説明

パチンコ機

【課題】制御基板からROMが取り外されたことを確実に検知し、不正なROMにより遊技が実行されることを確実に防止することが可能なパチンコ機を提供する。
【解決手段】ICソケット115が、ROM110のリードピン117と制御基板100とを導通させる接触端子119と、接触端子119に対して導通又は非導通となるスイッチ端子121と、ICソケット115からROM110が取り外されたときに接触端子119とスイッチ端子121とを導通させ、ICソケット115にROM110が取り付けられたときに接触端子119とスイッチ端子121とを非導通にするスイッチ片122とを備え、接触端子119とスイッチ端子121との間に接続され、スイッチ片122が接触端子119とスイッチ端子121とを導通させたときに、ICソケット115からROM110が取り外されたことを記憶する記憶手段112を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関し、特に不正改造を防止可能なパチンコ機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、遊技機の一例としてのパチンコ機には、遊技全般を統括する主制御基板と、主として遊技の進行に合った演出動作を統括する演出制御装置とが搭載されており、主制御装置側において実行される大当り抽選処理の結果により演出コマンドが生成され、該演出コマンドを受信した演出制御装置が抽選処理の結果を遊技者に対して報知する態様により、各種の演出処理を実行する構成となっている。また、近年においては、パチンコ機を不正に改造することによって不正な大当りを得ようとする所謂ゴト行為と呼ばれる不正行為が横行しており、具体的にはパチンコ機へのメイン電源の供給がなされていない夜間等を見計らって大当り抽選処理を実行する主制御基板を遊技盤から取り外し、主制御基板上に搭載されたROMを不正なプログラムが書き込まれたROMに交換する等して、例えば、通常のプログラムではあり得ない頻度で大当りを得ることができるパチンコ機に改造する不正行為が行われている。
このような不正行為を防止するために、特許文献1には、メイン電源が供給されていない場合において、バックアップ電源からの電源供給により不正を監視する構成の遊技機が開示されているが、ROMを取り外す行為を直接的に検知する構成とはなっておらず、不正行為の防止により一層の改善が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO 2008/139722 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、メイン電源が供給されていない場合に制御基板からROMが取り外されたことを確実に検知し、不正なROMにより遊技が実行されることを確実に防止することが可能なパチンコ機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためのパチンコ機に係る構成として、パチンコの遊技を制御する制御基板に設けられ、パチンコの遊技に関する情報を記憶し、複数のリードピンを有するROMが装着されるICソケットを備えるパチンコ機であって、ICソケットが、ROMのリードピンと制御基板とを導通させる接触端子と、接触端子に対して導通又は非導通となるスイッチ端子と、ICソケットからROMが取り外されたときに接触端子とスイッチ端子とを導通させ、ICソケットにROMが取り付けられたときに接触端子とスイッチ端子とを非導通にするスイッチ片とを備え、接触端子とスイッチ端子との間に接続され、スイッチ片が接触端子とスイッチ端子とを導通させたときに、ICソケットからROMが取り外されたことを記憶する記憶手段を備える構成とした。
本構成によれば、ICソケットが、ROMのリードピンと制御基板とを導通させる接触端子と、接触端子に対して導通又は非導通となるスイッチ端子と、ICソケットからROMが取り外されたときに接触端子とスイッチ端子とを導通させ、ICソケットにROMが取り付けられたときに接触端子とスイッチ端子とを非導通にするスイッチ片とを備えることにより、ROMがICソケットから取り外されたことを確実に検知することができる。また、接触端子とスイッチ端子との間に接続され、スイッチ片が接触端子とスイッチ端子とを導通させたときに、ICソケットからROMが取り外されたことを記憶する記憶手段を備えることにより、例えば、パチンコ機へのメイン電源の供給がなされていない夜間に主制御基板のICソケットからROMが取り外され、不正なROMに交換されたとしても、交換した人間に気付かれることなくROMの交換を検知することができる。
また、上記課題を解決するためのパチンコ機に係る他の構成として、接触端子、スイッチ端子及びスイッチ片が、ROMに電源を供給するリードピンの位置に対応してICソケットに設けられる構成とした。
