パターン測定装置及びパターン測定方法
【課題】パターンのエッジの幅及び傾斜角を高精度に測定できるパターン測定装置及びパターン測定方法を提供する。
【解決手段】電子ビームを試料表面の観察領域で走査させ、電子ビームの照射によって試料の表面から放出された二次電子を、電子ビームの光軸の周りに配置された複数の電子検出器で検出するパターン測定装置において、パターン61の延在方向に直交し、かつ光軸を挟んで対向する2方向からの画像を取得する。そして、それらの画像から、エッジと直交するライン上のプロファイルL6,L7を抽出し、それらの差分を取った差分プロファイルL8を求める。その差分プロファイルL8の立下り部分R2,R3に基づいてエッジ61a、61bの上端を検出し、ラインプロファイルL6、L7の立ち上がり部分R1又は立下り部分R4に基づいてエッジ61a、61bの下端の位置を検出する。
【解決手段】電子ビームを試料表面の観察領域で走査させ、電子ビームの照射によって試料の表面から放出された二次電子を、電子ビームの光軸の周りに配置された複数の電子検出器で検出するパターン測定装置において、パターン61の延在方向に直交し、かつ光軸を挟んで対向する2方向からの画像を取得する。そして、それらの画像から、エッジと直交するライン上のプロファイルL6,L7を抽出し、それらの差分を取った差分プロファイルL8を求める。その差分プロファイルL8の立下り部分R2,R3に基づいてエッジ61a、61bの上端を検出し、ラインプロファイルL6、L7の立ち上がり部分R1又は立下り部分R4に基づいてエッジ61a、61bの下端の位置を検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン測定装置及びパターン測定方法に関し、特に電子ビームで試料表面を走査してパターンの形状の測定を行うパターン測定装置及びパターン測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の更なる微細化及び高集積化を目指して、極端紫外(EUV)光源を用いる露光技術や、ナノインプリントといった新たなリソグラフィ技術の開発が進められている。これらのリソグラフィ技術では、高いパターン転写精度が要求されることから、精度に影響を及ぼすマスクパターンのエッジの傾斜角の管理が重要となっている。そのため、マスクパターンの製造に際しては、パターンのエッジ傾斜角を正確に評価することが求められる。
【0003】
パターンのエッジ傾斜角の測定方法の一つとして、走査型電子顕微鏡で撮像した二次電子像を用いる方法がある。この方法では、パターンの二次電子像において、パターンのエッジ部分に現れる輝度の高い帯状の領域(ホワイトバンド)の幅をエッジの幅として検出する。そして、このホワイトバンドの幅と、既知のパターンの高さとに基づいてエッジの傾斜角を求める。
【0004】
しかし、この方法では、ホワイトバンドの幅が1次電子ビームの径よりも狭くなることはなく、エッジ幅が1次電子ビームよりも狭くなった場合に、エッジの幅及び傾斜角を正確に検出できない。
【0005】
また、試料を切断した断面を高解像度の電子顕微鏡で観察してエッジの傾斜角を直接求める方法もある。この方法では精度よくエッジの傾斜角を求めることができるが、試料の調整に時間を要し、測定に用いた試料も破壊されてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−296754号公報
【特許文献2】特開2005−195361号公報
【特許文献3】特開2007−292732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、パターンのエッジの幅及び傾斜角を高精度に測定できるパターン測定装置及パターン測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一観点によれば、電子ビームを試料表面の観察領域に照射するとともに、前記観察領域内で前記電子ビームを走査させる電子走査部と、前記電子ビームの光軸の周りに配置され、前記電子ビームの照射によって前記試料の表面から放出される電子を検出する複数の電子検出器と、前記電子検出器の検出信号に基づいて、前記観察領域をそれぞれ異なる方向から写した複数の画像データを生成する信号処理部と、前記光軸を挟んで対向する2方向からの前記画像データから、それぞれ前記試料上に形成されたパターンのラインプロファイルを抽出するとともに、前記2方向の画像データから抽出したラインプロファイルの差分を取った差分プロファイルを生成するプロファイル作成部と、前記差分プロファイルに
基づいて前記パターンのエッジの上端の位置を検出するとともに、前記2方向からの画像データの何れか一方から抽出したラインプロファイルに基づいて前記エッジの下端の位置を検出するエッジ検出部と、を備えるパターン測定装置が提供される。
【0009】
上記観点のパターン測定装置において、前記エッジ検出部は、前記パターンのエッジの下端の位置を該エッジによる影を生じない方向からの画像データから抽出したラインプロファイルに基づいて検出してもよい。
【0010】
また、前記エッジ検出部は、前記差分プロファイルの微分値の極小値の位置を前記エッジの上端の位置として検出してもよい。
【0011】
さらに、別の一観点によれば、試料の表面に電子ビームを照射して前記試料の表面から放出される電子の量を、前記電子ビームの光軸の周りに複数配置された電子検出器で検出するパターン測定方法であって、前記電子検出器からの検出信号に基づいて、前記試料の表面を複数の異なる方向から写した画像データを生成する工程と、前記光軸を挟んで対向する2方向からの画像データに基づいて、前記試料上に形成されたパターンのラインプロファイルを抽出する工程と、前記光軸を挟んで対向する2方向からの画像データから抽出されたラインプロファイルの差分をとって差分プロファイルを生成する工程と、前記差分プロファイルに基づいて前記パターンのエッジの上端の位置を検出する工程と、前記2方向からの画像データの何れかから抽出されたラインプロファイルに基づいて、前記エッジの下端の位置を検出する工程と、を有するパターン測定方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
上記観点のパターン測定装置によれば、前記パターンのエッジの上端の位置を前記光軸を挟んで対向する2方向からの画像データからそれぞれ作成された2つのラインプロファイルの差分に基づいて検出する。これにより、パターンのエッジの上端付近で電子の拡散によって生じるホワイトバンドの広がりを打ち消すことができ、エッジの幅が1次電子ビームの径よりも小さくなった場合であってもエッジの上端の位置が正確に求まる。
【0013】
また、パターンのエッジの下端の位置を片方の画像データから作成したラインプロファイルに基づいて検出するので、差分プロファイルを用いる場合に比べてノイズ成分を抑制でき、エッジの下端位置を正確に検出できる。
【0014】
これにより、精度よくエッジの幅及び傾斜角を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、実施形態に係る走査型電子顕微鏡(パターン測定装置)の構成図である。
【図2】図2は、図1の電子検出器の配置を示す斜視図である。
【図3】図3は、図1の信号処理部が生成する画像データの模式図である。
【図4】図4は、第1のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図5】図5は、第1のアルゴリズムで生成される信号波形とパターンのエッジとの関係を示す模式図である。
【図6】図6は、パターンのエッジの上端付近で発生する二次電子の拡散の影響を示す模式図である。
【図7】図7は、第2のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図8】図8は、第2のアルゴリズムで生成される信号波形とパターンのエッジとの関係を示す模式図である。
【図9】図9は、実験例1の試料のSEM画像(差分画像)及び差分プロファイルを示す図である。
【図10】図10は、差分プロファイル及びその微分プロファイルの一例を示すグラフである。
【図11】図11は、第2のアルゴリズムでエッジの下端の検出が困難になる理由を説明する模式図である。
【図12】図12は、第3のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図13】図13は、第3のアルゴリズムで生成される信号波形とパターンのエッジとの関係を示す模式図である。
【図14】図14は、実験例2の第1の試料及び第2の試料の断面のSEM画像である。
【図15】図15は、実験例2の第1の試料のエッジ傾斜角の測定結果を示す図である。
【図16】図16は、実験例2の第2の試料のエッジ傾斜角の測定結果を示す図である。
【図17】図17は、第1のアルゴリズム及び第3のアルゴリズムのそれぞれの測定結果と断面観察による測定結果との差を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、実施形態に係る走査型電子顕微鏡の構成図である。
【0018】
この走査型電子顕微鏡100は、電子走査部10と、信号処理部30と、画像表示部24と、記憶部23と、制御部20とに大別される。
【0019】
電子走査部10は、電子銃1を備え、この電子銃1からは所定の加速電圧で電子が放出される。電子銃1から放出された電子はコンデンサレンズ2で収束されて1次電子ビーム9となり、その電子ビーム9は偏向コイル3で偏向された後、対物レンズ4によって焦点合わせされて試料7の表面に照射される。電子走査部10は、偏向コイル3で電子ビーム9を偏向させることにより、電子ビーム9を試料7の表面の観察領域内で走査させる。
【0020】
一次電子ビーム9の照射によって、試料7の表面からは二次電子が放出され、放出された二次電子は、試料ステージ5の上方に設けられた複数の電子検出器8によって検出される。
【0021】
