説明

パターン構造の製造方法

【課題】高アスペクト比を有する微細なパターン構造を提供することを目的の一とする。
【解決手段】エッチング層上に転写層と熱反応型レジスト層を順に積層する工程と、熱反応型レジスト層の所定の領域に対して熱反応させた後、熱反応させた領域をエッチングすることにより熱反応レジスト層をパターニングする工程と、パターニングされた熱反応レジスト層をマスクとして、転写層に対して第1のドライエッチングを施すことにより転写層をパターニングする工程と、少なくともパターニングされた転写層をマスクとして、エッチング層に対して第2のドライエッチングを施すことによりエッチング層をパターニングする工程とを有し、転写層と熱反応型レジスト層に用いる材料及び第1のドライエッチングと第2のドライエッチングに用いるエッチングガスとして、特定の材料やガスを適用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱反応型レジスト材料を用いたパターン構造の製造方法及び当該製造方法を用いて作製したモールドに関し、特にアスペクト比の大きい微細なパターン構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体、光学・磁気記録等の分野において高密度化、高集積化等の要求が高まるにつれ、数百nm〜数十nm程度以下の微細パターン加工技術が必須となっている。そこで、これら微細パターン加工を実現するためにマスク・ステッパー、露光、レジスト材料等の各工程の要素技術が盛んに研究されている。
【0003】
レジスト材料においても多くの検討が進められている。現在、最も一般的なレジスト材料は、紫外光、電子線、X線などの露光光源に反応する光反応型有機レジスト(以下、フォトレジストともいう。)である(特許文献1、非特許文献1)。
【0004】
露光に用いられるレーザー光において、通常レンズで絞り込まれたレーザー光の強度は、図4に示すようなガウス分布形状を示す。このときレーザー光のスポット径は1/eで定義される。一般的にフォトレジストの反応は、E=hν(E:エネルギー、h:プランク定数、ν:波長)で表されるエネルギーを吸収することよって反応が開始される。したがってその反応は、光の強度には強く依存せず、むしろ光の波長に依存する。このため、光の照射された部分(露光部分)は、ほぼ全て反応が生じることになる。したがってフォトレジストを使った場合は、スポット径に対して忠実に露光されることになる。
【0005】
光反応型有機レジストを用いるパターン形成方法は、数百nm程度の微細なパターンを形成するには非常に有効な方法ではあるが、光反応を利用するフォトレジストを用いるため、さらに微細なパターンを形成するには、原理的に必要とされるパターンより小さなスポットで露光する必要がある。このため、小さなスポットで露光するには、露光光源として波長が短いKrFやArFレーザー等を使用せざるを得ない。しかしながら、これらのKrFやArFレーザーなどの光源装置は、非常に大型でかつ高価なため、製造コスト削減の観点からは不向きである。また、さらに波長が短い電子線、X線等の露光光源を用いる場合は、露光雰囲気を真空状態にする必要があり、真空チェンバーを使用する必要があるため、コストや大型化の観点からかなりの制限がある。
【0006】
そこで、検討されているのが熱反応型レジスト材料である。この熱反応型レジスト材料は、上記の光反応を利用するフォトレジストと異なり、レーザー光を熱源として用いる熱反応を利用するレジスト材料である。以下、その原理について説明する。通常、レーザー光を物体に照射すると、図5に示すように、物体の温度もレーザー光の強度分布と同じガウス分布を示す性質がある。この時、ある温度以上で反応するレジスト、すなわち、熱反応型レジストを使うと、所定温度以上になった部分のみ反応が進むため、レーザー光のスポット径より小さな範囲を熱反応させることが可能となる。すなわち、露光光源を短波長化することなく、スポット径よりも微細なパターンを形成することが可能となるので、熱反応型レジスト材料を使うことにより、露光光源波長の影響を小さくすることができる。
【0007】
熱反応レジスト材料を利用した微細パターン形成の一例として、光記録の分野においては、WOx、MoOxその他のカルコゲナイドガラス(Ag−As−S系)を熱反応型レジストとして用い、半導体レーザーや476nmレーザーで露光により熱反応させて微細パターンを形成する技術が報告されている(特許文献2、非特許文献2)。しかしながら、これらの熱反応型レジストを用いた微細パターンの形成は、膜面方向にパターンのピッチを狭める要望に対応したもので、膜厚方向へ深く溝を形成することには不向きである。通常、膜厚方向の溝の深さは、熱反応型レジストの膜の厚さがそのまま深さ方向の溝の深さになるため、深い溝を形成するためには、熱反応型レジストを厚くする必要がある。しかしながら、熱反応型レジスト材料の露光による熱反応は等方的であり、膜厚が厚くなることにより、熱反応型レジスト材料のパターンは深さ方向だけでなく、膜面方向のパターン幅も広がってしまうという問題があった。
【0008】
そこで、膜厚方向へ溝が深い微細パターンを形成する方法として、これらの熱反応型レジスト材料膜の下に所望の溝深さ分の厚みの膜(エッチング層に同じ)を予め成膜しておき、露光により熱反応させて、現像し、パターン形状を付与された熱反応型レジスト材料をマスクとして、下層の膜にエッチングなどにより深い溝を形成する手法が考えられている。通常、深さ方向に均一にエッチングするためには、ドライエッチングによる加工方法が用いられる。その一例としては、エッチング層の材料としてSiOを使用し、フロン系ガスによりエッチング層をドライエッチングする加工方法が用いられている。
