パターン膜形成部材の製造方法
【課題】混色が低減されたパターン膜形成部材の製造方法を提供する。
【解決手段】パターン膜の材料を含む機能液を液滴として吐出する吐出ヘッドと基材とを相対的に移動させながら前記基材上に前記液滴を吐出するパスを所定回数行い、前記基板上にパターン膜を形成するパターン膜形成部材の製造方法であって、前記基材上に前記パターン膜が形成されるパターン膜形成領域に対して前記吐出ヘッドの移動方向側に、前記パスにおける前記液滴の着弾を禁止する着弾禁止領域を設定する着弾禁止領域設定工程と、設定された前記着弾禁止領域に応じて、前記液滴を吐出して、前記パターン膜形成領域に前記機能液を塗布する機能液塗布工程と、を含み、前記着弾禁止領域設定工程では、前記パスの回数に応じて前記着弾禁止領域の広さを設定する。
【解決手段】パターン膜の材料を含む機能液を液滴として吐出する吐出ヘッドと基材とを相対的に移動させながら前記基材上に前記液滴を吐出するパスを所定回数行い、前記基板上にパターン膜を形成するパターン膜形成部材の製造方法であって、前記基材上に前記パターン膜が形成されるパターン膜形成領域に対して前記吐出ヘッドの移動方向側に、前記パスにおける前記液滴の着弾を禁止する着弾禁止領域を設定する着弾禁止領域設定工程と、設定された前記着弾禁止領域に応じて、前記液滴を吐出して、前記パターン膜形成領域に前記機能液を塗布する機能液塗布工程と、を含み、前記着弾禁止領域設定工程では、前記パスの回数に応じて前記着弾禁止領域の広さを設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン膜形成部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、パターン膜形成部材としてのカラーフィルターの製造方法では、基材上に形成された区画部によって区画された色素膜形成領域に向けて、色素膜の材料を含む機能液を液滴として吐出して、機能液を色素膜形成領域に付着させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−142417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のカラーフィルターの製造方法では、液滴を吐出する吐出ヘッドと基材とを相対的に移動させながら、液滴を吐出して、当該液滴を基材面に着弾させ、機能液を基板上に付着させている。ところで、吐出ヘッドのノズルから機能液を液滴として吐出した際、液滴の主滴に追随して尾引き部やサテライト等が発生することがある。この場合、吐出ヘッドと基材とを相対的に移動させながら液滴を吐出するため、尾引き部やサテライトは、主滴が基材に着弾する位置からずれて基材側に付着する。その結果、尾引き部やサテライトは、主滴が着弾された位置からずれた位置に付着することになる。すなわち、所望した位置からずれた位置に付着してしまうことになる。この場合、例えば、尾引き部やサテライトが位置ずれによって隣接する他の領域に付着してしまい、混色等を発生させてしまう、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかるパターン膜形成部材の製造方法は、パターン膜の材料を含む機能液を液滴として吐出する吐出ヘッドと基材とを相対的に移動させながら前記基材上に前記液滴を吐出するパスを所定回数行い、前記基板上にパターン膜を形成するパターン膜形成部材の製造方法であって、前記基材上に前記パターン膜が形成されるパターン膜形成領域に対して前記吐出ヘッドの移動方向側に、前記パスにおける前記液滴の着弾を禁止する着弾禁止領域を設定する着弾禁止領域設定工程と、設定された前記着弾禁止領域に応じて、前記液滴を吐出して、前記パターン膜形成領域に前記機能液を塗布する機能液塗布工程と、を含み、前記着弾禁止領域設定工程では、前記パスの回数に応じて前記着弾禁止領域の広さを設定することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、パターン膜形成領域に対して吐出ヘッドの相対的な移動方向側に液滴の着弾が禁止される着弾禁止領域が設定され、当該着弾禁止領域に応じて、液滴が吐出される。ここで、パスの回数に応じて着弾禁止領域の広さが設定される。このため、例えば、パスを繰り返す毎にパターン膜形成領域内に蓄積される機能液の量を考慮して着弾禁止領域の広さを設定することが可能となる。例えば、パターン膜形成領域内に蓄積される機能液の量が少ない場合には着弾禁止領域の広さを比較的狭く設定し、パターン膜形成領域内に蓄積された機能液の量が比較的多くなった場合には着弾禁止領域をより広くすることが可能となる。これにより、液滴を吐出した際に発生する尾引き部やサテライト等が付着する領域が確保されるため、隣接する他のパターン膜形成領域の機能液との接触が防止され、パターン膜同士の混色不良等の不具合発生を低減することができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかるパターン膜形成部材の製造方法の前記着弾禁止領域設定工程では、前記所定回数のパスにおける初回のパスに対応する着弾禁止領域よりも前記所定回数のパスにおける最終回のパスに対応する着弾禁止領域の方が広くなるように、前記着弾禁止領域の広さを設定することを特徴とする
【0009】
この構成によれば、最終回のパスに対応する着弾禁止領域は、初回のパスに対応する着弾禁止領域よりも領域が広く設定される。従って、最終回のパスにおいて、液滴が吐出された際、液滴の主滴に追随する尾引き部やサテライト等がパターン膜形成領域に付着する領域が広くなる。すなわち、液滴の主滴が着弾した後に、遅れて着弾する尾引き部やサテライト等の付着領域が確保される。特に、最終回のパスにおける液滴の吐出時には、これまでのパスによりパターン膜形成領域には機能液の量が比較的多く塗布された状態である。このため、さらに液滴を付着させた場合、隣接する他のパターン膜形成領域に塗布された機能液と接触するおそれ生じるが、最終回のパスの着弾禁止領域が広く設定されるため、隣接する他のパターン膜形成領域の機能液との接触が防止され、パターン膜同士の混色不良等の不具合発生を低減することができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例にかかるパターン膜形成部材の製造方法の前記着弾禁止領域設定工程では、前記初回のパスから前記最終回のパスにかけて前記着弾禁止領域を徐々に広げることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、初回のパスから最終回のパスにかけてパターン形成領域内に徐々に機能液が増加していくのに対して、着弾禁止領域が広がるように設定される。すなわち、隣接する他のパターン膜形成領域との距離が広がっていく。このため、吐出された液滴が既に塗布された機能液に衝突した際の衝撃波等による隣接するパターン膜形成領域の機能液同士の接触が低減され、混色を防止することができる。
【0012】
[適用例4]上記適用例にかかるパターン膜形成部材の製造方法の前記機能液塗布工程では、前記初回のパスから前記最終回のパスにかけて徐々に前記機能液の塗布量を減らしながら、前記機能液を塗布することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、初回のパスから最終回のパスにかけて吐出される機能液の塗布量が少なくなるので、例えば、最終回のパスにおいて液滴が吐出され、当該液滴がパターン膜形成領域に既に塗布されている機能液に到達した際の衝撃力は低いものとなる。これにより、液滴の衝撃波等による隣接するパターン膜形成領域の機能液同士の接触が低減され、混色を防止することができる。
【0014】
[適用例5]上記適用例にかかるパターン膜形成部材の製造方法の前記機能液塗布工程では、前記初回のパスから前記最終回のパスにかけて徐々に前記機能液のドット径を小さくしながら、前記機能液を塗布することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、初回のパスから最終回のパスにかけて吐出される機能液のドット径が小さくなるので、例えば、最終回のパスにおいて液滴が吐出され、当該液滴がパターン膜形成領域に既に塗布されている機能液に到達した際の衝撃力は低いものとなる。これにより、液滴の衝撃波等による隣接するパターン膜形成領域の機能液同士の接触が低減され、混色等の不具合発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】パターン膜形成部材としてのカラーフィルターの構成を示し、(a)は平面図、(b)は断面図。
【図2】液滴吐出装置の構成を示す斜視図。
【図3】吐出ヘッドの構成を示す断面図。
【図4】液滴吐出装置の制御部の構成を示すブロック図。
【図5】液滴の吐出状態及び着弾状態を示す説明図。
【図6】パターン膜形成部材の製造方法の一部を説明する説明図。
【図7】第1実施形態にかかるパターン形成部材としてのカラーフィルターの製造方法の一部を説明する説明図。
【図8】電気光学装置としての液晶ディスプレイの構成を示す断面図。
【図9】電子機器としてのテレビ受像機の構成を示す斜視図。
【図10】第2実施形態にかかるパターン形成部材としてのカラーフィルターの製造方法の一部を示す説明図。
【図11】第3実施形態にかかるパターン形成部材としてのカラーフィルターの製造方法の一部を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した第1〜第3実施形態について図面に従って説明する。なお、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材ごとに縮尺を異ならせて図示している。
【0018】
[第1実施形態]
(パターン膜形成部材の構成)
まず、パターン膜形成部材の構成について説明する。なお、本実施形態では、パターン膜形成部材としてのカラーフィルターの構成について説明する。図1は、カラーフィルターの構成を示し、図1(a)は、平面図であり、同図(b)は、同図(a)のA−A断面図である。
【0019】
図1(a)、図1(b)において、カラーフィルター1は、基材10と、基材10の上に形成された区画部11と、区画部11によって区画されたパターン膜形成領域としての色素膜形成領域16と、色素膜形成領域16に形成されたパターン膜としての色素膜14と、区画部11と色素膜14の上に形成された保護膜18等で構成されている。
【0020】
基材10は、透明性を有し、一般にガラス基材が用いられるが、他にプラスチック等も使用可能であり、カラーフィルター機能として透過率、強度等の必要特性を有するものであれば特に限定されるものではない。区画部11は、遮光性を有し、金属、樹脂等を用いることができる。
【0021】
(液滴吐出装置の構成)
次に、パターン膜形成部材の製造に用いられる液滴吐出装置の構成について説明する。図2は、液滴吐出装置の構成を示す斜視図である。
【0022】
図2において、液滴吐出装置30は、色素膜14の材料となる液状体を液滴として吐出する吐出ヘッド50を有するヘッド機構部32と、吐出ヘッド50から吐出された液滴の吐出対象である基材10を載置するワーク機構部33と、吐出ヘッド50に液状体を供給する材料供給部34と、吐出ヘッド50の保守を行うメンテナンス機構部35と、これら各機構部および供給部を統括的に制御する制御部36等を備えている。
【0023】
液滴吐出装置30は、床上に設置された複数の支持脚41と、支持脚41の上側に設置された定盤42を備えている。定盤42の上側には、ワーク機構部33が定盤42の長手方向(X軸方向)に延在するように配置されている。ワーク機構部33の上方には、定盤42に固定された2本の支持柱52で支持されているヘッド機構部32が、ワーク機構部33と直交する方向(Y軸方向)に延在して配置されている。また、定盤42の一方の端部には、ヘッド機構部32の吐出ヘッド50から連通して液状体を供給する材料供給部34が配置されている。そして、ヘッド機構部32の一方の支持柱52近傍には、メンテナンス機構部35がワーク機構部33と並んでX軸方向に延在するように配置されている。さらに、定盤42の下側には、制御部36が備えられている。
【0024】
ヘッド機構部32は、液状体を吐出する吐出ヘッド50と、吐出ヘッド50を懸架したヘッドキャリッジ51と、ヘッドキャリッジ51のY軸方向への移動をガイドするY軸ガイド53と、Y軸ガイド53の側方にY軸ガイド53と平行に設置されたY軸リニアモーター54等を備えている。
