説明

パチンコ機

【課題】可変入賞装置内に配置された可動体に対する不正行為を防止できるパチンコ機を提供する。
【解決手段】本発明に係るパチンコ機は、可変入賞装置(1)と遊技制御装置(100)とを備える。可変入賞装置は、内部空間に取り込まれた遊技球に作用して、遊技球が特定領域を通過するか否かに影響を及ぼす可動体(51)と、可動体が原点位置にあることを検出する原点位置検出器(500)と、を備える。遊技制御装置は、可変入賞装置が非作動状態にあるとき(S1でYes)に原点位置検出器による検出がない場合(S2でNo)には、少なくとも始動検出器の機能を無効化するエラー処理(S3)を行うと共に、可動体を原点位置まで戻す原点復帰動作(S4)を開始させるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定領域を有する可変入賞装置を備え、当該可変入賞装置内に取り込まれた遊技球が、特定領域を通過したことを条件に大当たり遊技を提供するタイプのパチンコ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ機においては、いわゆるパチンコ球(以下、遊技球という)を発射装置により連続的乃至間欠的に遊技盤面に形成された遊技領域内に発射し、遊技球が遊技領域内に配置された可変入賞装置(センター役物等と称される場合もある)内に進入し、さらに可変入賞装置内に形成された特定領域(いわゆる、Vゾーン)に遊技球が取込まれることによって、遊技者にとって有利な遊技状態(大当たり)が開始される形態のパチンコ機が知られている。
【0003】
この種のパチンコ機として、例えば特許文献1が公知である。この特許文献1に記載のパチンコ機は、その遊技領域の略中央に、遊技球が入賞可能な流入口(遊技球進入口)を有する変動入賞装置(可変入賞装置)80が設けられている。この変動入賞装置の流入口には一対の可動部材(開閉体)が設けられており、この一対の可動部材が開いた場合以外は、遊技球が変動入賞装置内に入賞しないように構成されている。なお、特許文献1では、一対の可動部材が開くための条件は、特図変動表示ゲームにおいて小当りになることである。
【0004】
そして、この変動入賞装置の入賞空間(内部空間)には、貯留装置、特別入賞口(特定領域)、および一般入賞口(ハズレ領域)が設けられている。貯留装置は、遊技球を貯留可能な矩形箱状の貯留部(可動体)を備えており、該貯留部は、遊技球を貯留可能となるように開口部を上方に向けた貯留状態と、貯留した遊技球を排出可能となるように開口部を前方に向けた貯留解除状態とに変換可能となっている。なお、貯留部は、貯留状態において流入口から所定のタイミングで流下してきた遊技球を受け入れ可能な位置に配されるようになっている。
【0005】
入賞空間に流下した遊技球は、貯留装置に貯留される場合と、貯留されない場合とに分かれるが、何れの場合であっても、その遊技球は特別入賞口または一般入賞口に振り分けられる。しかし、入賞空間内の棚部材や床部等の構成により、貯留装置に貯留された場合の方が、特別入賞口に遊技球が振り分けられる確率が高くなっている。そのため、特許文献1に記載の貯留部は、遊技球を貯留し、その貯留を解除するという作用によって、その後の遊技結果に影響を及ぼしているということになり、また、遊技球を貯留する場合としない場合との作用の違いによっても、その後の遊技結果(大当たりになるか否かなど)に影響を及ぼしていることになる。そして、特別入賞口を遊技球が通過すると、特別遊技状態が発生する(大当たり遊技が提供される)。
【0006】
なお、特許文献1において、特別遊技状態が発生するまでの過程をより具体的に説明すると、例えば、(イ)始動入賞装置に遊技球が入賞→(ロ)変動入賞装置の可動部材が開閉動作→(ハ)変動入賞装置の流入口から遊技球が入賞→(二)変動入賞装置内に取り込まれた遊技球が特別入賞口を通過→(ホ)特別遊技状態が発生、という流れになっている。つまり、始動入賞装置へ遊技球が入賞することが契機となって、最終的に特別入賞口を遊技球が通過すると特別遊技状態が発生するのである。
【0007】
さらに、特許文献1に記載のパチンコ機は、磁気を検出する磁気センサおよび振動を検出する振動センサを備えており、この磁気センサにより磁石による不正行為を検出し、振動センサにより振動による不正行為を検出することができるようになっている。
【0008】
また、特許文献1に記載の変動入賞装置の他にも、種々の役物装置が公知であり、例えば、特許文献2には、複数の作用部材(可動体)が駆動制御される構成が開示されている。これら複数の作用部材は、所定の方向へ移動しながら遊技球と衝突して進路を妨害したり、遊技球を特定入球口の方へと導いたりしている。このように、特許文献2に記載の作用部材も、遊技球に作用して、その後の遊技結果(例えば大当たりになるか否かなど)に影響を及ぼしている。
【0009】
ところで、上記従来の技術のように繰り返し動作を行う可動体を制御するには、原点位置を検出し、その原点位置を基準としてどの方向のどの程度移動させてから停止させるかというやり方をするのが一般的である。そして、このように原点位置を基準にして可動体を制御していると、原点位置にズレが生じることもある。これを解決するために、例えば、特許文献2では、原点検出スケジュールに基づいて、作用部材を原点位置に復帰させてから停止するようにしている。即ち、特許文献2では、作用部材の原点位置に誤差が生じても、その誤差を補正するように停止制御することで、作用部材の動作開始の条件を同じにしているのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−172147号公報(段落0053〜0057等)
【特許文献2】特開2008−200285号公報(段落0007、段落0012、段落0014、段落0388、段落0389等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記のような可動体を有する可変入賞装置が設けられたパチンコ機では、可動体に対する不正を行うことにより、有利な遊技結果を獲得することができる場合がある。例えば、特許文献1については、貯留装置の貯留部の停止姿勢を不正に少し傾けた状態にしておけば、貯留部の動作開始時点の姿勢が変わるから、本来より有利な遊技結果が得られ易くなる場合がある。さらに、特許文献1では、貯留状態の位置で保持されている貯留部に遊技球を予め貯留しておくことが可能な構成であるため、遊技を行う前に不正に扉を開けて貯留部に予め何個か遊技球を入れておくことで、遊技中に可動部材が開いたが変動入賞装置内に遊技球が入賞しなかった場合であっても、不正な貯留球によって大当たり遊技を獲得することができる場合がある。また、特許文献2については、作用部材が原点位置に停止した後で、その停止位置を不正に少しだけ回転させておけば、作用部材の動作開始時点の位置が変わるから、本来より有利な遊技結果が得られ易くなる場合がある。
【0012】
つまり、上記従来の技術では、可動体を原点位置で停止させるよう制御することはできても、いったん停止した可動体に対して後から不正な変更(位置調整や遊技球の貯留など)を加えることができるため、遊技性が人為的に歪められてしまうといった課題がある。しかし、特許文献1に記載されているような磁気センサや振動センサでは、この課題を解決することはできない。
