説明

パターン物質を転写するための方法及びシステム

【課題】コンタクトプリントによってパターン物質をモールドから基板に転写する。
【解決手段】基板に物質を転写する方法は、アプリケータの表面上に物質を選択的に堆積するステップと、該アプリケータの表面を該基板に接触させるステップとを含む。物質は、アプリケータの表面上でパターンを成すことができる。パターンは、物質が基板に転写されるとき
に保たれる。物質は、インクジェット印刷によってアプリケータ上に塗布することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、2004年10月22日出願の米国仮特許出願第60/620,967号、及び2004年11月22日
出願の米国仮特許出願第60/629,579号に対する優先権を主張するものである。各仮特許出
願の全体を引用により取り込む。
【0002】
(技術分野)
本発明は、パターン物質を転写するための方法及びシステムに関するものである。
(連邦政府による資金提供を受けた開発研究)
米国政府は、全米科学財団(National Science Foundation)からのGrant No. 6896872
に従って、本発明において特定の権利を有することがある。
【背景技術】
【0003】
(背景)
一般に、コンタクト印刷は、パターンモールドを形成することから始まる。モールドは
、隆起部と窪み部のパターンを有する表面を有する。パターンモールド表面に接触しなが
ら硬化される液体ポリマー前駆体で、モールドのパターン表面を被覆することによって、
隆起部と窪み部の相補パターンを有するスタンプが形成される。次いで、スタンプに一様
にインク付けすることができる。即ち、スタンプが、基板上に堆積すべき物質に接触され
、物質は、隆起部と窪み部のパターンを覆う。物質は、スタンプに可逆に接着される。次
いで、インク付きスタンプが、基板に接触される。スタンプの隆起領域は、基板に接触す
ることができ、スタンプの窪み領域は、基板から離すことができる。インク付きスタンプ
が基板に接触するとき、インク物質(又は少なくともその一部)が、スタンプから基板に
転写される。このようにして、隆起部と窪み部のパターンが、基板上で物質を含む領域と
物質を含まない領域として、スタンプから基板に転写される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、パターン物質を転写するための方法及びシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要旨)
物質は、コンタクト印刷を使用して基板に堆積することができる。テクスチャスタンプ
を使用するコンタクト印刷は、基板上へのフィーチャのミクロンスケール(例えば1mm
未満、500μm未満、200μm未満、又は100μm未満)パターニングを可能にす
る。この手法は、基板へのパターン物質の乾燥(即ち無溶媒)塗布を可能にし、したがっ
て、基板は、可溶性及び表面化学要件を受けない。例えば、半導体ナノクリスタルの単層
をコンタクト印刷によって堆積することができる。コンタクト印刷の例に関しては、全体
を引用により組み込む2004年10月22日出願の米国特許出願第60/620,967号を参照のこと。
【0006】
物質は、該物質がスタンプ上でパターンを成すように、スタンプに選択的に塗布するこ
とができる。該物質は、他の成分を有する組成物中に、例えば溶媒中の溶液として含める
ことができる。例えば、該物質は、インクジェット印刷によって塗布することができ、イ
ンクジェット印刷は、該物質(インク)のパターンをスタンプ上に簡便に形成することが
できるようにする。インクジェット印刷は、スタンプ上のインク付き領域の位置及びサイ
ズに対する精密な制御を可能にすることができる。今日、20μmサイズのインクスポッ
トが、市販のインクジェットプリンタによって容易に実現され、より小さなスポットサイ
ズが可能である。したがって、インクジェット印刷によってパターニングされたスタンプ
を使用するコンタクト印刷を使用して、基板上に物質のパターンを形成することができ、
パターンはマイクロパターンとなる。マイクロパターンは、1mm未満、500μm未満
、200μm未満、100μm未満、50μm未満、又は20μm未満のサイズなど、ミ
クロンスケールでのフィーチャを有することができる。20μmのフィーチャサイズは、
ほとんどの発光デバイス用途に関して、十分に小さいものである。複数のプリントヘッド
を有するインクジェット印刷システムを使用して、異なる物質を基板上に同時にパターニ
ングすることができる。したがって、単一のスタンプステップで、基板に複数の物質を転
写することができる。この方法は、基板に複数の物質を転写するために、各物質に別個の
スタンプを使用するのではなく、複数のプリントヘッドによってパターニングされたフィ
ーチャレススタンプ(即ち、隆起部又は窪み部を実質的に有しないスタンプ)の使用を可
能にすることができる。したがって、事前に堆積されたパターンに対して後続のスタンプ
を見当合わせする必要がない。基板上での、事前に形成されたパターンとのスタンプの見
当合わせは、コンタクト印刷の解像度の制限因子となることがある。パターンは、100
nmサイズのフィーチャを有することができる。しかし、大きな領域にわたる100nm
解像度でのエラストマー物質の見当合わせは、実現されていない。
【0007】
1cm以上、10cm以上、100cm以上、又は1000cm以上など、大きな寸法
にわたってミクロンスケールフィーチャを有するパターンで物質を塗布するために、マイ
クロコンタクト印刷を使用することができる。
パターンがフィーチャレススタンプ上に形成されるとき、パターンスタンプコンタクト
印刷に対する機械的な制限を克服することができる。テクスチャスタンプが基板に接触す
るとき、(物質転写を実現するのに必要な)任意の印加圧力が、予測可能に、しかし非一
様に分布される。これにより誘発される応力が、基板表面に接触しない部分でのスタンプ
の撓み(sagging)を引き起こすことがある。印加圧力が十分に大きい場合、撓み部分が
基板表面に接触して、望ましくない領域での物質転写をもたらすことがある。対照的に、
隆起部及び窪み部を実質的に有しないスタンプに印加される圧力は、スタンプ範囲にわた
って一様に分布された力をもたらし、したがって撓み及び他の非一様プロセスを減少する
、又はなくすことができる。
【0008】
半導体ナノクリスタル単層のコンタクト印刷を使用して、半導体ナノクリスタルを含む
飽和色赤色、緑色、及び青色LEDを作成し、単一基板上に異なる色の複数のそのような
LEDを配置し、ミクロンスケール(<100μm)でLEDパターンを形成することが
できる。堆積プロセスは、拡張可能であり、大きな表面積にわたるLEDの安価な製造を
可能にすることができる。
【0009】
一態様では、基板に物質を転写する方法が、アプリケータの表面上に物質を選択的に堆
積するステップと、該アプリケータの表面を該基板に接触させるステップとを含む。
別の態様では、基板に複数の物質を転写する方法が、アプリケータの表面上に第一物質
を選択的に堆積するステップと、該アプリケータの表面上に第二物質を選択的に堆積する
ステップと、該アプリケータの表面を該基板に接触させるステップとを含む。
【0010】
物質は、接触前に、溶媒を実質的に有しないこともある。物質を選択的に堆積するステ
ップは、アプリケータの表面上に物質を含むパターンを形成するステップを含むことがで
きる。パターンのフィーチャは、1000マイクロメートル未満、100マイクロメート
ル未満、又は10マイクロメートル未満の寸法を有することができる。パターンを形成す
るステップは、物質をインクジェット印刷するステップを含むことができる。アプリケー
タの表面は、隆起部又は窪み部を含むことができる。アプリケータの表面は、隆起部及び
窪み部を実質的に有しないこともある。アプリケータは、エラストマー物質を含むことが
できる。
【0011】
該方法は、アプリケータの表面上に第二物質を選択的に堆積するステップを含むことが
できる。第二物質は、接触前に、溶媒を実質的に有しないこともある。第二物質を選択的
に堆積するステップは、アプリケータの表面上にパターンを形成するステップを含むこと
ができる。第二物質を堆積するステップは、インクジェット印刷するステップを含むこと
ができる。アプリケータの表面は、基板と連続的に接触することができる。物質は、半導
体ナノクリスタルを含むことができる。
【0012】
該方法は、アプリケータの表面上に物質を選択的に堆積する前に、アプリケータの表面
を改質するステップを含むことができる。アプリケータの表面を改質するステップは、ア
プリケータの表面を、基板との接触時にアプリケータから物質の少なくとも一部を解放す
るように選択される組成物と接触させるステップを含むことができる。組成物は、芳香族
