説明

パチンコ球の払出装置

【構成】 パチンコ球が連続して供給される供給通路27と、外周にパチンコ球が嵌入し得る複数の凹部28が形成されたスプロケット29と、揺動によりスプロケット29を所定角度ずつ間歇的に回転させて供給通路27のパチンコ球を1個ずつ排出する揺動爪部材30と、該揺動爪部材30を揺動する電磁石31とからなるパチンコ球の払出装置6において、前記揺動爪部材30に操作レバー37を一体に設け、該操作レバー37を動かすことによつて電磁石31に関係なくスプロケット29を所定角度ずつ間歇的に回転し得るように構成したことを特徴とする。
【効果】 無駄な電力を消費することなく経済的に球抜きを行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パチンコ球の払出装置、詳しくは電磁石の励磁と非励磁とによりスプロケットを所定角度ずつ間歇的に回転させて供給通路のパチンコ球を1個ずつ排出するようにしたパチンコ球の払出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、パチンコ球の払出装置として、パチンコ球が連続して供給される供給通路と、外周にパチンコ球が嵌入し得る複数の凹部が形成されたスプロケットと、揺動によりスプロケットを所定角度ずつ間歇的に回転させる間歇回転機構と、該間歇回転機構を回転させる電磁石とからなり、前記スプロケットの所定角度の回転により供給通路のパチンコ球を1個ずつ排出するように構成したものが知られている(例えば特開昭61−76181号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記したパチンコ球の払出装置にあっては、例えばホールの閉店後に景品球タンクのパチンコ球を抜取る場合、その抜取口から払出装置までの間に残るパチンコ球を抜取るためには電磁石を作動させなければならず、従って多くの電力を消費したり球抜き専用の電気配線を必要とする等無駄が多いという問題点があった。本発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、スプロケットを電磁石に関係なく回転操作できるようにして経済的に球抜きを行うことができるようなパチンコ球の払出装置を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明のパチンコ球の払出装置は、電磁石の励磁と非励磁により揺動され、その揺動によりスプロケットを所定角度ずつ間歇的に回転させて供給通路のパチンコ球を1個ずつ排出する揺動爪部材に操作レバーを一体に設け、該操作レバーを動かすことによって電磁石に関係なくスプロケットを所定角度ずつ間歇的に回転し得るように構成したものである。
【0005】
【作用】操作レバーを手で動かして揺動爪部材を揺動させることにより、パチンコ球を電磁石に関係なく1個ずつ排出することができる。このため、無駄な電力を消費することなく経済的に球抜きを行うことが可能となる。
【0006】
【実施例】以下に本発明の一実施例を図面と共に説明する。図1は本発明が適用されるパチンコ機の裏面図である。図において1はパチンコ機の前面枠、2は前面枠1の裏面に取付枠を介して着脱自在に装着される遊技盤、3は遊技盤2の裏面に回動可能に装着される合成樹脂製の機構板である。
【0007】この機構板3の裏面上部には景品球タンク4が固着され、この景品球タンク4の下方にはパチンコ球を整列して導き出す樋状の誘導通路5が設けられると共に、その下流端には本実施例の要部であるパチンコ球の払出装置6が配設されている。また、この払出装置6の下方には、図2に示すように払い出されたパチンコ球を前面枠1の前面の球受皿(図示せず)に導くための排出通路7と球抜き通路8とが分岐して設けられており、その分岐個所には切替レバー9が軸10によって回動自在に設けられている。 なお、球抜き通路8は誘導通路5の屈曲部に形成された球抜口18まで延長されている。前記切替レバー9は払出装置6から払い出されたパチンコ球を排出通路7または球抜き通路8に振り分けるためのもので、該切替レバー9には連杆11及びリンク部材12を介して通路切替え用のソレノイド13が連結されている。前記リンク部材12は軸14によって回動自在に軸支されており、これの二股部をソレノイド13のプランジャ下端の円板部に係合させている。また、連杆11の両端に突設した係合ピン15,15を切替レバー9の凹孔16及びリンク部材12の通孔17にそれぞれ遊嵌することにより、切替レバー9とリング部材12とを連結させている。
【0008】前記誘導通路5の球抜口18には開閉片19が設けられている。この開閉片19は上端が軸20を以って回動自在に軸支されており、常には重錘21により図2実線のように球抜口18を塞ぐ位置に付勢されている。また、開閉片19には操作板22の先端が軸23により枢支連結されており、該操作板22に開設した係合孔24を球抜き通路8の外側壁に設けた開孔25の下端の突出片26に嵌め、それによって開閉片19を球抜口18を塞ぐ位置に保持させるようにしている。そして、操作板22を図2鎖線のように上方に回動して係合孔24を突出片26から外すことで開閉片19による球抜口18の閉塞を開放させ、誘導通路5のパチンコ球を球抜き通路8へ抜き取り可能なようにされている。
