説明

パチンコ機

【課題】遊技中に消費電力が許容値を超えるような演出の繰り返しを防止する。
【解決手段】遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤と、演出に用いられる複数の演出装置と、遊技領域に設けられた始動口と、この始動口に遊技球が入賞したことを契機に抽選を行う特別図柄抽選手段と、少なくとも演出時間と演出内容とが規定された演出パターンを決定する演出パターン決定手段と、演出パターンに従って前記複数の演出装置を駆動する演出装置駆動制御手段と、を有するパチンコ機において、当該パチンコ機で消費される電力を監視する電力監視手段(81)と、消費電力の値が予め定めた閾値を超えたと電力監視手段によって判断された場合に、当該判断の時点で行われている演出に対応する演出パターンを履歴として記憶する演出パターン履歴記憶手段(270)とを備えたことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球を用いて遊技を行うパチンコ機に関し、特に、消費電力が許容値を超えることを防止するための制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、パチンコ機には、液晶画面、可動役物、装飾ランプ、その他の電気で駆動する演出装置が数多く搭載されており、これらの演出装置を駆使して、遊技者を惹き付けるための演出が行われている。例えば、始動口に遊技球が入賞すると1回の遊技が行われるが、その遊技中において、可動役物が作動したり、装飾ランプが点滅したり、といったような演出が行われるのである。近年は、より一層派手な演出が求められる傾向にあり、その結果、演出装置の数が増え、消費される電力も増加する一方である。
【0003】
ところで、パチンコ機の許容値(閾値)を超える電力が一時に消費されることになると、演出装置の正常動作ができなくなったり、遊技状態(大当たり遊技、確変状態、時短状態など)がリセットされたりといったトラブルが生じてしまう。このようなトラブルを未然に防ぐために、例えば、特許文献1では、電源投入時に全ての電気部品に電力供給された状態において消費する総電力を強制電力消費手段が一時的に消費し、監視手段にてパチンコ機に接続されたトランスの許容電力内であるか否かを監視するとともに、当該許容範囲を超えた場合に報知手段にて報知する構成が開示されている。この特許文献1によれば、事前にパチンコ機をチェックすることができるから、消費電力がトランスの許容電力を超えてしまうことによって及ぼされる予期せぬトラブルを回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−6917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、遊技者がパチンコ機を遊技している際に、予期せぬ電力が消費される場合も有り得る。例えば、複数の可動役物が順番に作動するような演出が予め定められているような場合において、想定していない制御プログラムの不具合が発生し、複数の可動役物が同時に作動するような不測の事態が生じる場合が有り得る。このような不測の事態が発生した場合に、特許文献1のように、パチンコ機の電源投入時に異常であるか否かを監視するだけの構成では、遊技中のトラブルに対処することはできないといった課題がある。また、仮に、特許文献1の監視手段を用いて遊技中の消費電力を監視するようにしたとしても、エラー報知がなされて遊技が中断されるだけである。そのため、上記従来の技術は、パチンコ機を実際に使用する上で、必ずしも適したものとは言えないのが実情である。
【0006】
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、遊技中に消費電力が許容値を超えるような演出が行われる事態が発生した場合であっても、同じような事態を繰り返さないパチンコ機を提供することにある。また、第2の目的は、遊技中に消費電力が許容値を超えるような演出が行われる事態が生じても、その演出時に消費される電力を抑えるようにして、遊技の中断を回避できるパチンコ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤と、演出に用いられる複数の演出装置と、前記遊技領域に設けられた始動口と、この始動口に遊技球が入賞したことを契機に抽選を行う特別図柄抽選手段と、この特別図柄抽選手段による抽選結果に基づいて、少なくとも演出時間と演出内容とが規定された演出パターンを決定する演出パターン決定手段と、前記演出パターンに従って前記複数の演出装置を駆動する演出装置駆動制御手段と、を有するパチンコ機において、当該パチンコ機で消費される電力を監視する電力監視手段と、消費電力の値が予め定めた閾値を超えたと前記電力監視手段によって判断された場合に、当該判断の時点で行われている演出に対応する前記演出パターンを履歴として記憶する演出パターン履歴記憶手段と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
本発明によれば、遊技中に消費電力の値が閾値を超えた場合の演出パターンが、演出パターン履歴記憶手段に履歴として保存されるから、その履歴情報を適宜用いるようにすれば、消費電力が許容をオーバーするような事態が繰り返して起こることを防止できる。つまり、本発明によれば、演出パターン履歴記憶手段に、消費電力値が許容を超えるようなトラブルの事例を学習させることができるから、その学習結果に基づいて複数の演出装置を駆動するようにすれば、遊技中に同じトラブルが繰り返されることはなくなる。また、本発明によれば、この演出パターン履歴記憶手段に記憶された演出パターンの履歴情報を、将来の機種開発(デバック用など)に生かすこともできる。
【0009】
また、上記構成において、前記演出パターン履歴記憶手段に記憶されている演出パターンと、今回の遊技開始時に前記演出パターン決定手段が決定した演出パターンとが合致するか否かを判定する演出パターン合致判定手段と、前記演出パターン合致判定手段によって前記両方の演出パターンが合致すると判定された場合に、今回の遊技開始時に決定された前記演出パターンを、前記演出時間が同一、かつ、前記演出内容が前記演出パターン履歴記憶手段に記憶されているものと異なる構成の演出パターンに変更する演出パターン変更手段と、を備え、前記演出装置駆動制御手段は、その変更された演出パターンに従って前記複数の演出装置を駆動するように構成するのが好ましい。
【0010】
このように構成すると、演出パターン履歴記憶手段に記憶されている演出パターン(つまり、消費電力が閾値を超えた演出パターン)と異なる演出内容の演出パターンに従って複数の演出装置を駆動することができるから、消費電力が閾値を超える演出が行われることはなくなり、遊技中に予期せぬトラブルが発生することもない。また、上記の構成によれば、演出パターン変更手段が演出パターンを変更する際に、演出パターン履歴記憶手段に記憶されている演出パターンと演出時間を同一のままにしているから、演出時間の調整を行うための制御を新たに追加しなくて済むといった利点もある。
【0011】
ここで、本発明における「演出内容」とは、複数の演出装置をどのような態様で使用するかを定めた内容のことであり、例えば、駆動する演出装置の数、駆動する演出装置の順序、演出装置の駆動方法、演出装置の駆動時間などのあらゆる要素によって定められるものである。そして、「演出内容が異なる」構成とは、演出内容を構成する要素のうち少なくとも一部が異なる構成となっていることを言い、例えば、2つの演出装置を順番に駆動する構成と、2つの演出装置を同時に駆動する構成とでは、駆動のタイミングに関する要素が異なるから、これらは互いに「演出内容が異なる」構成に該当する。また、1つの演出装置を用いる構成と、2つの演出装置を用いる構成とでは、用いる演出装置の数量に関する要素が異なるから、これらも互いに「演出内容が異なる」構成に該当する。さらには、同じ演出装置を用いた演出であっても、演出装置の駆動時間が互いに異なる構成は、本発明の「演出内容が異なる」構成に含まれることとなる。
【0012】
また、上記構成において、消費電力の値が前記閾値を超えたと前記電力監視手段によって判断された場合に、前記演出装置駆動制御手段は、当該判断の時点で行われている演出に対応する前記演出パターンに従うものの、消費電力が前記閾値を超えないよう前記複数の演出装置の駆動を制御するように構成するのが好ましい。
【0013】
このように構成すると、消費電力が一時的に閾値を超えるような場合が起こったとしても、消費電力を抑えるように複数の演出装置の駆動が制御されるので、演出装置の動作が通常通りとはならないものの、予期せぬトラブルが発生して遊技が中断されるといった心配はない。なお、「消費電力が閾値を超えないように複数の演出装置の駆動を制御すること」には、例えば、LEDランプの輝度を落としたり、可動役物の動作スピードを遅くしたりすることが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態例に係るパチンコ機の外観斜視図である。
【図2】図1に示すパチンコ機のガラス扉を開けた状態の外観斜視図である。
【図3】図1に示すパチンコ機の背面図である。
【図4】図1に示すパチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】図4に示す特別図柄抽選処理部の詳細を示すブロック図である。
【図6】図4に示す特別図柄種類決定処理部の詳細を示すブロック図である。
【図7】(a)は図6に示す第1特別図柄種類決定テーブルの詳細を、(b)は図6に示す第2特別図柄種類決定テーブルの詳細をそれぞれ示す図である。
【図8】図7に示す特別図柄の種類と大当たりパターン(大当たり種別、ラウンド数、電サポ回数、アタッカー開放パターン)との関係を示す図である。
【図9】図4に示す特別図柄変動パターンコマンド決定部の詳細を示すブロック図である。
【図10】図9に示す特別図柄共通変動パターンコマンドテーブルの詳細を示す図である。
【図11】図10に示す各変動パターンテーブルと主要変動時間との関係を説明するための図である。
【図12】図9に示す特別図柄変動パターンコマンド決定部が決定する変動パターンコマンドの内容を説明するための図である。
【図13】図10に示す各変動パターンテーブルと特別図柄の種類との対応関係を説明するための図である。
【図14】図4に示す普通図柄抽選処理部の詳細を示すブロック図である。
【図15】図4に示す演出制御処理部の詳細を示すブロック図である。
【図16】図1に示すパチンコ機の遊技の処理手順を示すフローチャートである。
【図17】図16に示す演出装置駆動制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図18】図16に示す演出態様決定処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明の実施の形態例を、図面を参照して説明する。図1および図2に示すように、本発明の実施の形態例に係るパチンコ機Pは、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた本体枠2と、本体枠2の内側に収容された遊技盤3と、本体枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられ、中央に大きく開口部8が形成されたガラス扉4と、このガラス扉4の開口部8に取り付けられた透明なガラス板10と、本体枠2の下側に開閉自在に配設され、遊技球を収容する受皿5を有する前面ボード6と、本体枠2の下部に設けられた発射装置9と、前面ボード6に取り付けられたハンドル7等を具備している。さらに、ガラス扉の周縁部には複数のLEDランプ50a,b,c…(図1、2において図示せず)が設けられていると共に、ガラス扉4の上部にはスピーカ20が左右に1個ずつ取り付けられており、遊技に関する様々な効果音を発している。
