説明

パターン検査装置および方法

【課題】基準パターンを活用して基準データをもとにして各種の計測条件を自動設定することができるパターン検査装置および方法を提供する。
【解決手段】検査対象パターン画像と検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、検査対象パターンに荷電粒子線を走査して検査対象パターン画像を生成し、検査対象パターン画像の画素の位置を置き換えることで回転した画像を取得する生成手段と、検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、検査対象パターン画像のエッジと線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、検査対象パターンを検査する検査手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン検査装置および方法に関し、より具体的には、例えば、設計データに従い作成された、半導体(LSI)や液晶パネルおよびそれらのマスク(レチクル)などの微細パターンを検査するためのパターン検査装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の製造工程におけるウエーハのパターン検査、あるいはそのパターン形成用のマスクのパターン検査には、ダイ・ツー・ダイ(die to die)比較と呼ばれる方法を用いた光学式パターン検査装置が使われている。この検査方法は、検査対象のダイとその近接ダイの同じ位置から得られる画像どうしを比較することで欠陥を見つける方法である。
【0003】
一方、近接ダイの存在しないレチクルと呼ばれるマスクの検査には、ダイ・ツー・データベース(die to database)比較と呼ばれる方法が採用されている。すなわち、CADデータを画像フォーマットに変換して近接ダイの代わりとし、前述同様の検査をする方法が使われている。当該技術は、たとえば米国特許5563702号“Automated photomask inspection apparatus and method”に記載されている。ただし、この手法では、ウエーハに形成された実パターンのコーナーの丸み部分が欠陥として認識されてしまうので、その対策として、CADデータから得られた画像に丸みをもたせる前処理を行う方法などで回避している。このような状況でダイ・ツー・データベース比較検査を行うと、コーナーの不良と判断する必要のないパターン変形を欠陥として認識してしまい、これは上述の前処理を行ってもかなり発生する。逆に、コーナーのパターン変形を無視する設定にすると、コーナー以外に存在する微少欠陥を認識できないというジレンマがある。
【0004】
現在、マスクについては、CADデータに正確に一致する必要があるため、ダイ・ツー・データベース比較方式での検査が実用化されている。しかしながら、ウエーハに転写されたパターンは電気特性などが保証される範囲でパターン変形が許されており、実際に露光条件の違いなどからパターン変形がかなりの程度発生している。
【0005】
また、前述のダイ・ツー・ダイ比較方式のパターン検査方法では、システマティック欠陥とよばれる、マスク不良などを原因としてウエーハ上の全ダイにおいて共通に発生する欠陥は検出できない。すなわち、検査対象のダイ及びその比較対象の近接ダイの両方に同じ欠陥が発生しているため、両者を比較したのでは違いがわからないからである。
【0006】
そこで、計算コストなどで問題があり実用化には至っていないが、CADデータとウエーハ画像とのマッチング検査が提案されている。たとえば、NEC技報Vol.50 No.6/1997の「電子ビームテスタを用いたロジックLSIの自動故障個所トレース法」がある。この文献では、配線エッジのX,Y軸へのプロジェクションを用いる方法、配線コーナーに着目した方法、遺伝的アルゴリズムを応用した方法が記述されている。また、この文献で採用した方法として、エッジを直線近似した後に閉領域を抽出し、この閉領域を使うマッチング方法が説明されている。しかし、これらいずれの方法も高速検査に使用可能な速度を実現できず、さらに、パターンの変形量を検出しながらマッチングすることができない。
【0007】
また現在では、欠陥を含む画像(欠陥画像)とこれに対応した近接ダイの画像(リファレンス画像)との比較による自動欠陥種分類(Auto Defect Classification:ADC)が使われている。しかしながら、リファレンス画像の輝度むらなどが認識精度に影響する。また、画像だけからはパターンの内部と外部の特定が不可能な場合がある。このような場合は、短絡と欠損の区別などが困難な場合が多い。また、欠陥がどのパターンを破壊しているかの情報が得られないので、パターンへの致命的欠陥とそうでない欠陥の分類ができない。
【0008】
ダイ・ツー・ダイ比較を用いた検査方法では、欠陥の位置について、検査装置のステージ精度及び光学系精度に起因する誤差をもっており、その誤差は配線パタ−ン幅より10倍程度以上大きい。これが原因で、形成したいパターン(設計パターン)に欠陥位置を投影しても、パターンの欠陥位置を正確に特定することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、集積回路のパターン幅は露光プロセスで使用する光源波長程度か、もしくはそれを下回るようになってきており、このようなパターン形成には、光近接効果補正(Optical Proximity Correction:OPC)パターンを付加する方法が採用されている。これは、設計データにOPCパターンを付加したものでマスクを形成し、これにより露光することで、製造されるウエーハ上の実パターンを設計データに近づける技術である。
【0010】
OPCパターンがウエーハのパターンに補正として有効に作用しているかどうかは、従来のダイ・ツー・ダイ比較では検査できない。したがって、その解決方法、たとえばウエーハのパターンと設計データとの比較検証を、許容パターン変形量を考慮して行える手法が求められている。
【0011】
また、例えばシステムオンチップ(SOC)で見られる多品種少量生産では、短納期が求められている。このような場合に、最終検査である電気的検査でシステマティック欠陥を発見しても、短納期に応えられない場合がある。この対策として、露光プロセスの各段階で設計データとの差異をモニタする要求が発生している。そこで、電気特性に影響しないパターン変形を許容パターン変形量として設定しておき、許容パターン変形量以内の変形を考慮しながら設計データとウエーハのパターンの比較検証を行えるような検査方法が求められる。
【0012】
また現在では、パターン変形の評価として、リソシミュレータなどによりデザインチェックが行われている。このシミュレーションの正当性を検証するために、リソシミュレータが出力したパターン(シミュレーションパターン)と実パターンとの比較検討手段が必要とされている。
また、設計データに対するパターン変形量を求めることにより、回路設計上の技術を向上させることがますます重要になっている。
【0013】
ところで、現在、半導体集積回路の製造工程におけるウエーハのパターン線幅管理用に、CD−SEM(Critical Dimension Scanning Electron Microscope)が用いられている。このCD−SEMは、ショットと呼ばれるステッパの一転写単位ごとに、指定された位置にある直線パターンの線幅をラインプロファイルを使って自動的に測長するものである。この測長を、1ロットあたり数枚のウエーハにおける数ショットに対して数ヶ所実施し、ステッパの転写機能が正常かどうか、nm単位で管理することができる。
【0014】
回路パターンの管理としては線幅以外にも、配線終端の縮み、孤立パターンの位置なども重要であるが、CD−SEMの自動測長機能は1次元対応で線幅など長さしか測定できない。したがって、これら2次元形状の測定は、CD−SEMや他の顕微鏡から得られた画像を操作者が目視することにより実施されている。
【0015】
光近接効果補正(OPC)は、直線パターンの線幅を確保するのはもとより、コーナーや孤立パターンの形状形成にも重要な役目を担っている。またさらに、動作周波数の向上により現在では、ゲート線幅に加えて、エンドキャップやフィールドエクステンションと呼ばれるゲート配線パターンの先端や付け根の形状管理も重要になってきている。
【0016】
このような2次元パターンの形状測定は、製造工程での抜き取り検査でも、試作段階でも重要であり、特に試作段階では、ウエーハ全面についてパターン形成の検査が必要とされる。
【0017】
しかし、上述のように2次元形状の管理は人的作業によっているのが現状で、正確性、生産性の面から自動化が求められている。
この要請に応じて、走査型電子顕微鏡を用い、電子線(荷電粒子線)のすべての走査方向を一定にして自動計測をする方法が実施されている。しかしながら、この方法では、線分の方向によって計測誤差が発生していた。そのために本発明は、基準パターンを活用して基準データをもとにして各種の計測条件を自動設定することができるパターン検査装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、前記検査対象パターンに荷電粒子線を走査して前記検査対象パターン画像を生成し、前記検査対象パターン画像の画素の位置を置き換えることで回転した画像を取得する生成手段と、前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明の第2の態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、前記検査対象パターンに荷電粒子線を走査して前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査手段とを備え、前記検査対象パターンの領域に前記荷電粒子線を走査して六角形の前記検査対象パターン画像を生成し、順次、前記領域に隣接した前記検査対象パターンの領域に前記荷電粒子線を走査して六角形の前記検査対象パターン画像を生成し、連続した前記検査対象パターン画像を生成することを特徴とする。
【0020】
本発明の第3の態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、前記検査対象パターンに、荷電粒子線の走査方向に対して垂直方向の振幅を持たせた走査をして前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査手段とを備えることを特徴とする。
【0021】
本発明の第4の態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、前記検査対象パターンに荷電粒子線を走査して前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査手段とを備え、前記検査対象パターン画像を生成する生成手段は、前記検査対象パターン画像のエッジを検出するのに使用する部分を前記荷電粒子線で走査し、前記検査対象パターン画像のエッジを検出するのに使用する部分以外の部分を走査せずに前記検査対象パターン画像を生成することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、請求項4に記載のパターン検査装置において、前記検査対象パターン画像を生成する生成手段は、前記検査対象パターン画像のエッジを検出するのに使用する部分以外を走査しないことにより、検査対象パターンが存在するサンプルのチャージアップによる前記検査対象パターン画像の変形を低減することを特徴とする。
【0022】
本発明の第5の態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査方法であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成し、前記検査対象パターンに荷電粒子線を走査して前記検査対象パターン画像を生成し、前記検査対象パターン画像の画素の位置を置き換えることで回転した画像を取得し、前記検査対象パターン画像のエッジを検出し、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査することを特徴とする。
本発明の第6の態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査方法であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成し、前記検査対象パターンに荷電粒子線を走査して前記検査対象パターン画像を生成し、前記検査対象パターン画像のエッジを検出し、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査し、前記検査対象パターン画像の生成で、前記検査対象パターン画像のエッジを検出するのに使用する部分を前記荷電粒子線で走査し、前記検査対象パターン画像のエッジを検出するのに使用する部分以外の部分を走査せずに前記検査対象パターン画像を生成することを特徴とする。
