説明

パターン形成方法、不吐出ノズル検出方法及び不吐出ノズル補完方法

【課題】 隣り合うノズル同士で液滴を吐出させた場合でも視認性を得ることができるパターン形成方法、また、不吐出のマイクロピペットを容易に検出できる不吐出ノズル検出方法及び不吐出ノズル補完方法を得る。
【解決手段】 スキャン毎に、少なくとも一つのノズル群を選択し、該ノズル群のノズルを使用して、マイクロピペットの移動ピッチに合わせて、各セル34にノズル群の配列順にノズルから液滴を吐出させる。これにより、隣り合うノズルであっても、マイクロピペットの移動ピッチ(セル34の幅と同じ)分の間隔が空くこととなり、視認性が向上する。このため、パターン形成及び不吐出ノズルの検出を容易に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定量の液滴を吐出させる定量吐出装置のパターン形成方法、不吐出ノズル検出方法及び不吐出ノズル補完方法に関する。
【背景技術】
【0002】
極微小の液体スポットを大量に作成するための方法として、アレイ状の圧電素子を用いたマイクロピペットなどが用いられている。特に、DNAの解析などの目的で使用される場合は、非常に小さなスポットが要求されるため、ノズルの径も非常に小さなものになる。
【0003】
例えば、特許文献1では、外部から試料が注入・充填されるキャビティ内において、圧電/電歪素子の駆動により、体積を変化させ、キャビティ内の試料をノズルから吐出させるマイクロピペットを複数用いているが、具体的にどのようにしてパターンを形成するか記載されていない。
【0004】
一方、特許文献2では、複数のノズルから液滴を吐出させて一つのスポットを形成することで、同一のスポット径を得る旨が記載されているが、隣り合うノズル同士で液滴を吐出させた場合、受液媒体上で隣り合う液滴同士が繋がり、視認性が悪くなってしまうという問題に関しては言及されていない。
【0005】
また、特許文献1では、液滴の吐出不良等が生じた場合、該当するマイクロピペットを交換するようにし、特許文献2では液滴の吐出不良に関して、レーザ光や赤外線によって基板を照射し間接的に試料を加熱することで、液滴の吐出不良等の防止を可能としているが、そもそも特許文献1、2には、不吐出のノズルをどのようにして検出するのか明記されていない。
【特許文献1】特開2001−124789号公報
【特許文献2】特開2001−186880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、隣り合うノズル同士で液滴を吐出させた場合でも視認性を得ることができるパターン形成方法、また、不吐出のマイクロピペットを容易に検出できる不吐出ノズル検出方法及び不吐出ノズル補完方法を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記事実を考慮し、請求項1に記載の発明は、一定の方向へ移動し、少なくとも一列設けられた複数のノズルから液滴を吐出する定量吐出装置のパターン形成方法であって、前記定量吐出装置が一定のピッチ移動する毎に、所定の間隔を空けて選択した複数のノズル群からそれぞれ選択され、かつ前記ノズル群内の配列順にノズルから少なくとも一滴の液滴を、培養可能な受液媒体へ吐出させることを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の発明では、定量吐出装置が一定のピッチ移動する毎に、所定の間隔を空けて選択した複数のノズル群からそれぞれ選択し、かつ該ノズル群内の配列順にノズルから少なくとも一滴の液滴を受液媒体へ吐出させることで、受液媒体には定量吐出装置の移動に合わせて一定のピッチで液滴が吐出されることとなる。
【0009】
例えば、定量吐出装置を停止させた状態で、隣り合うノズル同士で液滴を吐出させた場合、受液媒体上では隣り合う液滴同士が繋がり、視認性が悪くなってしまうが、定量吐出装置を一定のピッチ移動させ、該ピッチに合わせて、該ノズル群内の配列順にノズルから液滴を吐出させることで、隣り合うノズルであっても、定量吐出装置の移動ピッチ分の間隔が空くこととなり、視認性を得ることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のパターン形成方法において、前記一定のピッチを移動しながら指定したノズルが複数の液滴を受液媒体へ吐出することを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の発明では、指定したノズルから複数の液滴を受液媒体へ吐出させることで、パターンの視認性をさらに上げることができ、透明の液滴を吐出した場合でも視認可能となる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のパターン形成方法において、前記受液媒体は複数のセルに分割され、前記定量吐出装置の移動方向のセルの幅は、前記定量吐出装置の移動ピッチと略同一であることを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載の発明では、受液媒体を複数のセルに分割し、定量吐出装置の移動方向のセルの幅を、定量吐出装置の移動ピッチと略同一とすることで、各セル毎に一つのノズルからの液滴の吐出が可能となる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のパターン形成方法において、前記定量吐出装置の移動方向と直交する前記セルの長さは、前記ノズル群以上であることを特徴としている。
