説明

パチンコ遊技機

【課題】遊技盤アッセンブリの積み上げ作業を容易かつ確実に行うこと。
【解決手段】合成樹脂製遊技盤1は貫通孔26を有する。合成樹脂製スペーサー5は、遊技盤1側の面22に貫通孔26に対応して設けられる係止突起部21と、非遊技盤側の面23に係止突起部21に対応して設けられる係止凹部24を有する。遊技盤1にスペーサー5を組み付けるとき、係止突起部21は貫通孔26を突き抜け、先端部25が遊技盤1の盤面27から突出した状態になる。遊技盤アッセンブリ100を順に積み上げたとき、上側の遊技盤アッセンブリ100Aの各係止凹部24が下側の遊技盤アッセンブリ100Bの係止突起部21の先端部25によって支持され、上側の遊技盤アッセンブリ100Aのスペーサー5の下面23と、下側の遊技盤アッセンブリ100Bの遊技盤1の盤面27とが非接触状態を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクリル樹脂等合成樹脂製の遊技盤を備えるパチンコ遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂製例えばアクリル樹脂製の遊技盤を備えるパチンコ遊技機は、遊技盤の裏面の外周部に合成樹脂製のスペーサー(補助板部材)を組付け、従前からのベニヤ製の遊技盤が取り付けられる取付枠に取付け可能にするために、遊技盤とスペーサーの組付体からなる遊技盤アッセンブリの厚さを、従前からのベニヤ製の遊技盤と同じ厚さにしている。
【0003】
そして、この種のパチンコ遊技機の製造ラインにおいては、ルーターを用いて遊技盤に所定の貫通孔等を形成した後、遊技盤アッセンブリを順に積み上げ、積み上げた遊技盤アッセンブリを上から順に下ろして遊技盤の盤面に遊技釘等部品を固定、配設する作業を行っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、遊技盤アッセンブリを積み上げる作業は、遊技盤アッセンブリが合成樹脂製であり互いに滑り易いため容易ではなかった。
【0005】
本発明は、パチンコ遊技機の製造ラインにおいて、遊技盤アッセンブリの積み上げ作業を容易かつ確実に行うことができるパチンコ遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のパチンコ遊技機は、合成樹脂製遊技盤の裏面の外周部に合成樹脂製スペーサーを組付けてなる遊技盤アッセンブリを備えるパチンコ遊技機において、前記遊技盤に設けられた貫通孔と、前記スペーサーの遊技盤側の面に前記貫通孔に対応して設けられた係止突起部であって、前記遊技盤に前記スペーサーを組み付けるとき、前記貫通孔を突き抜け、先端部が遊技盤の盤面から突出した状態になる係止突起部と、前記スペーサーの非遊技盤側の面に前記係止突起部に対応して設けられた係止凹部と、を備え、盤面に対する遊技釘等の装着作業前の遊技盤を要素とする遊技盤アッセンブリを順に積み上げたとき、下側の遊技盤アッセンブリの係止突起部の先端部が上側の遊技盤アッセンブリの係止凹部に嵌るよう構成されることを特徴とする。
【0007】
本発明のパチンコ遊技機によると、遊技釘等が固定、配設される前の遊技盤アッセンブリを順に積み上げたとき、下側の遊技盤アッセンブリの係止突起部の先端部が上側の遊技盤アッセンブリの係止凹部に嵌ることにより、上側の遊技盤アッセンブリが下側の遊技盤アッセンブリの上でずれることなく確実に保持されるようになり、遊技盤アッセンブリの積上げ作業が容易かつ確実なものになる。
【0008】
ここで、遊技釘等が固定、配設される前の遊技盤アッセンブリを順に積み上げたとき、上側の遊技盤アッセンブリの係止凹部が下側の遊技盤アッセンブリの係止突起部の先端部によって支持され、上側の遊技盤アッセンブリのスペーサーの下面と、下側の遊技盤アッセンブリの遊技盤の盤面とが非接触状態を維持するよう構成すると、上側の遊技盤アッセンブリのスペーサーによって下側の遊技盤アッセンブリの遊技盤の盤面が損傷される不具合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の遊技盤の正面図及び下面図である。
【図2】図1図示の遊技盤の裏面に固定されるスペーサーの正面図及び下面図である。
【図3】図1図示の遊技盤に図2図示のスペーサーを組み付けてなる遊技盤アッセンブリの積上げ状態を示す正面図である。
【図4】遊技盤にスペーサーを組み付ける際の遊技盤及びスペーサーの要部断面図である。
【図5】下側の遊技盤アッセンブリに上側の遊技盤アッセンブリを積上げる前における、上側の遊技盤アッセンブリ及び下側の遊技盤アッセンブリの要部断面図である。
【図6】下側の遊技盤アッセンブリに上側の遊技盤アッセンブリを積上げた際における、上側の遊技盤アッセンブリ及び下側の遊技盤アッセンブリの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機は、図1に示すような透明なアクリル樹脂等合成樹脂製遊技盤1を備える。
