説明

パッケージ、パッケージの製造方法、圧電振動子、発振器、電子機器及び電波時計

【課題】接合材の腐食を抑制して、気密性に優れたパッケージ、パッケージの製造方法、圧電振動子、発振器、電子機器及び電波時計を提供する。
【解決手段】ベース基板2の表面2bに形成されたAlを含有する接合材23を介して、リッド基板3の額縁領域3cとベース基板2とが陽極接合され、パッケージ10の外面には、ベース基板2とリッド基板3との間から露出する接合材23を覆うように、Alの不動態によって構成される第1の保護膜11aが形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ、パッケージの製造方法、圧電振動子、発振器、電子機器及び電波時計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や携帯情報端末機器には、時刻源や制御信号等のタイミング源、リファレンス信号源等として水晶等を利用した圧電振動子が用いられている。この種の圧電振動子は、様々なものが知られているが、その1つとして、表面実装型の圧電振動子が知られている。この種の圧電振動子は、例えば互いに接合されたガラス材料からなるベース基板及びリッド基板と、両基板の間に形成されたキャビティと、キャビティ内に気密封止された状態で収納された圧電振動片(電子部品)とを備えている。
【0003】
ベース基板とリッド基板とを直接接合させる方法として、陽極接合が提案されている。陽極接合は、ベース基板及びリッド基板のうち、一方の基板の内面に形成された接合材と、他方の基板との間に電圧を印加することにより、接合材と他方の基板の内面とを接合する方法である。接合材の材料として、抵抗値が比較的低いアルミニウム(Al)を採用する場合がある。このように、接合材にAlを採用することで、接合材の全面に対して均一に電圧を印加でき、接合材と他方の基板の内面とを確実に陽極接合できると考えられる。また、特許文献1には、接合材の耐電圧性を高めるために、Alに銅(Cu)が含有されたAl合金を接合材として採用する構成も記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−339840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、Alは、耐腐食性が低い(イオン化傾向が比較的高い)材料であるため、Alからなる接合材が圧電振動子の外面から露出していると、接合材が腐食しやすいという問題がある。
特に、接合材に水分が付着すると、Alと水分との酸化還元反応により表面のAlが電子を失ってイオン化(電離)し、生じたAlイオンが水分中の水酸化物(OH)イオンと反応して水酸化アルミニウム(Al(OH3))となって溶け出す。この反応が接合材の奥まで進行すると、キャビティの内部と外部とが連通して、圧電振動子の気密性(接合材のガスバリア性)が低下する虞がある。すなわち、連通した箇所を通って大気がキャビティ内に侵入することで、圧電振動片の振動特性が低下するという問題がある。なお、特許文献1のようにAlにCuを含有したAl合金を接合材に採用しても、上述した問題は同様に発生する。
この問題に対し、圧電振動子の外面から露出している接合材を、スパッタリングなどの成膜技術を用いてSiやCrによる保護膜によって覆い、それによって接合材の腐食を遅らせるといった技術が考えられる。しかし、微視的に見ると、スパッタリングによって得られる保護膜には孔部が存在するので、その孔部から接合材としてのAlに水分が浸入し、接合材が腐食する可能性がある。すなわち従来の技術では、接合材としてのAlの腐食を遅らせることはできても、満足のいく耐腐食性を実現することが困難である。
【0006】
そこで、本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、接合材の腐食を抑制して、気密性に優れたパッケージ、パッケージの製造方法、圧電振動子、発振器、電子機器及び電波時計を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明に係るパッケージは、互いに接合された第1基板及び第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に形成されたキャビティとを備え、前記キャビティ内に電子部品を封入可能なパッケージであって、前記第1基板の接合面と前記第2基板の接合面とがAlを含有する接合材を介して陽極接合されており、前記パッケージの外面には、前記第1基板と前記第2基板との間から露出する前記接合材を覆うようにAlの不動態によって形成される第1の保護膜と、前記第1の保護膜を覆う第2の保護膜とが形成されていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、Alの不動態によって形成される第1の保護膜によってAlを含有する接合材を覆い、さらに第1の保護膜を第2の保護膜によって覆うことで、接合材が外部に曝されることがないので、接合材と大気との接触を抑制して大気中の水分等による接合材の腐食を抑制できる。この場合、第1の保護膜はAlの不動態であり、即ち耐腐食性の高い材料により構成されているので、保護膜の腐食により接合材が外部に露出するのを抑制できる。また、接合材と第1の保護膜とが同種の金属によって形成されているので、接合材と第1の保護膜との間で電位差が生じることがなく、接合材の腐食を確実に抑制することができる。その結果、キャビティ内の気密を長期に亘って維持できる。また、2つの保護膜が存在しているので、スパッタリング等によって1つの保護膜を設ける場合と比較すると、接合材の耐腐食性をさらに高めることができる。
【0009】
また、前記第1基板及び前記第2基板はガラス材料からなり、前記第2の保護膜はSiまたはCrからなることを特徴としている。
この構成によれば、第1の保護膜と第2の保護膜との密着性を向上させ、第1、第2の保護膜が剥離することを抑制できる。そのため、キャビティ内の気密を確実に維持できる。
【0010】
また、前記パッケージの外面には、前記第1の保護膜、及び前記第2の保護膜から離間した位置に一対の外部電極が形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、前記第2の保護膜の材料に導電性材料を用いた場合であっても、外部電極が保護膜によって架け渡されることがないので、外部電極の短絡を防止できる。
【0011】
また、前記パッケージの外面には、前記第1の保護膜、及び前記第2の保護膜の一部が除去されてなるマーキングが施されていることを特徴とする。
この構成によれば、マーキングを施すためにめっき膜等を別途形成する必要がないので、製造効率を向上できる。
【0012】
また、本発明のパッケージの製造方法は、互いに接合された第1基板と第2基板との間に電子部品を封入可能なキャビティを備えたパッケージの製造方法であって、前記第1基板の接合面と前記第2基板の接合面とをAlを含有する接合材を介して陽極接合する接合工程と、前記パッケージの外面における前記第1基板と前記第2基板との間から露出する前記接合材を覆うように、Alの不動態によって形成される第1の保護膜を形成する第1保護膜形成工程と、前記第1保護膜形成工程の後に、前記第1の保護膜を覆うように第2の保護膜を形成する第2保護膜形成工程と、有していることを特徴とする。
