説明

パチンコ機

【課題】省電力化を可能とするとともに、省電力状態下における可動体の動作を遊技者に対して適切に表現することにより遊技の面白みを維持,向上させることが可能なパチンコ機を提供する。
【解決手段】通常電力状態、又は、通常電力状態よりも消費電力を低減した省電力状態いずれかの状態を選択可能なパチンコ機であって、遊技盤に配設された始動部品への入球に基づいて演出制御コマンドを送信する主制御部と、演出制御コマンドに基づいて、識別図柄を変動表示可能な図柄表示装置、及び、識別図柄の変動表示に合わせて遊技盤上に設けられた可動体を動作させる演出制御部とを備え、演出制御部は、現在の遊技が省電力状態であること、かつ、演出制御コマンドが可動体を動作させる種別であることに基づいて、可動体の動作を無効化させる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関し、省電力状態時における遊技性を向上させることが可能なパチンコ機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、従来のパチンコ機においては、例えば液晶表示器上にて数字や特定のキャラクタ等から構成される識別図柄を変動表示させ、変動停止後の識別図柄の組み合わせにより特典遊技(大当り遊技)成立の可否を報知するようにしている。当該パチンコ機においては、変動停止までの面白みを増大させるために、識別図柄の変動表示とは別に、遊技盤上に配設されたフィギュア(所謂役物)を例えば液晶表示器の液晶画面前方において、識別図柄の変動態様に合わせて動作させることにより、識別図柄が変動停止するまでの大当り遊技への期待感を高める制御がなされている。
また、近年においては、電力需要の増加傾向や、電力供給の低下傾向に起因してパチンコ機の省電力化への取り組みがなされており、例えば特許文献2には、遊技者の操作により省電力状態への切り替えを可能にするとともに、省電力下におけるLEDやスピーカ等の各デバイスの消費電力を低減させる構成のパチンコ機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−221014号公報
【特許文献2】特開2009−247543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献2に開示されたパチンコ機においては、遊技者の操作によりパチンコ機の消費電力を省力化でき、さらに識別図柄の変動表示態様が特定の種別(例えば「リーチ」)である場合に、前記デバイスの電力を一時的に通常電力とすることにより、省電力状態時において遊技の面白みが低下することを防止する構成ではあるが、特許文献1に開示されるような可動体を備えたパチンコ機において、如何にして省電力化と省電力状態時における遊技の面白みが低下することを防止するかについては考慮されていない。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、遊技盤上に可動体を備えたパチンコ機において、省電力化を可能とするとともに、省電力状態下における可動体の動作を遊技者に対して適切に表現することにより遊技の面白みを維持,向上させることが可能なパチンコ機を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下の構成は、上記課題のいずれか又は両方を解決するための手段であって、第一の構成として、通常電力状態、又は、通常電力状態よりも消費電力を低減した省電力状態いずれかの状態を選択可能なパチンコ機であって、遊技盤に配設された始動口への入賞に基づいて演出制御コマンドを送信する主制御部と、演出制御コマンドに基づいて、識別図柄を変動表示可能な図柄表示装置、及び、識別図柄の変動表示に合わせて遊技盤上に設けられた可動体を動作させる演出制御部とを備え、演出制御部は、現在の遊技が省電力状態であること、かつ、演出制御コマンドが可動体を動作させる種別であることに基づいて、可動体の動作を無効化することを特徴とする。
本構成によれば、図柄表示装置、及び、可動体を動作させる演出制御部が、現在の遊技が省電力状態であること、かつ、演出制御コマンドが可動体を動作させる種別であることに基づいて可動体の動作を無効化することから、可動体を可動させるための駆動源に電力を供給することがなくなり、省電力化を適切に図ることができる。
また、第二の構成として、演出制御部は可動体の動作を無効化するに際し、可動体の動作に代わる演出表示を図柄表示装置に表示することを特徴とする。
本構成によれば、前記構成から生じる効果に加え、可動体の動作に代わる演出表示が図柄表示装置に表示されることから、遊技者は可動体が動作した時と同様の期待感を得ることができ、省電力状態において遊技の面白みが低下することを確実に防止できる。
また、第三の構成として、可動体の動作に代わる演出表示を可動体と同様な形状の可動体画像を演出制御コマンドに基づいて動作する可動体の挙動と同様の挙動により表示すれば、可動体画像の挙動によって実際の可動体が動作した時と同様の期待感を得ることができ、省電力状態における遊技の面白みを向上させることが可能となる。
本明細書において「可動体」とは、演出制御部により直接又は間接的に制御されるモータ,ソレノイド等の駆動源を動力として動作する動体であって、遊技盤上において遊技者から視認可能な範囲を可動域とするものであれば、その形状、動作態様は問わない。
また、「可動体の動作に代わる演出表示」とは、文字、画像、動画による演出の他、前記可動体の動作を示唆する一切の演出を含むものである。
なお、上記発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、特徴群を構成する個々の構成もまた発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】パチンコ機の概略正面図である。
【図2】パチンコ機の制御ブロック図である。
【図3】リーチパターンテーブルを示す模式図である。
【図4】図柄変動生成処理を示すフロー図である。
【図5】演出制御装置が図柄変動コマンドを受信したときの処理を示すフロー図である。
【図6】演出例を示す模式図である。
【図7】メニュー画面例を示す模式図である。
【図8】電力状態切替処理を示すフロー図である。
【図9】ネットワーク型の遊技システムの概要を示す概略図である。
【図10】ネットワーク型の遊技システムの処理を示すフロー図である。
【図11】メニュー画面例を示す模式図である。
【図12】打−WIN情報設定処理を示すフロー図である。
【図13】可動体とソレノイドとの関係を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、遊技機の一例としてのパチンコ機1の正面図である。同図を用いてパチンコ機1の概略について説明する。同図に示すようにパチンコ機1は、概略、遊技店等の所定の設置スペース内に格納される外枠5と、外枠5内に開閉可能に格納され、前側に遊技盤10を格納可能な額縁状の内枠6と、外枠5の下方に開閉可能に配設され、球発射ハンドル15及び貯留皿16を有するパネル体7と、内枠6に対して開閉可能に軸支され、遊技盤10の前方を閉塞する窓8とを備える。
【0010】
遊技盤10は、内枠6の上部一側部に設けられたロック機構6Aによって内枠6に対して着脱可能に設けられた矩形の盤体であって、前側の領域に外ガイドレール11及び内ガイドレール12によって区画された遊技領域10Aを有する。外ガイドレール11は、遊技盤10の下方一側部から上方他側部に向かって円弧状に延在する金属製の板体であって、図外の球発射機構から打ち出された球を遊技領域10Aまで案内する。内ガイドレール12は、一部の区間において外ガイドレール11と並行して延在する金属製の板体であって、外ガイドレール11と並行する部分に球発射通路13が形成される。球発射通路13の下流側には、球発射機構が設けられており、球発射機構により打ち出された球は、外ガイドレール11に沿って球発射通路13の上方へ転動し、内ガイドレール12の上端部に配設された戻り防止弁12Aを押し開け、内ガイドレール12よりも内側の遊技領域10A内に進入する。
【0011】
外枠5の上部には、スピーカ9が設けられており、スピーカ9は、後述の演出制御装置200によって制御され、遊技の進行に合わせた音響を発する。また、スピーカ9のボリュームは、現在の電力状態(通常電力状態又は省電力状態)に応じて制御され、現在の電力状態が後述の省電力状態である場合、通常電力状態の場合よりも低減される。
【0012】
