説明

パチンコ機

【課題】メイン電源が供給されていない場合に制御基板が取り外されたことを確実に検知し、不正な基板により遊技が実行されることを確実に防止することが可能なパチンコ機を提供する。
【解決手段】基板ケースの取り外しにより断電又は通電動作するスイッチと、基板ケース内の制御基板に対して電力を供給するメイン電源供給手段と、メイン電源供給手段の電力断電時においてスイッチに基板着脱検知信号を供給するバックアップ電源供給手段と、スイッチと接続され、バックアップ電源から出力される基板着脱検知信号の断電又は通電を検知する異常検出手段とを備えた構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関し、特に不正改造を防止可能なパチンコ機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、遊技機の一例としてのパチンコ機には、遊技全般を統括する主制御基板と、主として遊技の進行に合った演出動作を統括する演出制御装置とが搭載されており、主制御基板側において実行される大当り抽選処理の結果により演出コマンドが生成され、該演出コマンドを受信した演出制御装置が抽選処理の結果を遊技者に対して報知する態様により、各種の演出処理を実行する構成となっている。また、近年においては、パチンコ機を不正に改造することによって不正な大当りを得ようとする所謂ゴト行為と呼ばれる不正行為が横行しており、具体的にはパチンコ機へのメイン電源の供給がなされていない夜間等を見計らって大当り抽選処理を実行する主制御基板を遊技盤から取り外し、主制御基板上に搭載されたROMを不正なプログラムが書き込まれたROMに交換する等して、例えば、通常のプログラムではあり得ない頻度で大当りを得ることができるパチンコ機に改造する不正行為が行われている。
このような不正行為を防止するために、特許文献1には、メイン電源が供給されていない場合において、バックアップ電源からの電源供給により不正を監視する構成の遊技機が開示されているが、主制御基板を取り外す行為を直接的に検知する構成とはなっておらず、不正行為の防止により一層の改善が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO 2008/139722 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、メイン電源が供給されていない場合に制御基板が取り外されたことを確実に検知し、不正な基板により遊技が実行されることを確実に防止することが可能なパチンコ機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためのパチンコ機に係る構成として、基板ケースの取り外しにより断電又は通電動作するスイッチと、基板ケース内の制御基板に対して電力を供給するメイン電源供給手段と、メイン電源供給手段の電力断電時においてスイッチに基板着脱検知信号を供給するバックアップ電源供給手段と、スイッチと接続され、バックアップ電源から出力される基板着脱検知信号の断電又は通電を検知する異常検出手段とを備えた構成とした。
本構成によれば、基板ケースの取り外しにより断電又は通電動作するスイッチに対して、メイン電源供給手段の電力断電時において基板着脱検知信号を供給し、異常検出手段が基板着脱検知信号の断電又は通電を検知することから、基板着脱検知信号の有無によって基板ケースが取り外されたことを確実に検知することができる。
また、スイッチを基板ケースを搭載可能な基板アダプタに設け、基板アダプタに基板ケースが取り外された状態においてスイッチを断電又は通電動作させる可動レバーを設けることが好ましい。また、異常検出手段が、基板着脱検知信号の断電又は通電を検知したことに基づいて所定レベルの電圧を有する異常検知信号をメイン電源供給手段の電力通電時まで出力し続けることが好ましい。
【0006】
なお、上記発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、特徴群を構成する個々の構成もまた発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】パチンコ機の制御ブロック図である。