図2は、電子検出器8a〜8dの配置を示す斜視図である。
【0022】
ここでは、図2のように、4台の電子検出器8a〜8dが、電子ビーム9の光軸の周りに互いに均等な角度(90°)を開けて配置されている。なお、電子検出器の数は4台でなくてもよく、2以上の任意の数とすればよい。
【0023】
各電子検出器8a〜8dで検出された二次電子の量は、それぞれ検出信号ch1〜ch4として信号処理部30(図1参照)に出力される。
【0024】
図1の信号処理部30は、検出された二次電子の量をAD変換機でデジタル量に変換する。そして、二次電子の量と偏向コイル3による一次電子ビーム9の偏向位置とを対応づけて二次元配列上に並べて画像データ(SEM画像)を生成する。
【0025】
図3は、信号処理部30によって生成される画像データの一例を示している。
【0026】
信号処理部30は、異なる方向に配置された電子検出器8a〜8dでそれぞれ検出した
電子量に基づいて、左下画像a1、左上画像a2、右上画像a3及び右下画像a4の各画像を生成する。これらの画像は、各電子検出器8a〜8dの方向に放出された二次電子の量を反映しており、試料7の表面に形成されたパターンのエッジの向きによって輝度値が異なる。すなわち左向きのエッジ(斜面の法線方向が左方向のエッジ)に対しては、左下及び左上の電子検出器8a、8bの信号の方が、右上及び右下の電子検出器8c、8dからの信号よりも大きくなる。また、右向きのエッジ(斜面の法線方向が右方向のエッジ)に対しては、右上及び右下の電子検出器8c、8dの信号の方が、左下及び左上の電子検出器8a、8bからの信号よりも大きくなる。
【0027】
さらに、信号処理部30は、隣接する検出信号同士を加算して、各電子検出器8a〜8dの中間方向の画像データ(SEM画像)を生成する。例えば、左下の電子検出器8aからの検出信号ch1と左上の電子検出器8bからの検出信号ch2とを加算して左画像a5を生成し、右上の電子検出器8cからの検出信号ch3と右下の電子検出器8dからの検出信号ch4とを加算して右画像a6を生成する。
【0028】
さらに、信号処理部30は、各検出信号ch1〜ch4の全てを加算して全加算画像a9を生成する。この全加算画像a9は、一般的な走査型電子顕微鏡によるSEM画像と同様に、いずれの方向のエッジも高い輝度で表示され、エッジの向きによる輝度の差はほとんど現れない。
【0029】
信号処理部30で生成された画像データは、図1に示す記憶部23に格納されるとともに、一部の画像は輝度信号に置き換えられて画像表示部24で表示される。
【0030】
上記の電子走査部10、信号処理部30、画像表示部24及び記憶部23は制御部20によって制御される。また、制御部20には、パターンのエッジ幅及びエッジ傾斜角の検出を行うためのプロファイル作成部21及びエッジ検出部22が設けられている。
【0031】
プロファイル作成部21は、指定された領域の画像データを抽出し、その画像データから、所定方向のラインに沿った輝度値の分布(ラインプロファイル)を抽出する。
【0032】
エッジ検出部22は、プロファイル作成部21が作成したラインプロファイルに基づいて、パターンのエッジ幅を検出する。さらに、エッジ検出部22は、検出したエッジ幅と既知のパターン高さとに基づいてエッジの傾斜角を算出する。
【0033】
次に、図1の走査型電子顕微鏡100によるパターンのエッジの幅及び傾斜角の測定のための第1のアルゴリズムについて説明する。
【0034】
(第1のアルゴリズム)
図4は、第1のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【0035】
まず、図4のステップS11において、信号処理部30が試料7の表面の観察領域71の全加算画像a9を生成する。
【0036】
図5(a)は、試料7の一例を示す斜視図である。ここでは、試料7は、図示のようにフォトマスク基板50と、そのフォトマスク基板50の上に形成されたラインパターン51とを備えているものとする。ラインパターン51の周囲には、傾斜したエッジ(側壁)が形成されている。図中、破線で囲んだ部分は、走査電子顕微鏡100による電子ビーム9の走査が行われる観察領域71である。
【0037】
ステップS11により、図5(a)の観察領域71で電子ビーム9の走査が行われ、信
号処理部30によって各電子検出器8a〜8dの信号が加算されて、図5(b)に示すような、全加算画像a9が生成される。
【0038】
次に、図4のステップS12において、制御部20のプロファイル作成部21が全加算画像a9からラインプロファイルを抽出する。
【0039】
ここでは、図5(b)のように、観察領域71から更にエッジ付近を含む領域に限定された検査領域71aを設定する。検査領域71aは、例えば幅H1が400ピクセルであり、長さがLの領域であるものとする。この検査領域71aは、上側ラインマーカーLM1、下側ラインマーカーLM2、左側ラインマーカーLM3及び右側ラインマーカーLM4によってオペレータによって選択される。
【0040】
次に、プロファイル作成部21は、抽出した検査領域71aの画像をH1方向に複数の領域に分割し、分割した領域のピクセルデータからI−I線方向の輝度の分布(ラインプロファイル)を抽出する。なお、ラインプロファイルを求めるときに、長さL方向に例えば3ピクセル幅でスムージング処理を行ってノイズ成分を抑制してもよい。
【0041】
図5(c)の中段に、図5(b)の検査領域71aから抽出したラインプロファイルの一例を示す。図示のように、全加算画像a9から抽出したラインプロファイルではパターンのエッジ部分に輝度値のピークが現れ、輝度値が急激に変化する。
【0042】
次に、図4のステップS13において、制御部20のエッジ検出部22がラインプロファイルを微分して微分プロファイルを生成する。
【0043】
図5(c)の上段に、微分プロファイルの一例を示す。図示のように、微分プロファイルにはラインプロファイルのピークの立ち上がり部分と立下り部分に対応した極大値及び極小値が現れる。
【0044】
次に、図4のステップS14において、エッジ検出部22が微分プロファイルから極大値の位置P1及び極小値の位置P2を検出する。そして、極大値の位置P1から極小値の位置P2までの距離をエッジ幅として求める。
【0045】
なお、極大値及び極小値の位置P1、P2を検出する場合は、図5(d)のように、ピーク前後の複数の微分信号からピクセル間を補完した微分波形C1、C2を求めることにより、微分プロファイルの極大値P1及び極小値P2の位置をより正確に求めてもよい。
【0046】
さらに、上記のエッジ幅の検出処理を分割したそれぞれの領域で行い、各領域で算出したエッジの幅の平均値を求めることにより、より正確なエッジの幅W1を求める。
【0047】
その後、図4のステップS15に移行して、エッジ検出部22は、エッジ幅W1と既知のパターン高さHとに基づいてエッジの傾斜角θを、θ=tan-1(H/W1)として求め、第1のアルゴリズムを終了する。
【0048】
上記のように、第1のアルゴリズムでは、全加算画像a9からラインプロファイルを抽出し、これを微分した微分プロファイルを求める。そして、微分プロファイルの極大値から極小値までの距離に基づいて、エッジ幅及びエッジ傾斜角を検出する。
【0049】
ところが、全加算画像a9のラインプロファイルのエッジ部分に現れるピークの幅は、1次電子ビームの径よりも小さくなることはない。そのため、第1のアルゴリズムでは、1次電子ビーム9の径よりも狭いエッジ幅を正確に求めることができない。
【0050】
また、図6のように、1次電子ビーム9がエッジ51aから離れているにもかかわらず、パターン51の内部で発生した二次電子が拡散してエッジ51aの上端に到達し、二次電子がパターン51のエッジ51aの上端から高い輝度で放出される現象が発生する。これにより、エッジ幅が1次電子ビームの径よりも大きい場合であっても、検出されるエッジ幅が実際のエッジ幅よりも広くなってしまい、エッジ幅を及びエッジ傾斜角を正確に測定できない。
【0051】
そこで、第1のアルゴリズムよりも正確にエッジ幅及びエッジ傾斜角を測定できる第2のアルゴリズムについて説明する。
【0052】
(第2のアルゴリズム)
図7は、第2のアルゴリズムを示すフローチャートであり、図8は第2のアルゴリズムで生成される信号波形とパターンのエッジとの関係を示す模式図である。
【0053】
先ず、図7のステップS21において、走査型電子顕微鏡100の信号処理部30は、電子ビーム9の光軸を挟んで向かい合う2方向からの画像データを生成する。ここでは、検出対象となるパターンのエッジの延在方向と直交する2方向からの画像データを生成するものとする。
【0054】
例えば、図8の下段に示すように、基板60の上に図の紙面に垂直な方向に延在するパターン61が形成されている場合には、紙面の左右方向に配置された電子検出器からの画像を生成する。ここでは、左側からの画像が左画像a5であり、右側からの画像が右画像a6であるものとする。
【0055】
次に、図7のステップS22において、信号処理部30がステップS21で生成した2つの画像の差分をとって差分画像を生成する。図8の場合には、左画像a5と右画像a6との差分画像を生成する。
【0056】
次に、図7のステップS23に移行して、制御部20のプロファイル作成部21が差分画像からパターンの延在方向と直交するラインに沿った差分値の分布を抽出して差分プロファイルを作成する。
【0057】
なお、ステップS22の差分画像の生成を省略し、図8のように、左画像a5及び右画像a6からそれぞれラインプロファイルL1,L2を抽出し、それらのラインプロファイルL1、L2の差分をとって差分プロファイルL3を求めてもよい。
【0058】