【0025】
ワーク機構部33は、ヘッド機構部32の下方に位置し、ヘッド機構部32とほぼ同様の構成でX軸方向に延在するように配置されており、基材10を載置している載置台61と、載置台61の移動をガイドするX軸ガイド63と、X軸ガイド63の側方にX軸ガイド63と平行に設置されたX軸リニアモーター64等を備えている。
【0026】
これらの構成により、吐出ヘッド50と基材10とは、それぞれY軸方向およびX軸方向に往復自在に移動することができる。最初に、吐出ヘッド50の移動について説明する。吐出ヘッド50を懸架したヘッドキャリッジ51は、Y軸ガイド53に移動可能に取り付けられている。図示しないが、ヘッドキャリッジ51からY軸リニアモーター54側へ張り出している突起部が、Y軸リニアモーター54と係合して駆動力を得ることにより、ヘッドキャリッジ51がY軸ガイド53に沿って任意の位置に移動する。同様に、載置台61に搭載された基材10もX軸方向に自在に移動する。
【0027】
このように、吐出ヘッド50は、Y軸方向の吐出位置まで移動して停止し、下方にある基材10のX軸方向の移動に同調して、液滴を吐出する構成となっている。X軸方向に移動する基材10と、Y軸方向に移動する吐出ヘッド50とを相対的に制御することにより、基材10上に機能液を吐出することができる。
【0028】
吐出ヘッド50に液状体を供給する材料供給部34は、タンク75と、ポンプ74と、タンク75からポンプ74を経て吐出ヘッド50までを接続する流路チューブ79とを備えている。
【0029】
図3は、吐出ヘッドの構成を示す断面図である。図3に示すように、吐出ヘッド50は、ノズルプレート115を備え、ノズルプレート115には、ノズル120が形成されている。ノズルプレート115の上側であってノズル120と相対する位置には、ノズル120に連通するキャビティ111が形成されている。そして、キャビティ111には、材料供給部34から機能液が供給される。
【0030】
キャビティ111の上側には、上下方向(Z方向:縦振動)に振動して、キャビティ111内の容積を拡大縮小する振動板114と、上下方向に伸縮して振動板114を振動させる加圧手段としての圧電素子113が配設されている。そして、吐出ヘッド50が圧電素子113を制御駆動するための駆動信号を受けると、圧電素子113が伸張して、振動板114がキャビティ111内の容積を縮小する。その結果、ノズル120から縮小した容積分の機能液が液滴121として吐出される。なお、本実施形態では、加圧手段として、縦振動型の圧電素子113を用いたが、特に、これに限定されず、例えば、下電極と圧電体層と上電極とを積層形成した撓み変形型の圧電素子を用いてもよい。また、圧力発生手段として、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズルから液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用してもよい。さらには、発熱体を用いてノズル内に泡を発生させ、その泡によって機能液を液滴として吐出させる構成を有する吐出ヘッドであってもよい。
【0031】
図2に戻り、次に、メンテナンス機構部35について説明する。メンテナンス機構部35は、キャッピングユニット86、ワイピングユニット87、およびフラッシングユニット88のメンテナンスユニットを備えている。さらに、メンテナンスユニットを載置するメンテキャリッジ81と、メンテキャリッジ81の移動をガイドするメンテキャリッジガイド82と、メンテキャリッジ81と一体の螺合部85と、螺合部85が螺合するボールねじ84と、ボールねじ84を回転させるメンテモーター83とを備えている。これにより、メンテモーター83が正逆回転すると、ボールねじ84が回転し、螺合部85を介してメンテキャリッジ81が、X軸方向に移動する。メンテキャリッジ81が吐出ヘッド50のメンテナンスのために移動するときには、Y軸ガイド53に沿って吐出ヘッド50が移動して、メンテナンスユニットの直上部に臨んでいる。
【0032】
メンテナンスユニットのキャッピングユニット86は、液滴吐出装置30が稼動していない時に、吐出ヘッド50に密着してキャッピングし、液状体が乾燥してノズル120が詰まるなどの不具合が生じないようにする。ワイピングユニット87は、液状体の連続吐出後やキャッピング時にノズル120に付着した液状体などを、洗浄液を含むワイピング布で拭い、全ノズルの清浄な状態を維持する。フラッシングユニット88は、液滴吐出装置30の稼動開始時や基材10への加工前に、ノズル120から吐出される液状体を受け、ノズル120の吐出状態を常に良好な状態にする。
【0033】
これらのメンテナンスユニットにより、液滴吐出装置30の非稼動時や基材10を交換載置している加工待ち時などに、吐出ヘッド50の状態を保全して良好な吐出状態を保つことができる。
【0034】
次に、以上述べた構成を制御する制御部36の構成について説明する。図4は、制御部36の構成を示すブロック図である。制御部36は、指令部130と駆動部140とを備え、指令部130は、CPU132,記憶手段としてのROM133,RAM134および入出力インターフェイス131からなり、CPU132が入出力インターフェイス131を介して入力される各種信号を、ROM133、RAM134のデータに基づき処理し、入出力インターフェイス131を介して駆動部140へ制御信号を出力する。
【0035】
駆動部140は、ヘッドドライバー141、モータードライバー142、ポンプドライバー143、メンテドライバー145を備えている。モータードライバー142は、指令部130の制御信号により、X軸リニアモーター64、Y軸リニアモーター54を制御し、基材10、吐出ヘッド50の移動を制御する。さらに、メンテモーター83を制御してメンテナンス機構部35の必要なユニットをメンテナンス位置へ移動させる。ヘッドドライバー141は、吐出ヘッド50からの液状体の吐出を制御し、モータードライバー142の制御と同調して、基材10上の所定位置に吐出などが行えるようにする。また、ポンプドライバー143は、液状体の吐出状態に対応してポンプ74制御し、吐出ヘッド50への供給を最適に制御する。そして、メンテドライバー145は、メンテナンス機構部35のキャッピングユニット86、ワイピングユニット87およびフラッシングユニット88を制御する。
【0036】
ここで、吐出ヘッド50から液滴121が吐出される状態等について説明する。図5は、液滴の吐出状態及び着弾状態を示す説明図である。なお、図5では、基材10に対して、吐出ヘッド50をY軸方向に移動させながら液滴121を吐出させた場合を例にして説明する。
【0037】
まず、図5(a)は、吐出ヘッド50のノズル120から液滴121が吐出された状態を示している。液滴121は、主滴121aと、主滴121aに追随して形成された尾引き部121bが形成される。また、尾引き部121bに追随してサテライト121c等が形成される場合もある。
【0038】
次に、図5(b)〜図5(e)は、吐出された液滴が基材10の面に着弾する状態を示したものである。また、図5(b)〜(e)において、基材10に着弾した液滴121、主滴121a、尾引き部121b、サテライト121cを液滴121’、主滴121a’、尾引き部121b’、サテライト121c’として表している。
【0039】
図5(b)は、基材10の表面に液滴121が着弾した状態を示している。図5(b)に示すように、まず、主滴121aが基材10の面に着弾する。このとき、尾引き部121bやサテライト121cは、主滴121aに比べて遅れて進んでいるため、基材10の面に付着していない。
【0040】
次に、図5(c)に示すように、主滴121aに続いて尾引き部121bが基材10の面に付着する。主滴121aが基材10に着弾して尾引き部121bが基材10に付着するまでの間、吐出ヘッド50がY軸方向に相対的に移動しているため、尾引き部121bは、主滴121aの着弾位置に対して、Y軸方向側にずれて着弾される。換言すれば、吐出ヘッド50の移動方向側にずれて付着される。
【0041】
次に、図5(d)に示すように、尾引き部121bに続いてサテライト121cが基材10の面に付着する。尾引き部121bが基材10に付着してサテライト121cが基材10に着弾するまでの間、吐出ヘッド50がY軸方向に相対的に移動しているため、サテライト121cは、尾引き部121bの着弾位置に対して、Y軸方向側にずれて付着される。換言すれば、吐出ヘッド50の移動方向側にずれて付着される。また、図5(e)は、図5(d)の液滴121の着弾状態を平面視したものである。図5(e)に示すように、尾引き部121bやサテライト121cは、主滴121a対して吐出ヘッド50の走査方向側にずれた位置に付着する。
【0042】
以上、図5に示したように、吐出ヘッド50と基材10とを相対的に移動させながら液滴を吐出する場合、主滴121aの着弾位置に対して尾引き部121bやサテライト121cが、吐出ヘッド50の走査方向側にずれて付着してしまう傾向にある。従って、例えば、吐出ヘッド50をカラーフィルター1等のパターン膜形成部材の製造に適用して吐出した場合に、尾引き部121bやサテライト121cが区画部11上や隣接する他のパターン膜形成領域に付着してしまうと、隣接するパターン膜形成領域に塗布された機能液と接触し、混色を起こしてしまう。そこで、本実施形態では、このような不具合の発生を防止する。以下、パターン膜形成部材の製造方法において具体的に説明する。
【0043】
(パターン膜形成部材の製造方法)
次に、パターン形成部材の製造方法について説明する。パターン膜形成部材の製造方法は、パターン膜の材料を含む機能液を液滴として吐出する吐出ヘッドと基材とを相対的に移動させながら基材上に液滴を吐出するパスを所定回数行い、基板上にパターン膜を形成するパターン膜形成部材の製造方法であって、基材上に前記パターン膜が形成されるパターン膜形成領域に対して吐出ヘッドの移動方向側に、パスにおける液滴の着弾を禁止する着弾禁止領域を設定する着弾禁止領域設定工程と、設定された着弾禁止領域に応じて、液滴を吐出して、パターン膜形成領域に機能液を塗布する機能液塗布工程と、を含み、着弾禁止領域設定工程では、パスの回数に応じて着弾禁止領域の広さを設定するものである。なお、本実施形態では、パターン膜形成部材としてのカラーフィルターの製造方法について説明する。
【0044】
まず、着弾禁止領域設定工程について説明する。本実施形態の着弾禁止領域設定工程では、所定回数のパスにおける初回のパスに対応する着弾禁止領域よりも所定回数のパスにおける最終回のパスに対応する着弾禁止領域の方が広くなるように、着弾禁止領域の広さを設定する。図6は、パターン形成部材としてのカラーフィルターの製造方法の一部を説明する説明図である。具体的には、着弾禁止領域設定工程を示す説明図である。なお、本実施形態では、液滴の着弾を許可する着弾許可領域設定方法を含めて説明する。
【0045】
図6に示すように、基材10上に形成された区画部11によって区画されたパターン膜形成領域としての色素膜形成領域16のうち、区画部11の近傍を除く領域であって、液滴121の着弾を許可する着弾許可領域201と、着弾許可領域201以外の領域であって、液滴121の着弾を禁止する着弾禁止領域202とを設定する。本実施形態では、着弾許可領域201は、所定回数のパスにおける初回のパスに対応する着弾許可領域としての第1着弾許可領域201aと、所定回数のパスにおける最終回のパスに対応する着弾許可領域としての第2着弾許可領域201bと、を設定する。なお、着弾許可領域201は、液滴121の主滴121aの着弾を許可する領域である。
【0046】
図6(a)は、所定回数のパスのうち初回のパスにおける第1着弾許可領域201aと第1着弾禁止領域202aの設定を示している。本実施形態では、色素膜形成領域16において、区画部11の近傍を除く領域に第1着弾許可領域201aを設定する。本実施形態の第1着弾許可領域201aは、模式的に矩形で示されている。そして、色素膜形成領域に対して吐出ヘッド50の移動方向側に第1着弾禁止領域202aを設定する。本実施形態では、吐出ヘッド50の移動方向(Y軸方向)であって、第1着弾許可領域201aの両側に第1着弾禁止領域202aが設定される。そして、各第1着弾禁止領域202aのY軸方向に対応する幅W1が同じに設定される。
【0047】