【0009】
ドライエッチングを用いる場合、熱反応型レジスト材料もフロン系ガスにさらされるので、マスクとなる熱反応型レジスト材料には、微細パターン加工ができること以外にフロン系ガスによるドライエッチングへの耐性が求められる。従来、熱反応型レジスト材料としては、WOx、MoOxその他カルコゲナイドガラス(Ag−As−S系)が報告されている。しかしながら、これらの熱反応型レジストは、フロン系ガスでドライエッチングした場合、フロン系ガスに対する耐性が低い問題がある。例えば、比較的フロン系ガスに対する耐性の高いWOxにおいても、エッチング層に対するエッチング選択比は3未満(SiOのエッチング速度をWOxのエッチング速度で除した値)である。このように、従来の熱反応型レジスト材料は、深い溝を形成するためのマスク材料用の熱反応型レジスト材料としては、不十分なものであった(非特許文献3)。
【0010】
また、熱反応型レジスト材料のエッチング層に対するエッチング選択比が3未満の場合、アスペクト比を高めるためには、エッチング層の厚みに応じて、レジスト層を厚くする必要がある。しかしながら、熱反応型レジスト材料の露光による熱反応は等方的であり、レジスト層を厚くすることにより、熱反応型レジスト材料のパターンは深さ方向だけでなく、膜面方向のパターン幅も広がってしまうため、微細パターンを形成することが難しいというのが現状である。この問題に対して、有機レジスト上に熱反応型レジスト材料を積層することで改善が試みられている(特許文献3)。この方法では熱反応型レジストを微細パターン化し、酸素を用いたドライエッチングにより有機レジスト層に微細パターンを転写することで、用いている熱反応型レジスト材料のエッチング選択比が低いという問題を改善している。しかし、酸素を用いたドライエッチングの場合、有機レジスト層は等方的にエッチングされるので微細パターンの開口幅は広がってしまい、寸法誤差が発生してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−144995号公報
【特許文献2】特許第4055543号公報
【特許文献3】特開2008−233552号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】(株)情報機構 発刊 「最新レジスト材料」 P.59−P.76
【非特許文献2】SPIE Vol.3424 (1998) P.20
【非特許文献3】The 19th Symposium on Phase Change Optical Information Storage (2007) p77
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このように、熱反応型レジストを用いて高アスペクト比の微細パターンを形成する場合、ドライエッチングプロセスを用いる方法では、エッチング層のエッチングと熱反応型レジスト材料のエッチングとが共に進行する問題がある。このため、熱反応型レジスト層に対するエッチング層のエッチング選択比を高くする事が望まれている。
【0014】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、高アスペクト比を有する微細なパターン構造を提供することを目的の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のパターン構造の製造方法は、エッチング層上に転写層と熱反応型レジスト層を順に積層する工程と、熱反応型レジスト層の所定の領域に対して熱反応させた後、熱反応させた領域をエッチングすることにより熱反応レジスト層をパターニングする工程と、パターニングされた熱反応レジスト層をマスクとして、転写層に対して第1のドライエッチングを施すことにより転写層をパターニングする工程と、少なくともパターニングされた転写層をマスクとして、エッチング層に対して第2のドライエッチングを施すことによりエッチング層をパターニングする工程とを有し、エッチング層、転写層及び熱反応型レジスト層として、互いに異なる無機材料を用いて形成し、第1のドライエッチング及び第2のドライエッチングとして、互いに異なるエッチングガスを用い、転写層として、第2のドライエッチングに対して熱反応型レジスト層より耐性のある材料で形成することを特徴としている。
【0016】
本発明のパターン構造の製造方法において、転写層として、Co、Zn、Sb、Ni、Nb、該金属群から選ばれる酸化物、該金属群の中から選ばれる2種類以上の金属の複合金属及びその酸化物のうち少なくともいずれか一を含有する材料を用い、熱反応型レジスト層として、Cu、Cu酸化物、Cuを含む2種類以上の複合金属及びその酸化物のうち少なくともいずれか一を含有する材料を用い、第1のドライエッチングのガスとして、少なくともCF、SFのいずれか一種を用い、第2のドライエッチングのガスとして、少なくともCHF、CH、C(xは2から4の整数、yは2x)、Cのいずれか一種を用いることが好ましい。
【0017】
本発明のパターン構造の製造方法において、転写層として、Cu、Mo、Sn、Bi、Ga、V、該金属群から選ばれる金属の酸化物、該金属群の中から選ばれる2種類以上の金属の複合金属及びその酸化物のうち少なくともいずれか一を含有する材料を用い、熱反応型レジスト層として、Ti、Ge、Nb、Sb、Te、W、Pb、該金属群から選ばれる金属の酸化物、該金属群の中から選ばれる2種類以上の金属の複合金属及びその酸化物のうち少なくともいずれか一を含有する材料を用い、第1のドライエッチングのガスとして、少なくともCHF、CH、C(xは2から4の整数、yは2x)、Cのいずれか一種を用い、第2のドライエッチングガスとして、少なくともCF、SFのいずれか一種を用いることが好ましい。