この構成によれば、第1保護膜形成工程において、Alの不動態によって形成される第1の保護膜によりAlを含有する接合材を覆うことで、接合材が外部に曝されることがないので、接合材と大気との接触を抑制して大気中の水分等による接合材の腐食を抑制できる。この場合、第1の保護膜は接合材よりも耐腐食性の高い材料により構成されているので、第1の保護膜の腐食により接合材が外部に露出するのを抑制できる。さらに第2の保護膜が第1の保護膜を覆っているので、接合材の耐腐食性をさらに高めることができる。そのため、接合材の腐食を確実に抑制して、キャビティ内の気密を長期に亘って維持できる。
【0013】
また、前記接合工程では、第1ウエハに含まれる複数の前記第1基板と、第2ウエハに含まれる複数の前記第2基板とを、それぞれ陽極接合し、前記接合工程と前記第1保護膜形成工程との間に、前記第1ウエハと前記第2ウエハとの接合体の一方の面に粘着シートを貼り付ける工程と、前記接合体を前記パッケージの形成領域毎に個片化し、複数の接合片を形成する個片化工程と、前記粘着シートを延伸することで、個片化された前記接合片同士の間隔を広げるエクスパンド工程とを有し、前記第1保護膜形成工程では、延伸された前記粘着シート上で前記複数の接合片が離間配置された状態で、前記複数の接合片における他方の面側から前記第1、第2の保護膜を形成することを特徴とする。
接合材は接合片の外側面に露出しているので、接合材を覆うように第1、第2の保護膜を形成するには、全ての接合片を外側面が露出するように離間配置する必要がある。
そこで、本発明の構成によれば、エクスパンド工程において複数の接合片が分離した状態を利用して第1、第2保護膜形成工程を行うので、全ての接合片を改めて離間配置する必要がなく、製造効率を向上させることができる。すなわち、各接合片間のスペースを確保した状態で前記第1、第2の保護膜を形成できるので、各接合片における第1基板と第2基板との間から露出する接合材に対して均一に保護膜を形成できる。
また、個片化された複数の接合片に対して一括して前記第1、第2の保護膜を形成できるので、接合片に個別で前記第1、第2の保護膜を形成する場合に比べて製造効率の向上を図ることができる。さらに、各接合片が粘着シート上に貼り付けられた状態で前記第1、第2の保護膜を形成することで、成膜装置への搬送時や成膜時における接合片の移動を抑制できる。
【0014】
また、前記第2保護膜形成工程の後段で、前記接合片の前記他方の面に形成された前記保護膜に対してレーザー光を照射して前記第1の保護膜、及び前記第2の保護膜の一部を除去することで、マーキングを施すマーキング工程を有していることを特徴としている。
この構成によれば、マーキングを施すためにめっき膜等を別途形成する必要がないので、製造効率を向上できる。
【0015】
また、本発明に係る圧電振動子は、上記本発明のパッケージの前記キャビティ内に、圧電振動片が気密封止されてなることを特徴としている。
この構成によれば、気密性に優れたパッケージを備えているので、振動特性に優れた信頼性の高い圧電振動子を提供できる。
【0016】
また、本発明に係る発振器は、上記本発明の圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴としている。
【0017】
また、本発明に係る電子機器は、上記本発明の圧電振動子が、計時部に電気的に接続されていることを特徴としている。
【0018】
また、本発明に係る電波時計は、上記本発明の圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴としている。
【0019】
本発明に係る発振器、電子機器及び電波時計においては、振動特性に優れた信頼性の高い圧電振動子を備えているので、圧電振動子と同様に特性及び信頼性に優れた製品を提供できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るパッケージ及びパッケージの製造方法によれば、接合材の腐食を抑制して、気密性に優れたパッケージを提供できる。
また、本発明に係る圧電振動子によれば、キャビティ内の気密性を確保し、振動特性に優れた信頼性の高い圧電振動子を提供することができる。
本発明に係る発振器、電子機器及び電波時計においては、上述した圧電振動子を備えているので、圧電振動子と同様に特性及び信頼性に優れた製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る圧電振動子をリッド基板側から見た外観斜視図である。
【図2】本発明に係る圧電振動子をベース基板側から見た外観斜視図である。
【図3】圧電振動子の内部構成図であって、リッド基板を取り外した状態を示す圧電振動片の平面図である。
【図4】図3に示すA−A線に沿った圧電振動子の断面図である。
【図5】図1に示す圧電振動子の分解斜視図である。
【図6】図1に示す圧電振動子を製造する際の流れを示すフローチャートである。
【図7】図6に示すフローチャートに沿って圧電振動子を製造する際の一工程を示す図であって、圧電振動片をキャビティ内に収容した状態でベース基板用ウエハとリッド基板用ウエハとが陽極接合されたウエハ接合体の分解斜視図である。
【図8】個片化工程を説明するための図であって、ウエハ接合体がマガジンに保持された状態を示す断面図である。
【図9】個片化工程を説明するための図であって、ウエハ接合体がマガジンに保持された状態を示す断面図である。
【図10】個片化工程を説明するための図であって、ウエハ接合体がマガジンに保持された状態を示す断面図である。
【図11】個片化工程を説明するための図であって、ウエハ接合体がマガジンに保持された状態を示す断面図である。
【図12】個片化工程を説明するための図であって、ウエハ接合体がマガジンに保持された状態を示す断面図である。
【図13】保護膜形成工程を説明するための図であって、複数の圧電振動子がUVテープに貼り付けられた状態を示す断面図である。
【図14】マーキング工程を説明するための図であって、図1に相当する圧電振動子の外観斜視図である。
【図15】本発明に係る発信器の一実施形態を示す構成図である。
【図16】本発明に係る電子機器の一実施形態を示す構成図である。
【図17】本発明に係る電波時計の一実施形態を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
(圧電振動子)
図1は、本実施形態における圧電振動子をリッド基板側から見た外観斜視図であり、図2はベース基板側から見た外観斜視図である。また図3は圧電振動子の内部構成図であって、リッド基板を取り外した状態で圧電振動片を上方から見た図ある。また、図4は図3に示すA−A線に沿った圧電振動子の断面図であり、図5は圧電振動子の分解斜視図である。なお、図1,2では、後述する保護膜を鎖線で示している。
図1〜図5に示すように、本実施形態の圧電振動子1は、ベース基板(第1基板)2及びリッド基板(第2基板)3が接合材23を介して陽極接合された箱状のパッケージ10と、パッケージ10のキャビティC内に収納された圧電振動片(電子部品)5とを備えた表面実装型の圧電振動子1である。そして、圧電振動片5とベース基板2の裏面2a(図4中下面)に設置された外部電極6,7とが、ベース基板2を貫通する一対の貫通電極8,9によって電気的に接続されている。
【0023】
ベース基板2は、ガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる透明な絶縁基板で板状に形成されている。ベース基板2には、一対の貫通電極8,9が形成される一対のスルーホール21,22が形成されている。スルーホール21,22は、ベース基板2の裏面2aから表面2b(図4中上面)に向かって漸次径が縮径した断面テーパ形状をなしている。
【0024】
