説明

パターン形成方法

【解決手段】ヒドロキシナフチル基及び/又はヒドロキシアセナフチレンを有する繰り返し単位と酸によりアルカリ溶解性が向上する繰り返し単位とを共重合してなる高分子化合物を含む第1のポジ型レジスト材料で基板上に第1のレジスト膜を形成し、加熱処理後に上記レジスト膜を露光、現像し、その後高エネルギー線照射により第1のレジスト膜を架橋硬化させ、その上に第2のポジ型レジスト材料を基板上に塗布して第2のレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線で上記第2のレジスト膜を露光、現像する工程を有するパターン形成方法。
【効果】本発明によれば、第1のポジ型レジスト材料を用い第1パターンを形成後、波長200nmを超え320nm以下の高エネルギー線による架橋反応によりアルカリ現像液とレジスト溶液に不溶化する。その上に第2のレジスト材料で第2パターンを形成することでパターン間のピッチを半分にするダブルパターニングを行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に1回目の露光でパターンを形成し、極短波長光や電子線(EB)の照射によって1回目に形成されたパターンを有機溶媒やアルカリ水溶液に不溶にすることによって、1回目の露光で形成されたパターンのスペース部分に2回目の露光でラインパターンを形成して、パターン間の距離を縮小する方法として有効なパターン形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、現在汎用技術として用いられている光露光では、光源の波長に由来する本質的な解像度の限界に近づきつつある。レジストパターン形成の際に使用する露光光として、1980年代には水銀灯のg線(436nm)もしくはi線(365nm)を光源とする光露光が広く用いられた。更なる微細化のための手段として、露光波長を短波長化する方法が有効とされ、1990年代の64Mビット(加工寸法が0.25μm以下)DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)以降の量産プロセスには、露光光源としてi線(365nm)に代わって短波長のKrFエキシマレーザー(248nm)が利用された。しかし、更に微細な加工技術(加工寸法が0.2μm以下)を必要とする集積度256M及び1G以上のDRAMの製造には、より短波長の光源が必要とされ、10年ほど前からArFエキシマレーザー(193nm)を用いたフォトリソグラフィーが本格的に検討されてきた。当初ArFリソグラフィーは180nmノードのデバイス作製から適用されるはずであったが、KrFエキシマリソグラフィーは130nmノードデバイス量産まで延命され、ArFリソグラフィーの本格適用は90nmノードからである。更に、NAを0.9にまで高めたレンズと組み合わせて65nmノードデバイスの検討が行われている。次の45nmノードデバイスには露光波長の短波長化が推し進められ、波長157nmのF2リソグラフィーが候補に挙がった。しかしながら、投影レンズに高価なCaF2単結晶を大量に用いることによるスキャナーのコストアップ、ソフトペリクルの耐久性が極めて低いためのハードペリクル導入に伴う光学系の変更、レジスト膜のエッチング耐性低下等の種々問題により、F2リソグラフィーの先送りと、ArF液浸リソグラフィーの早期導入が提唱された(非特許文献1:Proc. SPIE Vol. 4690 xxix (2002))。
【0003】
ArF液浸リソグラフィーにおいて、投影レンズとウエハーの間に水を含浸させることが提案されている。193nmにおける水の屈折率は1.44であり、NA(開口数)1.0以上のレンズを使ってもパターン形成が可能で、理論上はNAを1.44近くにまで上げることができる。当初、水温変化に伴う屈折率変化による解像性の劣化やフォーカスのシフトが指摘された。水温を1/100℃以内にコントロールすることと、露光によるレジスト膜からの発熱による影響もほぼ心配ないことが確認され、屈折率変化の問題が解決された。水中のマイクロバブルがパターン転写されることも危惧されたが、水の脱気を十分に行うことと、露光によるレジスト膜からのバブル発生の心配がないことが確認された。1980年代の液浸リソグラフィーの初期段階では、ステージを全て水に浸ける方式が提案されていたが、高速スキャナーの動作に対応するために投影レンズとウエハーの間のみに水を挿入し、水の給排水ノズルを備えたパーシャルフィル方式が採用された。水を用いた液浸によって原理的にはNAが1以上のレンズ設計が可能になったが、従来の屈折率系による光学系では巨大なレンズになってしまい、レンズが自身の自重によって変形してしまう問題が生じた。よりコンパクトなレンズ設計のために反射屈折(Catadioptric)光学系が提案され、NA1.0以上のレンズ設計が加速された。NA1.2以上のレンズと強い超解像技術の組み合わせで45nmノードの可能性が示され(非特許文献2:Proc. SPIE Vol. 5040 p724 (2003))、更にはNA1.35のレンズの開発も行われている。
【0004】
32nmノードのリソグラフィー技術としては、波長13.5nmの真空紫外光(EUV)リソグラフィーが候補に挙げられている。EUVリソグラフィーの問題点としてはレーザーの高出力化、レジスト膜の高感度化、高解像度化、低ラインエッジラフネス(LWR)化、無欠陥MoSi積層マスク、反射ミラーの低収差化などが挙げられ、克服すべき問題が山積している。
【0005】
NA1.35レンズを使った水液浸リソグラフィーの最高NAで到達できる解像度は40〜38nmであり、32nmには到達できない。そこで更にNAを高めるための高屈折率材料の開発が行われている。レンズのNAの限界を決めるのは投影レンズ、液体、レジスト膜の中で最小の屈折率である。水液浸の場合、投影レンズ(合成石英で屈折率1.5)、レジスト膜(従来のメタクリレート系で屈折率1.7)に比べて水の屈折率が最も低く、水の屈折率によって投影レンズのNAが決まっていた。最近、屈折率1.65の高透明な液体が開発されてきている。この場合、合成石英による投影レンズの屈折率が最も低く、屈折率の高い投影レンズ材料を開発する必要がある。LUAG(Lu3Al512)は屈折率が2以上であり、最も期待される材料ではあるが、複屈折率と吸収が大きい問題を持っている。また、屈折率1.8以上の投影レンズ材料が開発されたとしても屈折率1.65の液体ではNAは1.55止まりであり、32nmを解像できない。32nmを解像するには屈折率1.8以上の液体が必要である。今のところ吸収と屈折率がトレードオフの関係にあり、このような材料は未だ見つかっていない。アルカン系化合物の場合、屈折率を上げるためには直鎖状よりは有橋環式化合物の方が好ましいが、環式化合物は粘度が高いために露光装置ステージの高速スキャンに追随できない問題もはらんでいる。また、屈折率1.8の液体が開発された場合、屈折率の最小がレジスト膜になるために、レジスト膜も1.8以上に高屈折率化する必要がある。
【0006】
ここで最近注目を浴びているのは1回目の露光と現像でパターンを形成し、2回目の露光で1回目のパターンの丁度間にパターンを形成するダブルパターニングプロセスである(非特許文献3:Proc. SPIE Vol. 5992 59921Q−1−16)。ダブルパターニングの方法としては多くのプロセスが提案されている。例えば、1回目の露光と現像でラインとスペースが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクを加工し、その上にハードマスクをもう1層敷いて1回目の露光のスペース部分にフォトレジスト膜の露光と現像でラインパターンを形成してハードマスクをドライエッチングで加工して初めのパターンのピッチの半分のラインアンドスペースパターンを形成する方法である。また、1回目の露光と現像でスペースとラインが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクをドライエッチングで加工し、その上にフォトレジスト膜を塗布してハードマスクが残っている部分に2回目のスペースパターンを露光しハードマスクをドライエッチングで加工する。いずれも2回のドライエッチングでハードマスクを加工する。
【0007】
前述の方法では、ハードマスクを2回敷く必要があり、後者の方法ではハードマスクが1層で済むが、ラインパターンに比べて解像が困難なトレンチパターンを形成する必要がある。後者の方法では、トレンチパターンの形成にネガ型レジスト材料を使う方法がある。これだとポジパターンでラインを形成するのと同じ高コントラストの光を用いることができるが、ポジ型レジスト材料に比べてネガ型レジスト材料の方が溶解コントラストが低いために、ポジ型レジスト材料でラインを形成する場合に比較してネガ型レジスト材料で同じ寸法のトレンチパターンを形成した場合を比較するとネガ型レジスト材料を使った方が解像性が低い。後者の方法で、ポジ型レジスト材料を用いて広いトレンチパターンを形成してから、基板を加熱してトレンチパターンをシュリンクさせるサーマルフロー法や、現像後のトレンチパターンの上に水溶性膜をコートしてから加熱してレジスト膜表面を架橋させることによってトレンチをシュリンクさせるRELACS法を適用させることも考えられるが、プロキシミティーバイアスが劣化するという欠点やプロセスが更に煩雑化し、スループットが低下する欠点が生じる。
【0008】
前者、後者の方法においても、基板加工のエッチングは2回必要なため、スループットの低下と2回のエッチングによるパターンの変形や位置ずれが生じる問題がある。
【0009】
エッチングを1回で済ませるために、1回目の露光でネガ型レジスト材料を用い、2回目の露光でポジ型レジスト材料を用いる方法がある。1回目の露光でポジ型レジスト材料を用い、2回目の露光でポジ型レジスト材料が溶解しない炭素4以上の高級アルコールに溶解させたネガ型レジスト材料を用いる方法もある。これらの場合、解像性が低いネガ型レジスト材料を使うと解像性の劣化が生じる。
【0010】
1回目の露光と2回目の露光の間にPEB(Post Exposure Bake)、現像を行わない方法は、最もシンプルな方法である。この場合、1回目の露光を行い、位置をずらしたパターンが描画されたマスクに交換して2回目の露光を行い、PEB、現像、ドライエッチングを行う。1回の露光毎にマスクを交換するとスループットが非常に低下するので、ある程度まとめて1回目の露光を行った後に2回目の露光を行う。そうすると、1回目の露光と2回目の露光の間の放置時間によっては酸の拡散による寸法変動やT−top形状発生などの形状の変化が生じる。T−topの発生を抑えるためにはレジスト保護膜の適用は効果的である。液浸用レジスト保護膜を適用することによって、2回の露光と1回のPEB、現像、ドライエッチングを行うプロセスを行うことができる。2台のスキャナーを並べて1回目の露光と2回目の露光を連続して行うこともできる。この場合は2台のスキャナー間のレンズの収差によって生じる位置ずれや、スキャナーコストが倍になる問題が生じる。