【0018】
本発明のパターン構造の製造方法において、エッチング層が、Si、SiOx1(x1は、0<x1≦2である。)及びSiNx2(x2は、0<x2≦0.75である。)、TaOx3(x3は、0<x3≦0.4である。)から選択されることが好ましい。
【0019】
本発明のパターン構造の製造方法において、熱反応型レジスト層にレーザー光を照射することにより、熱反応型レジスト層に対して熱反応を施すことが好ましい。
【0020】
本発明のパターン構造の製造方法において、レーザー光の照射を、半導体レーザーを用いて行うことが好ましい。
【0021】
本発明のパターン構造の製造方法において、エッチング層、転写層及び熱反応型レジスト層を、スパッタリング法、蒸着法又はCVDを用いて成膜することが好ましい。
【0022】
本発明のパターン構造の製造方法において、エッチング層を、平板形状又はスリーブ形状を有する基板上に形成することが好ましい。
【0023】
本発明のモールドは、上述したパターン構造の製造方法を用いて作製された、パターン周期が50nm〜1000nmのパターン構造を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、エッチング層上に、当該エッチング層とエッチング選択比を有する転写層と、熱反応により微細パターンを形成可能な熱反応レジスト層とを順に積層させ、熱反応レジスト層に形成された微細パターンを転写層に転写して、パターニングされた転写層をマスクとして用いてエッチング層のエッチングを行うため、高アスペクト比を有する微細なパターン構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】(a)〜(d)は、本発明に係る積層体とモールド製造方法の一実施の形態を示す製造工程を示す図である。
【図2】本発明に係る熱反応型レジスト層、転写層、エッチング層、エッチングガスの組み合わせによる選択比を示す図である。
【図3】本発明に係る熱反応型レジスト層、転写層、エッチング層、エッチングガスの組み合わせによる選択比を示す図である。
【図4】一般的なレーザー光の強度分布を示す図である。
【図5】一般的な物体の温度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討し実験を行った結果、熱反応型レジスト層がフロン系のエッチング耐性に乏しい材料であっても、エッチング層と熱反応型レジスト層との間に特定の材料を含有する転写層を設け、熱反応型レジスト層と同様の微細パターンを転写層へ形成することで、転写層とエッチング層のエッチング選択比を大きくすることができ、高いアスペクト比の微細パターンを形成できることを発見した。
【0027】
また、フロン系のエッチングに高い耐性を持つ一部の無機材料はレーザー光により熱反応させる事が難しいため、熱反応型レジストとしては用いることができないが、エッチング層と熱反応型レジスト層の間に転写層として設けた場合、熱反応型レジストと同様のパターンを転写層へ形成可能であるため、高いエッチング耐性の材料をマスクとしてエッチング層をエッチングすることが可能になり、高いアスペクト比の微細パターンを形成できることを発見した。以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態に係るパターン構造体の製造方法について説明する。
【0028】
本実施の形態に係るパターン構造体の製造方法は、エッチング層上に転写層と熱反応型レジスト層を順に積層する成膜工程と、熱反応型レジスト層の所定の領域に対して熱反応させた後、熱反応させた領域をエッチングすることにより熱反応レジスト層をパターニングするレジスト層パターニング工程と、パターニングされた熱反応レジスト層をマスクとして、転写層に対して第1のドライエッチングを施すことにより転写層をパターニングする転写層パターニング工程と、少なくともパターニングされた転写層をマスクとしてエッチング層に対して第2のドライエッチングを施すことによりエッチング層をパターニングするエッチング層パターニング工程とを有し、転写層と熱反応型レジスト層に用いる材料及び第1のドライエッチングと第2のドライエッチングに用いるエッチングガスとして、特定の材料やガスを適用することを特徴としている。
【0029】
具体的には、熱反応型レジスト層として熱反応によるパターニングを好適に行うことができる無機材料を用い、転写層として第2のドライエッチングに対して耐性のある材料(少なくとも熱反応型レジスト層より耐性のある材料)を用い、第1のドライエッチング及び第2のドライエッチングとして、互いに異なるフロン系のガスを用いる。以下、各工程について詳しく説明する。
【0030】
<成膜工程>
まず、基板101上に形成されたエッチング層102上に転写層103と、熱反応型レジスト層104を順に積層する(図1(a)参照)。
【0031】
基板101の材料としては、平滑な面が確保できる材料であれば特に限定はなく、金属、ガラス、シリコンウェーハなどの材料を用いることができる。表面の平滑性、露光時のレーザー光の反射が少ないことを鑑みた場合、これらの中でもガラスが好ましい。また、基板101は、平板形状又はスリーブ形状を有することが好ましい。
【0032】