パネル体7の前方に突設された球発射ハンドル15は、両方向に回転操作可能な操作部15Aを有し、当該操作部15Aの回転角度が、球発射ハンドル15の内部に格納された図外の回転角センサーにより検出される。回転角センサーにより検出された回転角は後述の発射制御装置300に出力され、発射制御装置300が図外の球発射機構を制御することにより、回転角に応じた強さで球が打ち出される。また、球発射ハンドル15の内部或いは表面には、操作部15Aに人が触れたことを検知する図外のタッチセンサーが埋設されており、当該タッチセンサーからの出力は、発射制御装置300に入力する。
パネル体7の前方に突設された貯留皿16は、球を球発射機構まで誘導する図外の供給路と、払出口16Aから払い出された球を貯留する貯留空間を有する上方開口の構造体である。払出口16Aから払い出される球としては、遊技盤10上に配設された各種の入賞部品に対して球が取り込まれることにより払い出される賞球や、遊技者の操作によって図外の球貸し機から払い出される貸球等が存在する。いずれの球の払出しについても後述する払出制御装置400の制御処理により動作する図外の賞球払出機構によって実行される。
【0013】
貯留皿16の中央部には、操作部17が配設される。操作部17は、識別図柄表示装置(以下、液晶表示装置という場合もある)20上に表示されるカーソルを移動するためのダイアル部17Aと、ダイアル部17Aによって移動されたカーソルと対応する項目を選択するための決定ボタン17Bとから構成される。詳細については後述するが、当該操作部17は、例えば遊技開始時において遊技者がパチンコ機1の電力状態を選択、決定する電力状態切り替え操作や、これまでの遊技履歴等を外部のサーバ等に登録するための登録操作を行うために使用される。
また、操作部17は、後述する演出制御装置200と接続されており、演出制御装置200は、操作部17の操作に応じて電力状態切り替え処理や、遊技履歴等の登録処理を実行する。
【0014】
次に、遊技盤10に配設された各種の遊技部品について説明する。遊技盤10の前面には、概略、盤面略中央に配置された識別図柄表示装置20と、識別図柄表示装置20の周囲を囲繞するように配設された電飾装置30と、盤面略中央における電飾装置30より下方に配設された始動入賞部品40と、始動入賞部品40の直下に配設された大入賞部品50と、電飾装置30の両側部に配設された普図(普通図柄)始動部品60と、複数の一般入賞部品65A乃至65Dと、盤面表示部70とが設けられる。
【0015】
識別図柄表示装置20は、遊技盤10の中央部に開設された着脱開口を介して遊技盤10に設置される。識別図柄表示装置20としては、例えばCRT(ブラウン管),LCD(液晶)等の表示装置或いは、複数のホイールユニットからなるドラム型の表示装置等を好適に用いることができる。
【0016】
識別図柄表示装置20は、概略、複数の識別図柄を表示可能な液晶ディスプレイ20Aと、液晶ディスプレイ20Aの背面に搭載されたバックライト20Bとから構成される。
液晶ディスプレイ20Aの構成は、公知のものを採用可能であって、例えば複数の偏光フィルタの間に挟まれた複数の透明電極と、該透明電極間に配置された配向膜及び液晶層とから構成され、透明電極間に電圧が印加されることにより、所定の識別図柄、或いは、演出表示を遊技者に対して視認可能とする。また、バックライト20Bの構成についても公知のものを採用でき、例えば調光が容易なLEDや冷陰極管が好適に採用できる。
【0017】
また、液晶ディスプレイ20A及びバックライト20Bへの電力供給量は、現在の電力状態(通常電力状態又は省電力状態)により制御され、現在の電力状態が後述の省電力状態である場合、通常電力状態の場合よりもその輝度が低減される。
【0018】
図1に示すように、識別図柄表示装置20は、液晶ディスプレイ20A上に複数の識別図柄A乃至Cを変動表示可能である。識別図柄A乃至Cは、例えば1〜9までの連続した数字、及び、特定のキャラクタ等により構成されており、識別図柄A;Cの表示領域が液晶ディスプレイ20Aの両側部、識別図柄Bの表示領域が識別図柄A;Cに挟まれた液晶ディスプレイ20Aの中央部として予め設定されている。
【0019】
識別図柄A乃至Cの変動表示は、球が後述の始動入賞部品40に取り込まれたことを契機として開始される。より詳細には、球が後述の始動入賞部品40に取り込まれたことを契機として、後述の主制御装置100及び演出制御装置200により実行される図柄変動制御処理によって開始する。
識別図柄A乃至Cの変動表示が開始されると、順に配列された1〜9までの数字、及び、所定のキャラクタが、あたかも液晶ディスプレイ20A上を例えば上方から下方に流下するように表示され(縦スクロール表示)、所定の変動表示期間の終了後に全ての識別図柄A乃至Cが表示領域ごとに停止した状態で表示され(停止表示)、停止表示された識別図柄A乃至Cの組み合わせによって、遊技者に対して一回の識別図柄変動遊技に対する抽選結果(当り(大当り)又は外れ)を報知する構成である。
【0020】
ここで、抽選結果が「当り」である場合の識別図柄A乃至Cの組み合わせとしては、各表示領域に停止表示される数字又はキャラクタが、予め設定された仮想線で示す当りラインL1〜L3上において同一の数字又はキャラクタとなるように設定されており、遊技者は、同一の当りラインL1〜L3上に同一の数字又はキャラクタが停止表示されることにより抽選結果が「当り」であることを認識できる。一方で、識別図柄A乃至Cが、上記組み合わせ以外の組み合わせで停止表示されることにより、抽選結果が「外れ」であることを認識できる。
【0021】
識別図柄表示装置20の両側部には、識別図柄の変動表示と対応して可動する複数の可動体25;25が設けられる。本実施形態における可動体25は、刀の形状を模した形状として成形されており、仮想線に示すように非作動時においては、後述の電飾部31;31の裏側に設けられた収容空間内に起立した状態で収容される。
一方、演出制御装置200の制御により駆動源としてのソレノイドKSOLが駆動した場合、可動体25は、収容空間内で略垂直方向に起立した状態から傾斜した状態となる。そして、実線で示すように、互いに近接する方向に傾斜した可動体25:25は、液晶ディスプレイ20Aの前方において交差した状態となる。
【0022】
図13は、可動体25とソレノイドKSOLとの関係を示す概略図である。なお、一対の可動体25;25は同一構成であるため、片側の可動体25及びこれに対応するソレノイドKSOLとの関係のみについて説明する。同図に示すように、遊技盤10の裏側に配設されたソレノイドKSOLと可動体25とは伝達機構26によって連結されており、ソレノイドKSOLの進退動作が可動体25の起立動作又は傾動動作に変換される。
伝達機構26は、例えばソレノイドKSOLのロッドの先端部に取り付けられたクランク部27と、クランク部27によって回転可能に支承される軸部28Aを備えた回転板部28及び回転板部28の先端部に軸部を介して回転可能に配設され、その回転角度が図外の規制部により規制された扇状のギア部29とにより構成される。
ギア部29の周囲に開設された歯車は、可動体25の先端部に設けられたギア25Aの歯車と噛み合った状態とされる。
この状態において、ソレノイドKSOLのロッドが収縮する方向にストロークした場合、ロッドの収縮動作は、伝達機構26を介して可動体25の傾動動作に変換され、可動体25は起立した状態から、液晶ディスプレイ20Aの前方において傾斜した状態に傾動することとなる。
【0023】
上記可動部25:25とそれぞれ対応する駆動源としてのソレノイドKSOLの動作は、主制御装置100より送信される図柄変動コマンドに基づいて動作する演出制御装置200により制御される。また、演出制御装置200は、電力状態が省電力状態の場合において、ソレノイドKSOLへの駆動信号の出力を停止し、主制御装置100より送信される図柄変動コマンドに対して可動体25:25による動作を実質的に無効化する。
【0024】
図1に戻り、識別図柄表示装置20の周囲に配設された電飾装置30は、遊技盤10の略中央から側方に向かってハの字状に下傾する電飾部31:31と、電飾部31:31の下端部と接続し、遊技盤10の上下方向に延在する電飾部32:32と、電飾部32:32の下端部と接続し、遊技盤10の略中央に向かって逆ハの字状に下傾する電飾部33:33とから構成される。電飾部31:31は、遊技盤10の前面より前方に突出し、側方に向けて緩やかに下傾する樹脂製の基部31Aと、基部31Aの前面に配置された複数の発光表示部31Bとを備える。基部31Aは、遊技盤10の前方を閉塞する窓8と球1個分の直径より狭い間隔を持って突出する誘導路として機能し、基部31Aに到達した球は、基部31Aの延長方向、即ち、遊技盤10の側方に誘導される。
【0025】
