パッキン−筐体複合体

【課題】塗布装置を利用し、筐体凹型溝内にパッキンを形成するパッキン−筐体複合体において、パッキン厚みの不均一さが生じても、十分なシール機能を発現し得るパッキン−筐体複合体を提供する。
【解決手段】凹型溝1aを周縁部に有する筐体、凸型部1bを周縁部に有する筐体、および筐体の凹型溝1a内に塗布形成され凹型溝1aと凸型部1bとの嵌合により圧縮された弾性パッキンを、有するパッキン−筐体複合体であって、弾性パッキンが表面粘着性を有し、50%圧縮応力が1MPa以下であることを特徴とするパッキン−筐体複合体。
【解決手段】凹型溝1aを周縁部に有する筐体、凸型部1bを周縁部に有する筐体、および筐体の凹型溝1a内に塗布形成され凹型溝1aと凸型部1bとの嵌合により圧縮された弾性パッキンを、有するパッキン−筐体複合体であって、弾性パッキンが表面粘着性を有し、50%圧縮応力が1MPa以下であることを特徴とするパッキン−筐体複合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体内部への水や埃の浸入を防止することを目的に、筐体周縁部に凹型に形成された溝内に弾性パッキンが配され、もう他方の筐体に形成された凸型部との嵌合により圧縮され、筐体内部をシールすることを特徴とするパッキン−筐体複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ、携帯電話、携帯音楽プレーヤー、携帯テレビなどの携帯電子機器の需要が高まっており、機能の拡大とともに使用される環境も広がりつつある。中でも、防水仕様といった機能は、これまで特別仕様との位置づけとされてきたが、屋外では、降雨や海、川、プールなど、屋内でも台所や風呂など、水に濡れる場面での使用ニーズが高まってきているのを受け、今後は一般化していくものと考えられている。
【0003】
このような各種携帯電子機器の筐体の防水には、片側の筐体周縁部に形成された溝にパッキンを配し、相対するもう片方の筐体との嵌合により該パッキンが圧縮され、シール機能を発現する設計が一般的である。尚、このようなパッキンの材質としては、シリコーンゴムや、EPDMゴム、クロロプレンゴムなどのゴムが一般的に使用されている。そのようなゴムパッキンでは、一般的に反発応力によりシール機能を発現させるものであり、筐体の嵌合時に、パッキンに高い反発応力が得られるよう、パッキンの断面形状は単純な四角形や円形だけでなく、突起部を設けるなどの様々な工夫が施されたものも多い。
【0004】
また、パッキンの圧縮方法としては、パッキンの厚みが筐体溝の深さよりも厚く、溝の外に露出する状態で配され、相対するもう片方の筐体の平らな面で押え付ける方式、パッキンの厚みが筐体溝の深さよりも薄く、溝の外には露出しない状態で配され、相対するもう片方の筐体に形成された凸型突起部により抑え付ける方法がある。
【0005】
一方、携帯電子機器自体は、その携帯性が追求され、軽薄化が進んでいる。従って、パッキンを配する筐体溝の幅は狭く、深さを浅くする方向に、また対応するパッキンとしても同様に、幅は狭く、厚みは薄くすることが望まれている。
【0006】
しかし、そのような設計で得られるパッキンは、撓み変形、カール変形しやすく取り扱いが難しい。従って、狭い筐体溝への装着作業は煩雑にならざるを得ない。
そのような装着性に関する課題に対し、細く、軟らかな弾性ガスケットをその成形時に支持樹脂フィルムに剥離可能に仮留めし、弾性ガスケットをシール部位に取り付けるまで、前記支持樹脂フィルムにより弾性ガスケットの全体形状を維持しておき、支持樹脂フィルムに仮留めしたままで、弾性ガスケットをシール部位に装着固定し、その後に、前記支持樹脂フィルムを剥離除去することにより、剛性の低い弾性ガスケットを容易にシール部位に取り付けることのできる技術が提案されている(特許文献1)。しかし、このような支持樹脂フィルムに仮留めしたパッキンは平面形状のシール部位には対応できるが、3次元構造のシール部位への対応は困難である。
【0007】
そこで、筐体溝自体にパッキンを直接形成する方法が考えられている。具体的には、射出成形やトランスファー成形など、金型を用いた方法によりゴムパッキンを筐体溝に対し一体成形する方法、筐体溝に対し、ディスペンサーなどの自動塗布装置により硬化前の液状材料を塗布し、加熱や光・電子線照射により硬化させ、弾性パッキンを形成する方法などが知られている。このうち前者では、対応する高価な成形機や金型が必要であり、設備投資面の負荷は避けられない。一方、後者では、金型は不要、かつ塗布装置は一般的に成形機に比べ安価であるなど、設備投資面での優位性があり、簡便な方法と考えられる。
【0008】
このような自動塗布装置により液状材料を塗布、硬化させ、パッキンとして利用する方法としては、一方のフランジに液状ガスケットを塗布し、その液状ガスケットを硬化させた後に両方のフランジの間隔を狭めることによりガスケットを圧縮し、その反発力によりシールする方法が古くより知られている(特許文献2)。また、そのような液状材料として、紫外線硬化型エラストマーを使用した多段形状の断面を有することを特徴とする、精密機器あるいは電子機器等のシール部に使用されるガスケット型が例示されている(特許文献3)。
【0009】
しかし、これら液状材料を塗布、硬化させパッキンを得る方法では、均一な形状のパッキンを得るのは極めて困難である。特に形状の小さなパッキンの場合には、コーナー部や重なり部分での厚み制御は難しく、パッキン全体として見れば、この厚みムラは無視できない。パッキンの高い反発力を利用した従来のシール設計においては、この厚みムラは極めて重要な問題であり、特に薄いパッキンの場合には、安定したシール性能を確保することは困難とされている。
【0010】
尚、このような液状材料を塗布、硬化させ得られる弾性材料の、ゴム厚さの不均一さから生じる面圧の不均一さの問題はこれまでにも指摘されており、広く知られている。(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−120816号公報
【特許文献2】特昭62−77597号公報
【特許文献3】特開2003−120819号公報
【特許文献4】特表2006−526249号公報
【特許文献5】特開平08−127683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者らは、上述した従来技術、すなわち、液状材料を自動塗布装置等により塗布、硬化させパッキンを得る方法にて生じる、ゴム形状の不均一さ、特に厚みの不均一さの課題を解決するために考案されたものであって、パッキン厚みの不均一さが生じても十分なシール機能を発現し得るパッキン−筐体複合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した技術的課題を解決するために、本発明の請求項1によるパッキン−筐体複合体は、凹型溝を周縁部に有する筐体、凸型部を周縁部に有する筐体、および筐体の凹型溝内に塗布形成され凹型溝と凸型部との嵌合により圧縮された弾性パッキンを、有するパッキン−筐体複合体であって、弾性パッキンが表面粘着性を有し、50%圧縮応力が1MPa以下であることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項2によるパッキン−筐体複合体の粘着性を有する弾性パッキンが、23℃におけるPETフィルムに対する180°剥離強度0.1N/25mm以上の表面粘着性を有することを特徴とする。
また、本発明の請求項3によるパッキン−筐体複合体は、筐体周縁部に形成された凹型溝の開口部の幅が1mm以下、かつ深さが1mm以下であることを特徴とする。
また、本発明の請求項4によるパッキン−筐体複合体の粘着性を有する弾性パッキンが、架橋ゴム、あるいは架橋ゲルからなることを特徴とする。
また、本発明の請求項5によるパッキン−筐体複合体の粘着性を有する弾性パッキンが、JIS K 6262に規定される、圧縮率25%、試験温度70℃、試験時間22時間の圧縮永久ひずみが20%以下であることを特徴とする。
また、本発明の請求項6によるパッキン−筐体複合体の粘着性を有する弾性パッキンは、硬化性組成物をエネルギー線照射、および/あるいは加熱により架橋させることにより得ることを特徴とする。
また、本発明の請求項7によるパッキン−筐体複合体の粘着性を有する弾性パッキンを形成する硬化性組成物は、(A)1分子中に1個を超えるアルケニル基を有する有機重合体、(B)1分子中に平均2個を超えるヒドロシリル基を有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒を含有することを特徴とする。
また、本発明の請求項8によるパッキン−筐体複合体の粘着性を有する弾性パッキンを形成する硬化性組成物は、(D)1分子中に1個を超えるアクリロイル基を有する有機重合体、(E)光重合性触媒を含有することを特徴とする。
また、本発明の請求項9によるパッキン−筐体複合体の粘着性を有する弾性パッキンを形成する硬化性組成物は、(F)1分子中に1個を超えるエポキシ基を有する有機重合体、(G)光重合性触媒を含有することを特徴とする。
また、本発明の請求項10によるパッキン−筐体複合体の粘着性を有する弾性パッキンを形成する硬化性組成物は、(A)1分子中に平均1個を超えるアルケニル基を有する、(A−1)ポリイソブチレン系重合体、(A−2)ポリオキシアルキレン系重合体、(A−3)ポリ(メタ)アクリル系重合体、から選ばれる少なくとも1種、(B)1分子中に平均2個を超えるヒドロシリル基を有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒を必須成分としてなることを特徴とする。