1回目の露光の隣にハーフピッチだけずらした位置に2回目の露光を行うと、1回目と2回目のエネルギーが相殺されて、コントラストが0になる。レジスト膜上にコントラスト増強膜(CEL)を適用すると、レジストに入射する光が非線形となり、1回目と2回目の光が相殺せず、ピッチが半分の像が形成される(非特許文献4:Jpn. J. Appl. Phy. Vol. 33(1994) p6874−6877)。また、レジストの酸発生剤として2光子吸収の酸発生剤を用いて非線形なコントラストを生み出すことによって同様の効果を生み出すことが期待される。
【0011】
ダブルパターニングにおいて最もクリティカルな問題となるのは、1回目のパターンと2回目のパターンの合わせ精度である。位置ずれの大きさがラインの寸法のバラツキとなるために、例えば32nmのラインを10%の精度で形成しようとすると3.2nm以内の合わせ精度が必要となる。現状のスキャナーの合わせ精度が8nm程度であるので、大幅な精度の向上が必要である。
トランジスタ微細化の進行に伴って電気を蓄えるキャパシタの容量を確保することが難しくなってきた。平面だったキャパシタが、現在では縦型となり、トレンチ型とスタック型どちらにおいてもかなりアスペクトの高い縦型のキャパシタが形成されている。キャパシタは平面的にも面積を稼ぐ必要があるため、円形よりも四角形の方が好ましい。ところが、リソグラフィーの1回の露光で四角い穴を空けることは難しい。光の干渉の影響でコーナー部分が丸くなってしまう問題が生じる。
直交する2つのラインを組み合わせて四角いキャパシタコンタクトパターンを形成しようとする試みは従来からも行われてきた。1回目の露光と現像で形成されたラインを、光やイオンの打ち込みで不溶化させ、その上にもう一度レジストを塗布し、1回目のラインの直上に直交するラインを2回目の露光と現像によって作成する方法が提案されている。
【0012】
光照射によってフォトレジスト膜を改質する技術は、従来からよく知られており、特にエッチング耐性の向上のために検討された。例えば、特許文献1:特開平5−102029号公報ではホットプレートでフォトレジスト膜が塗布された基板を加熱しながら真空中で短波長の光を照射する方法、特許文献2〜5:特開平5−190444号公報、特開平9−63921号公報、特開2000−331910号公報、特開2003−158057号公報には光照射装置が提案されている。特許文献6:特開2005−189842号公報には、現像後のフォトレジスト現像中に光架橋性硬化助剤を含む溶液を塗布し、短波長の光照射によってフォトレジスト膜を疎水性化してレジストのパターン倒れを防止する方法が提案されている。
【0013】
ノボラック樹脂や、ポリヒドロキシスチレンを波長200nm以下の短波長光で照射すると、架橋が進行して有機溶媒やアルカリ現像液に不溶になる現象はよく知られている。フェノール性のヒドロキシ基が短波長光の照射によって架橋反応を引き起こすと考えられている。前記照射装置による短波長光源の照射によって、フェノール性のヒドロキシ基を有するi線レジスト、KrFレジストの現像後のパターンを架橋することによってエッチング耐性を向上している。
【0014】
ここで、ナフタレン環は波長193nmの吸収が小さい芳香族であり、ヒドロキシビニルナフタレン共重合ポリマー、ナフトールメタクリレート共重合ポリマー、ヒドロキシアセナフチレンをベースとしたArFレジスト材料が提案されている(特許文献7〜10:特開2004−163877号公報、特許第3829913号公報、特開2007−114728号公報、特許第3796568号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平5−102029号公報
【特許文献2】特開平5−190444号公報
【特許文献3】特開平9−63921号公報
【特許文献4】特開2000−331910号公報
【特許文献5】特開2003−158057号公報
【特許文献6】特開2005−189842号公報
【特許文献7】特開2004−163877号公報
【特許文献8】特許第3829913号公報
【特許文献9】特開2007−114728号公報
【特許文献10】特許第3796568号公報
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Proc. SPIE Vol. 4690 xxix (2002)
【非特許文献2】Proc. SPIE Vol. 5040 p724 (2003)
【非特許文献3】Proc. SPIE Vol. 5992 59921Q−1−16
【非特許文献4】Jpn. J. Appl. Phy. Vol. 33(1994) p6874−6877
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上述したように、2回の露光と現像により作製したレジストパターンを、2回のドライエッチングで基板加工を行おうとすると、スループットが半分に低下する。また、ドライエッチングによるパターンの位置ずれの問題が生じる。
【0018】
本発明は、上記事情を改善したもので、1回のドライエッチングで基板を加工するダブルパターニングプロセスを可能にするためのパターン形成方法、即ち、ヒドロキシナフチル基を有する高分子化合物をベースとする1回目のレジストパターン(1回目のレジスト膜)を、波長200nmを超え320nm以下の極短波長光の照射により硬化させ、1回目と2回目のレジスト膜のミキシングと2回目の現像時に1回目のレジストパターンが現像液に溶解しないためのパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するために、本発明によれば、1回目のレジストパターン形成後のスペース部分に2回目のレジスト膜を塗布してパターンを形成するパターン形成方法において、下記に示される方法が有効であることを知見した。
【0020】
即ち、本発明は、下記のパターン形成方法を提供する。
請求項1:
ヒドロキシナフチル基及び/又はヒドロキシアセナフチレンを有する繰り返し単位と酸によってアルカリ溶解性が向上する繰り返し単位とを共重合してなる高分子化合物を含む第1のポジ型レジスト材料を基板上に塗布して第1のレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後に現像液を用いて上記レジスト膜を現像し、その後波長200nmを超え320nm以下の高エネルギー線の照射によって第1のレジスト膜を架橋硬化させ、その上に第2のポジ型レジスト材料を基板上に塗布して第2のレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線で上記第2のレジスト膜を露光し、加熱処理後に現像液を用いて第2のレジスト膜を現像する工程を有することを特徴とするパターン形成方法。
請求項2:
ヒドロキシナフチル基及び/又はヒドロキシアセナフチレンを有する繰り返し単位と酸によってアルカリ溶解性が向上する繰り返し単位とを共重合してなる高分子化合物を含む第1のポジ型レジスト材料を基板上に塗布して第1のレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後に現像液を用いて上記レジスト膜を現像し、その後波長200nmを超え320nm以下の高エネルギー線の照射と加熱によって第1のレジスト膜を架橋硬化させ、その上に第2のポジ型レジスト材料を基板上に塗布して第2のレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線で上記第2のレジスト膜を露光し、加熱処理後に現像液を用いて第2のレジスト膜を現像する工程を有することを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
請求項3:
ヒドロキシナフチル基及び/又はヒドロキシアセナフチレンを有する繰り返し単位と酸によってアルカリ溶解性が向上する繰り返し単位とを共重合してなる高分子化合物を含む第1のポジ型レジスト材料を基板上に塗布して第1のレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後に現像液を用いて上記レジスト膜を現像し、その後加熱し、次いで波長200nmを超え320nm以下の高エネルギー線を照射して第1のレジスト膜を架橋硬化し、その上に第2のポジ型レジスト材料を基板上に塗布して第2のレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線で上記第2のレジスト膜を露光し、加熱処理後に現像液を用いて第2のレジスト膜を現像する工程を有することを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
請求項4:
現像によって形成した第1のレジストパターンの架橋に用いる波長200nmを超え320nm以下の高エネルギー線が、波長206nmのKrBrエキシマ光、波長222nmのKrClエキシマ光、波長248nmのKrFエキシマ光、波長283nmのXeBrエキシマ光、波長308nmのXeClエキシマ光、又は波長254nmを含む低圧水銀灯、高圧水銀灯もしくはメタルハライドランプから放射される光であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のパターン形成方法。
請求項5:
第1のレジストパターン及び第2のレジストパターンを形成するための露光が、波長193nmのArFエキシマレーザーによる屈折率1.4以上の液体をレンズとウエハーの間に浸漬した液浸リソグラフィーであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のパターン形成方法。
請求項6:
屈折率1.4以上の液体が水であることを特徴とする請求項5記載のパターン形成方法。
請求項7:
第1のパターンのスペース部分に第2のパターンを形成することによってパターン間を縮小することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のパターン形成方法。
請求項8:
第1のパターンと交わる第2のパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のパターン形成方法。
請求項9:
第1のパターンのパターンが形成されていないスペース部分に第1のパターンと異なる方向に第2のパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のパターン形成方法。
請求項10:
ヒドロキシナフチル基及び/又はヒドロキシアセナフチレンを有する繰り返し単位と酸によってアルカリ溶解性が向上する繰り返し単位とを共重合してなる高分子化合物が、下記一般式(1)に示される繰り返し単位(a1)及び/又は(a2)と繰り返し単位(b)を有するものであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【化1】


