パターン形成方法
【解決手段】酸不安定基を有する繰り返し単位を含み、アルカリ現像液に難溶の高分子化合物と、光酸発生剤と、アミノ基を発生する光塩基発生剤と、アミノ基を有し、光酸発生剤より発生する酸を中和することによって不活性化させるクエンチャーと、有機溶媒とを含むレジスト材料を基板上に塗布、ベークし、透過率が10〜40%の範囲のハーフトーン位相シフトマスクを用いて露光、ベーク、現像の工程を経て、露光量の少ない未露光部分と露光量の多い過露光部分の膜を現像液に溶解させず、露光量が中間の露光領域を現像液に溶解させたパターンを得るパターン形成方法。
【効果】本発明によれば、クエンチャーと光塩基発生剤基からのアミノ基の総量が光酸発生剤からの酸の量よりも多い組成のレジスト材料を用いると、未露光部と過露光部がアルカリ現像液に不溶で、中間の露光量部分だけ現像液に溶解するデュアルトーンの特性を有することができる。
【効果】本発明によれば、クエンチャーと光塩基発生剤基からのアミノ基の総量が光酸発生剤からの酸の量よりも多い組成のレジスト材料を用いると、未露光部と過露光部がアルカリ現像液に不溶で、中間の露光量部分だけ現像液に溶解するデュアルトーンの特性を有することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に1回の露光と現像でマスクパターンの半分のピッチのパターンを形成することによって解像力を倍加できるパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている。微細化を推進してきた露光波長の短波長化は、波長193nmのArFエキシマレーザーから、波長13.5nmの真空紫外光(EUV)に進もうと検討されているが、光源のパワーがかなり低く、多層反射ミラー、多層反射マスク、フォトレジストの開発が遅延している。微細化を進めてきた投影レンズのNAは、液浸リソグラフィーによって1.0を超えたが、水の屈折率によって決まる最大のNAに既に到達している。従来の方法ではこれ以上の微細化を進めることができない問題が生じている。
【0003】
ここで最近注目を浴びているのは1回目の露光と現像でパターンを形成し、2回目の露光で1回目のパターンの丁度間にパターンを形成するダブルパターニングプロセスである(非特許文献1:Proc. SPIE Vol. 5992 59921Q−1−16 (2005))。ダブルパターニングの方法としては多くのプロセスが提案されている。例えば、1回目の露光と現像でラインとスペースが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクを加工し、その上にハードマスクをもう1層敷いて1回目の露光のパターンが形成されていない部分にフォトレジスト膜の露光と現像でラインパターンを形成してハードマスクをドライエッチングで加工して初めのパターンのピッチの半分のラインアンドスペースパターンを形成する方法である。また、1回目の露光と現像でスペースとラインが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクをドライエッチングで加工し、その上にフォトレジスト膜を塗布してハードマスクが残っている部分に2回目のスペースパターンを露光しハードマスクをドライエッチングで加工する方法もある。いずれも2回のドライエッチングでハードマスクを加工する。
【0004】
前者の方法では、ハードマスクを2回敷く必要があり、後者の方法ではハードマスクが1層で済むが、ラインパターンに比べて解像が困難なトレンチパターンを形成する必要がある。後者の方法では、トレンチパターンの形成にネガ型レジスト材料を使う方法がある。これだとポジパターンでラインを形成するのと同じ高コントラストの光を用いることができるが、ポジ型レジスト材料に比べてネガ型レジスト材料の方が溶解コントラストが低いために、ポジ型レジスト材料でラインを形成する場合に比較してネガ型レジスト材料で同じ寸法のトレンチパターンを形成した場合を比較するとネガ型レジスト材料を使った方が解像性が低い。後者の方法で、ポジ型レジスト材料を用いて広いトレンチパターンを形成してから、基板を加熱してトレンチパターンをシュリンクさせるサーマルフロー法や、現像後のトレンチパターンの上に水溶性膜をコートしてから加熱してレジスト膜表面を架橋させることによってトレンチをシュリンクさせるRELACSTM法を適用させることも考えられるが、プロキシミティーバイアスが劣化するという欠点やプロセスが更に煩雑化し、スループットが低下する欠点が生じる。
前者、後者の方法においても、基板加工のエッチングは2回必要なため、スループットの低下と2回のエッチングによるパターンの変形や位置ずれが生じる問題がある。
【0005】
エッチングを1回で済ませるために、1回目の露光でネガ型レジスト材料を用い、2回目の露光でポジ型レジスト材料を用いる方法がある。1回目の露光でポジ型レジスト材料を用い、2回目の露光でポジ型レジスト材料が溶解しないアルコールに溶解させたネガ型レジスト材料を用いる方法もある。これらの場合、解像性が低いネガ型レジスト材料を使うため解像性の劣化が生じる。
【0006】
1回目のレジストパターンを形成した後に、何らかの方法でパターンをレジスト溶媒とアルカリ現像液に不溶化させ、2回目のレジスト材料を塗布し、1回目のレジストパターンのスペース部分に2回目のレジストパターンを形成するレジストパターンフリージング技術が検討されている。この方法を用いれば、基板のエッチングが1回で済むために、スループットの向上とエッチングのハードマスクの応力緩和による位置ずれの問題が回避される。
【0007】
フリージングの技術として、熱による不溶化方法、カバー膜の塗布と熱による不溶化方法、波長172nm等の極短波長の光照射による不溶化方法、イオン打ち込みによる不溶化方法、CVDによる薄膜酸化膜形成による不溶化方法、及び光照射と特殊ガス処理による不溶化方法が報告されている。
これらの不溶化処理では、高温の加熱処理を行うためにパターンの変形(特に膜減り)や、寸法の細りあるいは太りが問題になっている。
【0008】
ダブルパターニングにおいて最もクリティカルな問題となるのは、1回目のパターンと2回目のパターンの合わせ精度である。位置ずれの大きさがラインの寸法のバラツキとなるために、例えば32nmのラインを10%の精度で形成しようとすると3.2nm以内の合わせ精度が必要となる。現状のスキャナーの合わせ精度が8nm程度であるので、大幅な精度の向上が必要である。
【0009】
1回目の露光の隣にハーフピッチだけずらした位置に2回目の露光を行うと、1回目と2回目のエネルギーが相殺されて、コントラストが0になる。レジスト膜上にコントラスト増強膜(CEL)を適用すると、レジストに入射する光が非線形となり、1回目と2回目の光が相殺せず、ピッチが半分の像が形成される(非特許文献2:Jpn. J. Appl. Phy. Vol. 33 (1994) p6874−6877)。また、レジストの酸発生剤として2光子吸収の酸発生剤を用いて非線形なコントラストを生み出すことによって同様の効果を生み出すことが期待される。このダブルイメージング方法を用いると、2回の露光と1回の現像によって倍の解像力を得ることができる。
【0010】
ポジとネガの両方の特性を有するレジスト材料が提案されている。露光量の少ない所ではアルカリ現像液に難溶で、露光量を上げていくとアルカリ溶解速度が上がり、ポジレジストの特性を示し、更に露光量を上げていくと溶解速度が低下し、ネガレジストの特性を示す。このようなレジスト材料を用いると、露光量の少ない部分と、露光量の多い部分のレジスト膜が残り、マスクパターンの2倍の解像力を得ることができる。このようなポジネガレジスト材料としては、特開平10−104834号公報(特許文献1)及びProc. SPIE Vol. 3678 p348 (1999)(非特許文献3)に記載のポジレジスト材料に架橋剤を添加した、ポジネガハイブリッドレジスト、特開2003−5353号公報(特許文献2)に記載のベンジルアルコールと、アセタールの酸不安定基の共存によるポジとネガの競争反応を用いたデュアルトーンレジスト材料が提案されている。デュアルトーンレジスト材料を用いると、1回の露光と現像の通常のプロセスで倍の解像力のパターンを得ることができる。
【0011】
ダブルパターニングのコストが問題となっている。ダブルパターンの間の付加プロセスの煩雑さが問題視されるが、最もコストが高いのは2回露光すること自体である。1回の露光でダブルのパターンが形成できれば最もコストが安いプロセスとなる。また、ダブルパターニング及びダブルイメージングは、露光機のアライメント精度が著しく向上しない限り実現しないプロセスである。一方、ArF液浸リソグラフィーにおいてポジネガハイブリッドのデュアルトーンレジスト材料が実現できれば1回の露光で解像力を倍加できるので、コストの問題と露光装置のアライメント精度の問題は解決でき、32nm及び22nmの有力な技術候補となり得る。
【0012】
ここで、光塩基発生剤としてニトロベンジルカルバメート類(非特許文献4:J. Am. Chem. Soc. 1991, 113, p4303−4313)、あるいはこれを添加したフォトレジスト材料(特許文献3:特開平7−134399号公報、非特許文献5:Proc. SPIE Vol. 1466 p75 (1991))が提案されている。酸不安定基を有するベースポリマーに光酸発生剤を添加した通常のポジ型フォトレジスト材料に、光塩基発生剤を添加したレジスト材料(特許文献4:特開平10−83079号公報)も提案されている。
【0013】
コントラストを向上させるための位相シフトマスクが用いられている。特許文献5(特開平4−136854号公報)にはハーフトーン位相シフトマスクが提示されており、最も用いられている位相シフトマスクである。ハーフトーン位相シフトマスクは、石英などの透明マスク基板上に光の位相差が180度程度になる半透明のシフターを設けたものであり、ArFエキシマレーザーリソグラフィーにおいてはMoSi系の膜が一般的に用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平10−104834号公報
【特許文献2】特開2003−5353号公報
【特許文献3】特開平7−134399号公報
【特許文献4】特開平10−83079号公報
【特許文献5】特開平4−136854号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Proc. SPIE Vol. 5992 59921Q−1−16 (2005)
【非特許文献2】Jpn. J. Appl. Phy. Vol. 33 (1994) p6874−6877
【非特許文献3】Proc. SPIE Vol. 3678 p348 (1999)
【非特許文献4】J. Am. Chem. Soc. 1991, 113, p4303−4313
【非特許文献5】Proc. SPIE Vol. 1466 p75 (1991)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述したように、2回の露光と現像により作製したレジストパターンを2回のドライエッチングで基板加工を行おうとすると、スループットが半分に低下するし、2回の露光の位置がずれてしまう問題が生じる。ポジティブトーンとネガティブトーンの両方の特性を有するデュアルトーンレジストは、1回の露光と現像によってポジパターンとネガティブパターンを形成することによって解像力を倍加させる技術であるが、感度が非常に低いこととポジパターンとネガパターンの寸法が異なる問題点がある。
【0017】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、1回の露光でマスクパターンの2倍の解像力を可能にするためのデュアルトーンレジストを用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行い、酸不安定基を有してアルカリ現像液に難溶の高分子化合物をベースとし、酸のクエンチャーと光塩基発生剤からのアミノ基の総量が光酸発生剤からの酸の量よりも多い組成のレジスト材料と高透明なハーフトーン位相シフトマスクを組み合わせることによって、未露光部と過露光部がアルカリ現像液に不溶で、中間の露光量部分だけ現像液に溶解する特性を有し、1本のラインを2本に分割することによって解像力を倍加させるパターンを高感度で解像性高く得るための形成方法を見出した。
【0019】
従って、本発明は、下記パターン形成方法を提供する。
請求項1:
酸不安定基を有する繰り返し単位を含み、アルカリ現像液に難溶の高分子化合物と、光酸発生剤と、アミノ基を発生する光塩基発生剤と、アミノ基を有し、光酸発生剤より発生する酸を中和することによって不活性化させるクエンチャーと、有機溶媒とを含むレジスト材料を基板上に塗布、ベークし、透過率が10〜40%の範囲のハーフトーン位相シフトマスクを用いて露光、ベーク(PEB)、現像の工程を経て、露光量の少ない未露光部分と露光量の多い過露光部分の膜を現像液に溶解させず、露光量が中間の露光領域を現像液に溶解させたパターンを得ることを特徴とするパターン形成方法。
請求項2:
クエンチャー中のアミノ基の総モル数と、光塩基発生剤から発生するアミノ基の総モル数の和が、光酸発生剤から発生する酸の総モル数よりも多いことを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
請求項3:
酸不安定基を有する繰り返し単位とスルホニウム塩を持つ繰り返し単位とを含み、アルカリ現像液に難溶の高分子化合物と、アミノ基を発生する光塩基発生剤と、アミノ基を有し、スルホニウム塩を持つ繰り返し単位より発生する酸及び光酸発生剤より発生する酸を中和することによって不活性化させるクエンチャーと、有機溶媒とを含むレジスト材料を基板上に塗布し、ベーク、露光、ベーク(PEB)、現像の工程を経て、露光量の少ない未露光部分と露光量の多い過露光部分の膜を現像液に溶解させず、露光量が中間の露光領域を現像液に溶解させたパターンを得ることを特徴とするパターン形成方法。
請求項4:
クエンチャー中のアミノ基の総モル数と、光塩基発生剤から発生するアミノ基の総モル数の和が、スルホニウム塩を持つ繰り返し単位より発生する酸の総モル数と、光酸発生剤から発生する酸の総モル数の和よりも多いことを特徴とする請求項3記載のパターン形成方法。
請求項5:
光塩基発生剤が、光分解によりアミノ基を発生させるものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のパターン形成方法。
請求項6:
下記式(i)〜(iii)で示されるいずれかの部分構造を有する光塩基発生剤を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【化1】
請求項7:
光塩基発生剤が、下記一般式(1)中の繰り返し単位a1〜a4のいずれかで示されるものであり、該繰り返し単位が高分子化合物の主鎖に結合されていることを特徴とする請求項6記載のパターン形成方法。
【化2】
(式中、R1、R7、R12、R17は水素原子又はメチル基である。R2、R8、R13、R18は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フェニルメチレン基、フェニルエチレン基、フェニルプロピレン基、又は−C(=O)−O−R21−である。R21は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、炭素数6〜10のアリーレン基、又は炭素数2〜12のアルケニレン基であり、R3、R9、R14は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基であるが、上記R21と結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよい。R4、R5、R6は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基で、アリール基が炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、又はトリフルオロメチル基を含んでいてもよく、R4とR5、R5とR6、又はR4とR6とが結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよいが、R4、R5、R6の全てが水素原子、又は全てがアルキル基になることはない。R10、R11は炭素数6〜14のアリール基で、該アリール基は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、又はカルボニル基を含んでいてもよい。R15、R16は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基で、R15とR16とが結合してこれらが結合する炭素原子及び窒素原子と共に環を形成してもよく、環の中にベンゼン環、ナフタレン環、2重結合、又はエーテル結合を有していてもよい。R19、R20は水素原子、炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜14のR4、R5、R6と同様の置換基を有していてもよいアリール基であり、R19、R20の内少なくとも一方あるいは両方がアリール基であり、又はR19とR20とが結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0≦a3<1.0、0≦a4<1.0、0<a1+a2+a3+a4<1.0である。)
請求項8:
光塩基発生剤が、下記一般式(2)〜(9)に示されるものから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項6記載のパターン形成方法。
【化3】
(式中、R21、R22、R23、R26、R27、R28、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R40、R41、R42、R46、R47、R48は水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基で、アリール基が炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、又はトリフルオロメチル基を含んでいてもよいが、R21〜R23、R26〜R28、R32〜R34、R35〜R37、R40〜R42、R46〜R48の内少なくとも一つがアリール基であり、少なくとも1つが水素原子であり、又はR21〜R23及びR26〜R28及びR32〜R34及びR35〜R37及びR40〜R42及びR46〜R48の内、2つ以上が結合して環を形成してもよい。R24、R25、R29、R31、R38、R39、R43、R45、R51、R52、R55、R57は水素原子、又は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、2重結合、エーテル基、アミノ基、カルボニル基、ヒドロキシ基、又はエステル基を有していてもよく、R24とR25、R29とR31、R29とR30、R31とR30、R38とR39、R43とR44、R44とR45、R43とR45、R51とR52、R55とR56、R55とR57、R56とR57とが結合して環を形成してもよい。R30、R44、R56は単結合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルキン基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数2〜12のアルケニレン基、又は炭素数2〜12のアルキニレン基で、これらの基は2重結合、エーテル基、アミノ基、カルボニル基、ヒドロキシ基、又はエステル基を有していてもよい。R49、R50、R53、R54、R58、R59は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基で、R49とR50、R53とR54、R58とR59とが結合して環を形成してもよく、環の中にベンゼン環、ナフタレン環、2重結合、又はエーテル結合を有していてもよい。R60は炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数2〜20のアルケニル基であり、R61は炭素数6〜20のアリール基、R62は水素原子、炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基である。R63、R64、R65は水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数2〜10のアルケニル基又はアルコキシカルボニル基、又はシアノ基で、上記アルキル基、アリール基、アルケニル基が炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、スルフィド基、アミノ基、又はエーテル基を有していてもよい。m、n、rは1又は2である。)
請求項9:
光酸発生剤が、光照射によってα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、又はメチド酸を発生させるものであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載のパターン形成方法。
請求項10:
光酸発生剤が、スルホニウム塩又はヨードニウム塩系の酸発生剤であることを特徴とする請求項9記載のパターン形成方法。
請求項11:
マスク上の1対のラインアンドスペースパターンを、1回の露光、PEB、現像によって2対のラインアンドスペースに分割形成することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の解像力倍加のパターン形成方法。
請求項12:
マスク上の1本のラインパターンを、1回の露光、PEB、現像によって1本のラインと2本のスペースに分割形成することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の解像力倍加のパターン形成方法。
請求項13:
マスク上の1本のスペースパターンを、1回の露光、PEB、現像によって1本のラインと2本のスペースに分割形成することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の解像力倍加のパターン形成方法。
請求項14:
露光波長が193nmのArFエキシマレーザーを光源とし、レンズと基板の間に水を挿入する液浸リソグラフィーであることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項記載の解像力倍加のパターン形成方法。
請求項15:
透過率が10〜40%の範囲のハーフトーン位相シフトマスクがSi原子と酸素及び又は窒素を少なくとも含有している膜で構成されていることを特徴とする請求項1記載のフォトマスクを用いることを特徴とするパターン形成方法。
請求項16:
透過率が10〜40%の範囲のハーフトーン位相シフトマスクがSi原子及びMo、Ta、Zrの各原子から選ばれる1つ以上の原子と酸素及び又は窒素を少なくとも含有している膜で構成されていることを特徴とする請求項1又は15記載のフォトマスクを用いることを特徴とするパターン形成方法。
請求項17:
ハーフトーン位相シフトマスクの位相が170〜250度であることを特徴とする請求項1、15又は16記載のフォトマスクを用いることを特徴とするパターン形成方法。
【0020】
このようなパターン形成方法を適用することによって、1回の露光で1本のラインを2本に分割し、解像度を2倍にすることが可能になる。
【0021】
なお、本発明において、光塩基発生剤から発生するアミノ基、クエンチャー中のアミノ基、塩基発生剤から発生するアミノ基とは、本来のアミノ基に加え、イミノ基、その他窒素原子を有し、塩基性を与える基、つまり窒素原子含有塩基性基を意味するものと定義する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、酸不安定基を有してアルカリ現像液に難溶の高分子化合物をベースとし、クエンチャーと光塩基発生剤基からのアミノ基の総量が光酸発生剤からの酸の量よりも多い組成のレジスト材料を用いると、未露光部と過露光部がアルカリ現像液に不溶で、中間の露光量部分だけ現像液に溶解するデュアルトーンの特性を有することができる。これによって1回の露光と現像で1本のラインを2本に分割することによって解像力を倍加させることができる。この露光を行うためのフォトマスクパターンとして、透過率10〜40%の高透明なハーフトーン位相シフトマスクを用いると、感度と解像力が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のダブルパターニング方法の一例を説明する断面図であり、Aは、基板上に被加工層、ハードマスク、レジスト膜を形成した状態、Bは、レジスト膜を露光した状態、Cは、レジスト膜を現像した状態、Dは、ハードマスクをエッチングした状態、Eは、被加工層をエッチングした状態を示す。
【図2】従来のダブルパターニング方法の一例を説明する断面図であり、Aは、基板上に被加工層、ハードマスク、レジスト膜を形成した状態、Bは、レジスト膜を露光、現像した状態、Cは、ハードマスクをエッチングした状態、Dは、第1のレジスト膜を除去して第2のレジスト膜を形成後、このレジスト膜を露光、現像した状態、Eは、被加工層をエッチングした状態を示す。
【図3】従来型のポジ型レジスト材料の露光量とレジスト膜の膜厚の関係を示す説明図である。
【図4】コントラストカーブと、従来型のポジ型レジストパターンの断面形状である。
【図5】本発明のデュアルトーンレジスト材料の露光量とレジスト膜の膜厚の関係を示す説明図である。
【図6】コントラストカーブと、本発明のデュアルトーンレジストパターンの断面形状である。
【図7】ブライトラインのマスクパターンである。
【図8】ブライトラインのマスクと本発明のデュアルトーンレジストを用いた場合の現像後パターンの平面図である。
【図9】ダークトレンチのマスクパターンである。
【図10】ダークトレンチマスクと本発明のデュアルトーンレジストを用いた場合の現像後パターンの平面図である。
【図11】露光波長193nm、NA1.35、σ0.9 20度ダイポール照明、s偏光照明、ウエハー上寸法がピッチ88nmのマスクで、シフター角度180度、5%透過率のハーフトーン位相シフトマスクのライン幅(シフター幅)を変化させたときの光学コントラストを示す。
【図12】露光波長193nm、NA1.35、σ0.9 20度ダイポール照明、s偏光照明、ウエハー上寸法がピッチ88nmのマスクで、シフター角度180度、10%透過率のハーフトーン位相シフトマスクのライン幅(シフター幅)を変化させたときの光学コントラストを示す。
【図13】露光波長193nm、NA1.35、σ0.9 20度ダイポール照明、s偏光照明、ウエハー上寸法がピッチ88nmのマスクで、シフター角度180度、15%透過率のハーフトーン位相シフトマスクのライン幅(シフター幅)を変化させたときの光学コントラストを示す。
【図14】露光波長193nm、NA1.35、σ0.9 20度ダイポール照明、s偏光照明、ウエハー上寸法がピッチ88nmのマスクで、シフター角度180度、20%透過率のハーフトーン位相シフトマスクのライン幅(シフター幅)を変化させたときの光学コントラストを示す。
【図15】露光波長193nm、NA1.35、σ0.9 20度ダイポール照明、s偏光照明、ウエハー上寸法がピッチ88nmのマスクで、シフター角度180度、30%透過率のハーフトーン位相シフトマスクのライン幅(シフター幅)を変化させたときの光学コントラストを示す。
【図16】露光波長193nm、NA1.35、σ0.9 20度ダイポール照明、s偏光照明、ウエハー上寸法がピッチ88nmのマスクで、シフター角度180度、40%透過率のハーフトーン位相シフトマスクのライン幅(シフター幅)を変化させたときの光学コントラストを示す。
【図17】露光波長193nm、NA1.35、σ0.9 20度ダイポール照明、s偏光照明、ウエハー上寸法がピッチ88nmのマスクで、シフター角度180度、50%透過率のハーフトーン位相シフトマスクのライン幅(シフター幅)を変化させたときの光学コントラストを示す。
【図18】露光波長193nm、NA1.35、σ0.9 20度ダイポール照明、s偏光照明、ウエハー上寸法がピッチ88nm、ライン幅44nmのマスクで、5%透過率のハーフトーン位相シフトマスクのシフター角度を変化させたときの光学コントラストを示す。
【図19】露光波長193nm、NA1.35、σ0.9 20度ダイポール照明、s偏光照明、ウエハー上寸法がピッチ88nm、ライン幅20nmのマスクで、20%透過率のハーフトーン位相シフトマスクのシフター角度を変化させたときの光学コントラストを示す。
【図20】露光波長193nm、NA1.35、σ0.9 20度ダイポール照明、s偏光照明、ウエハー上寸法がピッチ88nmのマスクで、ライン幅44nmで5%透過率のハーフトーン位相シフトマスクのシフター222度、ライン幅20nmで20%透過率のハーフトーン位相シフトマスクのシフター205度のときの光学イメージを示す。
【図21】本発明の実施例に係るレジスト1のレジスト膜の膜厚と露光量の関係を示す膜厚変化カーブである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明者らは、1回の露光と現像によって半分のピッチのパターンを得る解像力倍加のレジスト材料及びこれを用いるパターニング方法について鋭意検討を行った。解像力倍加のためには、2つの閾値を有する必要がある。即ち、ある露光量ではポジ型レジスト材料の特性であり、これとは異なる露光量ではネガ型レジスト材料の特性を発揮するレジスト材料である。前述の非特許文献3では、酸不安定基で置換されたヒドロキシスチレンベースのKrFレジスト材料に架橋剤を添加して、酸不安定基の脱保護反応と架橋剤による架橋反応の触媒の反応性を変えることによって低露光量側では脱保護反応によるポジ型レジスト材料の特性、高露光量側では架橋反応によるネガ型レジスト材料の特性を得ている。脱保護反応の活性化エネルギーが低くて反応性の高い酸不安定基を用い、弱酸が高い発生効率で発生する酸発生剤を用いて低露光量側で脱保護反応だけを行いポジ型レジスト材料の特性を出す。強酸で架橋が進行し、架橋反応の活性化エネルギーが高い架橋剤を用いて、低い酸発生効率の酸発生剤から発生する強酸によって架橋によるネガ型レジスト材料の特性を出すことによって、ポジ型特性とネガ型特性のタイミングをずらして露光量差を生み出すことができる。ヒドロキシスチレン型のKrFレジスト材料であれば、酸不安定基で置換すればポジ型レジスト材料にすることができるし、架橋剤を添加すればネガ型レジスト材料にすることができるので、酸不安定基で置換したポリヒドロキシスチレンに架橋剤を添加することによって容易にポジ型とネガ型の両方の特性を生み出すことができる。
一方、ArFレジスト材料は、密着性基としてラクトンを用いていることから、架橋剤を添加しても架橋しないため、KrFレジスト材料のときのような架橋剤の添加によってネガ型レジストの材料特性を得ることができない。
【0025】
本発明者らは、架橋剤の添加によってネガ型レジスト材料の特性を得るのではなく、酸の不活性化によってポジ型の特性を発揮させないようにしてネガ型の特性を得ることを考察した。光酸発生剤と光塩基発生剤の両方をレジスト材料中に存在させると共に光塩基発生剤に比べて光酸発生剤の方が発生効率が高い材料を用いる。露光量を上げていくと、最初に酸が発生し、PEB中に脱保護反応が進行し、ポジ化が起きる。露光量を上げていくと、酸発生剤の分解による酸の発生は収束し、塩基発生剤から発生した塩基と、クエンチャーの塩基の総和が酸の量を上回った時点で酸の不活性化が起こり、PEB中の脱保護反応が阻害されるためネガ化が起きるのである。
【0026】
光塩基発生剤としては、(i)カルバメート型、(ii)イミドカルバメート型、(iii)オキシムエステル型のいずれかの部分構造を有するものを挙げることができ、下記に示すことができる。
【化4】
【0027】