また、本発明の請求項11によるパッキン−筐体複合体の粘着性を有する弾性パッキンを形成する硬化性組成物は、(D)1分子中に平均1個を超えるアクリロイル基を有するポリ(メタ)アクリル系重合体、(E)光重合性触媒を必須成分としてなることを特徴とする。
また、本発明の請求項12によるパッキン−筐体複合体の粘着性を有する弾性パッキンを形成する硬化性組成物は、(F)1分子中に平均1個を超えるエポキシ基を有するポリイソブチレン系重合体、(G)光重合性触媒を必須成分としてなることを特徴とする。
また、本発明の請求項13によるパッキン−筐体複合体は、携帯電子機器に用いられることを特徴とする。
【0014】
一般的に、筐体溝内に形成された弾性パッキンが不均一な厚みを有する場合、もう他方の筐体に形成された凸部との嵌合部に隙間が生じることのないよう、溝形状、パッキン形状、もう他方の筐体凸部の形状を設計する必要がある。パッキンの反発力を利用する従来の設計では、パッキン厚みの最も薄い部分に対しても十分に高い反発力が得られるよう、すなわちパッキンを十分に圧縮できるよう、パッキン厚みに対し筐体凸部の形状を設定する必要がある。従って、パッキン厚みの最も厚い部分では、さらに高い圧縮率となり、パッキン自体にかかる応力は極めて大きいものとなる。通常ゴムは、かかる応力が大きくなるほど応力緩和し易い傾向にあるため、時間とともにパッキンの反発力は大幅に低下し、シール機能を失うことが予想される。
【0015】
本発明の筐体と複合化したパッキンは、低弾性かつ、粘着性を有するものであり、パッキンの圧縮率が高い条件下でも、パッキンにかかる応力が低く、長期にわたりその特性変化は小さい。また、粘着性を有することから、パッキンの反発力が小さくても十分なシール機能を発現できる。
【発明の効果】
【0016】
すなわち、本発明は、筐体周縁部に形成された凹型溝内に塗布装置を利用してパッキンが形成され、もう他方の筐体周縁部に形成された凸型部との嵌合により圧縮されることにより筐体内部をシールする方法において、パッキン厚みの不均一さが生じても、長期にわたり十分なシール機能を発現し得るパッキン−筐体複合体を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1−A:本発明の本発明の実施例1に係るパッキン−筐体複合体において、パッキンが形成される凹型溝を周縁部に配する筐体。図1−B:前記凹型溝を周縁部に配する筐体に相対する、前記凹型溝内に形成されたパッキンを圧縮し嵌合するための凸型突起部を周縁部に配する筐体。
【図2】図2−1A:本発明の実施例1に係るパッキン−筐体複合体において、パッキン厚みが最も薄い部分における嵌合前の状態。図2−1B:本発明の実施例1に係るパッキン−筐体複合体において、パッキン厚みが最も薄い部分における嵌合状態。図2−2A:本発明の実施例1に係るパッキン−筐体複合体において、パッキン厚みが最も厚い部分における嵌合前の状態。図2−2B:本発明の実施例1に係るパッキン−筐体複合体において、パッキン厚みが最も厚い部分における嵌合状態。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るパッキン−筐体複合体の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例に係る、周縁部の凹型溝内にパッキンが形成されたパッキン−筐体複合体(図1−A)、及び該パッキンを圧縮する突起部を周縁部に有する筐体(図1−B)を示している。尚、このような筐体溝内に対して塗布装置によりパッキンを形成する場合、コーナー部や重なり部分での厚みの制御は難しく、筐体全周の中では厚みにバラツキを生じる。
【0019】
図2−1A、B及び図2−2A、Bは、該両筐体の嵌合部の詳細を示しており、図2−1A及びBは、パッキン厚みが最も薄い部分、図2−2A及びBは、パッキン厚みが最も厚い部分における嵌合状態を示す。尚、各図において、パッキンを圧縮する突起部の先端形状は半球面状としているが、これに限定されるものではない。但し、パッキンにかかる応力の観点からすると、突起部先端に角がない半球面状の方が、局所的な応力集中を避けやすく好ましい。
【0020】
筐体全面においてシール性を確保するためには、図2−1Bに示されるように、パッキン厚みが最も薄い(c1)部分においても、シール機能が発揮される程度にパッキンが圧縮される必要がある。すなわち、該突起の一部がパッキンに押し込まれるよう、相対する筐体の凸型突起部の高さdは、筐体の凹型溝の深さb、パッキンの厚みc1に対して、d>b−c1となるよう設計する必要がある。従って、パッキン厚みが最も厚い(c2)部分では、パッキン厚みの差異分(c2−c1)、パッキン厚みが最も薄い部分よりもパッキンが余計に圧縮されることになる。
例えば、筐体の凹型溝の深さbが1.0mmのケースにおいて、パッキン厚みを0.6mm、筐体全周におけるパッキンの厚みバラツキが±30%、すなわち0.42mm(c1)〜0.78(c2)mmとし、さらに相対する筐体の凸型突起部の高さdを0.6mmとした場合、パッキンにかかる圧縮率は、計算上5〜49%となる。すなわち、このような条件にてシール性を確保し得るパッキンの性状としては、圧縮率50%前後の高い圧縮が容易に実現できる程度に十分に低弾性であり、かつ圧縮率数%程度の低い圧縮下でも十分なシール性能を確保できるよう粘着性を有することが求められる。すなわち、塗布装置を利用し、筐体凹型溝内にパッキンを形成するパッキン−筐体複合体において、パッキン厚みの不均一さが生じても、十分なシール機能を発現し得るには、形成されるパッキンの50%圧縮応力が1MPa以下の低弾性であり、かつ表面粘着性を有することが第一の要件となる。さらには、形成されるパッキンの50%圧縮応力が0.5MPa以下の低弾性であり、かつ表面粘着性を有することが好ましい。1MPaを超えると反発応力は高くなり、前述したような高い圧縮率をパッキンにかける場合、筐体に極めて高い応力が加わることになる。特に軽薄化している筐体は変形し易く、時間とともに嵌合部分に歪みが生じ、シール機能が損なわれる。パッキンの表面粘着性に関しては、パッキンのシール機能を高めるものであり、粘着性が高いほど好ましい。具体的には、23℃におけるPETフィルムに対する180°剥離強度0.1N/25mm以上の表面粘着性を有することが好ましい。
【0021】
また、第二の要件としては、長期にわたりシール機能を維持するため、係る粘着性を有するパッキンは、架橋ゴム、あるいは架橋ゲルからなることが好ましい。これら架橋構造を有する弾性材料は、熱可塑性エラストマー等に比較し、圧縮永久ひずみが良好であり、長期にわたり安定したシール機能を発現し得る。
【0022】
本発明のパッキン−筐体複合体におけるパッキンは、高い圧縮下で使用され得るため、特に圧縮永久ひずみが良好であることは重要であり、この観点から架橋ゴム、あるいは架橋ゲルからなることが好ましい。
【0023】
より具体的には、JIS K 6262に規定される、圧縮率25%、試験温度70℃、試験時間22時間の圧縮永久ひずみが20%以下であることが好ましい。
【0024】
次に、本発明のパッキン−筐体複合体における、弾性パッキンが形成される筐体周縁部に配された凹型溝の形状に関して記載する。
【0025】
前述したように、携帯電子機器は携帯性の追求が益々加速され、軽薄化が進んでいる。従って、水や埃の浸入を防止するパッキン及び、そのパッキンを配するための筐体溝についても軽薄化が進んでいる。本発明は、そのような中、塗布装置を利用し、筐体凹型溝内にパッキンを形成するパッキン−筐体複合体において、パッキン厚みの不均一さが生じても、十分なシール機能を発現し得るパッキン−筐体複合体を提供することを目的としている。パッキン、及びそのパッキンを配するための筐体凹型溝内の形状が十分に大きい場合は、パッキン厚みの不均一さの度合いは相対的に小さく、さほど重要ではなくなる。一方、パッキン、及びそのパッキンを配するための筐体凹型溝内の形状が小さくなるほど、パッキン厚みの不均一さの度合いは相対的に大きくなり、その不均一さから生じる問題は重要となる。
【0026】
近年上市されている携帯電話やデジタルカメラ、デジタルビデオカメラなどの防水仕様では、パッキン、及びそのパッキンを配するための筐体凹型溝内の形状は1mm前後に設計されているケースが多く、本発明はこのような軽薄化が進んだ携帯電子機器のシールを特に対象とする。すなわち、特に、弾性パッキンが形成される筐体周縁部に配された凹型溝の開口部の幅が1mm以下、かつ深さが1mm以下である場合において、本発明は有効である。
【0027】
すなわち本発明は、弾性パッキンが形成される筐体周縁部に配された凹型溝の開口部の幅が1mm以下、かつ深さが1mm以下である場合においても、液状材料を自動塗布装置により塗布、硬化させパッキンを形成することにより、十分なシール機能を発現し得るパッキン−筐体複合体を提供するものである。
【0028】
また、本発明のパッキン−筐体複合体における粘着性を有する弾性パッキンは、液状の硬化性組成物を筐体周縁部に凹型に形成された溝内に塗布し、エネルギー線照射、および/あるいは加熱により架橋させることにより得られる。
【0029】
一般に、携帯電子機器の筐体材料には金属のほか、ポリカーボネート、ポリカーボネート/ABS、ナイロン、PBTなどの樹脂が使用される場合が多く、このような樹脂で形成された筐体は、高温下では反りなど変形の可能性がある。従い、架橋過程で高い温度がかからないエネルギー線照射が特に好ましい。また、加熱架橋タイプの場合でも、120℃前後の比較的低温下でも架橋反応が進行するヒドロシリル化反応を架橋に利用した加熱硬化タイプも利用できる。