複数の発光表示部31Bは、基部31Aの前面に配設された光透過性を有する樹脂部材であって、例えばその表面が桜の花弁を模した形状に成形されている。また、基部31Aの前面に配設された複数の発光表示部31Bに対応する位置には、LEDや白熱電球からなる複数の発光体R1が配置される。当該発光体R1は、基部31A内に設けられた図外の取り付け部を介して、発光表示部31Bに対応する位置において固着される。
【0026】
電飾部32:32は、遊技盤10の前面より前方に突出し、上下方向に延在する基部32Aと、基部32Aの前面に配置された発光表示部32Bとを備える。基部32Aは、前記基部31Aと同様に遊技盤10の前方を閉塞する窓8と球1個分の直径より狭い間隔を持って突出する誘導路として機能する。また、基部32Aの下部には、遊技領域10Aとステージ34とに連通する誘導通路35が開設され、遊技領域10A側の開口より誘導通路35に進入した球は、ステージ34側の開口からステージ34上に誘導される。
【0027】
発光表示部32Bは、基部32Aの前面に配設された光透過性を有する樹脂部材であって、例えば基部32Aの前面を覆うクリアパネルとして成形されている。また、発光表示部32Bの位置と対応する基部32Aの内部には、複数の発光体R2が図外の取り付け部を介して、内挿されており、複数の発光体R2から生じる光は、クリアパネルとして成形された発光表示部32Bを介して視認可能となっている。
【0028】
電飾部33:33は、遊技盤10の前面上に配設され、遊技盤10の中央に向けて緩やかに下傾する金属製の基部33Aと、基部33Aの前面に配置された複数の発光表示部33Bとを備える。基部33Aは、前述の電飾部31;32よりも後方において延在する部材であって、ステージ34上から落下した球が基部33Aの前方を通過可能である。
発光表示部33Bは、基部33Aの前面に配設された光透過性を有する樹脂部材であって、前記発光表示部31Bと同様に、例えばその表面が桜の花弁を模した形状に成形されている。また、発光表示部33Bの位置と対応する基部33Aには、複数の発光体R3が埋設されており、複数の発光体R3から生じる光は、発光表示部33Bを介して視認可能となっている。
【0029】
複数の発光体R1乃至R3は、演出制御装置200によって制御され、現在の電力状態(通常電力状態又は省電力状態)が省電力状態である場合、例えば電力供給量が低減され、その輝度が制限される。
【0030】
以下、遊技盤10上に配設される複数の入賞部品について説明する。遊技盤10の略中央に配設された始動入賞部品40は、遊技盤10の盤面とネジ止めされる取り付け部を介して配置された取り込み基体40Aと、取り込み基体40Aの両側部に配設され、遊技盤10の背面に配設された図外のソレノイドSOL1の駆動により開閉動作する開閉翼40Bとを備える。取り込み基体40Aは、遊技盤10の盤面から前方に突出する盤体であって、上部及び両側部に形成された取り込み口から球を取り込み可能である。開閉翼40Bは、取り込み基体40Aの両側部に形成された取り込み口を閉塞する直立した閉鎖状態、及び、取り込み口を開放する逆ハの字状の開放状態をとり得る開閉体であって、球が始動入賞部品40内に取り込まれる可能性を高めるものである。
【0031】
開閉翼40Bの閉鎖状態から開放状態への変位は、後述の普図始動部品60を球が通過したことに基づいて主制御装置100により実行される普図抽選の結果が「当り」であることにより開始される。また、普図抽選の結果が「当り」である場合の開放時間及び開放回数は、例えば0.5秒が1回、又は、1.2秒が3回等、複数のパターンから設定される。
【0032】
始動入賞部品40に取り込まれた球は、始動入賞部品40内に配設された始動入賞球検出センサー101によって検出された後に、遊技盤10の背面に配設された図外の排出通路を通過してパチンコ機1の外部に排出される。球の通過を検知した始動入賞球検出センサー101からの出力は、後述の主制御装置100に入力し、主制御装置100は、当該入力に基づいて各種の制御処理を実行する。
【0033】
始動入賞部品40の下方に配設された大入賞部品50は、遊技盤10に開設された矩形の取り込み込み口の縁部を囲繞する開口部50Aと、開口部50Aを閉鎖又は開放する開閉板50Bとを備える。開閉板50Bは、遊技盤10の背面に配設された図外のソレノイドSOL2の駆動により開口部50Aの下部を回転中心として前方に開放する板体であって、開放した状態において遊技領域10A上を流下する球を開口部50A内に取り込む。
また、大入賞部品50の内部には、大入賞球検出センサー102が配設されており、大入賞部品50内に取り込まれた球は、大入賞球検出センサー102によって検出された後にパチンコ機1の外部に排出される。大入賞球検出センサー102は、主制御装置100と接続されており、主制御装置100は、大入賞球検出センサー102から出力される検出信号の入力に基づいて各種の制御処理を実行する。
【0034】
大入賞部品50の開閉板50Bの開放動作は、大当り遊技において実行される。ここで、大当り遊技とは、後述の特図表示ランプ71A上に表示される特別図柄が「当り」を示す態様で停止されたことに基づいて実行される遊技者にとって有利な遊技状態である。当該大当り遊技が実行されると開閉板50Bが開放状態となってから所定時間が経過するか、又は、所定個数の球が検出されるまで開放状態となり、当該サイクル(ラウンド)が例えば15回繰り返される。つまり、大当り遊技においては、遊技領域10Aに打ち出された球は、大入賞部品50に取り込まれやすくなるため、大入賞部品50に取り込まれたことに対する賞球を短時間に得ることが可能となる。
【0035】
大入賞部品50の周囲には、弧状に形成された遊技領域10Aの下部に沿って複数の一般入賞部品65A乃至65Dが配設される。一般入賞部品65A乃至65Dは、前述の始動入賞部品40の取り込み基体40Aと略同様に遊技盤10の盤面から前方に突出する盤体であって、上部に形成された取り込み口から球を取り込み可能である。また、各一般入賞部品65A乃至65Dの内部には、それぞれに対応する一般入賞球検出センサー103が配設されており、一般入賞球検出センサー103から出力された検出信号は主制御装置100に入力する。また、一般入賞球検出センサー103に検出された球はパチンコ機1の外部に排出される。
【0036】
電飾装置30の両側部に配設された普図始動部品60は、上下が開口した通過型の始動部品である。各普図始動部品60の内部には、普図始動球検出センサー104が配設されており、普図始動球検出センサー104から出力される検出信号は、主制御装置100に入力する。また、前述のとおり球が普図始動部品60を通過することにより、主制御装置100による普図抽選が実行され、抽選の結果によって、図外のソレノイドSOL1が駆動し、開閉翼40Bが開放状態となる。
【0037】
遊技盤10の一方の側部に配設された盤面表示部70は、特図(特別図柄)表示ランプ71A、普図(普通図柄)表示ランプ71B、特図始動情報保留ランプ71C及び普図始動情報保留ランプ71Dとから構成される。
特図表示ランプ71Aは、例えば並列に配置された一対の7セグメントランプにより構成され、その停止態様により、始動入賞球検出センサー101からの入力によって主制御装置100において実行される抽選結果(当り,外れ)を表示する。
例えば、抽選結果が「当り」である場合の停止態様は、同一の数字が並列に停止する態様であり、「外れ」である場合の停止態様は、異なる数字、或いは、識別不能な記号が並列に停止する態様として予め設定されている。また、特図表示ランプ71Aの変動表示開始時期、及び停止表示時期は、前述の識別図柄表示装置20上に表示される識別図柄A乃至Cと略同期しており、遊技者は特図表示ランプ71A又は識別図柄A乃至Cの停止態様により抽選の結果を認識することができる。
【0038】
普図表示ランプ71Bは、例えばクリアパネル表面に丸やバツ等の記号が印刷された一対のランプにより構成され、その停止態様により、普図始動球検出センサー104からの入力によって主制御装置100において実行される普図抽選の結果(当り,外れ)を表示する。
【0039】
特図始動情報保留ランプ71C及び普図始動情報保留ランプ71Dは、例えば並列に配置された4つのランプにより構成される。特図始動情報保留ランプ71Cは、始動入賞球検出センサー101からの入力により主制御装置100において取得される始動情報(複数の乱数)の保留個数を点灯個数として表示する。本実施形態におけるパチンコ機1においては、保留可能な始動情報数を最大4つまでとしており、例えば識別図柄A乃至Cの変動表示中に始動入賞部品40に球が取り込まれた場合、4つの球が取り込まれるまでは、始動情報が保留される。なお、始動入賞球検出センサー101からの入力に基づいて取得される始動情報の詳細については後述する。
【0040】
