説明

パターン転写方法及びパターン転写装置、これを適用したフレキシブルディスプレイパネル、フレキシブル太陽電池、電子本、薄膜トランジスター、電磁波遮蔽シート、フレキシブル印刷回路基板

【課題】パターン転写方法及びパターン転写装置、これを適用したフレキシブルディスプレイパネル、フレキシブル太陽電池、電子本、薄膜トランジスター、電磁波遮蔽シート、フレキシブル印刷回路基板を提供する。
【解決手段】本発明によるパターン転写方法は、基板上にパターン物質を形成する第1段階と、パターン物質を固相状態に硬化させる第2段階と、硬化された固相状態のパターン物質にレーザー光を照射して、パターン物質をパターニングする第3段階と、パターニングされた固相状態のパターン物質と柔軟基板をお互いに突き合わせて加圧して、パターン物質から柔軟基板方向に、または柔軟基板からパターン物質方向にレーザー光を照射して、パターン物質と柔軟基板を突き合わせた部位で発生する柔軟基板の粘性力によって、パターン物質を柔軟基板に転写する第4段階と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン転写方法及びパターン転写装置、これを適用したフレキシブルディスプレイパネル、フレキシブル太陽電池、電子本、薄膜トランジスター、電磁波遮蔽シート、フレキシブル印刷回路基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近光産業、ディスプレイ産業、半導体産業、バイオ産業で製品の薄膜化高性能化の要求が増加している。そのような要求に対応するためにはそれぞれの部品を構成している配線または機能性薄膜層がさらに小さくて、均一にパターンを形成していなければならない。それで、微細パターン製造方法は、このような産業の基盤になる技術である。
【0003】
一般に、既存のマイクロメーター以下のパターンを製造する方法には、露光(photolithography)、FMD(Fine Mask Deposition)、プリンティング(printing)、NIL(Nano Imprinting Lithography)、MCP(Micro Contact Printing)、LAPT(Laser Assisted Pattern Transfer)、レーザー直接パターニング(Laser direct patterning)などがある。しかし、このような製造方法には、それぞれの工程上の限界が存在する。
【0004】
第一に、露光(photolithography)は、製造過程が複雑で、シャドーマスク(shadow mask)製造が難しく、製造費用が高く、マスクのねじりによって、精密度が低下する問題点がある。また、マスクと対象物の整列が難しく、工程変更、すなわち、パターン(pattern)の大きさ及び形状の変更が難しい短所がある。
【0005】
第二に、FMDは露光方法で上述したシャドーマスク(shadow mask)と係わる同様の問題点と、製造費用が高い問題点がある。また、材料の限界性、長い製造時間のような問題点がある。
【0006】
第三に、プリンティング(printing)によるインクジェット(ink-jet)方式は、パターンを作る材料が液状のソリューション(solution)状態ではなければならないために多様な材料を使用することができない他、液を一定に噴射し難いために、不均一なパターンが生成される短所がある。さらに、パターンが転写される基板が柔軟基板である場合には、インク焼結時に柔軟基板が熱分解されることがあり得るために焼結温度が制限的である。したがって、PETのように耐熱性が低い基板に対しては、インクジェット(ink-jet)方式を使用することに適さない。また、液晶が基板に付くようにするためには、基板に表面処理が必要な問題がある。
【0007】
第四に、プリンティング方式によるロールツーロール(roll to roll)方式は、パターンの大きさが30〜40μm程度であり、相対的に大きいパターンの製造に好適であって、パターン製造速度が速い長所があるが、ロール形態のモールドは、パターンが幾何学的形状を有するためにモールドの製作が難しく、パターン物質がモールドの溝に残留して、転写効率が低下される問題がある。また、転写効率を高めるために表面処理のような追加工程が要求されて、パターン物質が液状の状態で転写されるので、パターン境界が不明確であり、周囲環境(温度、湿度など)の変化に大きい影響を受ける問題がある。
【0008】
第五に、NIL方式は、フォトレジスト(photo resist:PR)を使用したエッチングを通じてパターニングをするために、直接パターニング方式ではなくて、残留PRが発生する問題により製造過程が複雑となり、モールド離隔を容易にするための表面処理が必要な問題がある。
【0009】
第六に、マイクロコンタクトプリンティング工程は、パターンの大きさが数十μm〜数十nmであり広い範囲に亘ってパターンを製造することができるが、柔軟モールドが必要であり、柔軟モールドを製造するための追加工程が必要であり、加圧時に柔軟モールドが変形される場合があり得る。また、大面積の均一なパターンを形成することが難しくて、転写効率を高めるための付加工程(表面処理)が必要な問題がある。
【0010】
第七に、LAPTは、レーザーが通り過ぎた場所だけにパターンが形成されるため、大面積のパターンを製造するには製造時間が長くかかり、レーザーによるパターンの境界が加工される間に基板にパーティクルが飛散することによって、他の工程に比べてパターンの境界が不均一になる短所がある。
【0011】
最後に、レーザー直接パターニングは、柔軟基板にレーザーが直接照射されると、柔軟基板の低い耐熱性によって基板が損傷し易いので、適用可能な基板が制限的であり、すべてのパターンにレーザーが照射されなければならないために、パターンを大量生産することに適していない。一方、融点が低い数nmのパーティクルで構成された金属インクを使用して、レーザーを直接柔軟基板に照射してパターニングする例があることはあるが、そのようなインクは、非常に高価であるために製造費が高くて、使用可能な材料に限界がある問題がある。
【0012】
図1は、従来技術によるパターン転写方法によって転写されたパターンを示す写真である。図1はLAPTを利用して転写されたパターンである。
【0013】
図1に示されるように、LAPTを利用して転写されるパターンは、レーザーによって境界が切れながらパターンの周囲にパーティクルが飛散するようになる。よって、LAPTはパターンの周囲にパーティクルが飛散するために、パターンの境界が不均一であるという問題点がある。
【0014】
一方、柔軟基板にレーザーを直接照射してパターニングすることは不可能である。その理由は、柔軟基板にレーザーを直接照射すれば、柔軟基板の低い融点によって柔軟基板が損傷し易くなるためである。勿論、融点が低い数nmのパーティクルで構成された金属インク(ink)を転写材料に使用して、レーザーを直接柔軟基板に照射してパターニングする例はあったが、この時に使用される転写材料の種類には限界があって、また、このような金属インクは非常に高価であるために、パターンの製造費用が高いという問題点がある。
【0015】
また、このような転写材料を基板に転写する場合、その転写材料と基板との接着力が弱いために、転写材料が剥げ易くなるか、または柔軟基板の動きによって断線されることがあるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、前記のような問題点を解決するために、本発明は、基板上にパターニングされて固相状態に硬化されたパターン物質と柔軟基板をお互いに突き合わせて加圧して、レーザー光をパターニングされたパターン物質と柔軟基板を突き合わせた部位に照射して、この時に発生された柔軟基板の粘性力によって固相状態のパターン物質を柔軟基板に転写して柔軟基板にパターンを転写させることができ、その転写されたパターンの境界が明確であり、大面積にパターンを均一に形成することができるパターン転写方法及びパターン転写装置、これを適用したフレキシブルディスプレイパネル、フレキシブル太陽電池、電子本、薄膜トランジスター、電磁波遮蔽シート、フレキシブル印刷回路基板を提供することを目的とする。
【0017】
また、本発明は、パターニングされたパターン物質を柔軟基板に発生する粘性力によって直接柔軟基板に転写することによって、別の接着層なしに柔軟基板に強く接着されたパターンを製造することができ、パターン製造工程を減らすことができるパターン転写方法及びパターン転写装置、これを適用したフレキシブルディスプレイパネル、フレキシブル太陽電池、電子本、薄膜トランジスター、電磁波遮蔽シート、フレキシブル印刷回路基板を提供することを目的とする。
【0018】
また、本発明は、基板を移動しながら基板上にパターニングされた転写材料をロールに絡められた柔軟基板にレーザー光を利用して転写させることによって、連続的な転写工程を遂行することができるパターン転写方法及びパターン転写装置、これを適用したフレキシブルディスプレイパネル、フレキシブル太陽電池、電子本、薄膜トランジスター、電磁波遮蔽シート、フレキシブル印刷回路基板を提供することを目的とする。
【0019】
また、本発明は、マスクを使わないで、速かにパターンを製造することができ、その製造工程を容易に変更することができるパターン転写方法及びパターン転写装置、これを適用したフレキシブルディスプレイパネル、フレキシブル太陽電池、電子本、薄膜トランジスター、電磁波遮蔽シート、フレキシブル印刷回路基板を提供することを目的とする。
【0020】
