説明

パターン形成方法

【解決手段】芳香族基を繰り返し単位の20〜100モル%の範囲で有し、かつ酸によってアルカリに溶解する高分子化合物を含む第1のポジ型レジスト材料を基板上に塗布して、第1のレジスト膜を形成する工程と、第1のレジスト膜上に第1のレジスト膜を溶解させない炭素数3〜8のアルキルアルコールを溶媒とする第2のポジ型レジスト材料を塗布して、第2のレジスト膜を形成する工程と、高エネルギー線で露光し、ベーク後、現像液を用いて前記第1と第2のレジスト膜を同時に現像してレジストパターンを形成する工程とを含むパターン形成方法。
【効果】本発明のパターン形成方法によれば、現像後に基板面を開口させることができる。
本発明では、第2層のレジスト膜単独の場合よりも現像後のレジストパターンをマスクにして基板をエッチング加工したり、イオンを打ち込んだりするときの耐性を高くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に露光波長に高い吸収を有する第1のフォトレジスト膜を形成し、その上に第1のフォトレジスト膜を溶解させない炭素数3〜8のアルキルアルコールを溶剤とする第2のレジスト材料を塗布して第2のフォトレジスト膜を形成し、露光、現像によって第1と第2のレジストパターンを同時に形成するパターン形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、CMOSデバイスのpウエルとnウエルを形成するためKrFレジスト膜をマスクにしてイオンを打ち込んで形成される場合があるが、レジストパターンの微細化の進行と共にArFレジスト膜が検討されるようになり、より微細化にはArF液浸リソグラフィーも提唱されている。イオンインプラントのためには、レジスト膜のスペース部分の基板面が現れている必要がある。レジスト膜の下に反射防止膜(BARC)層が存在すると、BARC層によってイオンがトラップされてしまうのである。しかしながら、BARC層無しでフォトレジスト膜をパターニングすると、基板反射による定在波が発生し、現像後のレジストパターンの側壁に強い凹凸が生じてしまう。定在波による凹凸をスムージングによって滑らかにするために、酸の拡散を大きくするための酸拡散し易い分子量の小さい酸が発生する酸発生剤(PAG)や高温PEBの適用が効果的とされている。KrF露光のイオンインプラントレジスト膜が解像する200〜300nmの寸法では酸拡散の増大によって解像性が劣化することがなかったが、ArF露光のイオンインプラントレジスト膜が解像する200nm以下の寸法では酸の拡散によって解像性が劣化したりプロキシミティーバイアスが大きくなったりするため、好ましいことではない。
【0003】
フォトレジスト膜自体に吸収を持たせることによって定在波の発生を防止するダイ入りレジスト材料は、最も古典的な方法であり、i線やg線のノボラックレジスト材料から検討されてきた。ArF露光に用いられる吸収成分としてはベンゼン環がベースポリマーへ導入されたり、ベンゼン環を有する添加剤の検討が行われている。しかしながら、吸収成分によって完全に定在波を防止することはできないし、吸収を大きくすると定在波は低減するもののレジストパターンの断面が台形のテーパー形状になってしまう問題が生じる。
【0004】
レジスト膜の上層に反射防止膜(TARC)を設けることも検討されている。TARCは定在波低減には効果があるが基板の凹凸によるハレーションの防止効果が無い。TARCの屈折率はフォトレジスト膜の屈折率の平方根が理想的であるが、ArFレジスト膜に用いられているメタクリレートの波長193nmにおける屈折率が1.7と比較的低いために、この平方根の1.30を達成できる低屈折率の材料が少ないなどの欠点がある。
【0005】
そこで、現像液に溶解するBARCの検討が行われている(非特許文献1,2)。当初、現像液に非等方性に溶解するBARCが検討されたが、溶解が進行しすぎるとレジストパターンの下にアンダーカットが入り、溶解が足りないとスペース部分に残渣が残り、寸法制御性に難があった。次に検討されたのは、感光性のBARCである。BARCとして機能するには、反射防止効果とその上にフォトレジスト材料を塗布したときにフォトレジスト溶液に溶解しないこと、フォトレジスト膜とインターミキシングを起こさないことが必要である。BARC溶液を塗布後のベーク時に架橋することによってフォトレジスト溶液への溶解とインターミキシングを防止する。BARCにポジ型としての感光性の機能を持たせた場合、露光した領域はフォトレジスト膜と同様に現像液に溶解しなければならない。架橋したBARC膜は酸不安定基の脱保護によっても現像液に溶解しづらく、スペース部分に残渣が残る問題が生じている。
【0006】
従来型の架橋型BARCの場合は、レジスト現像後、ドライエッチングによってレジストパターンをマスクにして基板を加工するが、BARC膜を開けるためにレジストパターンが膜減りしてしまう問題があった。そこでエッチング速度の速いBARCが要求されてきた。BARC膜はエッチング耐性が殆ど期待できないため、基板加工のためのエッチング耐性向上はレジスト膜に要求されてきたが、レジスト膜の薄膜化によりエッチング耐性が低下してきている。基板加工のためのエッチング耐性をBARCに持たせようとすると、BARC膜を開けるときのレジストパターンのダメージが大きくなるジレンマが生じている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Proc. SPIE Vol. 5039 p129 (2003)
【非特許文献2】Proc. SPIE Vol. 6153 p51532P (2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
イオンインプラント工程に用いられるフォトレジスト膜としては、開口した領域にイオンを打ち込むために現像後に露光部分の基板面が開口している必要がある。この場合、基板としてはシリコン基板が用いられるために基板からの反射が大きい。TARCは定在波を抑える効果があるが、定在波を完全に抑える最適な低屈折材料が存在しないために定在波が発生することと、基板に凹凸が存在するときの乱反射(ハレーション)を抑える効果がない。吸収成分入りレジスト膜は、吸収が強いと基板反射を抑える効果が高まるが、テーパー形状になり、テーパー形状が発生しないぐらいの少ない吸収の場合、基板反射を抑える効果が小さく、定在波による凹凸が発生する。BARCは吸収剤による光吸収と、最適な膜厚設定による入射光と反射光の相殺の2つの効果によって反射を抑えるために反射防止効果が非常に高いが、現像後にBARC面が現れてしまい、基板内部にイオンを打ち込むことができない。感光性のBARCはレジスト膜とのミキシングを防止するためにスピンコート後のベーク時の架橋によって露光部分のアルカリ現像液への溶解性が低下し、露光部分の基板面にスカム(残渣)が残る。基板面にスカムが残らない感光性のBARCを開発することが望まれている。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、露光部分の基板面にスカムが残らない寸法制御性に優れた感光性の反射防止膜としての効果が高い第1のフォトレジスト膜と、これの上に組み合わせる第2のフォトレジスト膜を用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、下記パターン形成方法を提供するものである。
請求項1:
芳香族基を繰り返し単位の20モル%以上100モル%以下の範囲で有し、かつ酸によってアルカリに溶解する高分子化合物を含む第1のポジ型レジスト材料を基板上に塗布して、第1のレジスト膜を形成する工程と、第1のレジスト膜上に第1のレジスト膜を溶解させない炭素数3〜8のアルキルアルコールを溶媒とする第2のポジ型レジスト材料を塗布して、第2のレジスト膜を形成する工程と、高エネルギー線で露光し、ベーク(PEB)後、現像液を用いて前記第1と第2のレジスト膜を同時に現像してレジストパターンを形成する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
請求項2:
第1のレジスト膜の露光波長に対する消光係数(k値)が0.1〜1.1の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
請求項3:
露光波長がArFエキシマレーザーによる193nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のパターン形成方法。
請求項4:
第1のレジスト材料の芳香族基がベンゼン環であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
請求項5:
第1のレジスト材料の溶剤が、ケトン類、エーテル基又はエステル基を有するアルコール類、エーテル類、エステル類、ラクトン類から選ばれる1種又は2種以上の混合溶剤であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
請求項6:
第1のレジスト材料の溶剤が、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチル−2−n−アミルケトン、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトンから選ばれる1種単独又は2種以上を混合したものであることを特徴とする請求項5に記載のパターン形成方法。
請求項7:
第2のレジスト材料の炭素数3〜8のアルキルアルコール溶媒として、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−ジエチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、1−ヘプタノール、シクロヘキサノール、オクタノールから選ばれる1種を単独で又は2種以上を混合していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
請求項8:
炭素数3〜8のアルキルアルコールを溶媒とする第2のポジ型レジスト材料に用いられるベースポリマーが、2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
請求項9:
ベースポリマーが、2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基を有する繰り返し単位として、下記一般式(1)で示されるものであることを特徴とする請求項8に記載のパターン形成方法。
【化1】


