説明

パターン検査装置及びパターン検査方法

【目的】インテグレータレンズによって形成される複数の集光点に起因した光学素子の劣化を回避可能な検査装置を提供することを目的とする。
【構成】パターン検査装置100は、レーザ光を発生する光源103と、レーザ光を入射し、入射されたレーザ光を分割して光源群を形成するインテグレータレンズ206と、インテグレータレンズの入射面の手前に配置され、インテグレータレンズに入射するレーザ光を散乱させる散乱板204と、インテグレータレンズを通過したレーザ光を照明光として用いて、複数の図形パターンが形成された被検査試料におけるパターンの欠陥を検査する検査部150と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン検査装置及びパターン検査方法に関する。例えば、照明光を照射してパターン像の光学画像を取得してパターンを検査する検査装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大規模集積回路(LSI)の高集積化及び大容量化に伴い、半導体素子に要求される回路線幅はますます狭くなってきている。これらの半導体素子は、回路パターンが形成された原画パターン(マスク或いはレチクルともいう。以下、マスクと総称する)を用いて、いわゆるステッパと呼ばれる縮小投影露光装置でウェハ上にパターンを露光転写して回路形成することにより製造される。よって、かかる微細な回路パターンをウェハに転写するためのマスクの製造には、微細な回路パターンを描画することができる電子ビームを用いたパターン描画装置を用いる。かかるパターン描画装置を用いてウェハに直接パターン回路を描画することもある。或いは、電子ビーム以外にもレーザビームを用いて描画するレーザビーム描画装置の開発が試みられている。
【0003】
そして、多大な製造コストのかかるLSIの製造にとって、歩留まりの向上は欠かせない。しかし、1ギガビット級のDRAM(ランダムアクセスメモリ)に代表されるように、LSIを構成するパターンは、サブミクロンからナノメータのオーダーになろうとしている。歩留まりを低下させる大きな要因の一つとして、半導体ウェハ上に超微細パターンをフォトリソグラフィ技術で露光、転写する際に使用されるマスクのパターン欠陥があげられる。近年、半導体ウェハ上に形成されるLSIパターン寸法の微細化に伴って、パターン欠陥として検出しなければならない寸法も極めて小さいものとなっている。そのため、LSI製造に使用される転写用マスクの欠陥を検査するパターン検査装置の高精度化が必要とされている。
【0004】
一方、マルチメディア化の進展に伴い、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)は、500mm×600mm、またはこれ以上への液晶基板サイズの大型化と、液晶基板上に形成されるTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)等のパターンの微細化が進んでいる。従って、極めて小さいパターン欠陥を広範囲に検査することが要求されるようになってきている。このため、このような大面積LCDのパターン及び大面積LCDを製作する時に用いられるフォトマスクの欠陥を短時間で、効率的に検査するパターン検査装置の開発も急務となってきている。
【0005】
検査手法としては、拡大光学系を用いてリソグラフィマスク等の試料上に形成されているパターンを所定の倍率で撮像した光学画像と、設計データ、あるいは試料上の同一パターンを撮像した光学画像と比較することにより検査を行う方法が知られている。例えば、パターン検査方法として、同一マスク上の異なる場所の同一パターンを撮像した光学画像データ同士を比較する「die to die(ダイ−ダイ)検査」や、パターン設計されたCADデータをマスクにパターンを描画する時に描画装置が入力するための装置入力フォーマットに変換した描画データ(設計パターンデータ)を検査装置に入力して、これをベースに設計画像データ(参照画像)を生成して、それとパターンを撮像した測定データとなる光学画像とを比較する「die to database(ダイ−データベース)検査」がある。かかる検査装置における検査方法では、試料はステージ上に載置され、ステージが動くことによって光束が試料上を走査し、検査が行われる。試料には、光源及び照明光学系によって光束が照射される。試料を透過あるいは反射した光は光学系を介して、センサ上に結像される。センサで撮像された画像は測定データとして比較回路へ送られる。比較回路では、画像同士の位置合わせの後、測定データと参照データとを適切なアルゴリズムに従って比較し、一致しない場合には、パターン欠陥有りと判定する。