エッチング層102の材料としては、各種ドライエッチングに用いられるエッチング材料を用いることができる。これらのエッチング材料の中でも、エッチングを一方向(異方的)に進行させ、アスペクト比を向上させる観点から、Si、SiOx1(x1は、0<x1≦2である。)やSiNx2(x2は、0<x2≦0.75である。)、TaOx3(x3は、0<x3≦0.4である。)などの無機化合物から選ばれる材料を用いる。エッチング層102としてこれらの無機材料を用いると共に、ドライエッチングガスとしてフロン系のガスを用いることにより、ドライエッチングの際に微細パターンの開口幅が広がることを抑制し、寸法誤差を効果的に低減することが可能となる。なお、図1において、基板101をエッチングする場合には、基板101がエッチング層となる。
【0033】
また、本実施の形態において、転写層103、熱反応型レジスト層104の材料の組み合わせは以下の二通りの組み合わせとすることを特徴とする。
【0034】
[組み合わせ1]
熱反応型レジスト層104の材料として、Cu、Cu酸化物、Cuを含む2種類以上の複合金属及びその酸化物から選ばれる材料のうち少なくともいずれか一を含有する材料を用いる場合、転写層103は、Co、Zn、Sb、Ni、Nb、該金属群から選ばれる酸化物、該金属群の中で2種類以上選択した金属の複合金属及びその酸化物から選ばれる材料のうち少なくともいずれか一を含有する材料を用いる。ここで言う、複合金属は合金、共晶物、混合物などをいう。これらの組み合わせは熱反応型レジスト層104のパターンを転写層に形成する場合のエッチング選択比に優れる(図3参照)。
【0035】
[組み合わせ2]
熱反応型レジスト層104の材料として、Ti、Ge、Nb、Sb、Te、W、Pb、該金属群から選ばれる金属の酸化物、該金属群の中で2種類以上選択した複合金属及びその酸化物から選ばれる材料のうち少なくともいずれか一を含有する材料を用いる場合、転写層103は、Cu、Mo、Sn、Bi、Ga、V、該金属群から選ばれる金属の酸化物、該金属群の中で2種類以上選択した複合金属及びその酸化物から選ばれる材料のうち少なくともいずれか一を含有する材料を用いる。これらの組み合わせは、レジスト層に形成されるパターンの微細化に優れ、後述する実施例のレジスト層に用いたGeSb、PbOの場合、L&S(ライン・アンド・スペース)で70nmを形成可能である。
【0036】
また、転写層103の膜厚t2と熱反応型レジスト層104の膜厚t3は、エッチング層102の膜厚t1より薄い膜厚でそれぞれ形成する。転写層103、レジスト層104及びエッチング層102は、例えば、スパッタ法により、それぞれ10nm〜50nm、10nm〜50nm、300nm〜1000nm程度の膜厚で成膜される。
【0037】
転写層103と熱反応型レジスト層104の間に、下記レジスト層パターニング工程の熱による転写層103と熱反応型レジスト層104界面での反応を防止するためのバリア層を成膜することが望ましい。バリア層にはSi、SiOx1(x1は、0<x1≦2である。)やSiNx2(x2は、0<x2≦0.75である。)、TaOx3(x3は、0<x3≦0.4である。)などの無機化合物から選ばれる材料を用いることが出来る。また、バリア層は熱レジスト層と転写層との反応や、粒子成長を防ぐ材料であれば特に制限は無く、例えば相図等から判断できる。
【0038】
<レジスト層パターニング工程>
レジスト層パターニング工程では、熱反応型レジスト層104をパターニングすることにより、レジスト開口部105及びレジストパターン106を形成する(図1(b)参照)。
【0039】
具体的には、熱反応型レジスト層104の所定の領域(レジスト開口部105を形成する領域)を熱反応させた後、当該熱反応させた領域をエッチングすることにより熱反応型レジスト層104の一部が除去されてレジスト開口部105が形成される。熱反応型レジスト層104の残存した部分は、レジストパターン106となる。
【0040】
熱反応型レジスト層104の熱反応は、熱反応型レジスト層104に光を照射することにより行うことができる。例えば、光反応型フォトレジストの露光に用いられる光源装置であれば、特に限定されずに用いることができる。微細なパターンを形成するためには、半導体レーザーにより露光することが好ましい。また、レーザー光による露光は、熱反応型レジスト層104のレジスト開口部105の領域が熱反応の反応点以上になるようにレーザー光の照射範囲及びレーザー光の強度を制御すればよく、必ずしもレジスト開口部105の領域に応じたスポット径、溝幅に応じたレーザー光を用いなくとも良い。例えば、図1(b)に示す、熱反応型レジスト層104のレジスト開口部105以外の領域にレーザー光が当たる条件においても、熱反応型レジスト層104の温度分布をレジスト開口部105のみが熱反応するように、レーザー光を制御することにより、レジスト開口部105のみを熱反応させることができる。尚、本実施の形態においては、レーザー光の照射中にレーザー光の強度を変化させることで、円形、楕円形状など任意の形状のパターンを形成することができる。
【0041】
次に、所定の領域を熱反応させた熱反応型レジスト層104のエッチングについて説明する。熱反応型レジスト層104のエッチングは、光反応型フォトレジストに用いられる現像条件を用いることができ、例えば、現像液を用いるウェット工程を用いることができる。ウェット工程で用いる現像液としては、酸やアルカリまたそれらに電位調整剤、界面活性剤を加えた現像液などを用いることができる。このエッチング工程により、熱反応型レジスト層104の熱反応領域が溶解、除去され(又は、熱反応領域以外が溶解、除去され)、レジスト開口部105及びレジストパターン106が形成される。
【0042】
<転写層パターニング工程>
転写層パターニング工程では、パターニングされた熱反応レジスト層104(レジストパターン106)をマスクとして、所定の組成を有するエッチングガスを用いたドライエッチングにより、転写層103をパターニングすることにより転写パターン107を形成する(図1(c)参照)。