有機ポリマーを含む。物質は、ナノ物質を含むことができる。ナノ物質は、半導体ナノク
リスタルを含むことができる。
【0013】
別の態様では、基板に物質を転写するためのシステムが、物質を収容するリザーバを含
むインクジェットプリンタヘッドと、インクジェットプリントヘッドから物質を受け取る
ように配置された表面を有するアプリケータとを含む。
該システムは、アプリケータの表面に接触するように配置された基板を含むことができ
る。アプリケータは、インクジェットプリントヘッドに関してアプリケータの表面を移動
させるように構成することができる。アプリケータは、ドラムに取り付けることができ、
ドラムは、回転するように構成される。アプリケータの表面は、基板上を転がるように構
成することができる。アプリケータの表面は、隆起部又は窪み部を含み、或いはアプリケ
ータは、隆起部及び窪み部を実質的に有しないこともある。アプリケータの表面は、基板
と連続的に接触するように構成することができる。
【0014】
別の態様では、発光デバイスを作成する方法が、アプリケータの基板上に物質をインク
ジェット印刷するステップと、該アプリケータの表面を該基板に接触させるステップとを
含む。物質をインクジェット印刷するステップは、アプリケータの表面上にパターンを形
成するステップを含むことができる。物質は、発光物質を含むことができる。発光物質は
、半導体ナノクリスタルを含むことができる。基板は、電極、正孔輸送物質、電子輸送物
質、正孔注入物質、電子注入物質、又はそれらの組合せを含むことができる。
【0015】
別の態様では、物質を塗布するためのデバイスが、アプリケータと、該アプリケータの
表面上にパターンを形成する物質とを含む。アプリケータの表面は、隆起部又は窪み部を
含むことができる。アプリケータの表面は、隆起部又は窪み部を実質的に有しないことも
ある。アプリケータは、エラストマー物質を含むことができる。デバイスは、アプリケー
タの表面上にパターンを形成する第二物質を含むことができる。
本発明の他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面から、且つ特許請求の範囲から明
らかになろう。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(詳細な説明)
一般に、発光デバイスは、複数の半導体ナノクリスタルを含むことができる。半導体ナ
ノクリスタルは、典型的には有機配位子の層で修飾された、ナノメートルスケール無機半
導体粒子である。これらのゼロ次元半導体構造は、強い量子閉じ込め効果を示し、この効
果は、ナノクリスタルのサイズ及び組成で調整可能な電子的及び光学的特性を有する複合
へテロ構造を作り出すボトムアップ化学的手法を設計する際に利用され得る。
【0017】
半導体ナノクリスタルは、発光デバイス内の発光団として使用することができる。半導
体ナノクリスタルは、狭い発光線幅を有し、フォトルミネッセンス効率が良く、発光波長
の調節が可能であるので、望ましい発光団となることがある。半導体ナノクリスタルは、
溶液中に分散させることができ、したがってスピンキャスティング、ドロップキャスティ
ング、及び浸漬コーティングなどの薄膜堆積技法に適合する。しかし、これらの堆積技法
により得られるニート半導体ナノクリスタル固体は、固相発光デバイスにおいて低い電気
的輸送性質を有する。ニート固体ではなく、半導体ナノクリスタルの単層を発光デバイス
で使用することもできる。単層は、電気的性能に対する影響を最小限にしながら半導体ナ
ノクリスタルの有益な発光性質を提供する。
【0018】
半導体ナノクリスタル単層は、典型的には、スピンキャスティング、ラングミュア−ブ
ロジェット技法、又はドロップキャスティングなどによって、溶液から自己集合される。
半導体ナノクリスタル単層を堆積するためのいくつかの技法は、使用される基板に対する
制約を課すことがあり、層の電気的又は光学的性質に影響する化学物質の添加を必要とす
ることがあり、基板を厳しい条件にさらすことがあり、又は何らかの方法で成長させるこ
とができるデバイスのタイプを制限することがある。さらに、これらの技法では、単層に
横方向でパターニングすることができない。これら二つの特徴は、単一基板上での複数の
色LEDの組立てに関して、又はデバイス工学に関して、利用可能な技法を理想的でない
ものにする。
【0019】
発光デバイスは、該デバイスの二つの電極を分離する二つの層を含むことができる。一
方の層の物質は、物質が正孔を輸送できる能力に基づいて選択することができ、即ち正孔
輸送層(HTL)にすることができる。他方の層の物質は、物質が電子を輸送できる能力
に基づいて選択することができ、即ち電子輸送層(ETL)にすることができる。通常、
電子輸送層は、エレクトロルミネッセンス層を含む。電圧が印加されるとき、一方の電極
は、正孔(正電荷キャリア)を正孔輸送層に注入し、他方の電極は、電子を電子輸送層に
注入する。注入された正孔及び電子はそれぞれ、逆に荷電された電極に向かって移動する
。電子及び正孔が同一分子に局在するとき、励起子が形成され、励起子は、再結合して光
を放射することができる。
【0020】
発光デバイスは、図1に示されるような構造を有することができ、第一電極2と、電極
2に接触する第一層3と、層3に接触する第二層4と、第二層4に接触する第二電極5と
を有する。第一層3は、正孔輸送層とすることができ、第二層4は、電子輸送層とするこ
とができる。少なくとも一つの層を、非重合性にすることができる。別法として、別個の
発光層(図1には示していない)を、正孔輸送層と電子輸送層との間に含むことができる
。この構造の電極の一つは、基板1に接触している。構造にわたって電圧を提供するため
に、各電極を電源に接触させることができる。適切な極性の電圧がヘテロ構造にわたって
印加されるとき、ヘテロ構造の発光層によってエレクトロルミネッセンスを生じさせるこ
とができる。第一層3は、複数の半導体ナノクリスタル、例えばナノクリスタルの実質的
な単分散集団を含むことができる。別法として、別個の発光層が、複数のナノクリスタル
を含むことができる。ナノクリスタルを含む層は、ナノクリスタルの単層とすることがで
きる。
【0021】
半導体ナノクリスタルを含む発光デバイスは、HTL有機半導体分子及び半導体ナノク
リスタルを含む溶液をスピンキャストすることによって作成することができ、HTLは、
相分離によって半導体ナノクリスタル単層の下に形成された(例えば、どちらも2003年3
月28日出願の米国特許第10/400,907号及び10/400,908号参照。各特許文献の全体を引用に
より取り込む)。この相分離技法は、有機半導体HTLとETLとの間に半導体ナノクリ
スタルの単層を再現可能に配置し、それにより半導体ナノクリスタルの好ましい発光性質
を効果的に活用し、それと共に、電気的性能へのそれらの影響を最小限にした。この技法
によって作成されたデバイスは、溶媒中の不純物によって、且つ半導体ナノクリスタルと
同一の溶媒に可溶な有機半導体分子を使用する必要性によって制限された。相分離技法は
、HTLとHILとの両方の上に半導体ナノクリスタルの単層を堆積するのには不適であ
った(溶媒が、下にある有機薄膜を破壊するため)。また、相分離方法は、同一基板上で
、異なる色を発光する半導体ナノクリスタルの位置の制御を可能にしなかった。同様に、
相分離方法は、同一基板上への、異なる色を発光するナノクリスタルのパターニングを可
能にしなかった。
【0022】
基板は、不透明又は透明にすることができる。基板は、剛性又は可撓性にすることがで
きる。基板は、プラスチック、金属、又はガラスとすることができる。第一電極は、例え
ば、酸化インジウムスズ(ITO)層など、高い仕事関数の正孔注入導体とすることがで
きる。他の第一電極物質には、ガリウムインジウムスズオキシド(gallium indium tin o
xide)、亜鉛インジウムスズオキシド(zinc indium tin oxide)、窒化チタン、又はポ
リアニリンを含むことができる。第二電極は、例えば、Al、Ba、Yb、Ca、リチウ
ムアルミニウム合金(Li:Al)、又はマグネシウム銀合金(Mg:Ag)など、低い
仕事関数(例えば4.0eV未満)の電子注入金属とすることができる。Mg:Agなど
の第二電極は、不透明保護金属層、例えば大気の酸化から陰極層を保護するためのAgの
層で、又は実質的に透明なITOの比較的薄い層で被覆することができる。第一電極は、
約500オングストロームから4000オングストロームの厚さを有することができる。
第一層は、約50オングストロームから約1000オングストロームの厚さを有すること
ができる。第二層は、約50オングストロームから約1000オングストロームの厚さを
有することができる。第二電極は、約50オングストロームから約1000オングストロ
ームよりも大きい厚さを有することができる。
【0023】
