説明

パチンコ遊技機

【課題】遊技の邪魔にならず、なおかつ狭い機内において扉体側からの不正操作器具の遊
技面への不正な侵入を確実に防止することが可能なパチンコ遊技機を提供すること。
【解決手段】パチンコ遊技機は遊技面27aと、発射されたパチンコ球を上方に導くとと
もに遊技領域を区画する内レール52とが配設された遊技盤とを備えている。遊技盤の前
面は扉枠によって閉鎖されるようになっている。扉枠にはガラス板によって封鎖された窓
部とパチンコ球を貯留する上受け皿が設けられている。ガラス板はガラスフレーム76に
取り付けられた状態で扉枠の背面に配置されている。このようなガラスフレーム76には
前記遊技盤に対して扉枠閉鎖された状態で内レール52の下側と重複する位置に進出する
庇部99が形成されている。これによって不正操作器具の挿入が困難になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技釘等の障害物に干渉されながらパチンコ球が落下する遊技面を有し、パ
チンコ球発射機構から発射されるパチンコ球を上方に導くレール部材が遊技面の下方域に
配設されたパチンコ遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からパチンコホールや遊技者によるパチンコ遊技機の出球率を変更させる不正行為
が後を絶たない。例えば、パチンコホールにおいて制御基板にアクセスしてロムに外部か
ら電流を流すことで遊技内容を改変したり、制御基板自体、あるいはロムを交換してしま
ったりすることが従来から問題となっている。このようなパチンコ遊技機のソフト面に対
する不正行為は多くは大当たり確率を改変することを目的として行われる。このような不
正を防止する手段として数多くの不正防止手段が提案されている。一例として特許文献1
を挙げる。
【特許文献1】特開2004−89733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような制御機構に関する不正の他に、遊技者が実際に遊技釘を外部から不正操作し
てパチンコ球を入賞口(始動口)に入りやすくするという不正行為も行われている。パチ
ンコ遊技機において遊技者側から見て最も不正行為のインターフェースとなりやすいのは
上受け皿に面したパチンコ球を上受け皿に流入させるためのパチンコ球流入口の通路であ
る。これは同流入口の通路壁面に孔を開けて、その孔からワイヤのような細長い道具を使
用して遊技面にアクセスして遊技釘を不正に曲げるという操作を行うものである。
この位置は扉枠の奥まった位置にあるため不正操作が発見されにくく、なおかつ遊技面
にも近い。更に、不正操作を行う際には遊技者の手は上受け皿付近に置かれなければなら
ないが、遊技者の手がこの付近にあっても遊技において格別不自然に見えないため不正行
為者にとっては有利である。
【0004】
この不正行為は例えば次のような手順で行われる。 図30に示すように、不正行為者
は扉枠150の上受け皿151に面したパチンコ球流入口152の内部通路壁面152a
に工具を使用して扉枠150の裏面に連通する透孔153を形成する。そして図31に示
すようにワイヤ154を透孔153から侵入させ、扉枠150の背後に配置された遊技盤
155の遊技面155a上に導く。
このとき、パチンコ遊技機の各部材とワイヤ154との位置関係は次のようになる。正
面から目視してレール156はパチンコ球流入口152よりも上方位置に左右に横切るよ
うに配置されている。不正行為者はワイヤ154をレール156の前面を交差するように
上方に向かって通過させ、更に大入賞口157の側面を通過させて入賞口(始動口)15
7の上部の2本の命釘となる遊技釘158の図上左方の遊技釘158Aの頭部に引っ掛け
るようにする。そしてワイヤ154を強く引っ張ることで入賞口(始動口)159の上部
の遊技釘158の間隔を拡げるようにする。これによってパチンコ球が入賞口(始動口)
157に入りやすくなって入賞回数が増え、入賞口(始動口)159への入賞の増加に伴
って図柄表示装置160で図柄の変動表示が不正前に比べて多く行われることとなり、結
果としていわゆる「大当たり」と呼ばれる変動表示後の停止確定図柄が予め設定した特定
の当たり図柄になる確率が不当に上昇することとなってしまう。
【0005】
このような不正を防止するにはワイヤ154が遊技釘158Aに至る途中に遊技釘15
8Aに達することのできないような何らかの通行妨害手段を追加して設けることが考えら
れるが、不用意に追加部材を装着することは遊技の邪魔になり、また、パチンコ遊技機は
多くの構成部材が狭い領域に集合して組み立てられた精密機械であるため余分なスペース
があまりなく、このような追加部材を装着するのは設計上必ずしも容易ではない。そのた
め、従来では十分な防止措置が講じられていなかった。 本発明は、このような従来の技
術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、遊技の邪
魔にならず、なおかつ狭い機内において扉体側からの不正操作器具の遊技面への不正な侵
入を確実に防止することが可能なパチンコ遊技機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために発明1では、遊技釘等の障害物に干渉されながらパチンコ
球が落下する遊技領域を有する遊技面と、パチンコ球発射機構から発射されるパチンコ球
を上方に導くとともに同遊技領域を区画するレール部材とが配設された遊技体と、同遊技
体の前面に対し開閉可能に装着され、同遊技体に対して閉鎖された状態で前記遊技面を目
視させるための窓部を有するとともに、同窓部の下方位置に形成され前記遊技面よりも下
方位置に配置された通路を介して前記遊技体から放出されるパチンコ球を貯留するパチン
コ球用受け皿を有する扉体とを備え、前記扉体には後方に向かって突出する突出部が形成
され、同扉体が前記遊技体に対して閉鎖された状態で同突出部は前記レール部材の外方で
あって同レール部材と隣接する位置に進出することをその要旨とする。
【0007】
上記のような構成では、遊技体は遊技釘等の障害物に干渉されながらパチンコ球が落下
する遊技領域を有した遊技面を備え、更に、その遊技面の下方にはパチンコ球発射機構か
ら発射されるパチンコ球を上方に導くレール部材が配設されている。レール部材は遊技領
域を区画する。扉体はこのような遊技体の前面に開閉可能に装着されている。遊技体の前
面に開閉可能に配置される扉体は窓部を有し、遊技面は窓部を介して前方側から目視可能
とされている。また、窓部の下方位置には遊技面よりも下方位置に配置された通路を介し
て遊技体から放出されるパチンコ球を貯留するパチンコ球用受け皿が形成されている。
このような構成において、更に扉体には後方に向かって突出する突出部が形成されている
。形成手段や形成場所は特に限定されるものではない。扉体が遊技体に対して閉鎖された
状態で突出部はレール部材の外方であって同レール部材と隣接する位置に進出する構成を
採用している。ここに、レール部材の外方とはレール部材を挟んで遊技領域とは反対側を
いう。遊技体側からはレール部材が突出し、扉体側からは突出部が突出することによる両
者の位置関係によって遊技領域と同遊技領域の外側領域との間はストレートな空間ではな
くなるため不正操作部材の通過が困難となる。
【0008】
このような構成とすることによって、扉体が遊技体に対して閉鎖された状態においてパ
チンコ球用受け皿への通路に孔を開けてワイヤのような不正操作器具をこの孔から侵入さ
せても、レール部材と突出部との協同作用によってこの間の空間が屈曲して通過しにくく
しなっているため不正操作器具はレール部材を越えて遊技領域に進出しにくくなる。
また、突出部は扉体の開放に伴って扉体とともにレール部材と重複した位置から移動し
て離間するため、遊技体側の点検のために扉体を開放した際に突出部が点検作業の邪魔に
なることはない。
【0009】
また、上記の目的を達成するために発明2では、遊技釘等の障害物に干渉されながらパ
チンコ球が落下する遊技領域を有する遊技面と、パチンコ球発射機構から発射されるパチ
ンコ球を上方に導くとともに同遊技領域を区画するレール部材とが配設された遊技体と、
同遊技体の前面に対し開閉可能に装着され、同遊技体に対して閉鎖された状態で前記遊技
面を目視させるための窓部を有するとともに、同窓部の下方位置に形成され前記遊技面よ
