パターン形成方法及びポリマーアロイ下地材料
【課題】ポリマーアロイに配向性の高い相分離構造のパターンを短時間で形成することのできるパターン形成方法及びポリマーアロイ下地材料を提供する。
【解決手段】基板上に自己組織化単分子膜とポリマー膜を積層する工程と、エネルギー線を照射することにより前記ポリマー膜と前記自己組織化単分子膜を化学結合させ、ポリマー表面層を前記自己組織化単分子膜上に形成する工程と、相分離構造のパターンを有するポリマーアロイを前記ポリマー表面層上に形成する工程と、を含むパターン形成方法を提供する。
【解決手段】基板上に自己組織化単分子膜とポリマー膜を積層する工程と、エネルギー線を照射することにより前記ポリマー膜と前記自己組織化単分子膜を化学結合させ、ポリマー表面層を前記自己組織化単分子膜上に形成する工程と、相分離構造のパターンを有するポリマーアロイを前記ポリマー表面層上に形成する工程と、を含むパターン形成方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、パターン形成方法及びポリマーアロイ下地材料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LSIをはじめとする半導体デバイスの製造プロセスでは、リソグラフィーによる微細加工技術が採用されている。今後、さらに微細な加工が要求されることは確実であり、リソグラフィーにおける光源の短波長化およびレジストの高性能化が進められている。しかし、これらの対策による解像度の向上は困難になってきている。
【0003】
これに対して、ブロックコポリマーの相分離構造を利用する微細加工技術が着目されている。この微細加工技術では、ブロックコポリマーの相分離構造を規則的に並べることが要求される。ブロックコポリマーの相分離構造を規則的に並べるために、以下のような方法が提案されている。
【0004】
たとえば、基板上に自己組織化単分子膜(self−assembled monolayer、SAM)を形成し、その上にフォトレジストを塗布してリソグラフィーによりラインアンドスペースのレジストパターンを形成し、レジストパターンをマスクとして酸素雰囲気でX線を選択的に照射してSAMの一部を化学修飾し、レジストパターンを除去し、SAM上にブロックコポリマーを塗布してアニールすることにより、ブロックコポリマーのミクロ相分離パターンを形成する方法が知られている。
【0005】
また、基板上にSAMを形成し、干渉露光によりSAMの一部を選択的に露光して化学修飾されたドットパターンを形成し、SAM上にブロックコポリマーを塗布してアニールすることにより、ブロックコポリマーのミクロ相分離パターンを形成する方法が知られている。
【0006】
しかし、これらのSAMを用いる方法は、SAMの被覆率がばらつきやすく、SAMを形成する分子の化学ポテンシャルが限定されることから、SAMの表面自由エネルギーの制御性が悪く、ブロックコポリマーのミクロ相分離パターンの配向をそろえるのが不安定である問題を含んでいる。
【0007】
また一方で、基板上にポリマーブラシと呼ばれる高分子化合物から成る単分子膜を長時間、加熱処理することにより形成し、その上にフォトレジストを塗布してリソグラフィーによりラインアンドスペースのレジストパターンを形成し、レジストパターンをマスクとして酸素雰囲気でX線を選択的に照射してポリマーブラシの一部を除去し、レジストパターンを除去し、ポリマーブラシ上にブロックコポリマーを塗布してアニールすることにより、ブロックコポリマーのミクロ相分離パターンを形成する方法が知られている。
【0008】
さらに、基板上にポリマーブラシを形成し、その上に電子線レジストを塗布してリソグラフィーによりドットパターンを形成し、電子線レジストのドットパターンをマスクとして酸素プラズマを照射してポリマーブラシの一部を除去し、レジストパターンを除去し、SAM上にブロックコポリマーを塗布してアニールすることにより、ブロックコポリマーのミクロ相分離パターンを形成する方法が知られている。この方法では、ブロックコポリマーのドットパターンのドットピッチが、電子線レジストに形成したドットパターンのドットピッチよりも狭くなりうることが開示されている。
【0009】
これらのポリマーブラシを用いる方法は、ポリマーが表面に広がって単分子膜を形成するため、シランカップリング剤から成るSAMより表面自由エネルギーの制御が安定的に行うことができるが、ポリマーブラシ形成時にポリマー末端のヒドロキシ基がSi基板表面と化学反応を十分に起こす必要があり、ポリマーが熱分解しない程度の温度でSi近傍にヒドロキシ基が十分に拡散し、化学反応に要する活性化エネルギーを十分に越える熱エネルギーを与える必要があるため、長時間の加熱処理を要し、半導体デバイスなどの微細加工技術として実用的でない。
【0010】
また、基板にベンゾフェノン骨格を有するシランカップリング剤のSAMを形成し、その上にポリマーを積層して、光照射すると、SAMに接触している界面部のポリマー層がベンゾフェノンと架橋反応を起こし、ポリマーが溶解しやすい有機溶剤でリンスしてもその界面部が残る現象が報告されているが、ブロックコポリマーのミクロ相分離パターンの配向を揃える材料として考えられておらず、その有効性は見出されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,746,825号明細書
【特許文献2】米国特許第7,521,090号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】S. O. Kim et al., Nature, Vol.424, pp.411-414 (2003)
【非特許文献2】E. W. Edwards et al., Adv. Mater, vol.16, pp.1315-1319(2004)
【非特許文献3】R. Ruiz et al., Science, Vol. 321, pp. 936-939 (2008)
【非特許文献4】O. Prucker et al., J. Am. Chem. Soc., Vol. 121, pp. 8766-8770 (1999)
【非特許文献5】A. M. Welander et al., Macromolecules, 41, 2759-2761, (2008)
【非特許文献6】K. Asakawa et al., APS March Meeting, (2000)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、ポリマーアロイに配向性の高い相分離構造のパターンを短時間で形成することのできるパターン形成方法及びポリマーアロイ下地材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一実施の形態によれば、パターン形成方法は、基板上に自己組織化単分子膜とポリマー膜を積層する工程と、エネルギー線を照射することにより前記ポリマー膜と前記自己組織化単分子膜を化学結合させ、ポリマー表面層を前記自己組織化単分子膜上に形成する工程と、相分離構造のパターンを有するポリマーアロイを前記ポリマー表面層上に形成する工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】(a)〜(c)は、第1の実施の形態に係るポリマーアロイのパターン形成方法を示す斜視図。
【図1B】(d)、(e)は、第1の実施の形態に係るポリマーアロイのパターン形成方法を示す斜視図。
【図2A】(a)〜(c)は、第2の実施の形態に係るポリマーアロイのパターン形成方法を示す斜視図。
【図2B】(d)、(e)は、第2の実施の形態に係るポリマーアロイのパターン形成方法を示す斜視図。
【図3】(a)、(b)は、第2の実施の形態に係るポリマーアロイのパターン形成方法を示す斜視図。
【図4】(a)、(b)は、第3の実施の形態に係るポリマーアロイのパターン形成方法を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔第1の実施の形態〕
図1A(a)〜(c)、図1B(d)、(e)は、第1の実施の形態に係るポリマーアロイのパターン形成方法を示す斜視図である。
【0017】
まず、図1A(a)に示すように、基板1上に自己組織化単分子膜2を形成する。
【0018】
基板1として、シリコンウエハー、ドーピングされたシリコンウエハー、表面に絶縁層または電極もしくは配線となる金属層が形成されたシリコンウエハー、マスクブランク、GaAs、AlGaAsなどのIII−V族化合物半導体ウエハーを用いることができる。また、クロムまたは酸化クロム蒸着基板、アルミニウム蒸着基板、IBSPGコート基板、スピンオングラス(SOG)コート基板、SiNコート基板を用いることもできる。特に、基板1は、自己組織化単分子膜2の形成しやすさの観点から、表面に多くのヒドロキシ基を有することが好ましい。
【0019】
自己組織化単分子膜2は、シリコン基板上に形成された金属や金属酸化物の表面のヒドロキシ基と反応しやすい材料、例えばシランカップリング剤を含む材料、からなることが好ましい。
【0020】
また、自己組織化単分子膜2は、紫外線や電子線などのエネルギー線を効率よく吸収し、接触しているポリマーと架橋反応を起こす光重合開始剤、例えば、ベンゾフェノン骨格を有する材料、からなることが好ましい。
【0021】
ベンゾフェノン骨格を有する材料は、例えば、下記の一般式Iaで表される。一般式Ia中のRは、末端にSi−F、Si−Cl、Si−Br、もしくはSi−OH、Si−OCH3、Si−OC2H5、Si−OC3H7を備える直鎖アルキル基であり、アルキル鎖の中にエーテル結合などを有してもよい。
【化1】
【0022】
一般式Iaで表される材料は、ベンゾフェノン骨格を含んでいるのでエネルギー線を効率よく吸収し、ベンゾフェノンのカルボニル基のn軌道の電子がπ*軌道に励起され、接触するポリマーのアルキル鎖と反応する。接触するポリマーのアルキル鎖は、第3級炭素が最も反応しやすい。このため、エネルギー線の照射により、一般式Iaで表される材料からなる自己組織化単分子膜2とポリマーを架橋させることができる。
【0023】
さらに、自己組織化単分子膜2の材料は、一般式Iaで表される材料のうち、合成が簡便で、コストが安いものが好ましい。このような材料として、例えば、下記の一般式Ibで表されるベンゾフェノン骨格を含むシランカップリング剤を用いることができる。
【化2】
【0024】
自己組織化単分子膜2を形成する方法としては、スピンコーティング、ディップコーティング、気相成長、ドクターブレード法、カーテンコーティングなどを用いることができる。なお、自己組織化単分子膜2を形成する前に、基板1の表面に付着した有機不純物を除去するために、基板1への紫外線照射などの前処理を行うことが好ましい。
【0025】
自己組織化単分子膜2の形成にスピンコーティングを用いる場合、自己組織化単分子膜2の材料を溶剤で希釈するかまたは原液のまま基板1上にスピンコートし、必要に応じてホットプレートなどの上でベークして自己組織化単分子膜2を形成する。なお、単分子膜を超えて基板1に吸着されている余分な自己組織化単分子膜2の材料は洗い流される。
【0026】
スピンコーティングにおいて、自己組織化単分子膜2の材料を溶剤で希釈する濃度は1〜30wt%が好ましいが、特に限定されない。基板1に対する塗れ広がりの程度に応じてその濃度を調整することが好ましい。
【0027】
用いる溶剤は、自己組織化単分子膜2の材料によっても異なるが、自己組織化単分子膜2の材料と反応を起こさないものが好ましい。このような溶剤として、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナンなどのシクロアルカン類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのアルカン類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどのアルキルアルコール類などを用いることができる。
【0028】