酸の不活性化が起きる露光量では、塩基が過剰に存在している。PEB中に脱保護反応が進行して現像後溶解する場所は酸が過剰に存在しているが、このような場所に塩基が過剰に存在している場所からの塩基の蒸発と再付着によって酸が不活性化されると本来現像液に溶解すべきところが不溶化する。塩基物質の蒸発と再付着を防止するためには、光によって発生するアミノ基がポリマー主鎖に結合している形態が好ましい。更に光塩基発生剤による繰り返し単位は、レジスト材料のベースポリマーとなる高分子化合物において、酸不安定基を有する繰り返し単位と共重合していることが好ましい。例えば光塩基発生剤による繰り返し単位のホモポリマーと、酸不安定基を有する繰り返し単位を有するレジスト材料のベースポリマーとをブレンドすることもできるが、この場合ポリマー同士が相分離を起こすことがあり、不活性化が起こる所と起こらない所とが分離するために、現像後のレジストパターンのエッジラフネスが大きくなったり、ブリッジ欠陥やライン欠落の欠陥が発生する可能性がある。光塩基発生剤をレジスト材料のベースポリマー中に均一に分散させるためには、ベースポリマーの高分子化合物中に共重合物として取り込む方法が好ましいのである。
【0028】
従って、本発明において、光塩基発生剤としては、光塩基発生剤基として上記式(i)〜(iii)のいずれかの構造を含む繰り返し単位をベースポリマーの高分子化合物の主鎖に結合した態様として用いることが好ましい。
【0029】
ここで、レジスト材料のベースポリマーとなる高分子化合物中に共重合させる光塩基発生剤基を有する繰り返し単位は、下記一般式(1)中の繰り返し単位a1〜a4に示されるものが好ましい。
【化5】
(式中、R1、R7、R12、R17は水素原子又はメチル基である。R2、R8、R13、R18は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フェニルメチレン基、フェニルエチレン基、フェニルプロピレン基、又は−C(=O)−O−R21−である。R21は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、炭素数6〜10のアリーレン基、又は炭素数2〜12のアルケニレン基であり、R3、R9、R14は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基であるが、上記R21と結合してこれらが結合する窒素原子と共に、好ましくは炭素数3〜8、特に4〜6の環を形成してもよい。R4、R5、R6は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基で、アリール基が炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、又はトリフルオロメチル基を含んでいてもよく、R4とR5、R5とR6、又はR4とR6とが結合してこれらが結合する炭素原子と共に好ましくは炭素数3〜10、特に4〜8の非芳香環を形成してもよいが、R4、R5、R6の全てが水素原子、又は全てがアルキル基になることはない。R10、R11は炭素数6〜14、好ましくは6〜10のアリール基で、該アリール基は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、又はカルボニル基を含んでいてもよい。R15、R16は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基で、R15とR16とが結合してこれらが結合する炭素原子及び窒素原子と共に炭素数4〜12、特に4〜10の環を形成してもよく、環の中にベンゼン環、ナフタレン環、2重結合、又はエーテル結合を有していてもよい。R19、R20は水素原子、炭素数1〜8、好ましくは1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜14、好ましくは6〜10のR4、R5、R6と同様の置換基を有していてもよいアリール基であり、R19、R20の内少なくとも一方あるいは両方がアリール基であり、又はR19とR20とが結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数4〜10、特に4〜8の非芳香環を形成していてもよい。0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0≦a3<1.0、0≦a4<1.0、0<a1+a2+a3+a4<1.0、好ましくは、0≦a1≦0.5、0≦a2≦0.5、0≦a3≦0.5、0≦a4≦0.5、0.01≦a1+a2+a3+a4≦0.5、より好ましくは、0≦a1≦0.3、0≦a2≦0.3、0≦a3≦0.3、0≦a4≦0.3、0.015≦a1+a2+a3+a4≦0.3である。)
【0030】
一般式(1)中、繰り返し単位a1で示されるベンジルカルバメート型塩基発生剤は下記反応式(1)−a1で示される分解機構、繰り返し単位a2で示されるベンゾインカルバメート型塩基発生剤は下記反応式(1)−a2で示される分解機構、繰り返し単位a3で示されるイミドカルバメート型塩基発生剤は下記反応式(1)−a3で示される分解機構、繰り返し単位a4で示されるオキシムエステル型塩基発生剤は下記反応式(1)−a4で示される分解機構でアミンを生成する。分解によって炭酸ガスと2級あるいは1級のアミン化合物とその他の化合物が生成する。
【0031】
【化6】
(式中、R1〜R9、R12〜R20は上記の通り、R、R’はR10、R11で説明したアリール基の置換基である。)
繰り返し単位a1、a2、a3は主鎖に窒素原子が結合している。繰り返し単位a4は分解時の転移反応によって主鎖に結合したアミノ基が生成する。
【0032】
一般式(1)中、繰り返し単位a1で示される塩基発生剤は、具体的には下記に例示される。ここで、R4〜R6は前述の通りである。
【0033】
【化7】
【0034】
【化8】
【0035】
一般式(1)中、繰り返し単位a1で示される塩基発生剤のR4〜R6は下記に例示することができる。ここで、R1〜R3は前述の通りである。
【0036】
【化9】
【0037】
繰り返し単位a1としては、上記に例示されたR1〜R3とR4〜R6の組み合わせの繰り返し単位を選択することができる。
【0038】
一般式(1)中、繰り返し単位a2で示される塩基発生剤は、具体的には下記に例示される。
【0039】
【化10】
(上式中、Tは
【化11】
を示す。破線は結合手である。なお、R10、R11は前述の通りである。)
【0040】
【化12】
(上式中、Tは
【化13】
を示す。破線は結合手である。なお、R10、R11は前述の通りである。)
【0041】
一般式(1)中、繰り返し単位a2で示される塩基発生剤のR10、R11は下記に例示することができる。ここで、R7〜R9は前述の通りである。
【0042】
【化14】
【0043】
【化15】
【0044】
繰り返し単位a2としては、上記に例示されたR7〜R9とR10、R11の組み合わせの繰り返し単位を選択することができる。
【0045】
一般式(1)中、繰り返し単位a3で示される塩基発生剤は、具体的には下記に例示される。
【0046】
【化16】
(上式中、Sは
【化17】
を示す。破線は結合手である。なお、R15、R16は前述の通りである。)
【0047】
【化18】
(上式中、Sは
【化19】
を示す。破線は結合手である。なお、R15、R16は前述の通りである。)
【0048】
一般式(1)中、繰り返し単位a3で示される塩基発生剤のR15、R16は下記に例示することができる。ここで、R12〜R14は前述の通りである。
【0049】
【化20】
【0050】
繰り返し単位a3としては、上記に例示されたR12〜R14とR15、R16の組み合わせの繰り返し単位を選択することができる。
【0051】
一般式(1)中、繰り返し単位a4で示される塩基発生剤は、具体的には下記に例示される。
【0052】
【化21】
【0053】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト材料のベースポリマーとしては、酸不安定基を有する繰り返し単位bを有するものが用いられ、特に下記一般式(AL)で示されるものが好ましい。この場合、この繰り返し単位bと共に、上述した一般式(1)で示される塩基発生剤基を有する繰り返し単位a1〜a4を用いることが好ましい。
【化22】
(式中、R024は水素原子又はメチル基、R025は酸不安定基である。)
【0054】
上記一般式(AL)中、R025で示される酸不安定基は種々選定されるが、特に下記式(AL−10)、(AL−11)で示される基、下記式(AL−12)で示される三級アルキル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等が挙げられる。
【0055】
【化23】
【0056】
式(AL−10)、(AL−11)において、R051、R054は炭素数1〜40、特に1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の一価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよい。R052、R053は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の一価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよく、a5は0〜10、特に1〜5の整数である。R052とR053、R052とR054、又はR053とR054はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子と共に炭素数3〜20、特に4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
R055、R056、R057はそれぞれ炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の一価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよい。あるいはR055とR056、R055とR057、又はR056とR057はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20、特に4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
【0057】
式(AL−10)に示される化合物を具体的に例示すると、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等、また下記一般式(AL−10)−1〜(AL−10)−10で示される置換基が挙げられる。
【0058】
【化24】
【0059】
式(AL−10)−1〜(AL−10)−10中、R058は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。R059は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R060は炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。a5は上記の通りである。
【0060】
前記式(AL−11)で示されるアセタール化合物を(AL−11)−1〜(AL−11)−34に例示する。
【0061】
【化25】
【0062】
【化26】
【0063】
また、酸不安定基として、一般式(AL−11a)あるいは(AL−11b)で表される基が挙げられ、該酸不安定基によってベース樹脂が分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【0064】
【化27】
【0065】
上記式中、R061、R062は水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、R061とR062は結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合にはR061、R062は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R063は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、b5、d5は0又は1〜10、好ましくは0又は1〜5の整数、c5は1〜7の整数である。Aは、(c5+1)価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基はO、S、N等のヘテロ原子を介在してもよく、又はその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。
【0066】
この場合、好ましくはAは2〜4価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルカントリイル基、アルカンテトライル基、炭素数6〜30のアリーレン基であり、これらの基はO、S、N等のヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。また、c5は好ましくは1〜3の整数である。
【0067】
一般式(AL−11a)、(AL−11b)で示される架橋型アセタール基は、具体的には下記式(AL−11)−35〜(AL−11)−42のものが挙げられる。
【0068】
【化28】
【0069】
次に、前記式(AL−12)に示される三級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、tert−アミル基等、あるいは下記一般式(AL−12)−1〜(AL−12)−16で示される基を挙げることができる。
【0070】
【化29】
【0071】
上記式中、R064は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。R065、R067は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R066は炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。
【0072】
更に、酸不安定基として、下記式(AL−12)−17、(AL−12)−18に示す基が挙げられ、2価以上のアルキレン基、又はアリーレン基であるR068を含む該酸不安定基によってベース樹脂が分子内あるいは分子間架橋されていてもよい。式(AL−12)−17、(AL−12)−18のR064は前述と同様、R068は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、又はアリーレン基を示し、酸素原子や硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。b6は1〜3の整数である。
【0073】
【化30】
【0074】
なお、上述したR064、R065、R066、R067は酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子を有していてもよく、具体的には下記式(AL−13)−1〜(AL−13)−7に示すことができる。
【0075】
【化31】
【0076】
特に、上記式(AL−12)の酸不安定基としては、下記式(AL−12)−19に示されるエキソ体構造を有するものが好ましい。
【0077】
【化32】
(式中、R069は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示す。R070〜R075及びR078、R079はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよいアルキル基等の1価の炭化水素基を示し、R076、R077は水素原子を示す。あるいは、R070とR071、R072とR074、R072とR075、R073とR075、R073とR079、R074とR078、R076とR077、又はR077とR078は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環(特に脂環)を形成していてもよく、その場合には環の形成に関与するものは炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよいアルキレン基等の2価の炭化水素基を示す。またR070とR079、R076とR079、又はR072とR074は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、2重結合を形成してもよい。また、本式により、鏡像体も表す。)
【0078】
ここで、一般式(AL−12)−19に示すエキソ体構造を有する下記繰り返し単位
【化33】
を得るためのエステル体のモノマーとしては、特開2000−327633号公報に示されている。具体的には下記に示すものを挙げることができるが、これらに限定されることはない。なお、R0111、R0112は互いに独立に水素原子、メチル基、−COOCH3、−CH2COOCH3等を示す。
【0079】
【化34】
【0080】
更に、上記式(AL−12)の酸不安定基としては、下記式(AL−12)−20に示されるフランジイル、テトラヒドロフランジイル又はオキサノルボルナンジイルを有する酸不安定基を挙げることができる。
【0081】
【化35】
(式中、R080、R081はそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基を示す。又は、R080、R081は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20の脂肪族炭化水素環を形成してもよい。R082はフランジイル、テトラヒドロフランジイル又はオキサノルボルナンジイルから選ばれる2価の基を示す。R083は水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基を示す。)
【0082】
フランジイル、テトラヒドロフランジイル又はオキサノルボルナンジイルを有する酸不安定基で置換された繰り返し単位
【化36】
を得るためのモノマーとしては、下記に例示される。なお、R0112は上記の通りである。また、下記式中Meはメチル基、Acはアセチル基を示す。
【0083】
【化37】
【0084】
【化38】
【0085】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト材料のベースとなる高分子化合物は、一般式(1)で示される塩基発生剤基を有する繰り返し単位a1〜a4と一般式(AL)で示される酸不安定基を有する繰り返し単位bを有することが好ましいが、更にはヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、ラクトン環、カルボキシル基、カルボン酸無水物基等の密着性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位cを共重合させてもよい。
繰り返し単位cを得るためのモノマーとしては、具体的に下記に挙げることができる。
【0086】
【化39】
【0087】
【化40】
【0088】
【化41】
【0089】
【化42】
【0090】
【化43】
【0091】
【化44】
【0092】
【化45】
【0093】
【化46】
【0094】
【化47】
【0095】
【化48】
【0096】
【化49】
【0097】
【化50】
【0098】
【化51】
【0099】
上記繰り返し単位a1、a2、a3、a4、b、cにおいて、繰り返し単位の比率は、0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0≦a3<1.0、0≦a4<1.0、0<a1+a2+a3+a4<1.0、0<b≦0.9、0≦c<0.9(特に0<c<0.9)、好ましくは、0≦a1≦0.5、0≦a2≦0.5、0≦a3≦0.5、0≦a4≦0.5、0.01≦a1+a2+a3+a4≦0.5、0.1≦b≦0.8、0.1≦c≦0.8、より好ましくは、0≦a1≦0.3、0≦a2≦0.3、0≦a3≦0.3、0≦a4≦0.3、0.015≦a1+a2+a3+a4≦0.3、0.15≦b≦0.7、0.15≦c≦0.7の範囲である。
【0100】
上記a1、a2、a3、a4、b、c以外の繰り返し単位としては、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、炭素数2〜20のアルケニル基を有する(メタ)アクリレート、炭素数6〜20のアリール基を有する(メタ)アクリレート、スチレン、アルキル基で置換されたスチレン、アルコキシ基で置換されたスチレン、アセトキシ基で置換されたスチレン、ビニルナフタレン、ビニルカルバゾール、アセナフチレン、インデン、ビニルピリジン、ビニルアントラセン、ビニルピロリドンなどのモノマーに由来する繰り返し単位dを挙げることができる。なお、dの割合は0≦d≦0.3、好ましくは0≦d≦0.2である。
【0101】
更に、下記一般式(10)で示されるスルホニウム塩を持つ繰り返し単位e1、e2、e3のいずれかを共重合することができる。
【化52】
(上式中、R120、R124、R128は水素原子又はメチル基、R121は単結合、フェニレン基、−O−R−、又は−C(=O)−Y−R−である。Yは酸素原子又はNH、Rは炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基又は炭素数3〜10のアルケニレン基であり、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R122、R123、R125、R126、R127、R129、R130、R131は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。Zは単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R132−、又は−C(=O)−Z1−R132−である。Z1は酸素原子又はNH、R132は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基又はアルケニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを表す。e1は0≦e1≦0.3、e2は0≦e2≦0.3、e3は0≦e3≦0.3、0<e1+e2+e3≦0.3である。)
【0102】
M-の非求核性対向イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレート、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート、トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート、メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミド等のイミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチドなどのメチド酸を挙げることができる。
【0103】
更には、下記一般式(K−1)に示されるα位がフルオロ置換されたスルホネート、下記一般式(K−2)に示されるα,β位がフルオロ置換されたスルホネートが挙げられる。
【化53】
【0104】
一般式(K−1)中、R102は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数6〜20のアリール基であり、エーテル基、エステル基、カルボニル基、ラクトン環、又はフッ素原子を有していてもよい。
一般式(K−2)中、R103は水素原子、炭素数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アシル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又はアリーロキシ基であり、エーテル基、エステル基、カルボニル基、又はラクトン環を有していてもよい。
【0105】
なお、上記繰り返し単位e1、e2、e3の比率は、0≦e1+e2+e3≦0.3であるが、該繰り返し単位を導入する場合は、0.01≦e1+e2+e3≦0.25であることが好ましく、特に本発明に係るレジスト材料が酸発生剤を含まない場合は、0.02≦e1+e2+e3≦0.20が好ましく、更に好ましくは0.03≦e1+e2+e3≦0.18である。
【0106】
ここで、a1+a2+a3+a4+b+c+d+e1+e2+e3=1である。
例えばa+b=1とは、繰り返し単位a,bを含む高分子化合物において、繰り返し単位a,bの合計量が全繰り返し単位の合計量に対して100モル%であることを示し、a+b<1とは、繰り返し単位a,bの合計量が全繰り返し単位の合計量に対して100モル%未満でa,b以外に他の繰り返し単位c等を有していることを示す。
【0107】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジストのベース樹脂となる高分子化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,000〜500,000、特に2,000〜30,000であることが好ましい。重量平均分子量が小さすぎるとレジスト材料現像後の熱架橋における架橋効率が低下するものとなり、大きすぎるとアルカリ溶解性が低下し、パターン形成後に裾引き現象が生じ易くなる可能性がある。
【0108】
更に、本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト材料のベース樹脂となる高分子化合物においては、分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在するために露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりするおそれがある。それ故、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト材料を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
また、組成比率や分子量分布や分子量が異なる2つ以上のポリマーをブレンドすることも可能である。
【0109】
これら高分子化合物を合成するには、1つの方法としては繰り返し単位a1、a2、a3、a4、b、c、d、e1、e2、e3を得るための不飽和結合を有するモノマーを有機溶剤中、ラジカル開始剤を加え加熱重合を行う方法があり、これにより高分子化合物を得ることができる。重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が例示できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、好ましくは50〜80℃に加熱して重合できる。反応時間としては2〜100時間、好ましくは5〜20時間である。酸不安定基は、モノマーに導入されたものをそのまま用いてもよいし、酸不安定基を酸触媒によって一旦脱離し、その後、保護化あるいは部分保護化してもよい。
【0110】
本発明において、光塩基発生剤は、光塩基発生剤基を含む繰り返し単位としてベースポリマーの高分子化合物中に導入することで用いることができるが、光塩基発生剤基を高分子化合物中に導入するのではなく、又は光塩基発生剤基を導入した高分子化合物に加えて、上記式(i)〜(iii)のいずれかの部分構造を含む化合物を光塩基発生剤としてレジスト材料中に添加、使用することもできる。具体的には、下記一般式(2)〜(9)に示される添加型の光塩基発生剤を配合することができる。
【0111】
【化54】
(式中、R21、R22、R23、R26、R27、R28、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R40、R41、R42、R46、R47、R48は水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基で、アリール基が炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、又はトリフルオロメチル基を含んでいてもよいが、R21〜R23、R26〜R28、R32〜R34、R35〜R37、R40〜R42、R46〜R48の内少なくとも一つがアリール基であり、少なくとも1つが水素原子であり、又はR21〜R23及びR26〜R28及びR32〜R34及びR35〜R37及びR40〜R42及びR46〜R48の内、2つ以上が結合してこれらが結合する炭素原子と共に好ましくは炭素数3〜10、特に4〜8の非芳香環を形成してもよい。R24、R25、R29、R31、R38、R39、R43、R45、R51、R52、R55、R57は水素原子、又は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、2重結合、エーテル基、アミノ基、カルボニル基、ヒドロキシ基、又はエステル基を有していてもよく、R24とR25、R29とR31、R29とR30、R31とR30、R38とR39、R43とR44、R44とR45、R43とR45、R51とR52、R55とR56、R55とR57、R56とR57とが結合してこれらが結合する窒素原子と共に好ましくは炭素数3〜10、特に4〜8の非芳香環を形成してもよい。R30、R44、R56は単結合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルキン基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数2〜12のアルケニレン基、又は炭素数2〜12のアルキニレン基で、これらの基は2重結合、エーテル基、アミノ基、カルボニル基、ヒドロキシ基、又はエステル基を有していてもよい。R49、R50、R53、R54、R58、R59は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基で、R49とR50、R53とR54、R58とR59とが結合してこれらが結合する炭素原子及び該炭素原子が結合する窒素原子と共に好ましくは炭素数3〜10、特に4〜8の環を形成してもよく、環の中にベンゼン環、ナフタレン環、2重結合、又はエーテル結合を有していてもよい。R60は炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数2〜20のアルケニル基であり、R61は炭素数6〜20のアリール基、R62は水素原子、炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基である。R63、R64、R65は水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数2〜10のアルケニル基又はアルコキシカルボニル基、又はシアノ基で、上記アルキル基、アリール基、アルケニル基が炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、スルフィド基、アミノ基、又はエーテル基を有していてもよい。m、n、rは1又は2である。)
【0112】
一般式(2)で示される光塩基発生剤は、具体的には下記に例示される。ここで、R24、R25は前述の通りである。
【化55】
【0113】
【化56】
【0114】
一般式(3)で示される塩基発生剤は、具体的には下記に例示される。ここで、R29〜R31は前述の通りである(以下、同じ)。
【化57】
【0115】
【化58】
【0116】
【化59】
【0117】
式(3)の3分岐のアミン化合物が発生する塩基発生剤としては、下記に例示される。
【化60】
【0118】
一般式(4)で示される塩基発生剤は、具体的には下記に例示される。ここで、R38、R39は前述の通りである(以下、同じ)。
【化61】
【0119】
【化62】
【0120】
