パターン形成方法、有機電界効果型トランジスタの製造方法、及び、フレキシブルプリント回路板の製造方法
【課題】本来、塗布液が存在してはならない領域にまで、重力の影響によって、塗布液が存在したり、塗布液が溜まる結果、所望のパターンを得ることが困難となるといった問題点を確実に解決することができるパターン形成方法を提供する。
【解決手段】塗布液を塗布するためのノズル12を基体30の下方に配置し、濡れ性が制御された基体30の面を下側に向けた状態で、ノズル12と基体30とを相対的に移動させることで、基体30の所望の領域に塗布液21を着液させた後、塗布液21を乾燥させ、以て、塗布液乾燥層から成るパターンを得る。
【解決手段】塗布液を塗布するためのノズル12を基体30の下方に配置し、濡れ性が制御された基体30の面を下側に向けた状態で、ノズル12と基体30とを相対的に移動させることで、基体30の所望の領域に塗布液21を着液させた後、塗布液21を乾燥させ、以て、塗布液乾燥層から成るパターンを得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン形成方法、有機電界効果型トランジスタの製造方法、及び、フレキシブルプリント回路板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多くの電子機器に用いられている薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor,TFT)を含む電界効果型トランジスタ(FET)は、例えば、シリコン半導体基板あるいはシリコン半導体層に形成されたチャネル形成領域及びソース/ドレイン領域、シリコン半導体基板表面あるいはシリコン半導体層表面に形成されたSiO2から成るゲート絶縁層、並びに、ゲート絶縁層を介してチャネル形成領域に対向して設けられたゲート電極から構成されている。あるいは又、支持体上に形成されたゲート電極、ゲート電極上を含む支持体上に形成されたゲート絶縁層、並びに、ゲート絶縁層上に形成されたチャネル形成領域及びソース/ドレイン電極から構成されている。そして、これらの構造を有する電界効果型トランジスタの作製には、非常に高価な半導体装置を製造するための製造装置が使用されており、製造コストの低減が強く要望されている。
【0003】
そこで、近年、印刷法に例示される真空技術を用いない方法に基づき製造が可能な有機半導体材料を用いたFETの研究、開発に注目が集まっており、その性能も実用化レベルまであと一歩というところまで到達している。
【0004】
従来、親水性領域と疎水性領域とから構成されたパターンを基板の表面に形成し、これを版としてパターニングをする方法が、オフセット印刷法としてよく知られている。オフセット印刷法において使用されるインクは、一般に高粘度であるが、低粘度の液状物質を使用したパターニング例も報告されている。
【0005】
また、Michael L. Chabinyc, et al., "Organic polymeric thin-film transistors fabricated by selective dewetting", APPL. PHYS. Lett 81.4260-4262(2002) (以下、文献1と呼ぶ場合がある)には、基板上にワックスを印刷し、ワックスによって被覆されていない基板の領域にSAM(Self-Assembled Monolayer)を堆積させた後、ワックスを除去し、ワックスで覆われていた領域(この領域にはSAMは形成されていない)に有機半導体材料を堆積させる技術が開示されている。有機半導体材料の堆積は、有機半導体材料の溶液中に基板を浸漬し、基板を垂直に引き上げることによって行われる。
【0006】
あるいは又、有機半導体材料の塗布液をダイコーティング法やディップコーティング法、スピンコーティング法に基づき基板に塗布する方法も周知である。
【0007】
【非特許文献1】Michael L. Chabinyc, et al., "Organic polymeric thin-film transistors fabricated by selective dewetting", APPL. PHYS. Lett 81.4260-4262(2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、文献1に開示された技術、あるいは、上述した従来のコーティング法では、本来、塗布液が存在してはならない領域にまで、重力の影響によって、塗布液が存在したり、塗布液が溜まり、所望のパターンを得ることが困難な場合がある。また、ディップコーティング法では、基板の両面が塗布液で濡れてしまうといった問題や、塗布液の成膜速度が遅いといった問題があるし、スピンコーティング法では、塗布液の大部分が無駄になってしまうといった問題がある。
【0009】
従って、本発明の目的は、特に、本来、塗布液が存在してはならない領域にまで、重力の影響によって、塗布液が存在したり、塗布液が溜まる結果、所望のパターンを得ることが困難となるといった従来のコーティング法における問題点を確実に解決することができるパターン形成方法、並びに、係るパターン形成方法を応用した有機電界効果型トランジスタの製造方法、及び、フレキシブルプリント回路板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するための本発明のパターン形成方法は、塗布液を塗布するためのノズルを基体の下方に配置し、濡れ性が制御された基体の面を下側に向けた状態で、ノズルと基体とを相対的に移動させることで、基体の所望の領域に塗布液を着液させた後、塗布液を乾燥させ、以て、塗布液乾燥層から成るパターンを得ることを特徴とする。
【0011】
本発明のパターン形成方法においては、限定するものではないが、
所望の領域としての凹部、及び、凸部を有する凹凸構造を基体に形成することによって基体の面の濡れ性を制御し、
凹部に塗布液を着液させる構成とすることができる。
【0012】
また、本発明のパターン形成方法においては、基体の所望の領域と塗布液との接触角をθ、基体の所望の領域以外の領域と塗布液との接触角をθ’としたとき、θ<θ’の関係を満足することが好ましい。即ち、基体の所望の領域を親液性とする場合、基体の所望の領域以外の領域を疎液性あるいは撥液性とすることが望ましく、あるいは又、基体の所望の領域を疎液性とする場合、基体の所望の領域以外の領域を撥液性とすることが望ましい。ここで、親液性であるとは、塗布液との接触角が90度未満であると定義し、疎液性であるとは、塗布液との接触角が90度以上、110度未満であると定義し、撥液性であるとは、塗布液との接触角が110度以上であると定義する。使用する基体及び塗布液の性状にも依存するが、θ>θ’の関係を満足するといった場合もあり得る。
【0013】
本発明のパターン形成方法においては、基体に所望のパターンを形成するが、場合によっては、塗布液乾燥層から成るパターンを得た後、このパターンを第2の基体に転写することによって、第2の基体に所望のパターンを形成してもよい。パターンの第2の基体への転写の具体的な方法として、凹凸のあるスタンプ(フッ素系樹脂から作製されたスタンプ、あるいは、フッ素系樹脂にて表面処理された基板から作製されたスタンプ、あるいは、10ミリモルのOTS処理がなされたスタンプ)の凸部に、例えばポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HP)をインクとして乗せ、その後、全面が平坦なPDMS(シリコンゴム)にスタンプの凸面に乗せられたP3HPを転写し、次いで、PDMSに転写されたP3HPを所望の第2の基体に転写するといった方法を例示することができる。
【0014】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る有機電界効果型トランジスタの製造方法は、所謂ボトムゲート/ボトムコンタクト型の有機電界効果型トランジスタの製造方法であり、
(A)基体上にゲート電極を形成した後、
(B)全面にゲート絶縁層を形成し、次いで、
(C)ゲート絶縁層上にソース/ドレイン電極を形成した後、
(D)ソース/ドレイン電極とソース/ドレイン電極との間のゲート絶縁層の部分にチャネル形成領域を形成する、
各工程から成る有機電界効果型トランジスタの製造方法であって、
前記工程(D)において、有機半導体材料塗布液を塗布するためのノズルを基体の下方に配置し、ゲート絶縁層及びソース/ドレイン電極が形成され、濡れ性が制御された基体の面を下側に向けた状態で、ノズルと基体とを相対的に移動させることで、ソース/ドレイン電極とソース/ドレイン電極との間のゲート絶縁層の部分に有機半導体材料塗布液を着液させた後、有機半導体材料塗布液を乾燥させ、以て、有機半導体材料から成るチャネル形成領域を得ることを特徴とする。
【0015】
尚、こうして得られたボトムゲート/ボトムコンタクト型の有機電界効果型トランジスタは、
(a)基体上に形成されたゲート電極、
(b)ゲート電極に形成されたゲート絶縁層、
(c)ゲート絶縁層上に形成されたソース/ドレイン電極、並びに、
(d)ソース/ドレイン電極の間のゲート絶縁層の部分の上に形成されたチャネル形成領域、
を備えている。
【0016】
また、上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る有機電界効果型トランジスタの製造方法は、所謂ボトムゲート/トップコンタクト型の有機電界効果型トランジスタの製造方法であり、
(A)基体上にゲート電極を形成した後、
(B)全面にゲート絶縁層を形成し、次いで、
(C)ゲート絶縁層上にチャネル形成領域及びチャネル形成領域延在部を形成した後、
(D)チャネル形成領域延在部上にソース/ドレイン電極を形成する、
各工程から成る有機電界効果型トランジスタの製造方法であって、
前記工程(C)において、有機半導体材料塗布液を塗布するためのノズルを基体の下方に配置し、ゲート絶縁層が形成され、濡れ性が制御された基体の面を下側に向けた状態で、ノズルと基体とを相対的に移動させることで、ゲート絶縁層に有機半導体材料塗布液を着液させた後、有機半導体材料塗布液を乾燥させ、以て、有機半導体材料から成るチャネル形成領域及びチャネル形成領域延在部を得ることを特徴とする。
【0017】
尚、こうして得られたボトムゲート/トップコンタクト型の有機電界効果型トランジスタは、
(a)基体上に形成されたゲート電極、
(b)ゲート電極上に形成されたゲート絶縁層、
(c)ゲート絶縁層上に形成されたチャネル形成領域及びチャネル形成領域延在部、並びに、
(d)チャネル形成領域延在部上に形成されたソース/ドレイン電極、
を備えている。
【0018】
更には、上記の目的を達成するための本発明の第3の態様に係る有機電界効果型トランジスタの製造方法は、所謂トップゲート/ボトムコンタクト型の有機電界効果型トランジスタの製造方法であり、
(A)基体上にソース/ドレイン電極を形成した後、
(B)ソース/ドレイン電極とソース/ドレイン電極との間の基体の部分にチャネル形成領域を形成し、次いで、
(C)全面にゲート絶縁層を形成した後、
(D)ゲート絶縁層上にゲート電極を形成する、
各工程から成る有機電界効果型トランジスタの製造方法であって、
前記工程(B)において、有機半導体材料塗布液を塗布するためのノズルを基体の下方に配置し、ソース/ドレイン電極が形成され、濡れ性が制御された基体の面を下側に向けた状態で、ノズルと基体とを相対的に移動させることで、ソース/ドレイン電極とソース/ドレイン電極との間の基体の部分に有機半導体材料塗布液を着液させた後、有機半導体材料塗布液を乾燥させ、以て、有機半導体材料から成るチャネル形成領域を得ることを特徴とする。
【0019】
尚、こうして得られたトップゲート/ボトムコンタクト型の有機電界効果型トランジスタは、
(a)基体上に形成されたソース/ドレイン電極、
(b)ソース/ドレイン電極の間の基体の部分の上に形成されたチャネル形成領域、
(c)チャネル形成領域上に形成されたゲート絶縁層、並びに、
(d)ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極、
を備えている。
【0020】
また、上記の目的を達成するための本発明の第4の態様に係る有機電界効果型トランジスタの製造方法は、所謂トップゲート/トップコンタクト型の有機電界効果型トランジスタの製造方法であり、
(A)基体上にチャネル形成領域及びチャネル形成領域延在部を形成した後、
(B)チャネル形成領域延在部上にソース/ドレイン電極を形成し、次いで、
(C)全面にゲート絶縁層を形成した後、
(D)ゲート絶縁層上にゲート電極を形成する、
各工程から成る有機電界効果型トランジスタの製造方法であって、
前記工程(A)において、有機半導体材料塗布液を塗布するためのノズルを基体の下方に配置し、濡れ性が制御された基体の面を下側に向けた状態で、ノズルと基体とを相対的に移動させることで、基体に有機半導体材料塗布液を着液させた後、有機半導体材料塗布液を乾燥させ、以て、有機半導体材料から成るチャネル形成領域及びチャネル形成領域延在部を得ることを特徴とする。
【0021】
尚、こうして得られたトップゲート/トップコンタクト型の有機電界効果型トランジスタは、
(a)基体上に形成されたチャネル形成領域及びチャネル形成領域延在部、
(b)チャネル形成領域延在部上に形成されたソース/ドレイン電極、
(c)ソース/ドレイン電極及びチャネル形成領域上に形成されたゲート絶縁層、並びに、
(d)ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極、
を備えている。
【0022】
上記の目的を達成するための本発明のフレキシブルプリント回路板の製造方法は、導電材料塗布液を塗布するためのノズルを基体の下方に配置し、濡れ性が制御された基体の面を下側に向けた状態で、ノズルと基体とを相対的に移動させることで、基体に導電材料塗布液を着液させた後、導電材料塗布液を乾燥させ、以て、導電材料塗布液乾燥層から成る回路パターンを得ることを特徴とする。
【0023】
本発明のパターン形成方法、有機電界効果型トランジスタの製造方法、あるいは、フレキシブルプリント回路板の製造方法(以下、これらを総称して、単に、本発明と呼ぶ場合がある)におけるノズルを含む塗布装置として、所謂キャピラリーコータを挙げることができる。ノズルと基体との相対的な移動は、ノズルを固定して基体を移動させてもよいし、基体を固定してノズルを移動させてもよいし、ノズル及び基体を移動させてもよい。
【0024】
本発明のパターン形成方法における塗布液として、有機半導体材料を溶媒に溶解した塗布液を挙げることができ、より具体的には、[有機半導体材料,溶媒]の組合せとして、[ポリ−3−ヘキシルチオフェン,トルエン]、[ポリ−3−ヘキシルチオフェン,クロロホルム]、[ポリ−3−ヘキシルチオフェン,キシレン]、[ポリ−3−ヘキシルチオフェン,テトラヒドロフラン(THF)]、[ポリ−3−ヘキシルチオフェン,クロロベンセン]を挙げることができる。
【0025】
あるいは又、本発明のパターン形成方法における塗布液として、導電材料を溶媒に溶解した塗布液を挙げることができ、より具体的には、[導電材料,溶媒]の組合せとして、[ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸[PEDOT/PSS],水]、[PEDOT/PSS,イソプロピルアルコールと水との混合液]、[PEDOT/PSS,水と界面活性剤との混合液]、[PEDOT/PSS,水とエチレングリコールとの混合液]、[銀ナノ粒子,酢酸エチル]、[銀ナノ粒子,水]、[銀ナノ粒子,トルエン]、[金ナノ粒子,トルエン]、[金ナノ粒子,クロロホルム]、[金ナノ粒子,ヘキサン]を挙げることができる。
【0026】
あるいは又、本発明のパターン形成方法における塗布液として、有機EL発光材料を溶媒に溶解した塗布液を挙げることができ、より具体的には、[有機EL発光材料,溶媒]の組合せとして、[MEH−PPV,クロロベンセン]を挙げることができる。
【0027】
また、本発明の第1の態様〜第4の態様に係る有機電界効果型トランジスタの製造方法(以下、これらを総称して、単に、本発明の有機電界効果型トランジスタの製造方法と呼ぶ場合がある)における有機半導体材料塗布液として、有機半導体材料を溶媒に溶解した塗布液を挙げることができ、より具体的には、[有機半導体材料,溶媒]の組合せとして、上述した本発明のパターン形成方法における[有機半導体材料,溶媒]の組合せと同様の組合せを挙げることができる。
【0028】
更には、本発明のフレキシブルプリント回路板の製造方法における導電材料塗布液として、導電材料を溶媒に溶解した塗布液を挙げることができ、より具体的には、[導電材料,溶媒]の組合せとして、本発明のパターン形成方法における[導電材料,溶媒]の組合せと同様の組合せを挙げることができる。