上述した溶剤以外にも、反応性、基板1との濡れ性、揮発性の観点から、一般的なフォトレジストの溶剤に用いられるケトン類、セロソルブ類、およびエステル類といった有機溶媒を用いることもできる。ケトン類としては、シクロヘキサノン、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。セロソルブル類としては、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテートなどが挙げられる。エステル類としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、γ−ブチロラクトン、3−メトキシプロピオン酸メチルが挙げられる。
【0029】
溶剤は、必要に応じて2種以上を組み合わせて用いることができる。基板1の表面の官能基との反応性の観点から脱水溶剤を用いることが好ましい。
【0030】
ホットプレートなどの上でベークするときの温度は、自己組織化単分子膜2の材料が基板1の表面の官能基と化学結合するための活性化エネルギーを超えるエネルギーを発生させるため、100〜200℃が好ましい。
【0031】
単分子膜を超えて基板1に吸着されている余分な自己組織化単分子膜2の材料を洗い流す(リンスする)ときに使用する溶剤は、自己組織化単分子膜2の材料を希釈するときに用いた溶剤と同様のものを用いることが好ましい。
【0032】
自己組織化単分子膜2の形成にディップコーティングを用いる場合、自己組織化単分子膜2の材料を溶剤で希釈し、その希釈溶液中に基板1を一定時間浸漬させて、自己組織化単分子膜2を形成する。
【0033】
ディップコーティングにおいて、自己組織化単分子膜2の材料を溶剤で希釈する濃度は1〜30wt%が好ましい。
【0034】
用いる溶剤は、スピンコーティングで用いる溶剤と同様に、自己組織化単分子膜2の材料と反応を起こさないものが好ましい。このような溶剤として、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナンなどのシクロアルカン類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのアルカン類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどのアルキルアルコール類などを用いることができる。基板1の表面の官能基との反応性の観点から脱水溶剤を用いることが好ましい。
【0035】
浸漬時間は、濃度、反応性などにも依存するが、1〜60分間が好ましい。反応速度の観点から溶液を加熱して基板1を浸漬させてもよい。浸漬温度は、溶剤の沸点以下で、自己組織化単分子膜2の材料が基板1の表面の官能基に反応する前に分解しない温度に設定され、一般的に40〜100℃に調節される。
【0036】
単分子膜を超えて自己組織化単分子膜2に吸着されている余分な自己組織化単分子膜2の材料を洗い流す(リンスする)ときに使用する溶剤は、浸漬に使用した溶剤と同様のものを用いることが好ましい。リンス後に窒素やアルゴンなどの不活性ガスを吹き付けて溶剤を吹き飛ばし、場合によってはホットプレート上で加熱して溶剤を除去することが好ましい。
【0037】
自己組織化単分子膜2の形成に気相成長を用いる場合、気圧を下げるか温度を上げるかまたはその両方によって自己組織化単分子膜2の材料を気体状態とし、その中へ基板1を導入し、一定時間曝露して基板1の表面に自己組織化単分子膜2を形成する。
【0038】
気相成長では、自己組織化単分子膜2の材料を気体状態にするために、その材料の蒸気圧特性に応じて、気圧を下げるか温度を上げるかまたはその両方を行う。用いる単分子膜形成材料の沸点に依存するが、材料の安定性の観点から、減圧して気体状態に変わるまで温度を上げることが好ましい。気体状態の単自己組織化単分子膜2の材料が存在する空間に基板1を入れるかまたは予め入れておき、1〜5時間基板1の表面を曝露することが好ましい。
【0039】
基板1を曝露した後、必要に応じて、単分子膜を超えて基板1に吸着されている余分な自己組織化単分子膜2の材料を溶剤で洗い流してもよい。この溶剤として、上述したスピンコーティングにおいて用いられる溶剤と同じものを用いることが好ましい。
【0040】
次に、図1A(b)に示すように、自己組織化単分子膜2上にポリマー膜3を形成する。
【0041】
ポリマー膜3の材料としては、高エネルギー線の照射により自己組織化単分子膜2と化学結合し、かつその表面上に形成されるポリマーアロイのミクロ相分離構造の配向を整えるために適した表面エネルギーを有するものを用いる。
【0042】
次に、図1A(c)に示すように、基板1上に高エネルギー線を照射し、ポリマー膜3を自己組織化単分子膜2に化学結合(架橋)させ、ポリマー表面層4を自己組織化単分子膜2上に形成する。なお、ポリマー表面層4を形成した後、ポリマー表面層4上のポリマー膜3の自己組織化単分子膜2に化学結合しなかった部分を除去してもよい。
【0043】
自己組織化単分子膜2に照射されるエネルギー線は、自己組織化単分子膜2の材料が感度をもつ波長を有するものであれば特に限定されない。具体的には、紫外線、水銀ランプのi線、h線またはg線、キセノンランプ光、新紫外光(たとえばKrFまたはArFなどのエキシマーレーザー光)、X線、シンクロトロンオービタルラジエーション(SR)、電子線、γ線およびイオンビームなどを用いることができる。
【0044】
次に、図1B(d)に示すように、相分離構造を有するポリマーアロイ5をポリマー表面層4上に形成する。ポリマーアロイ5をポリマー表面層4上に形成することにより、ポリマーアロイ5を自己組織化単分子膜2上に直接形成する場合よりも、ポリマーアロイ5の相分離構造の垂直配向性を高めることができる。
【0045】
ポリマーアロイ5は、例えば、ブロックコポリマー、異種のホモポリマーをブレンドしたポリマー、ホモポリマーとブロックコポリマーをブレンドしたポリマー、またはグラフトコポリマーである。
【0046】
ポリマーアロイ5は、第1の相5aおよび第2の相5bからなる相分離構造を有する。ポリマーアロイ5は、例えば、第1の相5aがポリスチレンのブロック鎖からなり、第2の相5bがポリブタジエンのブロック鎖からなるブロックコポリマー、または第1の相5aがポリスチレンのブロック鎖からなり、第2の相5bがポリメチルメタクリレートのブロック鎖からなるブロックコポリマーである。
【0047】
また、第1の相5aおよび第2の相5bはラメラ構造を構成することが好ましい。なお、ポリマーアロイ5の相分離構造は、3つ以上の相から構成されてもよい。
【0048】
ポリマーアロイ5の形成方法は特に限定されない。たとえば、スピンコーティング、ディップコーティング、ドクターブレード法、カーテンコーティング、その他の方法を用いることができる。ポリマーアロイ5の溶液をポリマー表面層4上に塗布した後、必要に応じて、ホットプレート上で加熱して溶剤を除去してもよい。このときの加熱温度は70〜120℃が好ましい。
【0049】
ポリマーアロイ5を相分離させるには、一般的に、ポリマーアロイ5のガラス転移点温度以上の温度でアニールする。例えば、ブロックコポリマーの相分離速度はアニール温度に対して相関性があることが知られている(例えば、A. M. Welander et al., Macromolecules, 41, 2759-2761, 2008参照)。アニール温度が秩序・無秩序転移温度(ODT)を超えて高くなると、無秩序構造になり、相分離構造が得られない。このため、適度な相分離速度が得られる適度な温度でアニールすることが好ましい。ポリマーアロイ5の分子量や種類にもよるが、アニール温度は130〜280℃であることが好ましい。アニールはオーブンやホットプレートを用いて行う。オーブンを用いる場合には低温で長時間アニールする。ホットプレートを用いる場合には高温で短時間アニールする。
【0050】
なお、酸素などの反応性ガスが微量に存在する雰囲気でアニールする場合、アニール温度が高温になるとポリマーアロイ5が分解することがある。そこで、ポリマーアロイ5の分解を防ぐ観点から、アルゴン、窒素などの不活性ガス雰囲気でアニールすることが好ましい。必要に応じて、約3%の水素を含むフォーミングガス雰囲気でアニールしてもよい。
【0051】
その後、図1B(e)に示すように、ポリマーアロイ5の第1の相5aと第2の相5bのうちのいずれか一方を選択的に除去してもよい。ラメラ構造を構成する第1の相5aと第2の相5bのうちのいずれか一方を選択的に除去することにより、ポリマーアロイ5にラインアンドスペースパターンを形成することができる。なお、ポリマーアロイ5が3つ以上の相から構成される場合は、それらの相のうちの一部の相を除去する。
【0052】
この工程を行う場合、第1の相5aと第2の相5bは、何らかの方法によりいずれか一方を選択的に除去することのできるブロック鎖からなることが求められる。例えば、ポリスチレンのブロック鎖からなる相とポリブタジエンのブロック鎖からなる相を有するブロックコポリマーにオゾン処理を施すことにより、ポリブタジエンのブロック鎖からなる相を選択的に除去できることが知られている。また、ポリスチレンのブロック鎖からなる相とポリメチルメタクリレートのブロック鎖からなる相を有するブロックコポリマーにO2、CF4などの反応性ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)を施すことにより、ポリメチルメタクリレートのブロック鎖からなる相を選択的に除去できることが知られている(例えば、K. Asakawa et al., APS March Meeting, 2000を参照)。
【0053】
そのため、例えば、ポリマーアロイ5が、第1の相5aがポリスチレンのブロック鎖からなり、第2の相5bがポリブタジエンのブロック鎖からなるブロックコポリマーである場合は、オゾン処理により第2の相5bを選択的に除去し、第1の相5aのみを残すことができる。また、ポリマーアロイ5が、第1の相5aがポリスチレンのブロック鎖からなり、第2の相5bがポリメチルメタクリレートのブロック鎖からなるブロックコポリマーである場合は、O2、CF4などの反応性ガスを用いたRIEにより第2の相5bを選択的に除去し、第1の相5aのみを残すことができる。
【0054】
オゾン処理やRIEを施す方法以外に、熱処理またはウェットエッチングを施す方法を用いることができる。主鎖がエネルギー線の照射により切断されるポリマー鎖とエネルギー線に対して難分解性のポリマー鎖とを有するブロックコポリマーをパターン形成材料として用いた場合において、膜に光、もしくは電子線を照射してミクロ相分離構造を構成する1つのポリマー相の主鎖を切断した後、加熱により揮発させるか、ウェットエッチングすることによりそのポリマー相を選択的に除去する。
【0055】
また、ウェットエッチングを用いる方法では、処理を行う前にエネルギー線を照射しなくても、第1の相5aと第2の相5bの一方を選択的に除去できる現像液を用いると、第1の相5aと第2の相5bの一方を選択的に除去することができる。
【0056】
現像液は、有機現像液であっても水性現像液(アルカリ現像液)であってもよい。有機現像液としては、メタノール、エタノール、およびイソプロパノールなどのアルコール類、シクロヘキサノン、アセトン、エチルメチルケトン、およびメチルイソブチルケトンなどのケトン類、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、およびブチルセロソルブアセテートなどセロソルブ類、および酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、γ−ブチロラクトン、および3−メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類といった有機溶媒が挙げられる。上述したような溶剤は、必要に応じて2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0057】
水性現像液としては、有機アルカリ水溶液および無機アルカリ水溶液のいずれを用いてもよい。有機アルカリ水溶液としては、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、およびコリン水溶液などが挙げられ、無機アルカリ水溶液としては、例えば水酸化カリウム水溶液、および水酸化ナトリウム水溶液などが挙げられる。アルカリ現像液の濃度は限定されない。
【0058】