【0016】
また、図3に示すように、このパチンコ機Pは、背面側に、主制御処理部11、演出制御処理部12a、特別図柄表示制御部12b、払出制御処理部12e、普通図柄表示制御部12f、発射制御処理部13、賞球払出装置14等を備えている。
【0017】
これらの各種制御部、装置等には、図4に示すように、電源供給装置80から電力が供給される。この電源供給装置80は、AC24V電源によって供給される電力から、DC32V電源、DC12V電源、DC5Vのバックアップ電源を生成することができるようになっている。さらに、電源供給装置80には、パチンコ機P全体の消費電力を監視するための電力監視装置81が設けられており、消費電力が予め定められた閾値(本実施形態では180ワット(W))を超えたか否かを監視している。なお、本パチンコ機Pの使用可能な消費電力の最大値が200Wであることを考慮して、その最大値の90%である180Wを閾値として定めている。
【0018】
本パチンコ機Pは、通常の使用ではこの閾値を超えることがないように設計されているが、発射装置9が作動し、賞球払出装置14が作動し、後述する各種可動役物51,52,53等が予期せぬ状態で同時に作動したような場合に、パチンコ機Pの消費電力が一時的にこの閾値を超える場合が起こり得る。そのために、この電力監視装置81が設けられているのである。そして、電力監視装置81が閾値を超えたと判断した場合の制御について、本実施形態に係るパチンコ機Pは特筆すべき特徴を有しているが、この特徴については後ほど詳しく説明する。
【0019】
続いて、図1〜図4を参照して、本実施形態に係るパチンコ機Pの構成を詳しく説明していくことにする。
【0020】
遊技盤3は、その盤面に遊技領域31を有しており、本体枠2に装着した後、ガラス板10から遊技領域31を観察することができる。遊技領域31は、遊技球を滑走させるガイドレール32と遊技球規制レール33によって略円形状となるように区画形成されており、発射装置9によって打ち出された遊技球はこの遊技領域31内を流下する。また、遊技領域31内には、特別図柄表示装置17と、演出表示装置34と、スルーチャッカ21と、普通図柄表示装置22と、電動チューリップ(普通電動役物)49と、ステージ36と、第1始動入賞口(始動口)37aと、第2始動入賞口(始動口)37bと、一般入賞口38と、アウト口39と、遊技釘(図示せず)と、風車(図示せず)と、アタッカー装置(特別電動役物)41等が設けられている。また、図示しないが、LEDランプ50o,p,q…も遊技盤3には適宜埋め込まれている。
【0021】
なお、遊技盤3の盤面構成について説明を補足すると、本実施形態では、図2に示すように、第1始動入賞口37aと第2始動入賞口37bは上下に近接した位置(近傍位置)に設けられており、発射装置9の発射強度が弱〜中のとき(所謂、ぶっこみ狙いで遊技球を発射した場合)には、遊技球は演出表示装置34の左側を流下して第1始動入賞口37aと第2始動入賞口37bの何れにも入賞することが可能である。ただし、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞するためには、後述する電動チューリップ49が開放される必要がある。つまり、ぶっこみ狙いで遊技球を発射しても、通常は第1始動入賞口37aにしか遊技球が入賞することはないが、電動チューリップ49が開放しているときには、第2始動入賞口37bにも遊技球を入賞させることができる構成となっているのである。
【0022】
また、アタッカー装置41は、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞して特図当たりに当選した場合と、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞して特図当たりに当選した場合の両方で作動し、ぶっこみを狙って遊技球を打ち出していれば、アタッカー装置41内の大入賞口42に遊技球を入賞させることができるようになっている。
【0023】
演出表示装置34は、遊技盤3の略中央部に設けられ、第1始動入賞口37aまたは第2始動入賞口37bに遊技球が入賞することを契機に行われた特別図柄に係る電子抽選の結果に基づいて所定の演出態様を表示するものであって、本実施形態では液晶表示装置が用いられている。この演出表示装置34には、画面全体に背景画像が表示されるほか、所定の演出態様の一部として、特別図柄表示装置17に変動表示される特別図柄と同期をとってダミー図柄(演出図柄)が変動表示されるようになっている。なお、この演出表示装置34には、保留球乱数が保留球乱数記憶部(メモリ)115a、115bに記憶された場合に保留表示(保留球乱数が記憶された旨の表示)を行うための表示領域が区画形成されている。つまり、この表示領域の部分が保留球表示装置34aとなっているのである。
【0024】
また、詳しくは図示しないが、演出表示装置34の近傍には、3つの可動役物51,52,53が設けられている。具体的には、演出表示装置34の上部には、ロゴが成形されたロゴ役物51が設けられ、演出表示装置34の右側には、刀をモチーフにした刀役物52が設けられ、演出表示装置34の下部には、王冠をモチーフにした王冠役物53が設けられている。ロゴ役物51は、演出表示装置34の上部に隠れた位置から落下して、演出表示装置34の画面を遮るように動作する可動役物である。一方、刀役物52は、演出表示装置34の右側側部に隠れた位置から左側に傾動して演出表示装置34の画面を遮るように動作する可動役物である。また、王冠役物53は、ステージ36に埋没して隠れた位置から上方に出現して、演出表示装置34の画面を遮るように動作する可動役物である。なお、これらロゴ役物51、刀役物52、および王冠役物53は、モータあるいは電磁ソレノイドに給電することによって駆動するようになっている。
【0025】
このように、本実施形態に係るパチンコ機Pには、演出表示装置34、LEDランプ50a,b,c…、スピーカ20、ロゴ役物51、刀役物52、王冠役物53等の装置が搭載されているが、これらの装置は、後述する各種演出に用いられるものであり、本発明に係る「複数の演出装置」に相当するものである。
【0026】
また、特別図柄表示装置17は、第1始動入賞口37aまたは第2始動入賞口37bに遊技球が入賞することを契機に行われた特別図柄に係る電子抽選の結果を表示するためのものであって、より具体的には、抽選結果を、特別図柄(数字や絵柄)を変動させた後に停止させるといった態様で表示するものである。この特別図柄表示装置17は、本実施形態では7セグメント表示器が用いられており、演出表示装置34を見ている遊技者の視界に同時に入らないように遊技盤3の右下部分に離れて設けられている。そして、7セグメント表示器を点滅表示させることにより特別図柄が変動し、その点滅が停止して点灯表示に変わることで特別図柄の変動が停止する。この点滅中の時間が、特別図柄の変動時間である。
【0027】
なお、本実施形態では、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことに基づく遊技よりも、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことに基づく遊技を優先して実行するようになっているので、第1始動入賞口37aと第2始動入賞口37bの抽選結果を同時に表示することはない。よって、2つの始動入賞口37a、37bに遊技球が入賞したことに基づく抽選の結果を1つの特別図柄表示装置17で表示している。勿論、特別図柄表示装置17を別個に2つ設けることもできることは言うまでもない。
【0028】
スルーチャッカ21は、遊技球が通過可能なゲート構造を成しており、その内部には遊技球が通過したことを検知する磁気センサタイプのスルーチャッカ検知センサ46が内蔵されている。また、このスルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に行われる普通図柄に係る電子抽選の結果を表示するための普通図柄表示装置22が、特別図柄表示装置17の隣に設けられている。この普通図柄表示装置22は、本実施形態では、二つのLEDランプで構成されており、普図当たりのときに一方のLEDランプが点灯し、ハズレのときには他方のLEDランプが点灯するようになっている。なお、2つのLEDランプを交互に点滅表示させることにより普通図柄が変動し、その点滅が停止して点灯表示に変わることで普通図柄の変動が停止する。この点滅中の時間が、普通図柄の変動時間である。
【0029】
電動チューリップ(普通電動役物)49は、第2始動入賞口37bの入口に設けられ、遊技盤3の面に直交する軸を中心に回動する一対の羽根部材を備えており、ソレノイドに通電がなされると一対の羽根部材が互いに離れる方向に回動して、第2始動入賞口37bの入口を拡大するようになっている。そして、電動チューリップ49が開放されない限り、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞することはない。なお、電動チューリップ49は、一対の羽根部材が開閉する構造のものに限らず、その他の構造、例えば、板状部材が手前側に倒れることにより第2始動入賞口37bが露呈され、板状部材の上に乗ったパチンコ球が、そのまま板状部材に案内されて第2始動入賞口37bに入賞するような構造のもの(所謂、ベロ式電チュー)を用いることもできる。
【0030】
また、ステージ36は、演出表示装置34の下方に配置されており、遊技球が転動しながら一時的に滞在する構造物である。このステージ36の中央には溝が形成されており、この溝の真下の位置には第1始動入賞口37aが配されている。そのため、溝から落下した遊技球は、高い確率で第1始動入賞口37aへと導かれる。
【0031】
アタッカー装置(特別電動役物)41は、第1始動入賞口37aまたは第2始動入賞口37bに遊技球が入賞することを契機に行われる特別図柄に係る電子抽選の結果、特図当たりとなって大当たり遊技に移行した場合に所定回数開放される装置である。このアタッカー装置41は、水平な軸を中心として前後方向に開閉する板状の蓋部材を備えており、図示しないソレノイドを駆動することにより蓋部材が水平軸回りに回動する構成となっている。そして、蓋部材が開いた状態では遊技領域31の下部に設けられた大入賞口42が露呈され、その大入賞口42に遊技球を入賞させることができる構成となっている。
【0032】
つまり、アタッカー装置41は、常態では蓋部材が大入賞口42を閉じているため、大入賞口42に遊技球が入賞することはないが、上記したように、大当たり遊技に移行すると、蓋部材が開放されて大入賞口42が露呈されるため、遊技球を大入賞口42内に入賞させることが可能となるのである。そして、大入賞口42に遊技球が入賞すると、所定個数の遊技球が賞球として遊技者に払い出される。即ち、遊技者は、大入賞口42に遊技球を入賞させることによって出玉を獲得できるのである。また、大入賞口42は、横長な長方形の開口であり、アタッカー装置41の蓋部材は、この大入賞口42の形状とほぼ同じ形状を成している。