【0043】
転写層パターニング工程におけるドライエッチングにおいては、上述した転写層103と、熱反応型レジスト層104の材料の組み合わせのグループ毎に用いるエッチングガスの種類を適宜選択する。
【0044】
組み合わせ1の場合、エッチングガスとしてCF、SFのいずれか1種を少なくとも含有するエッチングガスを用いる。
【0045】
組み合わせ2の場合、エッチングガスとしてCHF、CH、C(xは2から4の整数、yは2x)、Cのいずれか1種を少なくとも含有するエッチングガスを用いる。これらのエッチングガスの中でもC、C、C、Cからなるいずれか一種を少なくとも含むエッチングガスを用いることが好ましい。
【0046】
<エッチング層パターニング工程>
エッチング層パターニング工程では、少なくともパターニングされた転写層104(転写パターン107)をマスクとして、所定の組成を有するエッチングガスを用いたドライエッチングにより、エッチング層102をパターニングすることによりエッチングパターン108を形成する(図1(d)参照)。なお、転写層パターニング工程におけるドライエッチング後にレジストパターン106が残存している場合には、当該レジストパターン106もマスクとして用いることができる。逆に、転写層パターニング工程におけるドライエッチング後にレジストパターン106が残存している場合にレジストパターン106を選択的に除去してもよい。
【0047】
エッチング層パターニング工程におけるドライエッチングにおいては、上述した転写層103と、レジスト層104の材料の組み合わせのグループ毎に用いるエッチングガスの種類を適宜選択する。
【0048】
組み合わせ1の場合、エッチングガスとしてCHF、CH、C(xは2から4の整数、yは2x)、Cのいずれか1種を少なくとも含有するエッチングガスを用いる。これらのエッチングガスの中でもC、C、C、Cからなるいずれか一種を少なくとも含むエッチングガスを用いることが好ましい。
【0049】
組み合わせ2の場合、エッチングガスとしてCF、SFのいずれか1種を少なくとも含有するエッチングガスを用いる。
【0050】
エッチングパターン108を形成した後、マスクとして用いた転写パターン107(及びレジストパターン106)を除去することにより、パターン構造体を作製することができる。本実施の形態で示したように、エッチング層108上に特定の材料の組み合わせからなる転写層103と熱反応型レジスト層104を積層して、それぞれ異なる方法でパターニングを行うことにより、エッチング層102上に、微細パターンを有し且つエッチング層102に対して高いエッチング選択比を有するマスク(転写パターン107)を設けることが可能となる。このマスクを用いて、エッチング層102をパターニングすることにより、アスペクト比が高く微細なパターン構造体を製造することができる。
【0051】
なお、本実施の形態に係る転写層パターニング工程、エッチング層パターニング工程のドライエッチングにおいては、上記のエッチングガスの種類及び組成を満たす範囲であれば、異なるガスを含有してもよく、Arなどの不活性ガス、及びO、Hを含有することが好ましい。このようなドライエッチングガスを用いると、エッチングの際、プラズマ中のArイオンがフロン系ガスに衝突する事により、フロン系ガスの解離度が変化して、ドライエッチングに対する保護層となるフロロカーボン膜の堆積量や、エッチング層102や転写層103、熱反応型レジスト層104をエッチングするフッ素ラジカルの発生量が変わるため、エッチング層102や転写層103、レジスト層104のエッチングレート(エッチング速度)を増減させることが可能であるため好ましい。
【0052】
エッチングガスに混合する添加ガスとしては、上述したAr、O、Hの他、N、He、Ne、Kr、Xeなどを用いることができる。これらの添加ガスの中でも、エッチング速度の調整の観点から、Ar、N、O、Hが好ましい。
【0053】
エッチングガスと添加ガスの組み合わせとして、CF+Ar、C+Ar、C+Ar、C+Ar、C+Ar、CHF+Ar、CH+Ar、SF+Ar、CF+N、C+N、C+N、C+N、C+N、CHF+N、CH+N、SF+N、CF+O、C+O、C+O、C+O、C+O、CHF+O、CH+O、SF+O、CF+H、C+H、C+H、C+H、C+H、CHF+H、CH+H、SF+Hが好ましい。
【実施例】
【0054】
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例により本発明を詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【0055】
[選択比の測定方法]
本実施例におけるエッチングレートの測定は、熱反応型レジスト層、転写層、エッチング層上にそれぞれ部分的にドライエッチングのマスクを形成し、エッチング時間を10〜20分、処理圧力を1〜5Pa、電力を100W〜500W、ガス流量を10sccm〜100sccmの範囲の中で同条件として、ドライエッチングを行った後に、該マスクを除去し、マスク部と非マスク部で形成される段差を段差計(KLA−Tencor社製のAlpha−StepIQ)により測定することにより行った。転写層に対する熱反応型レジスト層のエッチング選択比は、熱反応型レジスト層のエッチングレート/転写層のエッチングレートで表わされる数値とし、エッチング層に対する転写層のエッチング選択比はエッチング層のエッチングレート/転写層のエッチングレートで表される数値とした。選択比の測定におけるドライエッチングのマスクとしては、フォトレジスト、カプトンテープによるマスクを用いることが可能である。