【0023】
本発明は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、前記基準パターンを使って前記荷電粒子線を走査する条件を設定し、前記検査対象パターンに荷電粒子線を走査して前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査手段とを備えてもよい。
【0024】
前記検査対象パターン画像を生成する生成手段は、前記基準パターンが存在しない領域を走査しないように走査条件を設定してもよい。
前記検査対象パターン画像を生成する生成手段は、前記基準パターンの線幅を使って、前記検査対象パターン画像の倍率が変わるように、走査条件を設定してもよい。
前記検査対象パターン画像を生成する生成手段は、前記基準パターンを使って前記荷電粒子線を走査する条件の一つである前記荷電粒子線の走査方向を設定してもよい。
前記荷電粒子線の走査方向は、前記荷電粒子線が前記検査対象パターンを構成する線分の方向のすべてにより垂直になる方向としてもよい。
前記荷電粒子線の走査方向は、縦線の前記検査対象パターンが存在する領域では横方向とし、横線の前記検査対象パターンが存在する領域では縦方向とし、縦線と横線の前記検査対象パターンが混在する領域では45度方向、−45度方向、45度方向の逆方向である−135度と、−45度方向の逆方向である135度のいずれかの方向としてもよい。
前記検査対象パターン画像を生成する生成手段は、複数の異なる前記走査方向を設定して、複数の前記検査対象パターン画像を生成し、前記エッジを検出する手段は、前記荷電粒子線が前記検査対象パターンのエッジにより垂直になる方向である走査方向で得られた前記検査対象パターン画像からエッジを検出してもよい。
前記荷電粒子線の走査方向は、縦線の前記検査対象パターンと横線の前記検査対象パターンが混在する領域では、縦方向と横方向の2方向とし、前記エッジを検出する手段は、前記基準パターンの縦線に対応する前記検査対象パターン画像のエッジを横方向の走査で得られた前記検査対象パターン画像から取得し、前記基準パターンの横線に対応する前記検査対象パターン画像のエッジを縦方向の走査で得られた前記検査対象パターン画像から検出してもよい。
【0025】
本発明は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査方法であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成し、前記基準パターンを使って前記荷電粒子線を走査する条件を設定し、前記検査対象パターンに荷電粒子線を走査して前記検査対象パターン画像を生成し、前記検査対象パターン画像のエッジを検出し、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査してもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)検査対象パターンの画像を得るために、最小限度の電子線(荷電粒子線)を走査すればよく、したがって最小の時間で検査対象パターンの画像を得ることができる。
(2)スキャン可能なエリアを最大限に活用して広範囲のブロックをできるだけ小さい数のブロックで実現し、更にスキャン方向に依存するエッジの検出精度の低下を基準パターンを使って最適な方法で取得することができる。
(3)ラスタースキャンが持っているデータの欠落部分を、波形を変えること、もしくは2回スキャンをする方法、もしくはフィルタをかける方法等で、X方向とY方向の画質の僅差を極力低減することが出来る。
(4)サンプルのチャージアップによるプロファイルの変形が低減でき、パターンの変形量の精度を向上する効果がある。また、全体をラスタースキャンをしてデータを取得するのではなく、計測に最も重要であるエッジ部分のみのスキャンを行うことによって、高速に画像を取得することができる。
(5)内挿による画質低下を伴わない回転画像を取得することができ、エッジの検出精度の低下を避けられる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の検査装置の基本構成を示す概略図である。
【図2】図1で示す2次電子検出器で検出した2次電子の強度をあらわす模式図である。
【図3】図2に示すパターンを90度回転させ、このパターンのプロファイルを撮像した場合の模式図である。
【図4】本発明のパターン検査装置によりパターン検査を行う場合のスキャンエリアを示す模式図である。
【図5】横方向のスキャンを行った場合の測定精度を説明するための図である。
【図6】下から上方向に向かって縦方向のスキャンを行った場合の測定精度を説明するための図である。
【図7】双方向のスキャンを行う場合の模式図である。
【図8】設計データに基づく理論上のパターンの例を示す図である。
【図9】設計データに基づいて実際に製造されたパターンの例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係るパターン検査装置が行う検査処理の概要を示す図である。
【図11】本発明の実施形態におけるパターン検査装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図12】本発明の実施形態におけるパターン検査装置の機能ブロック図を示す図である。
【図13】本発明の実施形態におけるレシピ登録処理の例を示すフローチャートである。
【図14】基準パターンの補正例を示す図である。
【図15】逐次検査を説明するための図である。
【図16】ランダム検査を説明するための図である。
【図17】基準パターンの例を示す図である。
【図18】図17の基準パターンをピクセルごとのエッジベクトルに変換した例を示す図である。
【図19】曲線を含む基準パターンをエッジベクトルに変換した例を示す図である。
【図20】本発明の実施形態における検査処理の例を示すフローチャートである。
【図21】パターン内部と下地にコントラストが付く画像(検査対象パターン画像)の例を示す図である。
【図22】図21の画像から検出したエッジを示す図である。
【図23】輪郭のみが明るい画像(検査対象パターン画像)の例を示す図である。
【図24】図23の画像から検出したエッジを示す図である。
【図25】1次元の検査対象パターン画像のエッジ振幅の例を示す図である。
【図26】図25のエッジを膨張させた例を示す図である。
【図27】1次元の基準パターンのエッジの振幅の例を示す図である。
【図28】図25のエッジを膨張させた別の例を示す図である。
【図29】1次元の基準パターンのエッジの振幅の別の例を示す図である。
【図30】図25のエッジを膨張させた別の例を示す図である。
【図31】スムージングフィルタの例を示す図である。
【図32】2次元の検査対象パターン画像のエッジの振幅の例を示す図である。
【図33】図32のエッジを膨張させた例を示す図である。
【図34】図32のエッジを膨張させた別の例を示す図である。
【図35】2次元の検査対象パターン画像のエッジベクトルの例を示す図である。
【図36】図35のエッジベクトルを膨張させた例を示す図である。
【図37】図35のエッジベクトルを膨張させた別の例を示す図である。
【図38】図17の基準パターンをピクセル単位のエッジベクトルで表した別の図である。
【図39】マッチングを説明するための図である。
【図40】図36と図38とを重ね合わせた図である。
【図41】図36と図38とを重ね合わせた図である。
【図42】(a)は基準パターンの例を示し、(b)は検査対象パターン画像の例を示す図である。
【図43】配線の間隔と下地の間隔とが同じ場合の例を示す図である。
【図44】(a)は基準パターンの例を示し、(b)は(a)の基準パターンと検査対象パターン画像との関係の例を示す図である。
【図45】マッチングを行った後の検査対象パターン画像のエッジおよび基準パターンのエッジの例を示す図である。
【図46】(a)は基準パターンのエッジの例を示し、(b)は検査対象パターン画像のエッジの例を示す図である。
【図47】方向情報の付与手法の他の例を示す図である。
【図48】検査対象パターン画像の例を示す図である。
【図49】輝度値に対する頻度の分布の例を示す図である。
【図50】(a)は基準パターンのエッジ、および検査対象パターン画像のエッジの例を示し、(b)は(a)に示すエッジ間のy=yにおけるベクトルd(x,y)のx成分を回帰直線D(x)で近似した例を示す図である。
【図51】(a)は基準パターンのエッジ、および検査対象パターン画像のエッジの別の例を示し、(b)は(a)に示すエッジ間のy=yにおけるベクトルd(x,y)のx成分を回帰直線D(x)で近似した例を示す図である。
【図52】パターンの属性の例について示す図である。
【図53】先端の位置ずれ量を示す図である。
【図54】孤立パターンの重心の位置ずれ量を示す図である。
【図55】(a)は基準パターンのエッジのコーナーの例を示し、(b)は検査対象パターン画像のエッジのコーナーの例を示す図である。
【図56】プロファイル取得区間の例を示す図である。
【図57】リソシミュレータで得られた露光パターンの外形を形成する曲線を示す図である。
【図58】図56の一部(Bの部分)を拡大した図である。
【図59】図58の一部(Cの部分)を拡大した図である。
【図60】プロファイルの例を示す図である。
【図61】第2のエッジ位置(点)に基づいて曲線近似を行い、第2のエッジを求めた例を示す図である。
【図62】(a)はプロファイル取得区間の別の例を示し、(b)は検査対象パターン画像の第1のエッジと第2の基準パターンとの関係の例を示す図である。
【図63】高倍画像および低倍画像を用いて測長を行う例を示す図である。
【図64】電子線のスキャン方向を45度および―45度とした場合を示す模式図である。
【図65】電子線のスキャン方向を18度とした場合を示す模式図である。
【図66】電子線をある領域に走査して所定の形状の画像を生成し、次に隣接した領域に走査して次の所定の形状の画像を生成し、順次これを繰り返し広い領域の1つの画像を得る方法を示す模式図である。
【図67】基準パターンに基づいて電子線のスキャンの方法を決定するための方法を示す模式図である。
【図68】電子線のスキャン経路を説明する模式図である。
【図69】電子線のスキャン経路を説明する模式図である。
【図70】垂直方向のスキャンに対してフィルタをかけた場合を説明する模式図である。
【図71】エッジのみスキャンする場合を示す模式図である。
【図72】エッジのみスキャンする場合のステップを示すフローチャートである。
【図73】エッジのみスキャンする場合の計測データの取得順序付けの方法を示す図である。
【図74】0度の画像もしくは90度の画像を用いて測定されるべき線分、終端、コーナーを分類して、得られた結果を集計する方法を示す図である。
【図75】画素の位置を置き換えることによってのみ回転した画像を得る方法を示す図である。
【図76】画素の位置を置き換えることによってのみ回転した画像を得る方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明のパターン検査装置における画像生成装置の基本構成を示す概略図である。本発明のパターン検査装置における画像生成装置7は、照射系装置310と試料室320と2次電子検出器330とから構成されている。照射系装置310は、電子銃311と、電子銃311から放出された1次電子を集束する集束レンズ312と、電子線(荷電粒子線)を偏向するX偏向器313およびY偏向器314と、対物レンズ315とから構成されている。試料室320はXYステージ321を備えている。試料室320にはウエーハ搬送装置340によって試料であるウエーハWが搬出入されるようになっている。照射系装置310においては、電子銃311から放出された1次電子は集束レンズ312で集束された後に、X偏向器313およびY偏向器314で偏向されつつ対物レンズ315により集束されて試料であるウエーハWの表面に照射される。
【0029】
ウエーハWに1次電子が照射されるとウエーハWからは2次電子が放出され、2次電子は2次電子検出器330により検出される。集束レンズ312および対物レンズ315はレンズ制御装置316に接続され、このレンズ制御装置316は制御コンピュータ350に接続されている。2次電子検出器330は画像取得装置317に接続され、この画像取得装置317も同様に制御コンピュータ350に接続されている。前記X偏向器313およびY偏向器314は、偏向制御装置318に接続され、この偏向制御装置318も同様に制御コンピュータ350に接続されている。XYステージ321は、XYステージ制御装置322に接続され、このXYステージ制御装置322は制御コンピュータ350に接続されている。またウエーハ搬送装置340も同様に制御コンピュータ350に接続されている。制御コンピュータ350は、操作コンピュータ360に接続されている。
【0030】