(式中、R1、R2は同一又は異種の水素原子又はメチル基を示す。Xは単結合、又は−C(=O)−O−であり、Yは単結合、又は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基で、エステル基又はエーテル基を有していてもよい。m、nは1又は2であり、R3は酸不安定基を示す。a1、a2、bは0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0<b<1.0、0<a1+a2<1.0、0<a1+a2+b≦1.0の範囲である。)
請求項11:
ヒドロキシナフチル基及び/又はヒドロキシアセナフチレンを有する繰り返し単位と酸によってアルカリ溶解性が向上する繰り返し単位とを共重合してなる高分子化合物が、下記一般式(2)に示される繰り返し単位(a1)、(a2)、(b)、(c1)、(c2)を有するものであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【化2】


(式中、R1、R2、R4、R9は同一又は異種の水素原子又はメチル基を示す。Xは単結合、又は−C(=O)−O−であり、Yは単結合、又は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基で、エステル基又はエーテル基を有していてもよい。m、nは1又は2であり、R3は酸不安定基を示す。R5、R10は単結合、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよいが、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基の場合、式中のエステル基に連結した炭素原子は1級又は2級である。R6、R7、R8、R11、R12、R13、R14は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基である。a1、a2、b、c1、c2は0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0<a1+a2<1.0、0<b<1.0、0≦c1<1.0、0≦c2<1.0、0<c1+c2<1.0、0<a1+a2+b+c1+c2≦1.0の範囲である。)
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、第1のポジ型レジスト材料を用い、露光と現像による第1のパターンを形成後、波長200nmを超え320nm以下の高エネルギー線、特には波長206nmのKrBrエキシマ光、波長222nmのKrClエキシマ光、波長248nmのKrFエキシマ光、波長283nmのXeBrエキシマ光、波長308nmのXeClエキシマ光、又は波長254nmを含む低圧水銀灯、高圧水銀灯もしくはメタルハライドランプから放射される光から選ばれ、これによる架橋反応によってアルカリ現像液とレジスト溶液に不溶化する。その上に更に第2のレジスト材料を塗布し、露光現像することにより、第1のパターンのスペース部分に第2のパターンを形成することによってパターンとパターンのピッチを半分にするダブルパターニングを行い、一度のドライエッチングによって基板を加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来のダブルパターニング方法の一例を説明する断面図であり、Aは、基板上に被加工基板、ハードマスク、レジスト膜を形成した状態、Bは、レジスト膜を露光、現像した状態、Cは、ハードマスクをエッチングした状態、Dは、第2のレジスト膜を形成後、このレジスト膜を露光、現像した状態、Eは、被加工基板をエッチングした状態を示す。
【図2】従来のダブルパターニング方法の他の例を説明する断面図であり、Aは、基板上に被加工基板、第1及び第2のハードマスク、レジスト膜を形成した状態、Bは、レジスト膜を露光、現像した状態、Cは、第2のハードマスクをエッチングした状態、Dは、第1のレジスト膜を除去して第2のレジスト膜を形成後、このレジスト膜を露光、現像した状態、Eは、第1のハードマスクをエッチングした状態、Fは、被加工基板をエッチングした状態を示す。
【図3】従来のダブルパターニング方法の別の例を説明する断面図であり、Aは、基板上に被加工基板、ハードマスク、レジスト膜を形成した状態、Bは、レジスト膜を露光、現像した状態、Cは、ハードマスクをエッチングした状態、Dは、第1のレジスト膜を除去して第2のレジスト膜を形成後、このレジスト膜を露光、現像した状態、Eは、更にハードマスクをエッチングした状態、Fは、被加工基板をエッチングした状態を示す。
【図4】本発明のダブルパターニング方法の一例を説明する断面図であり、Aは、基板上に被加工基板、ハードマスク、レジスト膜を形成した状態、Bは、レジスト膜を露光、現像した状態、Cは、レジスト膜を架橋した状態、Dは、第2のレジスト膜を形成後、このレジスト膜を露光、現像した状態、Eは、ハードマスクをエッチングした状態、Fは、被加工基板をエッチングした状態を示す。
【図5】本発明のダブルパターニング方法の一例を説明する上空図であり、Aは、第1のパターンを形成した状態、Bは、第1のパターン形成後、第1のパターンと交わる第2のパターンをした状態を示す。
【図6】本発明のダブルパターニング方法の別の例を説明する上空図であり、Aは、第1のパターンを形成した状態、Bは、第1のパターン形成後、第1のパターンと離れた第2のパターンを形成した状態を示す。
【図7】本発明のレジスト1の波長150〜320nmの屈折率を示すグラフである。
【図8】比較例レジスト1の波長150〜320nmの屈折率を示すグラフである。
【図9】ダブルパターニング評価(1)で評価したレジストパターンの平面図である。
【図10】ダブルパターニング評価(2)で評価したレジストパターンの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明者らは、2回の露光と現像によって半分のピッチのパターンを得るダブルパターニングリソグラフィーにおいて、1回のドライエッチングによって基板を加工するためのポジ型レジスト材料を得るために鋭意検討を行った。
【0024】
即ち、本発明者らは、第1のポジ型レジスト材料を用い、露光と現像によって第1のパターンを形成後、波長200nmを超え320nm以下の高エネルギー線による架橋、特に波長206nmのKrBrエキシマ光、波長222nmのKrClエキシマ光、波長248nmのKrFエキシマ光、波長283nmのXeBrエキシマ光、波長308nmのXeClエキシマ光、又は波長254nmを含む低圧水銀灯、高圧水銀灯もしくはメタルハライドランプから放射される光の照射による架橋反応によって第1のパターンをアルカリ現像液やレジスト溶媒に不溶化させ、その上に更に第2のレジスト材料を塗布し、露光現像することにより、第1のパターンのスペース部分に第2のパターンを形成することによってパターンとパターンのピッチを半分にするダブルパターニングを行い、一度のドライエッチングによって基板を加工することが可能であることを見出し、本発明を完成させたものである。
【0025】
また、前記第1及び第2のポジ型レジスト材料は、化学増幅ポジ型レジスト材料であることが好ましく、更に少なくとも酸不安定基を有する繰り返し単位、更にヒドロキシナフチル基及び/又はヒドロキシアセナフチレンを有する繰り返し単位を有するベース樹脂を含むものであることが好ましい。
【0026】
波長200nm以下の照射によって、フェノール化合物が架橋、硬化することはよく知られている。しかしながら、クレゾールノボラックやポリヒドロキシスチレンは、パターンを形成するための波長193nmのArFエキシマレーザーに極めて強い吸収を持つために、第1のパターンを形成することができない。ここで、ナフトールはフェノール性のヒドロキシ基を有するために波長200nm以下の照射による架橋を促進させる。また、ナフトールは波長193nmにおける吸収がそれほど大きくないために、ナフトール即ちヒドロキシナフチル基及び/又はヒドロキシアセナフチレンを密着性基として有する高分子化合物をベースとするレジスト材料は、ArFエキシマレーザーリソグラフィーにおいてパターン形成が可能である。
波長200nm以下、特には波長180nm以下の光の照射を大気中で行うとオゾンが発生する。フォトレジスト膜にオゾンが接触するとフォトレジスト膜が酸化され、最終的には二酸化炭素と水に分解されてしまうために膜減りが生じてしまう。オゾンの発生を防ぐためには、酸素の濃度を10ppm以下にする必要があり、このため窒素、ヘリウム、アルゴン、クリプトンなどの不活性ガスで置換する。ウエハーを1枚毎不活性ガスで置換することはスループットの低下につながるため好ましいことではない。
上記の通り、波長200nmを超える波長の光の照射によってフェノールがカップリングにより架橋することは一般的には考えられない。ところが、我々は、ヒドロキシナフタレンを有する材料が、波長200nmを超える波長の光を照射することによって架橋反応が進行することを見出した。照射ナフタレンは共役が長波長側にシフトしているため、240nm付近に吸収最大が存在する。強い吸収が存在する波長帯の光を照射すると架橋反応が効率よく進行すると考えられる。
【0027】
7−オキサノルボルナン環は、酸と熱による架橋反応によって膜を硬化させる性質を有する。ヒドロキシナフチル基及び/又はヒドロキシアセナフチレンの光照射による硬化反応と、光照射によって発生した酸と熱による7−オキサノルボルナン環の架橋反応を組み合わせることによって、より強固で溶媒とアルカリ現像液に不溶な膜を形成することができる。
【0028】
このような化学増幅ポジ型レジスト材料であれば、ベース樹脂がヒドロキシナフチル基及び/又はヒドロキシアセナフチレンの密着性基を有する繰り返し単位を含むことで、基板との高い密着性を実現できる。更に、ベース樹脂が酸不安定基を有する繰り返し単位を有することで、露光時に酸発生剤が発生する酸により酸不安定基を脱離させて、レジスト露光部を現像液に溶解させるように変換することにより、極めて高精度なパターンを得ることができる。
【0029】
本発明に係るパターン形成方法に用いられる第1のポジ型レジスト材料におけるベース樹脂としての高分子化合物としては、密着性基としてヒドロキシナフチル基及び/又はヒドロキシアセナフチレンを有する繰り返し単位を有するもの、特にヒドロキシナフチル基を有するものが好ましい。
【0030】
ヒドロキシナフチル基としては、下記繰り返し単位(a1)で示される。
【化3】