普図始動情報保留ランプ71Dは、普図始動球検出センサー104からの入力によって主制御装置100において取得される始動情報(乱数)の保留個数を点灯個数として表示する。また、前記同様に保留可能な始動情報数の上限は4つまでとされており、当該上限に達するまでは普図始動部品60の通過により始動情報が保留される。
【0041】
以下、上記構成からなるパチンコ機1の制御系について説明する。図2は、パチンコ機1の制御ブロック図である。
同図に示すようにパチンコ機1は、各種センサーからの検出信号に基づいて遊技全般の遊技処理を実行する主制御装置100と、主制御装置100から送信されるコマンドに基づいて所定の処理を実行する演出制御装置200、発射制御装置300及び払出制御装置400を主たる構成として備える。
上記各制御装置は、演算手段としてのCPU、CPUの制御処理に必要なデータや制御プログラムが格納された記憶手段としてのROM、及び、制御処理に必要なデータを随時読み書き可能な記憶手段としてのRAMを有する所謂コンピュータとして構成される。
【0042】
主制御装置100は、入力側に接続された各種センサーからの入力に基づいて演出制御装置200、発射制御装置300及び払出制御装置400に対して必要なコマンドを送信する。主制御装置100により送信されるコマンドとしては、演出制御装置200に対して送信される図柄変動コマンド、発射制御装置300に対して送信される発射禁止コマンド、払出制御装置400に対して送信される払出コマンド等が存在し、これらのコマンドを受信した各制御装置は、コマンドに含まれる情報を解析し、出力側に接続されたデバイスを駆動制御する。
主制御装置100のCPUの入力ポートには、入力中継基板100Aを介して始動入賞球検出センサー101、大入賞球検出センサー102、一般入賞球検出センサー103及び普図始動球検出センサー104がそれぞれ接続され、各種センサーからの検出信号が入力する。
【0043】
主制御装置100のCPUの出力ポートには、盤面中継基板100Bを介してソレノイドSOL1,SOL2、特図表示ランプ71A、普図表示ランプ71B、特図始動情報保留ランプ71C及び普図始動情報保留ランプ71Dがそれぞれ接続され、各デバイスが主制御装置100から出力される駆動信号により駆動する。
【0044】
また、主制御装置100のCPUの出力側には、図外のインターフェースを介して演出制御装置200、発射制御装置300、払出制御装置400が接続される。各制御装置には、主制御装置100により生成されたコマンドが送信される。
発射制御装置300に送信される発射禁止コマンドは、例えば、窓8の開放や遊技盤10における球詰まり、或いは磁気や不正器具を検知した場合等に生成され、発射禁止コマンドを受信した発射制御装置300は、出力側に接続された回転角センサーの入力を無効化し、球発射機構の動作を行わない制御を実行する。
【0045】
払出制御装置400に送信される払出コマンドは、ROM内に格納された賞球数テーブルに基づいて生成される。賞球数テーブルは、始動入賞球検出センサー101、大入賞球検出センサー102、一般入賞球検出センサー103から出力された検出信号と当該検出信号に対する賞球個数とが規定されたテーブルであって、本実実施例においては大入賞球検出センサー102を除く検出センサーに対応する賞球個数が3個に設定され、大入賞球検出センサー102に対応する賞球個数が15個に設定されている。
払出コマンドを受信した払出制御装置400は、払出コマンドに含まれる賞球個数情報に基づいて出力側に接続された賞球払出機構の駆動制御を実行し、所定の賞球を遊技者に対して払い出す。
【0046】
また、主制御装置100には、外部から供給される交流電源を直流に変換するとともに、各制御装置の駆動に必要な電圧に変換する電源供給部500が接続されている。
電源供給部500から出力される電力は、主制御装置100を介して図外の電力供給手段により各制御装置及び各デバイスに対して供給される。なお、主制御装置100を介すことなく電源供給部500から各制御装置及びデバイスに電力を分配する構成としてもよい。
【0047】
以下、主制御装置100の動作について説明する。
主制御装置100は、始動入賞球検出センサー101からの検出信号に基づいて始動情報取得処理を実行する。始動情報取得処理は、高速でカウントアップするハードウェア又はソフトウェア上の複数のカウンタから検出信号の入力を契機として各カウンタから対応する1つの乱数値を取得する処理である。
本実施形態における乱数は、所謂大当りの成否を決定する大当り乱数、大当りの種類を決定する当り種別乱数、リーチの有無を決定するリーチ乱数、リーチ成立後の変動態様(リーチパターン)を決定するリーチパターン乱数等が設定されている。
なお、乱数の種類としては上記のものに限られず、識別図柄A乃至Cの変動表示開始時に表示される変動時予告の有無やパターンを決定する乱数等、各種の乱数を設定することが可能である。
【0048】
各カウンタから取得された複数の乱数値からなる始動情報は、RAM内の乱数記憶領域に一時的に格納される。また、本実施形態において、RAM内の乱数記憶領域内に格納可能な始動情報は最大4個までとされており、始動情報が4個に達するまでは、始動入賞球検出センサー101からの入力に応じて始動情報が順次格納される。一方、既にRAM内に4個の始動情報が格納されている場合には、始動入賞球検出センサー101からの入力があっても始動情報が取得されることはない。
【0049】
次に、上記各乱数に基づいて生成される図柄変動コマンド生成処理について説明する。図4は、図柄変動生成処理を示すフロー図である。
主制御装置100は、S100においてRAM内に始動情報が格納されているかを判定し、YESの場合S101に移行し、NOの場合処理を終了する。主制御装置100は、S101において大当り遊技中であるかを判定し、NOの場合S102に移行し、YESの場合処理を終了する。主制御装置100は、S102において識別図柄が変動表示中であるかを判定し、NOの場合S104に移行し、YESの場合S103に移行する。
主制御装置100は、S103において識別図柄A乃至Cの変動表示開始と共に設定される変動時間タイマが「0」であるかを判定し、判定がYESの場合S104に移行し、NOの場合、判定処理をループして行う。つまり、S102,S103の処理に示すように、識別図柄A乃至Cの変動表示中においては、変動コマンドの生成が実行されないこととなる。
【0050】
主制御装置100は、S104においてRAMに格納された大当り乱数及びROM内に格納された大当り乱数テーブルを読み出し、大当り乱数テーブルに規定された大当り乱数に対応する情報(当り又は外れ)を抽出する(当否判定処理)。大当り乱数テーブルには、0〜65535までの大当り乱数にそれぞれ対応する情報が規定されており、例えば本実施形態においては、取得された大当り乱数に対応して「当り」となる確率が約360分の1となるように設定されている。
また、大当り乱数テーブルには、「当り」となる確率が約360分の1に設定された通常遊技用のテーブルと、「当り」となる確率が約36分の1に設定された確変(確率変動)遊技用のテーブルとが格納されており、いずれのテーブルが参照されるかは、現在の遊技状態(通常遊技又は確変遊技)に応じて決定される。ここで、確変遊技とは、「確変大当り」後に、「当り」となる確率が通常遊技の場合と比較して高められた遊技状態であって、例えば大当り遊技終了後から次回の大当り遊技までの間、実行される遊技である。
【0051】
主制御装置100は、S105においてRAMに格納された当り種別乱数及びROM内に格納された当り種別乱数テーブルを読み出し、当り種類乱数テーブルに規定された当り種類乱数に対応する当り種類(通常大当り又は確変大当り)を抽出する。なお、当該処理は前述の当否判定処理の結果が「当り」である場合に実行される処理であり、「外れ」である場合には実行されない。
【0052】
主制御装置100は、S106においてRAMに格納されたリーチ乱数及びROM内に格納されたリーチ乱数テーブルを読み出し、リーチ乱数テーブルに規定された大当り乱数に対応する情報(リーチ有又は無し)を抽出する。また、リーチ乱数テーブルには、前述の当否判定の結果が「当り」である場合に参照される当り用リーチ乱数テーブルと、「外れ」である場合に参照される外れ用乱数テーブルとが存在し、例えば当り用リーチ乱数テーブルが参照された場合、必ず「リーチ有」が抽出されるようになっているのに対して、外れ用リーチ乱数テーブルが参照された場合、所定の割合で「リーチ有」又は「リーチ無し」が抽出されるようになっている。
【0053】
