説明

パターン形成方法及びこれに用いるパターン表面コート材

【解決手段】酸によってアルカリに可溶になる繰り返し単位を有する高分子化合物を含むポジ型レジスト材料により基板上にレジスト膜を形成し、加熱処理後に露光し、現像して第1のレジストパターンを形成し、この上にヒドロキシ基を有する架橋性の高分子化合物を含む溶液からなるパターン表面コート材を塗布し、架橋して該高分子化合物の架橋膜で覆い、その上に第2のポジ型レジスト材料を塗布し、露光し、現像して第2のレジストパターンを形成するパターン形成方法。
【効果】本発明によれば、第1のポジレジストパターン間のスペース部分にパターンを形成するダブルパターニング方法であって、パターン表面コート材を塗布し、第1レジストパターンがレジスト溶媒と現像液に溶解するのを防止することによって、第1のパターン間のスペースに第2のパターンを形成することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にフォトレジスト膜の露光と現像によって第1のポジパターンを形成し、このパターン表面を架橋性の膜を塗布することによってレジスト溶媒と現像液に不溶化し、その上にフォトレジスト膜を塗布し、第1のレジストパターン間のスペース部分に第2のポジパターンを形成するダブルパターン形成方法及びこれに用いるパターン表面コート材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、現在汎用技術として用いられている光露光では、光源の波長に由来する本質的な解像度の限界に近づきつつある。レジストパターン形成の際に使用する露光光として、1980年代には水銀灯のg線(436nm)もしくはi線(365nm)を光源とする光露光が広く用いられた。更なる微細化のための手段として、露光波長を短波長化する方法が有効とされ、1990年代の64Mビット(加工寸法が0.25μm以下)DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)以降の量産プロセスには、露光光源としてi線(365nm)に代わって短波長のKrFエキシマレーザー(248nm)が利用された。しかし、更に微細な加工技術(加工寸法が0.2μm以下)を必要とする集積度256M及び1G以上のDRAMの製造には、より短波長の光源が必要とされ、10年ほど前からArFエキシマレーザー(193nm)を用いたフォトリソグラフィーが本格的に検討されてきた。当初ArFリソグラフィーは180nmノードのデバイス作製から適用されるはずであったが、KrFエキシマリソグラフィーは130nmノードデバイス量産まで延命され、ArFリソグラフィーの本格適用は90nmノードからである。更に、NAを0.9にまで高めたレンズと組み合わせて65nmノードデバイスの検討が行われている。次の45nmノードデバイスには露光波長の短波長化が推し進められ、波長157nmのF2リソグラフィーが候補に挙がった。しかしながら、投影レンズに高価なCaF2単結晶を大量に用いることによるスキャナーのコストアップ、ソフトペリクルの耐久性が極めて低いためのハードペリクル導入に伴う光学系の変更、レジスト膜のエッチング耐性低下等の種々問題により、F2リソグラフィーの先送りと、ArF液浸リソグラフィーの早期導入が提唱された(非特許文献1:Proc. SPIE Vol. 4690 xxix)。
【0003】
ArF液浸リソグラフィーにおいて、投影レンズとウエハーの間に水を含浸させることが提案されている。193nmにおける水の屈折率は1.44であり、NA(開口数)1.0以上のレンズを使ってもパターン形成が可能で、理論上はNAを1.44近くにまで上げることができる。当初、水温変化に伴う屈折率変化による解像性の劣化やフォーカスのシフトが指摘された。水温を1/100℃以内にコントロールすることと、露光によるレジスト膜からの発熱による影響もほぼ心配ないことが確認され、屈折率変化の問題が解決された。水中のマイクロバブルがパターン転写されることも危惧されたが、水の脱気を十分に行うことと、露光によるレジスト膜からのバブル発生の心配がないことが確認された。1980年代の液浸リソグラフィーの初期段階では、ステージをすべて水に浸ける方式が提案されていたが、高速スキャナーの動作に対応するために投影レンズとウエハーの間のみに水を挿入し、水の給排水ノズルを備えたパーシャルフィル方式が採用された。水を用いた液浸によって原理的にはNAが1以上のレンズ設計が可能になったが、従来の屈折率系による光学系では巨大なレンズになってしまい、レンズが自身の自重によって変形してしまう問題が生じた。よりコンパクトなレンズ設計のために反射屈折(Catadioptric)光学系が提案され、NA1.0以上のレンズ設計が加速された。NA1.2以上のレンズと強い超解像技術の組み合わせで45nmノードの可能性が示され(非特許文献2:Proc. SPIE Vol. 5040 p724)、更にはNA1.35のレンズの開発も行われている。
【0004】
32nmノードのリソグラフィー技術としては、波長13.5nmの真空紫外光(EUV)リソグラフィーが候補に挙げられている。EUVリソグラフィーの問題点としてはレーザーの高出力化、レジスト膜の高感度化、高解像度化、低ラインエッジラフネス(LWR)化、無欠陥MoSi積層マスク、反射ミラーの低収差化などが挙げられ、克服すべき問題が山積している。
【0005】
NA1.35レンズを使った水液浸リソグラフィーの最高NAで到達できる解像度は40〜38nmであり、32nmには到達できない。そこで更にNAを高めるための高屈折率材料の開発が行われている。レンズのNAの限界を決めるのは投影レンズ、液体、レジスト膜の中で最小の屈折率である。水液浸の場合、投影レンズ(合成石英で屈折率1.5)、レジスト膜(従来のメタクリレート系で屈折率1.7)に比べて水の屈折率が最も低く、水の屈折率によって投影レンズのNAが決まっていた。最近、屈折率1.65の高透明な液体が開発されてきている。この場合、合成石英による投影レンズの屈折率が最も低く、屈折率の高い投影レンズ材料を開発する必要がある。LUAG(Lu3Al512)は屈折率が2以上であり、最も期待される材料ではあるが、複屈折率と吸収が大きい問題を持っている。また、屈折率1.8以上の投影レンズ材料が開発されたとしても屈折率1.65の液体ではNAは1.55止まりであり、35nmを解像できるが、32nmは解像できない。32nmを解像するには屈折率1.8以上の液体と屈折率1.8以上のレジスト膜及び保護膜が必要である。屈折率1.8以上の材料で最も問題なのは高屈折率液体であり、今のところ吸収と屈折率がトレードオフの関係にあり、このような材料は未だ見つかっていない。アルカン系化合物の場合、屈折率を上げるためには直鎖状よりは有橋環式化合物の方が好ましいが、環式化合物は粘度が高いために露光装置ステージの高速スキャンに追随できない問題も孕んでいる。また、屈折率1.8の液体が開発された場合、屈折率の最小がレジスト膜になるために、レジスト膜も1.8以上に高屈折率化する必要がある。
【0006】
ここで最近注目を浴びているのは1回目の露光と現像でパターンを形成し、2回目の露光で1回目のパターンの丁度間にパターンを形成するダブルパターニングプロセスである(非特許文献3:Proc. SPIE Vol. 5992 59921Q−1−16)。ダブルパターニングの方法としては多くのプロセスが提案されている。例えば、1回目の露光と現像でラインとスペースが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクを加工し、その上にハードマスクをもう1層敷いて1回目の露光のスペース部分にフォトレジスト膜の露光と現像でラインパターンを形成してハードマスクをドライエッチングで加工して初めのパターンのピッチの半分のラインアンドスペースパターンを形成する方法である。また、1回目の露光と現像でスペースとラインが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクをドライエッチングで加工し、その上にフォトレジスト膜を塗布してハードマスクが残っている部分に2回目のスペースパターンを露光しハードマスクをドライエッチングで加工する。いずれも2回のドライエッチングでハードマスクを加工する。
【0007】
前述の方法では、ハードマスクを2回敷く必要があり、後者の方法ではハードマスクが1層で済むが、ラインパターンに比べて解像が困難なトレンチパターンを形成する必要がある。後者の方法では、トレンチパターンの形成にネガ型レジスト材料を使う方法がある。これだとポジパターンでラインを形成するのと同じ高コントラストの光を用いることができるが、ポジ型レジスト材料に比べてネガ型レジスト材料の方が溶解コントラストが低いために、ポジ型レジスト材料でラインを形成する場合に比較してネガ型レジスト材料で同じ寸法のトレンチパターンを形成した場合を比較すると、ネガ型レジスト材料を使った方が解像性が低い。後者の方法で、ポジ型レジスト材料を用いて広いトレンチパターンを形成してから、基板を加熱してトレンチパターンをシュリンクさせるサーマルフロー法や、現像後のトレンチパターンの上に水溶性膜をコートしてから加熱してレジスト膜表面を架橋させることによってトレンチをシュリンクさせるRELACS法を適用させることも考えられるが、プロキシミティーバイアスが劣化するという欠点やプロセスが更に煩雑化し、スループットが低下する欠点が生じる。
【0008】
前者、後者の方法においても、基板加工のエッチングは2回必要なため、スループットの低下と2回のエッチングによるパターンの変形や位置ずれが生じる問題がある。
【0009】
エッチングを1回で済ませるために、1回目の露光でネガ型レジスト材料を用い、2回目の露光でポジ型レジスト材料を用いる方法がある。1回目の露光でポジ型レジスト材料を用い、2回目の露光でポジ型レジスト材料が溶解しない炭素数3以上のアルコールに溶解させたネガ型レジスト材料を用いる方法もある。これらの場合、解像性が低いネガ型レジスト材料を使う解像性の劣化が生じる。
【0010】
1回目の露光と2回目の露光の間にPEB(post−exposure bake)、現像を行わない方法は、最もシンプルでスループットが高い方法である。この場合、1回目の露光を行い、位置をずらしたパターンが描画されたマスクに交換して2回目の露光を行い、PEB、現像、ドライエッチングを行う。しかしながら、1回目の露光の光のエネルギーと2回目の光のエネルギーが相殺されるために、コントラストが0になってパターンが形成されなくなる。この場合、2光子吸収の酸発生剤やコントラスト増強膜(CEL)を使って酸発生を非線形にしてやると、ハーフピッチだけずらした露光でもエネルギーの相殺が比較的小さく、低いコントラストながらもずらした分だけピッチが半分になったパターンが形成できることが報告されている(非特許文献4:Jpn. J. App. Phys. Vol.33(1994)p 6874−6877、Part 1, No.12B, December 1994)。この時、1回の露光毎にマスクを交換するとスループットが非常に低下するので、ある程度まとめて1回目の露光を行った後に2回目の露光を行う。そうすると、1回目の露光と2回目の露光の間の放置時間によっては酸の拡散による寸法変動やT−top形状発生などの形状の変化が生じる。T−topの発生を抑えるためにはレジスト保護膜の適用は効果的である。但しこの時の保護膜としてはCELとしての機能を有しなければならない。
【0011】
ダブルパターニングにおいて最もクリティカルな問題となるのは、1回目のパターンと2回目のパターンの合わせ精度である。位置ずれの大きさがラインの寸法のバラツキとなるために、例えば32nmのラインを10%の精度で形成しようとすると3.2nm以内の合わせ精度が必要となる。現状のスキャナーの合わせ精度が8nm程度であるので、大幅な精度の向上が必要である。
【0012】
現像後のレジストパターン表面に膜を付着させることによってホールパターンの寸法を小さくさせるRELACS法が提案されている(特許文献1:特開2001−66782号公報)。RELACS法では、現像後のレジストパターン上に水溶性の材料を塗布し、熱によってレジスト膜に付着させる。RELACS法はホールの寸法を小さくするのが目的であり、ラインに適用した場合では、ラインの寸法が太くなる。例えば1回目のレジストパターンを不溶化する目的でRELACS材料を適用した場合、1回目のラインパターンの寸法が太くなってしまう。
ダブルパターニングでは、1回目のパターンの寸法と、2回目の寸法が異なる場合、エッチング後のパターンの寸法差が生じるために好ましくない。
このため、不溶化処理によって寸法差が生じないパターン表面コート材の開発が望まれている。
【0013】
近年、インクジェット印刷による硬化膜の形成が検討されるようになり、これに用いられるカチオン重合を用いた硬化材料が多く報告されている。
例えば、特許文献2〜7:特開平11−100378号公報、特開2003−231860号公報、特開2005−146038号公報、特開2006−290052号公報、特開2006−199790号公報、特開2006−273748号公報に記載の環状エポキシ化合物、特許文献7:特開2006−348252号公報に記載の環に結合したオキシラン環を有する架橋剤、特許文献8:特開2008−24920号公報に示されるデンドリマー、ハイパーブランチポリマーをベースとするエポキシ架橋剤、特許文献9:特開2001−310937号公報に記載のヒドロキシ基とオキセタニル基の両方を有する架橋剤、特許文献10:特許3824286号公報にはヒドロキシ基とエポキシ基の両方を有する架橋剤が提案されている。
更に、反応性を向上した新規のオキシランを有する繰り返し単位を得るためのモノマーとしては、特許文献12〜14:特開2003−55362号公報、特開2005−8847号公報、特開2005−18012号公報に開示されている。
特許文献15:特開2004−352980号公報にはオキシラン環、オキセタン環の反応性について記述されている。開環反応の活性化エネルギーが最も低いオキシランとして、環を形成する2個の炭素原子のうち1個の炭素原子は少なくとも1個の水素原子で置換されており、他の1個の炭素原子は2個の炭素原子で置換されており、その置換している炭素原子は飽和結合もしくは不飽和結合であることが報告されている。
【0014】
【非特許文献1】Proc. SPIE Vol. 4690 xxix
【非特許文献2】Proc. SPIE Vol. 5040 p724
【非特許文献3】Proc. SPIE Vol. 5992 59921Q−1−16
【非特許文献4】Jpn. J. App. Phys. Vol.33(1994)p 6874−6877、Part 1, No.12B, December 1994
【0015】
【特許文献1】特開2001−66782号公報
【特許文献2】特開平11−100378号公報
【特許文献3】特開2003−231860号公報
【特許文献4】特開2005−146038号公報
【特許文献5】特開2006−290052号公報
【特許文献6】特開2006−199790号公報
【特許文献7】特開2006−273748号公報
【特許文献8】特開2006−348252号公報
【特許文献9】特開2008−24920号公報
【特許文献10】特開2001−310937号公報
【特許文献11】特許3824286号公報
【特許文献12】特開2003−55362号公報
【特許文献13】特開2005−8847号公報
【特許文献14】特開2005−18012号公報
【特許文献15】特開2004−352980号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記のことから、露光と現像によって形成された第1のポジ型レジストパターンの表面を、第1のレジストパターンがレジスト溶媒と現像液に溶解するのを防止(保護)するためのパターン表面コート材で覆い、その上にポジ型レジスト材料を塗布し、第1のポジ型レジストパターン間のスペース部分に第2のポジ型レジストパターンを形成するダブルパターニング方法において、第1のポジ型レジストパターンが効率的にレジスト溶媒と現像液に溶解するのを防止することによって第1のパターン寸法変動を最小限に抑えるためのパターン表面コート材を開発する必要がある。
【0017】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、第1のポジ型レジストパターンが効率的にレジスト溶媒と現像液に溶解するのを防止し得て、良好なダブルパターニングを行うことができるパターニング方法及びこの方法の実施に用いるパターン表面コート材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために、本発明者らは、下記に示すパターン形成方法が有効であることを知見した。
【0019】
従って、本発明は、下記のパターン形成方法及びこれに用いるパターン表面コート材を提供する。
請求項1:
酸によってアルカリに可溶になる繰り返し単位を有する高分子化合物を含むポジ型レジスト材料を基板上に塗布してレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後にアルカリ現像液を用いて上記レジスト膜を現像して第1のレジストパターンを形成し、この第1のレジストパターンの上にヒドロキシ基を有する架橋性の高分子化合物を含む溶液からなるパターン表面コート材を塗布し、酸と熱によって前記ヒドロキシ基を有する高分子化合物を架橋して該高分子化合物の架橋膜で第1のレジストパターンを覆い、その上に第2のポジ型レジスト材料を塗布し、加熱処理後に高エネルギー線で第2のレジスト膜を露光し、加熱処理後にアルカリ現像液を用いて第2のレジスト膜を現像して第2のレジストパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法。
請求項2:
酸によってアルカリに可溶になる繰り返し単位を有する高分子化合物を含むポジ型レジスト材料を基板上に塗布してレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後にアルカリ現像液を用いて上記レジスト膜を現像して第1のレジストパターンを形成し、この第1のレジストパターンの上にヒドロキシ基を有する架橋性の高分子化合物を含む溶液からなるパターン表面コート材を塗布し、酸と熱によって前記ヒドロキシ基を有する高分子化合物を架橋して該高分子化合物の架橋膜で第1のレジストパターンを覆い、アルカリ現像液で余分なパターン表面コート材を剥離し、その上に第2のポジ型レジスト材料を塗布し、加熱処理後に高エネルギー線で第2のレジスト膜を露光し、加熱処理後にアルカリ現像液を用いて第2のレジスト膜を現像して第2のレジストパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法。
請求項3:
第1のレジストパターンのスペース部分に第2のレジストパターンを形成することによってパターン間のピッチを半分にすることを特徴とする請求項1又は2記載のパターン形成方法。
請求項4:
第1のパターンと交わる第2のパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のパターン形成方法。
請求項5:
第1のパターンのパターンが形成されていないスペース部分に第1のパターンと異なる方向に第2のパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のパターン形成方法。
請求項6:
第1のレジストパターンにヒドロキシ基を有する架橋性の高分子化合物を含む溶液を塗布し、酸と熱によって該高分子化合物を架橋させる工程が、100〜250℃の加熱によって該高分子化合物表面を架橋させて、第1のレジストパターンを溶解させる溶媒及びアルカリ現像液に不溶にすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のパターン形成方法。
請求項7:
請求項1乃至6のいずれか1項記載のパターン形成方法において用いるパターン表面コート材であって、下記一般式(1)で示されるヒドロキシ基を有する架橋性の高分子化合物を含むことを特徴とするパターン表面コート材。
【化1】