(式中、R1は水素原子又はメチル基である。mは1又は2で、mが1の場合、R2は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エステル基、エーテル基、ヒドロキシ基又はフッ素原子を有していてもよく、mが2の場合、上記アルキレン基から水素原子が1個脱離した基である。また、R2はR3と結合して環を形成してもよい。R3は水素原子、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、又はジフルオロメチル基である。)
請求項10:
下記一般式(2)で示される、2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基を有する繰り返し単位aと、酸不安定基を有する繰り返し単位b1を共重合した高分子化合物をベースポリマーとすることを特徴とする請求項8又は9に記載のパターン形成方法。
【化2】


(式中、R1〜R3、mは前述と同様、R4は水素原子又はメチル基であり、R5は酸不安定基であり、0<a<1.0、0<b1<1.0、0<a+b1≦1.0の範囲である。)
請求項11:
芳香族基を繰り返し単位の20モル%以上100モル%以下の範囲で有し、酸によってアルカリに溶解する第1のレジスト材料に用いられる高分子化合物が、下記一般式(3)で示されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【化3】


(式中、R6、R9、R13は水素原子又はメチル基、X1、X2、X3は単結合、又は−C(=O)−O−、R7、R10、R14は単結合、又は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R7、R10、R14はエーテル基、エステル基又はラクトン環を有していてもよく、X2は−C(=O)−NH−であってもよい。R8、R11、R15は酸不安定基である。R12は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、p、sは1又は2であり、qは0〜4の整数であり、r1、r2は0〜2の整数であり、0≦b2<1.0、0≦c1<1.0、0≦c2<1.0、0<b2+c1+c2≦1.0の範囲である。)
請求項12:
第1のレジスト材料に用いられる高分子化合物が、上記一般式(3)で示される繰り返し単位b2、c1、c2に加えて、ラクトン環、カーボネート基、チオカーボネート基、カルボニル基、環状アセタール基、エーテル基、エステル基、スルホン酸エステル基、シアノ基、アミド基、−O−C(=O)−Y−(Yは硫黄原子又はNHである。)から選ばれる密着性基を有する繰り返し単位dを含有することを特徴とする請求項11に記載のパターン形成方法。
請求項13:
現像液を用いて前記第1と第2のレジスト膜を同時に現像してレジストパターンを形成した後にドライエッチングによって基板を加工することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
請求項14:
現像液を用いて前記第1と第2のレジスト膜を同時に現像してレジストパターンを形成した後に基板にイオンを打ち込むことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【0011】
このようなパターン形成方法を適用することによって、基板からの反射を抑えることによって現像後のフォトレジストパターン断面の定在波による凹凸の発生を防ぎ、現像後の露光部の基板面をスカムの発生が無く寸法制御性高く開口させることが可能になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、少なくとも、芳香族基を繰り返し単位の20モル%以上100モル%以下の範囲で有し、かつ酸によってアルカリに溶解する高分子化合物を含む第1層目のポジ型レジスト材料を基板上に塗布して第1のレジスト膜を形成し、第1のレジスト膜上に第1のレジスト膜を溶解させない炭素数3〜8のアルキルアルコールを溶媒とする第2のポジ型レジスト材料を塗布して、第2のレジスト膜を形成し、露光中に生じる基板からの反射による定在波やハレーションの影響を無くして露光し、ベーク(PEB)後、現像液を用いて前記第1と第2のレジスト膜を同時に現像することによって、現像後に基板面を開口させることができる。
本発明の第1層レジスト膜は芳香族基を多く有しているために、第2層のレジスト膜よりもエッチング耐性が高い。第2層のレジスト膜を第1層レジスト膜と組み合わせることによって、第2層のレジスト膜単独の場合よりも現像後のレジストパターンをマスクにして基板をエッチング加工したり、イオンを打ち込んだりするときの耐性を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明のパターン形成方法を表す断面図であり、Aは基板上に被加工層、第1レジスト膜を形成した状態、Bはその上に第2レジスト膜を形成した状態、Cはこのレジスト膜を露光した状態、Dは現像した状態、Eはレジストパターンをマスクにして被加工層をエッチングした状態を示す。
【図2】図2は、本発明のパターン形成方法を表す断面図であり、Aは基板上に第1レジスト膜を形成した状態、Bはその上に第2レジスト膜を形成した状態、Cはこのレジスト膜を露光した状態、Dは現像した状態、Eはレジストパターンをマスクにして基板にイオンを打ち込んだ状態を示す。
【図3】本発明の第1層目のレジスト膜のn値を1.3にし、k値と膜厚を変化させたときのレジスト膜の下方からの反射率を示した図である。
【図4】本発明の第1層目のレジスト膜のn値を1.4にし、k値と膜厚を変化させたときのレジスト膜の下方からの反射率を示した図である。
【図5】本発明の第1層目のレジスト膜のn値を1.5にし、k値と膜厚を変化させたときのレジスト膜の下方からの反射率を示した図である。
【図6】本発明の第1層目のレジスト膜のn値を1.6にし、k値と膜厚を変化させたときのレジスト膜の下方からの反射率を示した図である。
【図7】本発明の第1層目のレジスト膜のn値を1.7にし、k値と膜厚を変化させたときのレジスト膜の下方からの反射率を示した図である。
【図8】本発明の第1層目のレジスト膜のn値を1.8にし、k値と膜厚を変化させたときのレジスト膜の下方からの反射率を示した図である。
【図9】本発明の第1層目のレジスト膜のn値を1.9にし、k値と膜厚を変化させたときのレジスト膜の下方からの反射率を示した図である。
【図10】本発明の第1層目のレジスト膜のn値を2.0にし、k値と膜厚を変化させたときのレジスト膜の下方からの反射率を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明者らは、Si等の高反射基板でパターニングを行うイオンインプランテーション用のフォトリソグラフィーにおいて、基板からの反射を防いでかつ露光部を開口させるために、DBARCを用いたときのような開口部分の残渣が発生しないパターニング方法及びこれに用いるフォトレジスト材料の鋭意検討を行った。
【0015】
本発明者らは、第1のポジ型レジスト材料としては、露光波長に強い吸収を有するポジ型レジスト材料を用い、その上に第1レジスト膜を溶解させない炭素数3〜8のアルキルアルコールを溶剤とする第2のポジ型レジスト材料を塗布し、露光と現像によって第1と第2レジストのパターンを同時に形成する。この時に、基板からの反射と定在波の発生によってレジストパターン側壁に凹凸が発生することを抑え、露光した部分の基板面を残渣の発生無く開口することが可能であることを見出し、本発明を完成させたものである。
即ち、第1層目のレジスト膜は、DBARCのように架橋する必要がないため、露光部分にスカムが発生することがない。第1層目のレジスト膜はBARCと同じぐらいの吸収を有するが、架橋がない分だけコントラストを向上させることができ、テーパー形状を防止しスカムの発生を防止することができる。
【0016】
前記第1及び第2のポジ型レジスト材料は、化学増幅ポジ型レジスト材料であり、少なくとも第1のポジ型レジスト膜は、第2のポジ型レジスト材料の溶剤に溶解しないことが必要である。第1のポジ型レジスト材料のベースポリマーとして、ラクトンを主要な密着性基として有している場合、アルコール系の溶剤には溶解しづらくなる。一方、第2のレジスト材料としてアルコール系の溶剤に溶解するようにするためにはベースポリマーとして弱酸性のヒドロキシ基の存在が必須である。弱酸性のヒドロキシ基とは、2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基で表されるヘキサフルオロアルコール基、あるいはフェノール基である。フェノール基は波長193nmにベンゼン環の強い吸収があるため第2のレジスト材料用のベースポリマーとしては用いることができないが、ナフトール基であれば吸収最大波長が長波長側にシフトするために適用することができる。
【0017】
第1のレジスト材料としてはフォトレジスト材料としての機能だけでなく、反射防止膜としての機能が必要である。露光波長が波長193nmのArFエキシマレーザーの場合、吸収基としてはベンゼン環が最も好ましく用いられる。ベンゼン環は酸不安定基として有していてもよいし、密着性基として有していてもよいし、重合性基に直結したスチレン類として有していてもよい。ベンゼン環を有する繰り返し単位のモル数としては、全重合単位100モル%に対して20〜100モル%の範囲である。
【0018】
ベンゼン環の導入方法については、酸不安定基として導入してもよいし、フェノール基を有するヒドロキシスチレンのような密着性基としてでもよいし、スチレンやインデンのような無極性の繰り返し単位、クマリンやクロモンのような剛直性を上げる密着性基として導入してもよい。更には下記一般式(3)中の繰り返し単位c1やc2のような酸不安定基で置換されたフェノール性水酸基やカルボキシル基を有する繰り返し単位として導入してもよい。
【化4】