図6(b)は、最終回のパスにおける第2着弾許可領域201bと第2着弾禁止領域202bの設定を示している。なお、同図では、吐出ヘッド50が相対的にY軸方向(プラス方向)に移動した場合について示している。本実施形態では、色素膜形成領域16において、区画部11の近傍を除く領域に矩形の第2着弾許可領域201bが設定されている。本実施形態では、第2着弾許可領域201bは、第1着弾許可領域201aに比べ、Y軸方向の幅が狭く設定される。そして、色素膜形成領域16における第2着弾許可領域201b以外の領域が着弾禁止領域202として設定されている。さらに、着弾禁止領域202において、吐出ヘッド50の相対的な移動方向(Y軸方向)側に第2着弾禁止領域202bを設定する。なお、本実施形態では、吐出ヘッド50の移動方向(Y軸方向)であって、第2着弾許可領域201bの一方側(吐出ヘッド50の移動方向側)に第2着弾禁止領域202bが設定される。また、他方側には、図6(a)と同様にして、第1着弾禁止領域202aと同じ領域が設定される。そして、第2着弾禁止領域202bが、初回のパスにおける第1着弾禁止領域202aよりも広くなるように設定される。さらに具体的には、吐出ヘッド50の走査方向(Y軸方向)における第2着弾禁止領域202bの幅W2が、第1着弾禁止領域202aの幅W1よりも広く設定される。
【0048】
図6(c)は、所定回数のパスのうち最終回のパスにおける第2着弾許可領域201bと第2着弾禁止領域202bとの設定を示している。なお、同図では、吐出ヘッド50が相対的にY軸方向(マイナス方向)に移動した場合について示している(図6(b)と逆の条件である)。本実施形態では、色素膜形成領域16において、区画部11の近傍を除く領域に矩形の第2着弾許可領域201bが設定されている。本実施形態では、第2着弾許可領域201bは、第1着弾許可領域201aに比べ、Y軸方向の幅が狭く設定される。そして、色素膜形成領域16における第2着弾許可領域201b以外の領域が着弾禁止領域202として設定されている。さらに、着弾禁止領域202において、吐出ヘッド50の相対的な移動方向(Y軸方向のマイナス方向)側に第2着弾禁止領域202bを設定する。なお、本実施形態では、吐出ヘッド50の移動方向(Y軸方向のマイナス方向)であって、第2着弾許可領域201bの一方側(吐出ヘッド50の移動方向側)に第2着弾禁止領域202bが設定される。また、他方側には、図6(a)と同様にして、第1着弾禁止領域202aと同じ領域が設定される。そして、第2着弾禁止領域202bが、初回のパスにおける第1着弾禁止領域202aよりも広くなるように設定される。さらに具体的には、吐出ヘッド50の走査方向(Y軸方向のマイナス方向)における第2着弾禁止領域202bの幅W2が、第1着弾禁止領域202aの幅W1よりも広く設定される。
【0049】
なお、第1及び第2着弾禁止領域202a,202bの広さや幅は適宜設定が可能である。例えば、図5(a)に示した様に、液滴121の尾引き部121bの長さ分に応じて第1及び第2着弾禁止領域202a,202bの広さや幅W1,W2を設定してもよい。また、図5(e),(f)に示した様に、吐出ヘッド50と基材10とが相対的に移動した際に吐出した液滴121が基材10の面に着弾した形状や色素膜形成領域16に塗布される機能液の塗布量に応じて第1及び第2着弾禁止領域202a,202bの広さや幅W1,W2を適宜設定してもよい。
【0050】
次に、機能液塗布工程について説明する。図7は、本実施形態にかかるパターン形成部材としてのカラーフィルターの製造方法の一部を説明する説明図である。具体的には、機能液塗布工程を示す説明図である。なお、本実施形態では、色素膜形成領域16に対して吐出ヘッド50をY軸方向(プラス方向)に移動させながら液滴121を吐出するパスを所定回数として4回行い、設定された第1及び第2着弾許可領域201a,201bに機能液を塗布する場合について説明する。また、図中において、各液滴121’には、液滴121を吐出したパスの回数に対応する番号を付している。
【0051】
まず、図7(a)は、初回(第1回目)のパスにおける液滴121’の塗布方法を示している。図7(a)に示すように、色素膜形成領域16には、第1着弾許可領域201aと第1着弾禁止領域202aが設定されており(図6(a)参照)、基材10に対して吐出ヘッド50をY軸方向に移動させながら液滴121を吐出する。これにより、色素膜形成領域16内に設定された第1着弾許可領域201aに液滴121’が着弾される。同図の例では、第1着弾許可領域201a内にY軸方向に平行して4列、各列に対して4ドットの液滴121’が塗布される。
【0052】
次いで、図7(b)は、第2回目のパスにおける液滴121’の塗布方法を示している。図7(b)に示すように、図7(a)における初回のパスと同様にして、色素膜形成領域16には、第1着弾許可領域201aと第1着弾禁止領域202aが設定されている。そして、基材10に対して吐出ヘッド50をY軸方向に移動させながら液滴121を吐出する。これにより、色素膜形成領域16内に設定された第1着弾許可領域201aに液滴121’が着弾される。同図の例では、第1着弾許可領域201a内にY軸方向に平行して4列、各列に対して4ドットの液滴121’が塗布される。
【0053】
次いで、図7(c)は、第3回目のパスにおける液滴121’の塗布方法を示している。図7(b)に示すように、図7(a)における初回のパスと同様にして、色素膜形成領域16には、第1着弾許可領域201aと第1着弾禁止領域202aが設定されている。そして、基材10に対して吐出ヘッド50をY軸方向に移動させながら液滴121を吐出する。これにより、色素膜形成領域16内に設定された第1着弾許可領域201aに液滴121’が着弾される。同図の例では、第1着弾許可領域201a内にY軸方向に平行して3列、各列に対して4ドットの液滴121’が塗布される。
【0054】
次いで、図7(d)は、最終回(第4回目)のパスにおける液滴121’の塗布方法を示している。図7(d)に示すように、最終回(第4回目)のパスでは、色素膜形成領域16内に第2着弾許可領域201bと第2着弾禁止領域202bとが設定される。本実施形態では、吐出ヘッド50の相対的な移動方向側に第2着弾禁止領域202bが設けられ、当該移動方向(Y軸方向)に対応する幅W2が初回〜第3回目のパスに対応する第1着弾禁止領域202aにおける幅W1よりも広くなるように設定されている。そして、基材10に対して吐出ヘッド50をY軸方向に移動させながら液滴121を吐出する。これにより、色素膜形成領域16内に設定された第2着弾許可領域201bに液滴121が着弾される。また、第2着弾許可領域201bは、第1着弾許可領域201aよりも、Y軸方向に対応する幅が狭く設定される。そして、Y軸方向に平行して3列、各列に対して2ドットの液滴121’が塗布される。
【0055】
以上、機能液塗布工程が終了した後、固化工程に移行する。固化工程では、塗布された機能液を、例えば、乾燥等により固化する。これにより、パターン膜としての色素膜14が形成される。その後、必要に応じて、区画部11と色素膜14の上に保護膜18を形成する。保護膜18の形成方法としては、スピンコート法等が用いられ、材料としては、光硬化タイプ、熱硬化タイプあるいは光熱併用タイプの樹脂材料、蒸着、スパッタ等によって形成された無機膜等を用いることができる。以上、上記の製造方法によって、カラーフィルター1(図1参照)が形成される。
【0056】
(電気光学装置)
次に、本実施形態にかかる電気光学装置について説明する。図8は、電気光学装置としての液晶ディスプレイの構成を示す断面図である。
【0057】
図8において、液晶ディスプレイ150は、カラーフィルター1と、カラーフィルター1に対向して配置された素子基材151と、シール材152によって接着されたカラーフィルター1と素子基材151の隙間に充填された液晶153等で構成されている。
【0058】
カラーフィルター1の保護膜18の上には共通電極161が形成され、共通電極161の上には配向膜162が形成されている。また、基材10の色素膜14が形成された面の反対面には偏光板175が備えられている。
【0059】
素子基材151は、透明性を有する基材170と、基材170の上に形成されたTFT(Thin Film Transistor)素子171と、基材170とTFT素子171の上に形成された配向膜172等で構成されている。また、基材170のTFT素子171が形成された面の反対面には偏光板176が備えられている。
【0060】
(電子機器)
次に、本実施形態にかかる電子機器について説明する。図9は、電子機器としてのテレビ受像機の構成を示す斜視図である。図9において、テレビ受像機180の表示部に液晶ディスプレイ150が搭載されている。
【0061】
従って、上記の第1実施形態によれば、以下に示す効果がある。
【0062】
初回(第1回目)のパス〜第3回目のパスにおいて、第1着弾許可領域201aと第1着弾禁止領域202aを設定して液滴121を塗布し、最終回(第4回目)のパスにおいて、第2着弾許可領域201bと第2着弾禁止領域202bを設定して液滴121を塗布した。ここで、第2着弾禁止領域202bの領域や幅W2は第1着弾禁止領域202aの領域や幅W1よりも広い。従って、液滴121を吐出した際に発生する尾引き部121b’やサテライト121cが基材10に付着する領域が確保される。特に、最終回のパスにおける液滴の吐出時には、第1〜第3回目までのパスにより既に色素膜形成領域16には多量の機能液が塗布されている状態である。このため、さらに液滴を付着させた場合、隣接する他のパターン膜形成領域に塗布された機能液と接触するおそれ生じるが、第2着弾禁止領域202bが広く設定されるため、隣接する他の色素膜形成領域16の機能液との接触が防止され、混色等の不具合発生を低減することができる。
【0063】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。なお、パターン膜形成部材の構成、電気光学装置の構成、電子機器の構成、液滴吐出装置の構成、着弾禁止領域設定工程に関しては、第1実施形態と同様なので説明を省略し、主に、本実施形態におけるパターン膜形成部材としてのカラーフィルターの製造方法にかかる機能液塗布工程について説明する。
【0064】
図10は、本実施形態にかかるパターン形成部材としてのカラーフィルターの製造方法の一部を説明する説明図である。具体的には、機能液塗布工程を示す説明図である。本実施形態の機能液塗布工程では、初回のパスから最終回のパスにかけて徐々に前記機能液のドット径を小さくしながら、機能液を塗布するものである。なお、本実施形態では、色素膜形成領域16に対して吐出ヘッド50をY軸方向(プラス方向)に移動させたときに液滴121を吐出するパスを所定回数として4回行い、設定された第1及び第2着弾許可領域201a,201bに機能液を塗布する場合について説明する。また、図中において、各液滴121’には、液滴121を吐出したパスの回数に対応する番号を付している。
【0065】
まず、図10(a)は、初回(第1回目)のパスにおける液滴121’の塗布方法を示している。図10(a)に示すように、色素膜形成領域16には、第1着弾許可領域201aと第1着弾禁止領域202aが設定されており(図6(a)参照)、基材10に対して吐出ヘッド50をY軸方向に移動させながら液滴121を吐出する。これにより、色素膜形成領域16内に設定された第1着弾許可領域201aに液滴121’が着弾される。そして、初回(第1回目)のパスでは、比較大きなドット(大ドット121a’)で吐出する。同図の例では、Y軸方向に平行して4列、各列に対して4ドットの機能液121’が塗布される。
【0066】
次いで、図10(b)は、第2回目のパスにおける液滴121’の塗布方法を示している。図10(b)に示すように、図10(a)における初回のパスと同様にして、色素膜形成領域16には、第1着弾許可領域201aと第1着弾禁止領域202aが設定されている。そして、基材10に対して吐出ヘッド50をY軸方向に移動させながら液滴121を吐出する。これにより、色素膜形成領域16内に設定された第1着弾許可領域201aに液滴121’が着弾される。そして、第2回目のパスでは、大ドット121a’よりも小さいドット(中ドット121b’)で吐出する。同図の例では、Y軸方向に平行して4列、各列に対して3ドットの機能液121’が塗布される。
【0067】