図2は、図1で示す2次電子検出器330で検出した2次電子の強度をあらわす模式図である。図2は、1本の電子線をX方向に走査した場合の2次電子検出器330によって得られた2次電子の強度をあらわしており、パターンPのエッジ部がエッジ効果により強度が強く、パターンPの中心部の強度が弱くなっている。また、パターンPの左側と右側とでは対称ではなく、電子線の進入側のエッジ(図の左側のエッジ)が、反対側のエッジ(図の右側のエッジ)に比べて信号量が弱く観測される。
【0031】
図3は、図2に示すパターンPを90度回転させ、このパターンPのプロファイルを撮像した場合の模式図である。図3は、X方向に複数の電子線を走査することにより2次電子の強度を図示したものである。図3に示すように、走査方向と平行なエッジ部では図2に比べてエッジ効果を明瞭に得ることが難しい。
【0032】
図4は、本発明のパターン検査装置によりパターン検査を行う場合のスキャンエリアを示す模式図である。図4において、実線で書かれている部分は検査対象となるパターンPを示している。一点鎖線で書かれている正方形のブロックは、1回のスキャンによって取得する領域の範囲(スキャンエリア)を示している。このブロックは、この例においては縦3つ横3つの計9つのブロックB1〜B9から構成されている。また、点線で書かれている部分は観察エリアOAである。
【0033】
図5は、横方向(X方向)のスキャンを行った場合の測定精度を説明するための図である。図5に示すように、横方向のスキャンをした場合、図2と同様に縦線についての測定精度は良好であるが、横線については良好な測定精度が得られない。
図6は、下から上方向に向かって縦方向(Y方向)のスキャンを行った場合の測定精度を説明するための図である。図6に示すように、縦方向のスキャンをした場合、横線についての測定精度は良好であるが、縦線については良好な測定精度が得られない。
図4における縦横のパターンがある左下のブロックB7においては、縦線と横線の両方について良好な測定精度を得ようとすると、図5に示す横方向のスキャンと図6に示す縦方向のスキャンの2回のスキャンを行わなければ良好な測定精度が得られない。その右隣に示す横線のみのブロックB8においては、図6に示す縦方向のスキャンのみを行えばよい。また、中段1番左に示す縦線のみのパターンのブロックB4においては、図5に示す横方向のスキャンのみを行えばよい。このように、横方向、縦方向にそれぞれスキャンを行う、あるいは横方向および縦方向2回のスキャンを行うという方法で、スキャンを制御して所望の画像を得るようにしている。
【0034】
スキャン方向が0度(X方向)の場合、パターンがX方向(横方向)に延びているパターンについてのエッジ検出精度が弱く、スキャン方向が90度(Y方向)の場合には、Y方向(縦方向)に延びているパターンのエッジ検出精度が弱い。従って、良好なエッジ検出精度を得るためには、スキャン方向は0度および90度の2方向のスキャンを行うことが必要である。検出すべき半導体(LSI)や液晶パネルのパターンの大部分は、横方向(X方向)に延びるパターンと縦方向(Y方向)に延びるパターンとで構成されているために、これらのパターンを精度良く検出するためにはX方向(0度)およびY方向(90度)の2方向のスキャンを行う必要がある。
【0035】
図7は、双方向のスキャンを行う場合の模式図である。図2乃至図6において、ビームとパターンが交差しないと、エッジ効果による輝度が得られないので計測精度が悪いことを説明したが、ビームの進入側のエッジ(図2の左側のエッジ)が、反対側のエッジ(図2の右側のエッジ)に比べて精度が出にくい。そこで、図7に示すように、スキャン方向を交互に逆転して画像を取得する。すなわち、0度と−180度の交互のスキャンを行って画像を取得する。スキャン左方向のデータでビームの進入側のエッジを計測し、スキャン右方向のデータで反対側のエッジを計測することにより、いずれのエッジにおいても良好な精度を得ることができる。
【0036】
本実施形態に係るパターン検査装置は、図1に示す画像生成装置により得られた検査対象パターン(例えば、図9に示すようなパターン)を、基準パターン(例えば、図8に示すようなパターン)と比較して検査する。
【0037】
図2乃至図7で説明したように、画像生成装置は、以下の3方式のいずれかによって検査対象パターンの画像を得る。
(スキャン1方式)0度、90度あるいは18度などの1方向のスキャン
(スキャン2方式)0度と−180度の交互のスキャン
(スキャン3方式)0度および90度の2方向のスキャンもしくは45度と−45度の2方向のスキャン
ここで、座標系は、X軸を右方向、Y方向を上方向に取り、検査すべきパターンの最頻度の方向を右方向(0度方向)にした座標系である。
エッジ方向については、実際得られた角度とプラス180度の2方向の解釈が可能となる。そこで、右手側がパターン内部になるような方向を定義することによって、一義的に方向を定める。この点について、図4を参照して説明すると、例えば、ブロックB4の位置では、上下に走るエッジが2本あるが、左側のエッジが90度、右側のエッジが270度と定義される。
次に、基準パターンと検査対象パターンとの比較をして、検査をする場合を説明する。
【0038】
図10は、本実施形態に係るパターン検査装置が行う検査処理の概要を示す図である。検査処理では、まず、検査対象パターンの画像から第1のエッジを検出する。
(スキャン1方式)1方向のスキャンと(スキャン2方式)交互のスキャンでは、1枚の画像からエッジを検出する。(スキャン3方式)2方向のスキャンでは、2枚の画像からエッジを検出し、そのエッジ情報を融合させる。0度および90度の2方向のスキャンの場合は、0度の画像から45度から135度と、225度から−45度の間のエッジのみを抽出し、90度の画像から135度から225度と、−45度から45度の間のエッジのみを抽出し、両者を合成して1画像から得られたエッジとして扱う。
45度および−45度の2方向のスキャンの場合は、45度の画像から90度から180度と270度から360度の間のエッジのみを抽出し、−45度の画像から0度から90度と180度から270度の間のエッジのみを抽出し、両者を合成して、1画像から得られたエッジとして扱う。
【0039】
次に、第1のエッジと第1の基準パターンのエッジとを比較することにより、検査対象パターン画像と基準パターンとのマッチングを行う。マッチングを行った結果、シフト量Sが求まるので、このシフト量Sを用いて第1の基準パターンをシフトする。そして、第1のエッジとシフトした第1の基準パターンのエッジとを比較することにより、検査対象パターン(実パターン)を検査する。この第1の検査では、パターン変形量を求めたり、欠陥を検出したりする。パターン変形量の1つとしてシフト量Sが求まる。
【0040】
次に、検査対象パターン画像から第2のエッジを検出するため、対応する第2の基準パターンをシフト量S+S分シフトする。シフトした第2の基準パターンを用いて、検査対象パターン画像上でプロファイルを求め、第2のエッジを検出する。
(スキャン1方式)1方向のスキャンでは、プロファイルは同一の画像から求める。
(スキャン2方式)0度、180度交互のスキャンでは右側のエッジ(180度から360度のエッジ)を得るプロファイルを0度の画像から、左側(0度から180度のエッジ)のエッジを得るプロファイルを180度の画像から求める。
(スキャン3方式)2方向のスキャンでは、45度から135度と、225度から−45度の間のエッジを得るプロファイルを0度の画像から、135度から225度と、−45度から45度の間のエッジを得るプロファイルを90度の画像から求める。
【0041】
具体的には、0度の画像もしくは90度の画像を用いて測定されるべき線分、終端、コーナーを分類して、得られた結果を集計する方法である。本例では、0度方向の走査による画像から縦方向(90度または270度の方向)、左上がり(135度)、右下がり(−45度)方向の線分、終端、コーナーを、90度方向の走査による画像から横方向(0度または180度)、右上がり(45度)、左下がり(225度)方向の線分、終端、コーナーを測定すれば良い。
図74は、上述の具体的な例を示す図である。
【0042】
45度および−45度の2方向のスキャンの場合は、90度から180度と270度から360度の間のエッジを得るプロファイルを45度の画像から、0度から90度と180度から270度の間のエッジを得るプロファイルを−45度の画像から求める。
そして、第2のエッジとシフトした第2の基準パターンのエッジとを比較することにより、検査対象パターンを検査する。この第2の検査においても、パターン変形量を求めたり、欠陥を検出したりする。パターン変形量の1つとしてシフト量Sが求まる。
【0043】
画像が45度もしくは−45度傾斜で取得された場合においては、基準パターンと画像の間に回転が存在するので、その回転を補正する作業が必要である。一つの方法としては、基準パターンを回転する方法であるが、基準パターンを回転すると傾斜画像が最終出力となるので見難いという欠点がある。そこで、本実施例では画像を回転する方法を採用した。しかしながら、X,Y方向に均等にサンプリングする走査をした場合に、その画像を回転すると、画素間の内挿値を回転した画像の値として用いなければならない。この場合には、得られた画像が内挿によってぼけたりする弊害があるので、本実施例では内挿を用いずに、画素の位置を置き換えることによってのみ回転した画像を得る方法を採用した。しかしながら、この方法を用いる場合は、通常の縦横同じ間隔でサンプリングする走査方法では回転した画像を得ることは不可能であり、次に述べるような形態のスキャンを採用する必要がある。
【0044】
図75は上述の方法に基づいて作成した画像の具体例を示す図である。左側の45度傾斜走査方法と右側の45度傾斜画像は全く同じものを45度回転して描いてある。最終的に取得しようとする画像は右側の形のものである。図中、碁盤の目の格子点はX,Y方向に均等にサンプリングされて得られるべき画像の位置である。黒丸●については実際にサンプリングされたデータで、無いところではこのスキャン方法では取得できないところである。この右側の形の画像を取得するために左側の走査方法で行なう。この場合は、X方向のサンプリング間隔Sは各々の走査線で同一であるが、Y方向のサンプリング間隔についてはX方向のサンプリング間隔Sの半分である。また奇数行と偶数行では、X方向のサンプリング間隔Sの半分だけずれている。このサンプリング間隔Sは、右側の画素間隔に√2をかけたものになる。そうすると、左側の図を横に寝かせるだけで所望の画像が得られるということになる。この場合は、実際にサンプリングされた順番とは違う順番で値を入れていく作業が必要となる。
図75は45度の角度の場合を示すものであるが、図76は、arctan(2)の傾斜の走査方法および回転した画像を示す図である。
【0045】
図11は、本実施形態におけるパターン検査装置のハードウェア構成例を示す図である。本実施形態に係るパターン検査装置は、主制御部1、記憶装置2、入出力制御部3、入力装置4、表示装置5、印刷装置6および、図1に示す画像生成装置7を備える。
【0046】
主制御部1はCPU等により構成され、装置全体を統括的に制御する。主制御部1には記憶装置2が接続されている。記憶装置2は、ハードディスク、フレキシブルディスク、光ディスク等の形態をとることができる。また、主制御部1には、入出力制御部3を介して、キーボード、マウス等の入力装置4、入力データ、計算結果等を表示するディスプレイ等の表示装置5、および計算結果等を印刷するプリンタ等の印刷装置6が接続されている。
【0047】
主制御部1は、OS(Operating System)等の制御プログラム、パターン検査のためのプログラム、および所要データ等を格納するための内部メモリ(内部記憶装置)を有し、これらプログラム等によりパターン検査を実現している。これらのプログラムは、フロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROM等に記憶しておき、実行前にメモリ、ハードディスク等に読み込ませて実行されるようにすることができる。
【0048】
図12は、本実施形態におけるパターン検査装置の機能ブロック図を示す図である。基準パターン生成部11、検査部12、出力部13および欠陥種認識部14はプログラムにより実現されている。基幹データベース21、レシピデータベース22および欠陥種参照データベース23は記憶装置2内に設けられている。
基幹データベース21を外部に設け、パターン検査装置がLANを経由して基幹データベース21にアクセスするようにしてもよい。
【0049】
(レシピ)検査の前に、まずレシピと称される検査パラメータの組を設定する。そのパラメータとしては、検査の対象である検査対象パターンの画像の画像取得時におけるピクセルとピクセルとの間の実パターン上での距離(ピクセル間隔)と、512×512や1024×1024などのピクセル数がある。これらの値から、一度に処理すべき画像の実パターン上での距離(画像サイズ)を把握することができる。また、エッジ検出のためのパラメータと、欠陥を認識するためのパラメータとを設定する。