(式中、R6、R9、R13は水素原子又はメチル基、X1、X2、X3は単結合、又は−C(=O)−O−、R7、R10、R14は単結合、又は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R7、R10、R14は前述に加えてエーテル基、エステル基又はラクトン環を有していてもよく、X2は前述に加えて−C(=O)−NH−であってもよい。R8、R11、R15は酸不安定基である。R12は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、p、sは1又は2であり、qは0〜4の整数であり、r1、r2は0〜2の整数であり、0≦b2<1.0、0≦c1<1.0、0≦c2<1.0、0<b2+c1+c2≦1.0の範囲である。)
【0019】
第1のレジスト材料にはポジ型レジスト材料として機能するために、上記一般式(3)で示される酸不安定基で置換されたカルボキシル基及びフェノール性水酸基を有する繰り返し単位b2、c1、c2から選ばれる1つ以上の繰り返し単位を有することが必要である。
【0020】
繰り返し単位b2を得るためのモノマーとしては、下記に示すメタクリレートあるいはアクリレートモノマーである。
【化5】


(式中、R6〜R8、X1は前述の通りである。)
【0021】
繰り返し単位b2を得るためのモノマーとしては、具体的には下記のものが示される。
【化6】

【0022】
繰り返し単位c1、c2を得るためのモノマーとしては、下記に挙げることができる。
【化7】

【0023】
【化8】

【0024】
【化9】

【0025】
第1層目のレジスト材料に用いられる高分子化合物としては、一般式(3)で示される繰り返し単位b2、c1、c2に加えて、ラクトン環、カーボネート基、チオカーボネート基、カルボニル基、環状アセタール基、エーテル基、エステル基、スルホン酸エステル基、シアノ基、アミド基、−O−C(=O)−Y−(Yは硫黄原子又はNHである。)から選ばれる密着性基を有する繰り返し単位dを共重合することができる。これによって、第2層目のレジスト溶液の炭素数3〜8のアルキルアルコール溶剤、具体的には、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−ジエチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、1−ヘプタノール、シクロヘキサノール、オクタノールから選ばれる溶剤への溶解性が殆ど無くなり、第2レジスト材料をディスペンスしたときに第1レジスト膜が溶解したり、第2レジスト膜とインターミキシングしたりすることが起こらなくなる。
【0026】
ラクトン環、カーボネート基、チオカーボネート基、カルボニル基、環状アセタール基、エーテル基、エステル基、スルホン酸エステル基、シアノ基、アミド基、−O−C(=O)−Y−(Yは硫黄原子又は−NH−である。)から選ばれる密着性基を有する繰り返し単位dは、具体的には下記のものが示される。
【0027】
【化10】

【0028】
【化11】

【0029】
【化12】

【0030】
【化13】

【0031】
【化14】

【0032】
第1層目のレジスト材料に用いられる高分子化合物としては、下記に例示されるフェノール性水酸基を有する繰り返し単位eを共重合することができる。
【0033】
【化15】

【0034】
【化16】

【0035】
フェノール性水酸基は、モノマーの段階では酸不安定基やアシル基で保護しておき、重合後に酸やアルカリ水溶液で脱保護してヒドロキシ基にしてもよい。
【0036】
更に、エッチング耐性を向上するために、スチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルピレン、ビニルフルオレン、ビニルフェナントレン、ビニルクリセン、ビニルナフタセン、ビニルペンタセン、ビニルアセナフテン、ビニルフルオレン、インデン、アセナフチレン、クマリン、クロモン、無水マレイン酸、マレイミド、ビニルカルバゾール等の繰り返し単位fを共重合することもできる。
【0037】
炭素数3〜8のアルキルアルコールを溶媒とする第2層目のポジ型レジスト材料に用いられるベースポリマーは、下記一般式(1)の繰り返し単位aで示される2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基を有することが必要である。
【化17】


(式中、R1は水素原子又はメチル基である。mは1又は2で、mが1の場合、R2は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エステル基、エーテル基、ヒドロキシ基又はフッ素原子を有していてもよく、mが2の場合、上記アルキレン基から水素原子が1個脱離した基である。また、R2はR3と結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜10の脂環を形成してもよい。R3は水素原子、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、又はジフルオロメチル基である。)
【0038】
繰り返し単位aを得るためのモノマーとして、具体的には下記のものが示される。
【化18】

【0039】
【化19】

【0040】
【化20】

【0041】
【化21】

【0042】
【化22】

【0043】
第2のポジ型レジスト材料におけるベース樹脂としての高分子化合物としては、下記一般式(2)で示される、2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基を有する繰り返し単位aと酸不安定基を有する繰り返し単位b1を有する。
【化23】


(式中、R1〜R3、mは前述と同様、R4は水素原子又はメチル基であり、R5は酸不安定基であり、0<a<1.0、0<b1<1.0、0<a+b1≦1.0の範囲である。)
【0044】
繰り返し単位b1を得るためのモノマーとしては、下記で示される。
【化24】