【0029】
本発明のパターン形成方法、あるいは、本発明のフレキシブルプリント回路板の製造方法において、濡れ性が制御された基体の面を得るためには、例えば、基体の所望の領域と塗布液との接触角をθ、基体の所望の領域以外の領域と塗布液との接触角をθ’としたとき、θ<θ’の関係を満足するように、基体の所望の領域の表面に処理を施し、あるいは又、基体の所望の領域以外の領域の表面に処理を施せばよい。係る処理として、例えば、基体の所望の領域以外の領域を、塗布液との接触角の大きな材料で被覆する方法を挙げることができる。ここで、係る材料として、オクタデシルトリメトキシシラン(OTS)やヘキサメチレンジジラザン(HMDS)を例示することができる。あるいは又、基体の所望の領域の表面をアミノトリクロロシランで処理することによって親液性とし、基体の所望の領域以外の領域をパーフルオロオクチルトリクロロシランで処理することによって撥液性とする方法を挙げることができる。あるいは又、基体の表面を酸素プラズマ処理することによって親液性とする方法を挙げることができるし、乾式間接静電複写機を用いてトナー粒子を基体の表面に転写・定着させることでトナー粒子から成る撥液性領域あるいは疎液性領域を基体の表面に形成するといった方法を挙げることもできる。
【0030】
また、本発明の第1の態様に係る有機電界効果型トランジスタの製造方法において、ゲート絶縁層及びソース/ドレイン電極が形成され、濡れ性が制御された基体の面を得るためには、ゲート絶縁層及びソース/ドレイン電極が形成された面において、有機半導体材料塗布液を着液させるべき領域以外の領域を、塗布液との接触角の大きな材料で被覆する方法を挙げることができる。また、本発明の第2の態様に係る有機電界効果型トランジスタの製造方法において、ゲート絶縁層が形成され、濡れ性が制御された基体の面を得るためには、ゲート絶縁層が形成された面において、有機半導体材料塗布液を着液させるべき領域以外の領域を、塗布液との接触角の大きな材料で被覆する方法を挙げることができる。更には、本発明の第3の態様に係る有機電界効果型トランジスタの製造方法において、ソース/ドレイン電極が形成され、濡れ性が制御された基体の面を得るためには、ソース/ドレイン電極が形成された面において、有機半導体材料塗布液を着液させるべき領域以外の領域を、塗布液との接触角の大きな材料で被覆する方法を挙げることができる。また、本発明の第4の態様に係る有機電界効果型トランジスタの製造方法において、濡れ性が制御された基体の面を得るためには、係る基体の面において、有機半導体材料塗布液を着液させるべき領域以外の領域を、塗布液との接触角の大きな材料で被覆する方法を挙げることができる。ここで、係る材料として、オクタデシルトリメトキシシラン(OTS)、パーフルオロオクチルトリクロロシランを例示することができる。
【0031】
本発明の有機電界効果型トランジスタの製造方法において、ゲート絶縁層を構成する材料として、酸化ケイ素系材料、窒化ケイ素(SiNY)、Al2O3、金属酸化物高誘電絶縁膜にて例示される無機系絶縁材料だけでなく、ポリメチルメタクリレート(PMMA)やポリビニルフェノール(PVP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリカーボネート(PC)、ポリイミドにて例示される有機系絶縁材料を挙げることができるし、これらの組み合わせを用いることもできる。尚、酸化ケイ素系材料として、二酸化シリコン(SiO2)、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、酸化窒化シリコン(SiON)、SOG(スピンオングラス)、低誘電率SiOX系材料(例えば、ポリアリールエーテル、シクロパーフルオロカーボンポリマー及びベンゾシクロブテン、環状フッ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化アリールエーテル、フッ化ポリイミド、アモルファスカーボン、有機SOG)を例示することができる。
【0032】
ゲート絶縁層の形成方法として、スクリーン印刷法やインクジェット印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法といった各種印刷法;エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、ナイフコーター法、スクイズコーター法、リバースロールコーター法、トランスファーロールコーター法、グラビアコーター法、キスコーター法、キャストコーター法、スプレーコーター法、スリットオリフィスコーター法、カレンダーコーター法といった各種コーティング法;浸漬法;キャスティング法;スピンコート法;スプレー法;各種CVD法;及び、各種PVD法の内のいずれかを挙げることができる。ここで、PVD法として、(a)電子ビーム加熱法、抵抗加熱法、フラッシュ蒸着等の各種真空蒸着法、(b)プラズマ蒸着法、(c)2極スパッタリング法、直流スパッタリング法、直流マグネトロンスパッタリング法、高周波スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法、バイアススパッタリング法等の各種スパッタリング法、(d)DC(direct current)法、RF法、多陰極法、活性化反応法、電界蒸着法、高周波イオンプレーティング法、反応性イオンプレーティング法等の各種イオンプレーティング法を挙げることができる。
【0033】
あるいは又、ゲート絶縁層は、ゲート電極の表面を酸化あるいは窒化することによって形成することができるし、ゲート電極の表面に酸化膜や窒化膜を成膜することで得ることもできる。ゲート電極の表面を酸化する方法として、ゲート電極を構成する材料にも依るが、熱酸化法、O2プラズマを用いた酸化法、陽極酸化法を例示することができる。また、ゲート電極の表面を窒化する方法として、ゲート電極を構成する材料にも依るが、N2プラズマを用いた窒化法を例示することができる。あるいは又、例えば、金(Au)からゲート電極を構成する場合、一端をメルカプト基で修飾された直鎖状炭化水素のように、ゲート電極と化学的に結合を形成し得る官能基を有する絶縁性分子によって、浸漬法等の方法で自己組織的にゲート電極表面を被覆することで、ゲート電極の表面にゲート絶縁層を形成することもできる。
【0034】
あるいは又、ゲート絶縁層の形成に、本発明のパターン形成方法を適用することもできる。
【0035】
更には、本発明の有機電界効果型トランジスタにおいて、ゲート電極やソース/ドレイン電極、各種の配線を構成する材料として、白金(Pt)、金(Au)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、ネオジム(Nd)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、銅(Cu)、ルビジウム(Rb)、ロジウム(Rh)、チタン(Ti)、インジウム(In)、錫(Sn)等の金属、あるいは、これらの金属元素を含む合金、これらの金属から成る導電性粒子、これらの金属を含む合金の導電性粒子、ポリシリコン、アモルファスシリコン、錫酸化物、酸化インジウム、インジウム・錫酸化物(ITO)を挙げることができるし、これらの元素を含む層の積層構造とすることもできる。
【0036】
ソース/ドレイン電極やゲート電極の形成方法として、これらを構成する材料にも依るが、スピンコート法;各種導電性ペーストや各種導電性高分子溶液を用いた上述の各種印刷法;上述した各種コーティング法;リフトオフ法;シャドウマスク法;電解メッキ法や無電解メッキ法あるいはこれらの組合せといったメッキ法;スプレー法;上述した各種のPVD法;及び、MOCVD法を含む各種のCVD法の内のいずれか、あるいは、更には必要に応じてパターニング技術との組合せを挙げることができる。
【0037】
更には、ゲート電極やソース/ドレイン電極を構成する材料として、PEDOT/PSSといった有機材料を挙げることもできる。そして、この場合には、ゲート電極の形成に、本発明のパターン形成方法を適用することもできる。
【0038】
本発明のパターン形成方法、あるいは、本発明の有機電界効果型トランジスタの製造方法において、基体あるいは第2の基体として、各種のガラス基板や、表面に絶縁層が形成された各種ガラス基板、石英基板、表面に絶縁層が形成された石英基板、表面に絶縁層が形成されたシリコン基板を挙げることができる。更には、本発明のパターン形成方法、あるいは、本発明の有機電界効果型トランジスタの製造方法において、基体あるいは第2の基体として、ポリエーテルスルホン(PES)やポリイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(ポリメタクリル酸メチル,PMMA)やポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルフェノール(PVP)に例示される高分子材料から構成されたプラスチック・フィルムやプラスチック・シート、プラスチック基板を挙げることができ、このような可撓性を有する高分子材料から構成された基体あるいは第2の基体を使用すれば、例えば曲面形状を有するディスプレイ装置や電子機器への有機電界効果型トランジスタの組込みあるいは一体化が可能となる。基体あるいは第2の基体として、その他、導電性基板(金等の金属、高配向性グラファイトから成る基板)を挙げることができる。また、本発明の有機電界効果型トランジスタの製造方法において、有機電界効果型トランジスタの構成、構造によっては、有機電界効果型トランジスタが支持部材上に設けられている場合もあるが、このような場合における支持部材も上述した材料から構成することができる。また、本発明のフレキシブルプリント回路板の製造方法において、基体あるいは第2の基体として、ポリエーテルスルホン(PES)やポリイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(ポリメタクリル酸メチル,PMMA)やポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルフェノール(PVP)に例示される高分子材料から構成された可撓性を有するプラスチック・フィルムを挙げることができる。
【0039】
本発明の有機電界効果型トランジスタの製造方法によって得られた有機電界効果型トランジスタを、ディスプレイ装置や各種の電子機器に適用、使用する場合、基体に多数の有機電界効果型トランジスタを集積したモノリシック集積回路としてもよいし、各有機電界効果型トランジスタを切断して個別化し、ディスクリート部品として使用してもよい。また、有機電界効果型トランジスタを樹脂にて封止してもよい。
【発明の効果】
【0040】
本発明にあっては、塗布液等を塗布するためのノズルを基体等の下方に配置し、濡れ性が制御された基体等の面を下側に向けた状態で、ノズルと基体等とを相対的に移動させることで、基体等の所望の領域に塗布液等を着液させるので、本来、塗布液が存在してはならない領域にまで、重力の影響によって、塗布液等が存在したり、塗布液等が溜まり、所望のパターンを得ることが困難となるといった従来のコーティング法における問題点を確実に解決することができる。そして、塗布液等を大面積の基体等に比較的容易に、しかも、高い精度で着液、塗布することができ、塗布液等の無駄も無い。更には、低粘度の塗布液を使用することが可能となり、パターン等の形成精度の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明するが、先ず、実施例の実行に適したキャピラリーコータの概要を、図1の(A)、(B)、図2の(A)、(B)、及び、図3の(A)、(B)を参照して説明する。
【0042】
このキャピラリーコータ10は、図1の(A)に概念図を示すように、塗布液20を貯めておくタンク11、及び、タンク11内に配置され、図示しない昇降装置によって昇降されるノズル12から構成されている。ノズル12の先端部にはスリットが設けられ、図1の(B)に概念図を示すように、図示しない昇降装置の作動によってノズル12を上昇位置に位置させたとき、毛細管現象によってノズル12の先端部のスリットから塗布液20が突出した状態となる。尚、スリットは図面の紙面垂直方向に延びている。
【0043】
図2の(A)に概念図を示すように、この状態で、基体30を図面の右手から左手方向に向かって、図示しない移動装置によって移動させると、図2の(B)に概念図を示すように、毛細管現象によってノズル12の先端部のスリットから突出した状態の塗布液20が基体30に着液(塗布)させられる。ノズル12の先端部と基体30との間の距離(ギャップ)を例えば0.2mmに保持し、基体30の移動速度を0.7m/分とする。尚、基体30に着液(塗布)させられた塗布液を塗布液21で示す。同時に、タンク11内の塗布液20が毛細管現象によって、ノズル12の先端部のスリットへと供給され続ける。塗布液20の基体30への着液(塗布)が完了したならば(図3の(A)の概念図を参照)、図示しない昇降装置の作動によってノズル12を下降位置に位置させる(図3の(B)の概念図を参照)。こうして、1枚の基体の所望の領域への塗布液の着液が完了する。
【実施例1】
【0044】
実施例1は、本発明のパターン形成方法、及び、本発明の第1の態様に係る有機電界効果型トランジスタの製造方法に関する。以下、基体等の模式的な一部端面図である図4の(A)〜(D)、図5の(A)〜(D)を参照して、実施例1のパターン形成方法、及び、実施例1の有機電界効果型トランジスタの製造方法を説明する。尚、実施例1にあっては、パターン形成方法を、有機電界効果型トランジスタのゲート電極の形成、及び、チャネル形成領域の形成に適用する。
【0045】
また、実施例1、あるいは、後述する実施例2〜実施例4にあっては、チャネル形成領域38をポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HP)のトルエン溶液に基づき形成し、ゲート電極34をPEDOT/PSS水溶液に基づき形成する。ここで、これらの溶液の接触角θ,θ’を、以下の表1に示す。尚、表1中、「OTS」は、オクタデシルトリメトキシシランを意味し、濃度は1ミリモルである。
【0046】
[表1]
液体 固体 接触角
P3HPのトルエン溶液 SiO2 θ =約30度以下
P3HPのトルエン溶液 Au θ =約30度以下
P3HPのトルエン溶液 OTS θ’=約40度
PEDOT/PSS水溶液 SiO2 θ =約34度
PEDOT/PSS水溶液 OTS θ’=約110度
【0047】
[工程−100]
先ず、ガラス基板31、及び、その表面にSiO2から成る絶縁膜32が形成されて成る基体30上にゲート電極34を形成する。具体的には、絶縁膜32上に、ゲート電極34を形成すべき部分が除去されたオクタデシルトリメトキシシラン(OTS)から成る被覆層33を、例えばPDMSスタンプ法を用いて形成する。この状態を、図4の(A)の模式的な一部端面図に示す。
【0048】
次いで、本発明のパターン形成方法を適用する。具体的には、塗布液であるPEDOT/PSS水溶液を塗布するためのノズル12を基体30の下方に配置し(図1の(A)、(B)及び図2の(A)参照)、濡れ性が制御された基体30の面(即ち、被覆層33が形成された基体30の面)を下側に向けた状態で、ノズル12と基体30とを相対的に移動させることで(図2の(A)、(B)及び図3の(A)参照)、基体30の所望の領域(具体的には、ゲート電極34を形成すべき絶縁膜32の領域)に塗布液34Aを着液させる。この状態を、図4の(B)の模式的な一部端面図に示す。その後、塗布液34Aを乾燥させ、以て、塗布液乾燥層から成るパターン、即ち、PEDOT/PSSから成るゲート電極34を得ることができる(図4の(C)の模式的な一部端面図を参照)。
【0049】
[工程−110]
次に、全面にゲート絶縁層35を形成する。具体的には、SiO2から成るゲート絶縁層35を、スパッタリング法に基づき全面に(具体的には、ゲート電極34及び被覆層33上に)形成する(図4の(D)の模式的な一部端面図を参照)。ゲート絶縁層35の成膜を行う際、ゲート電極34の一部をハードマスクで覆うことによって、ゲート電極34の取出部(図示せず)をフォトリソグラフィ・プロセス無しで形成することができる。
【0050】
[工程−120]