また、これらの現像液には、必要に応じて任意の添加剤を添加することもできる。例えば、界面活性剤を添加して現像液の表面張力を下げたり、中性塩を加えて現像を活性にすることもできる。また、現像液の温度も任意であり、冷水を用いることも温水を用いることもできる。
【0059】
残った第1の相5aは、下地層、すなわち基板1を構成するウエハーや、ウエハー上の金属層または絶縁層、のエッチング用のマスクとして用いることができる。
【0060】
以下に、本実施の形態の具体例を示す。この具体例においては、基板1としてのシリコンウエハー上に自己組織化単分子膜2としてのCSBPの単分子膜を形成し、その上に、ポリマー膜3としてのポリマー膜を形成し、CSBPの単分子膜およびポリマー膜をArFエキシマーレーザーで露光してポリマー表面層4としてのポリマー表面層を形成し、さらにポリマーアロイ5としてのブロックコポリマーのラメラ状のミクロ相分離構造を形成した。
【0061】
まず、市販の4−ヒドロキシベンゾフェノン(39.6g)と炭酸カリウム(28g)を三口フラスコに入れ、アルゴン置換した。次に、脱水アセトン(120ml)を入れ、よく撹拌してアリルブロミド(18.6ml)を加えた。そして60℃で8時間撹拌した。その後、室温に冷まし、純水(80ml)を加えて攪拌し、ジエチルエーテル(100ml)で2回抽出した。10%NaOH水溶液(100ml)で2回抽出洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。エバポレーターにかけ、溶媒を除去して黄白色の残留物を得た。残留物をメタノールから再結晶して吸引ろ過して、真空中で乾燥後、純粋な生成物である4−アリルオキシベンゾフェノン(以下ABPという)を得た(収量43.7g、収率91.9%)。
【0062】
ABPは、下記の化学式で表される。
【化3】
【0063】
次に、得られたABP(2g)と10%Pt−C(10mg)を三口フラスコに入れ、アルゴン置換した。その中へジメチルクロロシラン(20ml)を入れ、撹拌した。40℃で5時間撹拌した。その後、室温まで冷却し、過剰なジメチルクロロシランを真空除去して、残ったオイル状の生成物である4−(3’クロロジメチルシリル)プロピルオキシベンゾフェノン(以下CSBPという)を得た。得られたオイル状の生成物であるCSBPは、使用する際、脱水トルエンに溶かし、触媒をろ過してそのろ液をそのままシリコンウエハーの表面処理溶液として使用した。
【0064】
CSBPは、下記の化学式で表される。
【化4】
【0065】
次に、基板1に相当するシリコンウエハー上にCSBPのトルエン溶液(2.26mM、4ml)を垂らし、トリエチルアミンのトルエン溶液(0.247M、2ml)を続けて垂らして、1分間放置し、回転して溶液を振り切った。その後、シクロヘキサノンで全面リンスし、その上にポリマー膜3に相当するポリマー膜用のポリマー溶液を回転塗布した。ポリマー膜用のポリマー溶液は、トルエンに溶かし、回転数2000rpmで塗布した。塗布後に110℃で90秒間ベークして、シリコンウエハー上に自己組織化単分子膜2に相当するCSBPの自己組織化単分子膜を形成し、さらにポリマー膜3に相当するポリマー膜を積層したものを得た。
【0066】
ポリマー膜用のポリマー溶液は、濃度1wt%に調整した。ポリマー膜用のポリマーとして、Polymer Source社から購入したポリスチレン(PS)とポリメチルメタクリレート(PMMA)のランダム共重合体(PS−r−PMMA)であるP9225−SMMAranを用いた。P9225−SMMAranは、数平均分子量(Mn)が7000、分散度(Mw/Mn)が1.20、PS部分の全体分子量に対する割合(f(PS))が0.59である。
【0067】
次に、作製したポリマー膜を、ArFエキシマーレーザーにより露光量10〜490mJ/cm2で露光した。露光後に、シクロヘキサノンでシリコンウエハー全面をリンスしてポリマー表面層4に相当するポリマー表面層を得た。
【0068】
別途、ブロックコポリマーの溶液を調製した。ブロックコポリマーとして、Polymer Source社から購入したポリスチレン(PS)とポリメチルメタクリレート(PMMA)のブロック共重合体(PS−b−PMMA)であるP189−SMMAを用いた。P189−SMMAは、PSブロックとPMMAブロックの数平均分子量(Mn)が86500であり、分散度(Mw/Mn)が1.08である。PS部分の全体分子量に対する割合(f(PS))が0.54である。
【0069】
ブロックコポリマーのポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液を2.0wt%の濃度で調整し、ポリマー表面層上に回転数2000rpmで回転塗布し、ホットプレート上において110℃で90秒間ベークしてポリマーアロイ5に相当するブロックコポリマーを形成した。
【0070】
次いで、窒素雰囲気下のホットプレートベーカー上において220℃で1分間アニール処理することにより、ブロックコポリマーをポリスチレンのブロック鎖からなるPS相とポリメチルメタクリレートのブロック鎖からなるPMMA相に相分離させた。それぞれのサンプル表面の500nm×500nm(500nm□)の領域を、原子間力顕微鏡(Nanoscope II)により、カンチレバーにシリコンチップ[NCH−50]を使用し、タッピングモードで測定して、得られた位相像からラメラ状のミクロ相分離構造の垂直配向性を評価した。
【0071】
その結果、露光領域全体でバラツキのないラメラ状の垂直配向性を確認でき、観察した領域内において垂直配向性の欠陥がなかった。
【0072】
さらに、得られた相分離構造を有するブロックコポリマーにO2ガスを用いたRIEを施すことにより、PS相よりもエッチング速度が速いPMMA相を選択的に除去することができた。
【0073】
また、得られた相分離構造を有するブロックコポリマーをイソプロピルアルコール(IPA)とメチルイソブチルケトン(MIBK)の1:1混合溶液に浸すことにより、PS相よりも溶解速度が速いPMMA相を選択的に除去することができた。
【0074】
(比較例1)
上記の具体例と同じPSとPMMAのブロックコポリマー(P189−SMMA)の濃度2wt%のPGMEA溶液を作製し、ポリマー表面層を形成せずにシリコンウエハー上に直接回転塗布して、220℃、1分間アニール処理を行なった。しかし、シリコンウエハー上に直接形成したブロックコポリマーには、全くラメラ状の垂直配向性を確認することができなかった。
【0075】
上記の結果から、本実施の形態のパターン形成方法、形成材料は、ブロックコポリマーに対する高い相分離構造の制御性を有していると考えられる。
【0076】
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態は、ポリマー表面層4にパターンを形成した後にポリマーアロイ5を形成する点において第1の実施の形態と異なる。なお、各部材の材料や製造方法等、第1の実施の形態と同様の点については、説明を省略または簡略化する。
【0077】
図2A(a)〜(c)、図2B(d)、(e)は、第2の実施の形態に係るポリマーアロイのパターン形成方法を示す斜視図である。
【0078】
まず、図1A(a)〜(c)に示されるポリマー表面層4を形成するまでの工程を第1の実施の形態と同様に行う。
【0079】
次に、図2A(a)に示すように、ポリマー膜3上にラインアンドスペース等のパターンを有するフォトレジスト6を形成する。
【0080】
次に、図2A(b)に示すように、フォトレジスト6をマスクとして用いてポリマー表面層4をエッチングし、ポリマー表面層4にフォトレジスト6のパターンを転写する。
【0081】
次に、図2A(c)に示すように、フォトレジスト6を除去する。
【0082】
次に、図2B(d)に示すように、相分離構造を有するポリマーアロイ5をポリマー表面層4および露出した自己組織化単分子膜2上に形成する。このとき、ポリマーアロイ5の第1の相5aがポリマー表面層4上に形成され、第2の相5bが露出した自己組織化単分子膜2上に形成される。
【0083】
例えば、第1の相5aのポリマー表面層4に対する接触角が自己組織化単分子膜2に対する接触角よりも小さく、かつ第2の相5bの自己組織化単分子膜2に対する接触角がポリマー表面層4に対する接触角以下である場合、または、第2の相5bの自己組織化単分子膜2に対する接触角がポリマー表面層4に対する接触角よりも小さく、かつ第1の相5aのポリマー表面層4に対する接触角が自己組織化単分子膜2に対する接触角以下である場合、第1の相5aがポリマー表面層4上に形成され、第2の相5bが露出した自己組織化単分子膜2上に形成される。
【0084】
その後、図2B(e)に示すように、ポリマーアロイ5の第1の相5aと第2の相5bのうちのいずれか一方を選択的に除去してもよい。なお、ポリマーアロイ5が3つ以上の相から構成される場合は、それらの相のうちの一部の相を除去する。
【0085】
また、ポリマーアロイ5の第1の相5aと第2の相5bの本来のパターン周期がパターニングされたポリマー表面層4のパターン周期よりも小さい場合は、図3(a)に示すように、ポリマー表面層4の1つのラインおよび自己組織化単分子膜2の1つのスペース上に複数のポリマーアロイ5の相が形成される。この場合、ポリマーアロイ5の相分離構造のパターンの周期を、露光装置の解像度限界によるフォトレジスト6のパターンの最小周期よりも小さくすることができる。
【0086】
その後、図3(b)に示すように、ポリマーアロイ5の第1の相5aと第2の相5bのうちのいずれか一方を選択的に除去すれば、フォトリソグラフィの露光装置の解像度限界を超える微細なラインアンドスペースパターンを有するマスクを得ることができる。
【0087】
以下に、本実施の形態の具体例を示す。この具体例においては、基板1としてのシリコンウエハー上に自己組織化単分子膜2としてのCSBPの単分子膜を形成し、その上に、ポリマー膜3としてのポリマー膜を形成し、CSBPの単分子膜およびポリマー膜をArFエキシマーレーザーで露光してポリマー表面層4としてのポリマー表面層を形成し、さらにフォトレジスト6としてのフォトレジストを積層してArFエキシマーレーザーでパターン露光、現像して、そのレジストパターンを通してO2ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)でポリマー表面層をパターニングして、レジストパターンを剥離後、形成したポリマー表面層のパターン上でポリマーアロイ5としてのブロックコポリマーのラメラ状のミクロ相分離のパターンを形成した。
【0088】
まず、基板1に相当するシリコンウエハー上にCSBPのトルエン溶液(2.26mM、4ml)を垂らし、トリエチルアミンのトルエン溶液(0.247M、2mL)を続けて垂らして、1分間放置し、回転して溶液を振り切った。その後、シクロヘキサノンで全面リンスし、その上にポリマー膜3に相当するポリマー膜用のポリマー溶液を回転塗布した。ポリマー膜用のポリマー溶液は、トルエンに溶かし、回転数2000rpmで塗布した。塗布後に110℃で90秒間ベークして、シリコンウエハー上に自己組織化単分子膜2に相当するCSBPの自己組織化単分子膜を形成し、さらにポリマー膜3に相当するポリマー膜を積層したものを得た。
【0089】
ポリマー膜用のポリマーとして、Polymer Source社から購入したポリスチレン(PS)のP1071−St、P8007−S、P8096−Sをそれぞれ用いた。P1071−St、P8007−S、P8096−Sは、数平均分子量(Mn)がそれぞれ、115900、30000、8000、分散度(Mw/Mn)が1.04、1.07、1.06PS部分の全体分子量に対する割合(f(PS))が0.59である。P1071−St、P8007−S、P8096−Sを用いたポリマー溶液の濃度は、いずれも1.0wt%とした。
【0090】
次に、作製したポリマー膜を、ArFエキシマーレーザーにより露光量490mJ/cm2で露光した。露光後に、シクロヘキサノンでシリコンウエハー全面をリンスしてポリマー表面層4に相当するポリマー表面層を得た。
【0091】