【0013】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的は、可変入賞装置内に配置された可動体に対する不正行為を防止できるパチンコ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明は、遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤と、前記遊技領域に設けられた始動口と、この始動口に遊技球が入賞したことを検出する始動検出器と、前記遊技領域に設けられ、前記始動検出器が遊技球を検出したことに基づいて作動すると共に、その作動によって内部に取り込まれた遊技球が通過可能な特定領域およびハズレ領域を有する可変入賞装置と、遊技に関する各種処理を行うと共に、遊技球が前記特定領域を通過したことに基づいて大当たり遊技に係る処理を行う遊技制御装置と、を備えたパチンコ機において、前記可変入賞装置は、遊技球が進入する遊技球進入口と、前記遊技球進入口を開閉する開閉体と、前記遊技球進入口を通過した遊技球を受け入れる内部空間と、この内部空間に取り込まれた遊技球に作用して、遊技球が前記特定領域を通過するか否かに影響を及ぼす可動体と、前記可動体が原点位置にあることを検出する原点位置検出器と、を備え、前記遊技制御装置は、前記始動検出器が遊技球を検出したことに基づいて、前記開閉体を開閉動作させると共に前記可動体の動作を開始させ、前記原点位置検出器による検出に基づいて前記可動体の動作を停止させるよう制御し、さらに、前記可変入賞装置が非作動状態にあるときに前記原点位置検出器による検出がない場合には、少なくとも前記始動検出器の機能を無効化するエラー処理を行うと共に、前記可動体を前記原点位置まで戻す原点復帰動作を開始させるようにしたことを特徴としている。
【0015】
本発明によれば、原点位置で停止している可動体に対して、その停止している位置を後から不正に変更する行為が行われたとしても、可変入賞装置が非作動状態にあるときに、原点位置検出器による検出がない場合、即ち、可動体が原点位置に停止していない場合には、遊技制御装置が、少なくとも始動検出器の機能を無効化するエラー処理を行っているので、始動口に遊技球が入賞したとしても開閉体が開閉動作することはない。よって、可変入賞装置内に遊技球が取り込まれることもない。そのため、不正に停止位置が変更された可動体によって遊技性が歪められることはない。
【0016】
さらに、本発明は、エラー処理中に可動体を原点位置まで戻す原点復帰動作を開始させるようにしたので、エラー処理が解除されて正常状態になったときには、必ず可動体は原点位置に復帰している。よって、正常状態で遊技が行われる場合、常に可動体は正しい原点位置から動作を開始するので、人為的に遊技性が歪められるといった不具合は生じない。
【0017】
このように、本発明は、可変入賞装置内に配置された可動体に対する不正行為を確実に防止できるのである。また、本発明は、不正行為を防止するために特別な機構、例えば、可変入賞装置が非作動状態にあるときに可動体が物理的に移動することがないようロック機構のようなものを設けるような必要がない。よって、不正対策に要するコストも殆ど生じない。
【0018】
ここで、本発明の「可動体」は、可変入賞装置の内部空間に取り込まれた遊技球に作用して遊技球が特定領域を通過するか否かに影響を及ぼすものであれば、如何なる構造のものであっても良い。例えば、可動体が回転しながら遊技球と衝突することにより、その後の遊技球の進路に変化を与える構成のものや、可動体が揺動しながら遊技球の進路を変えていく構成は、可動体が遊技球に作用して遊技球が特定領域を通過するか否かの結果が異なるものになるから、本発明の「可動体」に該当する。また、可動体が遊技球を一時的に貯留し、その貯留を解除するような構成のものであっても、遊技球が特定領域を通過するかしないかに影響を与えることができるから、本発明の「可動体」に該当することになる。
【0019】
なお、本発明において、始動検出器の機能を無効化することには、例えば始動検出器の電源をオフするなどして、始動検出器が遊技球の検出を行うことができないようにすること、始動検出器が遊技球の検出を行うものの、その検出信号を始動検出器が出力しないようすること、または、その検出信号が遊技制御装置に入力されたとしても、その入力を無効なものとして処理することなどが含まれる。
【0020】
また、上記構成において、前記遊技制御装置は、前記エラー処理を行ってから予め定めた時間が経過すると、そのエラー処理を解除すると良い。このようにすると、エラー処理を解除するための操作、例えば、リセットボタンを押下する操作など、を別個に用意する必要がないから、正常状態への復帰が簡単である。なお、ここで言うところの「予め定めた時間」とは、可動体を原点位置まで戻すのに十分な時間として設定された時間のことである。
【0021】
また、上記構成において、前記可変入賞装置は、前記特定領域または前記ハズレ領域を通過した遊技球を外部に排出する排出通路と、前記排出通路を通過する遊技球を検出する排出球検出器と、をさらに備え、前記遊技制御装置は、前記エラー処理を行った後に前記排出球検出器が遊技球を検出したことに基づいて、前記エラー処理を解除するように構成しても良い。このようにすると、万一、可変入賞装置内に遊技球が不正に配置されていたとしても、その不正な遊技球が排出通路を経由して外部に排出しない限り、エラー処理が解除されないから、不正な遊技球が特定領域を通過して大当たり遊技が開始されるような事態は起こらない。つまり、本発明によれば、遊技球が可変入賞装置内に貯留されているような場合であっても、人為的に遊技性が歪められることはない。
【0022】
なお、この構成の場合であっても、遊技制御装置は、エラー処理の状態が所定時間継続した場合には、排出球検出器による遊技球の検出がされていない場合であっても、エラー処理を解除する構成とするのが好ましい。このようにすると、予期せぬ事態が生じても、所定時間後にエラー処理が解除されるので、エラー処理後に遊技を行うことができなくなるといった使用上の問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施例に係るパチンコ機の概略正面図である。
【図2】図1に示す可変入賞装置を模式的に示した図である。
【図3】図1に示すパチンコ機の電気的構成を示した図である。
【図4】図1に示すパチンコ機が行う貯留装置の原点復帰処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】図4に示す貯留装置の原点復帰処理が行われる場合の、各種装置、センサ等の作動状態を示すタイミングチャートである。
【図6】図4に示す不正球監視処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】図6に示す不正球監視処理が行われる場合の、各種装置、センサ等の動作状態を示すタイミングチャートである。
【図8】本発明の第2実施例に係るパチンコ機の不正球監視処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】図8に示す不正球監視処理が行われる場合の、各種装置、センサ等の動作状態を示すタイミングチャート(ただし、不正球の排出が確認できた場合)である。
【図10】図8に示す不正球監視処理が行われる場合の、各種装置、センサ等の動作状態を示すタイミングチャート(ただし、不正球の排出が確認できた場合)である。
【図11】図8に示す不正球監視処理が行われる場合の、各種装置、センサ等の動作状態を示すタイミングチャート(ただし、不正球の排出が確認できない場合)である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、発明の実施例を通じて本発明を詳説するが、以下の実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施例の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0025】
図1は、可変入賞装置1が配設された本発明の第1実施例に係るパチンコ機10の全体正面図である。同図を用いてパチンコ機10の概略について説明する。パチンコ機10は、パチンコ機10の躯体を構成し、遊技施設内の島と称される設備に設置される外枠11と、外枠の一側部に設けられた一対のヒンジ12,13により軸支される内枠14とを備える。内枠14は、前記一対のヒンジ12,13に軸支されることにより外枠11に対して前後方向(図1において紙面に直交する方向)に開閉可能である。
【0026】