【0033】
なお、本実施形態では、アタッカー装置41の開放回数は2R(ラウンド)または15R(ラウンド)の2種類である。ラウンド数が多い方が、遊技者がより多くの賞球を獲得できることは言うまでもない。なお、特別図柄の種類に応じてラウンド数が異なるようになっているが、これについては、後ほど詳しく説明する。
【0034】
また、一般入賞口38に遊技球が入賞すると、所定個数の遊技球が賞球として遊技者に払い出される。そして、第1始動入賞口37a、第2始動入賞口37b、一般入賞口38、およびアタッカー装置41の何れにも入らなかった遊技球は、アウト口39から回収される。なお、第1始動入賞口37a、第2始動入賞口37b、一般入賞口38、大入賞口42の内部にはそれぞれ遊技球の通過を検知するためのセンサ43a,43b,44,45(図4参照)が設けられている。
【0035】
前面ボード6には遊技球を収容するとともに、外部に排出可能な受皿5が取り付けられている。この受皿5は、遊技者が投入した遊技球を収容するだけでなく、賞球払出装置14から賞球として払い出された遊技球も収容可能となっている。また、遊技球を遊技領域31に向けて発射するための発射装置9が本体枠2の下部に取り付けられており、受皿5に収容されている遊技球がこの発射装置9に1個ずつ供給される。そして、前面ボード6の右下に取り付けられたハンドル7を回動させると、その回動量に応じた発射強度で発射装置9が遊技球を遊技領域31へと発射することができるようになっている。また、図1に示すように、受皿5の側部には、遊技者が押下操作するタッチボタン60が設けられている。
【0036】
主制御処理部11は、遊技盤3の裏面に支持部材等を介して設けられている。この主制御装置11は、CPU(Central Processing Unit)と、予め定められた制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、生成された処理情報の一時記憶及び記憶した情報の削除を行うRAM(Random Access Memory)等とにより構成されている。このCPUがROMに格納された各種プログラムやデータを読み込んで実行することにより、遊技に関する主要な処理が行われる。
【0037】
具体的には、図4に示すように、主制御処理部11は、始動入賞口37a,37bに遊技球が入賞したことを契機に特別図柄の当否に係る抽選を行う特別図柄抽選処理部(特別図柄抽選手段)110と、この特別図柄抽選処理部110による抽選で特図当たりに当選した場合に、その当選に係る特別図柄の種類を抽選で決定する特別図柄種類決定処理部120と、特別図柄の変動時間に関する情報を含むコマンドである変動パターンコマンド(演出パターン)を決定するための特別図柄変動パターンコマンド決定部(演出パターン決定手段)130と、所定条件が成立したことに基づいて、特別図柄に係る遊技状態および普通図柄に係る遊技状態をそれぞれ設定する遊技状態設定部140と、特別図柄抽選処理部110による抽選結果の判定が特図当たりとなった場合に、特別図柄種類決定処理部120で決定した特別図柄の種類に応じてアタッカー装置41(のソレノイド)を作動させて大当たり遊技に移行する大当たり遊技制御部160とを備えている。
【0038】
さらに、主制御処理部11は、スルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に普通図柄の当否に係る抽選を行う普通図柄抽選処理部170と、普通図柄の変動時間に関するコマンドを決定するための普通図柄変動パターンコマンド決定部190と、電動チューリップ49の作動を制御する電動チューリップ作動制御部180とを備えている。
【0039】
特別図柄抽選処理部110は、図5に示すように、周期的(例えば4ミリ秒毎)に入力される割り込み信号に基づいてループカウンタの値を所定の範囲で1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数を生成する特別図柄当否判定用乱数発生部111と、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことを契機に、特別図柄に係る抽選を行って当否を判定するための第1特別図柄当否抽選部119aと、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことを契機に、特別図柄に係る抽選を行って当否を判定するための第2特別図柄当否抽選部119bとを備えて構成されている。
【0040】
第1特別図柄当否抽選部119aは、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことを契機に(始動入賞口検知センサ43aからの検知信号が主制御処理部11に入力されたタイミングで)、特別図柄当否判定用乱数発生部111で発生した特別図柄当否判定用の乱数を1つ取得(ラッチ)する第1特別図柄当否判定用乱数取得部112aと、この第1特別図柄当否判定用乱数取得部112aが取得した乱数が特図当たりであるか否かを、第1特別図柄高確率判定テーブル116aまたは第1特別図柄低確率判定テーブル117aを参照して決定する第1特別図柄当否判定部113aと、第1特別図柄当否判定用乱数取得部112aが乱数を取得したときに特別図柄が変動中である場合に、この取得した乱数を特別図柄に係る保留球乱数として最大4個(M=4)まで(別言すれば、所定個数である4個の上限まで)記憶する第1特別図柄用保留球乱数記憶部115aとを備えている。
【0041】
ここで、第1特別図柄高確率判定テーブル116aは、第1特別図柄低確率判定テーブル117aよりも特図当たりとなる確率が高くなっており、より詳しく言うと、第1特別図柄高確率判定テーブル116aは、特図当たりの当選確率が1/30(例えば、300個の特別図柄当否判定用の乱数のうち10個が当たり)、第1特別図柄低確率判定テーブル117aは、特図当たりの当選確率が1/300(例えば、300個の特別図柄当否判定用の乱数のうち1個が当たり)に設定されている。つまり、第1特別図柄高確率判定テーブル116aの方が、第1特別図柄低確率判定テーブル117aに比べて10倍特図当たりに当選する確率が高くなるように設定されている。
【0042】
第2特別図柄当否抽選部119bも第1特別図柄当否抽選部119aと同様に、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことを契機に(始動入賞口検知センサ43bからの検知信号が主制御処理部11に入力されたタイミングで)、特別図柄当否判定用乱数発生部111で発生した特別図柄当否判定用の乱数を1つ取得(ラッチ)する第2特別図柄当否判定用乱数取得部112bと、この第2特別図柄当否判定用乱数取得部112bが取得した乱数が特図当たりであるか否かを、第2特別図柄高確率判定テーブル116bまたは第2特別図柄低確率判定テーブル117bを参照して決定する第2特別図柄当否判定部113bと、第2特別図柄当否判定用乱数取得部112bが乱数を取得したときに特別図柄が変動中である場合に、この取得した乱数を特別図柄に係る保留球乱数として最大4個(M=4)まで(別言すれば、所定個数である4個の上限まで)記憶する第2特別図柄用保留球乱数記憶部115bとを備えている。
【0043】
ここで、第2特別図柄高確率判定テーブル116bは、第2特別図柄低確率判定テーブル117bよりも特図当たりとなる確率が高くなっており、より詳しく言うと、第2特別図柄高確率判定テーブル116bは、特図当たりの当選確率が1/30(例えば、300個の特別図柄当否判定用の乱数のうち10個が当たり)、第2特別図柄低確率判定テーブル117bは、特図当たりの当選確率が1/300(例えば、300個の特別図柄当否判定用の乱数のうち1個が当たり)に設定されている。つまり、第2特別図柄高確率判定テーブル116bの方が、第2特別図柄低確率判定テーブル117bに比べて10倍特図当たりに当選する確率が高くなるように設定されている。
【0044】
なお、これ以降の説明において、便宜上、第1特別図柄当否抽選部119aが第1特別図柄低確率判定テーブル117aを参照して特別図柄の当否に係る抽選を行い、第2特別図柄当否抽選部119bが第2特別図柄低確率判定テーブル117bを参照して特別図柄の当否に係る抽選を行う遊技状態のことを、単に「特図低確」といい、第1特別図柄当否抽選部119aが第1特別図柄高確率判定テーブル116aを参照して特別図柄の当否に係る抽選を行い、第2特別図柄当否抽選部119bが第2特別図柄高確率判定テーブル116bを参照して特別図柄の当否に係る抽選を行う遊技状態のことを、単に「特図高確」ということにする。
【0045】
また、本実施形態では、第1特別図柄用保留球乱数記憶部115aと第2特別図柄用保留球乱数記憶部115bの両方に保留球乱数が記憶されている場合には、第2特別図柄用保留球乱数記憶部115bに記憶されている保留球乱数の方が優先して読み出されて当たりであるか否かの判定が行なわれ、その判定に従って遊技が進行するような制御がなされている。つまり、特別図柄抽選処理部110によって、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことに基づく遊技が、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことに基づく遊技よりも優先するような処理が行なわれているのである。
【0046】
次に、特別図柄種類決定処理部120について説明する。上述した特別図柄抽選処理部110が特図当たりに当選しているか否かを決定するものであるのに対して、特別図柄種類決定処理部120は、特別図柄の種類を決定するためのものである。つまり、本実施形態では、特別図柄に関する大当たり/ハズレの決定は特別図柄抽選処理部110によって行われるが、大当たりの内容(種別、ラウンド数、電サポ回数、アタッカー開放パターン)は特別図柄種類決定処理部120によって決定される構成となっている。なお、上記した大当たりの内容についての詳細は後述する。
【0047】
特別図柄種類決定処理部120は、図6に示すように、周期的(例えば4ミリ秒毎)に入力される割り込み信号に基づいてループカウンタの値を所定の範囲(本実施形態例では0〜399までの範囲)で1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数を生成する特別図柄種類決定用乱数発生部121と、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことを契機に、抽選により特別図柄の種類を決定するための第1特別図柄種類抽選部129aと、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことを契機に、抽選により特別図柄の種類を決定するための第2特別図柄種類抽選部129bとを備えて構成されている。
【0048】