(式中、R1、R3は水素原子、メチル基又はヒドロキシメチル基であり、R2は単結合、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基もしくはアルキリジン基、R4は(n+1)価の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状の脂肪族飽和炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、ベンジル基、又はナフタレンメチル基であり、エーテル結合を有していてもよい。mは1又は2であり、nは1〜5の整数である。X1、X2はそれぞれ−C(=O)−O−R5−、−C(=O)−NH−R6−、−C(=O)−N−(R62−、又はフェニレン基もしくはナフチレン基である。R5、R6は単結合、炭素数1〜6のアルキレン基、又は炭素数6〜10のアリーレン基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。0≦a1<1.0、0<a2≦1.0、0<a1+a2≦1.0である。この場合、a1、a2は、好ましくは0≦a1≦0.9、0.1≦a2≦1.0、0.1≦a1+a2≦1.0、更に好ましくは0≦a1≦0.8、0.2≦a2≦1.0、0.2≦a1+a2≦1.0である。)
請求項8:
請求項1乃至6のいずれか1項記載のパターン形成方法において用いるパターン表面コート材であって、下記一般式(1a)で示されるヒドロキシ基を有する架橋性の高分子化合物を含むことを特徴とするパターン表面コート材。
【化2】


(式中、R1、R3は水素原子、メチル基又はヒドロキシメチル基であり、R2は単結合、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基もしくはアルキリジン基、R4は(n+1)価の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状の脂肪族飽和炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、ベンジル基、又はナフタレンメチル基であり、エーテル結合を有していてもよい。mは1又は2であり、nは1〜5の整数である。X1、X2はそれぞれ−C(=O)−O−R5−、−C(=O)−NH−R6−、−C(=O)−N−(R62−、又はフェニレン基もしくはナフチレン基である。R5、R6は単結合、炭素数1〜6のアルキレン基、又は炭素数6〜10のアリーレン基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R8は水素原子又はメチル基、X3はそれぞれ−C(=O)−O−R12−、又はフェニレン基もしくはナフチレン基である。R12は単結合、炭素数1〜6のアルキレン基、又は炭素数6〜10のアリーレン基であり、エーテル基、エステル基、ヒドロキシ基又はカルボキシル基を有していてもよい。R9は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、R10は水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はR9と結合してこれらが結合する水素原子と共に環を形成してもよい。R11は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、pは0又は1である。0≦a1<1.0、0<a2≦1.0、0<b≦1.0、0<a1+a2+b≦1.0である。この場合、好ましくは0≦a1≦0.9、0.1≦a2≦1.0、0≦b≦0.9、0.1≦a1+a2+b≦1.0、更に好ましくは0≦a1≦0.8、0.2≦a2≦1.0、0≦b≦0.8、0.3≦a1+a2+b≦1.0である。)
請求項9:
式(1)又は(1a)のヒドロキシ基を有する架橋性の高分子化合物と、炭素数3〜8のアルコールを含む有機溶媒を混合してなる請求項7又は8記載のパターン表面コート材。
請求項10:
式(1)又は(1a)のヒドロキシ基を有する架橋性の高分子化合物と、熱酸発生剤と、炭素数3〜8のアルコールを含む有機溶媒を混合してなる請求項9記載のパターン表面コート材。
請求項11:
熱酸発生剤が下記一般式(2)で示されるアンモニウム塩であることを特徴とする請求項10記載のパターン表面コート材。
【化3】


(式中、R101d、R101e、R101f、R101gは水素原子、それぞれ炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のエーテル基又はエステル基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基によって置換されていてもよい。R101dとR101e、R101dとR101eとR101fとはこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101dとR101e及びR101dとR101eとR101fは炭素数3〜10のアルキレン基、又は窒素原子を環の中に有する複素芳香族環を形成する基を示す。K-は非求核性対向イオンを表す。)
請求項12:
更に、酸によって架橋する架橋剤を含有する請求項9乃至11のいずれか1項記載のパターン表面コート材。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、露光と現像によって形成された第1のポジ型レジストパターンの表面を、第1レジストパターンがレジスト溶媒と現像液に溶解するのを防止するためのパターン表面コート材の架橋膜で覆い、その上に第2のポジ型レジスト材料を塗布し、第1のポジ型レジストパターン間のスペース部分にパターンを形成するダブルパターニング方法であって、ポジ型レジスト材料のパターンを溶解させない炭素数3〜8のアルコールを好ましくは10質量%以上含む溶液に溶解させたヒドロキシ基を有する架橋性の高分子化合物からなるパターン表面コート材を塗布し、加熱によってこれを架橋し、第1のレジストパターンがレジスト溶媒と現像液に溶解するのを防止することによって、その上にポジ型レジスト材料を塗布して第1のパターン間のスペースに第2のパターンを形成することが可能になる。また、本発明のパターン表面コート材は、極薄膜でレジストパターンの表面を効率よく保護するために、第1のパターンの寸法変動が小さい特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明者らは、2回の露光と現像によって半分のピッチのパターンを得るダブルパターニングリソグラフィーにおいて、1回のドライエッチングによって基板を加工するためのポジ型レジスト材料を得るために鋭意検討を行った。
【0022】
即ち、本発明者らは、種々検討した結果、酸によってアルカリに可溶になる繰り返し単位を有する高分子化合物、特に脂環式構造を有する高分子化合物を含むポジ型レジスト材料を基板上に塗布して第1のレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後にアルカリ現像液を用いて上記レジスト膜を現像して第1のレジストパターンの上に、ヒドロキシ基を有する架橋性の高分子化合物を含む溶液からなるパターン表面コート材を塗布し、酸と熱によって第1のレジストパターンを前記架橋性高分子化合物の架橋膜で覆い、その上にポジ型レジスト材料を塗布して第2のレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線で前記第2のレジスト膜を露光し、加熱処理後にアルカリ現像液を用いて上記第2のレジスト膜を現像して第2のレジストパターンを形成するパターン形成方法を検討し、本発明を完成させたものである。
【0023】
本発明に係るパターン形成方法に用いられるパターン表面コート材としては、ヒドロキシ基を有する架橋性の高分子化合物を含む溶液、好ましくは該高分子化合物を炭素数3〜8のアルコールを好ましくは10質量%以上含む溶液に溶解していることを特徴とする。このような高分子化合物としては、下記一般式(1)で示されるものが有効である。
【0024】
【化4】

(式中、R1、R3は水素原子、メチル基又はヒドロキシメチル基であり、R2は単結合、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基もしくはこのアルキレン基から水素原子が1個脱離したアルキリジン基、R4は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、又は炭素数6〜12のアリーレン基、あるいはこれらアルキレン基、アリーレン基から水素原子が1〜4個、好ましくは1〜3個脱離した(n+1)価の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状の脂肪族飽和炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、ベンジル基、又はナフタレンメチル基であり、これらはエーテル結合を有していてもよい。mは1又は2であり、nは1〜5、好ましくは1〜3の整数である。X1、X2はそれぞれ−C(=O)−O−R5−、−C(=O)−NH−R6−、−C(=O)−N−(R62−、又はフェニレン基もしくはナフチレン基である。R5、R6は単結合、炭素数1〜6のアルキレン基、又は炭素数6〜10のアリーレン基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。0≦a1<1.0、0<a2≦1.0、0<a1+a2≦1.0である。)
【0025】
上記一般式(1)で示される繰り返し単位を得るためのモノマーとしては、下記式Ma1、Ma2で示される。ここで、R1〜R4、X1、X2、m、nは前述と同じである。ヒドロキシ基を有するMa1、Ma2を重合することによって得られた高分子化合物は、炭素数3〜8のアルコールに溶解し、ヒドロキシ基の部分が架橋することによって強固な膜にすることができる。
【0026】
【化5】

【0027】
Ma1としては、具体的には下記に例示することができる。
【化6】


(式中、R1は上記の通り。)
【0028】
これらの中でも、アルコール溶解性とアルカリ溶解性に優れる繰り返し単位として、下記一般式(3)で示される構造のモノマーを好ましく用いることができる。
【化7】

【0029】
ここで、R1は上記の通り、R7a、R7bは水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基で、R7aとR7bが結合してこれらが結合する炭素原子と共に環、好ましくは炭素数3〜6の脂環を形成してもよい。
【0030】
Ma2は、アルコール溶解性に加えて架橋を促進させるユニットとして有効であり、Ma1と併用することによってアルコール溶解性と架橋による硬化性を向上させることが可能になる。
【0031】
Ma2単位としては、具体的には下記に例示することができる。
【化8】


(式中、R3は上記の通り。)
【0032】
【化9】


(式中、R3は上記の通り。)
【0033】
【化10】


(式中、R3は上記の通り。)
【0034】
本発明はアルコール基を有する繰り返し単位を得るモノマーMa1あるいはMa2による繰り返し単位からなる高分子化合物をベースとするが、架橋密度を向上させるために下記一般式(4)に示されるエポキシ基又はオキセタニル基を有するモノマーbを共重合させてもよい。
【化11】

【0035】
ここで、R8は水素原子又はメチル基、X3はそれぞれ−C(=O)−O−R12−、又はフェニレン基もしくはナフチレン基である。R12は単結合、炭素数1〜6のアルキレン基、又は炭素数6〜10のアリーレン基であり、エーテル基、エステル基、ヒドロキシ基又はカルボキシル基を有していてもよい。R9は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、R10は水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はR9と結合してこれらが結合する水素原子と共に環を形成してもよい。R11は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、pは0又は1である。
式(4)の単位の例としては、下記のものが挙げられる。
【0036】
【化12】


(式中、R8は上記の通り。)
【0037】
【化13】


(式中、R8は上記の通り。)
【0038】
【化14】


(式中、R8は上記の通り。)
【0039】
なお、エポキシ基、オキセタニル基を有する繰り返し単位を得るためのモノマーの一部は、特開2003−55362号公報、特開2005−8847号公報、特開2005−18012号公報に開示されている。
【0040】
フルオロアルコールを有する繰り返し単位を得るためのモノマーMa1は、アルコールとアルカリ溶解性に優れるが、架橋性がないため、繰り返し単位を得るためのモノマーMa2あるいはエポキシ基、オキセタニル基を有するモノマーと共重合する必要がある。エポキシ基、オキセタニル基のみからなるポリマーは、架橋性に優れるが、アルコール溶媒への溶解性がないために、モノマーMa1あるいはMa2と共重合する必要がある。
【0041】
従って、このように繰り返し単位bを共重合する場合は、下記式(1a)の繰り返し単位を有することが好ましい。
【化15】


