説明

パターン形成方法

【課題】レジストパターンにポリシラザンを塗布し、不溶化層を形成してパターンを形成する場合に、従来に比して不溶化層にマスク材としてのエッチング耐性を持たせることができるパターン形成方法を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、まず、被加工膜11上にレジストパターン13を形成し、レジストパターン13上にポリシラザン塗布膜14を形成し、熱処理を行って、レジストパターン13とポリシラザン塗布膜14とを反応させ、レジストパターン13の側面および上面に沿って不溶化層15を形成する。ついで、不溶化層15を形成しなかった領域のポリシラザン塗布膜14を除去し、不溶化層15を酸化してポリシラザン硬化膜16を形成し、レジストパターン13の上面とレジストパターン13間の底部のポリシラザン硬化膜16を除去する。そして、レジストパターン13を除去し、ポリシラザン硬化膜16を用いて被加工膜11を加工する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、パターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスにおいて配線パターン(ラインアンドスペース)を形成する場合、フォトリソグラフィ技術を用いてレジストにパターンを形成した後、これをマスクとして加工対象をエッチングするのが一般的である。しかし、近年の半導体装置の微細化の要求によって、リソグラフィの解像限界以下のパターンの形成が必要になってきている。そこで、このような要求を実現する方法として、ダブルパターニングと呼ばれる技術を用いて、リソグラフィの解像限界以下のパターンを形成する方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−69409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、レジストパターンにポリシラザンを塗布し、60〜150℃の温度で熱処理を行って、レジストパターンのポリシラザンとの界面付近に不溶化層を形成している。しかし、上記のような低温の熱処理では、不溶化層にマスク材としてのエッチング耐性を持たせることが困難であるという問題点があった。
【0005】
本発明の実施形態は、レジストパターンにポリシラザンを塗布し、不溶化層を形成してパターンを形成する場合に、従来に比して不溶化層にマスク材としてのエッチング耐性を持たせることができるパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、まず、パターン形成工程で、被加工膜上にレジストパターンを形成し、ポリシラザン塗布膜形成工程で、前記レジストパターンの間を埋め込むとともに、前記レジストパターンの上部よりも高くなるようにポリシラザン塗布膜を形成し、不溶化層形成工程で、熱処理を行って、前記レジストパターンと前記ポリシラザン塗布膜とを反応させ、前記レジストパターンの側面および上面に沿って不溶化層を形成する。ついで、ポリシラザン塗布膜除去工程で、前記不溶化層を形成しなかった領域の前記ポリシラザン塗布膜を除去し、硬化工程で、前記不溶化層を酸化してポリシラザン硬化膜を形成し、ポリシラザン硬化膜除去工程で、前記レジストパターンの上面と前記レジストパターン間の底部の前記ポリシラザン硬化膜を除去する。そして、レジストパターン除去工程で、前記レジストパターンを除去し、加工工程で、前記ポリシラザン硬化膜を用いて前記被加工膜を加工する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、第1の実施形態によるパターン形成方法の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかるパターン形成方法を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の実施形態で用いられる断面図は模式的なものであり、層の厚みと幅との関係や各層の厚みの比率などは現実のものとは異なる。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態によるパターン形成方法の一例を模式的に示す断面図である。ここでは、基板10上に形成された被加工膜11をラインアンドスペースパターン形状に加工する場合を例に挙げる。
【0010】
まず、図1(a)に示されるように、半導体基板などの基板10上に、加工対象となる被加工膜11を形成する。たとえば、配線層を形成する場合には、被加工膜11は導電性材料によって構成され、また抵抗変化型メモリを形成する場合には、被加工膜11は、抵抗変化層、整流層および配線層を含む材料によって構成される。ついで、被加工膜11上に、後に形成するフォトレジストに反射光が作用するのを防止するための反射防止膜12を形成する。反射防止膜12として、たとえばシリコン酸化膜を用いることができる。
【0011】
さらに、反射防止膜12上にレジストを塗布し、プリベークを行った後、所定の形状となるように露光を行う。その後、ポストベークを行い、現像液を供給して現像を行って、レジストパターン13を形成する。ここではラインアンドスペース形状のレジストパターン13が形成されるものとする。ここで、形成したレジストパターン13を、CDE(Chemical Dry Etching)法やウェット法などのエッチングによって、幅方向にスリミングしてもよい。スリミングすべき量は、後の工程でレジストパターン13に形成される不溶化層15の厚さによって決定される。
【0012】
