説明

パチンコ遊技機

【課題】 打球が発射レールの打球発射部に供給されて発射レール上を走行するまでの一連の動作態様を容易に視認可能とする。
【解決手段】 パチンコ遊技機の前面枠2は、その上部の遊技盤4の遊技領域と対応する位置に開口窓8を形成すると共に、該開口窓8の下方を板状としてその板状部9の前面に上球皿16及び下球皿17と発射ハンドル46とを設け、前記板状部9の裏面には、上球皿16に貯留される打球を遊技盤4下方の発射レール15に1個ずつ供給する打球供給装置61と前記発射レール15の打球発射部15aに供給された打球を打球杆42により遊技盤4上に発射する打球発射装置40とを設け、さらに前記板状部9には、打球供給装置40を前面側から着脱でき、かつ打球杆42の発射動作により上球皿16に貯留された打球が発射レール15上を走行するまでの一連の動作態様を外部から視認できる大きさの開口部24を開設すると共に、該開口部24の全体を開閉自在なカバー扉板30により覆い隠すようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パチンコ遊技機に関し、特に前面枠の前面に打球供給用の上球皿と余剰球貯留用の下球皿とを固着してなるパチンコ遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、パチンコ遊技機の前面枠はほぼ中央に開口部が形成された額縁状に形成されており、該開口部の上部に遊技盤の前方を覆うガラス扉枠が、その下部に発射レールの前方を覆う前面扉板が開閉自在に設けられている。そして、前面扉板の前面側には賞球払出装置から払い出された賞球を貯留する打球供給用の上球皿が取り付けられると共に、その裏面側には打球供給装置が設けられており、発射レールの打球発射部に上球皿の打球を打球供給装置より一個ずつ供給し、打球発射部に関連して設けられた打球杆により打球を遊技盤上に発射するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このようなパチンコ遊技機においては、発射レールの前方が前面扉板により覆われているため、例えば試し打ちする場合に、打球発射部と打球杆との正しい位置関係や打球供給装置から打球発射部に供給された打球が打球杆により打撃されて発射レール上を走行するまでの一連の動作態様等を観察することができなかった。このため、打球の発射状態に不具合いが発生した場合に、外部からその不具合個所を視認することができず、トラブル解消に手間が掛かるという問題点があった。
【0004】また、遊技中に打球の発射状態に不具合いが発生した場合には、その都度前面扉板を開放して遊技可能な状態にする必要があり、この際に賞球の払い出し動作が連続して行われているとその払い出された賞球が上球皿に導かれないで外へこぼれ落ちてしまうというトラブルが発生するおそれがあった。
【0005】本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、上球皿の貯留球が発射レールの打球発射部に供給されて発射レール上を走行するまでの一連の動作態様を容易に視認できるようにしてトラブル発生時に適確に対処することができるようなパチンコ遊技機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成するために、本発明のパチンコ遊技機は、外枠と、該外枠の一側に開閉自在に取付けられる前面枠と、該前面枠の裏面側に遊技盤取付枠を介して着脱自在に装着される遊技盤とを有し、 前記前面枠は、その上部の遊技盤の遊技領域と対応する位置に開口窓を形成すると共に、該開口窓の下方を板状としてその板状部の前面に上球皿及び下球皿と発射ハンドルとを設け、前記板状部の裏面には、上球皿に貯留される打球を遊技盤下方の発射レールに1個ずつ供給する打球供給装置と前記発射レールの打球発射部に供給された打球を打球杆により遊技盤上に発射する打球発射装置とを設け、さらに前記板状部には、打球供給装置を前面側から着脱でき、かつ打球杆の発射動作により上球皿に貯留された打球が発射レール上を走行するまでの一連の動作態様を外部から視認できる大きさの開口部を開設すると共に、該開口部の全体を開閉自在なカバー扉板により覆い隠すようにしたものである。