本構成によれば、ICソケットの構造を簡素化でき、コストの上昇を防ぐことができる。
【0006】
なお、上記発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、特徴群を構成する個々の構成もまた発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】パチンコ機の制御ブロック図である。
【図2】パチンコ機の概略正面図である。
【図3】主制御基板の概略構成図である。
【図4】ICソケットの外観図及び断面図である。
【図5】ICソケット及び記憶回路との接続を示す回路図である。
【図6】ROMの着脱の検出動作を示す図である。
【図7】ROMの着脱の検出動作を示す図である。
【図8】ROMの着脱の検出動作を示す図である。
【図9】ICソケットの他の形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、遊技機の一例としてのパチンコ機1の制御系を示すブロック図であり、図2は、パチンコ機1を正面からみた概略図である。同図を用いてパチンコ機1の概要について説明する。
パチンコ機1の制御装置は、遊技盤2の背面側に搭載されており、遊技全般の処理を司る主制御基板100、及び、主制御基板100によって生成されるコマンドに基づいて動作する演出制御基板200を主たる制御基板として備え、各制御基板に接続された遊技装置を制御する。
主制御基板100の入力側には、始動球検出器30、一般球検出器32,大入賞検出器34等を始めとする複数の球検出器が図外のインターフェイスを介して接続されている。なお、主制御基板100には、上記検出器の他、図外の通過式のゲートスイッチ等も接続されているので、始動球検出器30や大入賞検出器34を複数設けた構成としてもよい。
図2に示すように、パチンコ機1の遊技盤2の前面には、入賞部品としての始動入賞部品4、一般入賞部品6、大入賞部品8が個別に配設されており、内ガイドレール9及び外ガイドレール10で囲まれた遊技領域2A内に打ち出された球は、不図示の釘や障害物によって下方に誘導されながら各入賞口に入球、或いは、入球することなく遊技盤2の最下部に開設されたアウト口11から回収される。
【0010】
始動球検出器30、一般球検出器32、大入賞検出器34は、それぞれ始動入賞部品4、一般入賞部品6、大入賞部品8に対応して設けられた、例えば球の直径よりも僅かに大径な検出孔を有する近接センサーであって、各入賞部品に取り込まれた球の流下経路上において、球の通過時間に応じた幅を有するパルス信号を主制御基板100側に出力する。
【0011】
主制御基板100は、前記各検出器からの入力に基づいて演出制御基板200、払出制御部300、発射制御部400に対して制御コマンドを送信する処理や、大入賞ソレノイド40及び特別図柄表示装置41に駆動信号を出力する処理を実行する所謂コンピュータである。主制御基板100は、所定の遊技用プログラムが格納されたROM110と、ROM110に格納されたプログラムに従って動作する演算手段としてのCPU111、演算に必要なデータやコマンドを一時的に格納するRAM及び不図示のI/Oポート等の通信手段と、ROM110の着脱を記憶する記憶手段としての記憶回路112とを備え、演出制御基板200等を始めとする各制御部、或いは、駆動部品と接続されている。
【0012】
主制御基板100には、電源供給部150を介して外部電源が入力されており、電源供給部150は、外部から入力される電力の電圧を各制御部の動作に必要な直流電圧に変換して供給する。また、演出制御基板200、払出制御部300、発射制御部400には、主制御基板100から延長する不図示の電源供給線を介して電源供給部150からの電力が供給されている。つまり、電源供給部150からの電力は、主制御基板100を経由して各制御部に供給される。また、電源供給部150には、電源スイッチが設けられており、当該電源スイッチがON動作されることにより、パチンコ機1が起動する。つまり、電源供給部150はパチンコ機1におけるメイン電源供給手段である。なお、主制御基板100を経由せずに、電源供給部150から各制御部に対して直接電源を供給する構成としてもよい。
【0013】
演出制御基板200は、主制御基板100からの各種の制御コマンドを受信し、コマンドの種類に応じて図2に示す表示灯47、スピーカ48、保留ランプ49及び演出図柄表示装置50を駆動制御する。演出制御基板200は、主制御基板100と同様に所定のプログラムが格納されたROM110、ROM110に格納されたプログラムに従って動作する演算手段としてのCPU111、演算に必要なデータやコマンドを一時的に格納するRAM及び不図示の通信手段とを備えており、遊技の進行に合わせて出力側に接続された上述の遊技部品を駆動制御する。
【0014】