リッド基板3は、ベース基板2と同様に、ガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる透明の絶縁基板であり、ベース基板2に重ね合わせ可能な大きさの板状に形成されている。そして、リッド基板3の裏面3b(図4中下面)側には、圧電振動片5が収容される矩形状の凹部3aが形成されている。この凹部3aは、ベース基板2及びリッド基板3が重ね合わされたときに、圧電振動片5を収容するキャビティCを形成する。そして、リッド基板3は、凹部3aをベース基板2側に対向させた状態でベース基板2に対して接合材23を介して陽極接合されている。すなわち、リッド基板3の裏面3b側には、中央部に形成された凹部3aと、凹部3aの周囲に形成され、ベース基板2との接合面となる額縁領域3cとが形成されている。
【0025】
圧電振動片5は、水晶、タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウム等の圧電材料から形成された音叉型の振動片であり、所定の電圧が印加されたときに振動するものである。
この圧電振動片5は、平行に配置された一対の振動腕部24,25と、一対の振動腕部24,25の基端側を一体的に固定する基部26とからなる音叉型で、一対の振動腕部24,25の外表面上には、振動腕部24,25を振動させる図示しない一対の第1の励振電極と第2の励振電極とからなる励振電極と、第1の励振電極及び第2の励振電極と後述する引き回し電極27,28とを電気的に接続する一対のマウント電極とを有している(何れも不図示)。
【0026】
このように構成された圧電振動片5は、図3,図4に示すように、金等のバンプBを利用して、ベース基板2の表面2bに形成された引き回し電極27,28上にバンプ接合されている。より具体的には、圧電振動片5の第1の励振電極が、一方のマウント電極及びバンプBを介して一方の引き回し電極27上にバンプ接合され、第2の励振電極が他方のマウント電極及びバンプBを介して他方の引き回し電極28上にバンプ接合されている。これにより、圧電振動片5は、ベース基板2の表面2bから浮いた状態で支持されるとともに、各マウント電極と引き回し電極27,28とがそれぞれ電気的に接続された状態となる。
【0027】
そして、ベース基板2の表面2b側(リッド基板3が接合される接合面側)には、Alからなる陽極接合用の接合材23が形成されている。この接合材23は、膜厚が例えば3000Å〜5000Å程度に形成され、リッド基板3の額縁領域3cに対向するようにベース基板2の外周部分に沿って形成されている。そして、接合材23とリッド基板3の額縁領域3cとが陽極接合されることで、キャビティCが真空封止されている。なお、接合材23の側面は、ベース基板2及びリッド基板3の側面2c、3e(パッケージ10の側面(外側面)10a)と略面一に形成されている。なお、接合材23にはAlとCuの合金を用いても良い。即ち、Alを含有する材料であればよい。
【0028】
外部電極6,7は、ベース基板2の裏面2a(ベース基板2における接合面とは反対側の面)における長手方向の両側に設置されており、各貫通電極8,9及び各引き回し電極27,28を介して圧電振動片5に電気的に接続されている。より具体的には、一方の外部電極6は、一方の貫通電極8及び一方の引き回し電極27を介して圧電振動片5の一方のマウント電極に電気的に接続されている。また、他方の外部電極7は、他方の貫通電極9及び他方の引き回し電極28を介して、圧電振動片5の他方のマウント電極に電気的に接続されている。なお外部電極6,7の側面(外周縁)は、ベース基板2の側面2cよりも内側に位置している。
【0029】
貫通電極8,9は、焼成によってスルーホール21,22に対して一体的に固定された筒体32及び芯材部31によって形成されたものであり、スルーホール21,22を完全に塞いでキャビティC内の気密を維持しているとともに、外部電極6,7と引き回し電極27,28とを導通させる役割を担っている。具体的に、一方の貫通電極8は、外部電極6と基部26との間で引き回し電極27の下方に位置しており、他方の貫通電極9は、外部電極7と振動腕部25との間で引き回し電極28の下方に位置している。
【0030】
筒体32は、ペースト状のガラスフリットが焼成されたものである。筒体32は、両端が平坦で且つベース基板2と略同じ厚みの円筒状に形成されている。そして、筒体32の中心には、芯材部31が筒体32の中心孔を貫通するように配されている。また、本実施形態ではスルーホール21,22の形状に合わせて、筒体32の外形が円錐状(断面テーパ状)となるように形成されている。そして、この筒体32は、スルーホール21,22内に埋め込まれた状態で焼成されており、これらスルーホール21,22に対して強固に固着されている。
上述した芯材部31は、金属材料により円柱状に形成された導電性の芯材であり、筒体32と同様に両端が平坦で、かつベース基板2の厚みと略同じ厚さとなるように形成されている。なお、貫通電極8,9は、導電性の芯材部31を通して電気導通性が確保されている。
【0031】
ここで、図1〜図4に示すように、パッケージ10には、リッド基板3の表面3dからリッド基板3の側面3e及びベース基板2の側面2c(パッケージ10の側面10a)の全域を覆うように第1の保護膜11aが形成されている。第1の保護膜11aは、純度99.9%以上の純Alの不動態によって形成されている。さらに第1の保護膜11aを覆うように、シリコン(Si)、クロム(Cr)またはチタン(Ti)等によって形成される第2の保護膜11bが形成されている。第1の保護膜11aと各基板の側面との付着性は良好であり、また、第2の保護膜11bと第1の保護膜11aとの付着性は良好である。よって、基板と第1の保護膜11a、及び第1の保護膜11aと第2の保護膜11bとの間に隙間ができたり、第1の保護膜11a、第2の保護膜11bが剥離したりすることを抑制できる。なお、図面において11とあるのは、第1の保護膜11aと第2の保護膜11bの両方を指すものとする。
【0032】
第1の保護膜11aは、リッド基板3の表面(リッド基板3における接合面とは反対側の面)3d上において、例えば膜厚が500Å程度に形成されている。また、第2の保護膜11bは1000Å程度の膜厚を有している。少なくとも、第1の保護膜11aの膜厚は不動態を形成可能な最薄の膜厚を確保できればよく、その観点では50Å〜100Åの膜厚があればよいが、量産化、コスト面等を考慮すると、上述のように500Å程度の膜厚を確保していると好適である。一方で第2の保護膜11bは、外部との接触面に形成されるので、耐久性の観点から少なくとも1000Å程度の膜厚が必要になる。また、リッド基板3の表面3d上には、レーザー光R2(図14参照)により第1、第2の保護膜11a、11bの一部が除去されることで、製品の種類や、製品番号、製造年月日等が刻印されたマーキング13が施されている(図14参照)。なお、マーキング13を施すためには、レーザー光R2の吸収率が高いSiにより第2の保護膜11bを形成することが好ましい。
【0033】
また、第1の保護膜11aは、パッケージ10の側面10a上において、例えば膜厚が500Å程度に形成されており、ベース基板2及びリッド基板3の間から外部に露出している接合材23を覆うように形成されている。そして、第1の保護膜11aの周縁端部(図4中下端部)は、ベース基板2の裏面2aと略面一に形成されている(第2の保護膜も同様)。すなわち、ベース基板2の裏面2aには第1、第2の保護膜11a、11bが形成されていない。この場合、上述したように外部電極6,7の側面は、ベース基板2の側面2cよりも内側に位置しているため、第1、第2の保護膜11a、11bの周縁端部と外部電極6,7との間は間隙部12を挟んで離間配置されている。これにより、第2の保護膜11bの材料に導電性材料を用いた場合であっても、外部電極6,7間が保護膜11によって架け渡されることがないので、外部電極6,7の短絡を防止できる。