第1特別図柄種類抽選部129aは、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことを契機に(始動入賞口検知センサ43aからの検知信号が主制御処理部11に入力されたタイミングで)、特別図柄種類決定用乱数発生部121で発生した特別図柄種類決定用の乱数を1つ取得(ラッチ)する第1特別図柄種類決定用乱数取得部122aと、この第1特別図柄種類決定用乱数取得部122aが取得した乱数から、第1特別図柄種類決定テーブル125aを参照して特別図柄の種類を決定する第1特別図柄種類決定部123aと、第1特別図柄種類決定用乱数取得部122aが乱数を取得したときに特別図柄が変動中である場合に、この取得した乱数を最大4個まで(別言すれば、所定個数である4個の上限まで)記憶する第1特別図柄種類決定用乱数記憶部124aとを備えている。
【0049】
第1特別図柄種類決定テーブル125aは、図7(a)に示すように、特別図柄種類決定用の乱数と特別図柄の種類とが予め対応付けられたテーブル構成を成している。具体的には、15R確変図柄A、15R確変図柄B、15R確変図柄C、2R確変図柄A、2R確変図柄B、2R通常図柄の合計6の特別図柄が第1特別図柄種類決定テーブル125aに格納されており、これら6種類の特別図柄のそれぞれに特別図柄種類決定用乱数0〜399までの値が対応付けられている。そして、各特別図柄に割り当てる特別図柄種類決定用乱数値の範囲が異なるテーブル構成となっているから、特別図柄のそれぞれが第1特別図柄種類決定部123aによって選択される確率は異なるものとなる。
【0050】
より詳細に説明すると、第1特別図柄種類決定テーブル125aに格納された6種類の特別図柄のうち、特別図柄種類決定用乱数の値が0〜39までのものに対して「15R確変図柄A」が対応付けられており、当該乱数値が40〜79に対して「15R確変図柄B」が、当該乱数値が80〜119までのものに対して「15R確変図柄C」が、当該乱数値が120〜219までのものに対して「2R確変図柄A」が、当該乱数値が220〜319に対して「2R確変図柄B」が、当該乱数値が320〜399までのものに対して「2R通常図柄」が、それぞれ対応付けられている。
【0051】
なお、詳しくは後述するが、特別図柄の種類のうち、「2R」は大当たり遊技のラウンド数が2ラウンドであることを、「15R」は大当たり遊技のラウンド数が15ラウンドであることを、「確変」は所謂、確変当たりを、「通常」は所謂、通常当たりを、それぞれ示している。
【0052】
この図7(a)から明らかなように、「15R確変図柄A」に対応付けられた乱数の個数は、全体で400個の特別図柄種類決定用乱数のうち40個であるから、「15R確変図柄A」が選択される確率は、40/400x100=10%である。その他の特別図柄の選択確率についても同様にして求められ、「15R確変図柄B」の選択確率は10%、「15R確変図柄C」の選択確率は10%、「2R確変図柄A」の選択確率は25%、「2R確変図柄B」の選択確率は25%、「2R通常図柄」の選択確率は20%となっている。
【0053】
また、第2特別図柄種類抽選部129bも第1特別図柄種類抽選部129aと同様に、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことを契機に(始動入賞口検知センサ43bからの検知信号が主制御処理部11に入力されたタイミングで)、特別図柄種類決定用乱数発生部121で発生した特別図柄種類決定用の乱数を1つ取得(ラッチ)する第2特別図柄種類決定用乱数取得部122bと、この第2特別図柄種類決定用乱数取得部122bが取得した乱数から、第2特別図柄種類決定テーブル125bを参照して特別図柄の種類を決定する第2特別図柄種類決定部123bと、第2特別図柄種類決定用乱数取得部122bが乱数を取得したときに特別図柄が変動中である場合に、この取得した乱数を最大4個まで(別言すれば、所定個数である4個の上限まで)記憶する第2特別図柄種類決定用乱数記憶部124bとを備えている。
【0054】
第2特別図柄種類決定テーブル125bは、図7(b)に示すように、特別図柄種類決定用の乱数と特別図柄の種類とが予め対応付けられたテーブル構成を成している。特別図柄の種類は、第1特別図柄種類決定テーブル125aと同じであるが、それぞれの特別図柄に対応付けられている乱数の範囲が異なるものとなっている。具体的には、第2特別図柄種類決定テーブル125bに格納された6種類の特別図柄のうち、特別図柄種類決定用乱数の値が0〜119までのものに対して「15R確変図柄A」が対応付けられており、当該乱数値が120〜199に対して「15R確変図柄B」が、当該乱数値が200〜279までのものに対して「15R確変図柄C」が、当該乱数値が280〜299までのものに対して「2R確変図柄A」が、当該乱数値が300〜319に対して「2R確変図柄B」が、当該乱数値が320〜399までのものに対して「2R通常図柄」が、それぞれ対応付けられている。
【0055】
この図7(b)から明らかなように、「15R確変図柄A」に対応付けられた乱数の個数は、全体で400個の特別図柄種類決定用乱数のうち120個であるから、「15R確変図柄A」が選択される確率は、120/400x100=30%である。その他の特別図柄の選択確率についても同様にして求められ、「15R確変図柄B」の選択確率は20%、「15R確変図柄C」の選択確率は20%、「2R確変図柄A」の選択確率は5%、「2R確変図柄B」の選択確率は5%、「2R通常図柄」の選択確率は20%となっている。
【0056】
以上のことから、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞して特図当たりに当選した場合には、70%の確率で「2R」が選択されるということになる。これに対して、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞して特図当たりに当選した場合は、70%の確率で「15R」が選択される。よって、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞するよりも、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞して特図当たりに当選した場合の方が、15ラウンドの大当たり遊技が選択される確率が高いという点で遊技者に有利である。つまり、本実施形態に係るパチンコ機Pは、第2始動入賞口37bに入賞した方が、出玉の面で優位となるように予め設定されており、第2特別図柄用保留球乱数記憶部115bの保留球乱数を切らすことなく遊技を行うことができるほど、15ラウンドの大当たり遊技が連荘する可能性が高いということになる。なお、何れの始動入賞口に遊技球が入賞しても、「確変」となる確率、即ち、確変当たりとなる確率は80%である。
【0057】
次に、普通図柄抽選処理部170について説明する。この普通図柄抽選処理部170は、図14に示すように、乱数を発生させる普通図柄用当否判定用乱数発生部171と、スルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に普通図柄に係る抽選を行って当否を判定するための普通図柄当否抽選部177とを備えて構成されている。普通図柄当否判定用乱数発生部171は、特別図柄当否判定用乱数発生部111より発生する乱数は少ないが、乱数を発生させるための構成は同じである。また、普通図柄当否抽選部177は、スルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に(スルーチャッカ検知センサ46からの検知信号が主制御処理部11に入力されたタイミングで)、普通図柄当否判定用乱数発生部171で発生した普通図柄当否判定用の乱数を1つ取得(ラッチ)する普通図柄当否判定用乱数取得部172と、この普通図柄当否判定用乱数取得部172が取得した乱数が普図当たりであるか否かを、判定テーブルを参照して決定する普通図柄当否判定部173と、普通図柄当否判定用乱数取得部172が乱数を取得したときに普通図柄が変動中である場合に、この取得した乱数を上限4個まで普通図柄に係る保留球乱数として記憶する普通図柄用保留球乱数記憶部174と、判定テーブルとして、普図当たりに当選する確率が低い普通図柄低確率判定テーブル176と、この普通図柄低確率判定テーブル176よりも普図当たりに当選する確率が高い普通図柄高確率判定テーブル175とを備えている。
【0058】
ここで、普通図柄高確率判定テーブル175は、普通図柄低確率判定テーブル176よりも普図当たりとなる確率が高くなっており、より詳しく言うと、普通図柄高確率判定テーブル175は、普図当たりの当選確率が1/1.1、普通図柄低確率判定テーブル176は、普図当たりの当選確率が1/20に設定されている。つまり、普通図柄高確率判定テーブル175の方が、普通図柄低確率判定テーブル176に比べて格段に普図当たりに当選する確率が高くなるように設定されている。そして、普通図柄高確率判定テーブル175を参照して抽選が行われると、殆どの場合、普図当たりに当選することになる。
【0059】
なお、これ以降の説明において、便宜上、普通図柄当否抽選部177が普通図柄低確率判定テーブル176を参照して普通図柄に係る抽選を行う遊技状態のことを、単に「普図低確」といい、普通図柄当否抽選部177が普通図柄高確率判定テーブル175を参照して普通図柄に係る抽選を行う遊技状態のことを、単に「普図高確」ということにする。
【0060】
また、電動チューリップ作動制御部180は、普通図柄抽選処理部170による抽選で普図当たりに当選した旨のコマンドに基づいて、電動チューリップ49のソレノイドに通電して開閉するよう制御している。この電動チューリップ作動制御部180は、普図高確中は、1回の普図当たりに対して、電動チューリップ49を開放時間1.2秒(インターバル0.8秒)で2回開放する(つまり、1.2秒開放→0.8秒閉鎖→1.2秒開放の順となる)よう制御し、普図低確中は、1回の普図当たりに対して、電動チューリップ49を開放時間0.2秒で1回開放するよう制御している。よって、普図高確中は、上述したように、普通図柄抽選処理部170による抽選が行われる度に、殆ど普図当たりに当選し、その当選により電動チューリップ49が1.2秒x2回開放されるため、遊技者は、電動チューリップ49内に遊技球を比較的容易に入賞させることができる。従って、普図高確中は、遊技球をあまり減らすことなく遊技を行うことができる。
【0061】
次に、本実施形態に係るパチンコ機Pは、遊技状態として、「低確」、「時短」、「確変」の3つの状態が予め用意されている。「低確」は、特図低確および普図低確の遊技状態から成り、「時短」は、特図低確および普図高確の遊技状態から成り、「確変」は、特図高確および普図高確の遊技状態から成るものである。
【0062】
本実施形態では、先に述べた特別図柄の種類が決定されると、その特別図柄と上記の各遊技状態とから、大当たり種別、ラウンド数、電サポ回数(時短回数)、および、アタッカー開放パターンが決まるようになっている。これについて、図8を参照しながら、以下、詳しく説明を行っていくことにする。
【0063】
図8に示すように、各特別図柄の種類には、それぞれ、大当たり種別、ラウンド数、電サポ回数、およびアタッカー開放パターンを規定した大当たりパターンが予め対応付けられている。
【0064】
ここで、「大当たり種別」とは、大当たり遊技後の特別図柄に係る遊技状態を特図低確とする「通常当たり」と、特図高確とする「確変当たり」との何れにするかを定めたものである。通常当たりの場合には、その後の遊技状態が特図低確となるので、なかなか次の特図当たりに当選しないが、確変当たりの場合、その後の遊技状態が特図高確となるので、直ぐに次の特図当たりに当選する可能性が高い。
【0065】
