説明

パターン形成方法、パターン形成装置

【課題】パターン形成材料を含む塗布液を基板表面に塗布するにあたって、塗布液の端を正確に規定することを可能とする。
【解決手段】先端EDを塗布範囲Rpに向けた状態において、塗布範囲Rp側に向けてマスク辺部SDの先端EDにまで下るスロープSLを有しており、マスク辺部SDと基板W表面の段差が小さく抑えられている。そのため、塗布液と基板W表面の間に隙間が生じたとしても、その隙間は小さいものに抑えることができる。よって、基板W表面からマスクMK(マスク辺部SD)を取り外した際の塗布液の切断位置を安定させて、基板W表面における塗布液の端の位置を正確に規定することが可能になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板表面に塗布液を塗布して所定のパターンを形成するパターン形成技術に関するものであり、例えば、光電変換面を有する基板に配線パターンを形成して光電変換デバイスを製造する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池のような光変換デバイスでは、光を受光して電荷を発生する光電変換面を有する基板に、発生した電荷を集める集電電極が設けられる。例えば、特許文献1に記載の太陽電池では、太陽電池基板の受光面に、フィンガー電極と称される多数の細い電極パターンと、これらを横断するバス電極と称される幅広の電極パターンとを組み合わせて、集電電極が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−353851号公報
【特許文献2】特開2001−232269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなパターンを基板表面に効率よく形成するために、パターン形成材料を含む塗布液を公知の塗布技術を用いて基板表面に塗布することが考えられる。例えば、特許文献2には、このような塗布技術として、塗布液を吐出するノズルを用いたものが記載されている。詳述すると、基板表面の上方には塗布液を吐出するノズルが設けられており、このノズルが基板表面に向けて塗布液を吐出しながら基板表面に対して相対移動することで、基板表面に塗布液がライン状に塗布される。
【0005】
また、この塗布技術では、基板表面のうち所定の塗布範囲にのみ塗布液を塗るために、マスクが用いられている。このマスクには塗布範囲に対応して開口が形成されており、上方から基板表面にマスクが重なり合うことで、塗布範囲の両外側の基板表面がマスクによって覆われる。この状態において、塗布液を吐出するノズルが、塗布範囲の一方外側にあるマスク表面の上方から塗布範囲の他方外側にあるマスク表面の上方にまで、基板表面に対して相対移動する。これにより、塗布領域の一方外側のマスク表面から始まって、基板表面を通過し、塗布領域の他方外側のマスク表面に至るように、塗布液が塗布される。続いて、基板表面からマスクが取り外されると、マスク表面の塗布液と基板表面の塗布液がマスクと基板表面の境界で切り離されて、基板表面では塗布範囲にのみ塗布液が残ることとなる。
【0006】
このように、マスクは、基板表面に塗布される塗布液の両端の位置を規定する役割を果たしており、これにより基板表面の塗布範囲にのみ塗布液を塗布することが可能となっている。しかしながら、パターン形成材料を含む塗布液を用いた場合には、塗布液の粘性が高いため、マスクによって塗布液の両端位置を正確に規定することが困難であった。つまり、これらマスク表面と基板表面の間にはマスクの厚みに相当する段差が生じるが、塗布液の粘性が高いと、マスク表面と基板表面を跨いで塗布される塗布液がこの段差の形状になじまないことがあった。特に、マスク表面と基板表面の段差が大きいと、この段差付近で塗布液と基板表面の間に大きな隙間が生じてしまい、その結果、基板表面からマスクを取り外した際に塗布液の切断位置が一定せず、基板表面における塗布液の端の位置を正確に規定できない場合があった。
【0007】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、パターン形成材料を含む塗布液を基板表面に塗布するにあたって、塗布液の端を正確に規定することを可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明にかかるパターン形成方法は、パターンを形成するための材料を含む塗布液を開口部から吐出するノズルを基板の表面に対して相対移動させて、基板表面の所定の塗布範囲に塗布液を塗布するパターン形成方法であって、上記目的を達成するために、その先端を塗布範囲に向けた状態で規定部材を基板表面に配置して、規定部材によって基板の塗布範囲の外側を上方から覆う第1の工程と、ノズルの開口部から塗布液を吐出させながら、規定部材表面の上方と基板表面の上方の間でノズルの開口部を基板表面に対して相対移動させて、規定部材表面および基板表面を跨いで塗布液を塗布する第2の工程と、塗布液が塗布された規定部材および基板表面を互いに離間させる第3の工程と、を備え、規定部材は、先端を塗布範囲に向けた状態において、塗布範囲側に向けて当該規定部材の先端にまで下る傾斜部を有していることを特徴としている。
【0009】
また、この発明にかかるパターン形成装置は、パターンを形成するための材料を含む塗布液を開口部から吐出するノズルを基板の表面に対して相対移動させて、基板表面の所定の塗布範囲に塗布液を塗布するパターン形成装置であって、上記目的を達成するために、その先端を塗布範囲に向けた状態で基板表面に配置され、基板表面の塗布範囲の外側を上方から覆う規定部材と、ノズルの開口部から塗布液を吐出させながら、規定部材表面の上方と基板表面の上方の間でノズルの開口部を基板表面に対して相対移動させて、規定部材表面および基板表面を跨いで塗布液を塗布する塗布手段と、塗布液が塗布された規定部材および基板表面を互いに離間させる離間手段と、を備え、規定部材は、先端を塗布範囲に向けた状態において、塗布範囲側に向けて当該規定部材の先端にまで下る傾斜部を有していることを特徴としている。