【0006】
かかるパターン検査を行うために、レーザ光が用いられる。光源から発生したレーザ光については、インテグレータレンズを用いて分割して、その後、コンデンサレンズ等の光学系によって試料面上に重ね合わせて照明することが行われる。しかしながら、かかる構成では、インテグレータレンズによって形成される複数の集光点は照度が大きいため、集光点付近に配置される光学素子を劣化させてしまうといった問題があった。
【0007】
パターン検査装置ではないが、インテグレータレンズを用いてレーザ光を分割する照明光学系が搭載された試料の高さを検出する装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−053120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、インテグレータレンズによって形成される複数の集光点は照度が大きいため、集光点付近に配置される光学素子を劣化させてしまうといった問題があった。かかる問題を解決できる十分な手法が確立されていなかった。
【0010】
そこで、本発明は、かかる問題点を克服し、インテグレータレンズによって形成される複数の集光点に起因した光学素子の劣化(損傷)を回避可能な検査装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様のパターン検査装置は、
レーザ光を発生するレーザ光源と、
レーザ光を入射し、入射されたレーザ光を分割して光源群を形成するインテグレータレンズと、
インテグレータレンズの入射面の手前に配置され、インテグレータレンズに入射するレーザ光を散乱させる散乱板と、
インテグレータレンズを通過したレーザ光を照明光として用いて、複数の図形パターンが形成された被検査試料におけるパターンの欠陥を検査する検査部と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
かかる構成により、インテグレータレンズによって形成される複数の集光点の照度を低くできる。
【0013】
散乱板の表面は、曲面若しくは曲面と平面の組み合わせにより形成されると好適である。
【0014】
また、散乱板は、インテグレータレンズと接触させて配置されるように構成すると好適である。
【0015】
また、レーザ光は、散乱板表面の中心を含む領域を通過するように構成すると好適である。
【0016】
本発明の一態様のパターン検査方法は、
レーザ光源からレーザ光を発生する工程と、
レーザ光を分割して光源群を形成するインテグレータレンズの入射面の手前に配置された散乱板を通過させることによって、インテグレータレンズに入射するレーザ光を散乱させる工程と、
散乱させられたレーザ光をインテグレータレンズに入射させ、入射されたレーザ光を分割して光源群を形成する工程と、
インテグレータレンズを通過したレーザ光を照明光として用いて、複数の図形パターンが形成された被検査試料におけるパターンの欠陥を検査する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、インテグレータレンズによって形成される複数の集光点の各照度を低くできる。よって、集光点付近に光学素子を配置した場合でも光学素子の劣化を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態1におけるパターン検査装置の構成を示す概念図である。
【図2】実施の形態1における照明光学系の構成の一例を示す構成図である。
【図3】実施の形態1における散乱板の構成の一例を示す図である。
【図4】実施の形態1における集光点位置における光源群の形状の一例を示す図である。
【図5】実施の形態1における散乱板表面の構成の一例を示す図である。
【図6】実施の形態1における散乱板表面の構成の他の一例を示す図である。
【図7】実施の形態1における散乱板の配置位置の変形例を示す図である。
【図8】実施の形態1における散乱板通過後の光のサイズとインテグレータレンズに入射される光のサイズとの一例を示す概念図である。
【図9】実施の形態1における光学画像の取得手順を説明するための概念図である。