ついで、図1(b)に示されるように、レジストパターン13が形成された反射防止膜12上にポリシラザン塗布液を供給し、所定の温度で熱処理してポリシラザン塗布液中の溶媒を揮発させることによって、ポリシラザン塗布膜14を形成する。このときポリシラザン塗布液は、レジストパターン13間を埋め込むとともに、レジストパターン13の上面よりも高くなるように供給される。また、ポリシラザン塗布膜14が形成され、熱処理が行われると、レジストパターン13中の酸発生剤などが拡散し、レジストパターン13とポリシラザン塗布膜14との界面が反応し、不溶化層15が形成される。たとえば、レジストパターン13中の反応性の高い部位である水酸基、ケトン基、アルデヒド基などがポリシラザン塗布膜14と反応して、不溶化層15が形成される。不溶化層15の幅は、被加工膜11に形成するパターンの幅と同じとなるように、反応時間が調整される。また、このとき、不溶化層15が形成されなかったレジストパターン13の幅も、不溶化層15の幅と等しくなるように設定されることが望ましい。その結果、不溶化層15は、レジストパターン13の側面および上面をコンフォーマルに被覆するように形成される。
【0013】
その後、図1(c)に示されるように、ポリシラザンを溶解させることができる溶媒を用いて現像処理を行って、ポリシラザン塗布膜14を除去する。これによって、不溶化層15が露出した状態となる。この不溶化層15は、酸素含有量が少ないため、エッチングマスクとしての耐性を有さない状態である。
【0014】
ついで、図1(d)に示されるように、不溶化層15を硬化処理して、ポリシラザン硬化膜16を形成する。硬化処理として、たとえば、水蒸気処理、水処理、硫酸や過酸化水素水などの酸性溶液処理、アルカリ溶液処理、紫外線などの電磁波照射処理、超音波照射処理、オゾン処理、オゾン水処理、酸素イオン注入処理、窒素イオン注入処理、酸素ラジカル照射処理、OHラジカル照射処理の中から選択される1つの処理を例示することができる。つまり、ここに示される1つの処理を所定の時間行うことによって、不溶化層15をポリシラザン硬化膜16とする。この硬化処理によって、不溶化層15が酸化されて酸化シリコンに変化し、マスク材としてのエッチング耐性を有するポリシラザン硬化膜16が形成される。
【0015】
その後、図1(e)に示されるように、たとえばCF4/O2ガスを用いたRIE(Reactive Ion Etching)法によって、レジストパターン13の上面と、隣接するレジストパターン13間の底部に形成されたポリシラザン硬化膜16を除去する。これによって、レジストパターン13の上面が露出し、レジストパターン13の側面にのみポリシラザン硬化膜16が残存する。
【0016】
ついで、図1(f)に示されるように、アッシングなどの方法によってレジストパターン13を除去する。これによって、同じ幅を有するポリシラザン硬化膜16が略等間隔でラインアンドスペースパターン状に配列されたマスクパターンが形成される。そして、図1(g)に示されるように、ポリシラザン硬化膜16によって構成されるマスクパターンを用いて、たとえばO2ガスを用いたRIE法によって反射防止膜12および被加工膜11をエッチングする。以上によって、被加工膜11が所望のパターン形状に加工される。
【0017】
なお、図1(d)で、レジストパターン13が劣化しない温度範囲に加熱しながら、具体的には20℃以上200℃以下の温度で、硬化処理を行ってもよい。これによって、硬化処理を加熱しないで行う場合に比して、不溶化層15の硬化処理が効率よく行われる。ここで、20℃以下の温度で硬化処理を行うと、不溶化層15が硬化する速度が遅くなってしまい、200℃以上の温度で硬化処理を行うと、レジストパターン13が分解して劣化し、不溶化層15が崩れてしまう。そのため、硬化処理は、20℃以上200℃以下の温度で行うことが望ましい。
【0018】
また、図1(d)の硬化処理の前に、ポリシラザン塗布膜14の除去に用いた現像液を除去するために、不溶化層15を80℃以上200℃以下の温度で熱処理してもよい。ここで、80℃以下の温度では、現像液を効率よく除去することができず、また200℃以上の温度では、レジストパターン13が分解して劣化してしまう。そのため、80℃以上200℃以下の温度で熱処理することが望ましい。
【0019】
通常、ポリシラザンの硬化には200℃以上の温度が要求されるが、200℃以上の温度では、レジストパターン13が分解し、劣化し、その結果、不溶化層15が崩れてしまい、パターン形成ができなくなる虞がある。しかし、第1の実施形態では、形成したレジストパターン13上にポリシラザン塗布膜14を形成し、両者の界面に不溶化層15を形成した後、水蒸気処理、水処理、酸性溶液処理、アルカリ溶液処理、電磁波照射処理、超音波照射処理、オゾン処理、オゾン水処理、酸素イオン注入処理、窒素イオン注入処理、酸素ラジカル照射処理、OHラジカル照射処理のうちの一つの処理を行って、レジストパターン13の周囲にポリシラザン硬化膜16を形成した。その結果、レジストパターン13を高温環境下に曝すことなく、不溶化層15を酸化できるので、従来に比してエッチング耐性を有するポリシラザン硬化膜16にすることができるという効果を有する。
【0020】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、不溶化層の硬化処理として、水蒸気処理、水処理、酸性溶液処理、アルカリ溶液処理、電磁波照射処理、超音波照射処理、オゾン処理、オゾン水処理、酸素イオン注入処理、窒素イオン注入処理、酸素ラジカル照射処理、OHラジカル照射処理の中から選択される一つの暴露処理を行うことを示した。第2の実施形態では、水蒸気処理、水処理、酸性溶液処理、アルカリ溶液処理、電磁波照射処理、超音波照射処理、オゾン処理、オゾン水処理、酸素イオン注入処理、窒素イオン注入処理、酸素ラジカル照射処理、OHラジカル照射処理のうちの少なくとも2つを用いて複数段階の硬化処理を行い、不溶化層のみを選択的に酸化する場合について説明する。なお、第2の実施形態のパターン形成方法は、硬化処理の部分のみ第1の実施形態と異なるので、硬化処理の部分のみを説明する。