一般式(5)で示される塩基発生剤は、具体的には下記に例示される。ここで、R43〜R45は前述の通りである(以下、同じ)。
【化63】
【0121】
式(4)の3分岐のアミン化合物が発生する塩基発生剤としては、下記に例示される。
【化64】
【0122】
一般式(6)で示される塩基発生剤は、具体的には下記に例示される。ここで、R51、R52は前述の通りである。
【化65】
【0123】
一般式(7)で示される塩基発生剤は、具体的には下記に例示される。ここで、R55〜R57は前述の通りである(以下、同じ)。
【化66】
【0124】
式(7)の3分岐のアミン化合物が発生する塩基発生剤としては、下記に例示される。
【化67】
【0125】
一般式(8)で示される塩基発生剤は、具体的には下記に例示される。
【化68】
【0126】
【化69】
【0127】
【化70】
【0128】
一般式(9)で示される塩基発生剤は、具体的には下記に例示される。
【化71】
【0129】
【化72】
【0130】
なお、上記一般式(2)〜(9)に示される添加型の塩基発生剤の配合量は、ベースポリマーとしての上記高分子化合物100質量部に対して0〜10質量部、特に0〜8質量部の範囲が好ましく、配合する場合は、0.2質量部以上、特に0.5質量部以上が好ましい。
【0131】
本発明のパターン形成方法においては、前述の通り光酸発生剤よりも光塩基発生剤の方が発生効率が低いことが重要である。光酸発生剤としてスルホニウム塩、あるいはヨードニウム塩を用いた場合、一般式(1)〜(9)に示される塩基発生剤は発生効率が低いために好適に用いることができる。しかしながら、例えば光酸発生剤としてN−スルホニルオキシイミド、光塩基発生剤として(6)、(7)に示される化合物を用いた場合、発生効率が同じであるためにポジ化もネガ化も起こらない。
【0132】
本発明のパターン形成方法において、光塩基発生剤に併用して塩基によって塩基を発生させる塩基増殖剤を用いることもできる。塩基増殖剤を光塩基発生剤と併用する場合、アミノ基のモル数の関係は次の通りである。即ち、クエンチャー中のアミノ基の総モル数と、光塩基発生剤から発生するアミノ基の総モル数と、塩基増殖剤から発生するアミノ基の総モル数の和が、光酸発生剤から発生する酸の総モル数の和よりも多いことが必要である。塩基増殖剤としては、ポリマー主鎖に結合していてもよく、添加型でもよい。
【0133】
ポリマー主鎖に結合している場合では、一般式(1)の繰り返し単位a1において、R4、R5、R6の内の一つがアルケニル基である場合や、カルボニル基、エステル基、ラクトン環、カーボネート基、マレイミド基、アミド基、又はスルホ基を含んでいる場合である。
ポリマー主鎖型の塩基増殖剤としては、下記に例示することができる。このような主鎖型の塩基増殖剤は、酸不安定基や密着性基を有する繰り返し単位と共重合することができる。なお、R1〜R3は前述の通りである。
【0134】
【化73】
【0135】
添加型の塩基増殖剤は、下記式(2’)又は(3’)に示すものである。
【化74】
(但し、式中、R210、R220、R230、R260、R270、R280、R320、R330、R340は水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、又は炭素数7〜15のアラルキル基であるが、R210、R220、R230の少なくとも一つ、R260、R270、R280の少なくとも一つ、R320、R330、R340の少なくとも一つは、炭素数2〜8のアルケニル基であるか、あるいはカルボニル基、エステル基、ラクトン環、カーボネート基、マレイミド基、アミド基又はスルホ基を含む炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数7〜15のアラルキル基等の有機基である。R24、R25、R29、R30、R31、mは上記の通りである。)
【0136】
具体的には下記に例示することができる。なお、R24、R25、R29〜R31は前述の通りである。
【0137】
【化75】
【0138】
【化76】
【0139】
【化77】
【0140】
【化78】
【0141】
【化79】
【0142】
上記塩基増殖剤の配合量は、高分子化合物の主鎖に結合している場合は、繰り返し単位の総量100モル%中、0.1〜10モル%、好ましくは0.3〜8モル%、より好ましくは0.5〜7モル%である。添加型の場合は、高分子化合物(ベース樹脂)100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.3〜15質量部、より好ましくは0.5〜12質量部である。
【0143】
本発明に係るレジスト材料は、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)を含有する。光酸発生剤の成分としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでも構わない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等がある。これらは単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
【0144】
光酸発生剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0122]〜[0142]に記載されている。本発明のパターン形成方法において、光塩基発生剤よりも光酸発生剤の方が光による発生効率が高くなければ、中間の露光量でのポジ化を起こすことはできない。よって光酸発生剤としては、α位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、又はメチド酸を発生させるものが好ましく、このような酸の発生効率の高いスルホニウム塩やヨードニウム塩系の光酸発生剤を用いることが好ましい。
【0145】
かかる光酸発生剤として具体的には、下記のものが挙げられる。
スルホニウム塩はスルホニウムカチオンとスルホネートあるいはビス(置換アルキルスルホニル)イミド、トリス(置換アルキルスルホニル)メチドの塩であり、スルホニウムカチオンとしてトリフェニルスルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ジフェニル(4−チオフェノキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、2−ナフチルジフェニルスルホニウム、ジメチル2−ナフチルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、4−メトキシフェニルジメチルスルホニウム、トリメチルスルホニウム、2−オキソシクロヘキシルシクロヘキシルメチルスルホニウム、トリナフチルスルホニウム、トリベンジルスルホニウム、ジフェニルメチルスルホニウム、ジメチルフェニルスルホニウム、2−オキソ−2−フェニルエチルチアシクロペンタニウム、4−n−ブトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム、2−n−ブトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム等が挙げられ、スルホネートとしては、トリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ドデカフルオロヘキサンスルホネート、ペンタフルオロエチルパーフルオロシクロヘキサンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−フェニルベンゾイルオキシ)プロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ピバロイルオキシプロパンスルホネート、2−シクロヘキサンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−フロイルオキシプロパンスルホネート、2−ナフトイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(4−tert−ブチルベンゾイルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−アダンマンタンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−アセチルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トシルオキシプロパンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−ナフチル−エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8−イル)エタンスルホネート等が挙げられ、ビス(置換アルキルスルホニル)イミドとしてはビストリフルオロメチルスルホニルイミド、ビスペンタフルオロエチルスルホニルイミド、ビスヘプタフルオロプロピルスルホニルイミド、1,3−プロピレンビススルホニルイミド等が挙げられ、トリス(置換アルキルスルホニル)メチドとしてはトリストリフルオロメチルスルホニルメチドが挙げられ、これらの組み合わせのスルホニウム塩が挙げられる。
【0146】
ヨードニウム塩はヨードニウムカチオンとスルホネートあるいはビス(置換アルキルスルホニル)イミド、トリス(置換アルキルスルホニル)メチドの塩であり、ジフェニルヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、4−tert−ブトキシフェニルフェニルヨードニウム、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム等のアリールヨードニウムカチオンが挙げられ、スルホネートとしては前述のスルホニウム塩と同様のスルホネートを適用することができる。
【0147】
上記光酸発生剤の含有量は、ベース樹脂としての上記高分子化合物100質量部に対して0.1〜30質量部、特に0.5〜25質量部の範囲が好ましい。
【0148】
本発明に係るレジスト材料は、更に、有機溶剤、塩基性化合物(クエンチャー)を含有する。更に、溶解制御剤、界面活性剤、アセチレンアルコール類のいずれか1つ以上を含有することができる。
【0149】
レジスト用の有機溶剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0144]〜[0145]に記載されている化合物を用いることができる。
【0150】
即ち、ここで使用される有機溶剤としては、ベース樹脂、酸発生剤、その他の添加剤等が溶解可能な有機溶剤であればいずれでもよい。このような有機溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。本発明では、これらの有機溶剤の中でもレジスト成分中の酸発生剤の溶解性が最も優れているジエチレングリコールジメチルエーテルや1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びその混合溶剤が好ましく使用される。
【0151】
有機溶剤の使用量は、ベース樹脂としての上記高分子化合物100質量部に対して200〜8,000質量部、特に400〜6,000質量部が好適である。
【0152】
レジスト用のクエンチャーとして機能する塩基性化合物としては、特開2008−111103号公報の段落[0146]〜[0164]、界面活性剤は段落[0165]〜[0166]、溶解制御剤としては特開2008−122932号公報の段落[0155]〜[0178]、アセチレンアルコール類は段落[0179]〜[0182]に記載されている材料を用いることができる。
この場合、クエンチャーとしては、特に上記公報の段落[0152]〜[0156]に記載の構造のものが好ましい。
【0153】
更に詳述すると、クエンチャーとしては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド類、イミド類、カーバメート類等が挙げられる。
【0154】
更に、下記一般式(B)−1で示される含窒素有機化合物が例示される。
N(X)n(Y)3-n (B)−1
(上記式中、nは1、2又は3である。側鎖Xは同一でも異なっていてもよく、下記一般式(X1)、(X2)又は(X3)で表すことができる。側鎖Yは同一又は異種の、水素原子もしくは直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜20のアルキル基を示し、エーテル基もしくはヒドロキシル基を含んでもよい。また、X同士が結合して環を形成してもよい。)
【化80】
【0155】
上記一般式(X1)〜(X3)中、R300、R302、R305は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R301、R304は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、又はラクトン環を1個あるいは複数個含んでいてもよい。
R303は単結合、又は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R306は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環を1個あるいは複数個含んでいてもよい。
【0156】
更に、下記一般式(B)−2に示される環状構造を持つ含窒素有機化合物が例示される。
【化81】
(上記式中、Xは前述の通り、R307は炭素数2〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、カルボニル基、エーテル基、エステル基、又はスルフィドを1個あるいは複数個含んでいてもよい。)
【0157】
更に、下記一般式(B)−3〜(B)−6で表されるシアノ基を含む含窒素有機化合物が例示される。
【化82】
(上記式中、X、R307、nは前述の通り、R308、R309は同一又は異種の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。)
【0158】
更に、下記一般式(B)−7で表されるイミダゾール骨格及び極性官能基を有する含窒素有機化合物が例示される。
【化83】
(上記式中、R310は炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状の極性官能基を有するアルキル基であり、極性官能基としては水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基、シアノ基、アセタール基のいずれかを1個あるいは複数個含む。R311、R312、R313は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。)
【0159】
更に、下記一般式(B)−8で示されるベンズイミダゾール骨格及び極性官能基を有する含窒素有機化合物が例示される。
【化84】
(上記式中、R314は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アリール基、又はアラルキル基である。R315は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の極性官能基を有するアルキル基であり、極性官能基としてエステル基、アセタール基、シアノ基のいずれかを一つ以上含み、その他に水酸基、カルボニル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基のいずれかを一つ以上含んでいてもよい。)
【0160】
更に、下記一般式(B)−9及び(B)−10で示される極性官能基を有する含窒素複素環化合物が例示される。
【化85】
(上記式中、Aは窒素原子又は≡C−R322である。Bは窒素原子又は≡C−R323である。R316は炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状の極性官能基を有するアルキル基であり、極性官能基としては水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基、シアノ基又はアセタール基を一つ以上含む。R317、R318、R319、R320は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアリール基であるか、又はR317とR318、R319とR320はそれぞれ結合してベンゼン環、ナフタレン環あるいはピリジン環を形成してもよい。R321は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアリール基である。R322、R323は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアリール基である。R321とR323は結合してベンゼン環又はナフタレン環を形成してもよい。)
【0161】
更に、下記一般式(B)−11〜(B)−14で示される芳香族カルボン酸エステル構造を有する含窒素有機化合物が例示される。
【化86】
(上記式中、R324は炭素数6〜20のアリール基又は炭素数4〜20のヘテロ芳香族基であって、水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアシルオキシ基、又は、炭素数1〜10のアルキルチオ基で置換されていてもよい。R325はCO2R326、OR327又はシアノ基である。R326は一部のメチレン基が酸素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。R327は一部のメチレン基が酸素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基又はアシル基である。R328は単結合、メチレン基、エチレン基、硫黄原子又は−O(CH2CH2O)n−基である。n=0,1,2,3又は4である。R329は水素原子、メチル基、エチル基又はフェニル基である。Xは窒素原子又はCR330である。Yは窒素原子又はCR331である。Zは窒素原子又はCR332である。R330、R331、R332はそれぞれ独立に水素原子、メチル基又はフェニル基であるか、あるいはR330とR331又はR331とR332が結合して、炭素数6〜20の芳香環又は炭素数2〜20のヘテロ芳香環を形成してもよい。)
【0162】
更に、下記一般式(B)−15で示される7−オキサノルボルナン−2−カルボン酸エステル構造を有する含窒素有機化合物が例示される。
【化87】
(上記式中、R333は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基である。R334及びR335はそれぞれ独立に、エーテル、カルボニル、エステル、アルコール、スルフィド、ニトリル、アミン、イミン、アミドなどの極性官能基を1個又は複数個含んでいてもよい炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基であって、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい。R334とR335は互いに結合して、炭素数2〜20のヘテロ環又はヘテロ芳香環を形成してもよい。)
【0163】
更に、クエンチャーとして特許第3790649号公報記載のカルバメート基を有する化合物を用いることもできる。カルバメート基を有する化合物はアミノ基を有していないが、酸によってカルバメート基が分解しアミノ基が生成され、クエンチャーとしての機能が発揮される。
【0164】
なお、クエンチャー(塩基性化合物)の配合量は、ベース樹脂としての上記高分子化合物100質量部に対して0.01〜15質量部、特に0.1〜12質量部の範囲が好ましい。
【0165】
上記式(1)〜(9)に示される光塩基発生剤基から発生したアミン化合物を触媒として、アミンを発生させるアミン増殖機構を利用した場合はアミンの発生効率を高め、アミンの発生を露光量に対して非線形にすることができるメリットがある。アミンの発生が非線形になると、不活性化のコントラストが向上し、ネガ化のコントラストを向上させることができる。
【0166】
ここで、本発明のパターン形成方法に用いるレジスト材料としては、クエンチャー中のアミノ基の総モル数と本発明に係る高分子化合物の光塩基発生剤基を有する繰り返し単位から発生するアミノ基の総モル数との和が、酸発生剤から発生する酸の総モル数と、高分子化合物のスルホニウム塩を持つ繰り返し単位から発生する酸の総モル数との和よりも多いことが必要である。これによって過露光部分で酸発生剤から発生した酸の不活性化が行われる。
【0167】
好ましくは、アミノ基の総モル数の和が酸の総モル数よりも20%以上多いことが好ましく、より好ましくは40%以上であるが、100%を超える場合は、アミン化合物の発生量が常に酸の発生量よりも多くなり、ポジ化の領域、即ち露光量を上げていったときに一旦アルカリに溶解する露光量域が存在しなくなることがあるため、アミノ基の量は、酸発生量に対して最適化する必要がある。かかる点から100%以下であることが好ましく、特には25〜80%、とりわけ30〜70%である。
【0168】
アミノ基の総モル数が増加すると図5のポジ化の感度が低下し、同時にネガ化の感度が向上する。アミノ基の総モル数が多すぎるとポジ化とネガ化の感度が交差し、膜厚が0になる領域が存在しなくなる。また、ネガ化の露光量をポジ化の露光量で割った値が3〜8の範囲になるようにクエンチャーと塩基発生剤の添加量を調整すると、実際のパターンにおいてラインの分割が達成される。
【0169】
ポジ化とネガ化の感度は、PEB温度によっても調整することができる。PEB温度が高いとポジ化が高感度化、ネガ化が低感度化してネガ化の露光量をポジ化の露光量で割った値が大きくなる。逆にPEB温度を下げると上記と逆で、下げすぎるとポジ化とネガ化の感度が交差する。PEB温度を変えるとポジ化とネガ化の感度が変わるだけでなく、酸とアミンの拡散距離が変化する。ポジ化を高感度化し、ネガ化を低感度化させるために必要以上にPEB温度を高めることは、酸とアミンの拡散距離を伸ばすことになり、解像性の劣化を招くために好ましいことではない。PEB温度を変えてポジ化とネガ化の感度を調整するよりは、クエンチャーと塩基発生剤の添加量を変えることによってポジ化とネガ化の感度を調整する方が好ましい。
【0170】
好ましくは、アミノ基の総モル数の和が酸の総モル数よりも20%以上多いことが好ましく、より好ましくは40%以上であるが、100%を超える場合は、アミン化合物の発生量が常に酸の発生量よりも多くなり、ポジ化の領域、即ち露光量を上げていったときに一旦アルカリに溶解する露光量域が存在しなくなることがあるため、アミノ基の量は、酸発生量に対して最適化する必要がある。かかる点から100%以下であることが好ましく、特には25〜80%、とりわけ30〜70%である。
【0171】
クエンチャーだけのアミノ基の総モル数が酸発生剤から発生する酸の総モル数よりも多い場合は、酸発生剤から発生する酸が露光量の大小に拘わらずに中和されているので脱保護反応が起こらず、ポジ化溶解挙動を示さない。よってクエンチャーのアミノ基の総モル数は酸発生剤から発生する酸の総モル数よりも少なくしなければならない。また、光塩基発生剤と塩基増殖剤を併用する場合は、アミノ基の総モル数はクエンチャーのアミノ基のモル数と光塩基発生剤から発生するアミノ基のモル数と塩基増殖剤から発生するアミノ基のモル数の和が酸の総モル数よりも20%以上多いことが好ましい。
光塩基発生剤を用いずに塩基増殖剤だけを用いた場合は、アミンの発生が露光量の増大に従って多くなることがないためネガ化が起こらない。よって塩基増殖剤を用いる場合は、光塩基発生剤と併用する必要がある。
【0172】
アミノ基の総モル数が増加すると図5のポジ化の感度が低下し、同時にネガ化の感度が向上する。アミノ基の総モル数が多すぎるとポジ化とネガ化の感度が交差し、膜厚が0になる領域が存在しなくなる。また、ネガ化の露光量をポジ化の露光量で割った値が3〜8の範囲になるようにクエンチャーと塩基発生剤の添加量を調整すると、実際のパターンにおいてラインの分割が達成される。
【0173】
ポジ化とネガ化の感度は、PEB温度によっても調整することができる。PEB温度が高いとポジ化が高感度化、ネガ化が低感度化してネガ化の露光量をポジ化の露光量で割った値が大きくなる。逆にPEB温度を下げると上記と逆で、下げすぎるとポジ化とネガ化の感度が交差する。PEB温度を変えるとポジ化とネガ化の感度が変わるだけでなく、酸とアミンの拡散距離が変化する。ポジ化を高感度化し、ネガ化を低感度化させるために必要以上にPEB温度を高めることは、酸とアミンの拡散距離を伸ばすことになり、解像性の劣化を招くために好ましいことではない。PEB温度を変えてポジ化とネガ化の感度を調整するよりは、クエンチャーと塩基発生剤の添加量を変えることによってポジ化とネガ化の感度を調整する方が好ましい。
【0174】
図3に従来のポジ型レジスト材料のコントラストカーブが示される。ここで横軸は露光量、縦軸は膜厚であり、横軸の右側の方が露光量が多く、縦軸の上の方が膜厚が厚い。露光量を上げていくと、ある閾値から膜厚が減少していく様子が示されている。
このようなレジスト材料を用いて図4の上に示される光学像において得られたパターンを図4の下に示す。
【0175】
図5に本発明のデュアルトーンレジスト材料のコントラストカーブが示される。露光量を上げていくと、ポジ型レジスト材料のように溶解が進行し、膜厚が0になるが、更に露光量を上げていくと、ネガ型レジスト材料のように膜厚が上昇する。このようなデュアルトーンレジスト材料を用いて図6の上に示される光学像において得られたパターンが図6の下に示される。図4に比べて線幅が半分となり、同じピッチで倍の数のパターンが形成されている。
【0176】
本発明のパターン形成方法に用いられる光塩基発生剤基は、一般式(1)中のa1〜a4に示されるように、分解によって主鎖にアミノ基が発生する光塩基発生剤基、あるいは一般式(2)〜(9)に示される添加型の光塩基発生剤によってデュアルトーンの特性を得ることができる。ベーク(PEB)中にアミンが過剰になっている領域からアミンが蒸発し、酸が過剰になっている領域に再付着し、本来ならばスペースパターンが形成されるはずの領域のパターンが形成されなかったり、スペースパターンのトップが庇を形成して頭張り形状となったりする。ダークパターンとブライトパターンとで形状差や寸法差が生じ、いわゆるケミカルフレアによるダークブライト(DB)差が生じる場合がある。この場合、アミンの蒸発によるDB差を生じさせないためには主鎖に結合したアミノ基が発生する光塩基発生剤や、高沸点のアミンが発生する光塩基発生剤を用いることや、レジストの上層に保護膜を適用することが好ましい。
【0177】
本発明のパターン形成方法に用いられるフォトマスクとしては、石英基板上に露光波長の10〜40%透過率のハーフトーン位相シフト膜を積層させたハーフトーン位相シフトマスクを用いる。通常ハーフトーン位相シフトマスクとしては、6%程度の透過率のハーフトーン位相シフトマスクが用いられている。ハーフトーン位相シフト膜としてはCrと酸素及び又は窒素を含有するCr系の膜や珪素と酸素及び/又は窒素を含有している材料など所定の透過率と位相差を満たすものであればよいが、珪素と酸素及び/又は窒素を含有する材料が所定の位相差で高い透過率が得易く、特に200nm以下の露光波長であるArFを光源とした露光で所定の位相差で高い透過率を得ることがきるため好ましい。珪素に酸素及び/又は窒素を含有する材料としては、SiOやSiN、SiON(本標記は構成元素を示すものであり、組成比を示すものではない、以下同じ)などSiとO、Nからなるものの他に更にCや遷移金属などを含んでいてもよい。特に遷移金属を含ませることによって透過率を所定の値に調整することが容易となる。また、窒素や酸素などの含有量を調整することによって透過率を調整することもできる。遷移金属としてはMo、Ta、Zr、W、Ti、Cr、Hfなどが挙げられるが、特にMo、Ta、Zr、更にはMoを含むものが耐薬品性、加工性の観点から好ましい。具体的にはMoSiN、MoSiON、MoSiO、ZrSiN、ZrSiON、ZrSiO、TaSiN、TaSiON、TaSiOなどを挙げることができる。遷移金属としては1種のものを挙げたが、MoZrSiN、MoZrSiON、MoZrSiO、MoTaSiN、MoTaSiON、MoTaSiO、ZrTaSiN、ZrTaSiON、ZrTaSiOなど、遷移金属を2種以上含むものとしてもよい。
【0178】
位相シフト量(単位:度)としては、簡易的には下記式で計算することができる。
【数1】
【0179】
例えば、位相シフターの屈折率2.0、位相シフターの膜厚100nm、露光波長193nmの条件で位相差は187度である。位相シフターの屈折率は1.4〜3.0の範囲が好ましく、更に好ましくは1.5〜2.8の範囲である。位相シフト膜の屈折率は大きい方が位相シフト膜の膜厚を小さくできるという利点がある。位相シフト膜を薄膜化した場合、位相シフト膜をドライエッチングで加工するときに加工し易い点が利点である。
最適な位相シフト量は、ターゲットとなる寸法、露光装置の照明条件、マスクの透過率やラインの寸法によっても異なるが、位相差としては170〜250度、好ましくは180〜240度、より好ましくは190〜235度の範囲である。このようにすることよって、例えば、ダイポール型などの変形照明を用い、液浸を用いた露光において、微細なパターンをより精密に形成することができる。特に微細なパターンを形成するときは位相差が180度以上とすることが有効である。
【0180】
例えば露光波長193nm、NA1.35、ウエハー上寸法が88nmピッチ、透過率20%でライン寸法20nmのパターンの場合210度程度が最も高コントラストとなる。ハーフトーンの透過率が低くなると最適な位相差は小さくなり、透過率が高くなると大きくなる。高透過率のハーフトーン位相シフトマスクの場合、最適なラインの幅はピッチの半分よりも細い寸法が適している。例えばNA1.35、ウエハー上寸法が88nmピッチ、透過率20%で位相差180度の場合、最適なライン寸法は20nmである。
【0181】
本発明のパターン形成方法は、露光波長や露光方法に特に制約はないが、露光波長が200nm以下、例えば193nmなど、照明系としては偏光照明やダイポールなどの変形照明、液浸などを用い、60nm以下のパターンを形成するのに特に好ましい。デュアルトーンレジストはパターンのピッチを半分にすることが可能であり、ハーフピッチ60nmのパターンを形成する場合、マスクのパターンの寸法はウエハー上の換算で120nmである。
デュアルトーンレジストは、ポジパターンよりもネガパターンの方が溶解コントラストが低い。光学コントラストが低くなるとポジパターンよりもネガパターンの方が形成しにくくなり、ネガパターンの方がエッジラフネスが大きくなったり、パターンの寸法が太くなったりする。低コントラストの光ではポジパターンとネガパターンとの寸法差が大きくなる。
【0182】
ここで、ダブルパターニングについて説明する。図2は従来のダブルパターニング方法を示す。
図2に示すダブルパターニング方法において、基板10上の被加工層20上にレジスト膜30を塗布、形成する。レジストパターンのパターン倒れ防止のため、レジスト膜の薄膜化が進行しており、それに伴うエッチング耐性の低下を補うためにハードマスクを用いて被加工基板を加工する方法が行われている。ここで、図2に示すダブルパターニング方法としては、レジスト膜30と被加工層20の間にハードマスク40を敷く積層膜である(図2−A)。ダブルパターニング方法において、ハードマスクは必ずしも必須ではないし、ハードマスクの代わりにカーボン膜による下層膜と珪素含有中間膜を敷いてもよく、ハードマスクとレジスト膜との間に有機反射防止膜を敷いてもよい。ハードマスクとしては、SiO2、SiN、SiON、p−Si、TiNなどが用いられる。また、このダブルパターニング方法において、用いるレジスト材料はポジ型レジスト材料である。この方法においては、上記レジスト膜30を露光、現像し(図2−B)、次いでハードマスク40をドライエッチングし(図2−C)、レジスト膜を剥離後、2回目のレジスト膜50を塗布、形成し、露光、現像を行う(図2−D)。次に、被加工層20をドライエッチングする(図2−E)が、ハードマスクパターンと、2回目のレジストパターンをマスクにしてエッチングするために、ハードマスク40とレジスト膜50のエッチング耐性の違いにより被加工基板のエッチング後のパターン寸法にずれが生じる。