主制御装置100は、S107において、前述のS106における処理の結果が「リーチ有」であることに基づいてRAM内に格納されたリーチパターン乱数、及び、図3に示すリーチパターンテーブルを読み出し、リーチパターンテーブルに規定されたリーチパターン乱数に対応するリーチパターンを抽出する。リーチパターンテーブルには、各リーチパターン乱数と対応するリーチパターン、可動体作動の有無、及び、変動時間が対応付けられている。
ここで、「リーチ」とは、3つの識別図柄A乃至Cの内、例えば識別図柄A及びCが先行して同一の数字又はキャラクタで停止表示され、他の識別図柄Bが変動表示中である状態を意味し、識別図柄Bが他の識別図柄A及びCと同一の数字又はキャラクタで停止表示されれば大当りとなる状態をいう。つまり、リーチが成立することにより、遊技者は、大当りへの期待を抱きやすくなる。また、リーチパターンとは、上記リーチ成立後に実行される演出の内容を示すものである。また、変動時間とは、各リーチパターンに対応して規定された時間であって、特図表示ランプ71A及び識別図柄A乃至Cが変動を開始してから停止表示されるまでの時間である。なお、S106における処理の結果が「リーチ無し」である場合の変動時間は、図外の非リーチ用変動時間テーブルによりその変動時間が決定される。
【0054】
図3に規定された「通常変動」とは、リーチ状態中において大当りへの期待感を煽る演出や、表現がなされない変動パターンであって、「スーパーリーチ」とは、リーチ状態中において大当りへの期待感を煽る演出や、表現がなされる変動パターンである。スーパーリーチにおける演出の具体例としては、例えば識別図柄Bの変動表示速度(スクロール速度)を通常変動の場合と比較して遅く表示させること、背景データの変更、或いは特定のキャラクタを登場させて識別図柄Bを徐々に識別図柄A及びCに近づけながら停止表示させるような多様な演出を含む。また、図3に示すように、リーチパターンテーブルは、外れ用のテーブルと当り用のテーブルとが存在し、外れ用のテーブルは前述のS104の当否判定処理の結果が「外れ」である場合に参照される。また、当り用のテーブルは前述のS104の当否判定処理の結果が「当り」である場合に参照される。
【0055】
また、各リーチパターンには、可動体作動の有無が規定されており、可動体作動「有」のリーチパターンが抽出された場合、前述の可動体25:25がリーチ成立後に傾動した状態となり、その後にスーパーリーチに発展するような演出が実行される。
また、同図から明らかなように、リーチパターンの振り分け率は、外れ用と当り用とで大きく異なるように設定されており、外れ用のテーブルが参照された場合においてスーパーリーチ3及び4が選択される確率は、全体の12%であるのに対して、当り用のテーブルが参照された場合においてスーパーリーチ3及び4が選択される確率は、全体の60%に設定されている。
また、外れ用のテーブルが参照された場合において可動体25:25が作動する確率は、全体の12%であるのに対して、当り用のテーブルが参照された場合において可動体25:25が作動する確率は、全体の48%に設定されている。つまり、遊技者から見れば、リーチ成立後にスーパーリーチ3又は4に発展することで大当りへの期待度が向上し、さらに可動体25;25が傾動動作することにより、同じスーパーリーチ3又は4であっても大当りへの期待度が飛躍的に向上することとなる。
【0056】
図4に示すように、主制御装置100は、S108において上記各テーブルから抽出した情報(大当りの当否,当りの種類,リーチの有無,リーチパターン,変動時間)を含む図柄変動コマンドを生成し、演出制御装置200に対して送信するとともに、特図表示ランプ71Aの変動表示を開始させてS109に移行する。主制御装置100は、S109において識別図柄A乃至Cの変動時間を変動時間タイマに設定し、S110に移行する。主制御装置100は、変動時間タイマにより計測される変動時間の経過と共に、特図表示ランプ71Aの変動表示を停止表示させる。当否判定処理の結果が大当りである場合の特図表示ランプ71Aの停止態様は予め設定されており、例えば当り種類が通常当りである場合は、同一の偶数数字を並列に停止させ、当り種類が確変当りである場合は、同一の奇数数字を並列に停止させる。なお、液晶表示装置20上に表示される識別図柄A乃至Cの停止態様は、図柄変動コマンドの内容に基づいて演出制御装置200により決定される。
主制御装置100は、S110においてRAM内に格納されている始動情報をデクリメントするとともに、後続の始動情報が存在する場合には当該始動情報をビットシフトし、処理を終了する。
【0057】
図2に戻り、以下、演出制御装置200について説明する。
演出制御装置200は、上述の始動情報に基づいて生成された図柄変動コマンドを受信し、受信した図柄変動コマンドの内容に応じて出力側に接続されたスピーカ9、液晶表示装置20、ソレノイドKSOL、及び、発光体R1〜R3を駆動制御する。
【0058】
スピーカ9は、駆動回路としてのアンプ基板200Aを介して演出制御装置200と接続される。アンプ基板200Aは、演出制御装置200から出力される駆動信号に基づいて、遊技の進行に合わせた音響が発せられるようにスピーカ9を駆動する。
演出制御装置200のROM内には、複数の音響データが格納されており、例えば識別図柄A乃至Cの変動表示開始と共に発せられる変動中音響データ、変動時予告発生時に発せられる予告音データ、リーチ成立と同時に発せられるリーチ報知音声データ、スーパーリーチ発展時に発せられる効果音データ等が存在する。そして、これらの音響データは、主制御装置100から送信される変動コマンドの内容に応じてROM内から抽出され、RAMの記憶領域内に一時的に記憶される。
【0059】
演出制御装置200は、当該音響データに含まれる各種の音響がスピーカ9から発せられるように識別図柄A乃至Cの変動表示開始、リーチ成立、スーパーリーチ発展の時期に合わせてアンプ基板200Aに適宜音響駆動信号を出力する。
また、電力状態が省電力状態である場合には、スピーカ9から発せられる音響のボリュームが電力状態が通常状態である場合よりも小さくなるように制御する。つまり、演出制御装置200は、この場合において音響制御手段として機能する。
【0060】
可動体25:25の駆動源としてのソレノイドKSOLは、駆動回路としての可動体駆動基板200Bを介して演出制御装置200と接続される。可動体駆動基板200Bは、演出制御装置200から出力される駆動信号に基づいて、所定の時期に可動体25:25が傾動するようにソレノイドKSOLを駆動する。
【0061】
演出制御装置200のROM内には、複数の作動データが格納されており、各作動データには、各リーチパターンの種別と対応した挙動が規定され、これらの作動データは、主制御装置100から送信される変動コマンドの内容に応じてROM内から抽出され、RAMの記憶領域内に一時的に記憶される。
なお、ソレノイドKSOLの駆動により動作する可動体25:25の挙動としては、例えば、起立状態と傾動状態を2回繰り返した後に、図1で示す状態となる挙動や、起立状態と傾動状態を5回繰り返した後に、図1で示す状態となる挙動等、スーパーリーチの種別に応じて異なる挙動とすることができる。つまり、演出制御装置200は、この場合において可動体制御手段として機能する。
【0062】
液晶表示装置20の液晶ディスプレイ20Aは、駆動回路としての変動制御基板200Cを介して演出制御装置200と接続される。変動制御基板200Cは、演出制御装置200から出力される駆動信号に基づいて、液晶ディスプレイ20A上に表示される識別図柄A乃至Cを変動表示、停止表示させる。
識別図柄A乃至Cの変動態様及び停止態様は、図柄変動コマンドに含まれる内容によって異なる。演出制御装置200は、例えば当否判定処理の結果が大当りであり、かつ、当り種類が通常当りである場合、変動時間経過後に例えば識別図柄A乃至Cを「2」,「4」,「6」,「8」のうち、何れかの偶数数字が3つ並列して停止表示されるように変動制御基板200Cを制御する。また、当り種類が通常当りである場合、変動時間経過後に例えば識別図柄A乃至Cを「1」,「3」,「5」,「7」のうち、何れかの奇数数字が3つ並列して停止表示されるように変動制御基板200Cを制御する。また、当否判定処理の結果が外れであり、リーチを伴わない場合(リーチ無し)、変動時間経過後に識別図柄A乃至Cをいずれかの数字がランダムに3つ並列して表示されるように変動制御基板200Cを制御する。
また、当否判定処理の結果が外れであり、リーチを伴う場合(リーチ有)、所定時間経過時に識別図柄A及びCをいずれかの同一数字として先行して停止表示させた後、変動時間経過後に残る1つの識別図柄Bを先行して停止表示された数字と異なる数字として停止表示されるように変動制御基板200Cを制御する。