【0009】しかして、本実施例に係るパチンコ球の払出装置6は、図3および図4に示すように誘導通路5のパチンコ球が連続して供給される供給通路27と、その外周にパチンコ球が嵌入する複数の凹部28が形成されたスプロケット29と、該スプロケット29を所定角度ずつ間歇的に回転させる揺動爪部材30と、該揺動爪部材30を揺動させる電磁石31とから構成されている。
【0010】前記スプロケット29は、図5に示すように凹部28の端部に段状の歯部32が形成され、中央部には突起状の歯部33が形成されている。そして、ケース体6aの内部の横軸43に回動自在に支持される。
【0011】前記揺動爪部材30は、図6に示すように両端にスプロケット29の歯部32および33にそれぞれ係合する爪部34a,34bを有し、ケース体6aの内部の横軸35に揺動自在に軸支される。また、軸35より下方部には係合凹溝36が形成されると共に、横軸35と平行な操作レバー37を一体に設け、該操作レバー37の先端をケース体6aの側壁から外方へ突出させている。
【0012】前記電磁石31は、図7に示すようにケース体6aの内部に固着される支持板38に取付けられており、その前面には可動鉄片39が位置されている。可動鉄片39は、上端が支持板38に回動可能に支持されており、図4に示すように下端を揺動爪部材30の係合凹溝36に係合させている。そして、電磁石31が非励磁のときには図4実線のように引張ばね40の付勢によつて揺動爪部材30を反時計方向に押動し、これの下端爪部34bをスプロケット29の歯部32または33のいずれかに係合させ、また電磁石31が励磁したときには同図鎖線のようにその鉄芯31aに吸引されて揺動爪部材30を時計方向に押動し、これの上端爪部34aをスプロケット29の歯部32または33のいずれかに係合させるようになっている。なお、41はパチンコ球の排出通路、42a,42bはスプロケット29の上下位置に設けられたパチンコ球検出センサである。
【0013】以上説明したように本実施例に係るパチンコ球の払出装置6の動作について説明すると、図8(a),(b),(c)に示すように電磁石31が励磁状態と非励磁状態を繰返えすことにより、可動鉄片39が往復動し、揺動爪部材30を揺動してスプロケット29を一歯ずつ、すなわち、本実施例の場合30度ずつ間歇回転させる。これによって、スプロケット29の凹部28に支持されているパチンコ球を景品球として1個ずつ排出通路41に排出させることができる。
【0014】一方、ホールの閉店後等に景品球タンク4のパチンコ球を抜取る場合には、先ず誘導通路5の球抜口18を塞いでいる開閉片19をフリー状態として球抜口18を開放し、パチンコ球を球抜き通路8に導いて抜き取る。次に、切替レバー9を排出通路7を塞ぐ位置に回動させた後、払出装置6のケース体6aの外方に突出する操作レバー37を電磁石31に関係なく手で動かして揺動爪部材30を揺動し、スプロケット29を間歇回転させる。これによって、図2鎖線のように球抜口18から払出装置6までの間に残るパチンコ球をすべて球抜き通路8に抜取ることができる。
【0015】
【発明の効果】以上、説明したところから明らかなように、本発明は、パチンコ球が連続して供給される供給通路と、外周にパチンコ球が嵌入し得る複数の凹部が形成されたスプロケットと、揺動によりスプロケットを所定角度ずつ間歇的に回転させて供給通路のパチンコ球を1個ずつ排出する揺動部材と、該揺動部材を揺動する電磁石とからなるパチンコ球の払出装置において、前記揺動爪部材に操作レバーを一体に設け、該操作レバーを動かして揺動爪部材を揺動させることによりパチンコ球を電磁石に関係なく排出することができるようにしたので、景品球タンクのパチンコ球を抜取る場合に、球抜口から払出装置までの間に残るパチンコ球を操作レバーを手で動かすことによってすべて抜き取ることができ、従来のように球抜きのために電磁石を作動させていた無駄な電力消費をなくすことができ非常に経済的となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】パチンコ機の裏面図。
【図2】パチンコ機の裏面の要部断面図。
【図3】本発明に係る払出装置の透視斜視図。
【図4】同払出装置の断面図。
【図5】スプロケットの斜視図。
【図6】揺動爪部材の斜視図。
【図7】電磁石の斜視図。
【図8】作用説明図。
【符号の説明】
6 払出装置
27 供給通路
28 凹部
29 スプロケット
30 揺動爪部材
31 電磁石
37 操作レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】 パチンコ球が連続して供給される供給通路と、外周にパチンコ球が嵌入し得る複数の凹部が形成されたスプロケットと、揺動によりスプロケットを所定角度ずつ間歇的に回転させて供給通路のパチンコ球を1個ずつ排出する揺動爪部材と、該揺動爪部材を揺動する電磁石とからなるパチンコ球の払出装置において、前記揺動爪部材に操作レバーを一体に設け、該操作レバーを動かすことによつて、電磁石に関係なくスプロケットを所定角度ずつ間歇的に回転し得るように構成したことを特徴とするパチンコ球の払出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開平6−134116
【公開日】平成6年(1994)5月17日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−314178
【出願日】平成4年(1992)10月28日
【出願人】(000161806)京楽産業株式会社 (4,820)