【0007】前記上球皿と下球皿及びカバー扉板の全体形状の意匠を損なわないようにするため、カバー扉板を上球皿及び下球皿の一方の側部に開閉自在に蝶着し、かつ上球皿と下球皿及びカバー扉板とを一体形状をなすように構成するのが好ましい。
【0008】また、上球皿の貯留球を前面枠の前面側から下球皿に導くことが可能なようにするため、上球皿の適宜位置に球抜き用の操作部材を設け、該操作部材の操作により上球皿の貯留球を下球皿に導く球抜き樋を上球皿と下球皿との間に設けるようにするのが好ましい。
【0009】さらに前記カバー扉板の前面側の適宜位置に球貸出操作手段とカード返却操作手段とカード金額の残高表示手段等を配設するとよい。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。図1はパチンコ遊技機の外観斜視図、図2は前面枠から上球皿と下球皿及び発射ハンドルを取り外した状態の斜視図、図3は前面枠の分解斜視図である。図1ないし図3において、1はパチンコ遊技機の外枠、2は外枠1の前面一側に蝶番金具3a,3bを介して開閉自在に取付けられる前面枠、4は前面枠2の裏面に遊技盤取付枠5を介して着脱自在に取付けられる遊技盤であり、該遊技盤4の裏面には賞球タンク、賞球払出装置等の裏部品が組付けられた機構板6が開閉自在に装着されている。
【0011】前記前面枠2は、その上部であり、かつ遊技盤4の誘導レール7で囲まれる遊技領域に対応する位置にほぼ正方形状の開口窓8が形成され、その開口窓8の下方は板状部9として形成されている。前記開口窓8の周縁には縁金枠10が周設され、その縁金枠10にガラス扉枠11が開閉自在に取付けられている。このガラス扉枠11は、前面枠2の開放側側辺に設けられた鍵孔12に所定のキーを差し込んで回転操作することにより開放することができるようになっている。なお、遊技盤4の下縁を支持する遊技盤取付枠5の支持板部5aには余剰球出口14が設けられると共に、前面側に発射レール15が取付けられている。
【0012】前記前面枠2の板状部9前面には打球供給用の上球皿16と該上球皿16の余剰球を貯留する下球皿17が設けられている。この上球皿16と下球皿17は共通の取付基板18に組付けられて一体的に形成されており、該取付基板18の裏面側に突設した複数のねじ杆19を板状部9に形成された挿入孔20にそれぞれ挿通した後ナットで締付けることにより板状部9の前面に確固と止着されるようになっている。また、板状部9には機構板6の賞球払出装置から払い出された賞球を上球皿16に導く賞球排出孔21と、支持板部5aの余剰球出口14から排出される上球皿16の余剰球を下球皿17に導く余剰球排出孔22と、取付基板18に配設される電気的作動機器から引き出される配線を板状部9の裏面側に延設するための配線処理孔23が設けられ、さらに後述する打球発射装置を取付けるための開口部24が開設されている。
【0013】前記上球皿16は、図5に示すように賞球排出孔21から排出される賞球を貯留する皿部16aを有し、該皿部16aの貯留球を一列に整列して流下させる整流通路16bの下流端に供給口25と球抜き孔26が開設されており、該球抜き孔26にシャッター板27が横方向へスライド自在に設けられている。また、上球皿16と下球皿17との間には球抜き孔26と連通状に球抜き樋28が形成されており、上球皿16の上面に設けられた球抜き用の操作部材29の球抜き操作によりシャッター板27を球抜き孔26を開放する位置に移動させて上球皿16の貯留球を球抜き樋28を介して下球皿17へ直接的に落下誘導し得るようになっている。また、上球皿16と下球皿17の側部には、板状部9の開口部24前面を覆うようにカバー扉板30が開閉自在に軸着されている。なお、このカバー扉板30と上球皿16及び下球皿17とは全体形状の意匠を損わないように一体的なものとして視認され得るようになっている。
【0014】前記カバー扉板30の裏面の開放側側縁には施錠機構31が設けられている。この施錠機構31は、図8に拡大して示すようにカバー扉板30の裏面に固着された支持板32に鉤状部33を有する施錠杆34をピン35と長孔36とにより上下にスライド可能に支持し、該施錠杆34をコイルばね37により付勢すると共に、施錠杆34の鉤状部33が係合し得る係合片38を開口部24の側縁に対向状に設け、カバー扉板30を閉じたとき鉤状部33が係合片38に係合してカバー扉板30を施錠し得るように構成されている。そして、カバー扉板30を開放する場合には、施錠杆34の上端に折曲形成された突片39を手で押し下げることにより鉤状部33と係合片38との係合が解かれるようになっている。