(式中、R1、R3は水素原子、メチル基又はヒドロキシメチル基であり、R2は単結合、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基もしくはアルキリジン基、R4は(n+1)価の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状の脂肪族飽和炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、ベンジル基、又はナフタレンメチル基であり、エーテル結合を有していてもよい。mは1又は2であり、nは1〜5の整数である。X1、X2はそれぞれ−C(=O)−O−R5−、−C(=O)−NH−R6−、−C(=O)−N−(R62−、又はフェニレン基もしくはナフチレン基である。R5、R6は単結合、炭素数1〜6のアルキレン基、又は炭素数6〜10のアリーレン基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R8は水素原子又はメチル基、X3はそれぞれ−C(=O)−O−R12−、又はフェニレン基もしくはナフチレン基である。R12は単結合、炭素数1〜6のアルキレン基、又は炭素数6〜10のアリーレン基であり、エーテル基、エステル基、ヒドロキシ基又はカルボキシル基を有していてもよい。R9は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、R10は水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はR9と結合してこれらが結合する水素原子と共に環を形成してもよい。R11は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、pは0又は1である。0≦a1<1.0、0<a2≦1.0、0<b≦1.0、0<a1+a2+b≦1.0である。)
【0042】
本発明はアルコール基を有する繰り返し単位を得るモノマーMa1、Ma2による繰り返し単位を含む高分子化合物をベースとするが、レジスト膜との密着性を向上させるために下記に示すラクトンを有するモノマー、又はαヒドロキシメチルアクリレートに由来する繰り返し単位cを共重合させてもよい。
【0043】
【化16】

【0044】
【化17】

【0045】
【化18】

【0046】
【化19】

【0047】
更に、エッチング耐性の向上あるいは反射を抑える目的で、スチレン類、ビニルナフタレン類、ビニルアントラセン類、ビニルカルバゾール類、アセナフチレン類、インデン類などの芳香族基を有するオレフィン類dや、ノルボルネン類、ノルボルナジエン類などの脂環のオレフィン類e、親水性を向上させてブロッブ欠陥の発生を防止させ、2回目のパターン形成で本発明のコート膜の上にパターンが形成されるレジスト膜との密着性を向上させるためにカルボキシル基を有する繰り返し単位fを共重合してもよい。繰り返し単位fについては下記に例示することができる。
【0048】
【化20】

【0049】
上記繰り返し単位a1、a2、b、c、d、e、fにおいて、繰り返し単位の比率は、0≦a1<1.0、0<a2≦1.0、0<a1+a2≦1.0、0≦b≦0.8、0≦c≦0.8、0≦d≦0.8、0≦e≦0.8、0≦f≦0.8、好ましくは0≦a1≦0.9、0.1≦a2≦1.0、0.1≦a1+a2≦1.0、0≦b≦0.7、0≦c≦0.7、0≦d≦0.7、0≦e≦0.7、0≦f≦0.7、より好ましくは0≦a1≦0.8、0.2≦a2≦1.0、0.2≦a1+a2≦1.0、0≦b≦0.6、0≦c≦0.6、0≦d≦0.6、0≦e≦0.6、0≦f≦0.6の範囲である。なお、a1+a2+b+c+d+e+f=1であり、これら繰り返し単位の合計は全繰り返し単位の合計量の100モル%である。
【0050】
本発明のパターン形成方法に用いられるヒドロキシ基を有する高分子化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,000〜500,000、特に2,000〜30,000であることが好ましい。重量平均分子量が小さすぎるとガラス転移温度が低くなりレジスト材料現像後の熱架橋においてパターンが変形するものとなり、大きすぎると塗布時にピンホール欠陥を引き起こす可能性がある。
なお、組成比率や分子量分布や分子量が異なる2つ以上のポリマーをブレンドすることも可能である。
【0051】
本発明は、露光と現像によって第1のレジストパターン形成後、ヒドロキシ基を有する繰り返し単位を有する高分子化合物と好ましくは更に熱酸発生剤と炭素数3〜8の高級アルコールとを含むパターン表面コート材を第1のレジストパターン上に塗布し、酸と熱によって上記高分子化合物を架橋させる。ヒドロキシ基は酸による架橋反応によって第1のレジストパターンの被膜にアルカリ現像液とレジスト溶媒に不溶の膜を形成する。
本発明のヒドロキシ基を有する高分子化合物は、炭素数3〜8のアルコールに溶解させることが好ましい。炭素数3〜8のアルコールにはポジ型レジスト用のベースポリマーが溶解しないために、本発明のヒドロキシ基を有する高分子化合物とレジストパターンのミキシング層の発生を抑える。炭素数3〜8のアルコールは、具体的にはn−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−ジエチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、n−オクタノール、シクロヘキサノールが挙げられる。更にレジスト膜とのミキシングを防止するために上記の溶媒に加えて、水、重水、ジイソブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、デカン、トルエン、キシレン、アニソール、ヘキサン、シクロヘキサン、2−フルオロアニソール、3−フルオロアニソール、4−フルオロアニソール、2,3−ジフルオロアニソール、2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、5,8−ジフルオロ−1,4−ベンゾジオキサン、2,3−ジフルオロベンジルアルコール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、2’,4’−ジフルオロプロピオフェノン、2,4−ジフルオロトルエン、トリフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタール、トリフルオロアセトアミド、トリフルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエチルブチレート、エチルヘプタフルオロブチレート、エチルヘプタフルオロブチルアセテート、エチルヘキサフルオログルタリルメチル、エチル−3−ヒドロキシ−4,4,4−トリフルオロブチレート、エチル−2−メチル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、エチルペンタフルオロベンゾエート、エチルペンタフルオロプロピオネート、エチルペンタフルオロプロピニルアセテート、エチルパーフルオロオクタノエート、エチル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、エチル−4,4,4−トリフルオロブチレート、エチル−4,4,4−トリフルオロクロトネート、エチルトリフルオロスルホネート、エチル−3−(トリフルオロメチル)ブチレート、エチルトリフルオロピルベート、S−エチルトリフルオロアセテート、フルオロシクロヘキサン、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブタノール、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−7,7−ジメチル−4,6−オクタンジオン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタフルオロペンタン−2,4−ジオン、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2−ペンタノール、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2−ペンタノン、イソプロピル4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、メチルパーフルオロデナノエート、メチルパーフルオロ(2−メチル−3−オキサヘキサノエート)、メチルパーフルオロノナノエート、メチルパーフルオロオクタノエート、メチル−2,3,3,3−テトラフルオロプロピオネート、メチルトリフルオロアセトアセテート、1,1,1,2,2,6,6,6−オクタフルオロ−2,4−ヘキサンジオン、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール、1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−1−デカノール、パーフルオロ(2,5−ジメチル−3,6−ジオキサンアニオニック)酸メチルエステル、2H−パーフルオロ−5−メチル−3,6−ジオキサノナン、1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロノナン−1,2−ジオール、1H,1H,9H−パーフルオロ−1−ノナノール、1H,1H−パーフルオロオクタノール、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクタノール、2H−パーフルオロ−5,8,11,14−テトラメチル−3,6,9,12,15−ペンタオキサオクタデカン、パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロトリヘキシルアミン、パーフルオロ−2,5,8−トリメチル−3,6,9−トリオキサドデカン酸メチルエステル、パーフルオロトリペンチルアミン、パーフルオロトリプロピルアミン、1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロウンデカン−1,2−ジオール、トルフルオロブタノール1,1,1−トリフルオロ−5−メチル−2,4−ヘキサンジオン、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール、3,3,3−トリフルオロ−1−プロパノール、1,1,1−トリフルオロ−2−プロピルアセテート、パーフルオロブチルテトラヒドロフラン、パーフルオロ(ブチルテトラヒドロフラン)、パーフルオロデカリン、パーフルオロ(1,2−ジメチルシクロヘキサン)、パーフルオロ(1,3−ジメチルシクロヘキサン)、プロピレングリコールトリフルオロメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルトリフルオロメチルアセテート、トリフルオロメチル酢酸ブチル、3−トリフルオロメトキシプロピオン酸メチル、パーフルオロシクロヘキサノン、プロピレングリコールトリフルオロメチルエーテル、トリフルオロ酢酸ブチル、1,1,1−トリフルオロ−5,5−ジメチル−2,4−ヘキサンジオン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノール、2−トリフルオロメチル−2−プロパノール,2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、3,3,3−トリフルオロ−1−プロパノール、4,4,4−トリフルオロ−1−ブタノールなどの1種又は2種以上を混合して使用することができる。
【0052】
この場合、上記炭素数3〜8のアルコールは、パターン表面コート材中、10質量%以上、好ましくは30質量%以上100質量%未満含有することが好ましい。また、上記ヒドロキシ基を有する高分子化合物は、パターン表面コート材中、0.001〜30質量%、特に0.01〜10質量%含有していることが好ましい。
【0053】
上記高分子化合物のヒドロキシ基による架橋反応を加速させるために、光や熱による酸発生剤を添加しておくことは有効である。架橋温度としては、100〜250℃、時間は5〜500秒が好ましく用いられる。酸発生剤については後述するが、好ましくは下記式(2)で示されるアンモニウム塩である。
【0054】
【化21】