りも下方位置に配置された通路を介して前記遊技体から放出されるパチンコ球を貯留する
パチンコ球用受け皿を有する扉体と、板状の透明体と同透明体を保持する保持枠体を有し
、前記扉体の背面側に配設されて前記窓部を封塞する透明体ユニットとを備え、前記透明
体ユニットの前記保持枠体には後方に向かって突出する突出部が形成され、前記扉体が前
記遊技体に対して閉鎖された状態で同突出部は前記レール部材の外方であって同レール部
材と隣接する位置に進出することをその要旨とする。
【0010】
上記のような構成では、遊技体は遊技釘等の障害物に干渉されながらパチンコ球が落下
する遊技領域を有した遊技面を備え、更に、その遊技面の下方にはパチンコ球発射機構か
ら発射されるパチンコ球を上方に導くレール部材が配設されている。レール部材は遊技領
域を区画する。扉体はこのような遊技体の前面に開閉可能に装着されている。遊技体の前
面に開閉可能に配置される扉体の窓部には背面側に透明体ユニットが配設されている。透
明体ユニットは板状の透明体と同透明体を保持する保持枠体を有している。遊技面は窓部
を介して前方側から目視可能とされている。また、窓部の下方位置には遊技面よりも下方
位置に配置された通路を介して遊技体から放出されるパチンコ球を貯留するパチンコ球用
受け皿が形成されている。
このような構成において、更に透明体ユニットの保持枠体には後方に向かって突出する
突出部が形成されている。形成手段や形成場所は特に限定されるものではない。扉体が遊
技体に対して閉鎖された状態で突出部はレール部材の外方であって同レール部材と隣接す
る位置に進出する構成を採用している。ここに、レール部材の外方とはレール部材を挟ん
で遊技領域とは反対側をいう。遊技体側からはレール部材が突出し、扉体側からは突出部
が突出することによる両者の位置関係によって遊技領域と同遊技領域の外側領域との間は
ストレートな空間ではなくなるため不正操作部材の通過が困難となる。
【0011】
このような構成とすることによって、扉体が遊技体に対して閉鎖された状態においてパ
チンコ球用受け皿への通路に孔を開けてワイヤのような不正操作器具をこの孔から侵入さ
せても、レール部材と突出部との協同作用によってこの間の空間が屈曲して通過しにくく
しなっているため不正操作器具はレール部材を越えて遊技領域に進出しにくくなる。 ま
た、突出部は扉体の開放に伴って扉体とともにレール部材と重複した位置から移動して離
間するため、遊技体側の点検のために扉体を開放した際に突出部が点検作業の邪魔になる
ことはない。
また、突出部は扉体の窓部位置に配置されている透明体ユニットに形成させるだけであ
るので新たに追加した部材を用意する必要もない。
【0012】
ここに、遊技体とはパチンコ遊技機の本体となるべきパネル部分を構成する。遊技面を
備える他にパチンコ球発射機構や遊技に関する各種制御機構やパチンコ球を貯留するタン
ク等をそなえており、狭義には一般にパチンコ遊技機で遊技機本体(本体枠)と呼称され
る構成部分が相当する。遊技体は複数のパネルの複合体であっても構わない。
パチンコ球用受け皿とは一般に上受け皿と下受け皿と呼称されるパチンコ遊技機の皿の
どちらをも含む概念である。一般にはより遊技面に近い上受け皿から不正操作は行われる
が下受け皿から行う場合も考慮したものである。また、上受け皿と下受け皿のいずれか一
方を有する機種を考慮したものでもある。
【0013】
板状の透明体とは遊技面に接触できないようにその前面を遮蔽して保護するとともに遊
技面の目視を可能とする素材であれば限定はされない。一般にガラスやプラスチックから
構成される。ガラスは強化ガラスや合わせガラスと使用することが好ましい。また、一枚
のみで構成しても複数枚数を前後方向に重複状に配置するようにしても構わない。
レール部材は遊技面を区画する機能を有すると同時にパチンコ球発射機構から発射され
るパチンコ球を上方に導く機能を兼ねる。前者は一般的なパチンコ遊技機ではいわゆる内
レールの機能であり、後者はいわゆる外レールの機能である。本発明における突出部と重
複するレール部材とはこの内レールが対応する。
【0014】
レール部材はその下方域において遊技体前面を横断して少なくとも遊技面の属する上方
領域を下方領域と概ね区画できるような形状であれば一般的な遊技面を包囲する円弧状の
形状に限定されるものではない。また、レール部材は完全に遊技面を包囲する必要はない
。従って、レール部材単独で遊技領域を区画しなくとも他の部材と協同して遊技領域が画
定されれば足る。レール部材の材質は一般的にパチンコ遊技機に使用されるものであれば
限定されることはない。 また、パチンコ球用受け皿は扉体と一体成形されていても、別
体に構成されていても構わない。また、パチンコ球用受け皿としたのは上受け皿と下受け
皿の両方ともを備えていないケースを念頭においたものである。
【0015】
また、上記の目的を達成するために発明3では発明1又は2の構成に加え、前記突出部
の隣接する位置とは、前記レール部材と重複する位置であることをその要旨とする。 こ
のように遊技体側からはレール部材を突出させ、扉体側からは突出部を突出させることに
よって両者を重複(交差しているともいえる)配置させて遊技領域と同遊技領域の外側領
域とを概ね遮断させることができる。
このような構成とすることによって、扉体が遊技体に対して閉鎖された状態においてパ
チンコ球用受け皿への通路に孔を開けてワイヤのような不正操作器具をこの孔から侵入さ
せても、レール部材と突出部との協同作用によってこの間の空間が遮蔽されることとなる
ため不正操作器具をレール部材を越えて遊技領域に進出させることが非常に困難となる。

【0016】
また、上記の目的を達成するために発明4では発明3の構成に加え、前記突出部は前記
保持枠体の下部寄りに形成され前記レール部材の下方域と重複するようにしたことをその
要旨とする。
つまり、侵入しやすい下方領域を突出部とレール部材との協同によって閉鎖すれば不正
侵入防止にとって最も効果的であるためである。
レール部材の上方域は侵入路から遠いため、実質上レール部材の上方域から迂回して遊
技面に至るというケースが考えにくいためである。そして、保持枠体の全域ではなく、こ
のように最も侵入しやすい箇所にのみ集中して突出部を形成することで、経年使用によっ
て突出部や保持枠体にねじれ等の変形が生じたとしてもレール部材との関係で部材同士が
干渉して扉体が遊技体前面に装着されない等の不具合が生じにくくなる。
【0017】
また、上記の目的を達成するために発明5では発明3又は4の構成に加え、前記保持枠
体は前記透明体を外周から保持するとともに、同透明体を包囲する同保持枠体の周縁は前
記レール部材に略沿って延出され、前記突出部は同周縁に略沿って形成されているように
したことをその要旨とする。
この構成は、保持枠体が板状の透明体の周縁を囲み、その縁がレール部材に沿っている
ようなケースを念頭においたものである。これによって透明体を通して突出部がレール部
材に沿って延出されているのが不正行為者が外部から目視することができるため、不正行
為の抑止効果を期待できる。
尚、保持枠体は前記透明体を外周から保持できる形状であれば、その形状は円環状に限
定されるものではない。
【0018】
更に、突出部が保持枠体の透明体を囲む周縁に略沿って形成されており、その周縁はレ
ール部材の延出方向に略沿っているため、透明体を遊技面の面積に対応した大きな面積に
形成することができる。また、透明体を周縁で保持するため保持枠体内部に大きな開口部
が形成されることとなるが、このように突出部を周縁に略沿って形成することで強度の向
上を図ることが可能となる。
【0019】
また、上記の目的を達成するために発明6では発明5の構成に加え、前記突出部は前記
周縁に沿って連続的に形成されてるようにしたことをその要旨とする。
【0020】
このような構成とすることで、途中に隙間(切れ目)無く突出部があたかも帯のように
長く延出形成されることとなるため、不正行為者が切れ目を狙って不正操作器具を遊技面
に侵入させるということが不可能となる。特に、突出部は窓部からどのように配設されて
いるかを目視することも可能であるため、一部にでも切れ目があればそれを狙って不正操
作器具を侵入させる可能性が強い。このように突出部を連続的に形成することは不正行為
の抑止効果から好ましい。
また、このような構成は言い換えれば発明1〜5においては突出部を保持枠体から突出
形成させる際に部分的にのみ形成させてもよい(つまり一部に形成されていない箇所があ
