説明

パターン形成方法

【課題】金属含有膜を用いる多層レジストプロセスにおいて、金属含有膜からの金属溶出を抑制することができるパターン形成方法の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、(1)被加工基板の上側に金属含有膜を形成する工程、(2)上記金属含有膜上に保護膜を形成する工程、(3)レジスト組成物を用い、上記保護膜上にレジスト膜を形成する工程、(4)フォトマスクを介した露光光の照射により、上記レジスト膜を露光する工程、(5)上記露光されたレジスト膜の現像により、レジストパターンを形成する工程、及び(6)上記レジストパターンをマスクとしたエッチングにより、被加工基板にパターンを形成する工程を有するパターン形成方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体等の製造分野においては、より高い集積度を得るために多層レジストプロセスを用いた加工サイズの微細化が進んでいる。この多層レジストプロセスでは、被加工基板上に無機材料を用いて無機膜を形成した後、この無機膜上にレジスト組成物を用いて無機膜とはエッチング選択比の異なるレジスト膜を形成し、次いで露光によってマスクパターンを転写し、現像液で現像することによりレジストパターンを得る。引き続き、ドライエッチングによりこのレジストパターンを無機膜に転写し、この無機膜のパターンを最終的に被加工基板に転写することにより所望のパターンが施された基板を得る。
【0003】
この多層レジストプロセスにおいて、被加工基板をより微細に加工するため、上記レジスト膜の薄膜化が進んでいる。そのため、上記無機膜として、よりエッチング選択比が高い膜が求められており、金属含有膜を用いることが検討されている(特開2000−275820号公報、特開2002−343767号公報及び国際公開第2006/40956号参照)。
【0004】
しかしながら、多層レジストプロセスにおいて、かかる金属含有膜を用いた場合、この金属含有膜上のレジスト膜をアルカル現像液で現像する際に、金属含有膜からアルカリ現像液中へ金属が溶出し、現像装置等の汚染の原因になる。また、上記金属含有膜上にレジスト組成物の塗布によりレジスト膜を形成した際に、金属含有膜からレジスト膜内へ金属成分が溶出することがある。レジスト膜内へ金属成分が溶出した場合、現像不良等を引き起こし、半導体装置の良品歩留りを著しく低下させるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−275820号公報
【特許文献2】特開2002−343767号公報
【特許文献3】国際公開第2006/40956号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、金属含有膜を用いる多層レジストプロセスにおいて、金属含有膜からの金属溶出を抑制することができるパターン形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた発明は、
(1)被加工基板の上側に金属含有膜を形成する工程、
(2)上記金属含有膜上に保護膜を形成する工程、
(3)レジスト組成物を用い、上記保護膜上にレジスト膜を形成する工程、
(4)フォトマスクを介した露光光の照射により、上記レジスト膜を露光する工程、
(5)上記露光されたレジスト膜の現像により、レジストパターンを形成する工程、及び
(6)上記レジストパターンをマスクとしたエッチングにより、被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法である。
【発明の効果】
【0008】
以上、説明したように、本発明のパターン形成方法によれば、金属含有膜を用いる多層レジストプロセスにおいて、金属含有膜からの金属溶出を抑制することができる。従って金属含有膜を用いる多層レジストプロセスによるパターン形成において、溶出金属に起因する現像不良等の発生の抑制及び溶出金属による装置の汚染の低減をすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<パターン形成方法>
本発明のパターン形成方法は、
(1)被加工基板の上側に金属含有膜を形成する工程、
(2)上記金属含有膜上に保護膜を形成する工程、
(3)レジスト組成物を用い、上記保護膜上にレジスト膜を形成する工程、
(4)フォトマスクを介した露光光の照射により、上記レジスト膜を露光する工程、
(5)上記露光されたレジスト膜の現像により、レジストパターンを形成する工程、及び
(6)上記レジストパターンをマスクとしたエッチングにより、被加工基板にパターンを形成する工程
を有する。
【0010】
当該パターン形成方法によると、上記(2)工程を設けることで、現像液と金属含有膜との接触を低減し、また金属含有膜からの溶出金属の移動を抑制することができると考えられ、その結果、金属含有膜からの金属溶出を抑制することができる。以下、各工程を詳述する。
【0011】
[工程(1)]
本工程では、被加工基板上に金属含有膜を形成する。「金属含有膜」とは、金属元素を含有する膜をいい、金属元素の含有率が好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上の膜をいう。金属含有膜としては、上記性質を有する限り特に限定されないが、例えば、金属膜、金属酸化物含有膜、金属窒化物含有膜等が挙げられる。
【0012】
上記被加工基板としては、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、ポリシロキサン等の絶縁膜、並びに市販品であるブラックダイヤモンド(AMAT製)、シルク(ダウケミカル製)、LKD5109(JSR製)等の低誘電体絶縁膜で被覆したウェハ等の層間絶縁膜が挙げられる。ポリシリコンや、ポリシリコン中へ金属成分を注入したいわゆるメタルゲート膜等も含まれる。また、この被加工基板としては、配線講(トレンチ)、プラグ溝(ビア)等のパターン化された基板を用いてもよい。
【0013】
上記金属含有膜の形成方法としては、特に限定されず、例えば、金属含有膜形成用組成物の塗布による方法、真空蒸着法等の物理蒸着による方法、プラズマCVD、熱CVD、大気圧CVD等のCVDによる方法、スパッタリングによる方法、イオンプレーディング法等のPVDによる方法等が挙げられる。これらの中でも、簡便に金属含有膜を形成できることから、金属含有膜形成用組成物の塗布による方法が好ましい。
【0014】
金属含有膜形成用組成物の塗布による方法によれば、具体的には、金属含有膜形成用組成物を被加工基板の表面に塗布することによりこの組成物の塗膜を形成し、この塗膜を加熱処理、又は紫外光の照射及び加熱処理を行うことにより硬化させることで金属含有膜を形成することができる。
【0015】
<金属含有膜形成用組成物>
金属含有膜形成用組成物としては、金属含有膜を形成できる限り特に限定されないが、より簡便に金属含有膜を形成でき、多層レジストプロセスの生産性を高める観点からは、
[A]加水分解性基を有する金属化合物、加水分解性基を有する金属化合物の加水分解物及び加水分解性基を有する金属化合物の加水分解縮合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(以下、「[A]化合物」ともいう)、並びに
[B]有機溶媒
を含有する組成物が好ましい。また、この組成物には、[C]水及び[D]架橋促進剤を好適に含有させることができ、界面活性剤等を含有させてもよい。
【0016】
[[A]化合物]
[A]化合物は加水分解性基を有する金属化合物、加水分解性基を有する金属化合物の加水分解物及び加水分解性基を有する金属化合物の加水分解縮合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。
【0017】
[A]化合物の金属種としては、金属元素である限り特に限定されないが、エッチング選択比の観点からは、第3族元素、第4族元素、第5族元素、第6族元素、第12族元素及び第13族元素からなる群より選択される少なくとも1種の金属元素(以下、「特定元素」ともいう)が好ましい。
【0018】
特定元素としては、例えば
Sc(スカンジウム)、Y(イットリウム)等の第3族元素;
Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)等の第4族元素;
V(バナジウム)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)等の第5族元素;
Cr(クロム)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)等の第6族元素;
Zn等の第12族元素;
Al(アルミニウム)、Ga(ガリウム)、In(インジウム)、Tl(タリウム)等の第13族元素が挙げられる。
【0019】
これらの特定元素のうち、ジルコニウム、ハフニウム、タングステン、アルミニウム、バナジウム、チタンが好ましく、ジルコニウム、タングステンがより好ましい。
【0020】
[A]化合物のうち、加水分解性基を有する金属化合物としては、金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属錯体が好ましい。
【0021】
(金属アルコキシド)
上記金属アルコキシドは、アルコールが有するヒドロキシ基の水素原子を金属元素の原子で置換した化合物であり、下記式(1)で表される。
【0022】
【化1】

