若しくは散乱電子画像を処理して、該それぞれの焦点位置での電子画像内の反転した計測対象パターンのエッジ位置を算出する第2のエッジ位置算出過程と、前記第1のエッジ位置算出過程で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置と前記第1の電子画像取得過程において電子画像を取得したそれぞれの焦点位置との組み合わせ及び前記第2のエッジ位置算出過程で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の反転した計測対象パターンのエッジ位置と前記第2の電子画像取得過程において電子画像を取得したそれぞれの焦点位置との組み合わせに基づいて、前記計測対象パターンの3次元断面形状計測を行う断面形状計測過程とを有することを特徴とするパターン計測方法である。
【0016】
また、本発明は、前記断面形状計測過程において、前記第1のエッジ位置算出過程で算出された計測対象パターンのエッジ位置の算出結果と前記第2のエッジ位置算出過程で算出された反転した計測対象パターンのエッジ位置の算出結果とに計測対象パターンの表面からの深さに応じた重みをかけた加重平均により、前記計測対象パターンの3次元断面形状計測を行うことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、走査型荷電粒子線顕微鏡において、電子画像取得部において計測対象パターンの透過電子画像若しくは散乱電子画像を取得するための計測対象パターンの長手方向の寸法及び順次変化させる焦点位置の間隔を含む画像取得条件と、画像処理部において計測対象パターンのエッジ位置を算出するための画像処理条件を入力して設定するグラフィカルユーザインターフェースを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、一度の試料作成で、多くの断面形状および寸法の計測が可能なパターン計測を実現する。
【0019】
また、本発明によれば、比較的短時間に多くの断面形状計測を行うことができるようになる。これにより、計測対象である半導体回路パターンについて、これまで困難であった断面形状の製造ばらつきの評価が可能となる。特に逆テーパやノッチなど、非破壊の計測手法では状況の把握が困難であった形状変化についても、分解能のよいSTEM像を用いることで高精度な計測が可能となる。
【0020】
また、本発明によれば、このような評価を可能とした結果、半導体プロセスの状態、特にプロセス立ち上げ期の状態を、定量的に短期間で評価できるようになり、立ち上げ期間の短縮が可能となる。
【0021】
また、本発明によれば、断面形状および寸法の、ばらつきを考慮した統計的な評価が可能となるため、半導体ラインで使われる様々な計測装置のキャリブレーションなどにも応用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に係る半導体の製造工程においてウェハ上に形成された回路パターンの加工形状の寸法を、回路パターンの電子顕微鏡画像を用いて計測するパターン寸法計測方法及びそのシステムの実施の形態について図面を用いて説明する。
【0023】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態として、本発明に係るパターン計測方法の基本的な手順とシステム構成を図1から図12を用いて説明する。
【0024】
図1に基本手順を示す。はじめに断面観察ができるように例えば収束イオンビーム(FIB)加工装置を用いて周囲を除去加工してサンプルを準備する(S01)。本発明では、通常の断面観察に用いられるよりも、寸法が変化するラインの長手方向の寸法が大きい(厚い)サンプルを用いて寸法計測を行う。図2に断面観察用のサンプルの切り出しの例を示す。断面形状計測のために、サンプルを切り出す際に、図2に示す計測対象のパターンの長さLを記録しておく。
【0025】
図2(a)は計測対象の配線回路パターンを上部から見た図を示しており、白い部分がライン11、灰色の部分が下地12である。図2では簡単のためライン11は直線で示されているが、実際の下地12上の半導体ラインパターン11aは図3に示すようにラフネスにより線幅が変動する。このようなラインパターンのラフネスは、半導体製造プロセスの露光工程が原因で発生するものが多い。この、ラフネスは半導体デバイスの性能ばらつき主要因のひとつであり、これを計測することは非常に重要である。本発明は、STEM等の走査型透過荷電粒子顕微鏡を用いて、このラフネスを断面観察と同時に断面形状を計測する手段を提供する。
【0026】
矩形で示した領域を、例えばFIBで加工して切り出したサンプルの例が図2(b)である。通常、断面形状の計測が行われるのは図2(b)にハッチングで示した面であり、本発明のSTEMによる計測方法では、この面に垂直に電子ビームを照射して、このハッチング面と平行な複数の断面で寸法計測を実施する。通常STEMやTEMを用いた断面計測の際は、パターンの長さ(図2(b)に矢印で示す部分)を数十ナノメートルからせいぜい数百ナノメートルまでと、比較的薄くするのが一般的である。しかし、本発明では、計測対象である複数の断面を含む数マイクロメートル程度(2μm程度以上)の、比較的長いサンプルを作成し、作成したサンプル内での寸法およびラフネスを計測する。非特許文献2に記載されているように、半導体デバイスへの影響を考えるとき、ラフネス計測は2マイクロメートル以上の範囲で測ることが推奨されている。
【0027】
本発明では、この2マイクロメートルでのラフネス計測を可能にする方法を開示する。
【0028】
図2では簡単のため、一つのサンプルに4本のラインしか含まれていない図を示しているが、もっと多くのラインを一度に切り出してももちろんよい。パターンの密度によるが、例えば数10本のラインを含む領域を一度に切り出す。この場合には、一度のサンプル作成で、画像取得位置を変更するだけで多くの断面を計測できるメリットがある。また、FIB加工におけるダメージを低減するために保護膜が生成されていてももちろん構わない。後で述べるように、本発明の計測手法は計測対象パターンの周辺に保護膜が無い方がより高精度な結果が得られるが、保護膜があっても適用可能である。透過電子像を用いる場合は、電子が透過しやすいように、対象パターンに比べてできるだけ原子番号の小さい膜を用いる方が望ましい。なお、FIB加工による保護膜を使わないサンプルの作成方法については非特許文献3に開示されている。この後の説明は保護膜の無い場合について行うが、保護膜があっても同様の手順で断面寸法計測が可能である。
【0029】
次に、例えば図4に示すSTEM(Scanning Transmission Electron Microscope)において、準備したサンプルを計測用のホルダ(図示せず)にセットし、軸調整やサンプルの傾き調整、倍率調整などを行い、通常の断面計測が行える状態にSTEMを調整する(図1、S02)。
【0030】
図4に本発明で用いるSTEMの構成の一実施例を示す。STEMでは、電子源301から放出された電子を加速し、複数段の電子レンズ302、対物レンズ304を通してビーム308を細く収束させる。この電子ビーム308を、試料(サンプル)305に照射しながら走査コイル303を用いて矩形に走査させることで、各点における画像信号を検出する。透過電子を得るため、加速電圧設定部300bで設定される試料に照射される電子の加速電圧は200keV以上である数百keVのものを使う。試料305に照射された電子はサンプル内を透過・散乱して、下方の検出器により検出される。検出器の形態は目的により異なるが、図5では一般的な明視野検出器307及び暗視野検出器306と2次電子検出器310がある場合を示す。暗視野検出器306は図5に示すようにアニュラ型のものを用いて、より散乱角の大きい電子のみを検出する。暗視野像は原子番号の違いをよく表わすため、Zコントラストともよばれる。明視野検出器307は暗視野検出器306の下方に配置されている、明視野検出器307では、あまり散乱を受けず、試料305の下方に透過する電子を中心に検出する。また図4のように、2次電子の検出が可能なように試料上方に2次電子検出器310を設けている装置もある。これらの検出により検出された電子はA/D変換機309によりデジタル信号に変換され、画像メモリと画像処理用のCPUを持つ画像処理ユニット314に転送、画像データとして記憶装置311に記録される。記録された画像データは画像処理部314で処理される。あるいは外部インターフェース312を通じて外部での処理を行うことも可能である。装置の走査や結果表示は表示装置313を通じて行われる。なお、STEMの電子光学系は、制御装置300によって制御される。制御装置300は、z方向の分解能に応じた焦点深度モード(電子ビームの開き角α)を調整する電子ビーム開き角調整部300aと、加速電圧設定部300bと、2次電子検出器310で観察される試料(サンプル)の表面の例えば2次電子像を基準にして図5に示すように計測間隔p及びサンプルの長さLに応じたフォーカス調整位置に対物レンズ304等を制御するフォーカス調整位置制御部300cと、偏向器303等を制御するビーム走査照射位置制御部300dとを備えて構成される。ビーム走査照射位置制御部300dには、取得する画像の倍率を制御する部分も含むことになる。