内枠14の上部には矩形状の開口部が設けられ、遊技盤9が開口部を閉塞するように取り付け機構15Aを介して交換可能に取り付けられる。内枠14の上方一側部には図外のヒンジにより、窓部15を備える前面枠16が内枠14の前後方向に開閉可能に取り付けられる。前面枠16は内枠14の上方を覆うように閉鎖された状態において、ロック機構16Aが操作されることにより内枠14と一体に係合され、遊技者は窓部15を通して窓部15の形状の範囲内で遊技盤9の一部を視認可能となる。内枠14の下方一側部には図外のヒンジにより、内枠14の前後方向に開閉可能なパネル体17が取り付けられる。パネル体17は内枠14の下方を覆うように閉鎖された状態において、図外のロック機構が操作されることにより内枠14と一体に係止される。パネル体17の前面には払出し口18が開設され、皿構造体19およびハンドル20が前側に突設される。
【0027】
払出し口18は、遊技盤9の裏側に設置された図外の賞球払出装置150から払出される遊技球を上側の皿構造体19上に排出する。皿構造体19は上記払出し口18から排出された、或いは遊技者によって供給された貯留球を整列させつつ、発射装置21側に供給する図外の供給路を備える。供給路は払出し口18から漸次降下する傾斜面として形成され、貯留された遊技球を一列に整列させながら発射装置21へ流下させる構造である。また、後述の大当たり遊技等において皿構造体19に貯留しきれない余剰の遊技球は、皿構造体19の内部に配設された図外の球抜き流路を経由して、パチンコ機10の外部に排出可能である。
【0028】
皿構造体19に貯留された遊技球が図外の供給路を流下して、発射装置21に供給された状態において、遊技者によりハンドル20が回動操作されると、発射装置21はハンドル20の操作量に応じた打ち出し力により遊技球を遊技盤9の上方へ打ち出す。なお、上記内枠14と一体に係止される前面枠16およびパネル体17の前面には複数の表示灯LやスピーカSが配設され、遊技の進行やエラーの発生等に合わせて後述する主制御処理部100により駆動される。
【0029】
遊技盤9内には外ガイドレール22と内ガイドレール23とにより囲まれる遊技領域10Aが形成される。外ガイドレール22は遊技盤9の周囲を円形状に囲繞するように湾曲して配設される。内ガイドレール23は外ガイドレール22の一部の範囲に沿って並列配置される部材である。また、外ガイドレール22と内ガイドレール23との間に挟まれる遊技盤9の一側方の領域には打ち出し通路10Bが形成される。
【0030】
遊技盤9の遊技領域10A内には概略、遊技領域10Aの略中央に配置される可変入賞装置1、可変入賞装置1よりも下方に配設される複数の始動入賞口(始動口)2A;2B、可変入賞装置1の周囲に配置される複数の一般入賞口3、遊技領域10Aの最も下方に開設されるアウト口4、および遊技領域10A内に打ち出された遊技球が流下する過程においてその進路を誘導或いは妨げるように植設された多数の誘導釘5が配置される。なお、誘導釘5の本数は、省略して図示しており遊技領域10Aの略全域に亘って必要に応じて植設される。
【0031】
さらに、始動入賞口2A;2Bとアウト口4の間の位置には、大入賞口65と、この大入賞口65を開閉するアタッカー装置60とが設けられていて、詳しくは後述するが、大当たり遊技が開始されると、このアタッカー装置60が開閉動作して、大入賞口65が所定時間開放されるようになっている。なお、大入賞口65内には大入賞検出器900が設けられており、大入賞口65内に取り込まれた遊技球は、大入賞検出器900によって検出される。
【0032】
可変入賞装置1は、遊技領域10A内に打ち出された遊技球の一部を取り込んで、取り込んだ遊技球を内部において多様な進路に導きながら転動させる装置であって、進路の最終地点に特定領域44およびハズレ領域45を有する。なお、可変入賞装置1の詳細については後述する。
【0033】
始動入賞口2Aは、遊技領域10Aの左右方向に隔てて設けられる入賞部品であって、上方開口の取り込み口から遊技球を受け入れることが可能である。遊技球が遊技領域10Aを流下する過程において始動入賞口2Aに取り込まれると、始動入賞口2Aの内部に設けられた第1始動検出器(始動検出器)200Aによって検出され、後述の主制御処理部(遊技制御装置)100が、当該検出信号に基づいて例えば5個の遊技球を遊技者に対して払出す制御を払出・発射制御処理部100Bに要求する。払出・発射制御処理部100Bは、この要求に従って賞球払出装置150を駆動して賞球を払い出すよう制御する。さらに、主制御処理部100は、可変入賞装置1に開閉自在に設けられた開閉体40(図2参照)が1回開放動作するように開閉駆動機構の一例としてのソレノイドSol1(図3参照)を制御する。
【0034】
始動入賞口2Bは、始動入賞口2A;2Aの間に設けられる入賞部品であって、始動入賞口2Aと同様に上方開口の取り込み口から遊技球を受け入れることが可能である。遊技球が遊技領域10Aを流下する過程において始動入賞口2Bに取り込まれると、始動入賞口2Bの内部に設けられた第2始動検出器(始動検出器)200Bによって検出され、後述の主制御処理部100が、当該検出信号に基づいて例えば5個の遊技球を遊技者に対して払出す制御を払出・発射制御処理部100Bに要求する。払出・発射制御処理部100Bは、この要求に従って賞球払出装置150を駆動して賞球を払い出すよう制御する。さらに、主制御処理部100は、可変入賞装置1に開閉自在に設けられた開閉体40が2回開放動作するようにソレノイドSol1を制御する。
【0035】
即ち、始動入賞口2Aおよび始動入賞口2Bは、開閉体40が開放動作するための契機となる入賞口であって、開閉体40の開放動作は、始動入賞口2Aまたは始動入賞口2Bへの遊技球の入賞を条件として実行される。
【0036】
遊技球が遊技領域10Aを流下する過程において一般入賞口3に取り込まれると、一般入賞口3の内部に設けられた一般入賞検出器300によって検出され、後述の主制御処理部100が、当該検出信号に基づいて例えば5個の遊技球を遊技者に対して払出す制御を払出・発射制御処理部100Bに要求する。払出・発射制御処理部100Bは、この要求に従って賞球払出装置150を駆動して賞球を払い出すよう制御する。なお、遊技球が一般入賞口3に入賞しても開閉体40の開放動作は行われない。アウト口4は、前方開口の取り込み孔を有し、遊技領域10Aを流下する過程において上述の各入賞口に取り込まれなかった遊技球を回収する。当該アウト口4および上述の各入賞口から取り込まれた遊技球は、遊技盤9の裏側に配設される図外の誘導路を流下した後に集合樋に集められ、逐次パチンコ機10外部に排出される。
【0037】
図2は、可変入賞装置1を模式的に示した図である。同図を用いて可変入賞装置1の主要部について詳説する。可変入賞装置1は概略、遊技球が転動する内部空間Rを形成する躯体30と、この躯体30に設けられ、遊技球の入り口となる遊技球進入口34と、この遊技球進入口34を開閉して、内部空間R内への遊技球の進入を阻止または許容する開閉体40と、内部空間R内に取り込まれた遊技球が転動する第1ステージ41および第2ステージ42と、内部空間R内に取り込まれた遊技球を一時的に貯留する貯留装置50と、躯体30の内部空間R内に配設され、特定領域44およびハズレ領域45を有するクルーン44と、特定領域44またはハズレ領域45を通過した遊技球を外部に排出する排出通路46,47と、を備える。以下、各部の詳細について説明する。
【0038】
躯体30は、前方開口の箱型に形成される内部空間Rを有する部材であって、前方が開放された略矩形箱体形状を成しており、上部左側の角部には、遊技球が進入可能な程度の開口である遊技球進入口34が設けられている。この遊技球進入口34には磁気センサから成る進入球検出器400が設けられており、遊技球進入口34を通過する遊技球は、その進入球検出器400によって検出される。進入球検出器400は、遊技球進入口34と略同径な検出孔を有しており、遊技球がその検出孔を通過したことに基づいて後述の主制御処理部100に対して検出信号を出力する。
【0039】