また、本発明は、固相状態のパターン物質を柔軟基板に転写することによって、耐久性が強いパターンを製造することができるパターン転写方法及びパターン転写装置、これを適用したフレキシブルディスプレイパネル、フレキシブル太陽電池、電子本、薄膜トランジスター、電磁波遮蔽シート、フレキシブル印刷回路基板を提供することを目的とする。
【0021】
また、本発明は、パターンを大量生産することに好適なパターン転写方法を提供することを目的とする。
【0022】
また、本発明は、パターン製造費用が廉価で、速くパターンを製造することができるパターン転写方法を提供することを目的とする。
【0023】
また、本発明は、パターンが転写される基板が熱変形されないパターン転写方法を提供することを目的とする。
【0024】
また、本発明は、耐熱性が低い基板にもパターニングが可能なパターン転写方法を提供することを目的とする。
【0025】
また、本発明は、転写されたパターンの境界の均一度が向上されたパターン転写方法を提供することを目的とする。
【0026】
また、本発明は、周辺環境に応じてパターンの大きさや品質が変わらないパターン転写方法を提供することを目的とする。
【0027】
また、本発明は、パターンの厚さを容易に変化させることができるパターン転写方法を提供することを目的とする。
【0028】
また、本発明は、レーザー焦点大きさ(レーザーのスポットサイズ)よりも小さなパターンを製造することができるパターン転写方法を提供することを目的とする。
【0029】
また、本発明は、レーザーを利用して対象基板に直接パターニングせずに、選択的にインクがコーティングされた表面モールドを利用して対象基板にパターニングをする、大量生産に好適なパターン転写方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
請求項1に関する発明であるパターン転写方法は、基板上にパターン物質を形成する第1段階と、パターン物質を固相状態に硬化させる第2段階と、硬化された固相状態のパターン物質にレーザー光を照射して、パターン物質をパターニングする第3段階と、パターニングされた固相状態のパターン物質と柔軟基板をお互いに突き合わせて加圧して、パターン物質から柔軟基板方向に、または柔軟基板からパターン物質方向にレーザー光を照射して、パターン物質と柔軟基板が触れ合った部位で発生する柔軟基板に生じた粘性力を利用してパターン物質を柔軟基板に転写する第4段階と、を含む。
【0031】
したがって、請求項1に関する発明であるパターン転写方法によると、基板上にパターニングされて固相状態に硬化されたパターン物質と柔軟基板をお互いに触れ合うようにして加圧し、レーザー光をパターニングされたパターン物質と柔軟基板を突き合わせた部位に照射し、この時に発生した柔軟基板の粘性力によって固相状態の転写材料を柔軟基板に転写するので、レーザーを利用して柔軟基板にパターンを転写させることができる他、その転写されたパターンの境界が明確であり、大面積にパターンを均一に形成することができる。
【0032】
請求項2に関する発明であるパターン転写方法は、ガラスの融点より高い物質でなされた基板上にパターン物質を形成する第1段階と、パターン物質の所定領域にレーザー光を照射して、パターン物質の所定領域を固相状態に硬化させる第2段階と、所定領域以外のパターン物質を有機溶媒によって除去する第3段階と、パターン物質の所定領域を固相状態に再硬化させる第4段階と、再硬化された固相状態のパターン物質と柔軟基板をお互いに突き合わせて加圧して、パターン物質から柔軟基板方向に、または柔軟基板からパターン物質方向にレーザー光を照射して、パターン物質をパターン物質と柔軟基板を突き合わせた部位で発生する柔軟基板の粘性力によって柔軟基板に転写する第5段階と、を含む。
【0033】
したがって、請求項2に関する発明であるパターン転写方法によると、固相状態に硬化されたパターン物質と柔軟基板をお互いに突き合わせて加圧し、レーザー光をパターニングされたパターン物質と柔軟基板を突き合わせた部位に照射し、この時に発生した柔軟基板の粘性力によって固相状態の転写材料を柔軟基板に転写するので、レーザーを利用して柔軟基板にパターンを転写させることができる他、その転写されたパターンの境界が明確であり、パターンを均一に形成することができる。
【0034】
請求項3に関する発明であるパターン転写装置は、ポリマー物質を含んで、一面がロールに絡められている柔軟基板と、柔軟基板の下部にお互いに突き合わせて加圧されるように配置され、その上面に形成されたパターン物質が固相状態に硬化された後、レーザー光によってパターニングされている基板と、基板の下面に配置されて基板を移動させる移動部と、移動部から柔軟基板方向にレーザー光を照射するレーザー照射部と、を含み、移動部を作動させて基板が移動されながら、柔軟基板と基板がお互いに突き合わせて加圧され、レーザー照射部からのレーザー光によってパターン物質と柔軟基板を突き合わせた部位で発生する柔軟基板の粘性力によってパターン物質が柔軟基板に転写される。
【0035】
したがって、請求項3に関する発明であるパターン転写装置によると、基板上にパターニングされて固相状態に硬化されたパターン物質と柔軟基板をお互いに突き合わせて加圧し、レーザー光をパターン物質と柔軟基板を突き合わせた部位に照射し、この時に発生した柔軟基板の粘性力によって固相状態のパターン物質を柔軟基板に転写するので、レーザーを利用して柔軟基板にパターンを転写させることができる他、柔軟基板に転写されたパターンの境界が明確であり、大面積にパターンを均一に形成することができる。また、本パターン転写装置によると、基板を移動しながら基板上にパターニングされたパターン物質を、レーザー光を利用してロールに絡められた柔軟基板に転写させているために、連続的な転写工程を行うことができる。
【0036】
請求項4に関する発明であるパターン転写装置は、請求項3に関する発明であるパターン転写装置において、レーザー照射部は、レーザーをラインビーム状に照射する。
【0037】
したがって、請求項4に関する発明であるパターン転写装置によると、レーザーをラインビームの形態で照射するので、パターニングされた転写材料のうちで特定部位の転写材料のみを基板上に転写させることができる。
【0038】
請求項5に関する発明であるパターン転写方法は、基板上に疎水性コーティング層を形成した後レーザー応用プラズマを利用して疎水性コーティング層を選択的に除去して表面モールドを形成する第1段階と、表面モールド上に、パターン物質を加えて乾燥させた後高温焼結させて、パターンを形成する第2段階と、表面モールドと対象基板をお互いに突き合わせて加圧して、表面モールドから対象基板方向にまたは対象基板から表面モールド方向にレーザーを照射することによって、表面モールド上のパターン物質と対象基板を突き合わせた部位に発生する対象基板の粘性力によってパターン物質が対象基板に転写される第3段階と、を含む。
【0039】
したがって、請求項5に関する発明であるパターン転写方法によると、レーザー応用プラズマを利用するためにレーザー焦点の大きさより小さなパターンを製造することができる。また、パターン物質を加えた表面モールドを利用するために、パターン物質を単に表面モールドにコーティングすることだけでも最終的に転写されるパターンと同一なパターンを形成することができる他、パターン製造費用が低くなり、パターン製造速度が速くなる。また、表面モールドから対象基板方向に、または対象基板から表面モールド方向にレーザーを照射するので耐熱性が低い対象基板にもパターニングが可能である。さらに、繰り返して同一パターンを製造することにも有利である。
【0040】
請求項6に関する発明であるパターン転写方法は、請求項5に関する発明であるパターン転写方法において、前記第1段階は、基板上に疎水性コーティング層を形成する段階と、前記疎水性コーティング層上にプラズマ誘発層をコーティングする段階と、レーザーを前記基板から前記プラズマ誘発層方向に照射して前記疎水性コーティング層を選択的に除去する段階と、及び前記プラズマ誘発層を除去する段階により、行われる、パターン転写方法を含む。
【0041】
請求項6に関する発明であるパターン転写方法によると、強いプラズマプルーム(plume)によって瞬間的に疎水性コーティング層が除去されるので、プラズマの大きさを調節してレーザーのスポットサイズ(spot size)よりさらに微細なサイズで疎水性コーティング層を除去することができる。
【0042】
請求項7に関する発明であるパターン転写方法は、請求項5に関する発明であるパターン転写方法において、第2段階で使用されるパターン物質は、親水性の有機金属インクである。
【0043】
したがって、請求項7に関する発明であるパターン転写方法によると、パターン物質が親水性の基板とさらによく付くことができるようになされるので、パターンの境界及び均一度がさらに向上する。
【0044】
請求項8に関する発明であるパターン転写装置は、ポリマー物質を含んで、一面がロールに絡められている柔軟基板と、上面に形成された疎水性コーティング層が選択的に除去された後パターン物質がコーティングされており、柔軟基板の下部にお互いに触れ合ったまま加圧されるように配置される基板と、該基板の下面に配置されて基板を移動させる移動部と、基板から柔軟基板方向にまたは柔軟基板から基板方向にレーザーを照射するレーザー照射部と、を含み、移動部を作動させて基板が移動されながら、柔軟基板と基板がお互いに突き合わせて加圧され、レーザー照射部からのレーザーによってパターン物質と柔軟基板を突き合わせた部位で発生する柔軟基板の粘性力によってパターン物質が柔軟基板に転写される。
【0045】