【0056】
[選択比とアスペクト比の関係]
選択比とアスペクト比には次の様な関係がある。アスペクト比は、微細パターンの開口幅をA、微細パターン深さをBとした場合、B/Aで定義される。例えば、熱反応型レジスト層とエッチング層の様な層構造の場合、熱反応型レジスト層の微細パターンの開口幅を100nm程度とした場合、熱反応型レジスト層とエッチング層の選択比が10、熱反応型レジスト層の膜厚を40nmとすると、ドライエッチング可能なエッチング層の深さは400nmとなる。この場合のアスペクト比は4となる。仮に選択比が50の場合、アスペクト比は20となる。このように、熱反応型レジスト層とエッチング層の選択比が高ければ高い程、高アスペクト比の微細パターンが形成可能となる。
【0057】
[製造例1]
上記図1において、熱反応型レジスト層104の材料としてGeSbターゲット、転写層103の材料としてCuOターゲットを選択した。またエッチング層102としてSiOターゲットを選択した。なお、ここで選択したCuOは他元素を10から20%at含む組成でも構わない。
【0058】
まず50mmφのガラス平面基板101上にスパッタリング法によりSiOターゲットを用いて、300nmのエッチング層102を成膜した。続いて、CuO、SiO、GeSbターゲットを用いて、転写層103を40nm、バリア層を20nm、熱反応型レジスト層104を40nm成膜した(図1(a)参照)。
【0059】
以上のように成膜した熱反応型レジスト層104を以下の条件で露光した。
【0060】
露光用半導体レーザー波長:405nm
レンズ開口数:0.85
露光レーザーパワー:1mW〜10mW
送りピッチ:150nm〜350nm
【0061】
熱反応型レジスト層104にレーザー光を照射中にレーザー光の強度を変調させることで、様々な形状やパターンを作製できるが、実験では熱反応の精度を確かめるために、パターンとして連続の溝形状を使用した。熱反応型レジスト層104のパターニング形状としては、目的とする用途によっては孤立した円形、楕円形状等でも構わず、何ら制限を受けるものではない。
【0062】
続いて、上記露光機によって所定の領域に熱反応が施された熱反応型レジストの現像を行った(図1(b)参照)。現像にはウェット工程による現像を適用した。現像液には酸やアルカリまたそれらに電位調整剤、界面活性剤を加えたもの等を用いることができる。
【0063】
次に、熱反応型レジスト層104のレジストパターン106をマスクとしてドライエッチングを行うことで、図1(c)に示すように転写層103へ転写パターン107を形成した。ドライエッチングはエッチングガスとしてCHFを用い、処理ガス圧を5Pa、処理電力を300W、処理時間10分の条件によりドライエッチングを行った。
【0064】
最後にエッチング層102をドライエッチングし、エッチングパターン108を形成した。エッチングガスはSF、もしくはCFを用い、処理ガス圧を5Pa、処理電力を300W、処理時間10分の条件によりエッチングを行った。ドライエッチング後の形状は図1(d)のような形状が得られる。この場合、転写層103、エッチング層102の選択比は、熱反応型レジスト層104とエッチング層102の選択比に比べて大きいので、高アスペクト比の微細パターンが容易に得られる。
【0065】
図2に、熱反応型レジスト層104、転写層103、エッチング層102のエッチングレートと、転写層103に対する熱反応型レジスト層104のエッチンの選択比と、エッチング層102に対する転写層103のエッチングの選択比について示す。なお、図2では、GeSbを熱反応型レジスト層104とした場合に対して、転写層103としてCuOに加えてBiSn、CuVを用いた場合について示す(図2(a)〜(c)参照)。
【0066】
エッチング寸法、形状誤差を低減するために、それぞれの選択比は高いことが好ましい。熱反応型レジスト層104、転写層103の組み合わせはGeSb/CuO、GeSb/BiSn、GeSb/CuVであるが、転写層103とエッチング層102の選択比が高いGeSb/BiSnがより好ましい。BiSnはエッチングガスにSF、もしくはCFを用い、処理ガス圧を5Pa、処理電力を300W、処理時間10分の条件によりドライエッチングを行った場合、転写層103はエッチングされずにフロロカーボン膜が堆積するため、選択比は非常に大きくなり、高アスペクト比の微細パターンが容易に得られる。ここではエッチングレートを0.1として選択比を計算している。
【0067】
また、転写層103への転写パターン107が形成しやすい例として、GeSb/CuOの組み合わせがあげられる。エッチングガスがCHF、処理ガス圧が5Pa、処理電力が300W、処理時間10分の条件の場合、熱反応型レジスト層104と転写層103の選択比は4.2で転写パターン107は形成しやすく、エッチングパターン108を形成するエッチング層パターニング工程で、エッチングガスがSF、処理ガス圧が5Pa、処理電力が300W、処理時間10分の条件でドライエッチングを行った場合、転写層103、エッチング層102の選択比が49程度になる。転写層103が40nmの膜厚であればSiOは3.5μm以上エッチング可能であり、エッチングパターン7の開口幅が100nmとした場合、アスペクト比は35となる。この製造例に表記した材料はターゲットの組成である。
【0068】
[製造例2]
上記図1において、熱反応型レジスト層104の材料としてPbOターゲット、転写層103の材料としてCuOターゲットを選択した。またエッチング層102としてSiOターゲットを選択した。なお、ここで選択したCuOは他元素を10%atから20%at含む組成でも構わない。