次いで、作製したポリマー表面層上にフォトレジスト6に相当するフォトレジストを回転塗布した。フォトレジストは、JSR株式会社から購入したAR1687を用いた。そのフォトレジストをArFエキシマーレーザーでパターン露光した。ここで、ハーフピッチ100、95、90、85、80、75、70、65nmのラインアンドスペース(1:1)パターンをそれぞれ転写した。露光量は25.5mJ/cm2で露光した。露光後、多摩化学株式会社から購入した2.38%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(AD−10)で現像してハーフピッチ100、95、90、85、80、75、70、65nmのラインアンドスペース(1:1)パターンをそれぞれフォトレジストに形成した。
【0092】
フォトレジストをパターニングした後、誘導結合型反応性エッチング装置(ICP−RIE)でO2プラズマエッチングを行なった。Coil PowerとPlaten Powerはそれぞれ10、10Wで2分間行い、フォトレジストをマスクとしてポリマー表面層をパターン除去した。その後、シクロヘキサノンで1分間リンスして、フォトレジストを除去して、ハーフピッチ100、95、90、85、80、75、70、65nmのラインアンドスペース(1:1)パターンをそれぞれポリマー表面層に形成した。
【0093】
別途、ブロックコポリマーの溶液を調製した。ブロックコポリマーとして、Polymer Source社から購入したポリスチレン(PS)とポリメチルメタクリレート(PMMA)のブロック共重合体(PS−b−PMMA)であるP189−SMMAを用いた。P189−SMMAは、PSブロックとPMMAブロックの数平均分子量(Mn)が86500であり、分散度(Mw/Mn)が1.08である。PS部分の全体分子量に対する割合(f(PS))が0.54である。
【0094】
ブロックコポリマーのポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液を2.0wt%の濃度で調整し、ポリマー表面層上に回転数2000rpmで回転塗布し、ホットプレート上において110℃で90秒間ベークしてポリマーアロイ5に相当するブロックコポリマーを形成した。
【0095】
次いで、窒素雰囲気下でアニール処理することにより、ブロックコポリマーをポリスチレンのブロック鎖からなるPS相とポリメチルメタクリレートのブロック鎖からなるPMMA相に相分離させた。それぞれのサンプル表面の500nm×500nm(500nm□)の領域を、原子間力顕微鏡(Nanoscope III)により、カンチレバーにシリコンチップ[NCH−50]を使用し、タッピングモードで測定して、得られた位相像からラメラ状のミクロドメイン構造のパターン配向性を評価した。
【0096】
その結果、P1071−St、P8007−S、P8096−Sのいずれのポリマーを用いた場合も、ブロックコポリマーにハーフピッチ25nmのパターン配向したラメラ状のミクロ相分離構造が形成されることが確認された。
【0097】
また、ハーフピッチ100、95、90、85、80、75、70、65nmのラインアンドスペース(1:1)パターンを有するポリマー表面層上のブロックコポリマーのうち、ハーフピッチ75nmのラインアンドスペースパターンを有するポリマー表面層上に形成されたハーフピッチ25nmのラインアンドスペースパターンを有するブロックコポリマーの垂直配向性が最も高いことが確認された。
【0098】
さらに、得られた相分離構造を有するブロックコポリマーにO2ガスを用いたRIEを施すことにより、PS相よりもエッチング速度が速いPMMA相を選択的に除去することができた。
【0099】
また、得られた相分離構造を有するブロックコポリマーをイソプロピルアルコール(IPA)とメチルイソブチルケトン(MIBK)の1:1混合溶液に浸すことにより、PS相よりも溶解速度が速いPMMA相を選択的に除去することができる。
【0100】
〔第3の実施の形態〕
第3の実施の形態は、ポリマー表面層4のパターン形成方法において第2の実施の形態と異なる。なお、各部材の材料や製造方法等、第1、2の実施の形態と同様の点については、説明を省略または簡略化する。
【0101】
図4(a)、(b)は、第3の実施の形態に係るポリマーアロイのパターン形成方法を示す斜視図である。
【0102】
まず、図1A(a)、(b)に示されるポリマー膜3を形成するまでの工程を第1の実施の形態と同様に行う。
【0103】
次に、図4(a)に示すように、高エネルギー線を用いてポリマー膜3およびその下の自己組織化単分子膜2をパターン露光し、高エネルギー線の照射された領域のポリマー膜3と自己組織化単分子膜2を化学結合(架橋)させ、自己組織化単分子膜2上にポリマー表面層4を形成する。すなわち、高エネルギー線を基板1上の一部の領域(パターン領域)に照射し、その一部の領域のポリマー膜3と自己組織化単分子膜2を選択的に化学結合させてポリマー表面層4を形成する。なお、ポリマー表面層4を形成した後、ポリマー表面層4上のポリマー膜3の自己組織化単分子膜2に化学結合しなかった部分を除去してもよい。
【0104】
次に、図4(b)に示すように、ポリマー表面層4を残して、ポリマー膜3を選択的に除去する。
【0105】
その後、ポリマーアロイ5を形成する工程以降の工程を第2の実施の形態と同様に行う。
【0106】
ポリマーアロイ5の第1の相5aと第2の相5bの本来のパターン周期がパターニングされたポリマー表面層4のパターン周期よりも小さい場合は、図3(a)に示すように、ポリマー表面層4の1つのラインおよび自己組織化単分子膜2の1つのスペース上に複数のポリマーアロイ5の相が形成される。この場合、ポリマーアロイ5の相分離構造のパターンの周期を、ポリマー膜3と自己組織化単分子膜2のパターン露光に用いた高エネルギー線の分解能の限界によるポリマー表面層4のパターンの最小周期よりも小さくすることができる。
【0107】
その後、図3(b)に示すように、ポリマーアロイ5の第1の相5aと第2の相5bのうちのいずれか一方を選択的に除去すれば、高エネルギー線の分解能の限界を超える微細なラインアンドスペースパターンを有するマスクを得ることができる。
【0108】
(実施の形態の効果)
第1〜3の実施の形態によれば、ポリマーアロイを自己組織化単分子膜上にポリマー表面層を介して形成することにより、配向性の高い相分離構造のパターンを短時間でポリマーアロイに形成することができる。また、相分離構造の一部の相を選択的に除去することにより、ポリマーアロイを微細なパターンを有するエッチングマスクとして用いることができる。
【0109】
本発明は、第1〜3の実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。また、第1〜3の実施の形態に示されるパターン形成方法の工程順序は、上述したものに限定されない。
【符号の説明】
【0110】
1 基板、 2 自己組織化単分子膜、 3 ポリマー膜、 4 ポリマー表面層、 5 ポリマーアロイ、 5a 第1の相、 5b 第2の相、 6 フォトレジスト
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、パターン形成方法及びポリマーアロイ下地材料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LSIをはじめとする半導体デバイスの製造プロセスでは、リソグラフィーによる微細加工技術が採用されている。今後、さらに微細な加工が要求されることは確実であり、リソグラフィーにおける光源の短波長化およびレジストの高性能化が進められている。しかし、これらの対策による解像度の向上は困難になってきている。
【0003】
これに対して、ブロックコポリマーの相分離構造を利用する微細加工技術が着目されている。この微細加工技術では、ブロックコポリマーの相分離構造を規則的に並べることが要求される。ブロックコポリマーの相分離構造を規則的に並べるために、以下のような方法が提案されている。
【0004】
たとえば、基板上に自己組織化単分子膜(self−assembled monolayer、SAM)を形成し、その上にフォトレジストを塗布してリソグラフィーによりラインアンドスペースのレジストパターンを形成し、レジストパターンをマスクとして酸素雰囲気でX線を選択的に照射してSAMの一部を化学修飾し、レジストパターンを除去し、SAM上にブロックコポリマーを塗布してアニールすることにより、ブロックコポリマーのミクロ相分離パターンを形成する方法が知られている。
【0005】
また、基板上にSAMを形成し、干渉露光によりSAMの一部を選択的に露光して化学修飾されたドットパターンを形成し、SAM上にブロックコポリマーを塗布してアニールすることにより、ブロックコポリマーのミクロ相分離パターンを形成する方法が知られている。
【0006】
しかし、これらのSAMを用いる方法は、SAMの被覆率がばらつきやすく、SAMを形成する分子の化学ポテンシャルが限定されることから、SAMの表面自由エネルギーの制御性が悪く、ブロックコポリマーのミクロ相分離パターンの配向をそろえるのが不安定である問題を含んでいる。
【0007】
また一方で、基板上にポリマーブラシと呼ばれる高分子化合物から成る単分子膜を長時間、加熱処理することにより形成し、その上にフォトレジストを塗布してリソグラフィーによりラインアンドスペースのレジストパターンを形成し、レジストパターンをマスクとして酸素雰囲気でX線を選択的に照射してポリマーブラシの一部を除去し、レジストパターンを除去し、ポリマーブラシ上にブロックコポリマーを塗布してアニールすることにより、ブロックコポリマーのミクロ相分離パターンを形成する方法が知られている。
【0008】
さらに、基板上にポリマーブラシを形成し、その上に電子線レジストを塗布してリソグラフィーによりドットパターンを形成し、電子線レジストのドットパターンをマスクとして酸素プラズマを照射してポリマーブラシの一部を除去し、レジストパターンを除去し、SAM上にブロックコポリマーを塗布してアニールすることにより、ブロックコポリマーのミクロ相分離パターンを形成する方法が知られている。この方法では、ブロックコポリマーのドットパターンのドットピッチが、電子線レジストに形成したドットパターンのドットピッチよりも狭くなりうることが開示されている。
【0009】
これらのポリマーブラシを用いる方法は、ポリマーが表面に広がって単分子膜を形成するため、シランカップリング剤から成るSAMより表面自由エネルギーの制御が安定的に行うことができるが、ポリマーブラシ形成時にポリマー末端のヒドロキシ基がSi基板表面と化学反応を十分に起こす必要があり、ポリマーが熱分解しない程度の温度でSi近傍にヒドロキシ基が十分に拡散し、化学反応に要する活性化エネルギーを十分に越える熱エネルギーを与える必要があるため、長時間の加熱処理を要し、半導体デバイスなどの微細加工技術として実用的でない。
【0010】
また、基板にベンゾフェノン骨格を有するシランカップリング剤のSAMを形成し、その上にポリマーを積層して、光照射すると、SAMに接触している界面部のポリマー層がベンゾフェノンと架橋反応を起こし、ポリマーが溶解しやすい有機溶剤でリンスしてもその界面部が残る現象が報告されているが、ブロックコポリマーのミクロ相分離パターンの配向を揃える材料として考えられておらず、その有効性は見出されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,746,825号明細書
【特許文献2】米国特許第7,521,090号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】S. O. Kim et al., Nature, Vol.424, pp.411-414 (2003)
【非特許文献2】E. W. Edwards et al., Adv. Mater, vol.16, pp.1315-1319(2004)
【非特許文献3】R. Ruiz et al., Science, Vol. 321, pp. 936-939 (2008)
【非特許文献4】O. Prucker et al., J. Am. Chem. Soc., Vol. 121, pp. 8766-8770 (1999)
【非特許文献5】A. M. Welander et al., Macromolecules, 41, 2759-2761, (2008)