【0010】
このように構成された発明(パターン形成方法、パターン形成装置)では、規定部材がその先端を塗布範囲に向けた状態で基板表面に配置されて、基板表面の塗布範囲の外側を上方から覆う。この状態において、規定部材表面の上方と基板表面の上方の間でノズルの開口部が基板表面に対して相対移動することで、規定部材表面および基板表面を跨いで塗布液が塗布される。上述したとおり、従来の方法によると、規定部材表面と基板表面の段差が大きいために、この段差付近で塗布液と基板表面の間に大きな隙間が生じてしまう場合があった。これに対して、本発明の規定部材は、先端を塗布範囲に向けた状態において、塗布範囲側に向けて当該規定部材の先端にまで下る傾斜部を有しており、規定部材表面と基板表面の段差が小さく抑えられている。そのため、塗布液と基板表面の間に隙間が生じたとしても、その隙間は小さいものに抑えることができる。よって、基板表面から規定部材を取り外した際の塗布液の切断位置を安定させて、基板表面における塗布液の端の位置を正確に規定することが可能になっている。
【0011】
このとき、基板に規定部材を配置した状態において、規定部材の先端の基板表面からの高さが基板表面に塗布される塗布液の厚み未満となるように、傾斜部を形成すると良い。このような構成では、規定部材表面と基板表面の段差の高さが、基板表面に塗布される塗布液の厚み未満となる。そのため、上述したような塗布液と基板表面の間の隙間はほとんど生じないか、あるいは無視できる程度の大きさに抑えられる。よって、基板表面からマスクを取り外した際の塗布液の切断位置をより安定させて、基板表面における塗布液の端の位置を極めて正確に規定することが可能になる。
【0012】
ところで、上述のように、ノズルを用いた方法で塗布される塗布液の厚みや幅は、塗布液の塗布対象(基板表面、規定部材表面)からノズルの開口部までの高さに依存する。一方、この発明では、規定部材の先端に傾斜部が設けられている。したがって、ノズルの開口部の高さを特に調整しなければ、基板表面から規定部材の傾斜部表面にかけて、塗布対象からノズルの開口部までの高さが変化することとなる。そのため、傾斜部表面に塗布された塗布液が太るなどして、傾斜部に隣接する基板表面の塗布液の厚みや幅に影響し、その結果、規定部材を取り外した後の基板表面における塗布液の端の形状が安定しないことが考えられる。
【0013】
そこで、前記第2の工程では、傾斜部表面の上方で基板表面に対して相対移動するノズルの開口部の傾斜部表面からの高さを一定の高さhrに保つとともに、基板表面の上方で基板表面に対して相対移動するノズルの開口部の基板表面からの高さを一定の高さhrに保つように構成しても良い。これにより、基板表面から規定部材の傾斜部表面にかけて、塗布対象からノズルの開口部までの高さを一定に保って、傾斜部表面での塗布液の太り等を抑えることができる。その結果、規定部材を取り外した後の基板表面における塗布液の端の形状を安定させることが可能になる。
【0014】
なお、基板表面に塗布される塗布液は始端と終端を有するが、塗布液の始端位置の規定に本発明を適用する場合には、第2工程では、規定部材表面の上方から基板表面の上方までノズルの開口部を基板表面に対して相対移動させて、規定部材表面から基板表面まで塗布液を塗布するように構成すれば良い。
【0015】
このとき、第2の工程では、基板表面に塗布液を塗布している間は一定の相対速度Vrでノズルの開口部を基板表面に対して相対移動させる一方、規定部材表面に塗布液を塗布している間に相対速度Vrにまでノズルの開口部を基板表面に対して加速するように構成しても良い。このような構成では、基板表面に対するノズルの開口部の加速を、規定部材表面に塗布液を塗布している間に終えており、基板表面への塗布液の塗布を、安定した相対速度Vrで開始することができる。その結果、基板表面に塗布される塗布液の幅や厚みを安定させることが可能となっている。
【0016】
また、基板表面に塗布される塗布液の終端位置の規定に本発明を適用する場合には、第2工程では、基板表面の上方から規定部材表面の上方までノズルの開口部を基板表面に対して相対移動させて、基板表面から規定部材表面まで塗布液を塗布するように構成すれば良い。
【0017】
このとき、第2の工程では、基板表面に塗布液を塗布している間は一定の相対速度Vrでノズルの開口部を基板表面に対して相対移動させる一方、規定部材表面に塗布液を塗布している間に相対速度Vrから相対速度ゼロにまでノズルの開口部を基板表面に対して減速するように構成しても良い。このような構成では、基板表面に対するノズルの開口部の減速を、規定部材表面に塗布液を塗布している間に行うため、基板表面への塗布液の塗布を、安定した相対速度Vrのまま終了することができる。その結果、基板表面に塗布される塗布液の幅や厚みを安定させることが可能となっている。
【0018】
ところで、基板表面に塗布された塗布液をパターンとして固形化するために、この塗布液を硬化させることが考えられる。このとき、塗布液の硬化タイミングとしては、種々のものが取りうる。したがって、第3の工程で規定部材および基板表面を互いに離間させる前に、規定部材および基板表面に塗布された塗布液を硬化させるように構成しても良く、あるいは、第3の工程で規定部材および基板表面を互いに離間させた後に、基板表面に塗布された塗布液を硬化させるように構成しても良い。
【発明の効果】