(式中、R1は同一又は異種の水素原子又はメチル基を示す。Xは単結合、又は−C(=O)−O−であり、Yは単結合、又は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基で、エステル基(−COO−)又はエーテル基(−O−)を有していてもよい。mは1又は2である。)
【0031】
ここで、炭素数1〜6のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、シクロペンチレン基、n−ヘキシレン基、シクロヘキシレン基が挙げられる。
【0032】
(a1)で示される繰り返し単位を得るためのモノマーとしては、下記Ma1で示される。ここで、R1、X、Y、mは前述と同じである。
【化4】

【0033】
Ma1としては、具体的には下記に例示することができる。
【化5】

【0034】
【化6】

【0035】
【化7】

【0036】
ヒドロキシアセナフチレンとしては、下記繰り返し単位(a2)で示される。
【化8】

(式中、nは1又は2である。)
【0037】
(a2)で示される繰り返し単位を得るためのモノマーとしては、下記Ma2で示される。ここで、nは前述と同じである。
【化9】

【0038】
Ma2としては、具体的には下記に例示することができる。
【化10】

【0039】
Ma1、Ma2のモノマーは、重合時にヒドロキシ基をアセタールや、ホルミル基、アセチル基、ピバロイル基などで置換したものを用いることもできる。重合後にアセタールの場合は繰り返し単位(b)の酸不安定基が脱離しないようなシュウ酸などの弱酸で加水分解し、ホルミル基、アセチル基、ピバロイル基等の場合はアルカリ加水分解することによってヒドロキシ基にすることができる。
【0040】
また、第1のポジ型レジスト材料におけるベース樹脂としての高分子化合物としては、前記一般式(1)に示される繰り返し単位(a1)及び/又は(a2)に加えて、酸不安定基を有する繰り返し単位(b)を有することが好ましい。
【化11】


(式中、R2は水素原子又はメチル基を示す。R3は酸不安定基である。)
【0041】
一般式(1)に示される酸不安定基を有する繰り返し単位(b)を得るためのモノマーとしては、下記Mbで示される。ここで、R2、R3は前述と同じである。
【化12】

【0042】
繰り返し単位(b)中、R3で示される酸不安定基は種々選定されるが、特に下記式(AL−10)、(AL−11)で示される基、下記式(AL−12)で示される3級アルキル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等が挙げられる。
【0043】
【化13】

【0044】
式(AL−10)、(AL−11)において、R51、R54は炭素数1〜40、特に1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の一価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよい。R52、R53は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の一価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよく、a5は0〜10の整数である。R52とR53、R52とR54、R53とR54はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子と共に炭素数3〜20、特に4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
55、R56、R57はそれぞれ炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の一価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよい。あるいはR55とR56、R55とR57、R56とR57はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20、特に4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
【0045】
式(AL−10)に示される化合物を具体的に例示すると、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等、また下記一般式(AL−10)−1〜(AL−10)−10で示される置換基が挙げられる。
【0046】
【化14】

【0047】
式(AL−10)−1〜(AL−10)−10中、R58は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。R59は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R60は炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。a5は上記の通りである。
【0048】
前記式(AL−11)で示されるアセタール化合物を(AL−11)−1〜(AL−11)−34に例示する。
【0049】
【化15】

【0050】
【化16】

【0051】
また、一般式(AL−11a)あるいは(AL−11b)で表される酸不安定基によってベース樹脂が分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【0052】
【化17】

【0053】
上記式中、R61、R62は水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、R61とR62は結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合にはR61、R62は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R63は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、b5、d5は0又は1〜10、好ましくは0又は1〜5の整数、c5は1〜7の整数である。Aは、(c5+1)価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基はO、S、N等のヘテロ原子を介在してもよく、又はその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。
【0054】
この場合、好ましくはAは2〜4価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルカントリイル基、アルカンテトライル基、炭素数6〜30のアリーレン基であり、これらの基はO、S、N等のヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。また、c5は好ましくは1〜3の整数である。
【0055】
一般式(AL−11a)、(AL−11b)で示される架橋型アセタール基は、具体的には下記式(AL−11)−35〜(AL−11)−42のものが挙げられる。
【0056】
【化18】

【0057】
次に、前記式(AL−12)に示される3級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、tert−アミル基等、あるいは下記一般式(AL−12)−1〜(AL−12)−16を挙げることができる。
【0058】
【化19】

【0059】
上記式中、R64は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。R65、R67は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R66は炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。
【0060】
更に、下記式(AL−12)−17、(AL−12)−18に示すように、2価以上のアルキレン基、又はアリーレン基であるR68を含んで、ポリマーの分子内あるいは分子間が架橋されていてもよい。式(AL−12)−17、(AL−12)−18のR64は前述と同様、R68は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、又はアリーレン基を示し、酸素原子や硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含んでいてもよい。b6は1〜3の整数である。
【0061】
【化20】

【0062】
更に、R64、R65、R66、R67は酸素、窒素、硫黄などのヘテロ原子を有していてもよく、具体的には下記式(AL−13)−1〜(AL−13)−7に示すことができる。
【0063】
【化21】

【0064】
特に、上記式(AL−12)の酸不安定基としては、下記式(AL−12)−19に示されるエキソ体構造を有するものが好ましい。
【化22】


(式中、R69は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示す。R70〜R75及びR78、R79はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよいアルキル基等の1価の炭化水素基を示し、R76、R77は水素原子を示す。あるいは、R70とR71、R72とR74、R72とR75、R73とR75、R73とR79、R74とR78、R76とR77又はR77とR78は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよく、その場合には炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよいアルキレン基等の2価の炭化水素基を示す。またR70とR79、R76とR79又はR72とR74は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい。また、本式により、鏡像体も表す。)
【0065】
ここで、一般式(AL−12)−19に示すエキソ体構造を有する下記繰り返し単位
【化23】


を得るためのエステル体のモノマーとしては、特開2000−327633号公報に示されている。具体的には下記に示すものを挙げることができるが、これらに限定されることはない。なお、R111、R112は、互いに独立に、水素原子、メチル基、−COOCH3、−CH2COOCH3等を示す。
【0066】
【化24】

【0067】
更に、上記式(AL−12)の酸不安定基としては、下記式(AL−12)−20に示されるフランジイル、テトラヒドロフランジイル又はオキサノルボルナンジイルを有する酸不安定基を挙げることができる。
【0068】
【化25】


(式中、R80、R81はそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基を示す。又は、R80、R81は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20の脂肪族炭化水素環を形成してもよい。R82はフランジイル、テトラヒドロフランジイル又はオキサノルボルナンジイルから選ばれる2価の基を示す。R83は水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基を示す。)
【0069】
フランジイル、テトラヒドロフランジイル又はオキサノルボルナンジイルを有する酸不安定基で置換された繰り返し単位
【化26】


を得るためのモノマーとしては、下記に例示される。なお、R112は上記の通りである。また、下記式中Meはメチル基、Acはアセチル基を示す。
【0070】
【化27】

【0071】
上記第1のポジ型レジスト材料におけるベース樹脂としての高分子化合物は、更に下記(c1)又は(c2)で示される7−オキサノルボルナン環を有する繰り返し単位を有することが好ましい。
【化28】


(式中、R4、R9は水素原子又はメチル基を示す。R5、R10は単結合、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよいが、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基の場合、式中のエステル基に連結した炭素原子は1級又は2級である。R6、R7、R8、R11、R12、R13、R14は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基である。)
【0072】
7−オキサノルボルナン環を有する繰り返し単位を得るためのモノマーとしては、下記Mc1、Mc2で示される。ここで、R4〜R14は前述と同じである。
【化29】

【0073】
Mc1、Mc2としては、具体的には下記に例示することができる。
【化30】

【0074】
以上のことから、第1のポジ型レジスト材料は、ベース樹脂として、下記一般式(1)に示される繰り返し単位(a1)、(a2)、(b)を有する高分子化合物、特に下記一般式(2)に示される繰り返し単位(a1)、(a2)、(b)、(c1)、(c2)を有する高分子化合物が好ましい。
【0075】
【化31】