(式中、R4、R5は前述と同じである。)
【0045】
第2のポジ型レジスト材料におけるベース樹脂としての高分子化合物としては、前述のフェノール性水酸基を有する繰り返し単位eを得るためのモノマーを共重合することもできる。
【0046】
更には、下記に例示するヒドロキシ基を有する繰り返し単位gを共重合することもできる。これによってアルコール溶剤への溶解性が向上する。ヒドロキシ基を有する繰り返し単位は第1層目のレジスト材料のポリマーに導入しても構わない。ヒドロキシ基を有する繰り返し単位を導入することによって酸拡散を抑える効果が高くなり、第2層目のレジスト材料だけでなく、第1層目のレジスト材料においても酸拡散制御によるリソグラフィー性能の向上が見込まれる。
【0047】
【化25】

【0048】
【化26】

【0049】
【化27】

【0050】
更には、下記に例示するスルホンアミド基を有する繰り返し単位hを共重合することもできる。これによってもアルコール溶剤への溶解性が向上する。
【0051】
【化28】

【0052】
第2のポジ型レジスト材料におけるベース樹脂としての高分子化合物としては、前記一般式(2)で示される繰り返し単位aと酸不安定基を有する繰り返し単位b1以外に、前述のラクトン環、カーボネート基、チオカーボネート基、カルボニル基、環状アセタール基、エーテル基、エステル基、スルホン酸エステル基、シアノ基、アミド基、−O−C(=O)−Y−(Yは硫黄原子又はNHである。)から選ばれる密着性基を有する繰り返し単位dを共重合することができる。
【0053】
一般式(2)、(3)中、R5、R8、R11、R15で示される酸不安定基は種々選定されるが、特に下記式(A−1)、(A−2)で示される基、下記式(A−3)で示される3級アルキル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等が挙げられる。
【0054】
【化29】

【0055】
式(A−1)において、R30は炭素数4〜20、好ましくは4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基又は上記一般式(A−3)で示される基を示し、三級アルキル基として具体的には、tert−ブチル基、tert−アミル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基、2−メチル−2−アダマンチル基等が挙げられ、トリアルキルシリル基として具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等が挙げられ、オキソアルキル基として具体的には、3−オキソシクロヘキシル基、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル基、5−メチル−2−オキソオキソラン−5−イル基等が挙げられる。a1は0〜6の整数である。
【0056】
式(A−2)において、R31、R32は水素原子又は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基等を例示できる。R33は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい1価の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたものを挙げることができ、具体的には下記の置換アルキル基等が例示できる。
【0057】
【化30】

【0058】
31とR32、R31とR33、R32とR33とは結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合にはR31、R32、R33はそれぞれ炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示し、好ましくは環の炭素数は3〜10、特に4〜10である。
【0059】
上記式(A−1)の酸不安定基としては、具体的にはtert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が例示できる。
【0060】
更に、下記式(A−1)−1〜(A−1)−10で示される置換基を挙げることもできる。
【化31】

【0061】
ここで、R37は互いに同一又は異種の炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基、R38は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基である。
また、R39は互いに同一又は異種の炭素数2〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基である。
a1は上記の通りである。
【0062】
上記式(A−2)で示される酸不安定基のうち、直鎖状又は分岐状のものとしては、下記式(A−2)−1〜(A−2)−69のものを例示することができる。
【0063】
【化32】

【0064】
【化33】

【0065】
【化34】

【0066】
【化35】

【0067】
上記式(A−2)で示される酸不安定基のうち、環状のものとしては、テトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基等が挙げられる。
【0068】
また、下記一般式(A−2a)あるいは(A−2b)で表される酸不安定基によってベース樹脂が分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【0069】
【化36】

【0070】
式中、R40、R41は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、R40とR41は結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合にはR40、R41は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R42は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、b1、d1は0又は1〜10、好ましくは0又は1〜5の整数、c1は1〜7の整数である。Aは、(c1+1)価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基はヘテロ原子を介在してもよく、又はその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。
【0071】
この場合、好ましくは、Aは2〜4価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルキルトリイル基、アルキルテトライル基、炭素数6〜30のアリーレン基であり、これらの基はヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。また、c1は好ましくは1〜3の整数である。
【0072】
一般式(A−2a)、(A−2b)で示される架橋型アセタール基は、具体的には下記式(A−2)−70〜(A−2)−77のものが挙げられる。
【0073】
【化37】

【0074】
次に、式(A−3)においてR34、R35、R36は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよく、R34とR35、R34とR36、R35とR36とは互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に、炭素数3〜20の脂環を形成してもよい。
【0075】
式(A−3)に示される三級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、2−(2−メチル)アダマンチル基、2−(2−エチル)アダマンチル基、tert−アミル基等を挙げることができる。
【0076】
また、三級アルキル基としては、下記に示す式(A−3)−1〜(A−3)−18を具体的に挙げることもできる。
【化38】

【0077】
式(A−3)−1〜(A−3)−18中、R43は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のフェニル基等のアリール基を示す。R44、R46は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R45は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のフェニル基等のアリール、炭素数2〜20のアルケニル基を示す。
【0078】
更に、下記式(A−3)−19、(A−3)−20に示すように、2価以上のアルキレン基、アリーレン基であるR47を含んで、ポリマーの分子内あるいは分子間が架橋されていてもよい。
【化39】

【0079】
式(A−3)−19、(A−3)−20中、R43は前述と同様、R47は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、又はフェニレン基等のアリーレン基を示し、酸素原子や硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含んでいてもよい。e1は1〜3の整数である。
【0080】
式(A−1)、(A−2)、(A−3)中のR30、R33、R36は、フェニル基、p−メチルフェニル基、p−エチルフェニル基、p−メトキシフェニル基等のアルコキシ置換フェニル基等の非置換又は置換アリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等や、これらの基に酸素原子を有する、あるいは炭素原子に結合する水素原子が水酸基に置換されたり、2個の水素原子が酸素原子で置換されてカルボニル基を形成する下記式で示されるようなアルキル基、あるいはオキソアルキル基を挙げることができる。
【0081】
【化40】

【0082】
特に、式(A−3)の酸不安定基としては、下記式(A−3)−21に示されるエキソ体構造を有する(メタ)アクリル酸エステルの繰り返し単位が好ましく挙げられる。
【0083】
【化41】


(式中、Rαは水素原子又はメチル基、Rc3は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示す。Rc4〜Rc9及びRc12、Rc13はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよい1価の炭化水素基を示し、Rc10、Rc11は水素原子を示す。あるいは、Rc4とRc5、Rc6とRc8、Rc6とRc9、Rc7とRc9、Rc7とRc13、Rc8とRc12、Rc10とRc11又はRc11とRc12は互いに環を形成していてもよく、その場合には炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を示す。またRc4とRc13、Rc10とRc13又はRc6とRc8は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい。また、本式により、鏡像体も表す。)
【0084】
ここで、一般式(A−3)−21に示すエキソ構造を有する繰り返し単位を得るためのエステル体のモノマーとしては特開2000−327633号公報に示されている。具体的には下記に挙げることができるが、これらに限定されることはない。
【0085】
【化42】

【0086】
更に、式(A−3)に示される酸不安定基としては、下記式(A−3)−22に示されるフランジイル、テトラヒドロフランジイル又はオキサノルボルナンジイルを有する(メタ)アクリル酸エステルの酸不安定基を挙げることができる。
【0087】
【化43】


(式中、Rαは前述の通りである。Rc14、Rc15はそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。又は、Rc14、Rc15は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に脂肪族炭化水素環を形成してもよい。Rc16はフランジイル、テトラヒドロフランジイル又はオキサノルボルナンジイルから選ばれる2価の基を示す。Rc17は水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。)
【0088】
フランジイル、テトラヒドロフランジイル又はオキサノルボルナンジイルを有する酸不安定基で置換された繰り返し単位を得るためのモノマーは下記に例示される。なお、Acはアセチル基、Meはメチル基を示す。
【0089】
【化44】