【非特許文献6】K. Asakawa et al., APS March Meeting, (2000)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、ポリマーアロイに配向性の高い相分離構造のパターンを短時間で形成することのできるパターン形成方法及びポリマーアロイ下地材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一実施の形態によれば、パターン形成方法は、基板上に自己組織化単分子膜とポリマー膜を積層する工程と、エネルギー線を照射することにより前記ポリマー膜と前記自己組織化単分子膜を化学結合させ、ポリマー表面層を前記自己組織化単分子膜上に形成する工程と、相分離構造のパターンを有するポリマーアロイを前記ポリマー表面層上に形成する工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】(a)〜(c)は、第1の実施の形態に係るポリマーアロイのパターン形成方法を示す斜視図。
【図1B】(d)、(e)は、第1の実施の形態に係るポリマーアロイのパターン形成方法を示す斜視図。
【図2A】(a)〜(c)は、第2の実施の形態に係るポリマーアロイのパターン形成方法を示す斜視図。
【図2B】(d)、(e)は、第2の実施の形態に係るポリマーアロイのパターン形成方法を示す斜視図。
【図3】(a)、(b)は、第2の実施の形態に係るポリマーアロイのパターン形成方法を示す斜視図。
【図4】(a)、(b)は、第3の実施の形態に係るポリマーアロイのパターン形成方法を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔第1の実施の形態〕
図1A(a)〜(c)、図1B(d)、(e)は、第1の実施の形態に係るポリマーアロイのパターン形成方法を示す斜視図である。
【0017】
まず、図1A(a)に示すように、基板1上に自己組織化単分子膜2を形成する。
【0018】
基板1として、シリコンウエハー、ドーピングされたシリコンウエハー、表面に絶縁層または電極もしくは配線となる金属層が形成されたシリコンウエハー、マスクブランク、GaAs、AlGaAsなどのIII−V族化合物半導体ウエハーを用いることができる。また、クロムまたは酸化クロム蒸着基板、アルミニウム蒸着基板、IBSPGコート基板、スピンオングラス(SOG)コート基板、SiNコート基板を用いることもできる。特に、基板1は、自己組織化単分子膜2の形成しやすさの観点から、表面に多くのヒドロキシ基を有することが好ましい。
【0019】
自己組織化単分子膜2は、シリコン基板上に形成された金属や金属酸化物の表面のヒドロキシ基と反応しやすい材料、例えばシランカップリング剤を含む材料、からなることが好ましい。
【0020】
また、自己組織化単分子膜2は、紫外線や電子線などのエネルギー線を効率よく吸収し、接触しているポリマーと架橋反応を起こす光重合開始剤、例えば、ベンゾフェノン骨格を有する材料、からなることが好ましい。
【0021】
ベンゾフェノン骨格を有する材料は、例えば、下記の一般式Iaで表される。一般式Ia中のRは、末端にSi−F、Si−Cl、Si−Br、もしくはSi−OH、Si−OCH3、Si−OC2H5、Si−OC3H7を備える直鎖アルキル基であり、アルキル鎖の中にエーテル結合などを有してもよい。
【化1】
【0022】
一般式Iaで表される材料は、ベンゾフェノン骨格を含んでいるのでエネルギー線を効率よく吸収し、ベンゾフェノンのカルボニル基のn軌道の電子がπ*軌道に励起され、接触するポリマーのアルキル鎖と反応する。接触するポリマーのアルキル鎖は、第3級炭素が最も反応しやすい。このため、エネルギー線の照射により、一般式Iaで表される材料からなる自己組織化単分子膜2とポリマーを架橋させることができる。
【0023】
さらに、自己組織化単分子膜2の材料は、一般式Iaで表される材料のうち、合成が簡便で、コストが安いものが好ましい。このような材料として、例えば、下記の一般式Ibで表されるベンゾフェノン骨格を含むシランカップリング剤を用いることができる。
【化2】
【0024】
自己組織化単分子膜2を形成する方法としては、スピンコーティング、ディップコーティング、気相成長、ドクターブレード法、カーテンコーティングなどを用いることができる。なお、自己組織化単分子膜2を形成する前に、基板1の表面に付着した有機不純物を除去するために、基板1への紫外線照射などの前処理を行うことが好ましい。
【0025】
自己組織化単分子膜2の形成にスピンコーティングを用いる場合、自己組織化単分子膜2の材料を溶剤で希釈するかまたは原液のまま基板1上にスピンコートし、必要に応じてホットプレートなどの上でベークして自己組織化単分子膜2を形成する。なお、単分子膜を超えて基板1に吸着されている余分な自己組織化単分子膜2の材料は洗い流される。
【0026】
スピンコーティングにおいて、自己組織化単分子膜2の材料を溶剤で希釈する濃度は1〜30wt%が好ましいが、特に限定されない。基板1に対する塗れ広がりの程度に応じてその濃度を調整することが好ましい。
【0027】
用いる溶剤は、自己組織化単分子膜2の材料によっても異なるが、自己組織化単分子膜2の材料と反応を起こさないものが好ましい。このような溶剤として、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナンなどのシクロアルカン類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのアルカン類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどのアルキルアルコール類などを用いることができる。
【0028】
上述した溶剤以外にも、反応性、基板1との濡れ性、揮発性の観点から、一般的なフォトレジストの溶剤に用いられるケトン類、セロソルブ類、およびエステル類といった有機溶媒を用いることもできる。ケトン類としては、シクロヘキサノン、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。セロソルブル類としては、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテートなどが挙げられる。エステル類としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、γ−ブチロラクトン、3−メトキシプロピオン酸メチルが挙げられる。
【0029】
溶剤は、必要に応じて2種以上を組み合わせて用いることができる。基板1の表面の官能基との反応性の観点から脱水溶剤を用いることが好ましい。
【0030】
ホットプレートなどの上でベークするときの温度は、自己組織化単分子膜2の材料が基板1の表面の官能基と化学結合するための活性化エネルギーを超えるエネルギーを発生させるため、100〜200℃が好ましい。
【0031】
単分子膜を超えて基板1に吸着されている余分な自己組織化単分子膜2の材料を洗い流す(リンスする)ときに使用する溶剤は、自己組織化単分子膜2の材料を希釈するときに用いた溶剤と同様のものを用いることが好ましい。
【0032】
自己組織化単分子膜2の形成にディップコーティングを用いる場合、自己組織化単分子膜2の材料を溶剤で希釈し、その希釈溶液中に基板1を一定時間浸漬させて、自己組織化単分子膜2を形成する。
【0033】
ディップコーティングにおいて、自己組織化単分子膜2の材料を溶剤で希釈する濃度は1〜30wt%が好ましい。
【0034】
用いる溶剤は、スピンコーティングで用いる溶剤と同様に、自己組織化単分子膜2の材料と反応を起こさないものが好ましい。このような溶剤として、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナンなどのシクロアルカン類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのアルカン類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどのアルキルアルコール類などを用いることができる。基板1の表面の官能基との反応性の観点から脱水溶剤を用いることが好ましい。
【0035】
浸漬時間は、濃度、反応性などにも依存するが、1〜60分間が好ましい。反応速度の観点から溶液を加熱して基板1を浸漬させてもよい。浸漬温度は、溶剤の沸点以下で、自己組織化単分子膜2の材料が基板1の表面の官能基に反応する前に分解しない温度に設定され、一般的に40〜100℃に調節される。
【0036】
単分子膜を超えて自己組織化単分子膜2に吸着されている余分な自己組織化単分子膜2の材料を洗い流す(リンスする)ときに使用する溶剤は、浸漬に使用した溶剤と同様のものを用いることが好ましい。リンス後に窒素やアルゴンなどの不活性ガスを吹き付けて溶剤を吹き飛ばし、場合によってはホットプレート上で加熱して溶剤を除去することが好ましい。
【0037】
自己組織化単分子膜2の形成に気相成長を用いる場合、気圧を下げるか温度を上げるかまたはその両方によって自己組織化単分子膜2の材料を気体状態とし、その中へ基板1を導入し、一定時間曝露して基板1の表面に自己組織化単分子膜2を形成する。
【0038】
気相成長では、自己組織化単分子膜2の材料を気体状態にするために、その材料の蒸気圧特性に応じて、気圧を下げるか温度を上げるかまたはその両方を行う。用いる単分子膜形成材料の沸点に依存するが、材料の安定性の観点から、減圧して気体状態に変わるまで温度を上げることが好ましい。気体状態の単自己組織化単分子膜2の材料が存在する空間に基板1を入れるかまたは予め入れておき、1〜5時間基板1の表面を曝露することが好ましい。
【0039】
基板1を曝露した後、必要に応じて、単分子膜を超えて基板1に吸着されている余分な自己組織化単分子膜2の材料を溶剤で洗い流してもよい。この溶剤として、上述したスピンコーティングにおいて用いられる溶剤と同じものを用いることが好ましい。
【0040】
次に、図1A(b)に示すように、自己組織化単分子膜2上にポリマー膜3を形成する。
【0041】
ポリマー膜3の材料としては、高エネルギー線の照射により自己組織化単分子膜2と化学結合し、かつその表面上に形成されるポリマーアロイのミクロ相分離構造の配向を整えるために適した表面エネルギーを有するものを用いる。
【0042】
次に、図1A(c)に示すように、基板1上に高エネルギー線を照射し、ポリマー膜3を自己組織化単分子膜2に化学結合(架橋)させ、ポリマー表面層4を自己組織化単分子膜2上に形成する。なお、ポリマー表面層4を形成した後、ポリマー表面層4上のポリマー膜3の自己組織化単分子膜2に化学結合しなかった部分を除去してもよい。
【0043】
自己組織化単分子膜2に照射されるエネルギー線は、自己組織化単分子膜2の材料が感度をもつ波長を有するものであれば特に限定されない。具体的には、紫外線、水銀ランプのi線、h線またはg線、キセノンランプ光、新紫外光(たとえばKrFまたはArFなどのエキシマーレーザー光)、X線、シンクロトロンオービタルラジエーション(SR)、電子線、γ線およびイオンビームなどを用いることができる。
【0044】
次に、図1B(d)に示すように、相分離構造を有するポリマーアロイ5をポリマー表面層4上に形成する。ポリマーアロイ5をポリマー表面層4上に形成することにより、ポリマーアロイ5を自己組織化単分子膜2上に直接形成する場合よりも、ポリマーアロイ5の相分離構造の垂直配向性を高めることができる。
【0045】
ポリマーアロイ5は、例えば、ブロックコポリマー、異種のホモポリマーをブレンドしたポリマー、ホモポリマーとブロックコポリマーをブレンドしたポリマー、またはグラフトコポリマーである。
【0046】
ポリマーアロイ5は、第1の相5aおよび第2の相5bからなる相分離構造を有する。ポリマーアロイ5は、例えば、第1の相5aがポリスチレンのブロック鎖からなり、第2の相5bがポリブタジエンのブロック鎖からなるブロックコポリマー、または第1の相5aがポリスチレンのブロック鎖からなり、第2の相5bがポリメチルメタクリレートのブロック鎖からなるブロックコポリマーである。
【0047】
また、第1の相5aおよび第2の相5bはラメラ構造を構成することが好ましい。なお、ポリマーアロイ5の相分離構造は、3つ以上の相から構成されてもよい。
【0048】