【0050】
検査対象パターン画像と比較するデータとしては、設計データが使われる。この設計データとして、たとえばGDS形式のCADレイアウトデータに、レイアの融合やフラクチャリングを行ったものが使える。本実施形態では、この処理で得られた線分の束を、画像サイズにステージの誤差分およびパターンの最大平行移動量を加えた長さを一辺とする長方形エリアでクリッピングして基準パターンとし、レシピデータベース22に予め格納する。ステージ誤差分がパターンの最大平行移動量に比べ無視し得る場合は、パターン変形の絶対座標値が計測できる。本実施形態では、ステージの誤差分およびパターンの最大平行移動量を考慮し、基準パターンを検査対象パターン画像よりも大きくとって処理しているが、代わりに検査対象パターン画像を基準パターンよりも大きくとって処理するようにしてもよい。
【0051】
基準パターンに対して、コーナーに丸みをつける処理を行ってもよい。図14に示すように、通常、設計データは、鋭角をもった多角形(図中点線)である一方、実際に形成される回路パターンはコーナーに丸み(図中実線)がつく。そこで、コーナー部分に円、楕円、直線、もしくは他の方法で記述した曲線を適用し、実際のパターンに近くなるように補正してもよい。
【0052】
基準パターンに設計データを使えば、実現したいパターンとの比較検査を行う欠陥検査になる。この場合は、許容パターン変形量として電気特性に影響しない許容量を設定する。この許容パターン変形量は、配線の属性ごとに設定でき、さらに、パターンの込み入っている場所とそうでない場所とで可変にすることも可能である。
【0053】
基準パターンにリソシミュレータで得られた露光パターンの外形を形成する曲線(図57の実線)を使えば、シミュレーションの正当性を検証しながらの欠陥検査が可能になる。リソシュミレータの出力データは、光学的にシミュレートして得られた光強度分布である。この分布から外形の曲線を得る。この場合の許容パターン変形量は、シミュレーションとして許される誤差を設定する。
【0054】
本実施形態においては、基準パターンに設計データを使っている。
図13は、本実施形態におけるレシピ登録処理の例を示すフローチャートである。まず、オペレータは、入力装置4を介して基準パターン生成部11に、設計データ検索用パラメータ(ここでは、検査対象サンプルの品種、およびプロセスを指定するパラメータ)、検査モード、画像取得パラメータ(検査領域、画像サイズ、ピクセル数、ウエーハを特定するためのスロット番号、および光学系の調整パラメータ)、ならびにエッジ検出および検査のためのパラメータを入力する(ステップS202)。
【0055】
エッジ検出および検査のためのパラメータとしては、以下の情報を設定する。
(R1) 求めたいパターン変形量
(R2) 許容パターン変形量の−側の限界および+側の限界、ならびにエッジの許容方向差の限界
(R3) 画質から経験的に決められるエッジ検出パラメータ
(R4) パターンの属性(コーナー、直線部分、端点、孤立パターン等)を自動的に認識するための抽出ルール
(R5) プロファイル取得区間の長さ、プロファイル取得区間とプロファイル取得区間との間隔、プロファイル取得区間内で輝度値を調べる間隔、およびプロファイルをとる方法(しきい値法を使うかなど)
(R6) プロファイル取得区間を可変にして測定時に決定するかどうかのフラグ
基準パターン生成部11は、設計データ検索用パラメータ(検査対象サンプルの品種、およびプロセス)をキーとして基幹データベース21を検索し、設計データを取り出す(ステップS204)。基幹データベース21は、検査対象パターン画像に対する設計データ(CADデータ)を格納したデータベースである。
【0056】
次に、基準パターン生成部11は、設計データに基づき基準パターンを生成する(ステップS206)。
検査対象パターン画像から検出されるエッジの位置に最も適したように設計データに対し、シュリンク処理(倍率を変える処理)、サイズ処理(線幅を変える処理)などを施す必要がある場合がある。また、第1のエッジ検出と第2のエッジ検出とでは一般的に検出するエッジの位置が異なるので、必要があれば、第1エッジ検出用、および第2エッジ検出用に基準パターンを2種類用意する。
【0057】
検査は、入力された検査領域を、画像サイズで分割して得られる検査単位領域ごとに行われるので、基準パターンもそれに合わせて生成する。検査には、逐次検査およびランダム検査がある。
【0058】
図15は、逐次検査を説明するための図である。検査領域は通常、長方形の和として決定される。すなわち検査領域は、ウエーハ全面を単位として設定されるのではなく、長方形で指定された複数の領域(図15のように上側の短い長方形と下側の長い長方形など)として設定されるので、その領域を高速検査するために、検査単位領域ごとの逐次走査を実施する。検査単位領域ごとに基準パターンを作成する。
【0059】
図16は、ランダム検査を説明するための図である。ランダム検査においては、ある領域を逐次に検査するのではなく、ピンポイントに検査する。図16では、検査単位領域301〜304についてのみ検査を行う。
【0060】
図17は基準パターンの例を示す図であり、図18は図17の基準パターンをピクセルごとのエッジベクトルに変換した例を示す図である。図17において、基準パターン(点線)はサブピクセル精度で示されている。通常、基準パターンのエッジ方向は、ピクセルの横方向(x方向)または縦方向(y方向)に平行である。基準パターンのエッジも、検査対象パターン画像のエッジと同様に、ピクセルごとに開始点(サブピクセル精度)、方向、および振幅の情報を有する。本実施形態においては、基準パターンのエッジの振幅をすべて1にしている。
【0061】
図19に示すように、基準パターンに曲線が含まれる場合がある。曲線を含む基準パターンをエッジベクトルに変換するには、例えば、ピクセルの中心261に最も近い基準パターン上の点262での接線263をエッジベクトルにする方法がある。
【0062】
次に、基準パターン生成部11は、基準パターン、検査対象サンプルの品種、プロセス、および検査モード、画像取得パラメータ、ならびにエッジ検出および検査のためのパラメータを、レシピデータベース22に登録する(ステップS208)。これらのデータは、検査用パラメータの組であるレシピと呼ばれ、品種、プロセス、および検査モードをキーにして管理される。
【0063】
(検査処理)図20は、本実施形態における検査処理の例を示すフローチャートである。まず、オペレータは、入力装置4を介して検査部12に、レシピ検索用パラメータ(ここでは、品種、プロセスおよび検査モード)を入力する(ステップS302)。
【0064】
検査部12は、レシピ検察用パラメータをキーとしてレシピデータベース22を検索し、レシピを取り出す(ステップS304)。そして、検査対象パターン画像(光学画像、電子線画像、フォーカスイオンビーム画像、プローブ顕微鏡画像など)を取得するため、画像生成装置7に対して画像取得パラメータを指示し、スロット搬送、アライメント、および光学系の調整を指示する(ステップS306)。アライメントとは、CADデータが使用している座標系と実ウエーハ観察位置を管理する座標値との変換係数を求める機能をいう。これはCADナビゲーションで具現化されている。CADナビゲーションは、アライメントの後に、CADデータ上の観察したい座標値を実ウエーハの観察位置を管理する座標値に変換し、その位置へ撮像装置の視野を移動させて、その位置の画像を入手する方法で、よく知られているものである。
【0065】
画像生成装置7としては、図1に示す走査型電子顕微鏡が最も好ましいが、走査型フォーカスイオンビーム顕微鏡、走査型レーザー顕微鏡や走査型プローブ顕微鏡などの各種の走査型顕微鏡もしくは各種顕微鏡を使用することができる。
画像生成装置7は、検査単位領域ごとに、検査対象パターン画像(およびその中心位置)を検査部12に出力する(ステップS308)。
【0066】
(第1のエッジ検出)次に、検査部12は、検査対象パターン画像から第1のエッジ検出を行う(ステップS310)。エッジ検出としては、例えば次の2つの手法がある。
【0067】
(A)1つは、パターン内部と下地との間にコントラストがある場合に適した手法である。このような画像の多くは2値化処理でエッジを検出できるが、コントラストが比較的明瞭でない場合は明確にエッジを検出できない。このときにはたとえば、[文献1]:R.M.Haralick, “Digital step edges from ZERO crossing of second directional derivatives”, IEEE Trans. Pattern Anal. Machine Intell., vol. PAMI-6,No.1,pp.58-68,1984に開示の方法を応用するなどしてエッジを求めることができる。この方法によれば、エッジ部分の変曲点をピクセル単位の1/10程度の精度で得ることができる。
【0068】
(B)もう1つは、エッジのみが明るく、パターン内部と下地にコントラストがつかない場合に対処可能な手法で、たとえば[文献2]:“Cartan Steger. An unbiased detector of curvilinear structures”, IEEE Trans. Pattern Anal. Machine Intell., 20(2), February 1998に開示の方法によりエッジを求めるものである。この方法によれば、エッジ部分の峰をピクセル単位の1/10程度の精度で得ることができる。ただし、この手法ではエッジの方向は0〜180度の値のみをもつ。すなわちパターンの内部を特定できない。
【0069】
パターン内部と下地との間にコントラストがある画像に微分フィルタ(例えば、Sobelフィルタやバンドパスフィルタ)をかけて得られたエッジ振幅画像を使って、上記の方法でエッジを求めてもよい。この場合はパターン内部の判別をつけられ、エッジの方向を特定できる。
【0070】
これらの方法はある程度大きな窓を使った処理であるので、ピクセル単位の1/10程度の精度が得られるだけでなく、エッジの方向も安定している。このことは、エッジを連結して直線近似をする必要が必ずしもないことを意味している。
【0071】
ステップS310のエッジ検出では、検査対象パターン画像からピクセル単位でエッジの振幅および方向を求める。振幅は、明確なエッジであるほど大きい値を取る。(A)のパターン内部と下地との間にコントラストがある画像の場合には、例えば上述の文献1の方法を用いて、画像の1次微分値の絶対値を振幅とし、画像の2次微分値のゼロクロス点をエッジ位置とすることができる。一方、(B)のエッジのみが明るい画像の場合には、例えば上述の文献2の方法を用いて、画像の2次微分値の符号反転値(絶対値)を振幅とし、画像の1次微分値のゼロクロス点をエッジ位置とすることができる。いずれの場合もエッジはサブピクセル精度で得られる。(A)の画像の場合は、0度から360度までの方向を定義できるが、(B)の画像の場合は、0度から180度までの方向のみ定義可能である。これは(B)の画像では、パターンの内部を局所情報から特定できないことが原因である。
【0072】
図21は(A)のパターン内部と下地との間にコントラストがある画像(検査対象パターン画像)の例を示す図であり、図22は図21の画像から検出したエッジを示す図である。図21には、ピクセルごとにその輝度値が示されている。図22に示すように、エッジはピクセルごとに検出され、ピクセルごとに開始点(サブピクセル精度)、方向(0〜360度)、および振幅の情報が得られる。振幅は、上述のように、明確なエッジであるほど大きい値を取る。
【0073】
図23は(B)のエッジのみが明るい画像(検査対象パターン画像)の例を示す図であり、図24は図23の画像から検出したエッジを示す図である。図23においても、ピクセルごとにその輝度値が示されている。また、図24に示すように、エッジはピクセルごとに検出され、ピクセルごとに開始点(サブピクセル精度)、方向(0〜180度)、および振幅の情報が得られる。
【0074】
(マッチング)次に、検査部12は、検査対象パターン画像のエッジを膨張させて、膨張エッジを求める(ステップS312)。本実施形態においては、電気特性的に許される許容パターン変形量分膨張させている。この段階では許容パターン変形量は正の整数である。この値は、(R2)許容パターン変形量の−側の限界および+側の限界の絶対値の大きい方を整数化した値である。許容パターン変形量分膨張させることにより、電気的に許容される範囲内での形状差を許容してマッチングすることができる。
【0075】
図25は1次元の検査対象パターン画像のエッジ振幅の例を示す図であり、図26は図25のエッジを膨張させた例を示す図である。図25および図26では、説明を簡単にするために、1次元で各ピクセルの持つエッジ振幅がスカラ値を持つ場合の例を示している。許容パターン変形量内の変形を同等に扱う場合は、許容パターン変形量の2倍の大きさの窓を持った最大値フィルタをかける。最大値フィルタとは、対象となるピクセルの近傍である窓の中の各ピクセルが持つ値の最大値を求め、その値をフィルタ後のピクセルの値とするものである。図26では、図25のエッジを左右に2ピクセル分膨張させている。これは許容パターン変形量が2ピクセルの場合の例である。