ってもよい)ことの裏返しでもある。
【0021】
また、上記の目的を達成するために発明7では、発明1〜6のいずれかの構成に加え、
前記突出部は庇状に後方に張り出して形成するようにしたことをその要旨とする。
【0022】
これによって、レール部材と重複するために必要かつ十分な突出量のみを突出させるこ
とができ、保持枠体の遊技体前面に面した後方部分全体が不必要にレール部側に張り出す
ことがなくなるため、特にスペースに余裕のない透明体ユニット周辺のスペースの無駄を
なくすことができる。また、突出部がレール部と重複する場合にはレール部の周辺部材と
干渉しないように「逃げ」(つまり突出部が遊技体側に突出できるだけの余地)を形成す
る必要が生じる場合がある。その場合に、突出部が庇状であれば「逃げ」量は少なくてよ
いため、遊技体側に大きな設計変更が求められることもない。また、庇状に後方に張り出
したリブ構造は保持枠体の強度の向上に寄与する。
【0023】
また、上記の目的を達成するために発明8では、発明1〜7のいずれかの発明の構成に
加え、前記突出部の上部には前記扉体が前記遊技体に対して閉鎖された状態で前記レール
部材との間に介在される封塞部材が配設されることをその要旨とする。
【0024】
このような構成では、レール部材と突出部との間に封塞部材が介在されることとなるた
め隙間が更に小さくなることから、結果としてより不正行為が行いにくくなる。また、突
出部と封塞部材を接合することで突出部の強度の向上が図られる。
【0025】
また、上記の目的を達成するために発明9では、発明1〜7のいずれかの構成に加え、
前記レール部材の裏面には前記扉体が前記遊技体に対して閉鎖された状態で前記突出部と
の間に介在される封塞部材が配設されることをその要旨とする。
この構成は上記発明6における封塞部材を突出部側ではなくレール部材側に配設したも
のである。
このような構成では、封塞部材は遊技者から見えないので、封塞部材をかいくぐって不
正操作用具を遊技領域方向に進出させることが困難となる。
【0026】
また、上記の目的を達成するために発明10では、発明1〜9の構成に加え、前記封塞
部材を可撓性材料から構成するようにしたことをその要旨とする。
【0027】
封塞部材を可撓性材料から構成することによって封塞部材は押圧に対して容易に変形可
能となる。そのため、レール部材と突出部との間の隙間が一定ではなく、例えば封塞部材
の一部のみがレール部材に干渉する場合でもそれは単に撓んでいるだけであるのでその部
分が食い込んで扉体の開放ができなくなるということがない。むしろ、密閉性の向上にも
寄与することとなる。
また、封塞部材を突出部の上部に配設する場合では封塞部材がしっかりと固定され、レ
ール部材に吊り下げる場合に比べて封塞部材が脱落する可能性は低くなる。
ここに可撓性材料から構成した封塞部材としては中空或いは中実のエラストマー製のパ
ッキン等が挙げられる。封塞部材は途中切れ間なく配設させることと装着作業の利便の点
から紐状体であることがより好ましい。
【0028】
また、上記の目的を達成するために発明11では、発明1〜10のいずれかの構成に加
え、前記扉体は左右いずれか一方に形成された上下に延びる開閉軸線を軸心として回動可
能とされ、前記突出部に縦成分がある場合に同扉体の開閉時に同突出部が前記レール部材
と干渉する可能性があれば、同レール部材との間隔を離間させて同突出部と同レール部材
との干渉を防止するようにしたことをその要旨とする。
【0029】
ここに、パチンコ遊技機の左右方向を横、上下方向を縦とする。例えば、図32に示す
ように遊技面161を包囲するレール部材(ここでは内レール)162を考えた場合、P
付近ではレール部材162は水平に延出されているため縦成分はほとんどなく、Q付近で
は斜めになっているので若干縦成分を含み、R付近では垂直に延出されているためほとん
ど縦成分のみである。
図33に示すように、このようなレール部材162を有する遊技体163の前面に扉体
164が配設されているものとする。扉体164の背面には透明体ユニット165が配設
され、レール部材162の外方に突出部166が重複して配置されているものと仮定する

【0030】
このような状態で図34に示すように扉体が左右いずれか一方に形成された上下に延び
る開閉軸167を軸心として開放された場合に、突出部の延出方向に縦成分があると開放
とともにレール部材162よりも開閉軸167側に存在する突出部166も開閉軸線を軸
心として回動しレール部材162方向に接近する挙動を示すこととなる。そして、図34
(a)及び(b)に示すように突出部166がレール部材162に近接しているとレール
部材162に干渉してしまう可能性が生じる。
そのため上記構成では、縦成分がある場合にはそれを考慮して干渉しない程度に突出部
とレール部材の間隔を離間させるようにしている。つまり扉体を開放しても突出部がレー
ル部材に干渉しないような構成としている。これによって、扉体のスムーズな開放が可能
となる。
【0031】
一般にパチンコ遊技機では図32のようにレール部材(内レール)162は円弧状であ
るため、遊技面の下方領域つまり、最も侵入されやすいP位置では縦成分が少ないため突
出部とレール部材の間隔を大きく離間させる必要はない。一方、レール部材の左右寄り(
R位置)では縦成分が顕著であるため突出部とレール部材の間隔を離間させる必要がある
。しかし、突出部とレール部材の間隔を離間させると侵入しやすくはなるものの、左右寄
りはパチンコ球用受け皿の通路から比較的遠いため侵入されにくい位置であることからこ
のような構成であっても実際上問題は少ない。
ここに、縦成分が多いほどレール部材との間隔を離間させることが好ましく、その場合
に離間量は縦成分が多くなるにつれて徐々に増加させてもよく、段階的に一定領域につい
ては一定量だけ増加させるようにしてもよい。
【0032】
また、上記の目的を達成するために発明12では、発明3〜11のいずれかの構成に加
え、前記扉体は左右いずれか一方に形成された上下に延びる開閉軸線を軸心として回動可
能とされ、前記突出部に縦成分がある場合に同扉体の開閉時に同突出部が前記レール部材
と干渉する可能性があれば、同レール部材との重複量を減少させて同突出部と同レール部
材との干渉を防止するようにしたことをその要旨とする。
【0033】
発明11と同様に突出部の延出方向に縦成分がある場合には図34及び図35に示すよ
うに突出部とレール部材の干渉の問題が生じる。そこで、縦成分がある場合には突出部と
レール部材との重複量を減少させるようにしたものである。これによって、扉体のスムー
ズな開放が可能となる。
【0034】
一般にパチンコ遊技機ではレール部材(内レール162)は図32のように円弧状であ
るため、遊技面の下方領域つまり、最も侵入されやすいP位置では縦成分が少なくないた
め突出部とレール部材の重複量を減少させる必要はない。一方、レール部材の左右寄り(
R位置)では縦成分が顕著であるため突出部とレール部材との重複量を減少させる必要が
ある。しかし、突出部とレール部材と重複量を減少させると侵入しやすくはなるものの、
左右寄りはパチンコ球用受け皿の通路から比較的遠いため侵入されにくい位置であること
からこのような構成であっても実際上問題は少ない。また、パチンコ遊技機の左右寄りは
スペース的な余裕がないため、発明11のように突出部とレール部材の間隔を離間させる
ことが設計上困難な場合があるが、このように重複量を減少させるならばそのような問題
は生じない。
ここに、縦成分が多いほどレール部材との重複量を減少させるようにすることが好まし
く、その場合に重複量は縦成分が多くなるにつれて徐々に減少させてもよく、段階的に一
定領域については一定量だけ減少させるようにしてもよい。また、もっとも縦成分の大き
な位置ではレール部材との重複量を0としても構わない。
【発明の効果】
【0035】
上記各発明では、不正行為者がパチンコ球用受け皿への通路に孔を開けてワイヤのよう
な不正操作器具をこの孔から侵入させたとしても、遊技体側のレール部材と、扉体側に形
成された突出部との位置関係によって不正操作器具をレール部材を越えて遊技領域方向に
進出させることが困難となるため、遊技面への不正なアクセスを確実に防止することが可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明を応用した実施の形態のパチンコ遊技機の正面図。
【図2】同じパチンコ遊技機の側面図。