図2に挙げたダブルパターニング方法は、露光とハードマスクのエッチングを2回行うことになり、プロセスが長いことと、露光装置のアライメント時の位置ずれの問題を有している。
【0183】
一方、本発明のパターニング方法は、例えば図1−Aに示したように、基板10上の被加工層20上にハードマスク40を介してレジスト膜30を形成することは、上記図2の場合と同様である。この状態で所用箇所31を露光する(図1−B)。この場合、上記露光箇所31において、一定の露光量Eで露光しても、露光箇所31の中央部32の露光量が多く、これより両端側33,34に向けて露光量が漸減するもので、上記露光量Eは、露光箇所31における平均の露光量である。そして、このように露光量が多くなる中央部及びその両側の所定部分が、これらをライン幅として残すように、予め使用するレジスト材料について検討、確認しておいた過露光となるような露光量で露光し、次いで現像することにより、図1−Cに示すように、非露光部が未溶解部分として残ると共に、上記中央部32及びその両側の過露光部分も未溶解部分として残る。なお、上記露光量については、図5に示すカーブにおいて、膜厚が0となる露光量E0を調べ、この露光量の5〜10倍の露光量にて露光することができる。図5のコントラストカーブにおいて、前述の通り膜厚が増加し始めるネガ化の感度を、膜厚が0になるポジ化の膜厚で割った値が3〜8の範囲になっている場合にパターニングにおいて1本のラインを2本に分割し解像力を倍加することができる。従って、露光は1回で、2回の露光のパターニングと同等の解像力を得ることができ、またこの場合、図1−Dに示したように、ハードマスク40のエッチングも1回で済み、被加工層20の加工エッチングも1回で済む(図1−E)。しかも、本発明の場合、従来の倍の解像力を得ることができるものである。
【0184】
図7は、ブライトラインのマスクパターンを示し、図8はこのマスクと本発明に係るレジスト材料を用いた場合の現像後のパターンを示す。即ち、マスク101の透光部102よりレジスト膜201が露光されるが、この場合、スペースの中央部103及びその両側が過露光になってこの部分がネガ化し、アルカリ現像液に不溶となってライン202を形成すると共に、このライン202の両側の露光部はアルカリ現像液に可溶となるため、スペース203を形成する。また、上記マスク101の非透光部104に対応するレジスト膜部分は露光されないためアルカリ現像液に不溶であるが、この場合、上記マスク101の非透光部104の両側は露光時に光が侵入し、この侵入部分はアルカリ現像液可溶となるため、上記非透光部103の幅よりも若干幅狭のライン204が形成される。更に、上記マスク101の四周は過露光になるため四角枠状のライン205が形成される。なお、この不要な四角枠状のラインをカットする場合は、このためのパターニングが必要である。このためのパターニングは、図8のパターンをエッチングで一旦ハードマスクに転写した後にその上にもう一度レジスト材料を塗布し、カット露光のパターニングを行う。但し、カット露光のための露光はパターンの解像力は必要なく、高価な液浸リソグラフィーを用いることなく、ArFのドライでもKrF露光でも構わない。
従って、これによりマスク上の1本のラインパターンを、1回の露光、PEB、現像によって1本のラインと2本のスペースに分割形成することができる。
【0185】
図9はダークトレンチのマスクパターンであり、図10はこれと本発明に係るレジスト材料を用いた場合の現像後のパターンを示す。この場合、図8と同様のパターンが同様にして形成される。
従って、これによりマスク上の1本のスペースパターンを、1回の露光、PEB、現像によって1本のラインと2本のスペースに分割形成することができる。
なお、マスク上の1対のラインアンドスペースパターンを、1回の露光、PEB、現像によって2対のラインアンドスペースに分割形成する場合は、ダーク、ブライトマスクに拘わらず、ラインとスペースのパターンが無限に近く並んでいる場合によって形成される。
図9に示されるダークマスクを用いた場合は図10に示されるパターンが形成されるが、図8と図10は同じパターンであり、即ちブライトマスクを用いてもダークマスクを用いても同じパターンを得ることができる。
【0186】
図11は露光波長193nm、NA1.35、σ0.9 20度ダイポール照明、s偏光照明、ウエハー上寸法がピッチ88nmのマスクで、シフター角度180度、5%透過率のハーフトーン位相シフトマスクのライン幅(シフター幅)を変化させたときの光学コントラストを示す。光学イメージを市販のシミュレータ(KLA−Tencor社製PROLITH Ver.10のMaxwell Mode)で計算し、得られた光学イメージから光学コントラストを求める。
【0187】
光学コントラストは、下記式で計算することができる。
【数2】
図11の結果より、5%ハーフトーン位相シフトマスクの場合、ライン幅44nmが最大のコントラストであることが判る。
【0188】
10%ハーフトーン位相シフトマスクの場合、図12に示すようにライン幅が44nmよりもやや細い方がコントラストが向上する。15%以上のハーフトーン位相シフトマスクの場合、細いラインの方がコントラストが向上する傾向は顕著になり、図13〜17に示すように、20nm付近で最大のコントラストを得ることができる。
図18では幅44nmの5%ハーフトーン位相シフトマスクでシフターの膜厚を変えて位相角度を変えた場合である。180度よりもやや厚いシフター膜厚の方がコントラストが上がり、最大値が222度付近である。
図19は幅20nmの20%ハーフトーン位相シフトマスクのシフター角度を変えた場合である。この場合では205〜215度付近が最大値となっている。
図18と図19のシフターの膜厚を最適化したときに得られる最大のコントラストは、ほぼ同じである。このことは、高透過率ハーフトーン位相シフトマスクを用いてもコントラストを向上する効果はないことを示している。しかしながら、図20に示すように、図18と図19の最大のコントラストの光強度を比べてみると、20%透過率ハーフトーン位相シフトマスクの方が遙かにスペース部分の光強度が強いことが判る。スペース部分の光強度が高くなるとデュアルトーンレジストのネガ化の感度が向上する。図20で20%ハーフトーン位相シフトマスクの方が5%ハーフトーン位相シフトマスクよりも約2倍の強度を持っているので、2倍の高感度化が期待できる。
通常のポジ型レジストの場合、高透明なハーフトーン位相シフトマスクを用いても数%感度が向上するだけであり、デュアルトーンレジスト程の感度の向上は見られない。
通常のポジ型レジストの場合、コントラストカーブで膜厚が0になる露光量の3〜4倍の露光量を与えることによってラインアンドスペース1:1のパターンを得ることができる。デュアルトーンレジストの場合、ポジパターンをオーバー露光で細く仕上げると同時にネガパターンを得るために、膜厚が0になる露光量の5〜10倍の露光量を与えるために低感度になってしまう問題点がある。本発明の高透明なハーフトーン位相シフトマスクを適用すると、スペース部分の光の強度が上がるためにネガ化の感度が上がり、感度を向上することができる。
【0189】
本発明のパターン形成方法を示す図1において、基板10としては、シリコン基板が一般的に用いられる。被加工層20としては、SiO2、SiN、SiON、SiOC、p−Si、α−Si、TiN、WSi、BPSG、SOG、Cr、CrO、CrON、MoSi、低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜が挙げられる。また、ハードマスク40としては、上述した通りである。なお、ハードマスクの代わりにカーボン膜による下層膜と珪素含有中間膜あるいは有機反射防止膜等の中間介在層を形成してもよい。
【0190】
本発明においては、上記被加工層に直接又は上記ハードマスク等の中間介在層を介して本発明に係るレジスト材料によるレジスト膜を形成するが、このレジスト膜の厚さとしては、10〜1,000nm、特に20〜500nmであることが好ましい。このレジスト膜は、露光前に加熱(プリベーク)を行うが、この条件としては60〜180℃、特に70〜150℃で10〜300秒間、特に15〜200秒間行うことが好ましい。
次いで、露光を行う。ここで、露光は波長140〜250nmの高エネルギー線、その中でもArFエキシマレーザーによる193nmの露光が最も好ましく用いられる。露光は大気中や窒素気流中のドライ雰囲気でもよいし、水中の液浸露光であってもよい。ArF液浸リソグラフィーにおいては液浸溶媒として純水、又はアルカンなどの屈折率が1以上で、露光波長に高透明の液体が用いられる。液浸リソグラフィーでは、プリベーク後のレジスト膜と投影レンズの間に、純水やその他の液体を挿入する。これによってNAが1.0以上のレンズ設計が可能となり、より微細なパターン形成が可能になる。液浸リソグラフィーはArFリソグラフィーを45nmノードまで延命させるための重要な技術である。液浸露光の場合は、レジスト膜上に残った水滴残りを除去するための露光後の純水リンス(ポストソーク)を行ってもよいし、レジスト膜からの溶出物を防ぎ、膜表面の滑水性を上げるために、プリベーク後のレジスト膜上に保護膜を形成させてもよい。液浸リソグラフィーに用いられるレジスト保護膜としては、例えば、水に不溶でアルカリ現像液に溶解する1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物をベースとし、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、及びこれらの混合溶媒に溶解させた材料が好ましい。レジスト膜形成後に、純水リンス(ポストソーク)を行うことによって膜表面からの酸発生剤などの抽出、あるいはパーティクルの洗い流しを行ってもよく、露光後に膜上に残った水を取り除くためのリンス(ポストソーク)を行ってもよい。
【0191】
光塩基発生剤から発生したアミンがベーク中に蒸発し、これが酸が過剰な領域のレジスト表面に再付着することによって、本来酸によって脱保護が進行して現像後にスペースが開く領域が開口しない現象が起きることがある。このために光塩基発生剤から発生するアミンは沸点が高く、理想的にはポリマー主鎖にアミノ基が結合したアミンが発生する光塩基発生剤を用いることが望ましい。しかしながら、高沸点のバルキーなアミンや高分子型のアミンは酸の補足能が低く、不活性化能が低い。不活性化能が低い場合、ネガ化のコントラストが低くなり、ネガパターンの形状が逆テーパー形状になり、エッジラフネスが劣化するおそれがある。添加型の光塩基発生剤から発生するアミンは不活性化能が高いが、ベーク中に蒸発しケミカルフレアを引き起こす可能性がある。ケミカルフレアを防止するために、レジストの上層に保護膜を適用することは効果的である。
保護膜材料としては、特開2006−91798号公報、特開2007−316581号公報、特開2008−81716号公報、特開2008−111089号公報、特開2009−205132号公報に示されている材料を挙げることができる。
【0192】
レジスト材料として、レジスト表面の撥水性を上げるための添加剤を加えてもよい。このものは、フルオロアルコール基を有する高分子体であり、スピンコート後のレジスト表面に配向することによって表面エネルギーを低下させ、滑水性が向上する。このような材料は、特開2007−297590号公報、特開2008−122932号公報に示される。
【0193】
露光における露光量は1〜200mJ/cm2程度、好ましくは10〜100mJ/cm2、更に好ましくは15〜80mJ/cm2程度となるように露光する。
次に、ホットプレート上で60〜150℃、1〜5分間、好ましくは80〜120℃、1〜3分間ポストエクスポジュアーベーク(PEB)する。
更に、0.1〜5質量%、好ましくは2〜3質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより基板上に目的のパターンが形成される。
【0194】
次いで、レジスト膜をマスクとしてハードマスク等の中間介在層をエッチングし、更に被加工層のエッチングを行う。この場合、ハードマスク等の中間介在層のエッチングは、フロン系、ハロゲン系のガスを用いてドライエッチングすることによって行うことができ、被加工層のエッチングは、ハードマスクとのエッチング選択比をとるためのエッチングガス及び条件を適宜選択することができ、フロン系、ハロゲン系、酸素、水素等のガスを用いてドライエッチングすることによって行うことができる。次いで、レジスト膜を除去するが、この除去は、ハードマスク等の中間介在層のエッチング後に行ってもよい。なお、レジスト膜の除去は、酸素、ラジカルなどのドライエッチングによって行うことができ、あるいはアミン系、又は硫酸/過酸化水素水などの有機溶媒などの剥離液によって行うことができる。
【実施例】
【0195】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例等に制限されるものではない。なお、重量平均分子量(Mw)はGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量を示す。
【0196】
[合成例]
レジスト材料に添加される高分子化合物として、各々のモノマーを組み合わせてテトラヒドロフラン溶媒下で共重合反応を行い、メタノールに晶出し、更にヘキサンで洗浄を繰り返した後に単離、乾燥して、以下に示す組成の高分子化合物(ポリマー1〜8)を得た。得られた高分子化合物の組成は1H−NMR、分子量及び分散度はゲルパーミエーションクロマトグラフにより確認した。
【0197】
ポリマー1
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.76
【化88】
【0198】
ポリマー2
分子量(Mw)=8,800
分散度(Mw/Mn)=1.77
【化89】
【0199】
ポリマー3
分子量(Mw)=7,600
分散度(Mw/Mn)=1.79
【化90】
【0200】
ポリマー4
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.92
【化91】
【0201】
ポリマー5
分子量(Mw)=8,900
分散度(Mw/Mn)=1.83
【化92】
【0202】
ポリマー6
分子量(Mw)=7,300
分散度(Mw/Mn)=1.81
【化93】
【0203】
ポリマー7
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.79
【化94】
【0204】
ポリマー8
分子量(Mw)=9,300
分散度(Mw/Mn)=1.93
【化95】
【0205】
[レジストの組成及び調製]
上記で合成した高分子化合物(ポリマー1〜8)、酸発生剤(PAG1)、光塩基発生剤及び塩基増殖剤(BG1〜12)、塩基性化合物(アミンクエンチャー:Quencher1,2)、レジスト表面撥水剤(撥水剤ポリマー1)、住友スリーエム(株)製界面活性剤;FC−4430が50ppm混合された溶剤を表1の組成で混合し、0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過した溶液を調製した。
【0206】
【化96】
【0207】
【化97】
【0208】
【化98】
有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
CyH(シクロヘキサノン)
PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)
【0209】
【表1】
【0210】
上記表1の組成のレジストポリマー中の光塩基発生剤から発生するアミノ基のモル数a、添加した塩基発生剤から発生するアミノ基のモル数b、クエンチャーのアミノ基のモル数c、酸発生剤から発生する酸及びスルホニウム塩を持つ繰り返し単位から発生する酸のモル数d、上記アミノ基の合計モル数を酸のモル数で割った値eとした場合の値を表2に示す。
【0211】
【表2】
【0212】
(1)コントラストカーブ評価
表1中に示されるレジスト1をシリコンウエハーにARC−29A(日産化学工業(株)製)を80nmの膜厚で成膜した基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを110nmにした。これをArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製、NSR−S307E,NA0.85、σ0.93、通常照明)を用いて露光量を変えながらオープンフレーム露光を行い、100℃で60秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で30秒間現像を行った。現像後のレジスト膜厚を光学式膜厚計で測定した。レジスト1の結果を図21に示す。図21において膜厚が0になるポジ化の感度は18mJ/cm2、膜厚が増加し始めるネガ化の感度は72mJ/cm2である。
【0213】
位相シフトマスク:
位相シフトマスクとしてはMoSiON膜が位相シフト膜パターンとして152mm(6インチ)、厚さ6.35mm(1/4インチ)角の石英基板上に形成されているものを用いた。また、バイナリーマスクとしてはCrCONからなる膜が遮光膜パターンとして152mm(6インチ)、厚さ6.35mm(1/4インチ)角の石英基板上に形成されているものを用いた。実施例マスク1としては、透過率20%、位相差205度、比較例1としては透過率6%、位相差180度、比較例2ではCrのバイナリーマスクを用いた。マスクの膜厚、透過率、位相シフト角度、ウエハー上に転写された時のライン幅寸法を表3に示す。スキャナーの縮小倍率が1/4なので、マスク上の寸法はウエハー上の4倍の寸法である。
【0214】
【表3】
【0215】
(2)パターニング評価
表1中に示されるレジスト材料を、シリコンウエハーにスピンオンカーボン膜ODL−102(信越化学工業(株)製)を200nmの膜厚、スピンオン珪素含有膜SHB−A940(信越化学工業(株)製)を35nmの膜厚で成膜した基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを80nmにした。レジスト1〜7は保護膜なしで、レジスト8〜19はレジスト上に表4に示す保護膜1を塗布し、90℃で60秒間ベークし、膜厚50nmの保護膜を作製した。
【表4】
【化99】
これをArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製、NSR−S610C,NA1.05、σ0.98/0.78、ダイポール照明)、表3に示されるマスクを用いてAzimuthally偏光照明で、ウエハー上の寸法で100nmライン、200nmピッチのマスクパターンを露光し、表5に示す温度で60秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で30秒間現像を行った。
(株)日立ハイテクノロジーズ製測長SEM(S−9380)を用いて、1本の100nmラインアンドスペースが2本に分割されているかどうかを確認し、分割されている場合は分割された2本のラインの寸法を測定し、この時の露光量を確認した。
この時、ポジ化のライン(ライン1寸法:図10に示される204)とネガ化のライン(ライン2寸法:図10に示される202)の両方の寸法を測定した。結果を表5に示す。
【0216】
【表5】
【0217】
本発明のレジスト1〜19は、アミノ基の合計モル数が発生酸の合計モル数より上回るもので、高透明なハーフトーン位相シフトマスクを用いてパターンを転写することにより、1本のラインが2本に分割されており、100nmのラインパターンのマスクを用いて1回の露光と現像によって約50nmのラインパターンが高感度で形成できた。
これに対し、従来型の透過率の低いハーフトーン位相シフトマスクである比較例マスク1を用いた場合は、低感度であり、コントラストが低いためにネガパターンの寸法が太くなった。バイナリーマスクである比較例マスク2を用いた場合は、透過率の低いハーフトーン位相シフトマスクを用いた場合よりも若干感度が向上したもののコントラストが低いためネガパターンの寸法が更に太く、部分的にしか解像しなかった。
【符号の説明】
【0218】
10 基板
20 被加工層
30 レジスト膜
31 露光箇所
32 露光箇所の中央部
33,34 露光箇所の端部
40 ハードマスク
50 レジスト膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に1回の露光と現像でマスクパターンの半分のピッチのパターンを形成することによって解像力を倍加できるパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている。微細化を推進してきた露光波長の短波長化は、波長193nmのArFエキシマレーザーから、波長13.5nmの真空紫外光(EUV)に進もうと検討されているが、光源のパワーがかなり低く、多層反射ミラー、多層反射マスク、フォトレジストの開発が遅延している。微細化を進めてきた投影レンズのNAは、液浸リソグラフィーによって1.0を超えたが、水の屈折率によって決まる最大のNAに既に到達している。従来の方法ではこれ以上の微細化を進めることができない問題が生じている。
【0003】
ここで最近注目を浴びているのは1回目の露光と現像でパターンを形成し、2回目の露光で1回目のパターンの丁度間にパターンを形成するダブルパターニングプロセスである(非特許文献1:Proc. SPIE Vol. 5992 59921Q−1−16 (2005))。ダブルパターニングの方法としては多くのプロセスが提案されている。例えば、1回目の露光と現像でラインとスペースが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクを加工し、その上にハードマスクをもう1層敷いて1回目の露光のパターンが形成されていない部分にフォトレジスト膜の露光と現像でラインパターンを形成してハードマスクをドライエッチングで加工して初めのパターンのピッチの半分のラインアンドスペースパターンを形成する方法である。また、1回目の露光と現像でスペースとラインが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクをドライエッチングで加工し、その上にフォトレジスト膜を塗布してハードマスクが残っている部分に2回目のスペースパターンを露光しハードマスクをドライエッチングで加工する方法もある。いずれも2回のドライエッチングでハードマスクを加工する。
【0004】
前者の方法では、ハードマスクを2回敷く必要があり、後者の方法ではハードマスクが1層で済むが、ラインパターンに比べて解像が困難なトレンチパターンを形成する必要がある。後者の方法では、トレンチパターンの形成にネガ型レジスト材料を使う方法がある。これだとポジパターンでラインを形成するのと同じ高コントラストの光を用いることができるが、ポジ型レジスト材料に比べてネガ型レジスト材料の方が溶解コントラストが低いために、ポジ型レジスト材料でラインを形成する場合に比較してネガ型レジスト材料で同じ寸法のトレンチパターンを形成した場合を比較するとネガ型レジスト材料を使った方が解像性が低い。後者の方法で、ポジ型レジスト材料を用いて広いトレンチパターンを形成してから、基板を加熱してトレンチパターンをシュリンクさせるサーマルフロー法や、現像後のトレンチパターンの上に水溶性膜をコートしてから加熱してレジスト膜表面を架橋させることによってトレンチをシュリンクさせるRELACSTM法を適用させることも考えられるが、プロキシミティーバイアスが劣化するという欠点やプロセスが更に煩雑化し、スループットが低下する欠点が生じる。
前者、後者の方法においても、基板加工のエッチングは2回必要なため、スループットの低下と2回のエッチングによるパターンの変形や位置ずれが生じる問題がある。
【0005】
エッチングを1回で済ませるために、1回目の露光でネガ型レジスト材料を用い、2回目の露光でポジ型レジスト材料を用いる方法がある。1回目の露光でポジ型レジスト材料を用い、2回目の露光でポジ型レジスト材料が溶解しないアルコールに溶解させたネガ型レジスト材料を用いる方法もある。これらの場合、解像性が低いネガ型レジスト材料を使うため解像性の劣化が生じる。
【0006】
1回目のレジストパターンを形成した後に、何らかの方法でパターンをレジスト溶媒とアルカリ現像液に不溶化させ、2回目のレジスト材料を塗布し、1回目のレジストパターンのスペース部分に2回目のレジストパターンを形成するレジストパターンフリージング技術が検討されている。この方法を用いれば、基板のエッチングが1回で済むために、スループットの向上とエッチングのハードマスクの応力緩和による位置ずれの問題が回避される。
【0007】
フリージングの技術として、熱による不溶化方法、カバー膜の塗布と熱による不溶化方法、波長172nm等の極短波長の光照射による不溶化方法、イオン打ち込みによる不溶化方法、CVDによる薄膜酸化膜形成による不溶化方法、及び光照射と特殊ガス処理による不溶化方法が報告されている。
これらの不溶化処理では、高温の加熱処理を行うためにパターンの変形(特に膜減り)や、寸法の細りあるいは太りが問題になっている。
【0008】
ダブルパターニングにおいて最もクリティカルな問題となるのは、1回目のパターンと2回目のパターンの合わせ精度である。位置ずれの大きさがラインの寸法のバラツキとなるために、例えば32nmのラインを10%の精度で形成しようとすると3.2nm以内の合わせ精度が必要となる。現状のスキャナーの合わせ精度が8nm程度であるので、大幅な精度の向上が必要である。
【0009】
1回目の露光の隣にハーフピッチだけずらした位置に2回目の露光を行うと、1回目と2回目のエネルギーが相殺されて、コントラストが0になる。レジスト膜上にコントラスト増強膜(CEL)を適用すると、レジストに入射する光が非線形となり、1回目と2回目の光が相殺せず、ピッチが半分の像が形成される(非特許文献2:Jpn. J. Appl. Phy. Vol. 33 (1994) p6874−6877)。また、レジストの酸発生剤として2光子吸収の酸発生剤を用いて非線形なコントラストを生み出すことによって同様の効果を生み出すことが期待される。このダブルイメージング方法を用いると、2回の露光と1回の現像によって倍の解像力を得ることができる。
【0010】
ポジとネガの両方の特性を有するレジスト材料が提案されている。露光量の少ない所ではアルカリ現像液に難溶で、露光量を上げていくとアルカリ溶解速度が上がり、ポジレジストの特性を示し、更に露光量を上げていくと溶解速度が低下し、ネガレジストの特性を示す。このようなレジスト材料を用いると、露光量の少ない部分と、露光量の多い部分のレジスト膜が残り、マスクパターンの2倍の解像力を得ることができる。このようなポジネガレジスト材料としては、特開平10−104834号公報(特許文献1)及びProc. SPIE Vol. 3678 p348 (1999)(非特許文献3)に記載のポジレジスト材料に架橋剤を添加した、ポジネガハイブリッドレジスト、特開2003−5353号公報(特許文献2)に記載のベンジルアルコールと、アセタールの酸不安定基の共存によるポジとネガの競争反応を用いたデュアルトーンレジスト材料が提案されている。デュアルトーンレジスト材料を用いると、1回の露光と現像の通常のプロセスで倍の解像力のパターンを得ることができる。
【0011】
ダブルパターニングのコストが問題となっている。ダブルパターンの間の付加プロセスの煩雑さが問題視されるが、最もコストが高いのは2回露光すること自体である。1回の露光でダブルのパターンが形成できれば最もコストが安いプロセスとなる。また、ダブルパターニング及びダブルイメージングは、露光機のアライメント精度が著しく向上しない限り実現しないプロセスである。一方、ArF液浸リソグラフィーにおいてポジネガハイブリッドのデュアルトーンレジスト材料が実現できれば1回の露光で解像力を倍加できるので、コストの問題と露光装置のアライメント精度の問題は解決でき、32nm及び22nmの有力な技術候補となり得る。
【0012】
ここで、光塩基発生剤としてニトロベンジルカルバメート類(非特許文献4:J. Am. Chem. Soc. 1991, 113, p4303−4313)、あるいはこれを添加したフォトレジスト材料(特許文献3:特開平7−134399号公報、非特許文献5:Proc. SPIE Vol. 1466 p75 (1991))が提案されている。酸不安定基を有するベースポリマーに光酸発生剤を添加した通常のポジ型フォトレジスト材料に、光塩基発生剤を添加したレジスト材料(特許文献4:特開平10−83079号公報)も提案されている。
【0013】
コントラストを向上させるための位相シフトマスクが用いられている。特許文献5(特開平4−136854号公報)にはハーフトーン位相シフトマスクが提示されており、最も用いられている位相シフトマスクである。ハーフトーン位相シフトマスクは、石英などの透明マスク基板上に光の位相差が180度程度になる半透明のシフターを設けたものであり、ArFエキシマレーザーリソグラフィーにおいてはMoSi系の膜が一般的に用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平10−104834号公報
【特許文献2】特開2003−5353号公報
【特許文献3】特開平7−134399号公報
【特許文献4】特開平10−83079号公報
【特許文献5】特開平4−136854号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Proc. SPIE Vol. 5992 59921Q−1−16 (2005)
【非特許文献2】Jpn. J. Appl. Phy. Vol. 33 (1994) p6874−6877
【非特許文献3】Proc. SPIE Vol. 3678 p348 (1999)
【非特許文献4】J. Am. Chem. Soc. 1991, 113, p4303−4313
【非特許文献5】Proc. SPIE Vol. 1466 p75 (1991)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述したように、2回の露光と現像により作製したレジストパターンを2回のドライエッチングで基板加工を行おうとすると、スループットが半分に低下するし、2回の露光の位置がずれてしまう問題が生じる。ポジティブトーンとネガティブトーンの両方の特性を有するデュアルトーンレジストは、1回の露光と現像によってポジパターンとネガティブパターンを形成することによって解像力を倍加させる技術であるが、感度が非常に低いこととポジパターンとネガパターンの寸法が異なる問題点がある。
【0017】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、1回の露光でマスクパターンの2倍の解像力を可能にするためのデュアルトーンレジストを用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行い、酸不安定基を有してアルカリ現像液に難溶の高分子化合物をベースとし、酸のクエンチャーと光塩基発生剤からのアミノ基の総量が光酸発生剤からの酸の量よりも多い組成のレジスト材料と高透明なハーフトーン位相シフトマスクを組み合わせることによって、未露光部と過露光部がアルカリ現像液に不溶で、中間の露光量部分だけ現像液に溶解する特性を有し、1本のラインを2本に分割することによって解像力を倍加させるパターンを高感度で解像性高く得るための形成方法を見出した。
【0019】
従って、本発明は、下記パターン形成方法を提供する。
請求項1:
