説明

パチンコ機

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パチンコ機の可変入賞装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】パチンコ機の醍醐味は遊技客を常に満足させる飽くなき漸進な可変入賞装置から得られるものであるためパチンコ機には従来から多様な入賞装置が設けられている。いわゆるデシパチと称されるパチンコ機もそのうちの一つであり、周知のように遊技盤に設けられた通過ゲートを打球が通過することにより普通図柄変動表示器が変動表示しその停止図柄が「7」等の所定のものとなった場合に普通電動開閉入賞装置が所定時間開成状態となり、該普通電動開閉入賞装置に打球が入賞することにより特別図柄変動表示器が変動表示しその停止図柄が「777」等の所定の大当たり図柄となった場合に特別遊技状態となり大入賞口が継続的に開かれるように構成したものである。こうして特別遊技状態の期間中は大入賞口が継続的に開かれることにより打球が極めて入り易い状況となり多量の景品球を獲得できて遊技客に多くの利益がもたらされる。
【0003】しかしこの特別遊技状態が終って元の普通の遊技状態に戻ると、再び特別遊技状態をもたらすのは容易でなく、その間に上記景品球をまた打ち込んで無くしてしまうこともある。そこで従来から上記のようにいったん特別遊技状態になるとその特別遊技状態が終っても、その後は大当たりになる確率が高く設定されるようにしたいわゆる確率変動型のパチンコ機も従来から実用化されている。
【0004】しかし従来の確率変動型のパチンコ機は、いったん特別遊技状態になると、その後の有利性が略々保証されるものであったので、特別遊技状態が発生するとそれ以降に得られる景品球数が略々決定してしまい興味が半減する欠点があるほか、特別遊技状態がいったん発生すると常に多量に景品球が放出されるので射幸性のみが過剰に刺激されるという問題もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述に鑑みてなされたもので、特別遊技状態となるパチンコ機において、特別遊技状態となっても利益が確定することなく遊技者が常に期待感を持続してゲームを続行できパチンコの醍醐味を満喫できる漸進なパチンコ機を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】そのために本発明は、遊技盤に設けられた通過ゲートを打球が通過することにより普通図柄変動表示器が変動表示しその停止図柄が所定のものとなった場合に普通電動開閉入賞装置が所定時間開成状態となり、該普通電動開閉入賞装置に打球が入賞することにより特別図柄変動表示器が変動表示しその停止図柄が所定の大当たり図柄となった場合に特別遊技状態となり大入賞口が継続的に開かれるように構成したパチンコ機において、特別遊技状態が終ったときに時間延長可否の抽選を行ってその結果を表示すると共に、その結果が時間延長可であった場合に時間延長モードに移行し、前記普通電動開閉入賞装置が開成状態となる時間が一定条件の基で延長されるようにしたことを特徴とする。また本発明は、遊技盤に設けられた通過ゲートを打球が通過することにより普通図柄変動表示器が変動表示しその停止図柄が所定のものとなった場合に普通電動開閉入賞装置が所定時間開成状態となり、該普通電動開閉入賞装置に打球が入賞することにより特別図柄変動表示器が変動表示しその停止図柄が所定の大当たり図柄となった場合に特別遊技状態となり大入賞口が継続的に開かれるように構成したパチンコ機において、特別遊技状態が終ったときに時間延長可否の抽選を行ってその結果を表示すると共に、その結果が時間延長可であった場合に時間延長モードに移行し、一定回数を限度とした特別遊技状態の回数が最終の回数となるまでの間前記普通電動開閉入賞装置が開成状態となる時間が延長されるようにしたことを特徴とする。また本発明は上記パチンコ機において、抽選結果が時間延長可であった場合に時間延長モードの状態で遊技し得る残り回数を表示手段に表示するようにしたことを特徴とする。