(式中、R1、R2、X、Y、m、n、R3は上記の通り。a1、a2、bは0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0<b<1.0、0<a1+a2<1.0、0<a1+a2+b≦1.0の範囲である。)
【0076】
【化32】


(式中、R1〜R14、X、Y、m、nは上記の通り。a1、a2、b、c1、c2は0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0<a1+a2<1.0、0<b<1.0、0≦c1<1.0、0≦c2<1.0、0<c1+c2<1.0、0<a1+a2+b+c1+c2≦1.0の範囲である。)
【0077】
本発明のパターン形成方法に用いられる高分子化合物は、一般式(1)に示される繰り返し単位(a1)、(a2)の内の少なくとも1つの繰り返し単位と繰り返し単位(b)と繰り返し単位(c1)及び/又は(c2)とを有することが好ましいが、更にはヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、ラクトン環、カルボニル基、カルボン酸無水物基等の密着性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位(d)を共重合させてもよい。
【0078】
繰り返し単位(d)のモノマー単位は下記に例示される。
【化33】

【0079】
【化34】

【0080】
【化35】

【0081】
【化36】

【0082】
【化37】

【0083】
【化38】

【0084】
【化39】

【0085】
【化40】

【0086】
上記繰り返し単位(a1)、(a2)、(b)、(c1)、(c2)、(d)において、これら繰り返し単位の比率は、0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0<a1+a2<1.0、0<b<1.0、0≦c1<1.0、0≦c2<1.0、0≦d<1.0で、0<a1+a2+b+c1+c2+d≦1.0であり、この場合、特に好適には0.02≦a1+a2≦0.8、0<c1+c2<1.0である。また、0<a1+a2+b+c1+c2≦1.0である。
好ましくは0≦a1≦0.8、0≦a2≦0.8、0.02≦a1+a2≦0.8、0.1≦b≦0.8、0≦c1≦0.8、0≦c2≦0.8、0≦d≦0.8で、0.2≦a1+a2+b+c1+c2+d≦1.0であり、この場合、特に好適には0.1≦c1+c2≦0.8で、0.3≦a1+a2+b+c1+c2+d≦1.0である。
より好ましくは0≦a1≦0.7、0≦a2≦0.7、0.05≦a1+a2≦0.7、0.12≦b≦0.7、0≦c1≦0.7、0≦c2≦0.7、0≦d≦0.7で、0.3≦a1+a2+b+c1+c2+d≦1.0であり、この場合、特に好適には0.2≦c1+c2≦0.7で、0.5≦a1+a2+b+c1+c2+d≦1.0である。
【0087】
なお、a1+a2+b+c1+c2+d=1.0であることが好ましい。ここで、例えばa1+a2+b+c1+c2=1とは、繰り返し単位a1+a2、b、c1、c2を含む高分子化合物において、繰り返し単位a1+a2、b、c1、c2の合計量が全繰り返し単位の合計量に対して100モル%であることを示し、a1+a2+b+c1+c2<1とは、繰り返し単位a1、a2、b、c1、c2の合計量が全繰り返し単位の合計量に対して100モル%未満でa1、a2、b、c1、c2以外に他の繰り返し単位dを有していることを示す。
【0088】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジストのベースポリマーとなる高分子化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,000〜500,000、特に2,000〜30,000であることが好ましい。重量平均分子量が小さすぎるとレジスト材料現像後の熱架橋における架橋効率が低下するものとなり、大きすぎるとアルカリ溶解性が低下し、パターン形成後に裾引き現象が生じ易くなる可能性がある。
【0089】
更に、本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト材料のベースポリマーとなる高分子化合物においては、分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在するために露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりするおそれがある。それ故、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト材料を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
また、組成比率や分子量分布や分子量が異なる2つ以上のポリマーをブレンドすることも可能である。
【0090】
これら高分子化合物を合成するには、1つの方法としては繰り返し単位(a1)、(a2)、(b)、(c1)、(c2)、(d)を得るための不飽和結合を有するモノマーを有機溶剤中、ラジカル開始剤を加え加熱重合を行う方法があり、これにより高分子化合物を得ることができる。重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が例示できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、好ましくは50〜80℃に加熱して重合できる。反応時間としては2〜100時間、好ましくは5〜20時間である。酸不安定基は、モノマーに導入されたものをそのまま用いてもよいし、酸不安定基を酸触媒によって一旦脱離し、その後保護化あるいは部分保護化してもよい。なお、上記ベース樹脂を構成する高分子化合物は1種に限らず2種以上を添加することができる。複数種の高分子化合物を用いることにより、レジスト材料の性能を調整することができる。
【0091】
本発明のパターン形成方法に用いる化学増幅ポジ型レジスト材料を機能させるために酸発生剤を含んでもよく、例えば、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)を含有してもよい。光酸発生剤の成分としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでも構わない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等がある。これらは単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
酸発生剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0122]〜[0142]に記載されている。
【0092】
本発明のレジスト材料は、更に、有機溶剤、塩基性化合物、溶解制御剤、界面活性剤、アセチレンアルコール類のいずれか一つ以上を含有することができる。
有機溶媒の具体例としては特開2008−111103号公報の段落[0144]〜[0145]、塩基性化合物としては段落[0146]〜[0164]、界面活性剤は段落[0165]〜[0166]、溶解制御剤としては特開2008−122932号公報の段落[0155]〜[0178]、アセチレンアルコール類は段落[0179]〜[0182]に記載されている。特開2008−239918号公報記載のポリマー型のクエンチャーを添加することもできる。このものは、コート後のレジスト表面に配向することによってパターン後のレジストの矩形性を高める。ポリマー型クエンチャーは、液浸露光用の保護膜を適用したときのパターンの膜減りやパターントップのラウンディングを防止する効果もある。
【0093】
なお、上記成分の配合量は、公知の配合量範囲とすることができる。
例えば、酸発生剤の添加量は、ベース樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部、特に0.1〜10質量部とすることができ、有機溶剤はベース樹脂100質量部に対して200〜3,000質量部、特に400〜2,500質量部とすることができ、塩基性化合物はベース樹脂100質量部に対して0.001〜4質量部、特に0.01〜2質量部とすることができる。
【0094】
ここで、ダブルパターニングについて説明すると、図1〜3は従来のダブルパターニング方法を示す。