【0015】
請求項4に記載の発明では、定量吐出装置の移動方向と直交するセルの長さを、ノズル群以上とすることで、定量吐出装置の1回の移動で、定量吐出装置の移動方向に沿った各セルには、ノズル群の配列順にノズルから液滴が吐出されることとなる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、不吐出ノズル検出方法において、請求項1〜4の何れか1項に記載のパターン形成方法で前記受液媒体へ吐出された液滴の有無によって不吐出ノズルを検出することを特徴としている。
【0017】
請求項5に記載の発明では、上記のパターン形成方法で受液媒体へ吐出された液滴の有無によって不吐出ノズルを検出することで、隣り合うノズルであっても、視認性が向上するため、不吐出ノズルを容易に検出することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の不吐出ノズル検出方法において、前記受液媒体が、液滴の付着で発色する検査用紙であることを特徴としている。
【0019】
請求項6に記載の発明では、受液媒体を、液滴の付着で発色する検査用紙とすることで、ノズルの不吐出検出の視認性を上げることができる。また、発色させることで、該不吐出検出を光学的に検出することもできる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、不吐出ノズル補完方法において、請求項5又は6に記載の不吐出ノズル検出方法で検出された不吐出ノズルの代替として、前記定量吐出装置の移動方向と直交する方向で前記不吐出ノズルの近傍に位置するノズルを使用することを特徴としている。
【0021】
請求項7に記載の発明では、不吐出ノズルの代替として、定量吐出装置の移動方向と直交する方向で不吐出ノズルの近傍に位置するノズルを使用することで、不吐出ノズルを交換することなく定量吐出装置を使用することができる。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の不吐出ノズル補完方法において、前記受液媒体が載置された載置台が前記定量吐出装置の移動方向に対して直交する方向へ移動可能に設けられ、互いに隣接する複数のノズルから液滴が吐出可能な吐出可能領域と液滴が吐出されない不吐出領域とが存在する場合、前記載置台の移動ピッチを前記吐出可能領域の長さにすることを特徴としている。
【0023】
請求項8に記載の発明では、互いに隣接する複数のノズルから液滴が吐出されない場合、吐出可能領域の長さ毎に載置台を移動させ、ノズルから液滴が吐出されない不吐出領域の代替として、液滴が吐出可能な吐出可能領域のノズルを使用することができ、請求項7に記載の発明と略同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、上記構成としたので、請求項1に記載の発明では、定量吐出装置を一定のピッチ移動させ、該ピッチに合わせて、該ノズル群内の配列順にノズルから液滴を吐出させることで、隣り合うノズルであっても、定量吐出装置の移動ピッチ分の間隔が空くこととなり、視認性を得ることができる。
【0025】
請求項2に記載の発明では、指定したノズルから複数の液滴を受液媒体へ吐出させることで、パターンの視認性をさらに上げることができ、透明の液滴を吐出した場合でも視認可能となる。
【0026】
請求項3に記載の発明では、受液媒体を複数のセルに分割し、定量吐出装置の移動方向のセルの幅を、定量吐出装置の移動ピッチと略同一とすることで、各セル毎に一つのノズルからの液滴の吐出が可能となる。
【0027】
請求項4に記載の発明では、定量吐出装置の移動方向と直交するセルの長さを、ノズル群以上とすることで、定量吐出装置の1回の移動で、定量吐出装置の移動方向に沿った各セルには、ノズル群の配列順にノズルから液滴が吐出されることとなる。
【0028】
請求項5に記載の発明では、隣り合うノズルであっても、視認性が向上するため、不吐出ノズルを容易に検出することができる。
【0029】
請求項6に記載の発明では、受液媒体を、液滴の付着で発色する検査用紙とすることで、ノズルの不吐出検出の視認性を上げることができる。また、発色させることで、該不吐出検出を光学的に検出することもできる。
【0030】
請求項7又は8に記載の発明では、不吐出ノズルを交換することなく定量吐出装置を使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
図1には、本発明の一実施形態に係る定量吐出装置としてのマイクロピペット10が示されている。このマイクロピペット10は、400dpiの解像度で、160個のノズル12を有している(図2参照)。
【0032】
なお、ここでは、1行×160列のノズル12を有するマイクロピペット10について説明するが、マトリックス状、すなわち複数行のノズル12を有するマイクロピペットであっても良い。