ポリマーアロイ5の形成方法は特に限定されない。たとえば、スピンコーティング、ディップコーティング、ドクターブレード法、カーテンコーティング、その他の方法を用いることができる。ポリマーアロイ5の溶液をポリマー表面層4上に塗布した後、必要に応じて、ホットプレート上で加熱して溶剤を除去してもよい。このときの加熱温度は70〜120℃が好ましい。
【0049】
ポリマーアロイ5を相分離させるには、一般的に、ポリマーアロイ5のガラス転移点温度以上の温度でアニールする。例えば、ブロックコポリマーの相分離速度はアニール温度に対して相関性があることが知られている(例えば、A. M. Welander et al., Macromolecules, 41, 2759-2761, 2008参照)。アニール温度が秩序・無秩序転移温度(ODT)を超えて高くなると、無秩序構造になり、相分離構造が得られない。このため、適度な相分離速度が得られる適度な温度でアニールすることが好ましい。ポリマーアロイ5の分子量や種類にもよるが、アニール温度は130〜280℃であることが好ましい。アニールはオーブンやホットプレートを用いて行う。オーブンを用いる場合には低温で長時間アニールする。ホットプレートを用いる場合には高温で短時間アニールする。
【0050】
なお、酸素などの反応性ガスが微量に存在する雰囲気でアニールする場合、アニール温度が高温になるとポリマーアロイ5が分解することがある。そこで、ポリマーアロイ5の分解を防ぐ観点から、アルゴン、窒素などの不活性ガス雰囲気でアニールすることが好ましい。必要に応じて、約3%の水素を含むフォーミングガス雰囲気でアニールしてもよい。
【0051】
その後、図1B(e)に示すように、ポリマーアロイ5の第1の相5aと第2の相5bのうちのいずれか一方を選択的に除去してもよい。ラメラ構造を構成する第1の相5aと第2の相5bのうちのいずれか一方を選択的に除去することにより、ポリマーアロイ5にラインアンドスペースパターンを形成することができる。なお、ポリマーアロイ5が3つ以上の相から構成される場合は、それらの相のうちの一部の相を除去する。
【0052】
この工程を行う場合、第1の相5aと第2の相5bは、何らかの方法によりいずれか一方を選択的に除去することのできるブロック鎖からなることが求められる。例えば、ポリスチレンのブロック鎖からなる相とポリブタジエンのブロック鎖からなる相を有するブロックコポリマーにオゾン処理を施すことにより、ポリブタジエンのブロック鎖からなる相を選択的に除去できることが知られている。また、ポリスチレンのブロック鎖からなる相とポリメチルメタクリレートのブロック鎖からなる相を有するブロックコポリマーにO2、CF4などの反応性ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)を施すことにより、ポリメチルメタクリレートのブロック鎖からなる相を選択的に除去できることが知られている(例えば、K. Asakawa et al., APS March Meeting, 2000を参照)。
【0053】
そのため、例えば、ポリマーアロイ5が、第1の相5aがポリスチレンのブロック鎖からなり、第2の相5bがポリブタジエンのブロック鎖からなるブロックコポリマーである場合は、オゾン処理により第2の相5bを選択的に除去し、第1の相5aのみを残すことができる。また、ポリマーアロイ5が、第1の相5aがポリスチレンのブロック鎖からなり、第2の相5bがポリメチルメタクリレートのブロック鎖からなるブロックコポリマーである場合は、O2、CF4などの反応性ガスを用いたRIEにより第2の相5bを選択的に除去し、第1の相5aのみを残すことができる。
【0054】
オゾン処理やRIEを施す方法以外に、熱処理またはウェットエッチングを施す方法を用いることができる。主鎖がエネルギー線の照射により切断されるポリマー鎖とエネルギー線に対して難分解性のポリマー鎖とを有するブロックコポリマーをパターン形成材料として用いた場合において、膜に光、もしくは電子線を照射してミクロ相分離構造を構成する1つのポリマー相の主鎖を切断した後、加熱により揮発させるか、ウェットエッチングすることによりそのポリマー相を選択的に除去する。
【0055】
また、ウェットエッチングを用いる方法では、処理を行う前にエネルギー線を照射しなくても、第1の相5aと第2の相5bの一方を選択的に除去できる現像液を用いると、第1の相5aと第2の相5bの一方を選択的に除去することができる。
【0056】
現像液は、有機現像液であっても水性現像液(アルカリ現像液)であってもよい。有機現像液としては、メタノール、エタノール、およびイソプロパノールなどのアルコール類、シクロヘキサノン、アセトン、エチルメチルケトン、およびメチルイソブチルケトンなどのケトン類、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、およびブチルセロソルブアセテートなどセロソルブ類、および酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、γ−ブチロラクトン、および3−メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類といった有機溶媒が挙げられる。上述したような溶剤は、必要に応じて2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0057】
水性現像液としては、有機アルカリ水溶液および無機アルカリ水溶液のいずれを用いてもよい。有機アルカリ水溶液としては、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、およびコリン水溶液などが挙げられ、無機アルカリ水溶液としては、例えば水酸化カリウム水溶液、および水酸化ナトリウム水溶液などが挙げられる。アルカリ現像液の濃度は限定されない。
【0058】
また、これらの現像液には、必要に応じて任意の添加剤を添加することもできる。例えば、界面活性剤を添加して現像液の表面張力を下げたり、中性塩を加えて現像を活性にすることもできる。また、現像液の温度も任意であり、冷水を用いることも温水を用いることもできる。
【0059】
残った第1の相5aは、下地層、すなわち基板1を構成するウエハーや、ウエハー上の金属層または絶縁層、のエッチング用のマスクとして用いることができる。
【0060】
以下に、本実施の形態の具体例を示す。この具体例においては、基板1としてのシリコンウエハー上に自己組織化単分子膜2としてのCSBPの単分子膜を形成し、その上に、ポリマー膜3としてのポリマー膜を形成し、CSBPの単分子膜およびポリマー膜をArFエキシマーレーザーで露光してポリマー表面層4としてのポリマー表面層を形成し、さらにポリマーアロイ5としてのブロックコポリマーのラメラ状のミクロ相分離構造を形成した。
【0061】
まず、市販の4−ヒドロキシベンゾフェノン(39.6g)と炭酸カリウム(28g)を三口フラスコに入れ、アルゴン置換した。次に、脱水アセトン(120ml)を入れ、よく撹拌してアリルブロミド(18.6ml)を加えた。そして60℃で8時間撹拌した。その後、室温に冷まし、純水(80ml)を加えて攪拌し、ジエチルエーテル(100ml)で2回抽出した。10%NaOH水溶液(100ml)で2回抽出洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。エバポレーターにかけ、溶媒を除去して黄白色の残留物を得た。残留物をメタノールから再結晶して吸引ろ過して、真空中で乾燥後、純粋な生成物である4−アリルオキシベンゾフェノン(以下ABPという)を得た(収量43.7g、収率91.9%)。
【0062】
ABPは、下記の化学式で表される。
【化3】
【0063】
次に、得られたABP(2g)と10%Pt−C(10mg)を三口フラスコに入れ、アルゴン置換した。その中へジメチルクロロシラン(20ml)を入れ、撹拌した。40℃で5時間撹拌した。その後、室温まで冷却し、過剰なジメチルクロロシランを真空除去して、残ったオイル状の生成物である4−(3’クロロジメチルシリル)プロピルオキシベンゾフェノン(以下CSBPという)を得た。得られたオイル状の生成物であるCSBPは、使用する際、脱水トルエンに溶かし、触媒をろ過してそのろ液をそのままシリコンウエハーの表面処理溶液として使用した。
【0064】
CSBPは、下記の化学式で表される。
【化4】
【0065】
次に、基板1に相当するシリコンウエハー上にCSBPのトルエン溶液(2.26mM、4ml)を垂らし、トリエチルアミンのトルエン溶液(0.247M、2ml)を続けて垂らして、1分間放置し、回転して溶液を振り切った。その後、シクロヘキサノンで全面リンスし、その上にポリマー膜3に相当するポリマー膜用のポリマー溶液を回転塗布した。ポリマー膜用のポリマー溶液は、トルエンに溶かし、回転数2000rpmで塗布した。塗布後に110℃で90秒間ベークして、シリコンウエハー上に自己組織化単分子膜2に相当するCSBPの自己組織化単分子膜を形成し、さらにポリマー膜3に相当するポリマー膜を積層したものを得た。
【0066】
ポリマー膜用のポリマー溶液は、濃度1wt%に調整した。ポリマー膜用のポリマーとして、Polymer Source社から購入したポリスチレン(PS)とポリメチルメタクリレート(PMMA)のランダム共重合体(PS−r−PMMA)であるP9225−SMMAranを用いた。P9225−SMMAranは、数平均分子量(Mn)が7000、分散度(Mw/Mn)が1.20、PS部分の全体分子量に対する割合(f(PS))が0.59である。
【0067】
次に、作製したポリマー膜を、ArFエキシマーレーザーにより露光量10〜490mJ/cm2で露光した。露光後に、シクロヘキサノンでシリコンウエハー全面をリンスしてポリマー表面層4に相当するポリマー表面層を得た。
【0068】
別途、ブロックコポリマーの溶液を調製した。ブロックコポリマーとして、Polymer Source社から購入したポリスチレン(PS)とポリメチルメタクリレート(PMMA)のブロック共重合体(PS−b−PMMA)であるP189−SMMAを用いた。P189−SMMAは、PSブロックとPMMAブロックの数平均分子量(Mn)が86500であり、分散度(Mw/Mn)が1.08である。PS部分の全体分子量に対する割合(f(PS))が0.54である。
【0069】
ブロックコポリマーのポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液を2.0wt%の濃度で調整し、ポリマー表面層上に回転数2000rpmで回転塗布し、ホットプレート上において110℃で90秒間ベークしてポリマーアロイ5に相当するブロックコポリマーを形成した。
【0070】
次いで、窒素雰囲気下のホットプレートベーカー上において220℃で1分間アニール処理することにより、ブロックコポリマーをポリスチレンのブロック鎖からなるPS相とポリメチルメタクリレートのブロック鎖からなるPMMA相に相分離させた。それぞれのサンプル表面の500nm×500nm(500nm□)の領域を、原子間力顕微鏡(Nanoscope II)により、カンチレバーにシリコンチップ[NCH−50]を使用し、タッピングモードで測定して、得られた位相像からラメラ状のミクロ相分離構造の垂直配向性を評価した。
【0071】
その結果、露光領域全体でバラツキのないラメラ状の垂直配向性を確認でき、観察した領域内において垂直配向性の欠陥がなかった。
【0072】
さらに、得られた相分離構造を有するブロックコポリマーにO2ガスを用いたRIEを施すことにより、PS相よりもエッチング速度が速いPMMA相を選択的に除去することができた。
【0073】
また、得られた相分離構造を有するブロックコポリマーをイソプロピルアルコール(IPA)とメチルイソブチルケトン(MIBK)の1:1混合溶液に浸すことにより、PS相よりも溶解速度が速いPMMA相を選択的に除去することができた。
【0074】
(比較例1)
上記の具体例と同じPSとPMMAのブロックコポリマー(P189−SMMA)の濃度2wt%のPGMEA溶液を作製し、ポリマー表面層を形成せずにシリコンウエハー上に直接回転塗布して、220℃、1分間アニール処理を行なった。しかし、シリコンウエハー上に直接形成したブロックコポリマーには、全くラメラ状の垂直配向性を確認することができなかった。