【0031】
また、特許文献1には本発明に類似したシステムとして共焦点顕微鏡の例が開示されている。特許文献1では、電子源と試料と検出器を光学的に共役な位置に配置して、対象内部の画像を形成、観察に用いている。
【0032】
本発明では、パターンによる透過及び散乱の程度の違いを用いてパターンのエッジ位置を検出するため、電子線像を検出器上に結像する必要はない。
【0033】
次に、図4に示したシステムを用いて所望の断面計測位置における断面計測用の画像を取得する。本発明では、所望の断面計測位置での主に透過電子像(明視野像)を用いて計測を行う実施例を示す。断面計測対象であるラインパターンの長手方向(図2(b)に示すz方向)にフォーカスを変化させた画像を取得して、それぞれの画像内でパターンのエッジ位置を算出する。詳細は後述するが、本方式ではフォーカスの合った位置におけるパターン断面形状およびその寸法を推定することができる。フォーカスを変化させた画像を取得するために、フォーカス位置の調整を行う(図1、S03)。ここでは、2次電子画像の検出が可能なSTEMの実施例を示す。ここでは、はじめに2次電子画像を用いて、2次電子像が最もよく見えるフォーカス条件を設定する。2次電子像は、サンプル表面の情報を多く含むため、2次電子画像を用いて決定した条件では、電子ビームはサンプルの最表面にフォーカスすることになる。なお、2次電子像の検出が出来ない場合には、2次電子ほど明確ではないが、透過電子像でも同様の調整が可能である。
【0034】
次に、このサンプル表面と下面を十分に含む範囲でフォーカスを順番に変化させて、各フォーカス位置で画像を取得する手順(図1、S04)について図5を用いて説明する。図5は、図2(a)と同じ方向から切り出されたサンプルと電子ビーム308との位置関係を表わしたものである。
【0035】
即ち、S03で設定した電子ビームの条件(2次電子画像によりパターンの表面にフォーカスを合せる)を用いて、制御装置300のフォーカス調整位置制御部300cにより対物レンズ304を制御して念のためサンプルパターン表面少し上から一定間隔でフォーカスを変化させて、透過電子像(明視野像)307を取得する(図1、S04)。図5はサンプル表面z0にフォーカスが合っている場合のビーム位置と、画像取得を行うフォーカス位置との実施例を示している。フォーカス変更の間隔p(15)は、計測したい断面の間隔に合せて設定すればよい。図5に示すようにパターン長さL、フォーカス変更間隔pとすると、対象パターン内で(L/p)+1枚の画像が撮像されることとなる。実際の画像取得時には、サンプル作成時に記録しておいたサンプル長さよりも下側まで十分に含むようにフォーカスを変化させて画像を取得しておく。フォーカス調整位置制御部300cでのフォーカスの制御は、対物レンズ304の制御電流量と実際のフォーカス変化量との関係を予め調べておくことで容易に行える。通常、対物レンズ304の制御電流量と実際のフォーカス変化量との関係は、STEM装置の設計情報やそれに基づいたシミュレーションにより求めて例えば記憶装置311に格納しておくことが可能である。あるいは、予め高さの分かっているサンプルをホルダにセットして対物レンズ304の制御電流量と実際のフォーカス変化量との関係を予め調べておくこともできる。そして、各フォーカス高さにおいて、電子ビーム走査照射位置制御部300dにより偏向器303を制御して電子ビーム308をx−y平面内でスキャンし、例えば明視野検出器307により透過電子画像を取得する。勿論、暗視野検出器306からは散乱電子画像が取得されることになる。図5ではy軸を図示していないが、紙面奥行き方向をy軸とする。
【0036】
最後に、画像処理部314は、取得したそれぞれのフォーカス条件での透過電子画像内でパターンエッジ位置を画像処理により抽出し、各フォーカス位置の断面におけるパターン形状および寸法を算出する(図1、S05)。
【0037】
図6には画像処理部314における取得される画像の実施例と画像処理方法の一部を示す。図6の上に示した図は切り出したサンプルであり、そのうち一部分の透過電子画像(所望の断面計測位置での透過電子画像)16を拡大して取得した透過電子像17の実施例が下側の図である。図6に示すように、計測対象パターンが密集ラインであれば視野をずらして複数の透過電子像の画像16を撮像することで、一度の試料作成で多くのラインを一度に計測することが可能となる。
【0038】
次に、画像処理部314は、この図6中央に示す透過電子像17から、各パターンのエッジ位置を画像処理により検出する。図7は、図6に点線で示した画像内のyi座標=yaの走査ラインにおける、1本のラインパターンの透過電子信号波形18を模式的に示している。透過電子像17では、パターンのある部分は信号が透過しないため暗くなり、パターンの無い部分は電子ビームが散乱されずにそのまま検出されるため明るくなる。この明るい部分と暗い部分の境目を検出することで、画像内でのパターンのエッジ位置を計測する。STEM像におけるエッジ抽出画像処理の詳細は後述する。図6の画像内では、はじめにパターン下地との境界(図6のyi=ys周辺)のエッジを検出する。この場合はyi軸と平行な方向の信号波形の評価を実施して、図7と同様に下地のエッジ位置を検出する。この下地境界の検出結果を用いて、画像が回転している場合は画像に対して回転補正を行うか、あるいは、計測結果の座標データを回転補正すれば回転のない結果が得られる。この下地との境界を基準とした各高さにおけるパターンのエッジ座標を画像処理により算出する。パターンの上面(図6のyi=yt周辺)のエッジについても、下地との境界と同様yi軸と平行な方向の波形を処理してエッジ位置を抽出する。
【0039】
なお、本発明の計測では、図6と同様の画像で、フォーカス条件が異なるものが複数枚ある。これらの画像で全てパターンエッジ位置を算出すれば、対象パターンの3次元構造を得ることができる。図8は3次元構造情報の説明図である。図8(a)左側に示すように、本発明の計測手法ではフォーカス条件(フォーカス調整位置)14を変更した複数の透過電子画像17が得られる、これらを画像処理することで、図8(a)右側に示すようなエッジ位置情報19を得ることができる。図8(a)右側の図において、輪郭線上の各点はxとyの座標情報を持っている。これらのエッジ座標情報20は、パターン長手方向の座標zにおけるパターン外周エッジの値を示していることから、フォーカス位置の相対座標14が画像間のz座標となる。これらの3次元構造データ21を表示した実施例を図8(b)に示した。図8(a)に示した各z座標での画像やエッジ抽出結果、(b)に示すような3次元立体表示21は表示装置313で容易に表示できるようにしておくと良い。3次元表示の観察方向や倍率はマウス操作で簡単に変更可能にしておくと便利である。このような3次元データの表示は一般的なCADツールや3Dアニメーションツールなどを用いても容易に行える。
【0040】
次に、図9を用いて、様々なフォーカス状態で撮像された透過電子画像からパターンのエッジを抽出する方法について説明する。発明者らは、シミュレーションを利用して、電子ビームの走査とパターンエッジ位置との関係により透過電子信号量がどのように変化するのかを調べた。図9は電子ビーム308の走査とパターン305のエッジ位置と透過電子信号量18との関係の概略図を示している。図9(a)から図9(c)は電子ビームと試料側壁の位置関係を、図9の下のグラフは各位置と透過電子の信号量の関係を示している。比較的厚いサンプルを用いる場合、図9(a)のように、電子ビーム308の最も太いところとパターン305がはじめて接触する場所から電子の散乱がはじまるので、信号量が低下しはじめる。ターゲットにあたる電子ビームの量が少ないうちは少しずつ信号量が減少するが、フォーカスしてビームの密度が高い部分が試料に交わると、多くの電子が散乱してしまうため、急激に信号量が低下する(図9(b))。その後、電子ビーム308が、全て試料305の内部に向けて照射され、かつ側壁から散乱した電子が出なくなるまで内部に入ったところで最小値となる。Δx1は(a)の位置により決まり、試料の長さLが厚く(長く)、電子ビーム308の開き角が大きいほど長くなり、フォーカスの位置にも依存して変化する。また、試料の長さLが厚い(長い)ほど、電子ビームが散乱により試料内で拡がるため(c)の位置は右の方へ移動して、Δx2は大きくなる。フォーカスを変化させた画像において、常にフォーカスの合っている高さの寸法を測るため、図9(b)に相当するエッジ位置を正しく検出できればよい。しかしながらパターンのエッジ周辺(a)から(c)、特に(a)から(b)の間で信号量18が大きく変化しているため、この間のどの部分をパターンのエッジとして抽出するかにより計測誤差が大きくなる可能性がある。発明者らの検討では、電子ビーム308の開き角や試料305の厚さLにもよるが、(a)(b)間の距離は10ナノメートルを超える値となりうることがわかっている。本発明が評価対象としている半導体パターンの寸法は数十ナノメートル程度であり、ラフネスにより生じる考慮すべき寸法ばらつきは数ナノメートルであることから、この(a)(b)間の信号低下に影響を受けないエッジ位置の検出が必要である。また、(b)における信号量sbはフォーカスの位置によって変化する。実線18aで示すように、フォーカス位置が試料表面に近いほど(b)の信号量は大きくなるが、フォーカスが下面に近いほど(点線18bで示す場合)、照射された電子が上部で散乱されてしまうため、信号量が低下する。このような物理現象を考慮した画像処理を行わなければ、正しいエッジ位置を決定することはできない。