また本発明は上記パチンコ機において、時間延長モードに移行していることを表示する表示手段を設けたことを特徴とする。さらに本発明は上記パチンコ機において、特別遊技状態が終わったときに抽選の過程を特別図柄変動表示器に表示するようにしたことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】次に図面に従い本発明に係るパチンコ機の実施の形態を説明する。図1にこのパチンコ機の遊技盤1の正面を示す。図中2は天入賞口、3は左上入賞口、4は右上入賞口、5は左下入賞口、6は右下入賞口で、これらの各入賞口はいわゆる普通入賞口であって打球が入賞する度に一定個数の賞球が遊技者に払い出される。7,8,9,10は風車、11,12は装飾ランプである。15はアウト穴である。
【0008】20,21は遊技盤1面上を落下する打球が内部を通過することによりセンサが作動し電気信号を出力する通過ゲート、22は7セグメントの発光表示器からなる普通図柄変動表示器、23は一対の翼片24,24がソレノイドの作動により開閉する普通電動開閉入賞装置、25はカラー液晶ディスプレイからなる特別図柄変動表示器、26は長方形状の扉板27がソレノイドの作動により前方に開かれることにより打球を極めて入り易くする電動開閉式の大入賞口で、該大入賞口26の内部中央にはさらにVゾーンと称される特定入賞口28が設けられている。なお13,13…は時間延長モードを表示するモード表示ランプ、14は時間延長モードの残り回数を表示する7セグメントの表示器である。29,29…は通過ゲート20,21を打球が通過したことを記憶しそのことを点灯により表示する打球通過記憶表示ランプ、30,30は普通電動開閉入賞装置23に打球が入賞したことを記憶しそのことを点灯により表示する打球入賞記憶表示ランプである。
【0009】上記のように遊技盤1に設けられた各機器は図2にブロック図を示したようにCPU,RAM,ROMおよびI/Oからなるマイクロコンピュータに接続され該マイクロコンピュータと電気信号が授受されることにより作動する。即ち、図3にフローチャートを示したように、通過ゲート20または通過ゲート21を打球が通過すると普通図柄変動表示器22に表示される図柄(数字)が4→6→8→3→5→7の順に高速で変動し、数秒後に3〜8のいずれかの不安定な図柄で停止する。そしてその停止した図柄が偶然にも予め決められた数字7であった場合は後述する時間延長モードフラグの状態に従い普通電動開閉入賞装置23の翼片24,24をソレノイドによって0.5秒間または5秒間開かしめ、該普通電動開閉入賞装置23へ打球が入賞し易くなるようにしている。なお初期状態ではこの時間延長モードフラグは状態がオフとなっていて該普通電動開閉入賞装置23は0.5秒間のみ開く。
【0010】普通電動開閉入賞装置23に打球が入賞するとそれを検知するセンサからの信号がCPUに入力され特別図柄変動表示器25に図4に示したような0〜9の数字、および島,花,カモメ,飛行機,ペンギン等のキャラクタの図柄がその順に3列にて上から下へ流れるように循環表示される。そして、その図柄変動は変動表示がスタートしてから約7秒経過後に左側列,右側列,中央列の順に停止する。そして図1に示したようにその停止図柄が数百分の1の確率をもって偶然にも「777」のように横一列に同一図柄が揃い、いわゆる大当たり図柄となった場合に特別遊技状態となり大入賞口26の扉板27がソレノイドの作動により開かれて該大入賞口26に打球が極めて入り易い状況をもたらすと同時に装飾ランプ11,12が点滅し、スピーカ(図示せず)から効果音が発せられ特別図柄変動表示器25には大当たりの祝勝表示がなされる。そして、大入賞口26に打球が10個入るかまたは29秒経過すると該扉板27は閉じるがその間にVゾーンと称される特定入賞口28に打球が入ったことが検出されることにより、また開いて打球を再び入り易くする。このような扉板27の開閉は最高で16回繰り返される。従ってこの特別遊技状態の一時期に遊技客は多数の景品球を得ることができる。