図1に示すダブルパターニング方法1において、基板10上の被加工基板20上にフォトレジスト膜30を塗布、形成する。フォトレジストパターンのパターン倒れ防止のため、フォトレジスト膜の薄膜化が進行しており、それに伴うエッチング耐性の低下を補うためにハードマスクを用いて被加工基板を加工する方法が行われている。ここで、図1に示すダブルパターニング方法としては、フォトレジスト膜30と被加工基板20の間にハードマスク40を敷く積層膜である(図1−A)。ダブルパターニング方法において、ハードマスクは必ずしも必須ではないし、ハードマスクの代わりにカーボン膜による下層膜と珪素含有中間膜を敷いても構わないし、ハードマスクとフォトレジスト膜との間に有機反射防止膜を敷いても構わない。ハードマスクとしては、SiO2、SiN、SiON、p−Siなどが用いられる。また、ダブルパターニング方法1において、用いるレジスト材料はポジ型レジスト材料である。この方法においては、上記レジスト膜30を露光、現像し(図1−B)、次いでハードマスク40をドライエッチングし(図1−C)、フォトレジスト膜を剥離後、2回目のフォトレジスト膜50を塗布、形成し、露光、現像を行う(図1−D)。次に、被加工基板20をドライエッチングする(図1−E)が、ハードマスクパターンと、2回目のフォトレジストパターンをマスクにしてエッチングするために、ハードマスク40とフォトレジスト膜50のエッチング耐性の違いにより被加工基板のエッチング後のパターン寸法にずれが生じる。
【0095】
前記問題を解決するために、図2に示すダブルパターニング方法2では、ハードマスクを2層敷き、1回目のレジストパターンで上層のハードマスク42を加工し、2回目のレジストパターンで下層のハードマスク41を加工し、2つのハードマスクパターンを用いて被加工基板をドライエッチングする。第1ハードマスク41と第2ハードマスク42のエッチング選択比が高いことが必要であり、かなり複雑なプロセスになる。
【0096】
図3に示すダブルパターニング方法3は、トレンチパターンを用いる方法である。これならばハードマスクは1層で済む。しかしながら、ラインパターンに比べてトレンチパターンは光のコントラストが低いために、現像後のパターンの解像が難しく、マージンが狭い欠点がある。広いトレンチパターンを形成してからサーマルフローやRELACS法などでシュリンクさせることも可能であるが、プロセスが煩雑化する。ネガ型レジスト材料を用いれば高い光学コントラストで露光が可能であるが、ネガ型レジスト材料は一般的にポジ型レジスト材料に比べてコントラストが低く、解像性能が低い欠点がある。トレンチプロセスは、1回目のトレンチと2回目のトレンチの位置ずれが、最終的に残るラインの線幅ずれにつながるため、非常に高精度なアライメントが必要である。
いずれにしてもこれまでに挙げられるダブルパターニング方法1〜3は、ハードマスクのエッチングを2回行うことになり、プロセス上の欠点である。
【0097】
これに対し、本発明に係るダブルパターニング方法は、図4に示す通りであり、図1−Aと同様に、基板10上の被加工基板20上にハードマスク40を介して第1のポジ型レジスト材料による第1のフォトレジスト膜30を形成する(図4−A)。次いで、第1のレジスト膜30を露光、現像し(図4−B)、その後波長200nmを超え320nm以下の紫外線の照射によりレジスト膜30を架橋硬化させ、架橋レジスト膜30aを形成する(図4−C)。この場合、波長200nmを超え320nm以下の紫外線照射前に加熱による架橋を更に行うようにしてもよいし、紫外線照射後に加熱による架橋を更に行うようにしてもよい。加熱による架橋は、紫外線照射による架橋と相まってより強固なパターンを形成することができる。加熱温度としては、150℃以上300℃以下、5〜600秒の範囲が好ましい。150℃よりも低い温度では架橋不足のために2回目のパターンを形成するためのレジスト塗布時、あるいは2回目の現像で1回目のパターンが溶解してしまうことがある。300℃を超えると、ポリマー主鎖の分解や熱フローによりパターンが変形することがある。更に、その上に第2のレジスト材料を塗布して第2のレジスト膜50を形成し、露光、現像して、上記第1のレジスト膜30(架橋レジスト膜30a)のパターンのスペース部分に第2のフォトレジスト膜50のパターンを形成する(図4−D)。次に、ハードマスク40をエッチングし(図4−E)、更に被加工基板20をドライエッチングし、上記架橋レジスト膜30a及び第2のレジスト膜50を除去する(図4−F)。
【0098】
図4に示されるのは、第1のパターンの間に第2のパターンを形成する方法であるが、第1のパターンと直交する第2のパターンを形成してもよい(図5)。1回の露光で直交するパターンを形成することもできるが、ダイポール照明と偏光照明を組み合わせればラインパターンのコントラストを非常に高くすることができる。図5−Aに示されるようにY方向のラインをパターニングし、このパターンを本発明の方法で不溶化し、図5−Bに示されるように2回目のレジストを塗布してX方向ラインを形成する。XとYのラインを組み合わせて格子状パターンを形成することによって空いた部分をホールにする。形成するのは直交パターンだけとは限らず、T型パターンもよいし、図6に示されるように離れていてもよい。
【0099】
この場合、基板10としては、シリコン基板が一般的に用いられる。被加工基板20としては、SiO2、SiN、SiON、SiOC、p−Si、α−Si、TiN、WSi、BPSG、SOG、Cr、CrO、CrON、MoSi、低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜が挙げられる。また、ハードマスク40としては、上述した通りである。なお、ハードマスクの代わりにカーボン膜による下層膜と珪素含有中間膜あるいは有機反射防止膜等の中間介在層を形成してもよい。
【0100】
本発明においては、上記被加工基板に直接又は上記ハードマスク等の中間介在層を介して第1のポジ型レジスト材料による第1のレジスト膜を形成するが、第1のレジスト膜の厚さとしては、10〜1,000nm、特に20〜500nmであることが好ましい。このレジスト膜は、露光前に加熱(プリベーク)を行うが、この条件としては60〜180℃、特に70〜150℃で10〜300秒間、特に15〜200秒間行うことが好ましい。
【0101】
次いで、露光を行う。ここで、露光は波長140〜250nmの高エネルギー線、その中でもArFエキシマレーザーによる193nmの露光が最も好ましく用いられる。露光は大気中や窒素気流中のドライ雰囲気でもよいし、水中の液浸露光であってもよい。ArF液浸リソグラフィーにおいては液浸溶媒として純水、又はアルカンなどの屈折率が1以上で露光波長に高透明の液体が用いられる。液浸リソグラフィーでは、プリベーク後のレジスト膜と投影レンズの間に、純水やその他の液体を挿入する。これによってNAが1.0以上のレンズ設計が可能となり、より微細なパターン形成が可能になる。液浸リソグラフィーはArFリソグラフィーを45nmノードまで延命させるための重要な技術である。液浸露光の場合は、レジスト膜上に残った水滴残りを除去するための露光後の純水リンス(ポストソーク)を行ってもよいし、レジスト膜からの溶出物を防ぎ、膜表面の滑水性を上げるために、プリベーク後のレジスト膜上に保護膜を形成させてもよい。液浸リソグラフィーに用いられるレジスト保護膜としては、例えば、水に不溶でアルカリ現像液に溶解する1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物をベースとし、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、及びこれらの混合溶媒に溶解させた材料が好ましい。フォトレジスト膜形成後に、純水リンス(ポストソーク)を行うことによって膜表面からの酸発生剤などの抽出、あるいはパーティクルの洗い流しを行ってもよいし、露光後に膜上に残った水を取り除くためのリンス(ポストソーク)を行ってもよい。
【0102】
露光における露光量は1〜200mJ/cm2程度、好ましくは10〜100mJ/cm2程度となるように露光することが好ましい。次に、ホットプレート上で60〜150℃、1〜5分間、好ましくは80〜120℃、1〜3分間ポストエクスポジュアーベーク(PEB)する。
【0103】
更に、0.1〜5質量%、好ましくは2〜3質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより基板上に目的のパターンが形成される。
【0104】
現像後のレジストパターンの硬化には波長200nmを超え320nm以下の光照射と場合によっては加熱による架橋が必要である。現像後の光照射は波長200nmを超え320nm以下の高エネルギー線、具体的には、波長206nmのKrBrエキシマ光、波長222nmのKrClエキシマ光、波長248nmのKrFエキシマ光、波長283nmのXeBrエキシマ光、波長308nmのXeClエキシマ光、又は波長254nmを含む低圧水銀灯、高圧水銀灯もしくはメタルハライドランプから放射される光の照射は、光酸発生剤からの酸の発生だけでなく、光照射による架橋反応を促進させる。更に、フォトレジスト材料としてアンモニウム塩の熱酸発生剤をフォトレジスト材料のベース樹脂100質量部に対して0.001〜20質量部、好ましくは0.01〜10質量部添加しておいて、加熱によって酸を発生させることもできる。この場合、酸の発生と架橋反応は同時に進行する。加熱の条件は100〜300℃、特に130〜250℃の温度範囲で10〜300秒の範囲が好ましい。これにより、溶媒及びアルカリ現像液に不溶の架橋レジスト膜が形成される。
【0105】
なお、上記アンモニウム塩の熱酸発生剤としては、下記のものが挙げられる。
【化41】


