パッキン材料及び該パッキン材料を用いたグランドパッキン並びにパッキン材料の製造方法及びグランドパッキンの製造方法
【課題】 従来以上に高いシール性、潤滑性及び放熱性を備えるパッキン材料及びグランドパッキン並びにパッキン材料の製造方法及びグランドパッキンの製造方法の提供。
【解決手段】 略紐状に形成されるパッキン材料であって、膨張黒鉛製テープと開繊された炭素繊維からなる繊維束で構成される積層体を捩じって形成された捩体と、該捩体の外周面に対して、該捩体の捩り方向と反対方向に巻回される開繊炭素繊維束と、前記捩体の外周面に巻回された開繊炭素繊維束の少なくとも外周面を覆うように形成されるフッ化エチレン樹脂層からなることを特徴とするパッキン材料である。
【解決手段】 略紐状に形成されるパッキン材料であって、膨張黒鉛製テープと開繊された炭素繊維からなる繊維束で構成される積層体を捩じって形成された捩体と、該捩体の外周面に対して、該捩体の捩り方向と反対方向に巻回される開繊炭素繊維束と、前記捩体の外周面に巻回された開繊炭素繊維束の少なくとも外周面を覆うように形成されるフッ化エチレン樹脂層からなることを特徴とするパッキン材料である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール性、潤滑性及び放熱性に優れたパッキン材料及び該パッキン材料を用いたグランドパッキン並びにパッキン材料の製造方法及びグランドパッキンの製造方法に関する。より詳しくは、厳しい条件化で回転及び往復動する流体機器を軸封するパッキン材料及び該パッキン材料を用いたグランドパッキン並びにパッキン材料の製造方法及びグランドパッキンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の環境に対する意識の高まりとともに、環境汚染因子に対する様々な規制が世界中で設けられるようになってきている。このような規制は、自動車からの排ガスのような一般に使用される工業製品のみならず、工業製品を作り出すための製造工程からの排出物にまで及んでいる。
【0003】
流体機器は、様々な用途で、あらゆる製造工程に用いられる装置である。グランドパッキンは、流体機器の軸封を行う用途に用いられ、流体機器中を流れる流体の流体機器からの漏出を防止する役割を担う。
グランドパッキンには、主として、シール性、潤滑性、応力緩和特性及び熱減量(放熱性)などといった諸性能が要求される。潤滑性は、流体機器の軸部との摩擦を低減し、この摩擦力の低減作用はグランドパッキンの耐久性の向上に寄与する。放熱性は、グランドパッキンの使用における経時劣化を低減し、グランドパッキンの耐久性の向上に寄与する。
グランドパッキンの耐久性の向上は、結果として、長期の流体機器の軸封機能を保証し、流体機器内部を流れる流体の漏出防止を保証するものとなる。
特許文献1には、このようなシール性、潤滑性及び放熱性に優れるグランドパッキン並びに該グランドパッキンを構成するパッキン材料が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−129440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に提案されるグランドパッキンは、高い水準のシール性、潤滑性及び放熱性を備えるものであるが、上記のような環境基準の高まりは、特許文献1のグランドパッキン以上のシール性を要求し、更により長期的なシール性の維持機能を要求するものとなっている。
特許文献1に提案されるグランドパッキンは、膨張黒鉛を用いて構成され、膨張黒鉛の備える優れた潤滑性並びに圧縮復元性によるシール性を発揮するものであったが、膨張黒鉛が有する脆い構造により、膨張黒鉛片がグランドパッキンから剥がれ、これに起因してシール性が経時的に劣化するという問題があった。
これを防止するために、アルミニウムやニッケルの薄膜を外周面に巻回するといった手法も特許文献1は提案しているが、このような構造を採用すると、膨張黒鉛が本来発揮する圧縮復元性を損なうものとなり、シール性が劣化するという問題を生ずるものとなる。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、従来以上に高いシール性、潤滑性及び放熱性を備えるパッキン材料及びグランドパッキン並びにパッキン材料の製造方法及びグランドパッキンの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、略紐状に形成されるパッキン材料であって、膨張黒鉛製テープと開繊された炭素繊維からなる繊維束で構成される積層体を捩じって形成された捩体と、該捩体の外周面に対して、該捩体の捩り方向と反対方向に巻回される開繊炭素繊維束と、前記捩体の外周面に巻回された開繊炭素繊維束の少なくとも外周面を覆うように形成されるフッ化エチレン樹脂層からなることを特徴とするパッキン材料である。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記フッ化エチレン樹脂層が、細幅に形成されたシート状のポリテトラフルオロエチレン製テープを巻回して形成されることを特徴とする請求項1記載のパッキン材料である。
請求項3記載の発明は、前記フッ化エチレン樹脂層が、前記繊維束が巻回された基材をポリテトラフルオロエチレン液中に浸漬することにより形成されることを特徴とする請求項1記載のパッキン材料である。
請求項4記載の発明は、前記ポリテトラフルオロエチレン製テープ内部に独立気泡が形成され、該独立気泡内部にシリコンオイルが内包されることを特徴とする請求項2記載のパッキン材料である。
請求項5記載の発明は、370℃を超えない温度で焼成されることを特徴とする請求項1記載のパッキン材料である。
請求項6記載の発明は、前記フッ化エチレン樹脂層が顔料を含むことを特徴とする請求項1記載のパッキン材料である。
請求項7記載の発明は、前記捩体の中心に、単数の補強線材が配されることを特徴とする請求項1記載のパッキン材料である。
【0008】
請求項8記載の発明は、略紐状に形成される複数のパッキン材料を編組してなる編体を、加圧成形してなるグランドパッキンであって、前記パッキン材料が、膨張黒鉛製テープと開繊された炭素糸からなる繊維束で構成される積層体を捩じって形成された捩体と、該捩体の外周面に対して、該捩体の捩り方向と反対方向に巻回される開繊炭素繊維束と、前記捩体の外周面に巻回された開繊炭素繊維束の少なくとも外周面を覆うように形成されるフッ化エチレン樹脂層からなることを特徴とするグランドパッキンである。
請求項9記載の発明は、370℃を超えない温度で焼成されることを特徴とする請求項8記載のグランドパッキンである。
【0009】
請求項10記載の発明は、膨張黒鉛製テープと開繊された炭素繊維からなる繊維束で構成される積層体を捩じって、捩体を形成する捩体形成工程と、前記捩体外周面を、開繊炭素繊維束で巻回して基材を形成する巻回工程と、前記基材の少なくとも外面を、フッ化エチレン樹脂からなる層で被覆する被覆工程からなることを特徴とするパッキン材料の製造方法である。
請求項11記載の発明は、複数の紐状のパッキン材料を準備するパッキン材料準備工程と、該パッキン材料を編組して編体を形成する編体形成工程と、該編体を加圧成形して所望形状のグランドパッキンを形成する加圧成形工程からなるグランドパッキンの製造方法であって、前記パッキン材料準備工程が、膨張黒鉛製テープと開繊された炭素繊維からなる繊維束で構成される積層体を捩じって、捩体を形成する捩体形成工程と、前記捩体外周面を、開繊炭素繊維束で巻回して基材を形成する巻回工程と、前記基材の少なくとも外面を、フッ化エチレン樹脂からなる層で被覆する被覆工程からなることを特徴とするグランドパッキンの製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、膨張黒鉛により高い圧縮復元性をもたらすとともに、炭素繊維束が高い機械的強度をもたらす。また、フッ化エチレン樹脂層により、流体機器との高い密着性が得られる。
したがって、長期間にわたって、高いシール性を発揮可能となる。
請求項2及び3記載の発明によれば、膨張黒鉛基材外周面がフッ化エチレン樹脂層で確実に被覆され、高い潤滑性を備えるパッキン材料となる。
請求項4記載の発明によれば、フッ化エチレン樹脂層の放熱性を高めることができ、放熱性に優れるパッキン材料となる。
請求項5記載の発明によれば、パッキン材料の耐久性及びシール性が更に高まるものとなる。
請求項6記載の発明によれば、用途別に分類容易なパッキン材料となる。
請求項7記載の発明によれば、補強線材により、パッキン材料が丈夫なものとなる。
【0011】
請求項8記載の発明によれば、膨張黒鉛により高い圧縮復元性をもたらすとともに、炭素繊維束が高い機械的強度をもたらす。また、フッ化エチレン樹脂層により、流体機器との高い密着性が得られる。
したがって、総じて本発明に係るグランドパッキンは、従来以上に高いシール性並びに耐久性を発揮することが可能となる。
請求項9記載の発明によれば、高い機械的強度とシール性を備えるパッキン材料を製造することができる。
請求項10記載の発明によれば、高い機械的強度とシール性を備えるグランドパッキンを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係るパッキン材料及び該パッキン材料を用いたグランドパッキン並びにパッキン材料の製造方法及びグランドパッキンの製造方法について、図を参照しつつ説明する。