払出制御部300は、主制御基板100から送信される払出コマンドに基づいて払出機構350を駆動制御し、遊技盤2上に複数配設された入賞部品への球の入球に対する対価としての賞球を払い出す。主制御基板100は、例えば、始動球検出器30からの入力を契機として賞球を3個払い出すべき情報を含む払出コマンドを生成し、払出制御部300に送信する。なお、賞球数は例えば一般入賞部品6への入球に対して5個、大入賞部品8の入球に対して15個として予め設定されている。
【0015】
発射制御部400は、主制御基板100から送信される発射許可コマンドに基づいて打出機構450を駆動制御し、球を遊技盤2上に連続的に打ち出させる。図2に示すように打出機構450は、双方向に回動可能なハンドル部を有し、ハンドル部が右方向に回動されることにより打ち出しを開始し、左側に回動されることにより打ち出しが停止する構成である。また、打出機構450には、遊技者の接触を感知する図外のタッチセンサーが内蔵されており、発射制御部400は、タッチセンサーからの入力がない場合、打ち出し動作を禁止する。
【0016】
以下、上記構成からなるパチンコ機1の遊技の流れについて概説する。遊技領域2A上に打ち出された球が遊技盤2の略中央に配設された始動入賞部品4に入球すると、入球した球は始動球検出器30によって検出され、始動球検出信号が主制御基板100側に出力される。主制御基板100は、始動球検出信号が入力されたことを契機として特別図柄当否判定処理(以下、特図判定処理という。)、特別図柄変動処理(以下、特図変動処理という。)、演出図柄変動処理、及び、払い出し制御処理を実行する。以下、各処理について説明する。
【0017】
特図判定処理は、大当り判定処理とも呼ばれ、主制御基板100のCPU111が始動球検出信号の入力を契機として、不図示の当否判定用乱数カウンタから値(乱数)を取り込み、当該乱数が「当り」又は「外れ」に対応する値であるかを判定する処理である。具体的には、主制御基板100のROM110内には、複数の乱数と各乱数に対応する結果(「当り」又は「外れ」)が対応付けられて規定された当否判定テーブルが格納されており、始動球検出信号の入力を契機として読み込まれた乱数と当否判定テーブルとを照合することにより、取得された乱数が「当り」又は「外れ」に対応するものであるかが判定される。
【0018】
特図変動処理、及び、演出図柄変動処理は、上述の特図判定処理の結果に基づいて特別図柄表示装置41(図2参照)上に表示される特別図柄、及び、演出図柄表示装置50上に表示される演出図柄を変動表示させ、特図判定処理の結果を示す所定の態様により停止表示させる処理である。
【0019】
具体的には、特図判定処理の結果が「当り」である場合には、主制御基板100が特別図柄表示装置41を駆動制御し、特別図柄表示装置41を構成する7セグメントランプやLEDランプを所定時間変動させた後、特図判定処理の結果が「当り」であることを示す態様(例えば、同一の数字や記号のゾロ目や「当り」を示すLEDランプの組み合わせ)で停止表示させる。
一方、特図判定処理の結果が「外れ」である場合には、特別図柄表示装置41を構成する7セグメントランプやLEDランプを所定時間変動させた後、特図判定処理の結果が「外れ」であることを示す態様(例えば、互いに異なる数字や記号の並び目や「外れ」を示すLEDランプの組み合わせ)で停止表示させる。
【0020】
主制御基板100は、特別図柄表示装置41の駆動制御とともに、演出制御基板200に対して表示制御コマンドを送信し、演出制御基板200による演出図柄表示装置50の駆動制御を実行させる。表示制御コマンドには、演出図柄の変動開始から変動停止までの変動時間、予告演出の有無やその態様、リーチ演出の有無やその態様、及び、停止図柄等に関する各種の情報が含まれており、表示制御コマンドを受信した演出制御基板200は、表示制御コマンドの内容を解析し、コマンドの内容応じて必要な演出データ等をROM110から読み出して演出図柄表示装置50を駆動制御する。
【0021】
予告演出やリーチ演出の有無や態様、或いは、停止図柄の種別は、例えば前述の当否判定用乱数カウンタとは別に設けられた各種の乱数カウンタより取得される乱数(変動時間用乱数,予告演出用乱数,リーチ演出用乱数,停止図柄用乱数)と、当該乱数と対応付けられた情報が規定されたデータテーブルとから決定される。また、これらの乱数は、当否判定用乱数と同様に、始動球検出器30からの入力を契機として取得される。
【0022】
例えば、前述の特図判定処理の結果が「当り」である場合には、演出制御基板200は、表示制御コマンドに基づいて所定時間の間、数字や特定のキャラクターより構成される複数の演出図柄(図示の例は数字の「7」)を上下方向にスクロール表示させ、3つの演出図柄のうち、2つの演出図柄を同一の図柄で先行して停止させることによりリーチ状態を生成する。そして、例えば所謂スーパーリーチ演出を経た後に、残る1つの演出図柄を他の2つの演出図柄と同一の図柄により停止表示させることによって、遊技者に対して特図判定処理の結果が「当り」であることを報知する。