【0041】
次に、画像処理部314においてこのような画像で正しいエッジ位置を抽出する方法について図10を用いて説明する。図10は図9で示した試料の左側エッジ付近での透過信号波形18とその1次微分波形22を示している。(b)に相当する部分で急激に信号量が低下することから、微分波形22が最小値(右エッジの場合は最大値)となる部分23をエッジとして検出すれば、(b)に近い傾きが最大の点を検出することができる。そこで、本発明では、1次微分の最小値(左エッジの場合)および最大値(右エッジの場合)をとる座標をエッジ位置とすることで、フォーカスの変化によらず安定に精度よくパターンエッジの座標を求めることが可能となる。同様に、3次微分が変曲点でゼロになることを利用して、1次微分ピーク直前の3次微分のゼロクロス点を検出することで、急激に信号量が低下する点を検出することも可能である。
【0042】
次に、別のエッジ位置抽出方法の実施例について図11を用いて説明する。図10では1次微分のピークを用いてエッジ位置を決定したが、微分波形はノイズに弱いという欠点がある。ノイズの良い画像を取得するためには、画像取得に多くの時間を要する。また、照射する電子数が大きくなるため、試料へのダメージなどの問題も起こりうる。そこで、図11の方法では、焦点位置が下になるほど(b)の信号量が低下することを利用して、焦点位置に応じたしきい値を設定し、設定したしきい値と波形の交点をエッジ位置とする方法である。図11の実施例では、例えば焦点位置が比較的高いところにあり、実線で描かれているような波形18aが得られる場合には、透過電子画像の振幅A(下地部分とパターン部分の最も暗い部分の差)24に対して、例えば60%のしきい値との交点E1をエッジ位置26aとし、焦点が下の方にあり、点線のような波形18bが得られる場合には、しきい値を例えば30%として波形との交点E2をエッジ位置26bとする。これらのしきい値25a,25bは焦点位置に応じて適切な値を設定する必要がある。これは予め形状のわかっているサンプルなどで波形を取得し事前に設定しておけばよい。図11の方法は、予めしきい値を決めておく必要はあるが、図10の方法に比べると、ノイズに強いという利点がある。
【0043】
次に、本発明のパターン計測方法を実行するのに適切なビームの開き角を決定する方法について図12を用いて説明する。図9に示したように、本発明のパターン計測方法では、試料305と電子ビーム308のフォーカス点が交わるところで信号量が急激に低下する。しかしながら、フォーカス点より上方で照射された電子ビーム308が試料305と交わってしまうと、試料内で電子が散乱してしまい、実質の分解能が低下してしまう。発明者らの検討では、フォーカス点において、電子ビームの一部でも直接試料に照射されていると計測精度が良好になることがわかっている。そこで、ラフネスのあるサンプルに対して適切なビームの開き角αをラインのラフネスに基づいて決定し、ビーム開き角調整部300aに対して設定しておくとよい。適切な開き角を決定するために、ラインパターンを上方(図2(a)のようにパターン上面が見える状態)から観察する。観察はFIB加工時にSEMを用いて行ってもよいし、予め測長SEMやAFMなどで計測して、例えばI/F312を介して入力して記憶装置311に記憶しておく。次に、画像処理部314は、記憶装置311に記憶されたラインを上部から観察してエッジ位置を検出する。ここでのエッジ位置検出は、相対位置がわかればよい。画像処理部314は、エッジ位置を検出したら、エッジ上の各点に対して、その点を通り、ライン外側でラインに外接する直線を求める。例えば、図12に示す点28について2本の直線29が求まる。さらに、画像処理部314は、ラインの長手方向27を基準とした場合に、これらの傾きθ1、θ2を求めて、大きい方を例えば記憶装置311に記録しておく。さらに、画像処理部314は、これをある程度の長さのラインエッジについて行い、最大角度θmaxを推定する。制御装置300のビーム開き角調整部300aからの指令に基づく複数段の電子レンズ302等の制御によりビームの開き角α(30)は、画像処理部314で推定されたθmaxよりも大きな値にしておけば、ラフネスがあるサンプルでも固体内散乱を受けずに、ビームがある程度の密度を保ったままフォーカス位置で試料11(305)に到達することができる。例えば、図12に矢印で示した方向で電子が入射する場合には、パターンに散乱されることなくフォーカス位置でビームが試料11の表面に到達する。
【0044】
以上、STEMの画像処理部314において、図1から図12により説明した第1の実施の形態の計測手法により、比較的短時間に多くの断面形状計測を行うことができるようになり、図8に示したようなパターンの形状情報20を得ることができる。これらの結果はそのままでもパターンの3次元情報として有用であるし、また、この結果から、画像処理部314はラインパターンの長手方向(図2(b)に示すz方向)や高さ方向(図2(b)に示すy方向)に対して、どのように寸法が変動しているのか詳細な解析が可能となる。例えば、ラインパターンの高さ(z値)ごとにラインエッジラフネス(LER(Line Edge Roughness))や線幅ラフネス(LWR(Line Width Roughness))がどのように変化しているか確認したり、ライン側壁の傾斜角の変化を確認したりすることに使える。即ち、本発明によれば、z方向に長さ2μm以上のラインパターンからなる計測対象パターンに対して、所定の断面(所定のz値)におけるラインパターンの平均寸法、ライン幅ラフネス、ラインエッジラフネスを計測することが可能となる。
【0045】
このように、計測対象である半導体回路パターンについて、画像処理部314は、これまで困難であったz方向の断面形状の製造ばらつきの評価が可能となる。特に逆テーパやノッチなど、非破壊の計測手法では状況の把握が困難であった形状変化についても、分解能のよいSTEM像を用いることで高精度な形状計測が可能となる。このような結果を用いて半導体製造プロセスの管理や、プロセスに異常があった場合に原因調査のための解析ツールとしても活用することができ、半導体プロセスの状態、特にプロセス立ち上げ期の状態を、定量的に短期間で評価できるようになり、立ち上げ期間の短縮が可能となる。また、断面形状および寸法の、ばらつきを考慮した統計的な評価が可能となるため、半導体ラインで使われる様々な計測装置のキャリブレーションなどにも応用することが可能となる。
【0046】
[第2の実施の形態]
本発明に係る第1の実施の形態では、計測対象パターンの周囲に保護膜がない場合について説明した。本発明に係る第2の実施の形態では、計測対象パターンの周囲に保護膜がある場合について説明する。図12の実施例で説明したように、本発明のパターン計測を精度良く実行するためには、できるだけ多くの電子が固体により散乱されることなく計測対象表面に収束して照射されることが望ましい。しかしながら、材料によっては保護膜がなければ断面観察用の加工が困難なケースもある。このような場合には、保護膜の影響による精度低下を低減する必要がある。図13は固体内散乱により収束ビームがどのように拡がってしまうかをシミュレーションした例である。200kevの電子ビームを照射したとき、左の図は試料表面から2ミクロン、右の図は1ミクロンの深さにフォーカスした場合のビームの拡がり31、32を示している。なお、固体内の散乱が無い場合はビーム径は無限小となる条件で計算している。図13からわかるように、試料表面からの深さが深いほど電子ビームの実効的な径は太くなってしまう。特許文献1のFig.3に開示されている図も同様のデータであるが、深さに比例するのではなく、ある程度から急激に分解能が低下する。保護膜がある場合にはこの影響が避けられない。本発明に係る第2の実施の形態ではこのような固体内拡散によるビーム径の増大に対応する方法を開示する。
【0047】