【図2】パチンコ機の概略正面図である。
【図3】主制御基板及び副制御基板の回路構成を示す図である。
【図4】基板アダプタ及び主制御基板を示す断面図である。
【図5】パチンコ機の概略背面図である。
【図6】基板アダプタの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、遊技機の一例としてのパチンコ機1の制御系を示すブロック図であり、図2は、パチンコ機1を正面からみた概略図、図5は、パチンコ機1を背面からみた概略図である。同図を用いてパチンコ機1の概要について説明する。
図1に示すように、パチンコ機1の制御装置は、遊技全般の処理を司る主制御基板100、及び、主制御基板100によって生成されるコマンドに基づいて動作する演出制御基板200を主たる制御基板として備え、各制御基板に接続された遊技装置を制御する。
また、図5に示すように、主制御基板100は、後述する基板ケース110内に格納され、演出図柄表示装置50の下方に装着された基板アダプタ60上に配設される。基板アダプタ60は、周囲に設けられた複数の固定部60Bを介してセット板2Aの背面に配設される。図5に示すようにセット板2Aは、遊技盤2の略全域を覆うように装着される盤体であって、当該セット板2Aの背面には、主制御基板100の他、図外の演出制御基板200や払出制御部300及び発射制御部400等の他の制御部がアダプタを介して装着される。
なお、主制御基板100と演出制御基板200、払出制御部300及び発射制御部400とは、基板アダプタ60又は基板ケース110に複数設けられたコネクタ挿入部60Aを介して図外のケーブル等により通信可能に接続されている。
【0010】
図1に示すように、主制御基板100の入力側には、始動球検出器30、一般球検出器32,大入賞検出器34等を始めとする複数の球検出器が図外のインターフェイスを介して接続されている。なお、主制御基板100には、上記検出器の他、図外の通過式のゲートスイッチ等も接続されており、始動球検出器30や大入賞検出器34を複数設けた構成としてもよい。
図2に示すように、パチンコ機1の遊技盤2の前面には、入賞部品としての始動入賞部品4、一般入賞部品6、大入賞部品8が個別に配設されており、内ガイドレール9及び外ガイドレール10で囲まれた遊技領域2B内に打ち出された球は、不図示の釘や障害物によって下方に誘導されながら各入賞口に入球、或いは、入球することなく遊技盤2の最下部に開設されたアウト口11から回収される。
【0011】
始動球検出器30、一般球検出器32、大入賞検出器34は、それぞれ始動入賞部品4、一般入賞部品6、大入賞部品8に対応して設けられた、例えば球の直径よりも僅かに大径な検出孔を有する近接センサーであって、各入賞部品に取り込まれた球の流下経路上において、球の通過時間に応じた幅を有するパルス信号を主制御基板100側に出力する。
【0012】
図1に示すように、主制御基板100は、前記各検出器からの入力に基づいて演出制御基板200、払出制御部300、発射制御部400に対して制御コマンドを送信する処理や、大入賞ソレノイド40及び特別図柄表示装置41に駆動信号を出力する処理を実行する所謂コンピュータである。主制御基板100は、所定の遊技用プログラムが格納されたROMと、ROMに格納されたプログラムに従って動作する演算手段としてのCPU、演算に必要なデータやコマンドを一時的に格納するRAM及び不図示のI/Oポート等の通信手段とを備え、演出制御基板200等を始めとする各制御部、或いは、駆動部品と接続されている。
【0013】
主制御基板100には、電源供給部150を介して外部電源が入力されており、電源供給部150は、外部から入力される電力の電圧を各制御部の動作に必要な直流電圧に変換して供給する。また、演出制御基板200、払出制御部300、発射制御部400には、主制御基板100から延長する不図示の電源供給線を介して電源供給部150からの電力が供給されている。つまり、電源供給部150からの電力は、主制御基板100を経由して各制御部に供給される。また、電源供給部150には、電源スイッチが設けられており、当該電源スイッチがON動作されることにより、パチンコ機1が起動する。つまり、電源供給部150はパチンコ機1におけるメイン電源供給手段である。なお、主制御基板100を経由せずに、電源供給部150から各制御部に対して直接電源を供給する構成としてもよい。