その後、ゲート絶縁層35の上に、ソース/ドレイン電極36を形成する。具体的には、密着層としてのチタン(Ti)層(図示せず)、及び、ソース/ドレイン電極36としての金(Au)層を、順次、真空蒸着法に基づき形成する。こうして、図5の(A)に示した構造を得ることができる。密着層及びソース/ドレイン電極36の成膜を行う際、チャネル形成領域38を形成すべき領域をハードマスクで覆うことによって、ソース/ドレイン電極36をフォトリソグラフィ・プロセス無しで形成することができる。
【0051】
[工程−130]
次に、ソース/ドレイン電極36とソース/ドレイン電極36との間のゲート絶縁層35の部分にチャネル形成領域38を形成する。
【0052】
そのために、先ず、チャネル形成領域38を形成すべき部分が除去されたオクタデシルトリメトキシシラン(OTS)から成る被覆層37を、例えばPDMSスタンプ法を用いて形成する。この状態を、図5の(B)の模式的な一部端面図に示す。
【0053】
そして、P3HPのトルエン溶液(5グラム/リットル)から成る有機半導体材料塗布液を塗布するためのノズル12を基体30の下方に配置し(図1の(A)、(B)及び図2の(A)参照)、ゲート絶縁層35及びソース/ドレイン電極36が形成され、濡れ性が制御された基体の面(即ち、被覆層37が形成された基体30の面)を下側に向けた状態で、ノズル12と基体30とを相対的に移動させることで(図2の(A)、(B)及び図3の(A)参照)、ソース/ドレイン電極36とソース/ドレイン電極36との間のゲート絶縁層35の部分に有機半導体材料塗布液38Aを着液させる。この状態を、図5の(C)の模式的な一部端面図に示す。その後、有機半導体材料塗布液38Aを乾燥させ、以て、有機半導体材料であるP3HPから成るチャネル形成領域38を得ることができる(図5の(D)の模式的な一部端面図を参照)。
【0054】
あるいは又、云い換えれば、塗布液であるP3HPのトルエン溶液を塗布するためのノズル12を基体30の下方に配置し(図1の(A)、(B)及び図2の(A)参照)、濡れ性が制御された基体30の面(即ち、被覆層37が形成された基体30の面)を下側に向けた状態で、ノズル12と基体30とを相対的に移動させることで(図2の(A)、(B)及び図3の(A)参照)、基体30の所望の領域(具体的には、チャネル形成領域38を形成すべきゲート絶縁層35)に塗布液38Aを着液させる(図5の(C)の模式的な一部端面図を参照)。その後、塗布液38Aを乾燥させ、以て、塗布液乾燥層から成るパターン、即ち、P3HPから成るチャネル形成領域38を得ることができる(図5の(D)の模式的な一部端面図を参照)。
【0055】
[工程−140]
最後に、全面にパッシベーション膜である絶縁層(図示せず)を形成し、ソース/ドレイン電極36の上方の絶縁層に開口部を形成し、開口部内を含む全面に配線材料層を形成した後、配線材料層をパターニングすることによって、ソース/ドレイン電極36に接続された配線(図示せず)が絶縁層上に形成された、ボトムゲート/ボトムコンタクト型の有機電界効果型トランジスタを得ることができる。
【0056】
即ち、このボトムゲート/ボトムコンタクト型の有機電界効果型トランジスタは、
(a)基体30上に形成されたゲート電極34、
(b)ゲート電極34上に形成されたゲート絶縁層35、
(c)ゲート絶縁層35上に形成されたソース/ドレイン電極36、並びに、
(d)ソース/ドレイン電極36の間のゲート絶縁層35の部分の上に形成されたチャネル形成領域38、
を備えている。
【実施例2】
【0057】
実施例2は、本発明のパターン形成方法、及び、本発明の第2の態様に係る有機電界効果型トランジスタの製造方法に関する。以下、基体等の模式的な一部端面図である図6の(A)〜(D)を参照して、実施例2のパターン形成方法、及び、実施例2の有機電界効果型トランジスタの製造方法を説明する。尚、実施例2にあっても、パターン形成方法を、有機電界効果型トランジスタのゲート電極の形成、及び、チャネル形成領域の形成に適用する。
【0058】
[工程−200]
先ず、実施例1の[工程−100]と同様の工程を実行して、基体30上にゲート電極34を形成した後、実施例1の[工程−110]と同様の工程を実行して、全面にゲート絶縁層35を形成する。
【0059】
[工程−210]
次に、ゲート絶縁層35上にチャネル形成領域38及びチャネル形成領域延在部39を形成する。具体的には、実施例1の[工程−130]と同様の工程を実行する。即ち、先ず、チャネル形成領域38及びチャネル形成領域延在部39を形成すべき部分が除去されたオクタデシルトリメトキシシラン(OTS)から成る被覆層37を、例えばPDMSスタンプ法を用いて形成する。この状態を、図6の(A)の模式的な一部端面図に示す。
【0060】
そして、P3HPのトルエン溶液(5グラム/リットル)から成る有機半導体材料塗布液を塗布するためのノズル12を基体30の下方に配置し(図1の(A)、(B)及び図2の(A)参照)、ゲート絶縁層35が形成され、濡れ性が制御された基体30の面(即ち、被覆層37が形成された基体30の面)を下側に向けた状態で、ノズル12と基体30とを相対的に移動させることで(図2の(A)、(B)及び図3の(A)参照)、ゲート絶縁層35に有機半導体材料塗布液38Aを着液させる。この状態を、図6の(B)の模式的な一部端面図に示す。その後、有機半導体材料塗布液38Aを乾燥させ、以て、有機半導体材料であるP3HPから成るチャネル形成領域38を得ることができる(図6の(C)の模式的な一部端面図を参照)。
【0061】
あるいは又、云い換えれば、塗布液であるP3HPのトルエン溶液を塗布するためのノズル12を基体30の下方に配置し(図1の(A)、(B)及び図2の(A)参照)、濡れ性が制御された基体30の面(即ち、被覆層37が形成された基体30の面)を下側に向けた状態で、ノズル12と基体30とを相対的に移動させることで(図2の(A)、(B)及び図3の(A)参照)、基体30の所望の領域(具体的には、チャネル形成領域38を形成すべきゲート絶縁層35の領域)に塗布液38Aを着液させる(図6の(B)の模式的な一部端面図を参照)。その後、塗布液38Aを乾燥させ、以て、塗布液乾燥層から成るパターン、即ち、P3HPから成るチャネル形成領域38を得ることができる(図6の(C)の模式的な一部端面図を参照)。
【0062】
[工程−220]
その後、実施例1の[工程−120]と同様の工程を実行して、チャネル形成領域延在部39の上に、ソース/ドレイン電極36を形成する。具体的には、密着層としてのチタン(Ti)層(図示せず)、及び、ソース/ドレイン電極36としての金(Au)層を、順次、真空蒸着法に基づき形成する。こうして、図6の(D)に示した構造を得ることができる。密着層及びソース/ドレイン電極36の成膜を行う際、チャネル形成領域38をハードマスクで覆うことによって、ソース/ドレイン電極36をフォトリソグラフィ・プロセス無しで形成することができる。
【0063】
[工程−230]
最後に、実施例1の[工程−140]と同様の工程を実行することで、ボトムゲート/トップコンタクト型の有機電界効果型トランジスタを得ることができる。
【0064】
即ち、このボトムゲート/トップコンタクト型の有機電界効果型トランジスタは、
(a)基体30上に形成されたゲート電極34、
(b)ゲート電極34上に形成されたゲート絶縁層35、
(c)ゲート絶縁層35上に形成されたチャネル形成領域38及びチャネル形成領域延在部39、並びに、
(d)チャネル形成領域延在部39上に形成されたソース/ドレイン電極36、
を備えている。
【実施例3】
【0065】
実施例3は、本発明のパターン形成方法、及び、本発明の第3の態様に係る有機電界効果型トランジスタの製造方法に関する。以下、基体等の模式的な一部端面図である図7の(A)〜(D)及び図8の(A)〜(B)を参照して、実施例3のパターン形成方法、及び、実施例3の有機電界効果型トランジスタの製造方法を説明する。尚、実施例3にあっても、パターン形成方法を、有機電界効果型トランジスタのゲート電極の形成、及び、チャネル形成領域の形成に適用する。
【0066】
[工程−300]
先ず、ガラス基板31、及び、その表面にSiO2から成る絶縁膜32が形成されて成る基体30上にソース/ドレイン電極36を、例えば、リフトオフ法に基づき形成する。具体的には、絶縁膜32上に、ソース/ドレイン電極36を形成すべき部分が除去されたレジスト層をフォトリソグラフィ技術に基づき形成し、次いで、密着層としてのチタン(Ti)層(図示せず)、及び、ソース/ドレイン電極36としての金(Au)層を、順次、真空蒸着法に基づき形成した後、レジスト層を除去する。こうして、図7の(A)に示した構造を得ることができる。
【0067】
[工程−310]
次いで、ソース/ドレイン電極36とソース/ドレイン電極36との間の基体30(より具体的には、絶縁膜32)の部分にチャネル形成領域38を形成する。
【0068】
そのために、先ず、チャネル形成領域38を形成すべき部分が除去されたオクタデシルトリメトキシシラン(OTS)から成る被覆層33を、例えばPDMSスタンプ法を用いて形成する。この状態を、図7の(B)の模式的な一部端面図に示す。
【0069】
そして、P3HPのトルエン溶液(5グラム/リットル)から成る有機半導体材料塗布液を塗布するためのノズル12を基体30の下方に配置し(図1の(A)、(B)及び図2の(A)参照)、ソース/ドレイン電極36が形成され、濡れ性が制御された基体の面(即ち、被覆層33が形成された基体30の面)を下側に向けた状態で、ノズル12と基体30とを相対的に移動させることで(図2の(A)、(B)及び図3の(A)参照)、ソース/ドレイン電極36とソース/ドレイン電極36との間の基体30の部分に有機半導体材料塗布液38Aを着液させる。この状態を、図7の(C)の模式的な一部端面図に示す。その後、有機半導体材料塗布液38Aを乾燥させ、以て、有機半導体材料であるP3HPから成るチャネル形成領域38を得ることができる(図7の(D)の模式的な一部端面図を参照)。
【0070】
あるいは又、云い換えれば、塗布液であるP3HPのトルエン溶液を塗布するためのノズル12を基体30の下方に配置し(図1の(A)、(B)及び図2の(A)参照)、濡れ性が制御された基体30の面(即ち、被覆層33が形成された基体30の面)を下側に向けた状態で、ノズル12と基体30とを相対的に移動させることで(図2の(A)、(B)及び図3の(A)参照)、基体30の所望の領域(具体的には、チャネル形成領域38を形成すべき絶縁膜32の領域)に塗布液38Aを着液させる(図7の(C)の模式的な一部端面図を参照)。その後、塗布液38Aを乾燥させ、以て、塗布液乾燥層から成るパターン、即ち、P3HPから成るチャネル形成領域38を得ることができる(図7の(D)の模式的な一部端面図を参照)。
【0071】
[工程−320]
次に、全面にゲート絶縁層35を形成する。具体的には、SiO2から成るゲート絶縁層35を、スパッタリング法に基づき全面に(具体的には、チャネル形成領域38及び被覆層33上に)形成する(図8の(A)の模式的な一部端面図を参照)。
【0072】
[工程−330]
その後、ゲート絶縁層35の上に、ゲート電極34を形成する。具体的には、実施例1の[工程−100]と同様の工程を実行する。即ち、先ず、ゲート絶縁層35上に、ゲート電極34を形成すべき部分が除去されたオクタデシルトリメトキシシラン(OTS)から成る被覆層37を、例えばPDMSスタンプ法を用いて形成する。次いで、本発明のパターン形成方法を適用する。具体的には、塗布液であるPEDOT/PSS水溶液を塗布するためのノズル12を基体30の下方に配置し(図1の(A)、(B)及び図2の(A)参照)、濡れ性が制御された基体30の面(即ち、被覆層37が形成された基体30の面)を下側に向けた状態で、ノズル12と基体30とを相対的に移動させることで(図2の(A)、(B)及び図3の(A)参照)、基体30の所望の領域(具体的には、ゲート電極34を形成すべきゲート絶縁層35の領域)に塗布液を着液させる。その後、塗布液を乾燥させ、以て、塗布液乾燥層から成るパターン、即ち、PEDOT/PSSから成るゲート電極34を得ることができる(図8の(B)の模式的な一部端面図を参照)。
【0073】
[工程−340]
最後に、実施例1の[工程−140]と同様の工程を実行することで、トップゲート/ボトムコンタクト型の有機電界効果型トランジスタを得ることができる。
【0074】
即ち、このトップゲート/ボトムコンタクト型の有機電界効果型トランジスタは、
(a)基体30上に形成されたソース/ドレイン電極36、
(b)ソース/ドレイン電極36の間の基体30の部分の上に形成されたチャネル形成領域38、
(c)チャネル形成領域38上に形成されたゲート絶縁層35、並びに、
(d)ゲート絶縁層35上に形成されたゲート電極34、
を備えている。
【実施例4】
【0075】
実施例4は、本発明のパターン形成方法、及び、本発明の第4の態様に係る有機電界効果型トランジスタの製造方法に関する。以下、基体等の模式的な一部端面図である図9の(A)〜(D)及び図10の(A)〜(B)を参照して、実施例4のパターン形成方法、及び、実施例4の有機電界効果型トランジスタの製造方法を説明する。尚、実施例4にあっても、パターン形成方法を、有機電界効果型トランジスタのゲート電極の形成、及び、チャネル形成領域の形成に適用する。
【0076】
[工程−400]
先ず、基体30上にチャネル形成領域38及びチャネル形成領域延在部39を形成する。
【0077】
そのために、先ず、チャネル形成領域38を形成すべき部分が除去されたオクタデシルトリメトキシシラン(OTS)から成る被覆層33を、例えばPDMSスタンプ法を用いて形成する。この状態を、図9の(A)の模式的な一部端面図に示す。
【0078】
そして、P3HPのトルエン溶液(5グラム/リットル)から成る有機半導体材料塗布液を塗布するためのノズル12を基体30の下方に配置し(図1の(A)、(B)及び図2の(A)参照)、濡れ性が制御された基体の面(即ち、被覆層33が形成された基体30の面)を下側に向けた状態で、ノズル12と基体30とを相対的に移動させることで(図2の(A)、(B)及び図3の(A)参照)、基体30の部分に有機半導体材料塗布液38Aを着液させる。この状態を、図9の(B)の模式的な一部端面図に示す。その後、有機半導体材料塗布液38Aを乾燥させ、以て、有機半導体材料であるP3HPから成るチャネル形成領域38及びチャネル形成領域延在部39を得ることができる(図9の(C)の模式的な一部端面図を参照)。
【0079】
あるいは又、云い換えれば、塗布液であるP3HPのトルエン溶液を塗布するためのノズル12を基体30の下方に配置し(図1の(A)、(B)及び図2の(A)参照)、濡れ性が制御された基体30の面(即ち、被覆層33が形成された基体30の面)を下側に向けた状態で、ノズル12と基体30とを相対的に移動させることで(図2の(A)、(B)及び図3の(A)参照)、基体30の所望の領域(具体的には、チャネル形成領域38を形成すべき絶縁膜32の領域)に塗布液38Aを着液させる(図9の(B)の模式的な一部端面図を参照)。その後、塗布液38Aを乾燥させ、以て、塗布液乾燥層から成るパターン、即ち、P3HPから成るチャネル形成領域38及びチャネル形成領域延在部39を得ることができる(図9の(C)の模式的な一部端面図を参照)。
【0080】
[工程−410]
その後、チャネル形成領域延在部39の上に、ソース/ドレイン電極36を形成する。具体的には、密着層としてのチタン(Ti)層(図示せず)、及び、ソース/ドレイン電極36としての金(Au)層を、順次、真空蒸着法に基づき形成する。こうして、図9の(D)に示した構造を得ることができる。ソース/ドレイン電極36の成膜を行う際、チャネル形成領域38を形成すべき領域をハードマスクで覆うことによって、ソース/ドレイン電極36をフォトリソグラフィ・プロセス無しで形成することができる。
【0081】
[工程−420]
次に、全面にゲート絶縁層35を形成する。具体的には、SiO2から成るゲート絶縁層35を、スパッタリング法に基づき全面に(具体的には、チャネル形成領域38及びソース/ドレイン電極36上に)形成する(図10の(A)の模式的な一部端面図を参照)。
【0082】
[工程−430]
その後、実施例3の[工程−330]と同様の工程を実行する。即ち、ゲート絶縁層35の上に、ゲート電極34を形成する。そのために、先ず、ゲート絶縁層35上に、ゲート電極34を形成すべき部分が除去されたオクタデシルトリメトキシシラン(OTS)から成る被覆層37を、例えばPDMSスタンプ法を用いて形成する。次いで、本発明のパターン形成方法を適用する。具体的には、塗布液であるPEDOT/PSS水溶液を塗布するためのノズル12を基体30の下方に配置し(図1の(A)、(B)及び図2の(A)参照)、濡れ性が制御された基体30の面(即ち、被覆層37が形成された基体30の面)を下側に向けた状態で、ノズル12と基体30とを相対的に移動させることで(図2の(A)、(B)及び図3の(A)参照)、基体30の所望の領域(具体的には、ゲート電極34を形成すべきゲート絶縁層35の領域)に塗布液を着液させる。その後、塗布液を乾燥させ、以て、塗布液乾燥層から成るパターン、即ち、PEDOT/PSSから成るゲート電極34を得ることができる(図10の(B)の模式的な一部端面図を参照)。