(式中、R101d、R101e、R101f、R101gは水素原子、それぞれ炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のエーテル基又はエステル基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基によって置換されていてもよい。R101dとR101e、R101dとR101eとR101fとはこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101dとR101e及びR101dとR101eとR101fは炭素数3〜10のアルキレン基、又は窒素原子を環の中に有する複素芳香族環を形成する基を示す。K-は非求核性対向イオンを表す。)
【0055】
トリフェニルスルホニウム塩は光酸発生剤として優れているが、その殆どが熱分解温度が250℃以上であるために熱酸発生剤として用いることができない。しかしながら、ベンジル基、ナフタレンメチル基、アルキル基、カルボニルメチル基などで置換されているスルホニウム塩は熱分解温度が低いために熱酸発生剤としても用いることができる。
【0056】
なお、酸発生剤は、パターン表面コート材の固形分中、0.01〜50質量%、特に0.1〜30質量%含有していることが好ましい。
【0057】
本発明のパターン形成に用いられる繰り返し単位a1単位は、アルコール溶媒への溶解性を向上させる効果があるが、a1単位に含まれるヘキサフルオロアルコール基は架橋性を有しない。架橋性を有するのはa2単位に示されるヒドロキシ基、その中でも1級及び2級のアルコールを有する繰り返し単位である。
【0058】
a2単位に示されるヒドロキシ基を含む繰り返し単位を共重合することによって得られた高分子化合物は、アルコール溶媒への溶解性があるだけでなく、ポジ型レジスト材料に用いられる溶媒に溶解しなくなる。ちなみに繰り返し単位a1単位だけのポリマーは、ポジ型レジスト材料用の溶媒に溶解する。ポジ型レジスト材料の溶媒に溶解しないと、第1のポジ型レジストパターンを形成し、本発明のレジストパターン溶解阻止膜を形成し、その上に第2のレジスト溶液を塗布した時に第2のレジスト溶液による第1のレジストパターンの浸透と溶解を効率よく防ぐことができる。
【0059】
一般的にポジ型レジスト材料は、シクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類等の溶媒が用いられ、これらの溶媒に溶解する高分子化合物が用いられる。この中でも特にシクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチルが広く用いられている。
【0060】
a2単位に示されるヒドロキシ基を有する繰り返し単位を多く含む高分子化合物は、前記レジスト用の溶媒に溶解しない特性を有する。
【0061】
1回目のレジストパターン部分は、2回目のレジストパターンを形成する時の露光で光が照射される。1回目のレジストパターンは2回目の現像後でもパターンを保持する必要があるため、本発明のレジストパターン溶解阻止膜はベークによる架橋後はアルカリ現像液にも溶解しない特性を有しなければならない。
【0062】
ヒドロキシ基を有し、アルカリに溶解しない材料としては、露光部のネガレジスト膜が挙げられる。ネガ型レジスト材料は、露光によって酸発生剤から発生した酸と架橋剤による架橋反応でアルカリ不溶になる。本発明のレジストパターン溶解阻止膜もネガ型レジスト材料と同様に、酸発生剤から発生した酸と架橋剤による架橋反応によってアルカリ不溶にすることができる。酸発生剤としては、光酸発生剤よりは熱酸発生剤の方が、光照射がない分だけ好ましく用いられる。
【0063】
また、架橋システムを用いなくてもアルカリ不溶にすることができる。繰り返し単位a1単位はアルカリ溶解性を有し、繰り返し単位a2単位の中でも1級アルコールを有するものも少しのアルカリ溶解性を示す。ところが、繰り返し単位a2単位の中でも2級アルコール、特には3級アルコールを有するものはアルカリ溶解性を低下させる。
【0064】
即ち、アルコール溶解性のためのa1単位、架橋とレジスト溶媒不溶化のための1級あるいは2級のアルコール単位を有するa2単位、アルカリ溶解性低下のための2級あるいは3級のアルコール単位を有するa2単位を組み合わせることによって、アルコール溶解性があって、レジスト溶媒とアルカリ現像液に不溶の高分子化合物に調製することが可能になる。
【0065】
このような特性を有する高分子化合物をレジストパターン不溶化膜に用いた場合、酸と架橋剤による架橋システムだけに頼ることなく本発明のパターン形成方法に用いることができる。架橋反応を行うためには、酸だけでなく熱も必要であるため、熱フロー温度が低いポリマーを用いたポジ型レジスト材料では、レジストパターン不溶化膜の形成時にパターンが熱変形してしまう可能性がある。様々な熱フロー温度のレジストポリマーに対応するためにはレジストパターン溶解阻止膜(レジストパターン保護膜)の形成時のベーク温度は低い方が好ましく、そのためには反応性の高い架橋基をなるべく多く導入する必要がある。ベーク温度としては、220℃以下が好ましく、より好ましくは180℃以下、更に好ましくは160℃以下であり、理想的には130℃以下である。160℃以下であれば、多くのレジストに用いられるポリマーのガラス転移温度Tg以下であり、熱フローによるパターン変形を抑えることができる。更に130℃以下であれば、酸不安定基の脱保護反応によるパターンのシュリンクを防ぐことが可能である。時間は5〜300秒の間が好ましい。架橋前のポリマーの段階でレジスト溶媒とアルカリ現像液に不溶であり、低温の少しの架橋によって、より強固な遮断性を有するレジストパターン不溶化材料であることが好ましい。
【0066】
本発明のパターン溶解阻止膜を形成する場合、酸によって架橋する材料(架橋剤)を添加することもできる。ここで使用可能な架橋剤の具体例を列挙すると、メチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの基で置換されたメラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、イソシアネート化合物、アジド化合物、アルケニルエーテル基などの2重結合を含む化合物、ベンジルアルコールを有する化合物等、特開平2−60941号公報、特開平2−99537号公報、特開平2−115238号公報記載のオキサゾリン系架橋剤等を挙げることができる。オキサゾリン基はカルボキシル基と低温で反応するために、オキサゾリン系架橋剤は特に好適に用いることができる。
【0067】
この場合、これら架橋剤は、パターン表面コート材の固形分中、0〜80質量%、特に0〜50質量%含有し得るが、配合する場合は5質量%以上の含有量とすることが好ましい。
【0068】
前記架橋剤の具体例のうち、更にエポキシ化合物を例示すると、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリメチロールメタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリエチロールエタントリグリシジルエーテルなどが例示される。
または、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2−t−ブチルフェノール、3−t−ブチルフェノール、4−t−ブチルフェノール、2−フェニルフェノール、3−フェニルフェノール、4−フェニルフェノール、3,5−ジフェニルフェノール、2−ナフチルフェノール、3−ナフチルフェノール、4−ナフチルフェノール、4−トリチルフェノール、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、4−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、カテコール、4−t−ブチルカテコール、2−メトキシフェノール、3−メトキシフェノール、2−プロピルフェノール、3−プロピルフェノール、4−プロピルフェノール、2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、2−メトキシ−5−メチルフェノール、2−t−ブチル−5−メチルフェノール、ピロガロール、チモール、イソチモール、4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、2,2’ジメチル−4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、2,2’ジアリル−4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、2,2’ジフルオロ−4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、2,2’ジフェニル−4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、2,2’ジメトキシ−4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、2,3,2’,3’−テトラヒドロ−(1,1’)−スピロビインデン−6,6’−ジオール、3,3,3’,3’−テトラメチル−2,3,2’,3’−テトラヒドロ−(1,1’)−スピロビインデン−6,6’−ジオール、3,3,3’,3’,4,4’−ヘキサメチル−2,3,2’,3’−テトラヒドロ−(1,1’)−スピロビインデン−6,6’−ジオール、2,3,2’,3’−テトラヒドロ−(1,1’)−スピロビインデン−5,5’−ジオール、5,5’−ジメチル−3,3,3’,3’−テトラメチル−2,3,2’,3’−テトラヒドロ−(1,1’)−スピロビインデン−6,6’−ジオールのヒドロキシ基をグリシジルエーテル化したもの、あるいは前記フェノール性化合物のノボラック樹脂のヒドロキシ基をグリシジルエーテル化したものが挙げられる。
【0069】
メラミン化合物を具体的に例示すると、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンの1〜6個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1〜6個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物が挙げられる。グアナミン化合物としては、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜4個のメチロール基がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物が挙げられる。グリコールウリル化合物としては、テトラメチロールグリコールウリル、テトラメトキシグリコールウリル、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜4個がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜4個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物が挙げられる。ウレア化合物としてはテトラメチロールウレア、テトラメトキシメチルウレア、テトラメチロールウレアの1〜4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルウレアなどが挙げられる。
【0070】
イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられ、アジド化合物としては、1,1’−ビフェニル−4,4’−ビスアジド、4,4’−メチリデンビスアジド、4,4’−オキシビスアジドが挙げられる。
【0071】
アルケニルエーテル基を含む化合物としては、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,2−プロパンジオールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテルなどが挙げられる。
【0072】
更には、特開平11−100378号公報、特開2003−231860号公報、特開2005−146038号公報、特開2006−290052号公報、特開2006−199790号公報、特開2006−273748号公報に記載の環状エポキシ化合物、特開2006−348252号公報に記載の環に結合したオキシラン環を有する架橋剤、特開2008−24920号公報に示されるデンドリマー、ハイパーブランチポリマーをベースとするエポキシ架橋剤、特開2001−310937号公報に記載のヒドロキシ基とオキセタニル基の両方を有する架橋剤、特許3824286号公報にはヒドロキシ基とエポキシ基の両方を有する架橋剤が挙げられる。
【0073】
エポキシ基は環の歪みが大きく反応性が高いが、オキセタンは塩基性が高く酸と結合し易い。エポキシ基にオキセタニル基を組み合わせることによってカチオン重合の反応性が格段に向上することが報告されている。
【0074】
本発明のパターン形成方法に用いる第1及び第2のポジ型レジスト材料に用いるベースポリマーとしては、下記一般式(5)で示される酸脱離性基を有する繰り返し単位gと密着性基を有する繰り返し単位の共重合からなる高分子化合物を使用することが好ましい。なお、第1及び第2のポジ型レジスト材料は、互いに異なるものを用いてもよいが、同一のものを使用することがエッチング性を同じにする等の点から好ましい。
【0075】
【化22】


(式中、R13は水素原子又はメチル基、R14は酸不安定基を示す。gは0<g≦0.8の範囲である。)
【0076】
ここで、一般式(5)に示す繰り返し単位を得るためのモノマーMgは、下記式で示される。
【化23】


(式中、R13、R14は上記の通りである。)
【0077】
一般式(5)中、R14で示される酸不安定基は種々選定されるが、特に下記式(AL−10)、(AL−11)で示される基、下記式(AL−12)で示される炭素数4〜40の3級アルキル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等が挙げられる。
【0078】
【化24】

【0079】
式(AL−10)、(AL−11)において、R51、R54は炭素数1〜40、特に1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の一価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよい。R52、R53は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の一価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよく、a5は0〜10の整数である。R52とR53、R52とR54、R53とR54はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子と共に炭素数3〜20、特に4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
【0080】
55、R56、R57はそれぞれ炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の一価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよい。あるいはR55とR56、R55とR57、R56とR57はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20、特に4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
【0081】
式(AL−10)に示される化合物を具体的に例示すると、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等、また下記式(AL−10)−1〜(AL−10)−10で示される置換基が挙げられる。
【0082】
【化25】

【0083】
式(AL−10)−1〜(AL−10)−10中、R58は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。R59は水素原子あるいは炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R60は炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。a5は上記の通りである。
【0084】
前記式(AL−11)で示されるアセタール化合物を(AL−11)−1〜(AL−11)−34に例示する。
【0085】
【化26】

【0086】
【化27】

【0087】
また、下記式(AL−11a)あるいは(AL−11b)で表される酸不安定基によってベース樹脂が分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【0088】
【化28】

【0089】
上記式中、R61、R62は水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、R61とR62は結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合にはR61、R62は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R63は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、b5、d5は0又は1〜10、好ましくは0又は1〜5の整数、c5は1〜7の整数である。Aは、(c5+1)価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基はO、S、N等のヘテロ原子を介在してもよく、又はその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。
【0090】
この場合、好ましくはAは2〜4価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルカントリイル基、アルカンテトライル基、炭素数6〜30のアリーレン基であり、これらの基はO、S、N等のヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。また、c5は好ましくは1〜3の整数である。
【0091】
一般式(AL−11a)、(AL−11b)で示される架橋型アセタール基は、具体的には下記式(AL−11)−35〜(AL−11)−42のものが挙げられる。
【0092】
【化29】

【0093】
次に、前記式(AL−12)に示される3級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、tert−アミル基等、あるいは下記式(AL−12)−1〜(AL−12)−16を挙げることができる。
【0094】
【化30】

【0095】
上記式中、R64は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。R65、R67は水素原子あるいは炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R66は炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。
【0096】
更に、下記式(AL−12)−17、(AL−12)−18に示すように、2価以上のアルキレン基、又はアリーレン基であるR68を含んで、ポリマーの分子内あるいは分子間が架橋されていてもよい。式(AL−12)−17、(AL−12)−18のR64は前述と同様、R68は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、又はアリーレン基を示し、酸素原子や硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含んでいてもよい。b6は1〜3の整数である。
【0097】
【化31】

【0098】
更に、R64、R65、R66、R67は酸素、窒素、硫黄などのヘテロ原子を有していてもよく、具体的には下記式(AL−13)−1〜(AL−13)−7に示すことができる。
【0099】
【化32】

【0100】
特に、上記式(AL−12)の酸不安定基としては、下記式(AL−12)−19に示されるエキソ体構造を有するものが好ましい。
【0101】
【化33】


(式中、R69は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示す。R70〜R75及びR78、R79はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよいアルキル基等の1価の炭化水素基を示し、R76、R77は水素原子を示す。あるいは、R70とR71、R72とR74、R72とR75、R73とR75、R73とR79、R74とR78、R76とR77、又はR77とR78は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環、特に脂環を形成していてもよく、その場合には炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよいアルキレン基等の2価の炭化水素基を示す。またR70とR79、R76とR79又はR72とR74は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい。また、本式により、鏡像体も表す。)
【0102】
ここで、一般式(AL−12)−19に示すエキソ体構造を有する下記繰り返し単位
【化34】


を得るためのエステル体のモノマーとしては、特開2000−327633号公報に示されている。具体的には下記に示すものを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
【0103】
【化35】

【0104】
更に、上記式(AL−12)の酸不安定基としては、下記式(AL−12)−20に示されるフランジイル、テトラヒドロフランジイル又はオキサノルボルナンジイルを有する酸不安定基を挙げることができる。
【0105】
【化36】


(式中、R80、R81はそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基を示す。又は、R80、R81は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20の脂肪族炭化水素環を形成してもよい。R82はフランジイル、テトラヒドロフランジイル又はオキサノルボルナンジイルから選ばれる2価の基を示す。R83は水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基を示す。)
【0106】
フランジイル、テトラヒドロフランジイル又はオキサノルボルナンジイルを有する酸不安定基で置換された繰り返し単位
【化37】


を得るためのモノマーとしては、下記に例示される。なお、下記式中Meはメチル基、Acはアセチル基を示す。
【0107】
【化38】

【0108】
【化39】

【0109】
本発明のパターン形成のポジ型レジスト材料に用いられる高分子化合物は、一般式(5)に示される酸不安定基を有する繰り返し単位gと、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ラクトンを有する密着性基の繰り返し単位と共重合される。ヒドロキシ基を有する密着性基としては、前述のa1、a2に示され、ラクトン及びαヒドロキシメチル基を有する密着性基はcに示される。更に前述したb、d、e、fの繰り返し単位を共重合させてもよい。1級あるいは2級のヒドロキシ基を含むエステル基を有する繰り返し単位及びαヒドロキシメチル基を有する繰り返し単位をレジストベースポリマーとして導入した場合、本発明のカバー膜の架橋と同時にレジスト膜の表面架橋も促進されるので、より強固な架橋膜を形成することができ、その分だけレジストパターン保護膜の厚みを薄くすることができるので、レジストパターン保護膜塗布後のパターンの太りを最小限に抑えることができる。
【0110】
ヒドロキシ基を有する繰り返し単位としては、前述のa1、a2に示されているが、ポジ型レジスト材料用としては、下記に示される特定のトリフルオロメチルヒドロキシ基を有する繰り返し単位hを共重合することもできる。
【0111】
【化40】

【0112】
ヘキサフルオロイソプロパノール基は、エポキシ基、オキセタニル基、メチロール基と架橋反応しないが、ここで示されるヘミアセタール基はエポキシ基、オキセタニル基と架橋反応が進行する。ヘミアセタール基をレジストベースポリマーに導入することによって、レジスト表面での架橋反応の進行を促進させることができる。
【0113】
上記繰り返し単位g、a1、a2、b、c、d、e、f、hにおいて、繰り返し単位の比率は、0.1≦g<1.0、0≦a1≦0.8、0≦a2≦0.8、0≦b≦0.8、0≦c≦0.8、0≦d≦0.8、0≦e≦0.8、0≦f≦0.8、0≦h≦0.8、a1+a2+b+c+d+e+f+g+h=1の範囲である。
【0114】
本発明のパターン形成方法に用いられるポジ型レジスト材料のベースポリマーとなる高分子化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,000〜500,000、特に2,000〜30,000であることが好ましい。重量平均分子量が小さすぎるとガラス転移温度が低くなりレジスト材料現像後の熱架橋においてパターンが変形するものとなり、大きすぎるとアルカリ溶解性が低下し、パターン形成後に裾引き現象が生じ易くなる可能性がある。
【0115】
更に、本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト材料のベースポリマーとなる高分子化合物においては、分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は、低分子量や高分子量のポリマーが存在するために、露光後パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりするおそれがある。それ故、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト材料を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
【0116】
また、組成比率や分子量分布や分子量が異なる2つ以上のポリマーをブレンドすることも可能である。
【0117】
これら高分子化合物を合成するには、1つの方法としては繰り返し単位g、a1、a2、b、c、d、e、f、hを得るための不飽和結合を有するモノマーを有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を加え加熱重合を行う方法があり、これにより高分子化合物を得ることができる。重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が例示できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、好ましくは50〜80℃に加熱して重合できる。反応時間としては2〜100時間、好ましくは5〜20時間である。酸不安定基は、モノマーに導入されたものをそのまま用いてもよいし、酸不安定基を酸触媒によって一旦脱離し、その後保護化あるいは部分保護化してもよい。
【0118】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト材料は、有機溶剤、高エネルギー線に感応して酸を発生する化合物(酸発生剤)、必要に応じて溶解阻止剤、塩基性化合物、界面活性剤、その他の成分を含有することができる。
【0119】
本発明のパターン形成方法に用いられるポジ型レジスト材料、特には化学増幅ポジ型レジスト材料に使用される有機溶剤としては、ベース樹脂、酸発生剤、その他の添加剤等が溶解可能な有機溶剤であればいずれでもよい。このような有機溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチルラクトン等のラクトン類が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。本発明では、これらの有機溶剤の中でもレジスト成分中の酸発生剤の溶解性が最も優れているジエチレングリコールジメチルエーテルや1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びその混合溶剤が好ましく使用される。
【0120】
有機溶剤の使用量は、ベース樹脂100部(質量部、以下同じ)に対して200〜1,000部、特に400〜800部が好適である。
【0121】
本発明のパターン表面コート材、及びポジ型レジスト材料に使用される酸発生剤としては、
i.下記一般式(P1a−1)、(P1a−2)、(P1a−3)又は(P1b)のオニウム塩、
ii.下記一般式(P2)のジアゾメタン誘導体、
iii.下記一般式(P3)のグリオキシム誘導体、
iv.下記一般式(P4)のビススルホン誘導体、
v.下記一般式(P5)のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル、
vi.β−ケトスルホン酸誘導体、
vii.ジスルホン誘導体、
viii.ニトロベンジルスルホネート誘導体、
ix.スルホン酸エステル誘導体
等が挙げられる。
【0122】
【化41】