【0090】
【化45】

【0091】
本発明のパターン形成方法に用いる第1、第2層のレジスト材料では、下記一般式(4)で示されるスルホニウム塩を持つ繰り返し単位i(i1、i2、i3)を共重合することができる。
【化46】


(式中、R20、R24、R28は水素原子又はメチル基、R21はフェニレン基、−O−R−、又は−C(=O)−Y0−R−である。Y0は酸素原子又はNH、Rは炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基又はアルケニレン基であり、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R22、R23、R25、R26、R27、R29、R30、R31は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。Zは単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R32−、又は−C(=O)−Z1−R32−である。Z1は酸素原子又はNH、R32は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基又はアルケニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを表す。i1は0≦i1≦0.3、i2は0≦i2≦0.3、i3は0≦i3≦0.3、0≦i1+i2+i3≦0.3である。)
【0092】
-の非求核性対向イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレート、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート、トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート、メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミド等のイミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチドなどのメチド酸を挙げることができる。
【0093】
更には、下記一般式(K−1)に示されるα位がフルオロ置換されたスルホネート、下記一般式(K−2)に示されるα,β位がフルオロ置換されたスルホネートが挙げられる。
【化47】

【0094】
一般式(K−1)中、R102は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数6〜20のアリール基であり、エーテル基、エステル基、カルボニル基、ラクトン環、又はフッ素原子を有していてもよい。
一般式(K−2)中、R103は水素原子、炭素数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アシル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又はアリーロキシ基であり、エーテル基、エステル基、カルボニル基、又はラクトン環を有していてもよい。
【0095】
1層目のレジスト材料のベースポリマーとしては、炭素数3〜8のアルコール溶媒に溶解しない特性が必要である。これらの溶剤に溶解させないためには、ラクトン環、カーボネート基、チオカーボネート基、カルボニル基、環状アセタール基、エーテル基、エステル基、スルホン酸エステル基、シアノ基、アミド基、−O−C(=O)−Y−(Yは硫黄原子又はNHである。)から選ばれる密着性基を有する必要がある。一方、繰り返し単位aは炭素数3〜8のアルコール溶媒の溶解性を促進させるため、第1層目のレジストへの導入はしないか、あるいは導入したとしても共重合比として20モル%以下にすることが望まれる。繰り返し単位aを第2レジスト材料に導入することによって炭素数3〜8のアルコール溶媒への溶解性を上げているため、第2レジスト材料にラクトン環、カーボネート基、チオカーボネート基、カルボニル基、環状アセタール基、エーテル基、エステル基、スルホン酸エステル基、シアノ基、アミド基、−O−C(=O)−Y−から選ばれる密着性基を導入しても構わない。むしろこれらの密着性基を導入することによって第2レジスト材料の密着性が向上する。
【0096】
1層目のレジスト材料のベースポリマーとしては、繰り返し単位b2で示される酸不安定基を有する繰り返し単位、ラクトン環、カーボネート基、チオカーボネート基、カルボニル基、環状アセタール基、エーテル基、エステル基、スルホン酸エステル基、シアノ基、アミド基、−O−C(=O)−Y−(Yは硫黄原子又はNHである。)から選ばれる1つ以上の繰り返し単位dを共重合する。1層目のレジスト膜は、反射防止膜(BARC)としての機能も有する。そのために露光波長に対して強い吸収を必要とする。k値としては0.1〜1.1、好ましくは0.2〜1.0の範囲の吸収が必要である。露光波長が193nmのArFエキシマレーザーの場合、ベンゼン環がこの波長帯に強い吸収を有する。1層目のレジストのベースポリマーにベンゼン環を繰り返し単位の30〜100モル%導入する必要がある。
ベンゼン環は酸不安定基として導入してもよいし、フェノール性水酸基やラクトンを有する密着性基として導入してもよい。
【0097】
1層目のレジスト膜は、芳香族基を多く含んでいるためにエッチング耐性が高く、イオン打ち込みの時の遮断性が高く、それぞれのマスクとしての高い機能を有する。2層目のレジスト材料は、通常のArFレジスト材料並みのエッチング耐性しかないが、1層目のレジスト材料と組み合わせることによって高い耐性を得ることができる。
通常のBARCの場合は、レジストパターンをマスクにしてドライエッチングによってBARC膜を加工するために、エッチング速度が速いことが必要である。よってBARC膜にエッチング耐性は殆ど無い。本発明の1層目のレジスト材料は、BARCと同じ反射防止効果を有し、現像液によってパターンが形成されるためにドライエッチング加工による上層レジストのダメージの心配が無く、しかもエッチング耐性が高い。
【0098】
第1層目のレジストの共重合比率としては、0≦b2<1.0、0≦c1<1.0、0≦c2<1.0、0<b2+c1+c2≦1.0、0<d<1.0、0≦e<1.0、0≦f<1.0、0≦g<1.0、0≦h<1.0、0≦i<1.0、好ましくは0≦b2≦0.8、0≦c1≦0.8、0≦c2≦0.8、0.1≦b2+c1+c2≦1.0、0.1≦d≦0.8、0≦e≦0.5、0≦f≦0.5、0≦g≦0.6、0≦h≦0.5、0≦i≦0.5の範囲であり、b2+c1+c2+d+e+f+g+h+i=1である。
【0099】
2層目のパターニングレジスト用ベースポリマーの共重合比率としては、0<a<1.0、0<b1<1.0、0<a+b1≦1.0、0≦d≦0.5、0≦e<1.0、0≦f<1.0、0≦g<1.0、0≦h<1.0、0≦i<1.0、好ましくは0.1≦a≦0.8、0.1≦b1≦0.8、0.2≦a+b1≦1.0、0≦d≦0.4、0≦e≦0.5、0≦f≦0.5、0≦g≦0.6、0≦h≦0.5、0≦i≦0.5であり、a+b1+d+e+f+g+h+i=1である。
【0100】
ここで、例えばa+b+c+d=1とは、繰り返し単位a、b、c、dを含む高分子化合物において、繰り返し単位a、b、c、dの合計量が全繰り返し単位の合計量に対して100モル%であることを示し、a+b+c+d<1とは、繰り返し単位a、b、c、dの合計量が全繰り返し単位の合計量に対して100モル%未満でa、b、c、d以外に他の繰り返し単位e、f、g、h、iを有していることを示す。
【0101】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジストのベースポリマーとなる高分子化合物は、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)やジメチルホルムアミド(DMF)を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,000〜500,000、特に2,000〜30,000であることが好ましい。重量平均分子量が小さすぎるとレジスト材料現像後の熱架橋における架橋効率が低下することがあり、大きすぎるとアルカリ溶解性が低下し、パターン形成後に裾引き現象が生じ易くなる可能性がある。
【0102】
更に、本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト材料のベースポリマーとなる高分子化合物においては、分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在するために露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりするおそれがある。それ故、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト材料を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
また、組成比率や分子量分布や分子量が異なる2つ以上のポリマーをブレンドすることも可能である。
【0103】
これら高分子化合物を合成するには、1つの方法としては繰り返し単位a、b、c、d、e、f、g、h、iを得るための不飽和結合を有するモノマーを有機溶剤中、ラジカル開始剤を加え加熱重合を行う方法があり、これにより高分子化合物を得ることができる。重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が例示できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、好ましくは50〜80℃に加熱して重合できる。反応時間としては2〜100時間、好ましくは5〜20時間である。酸不安定基は、モノマーに導入されたものをそのまま用いてもよく、酸不安定基を酸触媒によって一旦脱離し、その後保護化あるいは部分保護化してもよい。なお、上記ベース樹脂を構成する高分子化合物は1種に限らず2種以上を添加することができる。複数種の高分子化合物を用いることにより、レジスト材料の性能を調整することができる。
【0104】
本発明のパターン形成方法に用いる第1層目及び第2層目のポジ型レジスト材料は、化学増幅ポジ型レジスト材料として機能させるために酸発生剤を含んでもよく、例えば、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)を含有してもよい。光酸発生剤の成分としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでも構わない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等がある。以下に詳述するが、これらは単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
酸発生剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0122]〜[0142]に記載されている。
【0105】
本発明のレジスト材料は、更に、有機溶剤、塩基性化合物、溶解制御剤、界面活性剤、アセチレンアルコール類のいずれか一つ以上を含有することができる。
【0106】
第1層目のレジスト用の有機溶媒の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0144]〜[0145]に記載されている化合物を用いることができ、特に、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類から選ばれる1種を単独で又は2種以上を混合して用いることが好ましい。
【0107】