【0083】
[工程−440]
最後に、実施例1の[工程−140]と同様の工程を実行することで、トップゲート/トップコンタクト型の有機電界効果型トランジスタを得ることができる。
【0084】
即ち、このトップゲート/トップコンタクト型の有機電界効果型トランジスタは、
(a)基体30上に形成されたチャネル形成領域38及びチャネル形成領域延在部39、
(b)チャネル形成領域延在部39上に形成されたソース/ドレイン電極36、
(c)ソース/ドレイン電極36及びチャネル形成領域38上に形成されたゲート絶縁層35、並びに、
(d)ゲート絶縁層35上に形成されたゲート電極34、
を備えている。
【実施例5】
【0085】
実施例5は、本発明のパターン形成方法に関する。実施例5にあっては、所望の領域としての凹部、及び、凸部を有する凹凸構造を基体30に形成することによって基体30の面の濡れ性を制御する。そして、凹部に塗布液を着液させる。更には、塗布液乾燥層から成るパターンを得た後、このパターンを第2の基体に転写する。
【0086】
具体的には、図11の(A)に模式的な一部端面図を示すように、ガラス基板41から成る基体30に、所望の領域としての凹部42、及び、凸部43を有する凹凸構造を形成する。尚、凸部43は、厚さ数nmのパーフルオロオクチルトリクロロシランから構成されており、例えばリフトオフ法を用いて形成することができる。
【0087】
この状態で、本発明のパターン形成方法を実行する。即ち、塗布液であるP3HPのトルエン溶液を塗布するためのノズル12を基体30の下方に配置し(図1の(A)、(B)及び図2の(A)参照)、濡れ性が制御された基体30の面(即ち、凹凸構造が形成された基体30の面)を下側に向けた状態で、ノズル12と基体30とを相対的に移動させることで(図2の(A)、(B)及び図3の(A)参照)、基体30の所望の領域(具体的には、凹部42)に塗布液44Aを着液させる(図11の(B)の模式的な一部端面図を参照)。その後、塗布液44Aを乾燥させ、以て、塗布液乾燥層から成るパターン44、即ち、例えば、P3HPから成るチャネル形成領域を構成する層を得ることができる。
【0088】
その後、このパターンであるチャネル形成領域を構成する層を、例えば、図5の(A)に示した状態の第2の基体、図6の(A)に示した状態の第2の基体(但し、被覆層37の形成は不要)、図7の(A)に示した状態の第2の基体、図9の(A)に示した状態の第2の基体(但し、被覆層33の形成は不要)に転写することによって、第2の基体に所望のパターンであるチャネル形成領域38を形成してもよい。
【0089】
あるいは又、基体30の所望の領域(具体的には、凹部42)に塗布液44Aを着液させ、次いで、塗布液44Aを乾燥させ、以て、塗布液乾燥層から成るパターン44、即ち、例えば、PEDOT/PSSから成るゲート電極を構成する層を得ることができる。その後、このパターンであるゲート電極を構成する層を、例えば、図4の(A)に示した状態の第2の基体(但し、被覆層33の形成は不要)、図8の(A)に示した状態の第2の基体に転写することによって、第2の基体に所望のパターンであるゲート電極34を形成してもよい。
【0090】
あるいは又、基体30の所望の領域(具体的には、凹部42)に塗布液44Aを着液させ、次いで、塗布液44Aを乾燥させ、以て、塗布液乾燥層から成るパターン44、即ち、例えば、PEDOT/PSSから成るソース/ドレイン電極を構成する層を得ることができる。その後、このパターンであるソース/ドレイン電極を構成する層を、例えば、図4の(D)に示した状態の第2の基体、図7の(A)に示したソース/ドレイン電極36を形成する前の状態の第2の基体、図9の(C)に示した状態の第2の基体に転写することによって、第2の基体に所望のパターンであるソース/ドレイン電極36を形成してもよい。
【0091】
パターンの第2の基体への転写の具体的な方法として、凹凸のあるスタンプ(フッ素系樹脂から作製されたスタンプ、あるいは、フッ素系樹脂にて表面処理された基板から作製されたスタンプ、あるいは、10ミリモルのOTS処理がなされたスタンプ)の凸部に、例えばポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HP)をインクとして乗せ、その後、全面が平坦なPDMS(シリコンゴム)にスタンプの凸面に乗せられたP3HPを転写し、次いで、PDMSに転写されたP3HPを所望の第2の基体に転写するといった方法を例示することができる。
【実施例6】
【0092】
実施例6は、実施例5の変形である。以下、基体等の模式的な一部断面図である図12の(A)〜(D)を参照して、実施例6のパターン形成方法を説明する。
【0093】
実施例6にあっては、先ず、ガラス基板51から成る基体30の表面に、周知のフォトリソグラフィ技術に基づき、レジスト層52を形成する(図12の(A)参照)。
【0094】
次いで、撥液性の表面処理剤であるパーフルオロオクチルトリクロロシランのメタキシレンヘキサフロライド溶液(ガラス基板51に対する接触角θ’=約120度)中に基体全体を浸漬することで、あるいは、この溶液の蒸気に晒すことで、レジスト層52によって覆われていない基体30の部分に撥水処理を施す(図12の(B)参照)。
【0095】
次いで、レジスト層52を除去した後、親液性の表面処理剤であるアミノトリクロロシランの無水エタノール溶液(ガラス基板51に対する接触角θ=約30度以下)中に基体全体を浸漬することで、レジスト層52によって覆われていた基体30の部分に親水処理を施す(図12の(C)参照)。尚、撥水処理表面にはアミノトリクロロシランは付くことがない。
【0096】
この状態で、本発明のパターン形成方法を実行する。即ち、塗布液であるPEDOT/PSSの水溶液を塗布するためのノズル12を基体30の下方に配置し(図1の(A)、(B)及び図2の(A)参照)、濡れ性が制御された基体30の面(即ち、親水処理表面及び撥水処理表面を有する基体30の面)を下側に向けた状態で、ノズル12と基体30とを相対的に移動させることで(図2の(A)、(B)及び図3の(A)参照)、基体30の所望の領域(具体的には、親水処理表面)に塗布液54Aを着液させる(図12の(D)の模式的な一部端面図を参照)。その後、塗布液54Aを乾燥させ、以て、塗布液乾燥層から成るパターン54を得ることができる。その後、このパターンを、実施例5において説明したと同様の方法で第2の基体への転写すればよい。
【実施例7】
【0097】
実施例7は、本発明のフレキシブルプリント回路板の製造方法に関する。
【0098】
実施例7のフレキシブルプリント回路板の製造方法にあっては、先ず、例えば、厚さ100μmのPESフィルムから成る基体30の表面に酸素プラズマ処理を施し、基体30の表面を親水処理表面とする。次に、乾式間接静電複写機を用いてトナー粒子を係る基体30の表面に転写・定着させることで、トナー粒子から成り、パターニングされた撥液性領域を基体30の表面に形成する。尚、基体30は可撓性を有しているので、以上の操作は、ロール状の基体30に対して、所謂ロール・トゥ・ロールにて行うことができる。
【0099】
次いで、例えばPEDOT/PSS水溶液から成る導電材料塗布液を塗布するためのノズル12を基体30の下方に配置し(図1の(A)、(B)及び図2の(A)参照)、濡れ性が制御された基体の面(トナー粒子から成り、パターニングされた撥液性領域が表面に形成され、その他の領域は親水処理表面である基体30の面)を下側に向けた状態で、ノズル12と基体30とを相対的に移動させることで(図2の(A)、(B)及び図3の(A)参照)、基体30に導電材料塗布液を着液させた後、導電材料塗布液を乾燥させ、以て、導電材料塗布液乾燥層(具体的には、PEDOT/PSS層)から成る回路パターン(フレキシブルプリント回路板)を得ることができる。尚、場合によっては、こうして得られた回路パターンを第2の基体への転写してもよい。
【0100】
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。有機電界効果型トランジスタやフレキシブルプリント回路板の構造や構成、製造条件、製造方法は例示であり、適宜変更することができる。本発明によって得られた有機電界効果型トランジスタ(TFT)を、ディスプレイ装置や各種の電子機器に適用、使用する場合、支持体や支持部材に多数のTFTを集積したモノリシック集積回路としてもよいし、各TFTを切断して個別化し、ディスクリート部品として使用してもよい。また、本発明のパターン形成方法を、例えば、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、有機太陽電池、各種センサー、カラーフィルターの製造に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】図1の(A)及び(B)は、キャピラリーコータの概要を示す図であり、キャピラリーコータを用いて基体上に塗布液を塗布している状態を模式的に示す図である。
【図2】図2の(A)及び(B)は、図1の(B)に引き続き、キャピラリーコータの概要を示す図であり、キャピラリーコータを用いて基体上に塗布液を塗布している状態を模式的に示す図である。
【図3】図3の(A)及び(B)は、図2の(B)に引き続き、キャピラリーコータの概要を示す図であり、キャピラリーコータを用いて基体上に塗布液を塗布している状態を模式的に示す図である。
【図4】図4の(A)〜(D)は、実施例1のパターン形成方法、及び、実施例1の有機電界効果型トランジスタの製造方法を説明するための基体等の模式的な一部断面図である。
【図5】図5の(A)〜(D)は、図4の(D)に引き続き、実施例1のパターン形成方法、及び、実施例1の有機電界効果型トランジスタの製造方法を説明するための基体等の模式的な一部断面図である。
【図6】図6の(A)〜(D)は、実施例2のパターン形成方法、及び、実施例2の有機電界効果型トランジスタの製造方法を説明するための基体等の模式的な一部断面図である。
【図7】図7の(A)〜(D)は、実施例3のパターン形成方法、及び、実施例3の有機電界効果型トランジスタの製造方法を説明するための基体等の模式的な一部断面図である。
【図8】図8の(A)〜(B)は、図7の(D)に引き続き、実施例3のパターン形成方法、及び、実施例3の有機電界効果型トランジスタの製造方法を説明するための基体等の模式的な一部断面図である。
【図9】図9の(A)〜(D)は、実施例4のパターン形成方法、及び、実施例4の有機電界効果型トランジスタの製造方法を説明するための基体等の模式的な一部断面図である。
【図10】図10の(A)〜(B)は、図9の(D)に引き続き、実施例4のパターン形成方法、及び、実施例4の有機電界効果型トランジスタの製造方法を説明するための基体等の模式的な一部断面図である。
【図11】図11の(A)〜(B)は、実施例5のパターン形成方法を説明するための基体等の模式的な一部断面図である。
【図12】図12の(A)〜(D)は、実施例6のパターン形成方法を説明するための基体等の模式的な一部断面図である。
【符号の説明】
【0102】
10・・・キャピラリーコータ、11・・・タンク、12・・・ノズル、20,21・・・塗布液、30・・・基体、31・・・ガラス基板、32・・・絶縁膜、33,37・・・被覆層、34・・・ゲート電極、34A,44A,54A・・・塗布液、35・・・ゲート絶縁層、36・・・ソース/ドレイン電極、38・・・チャネル形成領域、38A・・・有機半導体材料塗布液(塗布液)、39・・・チャネル形成領域延在部、41,51・・・ガラス基板、42・・・凹部、43・・・凸部、44,54・・・パターン、52・・・レジスト層
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン形成方法、有機電界効果型トランジスタの製造方法、及び、フレキシブルプリント回路板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多くの電子機器に用いられている薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor,TFT)を含む電界効果型トランジスタ(FET)は、例えば、シリコン半導体基板あるいはシリコン半導体層に形成されたチャネル形成領域及びソース/ドレイン領域、シリコン半導体基板表面あるいはシリコン半導体層表面に形成されたSiO2から成るゲート絶縁層、並びに、ゲート絶縁層を介してチャネル形成領域に対向して設けられたゲート電極から構成されている。あるいは又、支持体上に形成されたゲート電極、ゲート電極上を含む支持体上に形成されたゲート絶縁層、並びに、ゲート絶縁層上に形成されたチャネル形成領域及びソース/ドレイン電極から構成されている。そして、これらの構造を有する電界効果型トランジスタの作製には、非常に高価な半導体装置を製造するための製造装置が使用されており、製造コストの低減が強く要望されている。
【0003】
そこで、近年、印刷法に例示される真空技術を用いない方法に基づき製造が可能な有機半導体材料を用いたFETの研究、開発に注目が集まっており、その性能も実用化レベルまであと一歩というところまで到達している。
【0004】
従来、親水性領域と疎水性領域とから構成されたパターンを基板の表面に形成し、これを版としてパターニングをする方法が、オフセット印刷法としてよく知られている。オフセット印刷法において使用されるインクは、一般に高粘度であるが、低粘度の液状物質を使用したパターニング例も報告されている。
【0005】
また、Michael L. Chabinyc, et al., "Organic polymeric thin-film transistors fabricated by selective dewetting", APPL. PHYS. Lett 81.4260-4262(2002) (以下、文献1と呼ぶ場合がある)には、基板上にワックスを印刷し、ワックスによって被覆されていない基板の領域にSAM(Self-Assembled Monolayer)を堆積させた後、ワックスを除去し、ワックスで覆われていた領域(この領域にはSAMは形成されていない)に有機半導体材料を堆積させる技術が開示されている。有機半導体材料の堆積は、有機半導体材料の溶液中に基板を浸漬し、基板を垂直に引き上げることによって行われる。
【0006】
あるいは又、有機半導体材料の塗布液をダイコーティング法やディップコーティング法、スピンコーティング法に基づき基板に塗布する方法も周知である。
【0007】
【非特許文献1】Michael L. Chabinyc, et al., "Organic polymeric thin-film transistors fabricated by selective dewetting", APPL. PHYS. Lett 81.4260-4262(2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、文献1に開示された技術、あるいは、上述した従来のコーティング法では、本来、塗布液が存在してはならない領域にまで、重力の影響によって、塗布液が存在したり、塗布液が溜まり、所望のパターンを得ることが困難な場合がある。また、ディップコーティング法では、基板の両面が塗布液で濡れてしまうといった問題や、塗布液の成膜速度が遅いといった問題があるし、スピンコーティング法では、塗布液の大部分が無駄になってしまうといった問題がある。
【0009】
従って、本発明の目的は、特に、本来、塗布液が存在してはならない領域にまで、重力の影響によって、塗布液が存在したり、塗布液が溜まる結果、所望のパターンを得ることが困難となるといった従来のコーティング法における問題点を確実に解決することができるパターン形成方法、並びに、係るパターン形成方法を応用した有機電界効果型トランジスタの製造方法、及び、フレキシブルプリント回路板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するための本発明のパターン形成方法は、塗布液を塗布するためのノズルを基体の下方に配置し、濡れ性が制御された基体の面を下側に向けた状態で、ノズルと基体とを相対的に移動させることで、基体の所望の領域に塗布液を着液させた後、塗布液を乾燥させ、以て、塗布液乾燥層から成るパターンを得ることを特徴とする。
【0011】