【0019】
基板表面からマスクを取り外した際の塗布液の切断位置を安定させて、基板表面における塗布液の端の位置を正確に規定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明にかかるパターン形成装置の一実施形態を示す図である。
【図2】図1の装置の電気的構成を示す図である。
【図3】この発明にかかる光電変換デバイスの一実施形態を示す図である。
【図4】基板と当該基板に載置されたマスクの部分斜視図である。
【図5】基板と当該基板に載置されたマスクの部分断面図である。
【図6】基板への塗布液の塗布動作を示す図である。
【図7】本発明の効果の説明図である。
【図8】スロープの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1はこの発明にかかるパターン形成装置の一実施形態を示す図である。また、図2はこの装置の電気的構成を示す図である。このパターン形成装置1は、例えば表面に光電変換層を形成された単結晶シリコンウエハなどの基板W上に導電性を有する電極配線パターンを形成し、例えば太陽電池として利用される光電変換デバイスを製造する装置である。この装置1は、例えば光電変換デバイスの光入射面に集電電極パターンを形成するという用途に好適に使用することができる。
【0022】
このパターン形成装置1では、基台11上にステージ移動機構2が設けられ、基板Wを保持するステージ3がステージ移動機構2により図1に示すX−Y平面内で移動可能となっている。基台11にはステージ3を跨ぐようにして2組のフレーム121,122が固定され、フレーム121には第1ヘッド部5、フレーム122には第2ヘッド部7がそれぞれ取り付けられる。第2ヘッド部7は、第1ヘッド部5に対してX方向に離隔配置されており、両者の間隔は基板WのX方向長さより広く設定される。
【0023】
ステージ移動機構2は、下段からステージ3をX方向に移動させるX方向移動機構21、Y方向に移動させるY方向移動機構22、および、Z方向を向く軸を中心に回転させるθ回転機構23を有する。X方向移動機構21は、モータ211にボールねじ212が接続され、さらに、Y方向移動機構22に固定されたナット213がボールねじ212に取り付けられた構造となっている。ボールねじ212の上方にはガイドレール214が固定され、モータ211が回転すると、ナット213とともにY方向移動機構22がガイドレール214に沿ってX方向に滑らかに移動する。
【0024】
Y方向移動機構22もモータ221、ボールねじ機構およびガイドレール224を有し、モータ221が回転するとボールねじ機構によりθ回転機構23がガイドレール224に沿ってY方向に移動する。θ回転機構23はモータ231によりステージ3をZ方向を向く軸を中心に回転させる。以上の構成により、第1および第2ヘッド部5,7の基板Wに対する相対的な移動方向および向きが変更可能とされる。ステージ移動機構2の各モータは、装置各部の動作を制御する制御部6により制御される。
【0025】
さらに、θ回転機構23とステージ3との間には、ステージ昇降機構24が設けられている。ステージ昇降機構24は、制御部6からの制御指令に応じてステージ3を昇降させ、基板Wを指定された高さ(Z方向位置)に位置決めする。ステージ昇降機構24としては、例えばソレノイドや圧電素子などのアクチュエータによるもの、ギヤによるもの、楔の噛み合わせによるものなどを用いることができる。
【0026】
第1ヘッド部5のベース51には、内部空間に液状の塗布液を貯留するとともに該塗布液を基板W上に吐出するシリンジポンプ52、および、基板Wに向けてUV光(紫外線)を照射する光照射部53が取り付けられている。シリンジポンプ52の構造については後に詳しく説明する。
【0027】
光照射部53は、光ファイバ531を介して紫外線を発生する光源ユニット532に接続される。図示を省略しているが、光源ユニット532はその光出射部に開閉自在のシャッターを有しており、その開閉および開度によって出射光のオン・オフおよび光量を制御することができる。光源ユニット532は制御部6により制御されている。
【0028】
また、光照射部53を挟んでシリンジポンプ52と反対側に、高さ検出センサ54が設けられている。高さ検出センサ54は、例えば光または超音波を下向きに出射し、反射してくる光または超音波を検出して、基板W上面の高さおよび基板W上に形成された構造物の基板W上面からの高さを検出する。高さ検出センサ54の出力信号は制御部6に入力されている。
【0029】
シリンジポンプ52の筐体521の内部は、上端が上方に向かって開口し、下端が筐体521の下面に設けられた吐出ノズル523に連通する空洞となっている。また、該空洞の上端の開口部からは、制御部6からの制御指令に応じて上下動するプランジャ524が挿入されている。こうして筐体521の内壁とプランジャ524とで形成される筐体521の内部空間に、塗布液が貯留されており、制御部6からの制御指令によってプランジャ524が押し下げられると、内部空間に連通する吐出ノズル523の下端で下向きに開口する吐出口525から塗布液が連続的に吐出される。すなわち、このパターン形成装置1は、ノズルディスペンス法を採用した塗布装置である。
【0030】
なお、塗布液としては、導電性ペースト、すなわち導電性および光硬化性を有し、例えば導電性粒子、有機ビヒクル(溶剤、樹脂、増粘剤等の混合物)および光重合開始剤を含むペースト状の混合液を用いることができる。導電性粒子は電極の材料たる例えば銀粉末であり、有機ビヒクルは樹脂材料としてのエチルセルロースと有機溶剤を含む。また、塗布液の粘度は、光照射による硬化処理を実行する前において例えば50Pa・s(パスカル秒)以下で、硬化処理を実行した後は350Pa・s以上になることが好ましい。