【0030】
すなわち、このような粘着性を有する弾性パッキンを形成し得る具体的な硬化性組成物としては、(A)1分子中に1個を超えるアルケニル基を有する有機重合体、(B)1分子中に平均2個を超えるヒドロシリル基を有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒を必須成分としてなる組成物(硬化性組成物−1)や、(D)1分子中に1個を超えるアクリロイル基を有する有機重合体、(E)光重合性触媒を必須成分としてなる組成物(硬化性組成物−2)、(F)1分子中に1個を超えるエポキシ基を有する有機重合体、(G)光重合性触媒を必須成分としてなる組成物(硬化性組成物−3)などが挙げられる。
【0031】
さらに、(硬化性組成物−1)の具体例を挙げると、(A)1分子中に平均1個を超えるアルケニル基を有する、(A−1)ポリイソブチレン系重合体、(A−2)ポリオキシアルキレン系重合体、(A−3)ポリ(メタ)アクリル系重合体、から選ばれる少なくとも1種、(B)1分子中に平均2個を超えるヒドロシリル基を有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒を必須成分としてなる組成物が挙げられる。
このうち、(A)成分として(A−1)ポリイソブチレン系重合体を使用する組成物における、(A−1)成分、(B)成分、及び(C)成分は特開平08−127683号に記載されているものが使用できる。また、(A−2)ポリオキシアルキレン系重合体を使用する組成物における、(A−2)成分、(B)成分、及び(C)成分は特許第3472340号に記載されているものが使用できる。また、(A−3)ポリ(メタ)アクリル系重合体を使用する組成物における、(A−3)成分、(B)成分、及び(C)成分は特開2006−183062号に記載されているものが使用できる。
【0032】
また、(硬化性組成物−2)の具体例を挙げると、(D)1分子中に平均1個を超えるアクリロイル基を有するポリ(メタ)アクリル系重合体、(E)光重合性触媒を必須成分としてなる組成物が挙げられる。これら組成物における(D)成分及び(E)成分は特開2000−072816号に記載されているものが使用できる。
また、(硬化性組成物−3)の具体例を挙げると、(F)1分子中に1個を超えるエポキシ基を有するポリイソブチレン系重合体、(G)光重合性触媒を必須成分としてなる組成物が挙げられる。これら組成物における(F)成分及び(G)成分は再表2005−028537号に記載されているものが使用できる。
【0033】
本発明のパッキン−筐体複合体は、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ、携帯電話、携帯音楽プレーヤー、携帯テレビなどの各種携帯電子機器等に用いることができる。
【実施例】
【0034】
次に実施例により本発明のパッキン−筐体複合体を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0035】
パッキン用硬化性組成物−1及び−2・・・
(製造例1)
数平均分子量3,000のポリオキシプロピレンジオールを開始剤として、複合金属シアン化物錯体触媒を用いて、プロピレンオキシドを重合することにより数平均分子量が約20,000(末端の水酸基とアリル基の分析による計算)のポリオキシプロピレンジオールを得た。該ポリオキシプロピレンジオールの水酸基に対して1.2当量のナトリウムメチラートの28%メタノール溶液を加えた後、130℃でメタノールが回収されなくなるまで減圧脱揮を行った。ついで、アリルクロライドを加え反応させた後、未反応のアリルクロライドを減圧脱揮により除去した。その後、ヘキサンと水により精製し、1分子中に概ね2個のアリル末端を有するポリオキシアルキレン系重合体(A−1)を得た。この重合体は、粘度が50Pa・sの淡黄色液体であり、ヨウ素価数より求めたアリル含有量は、0.12mmol/gであった。
【0036】
(製造例2)
(−Si−O−)繰り返しユニットを平均して10個もつメチルハイドロジェンシリコーンに白金触媒存在下全ヒドロシリル基量の0.5当量のα−メチルスチレンを添加し、1分子中に平均5個のヒドロシリル基を有する化合物(B−1)を得た。この化合物のヒドロシリル基含有量は3.8mmol/gであることが分かった。
【0037】
(硬化性組成物−1の調整)
製造例1で得たアリル基末端ポリオキシアルキレン系重合体(A−1)100重量部に対して、製造例2で得たヒドロシリル化合物(B−1)を2重量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を2重量部、分子量3,000のPPGを20重量部、水酸化アルミニウム、シリカをそれぞれ12重量部、及び白金ビニルシロキサン(3%白金キシレン溶液、ユミコアジャパン(株)製:PT−VTSC−3.0X)を0.08重量部、アセチレンアルコールを0.07重量部混合し、硬化性組成物−1を得た。
【0038】
このようにして得られた硬化性組成物を、プレス成形により150℃、10分間加熱成形し、これらをさらに熱風乾燥機にて150℃、1時間加熱処理することにより、直径29mm、高さ12.5mmの円柱形サンプル、10cm角、厚さ2mmのシートサンプルを得た。
【0039】
この円柱形サンプルを用いて、JIS K 6254に記載される試験条件に沿って圧縮応力を測定したところ、50%圧縮ひずみ時の圧縮応力は0.3MPaであった(JIS K 6254は、圧縮率が10%、20%の際の圧縮応力の測定を規定しているが、本発明では圧縮率のみを50%に変更し圧縮応力を測定した)。また、JIS K 6262に規定される圧縮永久ひずみ試験を、圧縮率25%、70℃、22時間の試験条件にて実施したところ、圧縮永久ひずみは4%であった。
【0040】
また、上記で得られたシートサンプルを25mm幅に切断し、剛性のあるプラスチック板に貼り付けた上、該シートサンプルの表面に幅25mm、厚さ50μmのPETフィルムをローラを用いて圧着した。PETフィルムの端を180°に折り返し、約25mmはがした後、引張速度300mm/分の速度でPETフィルムを引きはがした際の剥離強度は0.4N/25mmであった。
【0041】
(硬化性組成物−2の調整)
製造例1で得たアリル基末端ポリオキシアルキレン系重合体(A−1)100重量部に対して、製造例2で得たヒドロシリル化合物(B−1)を2重量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を2重量部、シリカを15重量部、及び白金ビニルシロキサン(3%白金キシレン溶液、ユミコアジャパン(株)製:PT−VTSC−3.0X)を0.04重量部、アセチレンアルコールを0.04重量部混合し、硬化性組成物−2を得た。
【0042】
このようにして得られた硬化性組成物を、プレス成形により150℃、10分間加熱成形し、これらをさらに熱風乾燥機にて150℃、1時間加熱処理することにより、直径29mm、高さ12.5mmの円柱形サンプル、10cm角、厚さ2mmのシートサンプルを得た。
【0043】
この円柱形サンプルを用いて、JIS K 6254に記載される試験条件に沿って圧縮応力を測定したところ、50%圧縮ひずみ時の圧縮応力は0.7MPaであった(JIS K 6254は、圧縮率が10%、20%の際の圧縮応力の測定を規定しているが、本発明では圧縮率のみを50%に変更し圧縮応力を測定した)。また、JIS K 6262に規定される圧縮永久ひずみ試験を、圧縮率25%、70℃、22時間の試験条件にて実施したところ、圧縮永久ひずみは3%であった。
【0044】
また、上記で得られたシートサンプルを25mm幅に切断し、剛性のあるプラスチック板に貼り付けた上、該シートサンプルの表面に幅25mm、厚さ50μmのPETフィルムをローラを用いて圧着した。PETフィルムの端を180°に折り返し、約25mmはがした後、引張速度300mm/分の速度でPETフィルムを引きはがした際の剥離強度は0.3N/25mmであった。
【0045】
パッキン用硬化性組成物−3・・・
(製造例3)
(1)重合工程
表1の原料(及びその量)に従い、アクリル酸エステルの重合を行った。アクリル酸エステル(共重合する場合には予め所定量混合されたアクリル酸エステル)を脱酸素した。攪拌機付ステンレス製反応容器の内部を脱酸素し、臭化第一銅、全アクリル酸エステルの一部(表1では初期仕込みモノマーとして記載)を仕込み、加熱攪拌した。重合反応溶媒としてアセトニトリル(表1では重合用アセトニトリルと記載)、開始剤(2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル(DBAE)又はα−ブロモ酪酸エチル(EBB))を添加、混合し、混合液の温度を約80℃に調節した段階でペンタメチルジエチレントリアミン(以下、トリアミンと略す)を添加し、重合反応を開始した。残り80%のアクリル酸エステルモノマーを逐次添加し、重合反応を進めた。重合途中、適宜トリアミンを追加し、重合速度を調整した。重合時に使用したトリアミンの総量を重合用トリアミンとして表1に示す。重合が進行すると重合熱により内温が上昇するので内温を約80℃〜約90℃に調整しながら重合を進行させた。
モノマー転化率(重合反応率)が約95%以上の時点で反応容器気相部に酸素‐窒素混合ガスを導入した。内温を約80℃〜約90℃に保ちながら反応液を数時間加熱攪拌して反応液中の重合触媒と酸素を接触させた。アセトニトリル及び未反応のモノマーを減圧脱揮して除去し、重合体を含有する濃縮物を得た。濃縮物は著しく着色していた。