【0069】
まず50mmφのガラス平面基板101上にスパッタリング法によりSiOターゲットを用いて、300nmのエッチング層102を成膜した。続いてCuO、PbOターゲットを用いて、転写層103を40nm、熱反応型レジスト層104を20nm成膜した(図1(a))。露光、現像の工程は実施例1と同様である。
【0070】
次に、熱反応型レジスト層104のレジストパターン106をマスクとしてドライエッチングを行うことで、図1(c)に示すように転写層103へ転写パターン107を形成した。ドライエッチングはエッチングガスとしてCを用い、処理ガス圧を5Pa、処理電力を300W、処理時間5分の条件によりドライエッチングを行った。ここで用いたCガスは添加ガスを含んでいても良い。
【0071】
最後にエッチング層102をドライエッチングし、エッチングパターン108を形成した。エッチングガスはSF、もしくはCFを用い、処理ガス圧を5Pa、処理電力を300W、処理時間10分の条件によりエッチングを行った。ドライエッチング後の形状は図1(d)のような形状が得られる。この場合、転写層103、エッチング層102の選択比は、熱反応型レジスト層104とエッチング層102の選択比に比べて大きいので、高アスペクト比の微細パターンが容易に得られる。
【0072】
図2に、熱反応型レジスト層104、転写層103、エッチング層102のエッチングレートと、転写層103に対する熱反応型レジスト層104のエッチングの選択比と、エッチング層102に対する転写層103のエッチングの選択比について示す。なお、図2では、PbOを熱反応型レジスト層104とした場合に対して、転写層103としてCuOを用いた場合について示す(図2(d)参照)。
【0073】
PbO/CuOの組み合わせの場合、転写層103への転写パターン107が形成しやすい。エッチングガスがC、処理ガス圧が5Pa、処理電力が300W、処理時間5分の条件の場合、熱反応型レジスト層104と転写層103の選択比は10で転写パターン107は形成しやすく、エッチングパターン108を形成するエッチング層パターニング工程で、エッチングガスがSF、処理ガス圧が5Pa、処理電力が300W、処理時間10分の条件でドライエッチングを行った場合、転写層103、エッチング層102の選択比が49程度になる。転写層103が40nmの膜厚であればSiOは3.5μm以上エッチング可能であり、エッチングパターン7の開口幅が100nmとした場合、アスペクト比は35となる。この製造例に表記した材料はターゲットの組成である。
【0074】
[製造例3]
熱反応型レジスト層104にCuOターゲット、転写層103の材料にCoターゲットを選択した。またエッチング層102としてSiOターゲットを選択した。(ここで選択したCuOは他元素を10から20%at含む組成でも構わない)
【0075】
まず50mmφのガラス平面基板101上にスパッタリング法によりSiOターゲットを用いて、300nmのエッチング層102を成膜した。続いてCo、SiO、CuOターゲットを用いて、転写層103を20nm、バリア層を20nm、熱反応型レジスト層104を40nm成膜した(図1(a))。露光、現像の工程は実施例1と同様である。
【0076】
次に、図1(b)に示すように熱反応型レジスト層104のレジストパターン106をマスクとしてドライエッチングを行うことで、図1(c)に示すように転写層103へ転写パターン107を形成する。ドライエッチングはエッチングガスとしてCFを用い、処理ガス圧を5Pa、処理電力を300W、処理時間10分の条件によりドライエッチングを行った。
【0077】
最後にエッチング層102をドライエッチングし、エッチングパターン108を形成した。エッチングガスはCHFを用い、処理ガス圧を5Pa、処理電力を300W、処理時間10分の条件によりエッチングを行った。ドライエッチング後の形状は図1(d)のような形状が得られる。この場合、転写層103はエッチングされずにフロロカーボン膜が堆積するため、選択比は非常に大きくなり、高アスペクト比の微細パターンが容易に得られる。ここではエッチングレートを0.1として選択比を計算している。
【0078】
図3に、熱反応型レジスト層104、転写層103、エッチング層102のエッチングレートと、転写層103に対する熱反応型レジスト層104のエッチングの選択比と、エッチング層102に対する転写層103のエッチングの選択比について示す。なお、図3では、CuOを熱反応型レジスト層104とした場合に対して、転写層103として、Coに加えてZnSb、NiNbを用いた場合について示す(図3(a)〜(c)参照)。
【0079】
エッチング寸法、形状誤差を低減するために、それぞれの選択比は高いことが好ましい。熱反応型レジスト層104、転写層103の組み合わせはCuO/Co、CuO/ZnSb、CuO/NiNbであるが、転写層103とエッチング層102の選択比が高いCuO/Co、CuO/NiNbがより好ましい。Co、NiNbはエッチングガスにCHFを用い、処理ガス圧を5Pa、処理電力を300W、処理時間10分の条件によりドライエッチングを行った場合、転写層103はエッチングされずにフロロカーボン膜が堆積するため、選択比は非常に大きくなり、高アスペクト比の微細パターンが容易に得られる。ここではエッチングレートを0.1として選択比を計算している。
【0080】