【0031】
このシリンジポンプ52の下面には、Y方向に所定の距離(例えば50mm)だけ離隔した2つの吐出ノズル523が設けられている。各吐出ノズル523の吐出口525の開口形状はY方向に長い矩形であり、X方向の開口が例えば20μm、Y方向の開口はこれより大きく例えば2mmである。後述するように、このパターン形成装置1では、ステージ3に載置した基板WをX方向に移動させながら吐出口525から塗布液を吐出させるので、上記形状を有する吐出口525から吐出される塗布液は、基板W上に比較的幅広く、かつ薄く塗布されることになる。
【0032】
続いて、第2ヘッド部7の構造について説明する。上記した第1ヘッド部5と同様に、第2ヘッド部7には、ベース71、シリンジポンプ72、光照射部73が設けられている。また、光照射部73には光ファイバ731および光源ユニット732が接続されている。これらの各構成の機能は、第1ヘッド部5まわりに設けられた対応する各構成のものと基本的に同じである。ただし、第2ヘッド7には高さ検出センサは設けられず、また、以下に説明するように、シリンジポンプ72の下端に設けられた吐出ノズル723の構造が第1ヘッド部5とは相違している。
【0033】
第2ヘッド部7における吐出ノズル723は、シリンジポンプ筐体721の下面にY方向に等間隔に離隔して多数(例えば16個)設けられている。また、各吐出ノズル723先端の開口部725の形状はY方向に長い矩形であり、X方向の開口が約100μm、Y方向の開口が約50μmである。すなわち、X方向の開口は第1ヘッド部5の吐出ノズル523の吐出口525よりも大きく、Y方向の開口は第1ヘッド部5の吐出ノズル523の吐出口525よりも小さい。さらに、各吐出ノズル723の吐出口725の開口方向は真下(−Z方向)ではなく、吐出口725を含む面の法線方向は、(−Z)方向からX方向に傾いている。このように構成されたシリンジポンプ72では、上記形状を有する吐出口725から吐出される塗布液は、基板W上に狭い幅で高く塗布されることになる。
【0034】
図3はこの発明にかかる光電変換デバイスの一実施形態を示す図である。この太陽電池モジュールMは、太陽電池用基板の光電変換面を覆うように反射防止膜が形成されてなる基板Wの表面(光電変換面および反射防止膜が設けられた面)に導電性ペーストを塗布することにより、幅が細く高さのある多数のフィンガー配線パターンFと、これらを横断するように設けられたより幅広で高さの低いバス配線パターンBとを設けた構造を有している。フィンガー配線パターンFとバス配線パターンBとはその交点において電気的に接続されている。以下では、フィンガー配線パターンFの延設方向を符号Df、バス配線パターンBの延設方向を符号Dbで表し、これらが直交しているものとするが、他の角度を持って交わるものであってもよい。
【0035】
各部の寸法については、例えばフィンガー配線パターンFの幅および高さが50μm程度、バス配線パターンBの幅が1.8mmないし2.0mm、高さが50μmないし70μmとすることができるが、これらの数値に限定されるものではない。
【0036】
光入射によって光電変換面へ発生した電荷は、基板上に多数形成されたフィンガー配線パターンFによって捕捉され、さらにバス配線パターンBに集められて外部に取り出される。いずれの電極パターンも電気抵抗が低いことが求められるが、基板表面に多数形成されるフィンガー配線パターンFについては入射光の遮蔽を抑えるべく幅を小さくする必要があり、その分高さが必要となる。すなわち、フィンガー配線パターンFとしては高アスペクト比のパターンが求められる。一方、数の少ないバス配線パターンBについては入射光の遮蔽の問題よりも低抵抗化がより求められ、より幅広のパターンが求められる。
【0037】
続いて、図1および図2で示したパターン形成装置によって、図3に示した光変換デバイスを製造するフローについて説明する。まずは、光電変換面に反射防止膜を形成した基板Wがパターン形成装置1に搬入される。こうして搬入された基板Wは、初期位置(図1に示す位置)に位置決めされたステージ3に載置される。さらに、この基板W表面には、上方(Z方向)からマスクMKが載置される(マスク載置工程)。
【0038】
図4は、基板と当該基板に載置されたマスクの部分斜視図である。図5は、基板と当該基板に載置されたマスクの部分断面図である。マスクMKは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で製造されており、平面視において略正方形状を有している。また、マスクMK周縁の内側には、略正方形状の開口Amが形成されている。この開口Amは、配線パターンB、Fの形成のために基板W表面に塗布される塗布液の塗布範囲Rp(図5)に対応して形成されている。また、マスクMKの周縁を構成する4つのマスク辺部SDそれぞれの内側には、スロープSLが形成されている。つまり、図5に示すように各マスク辺部SDには、開口Amに向けてマスク辺部SDの内端EDにまで下る、角度θ(=45°)のスロープSLが形成されている。なお、図5ではX方向の断面が示されているが、Y方向断面においてもマスクMKは同様の構成を具備している。
【0039】
そして、マスク載置工程では、4つのマスク辺部SDそれぞれの内端EDを塗布範囲Rpに向けつつ、マスクMKが基板W表面に載置されて位置決めされる(図4、図5)。これによって、基板W表面の塗布範囲Rpの外側が4つのマスク辺部SDによって上方(Z方向)から覆われるとともに、塗布範囲Rp側に向けてマスク辺部SDの内端EDにまで下るスロープSLが塗布範囲Rpに隣接することとなる。特に本実施形態では、マスクMKが基板W表面に載置された状態において、スロープSLの下端の高さと基板W表面の高さが一致しており、スロープSL表面と基板W表面とが連続する。なお、図5に示すように、マスクMKの底面には、基板Wの厚みと略等しい深さを有する凹部が形成されており、基板W表面にマスクMKを載置した状態において、基板WはマスクMKの凹部内に位置する。