(2)精製工程
酢酸ブチルを重合体の希釈溶媒として使用した。上記重合体に対して100〜150重量部程度の酢酸ブチルで希釈し、ろ過助剤を加えて加熱処理し、ろ過した。またろ液に対して吸着剤(キョーワード700SEN、キョーワード500SH)を添加し、濾過して清澄液を得た。ろ液を濃縮し、ほぼ無色透明の重合体を得た。
(3)アクリロイル基導入工程
重合体を重合体に対して約100重量部のN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)に溶解させて、アクリル酸カリウム(末端Br基に対して約2モル当量)、熱安定剤(H−TEMPO:4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−n−オキシル)、吸着剤(キョーワード700SEN)、を添加し、約70℃で数時間加熱攪拌した。DMACを減圧留去し、重合体濃縮物を重合体に対して約100重量部の酢酸ブチルで希釈し、ろ過助剤を添加して固形分をろ別し、ろ液を濃縮し、末端にアクリロイル基を有する重合体3D−1、及び3D−2を得た。得られた重合体の1分子あたりに導入されたアクリロイル基数、分子量、分子量分布を併せて表1に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
(硬化性組成物−3の調整)
製造例3で得られた重合体3D−1を50重量部、3D−2を50重量部、(E)成分として2ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(商品名;DAROCUR1173、チバ・ジャパン製)0.5重量部を加え、硬化性組成物−3を得た。
【0048】
円筒型の型枠に流し込んで、積算光量15,000mJ/cm2のUV光を照射させることにより、直径29mm、高さ12.5mmの円柱形サンプル、10cm角、厚さ2mmのシートサンプルを得た。
【0049】
この円柱形サンプルを用いて、JIS K 6254に記載される試験条件に沿って圧縮応力を測定したところ、50%圧縮ひずみ時の圧縮応力は0.8MPaであった(JIS K 6254は、圧縮率が10%、20%の際の圧縮応力の測定を規定しているが、本発明では圧縮率のみを50%に変更し圧縮応力を測定した)。また、JIS K 6262に規定される圧縮永久ひずみ試験を、圧縮率25%、70℃、22時間の試験条件にて実施したところ、圧縮永久ひずみは3%であった。
【0050】
また、上記で得られたシートサンプルを25mm幅に切断し、剛性のあるプラスチック板に貼り付けた上、該シートサンプルの表面に幅25mm、厚さ50μmのPETフィルムをローラを用いて圧着した。PETフィルムの端を180°に折り返し、約25mmはがした後、引張速度300mm/分の速度でPETフィルムを引きはがした際の剥離強度は2.7N/25mmであった。
【0051】
(硬化性組成物−4の調整)
製造例3で得られた重合体3D−1を25重量部、3D−2を75重量部、(E)成分として2ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(商品名;DAROCUR1173、チバ・ジャパン製)0.5重量部を加え、硬化性組成物−4を得た。
【0052】
円筒型の型枠に流し込んで、積算光量15,000mJ/cm2のUV光を照射させることにより、直径29mm、高さ12.5mmの円柱形サンプル、10cm角、厚さ2mmのシートサンプルを得た。
【0053】
この円柱形サンプルを用いて、JIS K 6254に記載される試験条件に沿って圧縮応力を測定したところ、50%圧縮ひずみ時の圧縮応力は0.25MPaであった(JIS K 6254は、圧縮率が10%、20%の際の圧縮応力の測定を規定しているが、本発明では圧縮率のみを50%に変更し圧縮応力を測定した)。また、JIS K 6262に規定される圧縮永久ひずみ試験を、圧縮率25%、70℃、22時間の試験条件にて実施したところ、圧縮永久ひずみは2%であった。
【0054】
また、上記で得られたシートサンプルを25mm幅に切断し、剛性のあるプラスチック板に貼り付けた上、該シートサンプルの表面に幅25mm、厚さ50μmのPETフィルムをローラを用いて圧着した。PETフィルムの端を180°に折り返し、約25mmはがした後、引張速度300mm/分の速度でPETフィルムを引きはがした際の剥離強度は3N/25mm以上であった。
【0055】
パッキン−筐体複合体−1及び−2の作製・・・
上記のようにして得られたパッキン用硬化性組成物−1及び−2は、ディスペンサータイプの自動塗布装置を用いて、筐体周縁部に配された厚み1mm、幅1mmの凹型溝内に充填した後、約5分間静置し、熱風乾燥機にて125℃、30分加熱することによりパッキンを形成した。尚、最終得られるパッキンの厚みバラツキをでき得る限り小さくするために、硬化性組成物を凹型溝内に充填した後、加熱硬化させるまでに十分な静置時間を確保するのが望ましい。さらに、50℃程度に加温することが望ましい。
【0056】
パッキン−筐体複合体−3及び−3の作製・・・
上記のようにして得られたパッキン用硬化性組成物−3は、ディスペンサータイプの自動塗布装置を用いて、筐体周縁部に配された厚み1mm、幅1mmの凹型溝内に充填した後、約5分間静置し、UV照射装置により、UV光を照射することによりパッキンを形成した。尚、このパッキン用硬化性組成物−3を用いる場合においても、最終得られるパッキンの厚みバラツキをでき得る限り小さくするために、硬化性組成物を凹型溝内に充填した後、UV光を照射させるまでに十分な静置時間を確保するのが望ましい。さらに、50℃程度に加温することが望ましい。
【0057】
このようにして得られるパッキン−筐体複合体は、パッキンが低弾性、かつ表面粘着性を有する。従って、パッキン厚みのバラツキが多少生じていても、相対する筐体に形成された凸型突起部により高い圧縮率をかけることが容易に可能であり、筐体全周にわたり十分なシール機能を発現することができる。
【符号の説明】
【0058】
1a・・・凹型溝
1b・・・凸型突起部
a・・・・筐体凹型溝の幅
b・・・・筐体凹型溝の深さ
c1・・・パッキン全周のうち、パッキン厚みが最も薄い部分におけるパッキンの厚み
c2・・・パッキン全周のうち、パッキン厚みが最も厚い部分におけるパッキンの厚み
d・・・・相対する筐体の凸型突起部の高さ
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体内部への水や埃の浸入を防止することを目的に、筐体周縁部に凹型に形成された溝内に弾性パッキンが配され、もう他方の筐体に形成された凸型部との嵌合により圧縮され、筐体内部をシールすることを特徴とするパッキン−筐体複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ、携帯電話、携帯音楽プレーヤー、携帯テレビなどの携帯電子機器の需要が高まっており、機能の拡大とともに使用される環境も広がりつつある。中でも、防水仕様といった機能は、これまで特別仕様との位置づけとされてきたが、屋外では、降雨や海、川、プールなど、屋内でも台所や風呂など、水に濡れる場面での使用ニーズが高まってきているのを受け、今後は一般化していくものと考えられている。
【0003】
このような各種携帯電子機器の筐体の防水には、片側の筐体周縁部に形成された溝にパッキンを配し、相対するもう片方の筐体との嵌合により該パッキンが圧縮され、シール機能を発現する設計が一般的である。尚、このようなパッキンの材質としては、シリコーンゴムや、EPDMゴム、クロロプレンゴムなどのゴムが一般的に使用されている。そのようなゴムパッキンでは、一般的に反発応力によりシール機能を発現させるものであり、筐体の嵌合時に、パッキンに高い反発応力が得られるよう、パッキンの断面形状は単純な四角形や円形だけでなく、突起部を設けるなどの様々な工夫が施されたものも多い。
【0004】
また、パッキンの圧縮方法としては、パッキンの厚みが筐体溝の深さよりも厚く、溝の外に露出する状態で配され、相対するもう片方の筐体の平らな面で押え付ける方式、パッキンの厚みが筐体溝の深さよりも薄く、溝の外には露出しない状態で配され、相対するもう片方の筐体に形成された凸型突起部により抑え付ける方法がある。
【0005】
一方、携帯電子機器自体は、その携帯性が追求され、軽薄化が進んでいる。従って、パッキンを配する筐体溝の幅は狭く、深さを浅くする方向に、また対応するパッキンとしても同様に、幅は狭く、厚みは薄くすることが望まれている。
【0006】
しかし、そのような設計で得られるパッキンは、撓み変形、カール変形しやすく取り扱いが難しい。従って、狭い筐体溝への装着作業は煩雑にならざるを得ない。
そのような装着性に関する課題に対し、細く、軟らかな弾性ガスケットをその成形時に支持樹脂フィルムに剥離可能に仮留めし、弾性ガスケットをシール部位に取り付けるまで、前記支持樹脂フィルムにより弾性ガスケットの全体形状を維持しておき、支持樹脂フィルムに仮留めしたままで、弾性ガスケットをシール部位に装着固定し、その後に、前記支持樹脂フィルムを剥離除去することにより、剛性の低い弾性ガスケットを容易にシール部位に取り付けることのできる技術が提案されている(特許文献1)。しかし、このような支持樹脂フィルムに仮留めしたパッキンは平面形状のシール部位には対応できるが、3次元構造のシール部位への対応は困難である。
【0007】