図14は厚いサンプルを測った場合の計測ばらつきについて説明している。厚いサンプルを測る場合、試料表面から離れるほど、電子の固体内拡散や、エッジ位置における信号量とS/Nの低下により計測ばらつきが増大する。同じサンプルを繰り返し計測すると、図14に示す点のように、下に行くほど検出されたエッジ位置26のばらつきが大きくなる。そこで、STEMにおいて、図15に示すように、サンプル11(305)を一度計測したら、サンプル11(305)を180度回転させ、もう一度同様に計測を行う。図15(a)では一回目の計測ではA側のエッジ位置が、二回目の計測ではB側のエッジ位置が精度よく計測できるので、画像処理部314において図15(b)に示すような表面からの距離に応じてS字型の重み関数33を用いて検出エッジ位置について加重平均を行うことで、パターンの厚さ(長さL)によらず安定な断面形状の計測を可能とする。S字カーブは一般的に用いられるシグモイド曲線を用いればよい。図16にSTEMの第2の実施の形態における評価手順を示す。図1に示した第1の実施の形態と同様にサンプルを準備し、サンプルをSTEMのホルダにセットする(S01、S02)。次に2次電子画像によりパターンの表面にフォーカスを合せて調整した後(S03)、フォーカスを変化させた画像セットを取得する(S04)。一通り画像を撮像し、両面画像を取得していない場合には(S06)、サンプルを180度回転させて(S07)、同様に画像処理部314は画像を取得する。画像処理部314は各画像内でエッジ位置を検出した後(S05)、2つの計測結果の位置を組み合わせる(S08)。更に、画像処理部314は、次に説明することを実行することになる。即ち、はじめに下地位置を基準にy方向の座標を合せる。次に、2次電子画像で合せたフォーカス情報を元に大体の位置を合せておき、2つの計測結果の精度が同程度であるz方向中央のパターン計測結果を用いてラフネスが一致するようにxとzの位置を合せこめばよい。合せこみには複数枚の画像内にある複数のエッジ座標の差分自乗和が最小になるようにシフトすればよい。最後に図15(b)に示したような表面からの距離による重み付けを行って、加重平均をすることでパターン寸法を算出する(S09)。なお、計測可能な厚みが十分でない場合は、加速電圧設定部300bにおいて加速電圧を上げることで対応が可能である。以上説明したように、本発明に係る第2の実施の形態における第1の実施の形態と相違する点は、ステップS06、S07、S08及びS09を設けたことにある。
【0048】
本手法は、本方式を保護膜がないサンプルに適用してももちろんよい。図9に示したように、フォーカス位置が下になるほど、エッジ部分の信号量が下がり、エッジ抽出のS/Nも悪くなる。そこで、図15及び図16に示した方式で上下から計測した結果を組み合わせた計測を行うことで、S/N低下による計測値ばらつきを低減し、より高精度な計測が実現可能となる。
【0049】
[第3の実施の形態]
本発明に係る第3の実施の形態における第1及び第2の実施の形態との相違点は、例えば画像処理部314において傾き補正を行うことにある。次に、本発明に係るSTEMによるパターン形状計測における第3の実施の形態である計測対象パターンの取り付け時に生じる試料の傾きを補正し、該補正した結果を出力する方法について説明する。STEMでの観察、計測時にはFIBで加工した試料をSTEMで観察するが、この試料の取り付け方によっては、ラインの長手方向がz軸と平行にならない場合がある(軸の取り方については、例えば図2(b)参照)。このような場合には、図17(a)に示すように計測結果が傾きを持ってしまう。このように傾きを持ってしまった場合には、画像処理部314において、これらのデータ(検出されたエッジ位置)26を近似する1次直線34を最小自乗法により求めて、計測データの補正を行えばよい。このようにしてデータの補正により傾きをキャンセルすることができれば、傾きに起因した寸法計測誤差を排除することができ、より高精度な計測が可能になる。また、図8(b)に示したように3次元でパターン構造21を表わすときなどに扱いやすいといった利点がある。また、第2の実施の形態のように、観察方向を変更する場合、ステージの精度によって回転前後でz軸に対する傾きが変化してしまう可能性があるが、このような場合にも、予め回転を補正した上で、加重平均などの処理を行えばよい。
【0050】
しかしながら、低周波のラフネスがある場合には、傾きの推定が大きな誤差を持つ場合もありうる。そこで、図17(b)に示すように、必要に応じて、他の計測点、例えば左右のエッジラフネスや異なる高さ(y座標)のデータなどを用いて、多くのデータを使った方が傾きの推定精度が高くなる。高さが異なるだけのデータではラフネスに相関があることが多いため、左右、あるいは隣接ラインの情報を含めるのが望ましい。図17ではx方向の傾きについて示したが、y方向についても同様に行うことができるのは言うまでもない。
【0051】
FIBで加工した試料305を傾きなくSTEMのホルダ(図示せず)に保持することは、一般に非常に困難である。しかしながら、本発明の第3の実施の形態に示した通り、補正を実施すれば、サンプルが傾いて保持されていても、高精度な計測の実現が可能となる。
【0052】
[第4の実施の形態]
本発明に係る第4の実施の形態における第1乃至第3の実施の形態との相違点は、画像処理部314において異常値を除く処理を行うことにある。
【0053】
次に、本発明に係るSTEMによるパターン形状計測における第4の実施の形態である異常値を除いて、さらに計測精度を上げる方法について図18を用いて説明する。本発明のパターン形状計測方法では焦点位置をz方向に順次変化させてそれぞれの焦点位置においてx−y断面形状を計測する。通常計測対象パターンのz方向の断面形状は連続的に変化するため、その連続性を利用すれば計測の安定性を向上することができる。図18に白丸で示しているのはx−y計測の外れ値35である。半導体のラインパターンを計測対象とする場合には、通常測長SEMまたはCD(Critical Dimension)SEM(図示せず)などでラインパターンのラフネスを評価しているため、測長SEMまたはCDSEM(図示せず)から例えばI/F312を介して入力されて記憶装置311に記憶される関係で画像処理部314は大体の変動範囲をわかっていることが多い。そこで、画像処理部314は、得られたz方向の断面計測結果(検出されたエッジ位置)の変動から、ラインそのもののばらつきよりも大きく外れているものを外れ値として取り除くことが可能となる。図18の実施例では、片側のエッジ位置26のz方向の平均値36を算出し、測長SEMまたはCDSEM(図示せず)等において別途評価しておいたラインエッジラフネスの値に相当する許容範囲37を設定し、そこから外れている値を計測結果から取り除く。図18の実施例の他にも、ラインパターンの数点の3次元計測結果の移動平均を出して、そこから大きく外れているものを取り除くといった処理も可能である。外れ値を除いた後は、前後の計測結果(x、y、zどの方向でもよい)から本来のエッジ位置を推定してもよい。
【0054】
このように、本発明に係る第4の実施の形態によれば、z方向にラインパターンで形成されている計測対象パターンを焦点位置を順次変化させて撮像して取得される透過電子画像若しくは散乱電子画像を基にそれぞれの焦点位置でのエッジ位置26で計測される3次元断面形状計測結果において、ラインエッジラフネスの値に相当する許容範囲37から外れている外れ値を取り除くことでさらに安定な3次元断面形状計測が可能となる。
【0055】
[第5の実施の形態]
本発明に係る第5の実施の形態における第1乃至第4の実施の形態との相違点は、画像処理部314におけるGUIである。
【0056】
次に、本発明に係るSTEMによるパターン形状計測における第5の実施の形態である画像取得や処理の条件を入力する条件入力画面と、結果の表示などのGUIの実施例について説明する。図19は入力条件(条件入力画面)315の一実施例を示している。本発明に係る3次元断面形状計測方法では、加速電圧(keV)、取得する画像の倍率(kx)、希望するz方向の分解能に応じた焦点深度モード(電子ビームの開き角α)などの基本的な画像取得条件と、使用する画像の種類(透過電子画像、散乱電子画像、反射電子画像(2次電子画像)等)、フォーカスを振って画像取得を行う範囲((z0-3)〜(z0+(L/p)+2))を決めるためのパターン長さL(μm)、計測ピッチp(nm)、そしてエッジ位置抽出に用いる画像処理条件(フィルタ処理条件及び図10に示す微分処理条件若しくは図11に示すしきい値処理条件)などの入力を行う。ここで、画像取得を行う範囲については、予め測っておいた、計測対象サンプルの寸法よりも小さな値Lを入れる必要がある。一方、図20は計測結果の表示(結果表示画面)316の一実施例である。図20左側に示すような、3次元断面形状計測結果であるインタラクティブに操作可能な3次元表示(3次元グラフ)を行い、マウスを近づけると計測した点が選択できるようにしておく。計測点をクリックすると、インタラクティブにその場所のデータを算出した画像(反射電子像38及び透過電子像17等)を右側に表示する。図20の実施例では、画像上に代表的な信号波形(反射電子信号波形39及び透過電子信号波形18)と計測結果の表示を行っている。
【0057】
このように、表示装置113上に図19や図20に示すようなGUI画面315、316を表示することにより、条件設定や結果確認を容易に行うことが可能となる。
【0058】
[第6の実施の形態]
本発明に係る第6の実施の形態における第1乃至第5の実施の形態との相違点は、STEMの例えば画像処理部314において他の計測ツール(測長SEM又はCDSEM又は測長用のAFM)とキャリブレーションすることである。