(式中、R101d、R101e、R101f、R101gはそれぞれ水素原子、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基によって置換されていてもよい。R101dとR101e、R101dとR101eとR101fとは環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101dとR101e及びR101dとR101eとR101fは炭素数3〜10のアルキレン基、又は式中の窒素原子を環の中に有する複素芳香族環を示す。K-はα位の少なくとも1つがフッ素化されたスルホン酸、又はパーフルオロアルキルイミド酸もしくはパーフルオロアルキルメチド酸である。)
【0106】
-として具体的には、トリフレート、ノナフレート等のパーフルオロアルカンスルホン酸、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミド等のイミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチドなどのメチド酸、更には下記一般式(K−1)に示されるα位がフルオロ置換されたスルホネート、下記一般式(K−2)に示されるα位がフルオロ置換されたスルホネートが挙げられる。
【0107】
【化42】

【0108】
一般式(K−1)中、R102は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアシル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数6〜20のアリール基又はアリーロキシ基であり、エーテル基、エステル基、カルボニル基、ラクトン環を有していてもよく、又はこれらの基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。一般式(K−2)中、R103は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数6〜20のアリール基である。
【0109】
なお、波長200〜320nmの光照射は大気中で行ってもオゾンが発生しないメリットがある。このためにオゾン発生防止のための窒素ガスなどの不活性ガスのパージが必要なく、スループットを大幅に稼ぐことができる。
波長193nmのArFエキシマレーザーは窒素ガスの置換無しでオゾンが発生しない最も短い波長である。このため、ArFエキシマレーザーを照射することによって硬化させることも可能であるが、ArFエキシマレーザーは非常に高価であり、硬化させるためだけの目的でArFスキャナーを用いることはコスト的にとうてい見合うものではない。一方、ArFエキシマランプは低コストで大面積を照射できる可能性を持っているが、パワーが低いためにスループットを稼ぐことができない。
【0110】
波長200nmを超え320nm以下の高エネルギー線としては、波長222nmのKrClエキシマ光、波長248nmのKrFエキシマ光、波長308nmのXeClエキシマ光、波長254nmを含む低圧水銀灯、高圧水銀灯もしくはメタルハライドランプから放射される光を挙げることができるが、この中で好ましいのは波長222nmのKrClエキシマ光、波長248nmのKrFエキシマ光であり、波長222nmのKrClエキシマ光が最も好ましい。波長200nmを超え320nm以下の高エネルギー線の中で最も短波長であるためにエネルギー密度が高いことと、波長200〜240nm付近はナフタレンによる吸収が高いことから照射エネルギーを強く吸収することにより架橋効率が高いためである。
【0111】
高圧水銀灯からは、254、264、291、297、302、313、365、405、436、546、577nmの輝線が発せられるが、365nmより長波長の光はフォトレジストに添加された酸発生剤の分解を起こすことが少ないので、320nmより短波長の照射が効果的である。320nmより長波長の光はフィルターやミラーを装着することによってカットすることもできるし、320nm以上の光のカットを行わなくてもよい。メタルハライドランプは高圧水銀灯のような輝度の高いスペクトルではなく、ブロードで連続的な波長の紫外線が発せられるが、高圧水銀灯のように長波長側をカットしてもしなくてもよい。
高圧水銀灯やメタルハライドランプは安価であり、光強度も強く、多波長の光を発するので低在波の発生がないためにパターンの膜方向に対してまんべんなく酸の発生と硬化を行うことができるメリットがある。
【0112】
次に、この架橋レジスト膜のパターンが形成されたハードマスク等の中間介在層上にレジスト材料を塗布して第2のレジスト膜を形成するが、このレジスト材料としては、ポジ型、特に化学増幅ポジ型レジスト材料が好ましい。この場合のレジスト材料としては、上述した第1のレジスト材料と同様のものを使用し得るほか、公知のレジスト材料を使用することもできる。この場合、本発明のパターン形成方法は、第1のレジストパターン現像後に架橋反応を行うことを特徴とするが、第2のレジストパターンの現像後において、架橋反応は特に必要ではない。従って、第2のレジストパターンを形成するためのレジスト材料として、一般式(1)に示されるヒドロキシナフチル基及び/又はヒドロキシアセナフチレンは必須ではなく、従来より公知のいずれの化学増幅ポジ型レジスト材料をも使用し得る。
【0113】
ここで、第2のレジスト膜を形成する化学増幅ポジ型レジスト材料は、上記式(1)、特に式(2)の高分子化合物からなるベース樹脂、又は化学増幅ポジ型レジスト材料用として公知のベース樹脂に加え、上述した公知の光酸発生剤、有機溶剤、更には必要に応じ塩基性化合物、溶解制御剤、界面活性剤、アセチレンアルコール類等を含有する公知の組成とすることができ、これら成分の配合量も公知の配合量範囲とすることができる。なお、上記ベース樹脂の重量平均分子量や分子量分布は、上述した第1のレジスト膜のベース樹脂と同様の範囲が好ましい。
【0114】
この第2のレジスト膜については、常法に従って、露光、現像を行い、第2のレジスト膜のパターンを上記架橋レジスト膜パターンのスペース部分に形成し、パターン間の距離を半減することが好ましい。なお、第2のレジスト膜の膜厚、露光、現像等の条件としては、上述した条件と同様とすることができる。
【0115】
次いで、これら架橋レジスト膜及び第2のレジスト膜をマスクとしてハードマスク等の中間介在層をエッチングし、更に被加工基板のエッチングを行う。この場合、ハードマスク等の中間介在層のエッチングは、フロン系、ハロゲン系のガスを用いてドライエッチングすることによって行うことができ、被加工基板のエッチングは、ハードマスクとのエッチング選択比をとるためのエッチングガス及び条件を適宜選択することができ、フロン系、ハロゲン系、酸素、水素等のガスを用いてドライエッチングすることによって行うことができる。次いで、架橋レジスト膜、第2のレジスト膜を除去するが、これらの除去は、ハードマスク等の中間介在層のエッチング後に行ってもよい。なお、架橋レジスト膜の除去は、酸素、ラジカルなどのドライエッチングによって行うことができ、第2のレジスト膜の除去は上記と同様に、あるいはアミン系、又は硫酸/過酸化水素水、又は有機溶媒などの剥離液によって行うことができる。
【実施例】
【0116】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例等に制限されるものではない。なお、重量平均分子量(Mw)はGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量を示す。
【0117】
[合成例]
レジスト材料に添加される高分子化合物として、各々のモノマーを組み合わせてテトラヒドロフラン溶媒下で共重合反応を行い、メタノールに晶出し、更にヘキサンで洗浄を繰り返した後に単離、乾燥して、以下に示す組成の高分子化合物(ポリマー1〜15及び比較ポリマー1)を得た。得られた高分子化合物の組成は1H−NMR、分子量及び分散度はゲルパーミエーションクロマトグラフにより確認した。
【0118】
ポリマー1
分子量(Mw)=8,200
分散度(Mw/Mn)=1.96
【化43】

【0119】
ポリマー2
分子量(Mw)=8,800
分散度(Mw/Mn)=1.77
【化44】

【0120】
ポリマー3
分子量(Mw)=7,600
分散度(Mw/Mn)=1.80
【化45】

【0121】
ポリマー4
分子量(Mw)=9,100
分散度(Mw/Mn)=1.72
【化46】

【0122】
ポリマー5
分子量(Mw)=7,800
分散度(Mw/Mn)=1.79
【化47】

【0123】
ポリマー6
分子量(Mw)=7,600
分散度(Mw/Mn)=1.79
【化48】

【0124】
ポリマー7
分子量(Mw)=8,900
分散度(Mw/Mn)=1.84
【化49】

【0125】
ポリマー8
分子量(Mw)=7,200
分散度(Mw/Mn)=1.75
【化50】

【0126】
ポリマー9
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.98
【化51】

【0127】
ポリマー10
分子量(Mw)=9,600
分散度(Mw/Mn)=1.92
【化52】

【0128】
ポリマー11
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.83
【化53】

【0129】
ポリマー12
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.91
【化54】

【0130】
ポリマー13
分子量(Mw)=8,100
分散度(Mw/Mn)=1.85
【化55】

【0131】
ポリマー14
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.74
【化56】

【0132】
ポリマー15
分子量(Mw)=6,300
分散度(Mw/Mn)=1.69
【化57】

【0133】
比較ポリマー1
分子量(Mw)=8,900
分散度(Mw/Mn)=1.86
【化58】

【0134】
ポジ型レジスト材料の調製
下記表1に示す組成で、各ポリマー、酸発生剤、界面活性剤FC−4430(住友3M社製)が100ppm混合した溶剤を混合し、0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過したレジスト溶液を調製した。
表1中の各組成は次の通りである。
酸発生剤:PAG1,2、TAG1(下記構造式参照)
【化59】


塩基性化合物:Quencher1,2(下記構造式参照)
【化60】


有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
CyH(シクロヘキサノン)
【0135】
ポジ型レジスト材料の吸光度の測定
表1に示すレジスト1と比較例レジスト1のそれぞれをSi基板上に塗布し、100℃で60秒間ベークし、膜厚100nmにした。J.A.ウーラム社の入射角度可変の分光エリプソメーター(VUV−VASE)を用いてレジスト膜の波長150〜320nmの屈折率(n)と消光係数(k)を求めた。その結果を図7及び図8に示す。消光係数kは吸収を表す。
k値から吸光度を求めることができる。膜厚1μmあたりの吸光度は下記の計算式で換算する。
k×4×π/波長(0.193)
この計算式を用いて各波長での吸光度を求め、表2に示した。ヒドロキシナフタレンを有するレジスト1は波長220〜240nmに強い吸収があることが示されている。
【0136】
【表1】

【0137】
【表2】

【0138】
ポジ型レジストの硬化特性の評価
表1に示すレジスト1〜17、比較例レジスト1のそれぞれのレジスト材料を、シリコンウエハーにARC−29A(日産化学工業(株)製)を80nmの膜厚で成膜した基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。
レジスト膜を光照射し、60秒間ベークした膜の膜厚を光学式膜厚計を用いて測定した。PGMEA溶液を20秒間静止ディスペンスし、スピンドライして100℃で60秒間ベークし、PGMEA溶液を蒸発させ、膜厚を測定し、PGMEA処理前後の膜減り量を求めた。
次に、同じようにシリコンウエハーにARC−29A(日産化学工業(株)製)を80nmの膜厚で成膜した基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。レジスト膜を光照射し、60秒間ベークした膜の膜厚を、光学式膜厚計を用いて測定し、2.38質量%TMAHアルカリ水溶液の現像液で30秒間現像して膜厚を測定し、現像前後の膜減り量を求めた。
紫外線の照射では、ウシオ電機(株)製KrClエキシマランプ(波長222nm、5mW/cm2)、KrFエキシマスキャナー((株)ニコン製、S203B、波長248nm)、ウシオ電機(株)製高圧水銀灯(100W/cm2)を用いた。それぞれ大気中で光照射を行った。
比較例2の172nmの光の照射では、ウシオ電機(株)製Xeエキシマランプ(波長172nm、10mW/cm2)を用い、チャンバー内にウエハーを挿入し、5分間1,000mL/minの流量で窒素をパージした後に照射を行った。比較例3の172nmの光照射では大気中で光照射を行った。
結果を表3に示す。
【表3】

【0139】
液浸用レジスト保護膜材料の調製
下記表4に示す組成でポリマー、添加剤、溶剤を混合し、0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過した液浸用保護膜TC1を調製した。
【0140】
【表4】