(式中、R101a、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基によって置換されていてもよい。また、R101bとR101cとは環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。K-はα位の少なくとも1つがフッ素化されたスルホン酸、又はパーフルオロアルキルイミド酸もしくはパーフルオロアルキルメチド酸である。R101d、R101e、R101f、R101gはそれぞれ水素原子、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基によって置換されていてもよい。R101dとR101e、R101dとR101eとR101fとはこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101dとR101e及びR101dとR101eとR101fは炭素数3〜10のアルキレン基、又は式中の窒素原子を環の中に有するイミダゾール、ピラゾール、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール等の複素芳香族環を与える基を示す。)
【0123】
上記(P1a−1)、(P1a−2)、(P1a−3)で示されるオニウム塩中(P1a−1)は光酸発生剤として機能し、(P1a−2)は熱酸発生剤として機能し、(P1a−3)は光酸発生剤、熱酸発生剤の両方の機能がある。レジストに添加する酸発生剤としては、(P1a−1)あるいは(P1a−3)の光酸発生剤が一般的であり、パターン保護膜材料には熱酸発生剤の(P1a−2)を添加することが好ましい。
【0124】
-として具体的には、トリフレート、ノナフレート等のパーフルオロアルカンスルホン酸、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミド等のイミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチドなどのメチド酸、更には下記一般式(K−1)に示されるα位がフルオロ置換されたスルホネート、下記一般式(K−2)に示されるα位がフルオロ置換されたスルホネートが挙げられる。
【0125】
【化42】

【0126】
一般式(K−1)中、R102は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアシル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数6〜20のアリール基又はアリーロキシ基であり、エーテル基、エステル基、カルボニル基、又はラクトン環を有していてもよく、又はこれらの基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。一般式(K−2)中、R103は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数6〜20のアリール基である。
【0127】
上記R101a、R101b、R101cは互いに同一であっても異なっていてもよく、具体的にはアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロぺニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。オキソアルキル基としては、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基等が挙げられ、2−オキソプロピル基、2−シクロペンチル−2−オキソエチル基、2−シクロヘキシル−2−オキソエチル基、2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−オキソエチル基等を挙げることができる。オキソアルケニル基としては、2−オキソ−4−シクロヘキセニル基、2−オキソ−4−プロペニル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等や、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基等のアルキルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基等のアルコキシナフチル基、ジメチルナフチル基、ジエチルナフチル基等のジアルキルナフチル基、ジメトキシナフチル基、ジエトキシナフチル基等のジアルコキシナフチル基等が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基、フェニルエチル基、フェネチル基等が挙げられる。アリールオキソアルキル基としては、2−フェニル−2−オキソエチル基、2−(1−ナフチル)−2−オキソエチル基、2−(2−ナフチル)−2−オキソエチル基等の2−アリール−2−オキソエチル基等が挙げられる。K-の非求核性対向イオンとしては塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレート、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート、トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート、メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネート等が挙げられる。
【0128】
【化43】


(式中、R102a、R102bはそれぞれ炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R103は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を示す。R104a、R104bはそれぞれ炭素数3〜7の2−オキソアルキル基を示す。K-は非求核性対向イオンを表す。)
【0129】
上記R102a、R102bとして具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。R103としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、1,4−シクロへキシレン基、1,2−シクロへキシレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロオクチレン基、1,4−シクロヘキサンジメチレン基等が挙げられる。R104a、R104bとしては、2−オキソプロピル基、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基、2−オキソシクロヘプチル基等が挙げられる。K-は式(P1a−1)及び(P1a−2)で説明したものと同様のものを挙げることができる。
【0130】
【化44】


(式中、R105、R106は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン化アリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を示す。)
【0131】
105、R106のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、アミル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。R105、R106のハロゲン化アルキル基としてはトリフルオロメチル基、1,1,1−トリフルオロエチル基、1,1,1−トリクロロエチル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。R105、R106のアリール基としてはフェニル基、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基が挙げられる。R105、R106のハロゲン化アリール基としてはフルオロフェニル基、クロロフェニル基、1,2,3,4,5−ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。R105、R106のアラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0132】
【化45】


(式中、R107、R108、R109は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン化アリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を示す。R108、R109は互いに結合して環状構造を形成してもよく、環状構造を形成する場合、R108、R109はそれぞれ炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R105は式(P2)のものと同様である。)
【0133】
107、R108、R109のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、アラルキル基としては、R105、R106で説明したものと同様の基が挙げられる。なお、R108、R109のアルキレン基としてはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
【0134】
【化46】


(式中、R101a、R101bは前記と同様である。)
【0135】
【化47】


(式中、R110は炭素数6〜10のアリーレン基、炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数2〜6のアルケニレン基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部は更に炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルコキシ基、ニトロ基、アセチル基、又はフェニル基で置換されていてもよい。R111は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は置換のアルキル基、アルケニル基又はアルコキシアルキル基、フェニル基、又はナフチル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部は更に炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基;炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基又はアセチル基で置換されていてもよいフェニル基;炭素数3〜5のヘテロ芳香族基;又は塩素原子、フッ素原子で置換されていてもよい。)
【0136】
ここで、R110のアリーレン基としては、1,2−フェニレン基、1,8−ナフチレン基等が、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、フェニルエチレン基、ノルボルナン−2,3−ジイル基等が、アルケニレン基としては、1,2−ビニレン基、1−フェニル−1,2−ビニレン基、5−ノルボルネン−2,3−ジイル基等が挙げられる。R111のアルキル基としては、R101a〜R101cと同様のものが、アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、1−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプレニル基、1−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、ジメチルアリル基、1−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、3−ヘプテニル基、6−ヘプテニル基、7−オクテニル基等が、アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、ペンチロキシメチル基、ヘキシロキシメチル基、ヘプチロキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、ペンチロキシエチル基、ヘキシロキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基、ブトキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシブチル基、プロポキシブチル基、メトキシペンチル基、エトキシペンチル基、メトキシヘキシル基、メトキシヘプチル基等が挙げられる。
【0137】
なお、更に置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基等が、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基又はアセチル基で置換されていてもよいフェニル基としては、フェニル基、トリル基、p−tert−ブトキシフェニル基、p−アセチルフェニル基、p−ニトロフェニル基等が、炭素数3〜5のヘテロ芳香族基としては、ピリジル基、フリル基等が挙げられる。
【0138】
上記で例示した酸発生剤として、具体的には下記のものが挙げられる。
オニウム塩としては、例えばトリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2−ノルボニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、エチレンビス[メチル(2−オキソシクロペンチル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート]、1,2’−ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート等のオニウム塩を挙げることができる。
【0139】
ジアゾメタン誘導体としては、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシレンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソアミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−tert−アミルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体を挙げることができる。
【0140】
グリオキシム誘導体としては、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(メタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(トリフルオロメタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(1,1,1−トリフルオロエタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(tert−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(パーフルオロオクタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(シクロヘキサンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(ベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−tert−ブチルベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(キシレンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(カンファースルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体を挙げることができる。
【0141】
ビススルホン誘導体としては、ビスナフチルスルホニルメタン、ビストリフルオロメチルスルホニルメタン、ビスメチルスルホニルメタン、ビスエチルスルホニルメタン、ビスプロピルスルホニルメタン、ビスイソプロピルスルホニルメタン、ビス−p−トルエンスルホニルメタン、ビスベンゼンスルホニルメタン等のビススルホン誘導体を挙げることができる。
【0142】
β−ケトスルホン酸誘導体としては、2−シクロヘキシルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2−イソプロピルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン等のβ−ケトスルホン酸誘導体を挙げることができる。
【0143】
ジスルホン誘導体としては、ジフェニルジスルホン、ジシクロヘキシルジスルホン等のジスルホン誘導体を挙げることができる。
【0144】
ニトロベンジルスルホネート誘導体としては、p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,4−ジニトロベンジル等のニトロベンジルスルホネート誘導体を挙げることができる。
【0145】
スルホン酸エステル誘導体としては、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン等のスルホン酸エステル誘導体を挙げることができる。
【0146】
N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体としては、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ペンタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−オクタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−メトキシベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−クロロエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド−2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ナフタレンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−ナフタレンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−2−フェニルスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシマレイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシマレイミドエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−2−フェニルマレイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシグルタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシグルタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドp−トルエンスルホン酸エステル等のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体等が挙げられる。
【0147】
特に、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2−ノルボニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、1,2’−ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート等のオニウム塩、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体、ビスナフチルスルホニルメタン等のビススルホン誘導体、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ペンタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル等のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体が好ましく用いられる。
【0148】
更に、WO2004/074242 A2で示されるオキシムタイプの酸発生剤を添加することもできる。
【0149】
なお、上記酸発生剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。オニウム塩は矩形性向上効果に優れ、ジアゾメタン誘導体及びグリオキシム誘導体は定在波低減効果に優れるため、両者を組み合わせることによりプロファイルの微調整を行うことが可能である。
【0150】
酸発生剤の添加量は、ベース樹脂100部に対して好ましくは0.1〜50部、より好ましくは0.5〜40部である。0.1部より少ないと露光時の酸発生量が少なく、感度及び解像力が劣る場合があり、50部を超えるとレジストの透過率が低下し、解像力が劣る場合がある。なお、上記(P1a−1)と(P1a−2)とを併用する場合、その併用割合は、(P1a−1)1部に対して(P1a−2)を0.001〜1部とすることが好ましい。
【0151】
次に、本発明のポジ型レジスト材料、特には化学増幅ポジ型レジスト材料に配合される溶解阻止剤としては、重量平均分子量が100〜1,000、好ましくは150〜800で、かつ分子内にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物の該フェノール性水酸基の水素原子を酸不安定基により全体として平均0〜100モル%の割合で置換した化合物又は分子内にカルボキシ基を有する化合物の該カルボキシ基の水素原子を酸不安定基により全体として平均50〜100モル%の割合で置換した化合物が挙げられる。
【0152】
なお、フェノール性水酸基の水素原子の酸不安定基による置換率は、平均でフェノール性水酸基全体の0モル%以上、好ましくは30モル%以上であり、その上限は100モル%、より好ましくは80モル%である。カルボキシ基の水素原子の酸不安定基による置換率は、平均でカルボキシ基全体の50モル%以上、好ましくは70モル%以上であり、その上限は100モル%である。
【0153】
この場合、かかるフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物又はカルボキシ基を有する化合物として下記式(D1)〜(D14)で示されるものが好ましい。
【0154】
【化48】

【0155】
但し、上記式中R201、R202はそれぞれ水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基を示す。R203は水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基、あるいは−(R207hCOOHを示す。R204は−(CH2i−(i=2〜10)、炭素数6〜10のアリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素原子又は硫黄原子を示す。R205は炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数6〜10のアリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素原子又は硫黄原子を示す。R206は水素原子、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルケニル基又はそれぞれ水酸基で置換されたフェニル基又はナフチル基を示す。R207は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R208は水素原子又は水酸基を示す。jは0〜5の整数である。u、hは0又は1である。s、t、s’、t’、s’’、t’’はそれぞれs+t=8、s’+t’=5、s’’+t’’=4を満足し、かつ各フェニル骨格中に少なくとも1つの水酸基を有するような数である。αは式(D8)、(D9)の化合物の分子量を100〜1,000とする数である。
【0156】
溶解阻止剤の配合量は、ベース樹脂100部に対して0〜50部、好ましくは5〜50部、より好ましくは10〜30部であり、単独又は2種以上を混合して使用できる。配合量が少ないと解像性の向上がない場合があり、多すぎるとパターンの膜減りが生じ、解像度が低下する傾向がある。
【0157】
更に、本発明のポジ型レジスト材料、特には化学増幅ポジ型レジスト材料には、塩基性化合物を配合することができる。
【0158】
塩基性化合物としては、酸発生剤より発生する酸がレジスト膜中に拡散する際の拡散速度を抑制することができる化合物が適している。塩基性化合物の配合により、レジスト膜中での酸の拡散速度が抑制されて解像度が向上し、露光後の感度変化を抑制したり、基板や環境依存性を少なくし、露光余裕度やパターンプロファイル等を向上することができる。
【0159】
このような塩基性化合物としては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体、イミド誘導体等が挙げられる。
【0160】
具体的には、第一級の脂肪族アミン類として、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が例示され、第二級の脂肪族アミン類として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N−ジメチルメチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルテトラエチレンペンタミン等が例示され、第三級の脂肪族アミン類として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0161】
また、混成アミン類としては、例えばジメチルエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が例示される。
【0162】
芳香族アミン類及び複素環アミン類の具体例としては、アニリン誘導体(例えばアニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン等)、ジフェニル(p−トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えばピロール、2H−ピロール、1−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、N−メチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えばオキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えばチアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えばイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えばピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えばピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン、N−メチルピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えばピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、1−メチル−2−ピリドン、4−ピロリジノピリジン、1−メチル−4−フェニルピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H−インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えばキノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
【0163】
更に、カルボキシ基を有する含窒素化合物としては、例えばアミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸誘導体(例えばニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、メトキシアラニン)等が例示され、スルホニル基を有する含窒素化合物として3−ピリジンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム等が例示され、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物としては、2−ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’−イミノジエタノール、2−アミノエタノ−ル、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、8−ヒドロキシユロリジン、3−クイヌクリジノール、3−トロパノール、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、1−アジリジンエタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が例示される。
【0164】
アミド誘導体としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド等が例示される。
イミド誘導体としては、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が例示される。
【0165】
更に、下記一般式(B)−1で示される塩基性化合物から選ばれる1種又は2種以上を添加することもできる。
N(X)n(Y)3-n (B)−1
(上記式中、n=1、2又は3である。側鎖Xは同一でも異なっていてもよく、下記一般式(X)−1、(X)−2又は(X)−3
【化49】