【0059】
次に、本発明に係るSTEMによるパターン形状計測における第6の実施の形態である他の計測ツールとキャリブレーションする方法について説明する。従来断面計測では、一度の計測で一断面の寸法しか計測できなかったため、多くの計測データを得ることが難しかった。しかし、本発明の計測方法を用いれば、一度のサンプル作成で多くのデータを得ることができるため、計測対象の形状ばらつきがある場合にも他の計測装置(測長SEM又はCDSEM又は測長用のAFM)と計測結果を比較してキャリブレーションすることが可能となる。
【0060】
図21を用いて、測長SEM又はCDSEMと計測結果を比較する実施例を示す。キャリブレーションをする際には、同じサンプルを異なる方式で計測して比較する必要がある。そこで、はじめに断面サンプルの切り出しの精度を考慮して特開2005−265424号公報に記載されているように測長SEM又はCDSEMにより計測を行う。図21に示すように、ラインパターン11とアライメントパターン40がある場合に、このアライメントパターン40を用いて切り出しが可能なFIB加工精度41を予め調べておく。そして、このFIBの切り出しによりずれる可能性のある領域全てのパターンを測長SEM又はCDSEMで計測しておく(領域42)。次に、FIBで切り出し加工を行って、例えば43の領域の断面形状計測を第1乃至第6の実施の形態で示した方法で行う。43の領域の計測結果を、予め計測した領域42内の測長SEM計測結果と照らし合わせて、一致する領域を確定する。ここでは、寸法ではなく、ラフネスによるエッジ位置の相対的な変化を用いて位置合せを行う。このようにして、STEMによる断面計測位置と一致した部分の測長SEM又はCDSEMの計測結果を用いて、装置間のキャリブレーションを行えば、パターンのばらつきを考慮した高精度なキャリブレーションが可能となる。測長SEM又はCDSEMによりz−x面で計測するz方向のピッチと、本発明のSTEMによる断面計測で計測できるz方向のピッチが異なる場合にも、どちらも同じ母集団の中でのランダムなサンプリングと考えることができるため、統計的な扱いが容易となるといった利点がある。図21の実施例では、測長SEM又はCDSEMの場合について説明したが、測長用のAFM(Atomic Force Microscope)などに対しても同様の処理が可能である。
【0061】
このように、本発明に係る断面形状計測方法を用いれば、断面形状および寸法のばらつきを考慮した統計的な評価が可能となるため、半導体ラインで使われる様々な計測装置のキャリブレーションなどにも応用することが可能となる。
【0062】
これまでの実施の形態では、一般的なSTEMを用いたパターン断面形状計測方法について開示した。更に精度を向上することが可能なシステムとして、STEMに非特許文献5に開示されている収差補正器を導入することで、焦点深度が浅く、合焦点位置での電子密度が高いビームを実現することができる。このような電子ビームが実現できれば、STEM画像の分解能が上がり、計測精度が向上する。また、焦点深度が浅いため、z方向の分解能も向上して、より細かい間隔での断面計測が可能となる。
【0063】
計測精度向上が可能な別のシステムとしては、電子ビームの代わりに、非特許文献6に開示されている軽イオンを用いたFIBを用いてもよい。FIBを用いると、固体内での散乱角が比較的小さいため、分解能のよい計測が可能となる。
【0064】
また、本発明では透過電子を用いた計測方法について説明したが、散乱電子を用いても同様の形状計測が可能である。また、透過電子と散乱電子でそれぞれ計測を行い、結果を統合することでさらに高い精度での計測も可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明のパターン計測技術は、透過電子顕微鏡で画像取得が行え、かつ矩形などの高さ方向の寸法差が比較的小さい形状の対象であれば、同様に適用が可能である。本発明では半導体パターンの計測について説明を行ったが、MEMSや微細工業部品などに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係るSTEMを用いたパターン計測方法の第1の実施の形態の手順を説明するための図である。
【図2】本発明に係る計測対象パターン構造と座標の定義を説明するための図である。
【図3】本発明に係るラインエッジラフネスがある場合の計測対象ラインパターンの模式図である。
【図4】本発明に係るパターン計測方法を実施するSTEMのシステム説明図である。
【図5】本発明に係るパターン計測方法の焦点位置設定方法を説明するための図である。
【図6】本発明に係るパターン計測方法の画像取得の実施例を示す図である。
【図7】本発明に係る透過電子像とエッジ抽出の説明図である。
【図8】本発明に係る取得される画像と処理結果の説明図である。
【図9】本発明に係るパターン計測方法で用いる透過電子画像の特性を説明する図である。
【図10】本発明に係るパターン計測方法におけるエッジ抽出画像処理の説明図である。
【図11】本発明に係るパターン計測方法におけるエッジ抽出画像処理の説明図である。
【図12】本発明に係る計測対象パターン形状から電子ビームの開き角を設定する手法の説明図である。
【図13】本発明に係るパターン厚さと実効的なビーム径の関係を示す説明図である。
【図14】本発明に係るパターン厚さによる計測ばらつきの変化を説明する図である。
【図15】本発明に係る厚いパターンを精度よく計測する方法の説明図である。
【図16】本発明に係る厚いパターンを精度よく計測する方法の手順を示す説明図である。
【図17】本発明に係るパターンの傾きを補正する方法を説明するための図である。
【図18】本発明に係る外れ値を取り除く方法について説明するための図である。
【図19】本発明に係る画像取得および計測条件を設定するGUIの説明図である。
【図20】本発明に係る計測結果を表示するGUIの説明図である。
【図21】本発明に係る他の計測装置とのキャリブレーションの際のサンプリング方法説明図である。
【符号の説明】
【0067】
11…ラインパターン、11a…ラフネスラインパターン、12、12a…下地、13…サンプル切り出し領域、14…フォーカス調整位置、15…計測間隔p、16…透過電子撮像領域、17…透過電子像、18…透過電子信号波形、19…エッジ抽出結果、20…エッジ座標情報、21…計測結果3次元表示、22…透過電子信号1次微分波形、23…最小値ピーク、24…信号波形振幅A、25…しきい値、26…検出されたエッジ位置、27…ライン長手方向(基準)、28…エッジ位置(Top view、AFM計測結果など)、29…ラフネスの外接線、30…ビーム開き角α、31…合焦点高さでの電子の分布、32…合焦点高さでの電子ビーム強度分布、33…重み関数(シグモイド関数)、34…最小自乗法による近似直線、35…外れ値、36…平均値、37…許容範囲、38…反射電子像、39…反射電子信号波形、40…アライメントマーク、41…断面計測サンプル切り出し位置精度、42…測長SEM(あるいはAFM)計測範囲、43…断面計測領域、
300…制御装置、300a…ビーム開き角調整部、300b…加速電圧設定部、300c…フォーカス調整位置制御部、300d…ビーム走査照射位置制御部、301…電子源、302…電子レンズ、303…偏向器、304…対物レンズ、305…試料(サンプル)、306…暗視野検出器、307…明視野検出器、308…電子ビーム、309…A/D変換器、310…2次電子検出器、311…記憶装置、312…外部インターフェース、313…表示装置、314…画像処理部、315…条件入力画面(GUI)、316…結果表示画面(GUI)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査型透過荷電粒子顕微鏡を用いて、計測対象パターンの3次元断面形状計測を行うパターンの計測方法であって、
収束荷電粒子線の走査照射位置を前記計測対象パターンの所望のx−y断面計測位置に合せて前記収束荷電粒子線の焦点位置を前記計測対象パターンのz方向に対して順次変化させ、それぞれの焦点位置での前記計測対象パターンの透過電子画像若しくは散乱電子画像を取得する電子画像取得過程と、
該電子画像取得過程において前記所望のx−y断面計測位置に合せたそれぞれの焦点位置で取得した透過電子画像若しくは散乱電子画像を処理して、該それぞれの焦点位置での電子画像内での計測対象パターンのエッジ位置を算出するエッジ位置算出過程と、
該エッジ位置算出過程で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置と前記電子画像取得過程において電子画像を取得したそれぞれの焦点位置との組み合わせに基づいて、前記計測対象パターンの3次元断面形状計測を行う断面形状計測過程とを有することを特徴とするパターン計測方法。
【請求項2】
前記計測対象パターンは、z方向にラインパターンで形成されていることを特徴とする請求項1に記載のパターン計測方法。
【請求項3】