【0076】
これに対して、基準パターンのエッジが図27のようであったとする。図26および図27からマッチングの評価値(度合い)を求めると、現在の位置であっても、検査対象パターン画像が左右に1ピクセルまたは2ピクセルずれていたとしても、マッチングの評価値は同じになる。
【0077】
これを回避するには、図28に示すように、重み付けをして膨張すればよい。これは許容パターン変形量が小さければ小さいほどよいことを意味している。図28の膨張を実現するには、0.5、0.75、1.0、0.75、0.5のスムージングフィルタを用いればよい。図28の場合、検査対象パターン画像が左右に1ピクセルでもずれると評価値が下がる。
【0078】
ここで、図29に示すように、基準パターンのエッジが2ピクセル分広かったとする。図28および図29から評価値を求めると、現在の位置であっても、検査対象パターン画像が左右に1ピクセルずれていたとしても、同じ評価値となる。
【0079】
これを回避するには、図30に示すように重み付けをして膨張すればよい。図30の膨張を実現するには、0.5、0.9、1.0、0.9、0.5のスムージングフィルタ(図31)を用いればよい。スムージングフィルタの係数は実験的に求められるべきものである。
【0080】
以上のことから、図30に示すような膨張が望ましいが、処理速度やエッジの込み具合などの観点から図26や図28に示すような膨張を用いることもできる。
【0081】
図32は2次元の検査対象パターン画像のエッジの振幅の例を示す図であり、図33および図34は図32のエッジを膨張させた例を示す図である。図32において、振幅値は、20のところ以外はすべて0である。図33は図26と同様の膨張を行った場合の結果を示し、図34は図30と同様の膨張を行った場合の結果を示す。
【0082】
図35は2次元の検査対象パターン画像のエッジベクトルの例を示す図であり、図36および図37は図35のエッジベクトルを膨張させた例を示す図である。図36は図26と同様の膨張を行った場合の結果を示し、図37は図30と同様の膨張を行った場合の結果を示す。膨張はx,y成分ごとに行っている。
【0083】
検査部12は、膨張エッジ(検査対象パターン画像のエッジを膨張させたエッジ)と基準パターンのエッジとを比較して、検査対象パターン画像と基準パターンとのピクセル単位でのマッチングを行う(ステップS314)。
【0084】
本実施形態においては、後で述べるように、サブピクセル精度でのマッチングを行うので、ここでは高速化を目的としてピクセル単位でのマッチングを行う。したがって、図38は図18をピクセル単位で表記したものである。
【0085】
本実施形態におけるマッチングでは、検査対象パターン画像に対して基準パターンをピクセル単位で上下左右にシフトして、評価値Fが最大になる位置をマッチング位置とする(図39)。本実施形態においては、以下のように、基準パターンのエッジが存在するピクセルにおける膨張エッジの振幅の総和を評価値Fとしている。
【0086】
【数1】

【0087】
ここで、E(x,y)は、膨張エッジの振幅をその大きさとして持ち、膨張エッジの方向をその方向として持つエッジベクトルである。エッジの存在しない場所ではE(x,y)の大きさは0である。R(x+xs,y+ys)は、基準パターンのエッジ方向をその方向として持つエッジベクトルである。ただし、R(x+xs,y+ys)の大きさは、エッジの存在する場所で1であり、エッジの存在しない場所で0である。ここで、(xs,ys)は基準パターンのエッジのシフト量Sである。
【0088】
の計算においてR(x,y)が0でないピクセルのみを記憶すれば、高速に計算が行え、記憶領域が少なくてすむ。ピクセル振幅値総和を評価関数として残差逐次検定法(SSDA:Sequential Similarity Detection Algorithm)で使われている高速計算の打切りを用いれば計算がさらに高速化される。
【0089】
図40および図41は、図36と図38とを重ね合わせた図である。図40において、ピクセル254は、図36のピクセル251および図38のピクセル252に対応する。図41においては、図40の状態から検査対象パターン画像を右に1ピクセル、下に1ピクセルシフトさせて重ね合わせを行っている。したがって、ピクセル255は、図36のピクセル251および図38のピクセル253に対応する。評価値Fを用いる場合には、エッジの存在するピクセルが重なり合う度合いが大きいほど、評価値が高くなる。評価値Fを用いる場合には、図32〜図34で示したような膨張処理を行えばよい。なお、評価値Fは、(A)、(B)いずれの画像にも適応可能である。
【0090】
本実施形態においては、上記評価値Fを用いているが、他の評価値を用いることもできる。例えば、(A)パターン内部と下地との間にコントラストがある画像の場合には、以下の評価値Fを用いることが考えられる。
【0091】
【数2】

【0092】
また、例えば、(B)エッジのみが明るい画像の場合には、以下の評価値Fを用いることが考えられる。
【0093】
【数3】

【0094】
評価値FまたはFを用いる場合には、図35〜図37で示したような膨張処理を行えばよい。ただし、図36に示すような膨張を行う場合は、正の値の最大値および負の値の最大値の双方について膨張を行い、内積の計算でより大きな値をとるものを選択する。
【0095】
評価値Fと評価値FおよびFとを比較した場合、評価値Fはデータがスカラのため高速処理に向く。一方、評価値FおよびFは、例えば、図42に示すような場合に有効である。すなわち、評価値FおよびFを用いた場合には、基準パターン(図42(a))の縦線部分のエッジベクトルと検査対象パターン画像(図42(b))の横線部分のエッジベクトルとの内積をとると0に近くなるため、101の部分と102の部分とがうまくマッチングする。しかし、評価値Fを用いた場合には、方向は関係なく振幅のみで判断するため、101の部分と103の部分とがマッチングしてしまうおそれがある。
【0096】
次に、評価値FとFとを比較した場合、例えば、図43に示すように、配線111、113の間隔と下地112、114の間隔が同じ場合にFを用いると、どちらがラインかの区別がつくのでFより望ましい結果が得られる。
【0097】
本実施形態においては、検査対象パターン画像のエッジを膨張してマッチングを行っているが、代わりに基準パターンのエッジを膨張してマッチングを行うこともできる。
また、基準パターンのエッジの位置によって重み付けを変えて行うようにすることができる。これは以下の手順で行われる。
【0098】
図44において、(a)は基準パターンの例を示し、(b)は(a)の基準パターン(実線)および検査対象パターン画像(点線)の例を示す。図44(a)に示す基準パターンは周期的なパターンであるが、1ヶ所隙間がある。このような基準パターンと検査対象パターン画像とのマッチングを行う際に、図44(b)に示すように、両パターンがずれていても、隙間の部分以外は一致するので、マッチングの評価値は高くなってしまう。そこで、この隙間の部分の重み付けを大きくして、検査対象パターン画像の隙間と基準パターンの隙間とが一致しない場合にはマッチング評価値が大きく低下するようにすることが考えられる。
【0099】
重み付けの手順としては、まず自己相関法でパターンの周期を求める。次に、もとのパターンと一周期ずらしたパターンを比較してもとのパターンにあって1周期ずらしたパターンにないものを求める。そして、求めたパターンをユニークパターンとして認識し、それ以外のパターンよりマッチングに寄与する度合い(重み付け)を強くする。寄与する度合いを表現するために基準パターンの振幅に経験値(1以上)を使う。この値は固定値もしくは、固定値÷全パターン中のユニークパターンの比率などが有効である。
【0100】
マッチングを行い、最大の評価値をとるシフト量S=(xs,ys)が求まったら、Sの分だけ基準パターンをシフトさせる。以後の処理は、このシフトを行った状態で行う。
シフト量Sは検査結果として、表示装置5および印刷装置6に出力することができる。
【0101】
マッチングが終わった後、検査対象パターン画像の2値化を行う。2値化は、エッジ振幅について、レシピ内のエッジ検出パラメータの一つ(しきい値)で有無の判断を付けることにより行う。2値化の方法としては、基準パターンのエッジに相当するピクセル数×p(通常0.9〜1.1程度)が1になるように、検査対象パターン画像のエッジ画像を2値化する方法(pタイル法)もある。(R3)のパラメータとして、上述のしきい値またはpを設定すればよい。
【0102】
(第1の検査)次に、検査部12は、第1の検査を行う。具体的には、パターン変形量の計算、および欠陥検出を行う。
検査部12は、まず、検査対象パターン画像のエッジと基準パターンのエッジとの対応づけを行う(ステップS318)。
エッジの位置は、サブピクセル精度で扱われる。したがって、エッジ間の距離もサブピクセル精度で得られる。方向については、たとえば右方向を0度として0〜360度の値として決定される。
【0103】
基準パターンの各エッジピクセルについて、(R2)に相当する許容パターン変形量の距離内にある検査対象パターン画像のエッジピクセルを探す。そして、検出されたエッジの中で基準パターンのエッジとの方向差が(R2)のエッジの許容方向差以下のものを、許容変形内のエッジとして対応づける。すなわち、本実施形態においては、マッチングを行った検査対象パターン画像のエッジと基準パターンのエッジとの距離、および両エッジの方向を考慮して対応づけを行っている。対応づけた両エッジ間のベクトルd(x,y)は、パターン変形量を求めるのに用いることができる。
なお、対応づけの候補が複数存在する場合は、距離が小さく、方向差が小さい候補を優先して対応づける。
【0104】
図45は、検査対象パターン画像のエッジと基準パターンのエッジとの対応づけの例を示す図である。図45においては、方向を示すために、エッジを矢印で示している。図45の例では、基準パターンのエッジを含む各ピクセルにおいて、基準パターンのエッジの中心から、エッジ方向と垂直な方向に検査対象パターン画像のエッジを探していくことにより、対応づけを行っている。距離が許容パターン変形量内であり、かつ、方向の差がエッジの許容方向差以下である検査対象パターン画像のエッジが見つかれば、両エッジを対応づける。図45においては、対応づけた両エッジ間のベクトルd(x,y)が参考のため示されている。
【0105】
図46において、(a)は基準パターンのエッジの例を示し、(b)は(a)の基準パターンに対応する検査対象パターン画像のエッジの例を示す。図46を用いて、両エッジの対応づけの例を説明する。この例では、許容パターン変形量は1ピクセル分とする。また、エッジの許容方向差は60度とする。例えば、基準パターンのエッジ81に対応する検査対象パターン画像のエッジを探したところ、エッジ68がエッジ81の許容パターン変形量の距離内にあり、かつ、方向の差がエッジの許容方向差以下であることから、エッジ81に対応するエッジと認定される。基準パターンのエッジ84についても、対応する検査対象パターン画像のエッジとしてエッジ70が認定される。このとき、基準パターンのエッジ82について、エッジ61は許容パターン変形量の距離内にない。エッジ64は、許容パターン変形量の距離内になく、方向差もエッジの許容方向差より大きい。エッジ66および69は、許容パターン変形量の距離内にはあるが、方向差がエッジの許容方向差より大きい。したがって、エッジ82に対応するエッジは見つからない。エッジ83についても同様に見つからない。
【0106】
なお、図46の例はパターンの内側か外側かを区別しない方法で、方向が0〜180度の値のみをもつ場合であるが、パターン内外を区別する手法とすることも可能である。たとえば、エッジ方向はパターン内側を必ず右手におくように決定しておけば、図46(a)は図47のようになり、対応づけをより厳密に実行することができる。
【0107】
次に、検査部12は、欠陥検出を行う(ステップS320)。欠陥が検出された場合には、欠陥情報(ここでは、欠陥位置、サイズ情報および画像)を欠陥種認識部14に出力する(ステップS322、324)。
【0108】
欠陥種認識部14は、欠陥情報および欠陥種参照データベース23の情報に基づいて欠陥種を判定する(ステップS326)。すなわち、与えられた画像から特徴量を求めて、欠陥種参照画像データベースに蓄積された画像の特徴量と照合し、欠陥種を判定する。欠陥種認識部14は、欠陥情報および欠陥種を出力部13を介して表示装置5および印刷装置6に出力する(ステップS328)。ここで、欠陥種参照データベース23は、既に取得された画像を欠陥種ごとに登録したものである。
【0109】