【0033】
マイクロピペット10はキャリッジ14に保持されており、受液媒体P(例えばスライドグラス・プラスチックフイルム・紙など、さらに、この上に培養に適した培地を塗布したものなど培養可能な媒体)を載置する載置台16に対向して配置される。
【0034】
キャリッジ14には貫通孔14Aが形成されており、貫通孔14A内には両端部を図示しない支持部材で支持された棒状のガイド部材17が内挿されている。このガイド部材17の両端側近傍には、それぞれ駆動プーリー18と従動プーリー20が配設されており、駆動プーリー18と従動プーリー20には、タイミングベルト22が巻回されている。
【0035】
このタイミングベルト22の一部にキャリッジ14が固定されており、駆動プーリー18に連結されたモータ23を駆動させると、タイミングベルト22の回転と共に、キャリッジ14を介してマイクロピペット10がガイド部材17に沿って移動(矢印A方向)する。
【0036】
一方、ガイド部材17に対して直交する方向(矢印B方向)に沿う載置台16の側面には、ラック26が形成されており、ラック26には載置台16を収容する台座28に取付けられたピニオン30が噛み合っている。
【0037】
このピニオン30にはモータ32が連結されており、モータ32の駆動力がピニオン30へ伝達されると、ピニオン30の回転力はラック26との噛み合いにより直線移動に変換され、載置台16を矢印B方向へ移動させる。
【0038】
以上のような構成により、載置台16上の受液媒体Pに対して、マイクロピペット10を矢印A方向へ移動(いわゆるスキャン)させながら、ノズル12(図2参照)から受液媒体P上に微量の液滴を吐出させる。一方、載置台16を介して、受液媒体Pを矢印B方向へ移動させ、マイクロピペット10に対する受液媒体Pの位置を変える。
【0039】
ここで、マイクロピペット10には、図示はしないが、ノズル12と連通し液体が供給される圧力室に、ヒータが設けられており、該ヒータの加熱によりバブルを発生させ、その圧力で液滴を吐出させるように構成されている。
【0040】
なお、ヒータの代わりに、圧電素子を用いても良い。この場合、圧電素子は、圧力室の体積を減少させるように凹状に撓み変形して圧力室内の液体を加圧し、液滴として吐出させる。
【0041】
次に、本発明の一実施形態に係るマイクロピペットを用いたパターン形成方法について説明する。
【0042】
図3には受液媒体Pのセル34の配置例が示されている。マイクロピペット10の移動方向と直交するセル34の長さは、ノズル群36以上としており、図4に示すように、セル34の長さが90ドット分=5.715mmである。また、セル34の幅は約5mmである。このため、マイクロピペット10の移動ピッチは約5mmとする。ここで、セル34の数は任意であるが、横方向には10以上並べることが望ましい(ここでは、図3に示すように、縦20×横16)。
【0043】
本発明では、各セル34内に1ドットずつ液滴を吐出させる。このため、スキャン毎に、図2に示す160個のノズル12のうち、10個を一つのノズル群36として、少なくとも一つのノズル群36を選択し、該ノズル群36のノズル12を使用して、ノズル群36の配列順に各ノズル12から液滴を吐出させる。
【0044】
具体的には、図4及び図5(A)、(B)に示すように、1回目のスキャンで、1〜10番及び91〜100番(なお、番号は、図2に示すように、160個のノズル12の一端側から順番に付したものである。)の20個のノズル12を選択し、マイクロピペット10の移動ピッチに合わせて、ノズル群36の配列順に各ノズル12から液滴を吐出させる。
【0045】
次に、2回目のスキャンで、21〜30番及び111〜120番の20個のノズル12を選択し、マイクロピペット10の移動ピッチに合わせて、ノズル群36の配列順に各ノズル12から液滴を吐出させ、3回目のスキャンでは、41〜50番及び131〜140番の20個のノズル12を選択し、マイクロピペット10の移動ピッチに合わせて、ノズル群36の配列順に各ノズル12から液滴を吐出させる。
【0046】
また、4回目のスキャンでは、61〜70番及び151〜160番の20個のノズル12を選択し、マイクロピペット10の移動ピッチに合わせて、ノズル群36の配列順に各ノズル12から液滴を吐出させ、5回目のスキャンでは、81〜90番の10個のノズル12を選択し、マイクロピペット10の移動ピッチに合わせて、ノズル群36の配列順に各ノズル12から液滴を吐出させる。
【0047】
さらに、6回目のスキャンで、11〜20番及び101〜110番の20個のノズル12を選択し、マイクロピペット10の移動ピッチに合わせて、ノズル群36の配列順に各ノズル12から液滴を吐出させ、7回目のスキャンで、31〜40番及び121〜130番の20個のノズル12を選択し、マイクロピペット10の移動ピッチに合わせて、ノズル群36の配列順に各ノズル12から液滴を吐出させる。
【0048】
そして、8回目のスキャンで、51〜60番及び141〜150番の20個のノズル12を選択し、マイクロピペット10の移動ピッチに合わせて、ノズル群36の配列順に各ノズル12から液滴を吐出させ、9回目のスキャンで71〜80番の10個のノズル12を選択し、マイクロピペット10の移動ピッチに合わせて、ノズル群36の配列順に各ノズル12から液滴を吐出させる。このように、9回のスキャン(セル16行分)によって、160個のノズル12全てから液滴が吐出されたことになる。