酸不安定基を有する繰り返し単位を含み、アルカリ現像液に難溶の高分子化合物と、光酸発生剤と、アミノ基を発生する光塩基発生剤と、アミノ基を有し、光酸発生剤より発生する酸を中和することによって不活性化させるクエンチャーと、有機溶媒とを含むレジスト材料を基板上に塗布、ベークし、透過率が10〜40%の範囲のハーフトーン位相シフトマスクを用いて露光、ベーク(PEB)、現像の工程を経て、露光量の少ない未露光部分と露光量の多い過露光部分の膜を現像液に溶解させず、露光量が中間の露光領域を現像液に溶解させたパターンを得ることを特徴とするパターン形成方法。
請求項2:
クエンチャー中のアミノ基の総モル数と、光塩基発生剤から発生するアミノ基の総モル数の和が、光酸発生剤から発生する酸の総モル数よりも多いことを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
請求項3:
酸不安定基を有する繰り返し単位とスルホニウム塩を持つ繰り返し単位とを含み、アルカリ現像液に難溶の高分子化合物と、アミノ基を発生する光塩基発生剤と、アミノ基を有し、スルホニウム塩を持つ繰り返し単位より発生する酸及び光酸発生剤より発生する酸を中和することによって不活性化させるクエンチャーと、有機溶媒とを含むレジスト材料を基板上に塗布し、ベーク、露光、ベーク(PEB)、現像の工程を経て、露光量の少ない未露光部分と露光量の多い過露光部分の膜を現像液に溶解させず、露光量が中間の露光領域を現像液に溶解させたパターンを得ることを特徴とするパターン形成方法。
請求項4:
クエンチャー中のアミノ基の総モル数と、光塩基発生剤から発生するアミノ基の総モル数の和が、スルホニウム塩を持つ繰り返し単位より発生する酸の総モル数と、光酸発生剤から発生する酸の総モル数の和よりも多いことを特徴とする請求項3記載のパターン形成方法。
請求項5:
光塩基発生剤が、光分解によりアミノ基を発生させるものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のパターン形成方法。
請求項6:
下記式(i)〜(iii)で示されるいずれかの部分構造を有する光塩基発生剤を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【化1】
請求項7:
光塩基発生剤が、下記一般式(1)中の繰り返し単位a1〜a4のいずれかで示されるものであり、該繰り返し単位が高分子化合物の主鎖に結合されていることを特徴とする請求項6記載のパターン形成方法。
【化2】
(式中、R1、R7、R12、R17は水素原子又はメチル基である。R2、R8、R13、R18は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フェニルメチレン基、フェニルエチレン基、フェニルプロピレン基、又は−C(=O)−O−R21−である。R21は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、炭素数6〜10のアリーレン基、又は炭素数2〜12のアルケニレン基であり、R3、R9、R14は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基であるが、上記R21と結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよい。R4、R5、R6は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基で、アリール基が炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、又はトリフルオロメチル基を含んでいてもよく、R4とR5、R5とR6、又はR4とR6とが結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよいが、R4、R5、R6の全てが水素原子、又は全てがアルキル基になることはない。R10、R11は炭素数6〜14のアリール基で、該アリール基は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、又はカルボニル基を含んでいてもよい。R15、R16は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基で、R15とR16とが結合してこれらが結合する炭素原子及び窒素原子と共に環を形成してもよく、環の中にベンゼン環、ナフタレン環、2重結合、又はエーテル結合を有していてもよい。R19、R20は水素原子、炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜14のR4、R5、R6と同様の置換基を有していてもよいアリール基であり、R19、R20の内少なくとも一方あるいは両方がアリール基であり、又はR19とR20とが結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0≦a3<1.0、0≦a4<1.0、0<a1+a2+a3+a4<1.0である。)
請求項8:
光塩基発生剤が、下記一般式(2)〜(9)に示されるものから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項6記載のパターン形成方法。
【化3】
(式中、R21、R22、R23、R26、R27、R28、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R40、R41、R42、R46、R47、R48は水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基で、アリール基が炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、又はトリフルオロメチル基を含んでいてもよいが、R21〜R23、R26〜R28、R32〜R34、R35〜R37、R40〜R42、R46〜R48の内少なくとも一つがアリール基であり、少なくとも1つが水素原子であり、又はR21〜R23及びR26〜R28及びR32〜R34及びR35〜R37及びR40〜R42及びR46〜R48の内、2つ以上が結合して環を形成してもよい。R24、R25、R29、R31、R38、R39、R43、R45、R51、R52、R55、R57は水素原子、又は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、2重結合、エーテル基、アミノ基、カルボニル基、ヒドロキシ基、又はエステル基を有していてもよく、R24とR25、R29とR31、R29とR30、R31とR30、R38とR39、R43とR44、R44とR45、R43とR45、R51とR52、R55とR56、R55とR57、R56とR57とが結合して環を形成してもよい。R30、R44、R56は単結合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルキン基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数2〜12のアルケニレン基、又は炭素数2〜12のアルキニレン基で、これらの基は2重結合、エーテル基、アミノ基、カルボニル基、ヒドロキシ基、又はエステル基を有していてもよい。R49、R50、R53、R54、R58、R59は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基で、R49とR50、R53とR54、R58とR59とが結合して環を形成してもよく、環の中にベンゼン環、ナフタレン環、2重結合、又はエーテル結合を有していてもよい。R60は炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数2〜20のアルケニル基であり、R61は炭素数6〜20のアリール基、R62は水素原子、炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基である。R63、R64、R65は水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数2〜10のアルケニル基又はアルコキシカルボニル基、又はシアノ基で、上記アルキル基、アリール基、アルケニル基が炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、スルフィド基、アミノ基、又はエーテル基を有していてもよい。m、n、rは1又は2である。)
請求項9:
光酸発生剤が、光照射によってα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、又はメチド酸を発生させるものであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載のパターン形成方法。
請求項10:
光酸発生剤が、スルホニウム塩又はヨードニウム塩系の酸発生剤であることを特徴とする請求項9記載のパターン形成方法。
請求項11:
マスク上の1対のラインアンドスペースパターンを、1回の露光、PEB、現像によって2対のラインアンドスペースに分割形成することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の解像力倍加のパターン形成方法。
請求項12:
マスク上の1本のラインパターンを、1回の露光、PEB、現像によって1本のラインと2本のスペースに分割形成することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の解像力倍加のパターン形成方法。
請求項13:
マスク上の1本のスペースパターンを、1回の露光、PEB、現像によって1本のラインと2本のスペースに分割形成することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の解像力倍加のパターン形成方法。
請求項14:
露光波長が193nmのArFエキシマレーザーを光源とし、レンズと基板の間に水を挿入する液浸リソグラフィーであることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項記載の解像力倍加のパターン形成方法。
請求項15:
透過率が10〜40%の範囲のハーフトーン位相シフトマスクがSi原子と酸素及び又は窒素を少なくとも含有している膜で構成されていることを特徴とする請求項1記載のフォトマスクを用いることを特徴とするパターン形成方法。
請求項16:
透過率が10〜40%の範囲のハーフトーン位相シフトマスクがSi原子及びMo、Ta、Zrの各原子から選ばれる1つ以上の原子と酸素及び又は窒素を少なくとも含有している膜で構成されていることを特徴とする請求項1又は15記載のフォトマスクを用いることを特徴とするパターン形成方法。
請求項17:
ハーフトーン位相シフトマスクの位相が170〜250度であることを特徴とする請求項1、15又は16記載のフォトマスクを用いることを特徴とするパターン形成方法。
【0020】
このようなパターン形成方法を適用することによって、1回の露光で1本のラインを2本に分割し、解像度を2倍にすることが可能になる。
【0021】
なお、本発明において、光塩基発生剤から発生するアミノ基、クエンチャー中のアミノ基、塩基発生剤から発生するアミノ基とは、本来のアミノ基に加え、イミノ基、その他窒素原子を有し、塩基性を与える基、つまり窒素原子含有塩基性基を意味するものと定義する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、酸不安定基を有してアルカリ現像液に難溶の高分子化合物をベースとし、クエンチャーと光塩基発生剤基からのアミノ基の総量が光酸発生剤からの酸の量よりも多い組成のレジスト材料を用いると、未露光部と過露光部がアルカリ現像液に不溶で、中間の露光量部分だけ現像液に溶解するデュアルトーンの特性を有することができる。これによって1回の露光と現像で1本のラインを2本に分割することによって解像力を倍加させることができる。この露光を行うためのフォトマスクパターンとして、透過率10〜40%の高透明なハーフトーン位相シフトマスクを用いると、感度と解像力が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のダブルパターニング方法の一例を説明する断面図であり、Aは、基板上に被加工層、ハードマスク、レジスト膜を形成した状態、Bは、レジスト膜を露光した状態、Cは、レジスト膜を現像した状態、Dは、ハードマスクをエッチングした状態、Eは、被加工層をエッチングした状態を示す。
【図2】従来のダブルパターニング方法の一例を説明する断面図であり、Aは、基板上に被加工層、ハードマスク、レジスト膜を形成した状態、Bは、レジスト膜を露光、現像した状態、Cは、ハードマスクをエッチングした状態、Dは、第1のレジスト膜を除去して第2のレジスト膜を形成後、このレジスト膜を露光、現像した状態、Eは、被加工層をエッチングした状態を示す。
【図3】従来型のポジ型レジスト材料の露光量とレジスト膜の膜厚の関係を示す説明図である。
【図4】コントラストカーブと、従来型のポジ型レジストパターンの断面形状である。
【図5】本発明のデュアルトーンレジスト材料の露光量とレジスト膜の膜厚の関係を示す説明図である。
【図6】コントラストカーブと、本発明のデュアルトーンレジストパターンの断面形状である。
【図7】ブライトラインのマスクパターンである。
【図8】ブライトラインのマスクと本発明のデュアルトーンレジストを用いた場合の現像後パターンの平面図である。
【図9】ダークトレンチのマスクパターンである。
【図10】ダークトレンチマスクと本発明のデュアルトーンレジストを用いた場合の現像後パターンの平面図である。
【図11】露光波長193nm、NA1.35、σ0.9 20度ダイポール照明、s偏光照明、ウエハー上寸法がピッチ88nmのマスクで、シフター角度180度、5%透過率のハーフトーン位相シフトマスクのライン幅(シフター幅)を変化させたときの光学コントラストを示す。
【図12】露光波長193nm、NA1.35、σ0.9 20度ダイポール照明、s偏光照明、ウエハー上寸法がピッチ88nmのマスクで、シフター角度180度、10%透過率のハーフトーン位相シフトマスクのライン幅(シフター幅)を変化させたときの光学コントラストを示す。
【図13】露光波長193nm、NA1.35、σ0.9 20度ダイポール照明、s偏光照明、ウエハー上寸法がピッチ88nmのマスクで、シフター角度180度、15%透過率のハーフトーン位相シフトマスクのライン幅(シフター幅)を変化させたときの光学コントラストを示す。
【図14】露光波長193nm、NA1.35、σ0.9 20度ダイポール照明、s偏光照明、ウエハー上寸法がピッチ88nmのマスクで、シフター角度180度、20%透過率のハーフトーン位相シフトマスクのライン幅(シフター幅)を変化させたときの光学コントラストを示す。
【図15】露光波長193nm、NA1.35、σ0.9 20度ダイポール照明、s偏光照明、ウエハー上寸法がピッチ88nmのマスクで、シフター角度180度、30%透過率のハーフトーン位相シフトマスクのライン幅(シフター幅)を変化させたときの光学コントラストを示す。
【図16】露光波長193nm、NA1.35、σ0.9 20度ダイポール照明、s偏光照明、ウエハー上寸法がピッチ88nmのマスクで、シフター角度180度、40%透過率のハーフトーン位相シフトマスクのライン幅(シフター幅)を変化させたときの光学コントラストを示す。
【図17】露光波長193nm、NA1.35、σ0.9 20度ダイポール照明、s偏光照明、ウエハー上寸法がピッチ88nmのマスクで、シフター角度180度、50%透過率のハーフトーン位相シフトマスクのライン幅(シフター幅)を変化させたときの光学コントラストを示す。
【図18】露光波長193nm、NA1.35、σ0.9 20度ダイポール照明、s偏光照明、ウエハー上寸法がピッチ88nm、ライン幅44nmのマスクで、5%透過率のハーフトーン位相シフトマスクのシフター角度を変化させたときの光学コントラストを示す。
【図19】露光波長193nm、NA1.35、σ0.9 20度ダイポール照明、s偏光照明、ウエハー上寸法がピッチ88nm、ライン幅20nmのマスクで、20%透過率のハーフトーン位相シフトマスクのシフター角度を変化させたときの光学コントラストを示す。
【図20】露光波長193nm、NA1.35、σ0.9 20度ダイポール照明、s偏光照明、ウエハー上寸法がピッチ88nmのマスクで、ライン幅44nmで5%透過率のハーフトーン位相シフトマスクのシフター222度、ライン幅20nmで20%透過率のハーフトーン位相シフトマスクのシフター205度のときの光学イメージを示す。
【図21】本発明の実施例に係るレジスト1のレジスト膜の膜厚と露光量の関係を示す膜厚変化カーブである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明者らは、1回の露光と現像によって半分のピッチのパターンを得る解像力倍加のレジスト材料及びこれを用いるパターニング方法について鋭意検討を行った。解像力倍加のためには、2つの閾値を有する必要がある。即ち、ある露光量ではポジ型レジスト材料の特性であり、これとは異なる露光量ではネガ型レジスト材料の特性を発揮するレジスト材料である。前述の非特許文献3では、酸不安定基で置換されたヒドロキシスチレンベースのKrFレジスト材料に架橋剤を添加して、酸不安定基の脱保護反応と架橋剤による架橋反応の触媒の反応性を変えることによって低露光量側では脱保護反応によるポジ型レジスト材料の特性、高露光量側では架橋反応によるネガ型レジスト材料の特性を得ている。脱保護反応の活性化エネルギーが低くて反応性の高い酸不安定基を用い、弱酸が高い発生効率で発生する酸発生剤を用いて低露光量側で脱保護反応だけを行いポジ型レジスト材料の特性を出す。強酸で架橋が進行し、架橋反応の活性化エネルギーが高い架橋剤を用いて、低い酸発生効率の酸発生剤から発生する強酸によって架橋によるネガ型レジスト材料の特性を出すことによって、ポジ型特性とネガ型特性のタイミングをずらして露光量差を生み出すことができる。ヒドロキシスチレン型のKrFレジスト材料であれば、酸不安定基で置換すればポジ型レジスト材料にすることができるし、架橋剤を添加すればネガ型レジスト材料にすることができるので、酸不安定基で置換したポリヒドロキシスチレンに架橋剤を添加することによって容易にポジ型とネガ型の両方の特性を生み出すことができる。
一方、ArFレジスト材料は、密着性基としてラクトンを用いていることから、架橋剤を添加しても架橋しないため、KrFレジスト材料のときのような架橋剤の添加によってネガ型レジストの材料特性を得ることができない。
【0025】
本発明者らは、架橋剤の添加によってネガ型レジスト材料の特性を得るのではなく、酸の不活性化によってポジ型の特性を発揮させないようにしてネガ型の特性を得ることを考察した。光酸発生剤と光塩基発生剤の両方をレジスト材料中に存在させると共に光塩基発生剤に比べて光酸発生剤の方が発生効率が高い材料を用いる。露光量を上げていくと、最初に酸が発生し、PEB中に脱保護反応が進行し、ポジ化が起きる。露光量を上げていくと、酸発生剤の分解による酸の発生は収束し、塩基発生剤から発生した塩基と、クエンチャーの塩基の総和が酸の量を上回った時点で酸の不活性化が起こり、PEB中の脱保護反応が阻害されるためネガ化が起きるのである。
【0026】
光塩基発生剤としては、(i)カルバメート型、(ii)イミドカルバメート型、(iii)オキシムエステル型のいずれかの部分構造を有するものを挙げることができ、下記に示すことができる。
【化4】
【0027】
酸の不活性化が起きる露光量では、塩基が過剰に存在している。PEB中に脱保護反応が進行して現像後溶解する場所は酸が過剰に存在しているが、このような場所に塩基が過剰に存在している場所からの塩基の蒸発と再付着によって酸が不活性化されると本来現像液に溶解すべきところが不溶化する。塩基物質の蒸発と再付着を防止するためには、光によって発生するアミノ基がポリマー主鎖に結合している形態が好ましい。更に光塩基発生剤による繰り返し単位は、レジスト材料のベースポリマーとなる高分子化合物において、酸不安定基を有する繰り返し単位と共重合していることが好ましい。例えば光塩基発生剤による繰り返し単位のホモポリマーと、酸不安定基を有する繰り返し単位を有するレジスト材料のベースポリマーとをブレンドすることもできるが、この場合ポリマー同士が相分離を起こすことがあり、不活性化が起こる所と起こらない所とが分離するために、現像後のレジストパターンのエッジラフネスが大きくなったり、ブリッジ欠陥やライン欠落の欠陥が発生する可能性がある。光塩基発生剤をレジスト材料のベースポリマー中に均一に分散させるためには、ベースポリマーの高分子化合物中に共重合物として取り込む方法が好ましいのである。
【0028】
従って、本発明において、光塩基発生剤としては、光塩基発生剤基として上記式(i)〜(iii)のいずれかの構造を含む繰り返し単位をベースポリマーの高分子化合物の主鎖に結合した態様として用いることが好ましい。
【0029】
ここで、レジスト材料のベースポリマーとなる高分子化合物中に共重合させる光塩基発生剤基を有する繰り返し単位は、下記一般式(1)中の繰り返し単位a1〜a4に示されるものが好ましい。
【化5】
(式中、R1、R7、R12、R17は水素原子又はメチル基である。R2、R8、R13、R18は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フェニルメチレン基、フェニルエチレン基、フェニルプロピレン基、又は−C(=O)−O−R21−である。R21は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、炭素数6〜10のアリーレン基、又は炭素数2〜12のアルケニレン基であり、R3、R9、R14は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基であるが、上記R21と結合してこれらが結合する窒素原子と共に、好ましくは炭素数3〜8、特に4〜6の環を形成してもよい。R4、R5、R6は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基で、アリール基が炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、又はトリフルオロメチル基を含んでいてもよく、R4とR5、R5とR6、又はR4とR6とが結合してこれらが結合する炭素原子と共に好ましくは炭素数3〜10、特に4〜8の非芳香環を形成してもよいが、R4、R5、R6の全てが水素原子、又は全てがアルキル基になることはない。R10、R11は炭素数6〜14、好ましくは6〜10のアリール基で、該アリール基は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、又はカルボニル基を含んでいてもよい。R15、R16は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基で、R15とR16とが結合してこれらが結合する炭素原子及び窒素原子と共に炭素数4〜12、特に4〜10の環を形成してもよく、環の中にベンゼン環、ナフタレン環、2重結合、又はエーテル結合を有していてもよい。R19、R20は水素原子、炭素数1〜8、好ましくは1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜14、好ましくは6〜10のR4、R5、R6と同様の置換基を有していてもよいアリール基であり、R19、R20の内少なくとも一方あるいは両方がアリール基であり、又はR19とR20とが結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数4〜10、特に4〜8の非芳香環を形成していてもよい。0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0≦a3<1.0、0≦a4<1.0、0<a1+a2+a3+a4<1.0、好ましくは、0≦a1≦0.5、0≦a2≦0.5、0≦a3≦0.5、0≦a4≦0.5、0.01≦a1+a2+a3+a4≦0.5、より好ましくは、0≦a1≦0.3、0≦a2≦0.3、0≦a3≦0.3、0≦a4≦0.3、0.015≦a1+a2+a3+a4≦0.3である。)
【0030】
一般式(1)中、繰り返し単位a1で示されるベンジルカルバメート型塩基発生剤は下記反応式(1)−a1で示される分解機構、繰り返し単位a2で示されるベンゾインカルバメート型塩基発生剤は下記反応式(1)−a2で示される分解機構、繰り返し単位a3で示されるイミドカルバメート型塩基発生剤は下記反応式(1)−a3で示される分解機構、繰り返し単位a4で示されるオキシムエステル型塩基発生剤は下記反応式(1)−a4で示される分解機構でアミンを生成する。分解によって炭酸ガスと2級あるいは1級のアミン化合物とその他の化合物が生成する。
【0031】
【化6】
(式中、R1〜R9、R12〜R20は上記の通り、R、R’はR10、R11で説明したアリール基の置換基である。)
繰り返し単位a1、a2、a3は主鎖に窒素原子が結合している。繰り返し単位a4は分解時の転移反応によって主鎖に結合したアミノ基が生成する。
【0032】
一般式(1)中、繰り返し単位a1で示される塩基発生剤は、具体的には下記に例示される。ここで、R4〜R6は前述の通りである。
【0033】
【化7】
【0034】
【化8】
【0035】
一般式(1)中、繰り返し単位a1で示される塩基発生剤のR4〜R6は下記に例示することができる。ここで、R1〜R3は前述の通りである。
【0036】
【化9】
【0037】
繰り返し単位a1としては、上記に例示されたR1〜R3とR4〜R6の組み合わせの繰り返し単位を選択することができる。
【0038】
一般式(1)中、繰り返し単位a2で示される塩基発生剤は、具体的には下記に例示される。
【0039】
【化10】
(上式中、Tは
【化11】
を示す。破線は結合手である。なお、R10、R11は前述の通りである。)
【0040】
【化12】
(上式中、Tは
【化13】
を示す。破線は結合手である。なお、R10、R11は前述の通りである。)
【0041】
一般式(1)中、繰り返し単位a2で示される塩基発生剤のR10、R11は下記に例示することができる。ここで、R7〜R9は前述の通りである。
【0042】
【化14】
【0043】
【化15】
【0044】
繰り返し単位a2としては、上記に例示されたR7〜R9とR10、R11の組み合わせの繰り返し単位を選択することができる。
【0045】
一般式(1)中、繰り返し単位a3で示される塩基発生剤は、具体的には下記に例示される。
【0046】
【化16】
(上式中、Sは
【化17】
を示す。破線は結合手である。なお、R15、R16は前述の通りである。)
【0047】
【化18】
(上式中、Sは
【化19】
を示す。破線は結合手である。なお、R15、R16は前述の通りである。)
【0048】
一般式(1)中、繰り返し単位a3で示される塩基発生剤のR15、R16は下記に例示することができる。ここで、R12〜R14は前述の通りである。
【0049】
【化20】
【0050】
繰り返し単位a3としては、上記に例示されたR12〜R14とR15、R16の組み合わせの繰り返し単位を選択することができる。
【0051】
一般式(1)中、繰り返し単位a4で示される塩基発生剤は、具体的には下記に例示される。
【0052】
【化21】
【0053】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト材料のベースポリマーとしては、酸不安定基を有する繰り返し単位bを有するものが用いられ、特に下記一般式(AL)で示されるものが好ましい。この場合、この繰り返し単位bと共に、上述した一般式(1)で示される塩基発生剤基を有する繰り返し単位a1〜a4を用いることが好ましい。
【化22】
(式中、R024は水素原子又はメチル基、R025は酸不安定基である。)
【0054】
上記一般式(AL)中、R025で示される酸不安定基は種々選定されるが、特に下記式(AL−10)、(AL−11)で示される基、下記式(AL−12)で示される三級アルキル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等が挙げられる。
【0055】
【化23】
【0056】
式(AL−10)、(AL−11)において、R051、R054は炭素数1〜40、特に1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の一価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよい。R052、R053は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の一価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよく、a5は0〜10、特に1〜5の整数である。R052とR053、R052とR054、又はR053とR054はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子と共に炭素数3〜20、特に4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
R055、R056、R057はそれぞれ炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の一価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよい。あるいはR055とR056、R055とR057、又はR056とR057はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20、特に4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
【0057】
式(AL−10)に示される化合物を具体的に例示すると、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等、また下記一般式(AL−10)−1〜(AL−10)−10で示される置換基が挙げられる。
【0058】
【化24】
【0059】
式(AL−10)−1〜(AL−10)−10中、R058は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。R059は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R060は炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。a5は上記の通りである。
【0060】
前記式(AL−11)で示されるアセタール化合物を(AL−11)−1〜(AL−11)−34に例示する。
【0061】
【化25】
【0062】
【化26】
【0063】
また、酸不安定基として、一般式(AL−11a)あるいは(AL−11b)で表される基が挙げられ、該酸不安定基によってベース樹脂が分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【0064】
【化27】
【0065】
上記式中、R061、R062は水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、R061とR062は結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合にはR061、R062は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R063は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、b5、d5は0又は1〜10、好ましくは0又は1〜5の整数、c5は1〜7の整数である。Aは、(c5+1)価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基はO、S、N等のヘテロ原子を介在してもよく、又はその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。