欠陥領域を認識する手法としては、対応づけできなかった検査対象パターン画像のエッジから領域を認識し、これを欠陥領域として認識する手法(認識手法A)が考えられる。これは、明確なエッジをもった欠陥検出に有効である。ただし、エッジの不明瞭な欠陥検出に対しては弱いので、このような場合には、対応づけられた検査対象パターン画像のエッジから領域を認識し、その領域におけるピクセル輝度値の分布が非一様である部分を欠陥領域として認識する手法(認識手法B)が適している。すなわち、輝度値分布の異常から欠陥を認識するものである。
【0110】
認識手法Aでは、対応づけができなかった検査対象パターン画像のエッジ(例えば、図46(b)のエッジ61〜67、69および75)のピクセルは、欠陥として認識される。検査部12は、これらのピクセルを膨張させ、ピクセルどうしを連結する。このようなビットマップ(2値化画像)を膨張させる処理としてモフォロジーと呼ばれる処理が知られている。次に、ラベリング処理で連結されたピクセルを固まり1領域としてそれぞれ認識する。ここで、ラベリング処理とは、4近傍もしくは8近傍で連結しているピクセルに同一の値を書き込み、連結ピクセル群を生成する方法である。連結していないピクセルには別の値を与えることで、連結ピクセル群を区別できる。この固まりの領域として分離できた単位で異物とし、その外形を認識する。外形から内側のピクセルをペイント処理で塗りつぶす。これらのピクセルを欠陥として、欠陥の重心、大きさを計算する。
ここで使用するエッジは(スキャン1方式)から(スキャン3方式)に応じて得られたエッジを使用する。
【0111】
認識手法Bでは、対応づけが行われた検査対象パターン画像のエッジを連結して領域とする。その内外領域でそれぞれ、境界(エッジ)を除いた部分をピクセルの固まりとして求める。そのピクセルの固まりの内外領域について、最初に得られた検査対象パターン画像からピクセル輝度値を求める。これらの値は欠陥が無ければ正規分布をなすことが期待できる。すなわち、品質管理的手法を応用して欠陥ピクセルを検出することが可能である。正常な場合は、内領域と外領域のそれぞれにおいて輝度の変動が少ないはずである。よって、検査対象パターン画像における上記領域のうち、輝度の分布が非一様である領域を検出し、該領域を欠陥領域として認識することができる。得られた欠陥ピクセルを固まりとして認識し、重心、大きさを計算する。
(スキャン1方式)1方向のスキャンと(スキャン2方式)交互のスキャンでは、1枚の画像に対して当該の処理を施して、欠陥領域として認識する。(スキャン3方式)2方向のスキャンでは、2枚の画像に対して当該の処理を施し、得られた欠陥領域を重ね合わせた領域を欠陥領域として認識する。重ね合わせは通常OR処理を行うが、より欠陥検出を厳密にするためにAND処理を使用することもできる。
【0112】
図48は、検査対象パターン画像の例を示す図である。破線201は検査対象パターン画像のエッジを示す。破線201の両サイドの実線202、203は、エッジを指定幅太らせた線分であり、実線202、203で囲まれた部分をエッジ領域と認識する。下地204とパターン内部205の輝度値は、おおよそ正規分布をなす。
【0113】
図49に示すように、輝度値が±3σ程度を越した部分Dは異物である可能性が高い。Dにはノイズも含まれるが、ノイズは領域内に比較的均一に存在する一方、異物は固まって存在する。Dの輝度値を持つピクセルを1、それ以外の輝度値を持つピクセルを0とした2値化マップを作成する。指定された大きさ(例えば2×2ピクセル)以下の1を持ったピクセルの固まり(例えば、図48のピクセルの固まり207)を消去する。ミディアンフィルタやモフォロジーフィルタが利用できる。この大きさは検出したい異物の大きさを考慮した経験値である。残った1を持ったピクセルの固まり(例えば、図48のピクセルの固まり206)を異物とみなす。
【0114】
欠陥種認識部14は、以下のように欠陥種自動分類を行うことができる。すなわち、欠陥と認識されたピクセルの固まりの幾何学的特徴量を得る。これにより、丸い、細長いなど欠陥の形状的特徴を把握することができ、丸ければ異物、細長ければスクラッチなどと判断をつけることができる。欠陥と認識されたピクセルをパタ−ンの内側、外側、境界の3部分に区分する。これらの各部分ごとに、最初に得られた検査対象パターン画像のピクセル輝度値を使った特徴量を得る。ここで得られる特徴量により、たとえば幾何学的特徴量から異物と判断される場合に、その異物が金属片であるか有機物(たとえば人間のあか)であるかなどの判断をつけることができる。すなわち、異物が金属であれば反射が強いため明るく、有機物であれば暗いということで種類を判別することができる。また、パターンの内部にあって異物と認識されたピクセルの輝度の変動が大きい場合は、当該異物がパターンの上に存在している可能性が高いと判断され、逆に、輝度の変動が小さい場合は、当該異物がパターンの下に存在している可能性が高いと判断される。これは、従来のダイ・ツー・ダイ法では困難な処理である。これらの特徴量を使い、良く知られた分類法で欠陥種を判定する。その分類法としては、欠陥種参照画像データベースとの比較をk最短距離法で行って判別する手法が有効である。
【0115】
このような欠陥種自動分類は、従来行われている光学方式、SEM方式のADC(Automatic Defect Classification)に準じた方法であるが、設計データを使う本発明の方法によれば、パターンの内部と外部の区別が明確につくので、各部分の特徴量が正確にとらえられ、分類精度が向上する。
【0116】
次に、検査部12は、対応づけを行った検査対象パターン画像のエッジと基準パターンのエッジとの関係からパターン変形量を求める(ステップS330)。パターン変形量は、欠陥検出の結果、欠陥が検出されなかった部分について求める。そして、パターン変形量を出力部13を介して表示装置5および印刷装置6に出力する(ステップS332)。
【0117】
パターン変形量としては、画像全体から得られるパターン変形量と、パターンの属性ごとに得られるパターン変形量とが考えられる。
画像全体から得られるパターン変形量としては、例えば、位置ずれ量、倍率変動量、および線幅の太り量が考えられる。
【0118】
位置ずれ量は、対応づけられたエッジ間のベクトルd(x,y)の平均値として求められる。これはS=(xs,ys)のサブピクセル精度でのシフト量(補正量)Sとなる。このシフト量Sに基づいてピクセル単位でのマッチングでシフトさせた基準パターンを補正量分シフトさせることにより、サブピクセル精度でのマッチングを行うことができる。
【0119】
x方向の倍率変動量を求めるには、縦方向の基準パターンに関するベクトルd(x,y)のx成分を回帰直線D(x)で近似して回帰直線を求める。そして、回帰直線の勾配をx方向の倍率変動量とする。y方向の倍率変動量についても同様である。
【0120】
図50において、(a)は基準パターンのエッジ(破線)、および検査対象パターン画像のエッジ(実線)の例を示し、(b)は(a)に示すエッジ間のy=yにおけるベクトルd(x,y)のx成分を回帰直線D(x)で近似した例を示す。ベクトルd(x,y)のx成分を回帰直線D(x)=ax+bで近似すると、傾きaが倍率変動量に相当する。図50(a)の例では、検査対象パターン画像のパターンが基準パターンよりも全体に大きいことがわかる。
【0121】
図51において、(a)は基準パターンのエッジ(破線)、および検査対象パターン画像のエッジ(実線)の別の例を示し、(b)は(a)に示すエッジ間のy=yにおけるベクトルd(x,y)のx成分を回帰直線D(x)で近似した例を示す。図51(a)の例では、検査対象パターン画像のパターンが基準パターンよりも全体に大きいことに加えて、線(ライン)の幅が太っている。図51(a)において、基準パターンのライン(配線)121、122、123は、それぞれ検査対象パターン画像のパターンのライン124、125、126に対応する。
【0122】
x方向の線幅の太り量は、例えば、sign(x,y)・{d(x,y)のx成分−D(x)}の平均値として求めることができる。ここで、sign(x,y)は、(x,y)の位置がラインの左端であれば−1をとり、ラインの右端であれば1をとる。なお、線幅の太り量に関して、sign(x,y)・{d(x,y)のx成分−D(x)}の分散を求めれば、線幅のばらつき指標が得られる。
【0123】
次に、パターンの属性ごとに得られるパターン変形量について説明する。パターンの属性としては、コーナー171、長い配線172、先端173、孤立パターン174などが考えられる(図52)。パターンの属性に関するパターン変形量としては、例えば、上述の位置ずれ量、倍率変動量、および線幅の太り量のほか、面積、周囲長、円形度、モーメント、曲率半径などの特徴量の変形量が考えられる。
【0124】
基準パターンにパターンの属性を自動的に付加することができる。ただし、属性の付加は手動によって行うこともできる。パターンの属性を付加(抽出)するためのルールは、(R4)としてレシピ作成時に設定する。
【0125】
図53は、先端の位置ずれ量を示す図である。先端の位置ずれ量は、図53(a)に示すように、基準パターンのエッジ164から、検査対象パターン画像のエッジ163までの距離(基準パターンのエッジに対し垂直方向)である。先端の位置ずれ量として、例えば、検査対象パターン画像のエッジ163において基準パターンのエッジ164に最も近い点と、基準パターンのエッジ164との距離を測定することができる。
【0126】
また、図53(b)に示すように、任意の幅をもった区間157について複数測定した距離の平均値、最大値、最小値、中央値、標準偏差などを、先端の位置ずれ量としてもよい。
【0127】
図53では、先端の位置ずれ量について説明したが、長い配線、コーナー、属性と属性の結合部分などについても、同様に位置ずれ量を測定できる。また、例えばコーナーは、コーナーの成す角度の半分の角度もしくは指定した角度を持つ方向での位置ずれ量を測定することができる。
【0128】
図54は、孤立パターンの重心の位置ずれ量を示す図である。重心の位置ずれ量は、(孤立パターンを構成する)基準パターンのエッジ160の重心162と、(孤立パターンを構成する)検査対象パターン画像のエッジ159の重心161との位置ずれ量である。
【0129】
また、図54において、孤立パターンの特徴量(面積、周囲長、円形度、モーメントなど)の変形量を測定することが考えられる。すなわち、基準パターンのエッジ160の特徴量と、検査対象パターン画像のエッジ159の特徴量との差異を測定することが考えられる。
【0130】
図55において、(a)は基準パターンのエッジのコーナーの例を示し、(b)は検査対象パターン画像のエッジのコーナーの例を示す。図55(a)に示す基準パターンのエッジ166のコーナーには丸みをつける処理がなされている。コーナーの曲率半径としては、例えば、コーナーの曲線を楕円もしくは円で最小自乗近似して得られた長径、短径もしくは半径を用いることができる。基準パターンのエッジ166のコーナーの曲率半径、および検査対象パターン画像のエッジ165のコーナーの曲率半径を求めることにより、コーナーの曲率半径の変形量を求めることができる。
【0131】
以上の検査は、一カ所ずつそれぞれ行うのではなく、1撮像範囲内(視野内)の複数の箇所に対し同時(一度の撮像で)に適応することも可能である。
検査項目は、上述のレシピ項目の(R1)求めたいパターン変形量に従い選択される。
【0132】
パターンの属性の抽出ルール(上述の(R4))は各種あるが、その例を図52に従い説明する。コーナーは、所定角度(90度や270度など)で接触する2線分の接点近傍として抽出される。長い配線は、線幅分の間隔離れていて、指定された長さ以上長さを持った並行した2線分として抽出される。先端は、線幅の長さをもつ線分で、その両端に所定長以上の他の線分が90度の角度をもって接している部分として抽出される。孤立パターンは、所定面積以下の閉図形として抽出される。
【0133】
(第2のエッジ検出)検査部12は、欠陥検出の結果、欠陥が検出されなかった部分について、検査対象パターン画像から再度エッジを検出する(ステップS334)。
【0134】
検査対象パターン画像のエッジ検出は、検査対象パターン画像上に、第2の基準パターンに基づいてプロファイルを求めることにより行う。ここで、第2の基準パターンとしては、図60の点Qの位置をエッジと考えた場合の基準パターンを用いる。これに対し、第1の基準パターンとしては、例えば、上述の(B)エッジのみが明るい画像の場合、点Pの位置をエッジと考えた場合の基準パターンが用いられる。したがって、第2の基準パターンと第1の基準パターンは一般に異なる。
【0135】
検査対象パターン画像のエッジ検出を行う前に、上述のシフト量S+Sの分だけ第2の基準パターンをシフトさせる。以後の処理は、このシフトを行った状態で行う。
【0136】