これにより、図8の場合には、上段に示すような差分プロファイルL3(L−R信号)が得られる。差分プロファイルでは基板60及びパターン61の表面の平坦な領域で差分値がゼロに近くなる。また、左側の傾斜61aでの差分値はプラス側に強調され、右側の傾斜61bでの差分値はマイナス側に強調される。このように、差分プロファイルでは、試料表面のエッジ61a、61bからの信号が強調され、平坦な領域からの信号が打ち消される。さらに、エッジ61a、61bの上端付近で二次電子の拡散によって生じるホワイトバンドの広がりは、左画像及び右画像との差分をとることにより消去される。
【0059】
このような差分プロファイルにおいて、エッジ付近にはL信号L1及びR信号L2の変化率の差を反映した段差77が現れ、その段差77を上回る部分として差分プロファイルのピークが現れる。この差分プロファイルのピーク(段差を上回る部分)の幅は、パターン61のエッジ61a、61bの幅を反映しており、パターンの幅が1次電子ビームの径よりも狭くなった場合であっても、エッジ61a、61bの幅と良好な相関を有する。
【0060】
そこで、次のステップS24(図7参照)において、制御部20のエッジ検出部22は差分プロファイルを微分し、エッジに対応するピーク付近で微分値の極大値及び極小値の位置を検出する。
【0061】
例えば図8の差分プロファイルの場合には、微分値の極大値の位置がそれぞれQ1、Q4として検出され、微分値の極小値の位置がそれぞれQ2、Q3として検出される。
【0062】
次に、図7のステップS25において、エッジ検出部22はステップS24で検出した微分値の極大値の位置から極小値との位置までの距離に基づいてエッジ幅を検出する。図8の場合には、微分値の極大値の位置Q1から極小値の位置Q2までの距離が左側のエッジ61aの幅として検出され、微分値の極小値の位置Q3から極大値の位置Q4までの距離が右側のエッジ61bの幅として検出される。
【0063】
その後、図7のステップS26において、エッジ検出部22はステップS25で検出したエッジ幅Wと、予め別の方法等で求めたパターンの高さHとに基づいて、エッジの傾斜角θをθ=tan-1(H/W)として求める。
【0064】
上記のように、第2のアルゴリズムでは、電子ビームの光軸を挟んで向かい合う2方向からの信号(画像)の差分プロファイルを用いる。これにより、パターンのエッジから情報を抽出することができ、エッジ上端付近で電子ビームの拡散によって生じるホワイトバンドの広がりの影響を排除することができる。そして、パターンのエッジの幅が電子ビームの径よりも狭くなった場合であっても、エッジの傾斜角を精度よく検出できる。
【0065】
(実験例1)
以下、電子ビーム光軸を挟んで対向する2方向からの画像データの差分画像及び差分プロファイルのピークとエッジの傾斜角との相関について調べた実験例1について説明する。
【0066】
図9(a)は、エッジに傾斜があるライン/スペースパターン(試料)63の差分画像及びラインプロファイルを示している。なお、図9(a)の試料63は、ガラス基板の上に厚さが約70nm程度のクロム膜からなるラインパターンを形成したものである。図中の領域63aはスペースの部分に対応し、領域63bはラインパターンの部分に対応する。
【0067】
図示のように、差分画像ではラインパターン63bの左側のエッジに対応する部分が高い輝度で白く表示され、パターン63bの右側のエッジに対応する部分が低い輝度で黒く表示される。差分プロファイルL4に着目すると、左側のエッジに対応する部分で、部分拡大図に示すように段差65が現れている。そして、この段差65の隣に、幅数nm程度の範囲にわたって段差65から突出したピーク66が確認できる。
【0068】
図9(b)は、エッジが垂直に切り立ったライン/スペースパターン64の差分画像及びラインプロファイルを示している。図中の領域64aはスペースの部分に対応し、領域64bはラインパターンの部分に対応する。
【0069】
図示のように、エッジが垂直なパターン64bでも、パターン64bの左側のエッジに対応する部分が高い輝度で白く表示され、パターン64bの右側のエッジに対応する部分が低い輝度で黒く表示される。
【0070】
しかし、差分プロファイルL5に着目すると、部分拡大図に示すように、エッジ付近で
は段差が現れず、段差から突出したピーク部分も現れない。これは、エッジ傾斜角が90°でエッジ幅が略ゼロであることを反映して、ピークの幅もゼロとなってピークが消滅したことを示している。
【0071】
上記の図9(a)及び図9(b)の結果から、差分プロファイルの段差から突出したピークの幅は、パターンのエッジ幅と相関があることがわかる。
【0072】
上記のように、第2のアルゴリズムでは、差分プロファイルのエッジ付近の段差及びピークを検出することでエッジ幅を求めている。しかし、実際の検査では、試料表面を観察した画像にノイズ成分が多く含まれる場合がある。
【0073】
図10は、エッジ付近の差分プロファイル及び微分プロファイルの一例を示すグラフである。
【0074】
図10(a)に示す差分プロファイルでは、差分プロファイルの立ち上がり部分81でノイズ成分による凹凸が複数現れる。そのため、エッジ幅に由来する段差とノイズ成分による凹凸(段差)との識別が困難となる。
【0075】
図10(a)の差分プロファイルを微分すると、図10(b)のような微分プロファイルが得られる。図10(b)の微分プロファイルによれば、微分値の極小値の位置Q2(エッジの上端の位置)は明確に検出できる。しかし、微分値の極大値の位置はノイズ成分に隠れてしまい、極大値(エッジの下端の位置)の検出は困難である。
【0076】
このように、画像データにノイズ成分が多く含まれていると、エッジの下端の検出が困難となる。また、一般に、エッジ傾斜角が増大してエッジ幅が狭くなるほど段差及びピークが小さくなり、ノイズの影響を受けやすくなってエッジ幅の検出が困難となる。
【0077】
図11は、差分プロファイルでエッジの下端の検出が困難となる原因を説明する模式図である。
【0078】
図11に示すように、差分プロファイルはパターン61の左側の電子検出器Lchと、右側の電子検出器Rchとの差分として求めている。ここで、右側の電子検出器Rchの信号に着目する。1次電子ビーム9の照射位置が矢印Fで示される範囲内の場合には、試料表面から発生した二次電子がパターン61によって遮られてしまい、右側の電子検出器Rchに届きにくくなる。そのため、矢印Fの範囲は右画像a6では輝度が低い影の部分となる。この影の部分では、電子検出器Rchの信号から左側のエッジ61aの下端付近の情報がほとんど得られず、その部分でノイズの比率が相対的に増加する。したがって、電子検出器Lch及びRchに基づいて差分プロファイルを生成すると、エッジ61aの下端付近で差分プロファイルのノイズの割合が相対的に増加する。同様の現象は、パターン61の右側のエッジ61bでも発生する。
【0079】
そこで、ノイズの割合が多い場合には、以下に説明する第3のアルゴリズムで、パターンの幅を検出する。
【0080】
(第3のアルゴリズム)
図12は、第3のアルゴリズムを示すフローチャートであり、図13は第3のアルゴリズムで生成される信号波形とパターンのエッジとの関係を示す模式図である。
【0081】
まず、図12のステップS31において、走査型電子顕微鏡100の信号処理部30が、電子ビーム9の光軸を挟んで対向する2方向からの画像を生成する。例えば、図13の
試料のように、基板60上に紙面に垂直な方向に延在するパターン61が形成されている場合には、紙面左側からの画像(左画像a5)と右側からの画像(右画像a6)とを生成する。
【0082】
次に、図12のステップS32において、信号処理部30は、ステップS31で生成した2方向からの画像の差分をとって差分画像を生成する。
【0083】
次に、ステップS33に移行して、制御部20のプロファイル生成部21が、ステップS31で生成した2枚の画像から、それぞれ第1のラインプロファイルL6(L信号)及び第2のラインプロファイルL7(R信号)を抽出する。また、プロファイル生成部21は、ステップS32で生成した差分画像から、差分プロファイルL8(L−R信号)を抽出する。
【0084】
なお、上記のステップS32による差分画像の生成を省略し、ステップS33で抽出したラインプロファイルL6、L7の差分を取って差分プロファイルL8を求めてもよい。
【0085】
次に、図12のステップS34において、制御部20のエッジ検出部22は、ステップS34で抽出された差分プロファイルL8に基づいてエッジの上端の位置を検出する。
【0086】
ここでは、図13の差分プロファイルL8の微分をとり、その微分値の極小値の位置R2を左側のエッジ61aの上端の位置として検出する。また、微分値の極小値の位置R3を右側のエッジ61bの上端の位置として検出する。
【0087】
次に、図12のステップS35において、エッジ検出部22は、検出対象となるエッジに対して影を生じない側の画像から抽出したラインプロファイルに基づいてエッジの下端の位置を検出する。
【0088】
例えば、検出対象となるエッジが、図13の左側のエッジ61aの場合には、左側のエッジ61aで影を生じない側の信号、すなわち左画像a5から抽出したラインプロファイルL6(L信号)を用意する。そして、ラインプロファイルL6を微分し、左側のエッジ61a付近での微分値の極大値の位置R1を求める。この微分値の極大値の位置R1を左側のエッジ61aの下端の位置として検出する。
【0089】
また、右側のエッジ61bについては、右画像a6から抽出したラインプロファイルL7(R信号)を用意する。そしてこのラインプロファイルL7を微分して右側のエッジ61b付近での微分値の極小値の位置R4を求める。この微分値の極小値の位置R4を右側のエッジ61bの下端の位置として検出する。
【0090】
上記のように、ステップS35(図12参照)では、エッジの下端の位置を、検出対象となるエッジに対して影を生じない側の画像から抽出したラインプロファイルに基づいて検出する。このような影を生じない側の画像から抽出したラインプロファイルは、エッジの側面から下端にかけての情報が含まれている。そのため、差分プロファイルL8を用いる場合に比べて、ノイズ成分の割合が小さくなり、エッジの下端位置を正確に検出できる。