【0014】
演出制御基板200は、主制御基板100からの各種の制御コマンドを受信し、コマンドの種類に応じて図2に示す表示灯47、スピーカ48、保留ランプ49及び演出図柄表示装置50を駆動制御する。演出制御基板200は、主制御基板100と同様に所定のプログラムが格納されたROM、ROMに格納されたプログラムに従って動作する演算手段としてのCPU、演算に必要なデータやコマンドを一時的に格納するRAM及び不図示の通信手段とを備えており、遊技の進行に合わせて出力側に接続された上述の遊技部品を駆動制御する。また、演出制御基板200には、メイン電源供給手段である電源供給部150に対するサブのバックアップ電源供給手段としてのバックアップ電源回路205、及び、異常検出手段としてのラッチ回路210が設けられている。
【0015】
払出制御部300は、主制御基板100から送信される払出コマンドに基づいて払出機構350を駆動制御し、遊技盤2上に複数配設された入賞部品への球の入球に対する対価としての賞球を払い出す。主制御基板100は、例えば、始動球検出器30からの入力を契機として賞球を3個払い出すべき情報を含む払出コマンドを生成し、払出制御部300に送信する。なお、賞球数は例えば一般入賞部品6への入球に対して5個、大入賞部品8の入球に対して15個として予め設定されている。
【0016】
発射制御部400は、主制御基板100から送信される発射許可コマンドに基づいて打出機構450を駆動制御し、球を遊技盤2上に連続的に打ち出させる。図2に示すように打出機構450は、双方向に回動可能なハンドル部を有し、ハンドル部が右方向に回動されることにより打出しを開始し、左側に回動されることにより打出しが停止する構成である。また、打出機構450には、遊技者の接触を感知する図外のタッチセンサーが内蔵されており、発射制御部400は、タッチセンサーからの入力がない場合、打出し動作を禁止する。
【0017】
以下、上記構成からなるパチンコ機1の遊技の流れについて概説する。遊技領域2B上に打ち出された球が遊技盤2の略中央に配設された始動入賞部品4に入球すると、入球した球は始動球検出器30によって検出され、始動球検出信号が主制御基板100側に出力される。主制御基板100は、始動球検出信号が入力されたことを契機として特別図柄当否判定処理(以下、特図判定処理という。)、特別図柄変動処理(以下、特図変動処理という。)、演出図柄変動処理、及び、払出し制御処理を実行する。以下、各処理について説明する。
【0018】
特図判定処理は、大当り判定処理とも呼ばれ、主制御基板100のCPUが始動球検出信号の入力を契機として、不図示の当否判定用乱数カウンタから値(乱数)を取り込み、当該乱数が「当り」又は「外れ」に対応する値であるかを判定する処理である。具体的には、主制御基板100のROM内には、複数の乱数と各乱数に対応する結果(「当り」又は「外れ」)が対応付けられて規定された当否判定テーブルが格納されており、始動球検出信号の入力を契機として読み込まれた乱数と、当否判定テーブルとを照合することにより、取得された乱数が「当り」又は「外れ」に対応するものであるかが判定される。
【0019】
特図変動処理、及び、演出図柄変動処理は、上述の特図判定処理の結果に基づいて特別図柄表示装置41上に表示される特別図柄、及び、演出図柄表示装置50上に表示される演出図柄を変動表示させ、特図判定処理の結果を示す所定の態様により停止表示させる処理である。
【0020】
具体的には、特図判定処理の結果が「当り」である場合には、主制御基板100が特別図柄表示装置41を駆動制御し、特別図柄表示装置41を構成する7セグメントランプやLEDランプを所定時間変動させた後、特図判定処理の結果が「当り」であることを示す態様(例えば、同一の数字や記号のゾロ目や「当り」を示すLEDランプの組み合わせ)で停止表示させる。
一方、特図判定処理の結果が「外れ」である場合には、特別図柄表示装置41を構成する7セグメントランプやLEDランプを所定時間変動させた後、特図判定処理の結果が「外れ」であることを示す態様(例えば、互いに異なる数字や記号の並び目や「外れ」を示すLEDランプの組み合わせ)で停止表示させる。