したがって、請求項8に関する発明であるパターン転写装置によると、パターン物質がコーティングされた基板と柔軟基板をお互いに触れ合ったまま加圧し、レーザー光をパターン物質と柔軟基板を突き合わせた部位に照射し、この時に発生した柔軟基板の粘性力によってパターン物質を柔軟基板に転写するので、レーザーを利用して柔軟基板にパターンを転写させることができる他、柔軟基板に転写されたパターンの境界が明確であり、大面積にパターンを均一に形成することができる。また、本パターン転写装置によると、基板を移動しながら基板上にコーティングされたパターン物質を、レーザー光を利用してロールに絡められた柔軟基板に転写させるので、連続的な転写工程を行うことができる。
【0046】
請求項9に関する発明であるフレキシブルディスプレイパネルは、請求項1、2、5に関する発明であるパターン転写方法によって転写されたパターンによって形成される電極を含む。
【0047】
したがって、請求項9に関する発明であるフレキシブルディスプレイパネルは、電極配線の境界が明確であり、均一な電極配線を有するフレキシブルディスプレイパネルを提供することができる。
【0048】
請求項10に関する発明であるフレキシブル太陽電池は、請求項1、2、5に関する発明であるパターン転写方法によって転写されたパターンによって形成される電極を含む。
【0049】
したがって、請求項10に関する発明であるフレキシブル太陽電池は、電極配線の境界が明確であり、均一な電極配線を有するフレキシブル太陽電池を提供することができる。
【0050】
請求項11に関する発明である電子本は、請求項1、2、5に関する発明であるパターン転写方法によって転写されたパターンによって形成される電極を含む。
【0051】
したがって、請求項11に関する発明である電子本は、電極配線の境界が明確であり、均一な電極配線を有する電子本を提供することができる。
【0052】
請求項12に関する発明である電磁波遮蔽シートは、請求項1、2、5に関する発明であるパターン転写方法によって転写されたパターンを有する。
【0053】
したがって、請求項12に関する発明である電磁波遮蔽シートは、電磁波遮蔽シート用フィルム上に転写されたパターンの境界が明確であり、均一なパターンを有する電磁波遮蔽シートを提供することができる。
【0054】
請求項13に関する発明である薄膜トランジスターは、請求項1、2、5に関する発明であるパターン転写方法によって転写されたパターンによって形成されるゲート電極、ソース電極、ドレイン電極を含む。
【0055】
したがって、請求項13に関する発明である薄膜トランジスターは、電極配線の境界が明確で、均一な電極配線を有する薄膜トランジスターを提供することができる。
【0056】
請求項14に関する発明であるフレキシブル印刷回路基板は、請求項1、2、5に関する発明であるパターン転写方法によって転写されたパターンによって形成される伝導性配線を含む。
【0057】
したがって、請求項14に関する発明であるフレキシブル印刷回路基板は、伝導性配線の境界が明確であり、均一な伝導性配線を有する印刷回路基板を提供することができる。
【発明の効果】
【0058】
前記したように、本発明によると、基板上にパターニングされて固相状態に硬化されたパターン物質と柔軟基板をお互いに突き合わせて加圧して、レーザー光をパターン物質と柔軟基板を突き合わせた部位に照射して、この時に発生した柔軟基板の粘性力によって固相状態のパターン物質を柔軟基板に転写するので、レーザーを利用して柔軟基板にパターンを転写させることができる他、その転写されたパターンの境界が明確であり、大面積にパターンを均一に形成することができる。
【0059】
また、本発明によると、柔軟基板に発生した粘性力によってパターニングされたパターン物質を直接柔軟基板に転写するので、別の接着層がなくても柔軟基板に強く接着されたパターンを製造することができる他、パターン製造工程を減らすことができる。
【0060】
また、本発明によると、基板を移動しながら基板上にパターニングされたパターン物質を、レーザー光を利用して、ロールに絡められた柔軟基板に転写させるので、連続的な転写工程を行うことができる。
【0061】
また、本発明によると、マスクを使わずに、速かにパターンを製造することができる他、その製造工程を容易に変更することができる。
【0062】
また、本発明によると、固相状態のパターン物質を柔軟基板に転写するので、耐久性が強いパターンを製造することができる。
【0063】
また、本発明によると、パターンを大量生産することに好適なパターン転写方法を提供することができる。
【0064】
また、本発明によると、パターン製造費用が低くなり、速くパターンを製造することができるパターン転写方法を提供することができる。
【0065】
また、本発明によると、パターンが転写される基板が熱変形されないパターン転写方法を提供することができる。
【0066】
また、本発明によると、耐熱性が低い基板にもパターニングが可能なパターン転写方法を提供することができる。
【0067】
また、本発明によると、転写されたパターンの境界の均一度が向上されたパターン転写方法を提供することができる。
【0068】
また、本発明によると、周辺環境に応じてパターンの大きさや品質が変わらないパターン転写方法を提供することができる。
【0069】
また、本発明によると、パターンの厚さを容易に変化させることができるパターン転写方法を提供することができる。
【0070】
また、本発明によると、レーザー焦点大きさよりも小さなパターンを製造することができるパターン転写方法を提供することができる。
【0071】
また、本発明によると、レーザーを利用して対象基板に直接パターニングせずに、選択的にインクがコーティングされた表面モールドを利用して対象基板にパターニングをする、大量生産に好適なパターン転写方法を提供することができる。
【0072】
以上のような本発明に関する解決しようとする課題、課題解決手段、効果以外の具体的な事項らは、次に記載する実施例及び図面らに含まれている。本発明の利点及び特徴、そして、それらを達成する方法は、添付される図面と共に詳細に後述されている実施例らを参照すれば明確になるであろう。明細書全体にわたって同一参照符号は、同一構成要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】従来技術によるパターン転写方法によって転写されたパターンを示す写真である。
【図2】本発明の第1実施例によるパターン転写方法の手順を示す流れ図である。
【図3a】図2のパターン転写方法の各段階を示す図である。
【図3b】図2のパターン転写方法の各段階を示す図である。
【図3c】図2のパターン転写方法の各段階を示す図である。
【図3d】図2のパターン転写方法の各段階を示す図である。
【図4】本発明の第2実施例によるパターン転写方法の手順を示す流れ図である。
【図5a】図4のパターン転写方法の各段階を示す図である。
【図5b】図4のパターン転写方法の各段階を示す図である。
【図5c】図4のパターン転写方法の各段階を示す図である。
【図5d】図4のパターン転写方法の各段階を示す図である。
【図5e】図4のパターン転写方法の各段階を示す図である。
【図6】図2のパターン転写方法を利用して柔軟基板に転写されたパターンを示す図である。
【図7】本発明の第3実施例によるパターン転写装置を示す図である。
【図8】本発明の第4実施例によるパターン転写方法の手順を示す流れ図である。
【図9】本発明の第4実施例においてパターンを転写する一連の過程を示した図である。
【図10】本発明の第4実施例において、第1段階をなす段階を詳細に区分して、パターンを転写する一連の過程を示した図である。
【図11】本発明の第4実施例において、基板から柔軟基板にパターン物質が転写される原理を示す図である。
【図12】本発明の第4実施例のパターン転写方法を利用してパターン転写を連続的に行うことができるパターン転写装置を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
以下、本発明の実施例に関して、添付した図面を参照して詳細に説明する。但し、添付された図面は、本発明の内容をより易しく開示するために説明されるものであるだけで、本発明の範囲が添付された図面の範囲に限定されるものではないことは、この技術分野の通常の知識を有した者なら容易に分かることができるであろう。
【0075】
図2は、本発明の第1実施例によるパターン転写方法の手順を示す流れ図である。図2は、パターン物質110をパターニングするために、パターンの開口が広くない場合にレーザー光を受けた部分が剥離されるポジティブ方式を使用している。一方、基板はガラスのようにレーザー光の照射によって転写材料の剥離が発生しても基板が熱によって変形や損失(damage)を受けない程度の基板である。この基板は以下の本発明の第1ないし第3実施例で共通して使用される。
【0076】
図2に示されるように、本発明の第1実施例によるパターン転写方法は、基板上にパターン物質110を形成する第1段階(S100)、パターン物質110を固相状態に硬化させる第2段階(S110)、硬化された固相状態のパターン物質110にレーザー光を照射して、パターン物質110をパターニングする第3段階(S120)、パターニングされた固相状態のパターン物質110と柔軟基板200をお互いに突き合わせて加圧して、パターン物質110から柔軟基板200方向にまたは柔軟基板200からパターン物質110方向にレーザー光を照射して、パターニングされたパターン物質110をパターン物質110と柔軟基板200を突き合わせた部位で発生する柔軟基板200の粘性力によって柔軟基板200に転写する第4段階(S130)を含む。
【0077】