【0015】一方、板状部9の裏面には打球発射装置40が配設される。この打球発射装置40は、図6及び図7R>7に示すように開口部24の裏面周縁に止着される取付プレート41を有し、該取付プレート41の裏面側に打球杆42と、該打球杆42を弾発方向に付勢する引張ばね43と、該引張ばね43の弾発力を調節するばね調整器44と、駆動モーター45とを設け、取付プレート41の前面側には発射ハンドル46の回転軸47が挿通される軸筒部48と、該発射ハンドル46の回動により回転する巻取プーリ49と、前記ばね調整器44の連係歯車50の軸51に固着される調節プーリ52とを設けて構成されており、該巻取プーリ49と調節プーリ52との間にワイヤ53が張設されている。
【0016】そして、駆動モーター45の駆動により該駆動モーター45の出力軸54に固着されたカム片55を打球杆42の支軸56に固着された係合片57に係合させて打球杆42を第1ストッパ58と第2ストッパ59との間を往復回動させることにより、発射レール15の打球発射部15aに位置する打球を弾発するようになっている。また、発射ハンドル46の回動操作により巻取プーリ49にワイヤ53を巻取って引張ばね43の弾発力を調節し、これにより打球の飛距離が加減できるようになっている。なお、前記上球皿16及び下球皿17の取付基板18の下方隅角部であり、打球発射装置40の軸筒部48に対応する位置に円形孔60が開設されており、発射ハンドル46の基部を円形孔60に挿入して軸筒部48に回動軸47を挿通することにより発射ハンドル46が板状部9の前面に取付けられるようになっている。
【0017】一方、前記開口部24に臨む取付プレート41の前面には、上球皿16の貯留球を供給口25から1個ずつ発射レール15の打球発射部15aに供給する打球供給装置61が着脱可能に取付けられている。また、打球供給装置61の側部であり、かつ取付プレート41の上部には発射レール15の打球発射部15aに供給される打球が打球杆42により弾発されて発射レール15上を走行するまでの一連機能の動作態様を外部から視認できるように観察窓62が開設されている。
【0018】前記打球供給装置61は、図6に示すように打球杆42の発射動作に関連して上下に回動するフリッカー部材63を備え、該フリッカー部材63は上方に回動されたとき上球皿16の供給口25から送り出される先頭の打球を球受部64に受け入れて保持し、かつ下方に回動されたときその球受部64の打球を発射レール15の打球発射部15aに供給するように構成されている。
【0019】前記カバー扉板30は、上部にボックス形状の膨出部65が形成されており、その膨出部65の前面に球貸操作手段としての操作スイッチ66とカード返却操作手段としての返却スイッチ67とカード金額の残高表示手段としての7セグメント表示器68が設けられており、これらから引き出される配線が板状部9の配線処理孔23から裏面側に延設されるようになっている。
【0020】上記のように構成されたパチンコ遊技機は、前面枠2の前面に上球皿16と下球皿17とを固定的に設けると共に、打球杆42の発射動作により上球皿16の貯留球が発射レール15上を走行するまでの一連の動作態様を視認できる開口部24を設け、該開口部24の全体を開閉自在なカバー扉板30により覆い隠すようにしている。このように構成すると、遊技中に打球の発射態様に不具合いが発生した場合には、従来パチンコ遊技機のように上球皿が設けられた前面扉板を開放することなくカバー扉板30を開くだけでその不具合個所を視認することができて簡単にトラブルを解消することができると共に、前面扉板の開放時に生じていた上球皿からの球こぼれを解消することができる。
【0021】そして、開口部24に臨む打球発射装置40の取付プレート41の前面に打球供給装置61を着脱可能に取付けることにより打球供給装置61が故障したり作動不良等のトラブルが発生してもカバー扉板30を開いて前方に取外すことができ修理又は交換が容易にできる。