【0011】
図1に示す遊技盤1は、パチンコ遊技機の製造ラインにおいて、遊技釘、風車、内レール、外レール、第1始動口(ヘソ)、第2始動口(電チュー)、大入賞口(アタッカー)、普通入賞口、ゲート、センター装飾部材、装飾ランプ、第1特別図柄表示器、第2特別図柄表示器など各種部品(いずれも図示せず。)が装着される前の遊技盤の状態を示しており、部品の構造及び装着部位に対応して所定形状の複数の貫通孔2が設けられている。また、遊技盤1の外周部には、複数の組付孔3が設けられており、各組付孔3には、後述するスペーサー5の組付リブ11が圧入され、遊技盤1にスペーサー5が組み付けられて遊技盤アッセンブリ100が構成される。遊技盤1の厚さは例えば10mmである。
【0012】
遊技盤1の裏面4の外周部には、図2に示すような環状の略透明な合成樹脂製スペーサー5が組み付けられる。スペーサー5は、遊技盤1の左上コーナー部に配される左上部材6と、遊技盤1の右上コーナー部に配される右上部材7と、遊技盤1の左下コーナー部に配される左下部材8と、遊技盤1の右下コーナー部に配される右下部材9とに4分割されており、左上部材6と右上部材7、右上部材7と右下部材9、右下部材9と左下部材8、左下部材8と左上部材6、が互いに嵌合等により連結されることによって図2(A)に示すような環状形状に構成される。スペーサー5の正面10(遊技盤側に配される面)には、遊技盤1の各組付孔3に対応して複数の組付リブ11が設けられており、遊技盤1の各組付孔3に組付リブ11を圧入することにより、遊技盤1にスペーサー5が組み付けられ、遊技盤アッセンブリ100が形成される。左上部材6、右上部材7、左下部材8及び右下部材9は、それぞれ、略平板状の2つの部材、換言すると平板部材12、13を重ね合わせ、2つの平板部材12、13をビス止めして一体に構成される。さらに、左上部材6、右上部材7、左下部材8及び右下部材9には、適宜、配線通し用の孔14等が設けられている。スペーサー5の厚さは例えば9mmである。
【0013】
パチンコ遊技機の製造ラインにおいて、遊技盤1に対して遊技釘等を装着する作業工程の前工程で、図3に示すように、遊技盤アッセンブリ100を積上げる作業が行われる。その積上げ作業の後、今度は積上げた遊技盤アッセンブリ100を上から下ろし遊技釘等を装着する作業が行われる。
【0014】
遊技盤アッセンブリ100のスペーサー5は、左上部材6、右上部材7、左下部材8及び右下部材9のいずれか3つ以上の部材に、図4に示すような係止突起部21を備える。係止突起部21は、2つの平板部材12、13のうち遊技盤1側の平板部材12の上面22に垂直に形成されている。また、係止突起部21の長さは、遊技盤1の厚さよりも長く設定されている。また、2つの平板部材12、13のうち非遊技盤1側の平板部材13の下面23には、係止突起部21の真下の位置に係止凹部24が形成されている。係止凹部24は、係止突起部21の先端部25を収容可能な形状を有している。
【0015】
遊技盤1には、各係止突起部21に対応して上下方向の貫通孔26が形成されている。貫通孔26は、係止突起部21を挿通可能に構成されている。
【0016】
遊技盤1にスペーサー5を組み付ける際、図4に示すように、スペーサー5の係止突起部21を遊技盤1の貫通孔26に挿通し、遊技盤1にスペーサー5を組み付ける。遊技盤1にスペーサー5が組み付けられた遊技盤アッセンブリ100の状態では、係止突起部21の先端部25は遊技盤1の盤面27から突出した状態となる。
【0017】
遊技盤アッセンブリ100を図3に示すように順に積上げる際、図5に示すように、積上げようとする遊技盤アッセンブリ100A(上側の遊技盤アッセンブリ)を、遊技盤1が上、スペーサー5が下になるよう水平状態にし、下側の平板部材13の下面23の係止凹部24が、既に積み終わっている遊技盤アッセンブリ100B(下側の遊技盤アッセンブリ)の遊技盤1の盤面27から突出している係止突起部21の先端部25の真上に位置するよう位置決めし、上側の遊技盤アッセンブリ100Aを下側の遊技盤アッセンブリ100Bの上に載せる。上側の遊技盤アッセンブリ100Aを下側の遊技盤アッセンブリ100Bに載せたとき、図6に示すように、下側の遊技盤アッセンブリ100Bの係止突起部21の先端部25は、上側の遊技盤アッセンブリ100Aの対応する係止凹部24に収容された状態となる。このため、上側の遊技盤アッセンブリ100Aは、下側の遊技盤アッセンブリ100Bの上に固定される。係止突起部21は、3つ以上からなり、かつ、各係止突起部21の先端部25が対応する係止凹部24に収容状態にあるとき、上側の遊技盤アッセンブリ100Aを3点以上で支持可能な部位に設けられている。このため、各係止突起部21の先端部25が対応する係止凹部24に収容状態にあるとき、上側の遊技盤アッセンブリ100Aのスペーサー5の下面(平板部材13の下面23)と、下側の遊技盤アッセンブリ100Bの遊技盤1の盤面27とは非接触状態を維持する。