【0040】
こうして、ステージ3上の基板W表面に対してマスクMKの載置・位置決めが完了すると、ステージ3がX方向に移動を開始する。そして、ステージ3の移動に応じて第1ヘッド部5のシリンジポンプ52が適宜動作して、吐出ノズル523の開口部525から吐出する塗布液を基板Wに塗布し、バス配線パターンBを形成する(塗布工程)。
【0041】
図6は、基板への塗布液の塗布動作を示す図である。図6の最上段は、基板Wおよび基板W表面に配置されたマスクMKに対して相対移動する吐出ノズル523の様子を示しており、吐出ノズル523の開口部525の軌跡が一点鎖線を示している。同図の上から二段目は、基板W表面から吐出ノズル523の開口部525の高さを表している。同図の上から三段目は、光源ユニット632からの紫外線照射を行なうタイミングをあらわしている。同図の最下段は、基板W表面に対する吐出ノズル523の開口部525の速度を表している。
【0042】
まず、吐出ノズル523の開口部525から塗布液が吐出されていない状態で、ステージ3がX方向に移動する。これにより、吐出ノズル523の開口部525が基板W表面に対してX方向負側に移動して、図6右側にあるマスク辺部SDに形成されたスロープSLの上端の位置Ds(の上方)に位置する。この位置Dsに位置するまでの間、基板W表面から吐出ノズル523の開口部525までの高さ(ノズル開口部の高さ)は、ステージ昇降機構24によって、比較的高い高さh1に調整される。
【0043】
吐出ノズル523の開口部525が位置Dsに位置すると、ステージ3は移動を停止する一方、基板W表面から吐出ノズル523の開口部525までの高さは、ステージ昇降機構24によって高さh1よりも低い高さh2(<h1)に調整される。これによって、スロープSL表面から吐出ノズル523の開口部525までの高さが塗布高さhrに調整される。
【0044】
この高さ調整が完了すると、吐出ノズル523は塗布液の吐出を開始するとともに、ステージ3はX方向に移動を開始する。これによって、吐出ノズル523の開口部525が塗布液を吐出しながら基板W表面に対してX方向負側に移動して、図6右側にあるマスク辺部SDの内端EDの位置As(の上方)を通過する。こうして、図6右側にあるマスク辺部SDに形成されたスロープSLに塗布液が塗布される。
【0045】
また、吐出ノズル523の開口部が位置Dsの上方から位置Asの上方まで(スロープSL表面の上方)を移動するのに並行して、ステージ3の加速・昇降制御が実行される。つまり、吐出ノズル523の開口部525が位置Asに到るまでの間に、吐出ノズル523の開口部525と基板W表面の相対速度が塗布速度Vrとなるように、ステージ3はX方向に加速する。また、ステージ3のX方向への移動に連動して、ステージ昇降機構24がステージ3を上昇させることで、吐出ノズル523の開口部525が位置Asに到るまでの間、スロープSL表面から吐出ノズル523の開口部525までの高さが塗布高さhrに維持される。こうして、吐出ノズル523の開口部525は、スロープSL表面に対して平行に移動し、スロープSLの下端において基板W表面からの高さが塗布高さhrとなる位置に到る。
【0046】
吐出ノズル523の開口部525がマスク辺部SDの内端EDの位置As(の上方)を通過した後は、ステージ3はX方向に一定速度で移動する。これによって、吐出ノズル523の開口部525は塗布液を吐出しながら、基板W表面に対してX方向負側に塗布速度Vrで移動して、図6左側にあるマスク辺部SDの内端EDの位置Ae(の上方)に到る。こうして、基板W表面の塗布範囲Rpに塗布液が塗布される。また、吐出ノズル523の開口部525が位置Asの上方から位置Aeの上方まで(基板W表面の塗布領域Rpの上方)を移動する間、基板W表面から吐出ノズル523の開口部525までの高さは塗布高さhrに維持される。
【0047】
吐出ノズル523の開口部525がマスク辺部SDの内端EDの位置Ae(の上方)をX方向の負側に向けて通過した後は、ステージ昇降機構24は、X方向に移動するステージ3を徐々に下降させて、スロープSL表面から吐出ノズル523の開口部525までの高さを塗布高さhrに維持する。これによって、吐出ノズル523の開口部525は、スロープSL表面からの高さを一定(塗布高さhr)に保ちながら、基板W表面に対してX方向負側に移動して、スロープSLの上端の位置De(の上方)に到る。さらに、スロープSLの上端の位置Deに到ったタイミングで、吐出ノズル523は塗布液の吐出を停止する。こうして、スロープSL表面に塗布液が塗布される。
【0048】
このとき、吐出ノズル523の開口部が位置Aeの上方から位置Deの上方まで(スロープSL表面の上方)を移動するのに並行して、ステージ3の減速制御が実行される。つまり、吐出ノズル523の開口部525が位置Deに到るまでの間に、吐出ノズル523の開口部525と基板W表面の相対速度が塗布速度Vrからゼロとなるように、ステージ3はX方向に減速する。こうして、吐出ノズル523の開口部は、スロープSLの上端の位置De(の上方)で停止する。ちなみに、スロープSLの上端の位置Deにおける吐出ノズル523の開口部525の基板W表面からの高さは、高さh2となる。
【0049】
こうして、スロープSLの上端の位置Deで停止した後に、吐出ノズル523の開口部525の基板W表面からの高さは、ステージ昇降機構24によって高さh1(>h2)に調整される。そして、この高さ調整の後に、ステージ3がX方向に移動して、吐出ノズル523の開口部525は、基板W表面に対してX方向の負側に移動する。