【0021】
主制御基板100は、特別図柄表示装置41の駆動制御とともに、演出制御基板200に対して表示制御コマンドを送信し、演出制御基板200による演出図柄表示装置50の駆動制御を実行させる。表示制御コマンドには、演出図柄の変動開始から変動停止までの変動時間、予告演出の有無やその態様、リーチ演出の有無やその態様、及び、停止図柄等に関する各種の情報が含まれており、表示制御コマンドを受信した演出制御基板200は、表示制御コマンドの内容を解析し、コマンドの内容応じて必要な演出データ等をROMから読み出して演出図柄表示装置50を駆動制御する。
【0022】
予告演出やリーチ演出の有無や態様、或いは、停止図柄の種別は、例えば前述の当否判定用乱数カウンタとは別に設けられた各種の乱数カウンタより取得される乱数(変動時間用乱数,予告演出用乱数,リーチ演出用乱数,停止図柄用乱数)と、当該乱数と対応付けられた情報が規定されたデータテーブルとから決定される。また、これらの乱数は、当否判定用乱数と同様に、始動球検出器30からの入力を契機として取得される。
【0023】
例えば、前述の特図判定処理の結果が「当り」である場合には、演出制御基板200は、表示制御コマンドに基づいて所定時間の間、数字や特定のキャラクターより構成される複数の演出図柄(図示の例は数字の「7」)を上下方向にスクロール表示させ、3つの演出図柄のうち、2つの演出図柄を同一の図柄で先行して停止させることによりリーチ状態を生成する。そして、例えば所謂スーパーリーチ演出を経た後に、残る1つの演出図柄を他の2つの演出図柄と同一の図柄により停止表示させることによって、遊技者に対して特図判定処理の結果が「当り」であることを報知する。
【0024】
一方、特図判定処理の結果が「外れ」である場合には、複数の演出図柄を上下方向にスクロール表示させ、リーチ状態を生成又は生成することなく3つの演出図柄を停止表示させて、遊技者に対して特図判定処理の結果が「外れ」であることを報知する。
なお、リーチ状態が生成された場合には、残る1つの演出図柄は、スーパーリーチ演出を経て、或いは、経ることなくリーチ状態を生成した図柄と異なる図柄で停止表示されることとなる。
また、特別図柄表示装置41上に表示される特別図柄と、演出図柄表示装置50上に表示される演出図柄との変動開始時期、変動表示時間、変動停止時期は互いに略同期しており、特図判定処理の結果が、特別図柄及び演出図柄によって略同時期に報知される。なお、主制御基板100から送信されるコマンドは表示制御コマンドのみではなく、遊技の進行によって表示灯47,スピーカ48,保留ランプ49を駆動制御するための各種のコマンドも送信される。
【0025】
特図判定処理の結果が「当り」であり、特別図柄及び演出図柄が「当り」を示す態様で停止表示された後には、大当り遊技処理が実行される。大当り遊技とは、主制御基板100が、大入賞ソレノイド40を駆動し、大入賞部品8が有する開閉体を開放状態とする遊技者にとって有利な遊技である。開閉体が開放状態となることにより、遊技盤2上に打ち出された球は、大入賞部品8内に入球可能となり、内部に配設された大入賞検出器34によって検出される。開閉板の1回(1ラウンド)の開放動作は、開放開始から大入賞検出器34により球が10個検出されるまで、又は、開放開始から24秒経過するまでのうち、いずれか早い条件が成立するまで継続する。そして、当該開放動作が最大15回(15ラウンド)まで繰り返されることにより、前述の払出制御部300の駆動制御によって、その間に入球した球に対する賞球が一時に大量(15×10×15=2250個)に払い出されることとなる。
【0026】
以下、図3乃至図6を参照して上記構成からなるパチンコ機1の主制御基板100、及び、演出制御基板200の主要な構成について説明する。
図3に示すように、演出制御基板200上には、電源供給部150からの電力が供給されない場合(断電時)に電力を供給するバックアップ電源供給手段としてのバックアップ電源回路205と、バックアップ電源回路205から供給される駆動信号により動作する異常検出手段としてのラッチ回路210が配設される。
【0027】