電子輸送層(ETL)は、分子マトリックスとすることができる。分子マトリックスは
、非重合性にすることができる。分子マトリックスは、小さな分子、例えば金属錯体を含
むことができる。例えば、金属錯体は、8−ヒドロキシキノリンの金属錯体とすることが
できる。8−ヒドロキシキノリンの金属錯体は、アルミニウム、ガリウム、インジウム、
亜鉛、又はマグネシウム錯体、例えばアルミニウムトリス(8−ヒドロキシキノリン)(
Alq3)とすることができる。ETLにおける他の種類の物質には、金属チオキシノイド化
合物、オキサジアゾール金属キレート、トリアゾール、セキシチオフェン誘導体、ピラジ
ン、及びスチリルアントラセン誘導体を含むことができる。正孔輸送層は、有機発色団を
含むことができる。有機発色団は、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3
−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPD)など、
フェニルアミンとすることができる。HTLは、ポリアニリン、ポリピロール、ポリ(フ
ェニレンビニレン)、銅フタロシアニン、芳香族第三級アミン若しくは多核芳香族第三級
アミン、4,4’−ビス(9−カルバゾリル)−1,1’−ビフェニル化合物、又はN,
N,N’,N’−テトラアリールベンジジンを含むことができる。
【0024】
層は、スピンコーティング、浸漬コーティング、蒸着、又は他の薄膜堆積方法によって
、一つの電極の表面上に堆積させることができる。例えば、M. C. Schlampらの論文J. Ap
pl. Phys., 82, 5837-5842, (1997);V. Santhanamらの論文Langmuir, 19, 7881-7887, (
2003);及びX. Linらの論文J.Phys. Chem. B, 105, 3353-3357, (2001)を参照のこと(各
文献の全体を引用により取り込む)。第二電極は、間に挟む、スパッターさせる、又は固
体層の曝露表面上に蒸着させることができる。電極の一方又は両方をパターニングするこ
とができる。デバイスの電極は、導電路によって電圧源に接続することができる。電圧を
印加すると、光がデバイスから発生する。
【0025】
コンタクト印刷が、基板上の事前定義領域に物質を塗布する方法を提供する。例えば、
A. Kumar及びG. Whitesidesの論文Applied Physics Letters, 63, 2002-2004, (1993);
及びV. Santhanam及びR. P. Andresの論文Nano Letters, 4, 41-44, (2004)を参照のこと
(各文献の全体を引用により取り込む)。事前定義領域は、物質が選択的に塗布される基
板上の領域である。物質及び基板は、物質が事前定義域内部に実質的に完全に残るように
選択することができる。パターンを成す事前定義領域を選択することによって、物質がパ
ターンを成すように、物質を基板に塗布することができる。パターンは、規則パターン(
アレイや一連のラインなど)、又は不規則パターンにすることができる。物質のパターン
が基板上に形成されると、基板は、物質を含む領域(事前定義領域)と、物質を実質的に
含まない領域とを有することができる。いくつかの状況では、物質は、基板上に単層を形
成する。事前定義領域は、不連続領域とすることができる。即ち、物質が基板の事前定義
領域に塗布されるとき、物質を含む位置を、物質を実質的に含まない他の位置によって分
離することができる。
【0026】
一般に、コンタクト印刷は、パターンモールドを形成することから始まる。モールドは
、隆起部と窪み部のパターンを含むことができる表面を有する。例えば、パターンモール
ド表面に接触しながら硬化される液体ポリマー前駆体で、モールドのパターン表面を被覆
することによって、隆起部と窪み部の相補パターンを有するスタンプが形成される。隆起
部と窪み部のパターンを有するスタンプは、テクスチャスタンプである。スタンプは、フ
ィーチャレススタンプ、即ち隆起部又は窪み部を実質的に有しないスタンプであってもよ
い。フィーチャレススタンプは、フィーチャレスモールドを使用して作成することができ
る。スタンプは、例えばポリ(ジメチルシロキサン)などのエラストマー物質から作成す
ることができる。
【0027】
スタンプにインク付けすることができる。即ち、スタンプが、基板上に堆積すべき物質
に接触される。物質は、スタンプに可逆に接着される。インクは、スタンプに選択的に、
又は非選択的に塗布され得る。例えば、インクは、インクを物質にスピンキャストするこ
とによって非選択的に塗布することができ、それによりスタンプの全領域をインクと接触
させる。例えば、インクジェット印刷を使用して、スタンプにインクを選択的に塗布する
ことができる。スタンプ上にインクのパターンを形成するために、インクの選択塗布を使
用することができる。スタンプ上のインクのパターンは、スタンプ上の隆起部と窪み部の
パターンに合致していてよく、又はスタンプ上の隆起部と窪み部のパターンとは無関係で
あってもよい。インクは、スタンプがフィーチャレスのとき、スタンプ上にパターンを形
成することができる。また、インクジェット印刷を使用して、単一のスタンプに、印刷す
べき複数の物質でインク付けすることもできる。このようにすると、単一スタンプステッ
プで、複数の物質を基板に塗布することができる。スタンプ上の各物質が、スタンプ上で
その独自のパターンを成すことができる。
【0028】
基板に物質を転写するために、インク付きスタンプが基板に接触される。物質の転写を
容易にするために、スタンプ又は基板に圧力を印加することができる。スタンプがテクス
チャスタンプであるとき、スタンプの隆起領域は、基板に接触することができ、スタンプ
の窪み領域は、基板から離すことができる。インク付きスタンプが基板に接触するとき、
インク物質(又は少なくともその一部)が、スタンプから基板に転写される。スタンプが
非選択的にインク付けされているとき、隆起部と窪み部のパターンが、基板上で物質を含
む領域と物質を含まない領域として、スタンプから基板に転写される。選択的にインク付
けされたフィーチャレススタンプは、スタンプ上のインクのパターンに合致するパターン
を基板上に作成する。テクスチャスタンプが選択的にインク付けされている場合、物質は
、隆起部にインク付けされている場所でのみ、基板に転写される。
コンタクト印刷及び関連の技法は、例えば米国特許第5,512,131号、第6,180,239号、第
6,518,168号に記載されており、各特許文献の全体を引用により取り込む。
【0029】
図2に、コンタクト印刷プロセスにおける基本ステップを概説する流れ図を示す。まず
、シリコン表面上にパターン、例えば隆起部と窪み部のパターンを画定する標準的な半導
体処理技法を使用して、シリコンマスタが作成される(別法として、無パターン堆積の場
合には、ブランクSiマスタを使用することができる)。次いで、ポリジメチルシロキサ
ン(PDMS、例えばSylgard 184)前駆体が混合され、脱気され、マスタ上に注ぎ込まれ、
再び脱気され、室温(又は、より速い硬化時間のために、室温よりも高い温度)で硬化さ
れる(ステップ1)。次いで、シリコンマスタのパターンを含む表面を有するPDMSスタン
プが、マスタから外され、所望の形状及びサイズに切断される。次いで、このスタンプを
、表面化学層を用いて任意に改質することができ、これは、必要に応じてインクを容易に
接着及び解除できるように選択される(ステップ2)。表面化学層は、インク溶媒による
スタンプ膨化に対する障壁、及びインク用の接着/解除層とすることができる。化学蒸着
によって堆積される芳香族有機ポリマーを、表面化学層として使用することができる。例
えば、S. Coe-Sullivanらの論文Advanced Functional Materials, 15, 1117-1124 (2005)
を参照されたい(その全体を引用により取り込む)。化学蒸着による表面化学層の塗布は
、成型されたスタンプのコンフォーマルコーティング(conformal coating)を得ること
ができる。表面化学層は、クロロホルム溶媒和インクの拡散に適合するように選択するこ
とができる。次いで、インクがスタンプに塗布される(ステップ3)。次いで、インク付
きスタンプを基板に接触させることができ、穏やかな圧力を30秒間印加して、新たな基
板にインクを転写する(ステップ4)。
【0030】
インクはナノ物質を含むことができる。ナノ物質は、100nmよりも小さな寸法を有
する任意の物質であってよい。ナノ物質は、例えば、ナノ粒子(例えば、シリカナノ粒子
、チタニアナノ粒子、又は金属ナノ粒子)、半導体ナノクリスタル、ナノチューブ(単層
又は多層カーボンナノチューブ)、ナノワイヤ、ナノロッド、又はポリマーとすることが
できる。インクは金属酸化物ソルゲルなどのソルゲルを含むことができる。