「ラウンド数」とは、大当たり遊技中にラウンド遊技が何回実行されるかを定めたものである。本実施形態では、大当たり遊技中のラウンド遊技の回数が、2ラウンドと15ラウンドの2種類設けられている。
【0066】
「アタッカー開放パターン」とは、出玉有りの大当たり遊技か出玉無しの大当たり遊技かを定めたものであり、「フル開放」は出玉有りの大当たり遊技を示し、「高速開放」は出玉無しの大当たり遊技を示している。そして、ラウンド数が15ラウンドの場合は「フル開放」、2ラウンドの場合は「高速開放」と予め定められている。つまり、15ラウンドの場合は、出玉を獲得でき、2ラウンドの場合は出玉を獲得できないということになる。
【0067】
この点について、具体的に説明すると、本実施形態では、ラウンド数が15ラウンドの場合には、1回のラウンド遊技は、ラウンド遊技開始後にアタッカー装置41が1回開き、露呈した大入賞口42に10個の遊技球が入賞すること、またはラウンド遊技が開始されてから30秒が経過したことの何れかの終了条件(ラウンド終了条件)が成立すると終了する。つまり、15ラウンドの場合、アタッカー装置41は、1ラウンドで最大30秒間開放されることとなる。これが、「フル開放」である。
【0068】
一方、ラウンド数が2ラウンドの場合には、1回のラウンド遊技は、ラウンド遊技開始後にアタッカー装置41が1回開き、露呈した大入賞口42に10個の遊技球が入賞すること、またはラウンド遊技が開始されてから0.2秒が経過したことの何れかの終了条件(ラウンド終了条件)が成立すると終了するようになっている。つまり、2ラウンドの場合、アタッカー装置41は、1ラウンドで最大0.2秒間しか開放されない。これが、「高速開放」である。
【0069】
そのため、「フル開放」では、ラウンド遊技が開始されてから30秒経過するよりも先に大入賞口42に10個の遊技球が入賞することが多く、遊技者は、それに応じた賞球(およそ1400個)を獲得することができる。つまり、「フル開放」は、出玉のある大当たり遊技である。これに対して、「高速開放」では、ラウンド遊技中にアタッカー装置41が開放される時間が極めて短いため、露呈した大入賞口42に遊技球を入賞させることは困難である。その結果、遊技球が大入賞口42に入賞することのないまま、0.2秒が経過してラウンド遊技の終了条件が成立してしまう。そのため、「高速開放」では、大当たり遊技中に出玉を見込めないということになる。
【0070】
なお、このアタッカー装置14の作動を制御して、特別図柄の種類に応じたアタッカー開放パターンとラウンド数で大当たり遊技を提供しているのが、大当たり遊技制御部160である。
【0071】
また、「電サポ回数」とは、電動チューリップ49によるサポートを受けながら遊技を行うことができる遊技回数のことであり、より詳しくは、遊技状態が普図高確の状態で、特別図柄抽選処理部110による抽選を行うことのできる回数(遊技回数)のことである。なお、本実施形態では、電サポ回数は、30回および10000回の2種類が設けられているが、設定された電サポ回数に到達する前に特図当たりに当選すると、その時点で残りの電サポ回数は消滅し、そして新たに当選した際に決定した特別図柄の種類に応じた電サポ回数が付与されるようになることは言うまでもない。
【0072】
ここで、本実施形態では、特図低確時の当選確率が1/300であり、特図高確時の当選確率が1/30となっているから、10000回も遊技を行う間には、ほぼ間違いなく特図当たりに当選する。つまり、次回の特図当たりに当選するまでの遊技回数が10000回を超えることは皆無である。よって、電サポ回数が10000回付与されるということは、次回の特図当たり当選まで「普図高確」が継続することと等しいと言えるものである。そして、電サポ回数が10000回に決定されると、遊技球をあまり減らすことなく特図当たりが連荘することが実質的に確定することになる。
【0073】
このように、大当たりパターンは、大当たり種別と、ラウンド数と、アタッカー開放パターンと、電サポ回数とが規定された内容で構成されており、特別図柄の種類が決定されると、その種類に応じた大当たりパターンに従って遊技の制御が行われることとなる。なお、特別図柄の種類と大当たりパターンの対応関係は以下の通りである。
【0074】
「15R確変図柄A」は、確変当たりであり、特図当たり時の遊技状態が「低確」、「時短」、「確変」の何れの場合においても電サポ回数が10000回(次回まで)となり、ラウンド数が15ラウンドで、大当たり遊技でのアタッカー開放のパターンが「フル開放」となり、1回の大当たり遊技でおよそ1400個の出玉のある大当たりパターンに対応している。「15R確変図柄B」および「15R確変図柄C」に対応する大当たりパターンも「15R確変図柄A」と同じである。
【0075】
「2R確変図柄A」は、確変当たりであり、特図当たり時の遊技状態が「低確」、「時短」、「確変」の何れの場合においても電サポ回数が10000回(次回まで)となり、ラウンド数が2ラウンドで、大当たり遊技でのアタッカー開放のパターンが「高速開放」となり、1回の大当たり遊技での出玉が見込めない大当たりパターンに対応している。なお、「2R確変図柄B」に対応する大当たりパターンも「2R確変図柄A」と同じである。
【0076】
「2R通常図柄」は、通常当たりであり、特図当たり時の遊技状態が「低確」、「時短」、「確変」の何れの場合においても電サポ回数が30回となり、ラウンド数が2ラウンドで、大当たり遊技でのアタッカー開放のパターンが「高速開放」となり、1回の大当たり遊技での出玉が見込めない大当たりパターンに対応している。この「2R通常図柄」に当選すると、大当たり遊技での出玉がないうえ、大当たり遊技後に30回しか電サポが付与されない。そして、大当たり後の特別図柄に係る遊技状態が特図低確となり、普通図柄に係る遊技状態も電サポ終了後は普図低確の状態となる。よって、この「2R通常図柄」は、遊技者にとって最も不利な特別図柄の種類である。
【0077】
そして、上記の特別図柄の種類と大当たりパターンとの対応関係については、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞した場合と第2始動入賞口37bに遊技球が入賞した場合とで同じであるが、図7(a)および(b)から明らかなように、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞した場合と第2始動入賞口37bに遊技球が入賞した場合とで、各特別図柄の種類の選択確率が異なっている。
【0078】
次に、特別図柄の変動時間を決定するための処理について説明する。特別図柄の変動時間は、変動パターンコマンドというコマンドの中に含まれており、特別図柄変動パターンコマンド決定部130が遊技の開始時に変動パターンコマンドを決定することにより、その遊技に係る特別図柄の変動時間も決定する。
【0079】
特別図柄変動パターンコマンド決定部130は、図9に示すように、変動パターンコマンドの決定に用いる変動パターン用乱数を発生させるための特別図柄変動パターン用乱数発生部131と、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことに基づいて変動パターンコマンドを決定するための第1特別図柄変動パターン抽選部130aと、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことに基づいて変動パターンコマンドを決定するための第2特別図柄変動パターン抽選部130bとを備えて構成されている。
【0080】
特別図柄変動パターン用乱数発生部131は、周期的(例えば4ミリ秒毎)に入力される割り込み信号に基づいてループカウンタの値を所定の範囲(例えば0〜199まで)で1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数を生成するものである。
【0081】
第1特別図柄変動パターン抽選部130aは、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことを契機に、特別図柄変動パターン用乱数発生部131にて発生した特別図柄変動パターン用の乱数の中から1つの乱数を取得する第1特別図柄変動パターン用乱数取得部132aと、この第1特別図柄変動パターン用乱数取得部132aが取得した乱数から、特別図柄共通変動パターンコマンドテーブル134を参照して特別図柄に係る変動パターンコマンドを決定する第1特別図柄変動パターン決定部135aと、特別図柄が変動中の場合に、第1特別図柄変動パターン用乱数取得部132aが取得した乱数を上限4個まで記憶する第1特別図柄変動パターン用乱数記憶部133aとを備えて構成されている。なお、第1特別図柄変動パターン抽選部130aは、第1始動入賞口37aに遊技球が1個入賞すると、第1特別図柄当否抽選部119aと同様に、その入賞につき1つの特別図柄変動パターン用乱数を取得する。
【0082】
第2特別図柄変動パターン抽選部130bも第1特別図柄変動パターン抽選部130aと同様に、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことを契機に、特別図柄変動パターン用乱数発生部131にて発生した特別図柄変動パターン用の乱数の中から1つの乱数を取得する第2特別図柄変動パターン用乱数取得部132bと、この第2特別図柄変動パターン用乱数取得部132bが取得した乱数から、特別図柄共通変動パターンコマンドテーブル134を参照して特別図柄に係る変動パターンコマンドを決定する第2特別図柄変動パターン決定部135bと、特別図柄が変動中の場合に、第2特別図柄変動パターン用乱数取得部132bが取得した乱数を上限4個まで記憶する第2特別図柄変動パターン用乱数記憶部133bとを備えて構成されている。なお、第2特別図柄変動パターン抽選部130bは、第2始動入賞口37bに遊技球が1個入賞すると、第2特別図柄当否抽選部119bと同様に、その入賞につき1つの特別図柄変動パターン用乱数を取得する。
【0083】
特別図柄共通変動パターンコマンドテーブル134は、第1特別図柄変動パターン抽選部130aおよび第2特別図柄変動パターン抽選部130bの両方の抽選部が共通で用いるテーブルであって、図10に示すように、通常時変動パターンテーブル134a、確変時変動パターンテーブル134b、時短時変動パターンテーブル134cの合計3つのテーブルを備えている。
【0084】
各変動パターンテーブル134a〜cは、特有の変動時間となるよう設定されている。そこで、以下、各テーブルの変動時間の特徴について、図11を用いて説明することにする。
【0085】
まず、通常時変動パターンテーブル134aは、保留記憶数(保留球乱数の記憶数)に応じて特図A(第1始動入賞口37aに入賞した場合)の主要変動時間が異なるように設定されている。具体的には、第1特別図柄用保留球乱数記憶部115aに記憶されている保留記憶数が0個と1個の場合、特図Aの主要変動時間は12.5秒に設定され、保留記憶数が2個の場合、特図Aの主要変動時間は12.5秒に設定され、保留記憶数が3個の場合、特図Aの主要変動時間は7秒に設定され、保留記憶数が4個の場合、特図Aの主要変動時間は4秒に設定されている。つまり、保留記憶数が多くなると、主要変動時間は短くなるように設定されている。特図B(第2始動入賞口37bに入賞した場合)の主要変動時間も特図Aと同様に設定されている。なお、主要変動時間とは、リーチが成立しない通常のハズレ変動時間のことである。また、この通常時変動パターンテーブル134aは、リーチとなる確率が1/20に設定され、さらに、リーチ時の変動時間が20秒〜150秒に設定されている。なお、特図当たりのときには、必ずリーチ時の変動時間が選択される。