本発明のパターン形成方法においては、限定するものではないが、
所望の領域としての凹部、及び、凸部を有する凹凸構造を基体に形成することによって基体の面の濡れ性を制御し、
凹部に塗布液を着液させる構成とすることができる。
【0012】
また、本発明のパターン形成方法においては、基体の所望の領域と塗布液との接触角をθ、基体の所望の領域以外の領域と塗布液との接触角をθ’としたとき、θ<θ’の関係を満足することが好ましい。即ち、基体の所望の領域を親液性とする場合、基体の所望の領域以外の領域を疎液性あるいは撥液性とすることが望ましく、あるいは又、基体の所望の領域を疎液性とする場合、基体の所望の領域以外の領域を撥液性とすることが望ましい。ここで、親液性であるとは、塗布液との接触角が90度未満であると定義し、疎液性であるとは、塗布液との接触角が90度以上、110度未満であると定義し、撥液性であるとは、塗布液との接触角が110度以上であると定義する。使用する基体及び塗布液の性状にも依存するが、θ>θ’の関係を満足するといった場合もあり得る。
【0013】
本発明のパターン形成方法においては、基体に所望のパターンを形成するが、場合によっては、塗布液乾燥層から成るパターンを得た後、このパターンを第2の基体に転写することによって、第2の基体に所望のパターンを形成してもよい。パターンの第2の基体への転写の具体的な方法として、凹凸のあるスタンプ(フッ素系樹脂から作製されたスタンプ、あるいは、フッ素系樹脂にて表面処理された基板から作製されたスタンプ、あるいは、10ミリモルのOTS処理がなされたスタンプ)の凸部に、例えばポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HP)をインクとして乗せ、その後、全面が平坦なPDMS(シリコンゴム)にスタンプの凸面に乗せられたP3HPを転写し、次いで、PDMSに転写されたP3HPを所望の第2の基体に転写するといった方法を例示することができる。
【0014】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る有機電界効果型トランジスタの製造方法は、所謂ボトムゲート/ボトムコンタクト型の有機電界効果型トランジスタの製造方法であり、
(A)基体上にゲート電極を形成した後、
(B)全面にゲート絶縁層を形成し、次いで、
(C)ゲート絶縁層上にソース/ドレイン電極を形成した後、
(D)ソース/ドレイン電極とソース/ドレイン電極との間のゲート絶縁層の部分にチャネル形成領域を形成する、
各工程から成る有機電界効果型トランジスタの製造方法であって、
前記工程(D)において、有機半導体材料塗布液を塗布するためのノズルを基体の下方に配置し、ゲート絶縁層及びソース/ドレイン電極が形成され、濡れ性が制御された基体の面を下側に向けた状態で、ノズルと基体とを相対的に移動させることで、ソース/ドレイン電極とソース/ドレイン電極との間のゲート絶縁層の部分に有機半導体材料塗布液を着液させた後、有機半導体材料塗布液を乾燥させ、以て、有機半導体材料から成るチャネル形成領域を得ることを特徴とする。
【0015】
尚、こうして得られたボトムゲート/ボトムコンタクト型の有機電界効果型トランジスタは、
(a)基体上に形成されたゲート電極、
(b)ゲート電極に形成されたゲート絶縁層、
(c)ゲート絶縁層上に形成されたソース/ドレイン電極、並びに、
(d)ソース/ドレイン電極の間のゲート絶縁層の部分の上に形成されたチャネル形成領域、
を備えている。
【0016】
また、上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る有機電界効果型トランジスタの製造方法は、所謂ボトムゲート/トップコンタクト型の有機電界効果型トランジスタの製造方法であり、
(A)基体上にゲート電極を形成した後、
(B)全面にゲート絶縁層を形成し、次いで、
(C)ゲート絶縁層上にチャネル形成領域及びチャネル形成領域延在部を形成した後、
(D)チャネル形成領域延在部上にソース/ドレイン電極を形成する、
各工程から成る有機電界効果型トランジスタの製造方法であって、
前記工程(C)において、有機半導体材料塗布液を塗布するためのノズルを基体の下方に配置し、ゲート絶縁層が形成され、濡れ性が制御された基体の面を下側に向けた状態で、ノズルと基体とを相対的に移動させることで、ゲート絶縁層に有機半導体材料塗布液を着液させた後、有機半導体材料塗布液を乾燥させ、以て、有機半導体材料から成るチャネル形成領域及びチャネル形成領域延在部を得ることを特徴とする。
【0017】
尚、こうして得られたボトムゲート/トップコンタクト型の有機電界効果型トランジスタは、
(a)基体上に形成されたゲート電極、
(b)ゲート電極上に形成されたゲート絶縁層、
(c)ゲート絶縁層上に形成されたチャネル形成領域及びチャネル形成領域延在部、並びに、
(d)チャネル形成領域延在部上に形成されたソース/ドレイン電極、
を備えている。
【0018】
更には、上記の目的を達成するための本発明の第3の態様に係る有機電界効果型トランジスタの製造方法は、所謂トップゲート/ボトムコンタクト型の有機電界効果型トランジスタの製造方法であり、
(A)基体上にソース/ドレイン電極を形成した後、
(B)ソース/ドレイン電極とソース/ドレイン電極との間の基体の部分にチャネル形成領域を形成し、次いで、
(C)全面にゲート絶縁層を形成した後、
(D)ゲート絶縁層上にゲート電極を形成する、
各工程から成る有機電界効果型トランジスタの製造方法であって、
前記工程(B)において、有機半導体材料塗布液を塗布するためのノズルを基体の下方に配置し、ソース/ドレイン電極が形成され、濡れ性が制御された基体の面を下側に向けた状態で、ノズルと基体とを相対的に移動させることで、ソース/ドレイン電極とソース/ドレイン電極との間の基体の部分に有機半導体材料塗布液を着液させた後、有機半導体材料塗布液を乾燥させ、以て、有機半導体材料から成るチャネル形成領域を得ることを特徴とする。
【0019】
尚、こうして得られたトップゲート/ボトムコンタクト型の有機電界効果型トランジスタは、
(a)基体上に形成されたソース/ドレイン電極、
(b)ソース/ドレイン電極の間の基体の部分の上に形成されたチャネル形成領域、
(c)チャネル形成領域上に形成されたゲート絶縁層、並びに、
(d)ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極、
を備えている。
【0020】
また、上記の目的を達成するための本発明の第4の態様に係る有機電界効果型トランジスタの製造方法は、所謂トップゲート/トップコンタクト型の有機電界効果型トランジスタの製造方法であり、
(A)基体上にチャネル形成領域及びチャネル形成領域延在部を形成した後、
(B)チャネル形成領域延在部上にソース/ドレイン電極を形成し、次いで、
(C)全面にゲート絶縁層を形成した後、
(D)ゲート絶縁層上にゲート電極を形成する、
各工程から成る有機電界効果型トランジスタの製造方法であって、
前記工程(A)において、有機半導体材料塗布液を塗布するためのノズルを基体の下方に配置し、濡れ性が制御された基体の面を下側に向けた状態で、ノズルと基体とを相対的に移動させることで、基体に有機半導体材料塗布液を着液させた後、有機半導体材料塗布液を乾燥させ、以て、有機半導体材料から成るチャネル形成領域及びチャネル形成領域延在部を得ることを特徴とする。
【0021】
尚、こうして得られたトップゲート/トップコンタクト型の有機電界効果型トランジスタは、
(a)基体上に形成されたチャネル形成領域及びチャネル形成領域延在部、
(b)チャネル形成領域延在部上に形成されたソース/ドレイン電極、
(c)ソース/ドレイン電極及びチャネル形成領域上に形成されたゲート絶縁層、並びに、
(d)ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極、
を備えている。
【0022】
上記の目的を達成するための本発明のフレキシブルプリント回路板の製造方法は、導電材料塗布液を塗布するためのノズルを基体の下方に配置し、濡れ性が制御された基体の面を下側に向けた状態で、ノズルと基体とを相対的に移動させることで、基体に導電材料塗布液を着液させた後、導電材料塗布液を乾燥させ、以て、導電材料塗布液乾燥層から成る回路パターンを得ることを特徴とする。
【0023】
本発明のパターン形成方法、有機電界効果型トランジスタの製造方法、あるいは、フレキシブルプリント回路板の製造方法(以下、これらを総称して、単に、本発明と呼ぶ場合がある)におけるノズルを含む塗布装置として、所謂キャピラリーコータを挙げることができる。ノズルと基体との相対的な移動は、ノズルを固定して基体を移動させてもよいし、基体を固定してノズルを移動させてもよいし、ノズル及び基体を移動させてもよい。
【0024】
本発明のパターン形成方法における塗布液として、有機半導体材料を溶媒に溶解した塗布液を挙げることができ、より具体的には、[有機半導体材料,溶媒]の組合せとして、[ポリ−3−ヘキシルチオフェン,トルエン]、[ポリ−3−ヘキシルチオフェン,クロロホルム]、[ポリ−3−ヘキシルチオフェン,キシレン]、[ポリ−3−ヘキシルチオフェン,テトラヒドロフラン(THF)]、[ポリ−3−ヘキシルチオフェン,クロロベンセン]を挙げることができる。
【0025】
あるいは又、本発明のパターン形成方法における塗布液として、導電材料を溶媒に溶解した塗布液を挙げることができ、より具体的には、[導電材料,溶媒]の組合せとして、[ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸[PEDOT/PSS],水]、[PEDOT/PSS,イソプロピルアルコールと水との混合液]、[PEDOT/PSS,水と界面活性剤との混合液]、[PEDOT/PSS,水とエチレングリコールとの混合液]、[銀ナノ粒子,酢酸エチル]、[銀ナノ粒子,水]、[銀ナノ粒子,トルエン]、[金ナノ粒子,トルエン]、[金ナノ粒子,クロロホルム]、[金ナノ粒子,ヘキサン]を挙げることができる。
【0026】
あるいは又、本発明のパターン形成方法における塗布液として、有機EL発光材料を溶媒に溶解した塗布液を挙げることができ、より具体的には、[有機EL発光材料,溶媒]の組合せとして、[MEH−PPV,クロロベンセン]を挙げることができる。
【0027】
また、本発明の第1の態様〜第4の態様に係る有機電界効果型トランジスタの製造方法(以下、これらを総称して、単に、本発明の有機電界効果型トランジスタの製造方法と呼ぶ場合がある)における有機半導体材料塗布液として、有機半導体材料を溶媒に溶解した塗布液を挙げることができ、より具体的には、[有機半導体材料,溶媒]の組合せとして、上述した本発明のパターン形成方法における[有機半導体材料,溶媒]の組合せと同様の組合せを挙げることができる。
【0028】
更には、本発明のフレキシブルプリント回路板の製造方法における導電材料塗布液として、導電材料を溶媒に溶解した塗布液を挙げることができ、より具体的には、[導電材料,溶媒]の組合せとして、本発明のパターン形成方法における[導電材料,溶媒]の組合せと同様の組合せを挙げることができる。
【0029】
本発明のパターン形成方法、あるいは、本発明のフレキシブルプリント回路板の製造方法において、濡れ性が制御された基体の面を得るためには、例えば、基体の所望の領域と塗布液との接触角をθ、基体の所望の領域以外の領域と塗布液との接触角をθ’としたとき、θ<θ’の関係を満足するように、基体の所望の領域の表面に処理を施し、あるいは又、基体の所望の領域以外の領域の表面に処理を施せばよい。係る処理として、例えば、基体の所望の領域以外の領域を、塗布液との接触角の大きな材料で被覆する方法を挙げることができる。ここで、係る材料として、オクタデシルトリメトキシシラン(OTS)やヘキサメチレンジジラザン(HMDS)を例示することができる。あるいは又、基体の所望の領域の表面をアミノトリクロロシランで処理することによって親液性とし、基体の所望の領域以外の領域をパーフルオロオクチルトリクロロシランで処理することによって撥液性とする方法を挙げることができる。あるいは又、基体の表面を酸素プラズマ処理することによって親液性とする方法を挙げることができるし、乾式間接静電複写機を用いてトナー粒子を基体の表面に転写・定着させることでトナー粒子から成る撥液性領域あるいは疎液性領域を基体の表面に形成するといった方法を挙げることもできる。
【0030】
また、本発明の第1の態様に係る有機電界効果型トランジスタの製造方法において、ゲート絶縁層及びソース/ドレイン電極が形成され、濡れ性が制御された基体の面を得るためには、ゲート絶縁層及びソース/ドレイン電極が形成された面において、有機半導体材料塗布液を着液させるべき領域以外の領域を、塗布液との接触角の大きな材料で被覆する方法を挙げることができる。また、本発明の第2の態様に係る有機電界効果型トランジスタの製造方法において、ゲート絶縁層が形成され、濡れ性が制御された基体の面を得るためには、ゲート絶縁層が形成された面において、有機半導体材料塗布液を着液させるべき領域以外の領域を、塗布液との接触角の大きな材料で被覆する方法を挙げることができる。更には、本発明の第3の態様に係る有機電界効果型トランジスタの製造方法において、ソース/ドレイン電極が形成され、濡れ性が制御された基体の面を得るためには、ソース/ドレイン電極が形成された面において、有機半導体材料塗布液を着液させるべき領域以外の領域を、塗布液との接触角の大きな材料で被覆する方法を挙げることができる。また、本発明の第4の態様に係る有機電界効果型トランジスタの製造方法において、濡れ性が制御された基体の面を得るためには、係る基体の面において、有機半導体材料塗布液を着液させるべき領域以外の領域を、塗布液との接触角の大きな材料で被覆する方法を挙げることができる。ここで、係る材料として、オクタデシルトリメトキシシラン(OTS)、パーフルオロオクチルトリクロロシランを例示することができる。
【0031】
本発明の有機電界効果型トランジスタの製造方法において、ゲート絶縁層を構成する材料として、酸化ケイ素系材料、窒化ケイ素(SiNY)、Al2O3、金属酸化物高誘電絶縁膜にて例示される無機系絶縁材料だけでなく、ポリメチルメタクリレート(PMMA)やポリビニルフェノール(PVP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリカーボネート(PC)、ポリイミドにて例示される有機系絶縁材料を挙げることができるし、これらの組み合わせを用いることもできる。尚、酸化ケイ素系材料として、二酸化シリコン(SiO2)、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、酸化窒化シリコン(SiON)、SOG(スピンオングラス)、低誘電率SiOX系材料(例えば、ポリアリールエーテル、シクロパーフルオロカーボンポリマー及びベンゾシクロブテン、環状フッ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化アリールエーテル、フッ化ポリイミド、アモルファスカーボン、有機SOG)を例示することができる。
【0032】
ゲート絶縁層の形成方法として、スクリーン印刷法やインクジェット印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法といった各種印刷法;エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、ナイフコーター法、スクイズコーター法、リバースロールコーター法、トランスファーロールコーター法、グラビアコーター法、キスコーター法、キャストコーター法、スプレーコーター法、スリットオリフィスコーター法、カレンダーコーター法といった各種コーティング法;浸漬法;キャスティング法;スピンコート法;スプレー法;各種CVD法;及び、各種PVD法の内のいずれかを挙げることができる。ここで、PVD法として、(a)電子ビーム加熱法、抵抗加熱法、フラッシュ蒸着等の各種真空蒸着法、(b)プラズマ蒸着法、(c)2極スパッタリング法、直流スパッタリング法、直流マグネトロンスパッタリング法、高周波スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法、バイアススパッタリング法等の各種スパッタリング法、(d)DC(direct current)法、RF法、多陰極法、活性化反応法、電界蒸着法、高周波イオンプレーティング法、反応性イオンプレーティング法等の各種イオンプレーティング法を挙げることができる。
【0033】