バックアップ電源回路205は、上述の電源供給部150からの電力が供給されていない場合、即ち、電源供給部150の電源スイッチがOFFである場合に、後述の基板アダプタ60のスイッチ65に対して、例えば5V以下の微弱な基板着脱検知信号を出力するとともに、該基板着脱検知信号の断電又は通電を検知するラッチ回路210の駆動信号をそれぞれ出力する。
【0028】
バックアップ電源回路205は、例えば、主制御基板100の出力部からメインの電源供給線とは別のバックアップ電力供給線を経由した電力が入力する入力部205A、電源供給部150又は二次電池205Eから出力される電力をスイッチ65及びラッチ回路210側に出力する出力部205Bと、抵抗205C,ダイオード205Dとを備える。入力部205Aには、電源供給部150より所定の電力が供給されており、当該入力部205Aは、抵抗205Cを介してダイオード205Dのアノード側と接続される。出力部205Bは、ダイオード205Dのカソード側に接続される。また、二次電池205Eの陽極は、ダイオード205Dのカソード及び出力部205B間に図外の信号線を介して接続されている。
【0029】
同図において、電源供給部150から入力部205Aに対して例えば5.3Vの電力が供給されているとすると、該電力はダイオード205Dにより5V程度に降下し、出力部205Bから出力される。また、このとき二次電池205Eは電源供給部150からの電力により常時充電される。
一方、電源供給部150の図外のスイッチがOFF動作され、電源供給部150からの電力供給がなくなった場合、充電された二次電池205Eからの出力が開始され、出力部205Bと接続された信号線を介して基板アダプタ60に設けられたスイッチ65に対して基板着脱検知信号が供給される。また、出力部205Bと接続された信号線を介してラッチ回路210に対して駆動信号が供給される。
以下、図4乃至図6を参照してスイッチ65の構成について説明する。
【0030】
図4(a),(b)は、図6に示す基板アダプタ60のA−A線断面図である。同図に示すようにスイッチ65は、基板アダプタ60に設けられる押しボタンスイッチであって、前述の出力部205Bから延長する図外の信号線が一方の端子に接続され、他方の端子には、ラッチ回路210まで延長する信号線が接続される。また、本実施例においてスイッチ65は、NC接点(b接点)として構成され、後述する可動レバー66による押下がなされたことに基づいて、バックアップ電源回路205から出力された基板着脱検知信号を遮断する(断電動作)構成である。
なお、スイッチ65をNO接点(a接点)として構成し、後述する可動レバー66による押下がなされた場合のみに、基板着脱検知信号をラッチ回路210側に出力する(通電動作)構成としてもよいが、演出制御基板200が取り外されることによりバックアップ電源回路205を喪失した場合において、当該行為を検知するため、セキュリティ向上の観点からスイッチ65はNC接点として構成するのが望ましい。
【0031】
図4(a)に示すように基板アダプタ60は、セット板2Aの背面側に図5,図6に示す複数の固定部60Bを介して配設される例えば樹脂製の盤体である。基板アダプタ60におけるセット板2Aの背面と対向する壁部の表面61には、基板ケース締結部62と、前述のスイッチ65が配設された可動レバー収容部64とが形成される。
基板ケース締結部62は、基板アダプタ60の表面61から後方に突出し、基板ケース110に挿入される抜け止めピン120の先端部を受け入れ可能な挿入孔62Aを有する。抜け止めピン120が挿入孔62A内にひとたび挿入された場合、抜け止めピン120は挿入孔62A内においてかしめられた状態で強固に固定され、例えば抜け止めピン120自体をニッパー等の工具により切断しない限り、基板ケース110を基板アダプタ60から取り外すことが不可能となる。即ち、基板アダプタ60は、主制御基板100が収容された基板ケース110を遊技盤2の背面に対して強固に接続する部材である。
【0032】
可動レバー収容部64は、基板ケース110と接する表面61より前方に立ち上がる壁部64Aと、該壁部64Aの後端部と接続し、側方に延在するスプリング設置壁部64B、及び該壁部64Aの前端部と接続し、スプリング設置壁部64Bと平行に側方に延在する壁部64Cとにより形成される空間である。可動レバー収容部64内には、前述のスイッチ65と、該スイッチ65を押下する可動レバー66、及び、可動レバー66をスイッチ65方向へ付勢するスプリング67が収容される。スイッチ65は、壁部64C上においてそのボタン部65Aが後方のスプリング設置壁部64Bと対向するように配設される。