【0018】
以上説明したように、本実施形態のパチンコ遊技機は、合成樹脂製遊技盤1の裏面4の外周部に合成樹脂製スペーサー5を組付けてなる遊技盤アッセンブリ100を備えるパチンコ遊技機において、遊技盤1に設けられた貫通孔26と、スペーサー5の遊技盤1側の面(上面22)に貫通孔26に対応して設けられた係止突起部21であって、遊技盤1にスペーサー5を組み付けるとき、貫通孔26を突き抜け、先端部25が遊技盤1の盤面27から突出した状態になる係止突起部21と、スペーサー5の非遊技盤側の面(下面23)に係止突起部21に対応して設けられた係止凹部24と、を備え、盤面27に対する遊技釘等の装着作業前の遊技盤1を要素とする遊技盤アッセンブリ100を順に積み上げたとき、上側の遊技盤アッセンブリ100Aの係止凹部24が下側の遊技盤アッセンブリ100Bの係止突起部21の先端部25によって支持され、上側の遊技盤アッセンブリ100Aのスペーサー5の下面23と、下側の遊技盤アッセンブリ100Bの遊技盤1の盤面27とが非接触状態を維持するよう構成される。
【0019】
本実施形態のパチンコ遊技機によると、遊技釘等が固定、配設される前の遊技盤アッセンブリ100を順に積み上げたとき、下側の遊技盤アッセンブリ100Bの係止突起部21の先端部25が上側の遊技盤アッセンブリ100Aの係止凹部24に嵌ることにより、上側の遊技盤アッセンブリ100Aが下側の遊技盤アッセンブリ100Bの上でずれることなく確実に保持されるようになり、遊技盤アッセンブリ100の積上げ作業が容易かつ確実なものになる。さらに、遊技盤アッセンブリ100を積み上げたとき、上側の遊技盤アッセンブリ100Aのスペーサー5の下面23と、下側の遊技盤アッセンブリ100Bの遊技盤1の盤面27とが非接触状態に維持されるようになるため、上側の遊技盤アッセンブリ100Aのスペーサー5によって下側の遊技盤アッセンブリ100Bの遊技盤1の盤面27が損傷される不具合を防止することができる。ここで、係止突起部21の先端部25の断面形状は円形の他、三角形、四角形など多角形、あるいは、楕円形、長円形など、異形形状で構成し、係止凹部24は先端部25の断面形状に対応した孔形状で構成してもよい。このように構成した場合、ピン21の個数を1つに設定しても、位置ずれを防止可能となると共に、上側の遊技盤アッセンブリ100Aのスペーサー5の下面23と、下側の遊技盤アッセンブリ100Bの遊技盤1の盤面27とを略全体的に非接触状態に維持することが可能である。
【符号の説明】
【0020】
1 遊技盤
4 遊技盤の裏面
5 スペーサー
21 係止突起部
22 スペーサーの遊技盤側の面(スペーサーの上面)
23 スペーサーの非遊技盤側の面(スペーサーの下面)
24 係止凹部
25 係止突起部の先端部
26 貫通孔
27 盤面
100 遊技盤アッセンブリ
100A 上側の遊技盤アッセンブリ
100B 下側の遊技盤アッセンブリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製遊技盤の裏面の外周部に合成樹脂製スペーサーを組付けてなる遊技盤アッセンブリを備えるパチンコ遊技機において、
前記遊技盤に設けられた貫通孔と、
前記スペーサーの遊技盤側の面に設けられた係止突起部であって、前記遊技盤に前記スペーサーを組み付けるとき、前記貫通孔を突き抜け、先端部が遊技盤の盤面から突出した状態になる係止突起部と、
前記スペーサーの非遊技盤側の面に前記係止突起部に対応して設けられた係止凹部と、
を備え、
盤面に対する遊技釘等の装着作業前の遊技盤を要素とする遊技盤アッセンブリを順に積み上げたとき、下側の遊技盤アッセンブリの係止突起部の先端部が上側の遊技盤アッセンブリの係止凹部に嵌るよう構成されることを特徴とするパチンコ遊技機。
【請求項2】
盤面に対する遊技釘等の装着作業前の遊技盤を要素とする遊技盤アッセンブリを順に積み上げたとき、上側の遊技盤アッセンブリの係止凹部が下側の遊技盤アッセンブリの係止突起部の先端部によって支持され、上側の遊技盤アッセンブリのスペーサーの下面と、下側の遊技盤アッセンブリの遊技盤の盤面とが非接触状態を維持するよう構成されることを特徴とする請求項1に記載のパチンコ遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−45447(P2011−45447A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194814(P2009−194814)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】