また、遊技球進入口34には開閉体40が図2の左右方向に回転自在に設けられており、図2に示すように開閉体40が開いた状態では遊技球進入口34が露呈するので、遊技球が内部空間Rへ進入可能である。一方、開閉体40が閉じた状態では、遊技球進入口34が閉鎖されているため、遊技球が内部空間Rに取り込まれることはない。この開閉体40は、主制御処理部110によって制御されており、ソレノイドSol1の駆動によって、開閉動作するように構成されている(図3参照)。
【0040】
内部空間Rの内部には、遊技球の流れの上流側から下流側に向かって、順に、第1ステージ、貯留装置50、第2ステージ42、クルーン43が設置されている。第1ステージ41および第2ステージ42は、何れも遊技球の流れの上流側から下流側に向かって下り傾斜する転動面を有して形成されている。第1ステージ41は、遊技球進入口34の下方に配置されて、遊技球進入口34を通過した遊技球を貯留装置50へと誘導するためのものである。一方、第2ステージ42は、貯留装置50によって持ち上げられた遊技球をクルーン43へと誘導するためのものである。
【0041】
クルーン43は、すり鉢状の構造物であり、特定領域44およびハズレ領域45がそれぞれ設けられている。特定領域44およびハズレ領域45は、何れも遊技球が1個通過することが可能な程度の孔で構成されており、特定領域44は第1排出通路(排出通路)46と連通し、ハズレ領域45は第2排出通路(排出通路)47と連通している。第1排出通路46には、磁気センサから成る特別入賞検出器(排出球検出器)600が設けられており、第1排出通路46を通過する遊技球は、この特別入賞検出器600によって検出され、検出信号が主制御処理部100に対して出力される。同様に、第2排出通路47には、磁気センサから成るハズレ球検出器(排出球検出器)700が設けられており、第2排出通路47を通過する遊技球は、このハズレ球検出器600によって検出され、検出信号が主制御処理部100に対して出力される。そして、第1排出通路46を通過した遊技球および第2排出通路47を通過した遊技球は、可変入賞装置1の外部へと排出される。
【0042】
なお、第2ステージ42を転動した遊技球は、所定の速度をもってクルーン43に誘導され、クルーン43上を周回しながら徐々に減速されていく。そして、周回する勢いがなくなった遊技球は、特定領域44またはハズレ領域45に入る。
【0043】
ここで、クルーン43に代えて、例えば、特定領域44およびハズレ領域45を有する回転体がモータ等の駆動手段によって回転する構成を採用することもできる。即ち、クルーン43のように特定領域44とハズレ領域45の位置が固定されている構造のものだけでなく、これらの領域44,45が移動する構造のものも採用可能である。
【0044】
次に、貯留装置50について説明する。貯留装置50は、底板51bと、この底板51bの周囲の一部を覆う壁部51aとから成り、内部に遊技球を貯留可能な貯留部(可動体)51と、底板51bから下方に延びる支持棒52と、この支持棒52とギア(図示せず)を介して連結するモータM(図3参照)と、透過型のフォトインタラプタから成り、貯留部51が最下端である原点位置にあるか否かを検出する原点位置検出器500と、反射型のフォトインタラプタから成り、貯留部51内に遊技球があるか否かを検出する貯留球検出器800と、を備えて構成されている。
【0045】
貯留部51は、上方が開放された略箱体形状を成しており、その内部に遊技球を貯留できるようになっている。さらに、貯留部51は、モータMが正回転すると、ギアを介して支持棒52が上方向(図2の矢印A4の方向)に押し上げられることで上昇し、モータMが逆回転すると、ギアを介して支持棒52が下方向(図2の矢印A3の方向)に引き下げられることで下降する構成となっている。
【0046】
この貯留部51は、図2に実線で示すように最下端に位置しているときに、第1ステージ41上を転動してきた遊技球を内部に受け入れて貯留することができる。そして、貯留部51が第2ステージ42の側壁42aに沿って上昇している過程では、貯留部51内に貯留された遊技球は、側壁42aがあるので零れることはない。しかし、貯留部51が図2の二点鎖線で示す最上端の位置に到達すると、側壁42aがなくなるので、貯留部51内に貯留された遊技球は、その貯留が解除されて第2ステージ42へと零れていく。つまり、貯留部51は、最下端に位置しているときに遊技球が貯留可能となり、最上端に位置しているときに遊技球の貯留が解除される構成となっているのである。
【0047】
よって、遊技球進入口34を通過した遊技球は、図2の矢印A1方向に落下して、第1ステージ41上を転動しながら矢印A2方向へ進む。そして、第1ステージ41から矢印A3方向に落下して貯留部51にて貯留された遊技球は、モータMの正回転に伴って矢印A4の方向へ上昇していき、貯留部51が最上端の位置まで到達すると、貯留が解除されて矢印A5の方向へ転動する。そして、遊技球は、第2ステージ42を転動しながらある速度でクルーン43上へ落下し、クルーン43内を周回しながら徐々に減速する。その後、特定領域44の孔に入った場合には、遊技球は第1排出通路46を通過して矢印A6の方向へ排出される。一方、ハズレ領域43の孔に入った遊技球は、第2排出通路47を通過して矢印A7の方向へ排出される。
【0048】
そして、特別入賞検出器600が遊技球の通過を検出すると、検出信号を主制御処理部100に出力し、その検出信号を受けた主制御処理部100は大当たり遊技を提供する。一方、ハズレ球検出器700が遊技球の通過を検出すると、検出信号を主制御処理部100に出力するが、その検出信号を受けた主制御処理部100が大当たり遊技を提供することはない。
【0049】
なお、図示していないが、第1ステージ41上を転動した遊技球は、必ず貯留装置50へ誘導される訳ではなく、第1ステージ41の途中に設けた分岐ルートを経由して第2排出通路47へと直接向かう場合もある。よって、貯留装置50内に遊技球が取り込まれると、必ずクルーン43まで遊技球が到達するので、特定領域44とハズレ領域45の何れに遊技球が入るかは1/2の確率となるが、第1ステージ41の途中で分岐して第2排出通路47へと誘導された場合には、ハズレが確定することとなる。
【0050】
また、詳しくは後述するが、通常時は原点位置検出器500による検出信号を受けてモータMが停止するため、貯留部51は最下端の位置に保持されるが、貯留球検出器800にて不正球が検出された場合には、不正球排出処理が実行されるので、貯留部51は上昇を開始する。なお、貯留球検出器800は、貯留部51が略原点位置(図2の検出範囲を参照)にあるときに貯留部51内の遊技球の有無を検出可能となっている。
【0051】
次に、パチンコ機10の制御の概略を、図3を用いて説明する。図3は、可変入賞装置1を備えるパチンコ機10の主制御処理部100を中心とした概略ブロック図である。同図においてパチンコ機10は、遊技全般を制御する主制御処理部(遊技制御装置)100を備える。主制御処理部100はCPUと、賞球情報や演出情報等を始めとする遊技に必要なプログラムが書き込まれたROMと、プログラムの実行に必要な作業領域としてのRAMとを備えるいわゆるマイクロコンピュータであって、入力側に接続された各検出器の入力信号に基づいて出力側に接続された各遊技部品を制御する。主制御処理部100には、図外の検出回路および入力ポートを介して第1始動検出器200A、第2始動検出器200B、一般入賞検出器300、進入球検出器400、原点位置検出器500、特別入賞検出器600、ハズレ球検出器700、貯留球検出器800、および大入賞検出器900が接続される。
【0052】
〈開閉体開放制御について〉
主制御処理部100は、第1始動検出器200Aまたは第2始動検出器200Bからの入力信号に基づいて(即ち、作動開始条件が成立したことに基づいて)、開閉体40を開閉駆動させるソレノイドSol1を駆動制御するとともに、サブ制御処理部100Aおよび払出・発射制御処理部100Bに対してコマンドを送信する。具体的には、主制御処理部100は、第1始動検出器200Aからの入力信号に基づいてソレノイドSol1を例えば0.45秒間励磁状態とした後、消磁する。即ち、開閉体40を0.45秒間開放状態とした後に閉鎖状態とする。また、第2始動検出器200Bからの入力信号に基づいてソレノイドSol1を例えば0・75秒間励磁状態とした後、消磁し、これを再び繰り返す。即ち、開閉体40を0.75秒間開放状態とした後に閉鎖状態とし、これを2回繰り返す。