【0033】
可動レバー66は、スイッチ65、及び、スプリング設置壁部64Bに配設されたスプリング67の間において左右方向に延在する断面くの字状の棒体であって、左右方向中心部に設けられた回転部66Aを中心として前後方向に傾動可能である。可動レバー66における一方の端部66Bは、基板ケース110が基板アダプタ60に適正に接続された場合において、後述する基板ケース110から突出するリブ114によって前方に押し込まれており、スイッチ65及びスプリング67の間に位置する他方の端部66Cは、スプリング67の付勢力に抗してスプリング67を収縮させ、スイッチ65のボタン部65Aから離間した状態に維持される。
【0034】
一方、図4(b)に示すように基板ケース110が、基板アダプタ60から不正行為者等によって取り外され、リブ114による端部66Bの押し込みが開放された場合、スイッチ65とスプリング67との間に介在する他方の端部66Cは、スプリング67の付勢力によってスイッチ65の方向に傾動し、スイッチ65のボタン部65Aを押下する。
そして、ボタン部65Aが可動レバー66に押下されるに伴い、スイッチ65を経由してラッチ回路210側に出力されているバックアップ電源回路205からの基板着脱検知信号が断電し、当該断電状態が論理回路として構成されたラッチ回路210によって保持される。なお、ラッチ回路210による断電状態の保持については後述する。
【0035】
基板アダプタ60と接続される基板ケース110は、基板アダプタ60の表面61と対向し、図外のボス部を介して主制御基板100を支持する収容器111と、該収容器111の後方開口部を閉塞し、収容器111と組み合わされることにより、主制御基板100の収容空間を形成する収容蓋115とから構成される。図6に示すように、収容器111及び収容蓋115は、複数の加締め部116を介して封印された状態で組み合わされており、封印を解除するには加締め部116を切断具により切断する必要がある。
収容器111は、樹脂により形成された後方開口の箱型であって、その外表面に抜け止めピン120を挿通可能な締結片部112、及び、前述した可動レバー66の端部66Bを前方に押し込むリブ114を備える。
【0036】
締結片部112は、収容器111の側壁111Aから基板アダプタ60に形成された基板ケース締結部62の周囲を囲繞する断面L字状に延在する片であって、基板ケース締結部62の挿入孔62Aと一致する位置において開設された挿入孔112Aを有する。挿入孔112A;62Aには、前述の抜け止めピン120が抜け止め不能に挿入され、締結片部112を介して基板ケース110が基板アダプタ60に対して強固に接続される。
リブ114は、基板アダプタ60の表面61と対向する底壁111Bから前方に向かって突出する壁部であって、基板ケース110が基板アダプタ60に適切に接続された状態において、先端部114Aが可動レバー収容部64内に収容された可動レバー66の端部66Bと当接し、端部66Bを前方に押し込む。
【0037】
収容蓋115は、前方開口の板体であって、周囲に形成された側壁115Aが収容器111の側壁111Aの内周面と接し、両面が密着した状態で組み合わされる。収容蓋115は、内部に収容された主制御基板100と対向する後壁にコネクタ挿入部60Aが複数設けられており、主制御基板100からのコマンドや信号がコネクタ挿入部に接続されたケーブルや信号線を介して他の演出制御基板200等の制御部に対して送信,出力される。
【0038】
以上説明したように、本実施形態に係る基板アダプタ60は、主制御基板100が内部に収容された基板ケース110の取り外しによって断電又は通電動作するスイッチ65を備えており、該スイッチ65の動作によってバックアップ電源回路205から出力される基板着脱検知信号が断電又は通電することから、当該基板着脱検知信号の有無により、基板ケース110を基板アダプタ60から取り外す不正行為を確実に検知することができる。
【0039】