【0021】
第2の実施形態の硬化処理は、酸素導入処理と酸化処理とによって構成される。具体的には、図1(c)で不溶化層15を露出させた後、まず、酸素導入処理によって、不溶化層15の表面付近に酸素を導入する。この酸素導入処理として、乾式処理が望ましく、たとえば電磁波照射処理、超音波照射処理、オゾン処理、酸素イオン注入処理、窒素イオン注入処理、酸素ラジカル照射処理、OHラジカル照射処理の中から選択される少なくとも一つの処理を行うことができる。導入された酸素は、不溶化層15の表面付近のシリコンを完全に酸化している状態ではなく、不溶化層15の表面付近に留まっている状態となっているものと考えられる。
【0022】
ついで、酸化処理によって、不溶化層15全体を選択的に酸化して、ポリシラザン硬化膜16を形成する。この酸化処理として、湿式処理が望ましく、たとえば水蒸気処理、水処理、酸性溶液処理、アルカリ溶液処理、オゾン水処理、空気中での放置処理の中から選択される少なくとも一つの処理を行うことができる。酸化処理時には、酸素導入処理で不溶化層15の表面に導入された酸素を不溶化層15の内部に拡散させ、不溶化層15を選択的にシリコン酸化膜にする。このような2段階処理を行うことで、酸素が不溶化層15を突き抜けてレジストパターン13に到達してしまうことを防ぐ。その後は、第1の実施形態で説明したものと同様の手順で、被加工膜11にパターンが形成される。なお、生産工程の簡略化などの観点から、酸素導入処理としては、オゾン処理が望ましく、酸化処理としては、水蒸気処理、水処理または空気中での放置処理が望ましい。
【0023】
第2の実施形態では、硬化処理を、不溶化層15の表面付近に酸素を導入する酸素導入処理と、不溶化層15を全体的に酸化する酸化処理とに分けて行うようにした。これによって、硬化処理中に酸素が不溶化層15を突き抜け、レジストパターン13に到達してしまうことを防ぎ、不溶化層15のみを選択的に酸化することができる。その結果、レジストパターン13の酸化による不溶化層15のパターン倒壊を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0024】
10…基板、11…被加工膜、12…反射防止膜、13…レジストパターン、14…ポリシラザン塗布膜、15…不溶化層、16…ポリシラザン硬化膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工膜上にレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、
前記レジストパターンの間を埋め込むとともに、前記レジストパターンの上部よりも高くなるようにポリシラザン塗布膜を形成するポリシラザン塗布膜形成工程と、
熱処理を行って、前記レジストパターンと前記ポリシラザン塗布膜とを反応させ、前記レジストパターンの側面および上面に沿って不溶化層を形成する不溶化層形成工程と、
前記不溶化層を形成しなかった領域の前記ポリシラザン塗布膜を除去するポリシラザン塗布膜除去工程と、
前記不溶化層を酸化してポリシラザン硬化膜を形成する硬化工程と、
前記レジストパターンの上面と前記レジストパターン間の底部の前記ポリシラザン硬化膜を除去するポリシラザン硬化膜除去工程と、
前記レジストパターンを除去するレジストパターン除去工程と、
前記ポリシラザン硬化膜を用いて前記被加工膜を加工する加工工程と、
を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
前記硬化工程は、
前記不溶化層の表面に酸素を導入する酸素導入工程と、
導入された酸素を前記不溶化層内に拡散させ、前記不溶化層を選択的に酸化する酸化処理工程と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記硬化工程では、水蒸気処理、水処理、酸性溶液処理、アルカリ溶液処理、電磁波照射処理、超音波照射処理、オゾン処理、オゾン水処理、酸素イオン注入処理、窒素イオン注入処理、酸素ラジカル処理、OHラジカル処理の中から選択される一つの処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記酸素導入工程では、電磁波照射処理、超音波照射処理、オゾン処理、酸素イオン注入処理、窒素イオン注入処理、酸素ラジカル処理、OHラジカル処理の中から選択される一つの処理を行い、
前記酸化処理工程では、水蒸気処理、水処理、酸性溶液処理、アルカリ溶液処理、オゾン水処理の中から選択される一つの処理を行うことを特徴とする請求項2に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
前記硬化工程は、20℃以上200℃以下の温度範囲で行われることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のパターン形成方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−238795(P2011−238795A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109424(P2010−109424)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】