【0053】
〈賞球払出制御について〉
主制御処理部100は、第1始動検出器200A、第2始動検出器200B、一般入賞検出器300、進入球検出器400、および大入賞検出器900からの入力信号に基づいて払出コマンドを生成し、払出・発射制御処理部100Bに対して送出する。払出コマンドには、遊技球1個の入賞に対する払出個数情報が含まれており、払出・発射制御処理部100Bは当該情報に基づいて賞球払出装置150を制御して遊技者に賞球を払い出す。また、払出・発射制御処理部100Bには、払出計数スイッチSW1が接続されており、払出計数スイッチSW1から出力される賞球カウント数が払出個数情報と一致したときに賞球の払出を停止する。
【0054】
〈演出制御について〉
主制御処理部100は、第1始動検出器200A、第2始動検出器200B、一般入賞検出器300、進入球検出器400および特別入賞検出器600からの入力信号に基づいてそれぞれ異なる演出コマンドを生成し、サブ制御処理部100Aに対して送出する。サブ制御処理部100Aは、主制御処理部100からの演出コマンドに基づいて表示灯LおよびスピーカSを駆動して遊技者に対して遊技状態を示唆、或いは遊技を盛り上げる演出を行う。
【0055】
〈通常遊技中のモータ回転制御について〉
主制御処理部100は、第1始動検出器200Aまたは第2始動検出器200Bからの入力信号を受けると、所定時間経過後にモータMを所定の回転速度で正回転させる。そして、貯留部51が最上端に到達したら、モータMを一時停止させる。その後、モータMを逆回転させ、原点位置検出器500からの入力信号に基づいてモータMを停止させる。そうすると、開閉体40の開閉動作が終了したときには、貯留部51は、常に最下端の位置で停止した状態となる。なお、上記の所定時間とは、遊技球進入口34から貯留装置50までの遊技球の到達時間と開閉体40の開放回数および開放時間を考慮して、例えば、第1始動検出器200Aからの入力信号を受けると0.8秒、第2始動検出器200Bからの入力信号の場合、1.7秒に設定する。
【0056】
なお、第1始動検出器200Aまたは第2始動検出器Bによって遊技球が検出されたことに基づいて開閉体40が開閉動作し、モータMが回転を開始すると、その後、貯留部51が原点位置で停止するまでの間は、第1始動入賞検出器200Aおよび第2始動検出器Bの機能は無効となっている。そのため、この間に始動入賞口2A,2Bに遊技球が入賞しても開閉体40が開閉動作することはなく、賞球が払い出されることもない。
【0057】
〈大当たり遊技について〉
主制御処理部100は、内部空間R内に開設された特定領域44を遊技球が通過したことを特別入賞検出器600が検出し、その検出信号が入力されると、所定時間経過後に、遊技者にとって有利な遊技状態である大当たり遊技処理を実行する。具体的に主制御処理部100は、特別入賞検出器600からの入力に基づいてアタッカー装置60のソレノイドSol2を所定時間駆動することにより、アタッカー装置60を開放動作させて大入賞口65を露呈させるようにする。
【0058】
アタッカー装置60の開放動作は、例えば、遊技球の大入賞検出器900による検出数が合計10カウントに達するまで、或いは、アタッカー装置60が作動して30秒経過するまで(以下、単に「ラウンドの終了条件」と言う場合がある)の内、いずれか早い条件が成立するまでを1ラウンドとして、これを例えば12ラウンド繰り返すことにより行われる。よって、遊技球が大入賞検出器900に検出されることが可能となるので、通常遊技の場合と比較して短時間の内に多量の賞球を得ることが可能となる。なお、ラウンド数はこれに限るものではなく、例えば1回,3回,5回,10回,15回等ランダムに設定してもよい。
【0059】
〈大当たり遊技中のモータ回転制御について〉
主制御処理部100は、原点位置検出器500からの入力信号に基づいてモータMを停止させ、その状態を維持する。よって、大当たり遊技が終了したときには、貯留部51は、最下端の位置(即ち、初期位置)で停止した状態となる。
【0060】
ところで、第1の実施例に係るパチンコ機は、貯留装置50の貯留部51が上下動する構成となっているため、可変入賞装置1が非作動状態において、原点位置に停止している貯留部51を不正に動かして、貯留部51の停止位置を変更することができてしまう。例えば、原点位置で停止している貯留部51を、人の手で適当な高さ位置まで持ち上げておくといった不正行為が可能である。そのため、このような不正行為があった後にそのまま遊技が続行されてしまうと、始動入賞口2A,2Bに遊技球が入賞して開閉体40が開き、遊技球が内部空間R内に取り込まれたときに、貯留部51が本来の位置と異なる位置から移動することになり、遊技性が歪められてしまうことになる。そこで、本実施例では、不正行為によって貯留部51の停止位置が変えられた場合に、貯留部51を原点位置に戻すように制御している。以下、この制御について、図4および図5を用いて詳しく説明する。
【0061】
図4は、貯留部51を原点位置に戻す制御の手順を示しており、まず、ステップS1にて、主制御処理部100は、現在の状態が「待ち状態」であるか否かを判断する。具体的には、可変入賞装置1が作動中であるか否かを、主制御処理部100は判断する。ステップS1でYesの場合、ステップS2に進み、主制御処理部100は原点位置検出器500から検出信号が入力されたか否かを判断する。原点位置検出器500からのオン信号が入力されないということは、貯留部51が最下端である原点位置で停止していないということになる。例えば、図5において、主制御処理部100が判断するタイミングがt11のときであれば、ステップS1での判断はYesとなり、ステップS2での判断はNoとなる。
【0062】
なお、ステップS1でYesと判断される場合とは、遊技球を発射しているものの始動入賞口2A,2Bに遊技球が入賞しないため可変入賞装置1が作動しない場合と、遊技球を発射していないことにより可変入賞装置1が作動しない場合の両方がある。
【0063】
次いで、ステップS2でNoの場合には、ステップS3に進み、主制御処理部100は、エラー状態に設定する。エラー状態において、主制御処理部100は、第1始動検出器200A、第2始動検出器200B、一般入賞検出器300、進入球検出器400、および大入賞検出器900からの入力信号を無効として扱うようにする(つまり、検出信号自体は主制御処理部100に入力されるものの、その検出信号に基づく処理は行われない)。なお、エラー状態中でも、貯留部51を原点位置まで戻すために、原点位置検出器500から検出されて主制御処理部100に入力された検出信号は有効である。また、特別入賞検出器600およびハズレ球検出器700から主制御処理部100に入力された検出信号は有効である。よって、主制御処理部100は、特別入賞検出器600およびハズレ球検出器700からの入力信号に基づいて、遊技球の排出を確認することはできる。しかし、特別入賞検出器600からの検出信号が入力されても、エラー状態に設定されている限り、主制御処理部100がその検出信号に基づいて大当たり遊技に移行することはない。
【0064】
次いで、ステップS4に進み、主制御処理部100は、貯留装置50の原点復帰処理を行う。具体的には、主制御装処理部100は、モータMを駆動して貯留部51を上下動させ、原点位置検出器500からオン信号が入力されると、モータMの駆動を停止するように制御している(図5のt12参照)。こうして、貯留部51は、エラー状態中に強制的に原点位置へと戻される。なお、このステップS4では、原点位置検出器500からのオン信号が主制御処理部100に入力されるまで、モータMの駆動は停止しない。
【0065】