【0034】
このように構成された圧電振動子1を作動させる場合には、ベース基板2に形成された外部電極6,7に対して、所定の駆動電圧を印加する。これにより、圧電振動片5の各励振電極に電流を流すことができ、一対の振動腕部24,25を接近・離間させる方向に所定の周波数で振動させることができる。そして、この一対の振動腕部24,25の振動を利用して、時刻源、制御信号のタイミング源やリファレンス信号源等として利用することができる。
【0035】
(圧電振動子の製造方法)
次に、上述した圧電振動子の製造方法について説明する。図6は、本実施形態に係る圧電振動子の製造方法のフローチャートである。図7は、ウエハ接合体の分解斜視図である。以下には、複数のベース基板2が連なるベース基板用ウエハ40(第1ウエハ)と、複数のリッド基板3が連なるリッド基板用ウエハ(第2ウエハ)50との間に複数の圧電振動片5を封入してウエハ接合体60を形成し、ウエハ接合体(接合体)60を切断することにより複数の圧電振動子(接合片)1を同時に製造する方法について説明する。なお、図7以下の各図に示す破線Mは、切断工程で切断する切断線を図示したものである。
本実施形態に係る圧電振動子の製造方法は、主に、圧電振動片作製工程(S10)と、リッド基板用ウエハ作製工程(S20)と、ベース基板用ウエハ作製工程(S30)と、組立工程(S40以下)とを有している。そのうち、圧電振動片作製工程(S10)、リッド基板用ウエハ作製工程(S20)及びベース基板用ウエハ作製工程(S30)は、並行して実施することが可能である。
【0036】
初めに、図6に示すように、圧電振動片作製工程を行って図1〜図5に示す圧電振動片5を作製する(S10)。また、圧電振動片5を作製した後、共振周波数の粗調を行っておく。なお、共振周波数をより高精度に調整する微調に関しては、マウント後に行う。
【0037】
(リッド基板用ウエハ作成工程)
次に、図6,図7に示すように、後にリッド基板3となるリッド基板用ウエハ50を、陽極接合を行う直前の状態まで作製するリッド基板用ウエハ作製工程を行う(S20)。具体的には、ソーダ石灰ガラスを所定の厚さまで研磨加工して洗浄した後に、エッチング等により最表面の加工変質層を除去した円板状のリッド基板用ウエハ50を形成する(S21)。次いで、リッド基板用ウエハ50の裏面50a(図7における下面)に、エッチング等により行列方向にキャビティC用の凹部3aを複数形成する凹部形成工程を行う(S22)。
次に、後述するベース基板用ウエハ40との間の気密性を確保するために、ベース基板用ウエハ40との接合面となるリッド基板用ウエハ50の裏面50a側を少なくとも研磨する研磨工程(S23)を行い、裏面50aを鏡面加工する。以上により、リッド基板用ウエハ作成工程(S20)が終了する。
【0038】
(ベース基板用ウエハ作成工程)
次に、上述した工程と同時或いは前後のタイミングで、後にベース基板2となるベース基板用ウエハ40を、陽極接合を行う直前の状態まで作製するベース基板用ウエハ作製工程を行う(S30)。まず、ソーダ石灰ガラスを所定の厚さまで研磨加工して洗浄した後に、エッチング等により最表面の加工変質層を除去した円板状のベース基板用ウエハ40を形成する(S31)。次いで、例えばプレス加工等により、ベース基板用ウエハに一対の貫通電極8,9を配置するためのスルーホール21,22を複数形成するスルーホール形成工程を行う(S32)。具体的には、プレス加工等によりベース基板用ウエハ40の裏面40bから凹部を形成した後、少なくともベース基板用ウエハ40の表面40a側から研磨することで、凹部を貫通させ、スルーホール21,22を形成することができる。
【0039】
続いて、スルーホール形成工程(S32)で形成されたスルーホール21,22内に貫通電極8,9を形成する貫通電極形成工程(S33)を行う。これにより、スルーホール21,22内において、芯材部31がベース基板用ウエハ40の両面40a,40b(図7における上下面)に対して面一な状態で保持される。以上により、貫通電極8,9を形成することができる。
【0040】
次に、ベース基板用ウエハ40の表面40aに導電性材料をパターニングして、接合材23を形成する接合材形成工程を行う(S34)とともに、引き回し電極形成工程を行う(S35)。なお、接合材23はベース基板用ウエハ40におけるキャビティCの形成領域以外の領域、すなわちリッド基板用ウエハ50の裏面50aとの接合領域の全域に亘って形成する。このようにして、ベース基板用ウエハ製作工程(S30)が終了する。
【0041】
次に、ベース基板用ウエハ作成工程(S30)で作成されたベース基板用ウエハ40の各引き回し電極27,28上に、圧電振動片作成工程(S10)で作成された圧電振動片5を、それぞれ金等のバンプBを介してマウントする(S40)。そして、上述した各ウエハ40,50の作成工程で作成されたベース基板用ウエハ40及びリッド基板用ウエハ50を重ね合わせる、重ね合わせ工程を行う(S50)。具体的には、図示しない基準マーク等を指標としながら、両ウエハ40,50を正しい位置にアライメントする。これにより、マウントされた圧電振動片5が、リッド基板用ウエハ50に形成された凹部3aとベース基板用ウエハ40とで囲まれるキャビティC内に収納された状態となる。
【0042】
重ね合わせ工程後、重ね合わせた2枚のウエハ40,50を図示しない陽極接合装置に入れ、図示しない保持機構によりウエハの外周部分をクランプした状態で、所定の温度雰囲気で所定の電圧を印加して陽極接合する接合工程を行う(S60)。具体的には、接合材23とリッド基板用ウエハ50との間に所定の電圧を印加する。すると、接合材23とリッド基板用ウエハ50との界面に電気化学的な反応が生じ、両者がそれぞれ強固に密着して陽極接合される。これにより、圧電振動片5をキャビティC内に封止することができ、ベース基板用ウエハ40とリッド基板用ウエハ50とが接合されたウエハ接合体60を得ることができる。そして、本実施形態のように両ウエハ40,50同士を陽極接合することで、接着剤等で両ウエハ40,50を接合した場合に比べて、経時劣化や衝撃等によるずれ、ウエハ接合体60の反り等を防ぎ、両ウエハ40,50をより強固に接合することができる。この場合、本実施形態では接合材23に抵抗値が比較的低いAlを用いているため、接合材23の全面に対して均一に電圧を印加することができ、両ウエハ40,50の接合面同士が強固に陽極接合されたウエハ接合体60を簡単に形成することができる。また、陽極接合を比較的低電圧で行うことができるため、エネルギー消費量の低減を図り、製造コストを低減させることができる。
【0043】
その後、一対の貫通電極8,9にそれぞれ電気的に接続された一対の外部電極6,7を形成し(S70)、圧電振動子1の周波数を微調整する(S80)。
【0044】
図8〜図12は個片化工程を説明するための工程図であり、ウエハ接合体がマガジンに保持された状態を示す断面図である。
周波数の微調が終了後、接合されたウエハ接合体60を切断して個片化する個片化工程を行う(S90)。個片化工程(S90)では、図8に示すように、まずUVテープ80及びリングフレーム81からなるマガジン82でウエハ接合体60を保持する。リングフレーム81は、その内径がウエハ接合体60の直径よりも大径に形成されたリング状の部材であり、厚さ(軸方向における長さ)がウエハ接合体60と同等に形成されている。また、UVテープ80はポリオレフィンからなるシート材に紫外線硬化樹脂、例えばアクリル系の粘着剤が塗布されたものである。