そこで、筐体溝自体にパッキンを直接形成する方法が考えられている。具体的には、射出成形やトランスファー成形など、金型を用いた方法によりゴムパッキンを筐体溝に対し一体成形する方法、筐体溝に対し、ディスペンサーなどの自動塗布装置により硬化前の液状材料を塗布し、加熱や光・電子線照射により硬化させ、弾性パッキンを形成する方法などが知られている。このうち前者では、対応する高価な成形機や金型が必要であり、設備投資面の負荷は避けられない。一方、後者では、金型は不要、かつ塗布装置は一般的に成形機に比べ安価であるなど、設備投資面での優位性があり、簡便な方法と考えられる。
【0008】
このような自動塗布装置により液状材料を塗布、硬化させ、パッキンとして利用する方法としては、一方のフランジに液状ガスケットを塗布し、その液状ガスケットを硬化させた後に両方のフランジの間隔を狭めることによりガスケットを圧縮し、その反発力によりシールする方法が古くより知られている(特許文献2)。また、そのような液状材料として、紫外線硬化型エラストマーを使用した多段形状の断面を有することを特徴とする、精密機器あるいは電子機器等のシール部に使用されるガスケット型が例示されている(特許文献3)。
【0009】
しかし、これら液状材料を塗布、硬化させパッキンを得る方法では、均一な形状のパッキンを得るのは極めて困難である。特に形状の小さなパッキンの場合には、コーナー部や重なり部分での厚み制御は難しく、パッキン全体として見れば、この厚みムラは無視できない。パッキンの高い反発力を利用した従来のシール設計においては、この厚みムラは極めて重要な問題であり、特に薄いパッキンの場合には、安定したシール性能を確保することは困難とされている。
【0010】
尚、このような液状材料を塗布、硬化させ得られる弾性材料の、ゴム厚さの不均一さから生じる面圧の不均一さの問題はこれまでにも指摘されており、広く知られている。(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−120816号公報
【特許文献2】特昭62−77597号公報
【特許文献3】特開2003−120819号公報
【特許文献4】特表2006−526249号公報
【特許文献5】特開平08−127683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者らは、上述した従来技術、すなわち、液状材料を自動塗布装置等により塗布、硬化させパッキンを得る方法にて生じる、ゴム形状の不均一さ、特に厚みの不均一さの課題を解決するために考案されたものであって、パッキン厚みの不均一さが生じても十分なシール機能を発現し得るパッキン−筐体複合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した技術的課題を解決するために、本発明の請求項1によるパッキン−筐体複合体は、凹型溝を周縁部に有する筐体、凸型部を周縁部に有する筐体、および筐体の凹型溝内に塗布形成され凹型溝と凸型部との嵌合により圧縮された弾性パッキンを、有するパッキン−筐体複合体であって、弾性パッキンが表面粘着性を有し、50%圧縮応力が1MPa以下であることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項2によるパッキン−筐体複合体の粘着性を有する弾性パッキンが、23℃におけるPETフィルムに対する180°剥離強度0.1N/25mm以上の表面粘着性を有することを特徴とする。
また、本発明の請求項3によるパッキン−筐体複合体は、筐体周縁部に形成された凹型溝の開口部の幅が1mm以下、かつ深さが1mm以下であることを特徴とする。
また、本発明の請求項4によるパッキン−筐体複合体の粘着性を有する弾性パッキンが、架橋ゴム、あるいは架橋ゲルからなることを特徴とする。
また、本発明の請求項5によるパッキン−筐体複合体の粘着性を有する弾性パッキンが、JIS K 6262に規定される、圧縮率25%、試験温度70℃、試験時間22時間の圧縮永久ひずみが20%以下であることを特徴とする。
また、本発明の請求項6によるパッキン−筐体複合体の粘着性を有する弾性パッキンは、硬化性組成物をエネルギー線照射、および/あるいは加熱により架橋させることにより得ることを特徴とする。
また、本発明の請求項7によるパッキン−筐体複合体の粘着性を有する弾性パッキンを形成する硬化性組成物は、(A)1分子中に1個を超えるアルケニル基を有する有機重合体、(B)1分子中に平均2個を超えるヒドロシリル基を有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒を含有することを特徴とする。
また、本発明の請求項8によるパッキン−筐体複合体の粘着性を有する弾性パッキンを形成する硬化性組成物は、(D)1分子中に1個を超えるアクリロイル基を有する有機重合体、(E)光重合性触媒を含有することを特徴とする。
また、本発明の請求項9によるパッキン−筐体複合体の粘着性を有する弾性パッキンを形成する硬化性組成物は、(F)1分子中に1個を超えるエポキシ基を有する有機重合体、(G)光重合性触媒を含有することを特徴とする。
また、本発明の請求項10によるパッキン−筐体複合体の粘着性を有する弾性パッキンを形成する硬化性組成物は、(A)1分子中に平均1個を超えるアルケニル基を有する、(A−1)ポリイソブチレン系重合体、(A−2)ポリオキシアルキレン系重合体、(A−3)ポリ(メタ)アクリル系重合体、から選ばれる少なくとも1種、(B)1分子中に平均2個を超えるヒドロシリル基を有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒を必須成分としてなることを特徴とする。
また、本発明の請求項11によるパッキン−筐体複合体の粘着性を有する弾性パッキンを形成する硬化性組成物は、(D)1分子中に平均1個を超えるアクリロイル基を有するポリ(メタ)アクリル系重合体、(E)光重合性触媒を必須成分としてなることを特徴とする。
また、本発明の請求項12によるパッキン−筐体複合体の粘着性を有する弾性パッキンを形成する硬化性組成物は、(F)1分子中に平均1個を超えるエポキシ基を有するポリイソブチレン系重合体、(G)光重合性触媒を必須成分としてなることを特徴とする。
また、本発明の請求項13によるパッキン−筐体複合体は、携帯電子機器に用いられることを特徴とする。
【0014】
一般的に、筐体溝内に形成された弾性パッキンが不均一な厚みを有する場合、もう他方の筐体に形成された凸部との嵌合部に隙間が生じることのないよう、溝形状、パッキン形状、もう他方の筐体凸部の形状を設計する必要がある。パッキンの反発力を利用する従来の設計では、パッキン厚みの最も薄い部分に対しても十分に高い反発力が得られるよう、すなわちパッキンを十分に圧縮できるよう、パッキン厚みに対し筐体凸部の形状を設定する必要がある。従って、パッキン厚みの最も厚い部分では、さらに高い圧縮率となり、パッキン自体にかかる応力は極めて大きいものとなる。通常ゴムは、かかる応力が大きくなるほど応力緩和し易い傾向にあるため、時間とともにパッキンの反発力は大幅に低下し、シール機能を失うことが予想される。
【0015】
本発明の筐体と複合化したパッキンは、低弾性かつ、粘着性を有するものであり、パッキンの圧縮率が高い条件下でも、パッキンにかかる応力が低く、長期にわたりその特性変化は小さい。また、粘着性を有することから、パッキンの反発力が小さくても十分なシール機能を発現できる。
【発明の効果】
【0016】
すなわち、本発明は、筐体周縁部に形成された凹型溝内に塗布装置を利用してパッキンが形成され、もう他方の筐体周縁部に形成された凸型部との嵌合により圧縮されることにより筐体内部をシールする方法において、パッキン厚みの不均一さが生じても、長期にわたり十分なシール機能を発現し得るパッキン−筐体複合体を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1−A:本発明の本発明の実施例1に係るパッキン−筐体複合体において、パッキンが形成される凹型溝を周縁部に配する筐体。図1−B:前記凹型溝を周縁部に配する筐体に相対する、前記凹型溝内に形成されたパッキンを圧縮し嵌合するための凸型突起部を周縁部に配する筐体。
【図2】図2−1A:本発明の実施例1に係るパッキン−筐体複合体において、パッキン厚みが最も薄い部分における嵌合前の状態。図2−1B:本発明の実施例1に係るパッキン−筐体複合体において、パッキン厚みが最も薄い部分における嵌合状態。図2−2A:本発明の実施例1に係るパッキン−筐体複合体において、パッキン厚みが最も厚い部分における嵌合前の状態。図2−2B:本発明の実施例1に係るパッキン−筐体複合体において、パッキン厚みが最も厚い部分における嵌合状態。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るパッキン−筐体複合体の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例に係る、周縁部の凹型溝内にパッキンが形成されたパッキン−筐体複合体(図1−A)、及び該パッキンを圧縮する突起部を周縁部に有する筐体(図1−B)を示している。尚、このような筐体溝内に対して塗布装置によりパッキンを形成する場合、コーナー部や重なり部分での厚みの制御は難しく、筐体全周の中では厚みにバラツキを生じる。
【0019】