次いで、ステップS5に進み、主制御処理部100は、エラー状態を解除する。つまり、ステップS4にて貯留部51が原点位置に復帰したので、主制御処理部100は、エラーを解除して、第1始動検出器200A、第2始動検出器200B、一般入賞検出器300、進入球検出器400、大入賞検出器900からの入力信号を有効なものとして扱う。なお、エラー状態の期間は、図5に示すように、t11〜t12の期間となる。
【0066】
次いで、ステップS6に進み、主制御処理部100は、不正球監視処理を実行する。本実施例では、貯留装置50の貯留部51に不正に遊技球を貯留できる構成となっているので、そうした不正行為を防止するために、このステップS6において不正球監視処理を行っているのである。以下、この不正球監視処理の詳細について、図6および図7を参照しながら説明する。
【0067】
図6は、不正な遊技球を検知した場合の排出処理の手順を示しており、図7は、そのときの各種装置、センサの動作状況を時系列で示している。図6に示すように、まず、ステップS61にて、主制御処理部100は、現在の状態が「待ち状態」であるか否かを判断する。具体的には、可変入賞装置1が作動中であるか否かを、主制御処理部100は判断する。ステップS61でYesの場合、ステップS62に進み、主制御処理部100は貯留球検出器800から検出信号が入力されたか否かを判断する。主制御処理部100が判断するタイミングが図7のt1のときであれば、ステップS61およびステップS62での判断は共にYesとなる。
【0068】
なお、ステップS61でYesと判断される場合とは、遊技球を発射しているものの始動入賞口2A,2Bに遊技球が入賞しないため可変入賞装置1が作動しない場合と、遊技球を発射していないことにより可変入賞装置1が作動しない場合の両方がある。
【0069】
次いで、ステップS62でYesの場合には、ステップS63に進み、主制御処理部100は、エラー状態に設定する。このとき、主制御処理部100は、エラータイマを5秒にセットして、減算を開始する。つまり、図7においてt1からt5までの5秒間は、エラー状態となる。エラー状態において、主制御処理部100は、第1始動検出器200A、第2始動検出器200B、一般入賞検出器300、進入球検出器400、および大入賞検出器900からの入力信号を無効として扱うようにする(つまり、検出信号自体は主制御処理部100に入力されるものの、その検出信号に基づく処理は行われない)。なお、エラー状態中でも、貯留部51を原点位置まで戻すために、原点位置検出器500から検出されて主制御処理部100に入力された検出信号は有効である。また、特別入賞検出器600およびハズレ球検出器700から主制御処理部100に入力された検出信号は有効である。よって、主制御処理部100は、特別入賞検出器600およびハズレ球検出器700からの入力信号に基づいて、遊技球の排出を確認することはできる。しかし、特別入賞検出器600からの検出信号が入力されても、エラー状態に設定されている限り、主制御処理部100がその検出信号に基づいて大当たり遊技に移行することはない。
【0070】
ここで、エラータイマの秒数を5秒に設定しているが、この理由は、本実施例の場合、不正球が貯留部51によって第2ステージ42へと運ばれ、その後、特定領域44またはハズレ領域45を通過して外部に排出され、かつ、貯留部51が最下端である原点位置まで戻ってくるのに十分な時間、即ち、図7のt1からt4までの時間に少しのマージンを考慮した時間が5秒程度だからである。
【0071】
次いで、ステップS64に進み、主制御処理部100は、不正球排出処理を実行する。具体的には、主制御処理部100は、モータMに駆動信号を出力して、貯留部51が最上端に到達するまで正回転させ、その後モータMを逆回転させて貯留部51を原点位置まで戻す制御を開始する。この不正球排出処理は、図7のt1からt4の間に行われる。この処理によって、不正に貯留部51に貯留されていた遊技球は、第2ステージ42上を転動して最終的に特定領域44またはハズレ領域45を通過して外部に排出される。なお、この間、パチンコ機はエラー状態に設定されているので、特別入賞検出器600およびハズレ球検出器700からの検出信号が主制御処理部100に入力されても、上述したように、主制御処理部100は遊技球の排出を確認するだけであって、特別入賞検出器600からの検出信号によって、主制御処理部100が大当たり遊技を実行することはない。
なお、第1実施例では、特別入賞検出器600およびハズレ球検出器700からの検出信号により、主制御処理部100が排出を確認することは必須構成ではない。
【0072】
ここで、図7の原点位置検出器500がオンからオフになるタイミングt2がt1より遅いタイミングになっているが、これは、原点位置検出器500による検出範囲に起因するものである。
【0073】
次いで、ステップS65にて、主制御処理部100は、エラータイマが0になっているか否かを判断する。ステップS65でYesの場合、ステップS66に進み、主制御処理部100はエラー状態を解除し、不正球の排出処理を終了する。
【0074】
ステップS61およびステップS62でNoの場合、主制御処理部100は、不正球の排出処理を終了する。また、ステップS65でNoの場合、ステップS65の手前に戻る。
【0075】
以上説明したように、第1の実施例に係るパチンコ機によれば、可変入賞装置1が非作動状態であるにも拘らず、貯留装置50の貯留部51が原点位置にない場合には、エラー処理を行って貯留部51を原点位置まで戻すようになっているから、遊技性が人為的に歪められることはない。また、貯留部51が原点位置に復帰するまでは、エラー処理が解除されないので、仮に始動入賞口2A,2Bに遊技球が入賞したとしても可変入賞装置1が作動することがない。また、仮に、可変入賞装置1の内部空間Rに遊技球が不正に置かれていたとしても、エラー状態では特別入賞検出器600による検知も無効になっているから、その不正球によって大当たり遊技が提供されることもない。つまり、本実施例は、貯留部51の停止位置を不正に変更しても、何ら有利な遊技結果を得ることができない。よって、不正行為を確実に防止することができる。
【0076】
また、貯留装置50の貯留部51に人の手によって不正に遊技球を貯留しておくような不正行為に対しても、不正球監視処理を行うことによって、自動的に不正球を可変入賞装置1の外部に排出できる。そして、その不正な遊技球を可変入賞装置1の外部に排出するまでエラーとなっているから、不正な遊技球による不正な大当たり遊技の獲得はできない。よって、遊技性が不正に歪められることはない。そしてまた、エラーとなってから5秒経過後にはエラーが解除されるようになっているので、別途新たにエラー解除の操作をしなくて済むので、使い勝手の面でも何ら不都合はない。
【0077】
次に、本発明の第2実施例に係るパチンコ機について説明するが、第2実施例に係るパチンコ機は、上記した第1実施例に係るパチンコ機と比べて、図4のステップS6で実行する不正球監視処理の内容が相違するものの、それ以外の構成は同じである。そこで、以下では、主にこの相違部分について図8〜図11を用いて説明することとし、それ以外の部分については、説明を省略する。なお、図8は、不正な遊技球を検知した場合の排出処理の手順を示しており、図9〜11は、そのときの各種装置、センサの動作状況を時系列で示している。
【0078】
第2実施例に係るパチンコ機では、図8に示すように、まず、ステップS161にて、主制御処理部100は、現在の状態が「待ち状態」であるか否かを判断する。具体的には、可変入賞装置1が作動中であるか否かを、主制御処理部100は判断する。ステップS161でYesの場合、ステップS162に進み、主制御処理部100は貯留球検出器800から検出信号が入力されたか否かを判断する。主制御処理部100が判断するタイミングが図9〜図11のt1のときであれば、ステップS161およびステップS162での判断は共にYesとなる。
【0079】
