説明

パチンコホール用遊技システム

【発明の詳細な説明】
[発明の目的]
(産業上の利用分野)
本発明は、プリペイドカードである遊技券を利用してパチンコホール内での遊技を行うようにしたパチンコホール用遊技システムに関する。
(従来の技術)
パチンコホールにおいては、玉貸機によるパチンコ玉の貸出動作のキャッシュレス化を図った遊技システムを構築することが考えられている。このようなシステムの一例として、従来より、発行価額に対応したパチンコ玉数を示す玉数情報が記憶された例えば磁気カード式の遊技券を発行(販売)する構成とした上で、遊技券の挿入に応じてその記憶玉数情報の範囲内でパチンコ玉を自動的に貸出すと共にその貸出数だけ上記記憶玉数情報を減少させる玉貸機、遊技者が獲得したパチンコ玉を計数して前記遊技券に玉数情報として記憶させる計数装置、並びに前記遊技行券が挿入されたときにその遊技券の記憶玉数情報を景品との交換のために表示する景品払出装置を設けることが考えられている。尚、この場合において、玉貸機はパチンコゲーム機に隣接して設置され、計数装置はパチンコホール内の複数箇所に設置され、景品払出装置はパチンコホール内の景品交換カウンタに設置される。
(発明が解決しようとする課題)
パチンコホール内には多機種のパチンコゲーム機が設けられるのが通常である。このうち、例えば遊技時において所謂特賞状態(電気役物の動作により入賞率が高くなった状態)が一旦発生したときには遊技者が極めて多量のパチンコ玉を獲得することが可能なパチンコゲーム機(以下これを特賞形パチンコゲーム機と呼ぶ)にあっては、入賞率が平均的に変化する他機種のパチンコゲーム機で獲得した比較的多量のパチンコ玉を利用した遊技が行われた場合に、上記のような特賞状態になる確立が高くなり、その結果としてパチンコホールの損失が増えるなどの問題を引起こす。このため、一般的には、上記特賞形パチンコゲーム機については、他の特定機種のパチンコゲーム機で獲得したパチンコ玉を使用した遊技を禁止することが行われている。
この場合、前記特定機種のパチンコゲーム機である程度のパチンコ玉を獲得した遊技者が、当該獲得パチンコ玉を携帯して特賞形パチンコゲーム機へ移動する場合には、その移動を容易に監視することができる。ところが、前述のようにキャッシュレス化を図った遊技システムでは、、遊技者が獲得したパチンコ玉が玉数情報として遊技券に記憶された状態となるため、上述のような遊技者の移動監視を確実に行うことが極めて困難である。このため、前述した遊技禁止措置は有名無実となり勝ちであり、他の特定機種のパチンコゲーム機で獲得し端パチンコ玉を特賞形パチンコゲーム機で使用することを十分に防止できないという問題点があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、パチンコ玉の貸出動作並びに景品の払出動作を遊技券を通じて行うことによりキャッシュレス化を図ったものでありながら、所定のパチンコゲーム機において他の特定機種のパチンコゲーム機での獲得パチンコ玉による遊技が行われる事態を、人手を要すことなく防止可能になるパチンコホール用遊技システムを提供するにある。
[発明の構成]
(課題を解決するための手段)
本発明は上記目的を達成するために、パチンコ玉数を示す玉数情報を記憶するために使用される遊技券と、機種毎に固有の機種コードが設定された複数種類のパチンコゲーム機と、各パチンコゲーム機に隣接して設置されたパチンコ玉貸出用の玉貸機と、各パチンコゲーム機に1対1で対応して設置され前記遊技券がセットされた状態でその有機券に関連づけて記憶された玉数情報の範囲内で前記玉貸機を通じてパチンコ玉を貸出すと共にその貸出数だけ上記遊技券に関連づけた状態で記憶された玉数情報を減少させる動作及び対応するパチンコゲーム機の前記機種コードをその遊技券に関連づけた状態で記憶させる動作を行う貸出制御装置と、パチンコホール内に遊技者が獲得したパチンコ玉を計数するために設けられその計数結果を前記遊技券に関連づけられ且つ前記記憶機種コードと対応づけた獲得玉数情報として記憶する計数装置とを備えた構成としたものである(請求項1)
この場合、前記貸出制御装置は、セットされた遊技券に関連づけた状態で記憶された機種コードが対応するパチンコゲーム機とは異なる他の特定機種のパチンコゲーム機のものであった場合には前記獲得玉数情報に基づいたパチンコ玉の貸出動作を停止する構成としても良い(請求項2)。
(作用)