【図3】同じパチンコ遊技機の扉枠を開放した状態の平面図。
【図4】同じパチンコ遊技機の分解斜視図。
【図5】同じパチンコ遊技機において扉枠と遊技盤を除いた状態の正面図。
【図6】同じパチンコ遊技機において扉枠を除いた状態の正面図。
【図7】図6において扉枠側のガラスフレームとの重複関係を説明する説明図。
【図8】同じパチンコ遊技機の扉枠の背面図。
【図9】図8の背面図からガラスユニットを取り外した状態の背面図。
【図10】ガラスフレームの背面図。
【図11】ガラスユニットの正面図。
【図12】図10のE−E線における断面図。
【図13】図10のF−F線における一部省略断面。
【図14】ガラスフレームの背面からの斜視図。
【図15】図12のR3に包囲された部分の拡大図。
【図16】図11のG−G線における断面図。
【図17】(a)は前面側、(b)は後面側のガラス板の正面図。
【図18】ガラスフレームをクランプレバーによって固定する状態を説明する部分拡大側面図であって(a)は固定前、(b)は固定状態。。
【図19】ガラスフレームをクランプレバーによって固定する状態を説明する部分拡大背面図。
【図20】ガラスフレームをクランプユニットによって固定する状態を説明する部分拡大側面図であって(a)は固定前、(b)は固定状態。
【図21】図7のA−A線における図6及び図7を合成した図面の断面図。
【図22】図7のB−B線における図6及び図7を合成した図面の断面図。
【図23】図7のC−C線における図6及び図7を合成した図面の断面図。
【図24】図7のD−D線における図6及び図7を合成した図面の断面図。
【図25】他の実施の形態における図10のE−E線と等価の断面図。
【図26】(a)及び(b)は他の実施の形態における庇部とレールとの位置関係を説明する説明図(断面図)。
【図27】他の実施の形態における庇部とレールとの位置関係を説明する説明図(断面図)。
【図28】他の実施の形態における庇部とレールとの位置関係を説明する説明図(断面図)。
【図29】紐部材の断面形状を変形させた他の実施の形態の庇部とレールとの位置関係を説明する説明図(断面図)。
【図30】従来のパチンコ遊技機における不正操作行為を説明する説明図。
【図31】従来のパチンコ遊技機における不正操作行為を説明する説明図。
【図32】本発明において縦成分とはパチンコ遊技機の垂直方向の長さであることを説明する説明図。
【図33】本発明において扉体を開放する際の突出部とレール部の関係を説明する説明図。
【図34】図33のR4に包囲された部分の拡大図。
【図35】図34において扉体を開放して突出部がレール部に干渉した状態を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の各実施の形態について図面に基づいて説明する。
図1〜図6に示すように、パチンコ遊技機11は支持枠体としての外枠12を備えてい
る。外枠12は、遊技ホールへの設置の際にいわゆる島設備に取り付けられる。外枠12
は上下左右の各枠板12a〜12dによって四角形に枠組みされた木製の枠体とされてい
る。下部枠板12d上面には幕板13が配設されている。
外枠12内には本体枠14が装着されている。遊技体の一部をなす本体枠14はパチン
コ遊技機の構造的な中核を形成するパネル状の構成部材であって、外枠12内において幕
板13上に配置されている。図4及び図5に示すように、本体枠14は正面視において略
長方形の外郭を備えたABS製のパネルとされている。本体枠14は正面から見て左方寄
りにおいて上下に配設された開閉金具15の開閉軸線P(図4参照)を軸心として外枠1
2に対して前方側に開放可能とされている。
【0038】
図5及び図6に示すように、本体枠14の下部領域には本体枠側機構部16が形成され
ている。本体枠側機構部16を正面から見て右方にはパチンコ球発射ユニット17が配設
されている。パチンコ球発射ユニット17はソレノイド等から構成された発射部18と、
発射部18にパチンコ球を順に送出する送球部19及び補助レール20から構成されてい
る。本体枠側機構部16の正面から見て左方には上部パチンコ球流入路21と下部パチン
コ球流入路22がそれぞれ配設されている。両パチンコ球流入路21,22間にはバイパ
ス通路23が形成されている。下部パチンコ球流入路22の上方にはファール球通路24
が形成されている。バイパス通路23及びファール球通路24はユニット化されている。
本体枠側機構部16の裏面側にはすべての遊技球を回収して一旦機外に放出させるための
遊球回収通路26が形成されている(図4参照)。
【0039】
本体枠側機構部16の上方には遊技盤取り付けスペース25が形成され、遊技盤27が
同スペース25内に配設されている。同スペース25は遊技盤27が載置される棚部28
(図4参照)と、略楕円形状に切り欠き形成された窓孔29を有している。窓孔29の周
囲は棚部28に載置された遊技盤27の前面周縁が当接する前板部30とされている。図
4に示すように、木製の遊技盤27の外郭は略正方形形状とされ、棚部28に載置された
状態で図示しない係止手段によって前板部30に対して圧着固定される。図6に示すよう
に、遊技盤27は同スペース25に配設された状態で前面に形成された遊技面27aが窓
孔29から前方に露出される。窓孔29を包囲する壁面31の一部は後述する遊技領域の
一部を画定する。
【0040】
遊技体の一部をなす遊技盤27には遊技面27aから裏面に貫通する大小複数の開口部
が形成され、各開口部にはそれぞれ目的に応じた各種装飾パネルが併設されている。遊技
盤27の略中央には可変表示ユニット35が配設されている。可変表示ユニット35は大
型の液晶ディスプレイ36を備えている。図4に示すように可変表示ユニット35は遊技
盤27背面に配置される表示制御装置37を備えている。可変表示ユニット35の直下に
は始動口38が配置されており、さらにその下方にいわゆる大入賞口と呼称される可変入
賞装置39が配置されている。可変表示ユニット35の左右両側にスルーゲート40が配
置され、始動口38の左右両側方向には一般入賞口41がそれぞれ複数配置されている。
遊技盤27の最下部位置にはアウト口42が設けられており、各種入賞口等に入らなかっ
た遊技球はアウト口42を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになってい
る。遊技盤27の表面には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の遊技
釘が植設されている。また、風車43等の各種部材(役物)が配設されている。
【0041】
遊技盤27の遊技面27a上には、外レール51とレール部材としての内レール52が
装着されている。遊技盤27が本体枠14の遊技盤取り付けスペース25に配設された状
態で両レール51,52及び前記本体枠14側の窓孔29を包囲する壁面31の一部によ
って遊技面27aに遊技領域が画定されている。
図6に示すように、外レール51は前記パチンコ球発射ユニット17の補助レール20
の正面から見て左斜め上方であって、同補助レール20の延長方向にファール球通路24
上方の空間を隔てた位置にその基端が配置されている。外レール51は基端から時計回り
方向に円弧状に上方に延出され遊技面27aの頂点から若干進んだ位置(遊技面27aを
時計のダイヤルと見立てた場合の略2時方向位置)にその先端が配置されている。
【0042】
内レール52は遊技面27aを時計のダイヤルと見立てた場合の略4時方向に基端が配
置されている。内レール52は基端から時計回り方向に円弧状に下方に延出され、前記ア
ウト口42前面を略水平に横切った後、外レール51の内周側を上方に向かって延出され
、遊技面27aの頂点の手前位置(遊技面27aを時計のダイヤルと見立てた場合の略1
0時方向位置)にその先端が配置されている。内レール52の先端には遊技面27aに打
ち出された遊技球(パチンコ球)の逆進を防止するための片持ちの舌片が形成された逆進
防止部材55が装着されている。円弧状の内レール52の最下方位置はアウト口42と交
差する位置とされている。両レール51,52は正面から見てアウト口42の左方位置か
ら逆進防止部材55位置(つまり内レール52の先端)にかけて隣接して配置されパチン
コ球発射通路49が形成されている。
【0043】
外レール51及び内レール52は帯状の同幅に形成されたステンレス製薄板条体から構