【0049】
ここで、選択する二つのノズル群36の間には、8個のノズル群36が配置され、セル34の縦方向での液滴のピッチが、5.715mm(0.0635mm×90)となるようにして、セル34の縦方向での液滴のピッチPを、セル34の長さと同じ又は近似させる。また、全ノズル12の長さ(0.0635mm×160)をセル34の長さ(5.715mm)で割ったときに割り切れない寸法にセル34の長さを設定する。
【0050】
これにより、受液媒体Pの各セル34には、一つずつ液滴が付着すると共に、液滴を各セル34の中心近くに吐出させることができ、各セル34に液滴が吐出されているか否かが検出しやすくなる。
【0051】
ところで、通常、マイクロピペット10を停止させた状態で、隣り合うノズル12同士で液滴を吐出させた場合、隣り合う液滴同士が繋がり、視認性が悪くなってしまう。
【0052】
しかし、本発明のように、マイクロピペット10の移動ピッチ(セル34の幅と同じ)に合わせて、指定したノズル12から液滴を吐出させることで、隣り合うノズル12であっても、マイクロピペット10の移動ピッチ分の間隔が空くこととなり、視認性が向上する。このため、パターン形成及び不吐出ノズルの検出を容易に行うことができる。
【0053】
また、指定したノズル12から複数の液滴を各セル34へ吐出させることも可能である。例えば、図6に示すように、通常吐出時よりも遅いスピードでスキャンを行う、もしくは図7に示すように、セル34毎に停止させながら液滴を吐出させることにより、同一セル34内に同じノズル12から複数の液滴が吐出されることとなる。
【0054】
これにより、パターン形成及び不吐出ノズル検出の視認性をさらに上げることができ、透明の液滴を吐出した場合でも視認可能となる。また、図4と比較して、各セル34には通常吐出よりも大きなドットが形成されるため視認しやすくなる。
【0055】
ここで、不吐出ノズル検出の場合、不吐出ノズル検出用の溶液を、吐出させる液滴内の微生物に影響を与えない程度の着色をして視認性を上げるようにしても良い。また、不吐出ノズル検出用の受液媒体Pとして、液滴の付着で発色する検査用紙を用いても良い。
【0056】
例えば、受液媒体Pをリトマス試験紙等を用い、また、不吐出ノズル検出用の溶液として中性以外のpHの溶液、例えば弱酸性(pH6程度)溶液とすることで、液滴の付着によって受液媒体Pを発色させることができるため、不吐出ノズル検出の視認性を上げることができる。また、発色させることで、該不吐出ノズル検出を光学的に検出することも可能である。
【0057】
そして、図6又は図7に示すように、液滴が付着していないセル34があった場合、該セル34に対応するノズル12は不吐出ノズルであるということになるが、この場合、該不吐出ノズルの代替として、載置台16(図1参照)の移動方向(矢印B方向)に沿った不吐出ノズルの近傍に位置するノズル12を使用することで、図8に示すように、本来不吐出の部分に吐出されるはずの液滴が、該不吐出ノズルの近傍に位置するノズル12を代替とすることで、補完の部分に吐出されることとなる。
【0058】
このように、不吐出ノズルの近傍に位置するノズル12を代替することで、不吐出ノズルを交換することなくマイクロピペット10をそのまま使用することができる。
【0059】
また、所定範囲内のノズル12、例えば、1〜20番のノズル12が不吐出の場合、載置台16の移動量(いわゆるスキャンの送り量)を減らすことで、該不吐出ノズル領域の代替として、液滴が吐出可能な領域のノズルを使用することができる。
【0060】
具体的には、1回目のスキャンで、21〜30番及び111〜120番の20個のノズル12を選択し、2回目のスキャンでは、61〜70番及び151〜160番の20個のノズル12を選択する。3回目のスキャンでは、101〜110番の10個のノズル12を選択し、4回目のスキャンでは、51〜60番及び141〜150番の20個のノズル12を選択する。
【0061】
そして、5回目のスキャンでは、91〜100番の10個のノズル12を選択し、6回目のスキャンで、41〜50番及び141〜150番の20個のノズル12、7回目のスキャンで、81〜90番の10個のノズル12を選択する。
【0062】
次に、8回目のスキャンで、31〜40番及び121〜130番の20個のノズル12を選択し、9回目のスキャンで71〜80番の10個のノズル12を選択して、それぞれマイクロピペット10の移動ピッチに合わせて、ノズル群36の配列順に各ノズル12から液滴を吐出させる。
【0063】
このように、9回のスキャン(セル14行分)で全てのノズル12から液滴を吐出させることができる。ここで、載置台16の移動量は、140ドット分とし、通常の160ドット分よりも少なくなる。不吐出ノズルが多い場合、載置台16の移動量を減らし、スキャン回数を増やすことで、一部のノズル12が不吐出になったとしても、マイクロピペット10を交換することなく有効に使用できる。また、吐出可能なノズル12をほぼ均一に使用することができるため、ノズル12の目詰まりが発生しても、サンプル作成のスループットの低下を極力防止することができる。