請求項1記載の発明においては、パチンコホール内で遊技を行う場合には、玉数情報を記憶するために使用される遊技券を用意する。遊技者は、その遊技券を、パチンコゲーム機に対応して設置された貸出制御装置にセットすることにより、当該遊技券に関連づけて記憶された玉数情報の範囲内でパチンコ玉の貸出を受けることができ、斯様にして貸出を受けたパチンコ玉により遊技を行う。このとき、貸出制御装置にあっては、遊技券に関連づけた状態で記憶された記憶された玉数情報を上記のような貸出パチンコ玉数だけ減少させると共に、その遊技券に前記パチンコゲーム機固有の機種コードを記憶させる。そして、遊技に伴い獲得したパチンコ玉を計数する場合には、そのパチンコ玉を計数装置により計数させる。このとき、計数装置にあっては、上記計数結果を、遊技券に関連づけられ且つ前述のように記憶された機種コードと対応づけた獲得玉数情報として記憶させる。
しかして、このように獲得玉数情報が新たに記憶された遊技券は、これを貸出制御装置にセットすることにより上記獲得玉数情報についても玉貸機を通じた貸出動作によりパチンコ玉に変換することができる。この場合、貸出制御装置は、例えば、当該遊技券に獲得玉数情報と対応づけて記憶された機種コードが、前記貸出制御装置に対応するパチンコゲーム機とは異なる他の特定機種のパチンコゲーム機のものであった場合、つまりその獲得玉数情報により示されるパチンコ玉が他の特定機種のパチンコゲーム機で獲得したものであった場合において獲得玉数情報に基づいた貸出動作を停止する構成とすることが可能である。従って、所定のパチンコゲーム機において他の特定機種のパチンコゲーム機での獲得パチンコ玉による遊技が行われる事態が、人手を要すことなく防止可能となる。
(実施例)
以下、本発明の一実施例について図面を参照しながら説明する。
第3図において、1はパチンコホール内に複数台列設されたパチンコゲーム機で、これらには機種毎に固有の機種コードCPが設定されている。2はパチンコゲーム機1間に2台のパチンコゲーム機1について1台ずつ設けられた玉貸機である。また、3は貸出制御装置としての制御ユニットで、これはパチンコゲーム機1の情報に各パチンコゲーム機1と1対1で対応するように配置されている。
上記制御ユニット3において、4はカード挿入口で、これには、遊技券たる磁気カード5が挿入によりセットされるようになっている。上記磁気カード5は、例えば図示しない自動カード発行機に対する貨幣の投入に応じて発行されるものであり、第5図に示すように、セキュリティ用のコードを記憶するためのコード記憶エリアE0の他に、その発行価額に相当したパチンコ玉数を示す貸出玉数情報N1を記憶するための第1の記憶エリアE1,遊技者が獲得したパチンコ玉数を示す獲得玉数情報N2を記憶するための第2の記憶エリアE2を有する。このとき、上記第2の記憶エリアE2は、第6図に示すように、機種コード記憶エリアE2a、打止フラグ記憶エリアE2b,データ記憶エリアE2cを複数組備えて構成されている。尚、磁気カード5の発行時には、その発行価額に担当した貸出パチンコ玉数N1を示すデータが第1の記憶エリアE1に記憶されると共に、当該パチンコホール固有の暗号コードCX及び当日の日付を示す日付コードCDがコード記憶エリアE0に記憶される。
制御ユニット3において、6はカード挿入口4に挿入された状態の磁気カード5を取出すときに操作されるイジェクトスイッチ、7は磁気カード5の第1の記憶エリアE1に記憶されたパチンコ玉数(貸出パチンコ玉数N1により示される)をデジタル表示するための第1の表示部、8は磁気カード5の第2の記憶エリアE2に記憶されたパチンコ玉数(獲得パチンコ玉数N2により示される)をデジタル表示するための第2の表示部である。また、9は上記表示部7及び8に対応して設けられた玉貸スイッチで、これは、上記表示部7及び8により表示された範囲内のパチンコ玉を玉貸機2から放出させるために設けられている。そして、制御ユニット3にあっては、玉貸機2と信号の授受を行うようになっており、特に玉貸スイッチ9が操作されたときには、玉貸機2に対し後述のようにして所定個数の放出指令パルスPsを出力する構成となっている。
玉貸機2は、その機枠本体10の前面に玉放出口11及び左,右の表示ランプ12a,12bを備えている。この場合、玉放出口11は、上下動可能な放出口体11aを有し、その放出口体11aが下方に位置した状態では玉貸機2内から放出されたパチンコ玉を一時的に貯留すると共に、この状態から放出口体11aが情報へ移動されたときには上記パチンコ玉を放出口体11a内を通じて落下させるようになっている。