【図10】別の光学画像取得手法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるパターン検査装置の構成を示す概念図である。図1において、試料、例えばマスクの欠陥を検査する検査装置100は、光源103、照明光学系170、検査部150と制御系回路160を備えている。検査部150は、XYθテーブル102、拡大光学系104、フォトダイオードアレイ105(センサの一例)、センサ回路106、ストライプパターンメモリ123、レーザ測長システム122、及びオートローダ130を備えている。制御系回路160では、コンピュータとなる制御計算機110が、バス120を介して、位置回路107、比較回路108、参照回路112、オートローダ制御回路113、テーブル制御回路114、磁気ディスク装置109、磁気テープ装置115、フレシキブルディスク装置(FD)116、CRT117、パターンモニタ118、及びプリンタ119に接続されている。また、センサ回路106は、ストライプパターンメモリ123に接続され、ストライプパターンメモリ123は、比較回路108に接続されている。また、XYθテーブル102は、X軸モータ、Y軸モータ、θ軸モータにより駆動される。XYθテーブル102は、ステージの一例となる。ここで、図1では、実施の形態1を説明する上で必要な構成部分について記載している。検査装置100にとって、通常、必要なその他の構成が含まれても構わないことは言うまでもない。
【0020】
検査装置100では、光源103、XYθテーブル102、照明光学系170、拡大光学系104、フォトダイオードアレイ105、及びセンサ回路106により高倍率の検査光学系が構成されている。また、XYθテーブル102は、制御計算機110の制御の下にテーブル制御回路114により駆動される。X方向、Y方向、θ方向に駆動する3軸(X−Y−θ)モータの様な駆動系によって移動可能となっている。これらの、Xモータ、Yモータ、θモータは、例えばステップモータを用いることができる。そして、XYθテーブル102の移動位置はレーザ測長システム122により測定され、位置回路107に供給される。また、XYθテーブル102上のフォトマスク101はオートローダ制御回路113により駆動されるオートローダ130から自動的に搬送され、検査終了後に自動的に排出されるものとなっている。
【0021】
複数の図形パターンが形成された被検査試料となるフォトマスク101は、XYθ各軸のモータによって水平方向及び回転方向に移動可能に設けられたXYθテーブル102上に載置される。そして、フォトマスク101に形成されたパターンには、適切な光源103によって紫外域以下の波長の光(検査光)が照明光学系170を介して照射される。フォトマスク101を透過した光は拡大光学系104を介して、フォトダイオードアレイ105に光学像として結像し、入射する。フォトダイオードアレイ105として、例えば、TDI(タイム・ディレイ・インテグレーション)センサ等を用いると好適である。
【0022】
図2は、実施の形態1における照明光学系の構成の一例を示す構成図である。図2において、照明光学系170は、ビームエキスパンダ(エキスパンダレンズ)202、散乱板204、インテグレータレンズ(分割レンズ)206、レンズ群210、及び光学素子218を有している。レンズ群210は、複数のレンズ212,214,216を有している。ここでは、3つのレンズ212,214,216で構成された例を示しているが、これに限るものではなく、その他の光学素子を介して検査部150へと照明光を伝達しても構わない。散乱板204は、インテグレータレンズ206の入射面の手前に配置される。
【0023】
レーザ光源となる光源103は、レーザ光10を発生する。光源201から発せられたレーザ光10はビームエキスパンダ202で拡大される。そして、ビームエキスパンダ202を通過したレーザ光10は、散乱板204によって、インテグレータレンズ206に入射するレーザ光10を散乱させる。レーザ光10は、散乱板294表面の中心を含む領域を通過する。散乱板294表面の中心を含む領域を通過させることで散乱板294表面を有効に活用できる。
【0024】
インテグレータレンズ206では、散乱させられたレーザ光10を入射し、入射されたレーザ光10を分割して光源群を形成する。そして、インテグレータレンズ206で形成された光源群から広がった光は、レンズ群210を介して、検査部150内の試料となるフォトマスト101面上に重ね合される。インテグレータレンズ206によって形成された光源群は、レンズ群210に入射する前にA面で集光する。そして、レンズ群210の対物レンズ間のA面の共役面であるC面で集光する。Bは例えばフォトマスク101面との共役面となる。光学素子218は、C面付近に配置される。