次いで、図10(c)は、第3回目のパスにおける液滴121’の塗布方法を示している。図10(c)に示すように、図10(a)における初回のパスと同様にして、色素膜形成領域16には、第1着弾許可領域201aと第1着弾禁止領域202aが設定されている。そして、基材10に対して吐出ヘッド50をY軸方向に移動させながら液滴121を吐出する。これにより、色素膜形成領域16内に設定された第1着弾許可領域201aに液滴121’が着弾される。そして、第2回目のパスでは、大ドット121a’よりも小さいドット(中ドット121b’)で吐出する。同図の例では、Y軸方向に平行して3列、各列に対して3ドットの機能液121’が塗布される。
【0068】
次いで、図10(d)は、最終回(第4回目)のパスにおける液滴121’の塗布方法を示している。図10(d)に示すように、最終回(第4回目)のパスでは、色素膜形成領域16に、第2着弾許可領域201bと第2着弾禁止領域202bとが設定される。本実施形態では、吐出ヘッド50の相対的な移動方向側に第2着弾禁止領域202bが設けられ、当該移動方向(Y軸方向)に対応する幅W2が第1着弾禁止領域202aにおける幅W1よりも広くなるように設定され、第2着弾許可領域201bに液滴121が塗布される。また、第2着弾許可領域201bは、第1着弾許可領域201aよりも、Y軸方向に対応する幅が狭く設定される。この場合、Y軸方向に平行して3列、各列に対して2ドットの機能液121’が塗布される。そして、最終回のパスでは、中ドット121b’よりも小さいドット(小ドット121c’)で吐出する。同図の例では、Y軸方向に平行して3列、各列に対して2ドットの機能液121’が塗布される。
【0069】
以上、機能液塗布工程が終了した後、固化工程に移行する。固化工程では、塗布された機能液を、例えば、乾燥等により固化する。これにより、パターン膜としての色素膜14が形成される。その後、必要に応じて、区画部11と色素膜14の上に保護膜18を形成する。保護膜18の形成方法としては、スピンコート法等が用いられ、材料としては、光硬化タイプ、熱硬化タイプあるいは光熱併用タイプの樹脂材料、蒸着、スパッタ等によって形成された無機膜等を用いることができる。以上、上記の製造方法によって、カラーフィルター1(図1参照)が形成される。
【0070】
従って、上記の第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、以下に示す効果がある。
【0071】
初回のパスから最終回のパスにかけて吐出される機能液のドット径が小さくなるので、例えば、最終回のパスにおいて液滴121c’が吐出され、当該液滴121c’がパターン膜形成領域に既に塗布されている機能液121に到達した際の衝撃力は低いものとなる。これにより、液滴121c’の衝撃波等による隣接する他の色素膜形成領域16の機能液同士の接触が低減され、混色等の不具合発生を防止することができる。
【0072】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。なお、パターン膜形成部材の構成、電気光学装置の構成、電子機器の構成、液滴吐出装置の構成、着弾禁止領域設定工程に関しては、第1実施形態と同様なので説明を省略し、主に、本実施形態におけるパターン膜形成部材としてのカラーフィルターの製造方法にかかる機能液塗布工程について説明する。
【0073】
図11は、本実施形態にかかるパターン形成部材としてのカラーフィルターの製造方法の一部を説明する説明図である。具体的には、機能液塗布工程を示す説明図である。また、図中において、各液滴121’には、液滴121を吐出したパスの回数に対応する番号を付している。
【0074】
まず、図11(a)は、初回(第1回目)のパスにおける液滴121’の塗布方法を示している。図11(a)に示すように、色素膜形成領域16には、第1着弾許可領域201aと第1着弾禁止領域202aが設定されており(図6(a)参照)、基材10に対して吐出ヘッド50をY軸方向(プラス方向)に移動させながら液滴121を吐出する。これにより、色素膜形成領域16内に設定された第1着弾許可領域201aに液滴121’が着弾される。同図の例では、Y軸方向に平行して4列、各列に対して4ドットの機能液121’が塗布される。
【0075】
次いで、図11(b)は、第2回目のパスにおける液滴121’の塗布方法を示している。図11(b)に示すように、色素膜形成領域16には、第1着弾許可領域201aと第1着弾禁止領域202aが設定されており(図6(a)参照)、基材10に対して吐出ヘッド50をY軸方向(マイナス方向)に移動させながら液滴121を吐出する。これにより、色素膜形成領域16内に設定された第1着弾許可領域201aに液滴121’が着弾される。同図の例では、Y軸方向に平行して4列、各列に対して4ドットの機能液121’が塗布される。
【0076】
次いで、図11(c)は、第3回目のパスにおける液滴121’の塗布方法を示している。図11(c)に示すように、色素膜形成領域16には、第1着弾許可領域201aと第1着弾禁止領域202aが設定されており(図6(a)参照)、基材10に対して吐出ヘッド50をY軸方向(プラス方向)に移動させながら液滴121を吐出する。これにより、色素膜形成領域16内に設定された第1着弾許可領域201aに液滴121’が着弾される。同図の例では、Y軸方向に平行して3列、各列に対して4ドットの機能液121’が塗布される。
【0077】
次いで、図11(d)は、最終回(第4回目)のパスにおける液滴121’の塗布方法を示している。基材10に対して吐出ヘッド50をY軸方向(マイナス方向)に移動させながら液滴121を吐出し、色素膜形成領域16内に設定された第1着弾許可領域201aに液滴121’が塗布される。ここで、図11(d)に示すように、最終回(第4回目)のパスでは、第2着弾許可領域201bと第2着弾禁止領域202bとが設定される。本実施形態では、吐出ヘッド50の相対的な移動方向側に第2着弾禁止領域202bが設けられ、当該移動方向(Y軸方向のマイナス方向)に対応する幅W2が第1着弾禁止領域202aにおける幅W1よりも広くなるように設定される(図6(c)参照)。そして、第2着弾許可領域201bは、第1着弾許可領域201aよりも、Y軸方向に対応する幅が狭く設定される。この場合、Y軸方向に平行して3列、各列に対して2ドットの機能液121’が塗布される。
【0078】
以上、機能液塗布工程が終了した後、固化工程に移行する。固化工程では、塗布された機能液を、例えば、乾燥等により固化する。これにより、パターン膜としての色素膜14が形成される。その後、必要に応じて、区画部11と色素膜14の上に保護膜18を形成する。保護膜18の形成方法としては、スピンコート法等が用いられ、材料としては、光硬化タイプ、熱硬化タイプあるいは光熱併用タイプの樹脂材料、蒸着、スパッタ等によって形成された無機膜等を用いることができる。以上、上記の製造方法によって、カラーフィルター1(図1参照)が形成される。
【0079】
従って、上記の第3実施形態によれば、第1及び第2実施形態の効果に加え、以下に示す効果がある。
【0080】
吐出ヘッド50が双方向(往路及び復路)に移動しながら液滴121を吐出するので、効率よく色素膜形成領域16内に機能液を塗布することができる。さらに、吐出ヘッド50が移動方向に応じて、第1及び第2着弾許可領域201a,201b、第1及び第2着弾禁止領域202a,202bが設定されるため、隣接する他の色素膜形成領域16の機能液との混色を防止することができる。
【0081】
なお、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下のような変形例が挙げられる。
【0082】
(変形例1)上記の第1〜第3実施形態では、基材10に対する吐出ヘッド50の相対的な移動方向側とは反対側における着弾禁止領域202を第1着弾禁止領域202aとして設定したが、これに限定されない。当該着弾禁止領域202は任意に設定してもよい。この場合において、基材10に対する吐出ヘッド50の相対的な移動方向側の着弾禁止領域に関し、初回のパスにおける着弾禁止領域よりも、最終回のパスにおける着弾禁止領域の方が広くなるように設定すればよい。このようにしても、上記同様の効果を得ることができる。
【0083】
(変形例2)上記の第1〜第3実施形態では、初回のパスから第3回目のパスにおいて吐出ヘッド50の移動方向側の着弾禁止領域202(第1着弾禁止領域202a)を同じ広さに設定したが、これに限定されない。例えば、液滴着弾領域設定工程において、着弾許可領域に対する吐出ヘッド50の相対的な同一移動方向側の着弾禁止領域を、初回のパスから最終回のパスにかけて徐々に広げてもよい。このようにすれば、初回のパスから最終回のパスにかけてパターン形成領域内に徐々に機能液が増加していくのに対して、着弾禁止領域が広がる。すなわち、隣接する他のパターン膜形成領域との距離が広がる。このため、吐出された液滴が既に塗布された機能液に衝突した際の衝撃波等による隣接するパターン膜形成領域の機能液同士の接触が低減され、混色を防止することができる。
【0084】
(変形例3)上記の第1実施形態では、初回のパスから第3回目のパスの各パスにおける機能液の塗布量を同じとしたが、これに限定されない。例えば、機能液塗布工程では、初回のパスから最終回のパスにかけて徐々に機能液の塗布量を減らしながら、設定された着弾許可領域に機能液を塗布してもよい。このようにすれば、初回のパスから最終回のパスにかけて吐出される機能液の塗布量が少なくなるので、例えば、最終回のパスにおいて液滴が吐出され、当該液滴がパターン膜形成領域に既に塗布されている機能液に到達した際の衝撃力は低いものとなる。これにより、液滴の衝撃波等による隣接するパターン膜形成領域の機能液同士の接触が低減され、混色を防止することができる。
【0085】
(変形例4)上記の第1〜第3実施形態では、基材10に対して吐出ヘッド50を移動させながら液滴121を吐出するパスを行ったが、吐出ヘッド50に対して基材10を移動させながら液滴121を吐出してもよい。このようにしても、上記同様の効果を得ることができる。
【0086】
(変形例5)上記の第1〜第3実施形態では、パターン膜形成部材としてカラーフィルター1を例として説明したが、これに限定されることなく、例えば、EL(Electro−Luminescence)発光部材、シリカガラス前駆体、金属化合物等の導電部材、誘電体部材等についても適用することができる。
【符号の説明】
【0087】
1…パターン膜形成部材としてのカラーフィルター、10…基材、11…区画部、14…パターン膜としての色素膜、16…パターン膜形成領域としての色素膜形成領域、30…液滴吐出装置、50…吐出ヘッド、150…電気光学装置としての液晶ディスプレイ、180…電子機器としてのテレビ受像機、201…着弾許可領域、201a…第1着弾許可領域、201b…第2着弾許可領域、202…着弾禁止領域、202a…第1着弾禁止領域、202b…第2着弾禁止領域。