【0091】
次に、図12のステップS36において、エッジ検出部22は、ステップS34で検出したエッジの上端位置とステップS35で検出したエッジの下端位置とに基づいてエッジの幅Wを検出する。
【0092】
その後、ステップS37において、ステップS36で検出したエッジ幅Wと予め別の方
法で測定して求めたパターン高さHとに基づいて、エッジ傾斜角θをθ=tan-1(H/W)により求め、第3のアルゴリズムを終了する。
【0093】
上記のように、第3のアルゴリズムによれば、差分プロファイルに基づいてエッジの上端位置を求め、エッジの影とならない側の画像から抽出したラインプロファイルに基づいてエッジの下端位置を求める。これにより、差分プロファイルにノイズ成分が多く含まれる場合や、エッジ幅が狭くて差分プロファイルの段差及びピークが小さい場合であっても、エッジ幅及びエッジ傾斜角を正確に求めることができる。
【0094】
(実験例2)
以下、第1のアルゴリズム、第3のアルゴリズム及び断面のSEM観察の3つの方法でパターンのエッジの傾斜角を求めた実験例2について説明する。
【0095】
まず、ガラス基板上の複数の箇所に厚さが約84nm、幅が約200nmの孤立したラインパターンを形成した試料を作成し、ガラス基板上の異なる2か所のラインパターン(第1の試料及び第2の試料)を選び出してエッジ傾斜角の測定を行った。
【0096】
図14(a)、(b)は、本実験例に用いた試料の断面を高解像度の走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す図である。
【0097】
第1の試料の断面観察により、図14(a)のようなSEM画像が得られた。この画像から、第1の試料の左側のエッジの傾斜角θが84.4°、右側のエッジの傾斜角θは83.4°と求まった。
【0098】
また、第2の試料の断面観察により、図14(b)のようなSEM画像が得られた。この画像から、第2の試料の左側のエッジの傾斜角θが87.4°、右側のエッジの傾斜角θが86.9°と求まった。
【0099】
次に、第1の試料について、第1のアルゴリズム及び第3のアルゴリズムでエッジ傾斜角を求めた結果について説明する。
【0100】
図15(a)は、実験例2の第1の試料のエッジ傾斜角を第3のアルゴリズムで検出した結果を示す模式図である。
【0101】
図15(a)の中央のSEM画像のように、第1の試料のラインパターンは、そのエッジの位置が幅方向にばらついている。そこで、本実験例ではラインパターンの長手方向に10の小領域に分割し、その各領域でラインプロファイル及び差分プロファイルを抽出した。さらに、抽出したラインプロファイル及び差分プロファイルに基づいて、第3のアルゴリズムでエッジの上端及び下端の位置及びエッジ傾斜角θ°を求めた。そして、各領域で求めたエッジ傾斜角の平均を求めることにより、第1の試料のエッジ傾斜角を求めた。
【0102】
その結果、第3のアルゴリズムによれば、第1の試料のエッジの傾斜角は、左側エッジの傾斜角が83.4°であり、右側のエッジの傾斜角が82.3°であった。
【0103】
その後、第1のアルゴリズムにより第1の試料のエッジ傾斜角を求めた。
【0104】
図15(b)は、第1の試料のエッジ傾斜角を第1のアルゴリズムで求めた結果を、断面観察、第3のアルゴリズムで求めた結果と共に示す図である。
【0105】
図15(b)のように、第1のアルゴリズムは、他の方法に比べてエッジ傾斜角が小さ
くなっており、エッジ幅が実際よりも大きく検出されていることがわかる。また、第3のアルゴリズムでは、第1のアルゴリズムよりも、断面観察の結果により近いエッジ傾斜角が得られ、第1のアルゴリズムよりも精度よくエッジ幅及びエッジ傾斜角を測定できることがわかる。
【0106】
次に、第2の試料について、第3のアルゴリズム及び第1のアルゴリズムでエッジ傾斜角を求めた結果について説明する。
【0107】
図16(a)は、第2の試料のエッジ傾斜角を第3のアルゴリズムで求めた結果を示し、図16(b)は第1のアルゴリズムで求めた第2の試料のエッジ傾斜角の測定結果を、断面観察及び第3のアルゴリズムでそれぞれ求めたエッジの傾斜角と比較して示す図である。
【0108】
図示のように、第3のアルゴリズムによれば、第2の試料の左側のエッジの傾斜角は86.73°であり、右側のエッジの傾斜角は85.49°であった。これに対し、第1のアルゴリズムによれば、第2の試料の左側のエッジの傾斜角は84.4°であり、右側のエッジの傾斜角は84.0であった。
【0109】
第2の試料についても、第3のアルゴリズムの方が第1のアルゴリズムよりも断面観察により近い測定結果が得られ、第1のアルゴリズムよりも精度よくエッジ幅及びエッジ傾斜角の測定を行えることがわかる。
【0110】
次に、ガラス基板上でそれぞれ異なる箇所に形成された4つのパターンを用い、第1のアルゴリズム及び第3のアルゴリズムの測定結果のばらつきを調べた。
【0111】
図17は、第1のアルゴリズム及び第3のアルゴリズムのそれぞれの測定結果を、断面観察による測定結果との差として示す図である。
【0112】
図17に示すように、第3のアルゴリズムで求めたエッジ傾斜角は、第1のアルゴリズムで求めたエッジ傾斜角に比べて断面観察による測定結果により近い値となっている。また、第3のアルゴリズムの測定結果のばらつきの範囲は、第1のアルゴリズムの測定結果のばらつきの範囲よりも狭い範囲に収まっていることがわかる。
【0113】
この結果から、第3のアルゴリズムでは測定値のばらつきがより少なくなり、第1のアルゴリズムよりも精度よくパターンのエッジ傾斜角を測定できることがわかる。
【符号の説明】
【0114】
1…電子銃、2…収束レンズ、3…偏向コイル、4…対物レンズ、5…試料ステージ、7、63、64…試料、8、8a、8b、8c、8d…電子検出器、9…電子ビーム、10…電子走査部、20…制御部、21…プロファイル作成部、22…エッジ検出部、23…記憶部、24…画像表示部、30…信号処理部、50、60…基板、51、61、63b、64b…パターン、51a、51b、61a、61b、63c…エッジ、63a、64a…スペース、65、77…段差、66、67…ピーク、71…観察領域、71a…検査領域。
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン測定装置及びパターン測定方法に関し、特に電子ビームで試料表面を走査してパターンの形状の測定を行うパターン測定装置及びパターン測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の更なる微細化及び高集積化を目指して、極端紫外(EUV)光源を用いる露光技術や、ナノインプリントといった新たなリソグラフィ技術の開発が進められている。これらのリソグラフィ技術では、高いパターン転写精度が要求されることから、精度に影響を及ぼすマスクパターンのエッジの傾斜角の管理が重要となっている。そのため、マスクパターンの製造に際しては、パターンのエッジ傾斜角を正確に評価することが求められる。
【0003】
パターンのエッジ傾斜角の測定方法の一つとして、走査型電子顕微鏡で撮像した二次電子像を用いる方法がある。この方法では、パターンの二次電子像において、パターンのエッジ部分に現れる輝度の高い帯状の領域(ホワイトバンド)の幅をエッジの幅として検出する。そして、このホワイトバンドの幅と、既知のパターンの高さとに基づいてエッジの傾斜角を求める。
【0004】
しかし、この方法では、ホワイトバンドの幅が1次電子ビームの径よりも狭くなることはなく、エッジ幅が1次電子ビームよりも狭くなった場合に、エッジの幅及び傾斜角を正確に検出できない。
【0005】
また、試料を切断した断面を高解像度の電子顕微鏡で観察してエッジの傾斜角を直接求める方法もある。この方法では精度よくエッジの傾斜角を求めることができるが、試料の調整に時間を要し、測定に用いた試料も破壊されてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−296754号公報
【特許文献2】特開2005−195361号公報
【特許文献3】特開2007−292732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、パターンのエッジの幅及び傾斜角を高精度に測定できるパターン測定装置及パターン測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一観点によれば、電子ビームを試料表面の観察領域に照射するとともに、前記観察領域内で前記電子ビームを走査させる電子走査部と、前記電子ビームの光軸の周りに配置され、前記電子ビームの照射によって前記試料の表面から放出される電子を検出する複数の電子検出器と、前記電子検出器の検出信号に基づいて、前記観察領域をそれぞれ異なる方向から写した複数の画像データを生成する信号処理部と、前記光軸を挟んで対向する2方向からの前記画像データから、それぞれ前記試料上に形成されたパターンのラインプロファイルを抽出するとともに、前記2方向の画像データから抽出したラインプロファイルの差分を取った差分プロファイルを生成するプロファイル作成部と、前記差分プロファイルに
基づいて前記パターンのエッジの上端の位置を検出するとともに、前記2方向からの画像データの何れか一方から抽出したラインプロファイルに基づいて前記エッジの下端の位置を検出するエッジ検出部と、を備えるパターン測定装置が提供される。
【0009】
上記観点のパターン測定装置において、前記エッジ検出部は、前記パターンのエッジの下端の位置を該エッジによる影を生じない方向からの画像データから抽出したラインプロファイルに基づいて検出してもよい。
【0010】
また、前記エッジ検出部は、前記差分プロファイルの微分値の極小値の位置を前記エッジの上端の位置として検出してもよい。
【0011】