【0025】
図3は、実施の形態1における散乱板の構成の一例を示す図である。図3において、散乱板204は、入射面或いは出射面が、凹凸に形成される。そのため、散乱板204は、通過するレーザ光10を出射の際、散乱させることができる。
【0026】
図4は、実施の形態1におけるA面およびC面における光源群の形状の一例を示す図である。散乱板204が配置されない状態で、インテグレータレンズ206にレーザ光10を入射させると、図4(a)に示すように、点光源群を形成する。そのため、かかる各点に光が集光しているため、各点光源の照度が大きくなりすぎてしまう。そのため、レンズ212,214等によって光源群を結像させると、かかる集光点位置付近に配置された光学素子218に照度が大きくなりすぎた光が照射されてしまう。そのため、光学素子218が劣化してしまう。これに対して、実施の形態1では、インテグレータレンズ206の手前に散乱板204を配置するため、インテグレータレンズ206に入射するレーザ光10を散乱させることができる。そのため、インテグレータレンズ206を通過することで形成される光源群は、図4(b)に示すように、点ではなく面にできる。言い換えれば、ぼけさせることができる。その結果、点から面に照度を分散させることができ、1点にかかる照度を低くできる。その結果、レンズ212とレンズ214によって光源群を結像させても、かかる集光点位置付近に配置された光学素子218に照射される光の照度を低減できる。よって、光学素子218の劣化(損傷)を抑制或いは低減できる。光学素子218としては、例えば、偏光素子、回折素子、或いは絞り等が好適である。例えば、微分干渉光学系ではウォラストンプリズムが用いられる。
【0027】
また、散乱板204がインテグレータレンズ206の入射面の手前に配置されることで、散乱板204によって生じた照度ムラはインテグレータレンズで分割されてマスク面で重ねあわされることにより平均化され、フォトマスク101面の光量ムラに直接影響しなくすることができる。
【0028】
図5は、実施の形態1における散乱板表面の構成の一例を示す図である。図5では、散乱板204の表面が曲面により形成される構成を示している。かかる構成により入射した光を散乱させることができる。但し、散乱板表面の構成はこれに限るものではない。
【0029】
図6は、実施の形態1における散乱板表面の構成の他の一例を示す図である。図6では、散乱板204の表面が曲面と平面の組み合わせにより形成される構成を示している。かかる構成でも入射した光を散乱させることができる。
【0030】
図7は、実施の形態1における散乱板の配置位置の変形例を示す図である。図2においては、散乱板204は、インテグレータレンズ206の入射面付近に配置され、インテグレータレンズ206とは接触せずに隙間を設けて配置された例を示したが、これに限るものではない。図7に示すように、散乱板204は、インテグレータレンズ206と接触させて配置されるように構成しても好適である。これにより、散乱板204によって散乱させられた光がインテグレータレンズ206に入射せずに周囲に漏れてしまうことを抑制できる。
【0031】
図8は、実施の形態1における散乱板通過後の光のサイズとインテグレータレンズに入射される光のサイズとの一例を示す概念図である。実施の形態1では、散乱板204通過後の光12の断面の面積S2が、インテグレータレンズ206に入射される光14の断面の面積S1のたとえば110%以内に抑えることが望ましい。これにより、散乱板204を通過させることによる光量低下を10%以下に抑制できる。よって、散乱板204とインテグレータレンズ206との間の位置関係は、かかる点から適宜調整されると好適である。
【0032】
以上のように実施の形態1によれば、インテグレータレンズ206によって形成される複数の集光点の各照度を低くできる。よって、集光点付近に光学素子を配置した場合でも光学素子の劣化を回避できる。
【0033】