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン膜形成部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、パターン膜形成部材としてのカラーフィルターの製造方法では、基材上に形成された区画部によって区画された色素膜形成領域に向けて、色素膜の材料を含む機能液を液滴として吐出して、機能液を色素膜形成領域に付着させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−142417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のカラーフィルターの製造方法では、液滴を吐出する吐出ヘッドと基材とを相対的に移動させながら、液滴を吐出して、当該液滴を基材面に着弾させ、機能液を基板上に付着させている。ところで、吐出ヘッドのノズルから機能液を液滴として吐出した際、液滴の主滴に追随して尾引き部やサテライト等が発生することがある。この場合、吐出ヘッドと基材とを相対的に移動させながら液滴を吐出するため、尾引き部やサテライトは、主滴が基材に着弾する位置からずれて基材側に付着する。その結果、尾引き部やサテライトは、主滴が着弾された位置からずれた位置に付着することになる。すなわち、所望した位置からずれた位置に付着してしまうことになる。この場合、例えば、尾引き部やサテライトが位置ずれによって隣接する他の領域に付着してしまい、混色等を発生させてしまう、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかるパターン膜形成部材の製造方法は、パターン膜の材料を含む機能液を液滴として吐出する吐出ヘッドと基材とを相対的に移動させながら前記基材上に前記液滴を吐出するパスを所定回数行い、前記基板上にパターン膜を形成するパターン膜形成部材の製造方法であって、前記基材上に前記パターン膜が形成されるパターン膜形成領域に対して前記吐出ヘッドの移動方向側に、前記パスにおける前記液滴の着弾を禁止する着弾禁止領域を設定する着弾禁止領域設定工程と、設定された前記着弾禁止領域に応じて、前記液滴を吐出して、前記パターン膜形成領域に前記機能液を塗布する機能液塗布工程と、を含み、前記着弾禁止領域設定工程では、前記パスの回数に応じて前記着弾禁止領域の広さを設定することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、パターン膜形成領域に対して吐出ヘッドの相対的な移動方向側に液滴の着弾が禁止される着弾禁止領域が設定され、当該着弾禁止領域に応じて、液滴が吐出される。ここで、パスの回数に応じて着弾禁止領域の広さが設定される。このため、例えば、パスを繰り返す毎にパターン膜形成領域内に蓄積される機能液の量を考慮して着弾禁止領域の広さを設定することが可能となる。例えば、パターン膜形成領域内に蓄積される機能液の量が少ない場合には着弾禁止領域の広さを比較的狭く設定し、パターン膜形成領域内に蓄積された機能液の量が比較的多くなった場合には着弾禁止領域をより広くすることが可能となる。これにより、液滴を吐出した際に発生する尾引き部やサテライト等が付着する領域が確保されるため、隣接する他のパターン膜形成領域の機能液との接触が防止され、パターン膜同士の混色不良等の不具合発生を低減することができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかるパターン膜形成部材の製造方法の前記着弾禁止領域設定工程では、前記所定回数のパスにおける初回のパスに対応する着弾禁止領域よりも前記所定回数のパスにおける最終回のパスに対応する着弾禁止領域の方が広くなるように、前記着弾禁止領域の広さを設定することを特徴とする
【0009】
この構成によれば、最終回のパスに対応する着弾禁止領域は、初回のパスに対応する着弾禁止領域よりも領域が広く設定される。従って、最終回のパスにおいて、液滴が吐出された際、液滴の主滴に追随する尾引き部やサテライト等がパターン膜形成領域に付着する領域が広くなる。すなわち、液滴の主滴が着弾した後に、遅れて着弾する尾引き部やサテライト等の付着領域が確保される。特に、最終回のパスにおける液滴の吐出時には、これまでのパスによりパターン膜形成領域には機能液の量が比較的多く塗布された状態である。このため、さらに液滴を付着させた場合、隣接する他のパターン膜形成領域に塗布された機能液と接触するおそれ生じるが、最終回のパスの着弾禁止領域が広く設定されるため、隣接する他のパターン膜形成領域の機能液との接触が防止され、パターン膜同士の混色不良等の不具合発生を低減することができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例にかかるパターン膜形成部材の製造方法の前記着弾禁止領域設定工程では、前記初回のパスから前記最終回のパスにかけて前記着弾禁止領域を徐々に広げることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、初回のパスから最終回のパスにかけてパターン形成領域内に徐々に機能液が増加していくのに対して、着弾禁止領域が広がるように設定される。すなわち、隣接する他のパターン膜形成領域との距離が広がっていく。このため、吐出された液滴が既に塗布された機能液に衝突した際の衝撃波等による隣接するパターン膜形成領域の機能液同士の接触が低減され、混色を防止することができる。
【0012】
[適用例4]上記適用例にかかるパターン膜形成部材の製造方法の前記機能液塗布工程では、前記初回のパスから前記最終回のパスにかけて徐々に前記機能液の塗布量を減らしながら、前記機能液を塗布することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、初回のパスから最終回のパスにかけて吐出される機能液の塗布量が少なくなるので、例えば、最終回のパスにおいて液滴が吐出され、当該液滴がパターン膜形成領域に既に塗布されている機能液に到達した際の衝撃力は低いものとなる。これにより、液滴の衝撃波等による隣接するパターン膜形成領域の機能液同士の接触が低減され、混色を防止することができる。
【0014】
[適用例5]上記適用例にかかるパターン膜形成部材の製造方法の前記機能液塗布工程では、前記初回のパスから前記最終回のパスにかけて徐々に前記機能液のドット径を小さくしながら、前記機能液を塗布することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、初回のパスから最終回のパスにかけて吐出される機能液のドット径が小さくなるので、例えば、最終回のパスにおいて液滴が吐出され、当該液滴がパターン膜形成領域に既に塗布されている機能液に到達した際の衝撃力は低いものとなる。これにより、液滴の衝撃波等による隣接するパターン膜形成領域の機能液同士の接触が低減され、混色等の不具合発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】パターン膜形成部材としてのカラーフィルターの構成を示し、(a)は平面図、(b)は断面図。
【図2】液滴吐出装置の構成を示す斜視図。
【図3】吐出ヘッドの構成を示す断面図。
【図4】液滴吐出装置の制御部の構成を示すブロック図。
【図5】液滴の吐出状態及び着弾状態を示す説明図。
【図6】パターン膜形成部材の製造方法の一部を説明する説明図。
【図7】第1実施形態にかかるパターン形成部材としてのカラーフィルターの製造方法の一部を説明する説明図。
【図8】電気光学装置としての液晶ディスプレイの構成を示す断面図。
【図9】電子機器としてのテレビ受像機の構成を示す斜視図。
【図10】第2実施形態にかかるパターン形成部材としてのカラーフィルターの製造方法の一部を示す説明図。
【図11】第3実施形態にかかるパターン形成部材としてのカラーフィルターの製造方法の一部を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した第1〜第3実施形態について図面に従って説明する。なお、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材ごとに縮尺を異ならせて図示している。
【0018】
[第1実施形態]
(パターン膜形成部材の構成)
まず、パターン膜形成部材の構成について説明する。なお、本実施形態では、パターン膜形成部材としてのカラーフィルターの構成について説明する。図1は、カラーフィルターの構成を示し、図1(a)は、平面図であり、同図(b)は、同図(a)のA−A断面図である。
【0019】
図1(a)、図1(b)において、カラーフィルター1は、基材10と、基材10の上に形成された区画部11と、区画部11によって区画されたパターン膜形成領域としての色素膜形成領域16と、色素膜形成領域16に形成されたパターン膜としての色素膜14と、区画部11と色素膜14の上に形成された保護膜18等で構成されている。
【0020】
基材10は、透明性を有し、一般にガラス基材が用いられるが、他にプラスチック等も使用可能であり、カラーフィルター機能として透過率、強度等の必要特性を有するものであれば特に限定されるものではない。区画部11は、遮光性を有し、金属、樹脂等を用いることができる。
【0021】
(液滴吐出装置の構成)
次に、パターン膜形成部材の製造に用いられる液滴吐出装置の構成について説明する。図2は、液滴吐出装置の構成を示す斜視図である。
【0022】
図2において、液滴吐出装置30は、色素膜14の材料となる液状体を液滴として吐出する吐出ヘッド50を有するヘッド機構部32と、吐出ヘッド50から吐出された液滴の吐出対象である基材10を載置するワーク機構部33と、吐出ヘッド50に液状体を供給する材料供給部34と、吐出ヘッド50の保守を行うメンテナンス機構部35と、これら各機構部および供給部を統括的に制御する制御部36等を備えている。
【0023】
液滴吐出装置30は、床上に設置された複数の支持脚41と、支持脚41の上側に設置された定盤42を備えている。定盤42の上側には、ワーク機構部33が定盤42の長手方向(X軸方向)に延在するように配置されている。ワーク機構部33の上方には、定盤42に固定された2本の支持柱52で支持されているヘッド機構部32が、ワーク機構部33と直交する方向(Y軸方向)に延在して配置されている。また、定盤42の一方の端部には、ヘッド機構部32の吐出ヘッド50から連通して液状体を供給する材料供給部34が配置されている。そして、ヘッド機構部32の一方の支持柱52近傍には、メンテナンス機構部35がワーク機構部33と並んでX軸方向に延在するように配置されている。さらに、定盤42の下側には、制御部36が備えられている。
【0024】
ヘッド機構部32は、液状体を吐出する吐出ヘッド50と、吐出ヘッド50を懸架したヘッドキャリッジ51と、ヘッドキャリッジ51のY軸方向への移動をガイドするY軸ガイド53と、Y軸ガイド53の側方にY軸ガイド53と平行に設置されたY軸リニアモーター54等を備えている。
【0025】
ワーク機構部33は、ヘッド機構部32の下方に位置し、ヘッド機構部32とほぼ同様の構成でX軸方向に延在するように配置されており、基材10を載置している載置台61と、載置台61の移動をガイドするX軸ガイド63と、X軸ガイド63の側方にX軸ガイド63と平行に設置されたX軸リニアモーター64等を備えている。
【0026】
これらの構成により、吐出ヘッド50と基材10とは、それぞれY軸方向およびX軸方向に往復自在に移動することができる。最初に、吐出ヘッド50の移動について説明する。吐出ヘッド50を懸架したヘッドキャリッジ51は、Y軸ガイド53に移動可能に取り付けられている。図示しないが、ヘッドキャリッジ51からY軸リニアモーター54側へ張り出している突起部が、Y軸リニアモーター54と係合して駆動力を得ることにより、ヘッドキャリッジ51がY軸ガイド53に沿って任意の位置に移動する。同様に、載置台61に搭載された基材10もX軸方向に自在に移動する。
【0027】
このように、吐出ヘッド50は、Y軸方向の吐出位置まで移動して停止し、下方にある基材10のX軸方向の移動に同調して、液滴を吐出する構成となっている。X軸方向に移動する基材10と、Y軸方向に移動する吐出ヘッド50とを相対的に制御することにより、基材10上に機能液を吐出することができる。
【0028】
吐出ヘッド50に液状体を供給する材料供給部34は、タンク75と、ポンプ74と、タンク75からポンプ74を経て吐出ヘッド50までを接続する流路チューブ79とを備えている。
【0029】
図3は、吐出ヘッドの構成を示す断面図である。図3に示すように、吐出ヘッド50は、ノズルプレート115を備え、ノズルプレート115には、ノズル120が形成されている。ノズルプレート115の上側であってノズル120と相対する位置には、ノズル120に連通するキャビティ111が形成されている。そして、キャビティ111には、材料供給部34から機能液が供給される。
【0030】
キャビティ111の上側には、上下方向(Z方向:縦振動)に振動して、キャビティ111内の容積を拡大縮小する振動板114と、上下方向に伸縮して振動板114を振動させる加圧手段としての圧電素子113が配設されている。そして、吐出ヘッド50が圧電素子113を制御駆動するための駆動信号を受けると、圧電素子113が伸張して、振動板114がキャビティ111内の容積を縮小する。その結果、ノズル120から縮小した容積分の機能液が液滴121として吐出される。なお、本実施形態では、加圧手段として、縦振動型の圧電素子113を用いたが、特に、これに限定されず、例えば、下電極と圧電体層と上電極とを積層形成した撓み変形型の圧電素子を用いてもよい。また、圧力発生手段として、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズルから液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用してもよい。さらには、発熱体を用いてノズル内に泡を発生させ、その泡によって機能液を液滴として吐出させる構成を有する吐出ヘッドであってもよい。
【0031】