保護膜ポリマー
分子量(Mw)=8,800
分散度(Mw/Mn)=1.69
【化61】

【0141】
ダブルパターニング評価(1)
表1中に示されるレジスト1,2、比較例レジスト1を、シリコンウエハーにARC−29A(日産化学工業(株)製)を80nmの膜厚で成膜した基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて95℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。
その上に表4に示される組成の保護膜(TC1)を塗布し、90℃で60秒間ベークして保護膜の厚みを50nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−S610C,NA1.30、σ0.98/0.78、35度クロスポール照明、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)を用いてY方向40nmライン160nmピッチのパターンを露光し、露光後、直ちに95℃で60秒間ベークし、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で30秒間現像を行って、ラインとスペースの比が1:3のライン寸法が40nmの第1パターンを得た。第1パターンに表5に示す条件で、大気中で紫外線を照射し、照射後200℃で60秒間ベークした。
次に、第1パターン上に同じレジストと同じ保護膜を同じ条件で塗布、ベークし、ArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−S610C,NA1.30、σ0.98/0.78、35度クロスポール照明、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)を用いて第1パターンよりX方向に80nmずらした位置にY方向40nmライン160nmピッチのパターンを露光し、露光後、直ちに100℃で60秒間ベークし、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で30秒間現像を行って、寸法が40nmのラインアンドスペースの第2パターンを得た(図9)。なお、図9中、Aは第1パターン、Bは第2パターンを示す。
第1パターンと、これと平行する第2パターンのそれぞれのラインの幅を測長SEM((株)日立製作所製S−9380)で測定した。
結果を表5に示す。
【0142】
【表5】

【0143】
ダブルパターニング評価(2)
表3中に示される実施例1〜17、比較例1のレジスト材料を、シリコンウエハーにARC−29A(日産化学工業(株)製)を80nmの膜厚で成膜した基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて95℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。
その上に表4に示される組成の保護膜(TC1)を塗布し、90℃で60秒間ベークして保護膜の厚みを50nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−S610C,NA1.30、σ0.98/0.78、35度ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)を用いてs偏光照明でX方向40nmラインアンドスペースパターンを露光し、露光後、直ちに95℃で60秒間ベークし、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で30秒間現像を行って、寸法が40nmのラインアンドスペースの第1パターンを得た。
第1パターンに表6に示す条件で、大気中で紫外線を照射し、照射後200℃で60秒間ベークした。
次に、第1パターン上に同じレジストと同じ保護膜を同じ条件で塗布、ベークし、ArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−S610C,NA1.30、σ0.98/0.78、35度ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)を用いてs偏光照明でY方向40nmラインアンドスペースパターンを露光し、露光後、直ちに100℃で60秒間ベークし、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で30秒間現像を行って、寸法が40nmのラインアンドスペースの第2パターンを得た(図10)。
第1パターンと、直交する2パターンのそれぞれのラインの幅を測長SEM((株)日立製作所製S−9380)で測定した。
結果を表6に示す。
【0144】
【表6】

【0145】
実施例1〜24では、本発明の紫外線(波長222nm、248nm、高圧水銀灯10秒照射(全波長で1J/cm2))の照射によってレジスト溶剤と現像液に不溶の膜が形成された。比較例2,3の波長172nmの光照射を行った場合、5分間かけて窒素ガスパージを行った場合は現像液に不溶の膜が形成されたが、窒素パージを行わない場合はオゾンが発生し、レジスト膜厚が大幅に減少してしまった。1枚毎のウエハーで窒素パージを行うことはスループットの低下につながる。また、比較例1のヒドロキシナフチル基が存在しない比較例レジスト1の場合では、光照射を行っても、溶媒にもアルカリ現像液にも溶解してしまった。
【0146】
実施例25〜28では、第1のパターンの間に第2のパターンのラインが形成されていることが確認された。比較例4,5では、第2のパターンは形成されたが、第1のパターンは第2のレジスト塗布時に溶解したか、あるいは第2のレジストパターン露光時に照射された光で感光して現像液に溶解してしまったか、あるいはその両方でパターンが溶解してしまった。
【0147】
実施例29〜47では、第1のパターンと直交する第2のパターンのラインが形成され、四角いキャパシタコンタクトパターンが形成されていることが確認された。比較例6,7では、第2のパターンは形成されたが、第1のパターンは、第2のレジスト塗布時に溶解したか、あるいは第2のレジストパターン露光時に照射された光で感光して現像液に溶解してしまったか、あるいはその両方でパターンが溶解してしまった。
【0148】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0149】
10 基板
20 被加工基板
30 レジスト膜
30a 架橋レジスト膜
40 ハードマスク
42 ハードマスク
50 第2のレジスト膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシナフチル基及び/又はヒドロキシアセナフチレンを有する繰り返し単位と酸によってアルカリ溶解性が向上する繰り返し単位とを共重合してなる高分子化合物を含む第1のポジ型レジスト材料を基板上に塗布して第1のレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後に現像液を用いて上記レジスト膜を現像し、その後波長200nmを超え320nm以下の高エネルギー線の照射によって第1のレジスト膜を架橋硬化させ、その上に第2のポジ型レジスト材料を基板上に塗布して第2のレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線で上記第2のレジスト膜を露光し、加熱処理後に現像液を用いて第2のレジスト膜を現像する工程を有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
ヒドロキシナフチル基及び/又はヒドロキシアセナフチレンを有する繰り返し単位と酸によってアルカリ溶解性が向上する繰り返し単位とを共重合してなる高分子化合物を含む第1のポジ型レジスト材料を基板上に塗布して第1のレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後に現像液を用いて上記レジスト膜を現像し、その後波長200nmを超え320nm以下の高エネルギー線の照射と加熱によって第1のレジスト膜を架橋硬化させ、その上に第2のポジ型レジスト材料を基板上に塗布して第2のレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線で上記第2のレジスト膜を露光し、加熱処理後に現像液を用いて第2のレジスト膜を現像する工程を有することを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項3】
ヒドロキシナフチル基及び/又はヒドロキシアセナフチレンを有する繰り返し単位と酸によってアルカリ溶解性が向上する繰り返し単位とを共重合してなる高分子化合物を含む第1のポジ型レジスト材料を基板上に塗布して第1のレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後に現像液を用いて上記レジスト膜を現像し、その後加熱し、次いで波長200nmを超え320nm以下の高エネルギー線を照射して第1のレジスト膜を架橋硬化し、その上に第2のポジ型レジスト材料を基板上に塗布して第2のレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線で上記第2のレジスト膜を露光し、加熱処理後に現像液を用いて第2のレジスト膜を現像する工程を有することを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項4】
現像によって形成した第1のレジストパターンの架橋に用いる波長200nmを超え320nm以下の高エネルギー線が、波長206nmのKrBrエキシマ光、波長222nmのKrClエキシマ光、波長248nmのKrFエキシマ光、波長283nmのXeBrエキシマ光、波長308nmのXeClエキシマ光、又は波長254nmを含む低圧水銀灯、高圧水銀灯もしくはメタルハライドランプから放射される光であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【請求項5】
第1のレジストパターン及び第2のレジストパターンを形成するための露光が、波長193nmのArFエキシマレーザーによる屈折率1.4以上の液体をレンズとウエハーの間に浸漬した液浸リソグラフィーであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【請求項6】
屈折率1.4以上の液体が水であることを特徴とする請求項5記載のパターン形成方法。
【請求項7】
第1のパターンのスペース部分に第2のパターンを形成することによってパターン間を縮小することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【請求項8】
第1のパターンと交わる第2のパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【請求項9】
第1のパターンのパターンが形成されていないスペース部分に第1のパターンと異なる方向に第2のパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【請求項10】
ヒドロキシナフチル基及び/又はヒドロキシアセナフチレンを有する繰り返し単位と酸によってアルカリ溶解性が向上する繰り返し単位とを共重合してなる高分子化合物が、下記一般式(1)に示される繰り返し単位(a1)及び/又は(a2)と繰り返し単位(b)を有するものであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【化1】


(式中、R1、R2は同一又は異種の水素原子又はメチル基を示す。Xは単結合、又は−C(=O)−O−であり、Yは単結合、又は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基で、エステル基又はエーテル基を有していてもよい。m、nは1又は2であり、R3は酸不安定基を示す。a1、a2、bは0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0<b<1.0、0<a1+a2<1.0、0<a1+a2+b≦1.0の範囲である。)
【請求項11】
ヒドロキシナフチル基及び/又はヒドロキシアセナフチレンを有する繰り返し単位と酸によってアルカリ溶解性が向上する繰り返し単位とを共重合してなる高分子化合物が、下記一般式(2)に示される繰り返し単位(a1)、(a2)、(b)、(c1)、(c2)を有するものであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【化2】


(式中、R1、R2、R4、R9は同一又は異種の水素原子又はメチル基を示す。Xは単結合、又は−C(=O)−O−であり、Yは単結合、又は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基で、エステル基又はエーテル基を有していてもよい。m、nは1又は2であり、R3は酸不安定基を示す。R5、R10は単結合、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよいが、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基の場合、式中のエステル基に連結した炭素原子は1級又は2級である。R6、R7、R8、R11、R12、R13、R14は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基である。a1、a2、b、c1、c2は0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0<a1+a2<1.0、0<b<1.0、0≦c1<1.0、0≦c2<1.0、0<c1+c2<1.0、0<a1+a2+b+c1+c2≦1.0の範囲である。)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−160463(P2010−160463A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90895(P2009−90895)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】