前記計測対象パターンは、z方向に長さ2μm以上のラインパターンで形成され、
前記断面形状計測過程において、前記計測対象パターンの3次元断面形状計測として所定のz断面における前記ラインパターンの平均寸法、ライン幅ラフネス又はラインエッジラフネスを計測することを特徴とする請求項1に記載のパターン計測方法。
【請求項4】
前記計測対象パターンの周囲には保護膜などの固体が付着していないことを特徴とする請求項1に記載のパターン計測方法。
【請求項5】
前記電子画像取得過程において、前記走査型荷電粒子線顕微鏡における前記荷電粒子線の加速電圧が200keV以上であることを特徴とする請求項1に記載のパターン計測方法。
【請求項6】
前記電子画像取得過程において、さらに、前記走査型荷電粒子線顕微鏡における前記荷電粒子線のビーム開き角を、前記計測対象パターンの寸法変化量に基づいて決めるビーム開き角決定過程を含むことを特徴とする請求項1に記載のパターン計測方法。
【請求項7】
前記エッジ位置算出過程において、前記それぞれの焦点位置での電子画像内から得られた信号波形において、その傾きが最大となる座標を前記計測対象パターンのエッジ座標とすることを特徴とする請求項1に記載のパターン計測方法。
【請求項8】
前記エッジ位置算出過程において、前記それぞれの焦点位置での電子画像内から得られた信号波形において、該信号波形が画像取得条件に応じて設定したしきい値と一致する点を計測対象パターンのエッジ座標とすることを特徴とする請求項1に記載のパターン計測方法。
【請求項9】
前記断面形状計測過程において、前記エッジ位置算出過程で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置の算出結果と前記それぞれの焦点位置との関係を1次式で近似し、該近似式の傾きにより前記それぞれの焦点位置での計測対象パターンのエッジ位置の算出結果を補正する傾き補正過程を含むことを特徴とする請求項1に記載のパターン計測方法。
【請求項10】
前記断面形状計測過程において、前記エッジ位置算出過程で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置の算出結果の平均値からの差分が、予め指定した許容値よりも大きいときには前記計測対象パターンの3次元断面形状計測結果を排除する排除過程を含むことを特徴とする請求項1に記載のパターン計測方法。
【請求項11】
走査型荷電粒子線顕微鏡を用いて、計測対象パターンの3次元断面形状計測を行うパターンの計測方法であって、
収束荷電粒子線の走査照射位置を前記計測対象パターンの所望のx−y断面計測位置に合せて前記収束荷電粒子線の焦点位置を前記計測対象パターンに対してz方向に順次変化させ、それぞれの焦点位置での前記計測対象パターンの第1の透過電子画像若しくは散乱電子画像を取得する第1の電子画像取得過程と、
該第1の電子画像取得過程において前記所望のx−y断面計測位置に合せたそれぞれの焦点位置で取得した第1の透過電子画像若しくは散乱電子画像を処理して、該それぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置を算出する第1のエッジ位置算出過程と、
前記計測対象パターンを反転させ、収束荷電粒子線の走査照射位置を前記反転した計測対象パターンの所望のx−y断面計測位置に合せて前記収束荷電粒子線の焦点位置を前記反転した計測対象パターンに対してz方向に順次変化させ、それぞれの焦点位置での前記反転した計測対象パターンの第2の透過電子画像若しくは散乱電子画像を取得する第2の電子画像取得過程と、
該第2の電子画像取得過程において前記所望のx−y断面計測位置に合せたそれぞれの焦点位置で取得した第2の透過電子画像若しくは散乱電子画像を処理して、該それぞれの焦点位置での電子画像内の反転した計測対象パターンのエッジ位置を算出する第2のエッジ位置算出過程と、
前記第1のエッジ位置算出過程で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置と前記第1の電子画像取得過程において電子画像を取得したそれぞれの焦点位置との組み合わせ及び前記第2のエッジ位置算出過程で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の反転した計測対象パターンのエッジ位置と前記第2の電子画像取得過程において電子画像を取得したそれぞれの焦点位置との組み合わせに基づいて、前記計測対象パターンの3次元断面形状計測を行う断面形状計測過程とを有することを特徴とするパターン計測方法。
【請求項12】
前記断面形状計測過程において、前記第1のエッジ位置算出過程で算出された計測対象パターンのエッジ位置の算出結果と前記第2のエッジ位置算出過程で算出された反転した計測対象パターンのエッジ位置の算出結果とに計測対象パターンの表面からの深さに応じた重みをかけた加重平均により、前記計測対象パターンの3次元断面形状計測を行うことを特徴とする請求項11に記載のパターン計測方法。
【請求項13】
前記断面形状計測過程において、前記第1のエッジ位置算出過程で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置の算出結果と前記それぞれの焦点位置との関係及び前記第2のエッジ位置算出過程で算出されたそれぞれの焦点位置の電子画像内での反転した計測対象パターンのエッジ位置の算出結果と前記それぞれの焦点位置との関係の各々を1次式で近似し、該各々の近似式の傾きにより前記計測対象パターンのエッジ位置の算出結果及び前記反転した計測対象パターンのエッジ位置の算出結果の各々を補正する傾き補正過程を含むことを特徴とする請求項11に記載のパターン計測方法。
【請求項14】
前記断面形状計測過程において、前記第1のエッジ位置算出過程で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置の算出結果の平均値からの差分が、予め指定した許容値よりも大きいとき及び前記第2のエッジ位置算出過程で算出されたそれぞれの焦点位置の電子画像内での反転した計測対象パターンのエッジ位置の算出結果の平均値からの差分が、予め指定した許容値よりも大きいときには前記計測対象パターンの3次元断面形状計測結果を排除する排除過程を含むことを特徴とする請求項1に記載のパターン計測方法。
【請求項15】
更に、前記断面形状計測過程において計測された前記計測対象パターンの3次元断面形状計測結果をインタラクティブに操作可能な3次元グラフで表示する表示過程とを有することを特徴とする請求項1または11に記載のパターン計測方法。
【請求項16】
計測対象パターンの3次元断面形状計測を行う走査型透過荷電粒子顕微鏡であって、
収束荷電粒子線の走査照射位置を前記計測対象パターンの所望のx−y断面計測位置に合せて収束荷電粒子線の焦点位置を前記計測対象パターンのz方向に対して順次変化させ、それぞれの焦点位置での前記計測対象パターンの透過電子画像若しくは散乱電子画像を取得する電子画像取得部と、
該電子画像取得部において前記所望のx−y断面計測位置に合せたそれぞれの焦点位置で取得した透過電子画像若しくは散乱電子画像を処理して、該それぞれの焦点位置での電子画像内での計測対象パターンのエッジ位置を算出するエッジ位置算出部並びに該エッジ位置算出部で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置と前記電子画像取得部において電子画像を取得したそれぞれの焦点位置との組み合わせに基づいて、前記計測対象パターンの3次元断面形状計測を行う断面形状計測部とを有する画像処理部とを備えたことを特徴とする走査型透過荷電粒子顕微鏡。
【請求項17】
前記画像処理部の断面形状計測部は、前記計測対象パターンの3次元断面形状計測として所定のz断面におけるラインパターンの平均寸法、ライン幅ラフネス又はラインエッジラフネスを計測するように構成することを特徴とする請求項16に記載の走査型透過荷電粒子顕微鏡。
【請求項18】
前記電子画像取得部において、さらに、前記荷電粒子線のビーム開き角を、前記計測対象パターンの寸法変化量に基づいて決めるビーム開き角決定部を含むことを特徴とする請求項16に記載の走査型透過荷電粒子顕微鏡。
【請求項19】
前記画像処理部のエッジ位置算出部において、前記それぞれの焦点位置での電子画像内から得られた信号波形において、その傾きが最大となる座標を前記計測対象パターンのエッジ座標とするように構成することを特徴とする請求項16に記載の走査型透過荷電粒子顕微鏡。
【請求項20】
前記画像処理部のエッジ位置算出部において、前記それぞれの焦点位置での電子画像内から得られた信号波形において、該信号波形が画像取得条件に応じて設定したしきい値と一致する点を計測対象パターンのエッジ座標とするように構成することを特徴とする請求項16に記載の走査型透過荷電粒子顕微鏡。
【請求項21】
前記画像処理部の断面形状計測部において、前記エッジ位置算出部で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置の算出結果と前記それぞれの焦点位置との関係を1次式で近似し、該近似式の傾きにより前記それぞれの焦点位置での計測対象パターンのエッジ位置の算出結果を補正する傾き補正部を含むことを特徴とする請求項16に記載の走査型透過荷電粒子顕微鏡。