【0050】
こうして、図6右側のスロープSL表面から、基板W表面の塗布範囲Rpを経由して、図6左側のスロープSL表面にまで、塗布液が塗布される。また、図6に示すように、吐出ノズル523の開口部525が、図6右側のスロープSLの上端の位置Dsから図6左側のスロープSLの上端の位置Deに到るまでの間、塗布液に照射されている。したがって、塗布された塗布液は紫外線によって直ちに硬化する。
【0051】
以上の動作は、第1ヘッド5が備える2つの吐出ノズル523が同時に行う。これによって、図6右側のスロープSL表面から、基板W表面の塗布範囲Rpを経由して、図6左側のスロープSL表面にまで、2本のバスパターン配線が同時に形成される。
【0052】
続いて、バス配線パターンBが形成された基板WおよびマスクMKを載置するステージ3が90度回動する。これにより、バス配線パターンBの延設方向DbはY方向となる。そして、ステージ3がX方向に移動して、バス配線パターンが形成された基板WおよびマスクMKを、第2ヘッド部7の作業位置に位置決めする。
【0053】
この位置決めが完了すると、ステージ3がX方向に移動を開始する。そして、ステージ3の移動に応じて第2ヘッド部7のシリンジポンプ72が適宜動作して、吐出ノズル723の開口部725から吐出する塗布液を基板Wに塗布し、フィンガー配線パターンFを形成する(塗布工程)。
【0054】
この第2ヘッド部7によるフィンガー配線パターンFの形成動作は、図6等を用いて説明した、第1ヘッド部5によるバス配線パターンBの形成動作と同様である。ただし、第2ヘッド部7では、16個の吐出ノズル723が同時にフィンガー配線パターンFを形成する。これにより、16本のフィンガー配線パターンFが、一方のスロープSL表面から、基板W表面の塗布範囲Rpを経由して、他方のスロープSL表面にまで形成される。
【0055】
こうして、2本のバス配線パターンBと、これらに交差する16本のフィンガー配線パターンFが、基板W表面およびマスクMKに形成される。この状態で、不図示の離間機構によって、基板W表面とマスクMKとが互いに引き離されて(マスク離間工程)、基板W表面では塗布範囲Rpにのみ配線パターンB、Fが形成されることとなる。
【0056】
以上のように、この実施形態では、マスク辺部SDがその内端ED(先端)を塗布範囲Rpに向けた状態で基板W表面に配置されて、基板W表面の塗布範囲Rpの外側を上方から覆う。この状態において、マスク辺部SD表面の上方と基板W表面の上方の間で吐出ノズル523の開口部525が基板W表面に対して相対移動することで、マスク辺部SDおよび基板W表面を跨いで塗布液が塗布される。上述したとおり、従来の方法によると、マスクMK表面と基板W表面の段差が大きいために、この段差付近で塗布液ALと基板W表面の間に大きな隙間CLが生じてしまう場合があった(図7の「比較形態」)。ここで、図7は、本発明の効果の説明図である。
【0057】
これに対して、本実施形態のマスク辺部SDは、内端ED(先端)を塗布範囲Rpに向けた状態において、塗布範囲Rp側に向けて当該マスク辺部SDの内端ED(先端)にまで下るスロープSLを有しており、マスク辺部SD表面と基板W表面の段差が小さく抑えられている。特に、本実施形態では、スロープSLの下端の高さと基板W表面の高さが一致しており、かかる段差は略ゼロである。そのため、塗布液と基板W表面の間に隙間の発生を抑制することができる(図7の「実施形態」)。よって、基板W表面からマスクMK(マスク辺部SD)を取り外した際の塗布液ALの切断位置を安定させて、基板W表面における塗布液ALの端の位置を正確に規定することが可能になっている。
【0058】
ところで、上述のように、吐出ノズル523、723を用いた方法で塗布される塗布液の厚みや幅は、塗布液の塗布対象(基板W表面、マスクMK表面)から吐出ノズル523、723の開口部525、725までの高さに依存する。一方、この実施形態では、マスク辺部SDの内端ED(先端)にスロープSLが設けられている。したがって、吐出ノズル523、723の開口部525、725の高さを特に調整しなければ、基板W表面からマスク辺部SDのスロープSL表面にかけて、塗布対象から吐出ノズル523、723の開口部525、725までの高さが変化することとなる。そのため、スロープSL表面に塗布された塗布液が太るなどして、スロープSLに隣接する基板W表面の塗布液の厚みや幅に影響し、その結果、マスクMKを取り外した後の基板W表面における塗布液の端の形状が安定しないことが考えられる。
【0059】
これに対して、本実施形態の塗布工程では、スロープSL表面の上方で基板W表面に対して相対移動する吐出ノズル523、723の開口部525、725のスロープSL表面からの高さを一定の高さhrに保つとともに、基板W表面の上方で基板W表面に対して相対移動する吐出ノズル523、723の開口部525、725の基板W表面からの高さを一定の高さhrに保つように構成している。これにより、基板W表面からマスク辺部SDのスロープSL表面にかけて、塗布対象から吐出ノズル523、723の開口部525、725までの高さを一定に保って、スロープSL表面での塗布液の太り等を抑えることができる。その結果、マスクMKを取り外した後の基板W表面における塗布液の端の形状を安定させることが可能になっている。
【0060】