【0086】
確変時変動パターンテーブル134bは、保留記憶数に応じて特図Aの主要変動時間が異なるように設定されている。具体的には、第1特別図柄用保留球乱数記憶部115aに記憶されている保留記憶数が0個と1個の場合、特図Aの主要変動時間は7秒に設定され、保留記憶数が2個の場合、特図Aの主要変動時間は4秒に設定され、保留記憶数が3個の場合、特図Aの主要変動時間は2秒に設定され、保留記憶数が4個の場合、特図Aの主要変動時間は2秒に設定されている。特図Bの主要変動時間も特図Aと同様に設定されている。また、この確変時変動パターンテーブル134bは、リーチとなる確率が1/30に設定され、さらに、リーチ時の変動時間が60秒〜120秒に設定されている。なお、特図当たりのときには、必ずリーチ時の変動時間が選択される。
【0087】
時短時変動パターンテーブル134cは、保留記憶数に応じて特図Aの主要変動時間が異なるように設定されている。具体的には、第1特別図柄用保留球乱数記憶部115aに記憶されている保留記憶数が0個と1個の場合、特図Aの主要変動時間は12.5秒に設定され、保留記憶数が2個の場合、特図Aの主要変動時間は4秒に設定され、保留記憶数が3個の場合、特図Aの主要変動時間は2秒に設定され、保留記憶数が4個の場合、特図Aの主要変動時間は2秒に設定されている。特図Bの主要変動時間も特図Aと同様に設定されている。また、この時短時変動パターンテーブル134cは、リーチとなる確率が1/30に設定され、さらに、リーチ時の変動時間が60秒〜120秒に設定されている。なお、特図当たりのときには、必ずリーチ時の変動時間が選択される。
【0088】
ここで、各変動パターンテーブル134a〜cを比較してみると、保留記憶数が多くなると主要変動時間が短くなる傾向にある点において共通するが、通常時変動パターンテーブル134aが他の2つのテーブルに比べて主要変動時間が長く、確変時変動パターンテーブル134bが他の2つのテーブルに比べて主要変動時間は短いことが、図11から分かる。そのため、1回の遊技(特別図柄に係る遊技)に要する時間は、通常時変動パターンテーブル134aが参照される場合が最も長く、確変時変動パターンテーブル134bが参照される場合が最も短いと言うことになる。
【0089】
特別図柄変動パターンコマンド決定部130は、遊技開始時に、特別図柄抽選処理部110による当否抽選の結果と保留記憶数とに基づき、変動パターンテーブル134a〜cのうち遊技状態に応じた所定のテーブルを参照して、今回の遊技に用いる変動パターンコマンドを決定している。
【0090】
この変動パターンコマンドの決定について、遊技球が第1始動入賞口37aに入賞したことに基づく遊技の開始時に、通常時変動パターンテーブル134aを参照して変動パターンコマンドが決定される場合の例を、以下に説明する。
【0091】
特別図柄抽選処理部110による抽選の結果がハズレ、かつ、第1特別図柄変動パターン用乱数取得部132aが取得した変動パターン用乱数が第1の範囲(例えば、0〜159)にある場合には、第1特別図柄変動パターン決定部135aは、遊技開始時の保留記憶数が0個、1個、2個のとき、変動時間が12.5秒と規定された変動パターンNo.を選択し、保留記憶数が3個のとき、変動時間が7秒と規定された変動パターンNo.を選択し、保留記憶数が4個のとき、変動時間が4秒と規定された変動パターンNo.を選択する。この場合の変動パターンコマンドは、リーチなしのハズレ変動パターンコマンドである。
【0092】
また、特別図柄抽選処理部110による抽選の結果がハズレ、かつ、第1特別図柄変動パターン用乱数取得部132aが取得した変動パターン用乱数が第2の範囲(例えば、160〜199)にある場合には、第1特別図柄変動パターン決定部135aは、遊技開始時の保留記憶数に拘らず、リーチとなる変動時間(20秒〜120秒)が規定された変動パターンNo.の中から変動パターン用乱数の値に応じたものを選択する。つまり、所得された変動パターン用乱数が第2の範囲にある場合には、リーチありのハズレ変動パターンコマンドが決定されるということになる。特図当たりの場合にも同様に、リーチとなる変動時間が規定された変動パターンNo.が選択される。なお、第2の範囲に属する変動パターン用乱数の個数が40個となっているのは、合計200個の変動パターン用乱数のうちリーチとなる確率が1/20だからである。
【0093】
リーチとなる変動時間が規定された変動パターンNo.の具体例を示したものが、図12である。リーチとなる場合の変動パターンNo.は、8ビットの先行コマンドと8ビットの後続コマンドとで構成された2バイトデータから成り、コマンドには、演出内容と変動時間(演出時間)とが規定されている。以下、コマンドの内容について、図12を参照しながら詳述する。なお、図12に示す「H」は、そのコマンドが16進数表示であることを示すものである。
【0094】
例えば、変動パターンNo.1は、先行コマンドが「A0H」、後続コマンドが「00H」で構成され、ロゴ役物51が「なし(可動しない)」、刀役物52が「なし(可動しない)」、王冠役物53が「なし(可動しない)」、擬似連が「なし」、リーチ内容が「ノーマル系リーチ」、変動時間が「20秒」と規定されている。この変動パターンNo.1が選択されると、実際の遊技において、変動時間20秒でノーマル系リーチに内容に従った演出が行われるが、各可動役物51,52,53は作動せず、擬似連も発生しない。なお、擬似連とは、1回の遊技中に、複数の演出図柄を変動させた後にハズレを示す態様で仮停止させ、再び複数の演出図柄を変動させるといった演出表示を繰り返すことによって、実際には1回の遊技であるものの、擬似的に複数回の遊技を行っているかのように見せる演出のことであり、擬似連の回数とは、その擬似的に行う演出上(見せかけ)の遊技回数のことである。
【0095】
また、例えば、変動パターンNo.15は、先行コマンドが「A1H」、後続コマンドが「08H」で構成され、ロゴ役物51が「なし(可動しない)」、刀役物52が「可動」、王冠役物53が「可動」、擬似連が「4回」、リーチ内容が「ストーリー系リーチ」、変動時間が「120秒」と規定されている。この変動パターンNo.15が選択されると、実際の遊技において、変動時間120秒でストーリー系リーチに内容に従った演出が行われ、その間に、各可動役物51,52,53が所定の順序で可動し、擬似連が4回発生する。そのため、変動パターンNo.15が選択されると、変動パターンNo.1に比べて多くの可動役物が作動するため、消費電力が大きくなる。
【0096】
このように構成された変動パターンテーブル134a〜cのうち何れのテーブルを参照するかは、特別図柄の種類に応じて予め定められている。これについて、図13を参照しながら説明する。なお、図示していないが、電源投入後の初期状態やRAMクリア時は、通常時変動パターンテーブル134aが参照されるようになっており、また、図8に規定された電サポ回数の遊技が終了すると、その後の遊技では、通常時変動パターンテーブル134aが参照されることになる。
【0097】
図13に示すように、特別図柄の種類が「15R確変図柄A〜C」および「2R確変図柄A〜B」の場合には、大当たり遊技後に参照する変動パターンテーブルとして確変時変動パターンテーブル134bが選択される。一方、特別図柄の種類が「2R通常図柄」の
場合には、大当たり後に参照する変動パターンテーブルとして時短時変動パターンテーブル134cが選択される。なお、確変時変動パターンテーブル134bは、オフセット値2に対応し、時短時変動パターンテーブル134cは、オフセット値3に対応しており、特別図柄変動パターン決定部135a,bは、設定されているオフセット値に応じた変動パターンテーブルを参照して変動パターンコマンドを決定している(詳しくは後述)。
【0098】
また、詳しい説明は省略するが、図4に示す普通図柄変動パターンコマンド決定部190は、普通図柄変動パターンコマンドの決定に用いる普通図柄変動パターン用乱数を発生させる普通図柄変動パターン用乱数発生部と、普通図柄に係る変動パターンコマンドを決定するための普通図柄変動パターン抽選部と、を備えて構成されおり、スルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に乱数を取得し、その乱数に基づいて、普通図柄の変動時間に係るコマンドを決定している。
【0099】
このように構成された主制御処理部11は、第1始動入賞口37aに入賞したことを契機に行われる遊技の開始に際して、第1特別図柄変動パターン抽選部130aで決定された特別図柄に係る変動パターンコマンドを演出制御処理部12aに送信すると共に、第1特別図柄当否抽選部119aによる抽選結果に係るコマンド、および、特図当たりに当選した場合には第1特別図柄種類抽選部129aで決定された特別図柄の種類に関するコマンドも演出制御処理部12aに送信している。同様に、主制御処理部11は、第2始動入賞口37bに入賞したことを契機に行われる遊技の開始に際しても、前記と同様の各種コマンドを演出制御処理部12aに送信している。
【0100】
ここまで、主に主制御処理部11が行う各処理について説明したが、ここからは、主制御処理部11から指令(コマンド)を受けて各種装置を制御する複数の処理部について説明する。演出制御処理部12aは、遊技盤3の裏面に支持部材等を介して設けられており、主制御処理部11が生成した処理情報に従って、演出表示装置34やスピーカ20、LEDランプ50a,b,c…、可動役物51,52,53、その他の演出装置の制御を行っている。また、特別図柄表示制御部12b、払出制御処理部12e、および普通図柄表示制御部12fも、主制御処理部11からの指令によって、以下に示すように、それぞれの装置を制御している。
【0101】
特別図柄表示制御部12bは、特別図柄変動パターンコマンド決定部130が決定した特別図柄に係る変動パターンコマンドに基づき、特別図柄表示装置17に特別図柄を所定の時間だけ変動表示させ、特別図柄抽選処理部110の当否結果に応じた態様で停止表示するよう表示の制御を行っている。一方、普通図柄表示制御部12fは、普通図柄変動パターンコマンド決定部190が決定した普通図柄に係る変動パターンコマンドに基づき、普通図柄表示装置22に普通図柄を所定の時間だけ変動表示させ、普通図柄抽選処理部170の当否結果に応じた態様で停止表示するよう表示の制御を行っている。なお、普通図柄表示制御部12fは、上記した特別図柄表示制御部12bによる表示制御と比べて表示する図柄の対象が相違するものの、表示制御の基本構成はほぼ同じである。また、ランプ制御処理部12cは、主制御処理部11からコマンドを受けて各種ランプや電飾の点灯制御を行うものである。
【0102】
払出制御処理部12eは、CRユニットからの信号を受けて遊技球を遊技者に貸し出すように賞球払出装置14を制御する他、主制御処理部11からの払出指令を受けて、所定個数の賞球を遊技者に対して払い出すように賞球払出装置14を制御する。この賞球払出装置14は、遊技球を1個ずつ保持する切欠きが形成されたスプロケット(図示せず)と、このスプロケットを回転させるモータ(図示せず)とを備えて構成されている。そして、モータの回転を制御することにより、必要な数だけ賞球を払い出すことができるようになっている。具体的には、始動入賞口検知センサ43a、43b、一般入賞口検知センサ44、大入賞口検知センサ45等が遊技球の通過を検知したら、賞球払出装置14は主制御処理部11を経由して受けたコマンドに基づき遊技球を払い出す。