図2に戻り、次に、メンテナンス機構部35について説明する。メンテナンス機構部35は、キャッピングユニット86、ワイピングユニット87、およびフラッシングユニット88のメンテナンスユニットを備えている。さらに、メンテナンスユニットを載置するメンテキャリッジ81と、メンテキャリッジ81の移動をガイドするメンテキャリッジガイド82と、メンテキャリッジ81と一体の螺合部85と、螺合部85が螺合するボールねじ84と、ボールねじ84を回転させるメンテモーター83とを備えている。これにより、メンテモーター83が正逆回転すると、ボールねじ84が回転し、螺合部85を介してメンテキャリッジ81が、X軸方向に移動する。メンテキャリッジ81が吐出ヘッド50のメンテナンスのために移動するときには、Y軸ガイド53に沿って吐出ヘッド50が移動して、メンテナンスユニットの直上部に臨んでいる。
【0032】
メンテナンスユニットのキャッピングユニット86は、液滴吐出装置30が稼動していない時に、吐出ヘッド50に密着してキャッピングし、液状体が乾燥してノズル120が詰まるなどの不具合が生じないようにする。ワイピングユニット87は、液状体の連続吐出後やキャッピング時にノズル120に付着した液状体などを、洗浄液を含むワイピング布で拭い、全ノズルの清浄な状態を維持する。フラッシングユニット88は、液滴吐出装置30の稼動開始時や基材10への加工前に、ノズル120から吐出される液状体を受け、ノズル120の吐出状態を常に良好な状態にする。
【0033】
これらのメンテナンスユニットにより、液滴吐出装置30の非稼動時や基材10を交換載置している加工待ち時などに、吐出ヘッド50の状態を保全して良好な吐出状態を保つことができる。
【0034】
次に、以上述べた構成を制御する制御部36の構成について説明する。図4は、制御部36の構成を示すブロック図である。制御部36は、指令部130と駆動部140とを備え、指令部130は、CPU132,記憶手段としてのROM133,RAM134および入出力インターフェイス131からなり、CPU132が入出力インターフェイス131を介して入力される各種信号を、ROM133、RAM134のデータに基づき処理し、入出力インターフェイス131を介して駆動部140へ制御信号を出力する。
【0035】
駆動部140は、ヘッドドライバー141、モータードライバー142、ポンプドライバー143、メンテドライバー145を備えている。モータードライバー142は、指令部130の制御信号により、X軸リニアモーター64、Y軸リニアモーター54を制御し、基材10、吐出ヘッド50の移動を制御する。さらに、メンテモーター83を制御してメンテナンス機構部35の必要なユニットをメンテナンス位置へ移動させる。ヘッドドライバー141は、吐出ヘッド50からの液状体の吐出を制御し、モータードライバー142の制御と同調して、基材10上の所定位置に吐出などが行えるようにする。また、ポンプドライバー143は、液状体の吐出状態に対応してポンプ74制御し、吐出ヘッド50への供給を最適に制御する。そして、メンテドライバー145は、メンテナンス機構部35のキャッピングユニット86、ワイピングユニット87およびフラッシングユニット88を制御する。
【0036】
ここで、吐出ヘッド50から液滴121が吐出される状態等について説明する。図5は、液滴の吐出状態及び着弾状態を示す説明図である。なお、図5では、基材10に対して、吐出ヘッド50をY軸方向に移動させながら液滴121を吐出させた場合を例にして説明する。
【0037】
まず、図5(a)は、吐出ヘッド50のノズル120から液滴121が吐出された状態を示している。液滴121は、主滴121aと、主滴121aに追随して形成された尾引き部121bが形成される。また、尾引き部121bに追随してサテライト121c等が形成される場合もある。
【0038】
次に、図5(b)〜図5(e)は、吐出された液滴が基材10の面に着弾する状態を示したものである。また、図5(b)〜(e)において、基材10に着弾した液滴121、主滴121a、尾引き部121b、サテライト121cを液滴121’、主滴121a’、尾引き部121b’、サテライト121c’として表している。
【0039】
図5(b)は、基材10の表面に液滴121が着弾した状態を示している。図5(b)に示すように、まず、主滴121aが基材10の面に着弾する。このとき、尾引き部121bやサテライト121cは、主滴121aに比べて遅れて進んでいるため、基材10の面に付着していない。
【0040】
次に、図5(c)に示すように、主滴121aに続いて尾引き部121bが基材10の面に付着する。主滴121aが基材10に着弾して尾引き部121bが基材10に付着するまでの間、吐出ヘッド50がY軸方向に相対的に移動しているため、尾引き部121bは、主滴121aの着弾位置に対して、Y軸方向側にずれて着弾される。換言すれば、吐出ヘッド50の移動方向側にずれて付着される。
【0041】
次に、図5(d)に示すように、尾引き部121bに続いてサテライト121cが基材10の面に付着する。尾引き部121bが基材10に付着してサテライト121cが基材10に着弾するまでの間、吐出ヘッド50がY軸方向に相対的に移動しているため、サテライト121cは、尾引き部121bの着弾位置に対して、Y軸方向側にずれて付着される。換言すれば、吐出ヘッド50の移動方向側にずれて付着される。また、図5(e)は、図5(d)の液滴121の着弾状態を平面視したものである。図5(e)に示すように、尾引き部121bやサテライト121cは、主滴121a対して吐出ヘッド50の走査方向側にずれた位置に付着する。
【0042】
以上、図5に示したように、吐出ヘッド50と基材10とを相対的に移動させながら液滴を吐出する場合、主滴121aの着弾位置に対して尾引き部121bやサテライト121cが、吐出ヘッド50の走査方向側にずれて付着してしまう傾向にある。従って、例えば、吐出ヘッド50をカラーフィルター1等のパターン膜形成部材の製造に適用して吐出した場合に、尾引き部121bやサテライト121cが区画部11上や隣接する他のパターン膜形成領域に付着してしまうと、隣接するパターン膜形成領域に塗布された機能液と接触し、混色を起こしてしまう。そこで、本実施形態では、このような不具合の発生を防止する。以下、パターン膜形成部材の製造方法において具体的に説明する。
【0043】
(パターン膜形成部材の製造方法)
次に、パターン形成部材の製造方法について説明する。パターン膜形成部材の製造方法は、パターン膜の材料を含む機能液を液滴として吐出する吐出ヘッドと基材とを相対的に移動させながら基材上に液滴を吐出するパスを所定回数行い、基板上にパターン膜を形成するパターン膜形成部材の製造方法であって、基材上に前記パターン膜が形成されるパターン膜形成領域に対して吐出ヘッドの移動方向側に、パスにおける液滴の着弾を禁止する着弾禁止領域を設定する着弾禁止領域設定工程と、設定された着弾禁止領域に応じて、液滴を吐出して、パターン膜形成領域に機能液を塗布する機能液塗布工程と、を含み、着弾禁止領域設定工程では、パスの回数に応じて着弾禁止領域の広さを設定するものである。なお、本実施形態では、パターン膜形成部材としてのカラーフィルターの製造方法について説明する。
【0044】
まず、着弾禁止領域設定工程について説明する。本実施形態の着弾禁止領域設定工程では、所定回数のパスにおける初回のパスに対応する着弾禁止領域よりも所定回数のパスにおける最終回のパスに対応する着弾禁止領域の方が広くなるように、着弾禁止領域の広さを設定する。図6は、パターン形成部材としてのカラーフィルターの製造方法の一部を説明する説明図である。具体的には、着弾禁止領域設定工程を示す説明図である。なお、本実施形態では、液滴の着弾を許可する着弾許可領域設定方法を含めて説明する。
【0045】
図6に示すように、基材10上に形成された区画部11によって区画されたパターン膜形成領域としての色素膜形成領域16のうち、区画部11の近傍を除く領域であって、液滴121の着弾を許可する着弾許可領域201と、着弾許可領域201以外の領域であって、液滴121の着弾を禁止する着弾禁止領域202とを設定する。本実施形態では、着弾許可領域201は、所定回数のパスにおける初回のパスに対応する着弾許可領域としての第1着弾許可領域201aと、所定回数のパスにおける最終回のパスに対応する着弾許可領域としての第2着弾許可領域201bと、を設定する。なお、着弾許可領域201は、液滴121の主滴121aの着弾を許可する領域である。
【0046】
図6(a)は、所定回数のパスのうち初回のパスにおける第1着弾許可領域201aと第1着弾禁止領域202aの設定を示している。本実施形態では、色素膜形成領域16において、区画部11の近傍を除く領域に第1着弾許可領域201aを設定する。本実施形態の第1着弾許可領域201aは、模式的に矩形で示されている。そして、色素膜形成領域に対して吐出ヘッド50の移動方向側に第1着弾禁止領域202aを設定する。本実施形態では、吐出ヘッド50の移動方向(Y軸方向)であって、第1着弾許可領域201aの両側に第1着弾禁止領域202aが設定される。そして、各第1着弾禁止領域202aのY軸方向に対応する幅W1が同じに設定される。
【0047】
図6(b)は、最終回のパスにおける第2着弾許可領域201bと第2着弾禁止領域202bの設定を示している。なお、同図では、吐出ヘッド50が相対的にY軸方向(プラス方向)に移動した場合について示している。本実施形態では、色素膜形成領域16において、区画部11の近傍を除く領域に矩形の第2着弾許可領域201bが設定されている。本実施形態では、第2着弾許可領域201bは、第1着弾許可領域201aに比べ、Y軸方向の幅が狭く設定される。そして、色素膜形成領域16における第2着弾許可領域201b以外の領域が着弾禁止領域202として設定されている。さらに、着弾禁止領域202において、吐出ヘッド50の相対的な移動方向(Y軸方向)側に第2着弾禁止領域202bを設定する。なお、本実施形態では、吐出ヘッド50の移動方向(Y軸方向)であって、第2着弾許可領域201bの一方側(吐出ヘッド50の移動方向側)に第2着弾禁止領域202bが設定される。また、他方側には、図6(a)と同様にして、第1着弾禁止領域202aと同じ領域が設定される。そして、第2着弾禁止領域202bが、初回のパスにおける第1着弾禁止領域202aよりも広くなるように設定される。さらに具体的には、吐出ヘッド50の走査方向(Y軸方向)における第2着弾禁止領域202bの幅W2が、第1着弾禁止領域202aの幅W1よりも広く設定される。
【0048】
図6(c)は、所定回数のパスのうち最終回のパスにおける第2着弾許可領域201bと第2着弾禁止領域202bとの設定を示している。なお、同図では、吐出ヘッド50が相対的にY軸方向(マイナス方向)に移動した場合について示している(図6(b)と逆の条件である)。本実施形態では、色素膜形成領域16において、区画部11の近傍を除く領域に矩形の第2着弾許可領域201bが設定されている。本実施形態では、第2着弾許可領域201bは、第1着弾許可領域201aに比べ、Y軸方向の幅が狭く設定される。そして、色素膜形成領域16における第2着弾許可領域201b以外の領域が着弾禁止領域202として設定されている。さらに、着弾禁止領域202において、吐出ヘッド50の相対的な移動方向(Y軸方向のマイナス方向)側に第2着弾禁止領域202bを設定する。なお、本実施形態では、吐出ヘッド50の移動方向(Y軸方向のマイナス方向)であって、第2着弾許可領域201bの一方側(吐出ヘッド50の移動方向側)に第2着弾禁止領域202bが設定される。また、他方側には、図6(a)と同様にして、第1着弾禁止領域202aと同じ領域が設定される。そして、第2着弾禁止領域202bが、初回のパスにおける第1着弾禁止領域202aよりも広くなるように設定される。さらに具体的には、吐出ヘッド50の走査方向(Y軸方向のマイナス方向)における第2着弾禁止領域202bの幅W2が、第1着弾禁止領域202aの幅W1よりも広く設定される。
【0049】
なお、第1及び第2着弾禁止領域202a,202bの広さや幅は適宜設定が可能である。例えば、図5(a)に示した様に、液滴121の尾引き部121bの長さ分に応じて第1及び第2着弾禁止領域202a,202bの広さや幅W1,W2を設定してもよい。また、図5(e),(f)に示した様に、吐出ヘッド50と基材10とが相対的に移動した際に吐出した液滴121が基材10の面に着弾した形状や色素膜形成領域16に塗布される機能液の塗布量に応じて第1及び第2着弾禁止領域202a,202bの広さや幅W1,W2を適宜設定してもよい。
【0050】