【0066】
この場合、好ましくはAは2〜4価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルカントリイル基、アルカンテトライル基、炭素数6〜30のアリーレン基であり、これらの基はO、S、N等のヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。また、c5は好ましくは1〜3の整数である。
【0067】
一般式(AL−11a)、(AL−11b)で示される架橋型アセタール基は、具体的には下記式(AL−11)−35〜(AL−11)−42のものが挙げられる。
【0068】
【化28】
【0069】
次に、前記式(AL−12)に示される三級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、tert−アミル基等、あるいは下記一般式(AL−12)−1〜(AL−12)−16で示される基を挙げることができる。
【0070】
【化29】
【0071】
上記式中、R064は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。R065、R067は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R066は炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。
【0072】
更に、酸不安定基として、下記式(AL−12)−17、(AL−12)−18に示す基が挙げられ、2価以上のアルキレン基、又はアリーレン基であるR068を含む該酸不安定基によってベース樹脂が分子内あるいは分子間架橋されていてもよい。式(AL−12)−17、(AL−12)−18のR064は前述と同様、R068は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、又はアリーレン基を示し、酸素原子や硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。b6は1〜3の整数である。
【0073】
【化30】
【0074】
なお、上述したR064、R065、R066、R067は酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子を有していてもよく、具体的には下記式(AL−13)−1〜(AL−13)−7に示すことができる。
【0075】
【化31】
【0076】
特に、上記式(AL−12)の酸不安定基としては、下記式(AL−12)−19に示されるエキソ体構造を有するものが好ましい。
【0077】
【化32】
(式中、R069は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示す。R070〜R075及びR078、R079はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよいアルキル基等の1価の炭化水素基を示し、R076、R077は水素原子を示す。あるいは、R070とR071、R072とR074、R072とR075、R073とR075、R073とR079、R074とR078、R076とR077、又はR077とR078は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環(特に脂環)を形成していてもよく、その場合には環の形成に関与するものは炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよいアルキレン基等の2価の炭化水素基を示す。またR070とR079、R076とR079、又はR072とR074は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、2重結合を形成してもよい。また、本式により、鏡像体も表す。)
【0078】
ここで、一般式(AL−12)−19に示すエキソ体構造を有する下記繰り返し単位
【化33】
を得るためのエステル体のモノマーとしては、特開2000−327633号公報に示されている。具体的には下記に示すものを挙げることができるが、これらに限定されることはない。なお、R0111、R0112は互いに独立に水素原子、メチル基、−COOCH3、−CH2COOCH3等を示す。
【0079】
【化34】
【0080】
更に、上記式(AL−12)の酸不安定基としては、下記式(AL−12)−20に示されるフランジイル、テトラヒドロフランジイル又はオキサノルボルナンジイルを有する酸不安定基を挙げることができる。
【0081】
【化35】
(式中、R080、R081はそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基を示す。又は、R080、R081は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20の脂肪族炭化水素環を形成してもよい。R082はフランジイル、テトラヒドロフランジイル又はオキサノルボルナンジイルから選ばれる2価の基を示す。R083は水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基を示す。)
【0082】
フランジイル、テトラヒドロフランジイル又はオキサノルボルナンジイルを有する酸不安定基で置換された繰り返し単位
【化36】
を得るためのモノマーとしては、下記に例示される。なお、R0112は上記の通りである。また、下記式中Meはメチル基、Acはアセチル基を示す。
【0083】
【化37】
【0084】
【化38】
【0085】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト材料のベースとなる高分子化合物は、一般式(1)で示される塩基発生剤基を有する繰り返し単位a1〜a4と一般式(AL)で示される酸不安定基を有する繰り返し単位bを有することが好ましいが、更にはヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、ラクトン環、カルボキシル基、カルボン酸無水物基等の密着性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位cを共重合させてもよい。
繰り返し単位cを得るためのモノマーとしては、具体的に下記に挙げることができる。
【0086】
【化39】
【0087】
【化40】
【0088】
【化41】
【0089】
【化42】
【0090】
【化43】
【0091】
【化44】
【0092】
【化45】
【0093】
【化46】
【0094】
【化47】
【0095】
【化48】
【0096】
【化49】
【0097】
【化50】
【0098】
【化51】
【0099】
上記繰り返し単位a1、a2、a3、a4、b、cにおいて、繰り返し単位の比率は、0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0≦a3<1.0、0≦a4<1.0、0<a1+a2+a3+a4<1.0、0<b≦0.9、0≦c<0.9(特に0<c<0.9)、好ましくは、0≦a1≦0.5、0≦a2≦0.5、0≦a3≦0.5、0≦a4≦0.5、0.01≦a1+a2+a3+a4≦0.5、0.1≦b≦0.8、0.1≦c≦0.8、より好ましくは、0≦a1≦0.3、0≦a2≦0.3、0≦a3≦0.3、0≦a4≦0.3、0.015≦a1+a2+a3+a4≦0.3、0.15≦b≦0.7、0.15≦c≦0.7の範囲である。
【0100】
上記a1、a2、a3、a4、b、c以外の繰り返し単位としては、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、炭素数2〜20のアルケニル基を有する(メタ)アクリレート、炭素数6〜20のアリール基を有する(メタ)アクリレート、スチレン、アルキル基で置換されたスチレン、アルコキシ基で置換されたスチレン、アセトキシ基で置換されたスチレン、ビニルナフタレン、ビニルカルバゾール、アセナフチレン、インデン、ビニルピリジン、ビニルアントラセン、ビニルピロリドンなどのモノマーに由来する繰り返し単位dを挙げることができる。なお、dの割合は0≦d≦0.3、好ましくは0≦d≦0.2である。
【0101】
更に、下記一般式(10)で示されるスルホニウム塩を持つ繰り返し単位e1、e2、e3のいずれかを共重合することができる。
【化52】
(上式中、R120、R124、R128は水素原子又はメチル基、R121は単結合、フェニレン基、−O−R−、又は−C(=O)−Y−R−である。Yは酸素原子又はNH、Rは炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基又は炭素数3〜10のアルケニレン基であり、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R122、R123、R125、R126、R127、R129、R130、R131は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。Zは単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R132−、又は−C(=O)−Z1−R132−である。Z1は酸素原子又はNH、R132は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基又はアルケニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを表す。e1は0≦e1≦0.3、e2は0≦e2≦0.3、e3は0≦e3≦0.3、0<e1+e2+e3≦0.3である。)
【0102】
M-の非求核性対向イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレート、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート、トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート、メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミド等のイミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチドなどのメチド酸を挙げることができる。
【0103】
更には、下記一般式(K−1)に示されるα位がフルオロ置換されたスルホネート、下記一般式(K−2)に示されるα,β位がフルオロ置換されたスルホネートが挙げられる。
【化53】
【0104】
一般式(K−1)中、R102は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数6〜20のアリール基であり、エーテル基、エステル基、カルボニル基、ラクトン環、又はフッ素原子を有していてもよい。
一般式(K−2)中、R103は水素原子、炭素数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アシル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又はアリーロキシ基であり、エーテル基、エステル基、カルボニル基、又はラクトン環を有していてもよい。
【0105】
なお、上記繰り返し単位e1、e2、e3の比率は、0≦e1+e2+e3≦0.3であるが、該繰り返し単位を導入する場合は、0.01≦e1+e2+e3≦0.25であることが好ましく、特に本発明に係るレジスト材料が酸発生剤を含まない場合は、0.02≦e1+e2+e3≦0.20が好ましく、更に好ましくは0.03≦e1+e2+e3≦0.18である。
【0106】
ここで、a1+a2+a3+a4+b+c+d+e1+e2+e3=1である。
例えばa+b=1とは、繰り返し単位a,bを含む高分子化合物において、繰り返し単位a,bの合計量が全繰り返し単位の合計量に対して100モル%であることを示し、a+b<1とは、繰り返し単位a,bの合計量が全繰り返し単位の合計量に対して100モル%未満でa,b以外に他の繰り返し単位c等を有していることを示す。
【0107】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジストのベース樹脂となる高分子化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,000〜500,000、特に2,000〜30,000であることが好ましい。重量平均分子量が小さすぎるとレジスト材料現像後の熱架橋における架橋効率が低下するものとなり、大きすぎるとアルカリ溶解性が低下し、パターン形成後に裾引き現象が生じ易くなる可能性がある。
【0108】
更に、本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト材料のベース樹脂となる高分子化合物においては、分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在するために露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりするおそれがある。それ故、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト材料を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
また、組成比率や分子量分布や分子量が異なる2つ以上のポリマーをブレンドすることも可能である。
【0109】
これら高分子化合物を合成するには、1つの方法としては繰り返し単位a1、a2、a3、a4、b、c、d、e1、e2、e3を得るための不飽和結合を有するモノマーを有機溶剤中、ラジカル開始剤を加え加熱重合を行う方法があり、これにより高分子化合物を得ることができる。重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が例示できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、好ましくは50〜80℃に加熱して重合できる。反応時間としては2〜100時間、好ましくは5〜20時間である。酸不安定基は、モノマーに導入されたものをそのまま用いてもよいし、酸不安定基を酸触媒によって一旦脱離し、その後、保護化あるいは部分保護化してもよい。
【0110】
本発明において、光塩基発生剤は、光塩基発生剤基を含む繰り返し単位としてベースポリマーの高分子化合物中に導入することで用いることができるが、光塩基発生剤基を高分子化合物中に導入するのではなく、又は光塩基発生剤基を導入した高分子化合物に加えて、上記式(i)〜(iii)のいずれかの部分構造を含む化合物を光塩基発生剤としてレジスト材料中に添加、使用することもできる。具体的には、下記一般式(2)〜(9)に示される添加型の光塩基発生剤を配合することができる。
【0111】
【化54】
(式中、R21、R22、R23、R26、R27、R28、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R40、R41、R42、R46、R47、R48は水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基で、アリール基が炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、又はトリフルオロメチル基を含んでいてもよいが、R21〜R23、R26〜R28、R32〜R34、R35〜R37、R40〜R42、R46〜R48の内少なくとも一つがアリール基であり、少なくとも1つが水素原子であり、又はR21〜R23及びR26〜R28及びR32〜R34及びR35〜R37及びR40〜R42及びR46〜R48の内、2つ以上が結合してこれらが結合する炭素原子と共に好ましくは炭素数3〜10、特に4〜8の非芳香環を形成してもよい。R24、R25、R29、R31、R38、R39、R43、R45、R51、R52、R55、R57は水素原子、又は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、2重結合、エーテル基、アミノ基、カルボニル基、ヒドロキシ基、又はエステル基を有していてもよく、R24とR25、R29とR31、R29とR30、R31とR30、R38とR39、R43とR44、R44とR45、R43とR45、R51とR52、R55とR56、R55とR57、R56とR57とが結合してこれらが結合する窒素原子と共に好ましくは炭素数3〜10、特に4〜8の非芳香環を形成してもよい。R30、R44、R56は単結合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルキン基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数2〜12のアルケニレン基、又は炭素数2〜12のアルキニレン基で、これらの基は2重結合、エーテル基、アミノ基、カルボニル基、ヒドロキシ基、又はエステル基を有していてもよい。R49、R50、R53、R54、R58、R59は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基で、R49とR50、R53とR54、R58とR59とが結合してこれらが結合する炭素原子及び該炭素原子が結合する窒素原子と共に好ましくは炭素数3〜10、特に4〜8の環を形成してもよく、環の中にベンゼン環、ナフタレン環、2重結合、又はエーテル結合を有していてもよい。R60は炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数2〜20のアルケニル基であり、R61は炭素数6〜20のアリール基、R62は水素原子、炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基である。R63、R64、R65は水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数2〜10のアルケニル基又はアルコキシカルボニル基、又はシアノ基で、上記アルキル基、アリール基、アルケニル基が炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、スルフィド基、アミノ基、又はエーテル基を有していてもよい。m、n、rは1又は2である。)
【0112】
一般式(2)で示される光塩基発生剤は、具体的には下記に例示される。ここで、R24、R25は前述の通りである。
【化55】
【0113】
【化56】
【0114】
一般式(3)で示される塩基発生剤は、具体的には下記に例示される。ここで、R29〜R31は前述の通りである(以下、同じ)。
【化57】
【0115】
【化58】
【0116】
【化59】
【0117】
式(3)の3分岐のアミン化合物が発生する塩基発生剤としては、下記に例示される。
【化60】
【0118】
一般式(4)で示される塩基発生剤は、具体的には下記に例示される。ここで、R38、R39は前述の通りである(以下、同じ)。
【化61】
【0119】
【化62】
【0120】
一般式(5)で示される塩基発生剤は、具体的には下記に例示される。ここで、R43〜R45は前述の通りである(以下、同じ)。
【化63】
【0121】
式(4)の3分岐のアミン化合物が発生する塩基発生剤としては、下記に例示される。
【化64】
【0122】
一般式(6)で示される塩基発生剤は、具体的には下記に例示される。ここで、R51、R52は前述の通りである。
【化65】
【0123】
一般式(7)で示される塩基発生剤は、具体的には下記に例示される。ここで、R55〜R57は前述の通りである(以下、同じ)。
【化66】
【0124】
式(7)の3分岐のアミン化合物が発生する塩基発生剤としては、下記に例示される。
【化67】
【0125】
一般式(8)で示される塩基発生剤は、具体的には下記に例示される。
【化68】
【0126】
【化69】
【0127】
【化70】
【0128】
一般式(9)で示される塩基発生剤は、具体的には下記に例示される。
【化71】
【0129】
【化72】
【0130】
なお、上記一般式(2)〜(9)に示される添加型の塩基発生剤の配合量は、ベースポリマーとしての上記高分子化合物100質量部に対して0〜10質量部、特に0〜8質量部の範囲が好ましく、配合する場合は、0.2質量部以上、特に0.5質量部以上が好ましい。
【0131】
本発明のパターン形成方法においては、前述の通り光酸発生剤よりも光塩基発生剤の方が発生効率が低いことが重要である。光酸発生剤としてスルホニウム塩、あるいはヨードニウム塩を用いた場合、一般式(1)〜(9)に示される塩基発生剤は発生効率が低いために好適に用いることができる。しかしながら、例えば光酸発生剤としてN−スルホニルオキシイミド、光塩基発生剤として(6)、(7)に示される化合物を用いた場合、発生効率が同じであるためにポジ化もネガ化も起こらない。
【0132】
本発明のパターン形成方法において、光塩基発生剤に併用して塩基によって塩基を発生させる塩基増殖剤を用いることもできる。塩基増殖剤を光塩基発生剤と併用する場合、アミノ基のモル数の関係は次の通りである。即ち、クエンチャー中のアミノ基の総モル数と、光塩基発生剤から発生するアミノ基の総モル数と、塩基増殖剤から発生するアミノ基の総モル数の和が、光酸発生剤から発生する酸の総モル数の和よりも多いことが必要である。塩基増殖剤としては、ポリマー主鎖に結合していてもよく、添加型でもよい。
【0133】
ポリマー主鎖に結合している場合では、一般式(1)の繰り返し単位a1において、R4、R5、R6の内の一つがアルケニル基である場合や、カルボニル基、エステル基、ラクトン環、カーボネート基、マレイミド基、アミド基、又はスルホ基を含んでいる場合である。
ポリマー主鎖型の塩基増殖剤としては、下記に例示することができる。このような主鎖型の塩基増殖剤は、酸不安定基や密着性基を有する繰り返し単位と共重合することができる。なお、R1〜R3は前述の通りである。
【0134】
【化73】
【0135】
添加型の塩基増殖剤は、下記式(2’)又は(3’)に示すものである。
【化74】
(但し、式中、R210、R220、R230、R260、R270、R280、R320、R330、R340は水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、又は炭素数7〜15のアラルキル基であるが、R210、R220、R230の少なくとも一つ、R260、R270、R280の少なくとも一つ、R320、R330、R340の少なくとも一つは、炭素数2〜8のアルケニル基であるか、あるいはカルボニル基、エステル基、ラクトン環、カーボネート基、マレイミド基、アミド基又はスルホ基を含む炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数7〜15のアラルキル基等の有機基である。R24、R25、R29、R30、R31、mは上記の通りである。)
【0136】
具体的には下記に例示することができる。なお、R24、R25、R29〜R31は前述の通りである。
【0137】
【化75】
【0138】
【化76】
【0139】
【化77】
【0140】
【化78】
【0141】
【化79】
【0142】
上記塩基増殖剤の配合量は、高分子化合物の主鎖に結合している場合は、繰り返し単位の総量100モル%中、0.1〜10モル%、好ましくは0.3〜8モル%、より好ましくは0.5〜7モル%である。添加型の場合は、高分子化合物(ベース樹脂)100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.3〜15質量部、より好ましくは0.5〜12質量部である。
【0143】
本発明に係るレジスト材料は、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)を含有する。光酸発生剤の成分としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでも構わない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等がある。これらは単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
【0144】
光酸発生剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0122]〜[0142]に記載されている。本発明のパターン形成方法において、光塩基発生剤よりも光酸発生剤の方が光による発生効率が高くなければ、中間の露光量でのポジ化を起こすことはできない。よって光酸発生剤としては、α位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、又はメチド酸を発生させるものが好ましく、このような酸の発生効率の高いスルホニウム塩やヨードニウム塩系の光酸発生剤を用いることが好ましい。
【0145】
かかる光酸発生剤として具体的には、下記のものが挙げられる。
スルホニウム塩はスルホニウムカチオンとスルホネートあるいはビス(置換アルキルスルホニル)イミド、トリス(置換アルキルスルホニル)メチドの塩であり、スルホニウムカチオンとしてトリフェニルスルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ジフェニル(4−チオフェノキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、2−ナフチルジフェニルスルホニウム、ジメチル2−ナフチルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、4−メトキシフェニルジメチルスルホニウム、トリメチルスルホニウム、2−オキソシクロヘキシルシクロヘキシルメチルスルホニウム、トリナフチルスルホニウム、トリベンジルスルホニウム、ジフェニルメチルスルホニウム、ジメチルフェニルスルホニウム、2−オキソ−2−フェニルエチルチアシクロペンタニウム、4−n−ブトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム、2−n−ブトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム等が挙げられ、スルホネートとしては、トリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ドデカフルオロヘキサンスルホネート、ペンタフルオロエチルパーフルオロシクロヘキサンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−フェニルベンゾイルオキシ)プロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ピバロイルオキシプロパンスルホネート、2−シクロヘキサンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−フロイルオキシプロパンスルホネート、2−ナフトイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(4−tert−ブチルベンゾイルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−アダンマンタンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−アセチルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トシルオキシプロパンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−ナフチル−エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8−イル)エタンスルホネート等が挙げられ、ビス(置換アルキルスルホニル)イミドとしてはビストリフルオロメチルスルホニルイミド、ビスペンタフルオロエチルスルホニルイミド、ビスヘプタフルオロプロピルスルホニルイミド、1,3−プロピレンビススルホニルイミド等が挙げられ、トリス(置換アルキルスルホニル)メチドとしてはトリストリフルオロメチルスルホニルメチドが挙げられ、これらの組み合わせのスルホニウム塩が挙げられる。
【0146】
ヨードニウム塩はヨードニウムカチオンとスルホネートあるいはビス(置換アルキルスルホニル)イミド、トリス(置換アルキルスルホニル)メチドの塩であり、ジフェニルヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、4−tert−ブトキシフェニルフェニルヨードニウム、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム等のアリールヨードニウムカチオンが挙げられ、スルホネートとしては前述のスルホニウム塩と同様のスルホネートを適用することができる。
【0147】
上記光酸発生剤の含有量は、ベース樹脂としての上記高分子化合物100質量部に対して0.1〜30質量部、特に0.5〜25質量部の範囲が好ましい。
【0148】
本発明に係るレジスト材料は、更に、有機溶剤、塩基性化合物(クエンチャー)を含有する。更に、溶解制御剤、界面活性剤、アセチレンアルコール類のいずれか1つ以上を含有することができる。
【0149】
レジスト用の有機溶剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0144]〜[0145]に記載されている化合物を用いることができる。
【0150】
即ち、ここで使用される有機溶剤としては、ベース樹脂、酸発生剤、その他の添加剤等が溶解可能な有機溶剤であればいずれでもよい。このような有機溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。本発明では、これらの有機溶剤の中でもレジスト成分中の酸発生剤の溶解性が最も優れているジエチレングリコールジメチルエーテルや1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びその混合溶剤が好ましく使用される。
【0151】
有機溶剤の使用量は、ベース樹脂としての上記高分子化合物100質量部に対して200〜8,000質量部、特に400〜6,000質量部が好適である。
【0152】
レジスト用のクエンチャーとして機能する塩基性化合物としては、特開2008−111103号公報の段落[0146]〜[0164]、界面活性剤は段落[0165]〜[0166]、溶解制御剤としては特開2008−122932号公報の段落[0155]〜[0178]、アセチレンアルコール類は段落[0179]〜[0182]に記載されている材料を用いることができる。
この場合、クエンチャーとしては、特に上記公報の段落[0152]〜[0156]に記載の構造のものが好ましい。
【0153】
更に詳述すると、クエンチャーとしては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド類、イミド類、カーバメート類等が挙げられる。
【0154】
更に、下記一般式(B)−1で示される含窒素有機化合物が例示される。
N(X)n(Y)3-n (B)−1
(上記式中、nは1、2又は3である。側鎖Xは同一でも異なっていてもよく、下記一般式(X1)、(X2)又は(X3)で表すことができる。側鎖Yは同一又は異種の、水素原子もしくは直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜20のアルキル基を示し、エーテル基もしくはヒドロキシル基を含んでもよい。また、X同士が結合して環を形成してもよい。)