また、演出制御装置200のROM内には、上述したスーパーリーチの際に用いられる画像データや動画データ、リーチ或いは大当りへの期待感を向上させるための予告データ等の多様な演出データが格納されている。そして、これらの演出データは、主制御装置100から送信される変動コマンドの内容に応じてROM内から抽出され、RAMの記憶領域内に一時的に記憶される。
【0063】
また、上記演出データには、現在の電力状態が省電力状態の場合、かつ、図柄変動コマンド内に可動体作動「有」の情報が含まれる場合に用いられる可動体データが存在する。
可動体データは、スーパーリーチの種別に応じて異なる挙動を示す可動体25:25の動作と対応して設けられた複数の画像データであって、スーパーリーチの種別に応じて何れかの画像データが抽出されることにより、起立状態と傾動状態を2回繰り返す動作や、起立状態と傾動状態を5回繰り返す動作等、実際の可動体25;25の挙動と同様の動作が液晶ディスプレイ20A上において表現される。
演出制御装置200は、現在の電力状態が省電力状態であるときには、ソレノイドKSOLの駆動に代えて上記可動体データを用いた演出を実行する。当該処理の詳細については後述する。演出制御装置200は、演出データに含まれる各種の演出が液晶ディスプレイ20A上において表現されるように変動制御基板200Cに適宜駆動信号を出力する。つまり、演出制御装置200は、この場合において識別図柄変動制御手段として機能する。
【0064】
液晶表示装置20のバックライト20B及び発光体R1乃至R3は、駆動回路としてのランプ制御基板200Dを介して演出制御装置200と接続される。ランプ制御基板200Dは、演出制御装置200から出力される駆動信号に基づいて、所定の輝度により発光体R1乃至R3を発光させる。また、ランプ制御基板200Dは、所定の輝度によりバックライト20Bを発光させる。
【0065】
演出制御装置200のROM内には、発光体R1乃至R3の点灯パターンが規定された複数の点灯データが格納されており、演出制御装置200は、図柄変動コマンドに基づいて遊技の進行に応じた点灯データを参照し、当該データに基づいて発光体R1〜R3を発光させる。
また、演出制御装置200は、電力状態が省電力状態である場合、バックライト20B及び発光体R1乃至R3の輝度が電力状態が通常状態である場合よりも低減するように制御する。つまり、演出制御装置200は、この場合において発光制御手段として機能する。
【0066】
次に、図柄変動コマンドを受信した演出制御装置200の処理について説明する。
図5に示すように、演出制御装置200は、S200において主制御装置100から送信される図柄変動コマンドの割込みがあるかを判定し、YESの場合S201に移行し、NOの場合処理を終了する。
演出制御装置200は、S201において省電力フラグがONであるかを判定し、NOの場合S202に移行し、YESの場合S204に移行する。省電力フラグは、後述する電力切り替え処理においてON,OFF動作されるRAMの記憶領域内に格納されたフラグである。演出制御装置200は、当該省電力フラグを参照することにより現在の電力状態に対応した制御を実行する。
【0067】
演出制御装置200は、S202において、図柄変動コマンドに含まれる情報に応じた音響データ,演出データ、作動データ及び発光データをROM内から読みだし、RAMの記憶領域内にセットする。
また、演出制御装置200は、図柄変動コマンドに含まれるリーチパターンの種別が可動体作動「有」である場合に、ROM内から可動体25:25(ソレノイドKSOL)の挙動が規定された作動データを読み出し、RAMの記憶領域内にセットする。
【0068】
S203において演出制御装置200は、S202においてRAMにセットされた各データに基づき駆動信号を出力し、各駆動回路を介してスピーカ9,液晶表示装置20,ソレノイドKSOL及び発光体R1〜R3を駆動させ、処理を終了する。
【0069】
演出制御装置200は、S201の判定がYESであることに基づいて、S204において図柄変動コマンドに含まれるリーチパターンに可動体作動「有」が含まれているかを判定する。YESの場合、S205に移行し、NOの場合S207に移行する。
【0070】
演出制御装置200は、S205においてS202における処理と同様に、図柄変動コマンドに含まれる情報に基づいて音響データ,演出データ及び発光データをROM内から読みだし、RAMの記憶領域内にセットする。
また、演出制御装置200は、リーチパターンの種別が可動体作動「有」であることに基づいて、可動体25:25の挙動が規定された作動データをセットすることなく、当該作動データに代えて、可動体25:25の挙動と同様の挙動(動作)が規定された何れかの可動体データをRAMの記憶領域内にセットする。
【0071】
図6(a),(b)は、可動体データがセットされた場合において液晶表示装置20の画面上に表示される演出の例を示す模式図である。
図6(a)に示すとおり、上記処理において可動体データがセットされた場合、例えば識別図柄A及びCによるリーチ成立の後スーパーリーチの発展前に、液晶表示装置20の画面上には、可動体25:25の形状と同様又は近似する形状の刀が振り下ろされる様子を表す動画が挿入される。つまり、可動体データには、ソレノイドKSOLの駆動により機械的に動作する可動体25:25の代わりに、実際の可動体25:25の挙動に対応した動作を行うように設定された画像が規定されており、当該可動体データが参照され、液晶表示装置20上に上記演出が表示されることにより、遊技者は、可動体25:25が予定されていた動作を行わない場合であっても、液晶表示装置20上において表現される演出により大当りへの期待度が高いリーチ(図3参照)であることを確実に認識することができる。
【0072】
なお、可動体データの内容は上記の内容に限定されるものではなく、例えば図6(b)に示すように、識別図柄A及びCによるリーチ成立の後、スーパーリーチの発展前に、液晶表示装置20の画面上に「可動体出現中!」等の文字で表現されるメッセージを挿入するような内容としてもよい。
つまり、可動体データには、ソレノイドKSOLの駆動により機械的に動作する可動体25:25の代わりに、可動体25:25が動作したことを示唆するような画像,動画その他のメッセージ等を規定すればよく、実際に可動体25:25が動作しない場合であっても、大当りへの期待度が高いリーチ(図3参照)であることを認識し得る内容であればよい。
そして、本処理が実行されることにより、図柄変動コマンドに含まれる「可動体作動「有」」との情報が実質的に無効化され、当該変動表示中において可動体25:25が動作することがなくなる。つまり、演出制御装置200は、図柄変動コマンドに可動体作動「有」のリーチパターンが含まれているにも関わらず、可動体25:25の動作を無効化する一方で、当該可動体25:25の動作を示唆するような演出表示を液晶表示装置20の画面上において実行する可動体動作制限手段として機能する。
【0073】
S206において演出制御装置200は、S205においてRAMにセットされた可動体データを含む各データに基づき駆動信号を出力し、各駆動回路を介してスピーカ9、液晶表示装置20、及び、発光体R1〜R3を駆動させる。また、このとき演出制御装置200は、現在の電力状態が省電力状態であることに基づき、スピーカ9のボリュームやバックライト20B及び発光体R1乃至R3の輝度を通常電力におけるものと比較して低減するように、アンプ基板200A,ランプ制御基板200Dに駆動信号を出力する。
【0074】
演出制御装置200は、S207において、図柄変動コマンドに含まれるリーチパターン情報に基づいてリーチパターンの種別に応じた音響データ,演出データ及び発光データをROM内から読みだし、RAMの記憶領域内にセットする。なお、S204における判定がNOであることから、可動体25:25の作動データがセットされることはない。
【0075】
演出制御装置200は、S208において、S207においてRAMにセットされた各データに基づき駆動信号を出力し、各駆動回路を介してスピーカ9、液晶表示装置20、及び、発光体R1〜R3を駆動させる。また、このとき演出制御装置200は、S206の処理と同様に現在の電力状態が省電力状態であることに基づき、スピーカ9のボリュームやバックライト20B及び発光体R1乃至R3の輝度を通常電力におけるものと比較して低減するように、アンプ基板200A,ランプ制御基板200Dに駆動信号を出力する。
【0076】
以上、演出制御装置200によるS200乃至S208の処理によれば、現在の電力状態が省電力状態である場合には、パチンコ機1の各部に配設されたスピーカ9、バックライト20B及び発光体R1〜R3の駆動に使用する電力を低減させる処理を実行し、省エネルギー化を図るとともに、図柄変動コマンドの態様が所定の種別であること、より詳細には、可動体25:25を作動すべき旨のリーチパターンを含んだ種別である場合には、ソレノイドKSOLへの駆動信号を出力することなく省エネルギー化を図る。