【0031】
例えば、表面化学層は、化学蒸着されたパリレンC層とすることができる。パリレンC
層は、例えば、複写されるべきパターンに応じて、0.1〜2μmの厚さにすることがで
きる(ステップ2)。次いで、このスタンプは、半導体ナノクリスタルなどの材料の溶液
を塗布すること(例えば、スピンキャスティングやインクジェット印刷)によってインク
付けされる(ステップ3)。半導体ナノクリスタルの溶液は、例えば、クロロホルム中に
分散された濃度1〜10mg/mLの半導体ナノクリスタルを有することができる。濃度
は、所望の結果に応じて変えることができる。次いで、インク付きスタンプを基板に接触
させることができ、穏やかな圧力を30秒間印加して、新たな基板にインク(即ち、半導
体ナノクリスタル単層)を完全に転写する(ステップ4)。図2A及び2Bに、ITO被
覆ガラス基板の準備を示す。有機半導体を含む正孔輸送及び/又は正孔注入層(それぞれ
HTL及びHIL)が、ITO基板上に熱蒸着される。パターン半導体ナノクリスタル単
層は、このHTL層に転写され、次いで、デバイスの残りの部分(例えば、電子輸送層(
ETL)、電子注入層(EIL)、及び金属コンタクト)を追加することができる(ステ
ップ5)。
【0032】
いくつかの場合には、複数の物質層を同時に堆積することができる。例えば、スタンプ
は、金属又は金属酸化物など、第一物質の無パターン層でインク付けすることができる。
第二物質のパターン層が、第一物質の上に堆積される。第二物質は、ナノ物質、例えば半
導体ナノクリスタルを含むことができる。スタンプが基板に接触されるとき、無パターン
層とパターン層との両方が、スタンプから基板に転写される。
【0033】
図3を参照すると、インクジェット印刷システム10が、インクジェットプリントヘッ
ド20、30、及び40を含む。各プリントヘッドは、別々のインクを送り出すことがで
きる。インクジェットプリントヘッドは、例えば、圧電又はサーマルインクジェットプリ
ントヘッドであってよい。図3Aで、プリントヘッド20、30、及び40は、それぞれ
インク滴22、32、及び42を、スタンプ50の印刷表面55に送達する。図3では、
スタンプはフィーチャレススタンプである。図3Bに、インク滴22、32、及び42に
よって表面55上に形成されたインクスポット24、34、及び44を示す。このインク
付きスタンプを使用して、インクスポット24、34、及び44を基板に転写することが
できる。図3Cに、基板60に接触するインク付きスタンプ50を示す。具体的には、ス
タンプ50は、印刷表面55が基板60の表面65に接触するように向きを定められる。
印刷表面55を表面65と密接に合わせるように、圧力(矢印によって示される)を印加
することができる。図3Dに、スタンプ50から基板60の表面65への転写後の、転写
インクスポット26、36、46を示す。インクジェット印刷ステップで決定されたスポ
ット26、36、46の配置が、表面65の上で保たれる。
【0034】
図4Aに示されるように、スタンプ50は、例えば印刷表面55の隆起部70、80、
及び90を有するテクスチャスタンプであってよい。インクジェット印刷が、隆起部の上
にインクスポット72、82、及び92を形成することができる。インクスポットのサイ
ズは、隆起部のサイズよりも小さくすることができ、隆起部のサイズと等しくすることも
でき、又は隆起部のサイズよりも大きくすることもできる。インクスポットが隆起部より
も大きいとき、隆起部が基板に接触する場所でのみインクを基板に転写することができ、
その結果、隆起部とサイズが等しく、且つスタンプに塗布されたインクスポットよりも小
さいインクスポットが基板上に生じる。インクスポットは、同一の、又は異なる物質を含
むことができる。様々なインクをスタンプの隆起領域にインクジェット印刷することは、
基板に転写された後にインクスポットが互いに重ならない、又はブリード(bleed)しな
いことを保証するのに有用となることがある。
【0035】
図5に、基板上に物質のパターンを形成するためのシステムを示す。インクジェットプ
リントヘッド100が、インク滴110を提供し、インク滴110が、スタンプ135の
印刷表面130上にインクスポット120を形成する。スタンプ135は、例えば、回転
ドラム140の円周に取り付けられた円筒形スタンプとすることができる。スタンプ13
5(テクスチャ又はフィーチャレススタンプとすることができる)は、基板150の表面
155に接点160で接触する。回転ドラム140が回転するとき(曲線の矢印によって
示される)、インクスポット120が接点160に到達し、そこでインクスポット120
は、(直線の矢印によって示される方向に移動する)基板150の表面155に転写され
、転写インクスポット170を形成する。ドラム140及びスタンプ135は、インクス
ポット120の転写を容易にするために、接点160で基板150に圧力を印加するよう
に構成することができる。該システムは、連続的に動作させることができる。
【0036】
電子及び正孔がナノクリスタル上に局在するとき、発光波長で発光を起こすことができ
る。発光は、量子閉じ込め半導体物質のバンドギャップに対応する周波数を有する。バン
ドギャップは、ナノクリスタルのサイズに依存する。小さな直径を有するナノクリスタル
は、分子とバルク形態の物質との中間の性質を有することができる。例えば、小さな直径
を有する半導体物質に基づくナノクリスタルは、3次元すべてにおいて電子と正孔との両
方の量子閉じ込めを示すことができ、結晶サイズの減少に伴い、物質の有効なバンドギャ
ップを増加させる。それゆえ、結晶のサイズが小さくなるにつれて、ナノクリスタルの吸
光と発光との両方が、青色へ、又はより高いエネルギーへシフトする。
【0037】
ナノクリスタルからの発光は、狭いガウス発光バンド(Gaussian emission band)とす
ることができ、ナノクリスタルのサイズ、ナノクリスタルの組成、又はその両方を変化さ
せることによって、紫外領域、可視領域、又は赤外領域のスペクトルの全波長範囲にわた
って調整することができる。例えば、CdSeは、可視領域において調整することができ
、InAsは、赤外領域において調整することができる。ナノクリスタルの集団の狭いサ
イズ分布は、狭いスペクトル範囲での発光を生じさせることができる。集団は、単分散に
することができ、ナノクリスタルの直径について15%rms未満の偏差、好ましくは1
0%未満の偏差、より好ましくは5%未満の偏差を示すことができる。半値全幅(FWH
M)が約75nm以下、好ましくは60nm、より好ましくは40nm、最も好ましくは
30nmの狭い範囲でのスペクトル発光を観察することができる。発光の幅は、ナノクリ
スタル直径の分散性が減少するにつれて縮小する。半導体ナノクリスタルは、例えば10
%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、又は80%よりも大きい、高い
発光量子効率を有することができる。
【0038】
ナノクリスタルを形成する半導体には、II−VI族の化合物、II−V族の化合物、
III−VI族の化合物、III−V族の化合物、IV−VI族の化合物、I−III−
VI族の化合物、II−IV−VI族の化合物、又はII−IV−V族の化合物、例えば
ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgT
e、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、Ga
Se、InN、InP、InAs、InSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、P
bS、PbSe、PbTe、又はそれらの混合物を含めることができる。
【0039】
単分散半導体ナノクリスタルの調製方法は、高温の配位溶媒に注入されるジメチルカド
ミウムなど有機金属試薬の熱分解を含む。これは、離散的な核形成を可能にし、巨視量の
ナノクリスタルの制御された成長をもたらす。ナノクリスタルの調製及び操作は、例えば
米国特許第6,322,901号及び第6,576,291号、並びに米国特許出願第60/550,314号に記載さ
れており、各特許文献の全体を引用により取り込む。ナノクリスタルの製造方法は、コロ
イド成長プロセスである。コロイド成長は、Mドナー及びXドナーを高温配位溶媒に急速
に注入することによって生じる。この注入は、核を生成し、核は、ナノクリスタルを形成
するために、制御された様式で成長させることができる。反応混合物は、ナノクリスタル
を成長させ、且つアニールするために、穏やかに加熱することができる。サンプル中のナ
ノクリスタルの平均サイズとサイズ分布との両方が、成長温度に依存する。安定した成長
を維持するために必要な成長温度は、平均結晶サイズの増加に伴って増加する。ナノクリ