第1段階(S100)は、基板上にパターン物質110を形成する段階として、ガラスのような軽い基板(以下、基板と称する)に液体状態のインク(ink)または金属ペースト(paste)をコーティングする段階である。この時、第1段階(S100)で使用されるパターン物質110形成方法には、スピンコーティング(spin coating)、ブレードコーティング(blade coating)、スリットコーティング(slit coating)方法、電気メッキ法(electro plating)、蒸着法(deposition)などがある。一方、第1段階(S100)は、転写材料の種類、転写材料と基板との接着特徴、転写材料のコーティング特性によって、基板上に離型剤コーティングを先ず行って、その後、パターン物質110を形成する前に転写材料を形成するのがよい。また、転写材料が液体状態である場合、その液体状態の転写材料を、100℃ないし200℃の熱を利用して液体状態のソルベントだけを蒸発させて、内部に固相状態のナノパーティクルが残るようにする方式で硬化させる。または、液体状態の転写材料を大気中で乾燥させて硬化させる。パターン物質110を形成する転写材料にはナノ、マイクロパーティクルで構成された金属ペーストがある。本発明では、パターン物質110をなす転写材料がナノ、マイクロパーティクルで構成された金属ペーストであることを一例で説明しているが、これに限定されるものではなく、金属物質、有機物質、無機物質、セラミックス、タンパク質または細胞などを含む生体材料などを使用することができる。また、本発明の転写材料としては、その熱伝導度が柔軟基板の熱伝導度より高いものならどのようなものも使用することができる。
【0078】
第2段階(S110)は、パターン物質110を固相状態に硬化させる段階である。第2段階(S110)は、基板上にパターニングされたパターン物質110を大気中で固相状態に硬化させる。また、第2段階(S110)は、基板上にパターニングされたパターン物質110をなす転写材料が液体状態である場合、その液体状態の転写材料に50℃ないし200℃の熱を加えて、液体状態のソルベントだけ蒸発させて内部の固相状態のナノパーティクルが残るようにする方式で固相状態に硬化させることもできる。
【0079】
第3段階(S120)は、第2段階(S110)で硬化された固相状態のパターン物質110にレーザー光を照射して、パターン物質110をパターニングする段階である。この時、レーザー光は、パルスレーザーが使用される。第3段階(S120)は、パルスレーザーを使用してパターン物質110の特定部位(すなわち、レーザー光を受ける部位)を剥離させて、パターン物質110をパターニングする。ポジティブ方式に対するより詳細な説明は、図3aないし図3dに関する説明ですることにする。
【0080】
第4段階(S130)は、第3段階(S120)でパターニングされた固相状態のパターン物質110と柔軟基板200をお互いに突き合わせて加圧する。その後に、パターン物質110から柔軟基板200方向に、または柔軟基板200からパターン物質110方向に焦点化されないレーザー光を照射して、パターニングされたパターン物質110を、パターン物質110と柔軟基板200を突き合わせた部位で柔軟基板200に発生する粘性力によって柔軟基板200に転写する段階である。この時、柔軟基板200は、ポリマー物質を含む。ポリマー物質は、プラスチック(例えば、PET)を意味するものである。レーザーは転写材料と基板の特性によってCWレーザー(continuous wave laser)、またはパルスレーザー(pulsed laser)を使用することができる。
【0081】
したがって、本パターン転写方法によると、固相状態のパターン物質110を柔軟基板200の粘性力によって直接柔軟基板200に転写するので、液体状態の転写材料をそのまま転写した後硬化させる既存方法に比べて硬化された固相状態のパターン物質110を低いエネルギーのレーザーで加熱して転写させることができる。
【0082】
図3(a)〜図3(d)は、図2のパターン転写方法の各段階を示す図である。なお、図3(a)〜図3(d)は、ポジティブ(positive)方式を使用して、パターニングする方式を示している。ここで、図3(a)は図2の第1段階(S100)に対応し、図3(b)は図2の第2段階(S110)及び第3段階(S120)に対応し、図3(c)は、図2の第4段階(S130)に対応し、図3(d)は、図2のパターン転写方法によって転写されたパターンを示している。
【0083】
図3(a)に示されるように、基板100上にパターン物質110を形成する。パターン物質110は、インク(ink)またはペースト(paste)のような転写材料をスピンコーティング(spin coating)、ブレードコーティング(blade coating)、スリットコーティング(slit coating)方法、電気メッキ法(electro plating)、蒸着法(deposition)などを使用して基板100上に形成される。この時、基板100は、ガラス(glass)のような軽くて、透明な物質を含む基板を使用することができる。このような基板100は後述する柔軟基板200に比べて融点が高くて、レーザー光(L)によって容易に損傷されない特性を有する。
【0084】
図3(b)に示されるように、パターン物質110にレーザー光(L)を照射して、パターン物質110をパターニングする。図3(b)は、転写されるパターンの開口が広くない場合に、ポジテティブ方式を使用してレーザー光(L)を受けたパターン物質部位111を剥離することを示す。この時、パターン物質110をなす転写材料が液体状態である場合に、その転写材料を大気または熱を利用して固相状態に硬化させる。その後に、転写材料を、パルスレーザー(pulse laser)を利用して、瞬間的にアブレーション(ablation)を起こして必要でない部分(すなわち、レーザー光が照射された部位)を剥離する。この時、レーザー光(L)の出力、移動速度、ビームの大きさ(magnitude of a beam)、繰り返し速度、パルス幅などを通じて剥離を調節する。一方、パターン物質110が電気メッキ法(electro plating)、蒸着法(deposition)によって形成される場合には、パターン物質110を硬化させなくても良い。
【0085】
図3(c)に示されるように、パターニングされたパターン物質110と柔軟基板200をお互いに突き合わせて加圧して、パターン物質110から柔軟基板200方向に、または柔軟基板200からパターン物質110方向にレーザー光(L)を照射して、パターニングされたパターン物質110をパターン物質110と柔軟基板200が触れ合った部位で発生する柔軟基板200の粘性力によって柔軟基板200に転写する。
【0086】
より具体的に説明すると、パターン物質110に焦点化されないレーザー光(L)が照射されると、パターン物質110は熱伝導度が速くて速かにパターン物質110の深さ方向に熱を伝える。この時、柔軟基板200は低い熱伝導度を有するので、柔軟基板200とパターン物質110の熱伝導度の差によって熱が柔軟基板200とパターン物質110との間で累積する。よって、柔軟基板200とパターン物質110との間に蓄積した熱(accumulated heat)によって柔軟基板200の表面部分だけが瞬間的にガラス遷移温度まで上昇するようになる。この時、柔軟基板200の表面温度がガラス遷移温度に到逹するようになれば、柔軟基板200は強い粘性を有するようになる。この時、柔軟基板200が有する強い粘性によって、柔軟基板200とパターン物質110との間の接着力は、基板100とパターン物質110との間の接着力よりさらに大きくなる。このような柔軟基板200とパターン物質110との間の強い接着力によってパターン物質110が柔軟基板200に転写される。以後、冷却がなされると、再び元々の柔軟基板200の特性を有する。このように転写されたパターンは、元々の基板100にパターニングされたパターン形状と同一な形状を有する。
【0087】
図4は、本発明の第2実施例によるパターン転写方法の手順を示す流れ図である。図4は、パターン物質110をパターニングするために、パターンの開口が広い場合にレーザー光を受けた部分が残っているようになるネガティブ方式を使用している。
【0088】
図4に示されるように、本発明の第2実施例によるパターン転写方法は、基板上にパターン物質110を形成する第1段階(S200)と、パターン物質110の所定領域にレーザー光を照射して、パターン物質の所定領域を固相状態に硬化させる第2段階(S210)と、所定領域以外のパターン物質を有機溶媒によって除去する第3段階(S220)と、パターン物質の所定領域を固相状態に再硬化させる第4段階(S230)と、再硬化された固相状態のパターン物質110と柔軟基板200をお互いに突き合わせて加圧して、パターン物質110から柔軟基板200方向に、または柔軟基板200からパターン物質110方向にレーザー光を照射して、パターン物質110と柔軟基板200を突き合わせた部位で発生する柔軟基板200の粘性力によってパターン物質110を柔軟基板200に転写する第5段階(S240)と、を含む。
【0089】
第1段階(S200)は、基板上にパターン物質110を形成する段階として、ガラスのような軽い基板(以下、基板と称する)に液体状態のインク(ink)または金属ペースト(paste)をコーティングする段階である。ここで、第1段階(S200)で使用されるパターン物質形成方法、パターン物質110を形成する転写材料などに関する説明は、図2の第1段階(S200)の説明と重複されるので、これを避けるために略することにする。また、図示されていないが、第1段階(S200)は、基板上にパターン物質110を形成する前に、基板上に離型層を形成する段階と、をさらに含むことができる。この時、離型層は基板上のパターン物質110が分離されて、柔軟基板200に転写されるように支援する機能をする。