図1は、本発明に係るパッキン材料の概略斜視図である。
パッキン材料(1)は、全体として略紐状に形成される。パッキン材料(1)は、その断面の略中心に配される捩体(2)と、捩体(2)の外周に配される開繊炭素繊維束(4)と、繊維束(4)の少なくとも外周面を被覆するフッ化エチレン樹脂層(5)からなる。
【0013】
図2は、捩体(2)を示す図である。図2(a)は、捩体(2)の形成途中の状態を示し、図2(b)は捩体(2)に形成される積層体を示す。
捩体(2)は、開繊して得られた複数の炭素繊維の束(21)と、膨張黒鉛製テープ(23)とを積層した積層体(22)を捩じることにより紐状に形成して得られる。
【0014】
積層体(22)は、開繊炭素繊維束(21)と膨張黒鉛製テープ(23)との間に接着剤層(24)を備え、開繊炭素繊維束(21)と膨張黒鉛製テープ(23)とを一体的に接合する構造である。
接着剤層(24)の種類は特に限定されず、有機質系接着剤、無機質系接着剤、無機有機混合質系接着剤など、種々の接着剤から構成することができ、その形態も、液状、エマルジョン、フィルム状、不織布状など種々の形態を採ることができる。また、その配設方法も特に限定されず、塗布、熱圧着、吹き付けなど、種々の方法を採用することが可能である。
【0015】
なお、接着剤層(24)には、できれば水溶性の熱可塑性樹脂接着剤を使用することが好ましく、中でも無公害性のポリビニルアルコール(PVA)が用いることが好ましい。また、ポリビニルアルコールは、液状のまま膨張黒鉛製テープ(23)の表面或いは炭素繊維束(21)の表面に塗布するか、又は吹き付けることにより配設することができる。吹き付けによって配設する場合には、例えば不織布状に配設することができる。
【0016】
ポリビニルアルコールを不織布状に配設する場合、接着剤層(24)は、ポリビニルアルコール樹脂繊維が不規則な方向に伸びて積層され、且つそれら樹脂繊維が相互に固着されてシート状とされる。このような構造の接着剤層(24)は、あらゆる方向の引張に対して大きな引張強さを有し、特に帯状に加工された状態でその軸長方向の引張に対して大きな引張強さを発揮することができる。
【0017】
なお、膨張黒鉛製テープ(23)と開繊繊維束(21)を接着する際には、その間にポリビニルアルコール等の接着剤層(24)を介在させ積層した状態でその両面に圧力を加え、或いは加熱しながら圧力を加えることで、これらを強固に積層一体化することができる。
【0018】
膨張黒鉛製テープ(23)としては、天然黒鉛、熱分解黒鉛、キッシュ黒鉛等の黒鉛粉末を、濃硫酸、濃硝酸等と反応させて一旦層間化合物とした後、水洗などを経て残留化合物を得、これを急熱して膨張させて得られる膨張可撓性黒鉛そのものを、ロール材等により圧縮成形したシート状のものを使用することができる。
【0019】
膨張黒鉛製テープ(23)の密度は、特に限定されるものではないが、0.80〜2.2g/cm3 であることが好ましい。密度がこの範囲内にあると、膨張黒鉛製テープ(23)の表面に結晶レベルの凹凸が形成され、その上に積層されるものにアンカー効果を生じさせることができる。これに対し、密度が0.80g/cm3 未満であると組織のきめが粗くなり過ぎ、パッキンにしたときのシール性が低下する。逆に、密度が2.2g/cm3 を超えると、組織のきめが細かくなり過ぎてアンカー効果を生じさせにくくなり、開繊繊維束(21)との積層を良好に行い得ない可能性がある。
【0020】
また、膨張黒鉛製テープ(23)の厚みは、特に限定されるものではないが、0.10〜1.5mm程度とされることが好ましい。厚みが0.10mm未満であると、膨張黒鉛が有する優れた耐熱性、耐食性、耐磨耗性を発現させることができない。また、このように極薄のものは製造が困難であって経済的でない。逆に、厚みが1.5mmを超えると、膨張黒鉛の脆さが現れてしまう。
【0021】
開繊繊維束(21)は、膨張黒鉛製テープ(23)を補強すると共に固体潤滑材の役目を果たすものである。この開繊繊維束(21)は、接着剤層(24)を介して膨張黒鉛製テープ(23)の表面に積層される。その積層方法は、上記した方法を採用することができるが、接着剤として熱融着フィルムを用いる場合には、例えば、PVA不織布、PVAフィルム、ポリエチレンフィルム、オレフィン系フィルム、ウレタン系フィルムを用いることができる。
【0022】
開繊繊維束(21)は機械的強度に優れており、また、その機械的強度等の諸性質が、−200℃〜+600℃の間で殆ど変化せず、低温特性、高温特性が共に優れている。従って、開繊繊維束(21)は、常温域は勿論のこと、過酷温度環境下においても確実に膨張黒鉛製テープ(23)を補強することができる。
また、開繊繊維束(21)は耐食性および耐磨耗性に優れているので、化学プラント等の過酷環境下でも長期間の使用に耐えることができる。なお、開繊繊維束(21)の厚さは、0.01〜0.5mmとすることが好ましく、より好ましくは0.15〜0.2mmとされる。これは、厚みが0.05mm未満であると、十分な潤滑性及びシール性が得られず、逆に厚みが0.5mmを超えると、十分な柔軟性が得られないからである。
【0023】
捩体(2)は、上記の積層体(22)を一方向に捩じることにより形成される。尚、本発明においては、積層体(22)を構成する膨張黒鉛製テープ(23)が捩体(2)の外周面を構成するように捩じってもよいし、開繊繊維束(21)が捩体(2)の外周面を構成するように捩じってもよい。尚、図1及び図2に示す例においては、膨張黒鉛製テープ(23)が、捩体(2)の外周面を形成するように捩じった形態を示している。
膨張黒鉛製テープ(23)が外周面を構成するように捩体(2)を形成すると、パッキン材料(1)の断面中心に開繊炭素繊維束(21)が配されることになり、形状安定性に優れるパッキン材料(1)が構成されることとなる。
開繊炭素繊維束(21)が外周面を構成するように捩体(2)を形成すると、パッキン材料(1)の断面中心に膨張黒鉛製テープ(23)が配されることとなり、圧縮復元性に優れるパッキン材料(1)が構成されることとなる。
尚、膨張黒鉛製テープ(23)と開繊炭素繊維束(21)のいずれを捩体(2)の外周面側に配したとしても、従来のパッキン材料よりも優れたシール性並びに耐久性を発揮可能である。
【0024】
図3は、開繊された炭素繊維束(21)の開繊工程の一例を示す。
図3に示す開繊装置(200)は、給糸機(図示せず)から供給される開繊前炭素繊維束(20)を上下に挟持するとともに開繊前炭素繊維束(20)を下流へ促す供給ローラ(201)と、供給ローラ(201)の下流側に配される熱風供給器(202)と、熱風供給器(202)下流側に配される吸引口を備える吸引装置(203)及び最下流に配される排出ローラ(204)から主に構成される。
【0025】
図3において示される開繊前炭素繊維束(20)は、7μmの炭素繊維からなる束をエポキシ樹脂系サイジング剤によって、幅6.1mm、厚さ0.1mmの偏平状態にした繊維束であり、これが給糸機から供給ローラ(201)へ送られる。この開繊前炭素繊維束(20)は、給糸機から5m/minの流送速度で線状に連続的に送られる。
【0026】
供給ローラ(201)から下流へ送られた開繊前炭素繊維束(20)は熱風供給器(202)により加熱される。熱風供給器(202)は開繊前炭素繊維束(20)の上方20mmの位置に配され、200℃の熱風を風速10m/secで吹きつけ、エポキシ樹脂系サイジング剤を帯熱柔軟化させる。
【0027】
このようにして柔軟化された開繊前炭素繊維束(20)は吸引装置(202)の吸引口に至る。
排出ローラ(204)による炭素繊維束(21)の排出速度は、供給ローラ(201)による開繊前炭素繊維束(20)の供給速度よりも若干遅く設定され、吸引装置(203)の吸引口にて12mm程度の撓み量が生ずるようにされる。
吸引装置(203)は、バキュームポンプ(231)と制御弁(232)により吸引口に風速50m/secの下降気流を連続的に生じせしめる。これにより、吸引口にある開繊前炭素繊維束(20)は下方に引っ張られ、所定量の撓みを生ずる。この撓み量は、吸引装置(203)が備えるセンサ(233)により検知され、検知された撓み量に応じて、供給ローラ(201)による供給速度が制御される。
【0028】
このように開繊前炭素繊維束(20)が、加熱され柔軟化された後に、気流に曝されることで、開繊前炭素繊維束(20)は繊維束幅方向にむけて広がり開繊されると同時に、気流により強制空冷されることにより硬化し、安定した形状の炭素繊維束(21)を得ることができる。
このようにして得られた炭素繊維束(21)は、排出ローラ(204)を経て、巻取機によりロール状にされる。
ロール状にされた炭素繊維束(21)は、その後巻き出され、膨張黒鉛製テープ(23)と積層され、積層体(22)に形成された後、捩じられ、捩体(2)を構成するものとなる。
【0029】
図4は、開繊炭素繊維束(4)を更に巻回する工程途中を示し、図4(a)は、捩体(2)上に開繊炭素繊維束(4)を巻回している状態を示し、図4(b)は、開繊炭素繊維束(4)が巻回された部分の断面を示す。
開繊繊維束(4)は、捩体(2)を補強すると共に固体潤滑材の役目を果たすものである。
