説明

パチンコ機

【課題】 大当り決定後に、遊技者に技術介入の余地を残して、更なる賞球の獲得を可能にした興趣の高いパチンコ機を提供する。
【解決手段】 所定の条件が成立したときに大当りとなって、大入賞口4を開放して遊技者に利益を与えるようにしたパチンコ機おいて、所定の条件を成立させるための乱数を有する大当り決定手段と、乱数に基づく図柄を表示する特別図柄表示装置21と、を少なくとも備え、大当りになる特定の乱数を取得して大当りが決定してから、この乱数に基づく図柄を特別図柄表示装置21に表示して大入賞口4を開放するまでの期間、普通電動役物51を入賞し易く遊技者に有利な状態にすると共に、この普通電動役物51に入賞した入賞球に対して所定数の賞球を払い出すようにした。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はパチンコ機に関し、特に、大当りが確定して特別遊技が開始するまでの間に、更に遊技者に利益を与えることのできるパチンコ機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、大当りの抽選を行って、当り・外れが内部的に決定した後、通常遊技を再開したり、特別遊技を始めるまでの間、リーチアクション等、様々な表示演出を図柄表示装置において行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記図柄表示装置における表示演出は、単に時間稼ぎや期待感を煽っているに過ぎない。また、この期間は、遊技者が参加して更なる利益を得ることのできるものではなく、ただひたすら、結果が出るのを待っているに過ぎない。一方、大当りが確定して特別遊技を行うと、ほゞ決められた数の賞球が約束される。しかしながら、この賞球は、減らすことはできても、増やすことはできない。このため、ホールの営業形態によって、多少混乱が起きているのが現状である。本発明は上記に鑑み提案されたもので、大当り決定後に、遊技者に技術介入の余地を残して、更なる賞球の獲得を可能にした興趣の高いパチンコ機を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため請求項1に係る発明は、所定の条件が成立したときに大当りとなって、大入賞口を開放して遊技者に利益を与えるようにしたパチンコ機おいて、所定の条件を成立させるための乱数を有する大当り決定手段と、乱数に基づく図柄を表示する表示手段と、を少なくとも備え、大当りになる特定の乱数を取得して大当りが決定してから、この乱数に基づく図柄を表示手段に表示して特別遊技を開始するまでの期間、特定の入賞口を入賞し易く遊技者に有利な状態にすると共に、この特定の入賞口に入賞した入賞球に対して所定数の賞球を払い出すようにしたパチンコ機である。請求項2に係る発明は、請求項1の構成に加えて、大当りが決定してから特別遊技を開始するまでの期間、表示手段に仮の図柄を表示するパチンコ機である。請求項3に係る発明は、請求項1又は2の構成に加えて、特定の入賞口を、普通電動役物で形成した図柄始動口としたパチンコ機である。請求項4に係る発明は、請求項1ないし3の何れかの構成に加えて、大当りが決定してから特別遊技を開始するまでの期間を、仮の図柄が停止表示する回数で設定し、仮図柄の停止回数を乱数による抽選で決定するパチンコ機である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面の実施形態について説明すると、図1はパチンコ機1の概略斜視図であり、外枠7に蝶着した前面枠71に下皿72と共に、打球の飛距離を調整する操作ハンドル76が設けてある。そして、上記前面枠71には、上皿73及びガラスを装着したガラス枠74が設けられ、ガラスの後方には、図2に示すような遊技部11を備える遊技盤が臨んで、発射装置から弾発された打球が流下する。また、図1R>1に示したパチンコ機1には、カード挿入口81を備えるカードユニット8が併設してあり、上皿73の側方には、カードによる球の貸出を受けるための操作ボタン82が設けてある。尚、前面枠71の一側には効果音を放声するスピーカ75が設けてある。
【0006】図2は遊技部11の概略正面図である。即ち、ガイドレールで囲まれて遊技者が発射した打球が流下する遊技部11には、ほゞ中央に表示手段である特別図柄表示装置21を備えるセンター役物2が配設され、このセンター役物2の下方に図柄始動口3が配設され、更に下方に大入賞口4を備える大入賞口ユニット41が配設され、最下位置にはアウト口14が形成してある。また、上記図柄始動口3の向って左側には、打球が入球できずに遊技者に不利な第1状態と打球の入球が容易で遊技者に有利な第2状態とに変換可能な可変入賞装置5が配設され、この可変入賞装置5の上方でセンター役物2の左側には後述する普通図柄表示装置42の可変表示の契機となる通過チャッカー6が配設されている。尚、遊技部11には、上記諸装置の他に、打球の流下方向を変換する風車12やサイドランプ13が配設され、図示していないが他の入賞口も配設されている。また、遊技盤面には図示していない多数の障害釘が適宜に植設してある。