【0103】
発射制御処理部13は、ハンドル7の回動量に応じて、発射装置9に対する作動の制御を行う装置である。より具体的に言うと、発射装置9に対して通電させたり、通電を停止したり、あるいは、通電電流を変化させるといった制御処理を行う。なお、この発射制御処理部13は、払出制御処理部12eと接続されており、CRユニットが接続されていない場合に発射停止信号が受信されるようになっている。
【0104】
演出制御処理部12aは、図15に示すように、処理部として、演出態様を決定するための演出態様決定部210と、この演出態様決定部210が決定した演出態様を演出表示装置34に表示するよう制御する演出表示制御部220と、後述する変動パターン履歴記憶部270に記憶されている変動パターンコマンド(演出パターン)と今回の遊技開始時に演出制御処理部12aに送信された変動パターンコマンド(演出パターン)とが合致するか否かを判定する変動パターン合致判定部(演出パターン合致判定手段)230と、消費電力が閾値である180Wを超えた旨の信号が電力監視装置81から入力されると、その時点で行われている遊技での変動パターンコマンドを変動パターン履歴記憶部270に記憶するよう指示する変動パターン履歴記憶指示部235と、変動パターン合致判定部230が合致する旨の判定を行った場合に、変動パターンコマンドを変更する変動パターンコマンド変更部(演出パターン変更手段)215と、を備えている。
【0105】
さらに、演出制御処理部12aは、ロゴ役物61、刀役役物52、王冠役物53の作動を制御する役物作動制御部240と、LEDランプ50a,b,c…の作動を制御するランプ表示制御部245と、スピーカ20から出力される音声を制御する音声出力制御部250と、始動入賞口37a,bに遊技球が入賞して保留球乱数が記憶される毎に、保留球表示装置34aに所定の態様で保留球表示を行う保留球表示制御部255と、を備えている。
なお、演出表示制御部220、役物作動制御部240、ランプ表示制御部245、および音声出力制御部250は、本発明の演出装置駆動制御手段に相当するものである。
【0106】
また、演出制御処理部12aは、記憶部として、複数種類の演出態様(演出画像データ)が記憶された演出テーブル261a〜cが格納された演出態様記憶部260と、変動パターンコマンドの履歴を記憶する変動パターン履歴記憶部(演出パターン履歴記憶手段)270と、を備えている。なお、変動パターン履歴記憶部270は、予期せぬトラブルが発生した場合に限って変動パターンNo.が記憶されるように構成されているから、初期状態では何も記憶されていない。
【0107】
演出態様決定部210は、遊技の開始時に送られてきた変動パターンコマンドに基づいて、演出態様記憶部260に記憶されている演出テーブル261a〜cの何れかのテーブルを参照しながら、今回用いる演出態様(使用する演出画像データ)を決定する。なお、通常時演出テーブル261aは、通常の遊技状態の場合、即ち、特図低確および普図低確の場合に参照されるテーブルであり、確変時演出テーブル261bは、遊技状態が特図高確および普図高確の場合に参照されるテーブルであり、時短時演出テーブル261cは、遊技状態が特図低確および普図高確の場合に参照されるテーブルである。
【0108】
詳しくは図示しないが、各演出テーブル261a〜cには、変動パターンコマンドに対応する演出画像データが複数記憶されており、より詳細に言えば、変動時間毎に、リーチ内容の異なる演出画像データが複数記憶されている。例えば、変動時間90秒の演出画像データとして、対決系リーチA、対決系リーチB、ストーリー系リーチA、ストーリー系リーチB、ストーリー系リーチCといった種類の画像データが用意されている。そして、演出態様決定部210は、遊技開始時に変動パターンコマンドが送られてくると、その変動パターンコマンドに規定されている変動時間およびリーチ内容に対応する演出画像データの中から1つを抽選で選択する。こうして、今回の遊技に用いる演出態様が決定されることになる。
【0109】
なお、本実施形態では、遊技開始時に送信された変動パターンコマンド(No.)が変動パターン履歴記憶部270に記憶されている変動パターンコマンド(No.)と合致している場合には、変動パターンコマンド変更部215により変動パターンコマンドの内容が変更され、その変更に基づいて演出が実行されるようになっているが、これについての詳細は後述する。
【0110】
次に、本発明の実施の形態例に係るパチンコ機Pの遊技処理の手順について図16を参照して説明するが、第1始動入賞口37aと第2始動入賞口37bのどちらの始動入賞口に遊技球が入賞しても遊技に関する処理は同じであるため、以下では、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞した場合について説明することとする。なお、本実施形態において、1回の遊技とは、第1始動入賞口37aまたは第2始動入賞口37bに遊技球が1個入賞したことを契機として行われる遊技のことである。
【0111】
図16に示すように、遊技球が第1始動入賞口37aに入賞したか否かを主制御処理部11は判断する(ステップS1)。入賞した場合(ステップS1でYes)には、第1特別図柄当否判定用乱数取得部112aは特別図柄当否判定用の乱数を取得し、第1特別図柄種類決定用乱数取得部122aは特別図柄種類決定用の乱数を取得し、第1特別図柄変動パターン用乱数取得部132aは特別図柄変動パターン用の乱数を取得する(ステップS2)。特別図柄が変動中の場合(ステップS3でYes)には、ステップS2で取得した特別図柄当否判定用乱数を第1特別図柄用保留球乱数記憶部115aに、特別図柄種類決定用乱数を第1特別図柄種類決定用乱数記憶部124aに、特別図柄変動パターン(PT)用乱数を第1特別図柄変動パターン用乱数記憶部133aに、それぞれ記憶して(ステップS4)、ステップS3の手前まで戻って、今回の入賞に係る遊技が開始するまで待機する。なお、保留球乱数の記憶個数が上限の4個になっている場合には、ステップ4の処理は行われない、即ち、4個を超えて上記の各種乱数が記憶されることはない。
【0112】
一方、特別図柄が変動中でない場合、即ち、遊技の順番が来た場合(ステップS3でNo)には、ステップS5に進んで特図当たり判定処理を行う。つまり、取得した特別図柄当否判定用乱数が特図当たりであるか否かを第1特別図柄当否判定部113aが判断する。次いで、ステップS6に進んで、特別図柄種類決定処理を行う。具体的には、ステップS5での特図当たり判定処理の結果、特図当たりと判定された場合には、第1特別図柄種類決定部124aが、ステップS2で取得した特別図柄種類決定用乱数に基づいて、その特図当たりに対する特別図柄の種類を決定する。即ち、図7を参照して、6種類の中から1つの特別図柄の種類を、このステップS6で決定する。
【0113】
このステップS6において特別図柄の種類が決定されることにより、今回の特図当たりが確変当たりと通常当たりの何れであるか、大当たり遊技におけるラウンド数が何回であるか、アタッカー開放パターンがフル開放と高速開放の何れであるか、および、大当たり遊技終了後の電サポ回数が何回であるかが決定されることになる。なお、図示しないが、本実施形態では、ステップS5でハズレと判定された場合であっても、ステップS6において、一旦、特別図柄種類決定処理が行われて特別図柄の種類に係るコマンドが決定されるが、ステップS5でハズレと判定されたことをもって、その決定に係る特別図柄の種類に関するコマンドは破棄されるようにプログラムが組まれている。よって、ステップS5でハズレの場合、演出制御処理部12aに出力される変動パターンコマンドは、ハズレコマンドであり、特別図柄の種類に係るコマンドが含まれることはない。勿論、ステップS5でハズレの場合には、ステップS6の処理をジャンプする構成としても構わない。
【0114】
次いで、ステップS7で特別図柄変動パターンコマンド決定処理を行う。この特別図柄変動パターンコマンド決定処理では、取得した特別図柄変動パターン用乱数に基づいて、第1特別図柄変動パターン決定部135aは、変動パターンテーブル134a〜cの何れかを参照して変動パターンコマンドを決定する。より詳細に説明すると、後述するステップS13にて変動パターンテーブルオフセット処理において設定され、RAMに記憶されているオフセット設定値に応じた変動パターンテーブルを参照して、第1特別図柄変動パターン決定部135aは今回の遊技における変動パターンコマンドを決定する。
【0115】
なお、オフセット設定値が1の場合は、通常時変動パターンテーブル134aが参照され、オフセット設定値が2の場合は、確変時変動パターンテーブル134bが参照され、オフセット設定値が3の場合は、時短時変動パターンテーブル134cが参照されるようになっている(図13参照)。
【0116】
次いで、ステップS8にて、演出態様決定処理を行う。この演出態様決定処理では、演出態様決定部210が、演出テーブル261a〜cの何れかを参照して、変動パターンコマンドに対応する演出態様(演出画像データ)を抽選で決定し、可動役物51,52,53の可動の有無も決定するが、所定の場合に演出内容を変更している。これについては、後述する。次いで、ステップS9で、特別図柄が変動を開始し、所定時間だけ変動表示された後に停止表示される。また、特別図柄の変動開始と同期して、ステップS10にて、演出図柄の変動が開始され前記所定時間経過後に停止表示される。このステップS10において、消費電力を抑制するために、必要に応じて各種演出装置の駆動制御処理が行われるが、これについての詳細も後述する。
【0117】
次いで、停止した特別図柄が特図当たりの組合せで確定している場合(ステップS11でYes)は、大当たり遊技制御部160は、特別図柄の種類に応じた所定のアタッカー開放パターンでアタッカー装置41を開放して大当たり遊技を提供する(ステップS12)。次いで、ステップS13に進み、変動パターンテーブルオフセット設定処理が行われる。この変動パターンテーブルオフセット設定処理では、次遊技にて用いる変動パターンテーブルが設定される。
【0118】
具体的には、今回の遊技で特図当たりに当選し、大当たり遊技が提供されたときには、図13に示すように、特別図柄の種類が「15R確変図柄A〜C」と「2R確変図柄A,B」の場合にオフセット設定値が2に設定され、「2R通常図柄」の場合にオフセット設定値が3に設定される。また、今回の遊技がハズレの場合には、所定の電サポ回数に到達するまでは、前回の遊技のオフセット設定値を維持する。
【0119】
よって、電サポが10000回の場合は、10000回連続してハズレとならない限り、次の特図当たりまで、毎遊技、前回の大当たり遊技後に設定されたオフセット設定値が維持されることとなる。例えば、今回の特図当たり時の特別図柄の種類が15R確変図柄Aの場合には、大当たり遊技後にオフセット設定値が2に設定されるから、それ以後の遊技がハズレの場合、次回の特図当たり当選時まで、オフセット設定値は2に設定されることになる。
【0120】