そして、斯かる玉貸機2の内部構成は概略第4図に示すようになっている。即ち、第4図において、13は残玉検知スイッチで、これは玉放出口11内にパチンコ玉が残置された状態で検知信号Saを出力するようになっている。14は放出機構で、これが動作されたときには、パチンコゲーム機1の裏側に配管された図示しないパチンコ玉供給管からパイプ14aを通じて供給されるパチンコ玉が前記玉放出口11に放出されるようになっている。15は放出機構14による放出バチンコ玉数を制御するための制御装置で、これは制御ユニット3から前記放出指令パルスPsが与えられたときに放出機構14を動作させると共に、その入力放出指令パルスPsの数だけパチンコ玉が放出されるように放出機構14を制御する構成となっている。また、この制御装置15は、放出機構14を動作させたときには左側の表示ランプ12a及び右側の表示ランプ12bの何れかを選択的に点灯させると共に、その点灯状態を前記残玉検知スイッチ13からの検知信号Saが消失するまで保持する。さらに、制御装置15は、放出機構14によるパチンコ玉の放出動作が正常に行われたときには、放出完了パルスPzを発生して制御ユニット3へ送信するようになっている。尚、上記制御装置15は、左側に位置した制御ユニット3から放出指令パルスPsを受けたときに左側の表示ランプ12aを点灯させ、右側に位置した制御ユニット3から放出指令パルスPsを受けたときに右側の表示ランプ12bを点灯させるようになっている。
つまり、玉貸機2は、制御ユニット3から放出指令パルスPsが入力されたときに、その入力パルス数に応じた数のパチンコ玉を放出口体11を通じて放出するものであり、その放出時には表示ランプ12a,12bの選択的な点灯によって上記放出指令パルスPsの発生源となった制御ユニット3を指示するものである。
一方、前記パチンコゲーム機1には、前記図示しないパチンコ玉供給管から賞球用として供給されるパチンコ玉を計数するためのセーフ玉計数器、及び当該パチンコゲーム機1から回収される打込パチンコ玉を計数するためのアウト玉計数器(何れも図示せず)が設けられており、これら計数器は、各々の計数結果をセーフ玉数信号及びアウト玉数信号としてリアルタイムで発生するようになっており、これらの各信号は図示しない集中管理コンピュータへ送信されるようになっている。この集中管理コンピュータは、パチンコホール用として周知構成のものであり、上記セーフ玉数信号及びアウト玉数信号に基づいて各ゲーム機1毎のセーフ玉数,アウト玉数,差玉数などを演算すると共に、特に差玉数が所定の限度値を越えたパチンコゲーム機1が発生したときには、当該パチンコゲーム機1に対応した制御ユニット3に打止信号Sxを送信するようになっている。
さて、第1図には制御ユニット3の電気的構成が機能ブロックの組合わせにて示されており、以下この第1図について説明する。
即ち、制御ユニット3において、16はカード挿入口4に対応して設けられたカードリーダライタで、これは、磁気カード5の取込み及び排出のための送り装置(図示せず)を有すると共に、カード挿入口4に挿入された磁気カード5の記憶データを読込む機能並びにその磁気カード5にデータを書込む機能を備えて成る。17はカードリーダライタ16と信号の授受を行うように設けられた制御回路で、これには、カードリーダライタ16による読込みデータ、イジェクトスイッチ6及び玉貸スイッチ9からの各オン信号の他に、前記図示しない集中管理コンピュータからの打止信号Sxが入力されるようになっている。
この制御回路17は、マイクロコンピュータを含んで構成されたもので、上記のような各入力信号,ROM17aに予め記憶されたプログラム及びRAM17bとのデータ転送並びに時計部17cからの日付情報に基づいて、前記第1の表示部7,第2の表示部8の制御並びに前記放出指令パルスPsの出力制御を行うものであり、その制御内容は第2図のフローチャートに示すようになっている。
しかして、以下においては、第2図に示した制御回路17による制御内容について、関連した作用と共に説明する。
即ち、制御回路17は、まずカード挿入口4に磁気カード5が挿入されたか否かを判断し(ステップA1)、磁気カード5が挿入されるまで待機する。カード挿入口4に磁気カード5が挿入されたときには、その磁気カード5を挿入状態に保持すると共に、磁気カード5に記憶されたデータを読取る(ステップA2,A3)。