マガジン82は、リングフレーム81の一方の面81aから、貫通孔81bを塞ぐようにUVテープ80を貼り付けることで作成することができる。そして、リングフレーム81の中心軸とウエハ接合体60の中心軸とを一致させた状態で、UVテープ80の粘着面にウエハ接合体60を貼着する。具体的には、ベース基板用ウエハ40の裏面40b側(外部電極6,7側)を、UVテープ80の粘着面に貼着する。これにより、ウエハ接合体60がリングフレーム81の貫通孔81b内にセットされた状態となる。
【0045】
次に、図9に示すように、リッド基板用ウエハ50における表面50bの表層部分に対して、切断線Mに沿ってレーザー光R1を照射し、ウエハ接合体60にスクライブラインM’を形成する。
【0046】
次に、スクライブラインM’が形成されたウエハ接合体60を、1つ1つの圧電振動子1に切断する切断工程を行う。切断工程では、まず図10に示すように、リングフレーム81の他方の面81cに、貫通孔81bを塞ぐようにリッド基板用ウエハ50を保護するためのセパレーター83を貼り付ける。これにより、ウエハ接合体60は、UVテープ80とセパレーター83とにより挟持された状態で、リングフレーム81の貫通孔81b内に保持される。この状態でウエハ接合体60をブレーキング装置内に搬送する。なお、図10中符号71は、ブレーキング装置のステージ上に配置されたシリコンラバーである。
次いで、ブレーキング装置内に搬送されたウエハ接合体60に対して、割断応力を加えるブレーキング工程を行う。ブレーキング工程では、刃渡りの長さがウエハ接合体60の直径よりも長い切断刃70(刃先角度θが例えば80度〜100度)を用意し、この切断刃70をベース基板用ウエハ40の裏面40b側からスクライブラインM’に位置合わせした後、切断刃70の刃先をベース基板用ウエハ40の裏面40bに接触させる。その後、ウエハ接合体60の厚さ方向(切断線M)に沿って、ウエハ接合体60に所定の割断応力(例えば、10kg/inch)を加える。
【0047】
これにより、ウエハ接合体60には、厚さ方向に沿ってクラックが発生し、ウエハ接合体60がリッド基板用ウエハ50上に形成されたスクライブラインM’に沿って折れるように切断される。そして、各スクライブラインM’毎に切断刃70を押し当てることで、ウエハ接合体60を切断線M毎のパッケージ10に一括して分離することができる。その後、ウエハ接合体60に貼り付けられたセパレーター83を剥離する。
【0048】
次に、図11に示すように、ウエハ接合体60をエクスパンド装置91内に搬送し、UVテープ80を引き延ばすエクスパンド工程を行う。
まずエクスパンド装置91について説明する。エクスパンド装置91は、リングフレーム81がセットされる円環状のベースリング92と、ベースリング92の内側に配置され、ウエハ接合体60よりも大径に形成された円板状のヒーターパネル93とを備えている。ヒーターパネル93は、ウエハ接合体60がセットされるベースプレート94に伝熱型のヒーター(不図示)が搭載されたものであり、ヒーターパネル93の中心軸がベースリング92の中心軸に一致するように配置されている。また、ヒーターパネル93は、図示しない駆動手段によって軸方向に沿って移動可能に構成されている。なお、図示しないがエクスパンド装置91は、ベースリング92上にセットされるリングフレーム81を、ベースリング92との間で挟持する押え部材も備えている。
【0049】
このような装置を用いてエクスパンド工程を行うには、まずウエハ接合体60をエクスパンド装置91にセットする前に、後述するグリップリング85のうち、内側リング85aをヒーターパネル93の外側にセットする。この時、内側リング85は、ヒーターパネル93に固定され、ヒーターパネル93の移動時にともに移動するようにセットされる。なお、グリップリング85は、内径がヒーターパネル93の外径よりも大きく、リングフレーム81の貫通孔81bの内径よりも小さく形成された樹脂製のリングであり、内側リング85aと、内径が内側リング85aの外径と同等に形成された外側リング85b(図12参照)とで構成されている。すなわち、内側リング85aは外側リング85bの内側に嵌まり込むようになっている。
【0050】
その後、マガジン82に固定されたウエハ接合体60をエクスパンド装置91にセットする。この時、UVテープ80側(外部電極6,7側)をヒーターパネル93及びベースリング92に向けてウエハ接合体60をセットする。そして、図示しない押え部材によってリングフレーム81をベースリング92との間に挟持する。次に、ヒーターパネル93のヒーターによってUVテープ80を加熱して、UVテープ80を軟化させる。そして、図12に示すように、UVテープ80を加熱した状態でヒーターパネル93を内側リング85aとともに上昇させる(図12中矢印参照)。この時、リングフレーム81はベースリング92と押え部材との間で挟持されているので、UVテープ80がウエハ接合体60の径方向外側に向かって延伸する。これにより、UVテープ80に貼着されたパッケージ10同士が離間し、隣接するパッケージ10間のスペースが拡大する。そして、この状態で内側リング85aの外側に外側リング85bをセットする。具体的には、内側リング85aと外側リング85bとの間にUVテープ80を挟んだ状態で、両者を嵌め合わせる。これにより、UVテープ80が延伸された状態でグリップリング85に保持される。そして、グリップリング85の外側のUVテープ80を切断し、リングフレーム81とグリップリング85とを分離する。
【0051】
図13は、保護膜形成工程を説明するための図であって、複数の圧電振動子がUVテープに貼り付けられた状態を示す断面図である。
次に、図13に示すように、パッケージ10を第1の保護膜11a、第2の保護膜11bによってコーティングする保護膜形成工程(S100)を行う。具体的には、まず複数のパッケージ10を、UVテープ80に貼り付けられた状態でスパッタリング装置のチャンバー内に搬送し、リッド基板3が第1の保護膜11aの成膜材料(ターゲット)、即ちAlに対向するようにセットする。この状態でスパッタリングを行うことで、リッド基板3の表面3d及びパッケージ10の側面10a上に成膜材料から飛び出したAl原子が付着する。その後、付着したAl膜を酸化させることにより、Alの不動態によって構成される第1の保護膜11aを形成することができる。これにより、リッド基板3の表面3dからパッケージ10の側面10aの全域に亘って、第1の保護膜11aが形成される。さらにこの後、パッケージ10をUVテープ80に貼り付けられた状態でスパッタリング装置のチャンバー内に搬送し、Siのスパッタリングを行う。これにより、第1の保護膜11aの上にSiによる第2の保護膜11bを形成することができる。
【0052】
この場合、接合材23はパッケージ10の側面10aに露出しているので、接合材23を覆うように第1、第2の保護膜11a、11bを形成するには、全てのパッケージ10を側面10aが露出するように離間配置する必要がある。
そこで、本実施形態によれば、エクスパンド工程において複数のパッケージ10が分離した状態を利用して保護膜形成工程を行うので、全てのパッケージ10を改めて離間配置する必要がなく、製造効率を向上させることができる。すなわち、各パッケージ10間のスペースを確保した状態で第1、第2の保護膜11a、11bを形成できるので、各パッケージ10におけるベース基板2とリッド基板3との間から露出する接合材23に対して均一に保護膜11を形成できる。