【請求項22】
計測対象パターンの3次元断面形状計測を行う走査型透過荷電粒子顕微鏡であって、
収束荷電粒子線の走査照射位置を前記計測対象パターンの所望のx−y断面計測位置に合せて前記収束荷電粒子線の焦点位置を前記計測対象パターンに対してz方向に順次変化させ、それぞれの焦点位置での前記計測対象パターンの第1の透過電子画像若しくは散乱電子画像を取得し、さらに、前記計測対象パターンを反転させ、収束荷電粒子線の走査照射位置を前記反転した計測対象パターンの所望のx−y断面計測位置に合せて前記収束荷電粒子線の焦点位置を前記反転した計測対象パターンに対してz方向に順次変化させ、それぞれの焦点位置での前記反転した計測対象パターンの第2の透過電子画像若しくは散乱電子画像を取得する電子画像取得部と、
該電子画像取得部において前記所望のx−y断面計測位置に合せたそれぞれの焦点位置で取得した第1の透過電子画像若しくは散乱電子画像を処理して、該それぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置を算出し、さらに、前記電子画像取得部において前記所望のx−y断面計測位置に合せたそれぞれの焦点位置で取得した第2の透過電子画像若しくは散乱電子画像を処理して、該それぞれの焦点位置での電子画像内の反転した計測対象パターンのエッジ位置を算出するエッジ位置算部、並びに該エッジ位置算出部で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置と前記それぞれの焦点位置との組み合わせ及び前記エッジ位置算出部で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の反転した計測対象パターンのエッジ位置と前記それぞれの焦点位置との組み合わせに基づいて、前記計測対象パターンの3次元断面形状計測を行う断面形状計測部とを有する画像処理部とを備えたことを特徴とする走査型透過荷電粒子顕微鏡。
【請求項23】
前記画像処理部の断面形状計測部において、前記エッジ位置算出部で算出された計測対象パターンのエッジ位置の算出結果と前記エッジ位置算出部で算出された反転した計測対象パターンのエッジ位置の算出結果とに計測対象パターンの表面からの深さに応じた重みをかけた加重平均により、前記計測対象パターンの3次元断面形状計測を行うように構成することを特徴とする請求項22に記載の走査型透過荷電粒子顕微鏡。
【請求項24】
さらに、前記電子画像取得部において前記計測対象パターンの透過電子画像若しくは散乱電子画像を取得するための前記計測対象パターンの長手方向の寸法及び前記順次変化させる焦点位置の間隔を含む画像取得条件と、前記画像処理部において計測対象パターンのエッジ位置を算出するための画像処理条件を入力して設定するグラフィカルユーザインターフェースを備えたことを特徴とする請求項16または22に記載の走査型透過荷電粒子顕微鏡。
【請求項25】
断面サンプル抽出位置のばらつきよりも広い範囲の計測を、比較される他の計測手法で予め行うことで第1の計測結果を得る第1の過程と、
前記請求項1乃至11の何れか一つに記載のパターン計測方法により3次元断面形状計測を行うことで第2の計測結果を得る第2の過程と、
前記第1の過程での第1の計測結果のうち、前記第2の過程での第2の計測結果と一致する領域のみの計測結果を用いて計測結果の比較を行う第3の過程とを有することを特徴とする計測装置間のキャリブレーション方法。
【請求項1】
走査型透過荷電粒子顕微鏡を用いて、計測対象パターンの3次元断面形状計測を行うパターンの計測方法であって、
収束荷電粒子線の走査照射位置を前記計測対象パターンの所望のx−y断面計測位置に合せて前記収束荷電粒子線の焦点位置を前記計測対象パターンのz方向に対して順次変化させ、それぞれの焦点位置での前記計測対象パターンの透過電子画像若しくは散乱電子画像を取得する電子画像取得過程と、
該電子画像取得過程において前記所望のx−y断面計測位置に合せたそれぞれの焦点位置で取得した透過電子画像若しくは散乱電子画像を処理して、該それぞれの焦点位置での電子画像内での計測対象パターンのエッジ位置を算出するエッジ位置算出過程と、
該エッジ位置算出過程で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置と前記電子画像取得過程において電子画像を取得したそれぞれの焦点位置との組み合わせに基づいて、前記計測対象パターンの3次元断面形状計測を行う断面形状計測過程とを有することを特徴とするパターン計測方法。
【請求項2】
前記計測対象パターンは、z方向にラインパターンで形成されていることを特徴とする請求項1に記載のパターン計測方法。
【請求項3】
前記計測対象パターンは、z方向に長さ2μm以上のラインパターンで形成され、
前記断面形状計測過程において、前記計測対象パターンの3次元断面形状計測として所定のz断面における前記ラインパターンの平均寸法、ライン幅ラフネス又はラインエッジラフネスを計測することを特徴とする請求項1に記載のパターン計測方法。
【請求項4】
前記計測対象パターンの周囲には保護膜などの固体が付着していないことを特徴とする請求項1に記載のパターン計測方法。
【請求項5】
前記電子画像取得過程において、前記走査型荷電粒子線顕微鏡における前記荷電粒子線の加速電圧が200keV以上であることを特徴とする請求項1に記載のパターン計測方法。
【請求項6】
前記電子画像取得過程において、さらに、前記走査型荷電粒子線顕微鏡における前記荷電粒子線のビーム開き角を、前記計測対象パターンの寸法変化量に基づいて決めるビーム開き角決定過程を含むことを特徴とする請求項1に記載のパターン計測方法。
【請求項7】
前記エッジ位置算出過程において、前記それぞれの焦点位置での電子画像内から得られた信号波形において、その傾きが最大となる座標を前記計測対象パターンのエッジ座標とすることを特徴とする請求項1に記載のパターン計測方法。
【請求項8】
前記エッジ位置算出過程において、前記それぞれの焦点位置での電子画像内から得られた信号波形において、該信号波形が画像取得条件に応じて設定したしきい値と一致する点を計測対象パターンのエッジ座標とすることを特徴とする請求項1に記載のパターン計測方法。
【請求項9】
前記断面形状計測過程において、前記エッジ位置算出過程で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置の算出結果と前記それぞれの焦点位置との関係を1次式で近似し、該近似式の傾きにより前記それぞれの焦点位置での計測対象パターンのエッジ位置の算出結果を補正する傾き補正過程を含むことを特徴とする請求項1に記載のパターン計測方法。
【請求項10】
前記断面形状計測過程において、前記エッジ位置算出過程で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置の算出結果の平均値からの差分が、予め指定した許容値よりも大きいときには前記計測対象パターンの3次元断面形状計測結果を排除する排除過程を含むことを特徴とする請求項1に記載のパターン計測方法。
【請求項11】
走査型荷電粒子線顕微鏡を用いて、計測対象パターンの3次元断面形状計測を行うパターンの計測方法であって、
収束荷電粒子線の走査照射位置を前記計測対象パターンの所望のx−y断面計測位置に合せて前記収束荷電粒子線の焦点位置を前記計測対象パターンに対してz方向に順次変化させ、それぞれの焦点位置での前記計測対象パターンの第1の透過電子画像若しくは散乱電子画像を取得する第1の電子画像取得過程と、
該第1の電子画像取得過程において前記所望のx−y断面計測位置に合せたそれぞれの焦点位置で取得した第1の透過電子画像若しくは散乱電子画像を処理して、該それぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置を算出する第1のエッジ位置算出過程と、
前記計測対象パターンを反転させ、収束荷電粒子線の走査照射位置を前記反転した計測対象パターンの所望のx−y断面計測位置に合せて前記収束荷電粒子線の焦点位置を前記反転した計測対象パターンに対してz方向に順次変化させ、それぞれの焦点位置での前記反転した計測対象パターンの第2の透過電子画像若しくは散乱電子画像を取得する第2の電子画像取得過程と、
該第2の電子画像取得過程において前記所望のx−y断面計測位置に合せたそれぞれの焦点位置で取得した第2の透過電子画像若しくは散乱電子画像を処理して、該それぞれの焦点位置での電子画像内の反転した計測対象パターンのエッジ位置を算出する第2のエッジ位置算出過程と、