次いで、制御回路17は、上記読取データに含まれる暗号コードCX並びにRAM17bに予め記憶した照合用コードに基づいて磁気カード5が当該パチンコホールのものか否かを判断し(ステップA4)、当該パチンコホールのものでないと判断したときには磁気カード5を排出し(ステップA5)、この後にステップA1へ戻る。挿入された磁気カード5が当該パチンコホールのものであった場合には、前記読取データに含まれる日付コードCD並びに時計部17cからの日付情報に基づいて磁気カード5が期限内のものであるか否かを判断し(ステップA6)、期限過ぎであると判断したときには磁気カード5を排出する前記ステップA5を経てステップA1へ戻る。挿入された磁気カード5が当該パチンコホールのもので且つ期限内のものであった場合には、その磁気カード5の第1の記憶エリアE1に記憶された貸出玉数情報N1により示されるパチンコ玉数を第1の表示部7に表示させると共に、磁気カード5の第2の記憶エリアE2におけるデータ記憶エリアE2cに後述の如く記憶された各獲得玉数情報N2により示されるパチンコ玉数の合計を第2の表示部8に表示させる(ステップA7,A8)。尚、この場合において、貸出玉数情報N1が記憶されていない状態では第1の表示部7に「0」の表示を行ない、獲得玉数情報N2が記憶されていない状態では第2の表示部8に「0」の表示を行なう。
この後、制御回路17は、挿入された磁気カード5に記憶された貸出玉数情報N1及び獲得玉数情報N2が双方とも零か否かを判断する(ステップA9)。そして、上記各玉数情報N1及びN2の少なくとも一方が零以外の状態時には、イジェクトスイッチ6がオンされたか否かを判断し(ステップA10)、そのイジェクトスイッチ6がオンされていないときには、玉貸スイッチ9がオンされたか否かを判断し(ステップA11)、各スイッチ6,9が何れもオンされない状態では、上記ステップA10,A11を繰返し実行する。
この状態から玉貸スイッチ9がオンされたときには、磁気カード5の第2の記憶エリアE2に記憶された獲得玉数情報N2(つまり第2の表示部8の表示内容に相当)が零か否かを判断する(ステップA12)。ここで「NO」と判断したとき、即ち磁気カード5の第2の記憶エリアE2における複数のデータ記憶エリアE2c(第6図参照)の何れかに獲得玉数情報N2が記憶されていたときには、磁気カード5の第2の記憶エリアE2に設定された複数の打止フラグ記憶エリアE2bの何れかに後述する打止フラグFxが記憶されれいるか否かを判断する(ステップA13)。上記打止フラグFxが記憶されていない場合には、前記ステップA12での判断基準となった獲得玉数情報N2を記憶したデータ記憶エリアE2cと対をなす機種コード記憶エリアE2aに後述のようにして記憶されている機種コードCPが他の特定機種のパチンコゲーム機のものであるか否かを判断する(ステップA14)。
制御回路17は、ステップA14で「NO」と判断したとき、即ち獲得玉数情報N2により示されるパチンコ玉が他の特定機種のパチンコゲーム機で獲得したものでないときには、磁気カード5の複数の機種コード記憶エリアE2aのうち獲得玉数情報N2が未記憶のデータ記憶エリアE2cと対をなす機種コード記憶エリアE2aに、対応するパチンコゲーム機に設定された機種コードCPを記憶する(ステップA15)。次いで、制御回路17は、例えば50個の放出指令パルスPsを発生して玉貸機2に与える(ステップA16)。但し、上記ステップA16では、前記獲得玉数情報N2が示す数値(第2の表示部8による表示内容)が「50」未満であった場合には、その数値に相当した数の放出指令パルスPsを発生する。
従って、第2の表示部8に「50」以上の数値が表示された状態で玉貸スイッチ9がオンされたときには、玉貸機2において、その放出口体11に対し50個のパチンコ玉を放出するようになり、また、第2の表示部8に「50」未満の数値が表示された状態で玉貸スイッチ9がオンされたときには、玉貸機2において、その放出口体11に上記表示数値に対応した数のパチンコ玉を放出するようになる。
一方、制御回路17は、上記ステップA16の実行後には、玉貸機2からの放出完了パルスPzが入力したか否か、つまり玉貸機2によるパチンコ玉の放出が終了したか否かを判断する(ステップA17)。パチンコ玉の放出が終了したと判断したときには、貸出フラグFLを「1」にセットし(ステップA18)、磁気カード5の第2の記憶エリアE2における前記データ記憶エリアE2cに記憶された獲得玉数情報N2を、上記放出パチンコ玉数に相当した数だけ減少するように更新し(ステップA19)、この後にステップA1へ戻る。