また、エクスパンドされたUVテープ80上に複数のパッケージ10を貼り付けた状態でAlとSiのスパッタリングを行うことで、個片化された複数のパッケージ10に対して一括して第1、第2の保護膜11a、11bを形成できるので、パッケージ10に個別で第1、第2の保護膜11a、11bを形成する場合に比べて製造効率の向上を図ることができる。さらに、スパッタリング装置への搬送時や成膜時におけるパッケージ10の移動を抑制できる。
【0053】
また、ベース基板2の裏面2a側にUVテープ80が貼り付けられた状態で、リッド基板3側からスパッタリングを行うことで、ベース基板2の裏面2a側への成膜材料の回り込みを抑制できる。そのため、外部電極6,7への成膜材料の付着を抑制できるので、保護膜11によって各外部電極6,7間が架け渡されるのを抑制できる。これにより、保護膜11にCr等の導電性金属材料を用いた場合であっても、外部電極6,7間の短絡を抑制できる。また、本実施形態では、外部電極6,7の側面がベース基板2の側面2cよりも内側に位置しているため、第1、第2の保護膜11a、11bの周縁端部と外部電極6,7との間は間隙部12(図2参照)を挟んで離間配置される。そのため、仮に成膜材料がベース基板2の裏面2a側に僅かに回り込んだとしても、第1、第2の保護膜11a、11bと外部電極6,7とが連続的に架け渡されるのを抑制できる。
【0054】
なお、本実施形態では、リッド基板3の表面3dに対向するように成膜材料が配置されるため、パッケージ10の側面10aに比べてリッド基板3の表面3dの方が、成膜材料が付着し易い。具体的に、リッド基板3の表面3dとパッケージ10の側面10aとの成膜速度比は3〜4:1程度となる。成膜速度比を小さくするためには、グリップリング85(パッケージ10)を自転させながらスパッタリングを行うことが好ましい。
【0055】
次に、第1、第2の保護膜11a、11bが形成された圧電振動子1を取り出すためのピックアップ工程を行う。ピックアップ工程では、まずUVテープ80に対してUV照射し、UVテープ80の粘着力を低下させる。これにより、UVテープ80から圧電振動子1が剥離される。その後、画像認識等により各圧電振動子1の位置を把握して、ノズル等により吸引することで、UVテープ80から剥離された圧電振動子1を取り出していく。
以上により、互いに陽極接合されたベース基板2とリッド基板3との間に形成されたキャビティC内に圧電振動片5が封止された、図1に示す2層構造式表面実装型の圧電振動子1を一度に複数製造することができる。
【0056】
その後、内部の電気特性検査を行う(S110)。すなわち、圧電振動片5の共振周波数、共振抵抗値、ドライブレベル特性(共振周波数及び共振抵抗値の励振電力依存性)等を測定してチェックする。また、絶縁抵抗特性等を併せてチェックする。そして、圧電振動子1の外観検査を行って、寸法や品質等を最終的にチェックする。
【0057】
図14はマーキング工程を説明するための図であって、図1に相当する圧電振動子の外観斜視図である。
電気特性検査及び外観検査が完了し、検査に合格した圧電振動子1に対して、最後にマーキング13を施す(S120)。図14に示すように、マーキング13は、リッド基板3の表面3dに対して鉛直方向からレーザー光R2を照射して、リッド基板3の表面3d上の第2の保護膜11bを除去することで、製品の種類、製品番号及び製造年月日等を刻印する。このように、第2の保護膜11bを除去してマーキング13を施すことで、マーキング13を施すためにめっき膜等を別途形成する必要がないので、製造効率を向上できる。なお、第2の保護膜11bのみならず、第1の保護膜11aを除去してもよい。
【0058】
なお、マーキング工程(S120)ではレーザー光R2の出力を、保護膜11のみを貫通する程度に調整することが好ましい。これにより、レーザー光R2がベース基板2を透過してキャビティC内に到達するのを抑制できる。つまり、レーザー光R2が圧電振動片5に照射されるのを抑制して、圧電振動片5へのダメージを抑制できるため、圧電振動片5の電気特性(周波数特性)に影響が及ぶのを抑制できる。
また、ベース基板2でのレーザー光R2の透過を確実に抑制するためには、ガラス材料での吸収率が高いレーザーを用いることが好ましく、このようなレーザーとしては、例えば波長が10.6μmのCO2レーザーや、波長が266nmの第4高調波レーザー等を用いることが可能である。さらに、これらレーザーのうち、波長が比較的長いCO2レーザーを用いることで、ベース基板2へのダメージをより確実に抑制できる。
【0059】
このように、本実施形態では、パッケージ10の外面にAlの不動態によって構成される第1の保護膜11aと第2の保護膜11bとを被覆する構成とした。
この構成によれば、Alの不動態である第1の保護膜11aにより接合材23を覆うことで、接合材23が外部に曝されることがないので、接合材23と大気との接触を抑制して、大気中の水分等による接合材23の腐食を抑制できる。また、接合材23はAlを含有しているので、同金属であるAlの不動態によって接合材23を被覆することで両者間に電位差が生じることがない。即ち、接合材23と第1の保護膜11aとを異種金属とすると、両者の間で電位差が生じ、腐食の原因になる虞があるが、本実施形態のように接合材23と第1の保護膜11aとを同種金属とすることで、より確実に接合材23の腐食を防ぐことが可能になる。また、さらに第1の保護膜11aの表面を第2の保護膜11bで被覆しているので、単層のスパッタ膜のみが被覆されている場合と比較すると、より確実に接合材の腐食を防ぐことができる。なお、本実施形態では第2の保護膜11bをSiのスパッタ膜によって形成しているが、第2の保護膜11bとして適用可能な材料はSiのみに限定されるものではなく、Cr、ガラス、及びアクリル等の有機系材料であってもよい。即ち、Al不動態との密着性、コスト等に鑑みて適宜選択されるとよい。以上より、本実施形態によれば、キャビティC内の気密を長期に亘って安定した状態に維持でき、振動特性に優れた信頼性の高い圧電振動子1を提供できる。
【0060】
(発振器)
次に、本発明に係る発振器の一実施形態について、図15を参照しながら説明する。
本実施形態の発振器100は、図15に示すように、圧電振動子1を、集積回路101に電気的に接続された発振子として構成したものである。この発振器100は、コンデンサ等の電子部品102が実装された基板103を備えている。基板103には、発振器用の上記集積回路101が実装されており、この集積回路101の近傍に、圧電振動子1が実装されている。これら電子部品102、集積回路101及び圧電振動子1は、図示しない配線パターンによってそれぞれ電気的に接続されている。なお、各構成部品は、図示しない樹脂によりモールドされている。
【0061】
このように構成された発振器100において、圧電振動子1に電圧を印加すると、圧電振動子1内の圧電振動片5が振動する。この振動は、圧電振動片5が有する圧電特性により電気信号に変換されて、集積回路101に電気信号として入力される。入力された電気信号は、集積回路101によって各種処理がなされ、周波数信号として出力される。これにより、圧電振動子1が発振子として機能する。
また、集積回路101の構成を、例えば、RTC(リアルタイムクロック)モジュール等を要求に応じて選択的に設定することで、時計用単機能発振器等の他、当該機器や外部機器の動作日や時刻を制御したり、時刻やカレンダー等を提供したりする機能を付加することができる。
【0062】
上述したように、本実施形態の発振器100によれば、キャビティC内の気密が確保された圧電振動子1を備えているため、特性及び信頼性に優れた高品質な発振器100を提供できる。さらにこれに加え、長期に亘って安定した高精度な周波数信号を得ることができる。
【0063】
(電子機器)