【0011】しかして本発明では、上記のような特別遊技状態が終ったときに時間延長可否の抽選を行ってその結果を特別図柄変動表示器25に表示し、その結果が時間延長可であった場合にその後は時間延長モードに移行し前記普通電動開閉入賞装置23が開成状態となる時間が0.5秒から5秒に延長されるようにしている。即ち、図5の特別電動役物ルーチンのフローチャートに示したように、普通電動開閉入賞装置23に打球が入賞し特別図柄変動表示器25が前述のように図柄を変動しステップ(イ)にてその停止図柄「777」等の大当たり図柄かどうかが判定され、大当たり図柄となって上記のような特別遊技状態となるとステップ(ロ)にて時間延長モードフラグがオンかオフかが判別(初期設定ではオフ)され、オフの場合ステップ(ハ)にて乱数を取り込んでその乱数が予め決められた値かどうかを判定することによる抽選が行なわれ、ステップ(ニ)を経てその抽選結果が当たりの場合は時間延長モード回数N=4が設定されると共に時間延長モードフラグをオンにし、前記モード表示ランプ13,13…を点灯させ、さらにステップ(ヘ)にてN=4を前記表示器14に表示する。このため図3に示したフローチャートにおいて普通図柄変動表示器22が数字7で停止したとき延長フラグモードがオンであると認定され普通電動開閉入賞装置23を5秒間開かしめるような時間延長モードとなり、該普通電動開閉入賞装置23への打球の入賞が容易となるので特別図柄変動表示器25の図柄変動表示、即ちスタートの機会が増し大当たりが続けて発生し易くなる。一方、ステップ(ニ)における抽選結果がはずれであった場合、およびステップ(イ)において大当たりでなかった場合は、時間延長モードに移行しないため普通電動開閉入賞装置23の開時間は依然として0.5秒のままである。また、ステップ(イ)において大当たりであってもステップ(ロ)にてすでに時間延長モードフラグがオンであることが判った場合にはN−1を演算し、ステップ(ホ)にて演算結果がゼロとなった場合は時間延長モードフラグをオフにし、モード表示ランプ13,13…を消灯させる。ゼロとならなかった場合はそのNの演算結果をステップ(ヘ)にて表示する。このため、表示器14には時間延長が可能な時間延長モードの残り回数を常に表示させることができ、時間延長モードフラグがオフになるとモード表示ランプ13,13,13…が消灯すると同時に表示器14の表示はゼロになる。
【0012】なおステップ(ハ)にて実行される抽選の過程は、特別遊技状態が終わったときに例えば図6に例示したように特別図柄変動表示器25にサイコロを振ったときのような情景を動画にて表示し、当たりの場合はその2つのサイコロの目が揃い、はずれの場合は揃わない表示をし、遊技客にその抽選の結果を興味あるように表示することができる。或いはこのサイコロによる表示以外にも特別図柄変動表示器25に「おみくじ」を表示させたり、或いは「ルーレット」を表示させるなど抽選結果を種々の興味ある方法で表示することができる。
【0013】なおこの実施の形態では、時間延長モード回数N=4に設定することによりいったん特別遊技状態が発生するとその後4回特別遊技状態が発生するまで普通電動開閉入賞装置23の開成時間が延長されるようにしたが、その回数は予め適当に設定できることは勿論である。
【0014】また、この実施形態は、モード表示ランプ13,13…を設けて時間延長モードへの移行を表示したが、この時間延長モードへの移行表示は特別図柄変動表示器25の背景色を特別なものに替えたり、或いは特別図柄変動表示器25の片隅にその表示をすることによっても可能である。また、表示器14による残り回数表示も特別図柄変動表示器25の一部に表示させることをもって代替してもよい。
【0015】
【発明の効果】このように本発明のパチンコ機は、いったん特別遊技状態が発生すればその特別遊技状態が終わったときに時間延長可否の抽選過程が表示され、その結果に応じて時間延長モードに移行した場合、一定条件に基づいてまたは一定の特別遊技状態の回数を限度として普通電動開閉入賞装置の開成時間が長くなるようにしたので、普通電動開閉入賞装置への入賞が容易となり得ると共に、特別図柄変動表示器の図柄の変動および停止が頻繁になり得る。そしてこのように時間延長モードに移行するかどうかは上記の抽選結果に左右されるようにしたので、遊技客の興味をさらに増大させより一層ゲーム性を増す効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るパチンコ機を示す遊技盤の正面図。