【0075】
上記の結果から、本実施の形態のパターン形成方法、形成材料は、ブロックコポリマーに対する高い相分離構造の制御性を有していると考えられる。
【0076】
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態は、ポリマー表面層4にパターンを形成した後にポリマーアロイ5を形成する点において第1の実施の形態と異なる。なお、各部材の材料や製造方法等、第1の実施の形態と同様の点については、説明を省略または簡略化する。
【0077】
図2A(a)〜(c)、図2B(d)、(e)は、第2の実施の形態に係るポリマーアロイのパターン形成方法を示す斜視図である。
【0078】
まず、図1A(a)〜(c)に示されるポリマー表面層4を形成するまでの工程を第1の実施の形態と同様に行う。
【0079】
次に、図2A(a)に示すように、ポリマー膜3上にラインアンドスペース等のパターンを有するフォトレジスト6を形成する。
【0080】
次に、図2A(b)に示すように、フォトレジスト6をマスクとして用いてポリマー表面層4をエッチングし、ポリマー表面層4にフォトレジスト6のパターンを転写する。
【0081】
次に、図2A(c)に示すように、フォトレジスト6を除去する。
【0082】
次に、図2B(d)に示すように、相分離構造を有するポリマーアロイ5をポリマー表面層4および露出した自己組織化単分子膜2上に形成する。このとき、ポリマーアロイ5の第1の相5aがポリマー表面層4上に形成され、第2の相5bが露出した自己組織化単分子膜2上に形成される。
【0083】
例えば、第1の相5aのポリマー表面層4に対する接触角が自己組織化単分子膜2に対する接触角よりも小さく、かつ第2の相5bの自己組織化単分子膜2に対する接触角がポリマー表面層4に対する接触角以下である場合、または、第2の相5bの自己組織化単分子膜2に対する接触角がポリマー表面層4に対する接触角よりも小さく、かつ第1の相5aのポリマー表面層4に対する接触角が自己組織化単分子膜2に対する接触角以下である場合、第1の相5aがポリマー表面層4上に形成され、第2の相5bが露出した自己組織化単分子膜2上に形成される。
【0084】
その後、図2B(e)に示すように、ポリマーアロイ5の第1の相5aと第2の相5bのうちのいずれか一方を選択的に除去してもよい。なお、ポリマーアロイ5が3つ以上の相から構成される場合は、それらの相のうちの一部の相を除去する。
【0085】
また、ポリマーアロイ5の第1の相5aと第2の相5bの本来のパターン周期がパターニングされたポリマー表面層4のパターン周期よりも小さい場合は、図3(a)に示すように、ポリマー表面層4の1つのラインおよび自己組織化単分子膜2の1つのスペース上に複数のポリマーアロイ5の相が形成される。この場合、ポリマーアロイ5の相分離構造のパターンの周期を、露光装置の解像度限界によるフォトレジスト6のパターンの最小周期よりも小さくすることができる。
【0086】
その後、図3(b)に示すように、ポリマーアロイ5の第1の相5aと第2の相5bのうちのいずれか一方を選択的に除去すれば、フォトリソグラフィの露光装置の解像度限界を超える微細なラインアンドスペースパターンを有するマスクを得ることができる。
【0087】
以下に、本実施の形態の具体例を示す。この具体例においては、基板1としてのシリコンウエハー上に自己組織化単分子膜2としてのCSBPの単分子膜を形成し、その上に、ポリマー膜3としてのポリマー膜を形成し、CSBPの単分子膜およびポリマー膜をArFエキシマーレーザーで露光してポリマー表面層4としてのポリマー表面層を形成し、さらにフォトレジスト6としてのフォトレジストを積層してArFエキシマーレーザーでパターン露光、現像して、そのレジストパターンを通してO2ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)でポリマー表面層をパターニングして、レジストパターンを剥離後、形成したポリマー表面層のパターン上でポリマーアロイ5としてのブロックコポリマーのラメラ状のミクロ相分離のパターンを形成した。
【0088】
まず、基板1に相当するシリコンウエハー上にCSBPのトルエン溶液(2.26mM、4ml)を垂らし、トリエチルアミンのトルエン溶液(0.247M、2mL)を続けて垂らして、1分間放置し、回転して溶液を振り切った。その後、シクロヘキサノンで全面リンスし、その上にポリマー膜3に相当するポリマー膜用のポリマー溶液を回転塗布した。ポリマー膜用のポリマー溶液は、トルエンに溶かし、回転数2000rpmで塗布した。塗布後に110℃で90秒間ベークして、シリコンウエハー上に自己組織化単分子膜2に相当するCSBPの自己組織化単分子膜を形成し、さらにポリマー膜3に相当するポリマー膜を積層したものを得た。
【0089】
ポリマー膜用のポリマーとして、Polymer Source社から購入したポリスチレン(PS)のP1071−St、P8007−S、P8096−Sをそれぞれ用いた。P1071−St、P8007−S、P8096−Sは、数平均分子量(Mn)がそれぞれ、115900、30000、8000、分散度(Mw/Mn)が1.04、1.07、1.06PS部分の全体分子量に対する割合(f(PS))が0.59である。P1071−St、P8007−S、P8096−Sを用いたポリマー溶液の濃度は、いずれも1.0wt%とした。
【0090】
次に、作製したポリマー膜を、ArFエキシマーレーザーにより露光量490mJ/cm2で露光した。露光後に、シクロヘキサノンでシリコンウエハー全面をリンスしてポリマー表面層4に相当するポリマー表面層を得た。
【0091】
次いで、作製したポリマー表面層上にフォトレジスト6に相当するフォトレジストを回転塗布した。フォトレジストは、JSR株式会社から購入したAR1687を用いた。そのフォトレジストをArFエキシマーレーザーでパターン露光した。ここで、ハーフピッチ100、95、90、85、80、75、70、65nmのラインアンドスペース(1:1)パターンをそれぞれ転写した。露光量は25.5mJ/cm2で露光した。露光後、多摩化学株式会社から購入した2.38%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(AD−10)で現像してハーフピッチ100、95、90、85、80、75、70、65nmのラインアンドスペース(1:1)パターンをそれぞれフォトレジストに形成した。
【0092】
フォトレジストをパターニングした後、誘導結合型反応性エッチング装置(ICP−RIE)でO2プラズマエッチングを行なった。Coil PowerとPlaten Powerはそれぞれ10、10Wで2分間行い、フォトレジストをマスクとしてポリマー表面層をパターン除去した。その後、シクロヘキサノンで1分間リンスして、フォトレジストを除去して、ハーフピッチ100、95、90、85、80、75、70、65nmのラインアンドスペース(1:1)パターンをそれぞれポリマー表面層に形成した。
【0093】
別途、ブロックコポリマーの溶液を調製した。ブロックコポリマーとして、Polymer Source社から購入したポリスチレン(PS)とポリメチルメタクリレート(PMMA)のブロック共重合体(PS−b−PMMA)であるP189−SMMAを用いた。P189−SMMAは、PSブロックとPMMAブロックの数平均分子量(Mn)が86500であり、分散度(Mw/Mn)が1.08である。PS部分の全体分子量に対する割合(f(PS))が0.54である。
【0094】
ブロックコポリマーのポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液を2.0wt%の濃度で調整し、ポリマー表面層上に回転数2000rpmで回転塗布し、ホットプレート上において110℃で90秒間ベークしてポリマーアロイ5に相当するブロックコポリマーを形成した。
【0095】
次いで、窒素雰囲気下でアニール処理することにより、ブロックコポリマーをポリスチレンのブロック鎖からなるPS相とポリメチルメタクリレートのブロック鎖からなるPMMA相に相分離させた。それぞれのサンプル表面の500nm×500nm(500nm□)の領域を、原子間力顕微鏡(Nanoscope III)により、カンチレバーにシリコンチップ[NCH−50]を使用し、タッピングモードで測定して、得られた位相像からラメラ状のミクロドメイン構造のパターン配向性を評価した。
【0096】
その結果、P1071−St、P8007−S、P8096−Sのいずれのポリマーを用いた場合も、ブロックコポリマーにハーフピッチ25nmのパターン配向したラメラ状のミクロ相分離構造が形成されることが確認された。
【0097】
また、ハーフピッチ100、95、90、85、80、75、70、65nmのラインアンドスペース(1:1)パターンを有するポリマー表面層上のブロックコポリマーのうち、ハーフピッチ75nmのラインアンドスペースパターンを有するポリマー表面層上に形成されたハーフピッチ25nmのラインアンドスペースパターンを有するブロックコポリマーの垂直配向性が最も高いことが確認された。
【0098】
さらに、得られた相分離構造を有するブロックコポリマーにO2ガスを用いたRIEを施すことにより、PS相よりもエッチング速度が速いPMMA相を選択的に除去することができた。
【0099】
また、得られた相分離構造を有するブロックコポリマーをイソプロピルアルコール(IPA)とメチルイソブチルケトン(MIBK)の1:1混合溶液に浸すことにより、PS相よりも溶解速度が速いPMMA相を選択的に除去することができる。
【0100】
〔第3の実施の形態〕
第3の実施の形態は、ポリマー表面層4のパターン形成方法において第2の実施の形態と異なる。なお、各部材の材料や製造方法等、第1、2の実施の形態と同様の点については、説明を省略または簡略化する。
【0101】
図4(a)、(b)は、第3の実施の形態に係るポリマーアロイのパターン形成方法を示す斜視図である。
【0102】
まず、図1A(a)、(b)に示されるポリマー膜3を形成するまでの工程を第1の実施の形態と同様に行う。
【0103】
次に、図4(a)に示すように、高エネルギー線を用いてポリマー膜3およびその下の自己組織化単分子膜2をパターン露光し、高エネルギー線の照射された領域のポリマー膜3と自己組織化単分子膜2を化学結合(架橋)させ、自己組織化単分子膜2上にポリマー表面層4を形成する。すなわち、高エネルギー線を基板1上の一部の領域(パターン領域)に照射し、その一部の領域のポリマー膜3と自己組織化単分子膜2を選択的に化学結合させてポリマー表面層4を形成する。なお、ポリマー表面層4を形成した後、ポリマー表面層4上のポリマー膜3の自己組織化単分子膜2に化学結合しなかった部分を除去してもよい。
【0104】
次に、図4(b)に示すように、ポリマー表面層4を残して、ポリマー膜3を選択的に除去する。
【0105】
その後、ポリマーアロイ5を形成する工程以降の工程を第2の実施の形態と同様に行う。
【0106】
ポリマーアロイ5の第1の相5aと第2の相5bの本来のパターン周期がパターニングされたポリマー表面層4のパターン周期よりも小さい場合は、図3(a)に示すように、ポリマー表面層4の1つのラインおよび自己組織化単分子膜2の1つのスペース上に複数のポリマーアロイ5の相が形成される。この場合、ポリマーアロイ5の相分離構造のパターンの周期を、ポリマー膜3と自己組織化単分子膜2のパターン露光に用いた高エネルギー線の分解能の限界によるポリマー表面層4のパターンの最小周期よりも小さくすることができる。
【0107】
その後、図3(b)に示すように、ポリマーアロイ5の第1の相5aと第2の相5bのうちのいずれか一方を選択的に除去すれば、高エネルギー線の分解能の限界を超える微細なラインアンドスペースパターンを有するマスクを得ることができる。
【0108】
(実施の形態の効果)
第1〜3の実施の形態によれば、ポリマーアロイを自己組織化単分子膜上にポリマー表面層を介して形成することにより、配向性の高い相分離構造のパターンを短時間でポリマーアロイに形成することができる。また、相分離構造の一部の相を選択的に除去することにより、ポリマーアロイを微細なパターンを有するエッチングマスクとして用いることができる。