プロファイルからエッジ位置を求めるには、しきい値法、直線近似法など各種開示されているが、本実施形態では、その中のしきい値法を用いて、CD−SEMで行っている線幅測長を2次元パターン(検査対象パターン画像)に応用している。ただし、しきい値法を、直線近似法など別の方法に置き換えても同様に処理が可能である。ここで、直線近似法とは、プロファイルを直線で近似し、交点を使ってエッジ位置を特定する方法である。
【0137】
エッジ検出には、2通りのやり方が考えられる。その1つは、プロファイルを取る方向および位置を、第2の基準パターンに対して予め設定する方法である。
本実施形態において、プロファイル取得区間を予め設定しておく場合には、上述のように、レシピ作成時に行う。この場合、上述のレシピ項目の(R6)プロファイル取得区間を可変にして測定時に決定するかどうかのフラグがオフとしてあり、プロファイル取得区間が、第2の基準パターンに対して予め設定されていることになる。
【0138】
プロファイルを取得する区間(プロファイル取得区間)は、(R5)のプロファイル取得区間の長さ、およびプロファイル取得区間とプロファイル取得区間との間隔に基づいて、例えば、図56に示すように、第2の基準パターンを中点として、第2の基準パターンの垂直方向に設定される(図中二重線)。図56に示す第2の基準パターンは、すでに図14を用いて説明したように、コーナー部分に丸みをつける補正がなされている。また、上述の第2の基準パタ−ンの代わりに、図57に示すように、リソシミュレータで得られた露光パターンの外形を形成する曲線(図中実線)を使用することも可能である。
【0139】
第2のエッジ検出処理としては、検査対象パターン画像における上述のプロファイル区間に対応する位置(区間)において、(R5)のプロファイル取得区間内で輝度値を調べる間隔に基づいて、プロファイルを作成する。その間隔は通常ピクセル間隔以下の任意の値とし、プロファイル区間の長さはパターンの変形許容量より長い任意の長さとする。プロファイルは、双一次補間、スプライン補間、フーリエ級数などの手法を用いて作成する。
【0140】
図58は図56の一部(Bの部分)を拡大した図であり、図59は図58の一部(Cの部分)を拡大した図である。図中の二重線がプロファイル取得区間であり、格子の交点はピクセルの位置、黒点は検査対象パターン画像の輝度値を調べる位置を示す。
【0141】
双一次補間法とは、図示のように(0,0)(0,1)(1,0)(1,1)で示されたピクセルの輝度値I(0,0)、I(0,1)、I(1,0)、I(1,1)を使って、位置(x、y)、(0<x≦1、0<y≦1)にある点の輝度値I(x、y)を次の計算式で計算するものである。
【0142】
I(x、y)=〔I(0,0)(1−x)+I(1,0)x〕(1−y)+〔I(0,1)(1−x)+I(1,1)x〕y
【0143】
これにより得られたプロファイルから、しきい値法を適応して第2のエッジ位置を決定する。図60に示すように、得られたプロファイルの中の最大輝度値Vとその位置Pを求める。その最大輝度値Vに予め指定された係数kをかけた数値をしきい値Tとし、輝度値=しきい値Tの直線とプロファイル曲線との交点を求める。これらの交点で、点Pからパターンの外側方向にあり、最も点Pに近い交点Qを求める。すべてのプロファイルについて、この交点Qを求め、第2のエッジ位置とする。
【0144】
係数kは第2のエッジ位置を決定する役割を果たす。すなわち、ウエーハに形成された実際の配線の断面形状は台形状をなすので、そのエッジ位置の管理を台形の上辺で行うのか、下辺で行うのか、あるいは中間部で行うのか、係数kにより調整することができる。
【0145】
上述のエッジを求めたら、それらに基づいて曲線近似(多角形近似を含む)を行い、第2のエッジを求める。最も単純な方法は単に折れ線としてつなぐ方法であるが、最小自乗法を用いて滑らかにつなぐ方法として、例えば以下の方法を用いることができる。すなわち、図61(a)に示すような、T. Pavlidis and S. L.Horowitz : “Segmentation of plane curves”, IEEE Trans. on Computers,vol. C-23, no.8 Aug., 1974で開示された分割融合法を用いることができる。これ以外にも、図61(b)に示すような最小自乗法と2次元スプライン関数を使った平面データの平滑化による曲線近似を用いることもできる。前者は、高速に処理できるが丸まった形状を多く含むものには柔軟性がない。一方、後者は、高速性を満たし且つ柔軟性をもつ特性がある。これら以外にも、フーリエ記述子による方法など各種の方法が開示されており、これらでも置き換え可能である。
以上のような曲線近似は、第1のエッジ検出を行った後にも行うようにすることができる。
【0146】
次に、これとは異なるもう1つのやり方として、プロファイル取得区間を可変にしてエッジ検出時に決定する方法がある。すなわち、図62(a)に示すように、検出された検査対象パターン画像の第1のエッジの垂直方向にプロファイル取得区間を設定する方法である。この方法によれば、図62(b)に示すように、検査対象パターン画像の第1のエッジ(実線)が第2の基準パターン(点線)からずれていたとしても、プロファイル取得区間を特定し、エッジを検出することができる。この方法は、上述の方法に比べ、パターンの変形に追従しやすい。プロファイル取得区間の設定後は、上述の方法と同様の処理を行う。
【0147】
第2のエッジ検出の結果は、表示装置5および印刷装置6に出力することができる。
検出された第2のエッジは、例えば図19を用いて説明した方法を用いて、ピクセルごとのエッジベクトルにすることができる。このエッジベクトルは第1の検査の前で得た2値化処理で得たエッジベクトルに相当する。
【0148】
(第2の検査)以上のような第2のエッジ検出の後、検査部12は、第2の検査を行う(ステップS336)。
この検査は、上述の第1の検査と同じ処理であり、欠陥検出を行い、パターン変形量を求める。ここで求められる画像全体に関する位置ずれ量(シフト量)Sは、上述のSに対応する。ここで求めたSに、上述のSおよびSを加えたものが、第2の基準パターンと検査対象パターン画像のパターンとの間の全シフト量となる。
【0149】
検査結果は、出力部13を介して表示装置5および印刷装置6に出力される(ステップS338)。
以上の処理をすべての検査単位領域について行った場合には検査処理を終了し、そうでない場合にはステップS308に戻る(ステップS340)。
【0150】
(その他の検査)低倍画像の一部分を電磁的に高倍画像で観察できる機能をもったSEMの場合は、高倍画像では入りきらないパターンも測定可能である。すなわち、高倍画像で得たエッジ位置が低倍画像で得たエッジ位置に正確に変換できることを意味する。これと同じ関係を高精度ステージで実現してもよい。例えば、図63において、検査対象パターン画像のパターン181上の位置182、183を、それぞれ高倍画像184、185で求めた後、低倍画像187上の位置に変換して、検査対象パターン画像のパターン181の幅186を求めれば、低倍画像187のみで求めたときよりも、精度よく測長できる。
【0151】
(傾斜、倍率調整)以上の検査方法においては、パターン変形量の手法を利用して必要に応じ、検査前に、もしくは、検査中の適当な時点で、検査対象パターン画像の傾斜、倍率調整を行うことができる。すなわち、調整に適した部分の検査対象パターン画像と基準パターンを取得する。アフィン変換で、候補となり得る傾斜、倍率の変更を行ったいくつかの検査対象パターン画像を得る。得られた検査対象パターン画像と基準パターンとを比較して最もパターン変形量が小さい検査対象パターン画像を選ぶ。選んだ検査対象パターン画像に対する傾斜、倍率を補正量として登録する。検査対象パターン画像にアフィン変換をかけるのではなく、基準パターンにアフィン変換をかける方法にかえてもよい。
なお、アフィン変換とはaからfの係数を使った1次変換を意味する。
【0152】
X=ax+by+c
Y=dx+ey+f
【0153】
図64は、電子線のスキャン方向を45度および−45度の場合を示す模式図である。
スキャン方向が0度、90度の場合、ほぼ確実に2回のスキャンを行う必要があったが、本方式においては、図64(a)において縦線と横線のみのパターンP1については図64(b)に示す45度、もしくは図64(c)に示す−45度のスキャンを1回行うことによって縦線および横線の計測精度を確保することができる。しかしながら、図64(a)において45度の線P2があった場合、45度、−45度の2回のスキャンを行う必要があるが、この頻度は縦線・横線のみのパターンP1に比べて、1回のスキャンで済む場合が比較的多いことが想像される。
ここで、スキャン方向45度または−45度といった意味について説明する。図64(b)において、右下がりのパターンについては45度方向のスキャンで精度が得られるが、右上がりのパターンについては走査線の方向と検出すべきパターンの方向が一致するので精度が得られない。そのような場合については、図64(c)に示す−45度にスキャンして得た画像を用いて、前述のスキャン方向0度、90度で述べたように2回のスキャン結果を見て、欠陥検出をする必要がある。しかしながら、この頻度はスキャン方向0度、90度に比べて少ないことが期待される。
【0154】
図65は、電子線のスキャン方向を18度とした場合を示す模式図である。図65(a)に示すパターンP1,P2は図64(a)に示すものと同一である。LSI等のパターンの多くは縦方向の線、横方向の線、もしくは45度右下がり、45度右上がりの方向がほぼ99%占められている。この全ての方向についてパターンの計測したいエッジ方向と走査線をある角度で交叉させるために最適な走査線方向として、図65(b)に示すように18度のスキャン方向が考えられる。スキャン方向を18度とすることで、縦線・横線・斜め45度の線全てに対して、比較的計測精度を得られることが期待される。
なお、角度18度は、検査すべきパターンのすべてに対してより垂直になる方向なら他の角度でもかまわない。例えば、22.5度や、18度に45度を加えた63度、18度に90度を加えた108度などが使用できる。
【0155】
通常のCD−SEM等の走査型電子顕微鏡においては、横方向に走査線をとり、正方形の画像を撮るのが一般的である。しかしながら、走査型電子顕微鏡の制御上、歪みなくスキャンできる領域は真円の領域である。従って、図66(a)に示すように丸い円400の内の四角のブロック401を使って走査することになる。この場合は、縦横左右方向にスキャンを使える領域ではあるが、スキャンをしない領域が発生しており、より広大な領域を一度にとるためには、少々無駄が発生している。このような場合、重ねながら広い領域をとると、図66(b)に示すように9個の四角形ブロックB1〜B9を重ね合わせたようなスキャンエリアが発生する。一方、図66(c)の下側に示すように、1回のスキャンによって取得する領域を四角形ブロックから六角形ブロック402にすることにより、より円に近い状態にすることができ、スキャンに使用される部分をより広くとることができる。スキャンの方法としては、図66(c)の左側に示すように六角形をきちんとスキャンする方法と、図66(c)の右側に示すように、長方形でスキャンを行い、右上・右下・左上・左下のそれぞれの三角形の部分を計測に使わないようにする方法の、二通りが考えられる。このような方式にすると、図66(d)に示すように、より広いエリアを少ない回数のスキャン(ブロックB1〜B7)で取得することが可能となる。
【0156】
図67は、基準パターンに基づいて電子線のスキャンの方法を決定するための方法を示す模式図である。
スキャン方向0度、90度の説明と同様、基準パターンに従って1回スキャンをするか2回スキャンをするか等の条件を自動的に決定する必要がある。
電子線のスキャンの方法を自動的に決定するための方法としては、次の3つの方法が考えられる。
1つ目は、ブロック(D)に示すように、走査エリアに検査すべきパターンがない場合、そのエリアのパターンをスキップする方法である。2つ目は、パターンの線幅に応じて、スキャンの条件を決定する方法である。例えば、ブロック(A)のパターンPaとブロック(B)のパターンPbを比較すると、パターンPbの線幅は、パターンPaの線幅に対して2倍になっている。通常、スキャンはパターンの線幅分の変動量をとるので、この例においては、ブロック(A)におけるスキャンに対して、ブロック(B)におけるスキャンでは、2分の一の倍率で画像を取得することができる。3つ目は、基準パターンの方向の分布に合わせて、スキャンの方向の条件を決定する方法である。例えば、ブロック(A)については、パターンPaは縦・横に分布しているので、45度のスキャンを1回行えばよいことが分かり、ブロック(C)については、パターンPcは横と45度の2方向に分布しているので、2回のスキャンを行う必要があることが分かる。
【0157】
図68および図69は、電子線のスキャン経路を説明する模式図である。