制御回路17は、玉貸スイッチ9がオンされたときにおいて(ステップA11で「YES」)、磁気カード5に記憶された獲得玉数情報N2が零の場合(ステップA12で「YES」)、磁気カード5に打止フラグFxが記憶されていた場合(ステップA13で「YES」)、並びに記憶機種コードCPが他の特定機種のパチンコゲーム機のものであった場合(ステップA14で「YES」)には、磁気カード5の第1の記憶エリアE1に記憶された貸出玉数情報N1(つまり第1の表示部7の表示内容に相当)が零か否かを判断する(ステップA20)。ここで「NO」と判断したとき、即ち磁気カード5に貸出玉数情報N1が記憶されていたときには、磁気カード5の機コード記憶エリアE2aのうち獲得玉数情報N2が未記憶のデータ記憶エリアE2cと対をなす機種コード記憶エリアE2aに機種コードCPが記憶されているか否かを判断し(ステップA21)、未記憶の場合には対応するパチンコゲーム機に設定された機種コードCPを記憶し(ステップA22)、この後にステップA23へ移行する。また、既に機種コードCPが記憶されていた場合には上記ステップA22をジャンプしてステップA23へ移行する。
そして、制御回路17は、ステップA23において例えば50個の放出指令パルスPsを発生して玉貸機2に与えるものであり、この場合において、前記貸出玉数情報N1が示す数値(第1の表示部7による表示内容)が「50」未満であった場合には、その数値に相当した数の放出指令パルスPsを発生する。
従って、第2の表示部8の表示が零で且つ第1の表示部7に「50」以上の数値が表示された状態で玉貸スイッチ9がオンされたときには、玉貸機2において、その放出口体11に対し50個のパチンコ玉を放出するようになり、また、第2の表示部8の表示が零で且つ第1の表示部7に「50」未満の数値が表示された状態で玉貸スイッチ9がオンされたときには、玉貸機2において、その放出口体11に上記第1の表示部7の表示数値に対応した数のパチンコ玉を放出するようになる。
一方、制御回路17は、上記ステップA23の実行後には、玉貸機2からの放出完了パルスPzが入力したか否か、つまり玉貸機2によるパチンコ玉の放出が終了したか否かを判断する(ステップA24)。パチンコ玉の放出が終了したと判断したときには、貸出フラグFLを「1」にセットし(ステップA25)、磁気カード5の第1の記憶エリアE1に記憶された貸出玉数情報N1を、上記放出パチンコ玉数に相当した数だけ減少するように更新し(ステップA26)、この後にステップA1へ戻る。尚、制御回路17は、ステップA20で「YES」と判断した場合、つまり磁気カード5の獲得玉数情報N2が零になった時点(ステップA12で「YES」)で貸出玉数情報N1も零であった場合には、上記一連のステップA21〜A26をジャンプしてステップA1へ戻る。
制御回路17は、前記ステップA9で「YES」と判断した場合(磁気カード5に記憶された貸出玉数情報N1及び獲得玉数情報N2が双方とも零の場合)、並びに前記ステップA10で「YES」と判断した場合(イジェクトスイッチ6がオン操作された場合)には、貸出フラグFLが「1」か否かを判断する(ステップA2−7)。この貸出フラグFLは、前述の説明から理解されるように玉貸機2によるパチンコ玉の貸出動作が行われたときに「1」となるものであり、貸出フラグFLが「0」の場合(つまり磁気カード5の挿入にも拘らずパチンコ玉の貸出動作が行われていない場合)には、磁気カード5を排出する前記ステップA5を経てステップA1へ戻る。
これに対して、パチンコ玉の貸出動作が行われて貸出フラグFLが「1」となっていた場合には、図示しない集中管理コンピュータから打止信号Sxが入力されているか否かを判断する(ステップA28)。上記打止信号Sxが入力されていない場合には、貸出フラグFLを「0」に戻し(ステップA29)、ステップA5を経てステップA1へ戻る。打止信号Sxが入力されていた場合には、磁気カード5における第2の記憶エリアE2の各打止フラグ記憶エリアE2bに対して打止フラグFxを記憶させ(ステップA30)、この後に前記ステップA29,A5を経てステップA1へ戻る。
以上要するに、制御ユニット3は、そのカード挿入口4に対して、貸出玉数情報N1及び獲得玉数情報N2の何れかが記憶された磁気カード5が挿入された状態では、それら各玉数情報N1及びN2により示されるパチンコ玉数を夫々第1の表示部7及び第2の表示部8に表示する、そして、制御ユニット3は、磁気カード5の挿入状態で玉貸スイッチ9がオン操作されたときには、まず獲得玉数情報N2の範囲内のパチンコ玉を玉貸機2を通じて優先的に貸出し、この獲得玉数情報N2の残高が零となったときに貸出玉数情報N1の範囲内のパチンコ玉を玉貸機2を通じて貸出す。但し、磁気カード5に打止フラグFxが記憶されていた場合(つまり上記獲得玉数情報N2がパチンコゲーム機1を打止にして獲得したパチンコ玉を示すものであった場合)、並びに磁気カード5に記憶された機種コードCPが他の特定機種のパチンコゲーム機を示すものであった場合には、獲得玉数情報N2に基づいてパチンコ玉の貸出動作を停止し、貸出玉数情報N1に基づいた貸出動作のみを行うようになっている。また、制御ユニット3は、磁気カード5によるパチンコ玉の貸出動作が一旦行われたときには、磁気カード5の第2の記憶エリアE2において獲得玉数情報N2が未記憶のデータを記憶エリアE2cと対をなす機種コード記憶エリアE2aに対応するパチンコゲーム機1の機種コードCPを記憶させると共に、当該パチンコゲーム機1が打止となったときには磁気カード5の打止フラグ記憶エリアE2bに対して打止フラグFxを記憶させる。