第2層目のレジスト用の有機溶媒として炭素数3〜8のアルコールとしては、具体的にはn−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−ジエチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、1−ヘプタノール、シクロヘキサノール、オクタノールを挙げることができる。
【0108】
更に、上記アルコール溶剤に加えて炭素数6〜12のエーテルを加えることもできる。炭素数6〜12のエーテルとしては、メチルシクロペンチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−secブチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−t−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、アニソール、2−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−メチルアニソール、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、3,4−ジメチルアニソール、2,5−ジメチルアニソール、2,6−ジメチルアニソール、3,5−ジメチルアニソール、3,6−ジメチルアニソール、2,3,4−トリメチルアニソール、2,3,6−トリメチルアニソール、2,4,6−トリメチルアニソール、2,4,5,6テトラメチルアニソール、2−エチルアニソール、3−エチルアニソール、4−エチルアニソール、2−イソプロピルアニソール、3−イソプロピルアニソール、4−イソプロピルアニソール、4−プロピルアニソール、2−ブチルアニソール、3−ブチルアニソール、4−ブチルアニソール、2−t−ブチルアニソール、3−t−ブチルアニソール、4−t−ブチルアニソール、ペンタメチルアニソール、2−ビニルアニソール、3−ビニルアニソール、4−メトキシスチレン、エチルフェニルエーテル、プロピルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、エチル−3,5−キシリルエーテル、エチル−2,6−キシリルエーテル、エチル−2,4−キシリルエーテル、エチル−3,4−キシリルエーテル、エチル−2,5−キシリルエーテル、メチルベンジルエーテル、エチルベンジルエーテル、イソプロピルベンジルエーテル、プロピルベンジルエーテル、メチルフェネチルエーテル、エチルフェネチルエーテル、イソプロピルフェネチルエーテル、プロピルフェネチルエーテル、ブチルフェネチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、アリルフェニルエーテル、ビニルベンジルエーテル、アリルベンジルエーテル、ビニルフェネチルエーテル、アリルフェネチルエーテル、4−エチルフェネトール、t−ブチルフェニルエーテルを挙げることができる。
【0109】
第1層目のレジスト用と第2層目のレジスト用の塩基性化合物としては特開2008−111103号公報の段落[0146]〜[0164]、界面活性剤としては段落[0165]〜[0166]、溶解制御剤としては特開2008−122932号公報の段落[0155]〜[0178]、アセチレンアルコール類としては段落[0179]〜[0182]に記載されている材料を用いることができる。
【0110】
なお、酸発生剤の配合量は、ベースポリマー100質量部に対し0.5〜30質量部、特に1〜20質量部であることが好ましい。有機溶剤の配合量は、ベースポリマー100質量部に対し100〜10,000質量部、特に300〜8,000質量部とすることが好ましい。また、塩基性化合物の配合量は、ベースポリマー100質量部に対し0.0001〜30質量部、特に0.001〜20質量部とすることが好ましい。
【0111】
ここで、本発明のパターン形成方法について説明する。
図1に示すパターニング方法において、基板10上の被加工層20上に第1レジスト膜31を塗布、形成する(A)。その上に第2レジスト膜32を塗布、形成する(B)。第1、第2レジスト材料の塗布後、ベークを行うことによって溶剤を乾燥させ、第1と第2レジスト膜間のミキシングと、第2レジスト材料を塗布したときの第1レジスト膜の溶解を防止する。ベーク温度は60〜180℃、特に70〜150℃の範囲が好ましく用いられる。第1レジスト膜の厚みは5〜100nmの範囲であり、反射防止効果の高い膜厚を選択することが好ましい。その後、露光(C)、現像(D)及びエッチング(E)を行う。
【0112】
従来から提案されているDBARCを用いるパターン形成方法の場合は、図1における第1レジスト膜がDBARC膜に相当する。DBARCを用いる場合は、DBARCを塗布後、200℃程度の高温のベークによる架橋反応によってその上にレジスト溶液を塗布したときの溶解やミキシングを防止する。しかしながら、架橋反応によって、現像液への溶解性が著しく低下し、スペース部分の残渣が発生する問題点を有している。
【0113】
BARCを用いたパターン形成方法においては、BARCには感光性がないために、レジスト膜現像後においても露光部が溶解することがない。露光部の被加工基板面を開けるために、現像後のレジストパターンをドライエッチングによって開口させるので被加工基板を加工する前の段階でレジスト膜の膜厚が減少している。
【0114】
図2に示されるパターニング方法においては、現像までは図1と同じである(但し、被加工層は形成しない)が、その後イオンを打ち込み、開口部の基板面にイオンが注入される(E)。BARCを用いたパターン形成方法を用いて、BARCをドライエッチングで開口させようとすると、基板面の表面が酸化されてしまい、イオンを打ち込んでもイオンが酸化膜で止まってしまう。イオン打ち込みのためのパターニングにおいては、現像後に基板面を開口させておく必要がある。
【0115】
図1のパターン形成方法の場合、基板10としては、シリコン基板が一般的に用いられる。被加工層20としては、SiO2、SiN、SiON、SiOC、p−Si、α−Si、TiN、WSi、BPSG、SOG、Cr、CrO、CrON、MoSi、低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜、カーボン膜による下層膜と珪素含有中間膜が挙げられる。
【0116】
本発明においては、上記被加工層に直接又は珪素含有中間層を介して第1のポジ型レジスト材料、その上に第2のポジ型レジスト材料による第1及び第2のレジスト膜を形成するが、第1のレジスト膜の厚さとしては、5〜100nm、好ましくは10〜100nm、特に20〜50nmであることが好ましく、基板反射が最低になる膜厚を選択することが望ましい。第2レジストの膜厚は20〜300nm、好ましくは30〜250nmの範囲である。第1及び第2レジスト膜は、スピンコート後の露光前に加熱(プリベーク)を行うが、この条件としては60〜180℃、特に70〜150℃で10〜300秒間、特に15〜200秒間行うことが好ましい。
【0117】
次いで、露光を行う。ここで、露光は波長140〜250nmの高エネルギー線、その中でもArFエキシマレーザーによる193nmの露光が最も好ましく用いられる。露光は大気中や窒素気流中のドライ雰囲気でもよいし、水中の液浸露光であってもよい。ArF液浸リソグラフィーにおいては液浸溶媒として純水、又はアルカンなどの屈折率が1以上で、露光波長に高透明の液体が用いられる。液浸リソグラフィーでは、プリベーク後のレジスト膜と投影レンズの間に、純水やその他の液体を挿入する。これによってNAが1.0以上のレンズ設計が可能となり、より微細なパターン形成が可能になる。液浸リソグラフィーはArFリソグラフィーを45nmノードまで延命させるための重要な技術である。液浸露光の場合は、レジスト膜上に残った水滴残りを除去するための露光後の純水リンス(ポストソーク)を行ってもよいし、レジスト膜からの溶出物を防ぎ、膜表面の滑水性を上げるために、プリベーク後のレジスト膜上に保護膜を形成させてもよい。液浸リソグラフィーに用いられるレジスト保護膜としては、例えば、水に不溶でアルカリ現像液に溶解する1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物をベースとし、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、及びこれらの混合溶媒に溶解させた材料が好ましい。レジスト膜形成後に、純水リンス(ポストソーク)を行うことによって膜表面からの酸発生剤などの抽出、あるいはパーティクルの洗い流しを行ってもよく、露光後に膜上に残った水を取り除くためのリンス(ポストソーク)を行ってもよい。
第1及び第2層のレジスト材料として、レジスト表面の撥水性を上げるための添加剤を加えてもよい。このものは、フルオロアルコール基を有する高分子体であり、スピンコート後のレジスト表面に配向して表面エネルギーを低下させ、滑水性が向上する。このような材料は、特開2007−297590号公報、特開2008−122932号公報に示される。
【0118】
露光における露光量は1〜200mJ/cm2程度、好ましくは10〜100mJ/cm2程度となるように露光することが好ましい。次に、ホットプレート上で60〜150℃、1〜5分間、好ましくは80〜120℃、1〜3分間ポストエクスポジュアーベーク(PEB)する。
【0119】
更に、0.1〜5質量%、好ましくは2〜3質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより基板上に目的のパターンが形成される。
【0120】
ここで第1層目のレジスト膜のn値を1.3〜2.0と0.1ステップで変化させ、k値と膜厚を変化させたときのレジスト膜の下方からの反射を計算した結果を図3〜10に示す。露光は波長193nmのArFドライ露光のNA0.85、2/3輪帯照明である。
第1層目のレジスト膜の露光波長に対する消光係数(k値)と膜厚の最適値はそれぞれのn値毎に異なっている。反射率が1%以下(図中の反射率0〜0.01の白い部分)の最も薄膜の領域は、n値が高い場合ほど薄膜になり、この時のk値は高くなっている。
第1層目のレジスト材料は、反射防止するための吸光剤を多量に含有するために、膜厚が厚くなるとテーパー形状になる。そのために第1層目のレジストの膜厚は、できるだけ薄膜にすることが必要である。例えば図6において、膜厚30〜50nmあるいは90〜120nmの範囲に反射率が1%以下になる領域が存在するが、この場合30〜50nmの領域の膜厚が好ましく用いられる。30〜50nmの範囲の中でもなるべく薄膜側の設定が好ましい。1層目のレジストの屈折率nとしては、高い方がより薄膜で反射率を1%以下にすることができる。
【実施例】
【0121】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例等に制限されるものではない。なお、重量平均分子量(Mw)は溶媒としてテトラヒドロフラン(但し、ポリマー1−9の場合はジメチルホルムアミド)を用いたGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量を示す。
【0122】
[合成例]
レジスト材料に添加される高分子化合物として、各々のモノマーを組み合わせてテトラヒドロフラン溶媒下で共重合反応を行い、メタノールに晶出し、更にヘキサンで洗浄を繰り返した後に単離、乾燥して、以下に示す組成の高分子化合物(ポリマー1−1〜1−19、ポリマー2−1〜2−8、比較ポリマー1−1)を得た。得られた高分子化合物の組成は1H−NMR、分子量及び分散度はゲルパーミエーションクロマトグラフにより確認した。
【0123】
ポリマー1−1
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.76
【化48】