【0023】
一方、特図判定処理の結果が「外れ」である場合には、複数の演出図柄を上下方向にスクロール表示させ、リーチ状態を生成又は生成することなく3つの演出図柄を停止表示させて、遊技者に対して特図判定処理の結果が「外れ」であることを報知する。
なお、リーチ状態が生成された場合には、残る1つの演出図柄は、スーパーリーチ演出を経て、或いは、経ることなくリーチ状態を生成した図柄と異なる図柄で停止表示されることとなる。
また、特別図柄表示装置41上に表示される特別図柄と、演出図柄表示装置50上に表示される演出図柄との変動開始時期、変動表示時間、変動停止時期は互いに略同期しており、特図判定処理の結果が、特別図柄及び演出図柄によって略同時期に報知される。なお、主制御基板100から送信されるコマンドは表示制御コマンドのみではなく、遊技の進行によって表示灯47,スピーカ48,保留ランプ49を駆動制御するための各種のコマンドも送信される。
【0024】
特図判定処理の結果が「当り」であり、特別図柄及び演出図柄が「当り」を示す態様で停止表示された後には、大当り遊技処理が実行される。大当り遊技とは、主制御基板100が、大入賞ソレノイド40を駆動し、大入賞部品8が有する開閉体を開放状態とする遊技者にとって有利な遊技である。開閉体が開放状態となることにより、遊技盤2上に打ち出された球は、大入賞部品8内に入球可能となり、内部に配設された大入賞検出器34によって検出される。開閉体の1回(1ラウンド)の開放動作は、例えば開放開始から大入賞検出器34により球が10個検出されるまで、又は、開放開始から24秒経過するまでのうち、いずれか早い条件が成立するまで継続する。そして、当該開放動作が、例えば最大15回(15ラウンド)まで繰り返されることにより、前述の払出制御部300の駆動制御によって、その間に入球した球に対する賞球が一時に大量(15×10×15=2250個)に払い出されることとなる。
【0025】
図3は、主制御基板100の概略構成図である。また、図4(a)は、ICソケットの外観図、図4(b)は、図4(a)におけるA−A断面における断面図である。以下、図3,図4を用いて主制御基板100の主要な構成について説明する。
図3に示すように、主制御基板100は、ROM110を装着可能なICソケット115と、ICソケット115からのROM110の着脱を記憶する記憶回路112と、CPU111を含むその他の複数の電気部品が実装される。
図4(a),(b)に示すように、ICソケット115は、非導電性材からなる矩形状のソケットハウジング116にROM110の入出力端子である複数のリードピン117が個別に嵌る複数の嵌合部118を備える。嵌合部118は、ROM110のリードピン117のピッチ間隔及び数量に対応してソケットハウジング116に形成される。
【0026】
以下、嵌合部118の構造について説明する。
各嵌合部118には、ROM110のリードピン117と接触する接触端子119と、嵌合部118に嵌るリードピン117が接触端子119に接触するように位置決めする位置決部120と、ICソケット115へのROM110の装着の有無により接触端子119に対して導通又は非導通となるスイッチ端子121とを備える。
【0027】
接触端子119は、ソケットハウジング116の外周壁116A側に位置し、外周壁116Aに沿って図外の固定手段により嵌合部118内に脱落不能に固定される。
接触端子119は、導電性を有する金属片を成形したものであって、リードピン117と接触する接触部119Aと、主制御基板100に固定される固定部119Bと、接触部119Aと固定部119Bとを接続する胴部119Cの各部より構成される。
【0028】
接触部119Aは、胴部119Cの上端部よりスイッチ端子121側に湾曲する部分であって、湾曲する表面においてリードピン117の表面と接触する。
固定部119Bは、主制御基板100より下方に露出する部分であって、主制御基板100に開設された孔を貫通可能な寸法及び形状に形成される。固定部119Bは、接触端子119がソケットハウジング116に固定された状態において、ソケットハウジング116の下端よりも下側に突出して、主制御基板100にプリントされた回路にハンダ付けされる。
胴部119Cは、接触部119Aと固定部119Bとを接続する部分であって、延長方向略中央にスイッチ片122を備える。スイッチ片122は、平板状の導電性を有する素材からなり、スプリング123を介して胴部119Cに対して回転可能に取り付けられる。スプリング123には、導電性を有する素材からなるねじりばねが適用され、スイッチ片122へのスプリング123による付勢力が上向き回転となるように一端が胴部119Cに固定され、他端がスイッチ片122に固定される。