さらに、別の一観点によれば、試料の表面に電子ビームを照射して前記試料の表面から放出される電子の量を、前記電子ビームの光軸の周りに複数配置された電子検出器で検出するパターン測定方法であって、前記電子検出器からの検出信号に基づいて、前記試料の表面を複数の異なる方向から写した画像データを生成する工程と、前記光軸を挟んで対向する2方向からの画像データに基づいて、前記試料上に形成されたパターンのラインプロファイルを抽出する工程と、前記光軸を挟んで対向する2方向からの画像データから抽出されたラインプロファイルの差分をとって差分プロファイルを生成する工程と、前記差分プロファイルに基づいて前記パターンのエッジの上端の位置を検出する工程と、前記2方向からの画像データの何れかから抽出されたラインプロファイルに基づいて、前記エッジの下端の位置を検出する工程と、を有するパターン測定方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
上記観点のパターン測定装置によれば、前記パターンのエッジの上端の位置を前記光軸を挟んで対向する2方向からの画像データからそれぞれ作成された2つのラインプロファイルの差分に基づいて検出する。これにより、パターンのエッジの上端付近で電子の拡散によって生じるホワイトバンドの広がりを打ち消すことができ、エッジの幅が1次電子ビームの径よりも小さくなった場合であってもエッジの上端の位置が正確に求まる。
【0013】
また、パターンのエッジの下端の位置を片方の画像データから作成したラインプロファイルに基づいて検出するので、差分プロファイルを用いる場合に比べてノイズ成分を抑制でき、エッジの下端位置を正確に検出できる。
【0014】
これにより、精度よくエッジの幅及び傾斜角を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、実施形態に係る走査型電子顕微鏡(パターン測定装置)の構成図である。
【図2】図2は、図1の電子検出器の配置を示す斜視図である。
【図3】図3は、図1の信号処理部が生成する画像データの模式図である。
【図4】図4は、第1のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図5】図5は、第1のアルゴリズムで生成される信号波形とパターンのエッジとの関係を示す模式図である。
【図6】図6は、パターンのエッジの上端付近で発生する二次電子の拡散の影響を示す模式図である。
【図7】図7は、第2のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図8】図8は、第2のアルゴリズムで生成される信号波形とパターンのエッジとの関係を示す模式図である。
【図9】図9は、実験例1の試料のSEM画像(差分画像)及び差分プロファイルを示す図である。
【図10】図10は、差分プロファイル及びその微分プロファイルの一例を示すグラフである。
【図11】図11は、第2のアルゴリズムでエッジの下端の検出が困難になる理由を説明する模式図である。
【図12】図12は、第3のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図13】図13は、第3のアルゴリズムで生成される信号波形とパターンのエッジとの関係を示す模式図である。
【図14】図14は、実験例2の第1の試料及び第2の試料の断面のSEM画像である。
【図15】図15は、実験例2の第1の試料のエッジ傾斜角の測定結果を示す図である。
【図16】図16は、実験例2の第2の試料のエッジ傾斜角の測定結果を示す図である。
【図17】図17は、第1のアルゴリズム及び第3のアルゴリズムのそれぞれの測定結果と断面観察による測定結果との差を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、実施形態に係る走査型電子顕微鏡の構成図である。
【0018】
この走査型電子顕微鏡100は、電子走査部10と、信号処理部30と、画像表示部24と、記憶部23と、制御部20とに大別される。
【0019】
電子走査部10は、電子銃1を備え、この電子銃1からは所定の加速電圧で電子が放出される。電子銃1から放出された電子はコンデンサレンズ2で収束されて1次電子ビーム9となり、その電子ビーム9は偏向コイル3で偏向された後、対物レンズ4によって焦点合わせされて試料7の表面に照射される。電子走査部10は、偏向コイル3で電子ビーム9を偏向させることにより、電子ビーム9を試料7の表面の観察領域内で走査させる。
【0020】
一次電子ビーム9の照射によって、試料7の表面からは二次電子が放出され、放出された二次電子は、試料ステージ5の上方に設けられた複数の電子検出器8によって検出される。
【0021】
図2は、電子検出器8a〜8dの配置を示す斜視図である。
【0022】
ここでは、図2のように、4台の電子検出器8a〜8dが、電子ビーム9の光軸の周りに互いに均等な角度(90°)を開けて配置されている。なお、電子検出器の数は4台でなくてもよく、2以上の任意の数とすればよい。
【0023】
各電子検出器8a〜8dで検出された二次電子の量は、それぞれ検出信号ch1〜ch4として信号処理部30(図1参照)に出力される。
【0024】
図1の信号処理部30は、検出された二次電子の量をAD変換機でデジタル量に変換する。そして、二次電子の量と偏向コイル3による一次電子ビーム9の偏向位置とを対応づけて二次元配列上に並べて画像データ(SEM画像)を生成する。
【0025】
図3は、信号処理部30によって生成される画像データの一例を示している。
【0026】
信号処理部30は、異なる方向に配置された電子検出器8a〜8dでそれぞれ検出した
電子量に基づいて、左下画像a1、左上画像a2、右上画像a3及び右下画像a4の各画像を生成する。これらの画像は、各電子検出器8a〜8dの方向に放出された二次電子の量を反映しており、試料7の表面に形成されたパターンのエッジの向きによって輝度値が異なる。すなわち左向きのエッジ(斜面の法線方向が左方向のエッジ)に対しては、左下及び左上の電子検出器8a、8bの信号の方が、右上及び右下の電子検出器8c、8dからの信号よりも大きくなる。また、右向きのエッジ(斜面の法線方向が右方向のエッジ)に対しては、右上及び右下の電子検出器8c、8dの信号の方が、左下及び左上の電子検出器8a、8bからの信号よりも大きくなる。
【0027】
さらに、信号処理部30は、隣接する検出信号同士を加算して、各電子検出器8a〜8dの中間方向の画像データ(SEM画像)を生成する。例えば、左下の電子検出器8aからの検出信号ch1と左上の電子検出器8bからの検出信号ch2とを加算して左画像a5を生成し、右上の電子検出器8cからの検出信号ch3と右下の電子検出器8dからの検出信号ch4とを加算して右画像a6を生成する。
【0028】
さらに、信号処理部30は、各検出信号ch1〜ch4の全てを加算して全加算画像a9を生成する。この全加算画像a9は、一般的な走査型電子顕微鏡によるSEM画像と同様に、いずれの方向のエッジも高い輝度で表示され、エッジの向きによる輝度の差はほとんど現れない。
【0029】
信号処理部30で生成された画像データは、図1に示す記憶部23に格納されるとともに、一部の画像は輝度信号に置き換えられて画像表示部24で表示される。
【0030】
上記の電子走査部10、信号処理部30、画像表示部24及び記憶部23は制御部20によって制御される。また、制御部20には、パターンのエッジ幅及びエッジ傾斜角の検出を行うためのプロファイル作成部21及びエッジ検出部22が設けられている。
【0031】
プロファイル作成部21は、指定された領域の画像データを抽出し、その画像データから、所定方向のラインに沿った輝度値の分布(ラインプロファイル)を抽出する。
【0032】
エッジ検出部22は、プロファイル作成部21が作成したラインプロファイルに基づいて、パターンのエッジ幅を検出する。さらに、エッジ検出部22は、検出したエッジ幅と既知のパターン高さとに基づいてエッジの傾斜角を算出する。
【0033】
次に、図1の走査型電子顕微鏡100によるパターンのエッジの幅及び傾斜角の測定のための第1のアルゴリズムについて説明する。
【0034】
(第1のアルゴリズム)
図4は、第1のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【0035】
まず、図4のステップS11において、信号処理部30が試料7の表面の観察領域71の全加算画像a9を生成する。
【0036】
図5(a)は、試料7の一例を示す斜視図である。ここでは、試料7は、図示のようにフォトマスク基板50と、そのフォトマスク基板50の上に形成されたラインパターン51とを備えているものとする。ラインパターン51の周囲には、傾斜したエッジ(側壁)が形成されている。図中、破線で囲んだ部分は、走査電子顕微鏡100による電子ビーム9の走査が行われる観察領域71である。
【0037】
ステップS11により、図5(a)の観察領域71で電子ビーム9の走査が行われ、信
号処理部30によって各電子検出器8a〜8dの信号が加算されて、図5(b)に示すような、全加算画像a9が生成される。
【0038】
次に、図4のステップS12において、制御部20のプロファイル作成部21が全加算画像a9からラインプロファイルを抽出する。
【0039】
ここでは、図5(b)のように、観察領域71から更にエッジ付近を含む領域に限定された検査領域71aを設定する。検査領域71aは、例えば幅H1が400ピクセルであり、長さがLの領域であるものとする。この検査領域71aは、上側ラインマーカーLM1、下側ラインマーカーLM2、左側ラインマーカーLM3及び右側ラインマーカーLM4によってオペレータによって選択される。
【0040】
次に、プロファイル作成部21は、抽出した検査領域71aの画像をH1方向に複数の領域に分割し、分割した領域のピクセルデータからI−I線方向の輝度の分布(ラインプロファイル)を抽出する。なお、ラインプロファイルを求めるときに、長さL方向に例えば3ピクセル幅でスムージング処理を行ってノイズ成分を抑制してもよい。