尚、この場合において、打止フラグFx及び機種コードCPに基づいた獲得玉数情報N2によるパチンコ玉の貸出動作を停止する場合には、その旨を視覚的手段により表示する構成或は音声により報知する構成としても良い。
一方、第7図には磁気カード5に対して獲得玉数情報N2を記憶させるための計数装置18が示されており、以下これについて説明する。
即ち、この計数装置18は、パチンコホール内に複数台設けられるものであり、例えば多数台のパチンコゲーム機1より成る所謂「島」の端に設置される。計数装置18は、本体ケース19及びこれの情報に位置された上面開放形の玉受容器20を備え、その玉受容器20の底面は中央部に向かうに従って下降する傾斜面に形成され、その最下部に落下口21が形成されている。上記本体ケース19の前面部には、パチンコ玉の計数結果をデジタル表示するための表示器22、磁気カード5を挿入するためのカード挿入口23、及び音声発生用のスピーカ24が設けられている。また、本体ケース19内には、玉受容器20に投入されたパチンコ玉を計数するための計数器25が設けられており、この計数器25は計数したパチンコ玉数を示す計数パルスPnをリアルタイムで出力する構成となっている。
第8図には上記計数装置18の概略的な機能が示されており、以下これについて説明する。即ち、計数器25から形パルスPnが入力されるのに基いてその計数パルスPnの計数動作を開始し(ステップB1,B2)、その計数結果出力を表示器22に表示させる(ステップB3)。但し、この表示は計数パルスPnの出力毎に比較的短時間で変化していくから表示内容の読取りはできないが、一定のタイミング毎に計数結果出力を表示する構成とすれば表示内容の読取が可能となる。次いで、計数パルスPnの入力が所定時間以上停止したか否か、つまりパチンコ玉の計数動作が終了したか否かを判断し(ステップB4)、その計数動作が終了していない場合にはステップB2〜B4を繰返し実行する。
この後、パチンコ玉の計数動作が終了したときには、その計数結果を表示器22に表示した状態を保持し(ステップB5)、カード挿入口23に磁気カード5が挿入されているか否かを判断する(ステップB6)。磁気カード5が挿入されていない場合には、スピーカ24を通じて遊技者に対し磁気カード5の挿入を促す音声を発生させる(ステップB7)。このような音声での指示に基いてカード挿入口23に磁気カード5が挿入され、或いは既に磁気カード5が挿入された状態にあったときには、ステップB6で「YES」と判断するようになり、この場合には、上記計数結果を、磁気カード5の第2の記憶エリアE2のうち前記制御ユニット3により機種コードCPが記憶された機種コード記憶エリアE2aと対をなすデータ記憶エリアE2c(獲得玉数情報N2が未記憶のエリア)に対して獲得玉数情報N2として記憶させる(ステップB8)。そして、この後には、磁気カード5を排出して返却するステップB9,計数結果及び表示器22の表示を初期化するステップB10を経てステップB1へ戻る。
要するに、計数装置18は、遊技者が獲得したパチンコ玉の投入に応じてこれを計数すると共に、その計数結果を磁気カード5に予め記憶された機種コードCPと対応づけた獲得玉数情報N2として記憶するものである。これにより、遊技券5を前述した制御ユニット3によるパチンコ玉貸出動作並びに後述する景品の払出動作に供し得るようになるものであり、この場合上記機種モードCPに基いて獲得玉数情報N2に対応したパチンコ玉を獲得したパチンコゲーム機1の機種を特定できるものである。