【0090】
第2段階(S210)は、パターン物質の所定領域にレーザー光を照射して、パターン物質の所定領域を固相状態に硬化させる段階である。ここで、所定領域はレーザー光を受けて残存するようになる領域である。また、レーザー光は、CW(continuous wave)レーザーが使用される。第2段階(S210)は、CWレーザーを使用して、パターン物質の所定領域を選択的に熱硬化させる。
【0091】
第3段階(S220)は、第2段階(S210)で熱硬化された所定領域以外のパターン物質110を有機溶媒によって除去する段階である。この時、有機溶媒は、液体状態の転写材料の溶媒またはアセトンなどの物質がある。第3段階(S220)は、有機溶媒を利用して、所定領域以外のパターン物質を洗い出す段階である。すなわち、洗浄過程である。
【0092】
第4段階(S230)は、パターン物質の所定領域を固相状態に再硬化または乾燥させる段階である。第4段階(S230)は、パターン物質の所定領域を大気中で固相状態に硬化させる。第4段階(S230)は、第3段階(S220)によって、パターン物質の所定領域に有機溶媒が浸透して、その表面が再び液化されることがあり得るため、その所定領域に対する再硬化または乾燥を行う。また、第4段階(S230)は、パターン物質110をなす転写材料が液体状態である場合、その液体状態の転写材料に50℃ないし200℃の熱を加えて、液体状態のソルベントだけ蒸発させて、内部に固相状態のナノパーティクルが残るようにする方式で固相状態に硬化させることもできる。
【0093】
第5段階(S240)は、再硬化された固相状態のパターン物質110と柔軟基板200をお互いに突き合わせて加圧して、パターン物質110から柔軟基板200方向に、または柔軟基板200からパターン物質110方向にレーザー光を照射して、パターン物質110と柔軟基板200を突き合わせた部位で発生する柔軟基板200の粘性力によってパターン物質110を柔軟基板200に転写する段階である。
【0094】
図5(a)〜図5(e)は、図4のパターン転写方法の各段階を示す図である。さらに、図5(a)〜図5(e)は、ネガティブ(negative)方式を使用して、パターニングする方式を示している。ここで、図5(a)は、図4の第1段階(S200)に対応し、図5(b)は図4の第2段階(S210)に対応し、図5(c)は図4の第3段階(S220)及び第4段階(S230)に対応し、図5(d)は、図4の第5段階(S230)に対応する。図5(e)は、図4のパターン転写方法によって転写されたパターンを示している。図5(a)〜図5(e)は、図3(a)〜図3(d)に比べて図5(b)及び図5(c)のパターニング方式を除きその内容が重複するので、以下では図5(b)及び図5(c)のみに関して説明する。
【0095】
図5(b)に示されるように、パターン物質の所定領域111にレーザー光(L)を照射して、パターン物質の所定領域111を硬化させる。図5(b)は、転写されるパターンの開口が広い場合に、ネガティブ方式を使用してレーザー光(L)を受けたパターン物質の所定領域111を残存させるようにすることを示す。この時、パターン物質110をなす転写材料が液体状態である場合に、硬化する前にCWレーザーを利用して局所的に選択的に硬化させる。その後に、図5(c)に示されるように、局所的に選択的に硬化された部位111を除いた部位は専用洗浄剤(すなわち、有機溶媒)で洗浄して開口が大きいパターンを形成する。この時、レーザー光(L)の出力、移動速度、ビームの大きさ(magnitude of a beam)などを通じて硬化を調節する。
【0096】
本パターン転写方法によると、基板100上にパターニングされた固相状態のパターン物質110と柔軟基板200をお互いに突き合わせて加圧して、レーザー光(L)を照射して、パターニングされたパターン物質110を、パターニングされたパターン物質110と柔軟基板200を突き合わせた部位で発生する柔軟基板200の粘性力によって、柔軟基板200に転写するので、柔軟基板200に転写されたパターンの境界が明確であり、パターンを均一に形成することができる他、大面積のパターン転写が可能である。
【0097】
図6は、図2のパターン転写方法を利用して柔軟基板200に転写されたパターンを示す図である。図6は、図2のパターン転写方法を利用して柔軟基板200に転写された銀インク(Ag ink)パターンを示すものである。
【0098】
図6に示すように、図2のパターン転写方法によって製造された銀インクパターンの境界が明確で、そのパターンが均一に形成されていることを分かる。
【0099】
図7は、本発明の第3実施例によるパターン転写装置を示す図である。
【0100】
図7に示されるように、本発明の第3実施例によるパターン転写装置は、柔軟基板200、基板100、移動部300、レーザー照射部400を含む。図7は、ポジティブ方式を使用してパターン物質110をパターニングすることを一例にして示している。
【0101】
柔軟基板200は、ポリマー物質で構成されており、一面がロール(R)に絡められている。柔軟基板200の両側が二つのローラー(A、B)に絡められて矢印方向に移動することができる。また、ロール(R)と柔軟基板200の一面との間に充填材またはクッション材を入れて柔軟基板200と基板100との接触を向上させることができる。
【0102】
基板100は、柔軟基板200の下部にお互いに突き合わせて加圧されるように配置されて、その上面に形成されたパターン物質110が大気中で固相状態に硬化される。また、基板100上に形成されたパターン物質110をなす転写材料が液体状態である場合、その液体状態の転写材料に50℃ないし200℃の熱を加えて液体状態のソルベントだけ蒸発させて、内部の固相状態のナノパーティクルを残るようにする方式で固相状態に硬化される。以後、パターン物質100がレーザーソース500及びスキャナ510によって照射されたレーザー光(L1)によってパターニングされる。基板100上にパターニングされたパターン物質110は、移動部300の移動によって柔軟基板200上に転写される。一方、基板100は、照射されるレーザー光(L1)を透過させるためにガラスのような透明な基板であることが望ましい。この時、レーザー光(L1)は、CW(continuous wave)レーザー方式とパルス(pulse)レーザー方式で照射される。
【0103】
移動部300は、基板100の下面に配置されて基板100を移動させる。この時、移動部300は基板100を移動させて、柔軟基板200と基板100をお互いに突き合わせて加圧されるようにする。移動部300の下部底面には移動の便宜性のためのローラー310を設置して、移動部300を作業者が移動させ易くすることができるようにする。本パターン転写装置は、移動部300を利用して基板100を移動させながらパターンを転写しているために、大面積のパターン転写が可能である。
【0104】
レーザー照射部400は、パターン物質110から柔軟基板200方向に、または柔軟基板200からパターン物質110方向に、ラインビーム形態のレーザー光(L2)を照射する。この時、移動部300によって基板100が移動されながら、レーザー光(L2)の照射によって発生する、パターン物質110と柔軟基板200を突き合わせた部位で発生する柔軟基板200の粘性力によって固相状態のパターニングされたパターン物質110が柔軟基板200上に転写される。この時、レーザー照射部400によって照射されたレーザー光(L2)は、柔軟基板200と基板100を突き合わせた部位の基板100上にパターニングされた転写材料のみを加熱する。そうすると、熱伝導度が高い転写材料と熱伝導度が相対的に低い柔軟基板200との間に熱が蓄積する。この時、柔軟基板200と基板100を突き合わせた部位に蓄積した熱によって、柔軟基板200の温度がガラス遷移温度まで上昇された時、柔軟基板200は強い粘性を有するようになる。この柔軟基板200が有する強い粘性によって、転写材料が柔軟基板200に転写される。一方、レーザー照射部400は、柔軟基板200と基板100が触れ合った部位にラインビームレーザーを照射する。また、転写材料の特性によってレーザー光(L2)のパワー、照射面積、移動部300の移動速度が調節されることができる。
【0105】
一方、本パターン転写装置は、レーザー光(L2)の照射方式で、CW(continuous wave)レーザー方式を使用することができる。ここで、CW(continuous wave)レーザー方式は、レーザー内部の共振器(resonator)で密度反転(population inversion)を通じてレーザーを照射する方式である。
【0106】
このように、本パターン転写装置によると、転写材料を固相状態で直接転写するので、パターン境界が向上して、高い細長比(slenderness ratio)が実現できる。また、本パターン転写装置は、柔軟基板200に転写材料を転写させることができる他、このような工程が連続工程で可能であるので、製品を速く廉価で製造することができる他、電極配線の密度を既存よりさらに精密にして、製品の性能を向上させることができる。
【0107】
前記のようなパターン転写方法、またはパターン転写装置によって転写されたパターンは、フレキシブルディスプレイパネルの電極配線、タッチパネルの電極配線、フレキシブル太陽電池の電極配線、電子本(e-book)のような携帯機器の電極配線、電磁波遮蔽シートのパターン、薄膜トランジスターのゲート、ソース、ドレイン電極、フレキシブル印刷回路基板の伝導性配線を形成する時に適用されることができる。