次に、本発明に係る電子機器の一実施形態について、図16を参照して説明する。なお電子機器として、上述した圧電振動子1を有する携帯情報機器110を例にして説明する。
始めに本実施形態の携帯情報機器110は、例えば、携帯電話に代表されるものであり、従来技術における腕時計を発展、改良したものである。外観は腕時計に類似し、文字盤に相当する部分に液晶ディスプレイを配し、この画面上に現在の時刻等を表示させることができるものである。また、通信機として利用する場合には、手首から外し、バンドの内側部分に内蔵されたスピーカ及びマイクロフォンによって、従来技術の携帯電話と同様の通信を行うことが可能である。しかしながら、従来の携帯電話と比較して、格段に小型化及び軽量化されている。
【0064】
次に、本実施形態の携帯情報機器110の構成について説明する。この携帯情報機器110は、図16に示すように、圧電振動子1と、電力を供給するための電源部111とを備えている。電源部111は、例えば、リチウム二次電池からなっている。この電源部111には、各種制御を行う制御部112と、時刻等のカウントを行う計時部113と、外部との通信を行う通信部114と、各種情報を表示する表示部115と、それぞれの機能部の電圧を検出する電圧検出部116とが並列に接続されている。そして、電源部111によって、各機能部に電力が供給されるようになっている。
【0065】
制御部112は、各機能部を制御して音声データの送信及び受信、現在時刻の計測や表示等、システム全体の動作制御を行う。また、制御部112は、予めプログラムが書き込まれたROMと、ROMに書き込まれたプログラムを読み出して実行するCPUと、CPUのワークエリアとして使用されるRAM等とを備えている。
【0066】
計時部113は、発振回路、レジスタ回路、カウンタ回路及びインターフェース回路等を内蔵する集積回路と、圧電振動子1とを備えている。圧電振動子1に電圧を印加すると圧電振動片5が振動し、振動が水晶の有する圧電特性により電気信号に変換されて、発振回路に電気信号として入力される。発振回路の出力は二値化され、レジスタ回路とカウンタ回路とにより計数される。そして、インターフェース回路を介して、制御部112と信号の送受信が行われ、表示部115に、現在時刻や現在日付或いはカレンダー情報等が表示される。
【0067】
通信部114は、従来の携帯電話と同様の機能を有し、無線部117、音声処理部118、切替部119、増幅部120、音声入出力部121、電話番号入力部122、着信音発生部123及び呼制御メモリ部124を備えている。
無線部117は、音声データ等の各種データを、アンテナ125を介して基地局と送受信のやりとりを行う。音声処理部118は、無線部117又は増幅部120から入力された音声信号を符号化及び複号化する。増幅部120は、音声処理部118又は音声入出力部121から入力された信号を、所定のレベルまで増幅する。音声入出力部121は、スピーカやマイクロフォン等からなり、着信音や受話音声を拡声したり、音声を集音したりする。
【0068】
また、着信音発生部123は、基地局からの呼び出しに応じて着信音を生成する。切替部119は、着信時に限って、音声処理部118に接続されている増幅部120を着信音発生部123に切り替えることによって、着信音発生部123において生成された着信音が増幅部120を介して音声入出力部121に出力される。
なお、呼制御メモリ部124は、通信の発着呼制御に係るプログラムを格納する。また、電話番号入力部122は、例えば、0から9の番号キー及びその他のキーを備えており、これら番号キー等を押下することにより、通話先の電話番号等が入力される。
【0069】
電圧検出部116は、電源部111によって制御部112等の各機能部に対して加えられている電圧が、所定の値を下回った場合に、その電圧降下を検出して制御部112に通知する。このときの所定の電圧値は、通信部114を安定して動作させるために必要な最低限の電圧として予め設定されている値であり、例えば、3V程度となる。電圧検出部116から電圧降下の通知を受けた制御部112は、無線部117、音声処理部118、切替部119及び着信音発生部123の動作を禁止する。特に、消費電力の大きな無線部117の動作停止は、必須となる。更に、表示部115に、通信部114が電池残量の不足により使用不能になった旨が表示される。
【0070】
即ち、電圧検出部116と制御部112とによって、通信部114の動作を禁止し、その旨を表示部115に表示することができる。この表示は、文字メッセージであっても良いが、より直感的な表示として、表示部115の表示面の上部に表示された電話アイコンに、×(バツ)印を付けるようにしてもよい。
なお、通信部114の機能に係る部分の電源を、選択的に遮断することができる電源遮断部126を備えることで、通信部114の機能をより確実に停止することができる。
【0071】
上述したように、本実施形態の携帯情報機器110によれば、キャビティC内の気密が確保された圧電振動子1を備えているため、特性及び信頼性に優れた高品質な携帯情報機器110を提供できる。さらにこれに加え、長期に亘って安定した高精度な時計情報を表示することができる。
【0072】
(電波時計)
次に、本発明に係る電波時計の一実施形態について、図17を参照して説明する。
本実施形態の電波時計130は、図17に示すように、フィルタ部131に電気的に接続された圧電振動子1を備えたものであり、時計情報を含む標準の電波を受信して、正確な時刻に自動修正して表示する機能を備えた時計である。
日本国内には、福島県(40kHz)と佐賀県(60kHz)とに、標準の電波を送信する送信所(送信局)があり、それぞれ標準電波を送信している。40kHz若しくは60kHzのような長波は、地表を伝播する性質と、電離層と地表とを反射しながら伝播する性質とを併せもつため、伝播範囲が広く、上述した2つの送信所で日本国内を全て網羅している。
【0073】
以下、電波時計130の機能的構成について詳細に説明する。
アンテナ132は、40kHz若しくは60kHzの長波の標準電波を受信する。長波の標準電波は、タイムコードと呼ばれる時刻情報を、40kHz若しくは60kHzの搬送波にAM変調をかけたものである。受信された長波の標準電波は、アンプ133によって増幅され、複数の圧電振動子1を有するフィルタ部131によって濾波、同調される。 本実施形態における圧電振動子1は、上記搬送周波数と同一の40kHz及び60kHzの共振周波数を有する水晶振動子部138、139をそれぞれ備えている。
【0074】
更に、濾波された所定周波数の信号は、検波、整流回路134により検波復調される。 続いて、波形整形回路135を介してタイムコードが取り出され、CPU136でカウントされる。CPU136では、現在の年、積算日、曜日、時刻等の情報を読み取る。読み取られた情報は、RTC137に反映され、正確な時刻情報が表示される。
搬送波は、40kHz若しくは60kHzであるから、水晶振動子部138、139は、上述した音叉型の構造を持つ振動子が好適である。
【0075】
なお、上述の説明は、日本国内の例で示したが、長波の標準電波の周波数は、海外では異なっている。例えば、ドイツでは77.5KHzの標準電波が用いられている。従って、海外でも対応可能な電波時計130を携帯機器に組み込む場合には、さらに日本の場合とは異なる周波数の圧電振動子1を必要とする。
【0076】
上述したように、本実施形態の電波時計130によれば、キャビティC内の気密が確保された圧電振動子1を備えているため、特性及び信頼性に優れた高品質な電波時計130を提供できる。さらにこれに加え、長期に亘って安定した高精度に時刻をカウントすることができる。