【0023】
上記式(1)中、Mは、金属元素の原子である。aは、原子Mの価数に対応する1〜7の整数である。Rは、アルコキシ基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数3〜10のシクロアルキル基である。但し、Rが複数の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。
【0024】
上記アルコールとしては、例えば下記式(2)で表される化合物が好ましい。
【0025】
【化2】

【0026】
上記式(2)中、Rは、上記式(1)におけるRと同義である。
【0027】
上記Rがアルキル基又はシクロアルキル基である場合の上記式(2)で表される化合物としては、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、ペンタノール、シクロヘキサノール等が挙げられる。上記Rがアルコキシ基で置換されたアルキル基又はシクロアルキル基である場合の上記式(2)で表される化合物としては、例えばメトキシメタノール、メトキシエタノール、エトキシメタノール、エトキシエタノール、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、プロポキシプロパノール等が挙げられる。
【0028】
これらのうち、エタノールがより好ましい。
【0029】
(金属カルボキシレート)
上記金属カルボキシレートは、カルボン酸が有するカルボキシ基の水素原子を金属元素の原子で置換した化合物であり、下記式(3)で表される。
【0030】
【化3】

【0031】
上記式(3)中、M及びaは、上記式(1)と同義である。Rは、有機基である。但し、Rが複数の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。
【0032】
上記カルボン酸としては、例えば下記式(4)で表される化合物が好ましい。
【0033】
【化4】

【0034】
上記式(4)中、Rは、上記式(3)におけるRと同義である。
【0035】
上記式(4)で表される化合物としては、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸、2−メチルプロパン酸、ペンタン酸、2,2−ジメチルプロパン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、アクリル酸、メタクリル酸、サリチル酸等が挙げられる。
【0036】
(金属錯体)
上記金属錯体は、金属元素の原子へ加水分解性基が結合した化合物であり、下記式(5)で表される。
【0037】
【化5】

【0038】
上記式(5)中、M及びRは、上記式(1)と同義である。Rは、上記式(3)と同義である。b及びcは、それぞれ独立して0〜7の整数である。但し、b+cは原子Mの価数に対応する。dは、0〜7の整数である。Rは、有機化合物である。但し、Rが複数の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。
【0039】
上記Rで表される有機化合物としては、例えば下記式(6)で表されるエーテル類が挙げられる。
【0040】
【化6】

【0041】
上記式(6)中、R及びRは、骨格鎖中に酸素原子を有していてもよい炭素数1〜10の飽和又は不飽和の炭化水素基である。但し、R及びRは、互いに結合して環構造を形成していてもよい。
【0042】
上記式(6)で表されるエーテル類としては、例えばメチラール、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、ジエチルアセタール、ジヘキシルエーテル、トリオキサン、ジオキサン等が挙げられる。
【0043】
また、上記Rで表される有機化合物としては、例えば下記式(7)又は式(8)で表されるケトン類等も挙げられる。
【0044】
【化7】

【0045】
上記式(7)及び(8)中、R及びR10は、それぞれ独立して骨格鎖中にケト基を有していてもよい炭素数1〜10の飽和又は不飽和の炭化水素基である。R及びR11は、それぞれ独立して炭素数1〜10の飽和又は不飽和の炭化水素基である。
【0046】
上記式(7)又は(8)で表されるケトン類としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、メチルシクロヘキシルケトン、ジエチルケトン、エチルブチルケトン、トリメチルノナノン、アセトニルアセトン、メシチルオキシド、シクロヘキサノン、ダイアセトンアルコール(4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン)、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)、2,4−トリフルオロペンタンジオン、2,4−ヘキサフルオロペンタンジオン、エチルアセトアセテート、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン、1−フェニル−1,3−ブタンジオン等が挙げられる。
【0047】
さらに、上記Rで表される有機化合物としては、例えば下記式(9)で表されるエステル類も挙げられる。
【0048】
【化8】