捩体(2)を構成する開繊炭素繊維束(21)と同様に、捩体(2)外周面を巻回する開繊炭素繊維束(4)は機械的強度に優れており、また、その機械的強度等の諸性質が、−200℃〜+600℃の間で殆ど変化せず、低温特性、高温特性が共に優れている。従って、開繊繊維束(4)は、常温域は勿論のこと、過酷温度環境下においても確実に捩体(2)を補強することができる。
また、開繊繊維束(4)は耐食性および耐磨耗性に優れているので、化学プラント等の過酷環境下でも長期間の使用に耐えることができる。なお、開繊繊維束(4)の厚さは、0.01〜0.5mmとすることが好ましく、より好ましくは0.15〜0.2mmとされる。これは、厚みが0.01mm未満であると、十分な潤滑性及びシール性が得られなくなるとともに引張強度の低下を引き起こすためである。逆に厚みが0.5mmを超えると、十分な柔軟性が得られないからである。
【0030】
開繊炭素繊維束(4)を捩体(2)外周面に巻回するときには、捩体(2)の捩り方向とは反対方向に開繊炭素繊維束(4)を巻回することが好ましい。反対方向に捩じることで、捩体(2)の捩りが緩むことが防止され、パッキン材料(1)の形状安定性を高めることが出来るためである。尚、開繊炭素繊維束(4)を複数用いて、捩体(2)外周面を巻回してもよい。この場合には、一の開繊炭素繊維束(4)を時計回りに巻回し、他の開繊炭素繊維束(4)を反時計回りに巻回するようにして、互いに異なる方向に巻回することが好ましい。このように巻回すると、使用対象となる流体機器の軸部の回転方向並びに回転往復動によらず、安定したシール性並びに耐久性を発揮可能となる。
尚、捩体(2)の外周面が膨張黒鉛製テープ(23)で構成され、膨張黒鉛製テープ(23)の密度が、0.80〜2.2g/cm3の範囲内にあると、膨張黒鉛製テープ(23)の表面に結晶レベルの凹凸が形成されるので、膨張黒鉛製テープ(23)の上に巻回される開繊炭素繊維束(4)が、膨張黒鉛製テープ(23)の上で安定的に固定されるものとなる。したがって、捩体(2)の軸方向に、巻回される開繊炭素繊維束(4)が移動することが防止され、形状安定性並びに耐久性に優れるパッキン材料(1)を構成することが可能となる。
【0031】
図5は、パッキン材料(1)の製造工程のフローチャートである。
上述の如く、パッキン材料(1)は、捩体形成工程にて捩体(2)が形成され、その後、巻回工程にて、捩体(2)外周面に開繊炭素繊維束(4)が巻回される。これにより、基材(6)が得られる。最後に、被覆工程にて、基材(6)の少なくとも外周面をフッ化エチレン樹脂層(5)で被覆する。
フッ化エチレン樹脂層(5)は、4フッ化エチレン、3フッ化エチレン或いはポリテトラフルオロエチレン等の樹脂から構成される。特に、ポリテトラフルオロエチレン樹脂から、フッ化エチレン樹脂層(5)が形成されることが潤滑性並びにシール性の面から好ましい。
【0032】
図6は、被覆工程の一実施例を示し、図6(a)は、ポリテトラフルオロエチレン製テープ(51)を巻回することにより、フッ化エチレン樹脂層(5)を形成している状態を示し、図6(b)は、ポリテトラフルオロエチレン製テープ(51)を巻回した部分の断面図である。
ポリテトラフルオロエチレン製テープ(51)の厚さは特に限定されるものではないが、好ましくは0.01mm以上0.3mm以下とされる。より好ましくは、0.13mm程度とされる。ポリテトラフルオロエチレン製テープ(51)の厚さが0.3mmを超えると、巻回を行いにくくなり、逆に0.01mm未満であると、使用時に破損する可能性を生ずる。
ポリテトラフルオロエチレン製テープ(51)の幅は、特に限定されるものではないが、好ましくは10mm以上25mm以下とされ、より好ましくは15mm程度とされる。ポリテトラフルオロエチレン製テープ(51)の幅が、25mmを超えると巻回を行いにくくなる一方、10mm未満であると、使用時に破損する可能性を生ずる。
【0033】
ポリテトラフルオロエチレン製テープ(51)は、基材(6)の外周面に一重若しくは二重に巻回される。二重に巻回すると、潤滑性及びシール性を更に向上させることができる。二重にする場合には、互いの巻回方向を逆向きとし、相互に交差するように巻回すると、パッキン材料(1)のシール性及び耐久性を一層高めることができる。また互いの巻回方向が逆向きとなるように二重に巻回することにより、左回転、右回転のいずれの向きに回転する回転軸に対しても同程度のシール性及び耐久性を発揮することができる。
尚、ポリテトラフルオロエチレン製テープ(51)は、少なくとも縁部同士が重なりあうように巻回される。これにより基材(6)の露出が確実に防止される。
【0034】
図7は、パッキン材料(1)に好適に用いられるポリテトラフルオロエチレン製テープ(51)の製造工程のフローチャートである。
ポリテトラフルオロエチレン製テープ(51)の製造工程はシリコンオイル含浸工程と、圧延工程と、焼成工程からなる。
まず、シリコンオイル含浸工程にて、粉末状のポリテトラフルオロエチレンにシリコンオイルを含浸させる。シリコンオイルの含浸量は特に限定されるものではないが、3重量%程度とされる。
その後、圧延工程にて、ポリテトラフルオロエチレン粉末が圧延される。シリコンオイル含浸工程にて、ポリテトラフルオロエチレン粉末にシリコンオイルが含浸されているので、ポリテトラフルオロエチレン粉末は延伸が容易となり、非常に平滑な表面を備えるポリテトラフルオロエチレン製シートを得ることができる。
圧延工程の後、焼成工程にて、ポリテトラフルオロエチレン製シートが焼成される。
このシートを所定幅に裁断することにより細幅のテープ(51)が形成される。
【0035】
図8は、図7に示す製造工程を経て得られたポリテトラフルオロエチレン製テープ(51)の断面の模式図である。
焼成工程により、ポリテトラフルオロエチレン製テープ(51)断面内には多数の独立気泡(511)が形成される。この独立気泡(511)の内部には、シリコンオイル含浸工程にて含浸されたシリコンオイルが内包される。この結果、ポリテトラフルオロエチレン製テープ(51)は長期間断面内部にシリコンオイルを備えることができ、高い潤滑性を長期間発揮することが可能となる。
更には、この独立気泡(511)内部のシリコンオイルはフッ化エチレン樹脂層(5)の放熱性を高め、パッキン材料(1)は高い放熱性を備えることとなり、摺動特性が向上する。
【0036】
ポリテトラフルオロエチレン製テープ(51)を巻回する方法以外の方法として、基材(6)を、ポリテトラフルオロエチレンを含む液中に浸漬して、その後、液中から基材(6)を取り出し、基材(6)外周面に付着したポリテトラフルオロエチレン液を乾燥させて、基材(6)外周面を被覆してもよい。
このような方法によれば、基材(6)内部にまで、ポリテトラフルオロエチレン成分が侵入するので、一層高い潤滑性を備えるパッキン材料(1)を構成することが可能となる。
【0037】
尚、フッ化エチレン樹脂層(5)が顔料を含むように形成されてもよい。顔料を含めることにより、例えば、用途別に異なる色彩を付されたパッキン材料(1)を得ることができる。
ポリテトラフルオロエチレン製テープ(51)を巻回してなるフッ化エチレン樹脂層(5)である場合には、図8に示す圧延工程において顔料を混ぜればよく、基材(6)を、ポリテトラフルオロエチレンを含む液中に浸漬する場合には、該液中に顔料を混ぜればよい。
【0038】
上記の如くして、フッ化エチレン樹脂層(5)を形成した後、更に焼成することが好ましい。
焼成は、370℃以下、より好ましくは345℃以上355℃以下の温度に保たれた炉内にパッキン材料(1)を入れて行われる。このようにパッキン材料(1)を焼成することにより、フッ化エチレン層(5)のパッキン使用時の熱収縮が低減され、パッキン材料(1)の耐久性及びシール性が向上する。
【0039】
図9は、捩体(2)の応用形態を示す。
捩体(2)を構成する積層体(22)の上面に単数の補強線材(7)を配し、補強線材(7)を芯材として、積層体(22)を捩り、捩体(2)を形成してもよい。
補強線材(7)の材質は特に限定されるものではないが、インコネル線、SUS線、アラミド樹脂繊維糸、炭化繊維糸、炭素繊維糸、木綿繊維糸、ポリテトラフルオロエチレン繊維糸、アルミニウム線、アルミニウム合金線、銅線、銅合金線等が好適である。
このように補強線材(7)を設けることにより、パッキン材料(1)の引張強度を増加させることができる。尚、本発明においては、補強線材(7)周囲を圧縮復元性の高い膨張黒鉛製テープ(23)と開繊繊維束(21)との積層体で覆い、更にその外周面を開繊炭素繊維束(4)で巻回するので、補強線材(7)によるパッキン材料(1)の圧縮復元性への影響は無視できる程度のものとなる。
【0040】
図10は、グランドパッキンの製造工程を示すフローチャートである。
図10において、パッキン材料準備工程として示されているのは、上記図1乃至図9に関連して説明したパッキン材料(1)を得るまでの工程である。
上述の如くして得られたパッキン材料(1)に対して、編体形成工程が施される。
図11は、編体形成工程から得られる編体(10)の様々な形態を示す。図11(a)乃至図11(d)はそれぞれ異なる形態の編体(10)を示している。
【0041】
編体形成工程にて、パッキン材料(1)は編組される。この編組の形態は様々なものが適用可能であり、例えば、一本又は複数本のパッキン材料(1)を編組して、丸編紐、角編紐等の編紐や、丸打紐、角打紐等の紐体(図11(a)乃至図11(d)参照)を得ることができる。打紐の場合には、四つ打ち、八つ打ち、十六打ち、十八打ち、二十四打ち、三十二打ち等、任意の打ち方が可能である。このようにして、編体(10)が形成可能となる。