で表すことができる。側鎖Yは同一又は異種の水素原子もしくは直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜20のアルキル基を示し、エーテル基もしくはヒドロキシル基を含んでもよい。また、X同士が結合して環を形成してもよい。)
【0166】
ここで、R300、R302、R305は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R301、R304は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環を1個あるいは複数個含んでいてもよい。
303は単結合、又は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R306は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環を1個あるいは複数個含んでいてもよい。
【0167】
上記一般式(B)−1で表される化合物は、具体的には下記に例示される。
トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン、1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザビシクロオクタデカン、1−アザ−12−クラウン−4、1−アザ−15−クラウン−5、1−アザ−18−クラウン−6、トリス(2−ホルミルオキシエチル)アミン、トリス(2−アセトキシエチル)アミン、トリス(2−プロピオニルオキシエチル)アミン、トリス(2−ブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−イソブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−バレリルオキシエチル)アミン、トリス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(アセトキシアセトキシ)エチルアミン、トリス(2−メトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス(2−tert−ブトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス[2−(2−オキソプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2−(メトキシカルボニルメチル)オキシエチル]アミン、トリス[2−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス[2−(シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス(2−メトキシカルボニルエチル)アミン、トリス(2−エトキシカルボニルエチル)アミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−アセトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(4−ヒドロキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(4−ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(2−ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−メトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−メトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチル]アミン、N−メチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−エチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−メチルビス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N−エチルビス[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、N−エチルビス[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、トリス(メトキシカルボニルメチル)アミン、トリス(エトキシカルボニルメチル)アミン、N−ブチルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、N−ヘキシルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、β−(ジエチルアミノ)−δ−バレロラクトンを例示できるが、これらに制限されない。
【0168】
更に、下記一般式(B)−2に示される環状構造を持つ塩基性化合物の1種あるいは2種以上を添加することもできる。
【化50】


(上記式中、Xは前述の通り、R307は炭素数2〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、カルボニル基、エーテル基、エステル基、スルフィドを1個あるいは複数個含んでいてもよい。)
【0169】
上記一般式(B)−2として具体的には、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピロリジン、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]モルホリン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピロリジン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピペリジン、4−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]モルホリン、酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、酢酸2−ピペリジノエチル、酢酸2−モルホリノエチル、ギ酸2−(1−ピロリジニル)エチル、プロピオン酸2−ピペリジノエチル、アセトキシ酢酸2−モルホリノエチル、メトキシ酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、4−[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、1−[2−(t−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(2−メトキシエトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−ピペリジノプロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸メチル、3−(チオモルホリノ)プロピオン酸メチル、2−メチル−3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸エチル、3−ピペリジノプロピオン酸メトキシカルボニルメチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−ヒドロキシエチル、3−モルホリノプロピオン酸2−アセトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル、3−モルホリノプロピオン酸テトラヒドロフルフリル、3−ピペリジノプロピオン酸グリシジル、3−モルホリノプロピオン酸2−メトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、3−モルホリノプロピオン酸ブチル、3−ピペリジノプロピオン酸シクロヘキシル、α−(1−ピロリジニル)メチル−γ−ブチロラクトン、β−ピペリジノ−γ−ブチロラクトン、β−モルホリノ−δ−バレロラクトン、1−ピロリジニル酢酸メチル、ピペリジノ酢酸メチル、モルホリノ酢酸メチル、チオモルホリノ酢酸メチル、1−ピロリジニル酢酸エチル、モルホリノ酢酸2−メトキシエチル等を挙げることができる。
【0170】
更に、下記一般式(B)−3〜(B)−6で表されるシアノ基を含む塩基性化合物を添加することができる。
【化51】


(上記式中、X、R307、nは前述の通り、R308、R309は同一又は異種の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。)
【0171】
上記一般式(B)−3〜(B)−6として具体的には、3−(ジエチルアミノ)プロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−エチル−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−テトラヒドロフルフリル−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、ジエチルアミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−シアノメチル−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−(シアノメチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(シアノメチル)アミノアセトニトリル、1−ピロリジンプロピオノニトリル、1−ピペリジンプロピオノニトリル、4−モルホリンプロピオノニトリル、1−ピロリジンアセトニトリル、1−ピペリジンアセトニトリル、4−モルホリンアセトニトリル、3−ジエチルアミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、3−ジエチルアミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピロリジンプロピオン酸シアノメチル、1−ピペリジンプロピオン酸シアノメチル、4−モルホリンプロピオン酸シアノメチル、1−ピロリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピペリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、4−モルホリンプロピオン酸(2−シアノエチル)等が例示される。
【0172】
なお、塩基性化合物の配合量は、ベース樹脂100部に対して0.001〜2部、特に0.01〜1部が好適である。配合量が0.001部より少ないと配合効果が少なく、2部を超えると感度が低下しすぎる場合がある。
【0173】
本発明のポジ型レジスト材料に添加することができる分子内に≡C−COOHで示される基を有する化合物としては、例えば下記[I群]及び[II群]から選ばれる1種又は2種以上の化合物を使用することができるが、これらに限定されるものではない。本成分の配合により、レジストのPED(Post Exposure Delay)安定性が向上し、窒化膜基板上でのエッジラフネスが改善される。
[I群]
下記一般式(A1)〜(A10)で示される化合物のフェノール性水酸基の水素原子の一部又は全部を−R401−COOH(R401は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基)により置換してなり、かつ分子中のフェノール性水酸基(C)と≡C−COOHで示される基(D)とのモル比率がC/(C+D)=0.1〜1.0である化合物。
【0174】
【化52】


(上記式中、R408は水素原子又はメチル基を示す。R402、R403はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基を示す。R404は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基、あるいは−(R409h−COOR’基(R’は水素原子又は−R409−COOH)を示す。R405は−(CH2i−(i=2〜10)、炭素数6〜10のアリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素原子又は硫黄原子を示す、R406は炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数6〜10のアリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素原子又は硫黄原子を示す。R407は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルケニル基、それぞれ水酸基で置換されたフェニル基又はナフチル基を示す。R409は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基又は−R411−COOH基を示す。R410は水素原子、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基又は−R411−COOH基を示す。R411は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。hは1〜4の整数である。jは0〜3、s1〜s4、t1〜t4はそれぞれs1+t1=8、s2+t2=5、s3+t3=4、s4+t4=6を満足し、かつ各フェニル骨格中に少なくとも1つの水酸基を有するような数である。uは1〜4の整数である。κは式(A6)の化合物を重量平均分子量1,000〜5,000とする数である。λは式(A7)の化合物を重量平均分子量1,000〜10,000とする数である。)
【0175】
[II群]
下記一般式(A11)〜(A15)で示される化合物。
【化53】


(上記式中、R402、R403、R411は上記と同様の意味を示す。R412は水素原子又は水酸基を示す。s5、t5は、s5≧0、t5≧0で、s5+t5=5を満足する数である。h’は0又は1である。)
【0176】
本成分として具体的には、下記一般式(AI−1)〜(AI−14)及び(AII−1)〜(AII−10)で示される化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0177】
【化54】


(上記式中、R’’は水素原子又は−CH2COOH基を示し、各化合物においてR’’の10〜100モル%は−CH2COOH基である。κ、λは上記と同様の意味を示す。)
【0178】
【化55】