成されている。図6に示すように、両レール51,52の一側には適度な間隔を開けて釘
53が突設されている。両レール51,52は遊技面27a側縁部に対して釘53を食い
込ませて固定されている。両レール51,52は遊技面27aに対して前方に向かって略
垂直に立設されている。本実施の形態では両レール51,52の幅は16.5mmとされ
ている。
外レール51の先端と内レール52の基端との間には両レール51,52は配設されて
おらず、窓孔29の内周壁56によって遊技領域が画定されている。内側壁56は両レー
ル51,52の曲率に略応答した曲率で弧状の壁面として構成されている。
【0044】
遊技球(パチンコ球)はパチンコ球発射ユニット17によって打ち出されると補助レー
ル20を滑走した後、外レール51に乗り移り外レール51を更に滑走しながら外レール
51と内レール52との間のパチンコ球発射通路49を上方に向かって進み遊技面27a
に飛び出す。この時、パチンコ球発射ユニット17による打ち出し力が弱く補助レール2
0から外レール51に乗り移ることができなかったり、外レール51に乗り移っても遊技
領域まで至らなかったパチンコ球は落下してファール球通路24に導かれる。
遊技領域に放出された遊技球は落下しながら遊技釘、装飾パネルあるいは各種役物等と
干渉して弾かれながら降下し、途中始動口38、可変入賞装置39及び一般入賞口41に
入賞する球以外はすべて内レール52上に落下し、同内レール52を伝わって最下部位置
のアウト口42に導かれる。入賞した入賞球、アウト口42に導かれたアウト球は遊技盤
27背面の遊技球回収通路26に集合し、機外に一旦放出される。
【0045】
本体枠14の前面には扉体としての扉枠61が配設されている。図1、図2、図8及び
図9に示すように、扉枠61は本体枠14の正面から見た外郭と略一致した長方形形状の
外郭の正面形状を有している。扉枠61は本体枠14に対して開閉可能に取り付けられて
いる。扉枠61は本体枠14と同様前記開閉金具15の開閉軸線Pと同軸に取り付けられ
た開閉金具54を軸心として前方側に開放可能とされている。そのため、本体枠14は外
枠12に対して開閉可能とされるとともに、扉枠17は外枠12と本体枠14のそれぞれ
に対して独立して開閉可能とされている。扉枠61はABS樹脂製のパネル体であって、
内部に縦横に配設された図示しない合金製の補強リブによって補強されている。
【0046】
図1、図8及び図9に示すように、扉枠61には遊技者が遊技面27aを目視するため
の窓部としての目視用窓孔62が形成されている。目視用窓孔62は略楕円形状に形成さ
れ、扉枠61が本体枠14に対して閉鎖された状態で同本体枠14側の窓孔29と対峙す
る。図9に示すように、扉枠61の裏面側であって目視用窓孔62の周囲には後述するガ
ラスユニット75の位置決め用の取り付けスペース57が形成されている。取り付けスペ
ース57の周囲には所定の位置(本実施の形態では3箇所)にガラスユニット75固定用
のクランプレバー58が配設されている。クランプレバー58周辺の構造については後述
する。扉枠61の裏面側であって目視用窓孔62の上部には横長の収容部59が形成され
ている。収容部59内にはクランプユニット60が吊り下げ支持されている。収容部59
及びクランプユニット60周辺の構造については後述する。
【0047】
扉枠61の前面側であって、目視用窓孔62の左右及び上方には前方に膨出した装飾用
パネル63が配設されている。装飾用パネル63内にはスピーカ装置65(図8及び図9
参照)や図示しない装飾ランプが配設されている。目視用窓孔62の下方位置には、前側
へ膨出した第1の膨出部66が設けられ、その第1の膨出部66内側が上受け皿67とさ
れている。上受け皿67は後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列
に整列させながらパチンコ球発射ユニット17に導くための球貯留部である。上受け皿6
7内部の上流位置には裏面に連通する通路68が形成されている(図8及び図9参照)。
同通路68は前記本体枠14側の上部パチンコ球流入路21と接続され後述する遊技球供
給装置121から供給されるパチンコ球を上受け皿67に導入させる。
【0048】
第1の膨出部66の下方位置には、前側へ膨出した第2の膨出部70が設けられ、その
第2の膨出部70内側が下受け皿71とされている。下受け皿71はバイパス通路23及
びファール球通路24から流下するパチンコ球を貯留したり、遊技者の能動的な操作に基
づいて上受け皿67から流下させたパチンコ球を貯留するための補助的な球貯留部である

装飾用パネル63、第1の膨出部66及び第2の膨出部70は全体としてデザイン的な
統一が図られている。
正面から見て下受け皿71の左方には灰皿72が配設されている。下受け皿71の右方
にはパチンコ球発射ユニット17と連動する遊技球打ち出し用ハンドル73が前方に突出
形成されている。
【0049】
図8に示すように、扉枠61の裏面には透明体ユニットとしてのガラスユニット75が
配設されている。ガラスユニット75は扉枠61に形成された前記取り付けスペース57
内に配置されている。図10〜図20に基づいてガラスユニット75について説明する。
ガラスユニット75は、モールド成形によって一体的に製造されたABS樹脂製のガラ
スフレーム76を備えている。ガラスフレーム76には前後二枚のガラス板77,78が
所定間隔を開けて平行に装着されている。本実施の形態では、ガラスフレーム76が保持
枠体に相当し、ガラス板77,78が透明板に相当する。
ガラスフレーム76は楕円環状の外形形状を有し、細枠部79と細枠部79の一部が外
方に拡張された膨出部80とから基本形状が構成されている。
細枠部79は周方向に延出された平板部81と平板部81内周において径方向に突起し
た凸条82を備えている。凸条82はガラスフレーム76の全周に渡って延出され、同凸
条82に包囲された内周は楕円形状をなしている。図15に示すように、ガラスフレーム
76には平板部81の凸条82によって分割された内周面81a,81bと凸条82の両
側面82a,82bとによって前後にガラス板支持部83a,83b構成されている。
図15に示すように、平板部81の前面81Aと後面81Bとの間がガラスフレーム7
6の厚みLとされている。
【0050】
膨出部80はガラスフレーム76の扉枠61への装着状態で正面からみて細枠部79の
左斜め下方向の側部(背面からの目視となる図8では右斜め下方向の側部)から外方に向
かって膨出状に形成されている。膨出部80の厚み(幅)は細枠部79の平板部81と同
幅に形成されている。つまり膨出部80も平板部81の前面81A及び後面81Bとによ
って画定される厚みLに構成されている。
膨出部80は頂点が丸く面取りされた略二等辺三角形の外形形状とされている。膨出部
80の表面側(図11で示される面)には凹部84が形成されている。図11及び図16
に示すように、凹部84内においてリブ85で区画された収容領域Sには乾燥剤86が収
容されている。図10に示すように、膨出部80の表面側においては細枠部79から膨出
部80方向に延設された平板部81は膨出部80の外郭に沿って凹部84を包囲するよう
に配置されている。また、膨出部80の表面側においては凸条82の側面82aは細枠部
79から膨出部80方向に延設され平板部81に沿って凹部84を包囲するように配置さ
れている。
一方、膨出部80の脊面側(図10で示される面)では平板部81及び凸条82の側面
82bは膨出部80方向に延設されず楕円環状を構成する。
【0051】
ガラスフレーム76には扉枠61への装着状態で正面からみて(図11の状態)左側上
部位置に上部ブラケット88が形成されている。上部ブラケット88先端には下方に向か
って突起した回動軸89が形成されている。膨出部80の外方には下部ブラケット90が
形成されている。下部ブラケット90先端には下方に向かって突起した回動軸91が形成
されている。両回動軸89,91の軸心は同一直線上に存在する。
ガラスフレーム76の上部ブラケット88と膨出部80の間には側部耳板部93が張り
出し形成されている。膨出部80の下方位置には下部耳板部94が外方に向かって張り出
し形成されている。
【0052】
図10に示すように、上部ブラケット88、膨出部80、側部耳板部93及び下部耳板
部94はそれぞれ隣接する部分と一体的に連結されガラスフレーム76裏面の側方位置に
ガラスフレーム76の湾曲に沿った、つまり内レール52の湾曲に略沿った平板状の封塞