スタルは、ナノクリスタルの集団のメンバーである。離散的な核形成及び制御された成長
の結果、得られるナノクリスタルの集団は、狭い単分散の直径分布を有する。単分散の直
径分布は、サイズと呼ぶこともできる。核形成に続く、配位溶媒中でのナノクリスタルの
制御された成長及びアニーリングのプロセスは、一様な表面誘導体化及び規則的なコア構
造を生じさせることもできる。サイズ分布が鋭くなるにつれて、安定した成長を維持する
ために、温度を上昇させることができる。より多くのMドナー又はXドナーを添加するこ
とによって、成長期間を短縮することができる。
【0040】
Mドナーは、無機化合物、有機金属化合物、又は元素金属とすることができる。Mは、
カドミウム、亜鉛、マグネシウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、インジウム、又はタ
リウムである。Xドナーは、Mドナーと反応して一般式MXを有する物質を生成すること
ができる化合物である。通常、Xドナーは、カルコゲニドドナー又はプニクタイドドナー
、例えば、ホスフィンカルコゲニド、ビス(シリル)カルコゲニド、二酸素、アンモニウ
ム塩、又はトリス(シリル)プニクタイドである。適切なXドナーは、二酸素、ビス(ト
リメチルシリル)セレニド((TMS)2Se)、トリアルキルホスフィンセレニド(例えば(ト
リ−n−オクチルホスフィン)セレニド(TOPSe)又は(トリ−n−ブチルホスフィン)
セレニド(TBPSe)など)、トリアルキルホスフィンテルリド(例えば(トリ−n−オク
チルホスフィン)テルリド(TOPTe)又はヘキサプロピルホスホラストリアミドテルリド
(HPPTTe)など)、ビス(トリメチルシリル)テルリド((TMS)2Te)、ビス(トリメチル
シリル)スルフィド((TMS)2S))、トリアルキルホスフィンスルフィド(例えば(トリ
−n−オクチルホスフィン)スルフィド(TOPS)など)、アンモニウム塩(例えばハロゲ
ン化アンモニウム(例えばNH4Cl)など)、トリス(トリメチルシリル)ホスフィド((TM
S)3P)、トリス(トリメチルシリル)アルセニド((TMS)3As)、又はトリス(トリメチル
シリル)アンチモニド((TMS)3Sb)を含む。特定の実施態様では、Mドナー及びXドナー
は、同一分子内の成分とすることができる。
【0041】
配位溶媒は、ナノクリスタルの成長の制御に役立たせることができる。配位溶媒は、ド
ナー孤立電子対を有する化合物であり、例えば、成長するナノクリスタルの表面に配位す
るのに利用できる孤立電子対を有する。溶媒配位は、成長するナノクリスタルを安定化さ
せることができる。代表的な配位溶媒としては、アルキルホスフィン、アルキルホスフィ
ンオキシド、アルキルホスホン酸、又はアルキルホスフィン酸があるが、ピリジン、フラ
ン、及びアミンなどの他の配位溶媒も、ナノクリスタルの生成に適していることがある。
適切な配位溶媒の例としては、ピリジン、トリ−n−オクチルホスフィン(TOP)、ト
リ−n−オクチルホスフィンオキシド(TOPO)、及びトリス−ヒドロキシルプロピルホス
フィン(tHPP)がある。工業用のTOPOを使用することができる。
【0042】
反応の成長段階中のサイズ分布は、粒子の吸収線幅をモニタリングすることによって評
価することができる。粒子の吸収スペクトルの変化に応じた反応温度の修正により、成長
中、鋭い粒子サイズ分布の維持が可能になる。より大きな結晶を成長させるために、結晶
成長中に、核形成溶液に反応物を添加することができる。特定のナノクリスタル平均直径
で成長を停止させ、半導体物質の適切な組成を選択することによって、ナノクリスタルの
発光スペクトルは、300nm〜5ミクロンの波長範囲にわたって、又はCdSe及びCdTeに
ついては400nm〜800nmにわたって連続的に調整することができる。ナノクリス
タルは、150Å未満の直径を有する。ナノクリスタルの集団は、15Å〜125Åの範
囲の平均直径を有する。
【0043】
ナノクリスタルは、狭いサイズ分布を有するナノクリスタルの集団のメンバーであって
よい。ナノクリスタルは、球形、棒状、円盤状、又は他の形状であってよい。ナノクリス
タルは、半導体物質のコアを含むことができる。ナノクリスタルは、式MXを有するコア
を含むことができ、ここでMは、カドミウム、亜鉛、マグネシウム、水銀、アルミニウム
、ガリウム、インジウム、タリウム、又はそれらの混合物であり、Xは、酸素、硫黄、セ
レン、テルル、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、又はそれらの混合物である。
【0044】
コアは、該コアの表面上にオーバーコーティングを有することができる。オーバーコー
ティングは、コアの組成物とは異なる組成物を有する半導体物質であってもよい。ナノク
リスタルの表面上の半導体物質のオーバーコートは、II−VI族の化合物、II−V族
の化合物、III−VI族の化合物、III−V族の化合物、IV−VI族の化合物、I
−III−VI族の化合物、II−IV−VI族の化合物、又はII−IV−V族の化合
物、例えばZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgS
e、HgTe、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、Ga
Sb、GaSe、InN、InP、InAs、InSb、TlN、TlP、TlAs、T
lSb、PbS、PbSe、PbTe、又はそれらの混合物を含むことができる。例えば
、ZnS、ZnSe、又はCdSオーバーコーティングを、CdSe又はCdTeナノク
リスタル上に成長させることができる。オーバーコーティングプロセスは、例えば米国特
許第6,322,901号に記載されている。オーバーコーティング中に反応混合物の温度を調節
し、コアの吸収スペクトルをモニタリングすることによって、高い発光量子効率と狭いサ
イズ分布とを有するオーバーコート物質を得ることができる。オーバーコーティングは、
1〜10層の単層の厚さとすることができる。
【0045】
粒子サイズ分布は、米国特許第6,322,901号に記載されている、メタノール/ブタノー
ルなどナノクリスタルに対する貧溶媒を用いるサイズ選択的沈殿法によって、さらに精製
することができる。例えば、ナノクリスタルは、10%ブタノールのヘキサン溶液中に分
散させることができる。メタノールは、乳光が持続するまで、攪拌溶液に滴下して加える
ことができる。遠心分離による上清と凝集物との分離により、サンプル中の最大結晶に富
んだ沈殿物が生成される。この手順を、吸光スペクトルのさらなる鋭利化が認められなく
なるまで繰り返すことができる。サイズ選択的沈殿法は、ピリジン/ヘキサン及びクロロ
ホルム/メタノールを含めた種々の溶媒/非溶媒のペアで実施することができる。サイズ
選択されたナノクリスタル集団は、平均直径から15%rms以下の偏差、好ましくは1
0%rms以下の偏差、より好ましくは5%rms以下の偏差を有することができる。
【0046】
ナノクリスタルの外部表面は、成長プロセス中に使用された配位溶媒から誘導される化
合物の層を含むことができる。過剰な競合配位基へ繰り返し曝露することによって表面を
改質して、被覆層を形成することができる。例えば、覆われたナノクリスタルの分散は、
ピリジンなどの配位性有機化合物を用いて処理することができ、ピリジン、メタノール、
及び芳香族中では容易に分散し、しかし脂肪族溶媒中ではもはや分散しない結晶を生成す
る。そのような表面交換プロセスは、例えばホスフィン、チオール、アミン、及びリン酸
塩を含めた、ナノクリスタルの外部表面と配位、又は結合できる任意の化合物を用いて実
施することができる。ナノクリスタルは、表面に対して親和性を示し、且つ懸濁液又は分
散媒体に対して親和性を有する成分で終わる短鎖ポリマーに曝露させることができる。そ
のような親和性は、懸濁液の安定性を改善し、ナノクリスタルの凝集を妨げる。ナノクリ
スタル外層は、米国特許第6,251,303号に記載されており、その全体を引用により取り込
む。
【0047】
より具体的には、配位子が、次式を有することができる。
【化1】

式中、kは、2、3、又は5であり、nは、k−nが0未満にならないような1、2、3
、4、又は5であり;Xは、O、S、S=O、SO、Se、Se=O、N、N=O、P
、P=O、As、又はAs=Oであり;Y及びLはそれぞれ、独立して、アリール、ヘテ
ロアリール、或いは少なくとも一つの二重結合、少なくとも一つの三重結合、又は少なく
とも一つの二重結合及び一つの三重結合を任意に含む直鎖状の、又は分岐したC2−12
炭化水素鎖である。炭化水素鎖は、一種以上のC1−4アルキル、C2−4アルケニル、
2−4アルキニル、C1−4アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、ニトロ、シアノ