図9は、実施の形態1における光学画像の取得手順を説明するための概念図である。被検査領域は、図9に示すように、例えばY方向に向かって、スキャン幅Wの短冊状の複数の検査ストライプ(小領域、およびストライプ領域の一例)に仮想的に分割される。そして、その分割された各検査ストライプが連続的に走査されるようにXYθテーブル102の動作が制御される。XYθテーブル102の移動によってフォトダイオードアレイ105が相対的にX方向に連続移動しながら光学画像が取得される。フォトダイオードアレイ105では、図9に示されるようなスキャン幅Wの光学画像を連続的に撮像する。言い換えれば、センサの一例となるフォトダイオードアレイ105は、XYθテーブル102(ステージ)と相対移動しながら、検査光を用いてフォトマスク101に形成された複数の図形パターンの光学画像を撮像する。実施の形態1では、1つの検査ストライプにおける光学画像を撮像した後、スキャン幅WずつY方向にずれた位置で今度は逆方向に移動しながら同様にスキャン幅Wの光学画像を連続的に撮像する。すなわち、往路と復路で逆方向に向かうフォワード(FWD)−バックフォワード(BWD)の方向で撮像を繰り返す。
【0034】
ここで、撮像の方向は、フォワード(FWD)−バックフォワード(BWD)の繰り返しに限るものではない。各検査ストライプ20について一方の方向から撮像してもよい。例えば、FWD−FWDの繰り返しでもよい。或いは、BWD−BWDの繰り返しでもよい。
【0035】
フォトダイオードアレイ105上に結像されたパターンの像は、フォトダイオードアレイ105の各受光素子によって光電変換され、更にセンサ回路106によってA/D(アナログ・デジタル)変換される。そして、検査ストライプ毎にストライプパターンメモリ123に画素データが格納される。その後、画素データは、位置回路107から出力されたXYθテーブル102上におけるフォトマスク101の位置を示すデータと共に比較回路108に送られる。測定データは例えば8ビットの符号なしデータであり、各画素の明るさの階調(光量)を表現している。
【0036】
一方、参照画像作成工程として、参照回路112は、磁気ディスク装置109から制御計算機110を通して、各検査ストライプについて順に設計データを読み出す。そして、読み出されたフォトマスク101の設計データを2値ないしは多値のイメージデータに変換して、参照データ(参照画像)を作成する。参照データは例えば8ビットの符号なしデータであり、各画素の明るさの階調(光量)を表現している。そして、参照データは比較回路108に送られる。
【0037】
そして、比較工程として、比較回路108(検査部)は、検査ストライプ毎にストライプパターンメモリ123から測定データ(光学画像)を入力する。他方、参照回路112から参照データ(参照画像)を入力する。
【0038】
そして、測定データと参照データとの位置合わせを行なう。そして、測定データの各画素データと参照データの参照画素データとを所定のアルゴリズムに従って画素毎に比較し、欠陥の有無を判定する。例えば、測定データと参照データとにおける画素値の差が閾値内かどうかで判定する。そして、比較された結果は出力される。比較された結果は、例えば、磁気ディスク装置109、磁気テープ装置115、FD116、CRT117、パターンモニタ118、或いはプリンタ119に出力される。或いは、外部に出力されても構わない。
【0039】
以上のようにして、検査部150は、インテグレータレンズ206を通過したレーザ光を照明光として用いて、複数の図形パターンが形成されたフォトマスク101(被検査試料)におけるパターンの欠陥を検査する。
【0040】
図10は、別の光学画像取得手法を説明するための図である。図1の構成では、スキャン幅Wの画素数(例えば2048画素)を同時に入射するフォトダイオードアレイ105を用いているが、これに限るものではなく、図10に示すように、XYθテーブル102をX方向に定速度で送りながら、レーザ干渉計で一定ピッチの移動を検出した毎にY方向に図示していないレーザスキャン光学装置でレーザビームをY方向に走査し、透過光を検出して所定の大きさのエリア毎に二次元画像を取得する手法を用いても構わない。
【0041】
以上の説明において、「〜回路」或いは「〜工程」と記載したものは、電子回路等のハードウェアで構成することができる。或いは、コンピュータで動作可能なプログラムにより構成することができる。或いは、ソフトウェアとなるプログラムだけではなく、ハードウェアとソフトウェアとの組合せにより実施させても構わない。或いは、ファームウェアとの組合せでも構わない。また、プログラムにより構成される場合、プログラムは、磁気ディスク装置、磁気テープ装置、FD、或いはROM(リードオンリメモリ)等の記録媒体に記録される。例えば、演算制御部を構成するテーブル制御回路114、参照回路112、参照回路142、比較回路108等は、電気的回路で構成されていても良いし、制御計算機110によって処理することのできるソフトウェアとして実現してもよい。また電気的回路とソフトウェアの組み合わせで実現しても良い。