【0042】
尚、編体形成工程の前或いは後に、パッキン材料(1)にシリコンオイル、流動パラフィン、ワックス、分散質ポリテトラフルオロエチレン或いは分散質黒鉛等の潤滑材を少なくともいずれか一種含浸させることが好ましい。分散質ポリテトラフルオロエチレン、分散質黒鉛とは、それぞれ、微粒子状のポリテトラフルオロエチレン、黒鉛を分散媒中に分散させたものである。
そして、その後、編体(10)は環状に加圧成形され、グランドパッキンが得られる。
上述のように潤滑材を含浸させた後加圧成形を行うことで、グランドパッキンの潤滑性が更に向上する。含浸方法としては、自然含浸、真空含浸のいずれを採用してもよい。
【0043】
上記の如くして、加圧成形工程を経て、グランドパッキンを得た後に、このグランドパッキンを、370℃以下、より好ましくは345℃以上355℃以下の温度に保たれた炉内にグランドパッキンを入れて、焼成が行われる。このようにグランドパッキンを焼成することにより、フッ化エチレン層(5)のパッキン使用時の熱収縮が低減され、区ランドパッキンの耐久性及びシール性が向上する。
【0044】
(試験例1)
図12に、本発明のパッキン材料と従来のパッキン材料の熱収縮率並びに熱減量の比較試験結果を示す。図12(a)は、パッキン材料の長さの収縮率を示し、図12(b)は、パッキン材料の熱減量を示す。
従来のパッキン材料として、炭素繊維にポリテトラフルオロエチレンを含浸させ、紐状のグランドパッキン材料に仕上げたものを用いた。本試験に用いられたパッキン材料の寸法は、ともに直径9.5mm、長さ100mmである。
尚、試験は、上記パッキン材料を加熱炉に入れ、電気炉の温度を160℃、200℃及び260℃に設定し、パッキン材料を1時間加熱し、加熱前後の寸法並びに重量を計測する形態で行われた。
【0045】
図12に示すように、本発明のパッキン材料は寸法形状並びに重量とも、試験温度の範囲内で略一定であり、ほとんど収縮・減量を示さない。一方で、従来のパッキン材料は、温度が高くなるにつれて、寸法形状並びに重量が低減する。
したがって、本発明のパッキン材料は、従来のパッキン材料と較べて、高温領域における性能低下が少ないといえる。
【0046】
(試験例2)
図13は、図12の試験に用いた材料を用いて、グランドパッキンを成型し、この成型されたグランドパッキンの熱減量を示す。
尚、成型されたグランドパッキンは、ともに外径44.0mm、内径25.5mm及び厚さ9.25mmの寸法に成型された。また、加熱条件は、試験例1と同様である。
図13に示す結果は、図12に示すグランドパッキン成型前のパッキン材料と略同様であり、本発明のグランドパッキンは、従来のグランドパッキンと較べて、高温領域における性能低下が少なく、安定した性能を発揮できるといえる。
【0047】
(試験例3)
更に、図12に示すパッキン材料から形成されるグランドパッキンに対して熱サイクル試験を行った。
図14は、熱サイクル試験機の概略図である。この熱サイクル試験機は、ドイツのAMTEC社製のTEMES試験装置であり、試験装置の概略は以下の如くである。
熱サイクル試験機(E)は、流入圧力4.0kgf/cm2でヘリウムガスが流入されるチャンバ(C)を備える。チャンバ(C)内には、ステム(S)が挿入される。ステム(S)を外嵌するように複数(図14中においては6リング)のグランドパッキン(G)が配される。
ステム(S)は、55mmのストローク長で往復動作し、ステム(S)外周面とグランドパッキン(G)の内周面の間を通過したヘリウムガスの流量が計測される。グランドパッキン(G)はボルト(B)により締め付けられ(締付トルク300kgf・m)、試験機(E)に固定されている。
【0048】
グランドパッキン(G)は、外径56.0mm、内径40.0mm及び厚さ8.0mmに成型されたものが用いられた。
ステム(S)は上記ストロークで120分間連続動作をし、計200サイクルの往復動を行った。
また、このようなステム(S)の往復動作に伴うヘリウムガス漏出試験は、試験機(E)を160℃、200℃並びに260℃の加熱した条件でそれぞれ行われた。
表1に上記試験から得られたヘリウム漏出量の結果を示す。
【0049】
【表1】
【0050】
表1に示す如く、本発明のグランドパッキンは全くヘリウムガスの漏出の検知がされなかったのに対し、従来のグランドパッキンは、全ての加熱条件でヘリウムガスの漏出が検知された。
したがって、本発明のグランドパッキンは、従来にない高いシール性を発揮するといえる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、流体機器、特に高温雰囲気下で且つ高度なシール性が要求される流体機器に好適に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係るパッキン材料の斜視図である。
【図2】本発明に係るパッキン材料の捩体を示す図である。
【図3】本発明に係るパッキン材料の開繊束を製造する工程を示す概略図である。
【図4】図2に示す捩体に開繊炭素繊維束を巻回している状態を示す図である。
【図5】本発明のパッキン材料の製造工程を示すフローチャートである。
【図6】本発明のパッキン材料の製造工程の被覆工程の一形態を示す図である。
【図7】本発明のパッキン材料を構成するポリテトラフルオロエチレンテープの製造工程を示すフローチャートである。
【図8】本発明のパッキン材料を構成するポリテトラフルオロエチレンテープの概略断面図である。
【図9】本発明のパッキン材料の捩体の他の形態を示す図である。
【図10】本発明のグランドパッキンの製造方法を示すフローチャートである。
【図11】本発明のグランドパッキンの編体を示す図である。
【図12】本発明のパッキン材料の熱収縮並びに熱減量の試験の結果を示すグラフである。
【図13】本発明のグランドパッキンの熱減量の試験の結果を示すグラフである。
【図14】本発明のグランドパッキンの熱サイクル試験の装置(ドイツ国、AMTEC社製TEMES試験装置)の概略構成図である。
【符号の説明】
【0053】
1・・・・パッキン材料
2・・・・捩体
21・・・開繊炭素繊維束
22・・・積層体
23・・・膨張黒鉛製テープ
4・・・・開繊炭素繊維束
5・・・・フッ化エチレン樹脂層
51・・・ポリテトラフルオロエチレン製テープ
6・・・・基材
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール性、潤滑性及び放熱性に優れたパッキン材料及び該パッキン材料を用いたグランドパッキン並びにパッキン材料の製造方法及びグランドパッキンの製造方法に関する。より詳しくは、厳しい条件化で回転及び往復動する流体機器を軸封するパッキン材料及び該パッキン材料を用いたグランドパッキン並びにパッキン材料の製造方法及びグランドパッキンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の環境に対する意識の高まりとともに、環境汚染因子に対する様々な規制が世界中で設けられるようになってきている。このような規制は、自動車からの排ガスのような一般に使用される工業製品のみならず、工業製品を作り出すための製造工程からの排出物にまで及んでいる。
【0003】
流体機器は、様々な用途で、あらゆる製造工程に用いられる装置である。グランドパッキンは、流体機器の軸封を行う用途に用いられ、流体機器中を流れる流体の流体機器からの漏出を防止する役割を担う。
グランドパッキンには、主として、シール性、潤滑性、応力緩和特性及び熱減量(放熱性)などといった諸性能が要求される。潤滑性は、流体機器の軸部との摩擦を低減し、この摩擦力の低減作用はグランドパッキンの耐久性の向上に寄与する。放熱性は、グランドパッキンの使用における経時劣化を低減し、グランドパッキンの耐久性の向上に寄与する。
グランドパッキンの耐久性の向上は、結果として、長期の流体機器の軸封機能を保証し、流体機器内部を流れる流体の漏出防止を保証するものとなる。
特許文献1には、このようなシール性、潤滑性及び放熱性に優れるグランドパッキン並びに該グランドパッキンを構成するパッキン材料が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−129440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に提案されるグランドパッキンは、高い水準のシール性、潤滑性及び放熱性を備えるものであるが、上記のような環境基準の高まりは、特許文献1のグランドパッキン以上のシール性を要求し、更により長期的なシール性の維持機能を要求するものとなっている。
特許文献1に提案されるグランドパッキンは、膨張黒鉛を用いて構成され、膨張黒鉛の備える優れた潤滑性並びに圧縮復元性によるシール性を発揮するものであったが、膨張黒鉛が有する脆い構造により、膨張黒鉛片がグランドパッキンから剥がれ、これに起因してシール性が経時的に劣化するという問題があった。