、C3−5シクロアルキル、3〜5員環ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリー
ル、C1−4アルキルカルボニルオキシ、C1−4アルキルオキシカルボニル、C1−4
アルキルカルボニル、又はホルミルによって任意に置換することができる。また、炭化水
素鎖は、−O−、−S−、−N(R)−、−N(R)−C(O)−O−、−O−C(
O)−N(R)−、−N(R)−C(O)−N(R)−、−O−C(O)−O−、
−P(R)−、又は−P(O)(R)−によって任意に中断することができる。R
及びRはそれぞれ、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ
、ヒドロキシルアルキル、ヒドロキシル、又はハロアルキルである。
【0048】
アリール基は、置換又は非置換の環状芳香族基である。例としては、フェニル、ベンジ
ル、ナフチル、トリル、アントラシル、ニトロフェニル、又はハロフェニルがある。ヘテ
ロアリール基は、環の中に一つ以上のヘテロ原子を有するアリール基であり、例えばフリ
ル、ピリジル、ピロリル、フェナントリルである。
適切な配位子を、商業的に購入することができ、又は、例えばAdvanced Organic Chemi
stry, J. March(その全体を引用により取り込む)に記載されている通常の合成有機技法
によって調製することができる。
【0049】
透過型電子顕微鏡(TEM)が、ナノクリスタル集団のサイズ、形状、及び分布に関す
る情報を提供することができる。粉末X線回折(XRD)パターンが、ナノクリスタルの
結晶構造のタイプ及び質に関する最も完全な情報を提供することができる。また、粒子径
は、X線コヒーレンス長を介してピーク幅に反比例するので、サイズの評価も可能である
。例えば、ナノクリスタルの直径は、透過型電子顕微鏡によって直接測定することができ
、又は、例えばシェラーの式を使用してX線回折データから評価することができる。また
、UV/Vis吸収スペクトルから評価することもできる。
【0050】
デバイスは、製造プロセス中のルミネッセンス効率の低下を防止する、制御された(酸
素を含まず、且つ水分を含まない)環境内で行うことができる。デバイス性能を改善する
ために、他の多層構造を使用することもできる(例えば、米国特許出願第10/400,908号及
び第10/400,908号を参照のこと。それら各特許文献の全体を引用により取り込む)。電子
ブロッキング層(EBL)、正孔ブロッキング層(HBL)、又は正孔及び電子ブロッキ
ング層(eBL)などのブロッキング層を構造内に導入することができる。ブロッキング
層は、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−ターシャリー−ブチルフェニル−
1,2,4−トリアゾール(TAZ)、3,4,5−トリフェニル−1,2,4−トリア
ゾール、3,5−ビス(4−ターシャリー−ブチルフェニル)−4−フェニル−1,2,
4−トリアゾール、バトクプロイン(BCP)、4,4’,4”−トリス{N−(3−メ
チルフェニル)−N−フェニルアミノ}トリフェニルアミン(m-MTDATA)、ポリエチレン
ジオキシチオフェン(PEDOT)、1,3−ビス(5−(4−ジフェニルアミノ)フェニル
−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ベンゼン、2−(4−ビフェニリル)−5
−(4−ターシャリー−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,3−ビ
ス[5−(4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール
−2−イル]ベンゼン、1,4−ビス(5−(4−ジフェニルアミノ)フェニル−1,3
,4−オキサジアゾール−2−イル)ベンゼン、又は1,3,5−トリス[5−(4−(
1,1−ジメチルエチル)フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベン
ゼンを含むことができる。
【0051】
有機発光デバイスの性能は、それらの効率を高めること、それらの発光スペクトルを狭
める、又は広げること、或いはそれらの発光を偏光させることによって改善することがで
きる。例えば、Bulovicらの論文Semiconductors and Semimetals 64, 255 (2000)、Adach
iらの論文Appl. Phys. Lett. 78, 1622 (2001)、Yamasakiらの論文Appl. Phys. Lett. 76
, 1243 (2000)、Dirrらの論文Jpn. J. Appl. Phys. 37, 1457 (1998)、及びD'Andradeら
の論文MRS Fall Meeting, BB6.2 (2001)を参照のこと(各文献の全体を引用により取り込
む)。ナノクリスタルは、効率の良いハイブリッド有機/無機発光デバイス内に含めるこ
とができる。
【0052】
ナノクリスタル発光の狭いFWHMは、飽和色の発光を生じることができる。これは、ナノ
クリスタル発光デバイスにおいて赤外及びUV発光へ光子が損失されないので、可視スペ
クトルの赤色及び青色部分でさえ効率の良いナノクリスタル発光デバイスをもたらすこと
ができる。単一物質システムの可視スペクトル全体にわたる、広く調整可能な飽和色発光
は、どのような種類の有機発色団とも一致しない(例えば、Dabbousiらの論文J. Phys. C
hem. 101, 9463 (1997)参照。その全体を引用により取り込む)。ナノクリスタルの単分
散集団は、狭い波長範囲にわたる光を放射する。複数のサイズのナノクリスタルを含むデ
バイスは、複数の狭い波長範囲内の光を放射することができる。観察者によって知覚され
る発光色は、デバイスにおけるナノクリスタルサイズと物質との適切な組合せを選択する
ことによって制御することができる。さらに、共有結合的に結合した無機ナノクリスタル
の耐環境安定度は、ナノクリスタルが発光中心として使用されるときに、ハイブリッド有
機/無機発光デバイスのデバイス寿命がすべての有機発光デバイスのデバイス寿命に一致
する、又はそれを上回ることを示唆している。ナノクリスタルのバンド端のエネルギー準
位の縮退は、直接電荷注入によって生成されるにせよ、エネルギー移動によって生成され
るにせよ、すべての生じ得る励起子の捕捉及び放射再結合を容易にする。したがって、理
論上最大のナノクリスタル発光デバイス効率は、リン光性の有機発光デバイスの単一効率
に匹敵する。ナノクリスタルの励起状態寿命(τ)は、典型的なリン光体(τ>0.5μ
s)よりもはるかに短く(τ〜10ns)、高電流密度でさえナノクリスタル発光デバイ
スが効率良く動作できるようにする。
【0053】
可視光又は赤外光を放射するデバイスを準備することができる。半導体ナノクリスタル
のサイズ及び物質は、選択された波長の可視光又は赤外光をナノクリスタルが放射するよ
うに選択することができる。波長は、300nm〜2500nm以上の間、例えば300
nm〜400nmの間、400nm〜700nmの間、700nm〜1100nmの間、
1100nm〜2500nmの間、又は2500nmよりも大きくすることができる。
【0054】
ディスプレイを形成するために、個々のデバイスを、単一基板上の複数の位置に形成す
ることができる。ディスプレイは、様々な波長で放射するデバイスを含むことができる。
様々な色の発光材料のアレイを基板にパターニングすることにより、様々な色の画素を含
むディスプレイを形成することができる。いくつかの適用例では、基板は、バックプレー
ンを含むことができる。バックプレーンは、個々の画素への電力を制御する、又は切り換
えるための能動又は受動電子回路を含む。バックプレーンを含むことは、ディスプレイ、
センサ、又は撮像装置などの用途で有用になることがある。特に、バックプレーンは、ア
クティブマトリックス、パッシブマトリックス、固定フォーマット、ダイレクトドライブ
(directly drive)、又はハイブリッドとして構成することができる。ディスプレイは、
静止画像用、動画用、又は照明用に構成することができる。照明ディスプレイは、白色光
、単色光、又は色調整可能な光を提供することができる。
【実施例】
【0055】
コンタクト印刷プロセスの各ステップでの表面レリーフ(relief)を、原子力顕微鏡(
AFM)によって測定した。フィーチャレススタンプを形成する平坦な(無パターン)マ
スタ上に、PDMSスタンプをキャストした。スタンプを、半導体ナノクリスタルでインク付
けし、次いで、半導体ナノクリスタルを、有機半導体正孔輸送層に転写した。半導体ナノ
クリスタルは、正孔輸送層の表面積の30〜40%を覆うサブ単層(即ち、利用可能な領
域を完全には覆わない単層)を形成した。サブ単層を形成する半導体ナノクリスタルの島