【0124】
ポリマー1−2
分子量(Mw)=8,800
分散度(Mw/Mn)=1.77
【化49】

【0125】
ポリマー1−3
分子量(Mw)=7,600
分散度(Mw/Mn)=1.79
【化50】

【0126】
ポリマー1−4
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.93
【化51】

【0127】
ポリマー1−5
分子量(Mw)=8,100
分散度(Mw/Mn)=1.83
【化52】

【0128】
ポリマー1−6
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.89
【化53】

【0129】
ポリマー1−7
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.82
【化54】

【0130】
ポリマー1−8
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.82
【化55】

【0131】
ポリマー1−9
分子量(Mw)=9,600
分散度(Mw/Mn)=1.79
【化56】

【0132】
ポリマー1−10
分子量(Mw)=8,900
分散度(Mw/Mn)=1.83
【化57】

【0133】
ポリマー1−11
分子量(Mw)=8,100
分散度(Mw/Mn)=1.85
【化58】

【0134】
ポリマー1−12
分子量(Mw)=8,500
分散度(Mw/Mn)=1.79
【化59】

【0135】
ポリマー1−13
分子量(Mw)=8,900
分散度(Mw/Mn)=1.68
【化60】

【0136】
ポリマー1−14
分子量(Mw)=9,900
分散度(Mw/Mn)=2.05
【化61】

【0137】
ポリマー1−15
分子量(Mw)=9,900
分散度(Mw/Mn)=2.05
【化62】

【0138】
ポリマー1−16
分子量(Mw)=6,500
分散度(Mw/Mn)=1.98
【化63】

【0139】
ポリマー1−17
分子量(Mw)=7,500
分散度(Mw/Mn)=1.91
【化64】

【0140】
ポリマー1−18
分子量(Mw)=7,600
分散度(Mw/Mn)=1.79
【化65】

【0141】
ポリマー1−19
分子量(Mw)=9,100
分散度(Mw/Mn)=1.99
【化66】

【0142】
ポリマー2−1
分子量(Mw)=8,100
分散度(Mw/Mn)=1.83
【化67】

【0143】
ポリマー2−2
分子量(Mw)=8,900
分散度(Mw/Mn)=1.89
【化68】

【0144】
ポリマー2−3
分子量(Mw)=9,100
分散度(Mw/Mn)=1.92
【化69】

【0145】
ポリマー2−4
分子量(Mw)=9,100
分散度(Mw/Mn)=1.92
【化70】

【0146】
ポリマー2−5
分子量(Mw)=8,800
分散度(Mw/Mn)=1.88
【化71】

【0147】
ポリマー2−6
分子量(Mw)=8,700
分散度(Mw/Mn)=1.68
【化72】

【0148】
ポリマー2−7
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.87
【化73】

【0149】
ポリマー2−8
分子量(Mw)=9,500
分散度(Mw/Mn)=1.79
【化74】

【0150】
比較ポリマー1−1
分子量(Mw)=8,900
分散度(Mw/Mn)=1.89
【化75】

【0151】
[第1層レジスト材料の組成]
上記で合成した高分子化合物(ポリマー1−1〜1−19、ポリマー2−1、比較ポリマー1−1)、酸発生剤、アミンクエンチャー、住友スリーエム(株)製界面活性剤;FC−4430が50ppm混合された溶剤を表1の組成で混合し、0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過した溶液を調製した。
ここで、比較レジスト1−3において、ポリマー1−1は2−メチル−1−ブタノールに溶解しなかった。
【0152】
下記表中の各組成は次の通りである。
酸発生剤:PAG(光酸発生剤)1〜3
【化76】