一方、特別図柄の種類が「2R通常図柄」の場合、大当たり遊技後に電サポが30回しか付与されない(図8参照)。そのため、大当たり遊技後から29回目の遊技までは、このステップS13でオフセット設定値3が設定されるが、30回目の遊技で電サポが終了となるので、30回目以降の毎遊技において、オフセット設定値1が設定される。つまり、遊技状態が特図低確および普図低確となるため、オフセット設定値が1に変更される。なお、初期の状態では、オフセット設定値は1と設定されるようになっている。
【0121】
次いで、ステップS14にて、遊技状態設定部140は、次の遊技における特別図柄および普通図柄の遊技状態を設定する。このステップS14で、次回の遊技における遊技状態が設定されると、1回の遊技に係る処理が終了する。また、ステップS11でNoの場合は、大当たり遊技が提供されることなくステップS13、S14の順に進むこととなる。なお、ステップS1でNoの場合は遊技が行われることなく終了となる。
【0122】
次に、ステップS10で行われる演出装置の駆動制御処理の詳細について、図17を参照しながら説明する。演出装置の駆動制御処理が開始されると、まず、ステップS8で決定された内容で演出が実行されることになる(ステップS21)。例えば、ステップS8で変動パターンNo.15に基づいて、ロゴ役物51の可動なし、刀役物52の可動あり、王冠役物53の可動あり、擬似連4回、ストーリー系リーチの中から120秒のストーリー系リーチAが決定されると、ステップS21にて、その決定に従って演出が実行される。つまり、演出表示制御部220が演出表示装置34に画像を表示し、所定のタイミングで役物作動制御部240が各可動役物51,52,53を可動させ、ランプ表示制御部245が各種ランプを点灯、点滅させ、音声出力制御部250がスピーカ20から音を発するように制御する。
【0123】
次いで、ステップS22に進んで、演出制御処理部12aは、電力監視装置81から消費電力が180Wを超えた旨の信号が入力されたか否かを判定する。消費電力が180Wをオーバーしていない場合(ステップS22でNoの場合)は、そのまま終了となるが、消費電力が180Wをオーバーしている場合(ステップS22でYesの場合)には、ステップS23に進み、変動パターン履歴記憶指示部235からの指示により、今回の遊技に係る変動パターンNo.が変動パターン履歴記憶部270に記憶される。例えば、図15に示すように、日時と変動パターンNo.の履歴が20??/??/??:変動パターンNo.??といった形で保存される。これにより、予期せぬトラブルの事例が学習されることになる。
【0124】
次いで、ステップS24に進み、消費電力が180Wを超えないように、例えば、ランプ表示制御部245が、ランプの輝度を低減させた省電力モードでLEDランプ50a,b,c…を駆動するよう制御している。このステップS24の処理によって、消費電力が180Wを一時的に超えたとしても、直ぐに消費電力を低減させるような制御が行われるから、遊技を中断させなくても済むのである。
【0125】
このステップS24における処理について、説明を補足すると、そもそもパチンコ機Pは、予め設定されている変動パターンコマンドに従って演出が行われる限り、当然に消費電力が180Wを超えないように設計されているから、正常にパチンコ機Pが動作していれば、ステップS22でYesとなる場合はない。そのため、ステップS24の処理が実行されることも普通はない。ところが、制御プログラムのバグ等により予期せぬ事態が発生して、設計段階では想定し得ない状況で発射装置9、賞球払出装置14、可動役物51,52,53、LEDランプ50a,b,c…、スピーカ20などが作動してしまうと、消費電力が閾値である180Wを超える場合が有り得る。
【0126】
このような非常事態が発生したときのために、本実施形態では、ステップS22でYesと判断された場合に、その非常事態の原因となった変動パターンコマンド(No.)をステップS23で記憶することにより、同じトラブルが再発しないようにする(図18のステップS31〜S33の処理を参照)と共に、ステップS24の処理を行うことにより、遊技を中断することなくトラブルの解決するようにしているのである。これらのことから、変動パターン履歴記憶部270に記憶された変動パターンNo.は、設計の段階では想定できなかったトラブルと何らかの因果関係があると考えられる変動パターンNo.であるということになり、将来のパチンコ機の設計開発に有意義なデータとなる。
【0127】
次に、ステップS8で行われる演出態様決定処理の詳細について、図18を参照しながら詳しく説明する。演出態様決定処理では、まず、ステップS31にて、変動パターン合致判定部230が、今回の遊技開始時に送られてきた変動パターンNo.と、変動パターン履歴記憶部270に記憶されている変動パターンNo.とを比較する。今回の変動パターンNo.が変動パターン履歴記憶部270に記憶されているものと合致している場合(ステップS32でYesの場合)、変動パターンコマンド変更部215は、今回の遊技開始時に送られてきた変動パターンNo.と変動時間が同一、かつ、演出内容が異なる別の変動パターンNo.に変更する(書き換える)処理を行う(ステップS33)。
【0128】
例えば、変動パターン履歴記憶部270に変動パターンNo.15が記憶されている場合に、今回の遊技開始時に決定された変動パターンコマンドが変動パターンNo.15であったとする。すると、変動パターンNo.15に規定された変動時間は120秒(図12参照)であるから、変動パターンコマンド変更部215は、このステップS33において、この変動時間120秒が規定されている変動パターンNo.17,No.18の中から1つのコマンドを、抽選によって、今回の演出を決定するための変動パターンコマンドに再決定している。
【0129】
一方、ステップS32でNoの場合には、ステップS33を飛ばしてステップS34に進む。次いで、ステップS34において、演出態様決定部210は、ステップS32でNoの場合には今回の遊技開始時に送られてきた変動パターンNo.に基づいて演出態様を抽選により決定し、ステップS32でYesの場合には、変動パターンコマンド変更部215によって書き換えられた変動パターンNo.に基づいて演出態様を抽選により決定する。このように、本実施形態によれば、上述した予期せぬ不具合が生じて、消費電力が180Wをオーバーしてしまった場合(ステップS22でYesの場合)であっても、ステップS31〜S33の処理によって、以前不具合となった変動パターンNo.に基づく演出が行われることがなくなるから、トラブルの再発は防止されるのである。
【0130】
以上、説明したように、本実施形態に係るパチンコ機によれば、遊技中に消費電力が許容値(180W)を超えるような予期せぬトラブルが発生しても、そのトラブルに起因する変動パターンコマンドが履歴として保存され、同じ演出内容が二度と行われないようになっているから、同じトラブルが再発することはなくなる。さらに、遊技中に消費電力が許容値を超えた場合であっても、直ちに消費電力を抑えた状態で演出を行うことができるようになっているから、遊技を中断することなく消費電力を許容値以内に抑えることができる。さらに、本実施形態に係るパチンコ機Pは、変動パターン履歴記憶部270の情報を次のパチンコ機の開発(デバックなど)に生かすこともできるといった優れた効果を奏し得る。
【0131】
なお、上記した変動パターンコマンド変更部215は、変動パターンコマンド自体を別のコマンドに変更する構成であったが、この構成に代えて、変動パターンコマンドのデータ構成を一部書き換える等してトラブルの原因となった変動パターンNo.と中身の異なるものにしても良い。例えば、変動パターンNo.14のデータ構成のうちロゴ役物51の可動をなしにするよう書き換えても良い。つまり、変動パターンコマンドに規定されている変動時間が同じであって、演出内容が異なるコマンドに変更されれば、変更の手段はあらゆるものが適用可能である。
【0132】
また、変動パターン履歴記憶部270には、消費電力値が閾値をオーバーしたときの変動パターンコマンドの履歴を記憶するようにしたが、そのときに演出態様決定手段210が決定した演出態様の履歴を、変動パターンコマンドと共に、あるいは変動パターンコマンドに代えてトラブルの履歴として記憶するようにしても良い。
【符号の説明】
【0133】
3 遊技盤
31 遊技領域
34 演出表示装置(演出装置)
37a 第1始動入賞口(始動口)
37b 第2始動入賞口(始動口)
50a,b,c… LEDランプ(演出装置)
51 ロゴ役物(演出装置)
52 刀役物(演出装置)
53 王冠役物(演出装置)
81 電力監視装置(電力監視手段)
110 特別図柄抽選処理部(特別図柄抽選手段)
130 特別図柄変動パターンコマンド決定部(演出パターン決定手段)
215 変動パターンコマンド変更部(演出パターン変更手段)
220 演出表示制御部(演出装置駆動制御手段)
230 変動パターン合致判定部(演出パターン合致判定手段)
240 役物作動制御部(演出装置駆動制御手段)
245 ランプ表示制御部(演出装置駆動制御手段)
250 音声出力制御部(演出装置駆動制御手段)
270 変動パターン履歴記憶部(演出パターン履歴記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤と、演出に用いられる複数の演出装置と、前記遊技領域に設けられた始動口と、この始動口に遊技球が入賞したことを契機に抽選を行う特別図柄抽選手段と、この特別図柄抽選手段による抽選結果に基づいて、少なくとも演出時間と演出内容とが規定された演出パターンを決定する演出パターン決定手段と、前記演出パターンに従って前記複数の演出装置を駆動する演出装置駆動制御手段と、を有するパチンコ機において、
当該パチンコ機で消費される電力を監視する電力監視手段と、
消費電力の値が予め定めた閾値を超えたと前記電力監視手段によって判断された場合に、当該判断の時点で行われている演出に対応する前記演出パターンを履歴として記憶する演出パターン履歴記憶手段と、
を備えたことを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】
請求項1の記載において、
前記演出パターン履歴記憶手段に記憶されている演出パターンと、今回の遊技開始時に前記演出パターン決定手段が決定した演出パターンとが合致するか否かを判定する演出パターン合致判定手段と、
前記演出パターン合致判定手段によって前記両方の演出パターンが合致すると判定された場合に、今回の遊技開始時に決定された前記演出パターンを、前記演出時間が同一、かつ、前記演出内容が前記演出パターン履歴記憶手段に記憶されているものと異なる構成の演出パターンに変更する演出パターン変更手段と、を備え、
前記演出装置駆動制御手段は、その変更された演出パターンに従って前記複数の演出装置を駆動するようにした
ことを特徴とするパチンコ機。
【請求項3】
請求項1または2の記載において、
消費電力の値が前記閾値を超えたと前記電力監視手段によって判断された場合に、前記演出装置駆動制御手段は、当該判断の時点で行われている演出に対応する前記演出パターンに従うものの、消費電力が前記閾値を超えないよう前記複数の演出装置の駆動を制御するようにした
ことを特徴とするパチンコ機。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図2】
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【図3】
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