【0041】
図5(c)の中段に、図5(b)の検査領域71aから抽出したラインプロファイルの一例を示す。図示のように、全加算画像a9から抽出したラインプロファイルではパターンのエッジ部分に輝度値のピークが現れ、輝度値が急激に変化する。
【0042】
次に、図4のステップS13において、制御部20のエッジ検出部22がラインプロファイルを微分して微分プロファイルを生成する。
【0043】
図5(c)の上段に、微分プロファイルの一例を示す。図示のように、微分プロファイルにはラインプロファイルのピークの立ち上がり部分と立下り部分に対応した極大値及び極小値が現れる。
【0044】
次に、図4のステップS14において、エッジ検出部22が微分プロファイルから極大値の位置P1及び極小値の位置P2を検出する。そして、極大値の位置P1から極小値の位置P2までの距離をエッジ幅として求める。
【0045】
なお、極大値及び極小値の位置P1、P2を検出する場合は、図5(d)のように、ピーク前後の複数の微分信号からピクセル間を補完した微分波形C1、C2を求めることにより、微分プロファイルの極大値P1及び極小値P2の位置をより正確に求めてもよい。
【0046】
さらに、上記のエッジ幅の検出処理を分割したそれぞれの領域で行い、各領域で算出したエッジの幅の平均値を求めることにより、より正確なエッジの幅W1を求める。
【0047】
その後、図4のステップS15に移行して、エッジ検出部22は、エッジ幅W1と既知のパターン高さHとに基づいてエッジの傾斜角θを、θ=tan-1(H/W1)として求め、第1のアルゴリズムを終了する。
【0048】
上記のように、第1のアルゴリズムでは、全加算画像a9からラインプロファイルを抽出し、これを微分した微分プロファイルを求める。そして、微分プロファイルの極大値から極小値までの距離に基づいて、エッジ幅及びエッジ傾斜角を検出する。
【0049】
ところが、全加算画像a9のラインプロファイルのエッジ部分に現れるピークの幅は、1次電子ビームの径よりも小さくなることはない。そのため、第1のアルゴリズムでは、1次電子ビーム9の径よりも狭いエッジ幅を正確に求めることができない。
【0050】
また、図6のように、1次電子ビーム9がエッジ51aから離れているにもかかわらず、パターン51の内部で発生した二次電子が拡散してエッジ51aの上端に到達し、二次電子がパターン51のエッジ51aの上端から高い輝度で放出される現象が発生する。これにより、エッジ幅が1次電子ビームの径よりも大きい場合であっても、検出されるエッジ幅が実際のエッジ幅よりも広くなってしまい、エッジ幅を及びエッジ傾斜角を正確に測定できない。
【0051】
そこで、第1のアルゴリズムよりも正確にエッジ幅及びエッジ傾斜角を測定できる第2のアルゴリズムについて説明する。
【0052】
(第2のアルゴリズム)
図7は、第2のアルゴリズムを示すフローチャートであり、図8は第2のアルゴリズムで生成される信号波形とパターンのエッジとの関係を示す模式図である。
【0053】
先ず、図7のステップS21において、走査型電子顕微鏡100の信号処理部30は、電子ビーム9の光軸を挟んで向かい合う2方向からの画像データを生成する。ここでは、検出対象となるパターンのエッジの延在方向と直交する2方向からの画像データを生成するものとする。
【0054】
例えば、図8の下段に示すように、基板60の上に図の紙面に垂直な方向に延在するパターン61が形成されている場合には、紙面の左右方向に配置された電子検出器からの画像を生成する。ここでは、左側からの画像が左画像a5であり、右側からの画像が右画像a6であるものとする。
【0055】
次に、図7のステップS22において、信号処理部30がステップS21で生成した2つの画像の差分をとって差分画像を生成する。図8の場合には、左画像a5と右画像a6との差分画像を生成する。
【0056】
次に、図7のステップS23に移行して、制御部20のプロファイル作成部21が差分画像からパターンの延在方向と直交するラインに沿った差分値の分布を抽出して差分プロファイルを作成する。
【0057】
なお、ステップS22の差分画像の生成を省略し、図8のように、左画像a5及び右画像a6からそれぞれラインプロファイルL1,L2を抽出し、それらのラインプロファイルL1、L2の差分をとって差分プロファイルL3を求めてもよい。
【0058】
これにより、図8の場合には、上段に示すような差分プロファイルL3(L−R信号)が得られる。差分プロファイルでは基板60及びパターン61の表面の平坦な領域で差分値がゼロに近くなる。また、左側の傾斜61aでの差分値はプラス側に強調され、右側の傾斜61bでの差分値はマイナス側に強調される。このように、差分プロファイルでは、試料表面のエッジ61a、61bからの信号が強調され、平坦な領域からの信号が打ち消される。さらに、エッジ61a、61bの上端付近で二次電子の拡散によって生じるホワイトバンドの広がりは、左画像及び右画像との差分をとることにより消去される。
【0059】
このような差分プロファイルにおいて、エッジ付近にはL信号L1及びR信号L2の変化率の差を反映した段差77が現れ、その段差77を上回る部分として差分プロファイルのピークが現れる。この差分プロファイルのピーク(段差を上回る部分)の幅は、パターン61のエッジ61a、61bの幅を反映しており、パターンの幅が1次電子ビームの径よりも狭くなった場合であっても、エッジ61a、61bの幅と良好な相関を有する。
【0060】
そこで、次のステップS24(図7参照)において、制御部20のエッジ検出部22は差分プロファイルを微分し、エッジに対応するピーク付近で微分値の極大値及び極小値の位置を検出する。
【0061】
例えば図8の差分プロファイルの場合には、微分値の極大値の位置がそれぞれQ1、Q4として検出され、微分値の極小値の位置がそれぞれQ2、Q3として検出される。
【0062】
次に、図7のステップS25において、エッジ検出部22はステップS24で検出した微分値の極大値の位置から極小値との位置までの距離に基づいてエッジ幅を検出する。図8の場合には、微分値の極大値の位置Q1から極小値の位置Q2までの距離が左側のエッジ61aの幅として検出され、微分値の極小値の位置Q3から極大値の位置Q4までの距離が右側のエッジ61bの幅として検出される。
【0063】
その後、図7のステップS26において、エッジ検出部22はステップS25で検出したエッジ幅Wと、予め別の方法等で求めたパターンの高さHとに基づいて、エッジの傾斜角θをθ=tan-1(H/W)として求める。
【0064】
上記のように、第2のアルゴリズムでは、電子ビームの光軸を挟んで向かい合う2方向からの信号(画像)の差分プロファイルを用いる。これにより、パターンのエッジから情報を抽出することができ、エッジ上端付近で電子ビームの拡散によって生じるホワイトバンドの広がりの影響を排除することができる。そして、パターンのエッジの幅が電子ビームの径よりも狭くなった場合であっても、エッジの傾斜角を精度よく検出できる。
【0065】
(実験例1)
以下、電子ビーム光軸を挟んで対向する2方向からの画像データの差分画像及び差分プロファイルのピークとエッジの傾斜角との相関について調べた実験例1について説明する。
【0066】
図9(a)は、エッジに傾斜があるライン/スペースパターン(試料)63の差分画像及びラインプロファイルを示している。なお、図9(a)の試料63は、ガラス基板の上に厚さが約70nm程度のクロム膜からなるラインパターンを形成したものである。図中の領域63aはスペースの部分に対応し、領域63bはラインパターンの部分に対応する。
【0067】
図示のように、差分画像ではラインパターン63bの左側のエッジに対応する部分が高い輝度で白く表示され、パターン63bの右側のエッジに対応する部分が低い輝度で黒く表示される。差分プロファイルL4に着目すると、左側のエッジに対応する部分で、部分拡大図に示すように段差65が現れている。そして、この段差65の隣に、幅数nm程度の範囲にわたって段差65から突出したピーク66が確認できる。
【0068】
図9(b)は、エッジが垂直に切り立ったライン/スペースパターン64の差分画像及びラインプロファイルを示している。図中の領域64aはスペースの部分に対応し、領域64bはラインパターンの部分に対応する。
【0069】
図示のように、エッジが垂直なパターン64bでも、パターン64bの左側のエッジに対応する部分が高い輝度で白く表示され、パターン64bの右側のエッジに対応する部分が低い輝度で黒く表示される。
【0070】
しかし、差分プロファイルL5に着目すると、部分拡大図に示すように、エッジ付近で
は段差が現れず、段差から突出したピーク部分も現れない。これは、エッジ傾斜角が90°でエッジ幅が略ゼロであることを反映して、ピークの幅もゼロとなってピークが消滅したことを示している。
【0071】
上記の図9(a)及び図9(b)の結果から、差分プロファイルの段差から突出したピークの幅は、パターンのエッジ幅と相関があることがわかる。
【0072】
上記のように、第2のアルゴリズムでは、差分プロファイルのエッジ付近の段差及びピークを検出することでエッジ幅を求めている。しかし、実際の検査では、試料表面を観察した画像にノイズ成分が多く含まれる場合がある。
【0073】
図10は、エッジ付近の差分プロファイル及び微分プロファイルの一例を示すグラフである。
【0074】
図10(a)に示す差分プロファイルでは、差分プロファイルの立ち上がり部分81でノイズ成分による凹凸が複数現れる。そのため、エッジ幅に由来する段差とノイズ成分による凹凸(段差)との識別が困難となる。
【0075】
図10(a)の差分プロファイルを微分すると、図10(b)のような微分プロファイルが得られる。図10(b)の微分プロファイルによれば、微分値の極小値の位置Q2(エッジの上端の位置)は明確に検出できる。しかし、微分値の極大値の位置はノイズ成分に隠れてしまい、極大値(エッジの下端の位置)の検出は困難である。
【0076】