【0007】センター役物2は、例えば液晶を用いた特別図柄表示装置21を備え、この特別図柄表示装置21は、複数の図柄(識別情報)を3桁で可変表示することができる。また、センター役物2には、図柄始動口3への入球を最大4個まで記憶していることを表示する始動記憶表示灯22を備えている。尚、特別図柄表示装置21は、大当りに係わる識別情報を表わす図柄ばかりではなく、他のメッセージや画像等を表示することができる。
【0008】図柄始動口3は、特別図柄表示装置21における図柄の変動表示を開始させるものであって、図示の実施形態では、回動翼片31が起立して打球の入球が困難な第1状態と、回動翼片31が傾動して打球の入球が容易な第2状態とに変換可能な普通電動役物32で構成してある。
【0009】そして、この普通電動役物32は、大入賞口ユニット41に並設した普通図柄表示装置42が、所定の図柄を表示したときに、入球し易い第2状態に変換するように設定されている。尚、普通図柄表示装置42は、例えば、7セグメントの発光ダイオードからなる所謂デジタル表示器で構成してあり、図柄として、数字或いはアルファベット等を表示する。
【0010】更に、本発明に係るパチンコ機における遊技の具体的な一例を、図4及び図5に示したフローチャートに基づいて説明する。遊技者が発射した打球が大入賞口ユニット41に併設した落とし入賞口や図示していない各入賞口へ入賞した場合には、賞球払出装置によって所定数の賞球が払い出される。
【0011】一方、打球が通過チャッカー(ゲート)6を通過すると、普通図柄作動処理を実行し、普通図柄表示装置42が図柄の変動表示を開始し、所定時間経過後に停止表示する図柄が所定の図柄である当りか否かを判定し、当りの場合には図柄始動口3を構成している普通電動役物32を、打球が入球し易い第2状態に開放する。
【0012】そして、第2状態に開放した普通電動役物32、または第1状態にある普通電動役物32に打球が入賞すると、所定数の賞球を払い出すと共に、大当り抽選処理及び特別図柄作動処理を実行する。即ち、図柄始動口3に打球が入球すると、この図柄始動口3に臨ませた球検出器が打球を検出して検出信号を制御装置へ送る。制御装置は、この検出信号に基づいて、当り・外れを決定する乱数を取得し、この乱数に基づいて特別図柄表示装置21で図柄を変動又は停止表示すべく制御する。そして、所定の時間(以下、この時間をチャンスタイムという。)が経過すると、上記乱数に基づいて決定された図柄を表示して停止する。尚、上記所定の時間は、例えば、大入賞口4を最初に開放する特別遊技の開始までであったり、大当りの確定を遊技者に報知するまでの期間をさす。
【0013】上記チャンスタイムは、チャンスタイム抽選処理によって決定される。チャンスタイムは、例えば、特別図柄表示装置において仮の図柄を停止する回数によって決定し、例えば「0」、「50」、「100」回の3段階の中から決定する。尚、チャンスタイム「0」を引いてしまった場合は、チャンスタイムを設けずに後述する特別遊技を直ちに開始する。
【0014】チャンスタイムに入ったら、このチャンスタイム中に特別図柄表示装置でどのような表示演出を行うか抽選し、この抽選結果に基づいて種々の表示を行う。また、チャンスタイム中は、特定の入賞装置として機能する可変入賞装置5、即ち普通電動役物51を入賞し易い状態に開放し、入賞球に対して賞球を払い出す。このため、チャンスタイムに突入したら、遊技者は普通電動役物51(可変入賞装置5)を狙って球を発射する。
【0015】そして、チャンスタイムが終了したか否かを判別し、終了したら、特別遊技に入る。この特別遊技は、大入賞口4、例えばアタッカを所定時間(例えば30秒)又は所定個数(例えば10個)が入賞するまで開放することを1ラウンドとして、所定ラウンド(例えば16ラウンド)繰り返して遊技者に特別の利益を与える。尚、ラウンドの更新は大入賞口4内に設けた特定領域、所謂Vゾーンへ入球することを条件としている。
【0016】上記のようにしてチャンスタイム中は、普通電動役物51に打球を入賞させることにより、より多くの賞球を獲得することができる。従って、特別遊技によってもたらされる利益に加えて、自らの技術介入により更に利益を得ることができるようになり、遊技の興趣が著しく向上する。例えば、特別遊技によって獲得できる賞球が2400発で、ベース値が150に設定されているパチンコ機において、チャンスタイムを10分間とすれば、500発の賞球を上乗せすることができる。一方、遊技店側からみた場合には、大当りの前におまけのゲームが有るだけで、営業方法に影響を与えるものではない。