あるいは又、ゲート絶縁層は、ゲート電極の表面を酸化あるいは窒化することによって形成することができるし、ゲート電極の表面に酸化膜や窒化膜を成膜することで得ることもできる。ゲート電極の表面を酸化する方法として、ゲート電極を構成する材料にも依るが、熱酸化法、O2プラズマを用いた酸化法、陽極酸化法を例示することができる。また、ゲート電極の表面を窒化する方法として、ゲート電極を構成する材料にも依るが、N2プラズマを用いた窒化法を例示することができる。あるいは又、例えば、金(Au)からゲート電極を構成する場合、一端をメルカプト基で修飾された直鎖状炭化水素のように、ゲート電極と化学的に結合を形成し得る官能基を有する絶縁性分子によって、浸漬法等の方法で自己組織的にゲート電極表面を被覆することで、ゲート電極の表面にゲート絶縁層を形成することもできる。
【0034】
あるいは又、ゲート絶縁層の形成に、本発明のパターン形成方法を適用することもできる。
【0035】
更には、本発明の有機電界効果型トランジスタにおいて、ゲート電極やソース/ドレイン電極、各種の配線を構成する材料として、白金(Pt)、金(Au)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、ネオジム(Nd)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、銅(Cu)、ルビジウム(Rb)、ロジウム(Rh)、チタン(Ti)、インジウム(In)、錫(Sn)等の金属、あるいは、これらの金属元素を含む合金、これらの金属から成る導電性粒子、これらの金属を含む合金の導電性粒子、ポリシリコン、アモルファスシリコン、錫酸化物、酸化インジウム、インジウム・錫酸化物(ITO)を挙げることができるし、これらの元素を含む層の積層構造とすることもできる。
【0036】
ソース/ドレイン電極やゲート電極の形成方法として、これらを構成する材料にも依るが、スピンコート法;各種導電性ペーストや各種導電性高分子溶液を用いた上述の各種印刷法;上述した各種コーティング法;リフトオフ法;シャドウマスク法;電解メッキ法や無電解メッキ法あるいはこれらの組合せといったメッキ法;スプレー法;上述した各種のPVD法;及び、MOCVD法を含む各種のCVD法の内のいずれか、あるいは、更には必要に応じてパターニング技術との組合せを挙げることができる。
【0037】
更には、ゲート電極やソース/ドレイン電極を構成する材料として、PEDOT/PSSといった有機材料を挙げることもできる。そして、この場合には、ゲート電極の形成に、本発明のパターン形成方法を適用することもできる。
【0038】
本発明のパターン形成方法、あるいは、本発明の有機電界効果型トランジスタの製造方法において、基体あるいは第2の基体として、各種のガラス基板や、表面に絶縁層が形成された各種ガラス基板、石英基板、表面に絶縁層が形成された石英基板、表面に絶縁層が形成されたシリコン基板を挙げることができる。更には、本発明のパターン形成方法、あるいは、本発明の有機電界効果型トランジスタの製造方法において、基体あるいは第2の基体として、ポリエーテルスルホン(PES)やポリイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(ポリメタクリル酸メチル,PMMA)やポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルフェノール(PVP)に例示される高分子材料から構成されたプラスチック・フィルムやプラスチック・シート、プラスチック基板を挙げることができ、このような可撓性を有する高分子材料から構成された基体あるいは第2の基体を使用すれば、例えば曲面形状を有するディスプレイ装置や電子機器への有機電界効果型トランジスタの組込みあるいは一体化が可能となる。基体あるいは第2の基体として、その他、導電性基板(金等の金属、高配向性グラファイトから成る基板)を挙げることができる。また、本発明の有機電界効果型トランジスタの製造方法において、有機電界効果型トランジスタの構成、構造によっては、有機電界効果型トランジスタが支持部材上に設けられている場合もあるが、このような場合における支持部材も上述した材料から構成することができる。また、本発明のフレキシブルプリント回路板の製造方法において、基体あるいは第2の基体として、ポリエーテルスルホン(PES)やポリイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(ポリメタクリル酸メチル,PMMA)やポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルフェノール(PVP)に例示される高分子材料から構成された可撓性を有するプラスチック・フィルムを挙げることができる。
【0039】
本発明の有機電界効果型トランジスタの製造方法によって得られた有機電界効果型トランジスタを、ディスプレイ装置や各種の電子機器に適用、使用する場合、基体に多数の有機電界効果型トランジスタを集積したモノリシック集積回路としてもよいし、各有機電界効果型トランジスタを切断して個別化し、ディスクリート部品として使用してもよい。また、有機電界効果型トランジスタを樹脂にて封止してもよい。
【発明の効果】
【0040】
本発明にあっては、塗布液等を塗布するためのノズルを基体等の下方に配置し、濡れ性が制御された基体等の面を下側に向けた状態で、ノズルと基体等とを相対的に移動させることで、基体等の所望の領域に塗布液等を着液させるので、本来、塗布液が存在してはならない領域にまで、重力の影響によって、塗布液等が存在したり、塗布液等が溜まり、所望のパターンを得ることが困難となるといった従来のコーティング法における問題点を確実に解決することができる。そして、塗布液等を大面積の基体等に比較的容易に、しかも、高い精度で着液、塗布することができ、塗布液等の無駄も無い。更には、低粘度の塗布液を使用することが可能となり、パターン等の形成精度の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明するが、先ず、実施例の実行に適したキャピラリーコータの概要を、図1の(A)、(B)、図2の(A)、(B)、及び、図3の(A)、(B)を参照して説明する。
【0042】
このキャピラリーコータ10は、図1の(A)に概念図を示すように、塗布液20を貯めておくタンク11、及び、タンク11内に配置され、図示しない昇降装置によって昇降されるノズル12から構成されている。ノズル12の先端部にはスリットが設けられ、図1の(B)に概念図を示すように、図示しない昇降装置の作動によってノズル12を上昇位置に位置させたとき、毛細管現象によってノズル12の先端部のスリットから塗布液20が突出した状態となる。尚、スリットは図面の紙面垂直方向に延びている。
【0043】
図2の(A)に概念図を示すように、この状態で、基体30を図面の右手から左手方向に向かって、図示しない移動装置によって移動させると、図2の(B)に概念図を示すように、毛細管現象によってノズル12の先端部のスリットから突出した状態の塗布液20が基体30に着液(塗布)させられる。ノズル12の先端部と基体30との間の距離(ギャップ)を例えば0.2mmに保持し、基体30の移動速度を0.7m/分とする。尚、基体30に着液(塗布)させられた塗布液を塗布液21で示す。同時に、タンク11内の塗布液20が毛細管現象によって、ノズル12の先端部のスリットへと供給され続ける。塗布液20の基体30への着液(塗布)が完了したならば(図3の(A)の概念図を参照)、図示しない昇降装置の作動によってノズル12を下降位置に位置させる(図3の(B)の概念図を参照)。こうして、1枚の基体の所望の領域への塗布液の着液が完了する。
【実施例1】
【0044】
実施例1は、本発明のパターン形成方法、及び、本発明の第1の態様に係る有機電界効果型トランジスタの製造方法に関する。以下、基体等の模式的な一部端面図である図4の(A)〜(D)、図5の(A)〜(D)を参照して、実施例1のパターン形成方法、及び、実施例1の有機電界効果型トランジスタの製造方法を説明する。尚、実施例1にあっては、パターン形成方法を、有機電界効果型トランジスタのゲート電極の形成、及び、チャネル形成領域の形成に適用する。
【0045】
また、実施例1、あるいは、後述する実施例2〜実施例4にあっては、チャネル形成領域38をポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HP)のトルエン溶液に基づき形成し、ゲート電極34をPEDOT/PSS水溶液に基づき形成する。ここで、これらの溶液の接触角θ,θ’を、以下の表1に示す。尚、表1中、「OTS」は、オクタデシルトリメトキシシランを意味し、濃度は1ミリモルである。
【0046】
[表1]
液体 固体 接触角
P3HPのトルエン溶液 SiO2 θ =約30度以下
P3HPのトルエン溶液 Au θ =約30度以下
P3HPのトルエン溶液 OTS θ’=約40度
PEDOT/PSS水溶液 SiO2 θ =約34度
PEDOT/PSS水溶液 OTS θ’=約110度
【0047】
[工程−100]
先ず、ガラス基板31、及び、その表面にSiO2から成る絶縁膜32が形成されて成る基体30上にゲート電極34を形成する。具体的には、絶縁膜32上に、ゲート電極34を形成すべき部分が除去されたオクタデシルトリメトキシシラン(OTS)から成る被覆層33を、例えばPDMSスタンプ法を用いて形成する。この状態を、図4の(A)の模式的な一部端面図に示す。
【0048】
次いで、本発明のパターン形成方法を適用する。具体的には、塗布液であるPEDOT/PSS水溶液を塗布するためのノズル12を基体30の下方に配置し(図1の(A)、(B)及び図2の(A)参照)、濡れ性が制御された基体30の面(即ち、被覆層33が形成された基体30の面)を下側に向けた状態で、ノズル12と基体30とを相対的に移動させることで(図2の(A)、(B)及び図3の(A)参照)、基体30の所望の領域(具体的には、ゲート電極34を形成すべき絶縁膜32の領域)に塗布液34Aを着液させる。この状態を、図4の(B)の模式的な一部端面図に示す。その後、塗布液34Aを乾燥させ、以て、塗布液乾燥層から成るパターン、即ち、PEDOT/PSSから成るゲート電極34を得ることができる(図4の(C)の模式的な一部端面図を参照)。
【0049】
[工程−110]
次に、全面にゲート絶縁層35を形成する。具体的には、SiO2から成るゲート絶縁層35を、スパッタリング法に基づき全面に(具体的には、ゲート電極34及び被覆層33上に)形成する(図4の(D)の模式的な一部端面図を参照)。ゲート絶縁層35の成膜を行う際、ゲート電極34の一部をハードマスクで覆うことによって、ゲート電極34の取出部(図示せず)をフォトリソグラフィ・プロセス無しで形成することができる。
【0050】
[工程−120]
その後、ゲート絶縁層35の上に、ソース/ドレイン電極36を形成する。具体的には、密着層としてのチタン(Ti)層(図示せず)、及び、ソース/ドレイン電極36としての金(Au)層を、順次、真空蒸着法に基づき形成する。こうして、図5の(A)に示した構造を得ることができる。密着層及びソース/ドレイン電極36の成膜を行う際、チャネル形成領域38を形成すべき領域をハードマスクで覆うことによって、ソース/ドレイン電極36をフォトリソグラフィ・プロセス無しで形成することができる。
【0051】
[工程−130]
次に、ソース/ドレイン電極36とソース/ドレイン電極36との間のゲート絶縁層35の部分にチャネル形成領域38を形成する。
【0052】
そのために、先ず、チャネル形成領域38を形成すべき部分が除去されたオクタデシルトリメトキシシラン(OTS)から成る被覆層37を、例えばPDMSスタンプ法を用いて形成する。この状態を、図5の(B)の模式的な一部端面図に示す。
【0053】
そして、P3HPのトルエン溶液(5グラム/リットル)から成る有機半導体材料塗布液を塗布するためのノズル12を基体30の下方に配置し(図1の(A)、(B)及び図2の(A)参照)、ゲート絶縁層35及びソース/ドレイン電極36が形成され、濡れ性が制御された基体の面(即ち、被覆層37が形成された基体30の面)を下側に向けた状態で、ノズル12と基体30とを相対的に移動させることで(図2の(A)、(B)及び図3の(A)参照)、ソース/ドレイン電極36とソース/ドレイン電極36との間のゲート絶縁層35の部分に有機半導体材料塗布液38Aを着液させる。この状態を、図5の(C)の模式的な一部端面図に示す。その後、有機半導体材料塗布液38Aを乾燥させ、以て、有機半導体材料であるP3HPから成るチャネル形成領域38を得ることができる(図5の(D)の模式的な一部端面図を参照)。
【0054】
あるいは又、云い換えれば、塗布液であるP3HPのトルエン溶液を塗布するためのノズル12を基体30の下方に配置し(図1の(A)、(B)及び図2の(A)参照)、濡れ性が制御された基体30の面(即ち、被覆層37が形成された基体30の面)を下側に向けた状態で、ノズル12と基体30とを相対的に移動させることで(図2の(A)、(B)及び図3の(A)参照)、基体30の所望の領域(具体的には、チャネル形成領域38を形成すべきゲート絶縁層35)に塗布液38Aを着液させる(図5の(C)の模式的な一部端面図を参照)。その後、塗布液38Aを乾燥させ、以て、塗布液乾燥層から成るパターン、即ち、P3HPから成るチャネル形成領域38を得ることができる(図5の(D)の模式的な一部端面図を参照)。
【0055】
[工程−140]
最後に、全面にパッシベーション膜である絶縁層(図示せず)を形成し、ソース/ドレイン電極36の上方の絶縁層に開口部を形成し、開口部内を含む全面に配線材料層を形成した後、配線材料層をパターニングすることによって、ソース/ドレイン電極36に接続された配線(図示せず)が絶縁層上に形成された、ボトムゲート/ボトムコンタクト型の有機電界効果型トランジスタを得ることができる。
【0056】
即ち、このボトムゲート/ボトムコンタクト型の有機電界効果型トランジスタは、
(a)基体30上に形成されたゲート電極34、
(b)ゲート電極34上に形成されたゲート絶縁層35、
(c)ゲート絶縁層35上に形成されたソース/ドレイン電極36、並びに、
(d)ソース/ドレイン電極36の間のゲート絶縁層35の部分の上に形成されたチャネル形成領域38、
を備えている。
【実施例2】
【0057】
実施例2は、本発明のパターン形成方法、及び、本発明の第2の態様に係る有機電界効果型トランジスタの製造方法に関する。以下、基体等の模式的な一部端面図である図6の(A)〜(D)を参照して、実施例2のパターン形成方法、及び、実施例2の有機電界効果型トランジスタの製造方法を説明する。尚、実施例2にあっても、パターン形成方法を、有機電界効果型トランジスタのゲート電極の形成、及び、チャネル形成領域の形成に適用する。
【0058】
[工程−200]
先ず、実施例1の[工程−100]と同様の工程を実行して、基体30上にゲート電極34を形成した後、実施例1の[工程−110]と同様の工程を実行して、全面にゲート絶縁層35を形成する。
【0059】
[工程−210]
次に、ゲート絶縁層35上にチャネル形成領域38及びチャネル形成領域延在部39を形成する。具体的には、実施例1の[工程−130]と同様の工程を実行する。即ち、先ず、チャネル形成領域38及びチャネル形成領域延在部39を形成すべき部分が除去されたオクタデシルトリメトキシシラン(OTS)から成る被覆層37を、例えばPDMSスタンプ法を用いて形成する。この状態を、図6の(A)の模式的な一部端面図に示す。
【0060】
そして、P3HPのトルエン溶液(5グラム/リットル)から成る有機半導体材料塗布液を塗布するためのノズル12を基体30の下方に配置し(図1の(A)、(B)及び図2の(A)参照)、ゲート絶縁層35が形成され、濡れ性が制御された基体30の面(即ち、被覆層37が形成された基体30の面)を下側に向けた状態で、ノズル12と基体30とを相対的に移動させることで(図2の(A)、(B)及び図3の(A)参照)、ゲート絶縁層35に有機半導体材料塗布液38Aを着液させる。この状態を、図6の(B)の模式的な一部端面図に示す。その後、有機半導体材料塗布液38Aを乾燥させ、以て、有機半導体材料であるP3HPから成るチャネル形成領域38を得ることができる(図6の(C)の模式的な一部端面図を参照)。
【0061】
あるいは又、云い換えれば、塗布液であるP3HPのトルエン溶液を塗布するためのノズル12を基体30の下方に配置し(図1の(A)、(B)及び図2の(A)参照)、濡れ性が制御された基体30の面(即ち、被覆層37が形成された基体30の面)を下側に向けた状態で、ノズル12と基体30とを相対的に移動させることで(図2の(A)、(B)及び図3の(A)参照)、基体30の所望の領域(具体的には、チャネル形成領域38を形成すべきゲート絶縁層35の領域)に塗布液38Aを着液させる(図6の(B)の模式的な一部端面図を参照)。その後、塗布液38Aを乾燥させ、以て、塗布液乾燥層から成るパターン、即ち、P3HPから成るチャネル形成領域38を得ることができる(図6の(C)の模式的な一部端面図を参照)。