【0108】
図8は、本発明の第4実施例によるパターン転写方法の手順を示す流れ図であり、図9は、本発明の第4実施例でパターンを転写する一連の過程を示した図であり、図10は、本発明の第4実施例で基板20から柔軟基板にパターン物質50が転写される原理を示す図である。
【0109】
一方、基板20は、疎水性コーティング層で容易にコーティングされ、耐熱性、光透過性が優れたガラス(glass)のような基板であることが望ましい。但し、これに限定されるものではなくて、例えば、高温のレーザーをよく透過させることができる透明材料を含む他の材質の基板20である。
【0110】
図8〜図11を参照してパターン転写方法を説明する。
【0111】
図8を参照すれば、本発明の第4実施例のパターン転写方法は、基板20上に疎水性コーティング層10を形成した後レーザー応用プラズマを利用して、疎水性コーティング層10を選択的に除去して、表面モールド90を形成する第1段階(S300)と、表面モールド90上に、パターン物質50を入れて乾燥させた後に高温焼結させて、パターンを形成する第2段階(S310)と、表面モールド90と対象基板80をお互いに突き合わせて加圧して、表面モールド90から対象基板80方向に、レーザーを照射することによって、表面モールド90上のパターン物質50と対象基板80を突き合わせた部位に発生する対象基板80の粘性力によってパターン物質50が対象基板80に転写される第3段階(S320)と、を含む。
【0112】
第1段階(S300)では先ず、ガラスのような軽い基板20に疎水性(hydrophobic)で自己組織化した単層(Self-Assembled Monolayers、以下、SAMと称する)を形成する。疎水性コーティング層10について説明するために、SAM層を例に挙げて説明するので、以降では図面符号10についてSAM層と名付ける。SAM層は、液状製造または気相蒸着方式を通じて形成されることができる他、通常的にはFOTS(tridecafluoro-1、1、2、2-tetrahydrooctyltrichlorosilane)で具現化される。次に、レーザー応用プラズマを利用して基板20上にコーティングされているSAM層を選択的に除去して、表面モールド90を形成する。
【0113】
SAM層10は、一般に透明であるため通常的のレーザーでは反応せず、したがって、通常のレーザーは、SAM層10を除去することができない。このような難しさにもかかわらず、表面モールド90を製造するために本発明の第4実施例ではレーザー応用プラズマを利用して、SAM層10を除去する方式を使用する。より詳しく説明すれば、レーザーが特定材料に照射された時に生ずるプラズマを利用して基板20にコーティングされたSAM層10を選択的に除去する。レーザー応用プラズマを利用してSAM層10を除去する方式は、図9(b)を参照すればより容易に理解される。SAM層10がコーティングされている基板20上に所定の間隔を置いたままプラズマ誘発層30を配置した後にSAM層10がコーティングされている面の反対側の基板20の面側からレーザーを照射し、レーザーが基板20とSAM層10を順に通過して、プラズマ誘発層30まで到逹する。この時、レーザーがプラズマ誘発層30まで到逹すれば、SAM層10とプラズマ誘発層30との間でプラズマが発生し、このプラズマによってSAM層10が選択的に除去される。この時、SAM層10とプラズマ誘発層30との間隔、レーザーの焦点大きさ、レーザーの出力、パルス幅、パルス繰り返し速度(pulse repetition rate)、レーザー焦点の移動速度に応じてSAMを除去し、剥離させる領域を変化させることができる。強いプラズマプルーム(plume)によって瞬間的にSAMが除去されるので、プラズマのサイズと間隔を調節することによってレーザーのスポットサイズよりさらに小さいサイズでSAMを除去することができる。この時、使用されるレーザーは、CWレーザー(continuous wave laser)または、パルスレーザー(pulsed laser)などが例示される。プラズマ誘発層30は金属で構成されたものが一般的であるが、必ずしも金属でなくてもよく、レーザーと反応時にプラズマを起こすことができる材料なら、どのような材料でもプラズマ誘発層30を構成することができる。
【0114】
レーザー応用プラズマが発生すれば、表面モールド90側にプラズマ誘発層30がパーティクルになって飛散する。プラズマ誘発層30が金属である場合には、金属パーティクルが飛散する。このような金属パーティクルをそのまま放置すれば、表面モールド90が荒れて表面モールド90の均一度や品質が低下する問題があるので、金属パーティクルを除去する必要がある。したがって、第1段階(S300)は基板20上に飛散するプラズマ誘発層のパーティクル31を除去する段階をさらに含むことが望ましい。図9(d)を参照すれば、金属パーティクルを除去するための簡単な方法として塩化水素(HCl)などの酸性溶液にSAM層10がコーティングされた基板20を浸漬する方法が示されている。浸漬する時間は使用される酸の種類と濃度によって数〜数十秒になり得る。
【0115】
プラズマ誘発層30のパーティクル31を除去する方法として酸性溶液を利用する方法が示されたが、これ以外にもプラズマ誘発層30のパーティクル31を除去することができる方法なら、どのような方法でも使用されることができる。例えば、超音波洗浄を行って、また洗浄液40を噴射して、プラズマ誘発層のパーティクル31を除去することができ、これらの方式を用いてもよい。当業者であれば、超音波洗浄を行ってまたは洗浄液40を噴射して、プラズマ誘発層30のパーティクル31を除去することができるということを容易に理解できるであろう。
【0116】
プラズマ誘発層30のパーティクル31を除去する前に基板20上に形成されたSAM層10の損傷を阻むために、SAM層10が形成された基板20を高温でアニーリング(annealing)することが望ましく、このアニーリングする段階は図9(c)を参照すれば容易に理解され得る。
【0117】
但し、パーティクル31はレーザー照射条件によって発生しないこともあり得、この場合には第1段階(S300)がプラズマ誘発層30のパーティクル31を除去する段階を含む必要がない。
【0118】
前記第1段階(S300)を整理すると、次のような4種の段階でなされる。すなわち、ガラスのような軽い基板20上に液状製造または気相蒸着方式を通じてFOTS(tridecafluoro-1、1、2、2-tetrahydrooctyltrichlorosilane)のような具現化され得るSAM層10を形成する段階、SAM層10上にレーザーと反応時に金属などのようにプラズマを生じることができる材料で形成されたプラズマ誘発層30をコーティングする段階、レーザーを基板からプラズマ誘発層30の方向に照射してプラズマを発生させ、プラズマによって所定領域に形成されているSAM層10を選択的に除去する段階、及び、接着テープ35をプラズマ誘発層30に貼り付けてから離す方式で、SAM層10と強く結合されていないプラズマ誘発層30を結合力の差を利用して除去し、接着テープ35をプラズマ誘発層30から除去する段階である。
【0119】
図10は、第1段階(S300)が上のような4種の段階でなされることを示す図である。ここで、SAM層10を形成する段階は、図10の(a)に該当して、プラズマ誘発層30をコーティングする段階は、図10の(b)に該当して、SAM層10を選択的に除去する段階は、図10の(c)に該当して、プラズマ誘発層30を結合力の差を利用して除去する段階は、図10の(d)に該当する。図10の(b)〜(d)を除いた残りの部分は、図9と同一である。
【0120】
第2段階(S310)は、表面モールド90上にパターン物質50を入れてパターン物質50を乾燥させた後に高温焼結させて、パターンを形成する段階である。パターン物質50が最終的に、パターンが転写されなければならない対象基板80に液体状態で転写されると、パターンの境界が不明確になるので、パターン物質50は固相状態で対象基板80に転写されることが望ましい。特に、対象基板80が柔軟基板である場合には、柔軟基板の耐熱性が低い。したがって、パターン物質50を焼結する温度の制限があるので、パターン物質50を高温に焼結して固相状態とした後、この固相状態のパターン物質50を最終的に対象基板80に転写することが望ましい。
【0121】
パターン物質50の貯蔵槽に表面モールド90を浸漬してから取り出すようになれば、SAM層10が除去された部分のみにパターン物質50加えられたようになる。このパターン物質50を乾燥させて高温焼結させる。パターン物質50を乾燥させるには加熱ランプ、熱板(hot plate)またはコンベクションオーブン(convection oven)を使用した方法などがある。
【0122】
加熱ランプで表面モールド90を加熱すれば、表面モールド90に加えられたパターン物質50が焼結されるが、加熱ランプで加熱することは放射熱を利用したものである。このような方式は、所望の温度を設定して、その温度を維持したまま加熱することは難しいが、熱板またはコンベクションオーブンで加熱する方式に比べて、連続工程が可能であり、均一な温度で加熱する点で有利である。
【0123】
熱板で基板20を加熱することは、伝導(conduction)を利用したものであり、コンベクションオーブンで基板20を加熱することは対流を利用したものである。このような方式は連続工程を行い、均一な温度で加熱することは難しいが、放射熱を利用した加熱ランプで加熱する方式に比べて所望の温度を設定して、その温度を維持したまま加熱する点で有利である。