【0017】上記した実施形態の説明では、チャンスタイムを仮の図柄の停止回数によって決めているが、上記チャンスタイムを、普通電動役物の開放回数や、リーチの回数等によって決めてもよい。例えば、普通電動役物の開放回数を、「0」、「100」、「200」とすることもできる。更に、チャンスタイムを、時間によって設定してもよい。
【0018】一方、抽選された仮停止回数或いは時間等、チャンスタイムの終了まで、普通電動役物の開放パターンを変化させたり、更にリーチ回数により開放パターンを変化させることもできる。また、普通電動役物における入賞球に対する賞球数を変更させてもよい。更に、仮の停止図柄に、チャンスタイムに突入する図柄と、チャンスタイムから抜け出す図柄とを設定することもできる。尚、特定の入賞装置となる普通電動役物は、図柄始動口3となっている普通電動役物32を兼用してもよい。
【0019】以上本発明を図面の実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した構成を変更しない限り適宜に実施できる。
【0020】
【発明の効果】以上要するに本発明は、所定の条件が成立したときに大当りとなって、大入賞口を開放して遊技者に利益を与えるようにしたパチンコ機おいて、所定の条件を成立させるための乱数を有する大当り決定手段と、乱数に基づく図柄を表示する表示手段と、を少なくとも備え、大当りになる特定の乱数を取得して大当りが決定してから、この乱数に基づく図柄を表示手段に表示して特別遊技を開始するまでの期間、特定の入賞口を入賞し易く遊技者に有利な状態にすると共に、この特定の入賞口に入賞した入賞球に対して所定数の賞球を払い出すようにしたので、特別遊技によって得られる利益の外に、特別遊技が始まるまでの期間、更に賞球を上乗せして獲得することができる。従って、遊技者に充分に満足のいく興趣の高い遊技を提供できる。そして、チャンスタイムになると別の遊技になるので、別のパチンコ機で遊技している感覚になって長時間遊技していても新鮮味が失われない。しかも、一回一回、獲得可能な賞球数が異なるので、他のパチンコ機との差別化が図れる。また、チャンスタイムの終了を、遊技者に報知しなければ、遊技者は何時チャンスタイムが終了するか解らずに緊張感が持続して飽きることなく遊技することができる。一方、大当りが確定しており、無駄にだらだら出玉を出している訳ではないので、めりはりのある遊技が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】パチンコ機の概略斜視図である。
【図2】遊技部の概略正面図である。
【図3】制御系のブロック図である。
【図4】遊技の一例を示すフローチャートの一部である。
【図5】遊技の一例を示すフローチャートの一部である。
【符号の説明】
1 パチンコ機
2 センター役物
3 図柄始動口
4 大入賞口
5 可変入賞装置
6 通過チャッカー
7 外枠
8 カードユニット
11 遊技部
21 特別図柄表示装置
32 普通電動役物
41 大入賞口ユニット
42 普通図柄表示装置
51 普通電動役物

【特許請求の範囲】
【請求項1】 所定の条件が成立したときに大当りとなって、大入賞口を開放して遊技者に利益を与えるようにしたパチンコ機おいて、所定の条件を成立させるための乱数を有する大当り決定手段と、乱数に基づく図柄を表示する表示手段と、を少なくとも備え、大当りになる特定の乱数を取得して大当りが決定してから、この乱数に基づく図柄を表示手段に表示して特別遊技を開始するまでの期間、特定の入賞口を入賞し易く遊技者に有利な状態にすると共に、この特定の入賞口に入賞した入賞球に対して所定数の賞球を払い出すようにしたことを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】 大当りが決定してから特別遊技を開始するまでの期間、表示手段に仮の図柄を表示する請求項1に記載のパチンコ機。
【請求項3】 特定の入賞口を、普通電動役物で形成した図柄始動口とした請求項1又は2に記載のパチンコ機。
【請求項4】 大当りが決定してから特別遊技を開始するまでの期間を、仮の図柄が停止表示する回数で設定し、仮図柄の停止回数を乱数による抽選で決定する請求項1ないし3の何れかに記載のパチンコ機。

【図2】
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【図1】
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【図5】
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【図3】
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【図4】
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