板部92を形成する。封塞板部92の裏面は平板部81の後面81Bと同一平面上にある

細枠部79の上部には左右一対のフック95が形成されている。ガラスフレーム76の
扉枠61への装着状態で正面からみて右側の上下寄りには位置決め用の位置決め板96が
併設された2つの押さえ板97が外方に向かって張り出し形成されている。細枠部79の
下部には押さえ板98が外方に向かって張り出し形成されている。これらフック95及び
押さえ板97,98も平板部81の厚み内に収まっている。
【0053】
図10、図12〜図15に示すように、ガラスフレーム76において平板部81の後面
81Bから後方に向かって突出部としての庇部99が突設されている。図12、図17等
に示すように、庇部99の内周面(図10において上方)は平板部81の内周面81bと
面一とされ、膨出部80から下部側の押さえ板97の間にかけて配設されている。図11
及び図12に示すように、庇部99は左右両サイド寄りを除いて同幅(本実施の形態では
5mm)に形成され、左右両サイド寄りでは面取りされて端方向ほど突出量が少なくなる
ように先細りとされたテーパ部99aが形成されている。特にパチンコ球発射通路49に
面したテーパ部99aではこのように先細りに構成した結果、一旦打ち出した遊技球が遊
技面27aに達せずパチンコ球発射通路49を落下してくる場合であってもパチンコ球は
テーパ部99aと接触するだけで庇部99に強く衝突することがないため庇部99が割れ
たりひびが入ったりする不具合が生じることがなく、当接に伴う異音が発生することもな
い。
平板部81の後面81Bは庇部99を除いてガラスフレーム76の裏面側における本体
枠14への最接近位置とされ、図12〜図14に示すように、平板部81の裏面側端面、
上部ブラケット88の裏面、膨出部80の裏面、側部耳板部93の裏面及び下部耳板部9
4の裏面の各面はそれぞれ平板部81の後面81Bと同一平面上に存在する。つまり、
ガラスフレーム76は庇部99以外に後面81Bが属する平面F(図12及び図13参照
)よりも後方側に突出することはない。
【0054】
図17に示すように、前記ガラス板77,78はそれぞれ装着されるガラスフレーム7
6のガラス板支持部83a,83bの形状(平板部81の内周面81a,81b形状と考
えてもよい)に対応した外形形状を備えている。前面側ガラス板77は膨出部80に対応
して異形に構成され、後面側ガラス板78は楕円形状に構成されている。本実施の形態で
は前面側ガラス板77は強化ガラス製とされ厚みは3.2mmとされている。また、後面
側ガラス板78は間にフィルムを介在させた二枚合わせの合わせガラス製とされ厚みは4
.2mmとされている。
【0055】
ガラス板77,78はガラスフレーム76に対して凸条82を挟んでそれぞれガラス板
支持部83a,83bに嵌合されている。両ガラス板77,78によって挟持された内部
空間は密閉状態で、かつ上記乾燥剤86によって乾燥状態に保持されている。
図15に示すように、両ガラス板77,78は外周縁を平板部81の内周面81a,8
1bに当接させた状態で接着剤としてのグルー剤(図示せず)によって凸条82の両面8
2aに対して貼着されている。図21〜図24に図示されるようにガラス板77,78の
外表面位置はそれぞれ平板部81の前後面81A,81Bと面一ではなくわずかに前後面
81A,81Bより内方に後退した位置(約1mm程度の後退量)とされている。
【0056】
図8及び図9に示すように、ガラスユニット75の前記回動軸89,91は扉枠61の
裏面に配設された上下の軸受け金具100に軸支されている。ガラスユニット75は回動
軸89,91を軸心として扉枠61に対して後方側に開放可能とされている。ガラスユニ
ット75は扉枠61の裏面に対して密着させられた状態で前記フック95及び押さえ板9
7,98において固定部材によって固定されている。図18〜図20に基づいて2点鎖線
で包囲された領域R1及び領域R2における固定状態について説明する。
【0057】
まず、領域R1について説明する。図8、図9及び図20に示すように、収容部59内
にはクランプユニット60が吊り下げ支持されている。本実施の形態ではクランプユニッ
ト60の基本的な構造のみを説明する。クランプユニット60のケース105内中央には
レバー106が回動軸104によって回動可能に軸支されている。ケース105内におい
てレバー106を挟んだ左右位置であって、かつ前後方向にずれた位置にクランプピン1
07,108がそれぞれ配設されている。両クランプピン107,108は同形状に構成
された部材をそれぞれ左右方向に先端が向くように逆向きに対向配置したものであって、
両クランプピン107,108の基部寄りはレバー106の回動軸104を挟んで対向す
る部位に軸支されている。その結果、両クランプピン107,108とレバー106との
間にリンク機構が形成される。両クランプピン107,108はレバー106の回動に伴
って長孔110に案内されてケース105を左右にスライド移動する。
【0058】
レバー106が図20(a)に示す前方へ突出した位置にある場合には両クランプピン
107,108はケース105内に退避されている。そして、レバー106を図20(b
)のケース105の厚み内に収容される位置に回動させることで両クランプピン107,
108はそれぞれ先端がケース105から左右方向に突出する。
このような構成において、図20(a)に示すような両クランプピン107,108を
ケース105内に退避させた状態、つまり両クランプピン107,108がフック95と
干渉しない状態でフック95を収容部59内に収容させる。つまり、クランプユニット6
0のケース105が左右のフック95間に配置されることとなる。そして、図20(b)
に示すようにレバー106を回動させることで両クランプピン107,108をケース1
05から突出させ左右のフック95の前方位置まで進出させる。これによって、フック9
5は両クランプピン107,108によって押さえられ扉枠61側に固定されることとな
る(図8の状態)。
【0059】
次に領域R2について説明する。尚、本実施の形態ではクランプレバー58は3箇所に
配設されているが、説明の重複を避けるため詳しい説明は領域R2で代表させることとす
る。
ガラスユニット75は前記取り付けスペース57内に配置されている。図19に示す
ように、位置決め板96に形成された位置決め孔110内には扉枠61裏面に形成された
位置決めピン111が配置されている。クランプレバー58は回動軸112と押圧アーム
113を備えている。クランプレバー58の押圧アーム113は図8に示す使用時におい
て図18(b)及び図20の実線で示す位置で押さえ板97を固定している。
一方、扉枠61裏面上のクランプレバー58に隣接する位置にはストッパ115及び押
圧丘116が形成されている。押圧丘116はなだらかに湾曲した丘状の突起体であって
、押圧アーム113の裏面と干渉してクランプレバー58の遊動を防止する。従って、ク
ランプレバー58は非使用時には押圧アーム113がストッパ115に当接するとともに
押圧丘116に保持されて図18(a)及び図20の仮想線で示す位置で保持される。
【0060】
図2、図3及び図4に示すように、本体枠14(遊技盤27)の背面には各種制御装置
が重複状に配置されている。制御装置は大きく3つにユニット化されており、タンク12
0や遊技球を供給するための遊技球供給装置121、保護カバー123等を備えた第1ユ
ニット124、主制御装置や音声ランプ制御装置を備えた第2ユニット125、払出制御
装置、発射制御装置及び電源装置を備えた第3ユニット126から構成されている。
【0061】
次に、このように構成されたパチンコ遊技機11において、扉枠61の裏面に配設され
たガラスユニット75と本体枠14側の遊技盤27との関係について主として図6、図7
及び図21〜図24に基づいて説明する。図7は図6を補填する図であって、本体枠14
側について遊技面27a以外の部分を省略し、ガラスフレーム76について膨出部80に
おける凹部84の構造を省略して重ね合わせたものである。パチンコ遊技機11では前後
方向に重複する部材の相互の部材の線図が交錯して分かりにくくなるため、単一の図面で
部材の重複状態を図示するのは困難である。そのため、本発明の要部以外の従属的な部材
について省略して図7を表したものである。
【0062】