塩基性化合物(アミンクエンチャー):Qencher1,2
【化77】


有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
CyH(シクロヘキサノン)
【0153】
【表1】

【0154】
[第2層レジスト材料の組成]
上記で合成した高分子化合物(ポリマー2−1〜2−8、比較ポリマー1−1)、酸発生剤、アミンクエンチャー、住友スリーエム(株)製界面活性剤;FC−4430が50ppm混合された溶剤を表2の組成で混合し、0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過した溶液を調製した。
ここで、比較レジスト2−3において、比較ポリマー1−1は2−メチル−1−ブタノールに溶解しなかった。
【0155】
【表2】

【0156】
表1に示される第1層目のレジスト材料を8インチのシリコンウエハーに塗布し、110℃で60秒間ベークし、厚さ35nmの第1レジスト膜を作製した。J.A.ウーラム社の入射角度可変の分光エリプソメーター(VASE)で波長193nmにおける屈折率(n,k)を求め、その結果を表3に示した。
【0157】
【表3】

【0158】
表1に示される第1層目のレジスト材料を8インチのシリコンウエハーに塗布し、110℃で60秒間ベークし、厚さ35nmの第1レジスト膜を作製した。その上に表4に示す溶剤を20秒間静止ディスペンスし、1,500rpmで振り切った後100℃で60秒間ベークし、再度膜厚を測定し、ディスペンスによる膜減り量を求めた。結果を表4に示す。
【0159】
【表4】

【0160】
[実施例及び比較例]
露光実験
表1に示される第1層目のレジスト材料を、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)ベーパープライムしたSi基板にスピンコートし、ホットプレートを用いて110℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを35nmにした。その上に表2に示される第2層目のレジスト材料をスピンコートし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを165nmにした。これをArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製、NSR−S307E,NA0.85、σ0.93、2/3輪帯照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)を用いて90nmライン180nmピッチのパターンを露光し、露光後、直ちに100℃で60秒間ベークし、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で30秒間現像を行って、90nmラインアンドスペースパターンを得、パターンの断面形状をSEMにて観察した。結果を表5に示す。
【0161】
【表5】

【0162】
実施例1−1〜1−26では、現像後に第1層目と第2層目のレジスト膜のパターンが形成されており、第1層目のレジスト膜の反射防止効果によって第2レジストパターンの側壁に定在波による凹凸の発生が見られなかった。
一方、吸収成分を全く含まない比較レジスト1−1材料のみを含有する第1層目のレジスト膜を用いた場合、現像後の第2層目のレジスト側壁には、基板反射の定在波による凹凸が発生した。
第1層目のレジスト膜にアルコール溶剤可溶のポリマーを用いた場合、第2層目のレジスト材料を塗布した時点で第1層目のレジスト膜を溶かしてしまい、第1層目と第2層目のレジスト膜の混合のためにパターンが形成しなかった。
第2層目のレジスト材料に第1層目のレジスト膜を溶解させるPGMEA系の溶剤を用いた場合も第1層目と第2層目のレジスト膜の混合のためにパターンが形成しなかった。
【0163】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一の構成を有し、同様の作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0164】
10 基板
20 被加工層
31 第1レジスト膜
32 第2レジスト膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族基を繰り返し単位の20モル%以上100モル%以下の範囲で有し、かつ酸によってアルカリに溶解する高分子化合物を含む第1のポジ型レジスト材料を基板上に塗布して、第1のレジスト膜を形成する工程と、第1のレジスト膜上に第1のレジスト膜を溶解させない炭素数3〜8のアルキルアルコールを溶媒とする第2のポジ型レジスト材料を塗布して、第2のレジスト膜を形成する工程と、高エネルギー線で露光し、ベーク(PEB)後、現像液を用いて前記第1と第2のレジスト膜を同時に現像してレジストパターンを形成する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
第1のレジスト膜の露光波長に対する消光係数(k値)が0.1〜1.1の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
露光波長がArFエキシマレーザーによる193nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
第1のレジスト材料の芳香族基がベンゼン環であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
第1のレジスト材料の溶剤が、ケトン類、エーテル基又はエステル基を有するアルコール類、エーテル類、エステル類、ラクトン類から選ばれる1種又は2種以上の混合溶剤であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項6】
第1のレジスト材料の溶剤が、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチル−2−n−アミルケトン、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトンから選ばれる1種単独又は2種以上を混合したものであることを特徴とする請求項5に記載のパターン形成方法。
【請求項7】
第2のレジスト材料の炭素数3〜8のアルキルアルコール溶媒として、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−ジエチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、1−ヘプタノール、シクロヘキサノール、オクタノールから選ばれる1種を単独で又は2種以上を混合していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
炭素数3〜8のアルキルアルコールを溶媒とする第2のポジ型レジスト材料に用いられるベースポリマーが、2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
ベースポリマーが、2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基を有する繰り返し単位として、下記一般式(1)で示されるものであることを特徴とする請求項8に記載のパターン形成方法。
【化1】


(式中、R1は水素原子又はメチル基である。mは1又は2で、mが1の場合、R2は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エステル基、エーテル基、ヒドロキシ基又はフッ素原子を有していてもよく、mが2の場合、上記アルキレン基から水素原子が1個脱離した基である。また、R2はR3と結合して環を形成してもよい。R3は水素原子、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、又はジフルオロメチル基である。)
【請求項10】
下記一般式(2)で示される、2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基を有する繰り返し単位aと、酸不安定基を有する繰り返し単位b1を共重合した高分子化合物をベースポリマーとすることを特徴とする請求項8又は9に記載のパターン形成方法。
【化2】


(式中、R1〜R3、mは前述と同様、R4は水素原子又はメチル基であり、R5は酸不安定基であり、0<a<1.0、0<b1<1.0、0<a+b1≦1.0の範囲である。)
【請求項11】
芳香族基を繰り返し単位の20モル%以上100モル%以下の範囲で有し、酸によってアルカリに溶解する第1のレジスト材料に用いられる高分子化合物が、下記一般式(3)で示されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【化3】


(式中、R6、R9、R13は水素原子又はメチル基、X1、X2、X3は単結合、又は−C(=O)−O−、R7、R10、R14は単結合、又は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R7、R10、R14はエーテル基、エステル基又はラクトン環を有していてもよく、X2は−C(=O)−NH−であってもよい。R8、R11、R15は酸不安定基である。R12は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、p、sは1又は2であり、qは0〜4の整数であり、r1、r2は0〜2の整数であり、0≦b2<1.0、0≦c1<1.0、0≦c2<1.0、0<b2+c1+c2≦1.0の範囲である。)
【請求項12】
第1のレジスト材料に用いられる高分子化合物が、上記一般式(3)で示される繰り返し単位b2、c1、c2に加えて、ラクトン環、カーボネート基、チオカーボネート基、カルボニル基、環状アセタール基、エーテル基、エステル基、スルホン酸エステル基、シアノ基、アミド基、−O−C(=O)−Y−(Yは硫黄原子又はNHである。)から選ばれる密着性基を有する繰り返し単位dを含有することを特徴とする請求項11に記載のパターン形成方法。
【請求項13】
現像液を用いて前記第1と第2のレジスト膜を同時に現像してレジストパターンを形成した後にドライエッチングによって基板を加工することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項14】
現像液を用いて前記第1と第2のレジスト膜を同時に現像してレジストパターンを形成した後に基板にイオンを打ち込むことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載のパターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−98520(P2012−98520A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246185(P2010−246185)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】