【0077】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な材料や層構成等はほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【0078】
例えば、上述した実施形態では、ベース基板用ウエハ40の表面40aに接合材23を形成したが、これとは逆にリッド基板用ウエハ50の裏面50aに接合材23を形成しても構わない。この場合、成膜後にパターニングすることで、リッド基板用ウエハ50の裏面50aにおけるベース基板用ウエハ40との接合面のみに形成する構成でも構わないが、接合材23を凹部3aの内面を含む裏面50a全体に形成することで、接合材23のパターニングが不要になり、製造コストを低減することができる。
また、上述した実施形態では、リッド基板3の表面3dからパッケージ10の側面10aにかけて保護膜11を連続的に形成する構成について説明したが、これに限らず、パッケージ10の側面に露出している接合材23のみを少なくとも被覆するように形成しても構わない。また、上述した実施形態ではスパッタリング法により保護膜11を形成する場合について説明したが、これに限らず、CVD法等の種々の成膜方法により形成することが可能である。
【0079】
さらに、上述した接合工程(S60)では、ベース基板用ウエハ40の裏面40bに陽極となる接合補助材を配置するとともに、リッド基板用ウエハ50の表面50bに陰極を配置する方式(いわゆる、対向電極方式)を採用してもよいし、接合材23を陽極に接続するとともに、リッド基板用ウエハ50の表面50bに陰極を配置し、接合材23に対して電圧を直接印加する方式(いわゆる直接電極方式)を採用しても構わない。
対向電極方式を採用することで、陽極接合時に接合補助材と陰極との間に電圧を印加することで、接合補助材とベース基板用ウエハ40の裏面40bとの間に陽極接合反応が発生し、これに連動して接合材23とリッド基板用ウエハ50の裏面50aとの間が陽極接合される。これにより、接合材23の全面に対してより均一に電圧を印加することが可能になり、接合材23とリッド基板用ウエハ50の裏面50aとの間を確実に陽極接合することができる。
これに対して、直接電極方式を採用することで、対向電極方式で必要となる接合工程後の接合補助材の除去作業が不要になるので、製造工数を削減することができ、製造効率の向上を図ることができる。
【0080】
また上述した実施形態では、本発明に係るパッケージの製造方法を使用しつつ、パッケージの内部に圧電振動片を封入して圧電振動子を製造したが、パッケージの内部に圧電振動片以外の電子部品を封入して、圧電振動子以外のデバイスを製造することも可能である。
【符号の説明】
【0081】
1…圧電振動子 2…ベース基板(第1基板) 3…リッド基板(第2基板) 5…圧電振動片(電子部品) 6,7…外部電極 10…パッケージ 11a…第1の保護膜 11b…第2の保護膜 23…接合材 40…ベース基板用ウエハ(第1ウエハ) 50…リッド基板用ウエハ(第2ウエハ) 60…ウエハ接合体(接合体) 100…発振器 101…発振器の集積回路 110…携帯情報機器(電子機器) 113…電子機器の計時部 130…電波時計 131…電波時計のフィルタ部 C…キャビティ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接合された第1基板及び第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に形成されたキャビティとを備え、前記キャビティ内に電子部品を封入可能なパッケージであって、
前記第1基板の接合面と前記第2基板の接合面とがAlを含有する接合材を介して陽極接合されており、
前記パッケージの外面には、前記第1基板と前記第2基板との間から露出する前記接合材を覆うようにAlの不動態によって形成される第1の保護膜と、前記第1の保護膜を覆う第2の保護膜とが形成されていることを特徴とするパッケージ。
【請求項2】
前記第1基板及び前記第2基板はガラス材料からなり、
前記第2の保護膜はSiまたはCrからなることを特徴とする請求項1記載のパッケージ。
【請求項3】
前記パッケージの外面には、前記第1の保護膜、及び前記第2の保護膜から離間した位置に一対の外部電極が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のパッケージ。
【請求項4】
前記パッケージの外面には、前記第1の保護膜、及び前記第2の保護膜の一部が除去されてなるマーキングが施されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載のパッケージ。
【請求項5】
互いに接合された第1基板と第2基板との間に電子部品を封入可能なキャビティを備えたパッケージの製造方法であって、
前記第1基板の接合面と前記第2基板の接合面とをAlを含有する接合材を介して陽極接合する接合工程と、
前記パッケージの外面における前記第1基板と前記第2基板との間から露出する前記接合材を覆うように、Alの不動態によって形成される第1の保護膜を形成する第1保護膜形成工程と、
前記第1保護膜形成工程の後に、前記第1の保護膜を覆うように第2の保護膜を形成する第2保護膜形成工程と、
を有していることを特徴とするパッケージの製造方法。
【請求項6】
前記接合工程では、第1ウエハに含まれる複数の前記第1基板と、第2ウエハに含まれる複数の前記第2基板とを、それぞれ陽極接合し、
前記接合工程と前記第1保護膜形成工程との間に、
前記第1ウエハと前記第2ウエハとの接合体の一方の面に粘着シートを貼り付ける工程と、
前記接合体を前記パッケージの形成領域毎に個片化し、複数の接合片を形成する個片化工程と、
前記粘着シートを延伸することで、個片化された前記接合片同士の間隔を広げるエクスパンド工程とを有し、
前記第1保護膜形成工程では、延伸された前記粘着シート上で前記複数の接合片が離間配置された状態で、前記複数の接合片における他方の面側から前記第1の保護膜を形成することを特徴とする請求項5記載のパッケージの製造方法。
【請求項7】
前記第2保護膜形成工程の後段で、前記接合片の前記他方の面に形成された前記第1の保護膜及び前記第2の保護膜に対してレーザー光を照射して前記第1の保護膜と前記第2の保護膜の一部を除去することで、マーキングを施すマーキング工程を有していることを特徴とする請求項6記載のパッケージの製造方法。
【請求項8】
請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載のパッケージの前記キャビティ内に、圧電振動片が気密封止されてなることを特徴とする圧電振動子。
【請求項9】
請求項8記載の前記圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とする発振器。
【請求項10】
請求項8記載の前記圧電振動子が、計時部に電気的に接続されていることを特徴とする電子機器。
【請求項11】
請求項8記載の前記圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする電波時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−78077(P2013−78077A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218232(P2011−218232)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】