【0049】
上記式(9)中、R14は、ケト基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基を有していてもよい炭素数1〜10の飽和又は不飽和の炭化水素基である。R15は、アルコキシ基を有していてもよい炭素数1〜10の飽和又は不飽和の炭化水素基である。
【0050】
上記式(9)で表されるエステル類としては、例えばギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸メチル、酪酸エチル、オキシイソ酪酸エチル、アセト酢酸エチル、乳酸エチル、メトキシブチルアセテート、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル等が挙げられる。
【0051】
上記加水分解物は、上記加水分解性基を有する金属化合物を加水分解して得られ、上記加水分解縮合物は、これをさらに縮合させて得られる。この加水分解は、上記加水分解性基を有する金属化合物に水又は水及び触媒を添加し、20℃〜100℃で数時間〜数日間撹拌することで行なわれる。水の使用量としては、上記加水分解性基を有する金属化合物100モルに対して、通常100モル以下、好ましくは5モル〜50モルである。触媒としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸;酢酸、プロピオン酸、酪酸、マレイン酸等の有機酸等の酸触媒や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の無機又は有機アルカリ触媒等が挙げられる。
【0052】
[[B]有機溶媒]
[B]有機溶媒としては、例えばアルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒及びその混合溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、単独又は2種以上を併用できる。
【0053】
アルコール系溶媒としては、例えば
メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、iso−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のモノアルコール系溶媒;
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の多価アルコール系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコールエーテル系溶媒等が挙げられる。
【0054】
ケトン系溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチルiso−ブチルケトン、メチルn−ペンチルケトン、エチルn−ブチルケトン、メチルn−ヘキシルケトン、ジiso−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン等のケトン系溶媒が挙げられる。
【0055】
アミド系溶媒としては、例えばN,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
【0056】
エステル系溶媒としては、例えばジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸iso−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等が挙げられる。
【0057】
これらの[B]有機溶媒のうち、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルが好ましい。
【0058】
[B]有機溶媒の含有量としては、金属含有膜形成用組成物中における[A]化合物の含有量が、金属酸化物換算で0.5質量%〜20質量%、好ましくは0.5質量%〜15質量%となる含有量が好ましい。
【0059】
[[C]水]
上記金属含有膜形成用組成物は、[C]水をさらに含有することが好ましい。金属含有膜形成用組成物が、[C]水をさらに含有することで金属含有膜の形成反応を促進することができる。[C]水としては、特に限定されず、例えば蒸留水、イオン交換水等が挙げられる。[C]水の含有量としては、上記金属含有膜形成用組成物100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部が好ましく、1質量部〜8質量部がより好ましい。
【0060】
[[D]架橋促進剤]
上記金属含有膜形成用組成物は、[D]架橋促進剤をさらに含有することが好ましい。[D]架橋促進剤は、光又は熱によって酸又は塩基を発生する化合物であり、上記金属含有膜形成用組成物が[D]架橋促進剤をさらに含有することで、形成される金属含有膜のエッチング選択比を向上させることができる。[D]架橋促進剤としては、例えばオニウム塩化合物、N−スルホニルオキシイミド化合物等が挙げられる。[D]架橋促進剤としては、熱によって酸又は塩基を発生する熱架橋促進剤が好ましく、これらの中でもオニウム塩化合物がより好ましい。
【0061】
オニウム塩化合物としては、例えばスルホニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0062】
スルホニウム塩としては、例えばトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルホスホニウム1,1,2,2−テトラフルオロ−6−(1−アダマンタンカルボニロキシ)−ヘキサン−1−スルホネート等が挙げられる。
【0063】
テトラヒドロチオフェニウム塩としては、例えば1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート等が挙げられる。
【0064】
ヨードニウム塩としては、例えばジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート等が挙げられる。
【0065】
アンモニウム塩としては、例えば蟻酸アンモニウム、マレイン酸アンモニウム、フマル酸アンモニウム、フタル酸アンモニウム、マロン酸アンモニウム、コハク酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、リンゴ酸アンモニウム、乳酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、プロピオン酸アンモニウム、ブタン酸アンモニウム、ペンタン酸アンモニウム、ヘキサン酸アンモニウム、ヘプタン酸アンモニウム、オクタン酸アンモニウム、ノナン酸アンモニウム、デカン酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、アジピン酸アンモニウム、セバシン酸アンモニウム、酪酸アンモニウム、オレイン酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム、リノール酸アンモニウム、リノレイン酸アンモニウム、サリチル酸アンモニウム、ベンゼンスルホン酸アンモニウム、安息香酸アンモニウム、p−アミノ安息香酸アンモニウム、p−トルエンスルホン酸アンモニウム、メタンスルホン酸アンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸アンモニウム、トリフルオロエタンスルホン酸アンモニウム等が挙げられる。また、上記アンモニウム塩のアンモニウムイオンが、メチルアンモニウムイオン、ジメチルアンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、エチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、プロピルアンモニウムイオン、ジプロピルアンモニウムイオン、トリプロピルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、ブチルアンモニウムイオン、ジブチルアンモニウムイオン、トリブチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、トリメチルエチルアンモニウムイオン、ジメチルジエチルアンモニウムイオン、ジメチルエチルプロピルアンモニウムイオン、メチルエチルプロピルブチルアンモニウムイオン、エタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン等に置換されたアンモニウム塩等が挙げられる。さらに、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン塩、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン塩等が挙げられる。1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン塩としては1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン蟻酸塩、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンp−トルエンスルホン酸等が挙げられる。
【0066】
N−スルホニルオキシイミド化合物としては、例えばN−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等が挙げられる。
【0067】
これらの[D]架橋促進剤のうち、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、テトラアルキルアンモニウム塩、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン塩が好ましい。
【0068】
これらの[D]架橋促進剤は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。[D]架橋促進剤の含有量としては、[A]化合物100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、0.1質量部以上5質量部以下がより好ましい。[D]架橋促進剤の含有量を上記範囲とすることで、形成される金属含有膜のエッチング選択比を向上させることができる。
【0069】
[界面活性剤]
界面活性剤は、上記金属含有膜形成用組成物の塗布性、ストリエーション等を改良する作用を示す成分である。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤の市販品としては、KP341(信越化学工業製)、ポリフローNo.75、同No.95(以上、共栄社化学製)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、トーケムプロダクツ製)、メガファックF171、同F173(以上、大日本インキ化学工業製)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子製)等が挙げられる。
【0070】
界面活性剤は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。また、界面活性剤の配合量は、その目的に応じて適宜決定することができる。
【0071】
上記金属含有膜形成用組成物は、[A]化合物、及び必要に応じて[C]水、[D]架橋促進剤及びその他の成分を所定の割合で[B]有機溶媒に溶解又は分散させた後、通常例えば孔径0.2μm程度のフィルターでろ過することによって調製される。
【0072】
上記金属含有膜形成用組成物を塗布する方法としては、例えばスピンコート法、ロールコート法、ディップ法等が挙げられる。また、加熱温度としては、通常150℃〜500℃であり、好ましくは180℃〜350℃である。加熱時間としては、通常30秒〜1,200秒であり、好ましくは45秒〜600秒である。さらに、上記金属含有膜形成用組成物の塗布後に紫外光照射を行っても良い。形成される金属含有膜の膜厚としては、通常5nm〜50nmである。
【0073】
[工程(2)]
工程(2)では、金属含有膜上に、保護膜を形成する。保護膜は、通常、非金属膜である。非金属膜とは、実質的に非金属元素のみからなる膜をいい、非金属元素の含有率が好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上の膜をいう。保護膜としては特に限定されないが、有機膜、シリコン含有膜が好ましい。上記保護膜が、上記特定の膜であることで、アルカリ現像液の拡散や金属含有膜からの金属の拡散を効果的に抑制することができると考えられ、その結果、金属含有膜からの金属溶出をより抑制することができる。また形成されるレジストパターンのパターン形状を良好にすることができる。
【0074】
(有機膜)
有機膜は、有機膜形成用組成物の塗布等により形成される。上記有機膜形成用組成物は、重合体、架橋剤、架橋触媒、有機溶媒等を含有する。
【0075】
(重合体)
重合体としては、アクリル樹脂、環状オレフィン系樹脂及びこれらの共重合樹脂が挙げられ、これらの中でもアクリル樹脂が好ましい。アクリル系モノマーとしては、ラクトン構造、環状カーボネート構造及びスルトン構造からなる群より選択される少なくとも1種の構造を含む構造単位を与える化合物、極性基を含む構造単位を与える化合物、非酸解離性化合物が好ましい。
【0076】
(架橋剤)
架橋剤としては、例えば多官能(メタ)アクリレート化合物、エポキシ化合物、ヒドロキシメチル基置換フェノール化合物、アルコキシアルキル化されたアミノ基を有する化合物等が挙げられる。
【0077】
多官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エチレングルコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングルコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0078】
エポキシ化合物としては、例えばノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0079】
ヒドロキシメチル基置換フェノール化合物としては、例えば2−ヒドロキシメチル−4,6−ジメチルフェノール、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン、3,5−ジヒドロキシメチル−4−メトキシトルエン[2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール]等が挙げられる。
【0080】
アルコキシアルキル化されたアミノ基を有する化合物としては、例えばヘキサメトキシメチル化メラミン、テトラメトキシメチル化グリコールウリル等が挙げられる。
【0081】
架橋剤としては、これらの中でも、テトラメトキシメチル化グリコールウリルが好ましい。
【0082】
(架橋触媒)
架橋触媒としては、例えば各種アミン化合物、フェノール樹脂、アミノ樹脂、メルカプタン系化合物、ヒドラジド類、ポリフェノール、多塩基酸、光酸発生剤、熱酸発生剤等が挙げられる。これらのうち、下記式で表される化合物が好ましい。
【0083】
【化9】