これを防止するために、アルミニウムやニッケルの薄膜を外周面に巻回するといった手法も特許文献1は提案しているが、このような構造を採用すると、膨張黒鉛が本来発揮する圧縮復元性を損なうものとなり、シール性が劣化するという問題を生ずるものとなる。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、従来以上に高いシール性、潤滑性及び放熱性を備えるパッキン材料及びグランドパッキン並びにパッキン材料の製造方法及びグランドパッキンの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、略紐状に形成されるパッキン材料であって、膨張黒鉛製テープと開繊された炭素繊維からなる繊維束で構成される積層体を捩じって形成された捩体と、該捩体の外周面に対して、該捩体の捩り方向と反対方向に巻回される開繊炭素繊維束と、前記捩体の外周面に巻回された開繊炭素繊維束の少なくとも外周面を覆うように形成されるフッ化エチレン樹脂層からなることを特徴とするパッキン材料である。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記フッ化エチレン樹脂層が、細幅に形成されたシート状のポリテトラフルオロエチレン製テープを巻回して形成されることを特徴とする請求項1記載のパッキン材料である。
請求項3記載の発明は、前記フッ化エチレン樹脂層が、前記繊維束が巻回された基材をポリテトラフルオロエチレン液中に浸漬することにより形成されることを特徴とする請求項1記載のパッキン材料である。
請求項4記載の発明は、前記ポリテトラフルオロエチレン製テープ内部に独立気泡が形成され、該独立気泡内部にシリコンオイルが内包されることを特徴とする請求項2記載のパッキン材料である。
請求項5記載の発明は、370℃を超えない温度で焼成されることを特徴とする請求項1記載のパッキン材料である。
請求項6記載の発明は、前記フッ化エチレン樹脂層が顔料を含むことを特徴とする請求項1記載のパッキン材料である。
請求項7記載の発明は、前記捩体の中心に、単数の補強線材が配されることを特徴とする請求項1記載のパッキン材料である。
【0008】
請求項8記載の発明は、略紐状に形成される複数のパッキン材料を編組してなる編体を、加圧成形してなるグランドパッキンであって、前記パッキン材料が、膨張黒鉛製テープと開繊された炭素糸からなる繊維束で構成される積層体を捩じって形成された捩体と、該捩体の外周面に対して、該捩体の捩り方向と反対方向に巻回される開繊炭素繊維束と、前記捩体の外周面に巻回された開繊炭素繊維束の少なくとも外周面を覆うように形成されるフッ化エチレン樹脂層からなることを特徴とするグランドパッキンである。
請求項9記載の発明は、370℃を超えない温度で焼成されることを特徴とする請求項8記載のグランドパッキンである。
【0009】
請求項10記載の発明は、膨張黒鉛製テープと開繊された炭素繊維からなる繊維束で構成される積層体を捩じって、捩体を形成する捩体形成工程と、前記捩体外周面を、開繊炭素繊維束で巻回して基材を形成する巻回工程と、前記基材の少なくとも外面を、フッ化エチレン樹脂からなる層で被覆する被覆工程からなることを特徴とするパッキン材料の製造方法である。
請求項11記載の発明は、複数の紐状のパッキン材料を準備するパッキン材料準備工程と、該パッキン材料を編組して編体を形成する編体形成工程と、該編体を加圧成形して所望形状のグランドパッキンを形成する加圧成形工程からなるグランドパッキンの製造方法であって、前記パッキン材料準備工程が、膨張黒鉛製テープと開繊された炭素繊維からなる繊維束で構成される積層体を捩じって、捩体を形成する捩体形成工程と、前記捩体外周面を、開繊炭素繊維束で巻回して基材を形成する巻回工程と、前記基材の少なくとも外面を、フッ化エチレン樹脂からなる層で被覆する被覆工程からなることを特徴とするグランドパッキンの製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、膨張黒鉛により高い圧縮復元性をもたらすとともに、炭素繊維束が高い機械的強度をもたらす。また、フッ化エチレン樹脂層により、流体機器との高い密着性が得られる。
したがって、長期間にわたって、高いシール性を発揮可能となる。
請求項2及び3記載の発明によれば、膨張黒鉛基材外周面がフッ化エチレン樹脂層で確実に被覆され、高い潤滑性を備えるパッキン材料となる。
請求項4記載の発明によれば、フッ化エチレン樹脂層の放熱性を高めることができ、放熱性に優れるパッキン材料となる。
請求項5記載の発明によれば、パッキン材料の耐久性及びシール性が更に高まるものとなる。
請求項6記載の発明によれば、用途別に分類容易なパッキン材料となる。
請求項7記載の発明によれば、補強線材により、パッキン材料が丈夫なものとなる。
【0011】
請求項8記載の発明によれば、膨張黒鉛により高い圧縮復元性をもたらすとともに、炭素繊維束が高い機械的強度をもたらす。また、フッ化エチレン樹脂層により、流体機器との高い密着性が得られる。
したがって、総じて本発明に係るグランドパッキンは、従来以上に高いシール性並びに耐久性を発揮することが可能となる。
請求項9記載の発明によれば、高い機械的強度とシール性を備えるパッキン材料を製造することができる。
請求項10記載の発明によれば、高い機械的強度とシール性を備えるグランドパッキンを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係るパッキン材料及び該パッキン材料を用いたグランドパッキン並びにパッキン材料の製造方法及びグランドパッキンの製造方法について、図を参照しつつ説明する。
図1は、本発明に係るパッキン材料の概略斜視図である。
パッキン材料(1)は、全体として略紐状に形成される。パッキン材料(1)は、その断面の略中心に配される捩体(2)と、捩体(2)の外周に配される開繊炭素繊維束(4)と、繊維束(4)の少なくとも外周面を被覆するフッ化エチレン樹脂層(5)からなる。
【0013】
図2は、捩体(2)を示す図である。図2(a)は、捩体(2)の形成途中の状態を示し、図2(b)は捩体(2)に形成される積層体を示す。
捩体(2)は、開繊して得られた複数の炭素繊維の束(21)と、膨張黒鉛製テープ(23)とを積層した積層体(22)を捩じることにより紐状に形成して得られる。
【0014】
積層体(22)は、開繊炭素繊維束(21)と膨張黒鉛製テープ(23)との間に接着剤層(24)を備え、開繊炭素繊維束(21)と膨張黒鉛製テープ(23)とを一体的に接合する構造である。
接着剤層(24)の種類は特に限定されず、有機質系接着剤、無機質系接着剤、無機有機混合質系接着剤など、種々の接着剤から構成することができ、その形態も、液状、エマルジョン、フィルム状、不織布状など種々の形態を採ることができる。また、その配設方法も特に限定されず、塗布、熱圧着、吹き付けなど、種々の方法を採用することが可能である。
【0015】
なお、接着剤層(24)には、できれば水溶性の熱可塑性樹脂接着剤を使用することが好ましく、中でも無公害性のポリビニルアルコール(PVA)が用いることが好ましい。また、ポリビニルアルコールは、液状のまま膨張黒鉛製テープ(23)の表面或いは炭素繊維束(21)の表面に塗布するか、又は吹き付けることにより配設することができる。吹き付けによって配設する場合には、例えば不織布状に配設することができる。
【0016】
ポリビニルアルコールを不織布状に配設する場合、接着剤層(24)は、ポリビニルアルコール樹脂繊維が不規則な方向に伸びて積層され、且つそれら樹脂繊維が相互に固着されてシート状とされる。このような構造の接着剤層(24)は、あらゆる方向の引張に対して大きな引張強さを有し、特に帯状に加工された状態でその軸長方向の引張に対して大きな引張強さを発揮することができる。
【0017】
なお、膨張黒鉛製テープ(23)と開繊繊維束(21)を接着する際には、その間にポリビニルアルコール等の接着剤層(24)を介在させ積層した状態でその両面に圧力を加え、或いは加熱しながら圧力を加えることで、これらを強固に積層一体化することができる。
【0018】
膨張黒鉛製テープ(23)としては、天然黒鉛、熱分解黒鉛、キッシュ黒鉛等の黒鉛粉末を、濃硫酸、濃硝酸等と反応させて一旦層間化合物とした後、水洗などを経て残留化合物を得、これを急熱して膨張させて得られる膨張可撓性黒鉛そのものを、ロール材等により圧縮成形したシート状のものを使用することができる。
【0019】
膨張黒鉛製テープ(23)の密度は、特に限定されるものではないが、0.80〜2.2g/cm3 であることが好ましい。密度がこの範囲内にあると、膨張黒鉛製テープ(23)の表面に結晶レベルの凹凸が形成され、その上に積層されるものにアンカー効果を生じさせることができる。これに対し、密度が0.80g/cm3 未満であると組織のきめが粗くなり過ぎ、パッキンにしたときのシール性が低下する。逆に、密度が2.2g/cm3 を超えると、組織のきめが細かくなり過ぎてアンカー効果を生じさせにくくなり、開繊繊維束(21)との積層を良好に行い得ない可能性がある。
【0020】
また、膨張黒鉛製テープ(23)の厚みは、特に限定されるものではないが、0.10〜1.5mm程度とされることが好ましい。厚みが0.10mm未満であると、膨張黒鉛が有する優れた耐熱性、耐食性、耐磨耗性を発現させることができない。また、このように極薄のものは製造が困難であって経済的でない。逆に、厚みが1.5mmを超えると、膨張黒鉛の脆さが現れてしまう。
【0021】