このように、画像データにノイズ成分が多く含まれていると、エッジの下端の検出が困難となる。また、一般に、エッジ傾斜角が増大してエッジ幅が狭くなるほど段差及びピークが小さくなり、ノイズの影響を受けやすくなってエッジ幅の検出が困難となる。
【0077】
図11は、差分プロファイルでエッジの下端の検出が困難となる原因を説明する模式図である。
【0078】
図11に示すように、差分プロファイルはパターン61の左側の電子検出器Lchと、右側の電子検出器Rchとの差分として求めている。ここで、右側の電子検出器Rchの信号に着目する。1次電子ビーム9の照射位置が矢印Fで示される範囲内の場合には、試料表面から発生した二次電子がパターン61によって遮られてしまい、右側の電子検出器Rchに届きにくくなる。そのため、矢印Fの範囲は右画像a6では輝度が低い影の部分となる。この影の部分では、電子検出器Rchの信号から左側のエッジ61aの下端付近の情報がほとんど得られず、その部分でノイズの比率が相対的に増加する。したがって、電子検出器Lch及びRchに基づいて差分プロファイルを生成すると、エッジ61aの下端付近で差分プロファイルのノイズの割合が相対的に増加する。同様の現象は、パターン61の右側のエッジ61bでも発生する。
【0079】
そこで、ノイズの割合が多い場合には、以下に説明する第3のアルゴリズムで、パターンの幅を検出する。
【0080】
(第3のアルゴリズム)
図12は、第3のアルゴリズムを示すフローチャートであり、図13は第3のアルゴリズムで生成される信号波形とパターンのエッジとの関係を示す模式図である。
【0081】
まず、図12のステップS31において、走査型電子顕微鏡100の信号処理部30が、電子ビーム9の光軸を挟んで対向する2方向からの画像を生成する。例えば、図13の
試料のように、基板60上に紙面に垂直な方向に延在するパターン61が形成されている場合には、紙面左側からの画像(左画像a5)と右側からの画像(右画像a6)とを生成する。
【0082】
次に、図12のステップS32において、信号処理部30は、ステップS31で生成した2方向からの画像の差分をとって差分画像を生成する。
【0083】
次に、ステップS33に移行して、制御部20のプロファイル生成部21が、ステップS31で生成した2枚の画像から、それぞれ第1のラインプロファイルL6(L信号)及び第2のラインプロファイルL7(R信号)を抽出する。また、プロファイル生成部21は、ステップS32で生成した差分画像から、差分プロファイルL8(L−R信号)を抽出する。
【0084】
なお、上記のステップS32による差分画像の生成を省略し、ステップS33で抽出したラインプロファイルL6、L7の差分を取って差分プロファイルL8を求めてもよい。
【0085】
次に、図12のステップS34において、制御部20のエッジ検出部22は、ステップS34で抽出された差分プロファイルL8に基づいてエッジの上端の位置を検出する。
【0086】
ここでは、図13の差分プロファイルL8の微分をとり、その微分値の極小値の位置R2を左側のエッジ61aの上端の位置として検出する。また、微分値の極小値の位置R3を右側のエッジ61bの上端の位置として検出する。
【0087】
次に、図12のステップS35において、エッジ検出部22は、検出対象となるエッジに対して影を生じない側の画像から抽出したラインプロファイルに基づいてエッジの下端の位置を検出する。
【0088】
例えば、検出対象となるエッジが、図13の左側のエッジ61aの場合には、左側のエッジ61aで影を生じない側の信号、すなわち左画像a5から抽出したラインプロファイルL6(L信号)を用意する。そして、ラインプロファイルL6を微分し、左側のエッジ61a付近での微分値の極大値の位置R1を求める。この微分値の極大値の位置R1を左側のエッジ61aの下端の位置として検出する。
【0089】
また、右側のエッジ61bについては、右画像a6から抽出したラインプロファイルL7(R信号)を用意する。そしてこのラインプロファイルL7を微分して右側のエッジ61b付近での微分値の極小値の位置R4を求める。この微分値の極小値の位置R4を右側のエッジ61bの下端の位置として検出する。
【0090】
上記のように、ステップS35(図12参照)では、エッジの下端の位置を、検出対象となるエッジに対して影を生じない側の画像から抽出したラインプロファイルに基づいて検出する。このような影を生じない側の画像から抽出したラインプロファイルは、エッジの側面から下端にかけての情報が含まれている。そのため、差分プロファイルL8を用いる場合に比べて、ノイズ成分の割合が小さくなり、エッジの下端位置を正確に検出できる。
【0091】
次に、図12のステップS36において、エッジ検出部22は、ステップS34で検出したエッジの上端位置とステップS35で検出したエッジの下端位置とに基づいてエッジの幅Wを検出する。
【0092】
その後、ステップS37において、ステップS36で検出したエッジ幅Wと予め別の方
法で測定して求めたパターン高さHとに基づいて、エッジ傾斜角θをθ=tan-1(H/W)により求め、第3のアルゴリズムを終了する。
【0093】
上記のように、第3のアルゴリズムによれば、差分プロファイルに基づいてエッジの上端位置を求め、エッジの影とならない側の画像から抽出したラインプロファイルに基づいてエッジの下端位置を求める。これにより、差分プロファイルにノイズ成分が多く含まれる場合や、エッジ幅が狭くて差分プロファイルの段差及びピークが小さい場合であっても、エッジ幅及びエッジ傾斜角を正確に求めることができる。
【0094】
(実験例2)
以下、第1のアルゴリズム、第3のアルゴリズム及び断面のSEM観察の3つの方法でパターンのエッジの傾斜角を求めた実験例2について説明する。
【0095】
まず、ガラス基板上の複数の箇所に厚さが約84nm、幅が約200nmの孤立したラインパターンを形成した試料を作成し、ガラス基板上の異なる2か所のラインパターン(第1の試料及び第2の試料)を選び出してエッジ傾斜角の測定を行った。
【0096】
図14(a)、(b)は、本実験例に用いた試料の断面を高解像度の走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す図である。
【0097】
第1の試料の断面観察により、図14(a)のようなSEM画像が得られた。この画像から、第1の試料の左側のエッジの傾斜角θが84.4°、右側のエッジの傾斜角θは83.4°と求まった。
【0098】
また、第2の試料の断面観察により、図14(b)のようなSEM画像が得られた。この画像から、第2の試料の左側のエッジの傾斜角θが87.4°、右側のエッジの傾斜角θが86.9°と求まった。
【0099】
次に、第1の試料について、第1のアルゴリズム及び第3のアルゴリズムでエッジ傾斜角を求めた結果について説明する。
【0100】
図15(a)は、実験例2の第1の試料のエッジ傾斜角を第3のアルゴリズムで検出した結果を示す模式図である。
【0101】
図15(a)の中央のSEM画像のように、第1の試料のラインパターンは、そのエッジの位置が幅方向にばらついている。そこで、本実験例ではラインパターンの長手方向に10の小領域に分割し、その各領域でラインプロファイル及び差分プロファイルを抽出した。さらに、抽出したラインプロファイル及び差分プロファイルに基づいて、第3のアルゴリズムでエッジの上端及び下端の位置及びエッジ傾斜角θ°を求めた。そして、各領域で求めたエッジ傾斜角の平均を求めることにより、第1の試料のエッジ傾斜角を求めた。
【0102】
その結果、第3のアルゴリズムによれば、第1の試料のエッジの傾斜角は、左側エッジの傾斜角が83.4°であり、右側のエッジの傾斜角が82.3°であった。
【0103】
その後、第1のアルゴリズムにより第1の試料のエッジ傾斜角を求めた。
【0104】
図15(b)は、第1の試料のエッジ傾斜角を第1のアルゴリズムで求めた結果を、断面観察、第3のアルゴリズムで求めた結果と共に示す図である。
【0105】
図15(b)のように、第1のアルゴリズムは、他の方法に比べてエッジ傾斜角が小さ
くなっており、エッジ幅が実際よりも大きく検出されていることがわかる。また、第3のアルゴリズムでは、第1のアルゴリズムよりも、断面観察の結果により近いエッジ傾斜角が得られ、第1のアルゴリズムよりも精度よくエッジ幅及びエッジ傾斜角を測定できることがわかる。
【0106】
次に、第2の試料について、第3のアルゴリズム及び第1のアルゴリズムでエッジ傾斜角を求めた結果について説明する。
【0107】
図16(a)は、第2の試料のエッジ傾斜角を第3のアルゴリズムで求めた結果を示し、図16(b)は第1のアルゴリズムで求めた第2の試料のエッジ傾斜角の測定結果を、断面観察及び第3のアルゴリズムでそれぞれ求めたエッジの傾斜角と比較して示す図である。
【0108】
図示のように、第3のアルゴリズムによれば、第2の試料の左側のエッジの傾斜角は86.73°であり、右側のエッジの傾斜角は85.49°であった。これに対し、第1のアルゴリズムによれば、第2の試料の左側のエッジの傾斜角は84.4°であり、右側のエッジの傾斜角は84.0であった。
【0109】
第2の試料についても、第3のアルゴリズムの方が第1のアルゴリズムよりも断面観察により近い測定結果が得られ、第1のアルゴリズムよりも精度よくエッジ幅及びエッジ傾斜角の測定を行えることがわかる。
【0110】
次に、ガラス基板上でそれぞれ異なる箇所に形成された4つのパターンを用い、第1のアルゴリズム及び第3のアルゴリズムの測定結果のばらつきを調べた。
【0111】
図17は、第1のアルゴリズム及び第3のアルゴリズムのそれぞれの測定結果を、断面観察による測定結果との差として示す図である。
【0112】
図17に示すように、第3のアルゴリズムで求めたエッジ傾斜角は、第1のアルゴリズムで求めたエッジ傾斜角に比べて断面観察による測定結果により近い値となっている。また、第3のアルゴリズムの測定結果のばらつきの範囲は、第1のアルゴリズムの測定結果のばらつきの範囲よりも狭い範囲に収まっていることがわかる。