【0084】
(有機溶媒)
有機溶媒としては、[B]有機溶媒において例示した溶媒と同様の溶媒等が挙げられる。これらのうち、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが好ましい。
【0085】
有機膜としては、例えば、アクリル樹脂、環状オレフィン系樹脂及びこれらの共重合樹脂やポリマーブレンド等から形成される膜等が挙げられる。
【0086】
上記有機膜のエッチング速度は、レジスト膜によるエッチングの観点から、レジスト膜よりも大きい必要がある。また、加工時間が早すぎる場合、エッチングのプロセス制御性の観点から好ましくない。エッチング速度を決める炭素含有率に着目した場合、上記有機膜の炭素含有率は、45質量%以上70質量%未満が好ましく、50質量%以上65質量%未満がより好ましい。上記有機膜の炭素含有率を上記特定範囲とすることで、所望のレジストパターンをより効果的に被加工基板へ転写することができ、かつ金属含有膜からの金属溶出をより抑制することができる。
【0087】
上記有機膜の形成方法としては、特に限定されず、重合体及び有機溶媒等を含有する有機膜形成用組成物の塗布による方法、重合体を溶融させて塗布する方法等が挙げられるが、簡便に有機膜を形成することができ、多層レジストプロセスの生産性を向上できる観点から有機膜形成用組成物の塗布による方法が好ましい。
【0088】
(シリコン含有膜)
シリコン含有膜とは、ケイ素原子を主な構成原子とする膜をいい、このケイ素原子の含有率が好ましくは20質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上の膜をいう。
【0089】
シリコン含有膜としては、例えば、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸窒化シリコン膜、炭化シリコン膜、多結晶シリコン膜等が挙げられる。
【0090】
上記シリコン含有膜のケイ素含有率としては、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましい。上記シリコン含有膜のケイ素含有率を上記範囲とすることで、レジスト膜とのエッチング選択性が確保でき、所望のレジストパターンをより効果的に被加工基板へ転写することができる。
【0091】
シリコン含有膜の形成方法としては、例えば、シリコン含有膜形成用組成物の塗布による方法、真空蒸着法等の物理蒸着による方法、プラズマCVD、熱CVD、大気圧CVD等のCVDによる方法、スパッタリングによる方法、イオンプレーディング法等のPVDによる方法等が挙げられる。これらの中でも、簡便にシリコン含有膜を形成できることから、シリコン含有膜形成用組成物の塗布による方法が好ましい。
【0092】
上記シリコン含有膜形成用組成物の塗布による方法によれば、具体的には、シリコン含有膜形成用組成物を上記金属含有膜の表面に塗布することによりこの組成物の塗膜を形成し、この塗膜を加熱処理、又は紫外光の照射及び加熱処理を行うことにより硬化させることでシリコン含有膜を形成することができる。
【0093】
上記シリコン含有膜形成用組成物としては、
[a]ポリシロキサン
[b]有機溶媒
を含有する組成物が好ましい。上記シリコン含有膜を、上記組成物を用いて形成することで、シリコン含有膜をより簡便に形成することができ、その結果、多層レジストプロセスの生産性を高めることができる。
【0094】
[[a]ポリシロキサン]
[a]ポリシロキサンは、シロキサン結合を有するポリマーである限り特に限定されないが、下記式(i)で表されるシラン化合物の加水分解縮合物が好ましい。[a]ポリシロキサンの合成に用いられるシラン化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0095】
【化10】

【0096】
上記式(i)中、Rは、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜5のアルキル基、アルケニル基、アリール基又はシアノ基である。上記アルキル基の水素原子の一部又は全部は、グリシジルオキシ基、オキセタニル基、酸無水物基又はシアノ基で置換されていてもよい。上記アリール基の水素原子の一部又は全部は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい。Xは、ハロゲン原子又は−ORである。但し、Rは、1価の有機基である。aは、0〜3の整数である。R及びXがそれぞれ複数の場合、複数のR及びXはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0097】
上記Rで表される炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等の直鎖状のアルキル基;
イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、イソアミル基等の分岐鎖状のアルキル基等が挙げられる。
【0098】
上記Rで表されるアルケニル基としては、例えばアルケン化合物から水素原子を1つ除いた基等が挙げられ、エテニル基、1−プロペン−1−イル基、1−プロペン−2−イル基、1−プロペン−3−イル基、1−ブテン−1−イル基、1−ブテン−2−イル基、1−ブテン−3−イル基、1−ブテン−4−イル基、2−ブテン−1−イル基、2−ブテン−2−イル基、1−ペンテン−5−イル基、2−ペンテン−1−イル基、2−ペンテン−2−イル基、1−ヘキセン−6−イル基、2−ヘキセン−1−イル基、2−ヘキセン−2−イル基等が挙げられる。これらの中で、下記式(i−1)で表される基が好ましい。
【0099】
【化11】