【0062】
[工程−220]
その後、実施例1の[工程−120]と同様の工程を実行して、チャネル形成領域延在部39の上に、ソース/ドレイン電極36を形成する。具体的には、密着層としてのチタン(Ti)層(図示せず)、及び、ソース/ドレイン電極36としての金(Au)層を、順次、真空蒸着法に基づき形成する。こうして、図6の(D)に示した構造を得ることができる。密着層及びソース/ドレイン電極36の成膜を行う際、チャネル形成領域38をハードマスクで覆うことによって、ソース/ドレイン電極36をフォトリソグラフィ・プロセス無しで形成することができる。
【0063】
[工程−230]
最後に、実施例1の[工程−140]と同様の工程を実行することで、ボトムゲート/トップコンタクト型の有機電界効果型トランジスタを得ることができる。
【0064】
即ち、このボトムゲート/トップコンタクト型の有機電界効果型トランジスタは、
(a)基体30上に形成されたゲート電極34、
(b)ゲート電極34上に形成されたゲート絶縁層35、
(c)ゲート絶縁層35上に形成されたチャネル形成領域38及びチャネル形成領域延在部39、並びに、
(d)チャネル形成領域延在部39上に形成されたソース/ドレイン電極36、
を備えている。
【実施例3】
【0065】
実施例3は、本発明のパターン形成方法、及び、本発明の第3の態様に係る有機電界効果型トランジスタの製造方法に関する。以下、基体等の模式的な一部端面図である図7の(A)〜(D)及び図8の(A)〜(B)を参照して、実施例3のパターン形成方法、及び、実施例3の有機電界効果型トランジスタの製造方法を説明する。尚、実施例3にあっても、パターン形成方法を、有機電界効果型トランジスタのゲート電極の形成、及び、チャネル形成領域の形成に適用する。
【0066】
[工程−300]
先ず、ガラス基板31、及び、その表面にSiO2から成る絶縁膜32が形成されて成る基体30上にソース/ドレイン電極36を、例えば、リフトオフ法に基づき形成する。具体的には、絶縁膜32上に、ソース/ドレイン電極36を形成すべき部分が除去されたレジスト層をフォトリソグラフィ技術に基づき形成し、次いで、密着層としてのチタン(Ti)層(図示せず)、及び、ソース/ドレイン電極36としての金(Au)層を、順次、真空蒸着法に基づき形成した後、レジスト層を除去する。こうして、図7の(A)に示した構造を得ることができる。
【0067】
[工程−310]
次いで、ソース/ドレイン電極36とソース/ドレイン電極36との間の基体30(より具体的には、絶縁膜32)の部分にチャネル形成領域38を形成する。
【0068】
そのために、先ず、チャネル形成領域38を形成すべき部分が除去されたオクタデシルトリメトキシシラン(OTS)から成る被覆層33を、例えばPDMSスタンプ法を用いて形成する。この状態を、図7の(B)の模式的な一部端面図に示す。
【0069】
そして、P3HPのトルエン溶液(5グラム/リットル)から成る有機半導体材料塗布液を塗布するためのノズル12を基体30の下方に配置し(図1の(A)、(B)及び図2の(A)参照)、ソース/ドレイン電極36が形成され、濡れ性が制御された基体の面(即ち、被覆層33が形成された基体30の面)を下側に向けた状態で、ノズル12と基体30とを相対的に移動させることで(図2の(A)、(B)及び図3の(A)参照)、ソース/ドレイン電極36とソース/ドレイン電極36との間の基体30の部分に有機半導体材料塗布液38Aを着液させる。この状態を、図7の(C)の模式的な一部端面図に示す。その後、有機半導体材料塗布液38Aを乾燥させ、以て、有機半導体材料であるP3HPから成るチャネル形成領域38を得ることができる(図7の(D)の模式的な一部端面図を参照)。
【0070】
あるいは又、云い換えれば、塗布液であるP3HPのトルエン溶液を塗布するためのノズル12を基体30の下方に配置し(図1の(A)、(B)及び図2の(A)参照)、濡れ性が制御された基体30の面(即ち、被覆層33が形成された基体30の面)を下側に向けた状態で、ノズル12と基体30とを相対的に移動させることで(図2の(A)、(B)及び図3の(A)参照)、基体30の所望の領域(具体的には、チャネル形成領域38を形成すべき絶縁膜32の領域)に塗布液38Aを着液させる(図7の(C)の模式的な一部端面図を参照)。その後、塗布液38Aを乾燥させ、以て、塗布液乾燥層から成るパターン、即ち、P3HPから成るチャネル形成領域38を得ることができる(図7の(D)の模式的な一部端面図を参照)。
【0071】
[工程−320]
次に、全面にゲート絶縁層35を形成する。具体的には、SiO2から成るゲート絶縁層35を、スパッタリング法に基づき全面に(具体的には、チャネル形成領域38及び被覆層33上に)形成する(図8の(A)の模式的な一部端面図を参照)。
【0072】
[工程−330]
その後、ゲート絶縁層35の上に、ゲート電極34を形成する。具体的には、実施例1の[工程−100]と同様の工程を実行する。即ち、先ず、ゲート絶縁層35上に、ゲート電極34を形成すべき部分が除去されたオクタデシルトリメトキシシラン(OTS)から成る被覆層37を、例えばPDMSスタンプ法を用いて形成する。次いで、本発明のパターン形成方法を適用する。具体的には、塗布液であるPEDOT/PSS水溶液を塗布するためのノズル12を基体30の下方に配置し(図1の(A)、(B)及び図2の(A)参照)、濡れ性が制御された基体30の面(即ち、被覆層37が形成された基体30の面)を下側に向けた状態で、ノズル12と基体30とを相対的に移動させることで(図2の(A)、(B)及び図3の(A)参照)、基体30の所望の領域(具体的には、ゲート電極34を形成すべきゲート絶縁層35の領域)に塗布液を着液させる。その後、塗布液を乾燥させ、以て、塗布液乾燥層から成るパターン、即ち、PEDOT/PSSから成るゲート電極34を得ることができる(図8の(B)の模式的な一部端面図を参照)。
【0073】
[工程−340]
最後に、実施例1の[工程−140]と同様の工程を実行することで、トップゲート/ボトムコンタクト型の有機電界効果型トランジスタを得ることができる。
【0074】
即ち、このトップゲート/ボトムコンタクト型の有機電界効果型トランジスタは、
(a)基体30上に形成されたソース/ドレイン電極36、
(b)ソース/ドレイン電極36の間の基体30の部分の上に形成されたチャネル形成領域38、
(c)チャネル形成領域38上に形成されたゲート絶縁層35、並びに、
(d)ゲート絶縁層35上に形成されたゲート電極34、
を備えている。
【実施例4】
【0075】
実施例4は、本発明のパターン形成方法、及び、本発明の第4の態様に係る有機電界効果型トランジスタの製造方法に関する。以下、基体等の模式的な一部端面図である図9の(A)〜(D)及び図10の(A)〜(B)を参照して、実施例4のパターン形成方法、及び、実施例4の有機電界効果型トランジスタの製造方法を説明する。尚、実施例4にあっても、パターン形成方法を、有機電界効果型トランジスタのゲート電極の形成、及び、チャネル形成領域の形成に適用する。
【0076】
[工程−400]
先ず、基体30上にチャネル形成領域38及びチャネル形成領域延在部39を形成する。
【0077】
そのために、先ず、チャネル形成領域38を形成すべき部分が除去されたオクタデシルトリメトキシシラン(OTS)から成る被覆層33を、例えばPDMSスタンプ法を用いて形成する。この状態を、図9の(A)の模式的な一部端面図に示す。
【0078】
そして、P3HPのトルエン溶液(5グラム/リットル)から成る有機半導体材料塗布液を塗布するためのノズル12を基体30の下方に配置し(図1の(A)、(B)及び図2の(A)参照)、濡れ性が制御された基体の面(即ち、被覆層33が形成された基体30の面)を下側に向けた状態で、ノズル12と基体30とを相対的に移動させることで(図2の(A)、(B)及び図3の(A)参照)、基体30の部分に有機半導体材料塗布液38Aを着液させる。この状態を、図9の(B)の模式的な一部端面図に示す。その後、有機半導体材料塗布液38Aを乾燥させ、以て、有機半導体材料であるP3HPから成るチャネル形成領域38及びチャネル形成領域延在部39を得ることができる(図9の(C)の模式的な一部端面図を参照)。
【0079】
あるいは又、云い換えれば、塗布液であるP3HPのトルエン溶液を塗布するためのノズル12を基体30の下方に配置し(図1の(A)、(B)及び図2の(A)参照)、濡れ性が制御された基体30の面(即ち、被覆層33が形成された基体30の面)を下側に向けた状態で、ノズル12と基体30とを相対的に移動させることで(図2の(A)、(B)及び図3の(A)参照)、基体30の所望の領域(具体的には、チャネル形成領域38を形成すべき絶縁膜32の領域)に塗布液38Aを着液させる(図9の(B)の模式的な一部端面図を参照)。その後、塗布液38Aを乾燥させ、以て、塗布液乾燥層から成るパターン、即ち、P3HPから成るチャネル形成領域38及びチャネル形成領域延在部39を得ることができる(図9の(C)の模式的な一部端面図を参照)。
【0080】
[工程−410]
その後、チャネル形成領域延在部39の上に、ソース/ドレイン電極36を形成する。具体的には、密着層としてのチタン(Ti)層(図示せず)、及び、ソース/ドレイン電極36としての金(Au)層を、順次、真空蒸着法に基づき形成する。こうして、図9の(D)に示した構造を得ることができる。ソース/ドレイン電極36の成膜を行う際、チャネル形成領域38を形成すべき領域をハードマスクで覆うことによって、ソース/ドレイン電極36をフォトリソグラフィ・プロセス無しで形成することができる。
【0081】
[工程−420]
次に、全面にゲート絶縁層35を形成する。具体的には、SiO2から成るゲート絶縁層35を、スパッタリング法に基づき全面に(具体的には、チャネル形成領域38及びソース/ドレイン電極36上に)形成する(図10の(A)の模式的な一部端面図を参照)。
【0082】
[工程−430]
その後、実施例3の[工程−330]と同様の工程を実行する。即ち、ゲート絶縁層35の上に、ゲート電極34を形成する。そのために、先ず、ゲート絶縁層35上に、ゲート電極34を形成すべき部分が除去されたオクタデシルトリメトキシシラン(OTS)から成る被覆層37を、例えばPDMSスタンプ法を用いて形成する。次いで、本発明のパターン形成方法を適用する。具体的には、塗布液であるPEDOT/PSS水溶液を塗布するためのノズル12を基体30の下方に配置し(図1の(A)、(B)及び図2の(A)参照)、濡れ性が制御された基体30の面(即ち、被覆層37が形成された基体30の面)を下側に向けた状態で、ノズル12と基体30とを相対的に移動させることで(図2の(A)、(B)及び図3の(A)参照)、基体30の所望の領域(具体的には、ゲート電極34を形成すべきゲート絶縁層35の領域)に塗布液を着液させる。その後、塗布液を乾燥させ、以て、塗布液乾燥層から成るパターン、即ち、PEDOT/PSSから成るゲート電極34を得ることができる(図10の(B)の模式的な一部端面図を参照)。
【0083】
[工程−440]
最後に、実施例1の[工程−140]と同様の工程を実行することで、トップゲート/トップコンタクト型の有機電界効果型トランジスタを得ることができる。
【0084】
即ち、このトップゲート/トップコンタクト型の有機電界効果型トランジスタは、
(a)基体30上に形成されたチャネル形成領域38及びチャネル形成領域延在部39、
(b)チャネル形成領域延在部39上に形成されたソース/ドレイン電極36、
(c)ソース/ドレイン電極36及びチャネル形成領域38上に形成されたゲート絶縁層35、並びに、
(d)ゲート絶縁層35上に形成されたゲート電極34、
を備えている。
【実施例5】
【0085】
実施例5は、本発明のパターン形成方法に関する。実施例5にあっては、所望の領域としての凹部、及び、凸部を有する凹凸構造を基体30に形成することによって基体30の面の濡れ性を制御する。そして、凹部に塗布液を着液させる。更には、塗布液乾燥層から成るパターンを得た後、このパターンを第2の基体に転写する。
【0086】
具体的には、図11の(A)に模式的な一部端面図を示すように、ガラス基板41から成る基体30に、所望の領域としての凹部42、及び、凸部43を有する凹凸構造を形成する。尚、凸部43は、厚さ数nmのパーフルオロオクチルトリクロロシランから構成されており、例えばリフトオフ法を用いて形成することができる。
【0087】
この状態で、本発明のパターン形成方法を実行する。即ち、塗布液であるP3HPのトルエン溶液を塗布するためのノズル12を基体30の下方に配置し(図1の(A)、(B)及び図2の(A)参照)、濡れ性が制御された基体30の面(即ち、凹凸構造が形成された基体30の面)を下側に向けた状態で、ノズル12と基体30とを相対的に移動させることで(図2の(A)、(B)及び図3の(A)参照)、基体30の所望の領域(具体的には、凹部42)に塗布液44Aを着液させる(図11の(B)の模式的な一部端面図を参照)。その後、塗布液44Aを乾燥させ、以て、塗布液乾燥層から成るパターン44、即ち、例えば、P3HPから成るチャネル形成領域を構成する層を得ることができる。
【0088】
その後、このパターンであるチャネル形成領域を構成する層を、例えば、図5の(A)に示した状態の第2の基体、図6の(A)に示した状態の第2の基体(但し、被覆層37の形成は不要)、図7の(A)に示した状態の第2の基体、図9の(A)に示した状態の第2の基体(但し、被覆層33の形成は不要)に転写することによって、第2の基体に所望のパターンであるチャネル形成領域38を形成してもよい。
【0089】
あるいは又、基体30の所望の領域(具体的には、凹部42)に塗布液44Aを着液させ、次いで、塗布液44Aを乾燥させ、以て、塗布液乾燥層から成るパターン44、即ち、例えば、PEDOT/PSSから成るゲート電極を構成する層を得ることができる。その後、このパターンであるゲート電極を構成する層を、例えば、図4の(A)に示した状態の第2の基体(但し、被覆層33の形成は不要)、図8の(A)に示した状態の第2の基体に転写することによって、第2の基体に所望のパターンであるゲート電極34を形成してもよい。
【0090】
あるいは又、基体30の所望の領域(具体的には、凹部42)に塗布液44Aを着液させ、次いで、塗布液44Aを乾燥させ、以て、塗布液乾燥層から成るパターン44、即ち、例えば、PEDOT/PSSから成るソース/ドレイン電極を構成する層を得ることができる。その後、このパターンであるソース/ドレイン電極を構成する層を、例えば、図4の(D)に示した状態の第2の基体、図7の(A)に示したソース/ドレイン電極36を形成する前の状態の第2の基体、図9の(C)に示した状態の第2の基体に転写することによって、第2の基体に所望のパターンであるソース/ドレイン電極36を形成してもよい。
【0091】
パターンの第2の基体への転写の具体的な方法として、凹凸のあるスタンプ(フッ素系樹脂から作製されたスタンプ、あるいは、フッ素系樹脂にて表面処理された基板から作製されたスタンプ、あるいは、10ミリモルのOTS処理がなされたスタンプ)の凸部に、例えばポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HP)をインクとして乗せ、その後、全面が平坦なPDMS(シリコンゴム)にスタンプの凸面に乗せられたP3HPを転写し、次いで、PDMSに転写されたP3HPを所望の第2の基体に転写するといった方法を例示することができる。
【実施例6】
【0092】
実施例6は、実施例5の変形である。以下、基体等の模式的な一部断面図である図12の(A)〜(D)を参照して、実施例6のパターン形成方法を説明する。
【0093】
実施例6にあっては、先ず、ガラス基板51から成る基体30の表面に、周知のフォトリソグラフィ技術に基づき、レジスト層52を形成する(図12の(A)参照)。
【0094】
次いで、撥液性の表面処理剤であるパーフルオロオクチルトリクロロシランのメタキシレンヘキサフロライド溶液(ガラス基板51に対する接触角θ’=約120度)中に基体全体を浸漬することで、あるいは、この溶液の蒸気に晒すことで、レジスト層52によって覆われていない基体30の部分に撥水処理を施す(図12の(B)参照)。
【0095】