【0124】
パターン物質50は、親水性の有機金属インクであることが望ましい。そして、パターンの厚さを調節するために表面モールド90にパターン物質50を加えて、パターン物質50を乾燥させて、高温焼結させることを複数回繰り返すことができる。パターンの厚さを厚くするためには繰り返し回数を増やせば良い。このように簡単な方式でパターンの厚さ調節が可能になる。図9(e)は、SAM層10が除去された部分のみにパターン物質50が加えられて乾燥して、高温焼結された状態を示す。
【0125】
パターン物質50の表面モールド90に対する付着力があまりにも強ければ、最終的にパターンが転写されなければならない対象基板80にパターンを転写する時に転写効率が低下する場合があるといった問題がある。したがって、パターン物質50の表面モールド90に対する付着力を意図的に落とす必要がある。パターン物質50を親水性の有機金属インクを使用する場合には、疎水性が弱い物質60、例えばHMDSやOTSのような物質を表面モールド90にコーティングした後、表面モールド90に親水性の有機金属インクを加えて乾燥させて、高温焼結させることが望ましい。このように疎水性が弱い物質60を表面モールド90にコーティングすることを通じて最終的にパターンが転写されなければならない対象基板80にパターンがさらに容易に転写されて、最終的なパターンの品質が向上する効果がある。
【0126】
第3段階(S320)は、表面モールド90と対象基板80をお互いに突き合わせて加圧して、表面モールド90で対象基板80方向に、または対象基板80から表面モールド90方向にレーザーを照射することによって、表面モールド90上のパターン物質50と対象基板80が突き合わされた部位に発生する対象基板80の粘性力によってパターン物質50が対象基板に転写される段階である。
【0127】
図9(f)を参照すれば、最終的にパターンが転写されなければならない対象基板80が基板20のパターン物質50が転写されている面に接触されて、表面モールド90と対象基板80がお互いに触れ合ったまま加圧される。ここで、表面モールド90はパターン物質50が転写されている基板を示す。この状態で基板20のパターン物質50の転写される面の反対面から対象基板80方向にレーザーが照射される。言い換えれば、表面モールド90から対象基板80方向にレーザーが照射される。但し、図9(f)に示されたものとは異なり、対象基板80から表面モールド90方向にレーザーが照射されてもよい。レーザーが照射されると、表面モールド90上のパターン物質50と対象基板80を突き合わせた部位で対象基板80に粘性力が発生するが、この対象基板80の粘性力によってパターン物質50が対象基板80に転写される。
【0128】
図11を参照して対象基板80の粘性力によってパターン物質50が対象基板80に転写される過程をより具体的に説明する。パターン物質50が転写されている基板20が対象基板80と接触されてお互いに加圧された状態で焦点化されないレーザーが基板20から対象基板80方向に照射されると、パターン物質50は熱伝導度が速くて速かにパターン物質50の深さ方向に熱を伝える。しかし、対象基板80は低い熱伝導度を有するので、対象基板80とパターン物質50の熱伝導度の差によって熱が対象基板80とパターン物質50との間で蓄積する。したがって、対象基板80とパターン物質50との間に蓄積した熱(accumulated heat)によって対象基板80の表面部分だけ瞬間的にガラス遷移温度(材料が延性から脆性に急激に変わる温度)まで上昇するようになる。この時、対象基板80の表面温度がガラス遷移温度に到逹するようになれば、対象基板80は強い粘性を有するようになる。この時、対象が有する強い粘性によって、対象基板80とパターン物質50との間の接着力は基板20とパターン物質50との間の接着力よりさらに大きくなる。このような対象基板80とパターン物質50との間の強い接着力によってパターン物質50が対象基板80に転写される。以後、冷却がなされると、対象基板80は再び元々の特性を有する。このように転写されたパターンは元々基板20にパターニングされたパターン形状と同一な形状を有する。転写が終了して対象基板80にパターンが形成されている状態の最終結果物は、図9(g)に示されている。転写が完了した後表面モールド90は廃棄されず、再使用が可能である。
【0129】
図12は、本発明の第4実施例のパターン転写方法を利用して、パターン転写を連続的に行うことができるパターン転写装置を示した図面である。
【0130】
図12に示されるように、本発明の第4実施例のパターン転写方法を利用して、パターン転写を連続的に行うことができるパターン転写装置は、柔軟基板、基板20、移動部300、レーザー照射部400を含む。
【0131】
柔軟基板は、ポリマー物質で構成され、一面がロール(R)に絡められている。柔軟基板の両側が二つのローラー(A、B)に絡められて矢印方向に移動され得る。また、ロール(R)と柔軟基板の一面の間に充填材またはクッション材を入れて柔軟基板と基板20の接触を向上させることができる。
【0132】
基板20は、柔軟基板の下部にお互いに触れ合ったまま加圧されるように配置されて、その上面にSAM層10が選択的に除去された後パターン物質50がコーティングされており、そのパターン物質50は乾燥して高温焼結された状態である。以後、基板20から柔軟基板方向に、または柔軟基板から基板20方向にレーザーが照射されて、柔軟基板にパターン物質50が転写される。基板20上にコーティングされたパターン物質50は、移動部300の移動によって柔軟基板上に連続的に転写される。一方、基板20は、照射レーザーを透過させるためにガラスのような透明な基板20であることが望ましい。
【0133】
移動部300は、基板20の下面に配置されて基板20を移動させる。この時、移動部300は基板20を移動させて、柔軟基板と基板20がお互いに触れ合ったまま加圧されるようにする。移動部300の下部底面には移動の便宜性のためのローラー310を設置して、移動部300が容易に移動できるようになっている。本パターン転写装置は、移動部300を利用して基板20を移動させながらパターンを転写するので、大面積のパターン転写が可能である。
【0134】
レーザー照射部400は、パターン物質50から柔軟基板方向に、すなわち基板20から柔軟基板方向にラインビーム形態のレーザーを照射する。この時、移動部300によって基板20が移動しながら、レーザーの照射によって発生する、パターン物質50と柔軟基板を突き合わせた部位で発生する柔軟基板の粘性力によって、パターン物質50が柔軟基板上に転写される。この時、レーザー照射部400によって照射されたレーザーは、柔軟基板と基板20を突き合わせた部位の基板20上のパターン物質50のみを加熱する。そうすると、熱伝導度が高いパターン物質50と熱伝導度が相対的に低い柔軟基板との間に熱が蓄積する。この時、柔軟基板と基板20を突き合わせた部位に蓄積した熱によって、柔軟基板の温度がガラス遷移温度まで上昇した時、柔軟基板は強い粘性を有するようになって、柔軟基板が有する強い粘性によって、パターン物質50が柔軟基板に転写される。さらに、パターン物質50の特性によってレーザーの出力、照射面積、移動部300の移動速度を調節することができる。
【0135】
一方、本パターン転写装置は、レーザー照射方式で、CWレーザー(continuous wave laser)方式とパルスレーザー(pulsed laser)方式を使用することができる。ここで、CWレーザー(continuous wave laser)方式は、レーザー内部の共振器(resonator)で密度反転(population inversion)を通じてレーザーを放出する方式である。
【0136】
このように、本パターン転写装置によると、パターン物質50を固相状態で直接転写するので、パターン境界が向上し、高い細長比(slenderness ratio)を実現する。また、本パターン転写装置は、柔軟基板にパターン物質50を転写させることができる他、また、このような工程が連続工程で可能であるので、製品を速く、廉価で製造することができ、電極配線の密度を既存よりさらに精密に製造して、製品の性能を向上させることができる。
【0137】
以上説明したパターン転写方法は、対象基板80が柔軟基板である場合にその適用度が高い。通常的に、柔軟基板は、ポリマー素材で作られて、例えば、PIフィルムで作られるが、このようなポリマー素材は350℃程度の温度では大部分融けるので、柔軟基板に熱がたくさん加えられるパターン転写方法は、柔軟基板に適用することができない。したがって、本発明の第4実施例によるパターン転写方法は、柔軟基板に、特に、適用度が高くなる。そして、パターン物質50が乾燥焼結された状態で転写過程が行われるので、本発明の第4実施例によるパターン転写方法によって製造されたパターンの大きさや品質などが、湿度、温度など周辺環境の変化に左右されない。
【0138】
本発明の第4実施例によるパターン転写方法が適用される例について以下説明する。
【0139】
電磁波遮蔽シートは、各種電子機器から放出される電磁波は人体に有害であるので、電子機器の外に電磁波が放出されないようにするために使用されるものである。しかし、このような電磁波遮蔽製品のうちでディスプレイ用、特に、PDP用電磁波遮蔽シートは画面に付けるために光透過性もありながら、電磁波遮蔽性能もすぐれなければならない。そうするためにはフィルムに金属パターンを格子模様で作らなければならないが、通常、間隔は300μmであり、パターン幅は10μm水準である。厚さは要求される電磁波遮断性能によって変わり得るが、通常、数〜数10μmである。このようなシートは今までスパッタリング(sputtering)を利用したが、これは真空工程であるので、工程が難しく、電磁波遮蔽シートを大面積で、しかも廉価で製造するには限界があった。