また、転写層103への転写パターン107が形成しやすい例として、CuO/ZnSbの組み合わせがあげられる。エッチングガスがSF、処理ガス圧が5Pa、処理電力が300W、処理時間10分の条件の場合、熱反応型レジスト層104と転写層103の選択比は9.8で転写パターン107は形成しやすく、エッチングパターン108を形成するエッチング層パターニング工程で、エッチングガスがCHF、処理ガス圧が5Pa、処理電力が300W、処理時間10分の条件でドライエッチングを行った場合、転写層103、エッチング層102の選択比が49程度になる。転写層103が40nmの膜厚であればSiOは1.9μm以上エッチング可能であり、エッチングパターン108の開口幅が100nmとした場合、アスペクト比は19となる。この製造例に表記した材料はターゲットの組成である。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明のパターン構造の製造方法は、モールド等の微細な構造を有する構造体への製造方法として、好適に用いられる。
【符号の説明】
【0082】
101 基板
102 エッチング層
103 転写層
104 熱反応型レジスト層
105 レジスト開口部
106 レジストパターン
107 転写パターン
108 エッチングパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッチング層上に転写層と熱反応型レジスト層を順に積層する工程と、
前記熱反応型レジスト層の所定の領域に対して熱反応させた後、前記熱反応させた領域をエッチングすることにより前記熱反応レジスト層をパターニングする工程と、
前記パターニングされた熱反応レジスト層をマスクとして、前記転写層に対して第1のドライエッチングを施すことにより前記転写層をパターニングする工程と、
少なくとも前記パターニングされた転写層をマスクとして、前記エッチング層に対して第2のドライエッチングを施すことにより前記エッチング層をパターニングする工程と、を有し、
前記エッチング層、前記転写層及び前記熱反応型レジスト層として、互いに異なる無機材料を用いて形成し、
前記第1のドライエッチング及び前記第2のドライエッチングとして、互いに異なるエッチングガスを用い、
前記転写層として、前記第2のドライエッチングに対して前記熱反応型レジスト層より耐性のある材料で形成することを特徴とするパターン構造の製造方法。
【請求項2】
前記転写層として、Co、Zn、Sb、Ni、Nb、該金属群から選ばれる酸化物、該金属群の中から選ばれる2種類以上の金属の複合金属及びその酸化物のうち少なくともいずれか一を含有する材料を用い、
前記熱反応型レジスト層として、Cu、Cu酸化物、Cuを含む2種類以上の複合金属及びその酸化物のうち少なくともいずれか一を含有する材料を用い、
前記第1のドライエッチングのガスとして、少なくともCF、SFのいずれか一種を用い、
前記第2のドライエッチングのガスとして、少なくともCHF、CH、CxFy(xは2から4の整数、yは2x)、Cのいずれか一種を用いることを特徴とする請求項1に記載のパターン構造の製造方法。
【請求項3】
前記転写層として、Cu、Mo、Sn、Bi、Ga、V、該金属群から選ばれる金属の酸化物、該金属群の中から選ばれる2種類以上の金属の複合金属及びその酸化物のうち少なくともいずれか一を含有する材料を用い、
前記熱反応型レジスト層として、Ti、Ge、Nb、Sb、Te、W、Pb、該金属群から選ばれる金属の酸化物、該金属群の中から選ばれる2種類以上の金属の複合金属及びその酸化物のうち少なくともいずれか一を含有する材料を用い、
前記第1のドライエッチングのガスとして、少なくともCHF、CH、C(xは2から4の整数、yは2x)、Cのいずれか一種を用い、
前記第2のドライエッチングガスとして、少なくともCF、SFのいずれか一種を用いることを特徴とする請求項1に記載のパターン構造の製造方法。
【請求項4】
前記エッチング層が、Si、SiOx1(x1は、0<x1≦2である。)及びSiNx2(x2は、0<x2≦0.75である。)、TaOx3(x3は、0<x3≦0.4である。)から選択されることを特徴とする請求項2又は3に記載のパターン構造の製造方法。
【請求項5】
前記熱反応型レジスト層にレーザー光を照射することにより、前記熱反応型レジスト層に対して熱反応を施すことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のパターン構造の製造方法。
【請求項6】
前記レーザー光の照射を、半導体レーザーを用いて行うことを特徴とする請求項5に記載のパターン構造の製造方法。
【請求項7】
前記エッチング層、前記転写層及び前記熱反応型レジスト層を、スパッタリング法、蒸着法又はCVDを用いて成膜することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のパターン構造の製造方法。
【請求項8】
前記エッチング層を、平板形状又はスリーブ形状を有する基板上に形成することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載のパターン構造の製造方法。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載のパターン構造の製造方法を用いて作製された、パターン周期が50nm〜1000nmのパターン構造を有するモールド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−2967(P2012−2967A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136815(P2010−136815)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】