なお、ステップS161でYesと判断される場合とは、遊技球を発射しているものの始動入賞口2A,2Bに遊技球が入賞しないため可変入賞装置1が作動しない場合と、遊技球を発射していないことにより可変入賞装置1が作動しない場合の両方がある。
【0080】
次いで、ステップS162でYesの場合には、ステップS163に進み、主制御処理部100は、エラー状態に設定する。このとき、主制御処理部100は、エラータイマを5秒にセットして、減算を開始する。エラー状態において、主制御処理部100は、第1始動検出器200A、第2始動検出器200B、一般入賞検出器300、進入球検出器400、および大入賞検出器900からの入力信号を無効として扱うようにする(つまり、検出信号自体は主制御処理部100に入力されるものの、その検出信号に基づく処理は行われない)。なお、エラー状態中でも、貯留部51を原点位置まで戻すために、原点位置検出器500から検出されて主制御処理部100に入力された検出信号は有効である。また、特別入賞検出器600およびハズレ球検出器700から主制御処理部100に入力された検出信号は有効である。よって、主制御処理部100は、特別入賞検出器600およびハズレ球検出器700からの入力信号に基づいて、遊技球の排出を確認することはできる。しかし、特別入賞検出器600からの検出信号が入力されても、エラー状態に設定されている限り、主制御処理部100がその検出信号に基づいて大当たり遊技に移行することはない。
【0081】
ここで、エラータイマの秒数を5秒に設定しているが、この理由は、本実施例の場合、不正球が貯留部51によって第2ステージ42へと運ばれ、その後、特定領域44またはハズレ領域45を通過して外部に排出され、かつ、貯留部51が最下端である原点位置まで戻ってくるのに十分な時間、即ち、図10のt1からt6までの時間に少しのマージンを考慮した時間が5秒程度だからである。よって、図10のt1〜t6間の時間より、図11のt1〜t5間の時間(即ち、5秒)の方が長いということになる。
【0082】
次いで、ステップS164に進み、主制御処理部100は、不正球排出処理を実行する。具体的には、主制御処理部100は、モータMに駆動信号を出力して、貯留部51が最上端に到達するまで正回転させ、その後モータMを逆回転させて貯留部51を原点位置まで戻す制御を開始する。この不正球排出処理は、図9〜図11のt1からt4の間に行われる。この処理によって、不正に貯留部51に貯留されていた遊技球は、第2ステージ42上を転動して最終的に特定領域44またはハズレ領域45を通過して外部に排出される。なお、この間、パチンコ機はエラー状態に設定されているので、特別入賞検出器600およびハズレ球検出器700からの検出信号が主制御処理部100に入力されても、上述したように、主制御処理部100は遊技球の排出を確認するだけであって、特別入賞検出器600からの検出信号によって、主制御処理部100が大当たり遊技を実行することはない。
【0083】
ここで、図9〜図11の原点位置検出器500がオンからオフになるタイミングt2がt1より遅いタイミングになっているが、これは、原点位置検出器500による検出範囲に起因するものである。
【0084】
次いで、ステップS165に進み、主制御処理部100は、特別入賞検出器600またはハズレ球検出器700からの入力信号があったか否かを判断する。即ち、貯留部51に不正球が貯留されている場合には、その不正球はステップS164での貯留装置50の動作により、必ず特別領域44またはハズレ領域45を通過して外部に排出されるはずである。そこで、主制御処理部100は、ステップS165において特別入賞検出器600またはハズレ球検出器700から検出信号が入力されたか否かを判断することにより、不正球が確かに可変入賞装置1の外部に排出されたか否かを確認している。
【0085】
ステップS165でNoの場合には、ステップS166に進み、主制御処理部100は、エラータイマが0になっているか否かを判断する。ステップS166でYesの場合、ステップS167に進み、エラー状態を解除し、不正球の排出処理を終了する。なお、ステップS166でYesとなる場合としては、例えば、不正球が可変入賞装置1内に詰まってしまい排出通路46,47へと流れていかない場合や、不正球が検出されたものの、排出通路46,47を通過する前に人の手によって取り除かれた場合や、検出器等の誤作動の場合などが想定される。
【0086】
これに対して、ステップS165でYesの場合には、実際に不正球の排出を検出できたということであるから、エラータイマのカウントが0になるのを待つことなく、ステップS167にジャンプし、エラー状態が解除される。なお、ステップS161およびステップS162でNoの場合、主制御処理部100は、不正球の排出処理を終了する。また、ステップS166でNoの場合、ステップS165の手前に戻る。
【0087】
ここで、第2実施例に係るパチンコ機では、ステップS165でYesの場合とNoの場合とで、エラー状態が解除されるまでの時間が異なるものとなる。これについて、図9〜図11を参照して詳しく説明する。
【0088】
まず、図9は、ステップS165でYes→ステップS167と進んだ場合(ただし、不正球の排出が貯留部51の原点復帰より早い場合)のタイムチャートを示している。図9に示すように、t1のタイミングでエラー状態となり、t6のタイミングで特別入賞検出器600またはハズレ球検出器700の検出信号のオンエッジが検出されると、このt6のタイミングで主制御処理部100はエラー状態を解除する。よって、図9のケースでは、エラー状態はt1〜t6の間、保持されることとなる。なお、このt6の時点ではまだ貯留装置50の貯留部51が原点位置に到達していないため、原点位置検出器500がオンとなるt4のタイミングより以前にエラー状態が解除されることになる。
【0089】
次に、図10は、ステップS165でYes→ステップS167と進んだ場合(ただし、不正球の排出が貯留部51の原点復帰より遅い場合)のタイムチャートを示している。図10に示すように、t1のタイミングでエラー状態となり、t6のタイミングで特別入賞検出器600またはハズレ球検出器700の検出信号のオンエッジが検出されたときには、すでに貯留装置50の貯留部51が原点位置に到達して原点位置検出器500からオン信号が入力されている。そのため、主制御処理部100は、t6のタイミングでエラー状態を解除する。よって、図10のケースでは、エラー状態はt1〜t6の間、保持されることとなる。
【0090】
次に、図11は、ステップS165でNo→ステップS166でYes→ステップS167でYesと進んだ場合のタイムチャートを示している。図11に示すように、t1のタイミングでエラー状態となるが、特別入賞検出器600またはハズレ球検出器700の検出信号が入力されないので、貯留装置50の貯留部51が原点位置に到達して以降もエラー状態が継続する。そして、t1から5秒経過したt5のタイミングで、主制御処理部100は、エラー状態を解除する。よって、図11のケースでは、エラー状態はt1〜t5の間、保持されることとなる。なお、図11に示すt1〜t5間の時間は、第2実施例におけるエラー状態の最長の時間である。
【0091】
以上説明したように、第2の実施例に係るパチンコ機によれば、貯留装置50に人為的に遊技球が貯留された場合であっても、自動的に不正球を可変入賞装置1の外部に排出できる。そして、その不正な遊技球を可変入賞装置1の外部に排出するまでエラーとなっているから、不正な遊技球による不正な大当たり遊技の獲得はできない。よって、遊技性が不正に歪められることはない。
【0092】
さらに、第2実施例では、不正球が外部に排出されたことが検出されると、エラー状態が解除される。よって、エラー復帰時間を短縮することができる。また、エラーとなってから5秒経過後にはエラーが解除されるようになっているので、不正球が万一検出されなかった場合であっても、別途新たにエラー解除の操作をしなくて済むので、使い勝手の面でも何ら不都合はない。
【0093】