また、上記実施形態の塗布工程では、基板W表面に塗布液を塗布している間は一定の相対速度Vrで吐出ノズル523、723の開口部525、725を基板W表面に対して相対移動させる一方、マスク辺部SDのスロープSL表面に塗布液を塗布している間に相対速度Vrにまで吐出ノズル523、723の開口部525、725を基板W表面に対して加速している。したがって、基板W表面に対する吐出ノズル523、723の開口部525、725の加速を、マスク辺部SDのスロープSL表面に塗布液を塗布している間に終えており、基板W表面への塗布液の塗布を、安定した相対速度Vrで開始することができる。その結果、基板W表面に塗布される塗布液の幅や厚みを安定させることが可能となっている。
【0061】
また、上記実施形態の塗布工程では、基板W表面に塗布液を塗布している間は一定の相対速度Vrで吐出ノズル523、723の開口部525、725を基板W表面に対して相対移動させる一方、マスク辺部SDのスロープSL表面に塗布液を塗布している間に相対速度Vrから相対速度ゼロにまで吐出ノズル523、723の開口部525、725を基板W表面に対して減速している。したがって、基板W表面に対する吐出ノズル523、723の開口部525、725の減速を、マスク辺部SDのスロープSL表面に塗布液を塗布している間に行うため、基板W表面への塗布液の塗布を、安定した相対速度Vrのまま終了することができる。その結果、基板W表面に塗布される塗布液の幅や厚みを安定させることが可能となっている。
【0062】
また、上記実施形態では、ポリテトラフルオロエチレン製のマスクMKが用いられている。このポリテトラフルオロエチレンのマスクMKは、表面エネルギーが小さいという特性を有しているため、マスクMKに付着した塗布液を簡単に拭き取りできるといった利点がある。特に、紫外線により硬化された塗布液は、より簡単に取り除くことができる。したがって、マスク離間工程の実行前に、塗布液を紫外線により硬化しておけば、基板W表面から取り外したマスクMKから塗布液を除去することが極めて簡単に実行でき、作業性の向上を図ることができる。
【0063】
以上説明したように、この実施形態では、マスク載置工程が本発明の「第1の工程」に相当し、塗布工程が本発明の「第2の工程」に相当し、マスク離間工程が本発明の「第3の工程」に相当する。また、マスク辺部SDが本発明の「規定部材」に相当し、スロープSLが本発明の「傾斜部」に相当し、第1ヘッド部5、第2ヘッド部7、ステージ3およびステージ移動機構2が協働して本発明の「塗布手段」として機能し、離間機構が本発明の「離間手段」に相当する。
【0064】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、スロープSLの角度θを45°としたが、スロープSLの角度θはこれに限られない。
【0065】
また、上記実施形態では、スロープSLの形態に対しても種々の変形が可能であり、例えば、図8のようにスロープSLを構成することもできる。ここで、図8は、スロープの変形例を示す図である。同図の変形例1では、塗布範囲Rp側に向けて当該マスク辺部SDの内端ED(先端)にまで下るスロープSLを有している点では、上記実施形態と共通する。ただし、変形例1では、スロープSLの下端(マスク辺部SDの先端ED)が、基板W表面から有限の高さHsの位置にある点で、上記実施形態と異なる。しかしながら、変形例1においても、このようなスロープSLを設けることで、マスク辺部SD表面と基板W表面の段差を小さく抑えることが可能となっている。その結果、塗布液と基板W表面の間に隙間CLが生じたとしても、その隙間CLは小さいものに抑えることができる。よって、基板W表面からマスクMKを取り外した際の塗布液の切断位置を安定させて(図7の例ではスロープSLの端が切断位置CPとなる)、基板W表面における塗布液の端の位置を正確に規定することが可能になっている。
【0066】
このとき、マスク辺部SDの内端(先端)の基板W表面からの高さHsが基板W表面(の塗布領域Rp)に塗布される塗布液Ta(図7)の厚み未満となるように、スロープSLを形成すると良い。このような構成では、マスク辺部SD表面と基板W表面の段差の高さHsが、基板W表面に塗布される塗布液の厚みTa未満となる。そのため、上述したような塗布液と基板W表面の間の隙間CLはほとんど生じないか、あるいは無視できる程度の大きさに抑えられる。よって、基板W表面からマスクMKを取り外した際の塗布液の切断位置をより安定させて、基板W表面における塗布液の端の位置を極めて正確に規定することが可能になる。
【0067】
また、スロープSLの形状についても種々の変形が可能であり、例えば、図8の変形例2のように、スロープSLの形状を湾曲させることもできる。
【0068】
また、上記実施形態では、マスク離間工程の実行前に、基板W表面に塗布された塗布液を硬化させていたが、塗布液の硬化タイミングはこれに限られない。したがって、マスク離間工程で、マスクMKおよび基板W表面を互いに離間させた後に、塗布液を硬化させても良い。また、この効果方法としては、例えば、加熱処理等の従来から提案されている方法を採用することができる。
【0069】
また、上記実施形態では、ポリテトラフルオロエチレン製のマスクMKが用いられていたが、マスクMKの材料はこれに限られない。
【0070】
また、上記実施形態では、バス配線パターンBおよびフィンガー配線パターンFの両方を、スロープSLを有するマスクMKを用いて形成した。しかしながら、端の位置精度がより厳しい一方の配線パターンの形成に対してのみ、スロープSLを有するマスクMKを用いるように構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0071】
この発明は、基板上のパターン、例えば太陽電池基板上の電極配線パターンを形成する装置および方法に適用可能であり、特に、マスクを用いて配線パターンを形成する場合に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0072】