【0100】
上記式(i−1)中、nは0〜4の整数である。*は、結合部位を示す。
【0101】
上記nとしては、0又は1が好ましく、0(この場合、Rはビニル基である)がさらに好ましい。
【0102】
で表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基等が挙げられる。
【0103】
上記アルキル基を置換してもよい酸無水物基としては、例えば、無水コハク酸基、無水マレイン酸基、無水グルタル酸基等が挙げられる。
【0104】
上記グリシジルオキシ基で置換されたアルキル基としては、例えば、2−グリシジルオキシエチル基、3−グリシジルオキシプロピル基、4−グリシジルオキシブチル基等が挙げられる。これらの中で、3−グリシジルオキシプロピル基がより好ましい。
【0105】
上記オキセタニル基で置換されたアルキル基としては、例えば、3−エチル−3−オキセタニルプロピル基、3−メチル−3−オキセタニルプロピル基、3−エチル−2−オキセタニルプロピル基、2−オキセタニルエチル基等が挙げられる。これらの中で、3−エチル−3−オキセタニルプロピル基が好ましい。
【0106】
上記酸無水物基で置換されたアルキル基としては、例えば、2−無水コハク酸基置換エチル基、3−無水コハク酸基置換プロピル基、4−無水コハク酸基置換ブチル基等が挙げられる。これらの中で、3−無水コハク酸基置換プロピル基がより好ましい。
【0107】
上記シアノ基で置換されたアルキル基としては、例えば、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、4−シアノブチル基等が挙げられる。
【0108】
上記ヒドロキシ基で置換されたアリール基としては、例えば、4−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル基、4−ヒドロキシナフチル基等が挙げられる。これらの中で、4−ヒドロキシフェニル基がより好ましい。
【0109】
上記Xで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0110】
上記Rで表される1価の有機基としては、例えばアルキル基、アルキルカルボニル基等が挙げられる。上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基が好ましい。また、上記アルキルカルボニル基としては、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基が好ましい。
【0111】
上記aとしては、0〜2の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。
【0112】
上記式(i)で表されるシラン化合物の具体例としては、例えば、
フェニルトリメトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、4−メチルフェニルトリメトキシシラン、4−エチルフェニルトリメトキシシラン、4−メトキシフェニルトリメトキシシラン、4−フェノキシフェニルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、4−アミノフェニルトリメトキシシラン、4−ジメチルアミノフェニルトリメトキシシラン、4−アセチルアミノフェニルトリメトキシシラン、3−メチルフェニルトリメトキシシラン、3−エチルフェニルトリメトキシシラン、3−メトキシフェニルトリメトキシシラン、3−フェノキシフェニルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、3−アミノフェニルトリメトキシシラン、3−ジメチルアミノフェニルトリメトキシシラン、3−アセチルアミノフェニルトリメトキシシラン、2−メチルフェニルトリメトキシシラン、2−エチルフェニルトリメトキシシラン、2−メトキシフェニルトリメトキシシラン、2−フェノキシフェニルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、2−アミノフェニルトリメトキシシラン、2−ジメチルアミノフェニルトリメトキシシラン、2−アセチルアミノフェニルトリメトキシシラン、2,4,6−トリメチルフェニルトリメトキシシラン、4−メチルベンジルトリメトキシシラン、4−エチルベンジルトリメトキシシラン、4−メトキシベンジルトリメトキシシラン、4−フェノキシベンジルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシベンジルトリメトキシシラン、4−アミノベンジルトリメトキシシラン、4−ジメチルアミノベンジルトリメトキシシラン、4−アセチルアミノベンジルトリメトキシシラン等の芳香環含有トリアルコキシシラン;
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリ−t−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、メチルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、メチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、メチルシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリ−t−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、エチルビストリス(トリメチルシロキシ)シラン、エチルジクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−t−ブトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリアセトキシシラン、n−プロピルトリクロロシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、iso−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、iso−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、iso−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、iso−プロピルトリ−t−ブトキシシラン、iso−プロピルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−t−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリクロロシラン、2−メチルプロピルトリメトキシシラン、2−メチルプロピルトリエトキシシラン、2−メチルプロピルトリ−n−プロポキシシラン、2−メチルプロピルトリ−iso−プロポキシシラン、2−メチルプロピルトリ−n−ブトキシシラン、2−メチルプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、2−メチルプロピルトリ−t−ブトキシシラン、2−メチルプロピルトリフェノキシシラン、1−メチルプロピルトリメトキシシラン、1−メチルプロピルトリエトキシシラン、1−メチルプロピルトリ−n−プロポキシシラン、1−メチルプロピルトリ−iso−プロポキシシラン、1−メチルプロピルトリ−n−ブトキシシラン、1−メチルプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、1−メチルプロピルトリ−t−ブトキシシラン、1−メチルプロピルトリフェノキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−t−ブトキシシラン、t−ブチルトリフェノキシシラン、t−ブチルトリクロロシラン、t−ブチルジクロロシラン等のアルキルトリアルコキシシラン類;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−プロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリ−sec−ブトキシシラン、ビニルトリ−t−ブトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリ−n−プロポキシシラン、アリルトリイソプロポキシシラン、アリルトリ−n−ブトキシシラン、アリルトリ−sec−ブトキシシラン、アリルトリ−t−ブトキシシラン、アリルトリフェノキシシラン等のアルケニルトリアルコキシシラン類;
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類;
テトラフェノキシシラン等のテトラアリールシラン類;
オキセタニルトリメトキシシラン、オキシラニルトリメトキシシラン、オキシラニルメチルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;
3−(トリメトキシシリル)プロピル無水コハク酸、2−(トリメトキシシリル)エチル無水コハク酸、3−(トリメトキシシリル)プロピル無水マレイン酸、2−(トリメトキシシリル)エチル無水グルタル酸等の酸無水物基含有シラン類;
テトラクロロシラン等のテトラハロシラン類等が挙げられる。
【0113】
これらの中でも、得られるシリコン含有膜のドライエッチング耐性に優れる観点からは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランが好ましく、テトラメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランがより好ましい。
【0114】
上記[a]ポリシロキサンの合成には、上記式(i)で表されるシラン化合物以外にも、例えば、
ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、ヘキサフェノキシジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−フェニルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−フェニルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−フェニルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジフェニルジシラン、
1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン;
ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、ビス(トリ−イソプロポキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−ブトキシシリル)メタン、ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)メタン、ビス(トリ−t−ブトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−イソプロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−t−ブトキシシリル)エタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメトキシシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリエトキシシリル)メタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−1−(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、1−(ジ−イソプロポキシメチルシリル)−1−(トリ−イソプロポキシシリル)メタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−n−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−sec−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−t−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−t−ブトキシシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメトキシシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリエトキシシリル)エタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−2−(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、1−(ジ−イソプロポキシメチルシリル)−2−(トリ−イソプロポキシシリル)エタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−n−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−sec−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−t−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−t−ブトキシシリル)エタン、
ビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−n−プロポキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−イソプロポキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−n−ブトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−t−ブトキシメチルシリル)メタン、1,2−ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジエトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−n−プロポキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−イソプロポキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−n−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−t−ブトキシメチルシリル)エタン、ビス(ジメチルメトキシシリル)メタン、ビス(ジメチルエトキシシリル)メタン、ビス(ジメチル−n−プロポキシシリル)メタン、ビス(ジメチル−イソプロポキシシリル)メタン、ビス(ジメチル−n−ブトキシシリル)メタン、ビス(ジメチル−sec−ブトキシシリル)メタン、ビス(ジメチル−t−ブトキシシリル)メタン、1,2−ビス(ジメチルメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(ジメチルエトキシシリル)エタン、1,2−ビス(ジメチル−n−プロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(ジメチル−イソプロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(ジメチル−n−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(ジメチル−sec−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(ジメチル−t−ブトキシシリル)エタン、
1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメチルシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリメチルシリル)メタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−1−(トリメチルシリル)メタン、1−(ジ−イソプロポキシメチルシリル)−1−(トリメチルシリル)メタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−1−(トリメチルシリル)メタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−1−(トリメチルシリル)メタン、1−(ジ−t−ブトキシメチルシリル)−1−(トリメチルシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメチルシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリメチルシリル)エタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−2−(トリメチルシリル)エタン、1−(ジ−イソプロポキシメチルシリル)−2−(トリメチルシリル)エタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−2−(トリメチルシリル)エタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−2−(トリメチルシリル)エタン、1−(ジ−t−ブトキシメチルシリル)−2−(トリメチルシリル)エタン、
1,2−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−イソプロポキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−t−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−イソプロポキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−t−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−イソプロポキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−t−ブトキシシリル)ベンゼン等のジシラン類;
ポリジメトキシメチルカルボシラン、ポリジエトキシメチルカルボシラン等のポリカルボシラン等の他のシラン化合物を用いてもよい。
【0115】
上記シリコン含有膜形成用組成物における[a]ポリシロキサンの含有量としては、シリコン含有膜形成用組成物における全固形分に対して、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。なお、上記シリコン含有膜形成用組成物は、[a]ポリシロキサンを1種のみ含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
【0116】
[a]ポリシロキサンの分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、通常500〜50,000、好ましくは1,000〜30,000、より好ましくは1,000〜15,000である。
【0117】
保護膜の膜厚としては、100nm以下が好ましく、10nm〜80nmがより好ましく、20nm〜60nmがさらに好ましい。保護膜の膜厚を上記範囲とすることで、より効果的に金属含有膜からの金属溶出を抑制させつつ、所望のレジストパターンを被加工基板へ転写することができる。
【0118】
[工程(3)〜(5)]
工程(3)〜(5)では、保護膜上にレジスト組成物を塗布し、露光及び現像し、レジストパターンを形成する。上記レジスト組成物としては、例えば光酸発生剤を含有するポジ型又はネガ型の化学増幅型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂とキノンジアジド系感光剤とからなるポジ型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂と架橋剤とからなるネガ型レジスト組成物等が挙げられる。なお、当該パターン形成方法においては、このようなレジスト組成物として、市販品のレジスト組成物を使用することもできる。レジスト組成物の塗布方法としては、例えば、スピンコート法等の従来の方法によって塗布することができる。なお、レジスト組成物を塗布する際には、得られるレジスト膜が所望の膜厚となるように、塗布するレジスト組成物の量を調整する。
【0119】
上記レジスト膜は、上記レジスト組成物を塗布することによって形成された塗膜をプレベークすることにより、塗膜中の溶媒(すなわち、レジスト組成物に含有される溶媒)を揮発させて形成することができる。プレベークの温度としては、使用するレジスト組成物の種類等に応じて適宜調整されるが、30℃〜200℃が好ましく、50℃〜150℃がより好ましい。加熱時間としては、通常30秒〜200秒であり、好ましくは45秒〜120秒である。なお、このレジスト膜の表面にさらに他の塗膜を設けてもよい。レジスト膜の膜厚としては、通常1nm〜500nmであり、10nm〜300nmが好ましい。
【0120】
次いで、得られたレジスト膜に、フォトマスクを介して選択的に露光光を照射してレジスト膜を露光する。露光光としては、レジスト組成物に使用されている酸発生剤の種類に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、γ線等の電磁波;電子線、分子線、イオンビーム等の粒子線から適切に選択されるが、遠紫外線が好ましく、KrFエキシマレーザー光(248nm)、ArFエキシマレーザー光(193nm)、Fエキシマレーザー光(波長157nm)、Krエキシマレーザー光(波長147nm)、ArKrエキシマレーザー光(波長134nm)、極紫外線(波長13nm等)がより好ましい。また、液浸露光法も採用することができる。なお、レジスト膜上に液浸上層膜形成組成物を用いて液浸上層膜を形成してもよい。
【0121】
露光後にレジスト膜の解像度、パターンプロファイル、現像性等を向上させるため、ポストエクスポージャーベーク(PEB)を行うことが好ましい。このPEBの温度としては、使用されるレジスト組成物の種類等に応じて適宜調整されるが、180℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましい。加熱時間としては、通常30秒〜200秒であり、好ましくは45秒〜120秒である。
【0122】
PEB後、レジスト膜を現像して、レジストパターンを形成する。現像に用いる現像液としては、使用されるレジスト組成物の種類に応じて適宜選択することができる。ポジ型化学増幅型レジスト組成物やアルカリ可溶性樹脂を含有するポジ型レジスト組成物の場合には、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性水溶液が挙げられる。また、これらのアルカリ性水溶液は、水溶性有機溶媒、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類や、界面活性剤を適量添加したものであってもよい。
【0123】
また、ネガ型化学増幅型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂を含有するネガ型レジスト組成物の場合には、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類等のアルカリ類の水溶液等が挙げられる。
【0124】
[工程(6)]
本工程では、上記レジストパターンをマスクとしたエッチングにより、被加工基板にパターンを形成する。上記エッチングとしては、1又は複数回のドライエッチングが好適に用いられる。なお、保護膜とレジスト膜とのエッチング選択性が大きい場合には、上記レジストパターンをマスクとして、この保護膜、金属含有膜及び被加工基板を順次ドライエッチングしてパターンを形成する。ドライエッチングは、公知のドライエッチング装置を用いて行うことができる。また、ドライエッチング時のソースガスとしては、被エッチング物の元素組成にもよるが、O、CO、CO等の酸素原子を含むガス、He、N、Ar等の不活性ガス、Cl、BCl等の塩素系ガス、CHF、CF等のフッ素系ガス、H、NHのガス等を使用することができる。なお、これらのガスは混合して用いることもできる。
【0125】
[工程(0)]
当該パターン形成方法においては、上記工程(1)の前に、レジスト下層膜形成用組成物を用い、被加工基板上にレジスト下層膜を形成する工程を有していてもよい。これにより、多層レジストプロセスにおいて、より微細なパターンの形成が可能となる。レジスト下層膜形成組成物としては、従来公知のものを使用できるが、例えばNFC HM8005(JSR製)等が挙げられ。レジスト下層膜の形成方法としては、例えば、被加工基板上に塗布することにより、レジスト下層膜形成組成物の塗膜を形成し、この塗膜を加熱処理、又は紫外光の照射及び加熱処理を行うことにより硬化させること等が挙げられる。レジスト下層膜形成組成物を塗布する方法としては、例えばスピンコート法、ロールコート法、ディップ法等が挙げられる。また、加熱温度しては、通常150℃〜500℃であり、好ましくは180℃〜350℃である。加熱時間としては、通常30秒〜1,200秒であり、好ましくは45秒〜600秒である。レジスト下層膜の膜厚としては、通常50nm〜500nm程度である。
【0126】
また、上記被加工基板表面には、レジスト下層膜形成組成物を用いて得られるレジスト下層膜とは異なる他の下層膜が形成されていてもよい。このような他の下層膜としては、従来公知のCVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成される炭素膜等であってもよい。この他の下層膜は、反射防止機能、塗布膜平坦性、CF等のフッ素系ガスに対する高エッチング耐性等が付与された膜である。この他の下層膜としては、例えばNFC HM8005(JSR製)等の市販品を使用することができる。
【実施例】
【0127】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0128】
[金属含有膜形成用組成物の調製]
[合成例1]
[A]化合物としての2,4−ペンタンジオネートトリブトキシジルコニウム(50質量%酢酸ブチル/ブタノール)7.62質量部、[B]有機溶媒としてのプロピレングリコールモノメチルエーテル45.50質量部及びプロピレングリコールモノエチルエーテル41.69質量部、[C]水5.00質量部、並びに[D]架橋促進剤としてのジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート0.19質量部を混合し、溶液とした後、この溶液を孔径0.2μmのフィルターでろ過して、金属含有膜形成用組成物(1)を調製した。
【0129】
[合成例2]
タングステン(V)エトキシド30.00g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)60.00gを混合し、25℃で10分間攪拌した後、水10.00gを混合し、60℃まで昇温し、4時間加熱撹拌を行った。反応終了後、室温まで冷却し、プロピレングリコールモノメチルエーテルを30.00g加え、低沸点物をエバポレーターにて除去した。溶液の固形分濃度を焼成法により測定した結果、10.98質量%であった。[A]化合物を含むこの溶液を17.34質量部、[B]有機溶媒としてのプロピレングリコールモノメチルエーテル46.50質量部及びプロピレングリコールモノエチルエーテル31.06質量部、[C]水5.00質量部、並びに[D]架橋促進剤としての1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート0.10質量部を混合して溶液とした後、この溶液を孔径0.2μmのフィルターでろ過して、金属含有膜形成用組成物(2)を調製した。
【0130】
[保護膜形成用組成物の調製]
([α]有機膜用重合体の合成)
下記式で表される化合物(M−1)〜(M−5)を用いて、重合体(α−1)〜(α−3)を合成した。
【0131】
【化12】