なお、上記の実施例では、本発明の可動体として、遊技球を貯留可能であって、上下動する貯留部の構成を採用したが、これ以外にも、例えば、可変入賞装置1内に、可動体として所定の軸回りに回動する回転体を配置し、この回転体が所定のタイミングで遊技球に作用すると特定領域に入り易くなるような構成を採用することもできる。また、可変入賞装置1内に、可動体として所定の方向に揺動するようなアーチ状部材を配置し、このアーチ状部が所定のタイミングで遊技球に作用すると特定領域に入り易くなるような構成を採用しても良い。このように、本発明は、遊技球に作用して特定領域へ入賞する確率を左右するようなものであれば、如何なる構成の可動体をも採用可能である。
【0094】
なお、上記の実施例は、本発明を、第1始動検出器200Aまたは第2始動検出器200Bが遊技球を検出したことを契機にソレノイドSol1をオンにして開閉体40を開閉動作する構成のパチンコ機に適用したものであるが、本発明は、これ以外にも、例えば第1始動検出器200Aまたは第2始動検出器200Bが遊技球を検出したことを契機に特別図柄に係る電子抽選を行い、当該電子抽選で小当たりまたは大当たりに当選した場合に、開閉体40を開閉動作する構成のパチンコ機(所謂、特図を搭載した羽根モノ)に対しても適用可能である。この場合、ステップS1、ステップS61、およびステップS161において、主制御処理部100は、可変入賞装置1が作動中であるか否かに加えて、特別図柄表示装置が作動中(特別図柄が変動中)であるか否かも判断することとなる。
【0095】
また、遊技領域10A内にスルーチャッカを設け、第1始動入賞口2Aまたは第2始動入賞口2Bの少なくとも何れかの入口に電動チューリップを配置する構成を採用し、遊技球がスルーチャッカを通過したことを契機に普通図柄に係る抽選を行い、その抽選に当選した場合に電動チューリップを開閉するようにしても良い。この場合、遊技球がスルーチャッカを通過したことを検出するゲート検出器を主制御処理部100と電気的に接続するようにしておけば良い。また、エラー状態が設定されると、ゲート検出器による検出信号は主制御処理部100に入力されるものの、当該検出信号に基づく普通図柄に係る抽選等の処理は無効にしておくのが望ましい。
【0096】
また、上記実施例では、ステップS4またはステップS164において、貯留部51を上下動させる動作を1回行うようにしたが、この動作を複数回繰り返して行うようにしても構わない。この場合、ステップS63またはステップS163にてセットするエラータイマの時間は、貯留部51の繰り返し動作の時間を考慮して、適宜設定すれば良い。
【0097】
なお、上記実施例では、大当たり遊技中にアタッカー装置60を所定のラウンド数作動させるようにしたが、アタッカー装置60を用いずに、可変入賞装置1のみを用いて大当たり遊技を行うことも可能である。この場合、主制御処理部100は次のようにして大当たり遊技および大当たり遊技中のモータ回転制御を実行すれば良い。
【0098】
〈大当たり遊技について〉
主制御処理部100は、内部空間R内に開設された特定領域44を遊技球が通過したことを特別入賞検出器600が検出し、その検出信号が入力されると、所定時間経過後に、遊技者にとって有利な遊技状態である大当たり遊技処理を実行する。具体的に主制御処理部100は、特別入賞検出器600からの入力に基づいてソレノイドSol1を連続的に駆動することにより、開閉体40の開閉動作を連続的に行う。
【0099】
開閉体40の開閉動作は、例えば、遊技球の進入球検出器400による検出数が合計10カウントに達するまで、或いは、開閉体40の開閉数の合計が18回に達するまで(以下、単に「ラウンドの終了条件」と言う場合がある)の内、いずれか早い条件が成立するまでを1ラウンドとして、これを例えば12ラウンド繰り返すことにより行われる。よって、通常遊技の場合と比較して遊技球が進入球検出器400に検出される可能性が飛躍的に向上し、短時間の内に多量の賞球を得ることが可能となる。
する)ことになる。
【0100】
なお、ラウンド数はこれに限るものではなく、例えば1回,3回,5回,10回,15回等ランダムに設定してもよい。また、1ラウンド中に遊技球が特定領域44に入ったことを次ラウンドへの継続条件とすることもできる。この場合、ラウンド中に遊技球が特定領域44に入らなければ、ラウンド数の途中で大当たり遊技が終了する(つまり、パンクする)ことになる。
【0101】
〈大当たり遊技中のモータ回転制御について〉
主制御処理部100は、大当たり遊技の各ラウンドの終了条件が成立するまで、モータMを停止した状態に維持する。そうすると、貯留部51に大抵は複数の遊技球が貯留される。そして、ラウンドの終了条件が成立すると、モータMの回転を開始させる。すると、貯留部51は上昇する。貯留部51が最上端に到達すると、主制御処理部100は、モータMを一時停止させた後に逆回転させ、原点位置検出器500からの入力信号に基づいてモータMを停止させる。この一連の動作をラウンド毎に行う。よって、大当たり遊技が終了したときには、貯留部51は、常に最下端の位置で停止した状態となる。
【符号の説明】
【0102】
1 可変入賞装置
2A 始動入賞口(始動口)
2B 始動入賞口(始動口)
9 遊技盤
10 パチンコ機
10A 遊技領域
34 遊技球進入口
40 開閉体
44 特定領域
45 ハズレ領域
46 第1排出通路(排出通路)
47 第2排出通路(排出通路)
50 貯留装置
51 貯留部(可動体)
100 主制御処理部(遊技制御装置)
200A 第1始動検出器(始動検出器)
200B 第2始動検出器(始動検出器)
600 特別入賞検出器(排出球検出器)
700 ハズレ球検出器(排出球検出器)
800 貯留球検出器
R 内部空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤と、前記遊技領域に設けられた始動口と、この始動口に遊技球が入賞したことを検出する始動検出器と、前記遊技領域に設けられ、前記始動検出器が遊技球を検出したことに基づいて作動すると共に、その作動によって内部に取り込まれた遊技球が通過可能な特定領域およびハズレ領域を有する可変入賞装置と、遊技に関する各種処理を行うと共に、遊技球が前記特定領域を通過したことに基づいて大当たり遊技に係る処理を行う遊技制御装置と、を備えたパチンコ機において、
前記可変入賞装置は、
遊技球が進入する遊技球進入口と、前記遊技球進入口を開閉する開閉体と、前記遊技球進入口を通過した遊技球を受け入れる内部空間と、この内部空間に取り込まれた遊技球に作用して、遊技球が前記特定領域を通過するか否かに影響を及ぼす可動体と、前記可動体が原点位置にあることを検出する原点位置検出器と、を備え、
前記遊技制御装置は、
前記始動検出器が遊技球を検出したことに基づいて、前記開閉体を開閉動作させると共に前記可動体の動作を開始させ、前記原点位置検出器による検出に基づいて前記可動体の動作を停止させるよう制御し、さらに、前記可変入賞装置が非作動状態にあるときに前記原点位置検出器による検出がない場合には、少なくとも前記始動検出器の機能を無効化するエラー処理を行うと共に、前記可動体を前記原点位置まで戻す原点復帰動作を開始させるようにしたことを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】
請求項1の記載において、
前記遊技制御装置は、前記エラー処理を行ってから予め定めた時間が経過すると、そのエラー処理を解除するようにしたことを特徴とするパチンコ機。
【請求項3】
請求項1の記載において、
前記可変入賞装置は、前記特定領域または前記ハズレ領域を通過した遊技球を外部に排出する排出通路と、前記排出通路を通過する遊技球を検出する排出球検出器と、をさらに備え、
前記遊技制御装置は、前記エラー処理を行った後に前記排出球検出器が遊技球を検出したことに基づいて、前記エラー処理を解除するようにしたことを特徴とするパチンコ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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