図3に戻り、スイッチ65を介して基板着脱検知信号が入力するラッチ回路210について説明する。ラッチ回路210は、例えばエッジトリガー型のフリップフロップであって、スイッチ65からの基板着脱検知信号の立下り又は立ち上がり、即ち、基板ケース110が基板アダプタ60より取り外され、基板着脱検知信号が断電又は通電を検知したことに基づいて、例えばロウからハイレベルに相当する所定の電圧を保持し、CPUとの間に設けられた図外の入力ポートに対して出力する。
つまり、本実施形態におけるラッチ回路210は、基板着脱検知信号の断電又は通電を検知するとともに、断電又は通電の検知に基づいてCPU側に異常検知信号を出力する異常検出手段として機能する。なお、通電を検知する場合とは、前述のスイッチ65がNO接点として構成された場合であり、この場合、ラッチ回路210は、基板着脱検知信号の通電を検知したことに基づいて、例えばロウからハイレベルに相当する電圧を保持することとなる。
【0040】
また、入力ポートに対する異常検知信号の出力は、演出制御基板200に搭載されたCPUの処理により、ラッチ回路210に対してリセット信号が出力されるまで継続し、演出制御基板200のCPUは、メイン電源供給時に入力ポートの状態(例えば論理値(1))を読み込むことにより、メイン電源断電中に基板ケース110が基板アダプタ60から取り外されたことを検知することができる。
【0041】
以下、メイン電源断電時及び通電時に実行される主制御基板100及び演出制御基板200の処理について概説する。例えば、メイン電源が電源供給部150により主制御基板100に対して供給され、パチンコ機1が起動している状態において電源供給部150の図外のスイッチがOFF動作された場合、主制御基板100のCPUは、特図判定処理によって取得した当否判定用乱数や当該特図判定処理に基づいて生成された各種の制御コマンドや駆動信号を主制御基板100に設けられた図外のバックアップ用RAM又はRAMの記憶領域内に予め設けられた退避領域内に記憶し、メイン電源断電時までに生成された各種のデータを保持する。また、主制御基板100のCPUは、メイン電源が断電したことに基づいて演出制御基板200側に断電コマンドを送信し、演出制御基板100のCPUにデータ退避処理を実行させる。
【0042】
断電コマンドを受信した演出制御基板100のCPUは、主制御基板100と同様に、主制御基板100からのコマンドに基づいて生成した駆動制御コマンドや駆動制御信号を図外のバックアップ用RAM又はRAMの記憶領域内に予め設けられた退避領域内に記憶し、メイン電源断電時までに生成された各種のデータを保持する。上記処理により、断電前の遊技状態は、次回の通電時における遊技状態として引き継がれる。
【0043】
次に、メイン電源が電源供給部150により主制御基板100に対して供給されておらず、パチンコ機1が停止した状態において、電源供給部150の図外のスイッチがON動作された場合、主制御基板100のCPUは、断電時において保持した各種のデータをバックアップ用RAM又はRAMの記憶領域内に予め設けられた退避領域から読み出すとともに、演出制御基板200側に通電コマンドを送信し、演出制御基板200のCPUに対してデータ読み込み処理を実行させる。当該処理により、断電前の遊技状態に復帰する。
なお、図外のRAMクリアスイッチがON動作された場合、主制御基板100及び演出制御基板200のCPUは、RAM内に退避させた各種のデータを初期化し、遊技状態を初期状態に復帰させる処理を実行する。
【0044】
メイン電源投入時において演出制御基板200のCPUは、上記データの読み込み処理又はデータの初期化処理を含むイニシャライズ処理の前又は後に異常状態判定処理を実行する。本実施形態における異常状態判定処理は、メイン電源投入後に起動する入力ポートの状態を読み込むことにより実行される。
具体的には、前述のとおりメイン電源断電中において、基板ケース110が取り外された場合、入力ポートには異常検知手段としてのラッチ回路210からハイレベル信号(異常検知信号)が出力されることとなるため、入力ポートの状態を読み込むことにより異常状態を判定することが可能となる。例えば、ラッチ回路210からハイレベル信号が出力された場合においては入力ポートの理論値が(1)として表され、演出制御基板200のCPUは入力ポートの理論値が(1)であることに基づいて異常状態である旨の判定を行う。