図2−1A、B及び図2−2A、Bは、該両筐体の嵌合部の詳細を示しており、図2−1A及びBは、パッキン厚みが最も薄い部分、図2−2A及びBは、パッキン厚みが最も厚い部分における嵌合状態を示す。尚、各図において、パッキンを圧縮する突起部の先端形状は半球面状としているが、これに限定されるものではない。但し、パッキンにかかる応力の観点からすると、突起部先端に角がない半球面状の方が、局所的な応力集中を避けやすく好ましい。
【0020】
筐体全面においてシール性を確保するためには、図2−1Bに示されるように、パッキン厚みが最も薄い(c1)部分においても、シール機能が発揮される程度にパッキンが圧縮される必要がある。すなわち、該突起の一部がパッキンに押し込まれるよう、相対する筐体の凸型突起部の高さdは、筐体の凹型溝の深さb、パッキンの厚みc1に対して、d>b−c1となるよう設計する必要がある。従って、パッキン厚みが最も厚い(c2)部分では、パッキン厚みの差異分(c2−c1)、パッキン厚みが最も薄い部分よりもパッキンが余計に圧縮されることになる。
例えば、筐体の凹型溝の深さbが1.0mmのケースにおいて、パッキン厚みを0.6mm、筐体全周におけるパッキンの厚みバラツキが±30%、すなわち0.42mm(c1)〜0.78(c2)mmとし、さらに相対する筐体の凸型突起部の高さdを0.6mmとした場合、パッキンにかかる圧縮率は、計算上5〜49%となる。すなわち、このような条件にてシール性を確保し得るパッキンの性状としては、圧縮率50%前後の高い圧縮が容易に実現できる程度に十分に低弾性であり、かつ圧縮率数%程度の低い圧縮下でも十分なシール性能を確保できるよう粘着性を有することが求められる。すなわち、塗布装置を利用し、筐体凹型溝内にパッキンを形成するパッキン−筐体複合体において、パッキン厚みの不均一さが生じても、十分なシール機能を発現し得るには、形成されるパッキンの50%圧縮応力が1MPa以下の低弾性であり、かつ表面粘着性を有することが第一の要件となる。さらには、形成されるパッキンの50%圧縮応力が0.5MPa以下の低弾性であり、かつ表面粘着性を有することが好ましい。1MPaを超えると反発応力は高くなり、前述したような高い圧縮率をパッキンにかける場合、筐体に極めて高い応力が加わることになる。特に軽薄化している筐体は変形し易く、時間とともに嵌合部分に歪みが生じ、シール機能が損なわれる。パッキンの表面粘着性に関しては、パッキンのシール機能を高めるものであり、粘着性が高いほど好ましい。具体的には、23℃におけるPETフィルムに対する180°剥離強度0.1N/25mm以上の表面粘着性を有することが好ましい。
【0021】
また、第二の要件としては、長期にわたりシール機能を維持するため、係る粘着性を有するパッキンは、架橋ゴム、あるいは架橋ゲルからなることが好ましい。これら架橋構造を有する弾性材料は、熱可塑性エラストマー等に比較し、圧縮永久ひずみが良好であり、長期にわたり安定したシール機能を発現し得る。
【0022】
本発明のパッキン−筐体複合体におけるパッキンは、高い圧縮下で使用され得るため、特に圧縮永久ひずみが良好であることは重要であり、この観点から架橋ゴム、あるいは架橋ゲルからなることが好ましい。
【0023】
より具体的には、JIS K 6262に規定される、圧縮率25%、試験温度70℃、試験時間22時間の圧縮永久ひずみが20%以下であることが好ましい。
【0024】
次に、本発明のパッキン−筐体複合体における、弾性パッキンが形成される筐体周縁部に配された凹型溝の形状に関して記載する。
【0025】
前述したように、携帯電子機器は携帯性の追求が益々加速され、軽薄化が進んでいる。従って、水や埃の浸入を防止するパッキン及び、そのパッキンを配するための筐体溝についても軽薄化が進んでいる。本発明は、そのような中、塗布装置を利用し、筐体凹型溝内にパッキンを形成するパッキン−筐体複合体において、パッキン厚みの不均一さが生じても、十分なシール機能を発現し得るパッキン−筐体複合体を提供することを目的としている。パッキン、及びそのパッキンを配するための筐体凹型溝内の形状が十分に大きい場合は、パッキン厚みの不均一さの度合いは相対的に小さく、さほど重要ではなくなる。一方、パッキン、及びそのパッキンを配するための筐体凹型溝内の形状が小さくなるほど、パッキン厚みの不均一さの度合いは相対的に大きくなり、その不均一さから生じる問題は重要となる。
【0026】
近年上市されている携帯電話やデジタルカメラ、デジタルビデオカメラなどの防水仕様では、パッキン、及びそのパッキンを配するための筐体凹型溝内の形状は1mm前後に設計されているケースが多く、本発明はこのような軽薄化が進んだ携帯電子機器のシールを特に対象とする。すなわち、特に、弾性パッキンが形成される筐体周縁部に配された凹型溝の開口部の幅が1mm以下、かつ深さが1mm以下である場合において、本発明は有効である。
【0027】
すなわち本発明は、弾性パッキンが形成される筐体周縁部に配された凹型溝の開口部の幅が1mm以下、かつ深さが1mm以下である場合においても、液状材料を自動塗布装置により塗布、硬化させパッキンを形成することにより、十分なシール機能を発現し得るパッキン−筐体複合体を提供するものである。
【0028】
また、本発明のパッキン−筐体複合体における粘着性を有する弾性パッキンは、液状の硬化性組成物を筐体周縁部に凹型に形成された溝内に塗布し、エネルギー線照射、および/あるいは加熱により架橋させることにより得られる。
【0029】
一般に、携帯電子機器の筐体材料には金属のほか、ポリカーボネート、ポリカーボネート/ABS、ナイロン、PBTなどの樹脂が使用される場合が多く、このような樹脂で形成された筐体は、高温下では反りなど変形の可能性がある。従い、架橋過程で高い温度がかからないエネルギー線照射が特に好ましい。また、加熱架橋タイプの場合でも、120℃前後の比較的低温下でも架橋反応が進行するヒドロシリル化反応を架橋に利用した加熱硬化タイプも利用できる。
【0030】
すなわち、このような粘着性を有する弾性パッキンを形成し得る具体的な硬化性組成物としては、(A)1分子中に1個を超えるアルケニル基を有する有機重合体、(B)1分子中に平均2個を超えるヒドロシリル基を有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒を必須成分としてなる組成物(硬化性組成物−1)や、(D)1分子中に1個を超えるアクリロイル基を有する有機重合体、(E)光重合性触媒を必須成分としてなる組成物(硬化性組成物−2)、(F)1分子中に1個を超えるエポキシ基を有する有機重合体、(G)光重合性触媒を必須成分としてなる組成物(硬化性組成物−3)などが挙げられる。
【0031】
さらに、(硬化性組成物−1)の具体例を挙げると、(A)1分子中に平均1個を超えるアルケニル基を有する、(A−1)ポリイソブチレン系重合体、(A−2)ポリオキシアルキレン系重合体、(A−3)ポリ(メタ)アクリル系重合体、から選ばれる少なくとも1種、(B)1分子中に平均2個を超えるヒドロシリル基を有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒を必須成分としてなる組成物が挙げられる。
このうち、(A)成分として(A−1)ポリイソブチレン系重合体を使用する組成物における、(A−1)成分、(B)成分、及び(C)成分は特開平08−127683号に記載されているものが使用できる。また、(A−2)ポリオキシアルキレン系重合体を使用する組成物における、(A−2)成分、(B)成分、及び(C)成分は特許第3472340号に記載されているものが使用できる。また、(A−3)ポリ(メタ)アクリル系重合体を使用する組成物における、(A−3)成分、(B)成分、及び(C)成分は特開2006−183062号に記載されているものが使用できる。
【0032】
また、(硬化性組成物−2)の具体例を挙げると、(D)1分子中に平均1個を超えるアクリロイル基を有するポリ(メタ)アクリル系重合体、(E)光重合性触媒を必須成分としてなる組成物が挙げられる。これら組成物における(D)成分及び(E)成分は特開2000−072816号に記載されているものが使用できる。
また、(硬化性組成物−3)の具体例を挙げると、(F)1分子中に1個を超えるエポキシ基を有するポリイソブチレン系重合体、(G)光重合性触媒を必須成分としてなる組成物が挙げられる。これら組成物における(F)成分及び(G)成分は再表2005−028537号に記載されているものが使用できる。
【0033】
本発明のパッキン−筐体複合体は、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ、携帯電話、携帯音楽プレーヤー、携帯テレビなどの各種携帯電子機器等に用いることができる。
【実施例】
【0034】
次に実施例により本発明のパッキン−筐体複合体を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0035】
パッキン用硬化性組成物−1及び−2・・・
(製造例1)
数平均分子量3,000のポリオキシプロピレンジオールを開始剤として、複合金属シアン化物錯体触媒を用いて、プロピレンオキシドを重合することにより数平均分子量が約20,000(末端の水酸基とアリル基の分析による計算)のポリオキシプロピレンジオールを得た。該ポリオキシプロピレンジオールの水酸基に対して1.2当量のナトリウムメチラートの28%メタノール溶液を加えた後、130℃でメタノールが回収されなくなるまで減圧脱揮を行った。ついで、アリルクロライドを加え反応させた後、未反応のアリルクロライドを減圧脱揮により除去した。その後、ヘキサンと水により精製し、1分子中に概ね2個のアリル末端を有するポリオキシアルキレン系重合体(A−1)を得た。この重合体は、粘度が50Pa・sの淡黄色液体であり、ヨウ素価数より求めたアリル含有量は、0.12mmol/gであった。