一方、可動体25:25の作動を制限する場合には、当該可動体25:25の動作を示唆するような演出表示を液晶表示装置20の画面上において実行することにより、可動体25:25が動作しないことに基づいて、遊技者が失望感を感じることを確実に防止することが可能となる。
つまり、遊技者は可動体25:25が動作した時と同様の期待感を持って識別図柄A乃至Cの変動表示を見ることができ、省電力状態において遊技の面白みが低下することを確実に防止できる。
【0077】
次に、遊技者の操作によって実行される電力状態の切り替え処理について説明する。
図7(a)は、例えば識別図柄A乃至Cが変動停止中、かつ、大当り遊技中でない場合に遊技者によって操作部17の決定ボタン17Bが押下された場合に、演出制御装置200によって液晶ディスプレイ20A上に表示されるメニュー画面Mの一例を示す。
同図に示すように、メニュー画面Mには、例えば「電力設定はこちら」との表示、及び、「打−WINの設定はこちら」との複数の選択肢が表示され、遊技者はカーソルCを移動するためのダイアル部17Aを回転することにより、カーソルCをいずれかの選択肢に合わせ、再度決定ボタン17Bを押下する。
【0078】
図8は、電力状態の切り替え処理を示すフローである。
演出制御装置200は、S300において上記メニュー画面において遊技者により「電力設定はこちら」との選択肢が選択されたかを判定し、YESの場合S301に移行し、NOの場合判定を繰り返す。演出制御装置200は、S301において現在の電力状態を判定し、通常状態である場合S302に移行し、省電力状態である場合S305に移行する。電力状態の判定は前述の省電力フラグのON,OFF(0又は1)によって判定される。
【0079】
演出制御装置200は、S302においてメニュー画面Mの表示を切り替え、図7(b)に示す「省電力モードに切り替えますか?」との表示、及び、「YES」,「NO」の選択肢を表示し、S303に移行する。演出制御装置200は、S303において遊技者のダイアル部17A及び決定ボタン17Bの操作により前述の「YES」が決定されたかを判定し、YESの場合S304に移行し、NOの場合処理を終了し、メニュー画面Mを閉じる。
演出制御装置200は、S304において、遊技者により省電力モードが選択されたことに基づいて、省電力フラグをONに切り替え(0→1)、処理を終了してメニュー画面を閉じる。
上記処理により、パチンコ機1の電力状態は、通常電力状態から省電力状態へと切り替わり、以降の識別図柄A乃至Cの変動表示においては、スピーカ9のボリュームやバックライト20B,発光体R1乃至R3の輝度が低減される。
【0080】
演出制御装置200は、S305においてメニュー画面Mの表示を切り替え、図7(c)に示す「通常電力モードに切り替えますか?」との表示、及び、「YES」,「NO」の選択肢を表示し、S306に移行する。演出制御装置200は、S306において遊技者のダイアル部17A及び決定ボタン17Bの操作により前述の「YES」が決定されたかを判定し、YESの場合S307に移行し、NOの場合処理を終了し、メニュー画面Mを閉じる。
演出制御装置200は、S307において、遊技者によって通常電力モードが選択されたことに基づいて、省電力フラグをOFFに切り替え(1→0)、処理を終了して、メニュー画面Mを閉じる。上記処理により、パチンコ機1の電力状態は、省電力状態から通常電力状態へと切り替わり、以降の識別図柄A乃至Cの変動表示においては、スピーカ9のボリュームやバックライト20B,発光体R1乃至R3の輝度が省電力状態におけるものと比べ高く設定される。
以上のとおり、本実施形態に係るパチンコ機1は、遊技者が任意に通常電力状態、又は、通常電力よりも消費電力を低減した省電力状態を選択可能な構成である。
【0081】
次に、本実施例に係るパチンコ機1に搭載されたネットワーク型の遊技システムについて説明する。図9は、ネットワーク型の遊技システム(以下、「打−WIN」という)600の概要を示す概略図である。
同図に示すように、打−WIN600は、前述のパチンコ機1と、情報端末700と、通信基地局801が含まれた通信網800と、サーバ900とを含んで構成され、パチンコ機1における遊技結果と、サーバ900上で開設されたWebサイトとを連動させるサービスを提供する。
【0082】
情報端末700の態様としては、携帯電話、スマートフォン、PDA、所謂パソコン等、Webブラウザを利用可能な電子機器であり、遊技者は、これらの電子機器を使用することにより通信網800を介してサーバ900との通信を確立する。
また、情報端末700は、パチンコ機1の演出制御装置200によって実行された演出情報や遊技履歴情報をパチンコ機1により発行されるパスワードや二次元コードに基づいて取得することが可能である。
また、演出情報としては、リーチパターンの種別、可動体25:25動作の有無、リーチ予告の種類、大当りの種類(通常大当り又は確変大当り等)等が含まれる。また、遊技履歴情報としては、省電力状態での遊技回数(識別図柄変動回数)又は遊技時間、大当り遊技の実行回数、獲得賞球数、連荘回数(所定期間内に連続して大当り遊技が実行された回数)等が含まれる。
【0083】
通信網800の一部を構成する通信基地局801は、情報端末700と無線通信可能な設備であって、情報端末700から送信されるデータ及びサーバ900から送信されるデータを相互に送受信可能である。通信網800は、電話網、インターネット、LAN、専用回線等で構成され、通信基地局801を介して情報端末700及びサーバ900の通信を確立する。
【0084】
上記構成からなる打−WIN600において遊技者は、例えば任意のパチンコ機1で遊技開始から遊技終了までに演出制御装置200でなされた演出情報や遊技履歴情報を遊技者が所有する情報端末に取り込み、当該情報をサーバ900に送信して蓄積させる。
また、遊技者は、サーバ900に蓄積された演出情報や遊技履歴情報を情報端末700を介して確認することができる。また、演出情報に含まれる演出に関する各情報、遊技履歴情報に含まれる遊技履歴に関する各情報には、それぞれポイントが設定されており、遊技者は付与されるポイントを貯めることにより、特定の特典(情報端末700上で利用可能な特典や遊技に利用可能な特典)を得ることができる。
例えば、本実施形態においては、遊技者が前述の操作により電力状態を省電力状態(モード)に設定し、省電力状態下において所定の遊技回数を消化したことに対して所定のポイントを付与する。
【0085】
図10は、パチンコ機1、情報端末700及びサーバ900の処理を時系列的に示すフロー図である。同図を用いて上記構成からなる打−WIN600の運用方法について概説する。
まず、遊技者は、打−WIN600を利用するための事前登録を行う必要がある。
演出制御装置200は、S1において、遊技者の操作部17の操作により「新規登録」が選択されると、二次元コードを生成し、S2において生成した二次元コードを液晶表示装置20上に表示する。
図11は、図7(a)のメニュー画面Mにおいて「打−WINの利用はこちら」との表示を選択した場合に表示されるメニュー画面Nである。当該メニュー画面Nには、少なくとも「新規登録」,「パスワード入力」,「キャンセル」,「遊技終了」の選択肢が表示され、「新規登録」が選択されたことに応じて、第一の二次元コードが表示される。ここで表示される二次元コードとしては、バーコード、QRコード(登録商標)等、情報端末700側において電気的に読み取り可能な識別情報である。
【0086】
情報端末700は、S3において、液晶表示装置20上に表示された第1の二次元コードを読み取り、第1の二次元コードに含まれた第1のコード情報(URL)を生成する。
第1の二次元コードを読み取りは、例えば情報端末700に搭載された撮像手段によって実行され、情報端末700は読み取った第1の二次元コードから第1のコード情報(URL)を生成する。また、情報端末700は、第1のコード情報(URL)に基づいてサーバ900にアクセスし、登録要求コマンドを送信する。
【0087】
サーバ900は、S4において登録要求コマンドに応じて遊技者が所有する情報端末700のICC、IPアドレス、電話番号等の固有情報を取得し、当該情報を遊技者固有情報として登録する。当該登録がなされることにより、サーバ900内に前述の演出情報及び遊技履歴情報が蓄積される記憶領域が確保され、打−WIN600を利用する準備が完了する。
【0088】