【化80】
【0155】
上記一般式(X1)〜(X3)中、R300、R302、R305は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R301、R304は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、又はラクトン環を1個あるいは複数個含んでいてもよい。
R303は単結合、又は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R306は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環を1個あるいは複数個含んでいてもよい。
【0156】
更に、下記一般式(B)−2に示される環状構造を持つ含窒素有機化合物が例示される。
【化81】
(上記式中、Xは前述の通り、R307は炭素数2〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、カルボニル基、エーテル基、エステル基、又はスルフィドを1個あるいは複数個含んでいてもよい。)
【0157】
更に、下記一般式(B)−3〜(B)−6で表されるシアノ基を含む含窒素有機化合物が例示される。
【化82】
(上記式中、X、R307、nは前述の通り、R308、R309は同一又は異種の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。)
【0158】
更に、下記一般式(B)−7で表されるイミダゾール骨格及び極性官能基を有する含窒素有機化合物が例示される。
【化83】
(上記式中、R310は炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状の極性官能基を有するアルキル基であり、極性官能基としては水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基、シアノ基、アセタール基のいずれかを1個あるいは複数個含む。R311、R312、R313は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。)
【0159】
更に、下記一般式(B)−8で示されるベンズイミダゾール骨格及び極性官能基を有する含窒素有機化合物が例示される。
【化84】
(上記式中、R314は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アリール基、又はアラルキル基である。R315は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の極性官能基を有するアルキル基であり、極性官能基としてエステル基、アセタール基、シアノ基のいずれかを一つ以上含み、その他に水酸基、カルボニル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基のいずれかを一つ以上含んでいてもよい。)
【0160】
更に、下記一般式(B)−9及び(B)−10で示される極性官能基を有する含窒素複素環化合物が例示される。
【化85】
(上記式中、Aは窒素原子又は≡C−R322である。Bは窒素原子又は≡C−R323である。R316は炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状の極性官能基を有するアルキル基であり、極性官能基としては水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基、シアノ基又はアセタール基を一つ以上含む。R317、R318、R319、R320は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアリール基であるか、又はR317とR318、R319とR320はそれぞれ結合してベンゼン環、ナフタレン環あるいはピリジン環を形成してもよい。R321は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアリール基である。R322、R323は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアリール基である。R321とR323は結合してベンゼン環又はナフタレン環を形成してもよい。)
【0161】
更に、下記一般式(B)−11〜(B)−14で示される芳香族カルボン酸エステル構造を有する含窒素有機化合物が例示される。
【化86】
(上記式中、R324は炭素数6〜20のアリール基又は炭素数4〜20のヘテロ芳香族基であって、水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアシルオキシ基、又は、炭素数1〜10のアルキルチオ基で置換されていてもよい。R325はCO2R326、OR327又はシアノ基である。R326は一部のメチレン基が酸素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。R327は一部のメチレン基が酸素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基又はアシル基である。R328は単結合、メチレン基、エチレン基、硫黄原子又は−O(CH2CH2O)n−基である。n=0,1,2,3又は4である。R329は水素原子、メチル基、エチル基又はフェニル基である。Xは窒素原子又はCR330である。Yは窒素原子又はCR331である。Zは窒素原子又はCR332である。R330、R331、R332はそれぞれ独立に水素原子、メチル基又はフェニル基であるか、あるいはR330とR331又はR331とR332が結合して、炭素数6〜20の芳香環又は炭素数2〜20のヘテロ芳香環を形成してもよい。)
【0162】
更に、下記一般式(B)−15で示される7−オキサノルボルナン−2−カルボン酸エステル構造を有する含窒素有機化合物が例示される。
【化87】
(上記式中、R333は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基である。R334及びR335はそれぞれ独立に、エーテル、カルボニル、エステル、アルコール、スルフィド、ニトリル、アミン、イミン、アミドなどの極性官能基を1個又は複数個含んでいてもよい炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基であって、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい。R334とR335は互いに結合して、炭素数2〜20のヘテロ環又はヘテロ芳香環を形成してもよい。)
【0163】
更に、クエンチャーとして特許第3790649号公報記載のカルバメート基を有する化合物を用いることもできる。カルバメート基を有する化合物はアミノ基を有していないが、酸によってカルバメート基が分解しアミノ基が生成され、クエンチャーとしての機能が発揮される。
【0164】
なお、クエンチャー(塩基性化合物)の配合量は、ベース樹脂としての上記高分子化合物100質量部に対して0.01〜15質量部、特に0.1〜12質量部の範囲が好ましい。
【0165】
上記式(1)〜(9)に示される光塩基発生剤基から発生したアミン化合物を触媒として、アミンを発生させるアミン増殖機構を利用した場合はアミンの発生効率を高め、アミンの発生を露光量に対して非線形にすることができるメリットがある。アミンの発生が非線形になると、不活性化のコントラストが向上し、ネガ化のコントラストを向上させることができる。
【0166】
ここで、本発明のパターン形成方法に用いるレジスト材料としては、クエンチャー中のアミノ基の総モル数と本発明に係る高分子化合物の光塩基発生剤基を有する繰り返し単位から発生するアミノ基の総モル数との和が、酸発生剤から発生する酸の総モル数と、高分子化合物のスルホニウム塩を持つ繰り返し単位から発生する酸の総モル数との和よりも多いことが必要である。これによって過露光部分で酸発生剤から発生した酸の不活性化が行われる。
【0167】
好ましくは、アミノ基の総モル数の和が酸の総モル数よりも20%以上多いことが好ましく、より好ましくは40%以上であるが、100%を超える場合は、アミン化合物の発生量が常に酸の発生量よりも多くなり、ポジ化の領域、即ち露光量を上げていったときに一旦アルカリに溶解する露光量域が存在しなくなることがあるため、アミノ基の量は、酸発生量に対して最適化する必要がある。かかる点から100%以下であることが好ましく、特には25〜80%、とりわけ30〜70%である。
【0168】
アミノ基の総モル数が増加すると図5のポジ化の感度が低下し、同時にネガ化の感度が向上する。アミノ基の総モル数が多すぎるとポジ化とネガ化の感度が交差し、膜厚が0になる領域が存在しなくなる。また、ネガ化の露光量をポジ化の露光量で割った値が3〜8の範囲になるようにクエンチャーと塩基発生剤の添加量を調整すると、実際のパターンにおいてラインの分割が達成される。
【0169】
ポジ化とネガ化の感度は、PEB温度によっても調整することができる。PEB温度が高いとポジ化が高感度化、ネガ化が低感度化してネガ化の露光量をポジ化の露光量で割った値が大きくなる。逆にPEB温度を下げると上記と逆で、下げすぎるとポジ化とネガ化の感度が交差する。PEB温度を変えるとポジ化とネガ化の感度が変わるだけでなく、酸とアミンの拡散距離が変化する。ポジ化を高感度化し、ネガ化を低感度化させるために必要以上にPEB温度を高めることは、酸とアミンの拡散距離を伸ばすことになり、解像性の劣化を招くために好ましいことではない。PEB温度を変えてポジ化とネガ化の感度を調整するよりは、クエンチャーと塩基発生剤の添加量を変えることによってポジ化とネガ化の感度を調整する方が好ましい。
【0170】
好ましくは、アミノ基の総モル数の和が酸の総モル数よりも20%以上多いことが好ましく、より好ましくは40%以上であるが、100%を超える場合は、アミン化合物の発生量が常に酸の発生量よりも多くなり、ポジ化の領域、即ち露光量を上げていったときに一旦アルカリに溶解する露光量域が存在しなくなることがあるため、アミノ基の量は、酸発生量に対して最適化する必要がある。かかる点から100%以下であることが好ましく、特には25〜80%、とりわけ30〜70%である。
【0171】
クエンチャーだけのアミノ基の総モル数が酸発生剤から発生する酸の総モル数よりも多い場合は、酸発生剤から発生する酸が露光量の大小に拘わらずに中和されているので脱保護反応が起こらず、ポジ化溶解挙動を示さない。よってクエンチャーのアミノ基の総モル数は酸発生剤から発生する酸の総モル数よりも少なくしなければならない。また、光塩基発生剤と塩基増殖剤を併用する場合は、アミノ基の総モル数はクエンチャーのアミノ基のモル数と光塩基発生剤から発生するアミノ基のモル数と塩基増殖剤から発生するアミノ基のモル数の和が酸の総モル数よりも20%以上多いことが好ましい。
光塩基発生剤を用いずに塩基増殖剤だけを用いた場合は、アミンの発生が露光量の増大に従って多くなることがないためネガ化が起こらない。よって塩基増殖剤を用いる場合は、光塩基発生剤と併用する必要がある。
【0172】
アミノ基の総モル数が増加すると図5のポジ化の感度が低下し、同時にネガ化の感度が向上する。アミノ基の総モル数が多すぎるとポジ化とネガ化の感度が交差し、膜厚が0になる領域が存在しなくなる。また、ネガ化の露光量をポジ化の露光量で割った値が3〜8の範囲になるようにクエンチャーと塩基発生剤の添加量を調整すると、実際のパターンにおいてラインの分割が達成される。
【0173】
ポジ化とネガ化の感度は、PEB温度によっても調整することができる。PEB温度が高いとポジ化が高感度化、ネガ化が低感度化してネガ化の露光量をポジ化の露光量で割った値が大きくなる。逆にPEB温度を下げると上記と逆で、下げすぎるとポジ化とネガ化の感度が交差する。PEB温度を変えるとポジ化とネガ化の感度が変わるだけでなく、酸とアミンの拡散距離が変化する。ポジ化を高感度化し、ネガ化を低感度化させるために必要以上にPEB温度を高めることは、酸とアミンの拡散距離を伸ばすことになり、解像性の劣化を招くために好ましいことではない。PEB温度を変えてポジ化とネガ化の感度を調整するよりは、クエンチャーと塩基発生剤の添加量を変えることによってポジ化とネガ化の感度を調整する方が好ましい。
【0174】
図3に従来のポジ型レジスト材料のコントラストカーブが示される。ここで横軸は露光量、縦軸は膜厚であり、横軸の右側の方が露光量が多く、縦軸の上の方が膜厚が厚い。露光量を上げていくと、ある閾値から膜厚が減少していく様子が示されている。
このようなレジスト材料を用いて図4の上に示される光学像において得られたパターンを図4の下に示す。
【0175】
図5に本発明のデュアルトーンレジスト材料のコントラストカーブが示される。露光量を上げていくと、ポジ型レジスト材料のように溶解が進行し、膜厚が0になるが、更に露光量を上げていくと、ネガ型レジスト材料のように膜厚が上昇する。このようなデュアルトーンレジスト材料を用いて図6の上に示される光学像において得られたパターンが図6の下に示される。図4に比べて線幅が半分となり、同じピッチで倍の数のパターンが形成されている。
【0176】
本発明のパターン形成方法に用いられる光塩基発生剤基は、一般式(1)中のa1〜a4に示されるように、分解によって主鎖にアミノ基が発生する光塩基発生剤基、あるいは一般式(2)〜(9)に示される添加型の光塩基発生剤によってデュアルトーンの特性を得ることができる。ベーク(PEB)中にアミンが過剰になっている領域からアミンが蒸発し、酸が過剰になっている領域に再付着し、本来ならばスペースパターンが形成されるはずの領域のパターンが形成されなかったり、スペースパターンのトップが庇を形成して頭張り形状となったりする。ダークパターンとブライトパターンとで形状差や寸法差が生じ、いわゆるケミカルフレアによるダークブライト(DB)差が生じる場合がある。この場合、アミンの蒸発によるDB差を生じさせないためには主鎖に結合したアミノ基が発生する光塩基発生剤や、高沸点のアミンが発生する光塩基発生剤を用いることや、レジストの上層に保護膜を適用することが好ましい。
【0177】
本発明のパターン形成方法に用いられるフォトマスクとしては、石英基板上に露光波長の10〜40%透過率のハーフトーン位相シフト膜を積層させたハーフトーン位相シフトマスクを用いる。通常ハーフトーン位相シフトマスクとしては、6%程度の透過率のハーフトーン位相シフトマスクが用いられている。ハーフトーン位相シフト膜としてはCrと酸素及び又は窒素を含有するCr系の膜や珪素と酸素及び/又は窒素を含有している材料など所定の透過率と位相差を満たすものであればよいが、珪素と酸素及び/又は窒素を含有する材料が所定の位相差で高い透過率が得易く、特に200nm以下の露光波長であるArFを光源とした露光で所定の位相差で高い透過率を得ることがきるため好ましい。珪素に酸素及び/又は窒素を含有する材料としては、SiOやSiN、SiON(本標記は構成元素を示すものであり、組成比を示すものではない、以下同じ)などSiとO、Nからなるものの他に更にCや遷移金属などを含んでいてもよい。特に遷移金属を含ませることによって透過率を所定の値に調整することが容易となる。また、窒素や酸素などの含有量を調整することによって透過率を調整することもできる。遷移金属としてはMo、Ta、Zr、W、Ti、Cr、Hfなどが挙げられるが、特にMo、Ta、Zr、更にはMoを含むものが耐薬品性、加工性の観点から好ましい。具体的にはMoSiN、MoSiON、MoSiO、ZrSiN、ZrSiON、ZrSiO、TaSiN、TaSiON、TaSiOなどを挙げることができる。遷移金属としては1種のものを挙げたが、MoZrSiN、MoZrSiON、MoZrSiO、MoTaSiN、MoTaSiON、MoTaSiO、ZrTaSiN、ZrTaSiON、ZrTaSiOなど、遷移金属を2種以上含むものとしてもよい。
【0178】
位相シフト量(単位:度)としては、簡易的には下記式で計算することができる。
【数1】
【0179】
例えば、位相シフターの屈折率2.0、位相シフターの膜厚100nm、露光波長193nmの条件で位相差は187度である。位相シフターの屈折率は1.4〜3.0の範囲が好ましく、更に好ましくは1.5〜2.8の範囲である。位相シフト膜の屈折率は大きい方が位相シフト膜の膜厚を小さくできるという利点がある。位相シフト膜を薄膜化した場合、位相シフト膜をドライエッチングで加工するときに加工し易い点が利点である。
最適な位相シフト量は、ターゲットとなる寸法、露光装置の照明条件、マスクの透過率やラインの寸法によっても異なるが、位相差としては170〜250度、好ましくは180〜240度、より好ましくは190〜235度の範囲である。このようにすることよって、例えば、ダイポール型などの変形照明を用い、液浸を用いた露光において、微細なパターンをより精密に形成することができる。特に微細なパターンを形成するときは位相差が180度以上とすることが有効である。
【0180】
例えば露光波長193nm、NA1.35、ウエハー上寸法が88nmピッチ、透過率20%でライン寸法20nmのパターンの場合210度程度が最も高コントラストとなる。ハーフトーンの透過率が低くなると最適な位相差は小さくなり、透過率が高くなると大きくなる。高透過率のハーフトーン位相シフトマスクの場合、最適なラインの幅はピッチの半分よりも細い寸法が適している。例えばNA1.35、ウエハー上寸法が88nmピッチ、透過率20%で位相差180度の場合、最適なライン寸法は20nmである。
【0181】
本発明のパターン形成方法は、露光波長や露光方法に特に制約はないが、露光波長が200nm以下、例えば193nmなど、照明系としては偏光照明やダイポールなどの変形照明、液浸などを用い、60nm以下のパターンを形成するのに特に好ましい。デュアルトーンレジストはパターンのピッチを半分にすることが可能であり、ハーフピッチ60nmのパターンを形成する場合、マスクのパターンの寸法はウエハー上の換算で120nmである。
デュアルトーンレジストは、ポジパターンよりもネガパターンの方が溶解コントラストが低い。光学コントラストが低くなるとポジパターンよりもネガパターンの方が形成しにくくなり、ネガパターンの方がエッジラフネスが大きくなったり、パターンの寸法が太くなったりする。低コントラストの光ではポジパターンとネガパターンとの寸法差が大きくなる。
【0182】
ここで、ダブルパターニングについて説明する。図2は従来のダブルパターニング方法を示す。
図2に示すダブルパターニング方法において、基板10上の被加工層20上にレジスト膜30を塗布、形成する。レジストパターンのパターン倒れ防止のため、レジスト膜の薄膜化が進行しており、それに伴うエッチング耐性の低下を補うためにハードマスクを用いて被加工基板を加工する方法が行われている。ここで、図2に示すダブルパターニング方法としては、レジスト膜30と被加工層20の間にハードマスク40を敷く積層膜である(図2−A)。ダブルパターニング方法において、ハードマスクは必ずしも必須ではないし、ハードマスクの代わりにカーボン膜による下層膜と珪素含有中間膜を敷いてもよく、ハードマスクとレジスト膜との間に有機反射防止膜を敷いてもよい。ハードマスクとしては、SiO2、SiN、SiON、p−Si、TiNなどが用いられる。また、このダブルパターニング方法において、用いるレジスト材料はポジ型レジスト材料である。この方法においては、上記レジスト膜30を露光、現像し(図2−B)、次いでハードマスク40をドライエッチングし(図2−C)、レジスト膜を剥離後、2回目のレジスト膜50を塗布、形成し、露光、現像を行う(図2−D)。次に、被加工層20をドライエッチングする(図2−E)が、ハードマスクパターンと、2回目のレジストパターンをマスクにしてエッチングするために、ハードマスク40とレジスト膜50のエッチング耐性の違いにより被加工基板のエッチング後のパターン寸法にずれが生じる。
図2に挙げたダブルパターニング方法は、露光とハードマスクのエッチングを2回行うことになり、プロセスが長いことと、露光装置のアライメント時の位置ずれの問題を有している。
【0183】
一方、本発明のパターニング方法は、例えば図1−Aに示したように、基板10上の被加工層20上にハードマスク40を介してレジスト膜30を形成することは、上記図2の場合と同様である。この状態で所用箇所31を露光する(図1−B)。この場合、上記露光箇所31において、一定の露光量Eで露光しても、露光箇所31の中央部32の露光量が多く、これより両端側33,34に向けて露光量が漸減するもので、上記露光量Eは、露光箇所31における平均の露光量である。そして、このように露光量が多くなる中央部及びその両側の所定部分が、これらをライン幅として残すように、予め使用するレジスト材料について検討、確認しておいた過露光となるような露光量で露光し、次いで現像することにより、図1−Cに示すように、非露光部が未溶解部分として残ると共に、上記中央部32及びその両側の過露光部分も未溶解部分として残る。なお、上記露光量については、図5に示すカーブにおいて、膜厚が0となる露光量E0を調べ、この露光量の5〜10倍の露光量にて露光することができる。図5のコントラストカーブにおいて、前述の通り膜厚が増加し始めるネガ化の感度を、膜厚が0になるポジ化の膜厚で割った値が3〜8の範囲になっている場合にパターニングにおいて1本のラインを2本に分割し解像力を倍加することができる。従って、露光は1回で、2回の露光のパターニングと同等の解像力を得ることができ、またこの場合、図1−Dに示したように、ハードマスク40のエッチングも1回で済み、被加工層20の加工エッチングも1回で済む(図1−E)。しかも、本発明の場合、従来の倍の解像力を得ることができるものである。
【0184】
図7は、ブライトラインのマスクパターンを示し、図8はこのマスクと本発明に係るレジスト材料を用いた場合の現像後のパターンを示す。即ち、マスク101の透光部102よりレジスト膜201が露光されるが、この場合、スペースの中央部103及びその両側が過露光になってこの部分がネガ化し、アルカリ現像液に不溶となってライン202を形成すると共に、このライン202の両側の露光部はアルカリ現像液に可溶となるため、スペース203を形成する。また、上記マスク101の非透光部104に対応するレジスト膜部分は露光されないためアルカリ現像液に不溶であるが、この場合、上記マスク101の非透光部104の両側は露光時に光が侵入し、この侵入部分はアルカリ現像液可溶となるため、上記非透光部103の幅よりも若干幅狭のライン204が形成される。更に、上記マスク101の四周は過露光になるため四角枠状のライン205が形成される。なお、この不要な四角枠状のラインをカットする場合は、このためのパターニングが必要である。このためのパターニングは、図8のパターンをエッチングで一旦ハードマスクに転写した後にその上にもう一度レジスト材料を塗布し、カット露光のパターニングを行う。但し、カット露光のための露光はパターンの解像力は必要なく、高価な液浸リソグラフィーを用いることなく、ArFのドライでもKrF露光でも構わない。
従って、これによりマスク上の1本のラインパターンを、1回の露光、PEB、現像によって1本のラインと2本のスペースに分割形成することができる。
【0185】
図9はダークトレンチのマスクパターンであり、図10はこれと本発明に係るレジスト材料を用いた場合の現像後のパターンを示す。この場合、図8と同様のパターンが同様にして形成される。
従って、これによりマスク上の1本のスペースパターンを、1回の露光、PEB、現像によって1本のラインと2本のスペースに分割形成することができる。
なお、マスク上の1対のラインアンドスペースパターンを、1回の露光、PEB、現像によって2対のラインアンドスペースに分割形成する場合は、ダーク、ブライトマスクに拘わらず、ラインとスペースのパターンが無限に近く並んでいる場合によって形成される。
図9に示されるダークマスクを用いた場合は図10に示されるパターンが形成されるが、図8と図10は同じパターンであり、即ちブライトマスクを用いてもダークマスクを用いても同じパターンを得ることができる。
【0186】
図11は露光波長193nm、NA1.35、σ0.9 20度ダイポール照明、s偏光照明、ウエハー上寸法がピッチ88nmのマスクで、シフター角度180度、5%透過率のハーフトーン位相シフトマスクのライン幅(シフター幅)を変化させたときの光学コントラストを示す。光学イメージを市販のシミュレータ(KLA−Tencor社製PROLITH Ver.10のMaxwell Mode)で計算し、得られた光学イメージから光学コントラストを求める。
【0187】
光学コントラストは、下記式で計算することができる。
【数2】
図11の結果より、5%ハーフトーン位相シフトマスクの場合、ライン幅44nmが最大のコントラストであることが判る。
【0188】
10%ハーフトーン位相シフトマスクの場合、図12に示すようにライン幅が44nmよりもやや細い方がコントラストが向上する。15%以上のハーフトーン位相シフトマスクの場合、細いラインの方がコントラストが向上する傾向は顕著になり、図13〜17に示すように、20nm付近で最大のコントラストを得ることができる。
図18では幅44nmの5%ハーフトーン位相シフトマスクでシフターの膜厚を変えて位相角度を変えた場合である。180度よりもやや厚いシフター膜厚の方がコントラストが上がり、最大値が222度付近である。
図19は幅20nmの20%ハーフトーン位相シフトマスクのシフター角度を変えた場合である。この場合では205〜215度付近が最大値となっている。
図18と図19のシフターの膜厚を最適化したときに得られる最大のコントラストは、ほぼ同じである。このことは、高透過率ハーフトーン位相シフトマスクを用いてもコントラストを向上する効果はないことを示している。しかしながら、図20に示すように、図18と図19の最大のコントラストの光強度を比べてみると、20%透過率ハーフトーン位相シフトマスクの方が遙かにスペース部分の光強度が強いことが判る。スペース部分の光強度が高くなるとデュアルトーンレジストのネガ化の感度が向上する。図20で20%ハーフトーン位相シフトマスクの方が5%ハーフトーン位相シフトマスクよりも約2倍の強度を持っているので、2倍の高感度化が期待できる。
通常のポジ型レジストの場合、高透明なハーフトーン位相シフトマスクを用いても数%感度が向上するだけであり、デュアルトーンレジスト程の感度の向上は見られない。
通常のポジ型レジストの場合、コントラストカーブで膜厚が0になる露光量の3〜4倍の露光量を与えることによってラインアンドスペース1:1のパターンを得ることができる。デュアルトーンレジストの場合、ポジパターンをオーバー露光で細く仕上げると同時にネガパターンを得るために、膜厚が0になる露光量の5〜10倍の露光量を与えるために低感度になってしまう問題点がある。本発明の高透明なハーフトーン位相シフトマスクを適用すると、スペース部分の光の強度が上がるためにネガ化の感度が上がり、感度を向上することができる。
【0189】
本発明のパターン形成方法を示す図1において、基板10としては、シリコン基板が一般的に用いられる。被加工層20としては、SiO2、SiN、SiON、SiOC、p−Si、α−Si、TiN、WSi、BPSG、SOG、Cr、CrO、CrON、MoSi、低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜が挙げられる。また、ハードマスク40としては、上述した通りである。なお、ハードマスクの代わりにカーボン膜による下層膜と珪素含有中間膜あるいは有機反射防止膜等の中間介在層を形成してもよい。
【0190】
本発明においては、上記被加工層に直接又は上記ハードマスク等の中間介在層を介して本発明に係るレジスト材料によるレジスト膜を形成するが、このレジスト膜の厚さとしては、10〜1,000nm、特に20〜500nmであることが好ましい。このレジスト膜は、露光前に加熱(プリベーク)を行うが、この条件としては60〜180℃、特に70〜150℃で10〜300秒間、特に15〜200秒間行うことが好ましい。
次いで、露光を行う。ここで、露光は波長140〜250nmの高エネルギー線、その中でもArFエキシマレーザーによる193nmの露光が最も好ましく用いられる。露光は大気中や窒素気流中のドライ雰囲気でもよいし、水中の液浸露光であってもよい。ArF液浸リソグラフィーにおいては液浸溶媒として純水、又はアルカンなどの屈折率が1以上で、露光波長に高透明の液体が用いられる。液浸リソグラフィーでは、プリベーク後のレジスト膜と投影レンズの間に、純水やその他の液体を挿入する。これによってNAが1.0以上のレンズ設計が可能となり、より微細なパターン形成が可能になる。液浸リソグラフィーはArFリソグラフィーを45nmノードまで延命させるための重要な技術である。液浸露光の場合は、レジスト膜上に残った水滴残りを除去するための露光後の純水リンス(ポストソーク)を行ってもよいし、レジスト膜からの溶出物を防ぎ、膜表面の滑水性を上げるために、プリベーク後のレジスト膜上に保護膜を形成させてもよい。液浸リソグラフィーに用いられるレジスト保護膜としては、例えば、水に不溶でアルカリ現像液に溶解する1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物をベースとし、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、及びこれらの混合溶媒に溶解させた材料が好ましい。レジスト膜形成後に、純水リンス(ポストソーク)を行うことによって膜表面からの酸発生剤などの抽出、あるいはパーティクルの洗い流しを行ってもよく、露光後に膜上に残った水を取り除くためのリンス(ポストソーク)を行ってもよい。
【0191】
光塩基発生剤から発生したアミンがベーク中に蒸発し、これが酸が過剰な領域のレジスト表面に再付着することによって、本来酸によって脱保護が進行して現像後にスペースが開く領域が開口しない現象が起きることがある。このために光塩基発生剤から発生するアミンは沸点が高く、理想的にはポリマー主鎖にアミノ基が結合したアミンが発生する光塩基発生剤を用いることが望ましい。しかしながら、高沸点のバルキーなアミンや高分子型のアミンは酸の補足能が低く、不活性化能が低い。不活性化能が低い場合、ネガ化のコントラストが低くなり、ネガパターンの形状が逆テーパー形状になり、エッジラフネスが劣化するおそれがある。添加型の光塩基発生剤から発生するアミンは不活性化能が高いが、ベーク中に蒸発しケミカルフレアを引き起こす可能性がある。ケミカルフレアを防止するために、レジストの上層に保護膜を適用することは効果的である。
保護膜材料としては、特開2006−91798号公報、特開2007−316581号公報、特開2008−81716号公報、特開2008−111089号公報、特開2009−205132号公報に示されている材料を挙げることができる。
【0192】
レジスト材料として、レジスト表面の撥水性を上げるための添加剤を加えてもよい。このものは、フルオロアルコール基を有する高分子体であり、スピンコート後のレジスト表面に配向することによって表面エネルギーを低下させ、滑水性が向上する。このような材料は、特開2007−297590号公報、特開2008−122932号公報に示される。
【0193】
露光における露光量は1〜200mJ/cm2程度、好ましくは10〜100mJ/cm2、更に好ましくは15〜80mJ/cm2程度となるように露光する。
次に、ホットプレート上で60〜150℃、1〜5分間、好ましくは80〜120℃、1〜3分間ポストエクスポジュアーベーク(PEB)する。
更に、0.1〜5質量%、好ましくは2〜3質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより基板上に目的のパターンが形成される。
【0194】