しかして、第9図には、上記のように磁気カード5に記憶された獲得玉数情報N2により示されるパチンコ玉を景品との交換に供するための景品払出装置26が示されており、以下これについて説明する。即ち、この景品払出装置26は、例えば景品交換カウンタに設置されるものであり、カード挿入口27及び数値表示部28を有する。上記数値表示部28は、磁気カード5に記憶された貸出玉数情報N1に対応したパチンコ玉数を表示する残高表示部28a,獲得玉数情報N2に対応したパチンコ玉数を表示する獲得数表示部28bと、この獲得数表示部28bに表示されたパチンコ玉数で交換可能な特定景品の個数を表示するための交換個数表示部28cと、特定景品との交換時における端数(余りパチンコ玉数)を表示するための端数表示部28dとを備えて成る。尚、図示しないが、景品払出装置26の裏側(パチンコホール従業員側)にも上記数値表示部28と同様の表示部が設けられており、パチンコホール従業員は、その表示に基づいて景品交換を行う。
第10図には上記景品払出装置26の概略的な機能が示されており、以下これについて説明する。即ち、まず、カード挿入口27に磁気カード5が挿入されたか否かを判断し(ステップC1)、次いで、当該磁気カード5が適正なものか否かをその磁気カード5に記憶された暗号コードCX,日付コードCDにより判断する(ステップC2)。適正な磁気カード5が挿入されたときには、その磁気カード5に記憶された獲得玉数情報N2により示されるパチンコ玉数により交換可能な特定景品の個数の演算を行い、その演算結果を獲得数表示部28bに表示すると共に、貸出玉数情報N1により示されるパチンコ玉数を残高表示部28aに表示する(ルーチンC3)。
次いで、端数表示部28dの表示が零か否かを判断し(ステップC4)、「NO」の場合、つまり磁気カード5に獲得玉数情報N2として記憶されたパチンコ玉を特定景品と交換する際に端数が生ずる場合には、その端数を磁気カード5の第2の記憶エリアE2におけるデータ記憶エリアE2cに獲得玉数情報N2として記憶する(ステップC5)と共に、磁気カード5に打止フラグFxが記憶されている場合にこれの初期化を行い(ステップC6)、この後にその磁気カード5を排出して返却し(ステップC7)、ステップC1へ戻る。また、前記ステップC4で「YES」と判断した場合には、貸出玉数情報N1が零か否か(つまり残高表示部28aの表示が零か否か)を判断し(ステップC8)、「YES」の場合には磁気カード5を回収した後にステップC1へ戻る(ステップC9)。これに対して、「NO」の場合、つまり磁気カード5に獲得玉数情報N2として記憶されたパチンコ玉を特定景品と交換する際に端数が生じない場合においても貸出玉数情報N1の残高があるときには、前記ステップC6,C7を経てステップC1へ戻る。
要するに景品払出装置26は、適正な磁気カード5が挿入されたときには、その磁気カード5に記憶された貸出玉数情報N1及び獲得玉数情報N2により示される各パチンコ玉数を表示すると共に、獲得玉数情報N2により交換可能な特殊景品の数及びその交換時の端数を表示するものであり、このとき、貸出玉数情報N1の残高が零で且つ上記端数も零となる磁気カード5については回収するが、他の磁気カード5については返却するものである。従って、貸出玉数情報N1の残高及び景品交換時に端数が生じた磁気カード5については、前記制御ユニット3にるパチンコ玉の貸出動作に供し得るようになる。
尚、貸出玉数情報N1の残高については、これを図示しない精算機により現金化する構成としても良い。
しかして、上記のように構成された本実施例によれば、パチンコ玉の貸出動作並びに獲得パチンコ玉による景品の払出動作等が磁気カード5を通じて行われるようになり、これによりキャッシュレス化を実現できるものである。この場合、磁気カード5には遊技者が獲得したパチンコ玉数を示す獲得玉数情報N2を計数装置18を介して記憶できると共に、その獲得玉数情報N2もパチンコ玉の貸出に供し得るものであるが、磁気カード5を通じたパチンコ玉の貸出動作を制御するための制御ユニット3は、磁気カード5に記憶された獲得玉数情報N2が他の特定機種のパチンコゲーム機での獲得パチンコ玉に相当する場合には、貸出動作を停止するようになっているから、所定のパチンコゲーム機において他の特定機種のパチンコゲーム機で獲得したパチンコ玉による遊技が行われる事態を的確に防止できるようになる。また、上記制御ユニット3は、磁気カード5に打止フラグFxが記憶されていた場合、つまり、磁気カード5に記憶された獲得玉数情報N2がパチンコゲーム機1を打止にして獲得したパチンコ玉を示すものであった場合にも貸出動作を停止する構成となっているから、打止による獲得パチンコ玉がパチンコゲーム機での遊技で使用されることを未然に防止できるようになる。
尚、上記実施例では遊技券として磁気カード5を利用する構成としたが、ICカードにより遊技券を構成することもできる。
[発明の効果]