1…パターン形成装置
2…ステージ移動機構
24…ステージ昇降機構
3…ステージ
523…吐出ノズル
525…開口部
723…吐出ノズル
725…開口部
AL…塗布液
B…バス配線パターン
F…フィンガー配線パターン
CL…隙間
ED…内端(先端)
MK…マスク
SD…マスク辺部
SL…スロープ
W…基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターンを形成するための材料を含む塗布液を開口部から吐出するノズルを基板の表面に対して相対移動させて、前記基板表面の所定の塗布範囲に前記塗布液を塗布するパターン形成方法において、
その先端を前記塗布範囲に向けた状態で規定部材を前記基板表面に配置して、前記規定部材によって前記基板の前記塗布範囲の外側を上方から覆う第1の工程と、
前記ノズルの開口部から前記塗布液を吐出させながら、前記規定部材表面の上方と前記基板表面の上方の間で前記ノズルの開口部を前記基板表面に対して相対移動させて、前記規定部材表面および前記基板表面を跨いで前記塗布液を塗布する第2の工程と、
前記塗布液が塗布された前記規定部材および前記基板表面を互いに離間させる第3の工程と、
を備え、
前記規定部材は、前記先端を前記塗布範囲に向けた状態において、前記塗布範囲側に向けて当該規定部材の前記先端にまで下る傾斜部を有していることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
前記基板に前記規定部材を配置した状態において、前記規定部材の前記先端の前記基板表面からの高さが前記基板表面に塗布される前記塗布液の厚み未満となるように、前記傾斜部は形成されている請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記第2の工程では、前記傾斜部表面の上方で前記基板表面に対して相対移動する前記ノズルの開口部の前記傾斜部表面からの高さを一定の高さhrに保つとともに、前記基板表面の上方で前記基板表面に対して相対移動する前記ノズルの開口部の前記基板表面からの高さを一定の前記高さhrに保つ請求項1または2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記第2工程では、前記規定部材表面の上方から前記基板表面の上方まで前記ノズルの開口部を前記基板表面に対して相対移動させて、前記規定部材表面から前記基板表面まで前記塗布液を塗布する請求項1ないし3のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
前記第2の工程では、前記基板表面に前記塗布液を塗布している間は一定の相対速度Vrで前記ノズルの開口部を前記基板表面に対して相対移動させる一方、前記規定部材表面に前記塗布液を塗布している間に前記相対速度Vrにまで前記ノズルの開口部を前記基板表面に対して加速する請求項4に記載のパターン形成方法。
【請求項6】
前記第2工程では、前記基板表面の上方から前記規定部材表面の上方まで前記ノズルの開口部を前記基板表面に対して相対移動させて、前記基板表面から前記規定部材表面まで前記塗布液を塗布する請求項1ないし3のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項7】
前記第2の工程では、前記基板表面に前記塗布液を塗布している間は一定の相対速度Vrで前記ノズルの開口部を前記基板表面に対して相対移動させる一方、前記規定部材表面に前記塗布液を塗布している間に前記相対速度Vrから相対速度ゼロにまで前記ノズルの開口部を前記基板表面に対して減速する請求項6に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
前記第3の工程で前記規定部材および前記基板表面を互いに離間させる前に、前記規定部材および前記基板表面に塗布された塗布液を硬化させる請求項1ないし7のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
前記第3の工程で前記規定部材および前記基板表面を互いに離間させた後に、前記基板表面に塗布された塗布液を硬化させる請求項1ないし7のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項10】
パターンを形成するための材料を含む塗布液を開口部から吐出するノズルを基板の表面に対して相対移動させて、前記基板表面の所定の塗布範囲に前記塗布液を塗布するパターン形成装置において、
その先端を前記塗布範囲に向けた状態で前記基板表面に配置され、前記基板表面の前記塗布範囲の外側を上方から覆う規定部材と、
前記ノズルの開口部から前記塗布液を吐出させながら、前記規定部材表面の上方と前記基板表面の上方の間で前記ノズルの開口部を前記基板表面に対して相対移動させて、前記規定部材表面および前記基板表面を跨いで前記塗布液を塗布する塗布手段と、
前記塗布液が塗布された前記規定部材および前記基板表面を互いに離間させる離間手段と、
を備え、
前記規定部材は、前記先端を前記塗布範囲に向けた状態において、前記塗布範囲側に向けて当該規定部材の前記先端にまで下る傾斜部を有していることを特徴とするパターン形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−66212(P2012−66212A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215072(P2010−215072)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】