【0064】
なお、本形態はあくまでも一実施例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0065】
例えば、本形態では、図1に示すように、載置台16の側面に、ラック26を形成し、該ラック26に台座28に取付けられたピニオン30を噛み合わせることで、載置台16を矢印B方向へ移動させるようにしたが、載置台16を移動させる手段としては、ラックとピニオンに限るものではない。例えば、ベルト及びプーリを用いた移動手段でも良いし、リニアガイド及びモータを用いた移動手段でも良い。
【0066】
また、本形態では、受液媒体Pを載置台16に載置し、載置台16を矢印B方向に沿って移動可能としたが、載置台16の代わりにローラなどの搬送手段を設け、該搬送手段に対して受液媒体Pが矢印B方向に沿って搬送されるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施形態に係るマイクロピペットを示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るマイクロピペットのノズルを示す平面図である。
【図3】受液媒体のセルの配置例を示す平面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るマイクロピペットで各セル毎に液滴を吐出させた状態を示す平面図である。
【図5】(A)は図4を拡大した図であり、(B)は本発明の一実施形態に係るマイクロピペットのスキャン回数と使用ノズルとを示す表である。
【図6】本発明の一実施形態に係るマイクロピペットで各セル毎に液滴を複数吐出させた状態を示す平面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るマイクロピペットで各セル毎に液滴を複数吐出させた状態を示す平面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る不吐出ノズル補完方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0068】
10 マイクロピペット(定量吐出装置)
12 ノズル
16 載置台
34 セル
36 ノズル群
P 受液媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の方向へ移動し、少なくとも一列設けられた複数のノズルから液滴を吐出する定量吐出装置のパターン形成方法であって、
前記定量吐出装置が一定のピッチ移動する毎に、所定の間隔を空けて選択した複数のノズル群からそれぞれ選択され、かつ前記ノズル群内の配列順にノズルから少なくとも一滴の液滴を、培養可能な受液媒体へ吐出させることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
前記一定のピッチを移動しながら指定したノズルが複数の液滴を受液媒体へ吐出することを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記受液媒体は複数のセルに分割され、前記定量吐出装置の移動方向のセルの幅は、前記定量吐出装置の移動ピッチと略同一であることを特徴とする請求項1又は2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記定量吐出装置の移動方向と直交する前記セルの長さは、前記ノズル群以上であることを特徴とする請求項3に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載のパターン形成方法で前記受液媒体へ吐出された液滴の有無によって不吐出ノズルを検出することを特徴とする不吐出ノズル検出方法。
【請求項6】
前記受液媒体が、液滴の付着で発色する検査用紙であることを特徴とする請求項5に記載の不吐出ノズル検出方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の不吐出ノズル検出方法で検出された不吐出ノズルの代替として、前記定量吐出装置の移動方向と直交する方向で前記不吐出ノズルの近傍に位置するノズルを使用することを特徴とする不吐出ノズル補完方法。
【請求項8】
前記受液媒体が載置された載置台が前記定量吐出装置の移動方向に対して直交する方向へ移動可能に設けられ、
互いに隣接する複数のノズルから液滴が吐出可能な吐出可能領域と液滴が吐出されない不吐出領域とが存在する場合、前記載置台の移動ピッチを前記吐出可能領域の長さにすることを特徴とする請求項7に記載の不吐出ノズル補完方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−130407(P2006−130407A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−322340(P2004−322340)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】