通常のスキャンにおいてX偏向については、階段状に走査する。Y偏向については、ラインごとに階段状に走査する。しかしながら、このような従来の方法においては、走査線の間の情報の取得が出来ないことにより、測定精度の低下が考えられる。図68に示すように、本発明においては、より走査線の間の情報の取得ができるようにするために、Y偏向にサイン波のような振幅を持った信号を付加することによって走査線間のデータをとる方法を示している(図68の左下側部分参照)。ここで、図示のように4点のデータをサンプリングする(図68の右下側部分参照)。この場合、サインの一周期の間でY偏向について広がったデータが取得できる。この4点のデータを加算して一つの画素の情報としてコンピュータに転送するようになっている。
図68の上側部分に示すように、スキャンのサンプリング周波数に対して、4倍の周波数を持つ発振器410をカウンタ411に接続する。カウンタ411は、X偏向発生回路412とY偏向発生回路413に接続されている。このような構成によって、スキャンのサンプリング周波数に対して4倍の周波数のクロックに対して、X偏向については階段状の右上がりの波形を生成する。Y偏向についてはサイン波のように図示のような形の波形を発生させる。サンプリングは4倍の周期で4点を取得し、その4点のデータを加算して実際の画素に対応するサンプリングデータとして生成する。
【0158】
図69においては、Y偏向における図示の波形と、X偏向における波形を同様に4倍のクロックカウンタを用いて生成することによりジグザグ状のスキャン経路を作ることを目的としている。
【0159】
図70は、垂直方向のスキャンに対してフィルタをかけた場合を説明する模式図である。Aは、横方向に近接する画素であり、検出器、アンプによるスムージング効果がある。一方、Bは、縦方向に近接しているが前述のスムージング効果がない。そこで縦方向にスムージングフィルタをかけて縦方向と横方向の画質の違いを低減する。図示では最も単純なフィルタ係数を示しているが、横方向の周波数特性に合うように適宜選択されるものである。
【0160】
図71は、エッジのみスキャンする場合を示す模式図であり、図72は、エッジのみスキャンする場合のステップを示すフローチャートである。図71に示す例においては、副偏向発生回路450を設けている。
エッジのみのスキャンを実現する方法として前述の第2のエッジを検出するために使用するプロファイルに相当する区間をパターンエッジ検査区間、その中点を計測中央点として登録する。制御コンピュータ451が1つの検査区間に対する情報を取り込み、計測中央点の位置をX主偏向発生回路452とY主偏向発生回路453に送る。これにより、実際のビームの中心位置が移動する。次に、検査区間について、方向と送り幅を設定し、開始信号を与えて、発振器410に接続されたカウンタ411でX方向とY方向のスキャン波形を形成する。これに、X主偏向とY主偏向の位置を加算することにより、図71において中央部に示すようなスキャン波形がとられる。このスキャン波形について、図71において上右側に示すような7点のサンプリングを施すことによって、計測データを得ることが出来る。
計測データの取得順序付けは、図73(a)に示すように与えられた間引き率で測定点をとばしながら、全計測点を埋めるようにする順序付けや、図73(b)に示すように乱数などにより計測点をランダムにとる順序付けがある。この方法により、サンプルのチャージアップによるプロファイルの変形が低減できるので、絶縁物の計測に向いている。サンプルのチャージアップが無視しうる場合は、図形を一周するように順序付けしても良い。
【0161】
上記本発明の検査方法により得られるパターンの変形量、欠陥領域の位置、サイズ、欠陥種、加えてパターン変形量の統計量や画像などの情報を利用すれば、欠陥領域の回路への影響度の解析、前後工程での回路への影響度の解析、露光条件などの最適化パラメータの解析を可能にすることができる。
【0162】
本実施形態に係るパターン検査装置は、シフト量を出力する部分に注目すれば、パターンマッチングを行う装置とも考えられる。
【0163】
以上、本発明の一例を説明したが、他にも各種の変形が可能である。たとえば、荷電粒子線(電子線)を検査対象パターンに走査して検査対象パターンの画像を得る画像生成装置として走査型電子顕微鏡を用いたが、走査型フォーカスイオンビーム顕微鏡、走査型レーザー顕微鏡や走査型プローブ顕微鏡などの各種の走査型顕微鏡に応用することができる。また、スキャン方向は0度、90度に限られず、例えば5度や95度など任意の微小角度を付加してもよい。また、取得済みの画像データを磁気光学ディスクや磁気テープなどの外部入力デバイスを介して、またはイーサーネットなどのLANを経由した、オフライン入力処理式に変形することは容易である。また、本発明の方法でウエーハ中の代表的なダイを検査したのち、他のダイはダイ・ツー・ダイ比較により検査するような混成手法とすることも可能である。またさらに、画像生成法は他の方法でもよいし、設計データはCADに限らず他のものでもよい。本実施形態においては、検査結果等を表示装置5および印刷装置6に出力しているが、画像データベース、シミュレータ、記録媒体などに出力するようにしてもよいし、ネットワークを介して他のコンピュータに送信(出力)するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0164】
1 主制御部
2 記憶装置
3 入出力制御部
4 入力装置
5 表示装置
6 印刷装置
7 画像生成装置
11 基準パターン生成部
12 検査部
13 出力部
14 欠陥種認識部
21 基幹データベース
22 レシピデータベース
23 欠陥種参照データベース
61〜70、75、81〜84 エッジ
101〜103 部分
111、113 配線
112、114、204 下地
121〜126 ライン
151 検査対象パターン画像
152 基準パターン
157 区間
159、163、165 検査対象パターン画像のエッジ
160、164、166 基準パターンのエッジ
161 検査対象パターン画像のエッジの重心
162 基準パターンのエッジの重心
171 コーナー
172 長い配線
173 先端
174 孤立パターン
181 検査対象パターン画像のパターン
182、183 位置
184、185 高倍画像
186 検査対象パターン画像のパターンの幅
187 低倍画像
201 破線
202、203 実線
205 パターン内部
206、207 ピクセルの固まり
251〜255 ピクセル
261 ピクセルの中心
262 ピクセルの中心に最も近い基準パターン上の点
263 接線
301〜304 検査単位領域
310 照射系装置
311 電子銃
312 集束レンズ
313 X偏向器
314 Y偏向器
315 対物レンズ
316 レンズ制御装置
317 画像取得装置
318 偏向制御装置
320 試料室
321 XYステージ
322 XYステージ制御装置
330 2次電子検出器
340 ウエーハ搬送装置
350 制御コンピュータ
360 操作コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、
前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、
前記検査対象パターンに荷電粒子線を走査して前記検査対象パターン画像を生成し、前記検査対象パターン画像の画素の位置を置き換えることで回転した画像を取得する生成手段と、
前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、
前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査手段とを備えることを特徴とするパターン検査装置。
【請求項2】
検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、
前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、
前記検査対象パターンに荷電粒子線を走査して前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、
前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、
前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査手段とを備え、
前記検査対象パターンの領域に前記荷電粒子線を走査して六角形の前記検査対象パターン画像を生成し、順次、前記領域に隣接した前記検査対象パターンの領域に前記荷電粒子線を走査して六角形の前記検査対象パターン画像を生成し、連続した前記検査対象パターン画像を生成することを特徴とする画像生成装置。
【請求項3】
検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、
前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、
前記検査対象パターンに、荷電粒子線の走査方向に対して垂直方向の振幅を持たせた走査をして前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、
前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、
前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査手段とを備えることを特徴とするパターン検査装置。
【請求項4】
検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、
前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、
前記検査対象パターンに荷電粒子線を走査して前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、
前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、
前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査手段とを備え、
前記検査対象パターン画像を生成する生成手段は、前記検査対象パターン画像のエッジを検出するのに使用する部分を前記荷電粒子線で走査し、前記検査対象パターン画像のエッジを検出するのに使用する部分以外の部分を走査せずに前記検査対象パターン画像を生成することを特徴とするパターン検査装置。
【請求項5】
請求項4に記載のパターン検査装置において、前記検査対象パターン画像を生成する生成手段は、前記検査対象パターン画像のエッジを検出するのに使用する部分以外を走査しないことにより、検査対象パターンが存在するサンプルのチャージアップによる前記検査対象パターン画像の変形を低減することを特徴とするパターン検査装置。
【請求項6】
検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査方法であって、
前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成し、
前記検査対象パターンに荷電粒子線を走査して前記検査対象パターン画像を生成し、前記検査対象パターン画像の画素の位置を置き換えることで回転した画像を取得し、
前記検査対象パターン画像のエッジを検出し、
前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査することを特徴とするパターン検査方法。
【請求項7】
検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査方法であって、
前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成し、
前記検査対象パターンに荷電粒子線を走査して前記検査対象パターン画像を生成し、
前記検査対象パターン画像のエッジを検出し、
前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査し、
前記検査対象パターン画像の生成で、前記検査対象パターン画像のエッジを検出するのに使用する部分を前記荷電粒子線で走査し、前記検査対象パターン画像のエッジを検出するのに使用する部分以外の部分を走査せずに前記検査対象パターン画像を生成することを特徴とするパターン検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【公開番号】特開2010−44091(P2010−44091A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261499(P2009−261499)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【分割の表示】特願2003−360974(P2003−360974)の分割
【原出願日】平成15年10月21日(2003.10.21)
【出願人】(301014904)株式会社ナノジオメトリ研究所 (15)
【Fターム(参考)】