次いで、レジスト層52を除去した後、親液性の表面処理剤であるアミノトリクロロシランの無水エタノール溶液(ガラス基板51に対する接触角θ=約30度以下)中に基体全体を浸漬することで、レジスト層52によって覆われていた基体30の部分に親水処理を施す(図12の(C)参照)。尚、撥水処理表面にはアミノトリクロロシランは付くことがない。
【0096】
この状態で、本発明のパターン形成方法を実行する。即ち、塗布液であるPEDOT/PSSの水溶液を塗布するためのノズル12を基体30の下方に配置し(図1の(A)、(B)及び図2の(A)参照)、濡れ性が制御された基体30の面(即ち、親水処理表面及び撥水処理表面を有する基体30の面)を下側に向けた状態で、ノズル12と基体30とを相対的に移動させることで(図2の(A)、(B)及び図3の(A)参照)、基体30の所望の領域(具体的には、親水処理表面)に塗布液54Aを着液させる(図12の(D)の模式的な一部端面図を参照)。その後、塗布液54Aを乾燥させ、以て、塗布液乾燥層から成るパターン54を得ることができる。その後、このパターンを、実施例5において説明したと同様の方法で第2の基体への転写すればよい。
【実施例7】
【0097】
実施例7は、本発明のフレキシブルプリント回路板の製造方法に関する。
【0098】
実施例7のフレキシブルプリント回路板の製造方法にあっては、先ず、例えば、厚さ100μmのPESフィルムから成る基体30の表面に酸素プラズマ処理を施し、基体30の表面を親水処理表面とする。次に、乾式間接静電複写機を用いてトナー粒子を係る基体30の表面に転写・定着させることで、トナー粒子から成り、パターニングされた撥液性領域を基体30の表面に形成する。尚、基体30は可撓性を有しているので、以上の操作は、ロール状の基体30に対して、所謂ロール・トゥ・ロールにて行うことができる。
【0099】
次いで、例えばPEDOT/PSS水溶液から成る導電材料塗布液を塗布するためのノズル12を基体30の下方に配置し(図1の(A)、(B)及び図2の(A)参照)、濡れ性が制御された基体の面(トナー粒子から成り、パターニングされた撥液性領域が表面に形成され、その他の領域は親水処理表面である基体30の面)を下側に向けた状態で、ノズル12と基体30とを相対的に移動させることで(図2の(A)、(B)及び図3の(A)参照)、基体30に導電材料塗布液を着液させた後、導電材料塗布液を乾燥させ、以て、導電材料塗布液乾燥層(具体的には、PEDOT/PSS層)から成る回路パターン(フレキシブルプリント回路板)を得ることができる。尚、場合によっては、こうして得られた回路パターンを第2の基体への転写してもよい。
【0100】
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。有機電界効果型トランジスタやフレキシブルプリント回路板の構造や構成、製造条件、製造方法は例示であり、適宜変更することができる。本発明によって得られた有機電界効果型トランジスタ(TFT)を、ディスプレイ装置や各種の電子機器に適用、使用する場合、支持体や支持部材に多数のTFTを集積したモノリシック集積回路としてもよいし、各TFTを切断して個別化し、ディスクリート部品として使用してもよい。また、本発明のパターン形成方法を、例えば、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、有機太陽電池、各種センサー、カラーフィルターの製造に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】図1の(A)及び(B)は、キャピラリーコータの概要を示す図であり、キャピラリーコータを用いて基体上に塗布液を塗布している状態を模式的に示す図である。
【図2】図2の(A)及び(B)は、図1の(B)に引き続き、キャピラリーコータの概要を示す図であり、キャピラリーコータを用いて基体上に塗布液を塗布している状態を模式的に示す図である。
【図3】図3の(A)及び(B)は、図2の(B)に引き続き、キャピラリーコータの概要を示す図であり、キャピラリーコータを用いて基体上に塗布液を塗布している状態を模式的に示す図である。
【図4】図4の(A)〜(D)は、実施例1のパターン形成方法、及び、実施例1の有機電界効果型トランジスタの製造方法を説明するための基体等の模式的な一部断面図である。
【図5】図5の(A)〜(D)は、図4の(D)に引き続き、実施例1のパターン形成方法、及び、実施例1の有機電界効果型トランジスタの製造方法を説明するための基体等の模式的な一部断面図である。
【図6】図6の(A)〜(D)は、実施例2のパターン形成方法、及び、実施例2の有機電界効果型トランジスタの製造方法を説明するための基体等の模式的な一部断面図である。
【図7】図7の(A)〜(D)は、実施例3のパターン形成方法、及び、実施例3の有機電界効果型トランジスタの製造方法を説明するための基体等の模式的な一部断面図である。
【図8】図8の(A)〜(B)は、図7の(D)に引き続き、実施例3のパターン形成方法、及び、実施例3の有機電界効果型トランジスタの製造方法を説明するための基体等の模式的な一部断面図である。
【図9】図9の(A)〜(D)は、実施例4のパターン形成方法、及び、実施例4の有機電界効果型トランジスタの製造方法を説明するための基体等の模式的な一部断面図である。
【図10】図10の(A)〜(B)は、図9の(D)に引き続き、実施例4のパターン形成方法、及び、実施例4の有機電界効果型トランジスタの製造方法を説明するための基体等の模式的な一部断面図である。
【図11】図11の(A)〜(B)は、実施例5のパターン形成方法を説明するための基体等の模式的な一部断面図である。
【図12】図12の(A)〜(D)は、実施例6のパターン形成方法を説明するための基体等の模式的な一部断面図である。
【符号の説明】
【0102】
10・・・キャピラリーコータ、11・・・タンク、12・・・ノズル、20,21・・・塗布液、30・・・基体、31・・・ガラス基板、32・・・絶縁膜、33,37・・・被覆層、34・・・ゲート電極、34A,44A,54A・・・塗布液、35・・・ゲート絶縁層、36・・・ソース/ドレイン電極、38・・・チャネル形成領域、38A・・・有機半導体材料塗布液(塗布液)、39・・・チャネル形成領域延在部、41,51・・・ガラス基板、42・・・凹部、43・・・凸部、44,54・・・パターン、52・・・レジスト層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布液を塗布するためのノズルを基体の下方に配置し、濡れ性が制御された基体の面を下側に向けた状態で、ノズルと基体とを相対的に移動させることで、基体の所望の領域に塗布液を着液させた後、塗布液を乾燥させ、以て、塗布液乾燥層から成るパターンを得ることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
所望の領域としての凹部、及び、凸部を有する凹凸構造を基体に形成することによって基体の面の濡れ性を制御し、
凹部に塗布液を着液させることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
基体の所望の領域と塗布液との接触角をθ、基体の所望の領域以外の領域と塗布液との接触角をθ’としたとき、θ<θ’の関係を満足することを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
塗布液乾燥層から成るパターンを得た後、該パターンを第2の基体に転写することを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
(A)基体上にゲート電極を形成した後、
(B)全面にゲート絶縁層を形成し、次いで、
(C)ゲート絶縁層上にソース/ドレイン電極を形成した後、
(D)ソース/ドレイン電極とソース/ドレイン電極との間のゲート絶縁層の部分にチャネル形成領域を形成する、
各工程から成る有機電界効果型トランジスタの製造方法であって、
前記工程(D)において、有機半導体材料塗布液を塗布するためのノズルを基体の下方に配置し、ゲート絶縁層及びソース/ドレイン電極が形成され、濡れ性が制御された基体の面を下側に向けた状態で、ノズルと基体とを相対的に移動させることで、ソース/ドレイン電極とソース/ドレイン電極との間のゲート絶縁層の部分に有機半導体材料塗布液を着液させた後、有機半導体材料塗布液を乾燥させ、以て、有機半導体材料から成るチャネル形成領域を得ることを特徴とする有機電界効果型トランジスタの製造方法。
【請求項6】
(A)基体上にゲート電極を形成した後、
(B)全面にゲート絶縁層を形成し、次いで、
(C)ゲート絶縁層上にチャネル形成領域及びチャネル形成領域延在部を形成した後、
(D)チャネル形成領域延在部上にソース/ドレイン電極を形成する、
各工程から成る有機電界効果型トランジスタの製造方法であって、
前記工程(C)において、有機半導体材料塗布液を塗布するためのノズルを基体の下方に配置し、ゲート絶縁層が形成され、濡れ性が制御された基体の面を下側に向けた状態で、ノズルと基体とを相対的に移動させることで、ゲート絶縁層に有機半導体材料塗布液を着液させた後、有機半導体材料塗布液を乾燥させ、以て、有機半導体材料から成るチャネル形成領域及びチャネル形成領域延在部を得ることを特徴とする有機電界効果型トランジスタの製造方法。
【請求項7】
(A)基体上にソース/ドレイン電極を形成した後、
(B)ソース/ドレイン電極とソース/ドレイン電極との間の基体の部分にチャネル形成領域を形成し、次いで、
(C)全面にゲート絶縁層を形成した後、
(D)ゲート絶縁層上にゲート電極を形成する、
各工程から成る有機電界効果型トランジスタの製造方法であって、
前記工程(B)において、有機半導体材料塗布液を塗布するためのノズルを基体の下方に配置し、ソース/ドレイン電極が形成され、濡れ性が制御された基体の面を下側に向けた状態で、ノズルと基体とを相対的に移動させることで、ソース/ドレイン電極とソース/ドレイン電極との間の基体の部分に有機半導体材料塗布液を着液させた後、有機半導体材料塗布液を乾燥させ、以て、有機半導体材料から成るチャネル形成領域を得ることを特徴とする有機電界効果型トランジスタの製造方法。
【請求項8】
(A)基体上にチャネル形成領域及びチャネル形成領域延在部を形成した後、
(B)チャネル形成領域延在部上にソース/ドレイン電極を形成し、次いで、
(C)全面にゲート絶縁層を形成した後、
(D)ゲート絶縁層上にゲート電極を形成する、
各工程から成る有機電界効果型トランジスタの製造方法であって、
前記工程(A)において、有機半導体材料塗布液を塗布するためのノズルを基体の下方に配置し、濡れ性が制御された基体の面を下側に向けた状態で、ノズルと基体とを相対的に移動させることで、基体に有機半導体材料塗布液を着液させた後、有機半導体材料塗布液を乾燥させ、以て、有機半導体材料から成るチャネル形成領域及びチャネル形成領域延在部を得ることを特徴とする有機電界効果型トランジスタの製造方法。
【請求項9】
導電材料塗布液を塗布するためのノズルを基体の下方に配置し、濡れ性が制御された基体の面を下側に向けた状態で、ノズルと基体とを相対的に移動させることで、基体に導電材料塗布液を着液させた後、導電材料塗布液を乾燥させ、以て、導電材料塗布液乾燥層から成る回路パターンを得ることを特徴とするフレキシブルプリント回路板の製造方法。
【請求項1】
塗布液を塗布するためのノズルを基体の下方に配置し、濡れ性が制御された基体の面を下側に向けた状態で、ノズルと基体とを相対的に移動させることで、基体の所望の領域に塗布液を着液させた後、塗布液を乾燥させ、以て、塗布液乾燥層から成るパターンを得ることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
所望の領域としての凹部、及び、凸部を有する凹凸構造を基体に形成することによって基体の面の濡れ性を制御し、
凹部に塗布液を着液させることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
基体の所望の領域と塗布液との接触角をθ、基体の所望の領域以外の領域と塗布液との接触角をθ’としたとき、θ<θ’の関係を満足することを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
塗布液乾燥層から成るパターンを得た後、該パターンを第2の基体に転写することを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
(A)基体上にゲート電極を形成した後、
(B)全面にゲート絶縁層を形成し、次いで、
(C)ゲート絶縁層上にソース/ドレイン電極を形成した後、
(D)ソース/ドレイン電極とソース/ドレイン電極との間のゲート絶縁層の部分にチャネル形成領域を形成する、
各工程から成る有機電界効果型トランジスタの製造方法であって、
前記工程(D)において、有機半導体材料塗布液を塗布するためのノズルを基体の下方に配置し、ゲート絶縁層及びソース/ドレイン電極が形成され、濡れ性が制御された基体の面を下側に向けた状態で、ノズルと基体とを相対的に移動させることで、ソース/ドレイン電極とソース/ドレイン電極との間のゲート絶縁層の部分に有機半導体材料塗布液を着液させた後、有機半導体材料塗布液を乾燥させ、以て、有機半導体材料から成るチャネル形成領域を得ることを特徴とする有機電界効果型トランジスタの製造方法。
【請求項6】
(A)基体上にゲート電極を形成した後、
(B)全面にゲート絶縁層を形成し、次いで、
(C)ゲート絶縁層上にチャネル形成領域及びチャネル形成領域延在部を形成した後、
(D)チャネル形成領域延在部上にソース/ドレイン電極を形成する、
各工程から成る有機電界効果型トランジスタの製造方法であって、
前記工程(C)において、有機半導体材料塗布液を塗布するためのノズルを基体の下方に配置し、ゲート絶縁層が形成され、濡れ性が制御された基体の面を下側に向けた状態で、ノズルと基体とを相対的に移動させることで、ゲート絶縁層に有機半導体材料塗布液を着液させた後、有機半導体材料塗布液を乾燥させ、以て、有機半導体材料から成るチャネル形成領域及びチャネル形成領域延在部を得ることを特徴とする有機電界効果型トランジスタの製造方法。
【請求項7】
(A)基体上にソース/ドレイン電極を形成した後、
(B)ソース/ドレイン電極とソース/ドレイン電極との間の基体の部分にチャネル形成領域を形成し、次いで、
(C)全面にゲート絶縁層を形成した後、
(D)ゲート絶縁層上にゲート電極を形成する、
各工程から成る有機電界効果型トランジスタの製造方法であって、
前記工程(B)において、有機半導体材料塗布液を塗布するためのノズルを基体の下方に配置し、ソース/ドレイン電極が形成され、濡れ性が制御された基体の面を下側に向けた状態で、ノズルと基体とを相対的に移動させることで、ソース/ドレイン電極とソース/ドレイン電極との間の基体の部分に有機半導体材料塗布液を着液させた後、有機半導体材料塗布液を乾燥させ、以て、有機半導体材料から成るチャネル形成領域を得ることを特徴とする有機電界効果型トランジスタの製造方法。
【請求項8】
(A)基体上にチャネル形成領域及びチャネル形成領域延在部を形成した後、
(B)チャネル形成領域延在部上にソース/ドレイン電極を形成し、次いで、
(C)全面にゲート絶縁層を形成した後、
(D)ゲート絶縁層上にゲート電極を形成する、
各工程から成る有機電界効果型トランジスタの製造方法であって、
前記工程(A)において、有機半導体材料塗布液を塗布するためのノズルを基体の下方に配置し、濡れ性が制御された基体の面を下側に向けた状態で、ノズルと基体とを相対的に移動させることで、基体に有機半導体材料塗布液を着液させた後、有機半導体材料塗布液を乾燥させ、以て、有機半導体材料から成るチャネル形成領域及びチャネル形成領域延在部を得ることを特徴とする有機電界効果型トランジスタの製造方法。
【請求項9】
導電材料塗布液を塗布するためのノズルを基体の下方に配置し、濡れ性が制御された基体の面を下側に向けた状態で、ノズルと基体とを相対的に移動させることで、基体に導電材料塗布液を着液させた後、導電材料塗布液を乾燥させ、以て、導電材料塗布液乾燥層から成る回路パターンを得ることを特徴とするフレキシブルプリント回路板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−269599(P2006−269599A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−83456(P2005−83456)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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