【0042】
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、実施の形態では、照明光学系170として、透過光を用いた透過照明光学系を示したが、これに限るものではない。例えば、反射光を用いた反射照明光学系であってもよい。或いは、透過照明光学系と反射照明光学系とを組み合わせて、透過光と反射光を同時に用いてもよい。また、実施の形態では、測定データと設計データから作成した参照画像とを比較するダイ−データベース検査を行っているが、これに限るものではない。同じパターンが形成されたフォトマスクを用いて、測定データ同士を比較するダイ−ダイ検査を行ってもよい。
【0043】
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。例えば、検査装置100を制御する制御部構成については、記載を省略したが、必要とされる制御部構成を適宜選択して用いることは言うまでもない。
【0044】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全てのパターン検査装置及びパターン検査方法は、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0045】
10 レーザ光
12,14 光
100 検査装置
101 フォトマスク
102 XYθテーブル
103 光源
104 拡大光学系
105 フォトダイオードアレイ
106 センサ回路
107 位置回路
108 比較回路
109 磁気ディスク装置
110 制御計算機
112 参照回路
113 オートローダ制御回路
114 テーブル制御回路
115 磁気テープ装置
116 FD
117 CRT
118 パターンモニタ
119 プリンタ
120 バス
122 レーザ測長システム
123 ストライプパターンメモリ
130 オートローダ
142 設定回路
150 検査部
160 制御系回路
170 照明光学系
202 ビームエキスパンダ
204 散乱板
206 インテグレータレンズ
219 レンズ群
212,214,216 レンズ
218 光学素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を発生するレーザ光源と、
前記レーザ光を入射し、入射されたレーザ光を分割して光源群を形成するインテグレータレンズと、
前記インテグレータレンズの入射面の手前に配置され、前記インテグレータレンズに入射するレーザ光を散乱させる散乱板と、
前記インテグレータレンズを通過したレーザ光を照明光として用いて、複数の図形パターンが形成された被検査試料におけるパターンの欠陥を検査する検査部と、
を備えたことを特徴とするパターン検査装置。
【請求項2】
前記散乱板の表面は、曲面若しくは曲面と平面の組み合わせにより形成されることを特徴とする請求項1記載のパターン検査装置。
【請求項3】
前記散乱板は、前記インテグレータレンズと接触させて配置されることを特徴とする請求項1又は2記載のパターン検査装置。
【請求項4】
前記レーザ光は、前記散乱板表面の中心を含む領域を通過することを特徴とする請求項1又は2記載のパターン検査装置。
【請求項5】
レーザ光源からレーザ光を発生する工程と、
レーザ光を分割して光源群を形成するインテグレータレンズの入射面の手前に配置された散乱板を通過させることによって、前記インテグレータレンズに入射するレーザ光を散乱させる工程と、
散乱させられたレーザ光を前記インテグレータレンズに入射させ、入射されたレーザ光を分割して光源群を形成する工程と、
前記インテグレータレンズを通過したレーザ光を照明光として用いて、複数の図形パターンが形成された被検査試料におけるパターンの欠陥を検査する工程と、
を備えたことを特徴とするパターン検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−72845(P2013−72845A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214273(P2011−214273)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(504162958)株式会社ニューフレアテクノロジー (669)
【Fターム(参考)】