をAFM画像において見ることができた。しかし、個々の半導体ナノクリスタルは、それ
らが他の半導体ナノクリスタルから隔離されているときにのみ観察することができた。全
体のピーク間高さは10nm未満であり、堆積が実際にはただ一層の単層の厚さであった
ことを示す(この実験で使用された半導体ナノクリスタルは、直径6〜8nmであった)
。90%よりも大きな被膜領域被覆率を有する単層は、スタンプにインク付けするために
使用された元のクロロホルム溶液中の半導体ナノクリスタルの濃度を高めることによって
実現された。
【0056】
半導体ナノクリスタルのコンタクト印刷は、デバイス製造に不純物を導入しない乾燥プ
ロセスであった(即ち、溶媒を必要としない)。デバイス内の有機層すべてを、超高真空
条件下で堆積した。有機層を、半導体ナノクリスタル層の堆積のための窒素環境に一度だ
け曝露した。有機半導体物質はいずれも、デバイス製造のどのステップにおいても溶媒に
曝露しなかった。半導体ナノクリスタル堆積に続いて、正孔ブロッキング層(HBL)で
ある3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−ターシャリー−ブチルフェニル−1
,2,4−トリアゾール(TAZ)と、ETLであるトリス−(8ヒドロキシキノリン)
アルミニウム(Alq3)と、最後に、蒸着Mg:Ag/Ag陰極(重量で50:1のMg:
Ag)とを連続して堆積した。
赤色、緑色、及び青色発光デバイスのエレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルを
記録し、個々の赤色、緑色、及び青色デバイスのデジタル写真を撮影した。外部量子効率
及び電流電圧曲線も測定した。
【0057】
半導体ナノクリスタルに対する前作業は、HTLとしてN,N’−ジフェニル−N,N
’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(T
PD)を採用した。これは、多くの他のHTL候補と比較して、(半導体ナノクリスタル
に適合する溶媒である)クロロホルム及びクロロベンゼン中でのTPDの可溶性が良いた
めである。コンタクト印刷方法は、HTL/HIL物質が半導体ナノクリスタルに適合す
る溶媒であることを必要としない。したがって、他のHTL/HIL物質が調査され、広
いバンドギャップの有機半導体CBPを採用した。より大きなバンドギャップのCBP分
子は、デバイスにおいて、はるかに良い色飽和を生み出した。色飽和は、色が肉眼に対し
てどれだけ純粋に見えるかを表し、Commision International d'Eclarirage(CIE)色
度座標で定量し、発光波長及び帯域幅(半値全幅)から計算し、次いで、それをCIE図
にプロットすることができる。
より大きな色飽和は、CBPの使用と共にここで利用可能な、より大きなダウンヒルエ
ネルギー移動プロセス(downhill energy transfer process)に起因させることができ、
これは、有機発光の強度の減少、及び半導体ナノクリスタル発光の強度の増加をもたらし
、半導体ナノクリスタルELと有機ELとの間でのより大きな比率をもたらす。
【0058】
赤色及び緑色半導体ナノクリスタルデバイスの優れた色飽和は、現行の高精細度テレビ
ジョン(HDTV)標準色三角形に対するCIE図でのそれらの位置によって表された。青色
デバイスのCIE色座標は、HDTV標準色三角形のすぐ内側に位置し、これは、青色デバイ
スのELスペクトルに見られる赤色の尾(tail)の結果であった。この赤色の尾は、エキ
シプレックス発光、即ち本発明のデバイス構造における二つの大きなバンドギャップHT
LとHBLとの間の混合状態の結果であることがある。このエキシプレックス発光は、赤
色デバイスでは見られなかった。これは、おそらく、エキシプレックスからのそれらのエ
ネルギー状態が、赤色発光半導体ナノクリスタルにForsterエネルギー移動されるからで
ある。緑色デバイスは、このエキシプレックス発光をごく少量のみ示した。これは、おそ
らく、HTLをHBLから分ける緑色発光半導体ナノクリスタルの単層の被膜被覆率の高
い度合い、したがってそれらの相互作用、並びにナノクリスタル自体の高いPL量子効率
(40%)に因るものであり、これは、有機エキシプレックスELに比べて大きなナノク
リスタルEL強度に寄与する。別の寄与因子は、デバイスが高電流(約100μA)で動
作するときに、エキシプレックス発光ピークが約620nmから約520nmにシフトす
ることであり、これは、緑色ナノクリスタル発光ピークのちょうど上であり、緑色ナノク
リスタル発光によって完全に覆われるか、又は緑色発光ナノクリスタルにForsterエネル
ギー移動される。青色デバイスは、青色発光半導体ナノクリスタルPL量子効率が増加す
るにつれて(現行では20%)改善される。赤色、緑色、及び青色半導体ナノクリスタル
デバイスの外部量子効率(EQE)、デバイスのEQEが、半導体ナノクリスタルのPL
量子効率とどのようにスケールするかを示す。現行では、赤色発光デバイスのEQEは、
デバイス使用のための加工及び準備の後に、70%のPL量子効率を有する半導体ナノク
リスタルを使用して1.2%であった。緑色発光ナノクリスタルデバイスは、40%のP
L量子効率を有する半導体ナノクリスタルを使用して0.5%のEQEを有した。青色E
QEは、20%のPL量子効率を有する半導体ナノクリスタルを使用して0.25%であ
った。ナノクリスタルデバイスの3色すべてが、2〜5Vのターンオン電圧、及び8〜1
2Vの動作電圧で、再現可能であり安定な電流電圧(IV)特性を有した。ディスプレイ
輝度(100cd/m)は、ナノクリスタル発光デバイスの3色すべてに関して、約2
mA/cm及び約10Vで実現された。
【0059】
同一の1インチ基板上で、赤色発光半導体ナノクリスタルの領域の隣に緑色発光半導体
ナノクリスタルの領域をスタンプした。三つのデバイスをオンに切り換えた。隣接する赤
色及び緑色発光デバイスと、半導体ナノクリスタルがスタンプされなかった領域上のデバ
イス(即ち、構造ITO/CBP/TAZ/Alq3/Mg:Ag/Agを有する有機LED
)とであった。
【0060】
スタンプ技法は、ナノクリスタル発光ディスプレイに関する画素化に向けて、100μ
m以下のフィーチャをパターニングすることができる。緑色発光半導体ナノクリスタルが
、全領域にわたってスタンプされた。その後、次いで赤色発光半導体ナノクリスタルが、
ポストでパターニングされたスタンプを使用して、緑色発光ナノクリスタルの上にスタン
プされた。ポストは、高さが5μm、直径が90μmであった。デバイス(直径0.5m
m)がオンに切り換えられた。緑色の領域上の赤色の円は、このデバイス内で見ることが
でき、赤色の円は、100μm以下のパターン赤色発光半導体ナノクリスタルに対応する
。コンタクト印刷において、サブミクロンフィーチャをパターニングするために、テクス
チャスタンプを使用することができる(例えば、米国特許第5,512,131号;第6,180,239号
;及び第6,518,168号。各特許文献の全体を引用により組み込む)。
【0061】
半導体ナノクリスタル単層のパターンラインと共にデバイスを調製した。そのような技
法は、全色アクティブマトリックスナノクリスタル発光デバイスディスプレイの製造で採
用することができる。スタンプは、高さ1μm、幅100μmのラインでパターニングさ
れた。このパターンスタンプを使用して緑色発光ナノクリスタルをスタンプし、陰極(M
g:Ag/Ag)のサイズによってデバイスを画定することによって1mmの領域をオン
に切り換えた結果、緑色ナノクリスタルの発光が生じ、100μm幅のラインとして見る
ことができ、スタンプライン間の領域にナノクリスタルが存在しないゆえ、青色有機EL
が間に散在している。
【0062】
コンタクト印刷技法は、あるパターンで同一基板上に異なる色の発光物質を配置するこ
とができるようにし、全色ディスプレイ用途のための画素の形成に通じる。発光物質は、
例えば、半導体ナノクリスタルであってよい。全色ディスプレイのための画素寸法は、典
型的には20〜30μm程度である。インクジェット印刷は、20μmのフィーチャサイ
ズを有するパターン発光物質を形成することができる。
【0063】
赤色、緑色、及び青色発光半導体ナノクリスタルベースの発光デバイスは、有機LED
及び液晶ディスプレイと比較して、効率が良く、高い色飽和となり、ナノクリスタルの単
層のコンタクト印刷によって、全色ディスプレイ用途のための画素化に向けてパターニン
グすることができる。
他の実施態様は、添付の特許請求の範囲の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】発光デバイスを示す概略図である。
【図2】発光デバイスを形成する方法を示す図である。