図6及び図7に示すように、本体枠14に対して扉枠61を閉鎖した状態においては、
ガラスフレーム76の凸条82によって包囲された内側領域は略遊技領域と略一致する。
このとき、本実施の形態ではガラスフレーム76(平板部81)の後面81Bと遊技面2
7aとの間隔は19.5mmに設定され、同じく後面81Bと内レール52前端との間隔
は3mmに設定されている。このようなガラスフレーム76と遊技面27aとの間隔はパ
チンコ球の大きさや遊技面27aに配置された各種部材(液晶ディスプレイ36や風車4
3等)の突出量や遊技釘の突出量を考慮して設定されたものである。これによって遊技面
27aに前面は遊技面27aに接触することなく、扉枠61背面に配設されたガラスユニ
ット75が配置されることとなり、なおかつ遊技領域を落下してくる遊技球(パチンコ球
)が内レール52とガラスユニット75との隙間から本体枠14と扉枠61の間にこぼれ
落ちてしまうこともない。
また、本体枠14に対して扉枠61を閉鎖した状態においては、図7に示すように、封
塞板部92は外レール51と内レール52の間に形成されるパチンコ球発射通路49を概
ね封塞するようにその前面に配置される。つまり、パチンコ球発射通路49は前方側が封
塞板部92によって封塞され、後面側ガラス板78が面することがないので、パチンコ球
発射通路49を通過するパチンコ球が後面側ガラス板78に当接してガラス面に傷がつい
たり割れたりするといった不具合が生じることはない。
【0063】
図7に示すように、凸条82によって画定されるガラスフレーム76の内周は内レール
52近傍であって内レール52の下側(広義には外側)に配置されている。上記のように
ガラスフレーム76の後面81Bと内レール52前端との間隔は3mmとされているが、
後面81Bから後方に最長5mmの庇部99が突出されているため、図22〜図24に示
すように、内レール52と庇部99とは重複配置されることとなる。図7における、内レ
ール52の最下部位置となるA−A位置においては庇部99は後面81Bから後方に5m
m突出するため、図21に示すように内レール52前端と2mmの重複となる。また、A
−A位置から若干左右方向に振った位置、例えばB−B位置でも庇部99は後面81Bか
ら後方に5mm突出するため、図22に示すように内レール52前端と2mmの重複とな
る。
【0064】
しかし、最下部位置から離間して内レール52に縦成分が増えてくる位置(ここでは湾
曲した内レール52の両サイド寄り)では扉枠61開放時に内レール52と庇部99の干
渉を防止する必要がある。本実施の形態では例えば図12等に示すように庇部99は縦成
分が大きくなるにつれて左右両サイド寄りでは端方向ほど突出量が少なくなるよう先細り
に構成されている。従って、例えばC−C位置では図23に示すように内レール52前端
との重複量は上記位置よりも少なくなっている(ここでは半分程度)。
このように庇部99は内レール52の下部の比較的広い範囲において内レール52の下
側に重複配置されることとなる。
また、受け皿67裏面の通路68から比較的離間したD−D位置には内レール52は配
置されていない。但し、この位置では遊技領域を画定する窓孔29の一部壁面31が若干
遊技領域側にオフセットしており、図24に示すようにガラスフレーム76が前板部30
と重複されている。
【0065】
以上のように構成することによって上記実施の形態では次のような効果を奏する。(1
)もし、ガラスフレーム76に庇部99が形成されていなければ、ガラスフレーム76と
内レール52前端との間には隙間が形成されることとなり、不正を試みる者は図7に示す
ように通路68の壁面裏面に連通する透孔を形成して、ワイヤのような細長い道具を差し
入れてこの隙間からワイヤを遊技面27aに導くことが可能である。
しかし、本実施の形態では本体枠14に扉枠61を閉鎖させた状態では内レール52に
対して庇部99は同内レール52の下部位置に重複状に配置されることとなるため、ワイ
ヤを差し入れようとしてもこれらの重複関係によって隙間が遮蔽されるため、ワイヤを遊
技面27aに導くことが困難になる。また、例え導くことが可能であっても操作に非常に
時間がかかる傾向となるため抑止効果が大きい。結果として、遊技釘の間隔を拡げるよう
な不正行為が行いにくくなる。
【0066】
(2)庇部99は内レール52の下側位置で重複しているため、遊技領域に何らの構造上
の変化はなく、遊技者は庇部99の有無によって遊技内容に影響を受けることはない。
また、庇部99は扉枠61の開放に伴って扉枠61とともに内レール52と重複した位
置から移動して離間するため、本体枠14側の点検のために扉枠61を開放した際に庇部
99が点検作業の邪魔になることはない。
【0067】
(3)上記実施の形態ではガラスフレーム76の下側位置に庇部99を形成している。も
ちろん理論的には上記実施の形態よりも広範囲に、つまりガラスフレーム76の上部方向
にも庇部99を形成することは可能である。しかし、あまり広範囲に庇部99を形成する
とガラスフレーム76に経年使用や熱によってねじれのような変形を生じた場合、庇部9
9が内レール52と干渉してしまう可能性もある。しかし、本実施の形態では必要最小限
の範囲で庇部99を形成しているためそのような不具合は生じにくい。
【0068】
(4)従来から扉枠61の裏面に配設されているガラスフレーム76に庇部99を形成し
たため、不正防止のために追加した部材を敢えて扉枠61と本体枠14の間に配置させる
ものではないので、大きな設計変更はなく、組立・点検時において余分の部材を配設した
ことによる作業の遅延が生じることもない。
【0069】
(5)ガラスフレーム76は中央に大きな開口部を有し、細枠部79のような細い部材を
有することからねじれ等で比較的変形しやすい構造である。しかし庇部99を形成するこ
とによって、強度が向上することとなる。
【0070】
(6)庇部99はガラスフレーム76の後面81Bから後方に張り出すように突出するが
、それほどの厚みを有していないので、突出方向に配置される遊技盤27側の部材と干渉
しにくく、また、庇部99と干渉しないように遊技盤27側側に「逃げ」を設定する場合
も大きな設計変更を必要とすることがない。
【0071】
(7)庇部99はガラスフレーム76の湾曲に沿ってガラス板77,78にごく近い位置
に形成されているため、扉枠61前方から遊技中に遊技者がガラス板77,78を通して
庇部99を目視することが可能である。つまり、不正防止措置が施されていることが外部
から見えるため潜在的にワイヤのような細長い道具を使用した不正を防止する抑止効果を
期待できる。
【0072】
(8)内レール52は円弧状に形成されているため、左右両サイド寄りでは縦成分が発生
する。その際に庇部99が後方にあまり長く突出していると扉枠61の回動に伴って一緒
に回動し、庇部99が内レール52と干渉して扉枠61を開放できない可能性が生じる。
しかし、本実施の形態では庇部99は縦成分が大きくなる左右両サイド寄りでは縦成分
の増大に伴って突出量を減少させているため、扉枠61の開放に伴う部材干渉が生じない
ようになっている。
【0073】
本発明は以下のような態様に変更して実施することが可能である。
・図25に示すように、庇部99の上面にシリコーンゴム製の封塞部材としての紐部材
121を固着してもよい。紐部材121は可撓性のある断面円形の中実体であって、庇部
99の長手方向全長に渡って後面側ガラス板78に接して配設されている。
このような紐部材121を配設すれば上記の実施の形態の効果に加えて以下のような効
果が奏される。(1)内レール52と庇部99との間がより狭まり、不正操作器具の挿入
が更に困難となる。(2)庇部99の根本に紐部材121を固着することで庇部99自体
の強度の向上が図られる。(3)紐部材121は可撓性があるため押圧に対して容易に変
形可能となる。そのため、内レール52と庇部99との間に多少の広狭があって部分的に
紐部材121が内レール52に当接しても変形するため、紐部材121が干渉することに
よって扉枠61が本体枠14に閉鎖されなくなってしまうという不具合が生じにくい。ま
た、紐部材121を内レール52に積極的に当接させることで、むしろこの間の密閉性の
向上にも寄与することとなる。
尚、紐部材の断面形状は方形でも構わない。また、方形であると取り付け面が平面であ
るので取り付けやすくなる。また、シリコーンゴム製以外のスポンジのような弾性かつ可
撓性部材を使用することも可能である。