【0140】
ペースト(paste)を利用したロールツーロール(roll to roll)工程で電磁波遮蔽シートを製造しようとする試みがあるが、パターン幅を30μm以下に具現化するには問題点が多い。そこで、本発明の第4実施例は、このような電磁波遮蔽シートを連続工程で高い収率で製造することに使用することができる。
【0141】
また、ディスプレイ/太陽電池パネルの電極配線に適用可能である。特に、フレキシブルディスプレイやフレキシブル太陽電池の電極配線形成に適用可能な、PETのようなポリマー素材の表面に電極が形成される。そして、薄膜トランジスター(TFT)のゲート電極、ソース電極、ドレイン電極を形成するのに適用することができるし、電子本の電極形成にも適用することができる。
【0142】
また、フレキシブル印刷回路基板(FPCB)、RFID(Radio-Frequency IDentification)アンテナ、携帯電話アンテナのような伝導性配線に適用が可能である。柔軟基板に伝導性配線を形成することができる他、連続工程で製造が可能であるので上の製品を速く、廉価で製造することができ、現在の配線密度よりさらに精密に製造することができるので、製品の性能を向上させることができる。それ以外に、その他の伝導性/非伝導性物質のマイクロメーターパターンを廉価で製造することができる。
【0143】
また、本発明の第4実施例のパターン転写方法を適用することができる前記のような製品は、本発明の第4実施例のパターン転写方法を利用して、パターン転写を連続的に可能にさせるパターン転写装置を使用して製造することもできる。
【0144】
このように、前述した本発明の技術的構成は、本発明が属する技術分野の当業者が本発明のその技術的思想や必須的特徴を変更しなくても、他の具体的な形態で実施されることができるということを理解することができるであろう。
【0145】
以上記述した実施例等は、すべての面で例示的なものであって、限定的なものではないこととして理解されなければならないし、本発明の範囲は前記の詳細な説明よりは後述する特許請求範囲によって示され、特許請求範囲の意味及び範囲、そして、その等価概念から導出されるすべての変更、または変形された形態が本発明の範囲に含まれるものとして解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0146】
10 疎水性コーティング層
20、100 基板
30 プラズマ誘発層
31 プラズマ誘発層のパーティクル
40 洗滌液
50、110 パターン物質
60 疎水性が弱い物質
80 対象基板
90、120 表面モールド
111 パターン物質の所定領域
200 柔軟基板
300 移動部
310 ローラー
400 レーザー照射部
500 レーザーソース
510 スキャナ
R ロール
A、B ローラー




【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にパターン物質を形成する第1段階と、
前記パターン物質を固相状態に硬化させる第2段階と、
前記硬化された固相状態のパターン物質にレーザー光を照射して、前記パターン物質をパターニングする第3段階と、
前記パターニングされた固相状態のパターン物質と柔軟基板をお互いに突き合わせて加圧して、前記パターン物質から前記柔軟基板方向に、または前記柔軟基板から前記パターン物質方向にレーザー光を照射して、前記パターン物質と柔軟基板を突き合わせた部位で発生する前記柔軟基板の粘性力によって、前記パターン物質を前記柔軟基板に転写する第4段階と、
を含む、パターン転写方法。
【請求項2】
基板上にパターン物質を形成する第1段階と、
前記パターン物質の所定領域にレーザー光を照射して、前記パターン物質の所定領域を固相状態に硬化させる第2段階と、
前記所定領域以外のパターン物質を有機溶媒によって除去する第3段階と、
前記パターン物質の所定領域を固相状態に再硬化させる第4段階と、
前記再硬化された固相状態のパターン物質と柔軟基板をお互いに突き合わせて加圧して、前記パターン物質から前記柔軟基板方向に、または前記柔軟基板から前記パターン物質方向にレーザー光を照射して、前記パターン物質と柔軟基板を突き合わせた部位で発生する前記柔軟基板の粘性力によって、前記パターン物質を前記柔軟基板に転写する第5段階と、
を含む、パターン転写方法。
【請求項3】
ポリマー物質を含んで、一面がロールに絡められている柔軟基板と、
前記柔軟基板の下部にお互いに突き合わせて加圧されるように配置されて、その上面に形成されたパターン物質が固相状態に硬化された後、レーザー光によってパターニングされている基板と、
前記基板の下面に配置されて前記基板を移動させる移動部と、
前記移動部から前記柔軟基板方向にレーザー光を照射するレーザー照射部と、
を含んで、
前記移動部を作動させて前記基板が移動されながら、前記柔軟基板と前記基板がお互いに突き合わせて加圧され、
前記レーザー照射部からの前記レーザー光によって前記パターン物質と前記柔軟基板を突き合わせた部位で発生する前記柔軟基板の粘性力によって前記パターン物質が前記柔軟基板に転写される、パターン転写装置。
【請求項4】
前記レーザー照射部は、レーザーをラインビームの形態で照射する、ことを特徴とする請求項3に記載のパターン転写装置。
【請求項5】
基板上に疎水性コーティング層を形成した後レーザー応用プラズマを利用して、前記疎水性コーティング層を選択的に除去して表面モールドを形成する第1段階と、
前記表面モールド上に、パターン物質を加えて乾燥させた後高温焼結させて、パターンを形成する第2段階と、
前記表面モールドと対象基板をお互いに突き合わせて加圧して、前記表面モールドから前記対象基板方向に、または前記対象基板から前記表面モールド方向にレーザーを照射することによって前記表面モールド上のパターン物質と前記対象基板を突き合わせた部位に発生する対象基板の粘性力によって前記パターン物質が対象基板に転写される第3段階と、を含む、パターン転写方法。
【請求項6】
前記第1段階は、
基板上に疎水性コーティング層を形成する段階と、
前記疎水性コーティング層上にプラズマ誘発層をコーティングする段階と、
レーザーを前記基板から前記プラズマ誘発層方向に照射して前記疎水性コーティング層を選択的に除去する段階と、
前記プラズマ誘発層を除去する段階と、
でなされる、ことを特徴とする請求項5に記載のパターン転写方法。
【請求項7】
前記第2段階で使用される前記パターン物質は、親水性の有機金属インクである、ことを特徴とする請求項5に記載のパターン転写方法。
【請求項8】
ポリマー物質を含んで、一面がロールに絡められている柔軟基板と、
上面に形成された疎水性コーティング層が選択的に除去された後パターン物質がコーティングされ、前記柔軟基板の下部にお互いに触れ合ったまま加圧されるように配置される基板と、
前記基板の下面に配置されて前記基板を移動させる移動部と、
前記基板から前記柔軟基板方向に、または前記柔軟基板から前記基板方向にレーザーを照射するレーザー照射部を含み、
前記移動部を作動させて前記基板が移動されながら、前記柔軟基板と前記基板がお互いに突き合わせられて加圧され、
前記レーザー照射部からの前記レーザーによって前記パターン物質と前記柔軟基板を突き合わせた部位で発生する前記柔軟基板の粘性力によって前記パターン物質が前記柔軟基板に転写される、パターン転写装置。
【請求項9】
請求項1、請求項2または請求項5のうちで何れか一つに記載したパターン転写方法によって転写されたパターンによって形成される電極を含むフレキシブルディスプレイパネル。
【請求項10】
請求項1、請求項2または請求項5のうちで何れか一つに記載したパターン転写方法によって転写されたパターンによって形成される電極を含むフレキシブル太陽電池。
【請求項11】
請求項1、請求項2または請求項5のうちで何れか一つに記載したパターン転写方法によって転写されたパターンによって形成される電極を含む電子本。
【請求項12】
請求項1、請求項2または請求項5のうちで何れか一つに記載したパターン転写方法によって転写されたパターンを有する電磁波遮蔽シート。
【請求項13】
請求項1、請求項2または請求項5のうちで何れか一つに記載したパターン転写方法によって転写されたパターンによって形成されるゲート電極、ソース電極、及びドレイン電極を含む薄膜トランジスター。
【請求項14】
請求項1、請求項2または請求項5のうちで何れか一つに記載したパターン転写方法によって転写されたパターンによって形成される伝導性配線を含むフレキシブル印刷回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図5e】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−94855(P2012−94855A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218441(P2011−218441)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(592127149)韓国科学技術院 (129)
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】373−1,Gusung−dong,Yuseong−ku,Daejeon 305−701 KR
【Fターム(参考)】