【0132】
[合成例3](重合体(α−1)の合成)
200mLのフラスコに、上記化合物(M−1)7.00g(31モル%)、化合物(M−3)6.63g(31モル%)、化合物(M−4)6.37g(38モル%)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.55g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル40gを仕込み、窒素下、80℃で5時間攪拌し重合反応を行った。
【0133】
重合終了後、重合溶液を水冷することにより30℃以下に冷却した後、300gのメタノール:水(質量比9:1)の混合液へ投入して重合体を沈殿させた。上澄みの溶液を除いた後、沈殿した重合体にメタノール60gを加え、重合体を洗浄した。上澄み液を除いた後に、50℃にて17時間乾燥して、重合体(α−1)を得た(収量12.8g、収率64%)。この重合体(α−1)は、Mwが21,600であり、Mw/Mnが2.1であった。また、13C−NMR分析の結果、(M−1):(M−3):(M−4)にそれぞれ由来する構造単位の含有割合は、それぞれ32モル%:31モル%:37モル%であった。
【0134】
[合成例4](重合体(α−2)の合成)
200mLのフラスコに、上記化合物(M−1)7.00g(31モル%)、化合物(M−3)6.63g(31モル%)、化合物(M−5)6.37g(38モル%)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.55g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル40gを仕込み、窒素下、80℃で5時間攪拌した。その後、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)をさらに0.23g(1モル%)添加し、90℃まで昇温させた後、1時間反応させて重合終了とした。
【0135】
重合終了後、後処理はせず重合体(α−2)を含む溶液を得た。この重合体(α−2)は、Mwが24,100であり、Mw/Mnが2.2であった。また上記溶液の固形分濃度は33.3質量%であった。
【0136】
[合成例5](重合体(α−3)の合成)
用いる単量体の種類及び使用量を下記表1に記載の通りとした以外は、合成例4と同様にして重合体(α−3)を合成した。
【0137】
上記得られた各重合体のMw、Mw/Mn及び各単量体に由来する構造単位の含有割合を表1に併せて示す。
【0138】
【表1】