【0036】
(製造例2)
(−Si−O−)繰り返しユニットを平均して10個もつメチルハイドロジェンシリコーンに白金触媒存在下全ヒドロシリル基量の0.5当量のα−メチルスチレンを添加し、1分子中に平均5個のヒドロシリル基を有する化合物(B−1)を得た。この化合物のヒドロシリル基含有量は3.8mmol/gであることが分かった。
【0037】
(硬化性組成物−1の調整)
製造例1で得たアリル基末端ポリオキシアルキレン系重合体(A−1)100重量部に対して、製造例2で得たヒドロシリル化合物(B−1)を2重量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を2重量部、分子量3,000のPPGを20重量部、水酸化アルミニウム、シリカをそれぞれ12重量部、及び白金ビニルシロキサン(3%白金キシレン溶液、ユミコアジャパン(株)製:PT−VTSC−3.0X)を0.08重量部、アセチレンアルコールを0.07重量部混合し、硬化性組成物−1を得た。
【0038】
このようにして得られた硬化性組成物を、プレス成形により150℃、10分間加熱成形し、これらをさらに熱風乾燥機にて150℃、1時間加熱処理することにより、直径29mm、高さ12.5mmの円柱形サンプル、10cm角、厚さ2mmのシートサンプルを得た。
【0039】
この円柱形サンプルを用いて、JIS K 6254に記載される試験条件に沿って圧縮応力を測定したところ、50%圧縮ひずみ時の圧縮応力は0.3MPaであった(JIS K 6254は、圧縮率が10%、20%の際の圧縮応力の測定を規定しているが、本発明では圧縮率のみを50%に変更し圧縮応力を測定した)。また、JIS K 6262に規定される圧縮永久ひずみ試験を、圧縮率25%、70℃、22時間の試験条件にて実施したところ、圧縮永久ひずみは4%であった。
【0040】
また、上記で得られたシートサンプルを25mm幅に切断し、剛性のあるプラスチック板に貼り付けた上、該シートサンプルの表面に幅25mm、厚さ50μmのPETフィルムをローラを用いて圧着した。PETフィルムの端を180°に折り返し、約25mmはがした後、引張速度300mm/分の速度でPETフィルムを引きはがした際の剥離強度は0.4N/25mmであった。
【0041】
(硬化性組成物−2の調整)
製造例1で得たアリル基末端ポリオキシアルキレン系重合体(A−1)100重量部に対して、製造例2で得たヒドロシリル化合物(B−1)を2重量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を2重量部、シリカを15重量部、及び白金ビニルシロキサン(3%白金キシレン溶液、ユミコアジャパン(株)製:PT−VTSC−3.0X)を0.04重量部、アセチレンアルコールを0.04重量部混合し、硬化性組成物−2を得た。
【0042】
このようにして得られた硬化性組成物を、プレス成形により150℃、10分間加熱成形し、これらをさらに熱風乾燥機にて150℃、1時間加熱処理することにより、直径29mm、高さ12.5mmの円柱形サンプル、10cm角、厚さ2mmのシートサンプルを得た。
【0043】
この円柱形サンプルを用いて、JIS K 6254に記載される試験条件に沿って圧縮応力を測定したところ、50%圧縮ひずみ時の圧縮応力は0.7MPaであった(JIS K 6254は、圧縮率が10%、20%の際の圧縮応力の測定を規定しているが、本発明では圧縮率のみを50%に変更し圧縮応力を測定した)。また、JIS K 6262に規定される圧縮永久ひずみ試験を、圧縮率25%、70℃、22時間の試験条件にて実施したところ、圧縮永久ひずみは3%であった。
【0044】
また、上記で得られたシートサンプルを25mm幅に切断し、剛性のあるプラスチック板に貼り付けた上、該シートサンプルの表面に幅25mm、厚さ50μmのPETフィルムをローラを用いて圧着した。PETフィルムの端を180°に折り返し、約25mmはがした後、引張速度300mm/分の速度でPETフィルムを引きはがした際の剥離強度は0.3N/25mmであった。
【0045】
パッキン用硬化性組成物−3・・・
(製造例3)
(1)重合工程
表1の原料(及びその量)に従い、アクリル酸エステルの重合を行った。アクリル酸エステル(共重合する場合には予め所定量混合されたアクリル酸エステル)を脱酸素した。攪拌機付ステンレス製反応容器の内部を脱酸素し、臭化第一銅、全アクリル酸エステルの一部(表1では初期仕込みモノマーとして記載)を仕込み、加熱攪拌した。重合反応溶媒としてアセトニトリル(表1では重合用アセトニトリルと記載)、開始剤(2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル(DBAE)又はα−ブロモ酪酸エチル(EBB))を添加、混合し、混合液の温度を約80℃に調節した段階でペンタメチルジエチレントリアミン(以下、トリアミンと略す)を添加し、重合反応を開始した。残り80%のアクリル酸エステルモノマーを逐次添加し、重合反応を進めた。重合途中、適宜トリアミンを追加し、重合速度を調整した。重合時に使用したトリアミンの総量を重合用トリアミンとして表1に示す。重合が進行すると重合熱により内温が上昇するので内温を約80℃〜約90℃に調整しながら重合を進行させた。
モノマー転化率(重合反応率)が約95%以上の時点で反応容器気相部に酸素‐窒素混合ガスを導入した。内温を約80℃〜約90℃に保ちながら反応液を数時間加熱攪拌して反応液中の重合触媒と酸素を接触させた。アセトニトリル及び未反応のモノマーを減圧脱揮して除去し、重合体を含有する濃縮物を得た。濃縮物は著しく着色していた。
(2)精製工程
酢酸ブチルを重合体の希釈溶媒として使用した。上記重合体に対して100〜150重量部程度の酢酸ブチルで希釈し、ろ過助剤を加えて加熱処理し、ろ過した。またろ液に対して吸着剤(キョーワード700SEN、キョーワード500SH)を添加し、濾過して清澄液を得た。ろ液を濃縮し、ほぼ無色透明の重合体を得た。
(3)アクリロイル基導入工程
重合体を重合体に対して約100重量部のN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)に溶解させて、アクリル酸カリウム(末端Br基に対して約2モル当量)、熱安定剤(H−TEMPO:4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−n−オキシル)、吸着剤(キョーワード700SEN)、を添加し、約70℃で数時間加熱攪拌した。DMACを減圧留去し、重合体濃縮物を重合体に対して約100重量部の酢酸ブチルで希釈し、ろ過助剤を添加して固形分をろ別し、ろ液を濃縮し、末端にアクリロイル基を有する重合体3D−1、及び3D−2を得た。得られた重合体の1分子あたりに導入されたアクリロイル基数、分子量、分子量分布を併せて表1に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
(硬化性組成物−3の調整)
製造例3で得られた重合体3D−1を50重量部、3D−2を50重量部、(E)成分として2ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(商品名;DAROCUR1173、チバ・ジャパン製)0.5重量部を加え、硬化性組成物−3を得た。
【0048】
円筒型の型枠に流し込んで、積算光量15,000mJ/cm2のUV光を照射させることにより、直径29mm、高さ12.5mmの円柱形サンプル、10cm角、厚さ2mmのシートサンプルを得た。
【0049】
この円柱形サンプルを用いて、JIS K 6254に記載される試験条件に沿って圧縮応力を測定したところ、50%圧縮ひずみ時の圧縮応力は0.8MPaであった(JIS K 6254は、圧縮率が10%、20%の際の圧縮応力の測定を規定しているが、本発明では圧縮率のみを50%に変更し圧縮応力を測定した)。また、JIS K 6262に規定される圧縮永久ひずみ試験を、圧縮率25%、70℃、22時間の試験条件にて実施したところ、圧縮永久ひずみは3%であった。
【0050】
また、上記で得られたシートサンプルを25mm幅に切断し、剛性のあるプラスチック板に貼り付けた上、該シートサンプルの表面に幅25mm、厚さ50μmのPETフィルムをローラを用いて圧着した。PETフィルムの端を180°に折り返し、約25mmはがした後、引張速度300mm/分の速度でPETフィルムを引きはがした際の剥離強度は2.7N/25mmであった。
【0051】
(硬化性組成物−4の調整)
製造例3で得られた重合体3D−1を25重量部、3D−2を75重量部、(E)成分として2ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(商品名;DAROCUR1173、チバ・ジャパン製)0.5重量部を加え、硬化性組成物−4を得た。
【0052】
円筒型の型枠に流し込んで、積算光量15,000mJ/cm2のUV光を照射させることにより、直径29mm、高さ12.5mmの円柱形サンプル、10cm角、厚さ2mmのシートサンプルを得た。
【0053】
この円柱形サンプルを用いて、JIS K 6254に記載される試験条件に沿って圧縮応力を測定したところ、50%圧縮ひずみ時の圧縮応力は0.25MPaであった(JIS K 6254は、圧縮率が10%、20%の際の圧縮応力の測定を規定しているが、本発明では圧縮率のみを50%に変更し圧縮応力を測定した)。また、JIS K 6262に規定される圧縮永久ひずみ試験を、圧縮率25%、70℃、22時間の試験条件にて実施したところ、圧縮永久ひずみは2%であった。