本発明のパチンコホール用遊技システムによれば以上の説明によって明らかなように、パチンコ玉の貸出動作並びに景品の払出動作を遊技券を通じて行うことによりキャッシュレス化を図ったものでありながら、所定のパチンコゲーム機において他の特定機種のパチンコゲーム機での獲得パチンコ玉による遊技が行われる事態を、人手を要することなく防止可能になるようになる。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の一実施例を示すもので、第1図は貸出制御装置の電気的構成を示すブロック図、第2図は貸出制御装置の制御内容を示すフローチャート、第3図はパチンコゲーム機,玉貸機及び貸出制御装置の配置例を示す正面図、第4図は玉貸機の概略的な側面図、第5図は遊技券の正面図、第6図は同遊技券の要部を模式的に示す図、第7図は計数装置の斜視図、第8図は計数装置の制御内容を示すフローチャート、第9図は景品払出装置の正面図、第10図は景品払出装置の制御内容を示すフローチャートである。
図中、1はパチンコゲーム機、2は玉貸機、3は制御ユニット(貸出制御装置)、5は磁気カード(遊技券)、7は第1の表示部、8は第2の表示部、16はカードリーダライタ、17は制御回路、18は計数装置、22は表示部、26は景品払出装置、28は数値表示部を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】パチンコ玉数を示す玉数情報を記憶するために使用される遊技券と、機種毎に固有の機種コードが設定された複数種類のパチンコゲーム機と、各パチンコゲーム機に隣接して設置されたパチンコ玉貸出用の玉貸機と、各パチンコゲーム機に1対1で対応して設置され前記遊技券がセットされた状態でその遊技券に関連づけて記憶された玉数情報の範囲内で前記玉貸機を通じてパチンコ玉を貸出すと共にその貸出数だけ上記遊技券に関連づけた状態で記憶された玉数情報を減少させる動作及び対応するパチンコゲーム機の前記機種コードをその遊技券に関連づけた状態で記憶させる動作を行う貸出制御装置と、パチンコホール内に遊技者が獲得したパチンコ玉を計数するために設けられその計数結果を前記遊技券に関連づけられ且つ前記記憶機種コードと対応づけた獲得玉数情報として記憶する計数装置とを具備したことを特徴とするパチンコホール用遊技システム。
【請求項2】前記貸出制御装置は、セットされた遊技券に関連づけた状態で記憶された機種コードが対応するパチンコゲーム機とは異なる他の特定機種のパチンコゲーム機のものであった場合には前記獲得玉数情報に基づいたパチンコ玉の貸出動作を停止するように構成されていることを特徴とする請求項1記載のパチンコホール用遊技システム。

【第1図】
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【第5図】
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【第6図】
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【第9図】
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【第2図】
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【第3図】
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【第4図】
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【第7図】
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【第8図】
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【第10図】
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【特許番号】第2749626号
【登録日】平成10年(1998)2月20日
【発行日】平成10年(1998)5月13日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平1−96885
【出願日】平成1年(1989)4月17日
【公開番号】特開平2−274276
【公開日】平成2年(1990)11月8日
【審査請求日】平成8年(1996)2月21日
【出願人】(999999999)ダイコク電機株式会社
【参考文献】
【文献】実開 昭63−22967(JP,U)