【0045】
演出制御基板200のCPUは、異常状態判定処理の結果、異常状態である旨の判定を行った場合、演出図柄表示装置50を駆動制御して、演出図柄表示装置50上に例えば、主制御基板100の交換が行われたことを示唆する警告表示を表示し、その旨をパチンコ機1を設置する遊技店の店員等に報知する。
一方、上記報知処理後には、図外の出力ポートを介してラッチ回路210にリセット信号を供給し、初期状態に復帰させる。このように、演出制御基板200のCPUが、異常状態判定手段として機能し、異常状態であることを判定した場合にその旨を演出図柄表示装置50を通じて報知することから、電源投入後に不正に交換された主制御基板100を搭載したパチンコ機1によって遊技が実行されることを確実に防止することができる。
【0046】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に何ら限定されることはなく、実施形態を組み合わせて多様な変更、改良を行い得ることが当業者において明らかである。また、そのような多様な変更、改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが特許請求の範囲の記載から明らかである。
例えば、上記実施形態においては、バックアップ電源回路205及びラッチ回路210を演出制御基板200に搭載する構成としたが、これに限られるものではなく、主制御基板100及び演出制御基板200とは別の基板を設け、該基板に搭載するようにしてもよい。
【0047】
また、上記実施形態においては、基板アダプタ60に可動レバー66を設け、該可動レバー66の傾動動作によりスイッチ65のボタン部65Aを押下するものとしたが、可動レバー66を排除した構成とすることも可能である。
即ち、基板アダプタ60における基板ケース110と対向する表面上に直接スイッチ65を配設し、基板ケース110の外表面でスイッチ65のボタン部65Aを直接押し込んだ状態としてもよい。この場合、スイッチ65はNC接点とするのが好ましく、基板ケース110が取り外された場合において、基板着脱検知信号が断電する構成とすればよい。
【0048】
また、上記実施形態においては、基板ケース110を基板アダプタ60を介して遊技盤2の背面側に配設する構成としたが、これに限られるものではなく基板アダプタ60を排除して基板ケース110を遊技盤2の背面に直接配設する構成としてもよい。そして、この場合、スイッチ65は遊技盤2における基板ケース110と対向する遊技盤2の表面上に直接設けられる。
【符号の説明】
【0049】
1 パチンコ機,2 遊技盤,2A セット板,2B 遊技領域,30 始動球検出器,
32 一般球検出器,34 大入賞検出器,60 基板アダプタ,65 スイッチ,
66 可動レバー,100 主制御基板,110 基板ケース,114 リブ,
150 電源供給部,200 演出制御基板,205 バックアップ電源回路,
210 ラッチ回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板ケースの取り外しにより断電又は通電動作するスイッチと、
前記基板ケース内の制御基板に対して電力を供給するメイン電源供給手段と、
前記メイン電源供給手段の電力断電時において前記スイッチに基板着脱検知信号を供給するバックアップ電源供給手段と、
前記スイッチと接続され、前記バックアップ電源供給手段から出力される基板着脱検知信号の断電又は通電を検知する異常検出手段と、
を備えたパチンコ機。
【請求項2】
前記スイッチが、前記基板ケースを搭載可能な基板アダプタに設けられ、
前記基板アダプタが、前記基板ケースが取り外された状態において前記スイッチを断電又は通電動作させる可動レバーを備えた請求項1記載のパチンコ機。
【請求項3】
前記異常検出手段が、基板着脱検知信号の断電又は通電を検知したことに基づいて所定レベルの電圧を有する異常検知信号をメイン電源供給手段の電力通電時まで出力し続ける請求項1又は請求項2記載のパチンコ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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