つまり、スイッチ片122の先端部は、リードピン117が嵌合部118内に挿入されていない場合において、スイッチ端子121の接点121Aと導通状態となり、挿入されている場合において非導通状態となる。
【0029】
位置決部120は、嵌合部118において接触部119Aと対面するソケットハウジング116の内壁面116Bに形成される。詳細には、図4(b)に示すように、位置決部120は、断面略三角形状に内周壁116Bから外周壁116Aに向けて突出するように内周壁116Bに一体に形成される。位置決部120の上傾斜面120aが、ICソケット115にROM110を装着するときに、リードピン117を接触部119A方向にガイドし、頂部120bがリードピン117を接触部119Aに押圧する。なお、位置決部120は、ソケットハウジング116とは別体に形成することも可能である。
【0030】
スイッチ端子121は、接触端子119の対向側に固定され、スイッチ片122と接触する接点121Aと、主制御基板100に固定される固定部121Bとを備える。スイッチ端子121は、導電性を有する金属片をL字状に成形したものであって、一方の片部が接触端子119方向に延長し、他方の片部が内壁面116Bに沿って延長する。一方の片部は、スイッチ片122と接触する接点121Aを備える。接点121Aは、スイッチ端子121をソケットハウジング116に固定した状態において、半球状に下側に突出し、スイッチ片122が接点121Aに対して下側から接触するように形成される。固定部121Bは、ソケットハウジング116の下端よりも下側に突出し、主制御基板100に開設される孔を貫通して、主制御基板100のプリント回路側にハンダ付け等で固定される。
【0031】
つまり、ICソケット115は、接触端子119と、スイッチ片122と、スイッチ端子121とで、ROM110の着脱に伴なって開閉するスイッチを構成する。言い換えると、ICソケット115は、スイッチの開閉によりROM110の着脱を検出する検出手段を備えている。
【0032】
図5は、ICソケット115に装着されたROM110を模式的に示し、接触端子119とスイッチ端子121と接続される記憶回路112の一例としての回路図である。
図5では、ROM110に電圧が供給される電源入力ポートが、ROMにおける1番リードピンとして図示してある。
ROM110の電源入力ポートから延長するリードピン117が嵌合する嵌合部118の接触端子119とスイッチ端子121との間には記憶回路112が接続される。記憶回路112は、接触端子119と接続されるコネクタa1と、スイッチ端子121と接続されるコネクタb1と、ダイオードD1、抵抗R1:R2及びコンデンサC1からなる回路とにより構成される。記憶回路112には、電源供給部150から所定の直流電圧が供給される。供給される電圧は、順方向に接続されるダイオードD1を介して入力され、抵抗R1を経由してコネクタa1に供給され、コネクタa1と接続する接触端子119を介してROM110の電源入力ポートに供給される。また、コネクタa1と抵抗R1との間には、コンデンサC1が接地された状態で接続される。コネクタb1は、抵抗R2を介して接地される。
また、コネクタa1及びコネクタb1は、ICソケット115にROM110が取り付けられたときには非導通となり、ICソケット115からROM110が取り外されたときには導通となる。
【0033】
よって、記憶回路112は、次のように動作する。主制御基板100が遊技状態にあるときには、記憶回路112に電源供給部150からの電圧が供給される。記憶回路112に供給された電圧は、接触端子119とスイッチ端子121とが非導通であるので、ダイオードD1、抵抗R1を経由してコンデンサC1及び接触端子119に供給される。換言すれば、ICソケット115にROM110が取り付けられた状態において電源供給部150から供給された電圧は、ダイオードD1、抵抗R1を経由してコンデンサC1を充電する一方で、ダイオードD1、抵抗R1、コネクタa1、接触端子119を経由してROM110に供給される。つまり、コンデンサC1とROM110に同じ電圧が印加される。
【0034】
また、主制御基板100が遊技状態でないとき、つまり、メインスイッチがオフで、記憶回路112には電源供給部150からの電圧が供給されない状態において、ROM110がICソケット115から取り外されたときには、記憶回路112は、コンデンサC1に充電された電荷をコネクタa1、接触端子119、スイッチ片122、スイッチ端子121、コネクタb1、抵抗R2を介して放電するため、ROM110には、抵抗R2によって制限された電圧が供給される。
【0035】
ROM110の電源入力ポートは、主制御基板100の回路においてCPU111と接続される。ROM110内には、電源投入時に、各制御装置の動作確認をCPU111を実行させる起動プログラムが記憶される。起動プログラムは、各制御装置に供給される電圧が正しく供給されているかどうかの確認をCPU111により実行させる。