【0179】
なお、上記分子内に≡C−COOHで示される基を有する化合物の添加量は、ベース樹脂100部に対して0〜5部、好ましくは0.1〜5部、より好ましくは0.1〜3部、更に好ましくは0.1〜2部である。5部より多いとレジスト材料の解像度が低下する場合がある。
【0180】
本発明のパターン形成材料に用いるレジストパターン保護膜材料及びポジ型レジスト材料には、更に、塗布性を向上させる等のための界面活性剤を加えることができる。
【0181】
界面活性剤の例としては、特に限定されるものではないが、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレインエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノール等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノバルミテート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノバルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのノニオン系界面活性剤、エフトップEF301、EF303、EF352(トーケムプトダクツ)、メガファックF171、F172、F173(大日本インキ化学工業)、フロラードFC−430、FC−4430、FC−431(住友スリーエム)、アサヒガードAG710、サーフロンS−381、S−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106、サーフィノールE1004、KH−10、KH−20、KH−30、KH−40(旭硝子)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP−341、X−70−092、X−70−093(信越化学工業)、アクリル酸系又はメタクリル酸系ポリフローNo.75,No.95(共栄社油脂化学工業)等が挙げられ、中でもFC−430、FC−4430、サーフロンS−381、サーフィノールE1004、KH−20、KH−30が好適である。これらは単独あるいは2種以上の組み合わせで用いることができる。
【0182】
本発明のパターン形成方法に用いられるポジ型レジスト材料中の界面活性剤の添加量としては、レジスト材料中のベース樹脂100部に対して2部以下、好ましくは1部以下である。
【0183】
ここで、ダブルパターニングについて説明する。
図1〜3は従来法を示し、図1に示すダブルパターニング方法1において、基板10上の被加工基板20上にフォトレジスト膜30を塗布、形成する。フォトレジストパターンのパターン倒れ防止のため、フォトレジスト膜の薄膜化が進行しており、それに伴うエッチング耐性の低下を補うためにハードマスクを用いて被加工基板を加工する方法が行われている。ここで、図1に示すダブルパターニング方法としては、フォトレジスト膜30と被加工基板20の間にハードマスク40を敷く積層膜である(図1−A)。ダブルパターニング方法において、ハードマスクは必ずしも必須ではないし、ハードマスクの代わりにカーボン膜による下層膜と珪素含有中間膜を敷いても構わないし、ハードマスクとフォトレジスト膜との間に有機反射防止膜を敷いても構わない。ハードマスクとしては、SiO2、SiN、SiON、p−Siなどが用いられる。また、ダブルパターニング方法1において、用いるレジスト材料はポジ型レジスト材料である。この方法においては、上記レジスト膜30を露光、現像し(図1−B)、次いでハードマスク40をドライエッチングし(図1−C)、フォトレジスト膜を剥離後、2回目のフォトレジスト膜50を塗布、形成し、露光、現像を行う(図1−D)。次に、被加工基板20をドライエッチングする(図1−E)が、ハードマスクパターンと、2回目のフォトレジストパターンをマスクにしてエッチングするために、ハードマスク40とフォトレジスト膜50のエッチング耐性の違いにより被加工基板のエッチング後のパターン寸法にずれが生じる。
【0184】
前記問題を解決するために、図2に示すダブルパターニング方法2では、ハードマスクを2層敷き、1回目のレジストパターンで上層のハードマスク42を加工し、2回目のレジストパターンで下層のハードマスク41を加工し、2つのハードマスクパターンを用いて被加工基板をドライエッチングする。第1ハードマスク41と第2ハードマスク42のエッチング選択比が高いことが必要であり、かなり複雑なプロセスになる。
【0185】
図3に示すダブルパターニング方法3は、トレンチパターンを用いる方法である。これならばハードマスクは1層で済む。しかしながら、ラインパターンに比べてトレンチパターンは光のコントラストが低いために、現像後のパターンの解像が難しく、マージンが狭い欠点がある。広いトレンチパターンを形成してからサーマルフローやRELACS法などでシュリンクさせることも可能であるが、プロセスが煩雑化する。ネガ型レジスト材料を用いれば高い光学コントラストで露光が可能であるが、ネガ型レジスト材料は一般的にポジ型レジスト材料に比べてコントラストが低く、解像性能が低い欠点がある。また、トレンチプロセスではアライメントエラーが線幅異常につながるため、前述のラインプロセスよりも厳しいアライメント精度が要求される。
【0186】
いずれにしてもこれまでに挙げられるダブルパターニング方法1〜3は、ハードマスクのエッチングを2回行うことになる。ハードマスクのエッチングを行うと、エッチングによるハードマスクの内部応力変化のために、特にウエハー外周部でアライメントのずれが生じる。
【0187】
これに対し、本発明に係るダブルパターニング方法は、図4に示す通りであり、図1と同様に、基板10上の被加工基板20上にハードマスク40を介してポジ型レジスト材料による第1のレジスト膜30を形成する(図4−A)。次いで、レジスト膜30を露光、現像し(図4−B)、その上にパターン表面コート材60を塗布し、酸と熱によってパターン表面コート材60を架橋硬化させ、架橋膜(レジストパターン保護膜)60aを形成する(図4−C)。更に、その上に第2のレジスト材料を塗布して第2のレジスト膜50を形成し(図4−D)、露光、現像して、上記レジスト膜30のパターンのスペース部分に第2のレジスト膜50のパターンを形成する(図4−E)。次に、ハードマスク40をエッチングし(図4−F)、更に被加工基板20をドライエッチングし(図4−G)、上記第1のレジスト膜30及び第2のレジスト膜50を除去する。
【0188】
図4の方法の問題点は薄膜のパターン保護膜の塗布によって、第1パターンよりも第2パターンの方が基板面の高さが異なってしまう点と第1パターンの寸法が大きくなってしまう点である。このためにパターン保護膜の厚みは極力薄くしなければならないが、薄くしすぎると第1パターンが第2パターンの塗布時に溶媒に溶解してしまったり、第2パターン現像時のアルカリ現像液に溶解してしまう。なるべく薄膜でしかも溶媒と現像液の浸透を防ぐ必要がある。溶媒と現像液の浸透を防ぐためには高い架橋密度の膜の形成が必要であるが、本発明のパターン保護膜は、高い架橋性を有し、厚みが薄くても、溶媒と現像液の浸透を防ぐことができる。この場合のパターン保護膜の厚みは、第1パターンの寸法変化を極力抑えるためには15nm以下、好ましくは10nm以下、理想的には5nm以下の薄膜が好ましい。なお、厚み下限は、1nm以上、特に2nm以上が好ましい。この場合のポリマーとしてはアルカリ現像液に溶解する必要はなく、アルコール溶媒に溶解し、架橋性の高い材料を用いることができるために、極薄膜のパターン保護膜を形成することが可能である。
【0189】
アルカリ可溶のポリマーを用いた場合、図5に示すダブルパターニング方法を適用することもできる。図4と異なるのは、パターン表面コート材60を第1のパターン30を覆うほどの厚みで塗布し、ベークによって第1のパターン30の表面を架橋する。第1のパターン30内の酸を触媒として第1パターン30の周りに架橋膜60aを形成する。その後余分なパターン表面コート材60を現像によって剥離する。剥離後にパターン表面をより強固に架橋させるためにベークを行ってもよい。図5のパターン形成方法は、基板面のパターン保護膜を現像液によって剥離するために第1パターンと第2パターンの水平の高さは同じであるメリットがある。しかしながら、密集パターンと孤立パターンとでは被り光の程度が異なるので、第1レジストパターン表面の酸の濃度の違いにより密集パターンの方が孤立パターンよりも架橋膜の厚みが厚くなってしまう欠点がある。また、アルカリ可溶にする必要があるために架橋後のアルカリ耐性が若干低下し、架橋膜を厚く形成しなければならない。また、レジスト表面から拡散してくる酸を触媒として架橋するために、酸発生剤を組成物として混合することはない。
【0190】
図4,5に示されるのは、第1のパターンの間に第2のパターンを形成する方法であるが、第1のパターンと直交する第2のパターンを形成してもよい(図6)。1回の露光で直交するパターンを形成することもできるが、ダイポール照明と偏光照明を組み合わせればラインパターンのコントラストを非常に高くすることができる。図6−Aに示されるようにY方向のラインをパターニングし、このパターンを本発明の方法で溶解から保護し、図6−Bに示されるように2回目のレジストを塗布してX方向ラインを形成する。XとYのラインを組み合わせて格子状パターンを形成することによって空いた部分をホールにする。形成するのは直交パターンだけとは限らず、T型パターンもよいし、図7に示されるように離れていてもよい。
【0191】
この場合、基板10としては、シリコン基板が一般的に用いられる。被加工基板20としては、SiO2、SiN、SiON、SiOC、p−Si、α−Si、TiN、WSi、BPSG、SOG、Cr、CrO、CrON、MoSi、低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜が挙げられる。また、ハードマスク40としては、上述した通りである。
【0192】
本発明においては、上記被加工基板に直接又は上記中間介在層を介してポジ型レジスト材料によるレジスト膜を形成するが、レジスト膜の厚さとしては、10〜1,000nm、特に20〜500nmであることが好ましい。このレジスト膜は、露光前に加熱(プリベーク)を行うが、この条件としては50〜180℃、特に60〜150℃で10〜300秒間、特に15〜200秒間行うことが好ましい。
【0193】
次いで、露光を行う。ここで、露光は波長140〜250nmの高エネルギー線、その中でもArFエキシマレーザーによる193nmの露光が最も好ましく用いられる。露光は大気中や窒素気流中のドライ雰囲気でもよいし、水中の液浸露光であってもよい。ArF液浸リソグラフィーにおいては液浸溶媒として純水、又はアルカンなどの屈折率が1以上で露光波長に高透明の液体が用いられる。液浸リソグラフィーでは、プリベーク後のレジスト膜と投影レンズの間に、純水やその他の液体を挿入する。これによってNAが1.0以上のレンズ設計が可能となり、より微細なパターン形成が可能になる。液浸リソグラフィーはArFリソグラフィーを45nmノードまで延命させるための重要な技術である。液浸露光の場合は、レジスト膜上に残った水滴残りを除去するための露光後の純水リンス(ポストソーク)を行ってもよいし、レジスト膜からの溶出物を防ぎ、膜表面の滑水性を上げるために、プリベーク後のレジスト膜上に保護膜を形成させてもよい。液浸リソグラフィーに用いられるレジスト保護膜としては、例えば、水に不溶でアルカリ現像液に溶解する1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物をベースとし、炭素数3以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、及びこれらの混合溶媒に溶解させた材料が好ましい。フォトレジスト膜形成後に、純水リンス(ポストソーク)を行うことによって膜表面からの酸発生剤などの抽出、あるいはパーティクルの洗い流しを行ってもよいし、露光後に膜上に残った水を取り除くためのリンス(ポストソーク)を行ってもよい。
【0194】
露光における露光量は1〜200mJ/cm2程度、好ましくは10〜100mJ/cm2程度となるように露光することが好ましい。次に、ホットプレート上で60〜150℃、1〜5分間、好ましくは80〜120℃、1〜3分間ポストエクスポジュアーベーク(PEB)する。
【0195】
更に、0.1〜5質量%、好ましくは2〜3質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより基板上に目的のパターンが形成される。
【0196】
現像後のレジストパターンの上に本発明のパターン表面コート材を塗布する。塗布後50〜250℃で5〜300秒間ベークを行う。ベークによって溶媒をとばすだけでなく、架橋による硬化を行い、レジスト溶媒と現像液に不溶の膜をレジストパターン上に形成する。パターン表面コート材の膜厚は1〜300nm、好ましくは1.5〜150nmである。パターン表面コート材としてアンモニウム塩の熱酸発生剤を添加しておいて、加熱によって酸を発生させ、架橋反応を促進させることもできる。
アルカリ可溶のパターン表面コート材を塗布する場合は、塗布、ベーク後、アルカリ現像によって余分なコート材を溶解させる。その後にレジスト表面に付着させたパターン表面コート材をより強固に架橋させるためにベークしてもよい。
【0197】
次に、このパターン表面コート材の架橋膜(保護膜)が形成されたパターン上に第2のポジ型レジスト材料を塗布する。第1と第2のレジスト材料は、どちらもポジ型レジスト材料が好ましいが、必ずしもどちらも同じ酸不安定基や密着性基、酸発生剤や溶媒でなくても構わないが、リソグラフィー性能が同等であることが好ましい。
【0198】
この第2のレジスト膜については、常法に従って、露光、現像を行い、第2のレジスト膜のパターンを上記第1のレジスト膜パターンのスペース部分に形成し、パターン間の距離を半減することが好ましい。なお、露光、現像等の条件としては、上述した条件と同様とすることができる。
【0199】
次いで、これら架橋膜を有する第1のレジスト膜及び第2のレジスト膜をマスクとしてハードマスク等の中間介在層をエッチングし、更に被加工基板のエッチングを行う。この場合、ハードマスク等の中間介在層のエッチングは、フロン系、ハロゲン系のガスを用いてドライエッチングすることによって行うことができ、被加工基板のエッチングは、ハードマスクとのエッチング選択比をとるためのエッチングガス及び条件を適宜選択することができ、フロン系、ハロゲン系、酸素、水素等のガスを用いてドライエッチングすることによって行うことができる。次いで、第1のレジスト膜、第2のレジスト膜を除去するが、これらの除去は、ハードマスク等の中間介在層のエッチング後に行ってもよい。なお、第1のレジスト膜の除去は、酸素、ラジカルなどのドライエッチングによって行うことができ、第2のレジスト膜の除去は上記と同様に、あるいはアミン系、又は硫酸/過酸化水素水、又は有機溶媒などの剥離液によって行うことができる。
【実施例】
【0200】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例等に制限されるものではない。なお、重量平均分子量(Mw)はGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量を示す。
【0201】
[合成例]
パターン表面コート材に用いる高分子化合物(高分子添加剤)として、各々のモノマーを組み合わせてテトラヒドロフラン溶媒下で共重合反応を行い、ヘキサンに晶出、乾燥し、以下に示す組成の高分子化合物(ポリマー1〜20、比較ポリマー1)を得た。得られた高分子化合物の組成は1H−NMR、分子量及び分散度はゲルパーミエーションクロマトグラフにより確認した。
【0202】
ポリマー1
分子量(Mw)=9,300
分散度(Mw/Mn)=1.88
【化56】

【0203】
ポリマー2
分子量(Mw)=8,500
分散度(Mw/Mn)=1.79
【化57】

【0204】
ポリマー3
分子量(Mw)=8,900
分散度(Mw/Mn)=1.82
【化58】

【0205】
ポリマー4
分子量(Mw)=9,600
分散度(Mw/Mn)=1.93
【化59】

【0206】
ポリマー5
分子量(Mw)=9,900
分散度(Mw/Mn)=1.64
【化60】

【0207】
ポリマー6
分子量(Mw)=5,100
分散度(Mw/Mn)=1.63
【化61】

【0208】
ポリマー7
分子量(Mw)=7,900
分散度(Mw/Mn)=1.61
【化62】

【0209】
ポリマー8
分子量(Mw)=6,900
分散度(Mw/Mn)=1.74
【0210】
【化63】

【0211】
ポリマー9
分子量(Mw)=8,900
分散度(Mw/Mn)=1.75
【化64】

【0212】
ポリマー10
分子量(Mw)=9,100
分散度(Mw/Mn)=1.88
【化65】

【0213】
ポリマー11
分子量(Mw)=6,300
分散度(Mw/Mn)=1.52
【化66】

【0214】
ポリマー12
分子量(Mw)=5,300
分散度(Mw/Mn)=1.53
【化67】

【0215】
ポリマー13
分子量(Mw)=6,200
分散度(Mw/Mn)=1.61
【化68】

【0216】
ポリマー14
分子量(Mw)=7,300
分散度(Mw/Mn)=1.82
【化69】

【0217】
ポリマー15
分子量(Mw)=6,300
分散度(Mw/Mn)=1.52
【化70】

【0218】
ポリマー16
分子量(Mw)=8,800
分散度(Mw/Mn)=1.94
【化71】

【0219】
ポリマー17
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.86
【化72】

【0220】
ポリマー18
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.86
【化73】

【0221】
ポリマー19
分子量(Mw)=8,500
分散度(Mw/Mn)=1.86
【化74】

【0222】
ポリマー20
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.82
【化75】

【0223】
比較ポリマー1
分子量(Mw)=8,400
分散度(Mw/Mn)=1.76
【化76】

【0224】
[実施例1〜39、比較例1]
ポリマーの架橋性の評価
上記で合成した高分子化合物(ポリマー1〜20、比較ポリマー1)の酸触媒による熱架橋性を調べるために、下記表2,3に示す組成で、各ポリマー、熱酸発生剤、有機溶剤を混合し、0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過した溶液を調製した。
表2,3中の各組成は次の通りである。
【0225】
熱酸発生剤:TAG1〜6(下記構造式参照)
【化77】

【0226】
架橋剤:CR1〜10(下記構造式参照)
【化78】

【0227】
【化79】


有機溶剤:表2,3に示すもの
【0228】
各種ポリマーのアルカリ溶解性の測定:
合成例で得られたポリマー1〜20、比較ポリマー1の1gをイソブチルアルコール25gに溶解させ、0.2ミクロンのポリプロピロン製フィルターで濾過した溶液を8インチウエハーに塗布し、110℃で60秒間ベークし、約100nmの膜を製作した。2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒現像を行い、現像による減膜を求めた。減膜値がマイナスの値は、現像後の方が膜厚が大きいことを示す。結果を表1に示す。
【0229】
【表1】

【0230】
表1の結果から、ポリマー1〜4及び18〜20、比較ポリマー1がアルカリ可溶、それ以外はアルカリ不溶であることが確認された。
【0231】
8インチシリコン基板に表2,3で示されるパターン表面コート材溶液を塗布し、160℃で60秒間ベークし、光学式膜厚計による測定で膜厚8nmのパターン保護膜を作製した。膜上にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とシクロヘキサノン70:30質量比の混合溶媒を20秒間ディスペンスし、2,000rpmで30秒間スピンドライ、100℃で60秒間乾燥した後に膜厚を測定し、溶媒ディスペンス前の膜厚との差を求めた。また、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒現像を行い、現像による減膜を求めた。減膜値がマイナスの値は、現像後の方が膜厚が大きいことを示す。結果を表2,3に示す。
【0232】
【表2】

【0233】
【表3】

【0234】
表2,3の結果から、ヒドロキシ基を有するベースポリマーに場合によっては熱酸発生剤と架橋剤を加え、炭素数3〜8のアルコールに溶解させたパターン表面コート材を塗布後160℃のベークを行うことによって溶媒と現像液に溶解しない膜となることから、酸と熱によって架橋が進行していることが確認された。比較例1として挙げたポリマーの場合は、溶媒処理後、現像後の残膜がなくなり、溶解していることが確認された。
【0235】
ポジ型レジスト材料の調製
下記高分子化合物(レジストポリマー1〜5)を用いて、下記表4に示す組成で溶解させた溶液を0.2μmサイズのフィルターで濾過してレジスト溶液を調製した。
【化80】

【0236】
表4中の各組成は次の通りである。
酸発生剤:PAG1(下記構造式参照)
【化81】


塩基性化合物:Quencher1(下記構造式参照)
【化82】


有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
【0237】
【表4】

【0238】
トップコートポリマー
分子量(Mw)=8,800
分散度(Mw/Mn)=1.69
【化83】

【0239】
【表5】

【0240】
[実施例40〜83、比較例2,3]
ダブルパターニング評価(1)
表4に示されるレジスト材料を、シリコンウエハーにARC−29A(日産化学工業(株)製)を80nmの膜厚で成膜した基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。その上に表5に示される組成のトップコート膜材料を塗布し、90℃で60秒間ベークしてトップコート膜の厚みを50nmにした。
これをArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製、NSR−S610C,NA1.30、σ0.98/0.78、35度ダイポール照明通常照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)を用いてs偏光照明でY方向90nmライン、180nmピッチのラインアンドスペースパターンのマスクを用いてラインアンドスペースが1:1になる適正露光量よりも多い露光量で露光し、露光後、直ちに100℃で60秒間ベークし、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で30秒間現像を行って、寸法が45nmライン、ピッチが180nmの第1パターンを得た。第1パターンに表2,3に示される実施例1〜39、比較例1のパターン保護膜材料を塗布し、ベークして第1のレジストパターン上に厚さ8nmのパターン保護膜層を形成した。次に第1パターン上に同じレジストと同じトップコートを同じ条件で塗布、ベークし、ArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製、NSR−S610C,NA1.30、σ0.98/0.78、35度ダイポール照明通常照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)を用いてs偏光照明でY方向90nmライン、180nmピッチのラインアンドスペースパターンのマスクを用いてラインアンドスペースが1:1になる適正露光量よりも多い露光量で、第1パターンのX方向に45nmずらした位置に第2パターンを露光し、露光後、直ちに100℃で60秒間ベークし、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で30秒間現像を行って、第1パターンのスペース部分に寸法が45nmライン、ピッチが180nmの第2パターンを得た。パターン保護膜塗布後のベーク条件として、実施例41〜83、比較例2,3は170℃60秒間、実施例40は150℃60秒間で行った。第1パターンと、2パターンのそれぞれのラインの幅を測長SEM((株)日立製作所製S−9380)で測定した。
結果を表6に示す。
【0241】
【表6】