開繊繊維束(21)は、膨張黒鉛製テープ(23)を補強すると共に固体潤滑材の役目を果たすものである。この開繊繊維束(21)は、接着剤層(24)を介して膨張黒鉛製テープ(23)の表面に積層される。その積層方法は、上記した方法を採用することができるが、接着剤として熱融着フィルムを用いる場合には、例えば、PVA不織布、PVAフィルム、ポリエチレンフィルム、オレフィン系フィルム、ウレタン系フィルムを用いることができる。
【0022】
開繊繊維束(21)は機械的強度に優れており、また、その機械的強度等の諸性質が、−200℃〜+600℃の間で殆ど変化せず、低温特性、高温特性が共に優れている。従って、開繊繊維束(21)は、常温域は勿論のこと、過酷温度環境下においても確実に膨張黒鉛製テープ(23)を補強することができる。
また、開繊繊維束(21)は耐食性および耐磨耗性に優れているので、化学プラント等の過酷環境下でも長期間の使用に耐えることができる。なお、開繊繊維束(21)の厚さは、0.01〜0.5mmとすることが好ましく、より好ましくは0.15〜0.2mmとされる。これは、厚みが0.05mm未満であると、十分な潤滑性及びシール性が得られず、逆に厚みが0.5mmを超えると、十分な柔軟性が得られないからである。
【0023】
捩体(2)は、上記の積層体(22)を一方向に捩じることにより形成される。尚、本発明においては、積層体(22)を構成する膨張黒鉛製テープ(23)が捩体(2)の外周面を構成するように捩じってもよいし、開繊繊維束(21)が捩体(2)の外周面を構成するように捩じってもよい。尚、図1及び図2に示す例においては、膨張黒鉛製テープ(23)が、捩体(2)の外周面を形成するように捩じった形態を示している。
膨張黒鉛製テープ(23)が外周面を構成するように捩体(2)を形成すると、パッキン材料(1)の断面中心に開繊炭素繊維束(21)が配されることになり、形状安定性に優れるパッキン材料(1)が構成されることとなる。
開繊炭素繊維束(21)が外周面を構成するように捩体(2)を形成すると、パッキン材料(1)の断面中心に膨張黒鉛製テープ(23)が配されることとなり、圧縮復元性に優れるパッキン材料(1)が構成されることとなる。
尚、膨張黒鉛製テープ(23)と開繊炭素繊維束(21)のいずれを捩体(2)の外周面側に配したとしても、従来のパッキン材料よりも優れたシール性並びに耐久性を発揮可能である。
【0024】
図3は、開繊された炭素繊維束(21)の開繊工程の一例を示す。
図3に示す開繊装置(200)は、給糸機(図示せず)から供給される開繊前炭素繊維束(20)を上下に挟持するとともに開繊前炭素繊維束(20)を下流へ促す供給ローラ(201)と、供給ローラ(201)の下流側に配される熱風供給器(202)と、熱風供給器(202)下流側に配される吸引口を備える吸引装置(203)及び最下流に配される排出ローラ(204)から主に構成される。
【0025】
図3において示される開繊前炭素繊維束(20)は、7μmの炭素繊維からなる束をエポキシ樹脂系サイジング剤によって、幅6.1mm、厚さ0.1mmの偏平状態にした繊維束であり、これが給糸機から供給ローラ(201)へ送られる。この開繊前炭素繊維束(20)は、給糸機から5m/minの流送速度で線状に連続的に送られる。
【0026】
供給ローラ(201)から下流へ送られた開繊前炭素繊維束(20)は熱風供給器(202)により加熱される。熱風供給器(202)は開繊前炭素繊維束(20)の上方20mmの位置に配され、200℃の熱風を風速10m/secで吹きつけ、エポキシ樹脂系サイジング剤を帯熱柔軟化させる。
【0027】
このようにして柔軟化された開繊前炭素繊維束(20)は吸引装置(202)の吸引口に至る。
排出ローラ(204)による炭素繊維束(21)の排出速度は、供給ローラ(201)による開繊前炭素繊維束(20)の供給速度よりも若干遅く設定され、吸引装置(203)の吸引口にて12mm程度の撓み量が生ずるようにされる。
吸引装置(203)は、バキュームポンプ(231)と制御弁(232)により吸引口に風速50m/secの下降気流を連続的に生じせしめる。これにより、吸引口にある開繊前炭素繊維束(20)は下方に引っ張られ、所定量の撓みを生ずる。この撓み量は、吸引装置(203)が備えるセンサ(233)により検知され、検知された撓み量に応じて、供給ローラ(201)による供給速度が制御される。
【0028】
このように開繊前炭素繊維束(20)が、加熱され柔軟化された後に、気流に曝されることで、開繊前炭素繊維束(20)は繊維束幅方向にむけて広がり開繊されると同時に、気流により強制空冷されることにより硬化し、安定した形状の炭素繊維束(21)を得ることができる。
このようにして得られた炭素繊維束(21)は、排出ローラ(204)を経て、巻取機によりロール状にされる。
ロール状にされた炭素繊維束(21)は、その後巻き出され、膨張黒鉛製テープ(23)と積層され、積層体(22)に形成された後、捩じられ、捩体(2)を構成するものとなる。
【0029】
図4は、開繊炭素繊維束(4)を更に巻回する工程途中を示し、図4(a)は、捩体(2)上に開繊炭素繊維束(4)を巻回している状態を示し、図4(b)は、開繊炭素繊維束(4)が巻回された部分の断面を示す。
開繊繊維束(4)は、捩体(2)を補強すると共に固体潤滑材の役目を果たすものである。
捩体(2)を構成する開繊炭素繊維束(21)と同様に、捩体(2)外周面を巻回する開繊炭素繊維束(4)は機械的強度に優れており、また、その機械的強度等の諸性質が、−200℃〜+600℃の間で殆ど変化せず、低温特性、高温特性が共に優れている。従って、開繊繊維束(4)は、常温域は勿論のこと、過酷温度環境下においても確実に捩体(2)を補強することができる。
また、開繊繊維束(4)は耐食性および耐磨耗性に優れているので、化学プラント等の過酷環境下でも長期間の使用に耐えることができる。なお、開繊繊維束(4)の厚さは、0.01〜0.5mmとすることが好ましく、より好ましくは0.15〜0.2mmとされる。これは、厚みが0.01mm未満であると、十分な潤滑性及びシール性が得られなくなるとともに引張強度の低下を引き起こすためである。逆に厚みが0.5mmを超えると、十分な柔軟性が得られないからである。
【0030】
開繊炭素繊維束(4)を捩体(2)外周面に巻回するときには、捩体(2)の捩り方向とは反対方向に開繊炭素繊維束(4)を巻回することが好ましい。反対方向に捩じることで、捩体(2)の捩りが緩むことが防止され、パッキン材料(1)の形状安定性を高めることが出来るためである。尚、開繊炭素繊維束(4)を複数用いて、捩体(2)外周面を巻回してもよい。この場合には、一の開繊炭素繊維束(4)を時計回りに巻回し、他の開繊炭素繊維束(4)を反時計回りに巻回するようにして、互いに異なる方向に巻回することが好ましい。このように巻回すると、使用対象となる流体機器の軸部の回転方向並びに回転往復動によらず、安定したシール性並びに耐久性を発揮可能となる。
尚、捩体(2)の外周面が膨張黒鉛製テープ(23)で構成され、膨張黒鉛製テープ(23)の密度が、0.80〜2.2g/cm3の範囲内にあると、膨張黒鉛製テープ(23)の表面に結晶レベルの凹凸が形成されるので、膨張黒鉛製テープ(23)の上に巻回される開繊炭素繊維束(4)が、膨張黒鉛製テープ(23)の上で安定的に固定されるものとなる。したがって、捩体(2)の軸方向に、巻回される開繊炭素繊維束(4)が移動することが防止され、形状安定性並びに耐久性に優れるパッキン材料(1)を構成することが可能となる。
【0031】
図5は、パッキン材料(1)の製造工程のフローチャートである。
上述の如く、パッキン材料(1)は、捩体形成工程にて捩体(2)が形成され、その後、巻回工程にて、捩体(2)外周面に開繊炭素繊維束(4)が巻回される。これにより、基材(6)が得られる。最後に、被覆工程にて、基材(6)の少なくとも外周面をフッ化エチレン樹脂層(5)で被覆する。
フッ化エチレン樹脂層(5)は、4フッ化エチレン、3フッ化エチレン或いはポリテトラフルオロエチレン等の樹脂から構成される。特に、ポリテトラフルオロエチレン樹脂から、フッ化エチレン樹脂層(5)が形成されることが潤滑性並びにシール性の面から好ましい。
【0032】
図6は、被覆工程の一実施例を示し、図6(a)は、ポリテトラフルオロエチレン製テープ(51)を巻回することにより、フッ化エチレン樹脂層(5)を形成している状態を示し、図6(b)は、ポリテトラフルオロエチレン製テープ(51)を巻回した部分の断面図である。
ポリテトラフルオロエチレン製テープ(51)の厚さは特に限定されるものではないが、好ましくは0.01mm以上0.3mm以下とされる。より好ましくは、0.13mm程度とされる。ポリテトラフルオロエチレン製テープ(51)の厚さが0.3mmを超えると、巻回を行いにくくなり、逆に0.01mm未満であると、使用時に破損する可能性を生ずる。
ポリテトラフルオロエチレン製テープ(51)の幅は、特に限定されるものではないが、好ましくは10mm以上25mm以下とされ、より好ましくは15mm程度とされる。ポリテトラフルオロエチレン製テープ(51)の幅が、25mmを超えると巻回を行いにくくなる一方、10mm未満であると、使用時に破損する可能性を生ずる。
【0033】