【0139】
(有機膜形成用組成物の調製)
上記合成した重合体(α−1)〜(α−3)以外の有機膜形成用組成物を構成する各成分([β]架橋剤、[γ]架橋触媒、[δ]有機溶媒)について以下に示す。
【0140】
([β]架橋剤)
下記式(β−1)で表される化合物
【0141】
【化13】

【0142】
([γ]架橋触媒)
下記式(γ−1)で表される化合物
【0143】
【化14】

【0144】
([δ]溶媒)
δ−1:プロピレングリコールモノメチルエーテル
δ−2:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0145】
[合成例6](有機膜形成用組成物(1)の調製)
重合体(α−1)100質量部、架橋剤(β−1)20質量部、架橋触媒(γ−1)5質量部、並びに溶媒(δ−1)1,800質量部及び溶媒(δ−2)1,800質量部を混合して有機膜形成用組成物(1)を調製した。
【0146】
[合成例7及び8](有機膜形成用組成物(2)及び(3)の調製)
使用する各成分の種類及び量を下記表2記載の通りとした以外は合成例6と同様にして有機膜形成用組成物(2)及び(3)を調製した。
【0147】
【表2】

【0148】
([a]ポリシロキサンの合成)
[合成例9]
シュウ酸1.28gを水12.85gに加熱溶解させて、シュウ酸水溶液を調製した。その後、テトラメトキシシラン25.05g、フェニルトリメトキシシラン3.63g、及びプロピレングリコールモノエチルエーテル57.19gを入れたフラスコに、冷却管と、調製したシュウ酸水溶液を入れた滴下ロートをセットした。次いで、オイルバスにて60℃に加熱した後、シュウ酸水溶液をゆっくり滴下し、60℃で4時間反応させた。反応終了後、反応溶液の入ったフラスコを放冷してからプロピレングリコールモノエチルエーテル50.00gを追加し、エバポレーターにセットし、反応により生成したメタノールを留去してポリシロキサン(a−1)を含む溶液97.3gを得た。得られたポリシロキサン(a−1)溶液中の固形分濃度は18.0質量%であった。また、ポリシロキサン(a−1)のMwは2,000であった。
【0149】
[合成例10]
シュウ酸1.01gを水22.01gに加熱溶解させて、シュウ酸水溶液を調製した。その後、テトラメトキシシラン23.93g、メチルトリメトキシシラン21.42g、及びプロピレングリコールモノエチルエーテル31.64gを入れたフラスコに、冷却管と、上記調製したシュウ酸水溶液を入れた滴下ロートをセットした。次いで、オイルバスにて60℃に加熱した後、シュウ酸水溶液をゆっくり滴下し、60℃で4時間反応させた。反応終了後、反応溶液の入ったフラスコを放冷してからプロピレングリコールモノエチルエーテル50.00gを追加し、エバポレーターにセットし、反応により生成したメタノールを留去してポリシロキサン(a−2)を含む溶液98.1gを得た。得られたポリシロキサン(a−2)溶液中の固形分濃度は21.5質量%であった。また、ポリシロキサン(a−2)のMwは2,700であった。
【0150】
(シリコン含有膜形成用組成物の調製)
シリコン含有膜形成用組成物の調製に用いた[b]有機溶媒について以下に示す。
【0151】
([b]有機溶媒)
b−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
b−2:プロピレングリコールモノエチルエーテル
【0152】
[合成例11](シリコン含有膜形成用組成物(1)の調製)
上記合成例9で合成したポリシロキサン(a−1)溶液を固形分として100質量部、有機溶媒(b−1)3,800質量部及び有機溶媒(b−2)1,200質量部に溶解させた後、この溶液を孔径0.2μmのフィルターでろ過して、シリコン含有膜形成用組成物(1)を得た。
【0153】
[合成例12]
上記合成例10で合成したポリシロキサン(a−2)溶液を固形分として100質量部、有機溶媒(b−1)3,800質量部及び有機溶媒(b−2)1,200質量部に溶解させた後、この溶液を孔径0.2μmのフィルターでろ過して、シリコン含有膜形成用組成物(2)を得た。
【0154】
<パターンの形成>
[実施例1]
被加工基板としてのシリコンウェハ上に、上記調製した金属含有膜形成用組成物(1)をスピンコーターによって塗布し、250℃のホットプレート上で60秒間焼成することにより直径300mmで膜厚20nmの金属含有膜を形成した。形成した金属含有膜上に、上記調製した有機膜形成用組成物(1)をスピンコーターによって塗布し、205℃で60秒間焼成することにより膜厚50nmの有機膜である保護膜を形成した。形成した保護膜上に、レジスト組成物(ARX2014J、JSR製)を塗布し、90℃で60秒間乾燥させ膜厚100nmのレジスト膜を形成した。形成したレジスト膜上に液浸上層膜形成組成物(NFC TCX091−7、JSR製)を塗布し、90℃で60秒間乾燥させ膜厚30nmの液浸上層膜を形成した。その後、ArFエキシマレーザー露光装置(S610C、ニコン製)を用い、液浸法によって16mJ/cmの露光量で露光処理した後、被加工基板を115℃で60秒間加熱した。次いで、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて30秒間現像処理し、シリコンウェハ上に残ったレジストと生じた溝の幅がそれぞれ50nmである50nmのライン・アンド・スペースパターンのレジストパターンを形成した。なお、形成したレジストパターンをマスクとして金属含有膜及び被加工基板に対し、ドライエッチンッグ装置(Telius SCCM、東京エレクトロン製)を用いて順次ドライエッチングすることでパターンが形成された基板を得た。
【0155】
[実施例2〜4]
保護膜形成用組成物として下記表3に記載の組成物を用い、保護膜形成時の焼成温度として、表3に記載の温度にした以外は、実施例1と同様にしてレジストパターンを形成した。
【0156】
[実施例5]
保護膜形成用組成物として合成例12で得られたシリコン含有膜形成用組成物(2)を用い、保護膜形成時の焼成温度を220℃にした以外は、実施例1と同様にしてレジストパターンを形成した。
【0157】
[実施例6〜10]
金属含有膜形成用組成物(1)の代わりに金属含有膜形成用組成物(2)を用い、表3に記載の保護膜形成用組成物を用い、保護膜形成時の焼成温度を表3に記載のようにした以外は、実施例1と同様にしてレジストパターンを形成した。
【0158】
[比較例1]
保護膜の形成を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、パターンを形成した。
【0159】
<評価>
[金属溶出濃度]
シリコンウェハ上に、上記調製した金属含有膜形成用組成物(1)をスピンコーターによって塗布し、250℃のホットプレート上で60秒間焼成することにより直径300mmで膜厚20nmの金属含有膜を形成した。形成した金属含有膜上に、表3に示す各保護膜形成用組成物をスピンコーターによって塗布し、表3に示す焼成温度で60秒間焼成することにより膜厚50nmの保護膜を形成した。保護膜上にO−リングを乗せ、TMAH現像液を3分間接触させた後、TMAH現像液を採取した。TMAH現像液の液中のジルコニウム又はタングステン濃度(金属溶出濃度)を、ICP−Mass分析装置(7500cs、Agilent製)を用いて測定し、金属含有膜からの金属溶出量を評価した。得られた結果を表3に示す。
【0160】
[レジストパターン形成性]
上記各実施例及び比較例で形成したレジストパターンを走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー製)で観察し、50nmのライン・アンド・スペースパターンにおいて、レジストパターンのボトム形状が裾広がり形状にならない場合をレジストパターン形成性が良好(A)と評価し、裾広がり形状になる場合を不良(B)と評価した。
【0161】
【表3】

【0162】
表3の結果から明らかなように、本発明のパターン形成方法によれば、金属含有膜上に保護膜を形成することにより、アルカリ現像液への金属溶出を、保護膜を形成しない場合に比べて、大幅に抑制できることが示された。従って、当該パターン形成方法によれば、金属含有膜を用いる多層レジストプロセスにおいて、金属含有膜からの溶出金属に起因する現像不良等の発生の抑制及び溶出金属による装置の汚染の低減をすることができると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0163】
本発明は、金属含有膜を用いる多層レジストプロセスにおいて、レジスト膜現像時の金属含有膜からの金属溶出を大幅に抑制することができる。従って、当該パターン形成方法によれば、金属含有膜からの溶出金属に起因する現像不良等の発生の抑制及び溶出金属による装置の汚染の低減をすることができる。よって、本発明は、ますます微細化が進行する半導体装置製造等の加工分野において、好適に適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)被加工基板の上側に金属含有膜を形成する工程、
(2)上記金属含有膜上に保護膜を形成する工程、
(3)レジスト組成物を用い、上記保護膜上にレジスト膜を形成する工程、
(4)フォトマスクを介した露光光の照射により、上記レジスト膜を露光する工程、
(5)上記露光されたレジスト膜の現像により、レジストパターンを形成する工程、及び
(6)上記レジストパターンをマスクとしたエッチングにより、被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法。
【請求項2】
(0)レジスト下層膜形成用組成物を用い、被加工基板上にレジスト下層膜を形成する工程、
をさらに有し、
上記工程(1)において、金属含有膜を上記レジスト下層膜上に形成する請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
上記工程(1)において、上記金属含有膜を、
[A]加水分解性基を有する金属化合物、加水分解性基を有する金属化合物の加水分解物及び加水分解性基を有する金属化合物の加水分解縮合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物、並びに
[B]有機溶媒
を含有する組成物を用いて形成する請求項1又は請求項2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
[A]化合物の金属種が、第3族元素、第4族元素、第5族元素、第6族元素、第12族元素及び第13族元素からなる群より選択される少なくとも1種の金属元素である請求項3に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
上記保護膜が、有機膜又はシリコン含有膜である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項6】
上記シリコン含有膜を、
[a]ポリシロキサン、及び
[b]有機溶媒
を含有する組成物を用いて形成する請求項5に記載のパターン形成方法。
【請求項7】
上記有機膜の炭素含有率が、45質量%以上70質量%未満である請求項5に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
上記シリコン含有膜のケイ素含有率が、20質量%以上である請求項5又は請求項6に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
上記保護膜の膜厚が、100nm以下である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のパターン形成方法。

【公開番号】特開2013−76973(P2013−76973A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−94264(P2012−94264)
【出願日】平成24年4月17日(2012.4.17)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】