【0022】また、上球皿16と下球皿17との間に球抜き樋28を連通状に設け、上球皿16の貯留球を下球皿17へ直接的に落下誘導させて球抜きできるようにすると共に、カバー扉板30を上球皿16及び下球皿17の一方の側部に開閉自在に蝶着するようにしている。このように構成することにより、前面枠2の裏面側に球抜き樋を設けなくても済むため、上球皿16と下球皿17との関連構成が簡略化されると共に、カバー扉板30と上球皿16及び下球皿17とが一体的なものとして視認されて違和感を与えることがなく、上球皿16及び下球皿17の全体形状の意匠を損なうこともない。
【0023】さらに、上球皿16及び下球皿17の側部に設けられたカバー扉板30に球貸出操作スイッチ66やカード返却スイッチ67、残高表示用の7セグメント表示器68を設けることにより、遊技客が遊技中に操作スイッチ66或いはカード返却スイッチ67を誤って押圧操作するような操作ミスを防止することができる。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、打球の発射状態や打球供給装置に不具合が生じた場合には、従来パチンコ遊技機のように上球皿が設けられた前面扉板を開放することなくカバー扉板を開くだけでその不具合個所を容易に視認できると共に、簡単にトラブルを解消することができる。また、前面扉板の開閉に伴なう球こぼれ等のトラブルを解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るパチンコ遊技機の外観斜視図である。
【図2】前面枠から上球皿及び下球皿を取外した状態の斜視図である。
【図3】前面枠の分解斜視図である。
【図4】カバー扉板を開いた状態の要部斜視図である。
【図5】カバー扉板部分の平面断面図である。
【図6】打球発射装置を裏面側から見た斜視図である。
【図7】打球発射装置を前面側から見た斜視図である。
【図8】カバー扉板の施錠機構部分の斜視図である。
【符号の説明】
1 外枠
2 前面枠
4 遊技盤
5 遊技盤取付枠
8 開口窓
9 板状部
15 発射レール
15a 打球発射部
16 上球皿
17 下球皿
24 開口部
28 球抜き樋
30 カバー扉板
40 打球発射装置
42 打球杆
46 発射ハンドル
61 打球供給装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】 外枠と、該外枠の一側に開閉自在に取付けられる前面枠と、該前面枠の裏面側に遊技盤取付枠を介して着脱自在に装着される遊技盤とを有し、 前記前面枠は、その上部の遊技盤の遊技領域と対応する位置に開口窓を形成すると共に、該開口窓の下方を板状としてその板状部の前面に上球皿及び下球皿と発射ハンドルとを設け、前記板状部の裏面には、上球皿に貯留される打球を遊技盤下方の発射レールに1個ずつ供給する打球供給装置と前記発射レールの打球発射部に供給された打球を打球杆により遊技盤上に発射する打球発射装置とを設け、さらに前記板状部には、打球供給装置を前面側から着脱でき、かつ打球杆の発射動作により上球皿に貯留された打球が発射レール上を走行するまでの一連の動作態様を外部から視認できる大きさの開口部を開設すると共に、該開口部の全体を開閉自在なカバー扉板により覆い隠すようにしたことを特徴とするパチンコ遊技機。
【請求項2】 前記カバー扉板が上球皿及び下球皿の一方の側部に開閉自在に取付けられ、かつカバー扉板及び上球皿と下球皿とが一体形状をなすように構成されていることを特徴とする請求項1記載のパチンコ遊技機。
【請求項3】 前記上球皿の適宜位置に球抜き用の操作部材が設けられ、該操作部材の操作により上球皿の打球を下球皿に導く球抜き樋が上球皿と下球皿との間に配設されていることを特徴とする請求項1又は2記載のパチンコ遊技機。
【請求項4】 前記カバー扉板の前面側の適宜位置に球貸出操作手段とカード返却操作手段とカード金額の残高表示手段を配設したことを特徴とする請求項1又は2記載のパチンコ遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図7】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【公開番号】特開平11−57164
【公開日】平成11年(1999)3月2日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−240450
【出願日】平成9年(1997)8月20日
【出願人】(000161806)京楽産業株式会社 (4,820)