【0036】
例えば、CPU111が主制御基板100に供給される電圧を確認する場合、ROM110の電源入力ポートに入力される電圧に基づいて電圧の確認を行う。詳細には、記憶回路112からROM110の電源入力ポートに供給される電圧の状態、即ち、記憶回路112内のコンデンサC1の充電状態により変化する電源入力ポートへの電圧を検出することとなる。
【0037】
CPU111は、内蔵する論理演算回路により、ROM110の電源入力ポートに入力される電圧と、比較基準となる参照電圧とを比較して、電源入力ポートの電圧の状態を判定する。論理演算回路では、参照電圧と、電源入力ポートに供給される電圧とが等しいときには、論理値を“1”として出力し、ROM110内に記憶する起動プログラムの継続処理をする。また、参照電圧と電源入力ポートに供給される電圧とに差があるときには論理値を“0”として出力する。
【0038】
図6乃至図8は、ROM110の着脱による記憶回路112の動作及び電源入力ポートに供給される電圧を示す図である。
例えば、図6(a)に示すように、遊技中に何らかの原因によりパチンコ機を再起動した場合、ROM110がICソケット115に装着されているので、接触端子119とスイッチ端子121とが非導通状態である。このような場合、図6(b)に示すように、記憶回路112内のコンデンサC1は充電された状態となっているので、再起動時の電源入力ポートには、電源供給部から供給される電圧が直接入力される。この場合、CPU111による起動時の検査では、電源入力ポートに入力された電圧がHIGHであると検知する。
【0039】
また、図7(a)に示すように、遊技後にパチンコ機のメインスイッチが遮断されている場合において、ROM110がICソケット115から取り外されときには、接触端子119とスイッチ端子121とが導通状態となる。このような場合、図7(b)に示すように、コンデンサC1に充電された電荷が抵抗R2によって放電されるため、電源入力ポートにはコンデンサC1から放電された電圧が入力される。そして、コンデンサC1が完全に放電されると、電源入力ポートの電圧は0Vとなる。
【0040】
また、図7(a)に示すように、遊技後にパチンコ機のメインスイッチが遮断されている場合においてROM110がICソケット115から取り外され、図8(a)に示すように、再びROM110が取り付けられてパチンコ機のメインスイッチがオンとされた場合、スイッチ片122がリードピン117により押下されて、接触端子119とスイッチ端子121とが非導通状態となる。電源供給部150から供給される電圧は、電源入力ポートとコンデンサC1とに供給されることになる。このような場合、図8(b)に示すように、放電されたコンデンサC1が充電されるまでの時間、ROM110の電源入力ポートに入力される電圧は正規の電圧が供給されないため、CPU111は、ROM110の電源入力ポートに入力された電圧がLOWとして検知し、理論値“0”を出力する。そして、演出制御基板200にROM110への電圧異常を検知した信号を出力して、表示灯47、スピーカ48等を動作させてROM110の着脱が行われたことを報知する。
【0041】
よって、CPU111がROM110の電源入力ポートに供給される電圧を監視することにより、メイン電源断電中にICソケット115からROM110が取り外されたことを検知することができる。
【0042】
図9(a),(b)は、ICソケット115の他の実施形態を示す図である。
上記実施形態では、接触端子119の胴部119Cにスプリング123を介してスイッチ片122を固定するように構成したが、これに限られるものではなく、スイッチ片122が取り付けられた位置に接点121A方向に延長する接触子125を固定し、スイッチ端子121と接触端子119との導通、非導通を制御するスイッチ片122を別途設けるようにICソケット115を構成してもよい。
【0043】
図9(a),(b)は、ICソケット115の他の実施形態を示す。なお、図9(a),(b)において、上記実施形態と同一構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
本実施形態のICソケット115の嵌合部118には、底部116Dが形成される。接触端子119とスイッチ端子121とは、底部116Dを貫通して主制御基板100に固定される。本実施形態の接触端子119は、胴部119Cから接点121Aに向けて延長する接触子125を備える。具体的には、接触子125は、一端が接触端子119と電気的に導通するように固定され、他端が接点121Aと所定距離離間するように接点121Aに向けて延長する。具体的には、接触子125は、接点121Aを有するスイッチ端子121の先端と、接触子125の先端との間をリードピン117が通過可能な間隔となるように接点121Aに向けて延長する。