【0113】
この結果から、第3のアルゴリズムでは測定値のばらつきがより少なくなり、第1のアルゴリズムよりも精度よくパターンのエッジ傾斜角を測定できることがわかる。
【符号の説明】
【0114】
1…電子銃、2…収束レンズ、3…偏向コイル、4…対物レンズ、5…試料ステージ、7、63、64…試料、8、8a、8b、8c、8d…電子検出器、9…電子ビーム、10…電子走査部、20…制御部、21…プロファイル作成部、22…エッジ検出部、23…記憶部、24…画像表示部、30…信号処理部、50、60…基板、51、61、63b、64b…パターン、51a、51b、61a、61b、63c…エッジ、63a、64a…スペース、65、77…段差、66、67…ピーク、71…観察領域、71a…検査領域。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ビームを試料表面の観察領域に照射するとともに、前記観察領域内で前記電子ビームを走査させる電子走査部と、
前記電子ビームの光軸の周りに配置され、前記電子ビームの照射によって前記試料の表面から放出される電子を検出する複数の電子検出器と、
前記電子検出器の検出信号に基づいて、前記観察領域をそれぞれ異なる方向から写した複数の画像データを生成する信号処理部と、
前記光軸を挟んで対向する2方向からの前記画像データから、それぞれ前記試料上に形成されたパターンのラインプロファイルを抽出するとともに、前記2方向の画像データから抽出したラインプロファイルの差分を取った差分プロファイルを生成するプロファイル作成部と、
前記差分プロファイルに基づいて前記パターンのエッジの上端の位置を検出するとともに、前記2方向からの画像データの何れか一方から抽出したラインプロファイルに基づいて前記エッジの下端の位置を検出するエッジ検出部と、
を備えることを特徴とするパターン測定装置。
【請求項2】
前記エッジ検出部は、前記エッジの下端の位置を該エッジによる影を生じない方向からの画像データから抽出したラインプロファイルに基づいて検出することを特徴とする請求項1に記載のパターン測定装置。
【請求項3】
前記エッジ検出部は、前記差分プロファイルの微分値の極小値の位置を前記エッジの上端の位置として検出することを特徴とする請求項1又は2に記載のパターン測定装置。
【請求項4】
前記エッジ検出部は、前記ラインプロファイルを微分した微分プロファイルの極小値又は極大値の位置から前記エッジの下端の位置を検出することを特徴とする請求項2乃至3の何れか1項に記載のパターン測定装置。
【請求項5】
前記エッジ検出部は、前記エッジの上端の位置と下端の位置との距離に基づいて前記エッジの幅を検出することを特徴とする請求項4に記載のパターン測定装置。
【請求項6】
前記エッジ検出部は、前記エッジの幅と、パターンの高さとに基づいてエッジの傾斜角を算出することを特徴とする請求項5に記載のパターン測定装置。
【請求項7】
試料の表面に電子ビームを照射して前記試料の表面から放出される電子の量を、前記電子ビームの光軸の周りに複数配置された電子検出器で検出するパターン測定方法であって、
前記電子検出器からの検出信号に基づいて、前記試料の表面を複数の異なる方向から写した画像データを生成する工程と、
前記光軸を挟んで対向する2方向からの画像データに基づいて、前記試料上に形成されたパターンのラインプロファイルを抽出する工程と、
前記光軸を挟んで対向する2方向からの画像データから抽出されたラインプロファイルの差分をとって差分プロファイルを生成する工程と、
前記差分プロファイルに基づいて前記パターンのエッジの上端の位置を検出する工程と、
前記2方向からの画像データの何れかから抽出されたラインプロファイルに基づいて、前記パターンのエッジの下端の位置を検出する工程と、
を有することを特徴とするパターン測定方法。
【請求項8】
前記エッジの下端の位置は、該エッジによる影を生じない方向から写した画像データの
ラインプロファイルに基づいて検出することを特徴とする請求項7に記載のパターン測定方法。
【請求項9】
前記エッジの上端の位置は、前記差分プロファイルの微分値の極小値の位置に基づいて検出することを特徴とする請求項8に記載のパターン測定方法。
【請求項10】
前記エッジの下端の位置は、前記ラインプロファイルを微分した微分プロファイルの極小値又は極大値の位置から前記エッジの下端の位置を検出することを特徴とする請求項7乃至9の何れか1項に記載のパターン測定方法。
【請求項11】
前記エッジの上端の位置と下端の位置との距離に基づいて前記エッジの幅を検出することを特徴とする請求項10に記載のパターン測定方法。
【請求項12】
前記エッジの幅と、パターンの高さとに基づいてエッジの傾斜角を算出することを特徴とする請求項11に記載のパターン測定方法。
【請求項1】
電子ビームを試料表面の観察領域に照射するとともに、前記観察領域内で前記電子ビームを走査させる電子走査部と、
前記電子ビームの光軸の周りに配置され、前記電子ビームの照射によって前記試料の表面から放出される電子を検出する複数の電子検出器と、
前記電子検出器の検出信号に基づいて、前記観察領域をそれぞれ異なる方向から写した複数の画像データを生成する信号処理部と、
前記光軸を挟んで対向する2方向からの前記画像データから、それぞれ前記試料上に形成されたパターンのラインプロファイルを抽出するとともに、前記2方向の画像データから抽出したラインプロファイルの差分を取った差分プロファイルを生成するプロファイル作成部と、
前記差分プロファイルに基づいて前記パターンのエッジの上端の位置を検出するとともに、前記2方向からの画像データの何れか一方から抽出したラインプロファイルに基づいて前記エッジの下端の位置を検出するエッジ検出部と、
を備えることを特徴とするパターン測定装置。
【請求項2】
前記エッジ検出部は、前記エッジの下端の位置を該エッジによる影を生じない方向からの画像データから抽出したラインプロファイルに基づいて検出することを特徴とする請求項1に記載のパターン測定装置。
【請求項3】
前記エッジ検出部は、前記差分プロファイルの微分値の極小値の位置を前記エッジの上端の位置として検出することを特徴とする請求項1又は2に記載のパターン測定装置。
【請求項4】
前記エッジ検出部は、前記ラインプロファイルを微分した微分プロファイルの極小値又は極大値の位置から前記エッジの下端の位置を検出することを特徴とする請求項2乃至3の何れか1項に記載のパターン測定装置。
【請求項5】
前記エッジ検出部は、前記エッジの上端の位置と下端の位置との距離に基づいて前記エッジの幅を検出することを特徴とする請求項4に記載のパターン測定装置。
【請求項6】
前記エッジ検出部は、前記エッジの幅と、パターンの高さとに基づいてエッジの傾斜角を算出することを特徴とする請求項5に記載のパターン測定装置。
【請求項7】
試料の表面に電子ビームを照射して前記試料の表面から放出される電子の量を、前記電子ビームの光軸の周りに複数配置された電子検出器で検出するパターン測定方法であって、
前記電子検出器からの検出信号に基づいて、前記試料の表面を複数の異なる方向から写した画像データを生成する工程と、
前記光軸を挟んで対向する2方向からの画像データに基づいて、前記試料上に形成されたパターンのラインプロファイルを抽出する工程と、
前記光軸を挟んで対向する2方向からの画像データから抽出されたラインプロファイルの差分をとって差分プロファイルを生成する工程と、
前記差分プロファイルに基づいて前記パターンのエッジの上端の位置を検出する工程と、
前記2方向からの画像データの何れかから抽出されたラインプロファイルに基づいて、前記パターンのエッジの下端の位置を検出する工程と、
を有することを特徴とするパターン測定方法。
【請求項8】
前記エッジの下端の位置は、該エッジによる影を生じない方向から写した画像データの
ラインプロファイルに基づいて検出することを特徴とする請求項7に記載のパターン測定方法。
【請求項9】
前記エッジの上端の位置は、前記差分プロファイルの微分値の極小値の位置に基づいて検出することを特徴とする請求項8に記載のパターン測定方法。
【請求項10】
前記エッジの下端の位置は、前記ラインプロファイルを微分した微分プロファイルの極小値又は極大値の位置から前記エッジの下端の位置を検出することを特徴とする請求項7乃至9の何れか1項に記載のパターン測定方法。
【請求項11】
前記エッジの上端の位置と下端の位置との距離に基づいて前記エッジの幅を検出することを特徴とする請求項10に記載のパターン測定方法。
【請求項12】
前記エッジの幅と、パターンの高さとに基づいてエッジの傾斜角を算出することを特徴とする請求項11に記載のパターン測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−2872(P2013−2872A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132224(P2011−132224)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成23年5月19日 インターネットアドレス「http://spiedigitallibrary.org/proceedings/resource/2/psisdg/8081/1?isAuthorized=no」に発表
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成23年5月19日 インターネットアドレス「http://spiedigitallibrary.org/proceedings/resource/2/psisdg/8081/1?isAuthorized=no」に発表
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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