【0109】
本発明は、第1〜3の実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。また、第1〜3の実施の形態に示されるパターン形成方法の工程順序は、上述したものに限定されない。
【符号の説明】
【0110】
1 基板、 2 自己組織化単分子膜、 3 ポリマー膜、 4 ポリマー表面層、 5 ポリマーアロイ、 5a 第1の相、 5b 第2の相、 6 フォトレジスト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に自己組織化単分子膜とポリマー膜を積層する工程と、
エネルギー線を照射することにより前記ポリマー膜と前記自己組織化単分子膜を化学結合させ、ポリマー表面層を前記自己組織化単分子膜上に形成する工程と、
相分離構造のパターンを有するポリマーアロイを前記ポリマー表面層上に形成する工程と、
を含むパターン形成方法。
【請求項2】
前記ポリマー表面層を形成した後、前記ポリマー表面層上の前記ポリマー膜の化学結合しなかった部分を除去する工程をさらに含む、
請求項1に記載されたパターン形成方法。
【請求項3】
前記エネルギー線を前記基板上の一部の領域に選択的に照射し、前記一部の領域のポリマー膜と前記自己組織化単分子膜を選択的に化学結合させて前記ポリマー表面層を形成し、
前記エネルギー線が照射されなかった領域の前記ポリマー膜を除去した後に前記ポリマーアロイを形成する、
請求項1または2に記載されたパターン形成方法。
【請求項4】
前記ポリマーアロイの前記相分離構造は第1および第2の相により構成され、
前記ポリマー表面層上に前記第1の相が形成され、
前記エネルギー線が照射されなかった領域の前記ポリマー膜が除去されることにより露出した前記自己組織化単分子膜の表面上に前記第2の相が形成される、
請求項3に記載されたパターン形成方法。
【請求項5】
前記ポリマー表面層上にフォトレジストを塗布し、紫外線または電子線を用いたパターン露光および現像により前記フォトレジストにパターンを形成する工程と、
前記パターンを形成された前記フォトレジストに覆われていない領域の前記ポリマー表面層をエッチングにより除去し、前記パターンを前記ポリマー表面層に転写する工程と、
前記パターンを前記ポリマー表面層に転写した後、前記フォトレジストを溶剤により除去する工程と、
をさらに含み、
前記前記フォトレジストを除去した後に前記ポリマーアロイを形成する、請求項1または2に記載されたパターン形成方法。
【請求項6】
前記ポリマーアロイの前記相分離構造は第1および第2の相により構成され、
前記ポリマー表面層上に前記第1の相が形成され、
前記フォトレジストに覆われていない前記領域の前記ポリマー表面層が除去されることにより露出した前記自己組織化単分子膜の表面上に前記第2の相が形成される、
請求項5に記載されたパターン形成方法。
【請求項7】
前記相分離構造の一部の相を選択的に除去する工程をさらに含む、
請求項1〜6のいずれか1つに記載されたパターン形成方法。
【請求項8】
前記一部の相は前記相分離構造の他の相よりもエッチング耐性の低いブロック鎖からなる相であり、反応性化学エッチングにより除去される、
請求項7に記載されたパターン形成方法。
【請求項9】
前記一部の相は前記相分離構造の他の相よりも現像液に溶解しやすいブロック鎖からなる相であり、現像液を用いて除去される、
請求項7に記載されたパターン形成方法。
【請求項10】
前記ポリマーアロイは、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、ブレンドポリマーの中の少なくとも1種から構成される、
請求項1〜6のいずれか1つに記載されたパターン形成方法。
【請求項11】
前記ポリマーアロイは、
芳香族骨格、アクリル骨格、および脂環式骨格を有するブロックコポリマー、
芳香族骨格を有するホモポリマー、アクリル骨格を有するホモポリマー、および脂環式骨格を有するホモポリマーの中の少なくとも2つを含むブレンドポリマー、
もしくは芳香族骨格を有するホモポリマー、アクリル骨格を有するホモポリマー、または脂環式骨格を有するホモポリマーと前記ブロックコポリマーとを含むポリマーである、
請求項1〜6のいずれか1つに記載されたパターン形成方法。
【請求項12】
前記自己組織化単分子膜は、光重合開始剤の誘導体からなる、
請求項1〜11のいずれか1つに記載されたパターン形成方法。
【請求項13】
前記自己組織化単分子膜は、下記の一般式1(一般式1中のR1は、アルキルシリル基、シリル基、アルキルハロゲン化シリル基、ハロゲン化シリル基、アルキルチオール基、チオール基、アルキルヒドロキシ基、ヒドロキシ基、アルキルカルボキシル基、またはカルボキシル基であり、アルキル鎖の中に酸素やハロゲンなどを有してもよい)で表される、ベンゾフェノンを構成要素に含む化合物からなる、
請求項12に記載されたパターン形成方法。
【化1】
【請求項14】
前記自己組織化単分子膜は、光重合開始剤とシランカップリング剤の化合物からなる、
請求項12に記載されたパターン形成方法。
【請求項15】
前記自己組織化単分子膜は、下記の一般式2(一般式2中のR2は末端にSi−F、Si−Cl、Si−BrもしくはSi−OH、Si−OCH3、Si−OC2H5、Si−OC3H7を備える直鎖アルキル基であり、アルキル鎖の中にエーテル結合などを有してもよい)で表される、ベンゾフェノンを構成要素に含む化合物からなる、
請求項14に記載されたパターン形成方法。
【化2】
【請求項16】
エネルギー線の照射により自己組織化単分子膜と化学結合する性質を有し、相分離構造を有するポリマーアロイ形成の下地として用いられるポリマーアロイ下地材料。
【請求項17】
エネルギー線の照射によりベンゾフェノンと架橋反応する性質を有し、相分離構造を有するポリマーアロイ形成の下地として用いられるポリマーアロイ下地材料。
【請求項18】
前記ポリマーアロイは、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、ブレンドポリマーの中の少なくとも1種から構成される、
請求項16または17に記載されたポリマーアロイ下地材料。
【請求項1】
基板上に自己組織化単分子膜とポリマー膜を積層する工程と、
エネルギー線を照射することにより前記ポリマー膜と前記自己組織化単分子膜を化学結合させ、ポリマー表面層を前記自己組織化単分子膜上に形成する工程と、
相分離構造のパターンを有するポリマーアロイを前記ポリマー表面層上に形成する工程と、
を含むパターン形成方法。
【請求項2】
前記ポリマー表面層を形成した後、前記ポリマー表面層上の前記ポリマー膜の化学結合しなかった部分を除去する工程をさらに含む、
請求項1に記載されたパターン形成方法。
【請求項3】
前記エネルギー線を前記基板上の一部の領域に選択的に照射し、前記一部の領域のポリマー膜と前記自己組織化単分子膜を選択的に化学結合させて前記ポリマー表面層を形成し、
前記エネルギー線が照射されなかった領域の前記ポリマー膜を除去した後に前記ポリマーアロイを形成する、
請求項1または2に記載されたパターン形成方法。
【請求項4】
前記ポリマーアロイの前記相分離構造は第1および第2の相により構成され、
前記ポリマー表面層上に前記第1の相が形成され、
前記エネルギー線が照射されなかった領域の前記ポリマー膜が除去されることにより露出した前記自己組織化単分子膜の表面上に前記第2の相が形成される、
請求項3に記載されたパターン形成方法。
【請求項5】
前記ポリマー表面層上にフォトレジストを塗布し、紫外線または電子線を用いたパターン露光および現像により前記フォトレジストにパターンを形成する工程と、
前記パターンを形成された前記フォトレジストに覆われていない領域の前記ポリマー表面層をエッチングにより除去し、前記パターンを前記ポリマー表面層に転写する工程と、
前記パターンを前記ポリマー表面層に転写した後、前記フォトレジストを溶剤により除去する工程と、
をさらに含み、
前記前記フォトレジストを除去した後に前記ポリマーアロイを形成する、請求項1または2に記載されたパターン形成方法。
【請求項6】
前記ポリマーアロイの前記相分離構造は第1および第2の相により構成され、
前記ポリマー表面層上に前記第1の相が形成され、
前記フォトレジストに覆われていない前記領域の前記ポリマー表面層が除去されることにより露出した前記自己組織化単分子膜の表面上に前記第2の相が形成される、
請求項5に記載されたパターン形成方法。
【請求項7】
前記相分離構造の一部の相を選択的に除去する工程をさらに含む、
請求項1〜6のいずれか1つに記載されたパターン形成方法。
【請求項8】
前記一部の相は前記相分離構造の他の相よりもエッチング耐性の低いブロック鎖からなる相であり、反応性化学エッチングにより除去される、
請求項7に記載されたパターン形成方法。
【請求項9】
前記一部の相は前記相分離構造の他の相よりも現像液に溶解しやすいブロック鎖からなる相であり、現像液を用いて除去される、
請求項7に記載されたパターン形成方法。
【請求項10】
前記ポリマーアロイは、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、ブレンドポリマーの中の少なくとも1種から構成される、
請求項1〜6のいずれか1つに記載されたパターン形成方法。
【請求項11】
前記ポリマーアロイは、
芳香族骨格、アクリル骨格、および脂環式骨格を有するブロックコポリマー、
芳香族骨格を有するホモポリマー、アクリル骨格を有するホモポリマー、および脂環式骨格を有するホモポリマーの中の少なくとも2つを含むブレンドポリマー、
もしくは芳香族骨格を有するホモポリマー、アクリル骨格を有するホモポリマー、または脂環式骨格を有するホモポリマーと前記ブロックコポリマーとを含むポリマーである、
請求項1〜6のいずれか1つに記載されたパターン形成方法。
【請求項12】
前記自己組織化単分子膜は、光重合開始剤の誘導体からなる、
請求項1〜11のいずれか1つに記載されたパターン形成方法。
【請求項13】
前記自己組織化単分子膜は、下記の一般式1(一般式1中のR1は、アルキルシリル基、シリル基、アルキルハロゲン化シリル基、ハロゲン化シリル基、アルキルチオール基、チオール基、アルキルヒドロキシ基、ヒドロキシ基、アルキルカルボキシル基、またはカルボキシル基であり、アルキル鎖の中に酸素やハロゲンなどを有してもよい)で表される、ベンゾフェノンを構成要素に含む化合物からなる、
請求項12に記載されたパターン形成方法。
【化1】
【請求項14】
前記自己組織化単分子膜は、光重合開始剤とシランカップリング剤の化合物からなる、
請求項12に記載されたパターン形成方法。
【請求項15】
前記自己組織化単分子膜は、下記の一般式2(一般式2中のR2は末端にSi−F、Si−Cl、Si−BrもしくはSi−OH、Si−OCH3、Si−OC2H5、Si−OC3H7を備える直鎖アルキル基であり、アルキル鎖の中にエーテル結合などを有してもよい)で表される、ベンゾフェノンを構成要素に含む化合物からなる、
請求項14に記載されたパターン形成方法。
【化2】
【請求項16】
エネルギー線の照射により自己組織化単分子膜と化学結合する性質を有し、相分離構造を有するポリマーアロイ形成の下地として用いられるポリマーアロイ下地材料。
【請求項17】
エネルギー線の照射によりベンゾフェノンと架橋反応する性質を有し、相分離構造を有するポリマーアロイ形成の下地として用いられるポリマーアロイ下地材料。
【請求項18】
前記ポリマーアロイは、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、ブレンドポリマーの中の少なくとも1種から構成される、
請求項16または17に記載されたポリマーアロイ下地材料。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2012−33534(P2012−33534A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169279(P2010−169279)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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