【0074】
・図26(a)及び(b)に示すように、紐部材121を庇部99の根本に固着するの
ではなく、庇部99の先端寄りに固着することも可能である。図26(a)は比較的庇部
99と内レール52の重複量が大きい実施の形態である。また、図26(b)は重複量は
それほどではないが、庇部99と内レール52がより近い実施の形態である。これらのよ
うな構成では内レール52によって遊技者から紐部材121が見えなくなるため、例え不
正操作用具を巧みに操って庇部99と内レール52の間を縫って進出させようとしても見
えにくい紐部材121が邪魔となって進出させることは極めて困難になる。従って、より
不正が行いにくくなる。
【0075】
図25の変形例として扉枠61の閉鎖の際に内レール52と紐部材121とをより密着
させるようにしてもよい。その際に図29に示すように紐部材121に内レール52方向
に傾斜した傾斜部121aを形成するような断面形状に構成することも可能である。この
ように構成すれば扉枠61の閉鎖とともに徐々に傾斜部121aは内レール52の下面と
接するようになり更に紐部材121は押圧されていくこととなって両者の密着度が増すた
め不正操作器具の挿入がより一層困難となる。また、紐部材121が内レール52前端で
押しつぶされたり過剰な摩擦力によって紐部材121が庇部99から引き剥がされたりす
るようなこともなくなる。傾斜部121aの形状は図29に限定されることはない。
【0076】
・紐部材121を内レール52側裏面に装着することも可能である。
・紐部材121は必ずしも可撓性がなくとも構わない。上記(1)の効果が期待できる
ためである。
・紐部材121は内レール52や庇部99の全長に配設されていなくとも構わない。
【0077】
図25に示すように、庇部99の両サイド寄りを上記実施の形態のように先細りにしな
くて、全長に渡って同じ幅で構成してもよい。例えば、図27に示すように、重複配置さ
れる内レール52と庇部99との間隔を、扉枠61を開放しても庇部99が内レール52
に当たらない程度に十分離間させていればよいからである。
【0078】
上記実施の形態では庇部99はガラスフレーム76にモールド成形によって一体的に形
成されていたが、図28に示すように、庇部99を別体で構成しガラスフレーム76の後
面81Bに固定するようにしてもよい。また、固定は接着剤で取れないようにしてもよく
、ネジ122等の締着部材で着脱可能にしてもよい。
【0079】
・上記ガラスフレーム76の構成は一例であって、これに限定されるものではない。例
えば、上記実施の形態ではガラスユニット75は扉枠61に対して回動して開閉可能とさ
れていたが、開閉できなくとも構わない。また、扉枠61へのガラスユニット75の装着
方法は特に限定はされない。つまり、上記のようにクランプユニット60やクランプレバ
ー58を使用せず他の固定手段を使用することも自由である。
【0080】
・ 上記実施の形態ではガラスフレーム76の下側位置に庇部99を形成するようにした
が、この形成位置の周囲に庇部99を更に延長して形成するようにしてももちろん構わな
い。
・上記実施の形態ではガラスフレーム76の凸条82によって画定される内周は略楕円
環状とされていたが、例えば円形や方形であっても構わない。また、庇部99は平板部8
1に沿って延出されており、結局ガラス板77,78に沿って延出されることとなってい
たが、必ずしもガラス板77,78に沿って延出される必要はない。
・上記実施の形態ではガラスフレーム76から突出部としての庇部99が突出すること
となっていたが、本発明は本来突出部の形成位置としてガラスフレーム76に限定される
ものではない。
【0081】
・上記実施の形態のパチンコ遊技機11では扉枠61に上受け皿67、下受け皿71、
遊技球打ち出し用ハンドル73が配設されていたが、本発明は扉枠61とは別体のパネル
体に下受け皿や、遊技球打ち出し用ハンドルを配設するようにしたパチンコ遊技機に応用
することも自由である。
・上記実施の形態においてはいわゆる第1種始動口付きパチンコ遊技機に応用したが、
レール部材と扉体側に形成させた突出部との関係で不正防止が可能なパチンコ遊技機であ
れば機種は問わない。
・上記実施の形態では図12〜図14に示すように庇部99の左右両サイド寄りにテー
パ部99aを形成するようにしたが、パチンコ球発射通路49を落下してくるパチンコ球
が庇部99に衝突しないようにすることを目的とするのであれば、パチンコ球発射通路4
9に面した側のみにテーパ部99aを形成するようにしてもよい。また、落下してくるパ
チンコ球の庇部99への衝突を回避できれば上記テーパ部99a以外の形状であっても構
わない。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない態様で実施することは自由である。
【0082】
上記発明に適宜追加可能な上記実施の形態から把握できる本発明のその他の技術的思想
について下記に付記として説明する。
(1)前記突出部は同レール部材が装着される基体(扉枠或いは保持枠体)とは別体に
構成され、同基体に対して着脱可能とされていることを特徴とする上記各発明に記載のパ
チンコ遊技機。
これによって、突出部に不具合が生じた場合に突出部のみを交換することができる。
(2)前記突出部は同レール部材が装着される基体(扉枠或いは保持枠体)とは別邸に
構成され、同基体に対して着脱不能に固着されていることを特徴とする上記各発明に記載
のパチンコ遊技機。
このような構成であれば、特に既に設置済みの突出部のないパチンコ遊技機でも接着剤
等で簡単に突出部を装着させることが可能となる。
(3)前記封塞部材は前記突出部の先端寄り上面に配設され、同突出部は前記レール部
材と重複していることを特徴とする上記発明8以下に記載のパチンコ遊技機。
このような構成では封塞部材がレール部材に隠されて遊技者から見にくく、封塞部材を
かいくぐって不正操作用具を遊技領域方向に進出させることが困難となる。
(4)前記庇状に後方に張り出した突出部の少なくともパチンコ球発射通路に面した端
部はパチンコ球発射通路を逆進するパチンコ球が衝突しないように逃げ部が形成されてい
ることを特徴とする発明7〜12もしくは付記1〜3のいずれかに記載のパチンコ遊技機

ここに、逃げ部とは上記実施の形態ではテーパ部99aが相当する。逃げ部としたのは
パチンコ球が直接突出部(上記実施の形態では庇部99)に衝突しない形状であれば特に
限定されないことを意図する。
【符号の説明】
【0083】
11…パチンコ遊技機、14…遊技体としての本体枠、27…遊技体の一部をなす遊技盤
、27a…遊技面、52…レール部材としての内レール、61…扉体としての扉枠、62
…窓部、67…パチンコ球用受け皿としての上受け皿、68…通路、77,78…透明体
としてのガラス板、75…透明体ユニットとしてのガラスユニット、76…保持枠体とし
てのガラスフレーム、99…突出部としての庇部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技釘等の障害物に干渉されながらパチンコ球が落下する遊技領域を有する遊技面と、
パチンコ球発射機構から発射されるパチンコ球を上方に導くとともに同遊技領域を区画す
るレール部材とが配設された遊技体と、
同遊技体の前面に対し開閉可能に装着され、同遊技体に対して閉鎖された状態で前記遊
技面を目視させるための窓部を有するとともに、同窓部の下方位置に形成され前記遊技面
よりも下方位置に配置された通路を介して前記遊技体から放出されるパチンコ球を貯留す
るパチンコ球用受け皿を有する扉体とを備え、
前記扉体には後方に向かって突出する突出部が形成され、同扉体が前記遊技体に対して
閉鎖された状態で同突出部は前記レール部材の外方であって同レール部材に隣接した位置
に進出することを特徴とするパチンコ遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2013−99608(P2013−99608A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−34683(P2013−34683)
【出願日】平成25年2月25日(2013.2.25)
【分割の表示】特願2011−87370(P2011−87370)の分割
【原出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】