次いで、レジスト膜をマスクとしてハードマスク等の中間介在層をエッチングし、更に被加工層のエッチングを行う。この場合、ハードマスク等の中間介在層のエッチングは、フロン系、ハロゲン系のガスを用いてドライエッチングすることによって行うことができ、被加工層のエッチングは、ハードマスクとのエッチング選択比をとるためのエッチングガス及び条件を適宜選択することができ、フロン系、ハロゲン系、酸素、水素等のガスを用いてドライエッチングすることによって行うことができる。次いで、レジスト膜を除去するが、この除去は、ハードマスク等の中間介在層のエッチング後に行ってもよい。なお、レジスト膜の除去は、酸素、ラジカルなどのドライエッチングによって行うことができ、あるいはアミン系、又は硫酸/過酸化水素水などの有機溶媒などの剥離液によって行うことができる。
【実施例】
【0195】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例等に制限されるものではない。なお、重量平均分子量(Mw)はGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量を示す。
【0196】
[合成例]
レジスト材料に添加される高分子化合物として、各々のモノマーを組み合わせてテトラヒドロフラン溶媒下で共重合反応を行い、メタノールに晶出し、更にヘキサンで洗浄を繰り返した後に単離、乾燥して、以下に示す組成の高分子化合物(ポリマー1〜8)を得た。得られた高分子化合物の組成は1H−NMR、分子量及び分散度はゲルパーミエーションクロマトグラフにより確認した。
【0197】
ポリマー1
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.76
【化88】
【0198】
ポリマー2
分子量(Mw)=8,800
分散度(Mw/Mn)=1.77
【化89】
【0199】
ポリマー3
分子量(Mw)=7,600
分散度(Mw/Mn)=1.79
【化90】
【0200】
ポリマー4
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.92
【化91】
【0201】
ポリマー5
分子量(Mw)=8,900
分散度(Mw/Mn)=1.83
【化92】
【0202】
ポリマー6
分子量(Mw)=7,300
分散度(Mw/Mn)=1.81
【化93】
【0203】
ポリマー7
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.79
【化94】
【0204】
ポリマー8
分子量(Mw)=9,300
分散度(Mw/Mn)=1.93
【化95】
【0205】
[レジストの組成及び調製]
上記で合成した高分子化合物(ポリマー1〜8)、酸発生剤(PAG1)、光塩基発生剤及び塩基増殖剤(BG1〜12)、塩基性化合物(アミンクエンチャー:Quencher1,2)、レジスト表面撥水剤(撥水剤ポリマー1)、住友スリーエム(株)製界面活性剤;FC−4430が50ppm混合された溶剤を表1の組成で混合し、0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過した溶液を調製した。
【0206】
【化96】
【0207】
【化97】
【0208】
【化98】
有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
CyH(シクロヘキサノン)
PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)
【0209】
【表1】
【0210】
上記表1の組成のレジストポリマー中の光塩基発生剤から発生するアミノ基のモル数a、添加した塩基発生剤から発生するアミノ基のモル数b、クエンチャーのアミノ基のモル数c、酸発生剤から発生する酸及びスルホニウム塩を持つ繰り返し単位から発生する酸のモル数d、上記アミノ基の合計モル数を酸のモル数で割った値eとした場合の値を表2に示す。
【0211】
【表2】
【0212】
(1)コントラストカーブ評価
表1中に示されるレジスト1をシリコンウエハーにARC−29A(日産化学工業(株)製)を80nmの膜厚で成膜した基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを110nmにした。これをArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製、NSR−S307E,NA0.85、σ0.93、通常照明)を用いて露光量を変えながらオープンフレーム露光を行い、100℃で60秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で30秒間現像を行った。現像後のレジスト膜厚を光学式膜厚計で測定した。レジスト1の結果を図21に示す。図21において膜厚が0になるポジ化の感度は18mJ/cm2、膜厚が増加し始めるネガ化の感度は72mJ/cm2である。
【0213】
位相シフトマスク:
位相シフトマスクとしてはMoSiON膜が位相シフト膜パターンとして152mm(6インチ)、厚さ6.35mm(1/4インチ)角の石英基板上に形成されているものを用いた。また、バイナリーマスクとしてはCrCONからなる膜が遮光膜パターンとして152mm(6インチ)、厚さ6.35mm(1/4インチ)角の石英基板上に形成されているものを用いた。実施例マスク1としては、透過率20%、位相差205度、比較例1としては透過率6%、位相差180度、比較例2ではCrのバイナリーマスクを用いた。マスクの膜厚、透過率、位相シフト角度、ウエハー上に転写された時のライン幅寸法を表3に示す。スキャナーの縮小倍率が1/4なので、マスク上の寸法はウエハー上の4倍の寸法である。
【0214】
【表3】
【0215】
(2)パターニング評価
表1中に示されるレジスト材料を、シリコンウエハーにスピンオンカーボン膜ODL−102(信越化学工業(株)製)を200nmの膜厚、スピンオン珪素含有膜SHB−A940(信越化学工業(株)製)を35nmの膜厚で成膜した基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを80nmにした。レジスト1〜7は保護膜なしで、レジスト8〜19はレジスト上に表4に示す保護膜1を塗布し、90℃で60秒間ベークし、膜厚50nmの保護膜を作製した。
【表4】
【化99】
これをArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製、NSR−S610C,NA1.05、σ0.98/0.78、ダイポール照明)、表3に示されるマスクを用いてAzimuthally偏光照明で、ウエハー上の寸法で100nmライン、200nmピッチのマスクパターンを露光し、表5に示す温度で60秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で30秒間現像を行った。
(株)日立ハイテクノロジーズ製測長SEM(S−9380)を用いて、1本の100nmラインアンドスペースが2本に分割されているかどうかを確認し、分割されている場合は分割された2本のラインの寸法を測定し、この時の露光量を確認した。
この時、ポジ化のライン(ライン1寸法:図10に示される204)とネガ化のライン(ライン2寸法:図10に示される202)の両方の寸法を測定した。結果を表5に示す。
【0216】
【表5】
【0217】
本発明のレジスト1〜19は、アミノ基の合計モル数が発生酸の合計モル数より上回るもので、高透明なハーフトーン位相シフトマスクを用いてパターンを転写することにより、1本のラインが2本に分割されており、100nmのラインパターンのマスクを用いて1回の露光と現像によって約50nmのラインパターンが高感度で形成できた。
これに対し、従来型の透過率の低いハーフトーン位相シフトマスクである比較例マスク1を用いた場合は、低感度であり、コントラストが低いためにネガパターンの寸法が太くなった。バイナリーマスクである比較例マスク2を用いた場合は、透過率の低いハーフトーン位相シフトマスクを用いた場合よりも若干感度が向上したもののコントラストが低いためネガパターンの寸法が更に太く、部分的にしか解像しなかった。
【符号の説明】
【0218】
10 基板
20 被加工層
30 レジスト膜
31 露光箇所
32 露光箇所の中央部
33,34 露光箇所の端部
40 ハードマスク
50 レジスト膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸不安定基を有する繰り返し単位を含み、アルカリ現像液に難溶の高分子化合物と、光酸発生剤と、アミノ基を発生する光塩基発生剤と、アミノ基を有し、光酸発生剤より発生する酸を中和することによって不活性化させるクエンチャーと、有機溶媒とを含むレジスト材料を基板上に塗布、ベークし、透過率が10〜40%の範囲のハーフトーン位相シフトマスクを用いて露光、ベーク(PEB)、現像の工程を経て、露光量の少ない未露光部分と露光量の多い過露光部分の膜を現像液に溶解させず、露光量が中間の露光領域を現像液に溶解させたパターンを得ることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
クエンチャー中のアミノ基の総モル数と、光塩基発生剤から発生するアミノ基の総モル数の和が、光酸発生剤から発生する酸の総モル数よりも多いことを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項3】
酸不安定基を有する繰り返し単位とスルホニウム塩を持つ繰り返し単位とを含み、アルカリ現像液に難溶の高分子化合物と、アミノ基を発生する光塩基発生剤と、アミノ基を有し、スルホニウム塩を持つ繰り返し単位より発生する酸及び光酸発生剤より発生する酸を中和することによって不活性化させるクエンチャーと、有機溶媒とを含むレジスト材料を基板上に塗布し、ベーク、露光、ベーク(PEB)、現像の工程を経て、露光量の少ない未露光部分と露光量の多い過露光部分の膜を現像液に溶解させず、露光量が中間の露光領域を現像液に溶解させたパターンを得ることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項4】
クエンチャー中のアミノ基の総モル数と、光塩基発生剤から発生するアミノ基の総モル数の和が、スルホニウム塩を持つ繰り返し単位より発生する酸の総モル数と、光酸発生剤から発生する酸の総モル数の和よりも多いことを特徴とする請求項3記載のパターン形成方法。
【請求項5】
光塩基発生剤が、光分解によりアミノ基を発生させるものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【請求項6】
下記式(i)〜(iii)で示されるいずれかの部分構造を有する光塩基発生剤を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【化1】
【請求項7】
光塩基発生剤が、下記一般式(1)中の繰り返し単位a1〜a4のいずれかで示されるものであり、該繰り返し単位が高分子化合物の主鎖に結合されていることを特徴とする請求項6記載のパターン形成方法。
【化2】
(式中、R1、R7、R12、R17は水素原子又はメチル基である。R2、R8、R13、R18は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フェニルメチレン基、フェニルエチレン基、フェニルプロピレン基、又は−C(=O)−O−R21−である。R21は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、炭素数6〜10のアリーレン基、又は炭素数2〜12のアルケニレン基であり、R3、R9、R14は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基であるが、上記R21と結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよい。R4、R5、R6は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基で、アリール基が炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、又はトリフルオロメチル基を含んでいてもよく、R4とR5、R5とR6、又はR4とR6とが結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよいが、R4、R5、R6の全てが水素原子、又は全てがアルキル基になることはない。R10、R11は炭素数6〜14のアリール基で、該アリール基は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、又はカルボニル基を含んでいてもよい。R15、R16は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基で、R15とR16とが結合してこれらが結合する炭素原子及び窒素原子と共に環を形成してもよく、環の中にベンゼン環、ナフタレン環、2重結合、又はエーテル結合を有していてもよい。R19、R20は水素原子、炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜14のR4、R5、R6と同様の置換基を有していてもよいアリール基であり、R19、R20の内少なくとも一方あるいは両方がアリール基であり、又はR19とR20とが結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0≦a3<1.0、0≦a4<1.0、0<a1+a2+a3+a4<1.0である。)
【請求項8】
光塩基発生剤が、下記一般式(2)〜(9)に示されるものから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項6記載のパターン形成方法。
【化3】
(式中、R21、R22、R23、R26、R27、R28、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R40、R41、R42、R46、R47、R48は水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基で、アリール基が炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、又はトリフルオロメチル基を含んでいてもよいが、R21〜R23、R26〜R28、R32〜R34、R35〜R37、R40〜R42、R46〜R48の内少なくとも一つがアリール基であり、少なくとも1つが水素原子であり、又はR21〜R23及びR26〜R28及びR32〜R34及びR35〜R37及びR40〜R42及びR46〜R48の内、2つ以上が結合して環を形成してもよい。R24、R25、R29、R31、R38、R39、R43、R45、R51、R52、R55、R57は水素原子、又は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、2重結合、エーテル基、アミノ基、カルボニル基、ヒドロキシ基、又はエステル基を有していてもよく、R24とR25、R29とR31、R29とR30、R31とR30、R38とR39、R43とR44、R44とR45、R43とR45、R51とR52、R55とR56、R55とR57、R56とR57とが結合して環を形成してもよい。R30、R44、R56は単結合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルキン基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数2〜12のアルケニレン基、又は炭素数2〜12のアルキニレン基で、これらの基は2重結合、エーテル基、アミノ基、カルボニル基、ヒドロキシ基、又はエステル基を有していてもよい。R49、R50、R53、R54、R58、R59は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基で、R49とR50、R53とR54、R58とR59とが結合して環を形成してもよく、環の中にベンゼン環、ナフタレン環、2重結合、又はエーテル結合を有していてもよい。R60は炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数2〜20のアルケニル基であり、R61は炭素数6〜20のアリール基、R62は水素原子、炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基である。R63、R64、R65は水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数2〜10のアルケニル基又はアルコキシカルボニル基、又はシアノ基で、上記アルキル基、アリール基、アルケニル基が炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、スルフィド基、アミノ基、又はエーテル基を有していてもよい。m、n、rは1又は2である。)
【請求項9】
光酸発生剤が、光照射によってα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、又はメチド酸を発生させるものであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【請求項10】
光酸発生剤が、スルホニウム塩又はヨードニウム塩系の酸発生剤であることを特徴とする請求項9記載のパターン形成方法。
【請求項11】
マスク上の1対のラインアンドスペースパターンを、1回の露光、PEB、現像によって2対のラインアンドスペースに分割形成することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の解像力倍加のパターン形成方法。
【請求項12】
マスク上の1本のラインパターンを、1回の露光、PEB、現像によって1本のラインと2本のスペースに分割形成することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の解像力倍加のパターン形成方法。
【請求項13】
マスク上の1本のスペースパターンを、1回の露光、PEB、現像によって1本のラインと2本のスペースに分割形成することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の解像力倍加のパターン形成方法。
【請求項14】
露光波長が193nmのArFエキシマレーザーを光源とし、レンズと基板の間に水を挿入する液浸リソグラフィーであることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項記載の解像力倍加のパターン形成方法。
【請求項15】
透過率が10〜40%の範囲のハーフトーン位相シフトマスクがSi原子と酸素及び又は窒素を少なくとも含有している膜で構成されていることを特徴とする請求項1記載のフォトマスクを用いることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項16】
透過率が10〜40%の範囲のハーフトーン位相シフトマスクがSi原子及びMo、Ta、Zrの各原子から選ばれる1つ以上の原子と酸素及び又は窒素を少なくとも含有している膜で構成されていることを特徴とする請求項1又は15記載のフォトマスクを用いることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項17】
ハーフトーン位相シフトマスクの位相が170〜250度であることを特徴とする請求項1、15又は16記載のフォトマスクを用いることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項1】
酸不安定基を有する繰り返し単位を含み、アルカリ現像液に難溶の高分子化合物と、光酸発生剤と、アミノ基を発生する光塩基発生剤と、アミノ基を有し、光酸発生剤より発生する酸を中和することによって不活性化させるクエンチャーと、有機溶媒とを含むレジスト材料を基板上に塗布、ベークし、透過率が10〜40%の範囲のハーフトーン位相シフトマスクを用いて露光、ベーク(PEB)、現像の工程を経て、露光量の少ない未露光部分と露光量の多い過露光部分の膜を現像液に溶解させず、露光量が中間の露光領域を現像液に溶解させたパターンを得ることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
クエンチャー中のアミノ基の総モル数と、光塩基発生剤から発生するアミノ基の総モル数の和が、光酸発生剤から発生する酸の総モル数よりも多いことを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項3】
酸不安定基を有する繰り返し単位とスルホニウム塩を持つ繰り返し単位とを含み、アルカリ現像液に難溶の高分子化合物と、アミノ基を発生する光塩基発生剤と、アミノ基を有し、スルホニウム塩を持つ繰り返し単位より発生する酸及び光酸発生剤より発生する酸を中和することによって不活性化させるクエンチャーと、有機溶媒とを含むレジスト材料を基板上に塗布し、ベーク、露光、ベーク(PEB)、現像の工程を経て、露光量の少ない未露光部分と露光量の多い過露光部分の膜を現像液に溶解させず、露光量が中間の露光領域を現像液に溶解させたパターンを得ることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項4】
クエンチャー中のアミノ基の総モル数と、光塩基発生剤から発生するアミノ基の総モル数の和が、スルホニウム塩を持つ繰り返し単位より発生する酸の総モル数と、光酸発生剤から発生する酸の総モル数の和よりも多いことを特徴とする請求項3記載のパターン形成方法。
【請求項5】
光塩基発生剤が、光分解によりアミノ基を発生させるものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【請求項6】
下記式(i)〜(iii)で示されるいずれかの部分構造を有する光塩基発生剤を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【化1】
【請求項7】
光塩基発生剤が、下記一般式(1)中の繰り返し単位a1〜a4のいずれかで示されるものであり、該繰り返し単位が高分子化合物の主鎖に結合されていることを特徴とする請求項6記載のパターン形成方法。
【化2】
(式中、R1、R7、R12、R17は水素原子又はメチル基である。R2、R8、R13、R18は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フェニルメチレン基、フェニルエチレン基、フェニルプロピレン基、又は−C(=O)−O−R21−である。R21は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、炭素数6〜10のアリーレン基、又は炭素数2〜12のアルケニレン基であり、R3、R9、R14は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基であるが、上記R21と結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよい。R4、R5、R6は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基で、アリール基が炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、又はトリフルオロメチル基を含んでいてもよく、R4とR5、R5とR6、又はR4とR6とが結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよいが、R4、R5、R6の全てが水素原子、又は全てがアルキル基になることはない。R10、R11は炭素数6〜14のアリール基で、該アリール基は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、又はカルボニル基を含んでいてもよい。R15、R16は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基で、R15とR16とが結合してこれらが結合する炭素原子及び窒素原子と共に環を形成してもよく、環の中にベンゼン環、ナフタレン環、2重結合、又はエーテル結合を有していてもよい。R19、R20は水素原子、炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜14のR4、R5、R6と同様の置換基を有していてもよいアリール基であり、R19、R20の内少なくとも一方あるいは両方がアリール基であり、又はR19とR20とが結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0≦a3<1.0、0≦a4<1.0、0<a1+a2+a3+a4<1.0である。)
【請求項8】
光塩基発生剤が、下記一般式(2)〜(9)に示されるものから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項6記載のパターン形成方法。
【化3】
(式中、R21、R22、R23、R26、R27、R28、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R40、R41、R42、R46、R47、R48は水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基で、アリール基が炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、又はトリフルオロメチル基を含んでいてもよいが、R21〜R23、R26〜R28、R32〜R34、R35〜R37、R40〜R42、R46〜R48の内少なくとも一つがアリール基であり、少なくとも1つが水素原子であり、又はR21〜R23及びR26〜R28及びR32〜R34及びR35〜R37及びR40〜R42及びR46〜R48の内、2つ以上が結合して環を形成してもよい。R24、R25、R29、R31、R38、R39、R43、R45、R51、R52、R55、R57は水素原子、又は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、2重結合、エーテル基、アミノ基、カルボニル基、ヒドロキシ基、又はエステル基を有していてもよく、R24とR25、R29とR31、R29とR30、R31とR30、R38とR39、R43とR44、R44とR45、R43とR45、R51とR52、R55とR56、R55とR57、R56とR57とが結合して環を形成してもよい。R30、R44、R56は単結合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルキン基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数2〜12のアルケニレン基、又は炭素数2〜12のアルキニレン基で、これらの基は2重結合、エーテル基、アミノ基、カルボニル基、ヒドロキシ基、又はエステル基を有していてもよい。R49、R50、R53、R54、R58、R59は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基で、R49とR50、R53とR54、R58とR59とが結合して環を形成してもよく、環の中にベンゼン環、ナフタレン環、2重結合、又はエーテル結合を有していてもよい。R60は炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数2〜20のアルケニル基であり、R61は炭素数6〜20のアリール基、R62は水素原子、炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基である。R63、R64、R65は水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数2〜10のアルケニル基又はアルコキシカルボニル基、又はシアノ基で、上記アルキル基、アリール基、アルケニル基が炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、スルフィド基、アミノ基、又はエーテル基を有していてもよい。m、n、rは1又は2である。)
【請求項9】
光酸発生剤が、光照射によってα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、又はメチド酸を発生させるものであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【請求項10】
光酸発生剤が、スルホニウム塩又はヨードニウム塩系の酸発生剤であることを特徴とする請求項9記載のパターン形成方法。
【請求項11】
マスク上の1対のラインアンドスペースパターンを、1回の露光、PEB、現像によって2対のラインアンドスペースに分割形成することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の解像力倍加のパターン形成方法。
【請求項12】
マスク上の1本のラインパターンを、1回の露光、PEB、現像によって1本のラインと2本のスペースに分割形成することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の解像力倍加のパターン形成方法。
【請求項13】
マスク上の1本のスペースパターンを、1回の露光、PEB、現像によって1本のラインと2本のスペースに分割形成することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の解像力倍加のパターン形成方法。
【請求項14】
露光波長が193nmのArFエキシマレーザーを光源とし、レンズと基板の間に水を挿入する液浸リソグラフィーであることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項記載の解像力倍加のパターン形成方法。
【請求項15】
透過率が10〜40%の範囲のハーフトーン位相シフトマスクがSi原子と酸素及び又は窒素を少なくとも含有している膜で構成されていることを特徴とする請求項1記載のフォトマスクを用いることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項16】
透過率が10〜40%の範囲のハーフトーン位相シフトマスクがSi原子及びMo、Ta、Zrの各原子から選ばれる1つ以上の原子と酸素及び又は窒素を少なくとも含有している膜で構成されていることを特徴とする請求項1又は15記載のフォトマスクを用いることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項17】
ハーフトーン位相シフトマスクの位相が170〜250度であることを特徴とする請求項1、15又は16記載のフォトマスクを用いることを特徴とするパターン形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図20】
【図4】
【図6】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図21】
【図2】
【図3】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図20】
【図4】
【図6】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図21】
【公開番号】特開2012−18198(P2012−18198A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153510(P2010−153510)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】
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