【図3a】基板上に物質を堆積する方法を示す図である。
【図3b】基板上に物質を堆積する方法を示す図である。
【図3c】基板上に物質を堆積する方法を示す図である。
【図3d】基板上に物質を堆積する方法を示す図である。
【図4a】コンタクト印刷のためのスタンプを示す図である。
【図4b】コンタクト印刷のためのスタンプを示す図である。
【図5】基板上に物質を堆積するためのシステムを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に物質を転写する方法であって、
アプリケータの表面上に物質を選択的に堆積するステップと、
前記アプリケータの前記表面を前記基板に接触させるステップと
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記物質が、接触前に、溶媒を実質的に有しない、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記物質を選択的に堆積するステップが、前記アプリケータの前記表面上に前記物質を
含むパターンを形成するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記パターンのフィーチャが、1000マイクロメートル未満の寸法を有する、請求項3記
載の方法。
【請求項5】
前記パターンのフィーチャが、100マイクロメートル未満の寸法を有する、請求項3
記載の方法。
【請求項6】
前記パターンのフィーチャが、10マイクロメートル未満の寸法を有する、請求項3記
載の方法。
【請求項7】
前記パターンを形成するステップが、前記物質をインクジェット印刷するステップを含
む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記アプリケータの前記表面が、隆起部又は窪み部を含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記アプリケータの前記表面が、隆起部及び窪み部を実質的に有しない、請求項1記載
の方法。
【請求項10】
前記アプリケータが、エラストマー物質を含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
さらに、前記アプリケータの前記表面上に前記物質を選択的に堆積する前に、前記アプ
リケータの前記表面を改質するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記アプリケータの前記表面を改質するステップが、前記アプリケータの前記表面を、
基板との接触時に前記アプリケータから前記物質の少なくとも一部を解放するように選択
される組成物と接触させるステップを含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が、芳香族有機ポリマーを含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
さらに、前記アプリケータの前記表面上に第二物質を選択的に堆積するステップを含む
、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記第二物質を選択的に堆積するステップが、前記アプリケータの前記表面上にパター
ンを形成するステップを含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記第二物質を堆積するステップが、インクジェット印刷するステップを含む、請求項
14記載の方法。
【請求項17】
前記アプリケータの前記表面が、前記基板と連続的に接触する、請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記物質が、ナノ物質を含む、請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記ナノ物質が、半導体ナノクリスタルを含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
基板に複数の物質を転写する方法であって、
アプリケータの表面上に第一物質を選択的に堆積するステップと、
前記アプリケータの前記表面上に第二物質を選択的に堆積するステップと、
前記アプリケータの前記表面を前記基板に接触させるステップと
を含む、前記方法。
【請求項21】
前記第一物質が、接触前に、溶媒を実質的に有しない、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記第二物質が、接触前に、溶媒を実質的に有しない、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記第一物質を堆積するステップが、前記アプリケータの前記表面上にパターンを形成
するステップを含む、請求項20記載の方法。
【請求項24】
前記第二物質を堆積するステップが、前記アプリケータの前記表面上にパターンを形成
するステップを含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記第一物質を堆積するステップが、インクジェット印刷するステップを含む、請求項
24記載の方法。
【請求項26】
前記第二物質を堆積するステップが、インクジェット印刷するステップを含む、請求項
25記載の方法。
【請求項27】
基板に物質を転写するためのシステムであって、
前記物質を収容するリザーバを含むインクジェットプリントヘッドと、
前記インクジェットプリントヘッドから前記物質を受け取るように配置された表面を有
するアプリケータと
を含む、前記システム。
【請求項28】
さらに、前記アプリケータの前記表面に接触するように配置された基板を含む、請求項
27記載のシステム。
【請求項29】
前記アプリケータの前記表面が、前記基板と連続的に接触するように構成された、請求
項28記載のシステム。
【請求項30】
前記アプリケータが、前記インクジェットプリントヘッドに対して前記アプリケータの
前記表面を移動させるように構成された、請求項28記載のシステム。
【請求項31】
前記アプリケータが、ドラムに取り付けられ、前記ドラムが、回転するように構成され
た、請求項28記載のシステム。
【請求項32】
前記アプリケータの前記表面が、前記基板上を転がるように構成された、請求項31記
載のシステム。
【請求項33】
前記アプリケータの前記表面が、隆起部又は窪み部を含む、請求項27記載のシステム

【請求項34】
前記アプリケータの前記表面が、隆起部及び窪み部を実質的に有しない、請求項27記
載のシステム。
【請求項35】
発光デバイスを製造する方法であって、
アプリケータの表面上に物質をインクジェット印刷するステップと、
前記アプリケータの前記表面を基板に接触させるステップと
を含む、前記方法。
【請求項36】
前記物質をインクジェット印刷するステップが、前記アプリケータの前記表面上にパタ
ーンを形成するステップを含む、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記物質が、発光物質を含む、請求項35記載の方法。
【請求項38】
前記発光物質が、半導体ナノクリスタルを含む、請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記基板が、電極、正孔輸送物質、電子輸送物質、正孔注入物質、電子注入物質、又は
それらの組合せを含む、請求項35記載の方法。
【請求項40】
アプリケータと、前記アプリケータの表面上にパターンを形成する物質とを含む、物質
を塗布するためのデバイス。
【請求項41】
前記アプリケータの前記表面が、隆起部又は窪み部を含む、請求項40記載のデバイス

【請求項42】
前記アプリケータの前記表面が、隆起部又は窪み部を実質的に有しない、請求項40記
載のデバイス。
【請求項43】
前記アプリケータが、エラストマー物質を含む、請求項40記載のデバイス。
【請求項44】
さらに、アプリケータの前記表面上にパターンを形成する第二物質を含む、請求項40
記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−134506(P2012−134506A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−2706(P2012−2706)
【出願日】平成24年1月11日(2012.1.11)
【分割の表示】特願2007−538031(P2007−538031)の分割
【原出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(596060697)マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー (233)
【Fターム(参考)】