【0054】
また、上記で得られたシートサンプルを25mm幅に切断し、剛性のあるプラスチック板に貼り付けた上、該シートサンプルの表面に幅25mm、厚さ50μmのPETフィルムをローラを用いて圧着した。PETフィルムの端を180°に折り返し、約25mmはがした後、引張速度300mm/分の速度でPETフィルムを引きはがした際の剥離強度は3N/25mm以上であった。
【0055】
パッキン−筐体複合体−1及び−2の作製・・・
上記のようにして得られたパッキン用硬化性組成物−1及び−2は、ディスペンサータイプの自動塗布装置を用いて、筐体周縁部に配された厚み1mm、幅1mmの凹型溝内に充填した後、約5分間静置し、熱風乾燥機にて125℃、30分加熱することによりパッキンを形成した。尚、最終得られるパッキンの厚みバラツキをでき得る限り小さくするために、硬化性組成物を凹型溝内に充填した後、加熱硬化させるまでに十分な静置時間を確保するのが望ましい。さらに、50℃程度に加温することが望ましい。
【0056】
パッキン−筐体複合体−3及び−3の作製・・・
上記のようにして得られたパッキン用硬化性組成物−3は、ディスペンサータイプの自動塗布装置を用いて、筐体周縁部に配された厚み1mm、幅1mmの凹型溝内に充填した後、約5分間静置し、UV照射装置により、UV光を照射することによりパッキンを形成した。尚、このパッキン用硬化性組成物−3を用いる場合においても、最終得られるパッキンの厚みバラツキをでき得る限り小さくするために、硬化性組成物を凹型溝内に充填した後、UV光を照射させるまでに十分な静置時間を確保するのが望ましい。さらに、50℃程度に加温することが望ましい。
【0057】
このようにして得られるパッキン−筐体複合体は、パッキンが低弾性、かつ表面粘着性を有する。従って、パッキン厚みのバラツキが多少生じていても、相対する筐体に形成された凸型突起部により高い圧縮率をかけることが容易に可能であり、筐体全周にわたり十分なシール機能を発現することができる。
【符号の説明】
【0058】
1a・・・凹型溝
1b・・・凸型突起部
a・・・・筐体凹型溝の幅
b・・・・筐体凹型溝の深さ
c1・・・パッキン全周のうち、パッキン厚みが最も薄い部分におけるパッキンの厚み
c2・・・パッキン全周のうち、パッキン厚みが最も厚い部分におけるパッキンの厚み
d・・・・相対する筐体の凸型突起部の高さ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹型溝を周縁部に有する筐体、凸型部を周縁部に有する筐体、および筐体の凹型溝内に塗布形成され凹型溝と凸型部との嵌合により圧縮された弾性パッキンを、有するパッキン−筐体複合体であって、弾性パッキンが表面粘着性を有し、50%圧縮応力が1MPa以下であることを特徴とするパッキン−筐体複合体。
【請求項2】
前記粘着性を有する弾性パッキンが、23℃におけるPETフィルムに対する180°剥離強度0.1N/25mm以上の表面粘着性を有することを特徴とする請求項1に記載のパッキン−筐体複合体。
【請求項3】
筐体周縁部に形成された凹型溝の開口部の幅が1mm以下、かつ深さが1mm以下である請求項1及び2のいずれか1項に記載のパッキン−筐体複合体。
【請求項4】
前記粘着性を有する弾性パッキンが、架橋ゴム、あるいは架橋ゲルからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のパッキン−筐体複合体。
【請求項5】
前記粘着性を有する弾性パッキンが、JIS K 6262に規定される、圧縮率25%、試験温度70℃、試験時間22時間の圧縮永久ひずみが20%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のパッキン−筐体複合体。
【請求項6】
前記粘着性を有する弾性パッキンが、硬化性組成物をエネルギー線照射、および/あるいは加熱により架橋させることにより得ることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のパッキン−筐体複合体。
【請求項7】
前記硬化性組成物が、(A)1分子中に1個を超えるアルケニル基を有する有機重合体、(B)1分子中に平均2個を超えるヒドロシリル基を有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒を含有する請求項6に記載のパッキン−筐体複合体。
【請求項8】
前記硬化性組成物が、(D)1分子中に1個を超えるアクリロイル基を有する有機重合体、(E)光重合性触媒を含有する請求項6に記載のパッキン−筐体複合体。
【請求項9】
前記硬化性組成物が、(F)1分子中に1個を超えるエポキシ基を有する有機重合体、(G)光重合性触媒を含有する請求項6に記載のパッキン−筐体複合体。
【請求項10】
前記(A)成分が、1分子中に平均1個を超えるアルケニル基を有する、(A−1)ポリイソブチレン系重合体、(A−2)ポリオキシアルキレン系重合体、(A−3)ポリ(メタ)アクリル系重合体、から選ばれる少なくとも1種である請求項7に記載のパッキン−筐体複合体。
【請求項11】
前記(D)成分が、1分子中に平均1個を超えるアクリロイル基を有するポリ(メタ)アクリル系重合体であることを特徴とする請求項8に記載のパッキン−筐体複合体。
【請求項12】
前記(F)成分が、1分子中に平均1個を超えるエポキシ基を有するポリイソブチレン系重合体であることを特徴とする請求項9に記載のパッキン−筐体複合体。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載のパッキン−筐体複合体が、携帯電子機器に用いられることを特徴とするパッキン−筐体複合体。
【請求項1】
凹型溝を周縁部に有する筐体、凸型部を周縁部に有する筐体、および筐体の凹型溝内に塗布形成され凹型溝と凸型部との嵌合により圧縮された弾性パッキンを、有するパッキン−筐体複合体であって、弾性パッキンが表面粘着性を有し、50%圧縮応力が1MPa以下であることを特徴とするパッキン−筐体複合体。
【請求項2】
前記粘着性を有する弾性パッキンが、23℃におけるPETフィルムに対する180°剥離強度0.1N/25mm以上の表面粘着性を有することを特徴とする請求項1に記載のパッキン−筐体複合体。
【請求項3】
筐体周縁部に形成された凹型溝の開口部の幅が1mm以下、かつ深さが1mm以下である請求項1及び2のいずれか1項に記載のパッキン−筐体複合体。
【請求項4】
前記粘着性を有する弾性パッキンが、架橋ゴム、あるいは架橋ゲルからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のパッキン−筐体複合体。
【請求項5】
前記粘着性を有する弾性パッキンが、JIS K 6262に規定される、圧縮率25%、試験温度70℃、試験時間22時間の圧縮永久ひずみが20%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のパッキン−筐体複合体。
【請求項6】
前記粘着性を有する弾性パッキンが、硬化性組成物をエネルギー線照射、および/あるいは加熱により架橋させることにより得ることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のパッキン−筐体複合体。
【請求項7】
前記硬化性組成物が、(A)1分子中に1個を超えるアルケニル基を有する有機重合体、(B)1分子中に平均2個を超えるヒドロシリル基を有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒を含有する請求項6に記載のパッキン−筐体複合体。
【請求項8】
前記硬化性組成物が、(D)1分子中に1個を超えるアクリロイル基を有する有機重合体、(E)光重合性触媒を含有する請求項6に記載のパッキン−筐体複合体。
【請求項9】
前記硬化性組成物が、(F)1分子中に1個を超えるエポキシ基を有する有機重合体、(G)光重合性触媒を含有する請求項6に記載のパッキン−筐体複合体。
【請求項10】
前記(A)成分が、1分子中に平均1個を超えるアルケニル基を有する、(A−1)ポリイソブチレン系重合体、(A−2)ポリオキシアルキレン系重合体、(A−3)ポリ(メタ)アクリル系重合体、から選ばれる少なくとも1種である請求項7に記載のパッキン−筐体複合体。
【請求項11】
前記(D)成分が、1分子中に平均1個を超えるアクリロイル基を有するポリ(メタ)アクリル系重合体であることを特徴とする請求項8に記載のパッキン−筐体複合体。
【請求項12】
前記(F)成分が、1分子中に平均1個を超えるエポキシ基を有するポリイソブチレン系重合体であることを特徴とする請求項9に記載のパッキン−筐体複合体。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載のパッキン−筐体複合体が、携帯電子機器に用いられることを特徴とするパッキン−筐体複合体。
【図1】


【図2】




【図2】


【公開番号】特開2010−255683(P2010−255683A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104121(P2009−104121)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】
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