次に、機能液塗布工程について説明する。図7は、本実施形態にかかるパターン形成部材としてのカラーフィルターの製造方法の一部を説明する説明図である。具体的には、機能液塗布工程を示す説明図である。なお、本実施形態では、色素膜形成領域16に対して吐出ヘッド50をY軸方向(プラス方向)に移動させながら液滴121を吐出するパスを所定回数として4回行い、設定された第1及び第2着弾許可領域201a,201bに機能液を塗布する場合について説明する。また、図中において、各液滴121’には、液滴121を吐出したパスの回数に対応する番号を付している。
【0051】
まず、図7(a)は、初回(第1回目)のパスにおける液滴121’の塗布方法を示している。図7(a)に示すように、色素膜形成領域16には、第1着弾許可領域201aと第1着弾禁止領域202aが設定されており(図6(a)参照)、基材10に対して吐出ヘッド50をY軸方向に移動させながら液滴121を吐出する。これにより、色素膜形成領域16内に設定された第1着弾許可領域201aに液滴121’が着弾される。同図の例では、第1着弾許可領域201a内にY軸方向に平行して4列、各列に対して4ドットの液滴121’が塗布される。
【0052】
次いで、図7(b)は、第2回目のパスにおける液滴121’の塗布方法を示している。図7(b)に示すように、図7(a)における初回のパスと同様にして、色素膜形成領域16には、第1着弾許可領域201aと第1着弾禁止領域202aが設定されている。そして、基材10に対して吐出ヘッド50をY軸方向に移動させながら液滴121を吐出する。これにより、色素膜形成領域16内に設定された第1着弾許可領域201aに液滴121’が着弾される。同図の例では、第1着弾許可領域201a内にY軸方向に平行して4列、各列に対して4ドットの液滴121’が塗布される。
【0053】
次いで、図7(c)は、第3回目のパスにおける液滴121’の塗布方法を示している。図7(b)に示すように、図7(a)における初回のパスと同様にして、色素膜形成領域16には、第1着弾許可領域201aと第1着弾禁止領域202aが設定されている。そして、基材10に対して吐出ヘッド50をY軸方向に移動させながら液滴121を吐出する。これにより、色素膜形成領域16内に設定された第1着弾許可領域201aに液滴121’が着弾される。同図の例では、第1着弾許可領域201a内にY軸方向に平行して3列、各列に対して4ドットの液滴121’が塗布される。
【0054】
次いで、図7(d)は、最終回(第4回目)のパスにおける液滴121’の塗布方法を示している。図7(d)に示すように、最終回(第4回目)のパスでは、色素膜形成領域16内に第2着弾許可領域201bと第2着弾禁止領域202bとが設定される。本実施形態では、吐出ヘッド50の相対的な移動方向側に第2着弾禁止領域202bが設けられ、当該移動方向(Y軸方向)に対応する幅W2が初回〜第3回目のパスに対応する第1着弾禁止領域202aにおける幅W1よりも広くなるように設定されている。そして、基材10に対して吐出ヘッド50をY軸方向に移動させながら液滴121を吐出する。これにより、色素膜形成領域16内に設定された第2着弾許可領域201bに液滴121が着弾される。また、第2着弾許可領域201bは、第1着弾許可領域201aよりも、Y軸方向に対応する幅が狭く設定される。そして、Y軸方向に平行して3列、各列に対して2ドットの液滴121’が塗布される。
【0055】
以上、機能液塗布工程が終了した後、固化工程に移行する。固化工程では、塗布された機能液を、例えば、乾燥等により固化する。これにより、パターン膜としての色素膜14が形成される。その後、必要に応じて、区画部11と色素膜14の上に保護膜18を形成する。保護膜18の形成方法としては、スピンコート法等が用いられ、材料としては、光硬化タイプ、熱硬化タイプあるいは光熱併用タイプの樹脂材料、蒸着、スパッタ等によって形成された無機膜等を用いることができる。以上、上記の製造方法によって、カラーフィルター1(図1参照)が形成される。
【0056】
(電気光学装置)
次に、本実施形態にかかる電気光学装置について説明する。図8は、電気光学装置としての液晶ディスプレイの構成を示す断面図である。
【0057】
図8において、液晶ディスプレイ150は、カラーフィルター1と、カラーフィルター1に対向して配置された素子基材151と、シール材152によって接着されたカラーフィルター1と素子基材151の隙間に充填された液晶153等で構成されている。
【0058】
カラーフィルター1の保護膜18の上には共通電極161が形成され、共通電極161の上には配向膜162が形成されている。また、基材10の色素膜14が形成された面の反対面には偏光板175が備えられている。
【0059】
素子基材151は、透明性を有する基材170と、基材170の上に形成されたTFT(Thin Film Transistor)素子171と、基材170とTFT素子171の上に形成された配向膜172等で構成されている。また、基材170のTFT素子171が形成された面の反対面には偏光板176が備えられている。
【0060】
(電子機器)
次に、本実施形態にかかる電子機器について説明する。図9は、電子機器としてのテレビ受像機の構成を示す斜視図である。図9において、テレビ受像機180の表示部に液晶ディスプレイ150が搭載されている。
【0061】
従って、上記の第1実施形態によれば、以下に示す効果がある。
【0062】
初回(第1回目)のパス〜第3回目のパスにおいて、第1着弾許可領域201aと第1着弾禁止領域202aを設定して液滴121を塗布し、最終回(第4回目)のパスにおいて、第2着弾許可領域201bと第2着弾禁止領域202bを設定して液滴121を塗布した。ここで、第2着弾禁止領域202bの領域や幅W2は第1着弾禁止領域202aの領域や幅W1よりも広い。従って、液滴121を吐出した際に発生する尾引き部121b’やサテライト121cが基材10に付着する領域が確保される。特に、最終回のパスにおける液滴の吐出時には、第1〜第3回目までのパスにより既に色素膜形成領域16には多量の機能液が塗布されている状態である。このため、さらに液滴を付着させた場合、隣接する他のパターン膜形成領域に塗布された機能液と接触するおそれ生じるが、第2着弾禁止領域202bが広く設定されるため、隣接する他の色素膜形成領域16の機能液との接触が防止され、混色等の不具合発生を低減することができる。
【0063】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。なお、パターン膜形成部材の構成、電気光学装置の構成、電子機器の構成、液滴吐出装置の構成、着弾禁止領域設定工程に関しては、第1実施形態と同様なので説明を省略し、主に、本実施形態におけるパターン膜形成部材としてのカラーフィルターの製造方法にかかる機能液塗布工程について説明する。
【0064】
図10は、本実施形態にかかるパターン形成部材としてのカラーフィルターの製造方法の一部を説明する説明図である。具体的には、機能液塗布工程を示す説明図である。本実施形態の機能液塗布工程では、初回のパスから最終回のパスにかけて徐々に前記機能液のドット径を小さくしながら、機能液を塗布するものである。なお、本実施形態では、色素膜形成領域16に対して吐出ヘッド50をY軸方向(プラス方向)に移動させたときに液滴121を吐出するパスを所定回数として4回行い、設定された第1及び第2着弾許可領域201a,201bに機能液を塗布する場合について説明する。また、図中において、各液滴121’には、液滴121を吐出したパスの回数に対応する番号を付している。
【0065】
まず、図10(a)は、初回(第1回目)のパスにおける液滴121’の塗布方法を示している。図10(a)に示すように、色素膜形成領域16には、第1着弾許可領域201aと第1着弾禁止領域202aが設定されており(図6(a)参照)、基材10に対して吐出ヘッド50をY軸方向に移動させながら液滴121を吐出する。これにより、色素膜形成領域16内に設定された第1着弾許可領域201aに液滴121’が着弾される。そして、初回(第1回目)のパスでは、比較大きなドット(大ドット121a’)で吐出する。同図の例では、Y軸方向に平行して4列、各列に対して4ドットの機能液121’が塗布される。
【0066】
次いで、図10(b)は、第2回目のパスにおける液滴121’の塗布方法を示している。図10(b)に示すように、図10(a)における初回のパスと同様にして、色素膜形成領域16には、第1着弾許可領域201aと第1着弾禁止領域202aが設定されている。そして、基材10に対して吐出ヘッド50をY軸方向に移動させながら液滴121を吐出する。これにより、色素膜形成領域16内に設定された第1着弾許可領域201aに液滴121’が着弾される。そして、第2回目のパスでは、大ドット121a’よりも小さいドット(中ドット121b’)で吐出する。同図の例では、Y軸方向に平行して4列、各列に対して3ドットの機能液121’が塗布される。
【0067】
次いで、図10(c)は、第3回目のパスにおける液滴121’の塗布方法を示している。図10(c)に示すように、図10(a)における初回のパスと同様にして、色素膜形成領域16には、第1着弾許可領域201aと第1着弾禁止領域202aが設定されている。そして、基材10に対して吐出ヘッド50をY軸方向に移動させながら液滴121を吐出する。これにより、色素膜形成領域16内に設定された第1着弾許可領域201aに液滴121’が着弾される。そして、第2回目のパスでは、大ドット121a’よりも小さいドット(中ドット121b’)で吐出する。同図の例では、Y軸方向に平行して3列、各列に対して3ドットの機能液121’が塗布される。
【0068】
次いで、図10(d)は、最終回(第4回目)のパスにおける液滴121’の塗布方法を示している。図10(d)に示すように、最終回(第4回目)のパスでは、色素膜形成領域16に、第2着弾許可領域201bと第2着弾禁止領域202bとが設定される。本実施形態では、吐出ヘッド50の相対的な移動方向側に第2着弾禁止領域202bが設けられ、当該移動方向(Y軸方向)に対応する幅W2が第1着弾禁止領域202aにおける幅W1よりも広くなるように設定され、第2着弾許可領域201bに液滴121が塗布される。また、第2着弾許可領域201bは、第1着弾許可領域201aよりも、Y軸方向に対応する幅が狭く設定される。この場合、Y軸方向に平行して3列、各列に対して2ドットの機能液121’が塗布される。そして、最終回のパスでは、中ドット121b’よりも小さいドット(小ドット121c’)で吐出する。同図の例では、Y軸方向に平行して3列、各列に対して2ドットの機能液121’が塗布される。
【0069】
以上、機能液塗布工程が終了した後、固化工程に移行する。固化工程では、塗布された機能液を、例えば、乾燥等により固化する。これにより、パターン膜としての色素膜14が形成される。その後、必要に応じて、区画部11と色素膜14の上に保護膜18を形成する。保護膜18の形成方法としては、スピンコート法等が用いられ、材料としては、光硬化タイプ、熱硬化タイプあるいは光熱併用タイプの樹脂材料、蒸着、スパッタ等によって形成された無機膜等を用いることができる。以上、上記の製造方法によって、カラーフィルター1(図1参照)が形成される。
【0070】
従って、上記の第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、以下に示す効果がある。
【0071】
初回のパスから最終回のパスにかけて吐出される機能液のドット径が小さくなるので、例えば、最終回のパスにおいて液滴121c’が吐出され、当該液滴121c’がパターン膜形成領域に既に塗布されている機能液121に到達した際の衝撃力は低いものとなる。これにより、液滴121c’の衝撃波等による隣接する他の色素膜形成領域16の機能液同士の接触が低減され、混色等の不具合発生を防止することができる。
【0072】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。なお、パターン膜形成部材の構成、電気光学装置の構成、電子機器の構成、液滴吐出装置の構成、着弾禁止領域設定工程に関しては、第1実施形態と同様なので説明を省略し、主に、本実施形態におけるパターン膜形成部材としてのカラーフィルターの製造方法にかかる機能液塗布工程について説明する。
【0073】
図11は、本実施形態にかかるパターン形成部材としてのカラーフィルターの製造方法の一部を説明する説明図である。具体的には、機能液塗布工程を示す説明図である。また、図中において、各液滴121’には、液滴121を吐出したパスの回数に対応する番号を付している。