【0044】
嵌合部118内において、接触端子119とスイッチ端子121との間には、接触端子119及びスイッチ端子121との導通を制御するスイッチ片122が配置される。スイッチ片122は、接触端子119とスイッチ端子121との間に固定されるコイルスプリング126に取り付けられる。コイルスプリング126は、接触端子119の延長方向に軸心を向けて底部116Dに固定され、接触端子119及びスイッチ端子121に対して電気的に絶縁状態である。コイルスプリング126は、自然長が底部116Dから接点121Aまでの距離よりも長い長さを有する。
【0045】
スイッチ片122は、導電性を有する素材からなり、平板円板状に形成され、下面がコイルスプリング126に固定される。スイッチ片122は、スイッチ端子121の接点121Aと接触子125の先端とを接続可能な大きさを有し、かつ、接点121A及び接触子125とを接続しないときには、接触端子119及びスイッチ端子121に接触しない大きさに形成される。
なお、スイッチ片122のリードピン117の先端と接触する上面は、平面に限らず、すり鉢状であってもよい。リードピン117によって確実に接触子125を押下することを考慮すれば、スイッチ片122に対してリードピン117の先端が逃げないようにすり鉢状や滑り止めの表面加工が施されていることが好ましい。
【0046】
上記構成のICソケット115によれば、図9(a)に示すように、ROM110が装着されたときに、リードピン117の先端がスイッチ片122と接触ながらコイルスプリング126を押下して、接触端子119とスイッチ端子121との導通を遮断する。また、ICソケットからROM110が取り外されたときには、図9(b)に示すように、コイルスプリング126の付勢力がスイッチ片122を押上げ、スイッチ片122がスイッチ端子121の接点121Aと接触子125と接触することで、接触端子119とスイッチ端子121とが導通する。
このように、ICソケット115を構成しても上記実施形態と同様に、ICソケット115からのROM110の着脱を検出することができる。
【0047】
なお、上記実施形態では、ICソケット115の全ての嵌合部118に接触端子119、スイッチ端子121及びスイッチ片122を設けるとして説明したが、ROM110の電源入力ポートの位置が予め分かっている場合には、ICソケット115の電源入力ポートに対応する位置の嵌合部118のみに、接触端子119、スイッチ端子121及びスイッチ片122を設けるようにしてもよい。
【0048】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に何ら限定されることはなく、実施形態を組み合わせて多様な変更、改良を行い得ることが当業者において明らかである。また、そのような多様な変更、改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0049】
1 パチンコ機、2 遊技盤、2A 遊技領域、30 始動球検出器、
32 一般球検出器、34 大入賞検出器、100 主制御基板、110 ROM、
112 記憶回路、115 ICソケット、119 接触端子、121 スイッチ端子、
122 スイッチ片、150 電源供給部、200 演出制御基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パチンコの遊技を制御する制御基板に設けられ、パチンコの遊技に関する情報を記憶し、複数のリードピンを有するROMが装着されるICソケットを備えるパチンコ機であって、
前記ICソケットが、前記ROMのリードピンと制御基板とを導通させる接触端子と、
前記接触端子に対して導通又は非導通となるスイッチ端子と、
前記ICソケットからROMが取り外されたときに接触端子とスイッチ端子とを導通させ、
前記ICソケットにROMが取り付けられたときに接触端子とスイッチ端子とを非導通にするスイッチ片とを備え、
前記接触端子と前記スイッチ端子との間に接続され、前記スイッチ片が接触端子とスイッチ端子とを導通させたときに、ICソケットからROMが取り外されたことを記憶する記憶手段を備えるパチンコ機。
【請求項2】
前記接触端子、前記スイッチ端子及びスイッチ片が、前記ROMに電源を供給するリードピンの位置に対応して前記ICソケットに設けられる請求項1記載のパチンコ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−59490(P2013−59490A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199567(P2011−199567)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】