ポリテトラフルオロエチレン製テープ(51)は、基材(6)の外周面に一重若しくは二重に巻回される。二重に巻回すると、潤滑性及びシール性を更に向上させることができる。二重にする場合には、互いの巻回方向を逆向きとし、相互に交差するように巻回すると、パッキン材料(1)のシール性及び耐久性を一層高めることができる。また互いの巻回方向が逆向きとなるように二重に巻回することにより、左回転、右回転のいずれの向きに回転する回転軸に対しても同程度のシール性及び耐久性を発揮することができる。
尚、ポリテトラフルオロエチレン製テープ(51)は、少なくとも縁部同士が重なりあうように巻回される。これにより基材(6)の露出が確実に防止される。
【0034】
図7は、パッキン材料(1)に好適に用いられるポリテトラフルオロエチレン製テープ(51)の製造工程のフローチャートである。
ポリテトラフルオロエチレン製テープ(51)の製造工程はシリコンオイル含浸工程と、圧延工程と、焼成工程からなる。
まず、シリコンオイル含浸工程にて、粉末状のポリテトラフルオロエチレンにシリコンオイルを含浸させる。シリコンオイルの含浸量は特に限定されるものではないが、3重量%程度とされる。
その後、圧延工程にて、ポリテトラフルオロエチレン粉末が圧延される。シリコンオイル含浸工程にて、ポリテトラフルオロエチレン粉末にシリコンオイルが含浸されているので、ポリテトラフルオロエチレン粉末は延伸が容易となり、非常に平滑な表面を備えるポリテトラフルオロエチレン製シートを得ることができる。
圧延工程の後、焼成工程にて、ポリテトラフルオロエチレン製シートが焼成される。
このシートを所定幅に裁断することにより細幅のテープ(51)が形成される。
【0035】
図8は、図7に示す製造工程を経て得られたポリテトラフルオロエチレン製テープ(51)の断面の模式図である。
焼成工程により、ポリテトラフルオロエチレン製テープ(51)断面内には多数の独立気泡(511)が形成される。この独立気泡(511)の内部には、シリコンオイル含浸工程にて含浸されたシリコンオイルが内包される。この結果、ポリテトラフルオロエチレン製テープ(51)は長期間断面内部にシリコンオイルを備えることができ、高い潤滑性を長期間発揮することが可能となる。
更には、この独立気泡(511)内部のシリコンオイルはフッ化エチレン樹脂層(5)の放熱性を高め、パッキン材料(1)は高い放熱性を備えることとなり、摺動特性が向上する。
【0036】
ポリテトラフルオロエチレン製テープ(51)を巻回する方法以外の方法として、基材(6)を、ポリテトラフルオロエチレンを含む液中に浸漬して、その後、液中から基材(6)を取り出し、基材(6)外周面に付着したポリテトラフルオロエチレン液を乾燥させて、基材(6)外周面を被覆してもよい。
このような方法によれば、基材(6)内部にまで、ポリテトラフルオロエチレン成分が侵入するので、一層高い潤滑性を備えるパッキン材料(1)を構成することが可能となる。
【0037】
尚、フッ化エチレン樹脂層(5)が顔料を含むように形成されてもよい。顔料を含めることにより、例えば、用途別に異なる色彩を付されたパッキン材料(1)を得ることができる。
ポリテトラフルオロエチレン製テープ(51)を巻回してなるフッ化エチレン樹脂層(5)である場合には、図8に示す圧延工程において顔料を混ぜればよく、基材(6)を、ポリテトラフルオロエチレンを含む液中に浸漬する場合には、該液中に顔料を混ぜればよい。
【0038】
上記の如くして、フッ化エチレン樹脂層(5)を形成した後、更に焼成することが好ましい。
焼成は、370℃以下、より好ましくは345℃以上355℃以下の温度に保たれた炉内にパッキン材料(1)を入れて行われる。このようにパッキン材料(1)を焼成することにより、フッ化エチレン層(5)のパッキン使用時の熱収縮が低減され、パッキン材料(1)の耐久性及びシール性が向上する。
【0039】
図9は、捩体(2)の応用形態を示す。
捩体(2)を構成する積層体(22)の上面に単数の補強線材(7)を配し、補強線材(7)を芯材として、積層体(22)を捩り、捩体(2)を形成してもよい。
補強線材(7)の材質は特に限定されるものではないが、インコネル線、SUS線、アラミド樹脂繊維糸、炭化繊維糸、炭素繊維糸、木綿繊維糸、ポリテトラフルオロエチレン繊維糸、アルミニウム線、アルミニウム合金線、銅線、銅合金線等が好適である。
このように補強線材(7)を設けることにより、パッキン材料(1)の引張強度を増加させることができる。尚、本発明においては、補強線材(7)周囲を圧縮復元性の高い膨張黒鉛製テープ(23)と開繊繊維束(21)との積層体で覆い、更にその外周面を開繊炭素繊維束(4)で巻回するので、補強線材(7)によるパッキン材料(1)の圧縮復元性への影響は無視できる程度のものとなる。
【0040】
図10は、グランドパッキンの製造工程を示すフローチャートである。
図10において、パッキン材料準備工程として示されているのは、上記図1乃至図9に関連して説明したパッキン材料(1)を得るまでの工程である。
上述の如くして得られたパッキン材料(1)に対して、編体形成工程が施される。
図11は、編体形成工程から得られる編体(10)の様々な形態を示す。図11(a)乃至図11(d)はそれぞれ異なる形態の編体(10)を示している。
【0041】
編体形成工程にて、パッキン材料(1)は編組される。この編組の形態は様々なものが適用可能であり、例えば、一本又は複数本のパッキン材料(1)を編組して、丸編紐、角編紐等の編紐や、丸打紐、角打紐等の紐体(図11(a)乃至図11(d)参照)を得ることができる。打紐の場合には、四つ打ち、八つ打ち、十六打ち、十八打ち、二十四打ち、三十二打ち等、任意の打ち方が可能である。このようにして、編体(10)が形成可能となる。
【0042】
尚、編体形成工程の前或いは後に、パッキン材料(1)にシリコンオイル、流動パラフィン、ワックス、分散質ポリテトラフルオロエチレン或いは分散質黒鉛等の潤滑材を少なくともいずれか一種含浸させることが好ましい。分散質ポリテトラフルオロエチレン、分散質黒鉛とは、それぞれ、微粒子状のポリテトラフルオロエチレン、黒鉛を分散媒中に分散させたものである。
そして、その後、編体(10)は環状に加圧成形され、グランドパッキンが得られる。
上述のように潤滑材を含浸させた後加圧成形を行うことで、グランドパッキンの潤滑性が更に向上する。含浸方法としては、自然含浸、真空含浸のいずれを採用してもよい。
【0043】
上記の如くして、加圧成形工程を経て、グランドパッキンを得た後に、このグランドパッキンを、370℃以下、より好ましくは345℃以上355℃以下の温度に保たれた炉内にグランドパッキンを入れて、焼成が行われる。このようにグランドパッキンを焼成することにより、フッ化エチレン層(5)のパッキン使用時の熱収縮が低減され、区ランドパッキンの耐久性及びシール性が向上する。
【0044】
(試験例1)
図12に、本発明のパッキン材料と従来のパッキン材料の熱収縮率並びに熱減量の比較試験結果を示す。図12(a)は、パッキン材料の長さの収縮率を示し、図12(b)は、パッキン材料の熱減量を示す。
従来のパッキン材料として、炭素繊維にポリテトラフルオロエチレンを含浸させ、紐状のグランドパッキン材料に仕上げたものを用いた。本試験に用いられたパッキン材料の寸法は、ともに直径9.5mm、長さ100mmである。
尚、試験は、上記パッキン材料を加熱炉に入れ、電気炉の温度を160℃、200℃及び260℃に設定し、パッキン材料を1時間加熱し、加熱前後の寸法並びに重量を計測する形態で行われた。
【0045】
図12に示すように、本発明のパッキン材料は寸法形状並びに重量とも、試験温度の範囲内で略一定であり、ほとんど収縮・減量を示さない。一方で、従来のパッキン材料は、温度が高くなるにつれて、寸法形状並びに重量が低減する。
したがって、本発明のパッキン材料は、従来のパッキン材料と較べて、高温領域における性能低下が少ないといえる。
【0046】
(試験例2)
図13は、図12の試験に用いた材料を用いて、グランドパッキンを成型し、この成型されたグランドパッキンの熱減量を示す。
尚、成型されたグランドパッキンは、ともに外径44.0mm、内径25.5mm及び厚さ9.25mmの寸法に成型された。また、加熱条件は、試験例1と同様である。
図13に示す結果は、図12に示すグランドパッキン成型前のパッキン材料と略同様であり、本発明のグランドパッキンは、従来のグランドパッキンと較べて、高温領域における性能低下が少なく、安定した性能を発揮できるといえる。
【0047】
(試験例3)
更に、図12に示すパッキン材料から形成されるグランドパッキンに対して熱サイクル試験を行った。
図14は、熱サイクル試験機の概略図である。この熱サイクル試験機は、ドイツのAMTEC社製のTEMES試験装置であり、試験装置の概略は以下の如くである。
熱サイクル試験機(E)は、流入圧力4.0kgf/cm2でヘリウムガスが流入されるチャンバ(C)を備える。チャンバ(C)内には、ステム(S)が挿入される。ステム(S)を外嵌するように複数(図14中においては6リング)のグランドパッキン(G)が配される。
ステム(S)は、55mmのストローク長で往復動作し、ステム(S)外周面とグランドパッキン(G)の内周面の間を通過したヘリウムガスの流量が計測される。グランドパッキン(G)はボルト(B)により締め付けられ(締付トルク300kgf・m)、試験機(E)に固定されている。
【0048】
グランドパッキン(G)は、外径56.0mm、内径40.0mm及び厚さ8.0mmに成型されたものが用いられた。
ステム(S)は上記ストロークで120分間連続動作をし、計200サイクルの往復動を行った。