前記第1のエッジ位置算出過程で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置と前記第1の電子画像取得過程において電子画像を取得したそれぞれの焦点位置との組み合わせ及び前記第2のエッジ位置算出過程で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の反転した計測対象パターンのエッジ位置と前記第2の電子画像取得過程において電子画像を取得したそれぞれの焦点位置との組み合わせに基づいて、前記計測対象パターンの3次元断面形状計測を行う断面形状計測過程とを有することを特徴とするパターン計測方法。
【請求項12】
前記断面形状計測過程において、前記第1のエッジ位置算出過程で算出された計測対象パターンのエッジ位置の算出結果と前記第2のエッジ位置算出過程で算出された反転した計測対象パターンのエッジ位置の算出結果とに計測対象パターンの表面からの深さに応じた重みをかけた加重平均により、前記計測対象パターンの3次元断面形状計測を行うことを特徴とする請求項11に記載のパターン計測方法。
【請求項13】
前記断面形状計測過程において、前記第1のエッジ位置算出過程で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置の算出結果と前記それぞれの焦点位置との関係及び前記第2のエッジ位置算出過程で算出されたそれぞれの焦点位置の電子画像内での反転した計測対象パターンのエッジ位置の算出結果と前記それぞれの焦点位置との関係の各々を1次式で近似し、該各々の近似式の傾きにより前記計測対象パターンのエッジ位置の算出結果及び前記反転した計測対象パターンのエッジ位置の算出結果の各々を補正する傾き補正過程を含むことを特徴とする請求項11に記載のパターン計測方法。
【請求項14】
前記断面形状計測過程において、前記第1のエッジ位置算出過程で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置の算出結果の平均値からの差分が、予め指定した許容値よりも大きいとき及び前記第2のエッジ位置算出過程で算出されたそれぞれの焦点位置の電子画像内での反転した計測対象パターンのエッジ位置の算出結果の平均値からの差分が、予め指定した許容値よりも大きいときには前記計測対象パターンの3次元断面形状計測結果を排除する排除過程を含むことを特徴とする請求項1に記載のパターン計測方法。
【請求項15】
更に、前記断面形状計測過程において計測された前記計測対象パターンの3次元断面形状計測結果をインタラクティブに操作可能な3次元グラフで表示する表示過程とを有することを特徴とする請求項1または11に記載のパターン計測方法。
【請求項16】
計測対象パターンの3次元断面形状計測を行う走査型透過荷電粒子顕微鏡であって、
収束荷電粒子線の走査照射位置を前記計測対象パターンの所望のx−y断面計測位置に合せて収束荷電粒子線の焦点位置を前記計測対象パターンのz方向に対して順次変化させ、それぞれの焦点位置での前記計測対象パターンの透過電子画像若しくは散乱電子画像を取得する電子画像取得部と、
該電子画像取得部において前記所望のx−y断面計測位置に合せたそれぞれの焦点位置で取得した透過電子画像若しくは散乱電子画像を処理して、該それぞれの焦点位置での電子画像内での計測対象パターンのエッジ位置を算出するエッジ位置算出部並びに該エッジ位置算出部で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置と前記電子画像取得部において電子画像を取得したそれぞれの焦点位置との組み合わせに基づいて、前記計測対象パターンの3次元断面形状計測を行う断面形状計測部とを有する画像処理部とを備えたことを特徴とする走査型透過荷電粒子顕微鏡。
【請求項17】
前記画像処理部の断面形状計測部は、前記計測対象パターンの3次元断面形状計測として所定のz断面におけるラインパターンの平均寸法、ライン幅ラフネス又はラインエッジラフネスを計測するように構成することを特徴とする請求項16に記載の走査型透過荷電粒子顕微鏡。
【請求項18】
前記電子画像取得部において、さらに、前記荷電粒子線のビーム開き角を、前記計測対象パターンの寸法変化量に基づいて決めるビーム開き角決定部を含むことを特徴とする請求項16に記載の走査型透過荷電粒子顕微鏡。
【請求項19】
前記画像処理部のエッジ位置算出部において、前記それぞれの焦点位置での電子画像内から得られた信号波形において、その傾きが最大となる座標を前記計測対象パターンのエッジ座標とするように構成することを特徴とする請求項16に記載の走査型透過荷電粒子顕微鏡。
【請求項20】
前記画像処理部のエッジ位置算出部において、前記それぞれの焦点位置での電子画像内から得られた信号波形において、該信号波形が画像取得条件に応じて設定したしきい値と一致する点を計測対象パターンのエッジ座標とするように構成することを特徴とする請求項16に記載の走査型透過荷電粒子顕微鏡。
【請求項21】
前記画像処理部の断面形状計測部において、前記エッジ位置算出部で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置の算出結果と前記それぞれの焦点位置との関係を1次式で近似し、該近似式の傾きにより前記それぞれの焦点位置での計測対象パターンのエッジ位置の算出結果を補正する傾き補正部を含むことを特徴とする請求項16に記載の走査型透過荷電粒子顕微鏡。
【請求項22】
計測対象パターンの3次元断面形状計測を行う走査型透過荷電粒子顕微鏡であって、
収束荷電粒子線の走査照射位置を前記計測対象パターンの所望のx−y断面計測位置に合せて前記収束荷電粒子線の焦点位置を前記計測対象パターンに対してz方向に順次変化させ、それぞれの焦点位置での前記計測対象パターンの第1の透過電子画像若しくは散乱電子画像を取得し、さらに、前記計測対象パターンを反転させ、収束荷電粒子線の走査照射位置を前記反転した計測対象パターンの所望のx−y断面計測位置に合せて前記収束荷電粒子線の焦点位置を前記反転した計測対象パターンに対してz方向に順次変化させ、それぞれの焦点位置での前記反転した計測対象パターンの第2の透過電子画像若しくは散乱電子画像を取得する電子画像取得部と、
該電子画像取得部において前記所望のx−y断面計測位置に合せたそれぞれの焦点位置で取得した第1の透過電子画像若しくは散乱電子画像を処理して、該それぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置を算出し、さらに、前記電子画像取得部において前記所望のx−y断面計測位置に合せたそれぞれの焦点位置で取得した第2の透過電子画像若しくは散乱電子画像を処理して、該それぞれの焦点位置での電子画像内の反転した計測対象パターンのエッジ位置を算出するエッジ位置算部、並びに該エッジ位置算出部で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の計測対象パターンのエッジ位置と前記それぞれの焦点位置との組み合わせ及び前記エッジ位置算出部で算出されたそれぞれの焦点位置での電子画像内の反転した計測対象パターンのエッジ位置と前記それぞれの焦点位置との組み合わせに基づいて、前記計測対象パターンの3次元断面形状計測を行う断面形状計測部とを有する画像処理部とを備えたことを特徴とする走査型透過荷電粒子顕微鏡。
【請求項23】
前記画像処理部の断面形状計測部において、前記エッジ位置算出部で算出された計測対象パターンのエッジ位置の算出結果と前記エッジ位置算出部で算出された反転した計測対象パターンのエッジ位置の算出結果とに計測対象パターンの表面からの深さに応じた重みをかけた加重平均により、前記計測対象パターンの3次元断面形状計測を行うように構成することを特徴とする請求項22に記載の走査型透過荷電粒子顕微鏡。
【請求項24】
さらに、前記電子画像取得部において前記計測対象パターンの透過電子画像若しくは散乱電子画像を取得するための前記計測対象パターンの長手方向の寸法及び前記順次変化させる焦点位置の間隔を含む画像取得条件と、前記画像処理部において計測対象パターンのエッジ位置を算出するための画像処理条件を入力して設定するグラフィカルユーザインターフェースを備えたことを特徴とする請求項16または22に記載の走査型透過荷電粒子顕微鏡。
【請求項25】
断面サンプル抽出位置のばらつきよりも広い範囲の計測を、比較される他の計測手法で予め行うことで第1の計測結果を得る第1の過程と、
前記請求項1乃至11の何れか一つに記載のパターン計測方法により3次元断面形状計測を行うことで第2の計測結果を得る第2の過程と、
前記第1の過程での第1の計測結果のうち、前記第2の過程での第2の計測結果と一致する領域のみの計測結果を用いて計測結果の比較を行う第3の過程とを有することを特徴とする計測装置間のキャリブレーション方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2008−139085(P2008−139085A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−323759(P2006−323759)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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