【0074】
まず、図11(a)は、初回(第1回目)のパスにおける液滴121’の塗布方法を示している。図11(a)に示すように、色素膜形成領域16には、第1着弾許可領域201aと第1着弾禁止領域202aが設定されており(図6(a)参照)、基材10に対して吐出ヘッド50をY軸方向(プラス方向)に移動させながら液滴121を吐出する。これにより、色素膜形成領域16内に設定された第1着弾許可領域201aに液滴121’が着弾される。同図の例では、Y軸方向に平行して4列、各列に対して4ドットの機能液121’が塗布される。
【0075】
次いで、図11(b)は、第2回目のパスにおける液滴121’の塗布方法を示している。図11(b)に示すように、色素膜形成領域16には、第1着弾許可領域201aと第1着弾禁止領域202aが設定されており(図6(a)参照)、基材10に対して吐出ヘッド50をY軸方向(マイナス方向)に移動させながら液滴121を吐出する。これにより、色素膜形成領域16内に設定された第1着弾許可領域201aに液滴121’が着弾される。同図の例では、Y軸方向に平行して4列、各列に対して4ドットの機能液121’が塗布される。
【0076】
次いで、図11(c)は、第3回目のパスにおける液滴121’の塗布方法を示している。図11(c)に示すように、色素膜形成領域16には、第1着弾許可領域201aと第1着弾禁止領域202aが設定されており(図6(a)参照)、基材10に対して吐出ヘッド50をY軸方向(プラス方向)に移動させながら液滴121を吐出する。これにより、色素膜形成領域16内に設定された第1着弾許可領域201aに液滴121’が着弾される。同図の例では、Y軸方向に平行して3列、各列に対して4ドットの機能液121’が塗布される。
【0077】
次いで、図11(d)は、最終回(第4回目)のパスにおける液滴121’の塗布方法を示している。基材10に対して吐出ヘッド50をY軸方向(マイナス方向)に移動させながら液滴121を吐出し、色素膜形成領域16内に設定された第1着弾許可領域201aに液滴121’が塗布される。ここで、図11(d)に示すように、最終回(第4回目)のパスでは、第2着弾許可領域201bと第2着弾禁止領域202bとが設定される。本実施形態では、吐出ヘッド50の相対的な移動方向側に第2着弾禁止領域202bが設けられ、当該移動方向(Y軸方向のマイナス方向)に対応する幅W2が第1着弾禁止領域202aにおける幅W1よりも広くなるように設定される(図6(c)参照)。そして、第2着弾許可領域201bは、第1着弾許可領域201aよりも、Y軸方向に対応する幅が狭く設定される。この場合、Y軸方向に平行して3列、各列に対して2ドットの機能液121’が塗布される。
【0078】
以上、機能液塗布工程が終了した後、固化工程に移行する。固化工程では、塗布された機能液を、例えば、乾燥等により固化する。これにより、パターン膜としての色素膜14が形成される。その後、必要に応じて、区画部11と色素膜14の上に保護膜18を形成する。保護膜18の形成方法としては、スピンコート法等が用いられ、材料としては、光硬化タイプ、熱硬化タイプあるいは光熱併用タイプの樹脂材料、蒸着、スパッタ等によって形成された無機膜等を用いることができる。以上、上記の製造方法によって、カラーフィルター1(図1参照)が形成される。
【0079】
従って、上記の第3実施形態によれば、第1及び第2実施形態の効果に加え、以下に示す効果がある。
【0080】
吐出ヘッド50が双方向(往路及び復路)に移動しながら液滴121を吐出するので、効率よく色素膜形成領域16内に機能液を塗布することができる。さらに、吐出ヘッド50が移動方向に応じて、第1及び第2着弾許可領域201a,201b、第1及び第2着弾禁止領域202a,202bが設定されるため、隣接する他の色素膜形成領域16の機能液との混色を防止することができる。
【0081】
なお、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下のような変形例が挙げられる。
【0082】
(変形例1)上記の第1〜第3実施形態では、基材10に対する吐出ヘッド50の相対的な移動方向側とは反対側における着弾禁止領域202を第1着弾禁止領域202aとして設定したが、これに限定されない。当該着弾禁止領域202は任意に設定してもよい。この場合において、基材10に対する吐出ヘッド50の相対的な移動方向側の着弾禁止領域に関し、初回のパスにおける着弾禁止領域よりも、最終回のパスにおける着弾禁止領域の方が広くなるように設定すればよい。このようにしても、上記同様の効果を得ることができる。
【0083】
(変形例2)上記の第1〜第3実施形態では、初回のパスから第3回目のパスにおいて吐出ヘッド50の移動方向側の着弾禁止領域202(第1着弾禁止領域202a)を同じ広さに設定したが、これに限定されない。例えば、液滴着弾領域設定工程において、着弾許可領域に対する吐出ヘッド50の相対的な同一移動方向側の着弾禁止領域を、初回のパスから最終回のパスにかけて徐々に広げてもよい。このようにすれば、初回のパスから最終回のパスにかけてパターン形成領域内に徐々に機能液が増加していくのに対して、着弾禁止領域が広がる。すなわち、隣接する他のパターン膜形成領域との距離が広がる。このため、吐出された液滴が既に塗布された機能液に衝突した際の衝撃波等による隣接するパターン膜形成領域の機能液同士の接触が低減され、混色を防止することができる。
【0084】
(変形例3)上記の第1実施形態では、初回のパスから第3回目のパスの各パスにおける機能液の塗布量を同じとしたが、これに限定されない。例えば、機能液塗布工程では、初回のパスから最終回のパスにかけて徐々に機能液の塗布量を減らしながら、設定された着弾許可領域に機能液を塗布してもよい。このようにすれば、初回のパスから最終回のパスにかけて吐出される機能液の塗布量が少なくなるので、例えば、最終回のパスにおいて液滴が吐出され、当該液滴がパターン膜形成領域に既に塗布されている機能液に到達した際の衝撃力は低いものとなる。これにより、液滴の衝撃波等による隣接するパターン膜形成領域の機能液同士の接触が低減され、混色を防止することができる。
【0085】
(変形例4)上記の第1〜第3実施形態では、基材10に対して吐出ヘッド50を移動させながら液滴121を吐出するパスを行ったが、吐出ヘッド50に対して基材10を移動させながら液滴121を吐出してもよい。このようにしても、上記同様の効果を得ることができる。
【0086】
(変形例5)上記の第1〜第3実施形態では、パターン膜形成部材としてカラーフィルター1を例として説明したが、これに限定されることなく、例えば、EL(Electro−Luminescence)発光部材、シリカガラス前駆体、金属化合物等の導電部材、誘電体部材等についても適用することができる。
【符号の説明】
【0087】
1…パターン膜形成部材としてのカラーフィルター、10…基材、11…区画部、14…パターン膜としての色素膜、16…パターン膜形成領域としての色素膜形成領域、30…液滴吐出装置、50…吐出ヘッド、150…電気光学装置としての液晶ディスプレイ、180…電子機器としてのテレビ受像機、201…着弾許可領域、201a…第1着弾許可領域、201b…第2着弾許可領域、202…着弾禁止領域、202a…第1着弾禁止領域、202b…第2着弾禁止領域。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン膜の材料を含む機能液を液滴として吐出する吐出ヘッドと基材とを相対的に移動させながら前記基材上に前記液滴を吐出するパスを所定回数行い、前記基板上にパターン膜を形成するパターン膜形成部材の製造方法であって、
前記基材上に前記パターン膜が形成されるパターン膜形成領域に対して前記吐出ヘッドの移動方向側に、前記パスにおける前記液滴の着弾を禁止する着弾禁止領域を設定する着弾禁止領域設定工程と、
設定された前記着弾禁止領域に応じて、前記液滴を吐出して、前記パターン膜形成領域に前記機能液を塗布する機能液塗布工程と、を含み、
前記着弾禁止領域設定工程では、
前記パスの回数に応じて前記着弾禁止領域の広さを設定することを特徴とするパターン膜形成部材の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のパターン膜形成部材の製造方法において、
前記着弾禁止領域設定工程では、
前記所定回数のパスにおける初回のパスに対応する着弾禁止領域よりも前記所定回数のパスにおける最終回のパスに対応する着弾禁止領域の方が広くなるように、前記着弾禁止領域の広さを設定することを特徴とするパターン膜形成部材の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のパターン膜形成部材の製造方法において、
前記着弾禁止領域設定工程では、
前記初回のパスから前記最終回のパスにかけて前記着弾禁止領域を徐々に広げることを特徴とするパターン膜形成部材の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のパターン膜形成部材の製造方法において、
前記機能液塗布工程では、
前記初回のパスから前記最終回のパスにかけて徐々に前記機能液の塗布量を減らしながら、前記機能液を塗布することを特徴とするパターン膜形成部材の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のパターン膜形成部材の製造方法において、
前記機能液塗布工程では、
前記初回のパスから前記最終回のパスにかけて徐々に前記機能液のドット径を小さくしながら、前記機能液を塗布することを特徴とするパターン膜形成部材の製造方法。
【請求項1】
パターン膜の材料を含む機能液を液滴として吐出する吐出ヘッドと基材とを相対的に移動させながら前記基材上に前記液滴を吐出するパスを所定回数行い、前記基板上にパターン膜を形成するパターン膜形成部材の製造方法であって、
前記基材上に前記パターン膜が形成されるパターン膜形成領域に対して前記吐出ヘッドの移動方向側に、前記パスにおける前記液滴の着弾を禁止する着弾禁止領域を設定する着弾禁止領域設定工程と、
設定された前記着弾禁止領域に応じて、前記液滴を吐出して、前記パターン膜形成領域に前記機能液を塗布する機能液塗布工程と、を含み、
前記着弾禁止領域設定工程では、
前記パスの回数に応じて前記着弾禁止領域の広さを設定することを特徴とするパターン膜形成部材の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のパターン膜形成部材の製造方法において、
前記着弾禁止領域設定工程では、
前記所定回数のパスにおける初回のパスに対応する着弾禁止領域よりも前記所定回数のパスにおける最終回のパスに対応する着弾禁止領域の方が広くなるように、前記着弾禁止領域の広さを設定することを特徴とするパターン膜形成部材の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のパターン膜形成部材の製造方法において、
前記着弾禁止領域設定工程では、
前記初回のパスから前記最終回のパスにかけて前記着弾禁止領域を徐々に広げることを特徴とするパターン膜形成部材の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のパターン膜形成部材の製造方法において、
前記機能液塗布工程では、
前記初回のパスから前記最終回のパスにかけて徐々に前記機能液の塗布量を減らしながら、前記機能液を塗布することを特徴とするパターン膜形成部材の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のパターン膜形成部材の製造方法において、
前記機能液塗布工程では、
前記初回のパスから前記最終回のパスにかけて徐々に前記機能液のドット径を小さくしながら、前記機能液を塗布することを特徴とするパターン膜形成部材の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−86068(P2013−86068A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231415(P2011−231415)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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