事前登録完了後、遊技者が打−WIN600を利用して遊技を行う場合には、遊技者が所有する情報端末700を介してサーバ900にアクセスし、サーバ900からパスワードを取得する必要がある。以下、具体的処理について説明する。
【0089】
情報端末700は、S5において遊技者の操作に応じてパスワード要求コマンドをサーバ900に送信する。サーバ900は、S6においてパスワード要求コマンドを受信すると、遊技者固有情報と対応した演出情報及び遊技履歴情報を記憶領域から読み出し、遊技者固有情報、演出情報及び遊技履歴情報を含むパスワードを生成し、S7において、パスワードを情報端末700に送信する。
【0090】
情報端末700は、S8においてサーバ900から送信されたパスワードを表示画面上に表示し、S9において遊技者は表示されたパスワードを操作部17を操作することにより入力する。パスワードの入力画面は、図11に示すメニュー画面Nに表示された「パスワード入力」が選択されたことにより表示され、遊技者はパスワードの入力画面に従ってパスワードを入力する。
【0091】
演出制御装置200は、S10において、遊技者によってパスワードが入力されたことに基づいて打−WIN600を開始するための打−WIN情報設定処理を開始する。
当該処理は、以降の演出制御装置200で実行された演出に関する演出情報や、省電力状態での遊技回数等を含む遊技履歴情報を蓄積する処理であって、演出情報や遊技履歴情報に含まれる各情報は、情報ごとに演出制御装置200のRAM内に記憶,蓄積される。
【0092】
図12は、打−WIN情報設定処理を示すフローであり、以下、省電力状態での遊技回数を蓄積する場合の処理を例として説明する。
演出制御装置200は、S400において主制御装置100から送信される図柄変動コマンドの割込みがあるかを判定し、YESの場合S401に移行し、NOの場合処理を終了する。演出制御装置200は、S401において遊技者の操作によりパスワードの入力がなされ、打−WIN600の利用が開始されていること、即ち、前述のS10において打−WIN情報設定処理が完了しているかを判定する。YESの場合S402に移行し、NOの場合、遊技情報(省電力状態での遊技回数)の蓄積を行うことなく処理を終了する。
【0093】
演出制御装置200は、S402において現在の電力状態が省電力状態であるかを判定し、YESの場合S403に移行し、NOの場合、遊技情報(省電力状態での遊技回数)の蓄積を行うことなく処理を終了する。なお、電力状態の判定は前述の省電力フラグのON,OFFに基づいてなされる。
【0094】
演出制御装置200は、S403において省電力状態での遊技回数情報を記憶するRAMの記憶領域を更新(+1)し、処理を終了する。当該処理により、遊技者が省電力状態下において1回の遊技を行ったことが記憶され、当該処理が繰り返されることにより、省電力状態での遊技回数が徐々に蓄積される。
なお、上記例においては、遊技履歴情報に含まれる省電力状態での遊技回数をカウントする処理について説明したが、他の演出情報(リーチパターンの種別、可動体25:25動作の有無、リーチ予告の種類、大当りの種類)や、遊技履歴情報(遊技時間、大当り遊技の実行回数、獲得賞球数、連荘回数)についてもS401の判定がYESであることに基づいてカウントされる。
【0095】
図10に戻り、次に、打−WIN600を終了する場合の処理について説明する。
演出制御装置200は、S11において遊技者の操作により遊技終了が選択されたことに基づいて、少なくとも遊技開始から終了まで蓄積した演出情報、遊技履歴情報、及び、サーバ900のURLを含む第2の二次元コードを生成し、S12において生成した第2の二次元コードを液晶表示装置20上に表示する。なお、遊技終了は、遊技者による操作により、図11のメニュー画面Nから「遊技終了」の表示が選択されたことにより完了する。
【0096】
情報端末700は、S13において、液晶表示装置20上に表示された第2の二次元コードを撮像手段を介して読み取り、第2の二次元コードに含まれた第2のコード情報(演出情報,遊技履歴情報,URL)を抽出する。
【0097】
情報端末700は、S14において第2のコード情報(URL)に基づいてサーバ900にアクセスし、第2のコード情報に含まれる演出情報及び遊技履歴情報を送信する。
【0098】
演出情報及び遊技履歴情報を受信したサーバ900は、S15において情報端末700のIPアドレス等から遊技者固有情報を取得し、演出情報及び遊技履歴情報と遊技者固有情報とを対応付けて記憶領域内に蓄積する。当該処理が実行されることにより、遊技者がパチンコ機1にパスワードを入力した時点から、遊技を終了した時点までの演出情報及び遊技履歴情報がサーバ900に蓄積されることとなる。
【0099】
以下、遊技者が、打−WIN600を利用した場合の利点について概説する。
遊技者は、情報端末700を介してサーバ900にいつでもアクセスすることが可能であり、サーバ900は、情報端末700からの閲覧要求に応じて、例えば、これまで蓄積されたパチンコ機1の演出情報及び遊技履歴情報の一覧データを情報端末700に送信する。
また、サーバ900は上記一覧データに加えて演出情報及び遊技履歴情報に基づいて算出された利用ポイントを表示する。
【0100】
利用ポイントは、演出情報及び遊技履歴情報に基づいて一定の割合で付与される特典であって、本実施形態においては、例えば遊技履歴情報に含まれる省電力状態での遊技回数が所定の回数に達する毎に、遊技者が節電に協力したことに対する対価として利用ポイントを1ポイント付与するように設定されている。
このように、利用ポイントは、演出情報及び遊技履歴情報に含まれる各情報ごとに所定の割合で付与されるものであって、遊技者は当該ポイントを貯めることにより、多様な特典を得ることが可能となる。
【0101】
遊技者が得ることが可能な特典としては、パチンコ機1の攻略情報、未公開情報、パチンコ機1の基本仕様、パチンコ機1に関する着メロ(登録商標)、着ボイス、着信音、着信画像、楽曲、待ち受け画像、アイコン等であり、遊技者は情報端末700に表示された打−WIN利用ポイントを使用して、上記特典をサーバ900からダウンロードすることが可能となっている。
【0102】
このように本実施形態に係るパチンコ機1においては、打−WIN600が搭載されたことにより、本来の遊技以外においても遊技者に利用ポイントを貯める楽しみを与えることができる。また、本実施形態においては、特に省電力状態下における遊技が利用ポイントを得るための手段の1つとして設定されているため、遊技者が、パチンコ機1の電力状態を積極的に省電力状態に切り替える操作を行うことが期待される。
つまり、省電力状態への切り替えと、ポイントの付与とを結びつけたことにより、遊技者を節電の取り組みに積極的に参加させることが可能となる。
【符号の説明】
【0103】
1 パチンコ機、9 スピーカ、10 遊技盤、17 操作部、
20 識別図柄表示装置(液晶表示装置)、20A 液晶ディスプレイ、25 可動体、
26 伝達機構、30 電飾装置、31〜33 電飾部、
40 始動入賞部品、50 大入賞部品、60 普図始動部品、70 盤面表示部、
100 主制御装置、200 演出制御装置、200A アンプ基板、
200B 可動体駆動基板、200C 変動制御基板、200D ランプ制御基板、
KSOL ソレノイド、R1〜R3 発光体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常電力状態、又は、前記通常電力状態よりも消費電力を低減した省電力状態いずれかの電力状態を選択可能なパチンコ機であって、
遊技盤に配設された始動口への入賞に基づいて演出制御コマンドを送信する主制御部と、
前記演出制御コマンドに基づいて、識別図柄を変動表示可能な図柄表示装置、及び、前記識別図柄の変動表示に合わせて遊技盤上に設けられた可動体を動作させる演出制御部とを備え、
前記演出制御部は、現在の遊技が省電力状態であること、かつ、前記演出制御コマンドが前記可動体を動作させる種別であることに基づいて、前記可動体の動作を無効化することを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】
前記演出制御部は、前記可動体の動作を無効化するに際し、前記可動体の動作に代わる演出表示を前記図柄表示装置に表示することを特徴とする請求項1記載のパチンコ機。
【請求項3】
前記可動体の動作に代わる演出表示とは、前記可動体と同様な形状の可動体画像を前記演出制御コマンドに基づいて動作する可動体の挙動と同様の挙動により表示するものであることを特徴とするパチンコ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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