また、このようなステム(S)の往復動作に伴うヘリウムガス漏出試験は、試験機(E)を160℃、200℃並びに260℃の加熱した条件でそれぞれ行われた。
表1に上記試験から得られたヘリウム漏出量の結果を示す。
【0049】
【表1】
【0050】
表1に示す如く、本発明のグランドパッキンは全くヘリウムガスの漏出の検知がされなかったのに対し、従来のグランドパッキンは、全ての加熱条件でヘリウムガスの漏出が検知された。
したがって、本発明のグランドパッキンは、従来にない高いシール性を発揮するといえる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、流体機器、特に高温雰囲気下で且つ高度なシール性が要求される流体機器に好適に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係るパッキン材料の斜視図である。
【図2】本発明に係るパッキン材料の捩体を示す図である。
【図3】本発明に係るパッキン材料の開繊束を製造する工程を示す概略図である。
【図4】図2に示す捩体に開繊炭素繊維束を巻回している状態を示す図である。
【図5】本発明のパッキン材料の製造工程を示すフローチャートである。
【図6】本発明のパッキン材料の製造工程の被覆工程の一形態を示す図である。
【図7】本発明のパッキン材料を構成するポリテトラフルオロエチレンテープの製造工程を示すフローチャートである。
【図8】本発明のパッキン材料を構成するポリテトラフルオロエチレンテープの概略断面図である。
【図9】本発明のパッキン材料の捩体の他の形態を示す図である。
【図10】本発明のグランドパッキンの製造方法を示すフローチャートである。
【図11】本発明のグランドパッキンの編体を示す図である。
【図12】本発明のパッキン材料の熱収縮並びに熱減量の試験の結果を示すグラフである。
【図13】本発明のグランドパッキンの熱減量の試験の結果を示すグラフである。
【図14】本発明のグランドパッキンの熱サイクル試験の装置(ドイツ国、AMTEC社製TEMES試験装置)の概略構成図である。
【符号の説明】
【0053】
1・・・・パッキン材料
2・・・・捩体
21・・・開繊炭素繊維束
22・・・積層体
23・・・膨張黒鉛製テープ
4・・・・開繊炭素繊維束
5・・・・フッ化エチレン樹脂層
51・・・ポリテトラフルオロエチレン製テープ
6・・・・基材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略紐状に形成されるパッキン材料であって、
膨張黒鉛製テープと開繊された炭素繊維からなる繊維束で構成される積層体を捩じって形成された捩体と、
該捩体の外周面に対して、該捩体の捩り方向と反対方向に巻回される開繊炭素繊維束と、
前記捩体の外周面に巻回された開繊炭素繊維束の少なくとも外周面を覆うように形成されるフッ化エチレン樹脂層からなることを特徴とするパッキン材料。
【請求項2】
前記フッ化エチレン樹脂層が、細幅に形成されたシート状のポリテトラフルオロエチレン製テープを巻回して形成されることを特徴とする請求項1記載のパッキン材料。
【請求項3】
前記フッ化エチレン樹脂層が、前記繊維束が巻回された基材をポリテトラフルオロエチレン液中に浸漬することにより形成されることを特徴とする請求項1記載のパッキン材料。
【請求項4】
前記ポリテトラフルオロエチレン製テープ内部に独立気泡が形成され、
該独立気泡内部にシリコンオイルが内包されることを特徴とする請求項2記載のパッキン材料。
【請求項5】
370℃を超えない温度で焼成されることを特徴とする請求項1記載のパッキン材料。
【請求項6】
前記フッ化エチレン樹脂層が顔料を含むことを特徴とする請求項1記載のパッキン材料。
【請求項7】
前記捩体の中心に、単数の補強線材が配されることを特徴とする請求項1記載のパッキン材料。
【請求項8】
略紐状に形成される複数のパッキン材料を編組してなる編体を、加圧成形してなるグランドパッキンであって、
前記パッキン材料が、
膨張黒鉛製テープと開繊された炭素糸からなる繊維束で構成される積層体を捩じって形成された捩体と、
該捩体の外周面に対して、該捩体の捩り方向と反対方向に巻回される開繊炭素繊維束と、
前記捩体の外周面に巻回された開繊炭素繊維束の少なくとも外周面を覆うように形成されるフッ化エチレン樹脂層からなることを特徴とするグランドパッキン。
【請求項9】
370℃を超えない温度で焼成されることを特徴とする請求項8記載のグランドパッキン。
【請求項10】
膨張黒鉛製テープと開繊された炭素繊維からなる繊維束で構成される積層体を捩じって、捩体を形成する捩体形成工程と、
前記捩体外周面を、開繊炭素繊維束で巻回して基材を形成する巻回工程と、
前記基材の少なくとも外面を、フッ化エチレン樹脂からなる層で被覆する被覆工程からなることを特徴とするパッキン材料の製造方法。
【請求項11】
複数の紐状のパッキン材料を準備するパッキン材料準備工程と、
該パッキン材料を編組して編体を形成する編体形成工程と、
該編体を加圧成形して所望形状のグランドパッキンを形成する加圧成形工程からなるグランドパッキンの製造方法であって、
前記パッキン材料準備工程が、
膨張黒鉛製テープと開繊された炭素繊維からなる繊維束で構成される積層体を捩じって、捩体を形成する捩体形成工程と、
前記捩体外周面を、開繊炭素繊維束で巻回して基材を形成する巻回工程と、
前記基材の少なくとも外面を、フッ化エチレン樹脂からなる層で被覆する被覆工程からなることを特徴とするグランドパッキンの製造方法。
【請求項1】
略紐状に形成されるパッキン材料であって、
膨張黒鉛製テープと開繊された炭素繊維からなる繊維束で構成される積層体を捩じって形成された捩体と、
該捩体の外周面に対して、該捩体の捩り方向と反対方向に巻回される開繊炭素繊維束と、
前記捩体の外周面に巻回された開繊炭素繊維束の少なくとも外周面を覆うように形成されるフッ化エチレン樹脂層からなることを特徴とするパッキン材料。
【請求項2】
前記フッ化エチレン樹脂層が、細幅に形成されたシート状のポリテトラフルオロエチレン製テープを巻回して形成されることを特徴とする請求項1記載のパッキン材料。
【請求項3】
前記フッ化エチレン樹脂層が、前記繊維束が巻回された基材をポリテトラフルオロエチレン液中に浸漬することにより形成されることを特徴とする請求項1記載のパッキン材料。
【請求項4】
前記ポリテトラフルオロエチレン製テープ内部に独立気泡が形成され、
該独立気泡内部にシリコンオイルが内包されることを特徴とする請求項2記載のパッキン材料。
【請求項5】
370℃を超えない温度で焼成されることを特徴とする請求項1記載のパッキン材料。
【請求項6】
前記フッ化エチレン樹脂層が顔料を含むことを特徴とする請求項1記載のパッキン材料。
【請求項7】
前記捩体の中心に、単数の補強線材が配されることを特徴とする請求項1記載のパッキン材料。
【請求項8】
略紐状に形成される複数のパッキン材料を編組してなる編体を、加圧成形してなるグランドパッキンであって、
前記パッキン材料が、
膨張黒鉛製テープと開繊された炭素糸からなる繊維束で構成される積層体を捩じって形成された捩体と、
該捩体の外周面に対して、該捩体の捩り方向と反対方向に巻回される開繊炭素繊維束と、
前記捩体の外周面に巻回された開繊炭素繊維束の少なくとも外周面を覆うように形成されるフッ化エチレン樹脂層からなることを特徴とするグランドパッキン。
【請求項9】
370℃を超えない温度で焼成されることを特徴とする請求項8記載のグランドパッキン。
【請求項10】
膨張黒鉛製テープと開繊された炭素繊維からなる繊維束で構成される積層体を捩じって、捩体を形成する捩体形成工程と、
前記捩体外周面を、開繊炭素繊維束で巻回して基材を形成する巻回工程と、
前記基材の少なくとも外面を、フッ化エチレン樹脂からなる層で被覆する被覆工程からなることを特徴とするパッキン材料の製造方法。
【請求項11】
複数の紐状のパッキン材料を準備するパッキン材料準備工程と、
該パッキン材料を編組して編体を形成する編体形成工程と、
該編体を加圧成形して所望形状のグランドパッキンを形成する加圧成形工程からなるグランドパッキンの製造方法であって、
前記パッキン材料準備工程が、
膨張黒鉛製テープと開繊された炭素繊維からなる繊維束で構成される積層体を捩じって、捩体を形成する捩体形成工程と、
前記捩体外周面を、開繊炭素繊維束で巻回して基材を形成する巻回工程と、
前記基材の少なくとも外面を、フッ化エチレン樹脂からなる層で被覆する被覆工程からなることを特徴とするグランドパッキンの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−349070(P2006−349070A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−176880(P2005−176880)
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(390015679)ジャパンマテックス株式会社 (19)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(390015679)ジャパンマテックス株式会社 (19)
【Fターム(参考)】
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