【図2】本発明のパチンコ機のゲーム制御系のブロック図。
【図3】本発明のパチンコ機の普通電動開閉入賞装置の制御系のフローチャート。
【図4】本発明のパチンコ機の特別図柄変動表示器の変動図柄図。
【図5】本発明のパチンコ機の特別電動役物ルーチンのフローチャート。
【図6】本発明のパチンコ機の特別図柄変動表示器に表示される抽選過程の例示図。
【符号の説明】
1 遊技盤
13 モード表示ランプ
14 表示器
20,21 通過ゲート
22 普通図柄変動表示器
23 普通電動開閉入賞装置
25 特別図柄変動表示器
26 大入賞口

【特許請求の範囲】
【請求項1】 遊技盤に設けられた通過ゲートを打球が通過することにより普通図柄変動表示器が変動表示しその停止図柄が所定のものとなった場合に普通電動開閉入賞装置が所定時間開成状態となり、該普通電動開閉入賞装置に打球が入賞することにより特別図柄変動表示器が変動表示しその停止図柄が所定の大当たり図柄となった場合に特別遊技状態となり大入賞口が継続的に開かれるように構成したパチンコ機において、特別遊技状態が終ったときに時間延長可否の抽選を行ってその結果を表示すると共に、その結果が時間延長可であった場合に時間延長モードに移行し、前記普通電動開閉入賞装置が開成状態となる時間が一定条件の基で延長されるようにしたことを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】 遊技盤に設けられた通過ゲートを打球が通過することにより普通図柄変動表示器が変動表示しその停止図柄が所定のものとなった場合に普通電動開閉入賞装置が所定時間開成状態となり、該普通電動開閉入賞装置に打球が入賞することにより特別図柄変動表示器が変動表示しその停止図柄が所定の大当たり図柄となった場合に特別遊技状態となり大入賞口が継続的に開かれるように構成したパチンコ機において、特別遊技状態が終ったときに時間延長可否の抽選を行ってその結果を表示すると共に、その結果が時間延長可であった場合に時間延長モードに移行し、一定回数を限度とした特別遊技状態の回数が最終の回数となるまでの間前記普通電動開閉入賞装置が開成状態となる時間が延長されるようにしたことを特徴とするパチンコ機。
【請求項3】 抽選結果が時間延長可であった場合に時間延長モードの状態で遊技し得る残り回数を表示手段に表示するようにした請求項2に記載のパチンコ機。
【請求項4】 時間延長モードに移行していることを表示する表示手段を設けた請求項1〜3のいずれかに記載のパチンコ機。
【請求項5】 特別遊技状態が終わったときに抽選の過程を特別図柄変動表示器に表示するようにした請求項1〜4のいずれかに記載のパチンコ機。

【図1】
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【図6】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【図5】
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【特許番号】第2744964号
【登録日】平成10年(1998)2月13日
【発行日】平成10年(1998)4月28日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−344500
【出願日】平成7年(1995)12月4日
【公開番号】特開平9−155018
【公開日】平成9年(1997)6月17日
【審査請求日】平成7年(1995)12月6日
【出願人】(000161806)京楽産業株式会社 (4,820)
【参考文献】
【文献】特開 平6−86856(JP,A)
【文献】特開 昭58−10076(JP,A)