【0242】
[実施例84〜87、比較例4]
ダブルパターニング評価(2)
表4に示されるレジスト材料を、シリコンウエハーにARC−29A(日産化学工業(株)製)を80nmの膜厚で成膜した基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。その上に表5に示される組成のトップコート膜材料を塗布し、90℃で60秒間ベークしてトップコート膜の厚みを50nmにした。
これをArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製、NSR−S610C,NA1.30、σ0.98/0.78、35度ダイポール照明通常照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)を用いてs偏光照明でY方向45nmライン、90nmピッチのマスクを用いてラインアンドスペースが1:1になる露光量で露光し、露光後、直ちに100℃で60秒間ベークし、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で30秒間現像を行って、寸法が45nmラインアンドスペース1:1の第1パターンを得た。第1パターンに表3中の実施例28、比較例1に示されるパターン保護膜材料を塗布し、170℃で60秒間ベークして第1のレジストパターン上に厚さ8nmのパターン保護膜層を形成した。次に第1パターン上に同じレジストと同じトップコートを同じ条件で塗布、ベークし、ArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製、NSR−S610C,NA1.30、σ0.98/0.78、35度ダイポール照明通常照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)を用いてs偏光照明でX方向45nmライン、90nmピッチのマスクを用いてラインアンドスペースが1:1になる適正露光量で露光し、露光後、直ちに100℃で60秒間ベークし、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で30秒間現像を行って、第1パターンと直交する第2パターンを得た。第1パターンと、2パターンのそれぞれのラインの幅を測長SEM((株)日立製作所製S−9380)で測定した。
結果を表7に示す。
【表7】

【0243】
[実施例88〜98、比較例5]
ダブルパターニング評価(3)
表4に示されるレジスト材料を、シリコンウエハーにARC−29A(日産化学工業(株)製)を80nmの膜厚で成膜した基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。その上に表5に示される組成のトップコート膜材料を塗布し、90℃で60秒間ベークしてトップコート膜の厚みを50nmにした。
これをArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製、NSR−S610C,NA1.30、σ0.98/0.78、35度ダイポール照明通常照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)を用いてs偏光照明でY方向90nmライン、180nmピッチのラインアンドスペースパターンのマスクを用いてラインアンドスペースが1:1になる適正露光量よりも多い露光量で露光し、露光後、直ちに100℃で60秒間ベークし、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で30秒間現像を行って、寸法が45nmライン、ピッチが180nmの第1パターンを得た。第1パターンに表8に示されるパターン保護膜材料を塗布し、160℃で60秒間ベークして第1のレジストパターン上面が平坦になるぐらいに覆うための厚さ120nmのパターン保護膜層を形成した。ベーク中、レジスト表面から供給された酸によってレジスト表面で保護膜の架橋を進行させた。余分なコート膜を2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で30秒間現像を行って除去した。次に160℃で60秒間ベークを行ってパターン表面を更に強固に架橋させた。次いで、第1パターン上に同じレジストと同じトップコートを同じ条件で塗布、ベークし、ArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製、NSR−S610C,NA1.30、σ0.98/0.78、35度ダイポール照明通常照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)を用いてs偏光照明でY方向90nmライン、180nmピッチのラインアンドスペースパターンのマスクを用いてラインアンドスペースが1:1になる適正露光量よりも多い露光量でX方向に45nmずらした位置に露光し、露光後、直ちに100℃で60秒間ベークし、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で30秒間現像を行って、第1パターンのスペース部分に寸法が45nmライン、ピッチが180nmの第2パターンを得た。保護膜塗布後のベーク条件として、実施例88〜97、比較例5は160℃60秒間、実施例98は140℃60秒間で行った。第1パターンと、2パターンのそれぞれのラインの幅を測長SEM((株)日立製作所製S−9380)で測定した。
結果を表9に示す。
【0244】
【表8】

【0245】
【表9】

【0246】
実施例40〜83及び実施例88〜98のパターン表面コート材を用いた場合では、第1のパターンの間に第2のパターンのラインが形成されていることが確認された。
比較として、比較例2〜5に示される非架橋性のパターン保護膜を適用した場合及びパターン保護膜を適用せず、第1のパターン上にレジストを塗布し第2のパターンを形成しようとしたが、第2のレジストの塗布時に第1のパターンが溶解してしまい、第2のパターンが形成された時には第1のパターンは消滅していた。
実施例84〜87に示されるパターン表面保護膜を使った場合では、第1のパターンと直交する第2のパターンのラインが形成され、ホールパターンが形成されていることが確認された。
【0247】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0248】
【図1】従来のダブルパターニング方法の一例を説明する断面図であり、Aは、基板上に被加工基板、ハードマスク、レジスト膜を形成した状態、Bは、レジスト膜を露光、現像した状態、Cは、ハードマスクをエッチングした状態、Dは、第2のレジスト膜を形成後、このレジスト膜を露光、現像した状態、Eは、被加工基板をエッチングした状態を示す。
【図2】従来のダブルパターニング方法の他の例を説明する断面図であり、Aは、基板上に被加工基板、第1及び第2のハードマスク、レジスト膜を形成した状態、Bは、レジスト膜を露光、現像した状態、Cは、第2のハードマスクをエッチングした状態、Dは、第1のレジスト膜を除去して第2のレジスト膜を形成後、このレジスト膜を露光、現像した状態、Eは、第1のハードマスクをエッチングした状態、Fは、被加工基板をエッチングした状態を示す。
【図3】従来のダブルパターニング方法の別の例を説明する断面図であり、Aは、基板上に被加工基板、ハードマスク、レジスト膜を形成した状態、Bは、レジスト膜を露光、現像した状態、Cは、ハードマスクをエッチングした状態、Dは、第1のレジスト膜を除去して第2のレジスト膜を形成後、このレジスト膜を露光、現像した状態、Eは、更にハードマスクをエッチングした状態、Fは、被加工基板をエッチングした状態を示す。
【図4】本発明のパターン形成方法を説明する断面図であり、Aは、基板上に被加工基板、第1のレジスト膜を形成した状態、Bは、第1のレジスト膜を露光、現像した状態、Cは、第1のフォトレジストパターン上にパターン表面コート材を塗布し、架橋した状態、Dは、第2のポジ型レジスト材料を塗布した状態、Eは、第2のレジストパターンを形成した状態、Fは、ハードマスクをエッチングした状態、Gは、被加工基板をエッチングした状態を示す。
【図5】本発明のパターン形成方法を説明する断面図であり、Aは、基板上に被加工基板、第1のレジスト膜を形成した状態、Bは、第1のレジスト膜を露光、現像した状態、Cは、第1のフォトレジストパターン上にパターン表面コート材を塗布し、架橋した状態、Dは、パターン保護膜を剥離した状態、Eは、第2のポジ型レジスト材料を塗布した状態、Fは、第2のレジストパターンを形成した状態、Gは、ハードマスクをエッチングした状態、Hは、被加工基板をエッチングした状態を示す。
【図6】本発明のダブルパターニング方法の一例を説明する上空図であり、Aは、第1のパターンを形成した状態、Bは、第1のパターン形成後、第1のパターンと交わる第2のパターンをした状態を示す。
【図7】本発明のダブルパターニング方法の別の例を説明する上空図であり、Aは、第1のパターンを形成した状態、Bは、第1のパターン形成後、第1のパターンと離れた第2のパターンを形成した状態を示す。
【符号の説明】
【0249】
10 基板
20 被加工基板
30 レジスト膜
40 ハードマスク
50 第2のレジスト膜
60 パターン表面コート材
60a 架橋膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸によってアルカリに可溶になる繰り返し単位を有する高分子化合物を含むポジ型レジスト材料を基板上に塗布してレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後にアルカリ現像液を用いて上記レジスト膜を現像して第1のレジストパターンを形成し、この第1のレジストパターンの上にヒドロキシ基を有する架橋性の高分子化合物を含む溶液からなるパターン表面コート材を塗布し、酸と熱によって前記ヒドロキシ基を有する高分子化合物を架橋して該高分子化合物の架橋膜で第1のレジストパターンを覆い、その上に第2のポジ型レジスト材料を塗布し、加熱処理後に高エネルギー線で第2のレジスト膜を露光し、加熱処理後にアルカリ現像液を用いて第2のレジスト膜を現像して第2のレジストパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
酸によってアルカリに可溶になる繰り返し単位を有する高分子化合物を含むポジ型レジスト材料を基板上に塗布してレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後にアルカリ現像液を用いて上記レジスト膜を現像して第1のレジストパターンを形成し、この第1のレジストパターンの上にヒドロキシ基を有する架橋性の高分子化合物を含む溶液からなるパターン表面コート材を塗布し、酸と熱によって前記ヒドロキシ基を有する高分子化合物を架橋して該高分子化合物の架橋膜で第1のレジストパターンを覆い、アルカリ現像液で余分なパターン表面コート材を剥離し、その上に第2のポジ型レジスト材料を塗布し、加熱処理後に高エネルギー線で第2のレジスト膜を露光し、加熱処理後にアルカリ現像液を用いて第2のレジスト膜を現像して第2のレジストパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項3】
第1のレジストパターンのスペース部分に第2のレジストパターンを形成することによってパターン間のピッチを半分にすることを特徴とする請求項1又は2記載のパターン形成方法。
【請求項4】
第1のパターンと交わる第2のパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【請求項5】
第1のパターンのパターンが形成されていないスペース部分に第1のパターンと異なる方向に第2のパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【請求項6】
第1のレジストパターンにヒドロキシ基を有する架橋性の高分子化合物を含む溶液を塗布し、酸と熱によって該高分子化合物を架橋させる工程が、100〜250℃の加熱によって該高分子化合物表面を架橋させて、第1のレジストパターンを溶解させる溶媒及びアルカリ現像液に不溶にすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項記載のパターン形成方法において用いるパターン表面コート材であって、下記一般式(1)で示されるヒドロキシ基を有する架橋性の高分子化合物を含むことを特徴とするパターン表面コート材。
【化1】


(式中、R1、R3は水素原子、メチル基又はヒドロキシメチル基であり、R2は単結合、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基もしくはアルキリジン基、R4は(n+1)価の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状の脂肪族飽和炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、ベンジル基、又はナフタレンメチル基であり、エーテル結合を有していてもよい。mは1又は2であり、nは1〜5の整数である。X1、X2はそれぞれ−C(=O)−O−R5−、−C(=O)−NH−R6−、−C(=O)−N−(R62−、又はフェニレン基もしくはナフチレン基である。R5、R6は単結合、炭素数1〜6のアルキレン基、又は炭素数6〜10のアリーレン基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。0≦a1<1.0、0<a2≦1.0、0<a1+a2≦1.0である。)
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか1項記載のパターン形成方法において用いるパターン表面コート材であって、下記一般式(1a)で示されるヒドロキシ基を有する架橋性の高分子化合物を含むことを特徴とするパターン表面コート材。
【化2】


(式中、R1、R3は水素原子、メチル基又はヒドロキシメチル基であり、R2は単結合、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基もしくはアルキリジン基、R4は(n+1)価の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状の脂肪族飽和炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、ベンジル基、又はナフタレンメチル基であり、エーテル結合を有していてもよい。mは1又は2であり、nは1〜5の整数である。X1、X2はそれぞれ−C(=O)−O−R5−、−C(=O)−NH−R6−、−C(=O)−N−(R62−、又はフェニレン基もしくはナフチレン基である。R5、R6は単結合、炭素数1〜6のアルキレン基、又は炭素数6〜10のアリーレン基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R8は水素原子又はメチル基、X3はそれぞれ−C(=O)−O−R12−、又はフェニレン基もしくはナフチレン基である。R12は単結合、炭素数1〜6のアルキレン基、又は炭素数6〜10のアリーレン基であり、エーテル基、エステル基、ヒドロキシ基又はカルボキシル基を有していてもよい。R9は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、R10は水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はR9と結合してこれらが結合する水素原子と共に環を形成してもよい。R11は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、pは0又は1である。0≦a1<1.0、0<a2≦1.0、0<b≦1.0、0<a1+a2+b≦1.0である。)
【請求項9】
式(1)又は(1a)のヒドロキシ基を有する架橋性の高分子化合物と、炭素数3〜8のアルコールを含む有機溶媒を混合してなる請求項7又は8記載のパターン表面コート材。
【請求項10】
式(1)又は(1a)のヒドロキシ基を有する架橋性の高分子化合物と、熱酸発生剤と、炭素数3〜8のアルコールを含む有機溶媒を混合してなる請求項9記載のパターン表面コート材。
【請求項11】
熱酸発生剤が下記一般式(2)で示されるアンモニウム塩であることを特徴とする請求項10記載のパターン表面コート材。
【化3】


(式中、R101d、R101e、R101f、R101gは水素原子、それぞれ炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のエーテル基又はエステル基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基によって置換されていてもよい。R101dとR101e、R101dとR101eとR101fとはこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101dとR101e及びR101dとR101eとR101fは炭素数3〜10のアルキレン基、又は窒素原子を環の中に有する複素芳香族環を形成する基を示す。K-は非求核性対向イオンを表す。)
【請求項12】
更に、酸によって架橋する架橋剤を含有する請求項9乃至11のいずれか1項記載のパターン表面コート材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−69817(P2009−69817A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−205317(P2008−205317)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】